JP2024008719A - 光沢を失わずに着色する方法 - Google Patents

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【課題】 板状粉体の光機能性を損なうことなく着色を可能とすることを目的とする。【解決手段】 本発明は、ミー散乱領域の粒子径を有する顔料粒子と、光沢感を有する板状粉体を含む組成物であり、該顔料粒子と板状粉体を1:1の重量比で混合した際に、板状粉体単独に対する光沢度維持率が0~80%の範囲である組成物を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、ミー散乱領域の粒子径を有する顔料粒子と、光沢感を有する板状粉体を含む組成物であり、当該多孔性顔料粒子と板状粉体を1:1の重量比で混合した際に、板状粉体単独に対する光沢度維持率が0~80%の範囲である組成物、その製造方法、該組成物を含む化粧品、及び該組成物を用いる光沢を失わずに着色させる方法に関する。
肌に光沢やツヤ感を与え、メイクアップ効果を高めることを目的として、化粧品に光沢付与成分を配合することが知られている。しかしながら、化粧品に配合された色材により、光沢付与成分の性能が損なわれ、所望の光沢やツヤ感を有する化粧品が得られないという課題があった。
こうした課題に対し、例えば、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体と特定の含フッ素共重合体の高分子表面処理剤で処理した粉体と25℃でペースト状の油性成分を含む固形粉末化粧料では、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体が発揮する立体感を生み出す反射光の明るさや角度依存性の高い反射特性を、含フッ素共重合体の高分子表面処理剤で処理した粉体が弱めることなく逆により一層高めることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
また、(A)揮発性油分と、(B)フェニル基含有オルガノポリシロキサンと、(C)前記フェニル基含有オルガノポリシロキサンと相溶しない、不揮発性の極性油分と、を含有する油性化粧料では、(B)、(C)各油分に対する色材の親和性を調整することで、色材をいずれかに選択的に分散させることができ、例えば、パール顔料の場合、(B)油分に選択的に分散させることにより、揮発性油分揮散後、分離した(B)油分が表層に移動し、パール感が強調されたものとなることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011-195485号公報 特開2012-46449号公報
このように、パール顔料の性能が損なわれる主な要因は、パール顔料のような板状粉体の表面に色材が付着することによるものと考えられ、それを回避するためにパール顔料を前処理したり、特定の層に分散するように調整したりするなどの、煩雑な処理が必要であった。そのため、そのような煩雑な処理を必要としない、光沢を失わずに着色する方法が依然として求められている。
本発明者らはこれまで、デフォーカス効果(ソフトフォーカス効果ともいう)の発現を期待し、セルロース又はセルロース誘導体を含む粒子について鋭意検討を行ってきており、無機顔料とセルロース又はセルロース誘導体を含む多孔性顔料粒子が、油系基材への分散性に優れ、かつ色彩をくすませないこと、優れた光散乱性によりシミやシワの隠蔽効果に優れること、さらには顔料の凝集が抑制されるとともに、より柔らかく使用感に優れること、さらにはミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することにより、透過性と散乱性に優れ、肌からの光(内部反射光)の取り出し効率を向上できることを見出し、それに係る特許出願も行っている。本発明はさらに、そのような顔料粒子は、パール材のような光沢感を有する板状粉体と併用しても、板状粉体の光沢やツヤ感などの光機能性を損なうことなく、着色及び光機能性の発現の両立が可能となることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下のとおりである。
[1] ミー散乱領域の粒子径を有する顔料粒子と、光沢感を有する板状粉体を含む組成物であり、該顔料粒子と板状粉体を1:1の重量比で混合した際に、板状粉体単独に対する光沢度維持率が0~80%の範囲である組成物。
[2] 前記顔料粒子が、セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料を主成分として含む、多孔性顔料粒子である、[1]に記載の組成物。
[3] 前記多孔性顔料粒子に含まれる無機顔料が、白色顔料、着色顔料、真珠光沢顔料及び機能性顔料からなる群より選択される少なくとも1種である、[2]に記載の組成物。
[4] 前記無機顔料が、べんがら、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、マンガン紫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素及び硫酸バリウムからなる群より選択される、[2]又は[3]に記載の組成物。
[5] 多孔性顔料粒子単独を基準とした色変化Δhの絶対値が2以上である、[2]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記多孔性顔料粒子の空隙率が5~50%の範囲にある、[2]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記顔料粒子の粒径が0.5~500μmの範囲にある、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 前記顔料粒子の光散乱率が50~230%の範囲にある、[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] 前記顔料粒子が、反射光分布の測定において、入射光に対する正反射近傍の反射光の強度の、入射光近傍の反射光の強度に対する比が、0.5:1~2:1の範囲にある、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 前記多孔性顔料粒子に含まれるセルロースが、結晶セルロース又はセルロースナノファイバーを含む、[2]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] 前記多孔性顔料粒子のセルロース又はセルロース誘導体の無機顔料に対する比(重量)が1:1~1:20の範囲である、[2]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12] 前記光沢感を有する板状粉体が、真珠光沢顔料である、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13] 真珠光沢顔料単独を基準とした色差ΔEabが3~30の範囲である、[12]に記載の組成物。
[14] セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料を含む分散液を得る工程、得られた分散液を噴霧乾燥してセルロース又はセルロース誘導体と無機顔料とを主成分とする多孔性顔料粒子を得る工程、得られた多孔性顔料粒子と光沢感を有する板状粉体を混合する工程を含む、セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料を主成分として含む多孔性顔料粒子と、光沢感を有する板状粉体を含む組成物の製造方法。
[15] [1]~[13]のいずれかに記載の組成物、あるいは[14]に記載の製造方法により得られる組成物を含む、化粧品。
[16] [1]~[13]のいずれかに記載の組成物、あるいは[14]に記載の製造方法により得られる組成物を用いて、光沢を失わずに着色させる方法。
本発明の組成物は、無機顔料とセルロース又はセルロース誘導体を含む多孔性顔料粒子を用いることにより、板状粉体の表面に色材が付着することがなく、板状粉体が本来有する光沢やツヤのような光機能性を損なうことがない。そのため、多孔性顔料粒子の優れた光散乱性と、板状粉体による光の反射の相乗効果が期待できる。また本発明の組成物は、無機顔料とセルロース又はセルロース誘導体を含む多孔性顔料粒子と、板状粉体とを混合するという極めて簡便な方法により得ることができる。さらに本発明の組成物は、化粧品のみならず、塗料などにも適用可能である。
評価例5における、各評価サンプル(マイカY-2300X(対照例7)、マイカY-2300Xと、顔料の混合物との組成物(比較例15)、及びマイカY-2300Xと、多孔性顔料粒子の混合物との組成物(実施例12))の変角光度測定結果を示したグラフである。 評価例5における、各評価サンプル(硫酸バリウムH(対照例8)、硫酸バリウムHと、顔料の混合物との組成物(比較例16)、及び硫酸バリウムHと、多孔性顔料粒子の混合物との組成物(実施例13))の変角光度測定結果を示したグラフである。 評価例6における、各評価サンプル(パール材(対照例9)、パール材と、顔料の混合物との組成物(比較例17)、及びパール材と、多孔性顔料粒子の混合物との組成物(実施例14))の変角光度測定結果を示したグラフである。 評価例7における、各評価サンプル(パール材と、顔料の混合物との組成物(比較例18)、及びパール材と、多孔性顔料粒子の混合物との組成物(実施例15))の変角光度測定結果を示したグラフである。 評価例8において、(A)は比較例18の処方の、(B)は実施例15の処方の走査型電子顕微鏡画像である。
<組成物>
本発明の組成物は、ミー散乱領域の粒子径を有する顔料粒子と、光沢感を有する板状粉体を含む。該組成物は、該顔料粒子と板状粉体を1:1の重量比で混合した際に、板状粉体単独に対する光沢度維持率が0~80%の範囲であることを特徴とする。
ミー散乱は、光の波長程度以上の大きさの球形の粒子による光の散乱現象として知られ、本発明におけるミー散乱領域の粒子径とは、可視光線の波長域に対してミー散乱が観測されうる粒子径を意味する。入射波長と粒子半径と光の散乱現象との相関関係は公知であり、当業者は入射波長からミー散乱領域の粒子径を適宜選択することができるが、典型的には、0.5μm~1mmであり、例えば0.5~500μmの範囲、好ましくは1~200μmの範囲、より好ましくは2~100μm、特に好ましくは5~80μmの範囲に分布し、また平均粒子径は、例えば5~40μmの範囲、好ましくは5~30μmの範囲にある。なお、本発明において粒径とは、散乱式粒子径分布測定装置で測定した値を意味し、平均粒子径とは、得られた粒度分布より算出される算術平均径を意味する。
本発明の組成物に含まれる、ミー散乱領域の粒子径を有する顔料粒子は、好ましくは、セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料を主成分として含む多孔性顔料粒子である。セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料を主成分として含む多孔性顔料粒子については、例えば、国際公開第2021/020560号の開示を参照することができる。
本発明の「多孔性」とは、顔料粒子の表面に凹凸があり、複数の細孔を有することを意味する。具体的に、本発明の多孔性顔料粒子は、粒子の拡大像を観察した際に、皺状又は襞状の外観を有する溝状の筋目(凹凸構造)を有する。
本発明の粒子は、セルロース又はセルロース誘導体を主成分として含む。本発明で使用されるセルロース又はセルロース誘導体は、羊毛、綿、絹、麻、パルプ等の天然繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ(ベンベルグ(登録商標))、リヨセル(テンセル(登録商標))等の再生繊維に由来するもの、あるいはバクテリアが生産するセルロースが挙げられる。またセルロース繊維と合成繊維(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維)のセルロース複合繊維に由来するものであってもよい。
本発明で使用するセルロース又はセルロース誘導体としては、天然繊維に由来するもの、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート、農産物残廃物等の植物に由来するものが挙げられ、特に、広葉樹、針葉樹又は竹に由来するものが挙げられる。また、このような繊維性植物から得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合して精製したもの、例えば、結晶セルロースを用いることが好ましい。このような結晶セルロースは、例えば、(株)伏見製薬所等の供給業者より市販品として入手できる。
また本発明では、セルロース又はセルロース誘導体として、セルロースナノファイバーを用いてもよい。「セルロースナノファイバー(CNF)」とは、セルロース繊維をナノサイズレベルまで解繊処理することにより得られる繊維であり、一般に、繊維幅約4~200nm、繊維長約5μm以上の繊維である。このようなセルロースナノファイバーは、公知の方法により調製でき、また市販品として入手できる。例えば、大王製紙(株)や中越パルプ工業(株)等の供給業者より入手できる。
また本発明では、セルロース又はセルロース誘導体は、上述の天然繊維又は合成繊維を物理的(機械的)及び/又は化学的に解繊したものであってもよい。このような物理的及び/又は化学的な解繊は公知の方法により実施することができ、また物理的又は化学的に解繊したものは、市販品として入手できる。
本発明で使用するセルロース又はセルロース誘導体は、好ましくは、結晶セルロース、結晶セルロースを物理的及び/又は化学的に解繊したもの、並びにセルロースナノファイバーからなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明の粒子はまた、無機顔料を主成分として含む。本発明で使用する無機顔料とは、対象製品(例えば、化粧品)に彩色性、被覆性、隠蔽性、滑り性等をもたらすことができる無機系の顔料を意味する。典型的には、製品の色調を調整するための着色顔料、被覆性、隠蔽性を制御するための白色顔料、いわゆるパール感を付与する真珠光沢顔料、又は隠蔽性、滑り性等の複合的機能をもたせた機能性顔料である。例としては、べんがら(赤酸化鉄)、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、マンガン紫、カーボンブラック等の着色顔料;酸化チタン(二酸化チタン)、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム等の白色顔料;オキシ塩化ビスマス、アルミニウム粉末、べんがら被覆雲母、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)等の真珠光沢顔料、窒化ホウ素、合成フッ素金雲母(合成マイカ)、フォトクロミック顔料、紫外線吸収マイカ等の機能性顔料が挙げられる。中でもセルロース又はセルロース誘導体との組合せや粒子の化粧品への適用の観点から、着色顔料及び白色顔料、具体的には、べんがら、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、マンガン紫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及び硫酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。あるいは、機能性顔料、具体的には、窒化ホウ素が好ましい。これらの無機顔料は、医薬品用、食品用又は化粧品用添加剤として、供給業者より入手できる。
本発明において「セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料とを主成分とする」とは、表面処理前の粒子に占めるセルロース又はセルロース誘導体と無機顔料の割合(質量基準)が50質量%超であることを意味する。セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料の割合(質量基準)は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。最も好適な態様では、本発明の粒子(表面処理前)はセルロース又はセルロース誘導体と無機顔料のみからなる。
本発明において、セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料との配合比(質量基準)は、セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、1~20質量部、好ましくは2~10質量部、より好ましくは2.5~5質量部の無機顔料を含む。
粒子に含まれるセルロース又はセルロース誘導体及び無機顔料以外の成分としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、シリカ、煙霧状シリカ(超微粒子無水ケイ酸)等の各種の大きさ・形状の無機粉体、及び、これらをハイドロジェンシリコーン、環状ハイドロジェンシリコーン等のシリコーン若しくはその他のシラン若しくはチタンカップリング剤等の各種表面処理剤で処理を行って疎水化若しくは親水化した粉体等が挙げられる。
本発明の組成物に含まれる「光沢感を有する板状粉体」は、光沢感を有し、平板状の粒子からなる粉体であれば特に限定はなく、典型的には、製品の光沢や色調を調整するための体質顔料や、いわゆるパール感を付与する真珠光沢顔料(本明細書では「パール材」とも称される)である。例としては、タルク、カオリン、セリサイト、マイカ、ベントナイトなどの天然に産出する粘土鉱物の粉砕品、合成マイカ、二酸化ケイ素(シリカ)、硫酸バリウムなどの合成無機粉体、有機高分子粉体や金属石けん類などの体質顔料や、オキシ塩化ビスマス、アルミニウム粉末、べんがら被覆雲母、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)等の真珠光沢顔料などを挙げることができる。
「光沢感を有する板状粉体」の大きさは、その用途に応じて適宜選択すればよいが、化粧品用途に用いる場合、その粒子径(最長径、顕微鏡法)が約100μm以下であることが好ましく、約80μm以下であることがより好ましい。
本発明の組成物に含まれる「光沢感を有する板状粉体」は、例えば、日本光研工業(株)からULTIMICA(登録商標)やPEARL-GLAZE(登録商標)の名称の、東レ(株)からナイロン微粒子SP-500やSP-10の名称の、あるいはBASF Color&Effects社からFlamenco Color SeriesやCloisonne Seriesなどの名称の市販品として入手することができる。
<組成物の製造方法>
本発明の組成物は、ミー散乱領域の粒子径を有する顔料粒子と、光沢感を有する板状粉体とを公知の方法により混合することにより製造することができる。例えば、本発明の組成物の好ましい態様である、ミー散乱領域の粒子径を有する顔料粒子がセルロース又はセルロース誘導体と無機顔料を主成分として含む多孔性顔料粒子である場合、本発明の組成物の製造方法は、セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料を含む分散液を得る工程、得られた分散液を噴霧乾燥してセルロース又はセルロース誘導体と無機顔料とを主成分とする多孔性顔料粒子を得る工程、得られた多孔性顔料粒子と光沢感を有する板状粉体を混合する工程を含む。
前記分散液において、セルロース又はセルロース誘導体や無機顔料の例と好ましい態様は上述のとおりである。分散液は、任意の方法で調製することができ、例えば、セルロース又はセルロース誘導体、無機顔料及び分散媒を混合し、これを粉砕処理することにより得られる。あるいは、先ずセルロース若しくはセルロース誘導体(又は無機顔料)と分散媒を混合し、これを粉砕処理し、セルロース若しくはセルロース誘導体(又は無機顔料)分散液を得た後に、無機顔料(又はセルロース若しくはセルロース誘導体)と分散媒を混合して、さらに粉砕処理をすることにより得ることもできる。分散媒は、好ましくは水性媒体であり、より好ましくは水、水混和性有機溶媒又はその混合物である。水混和性有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1~4のアルコール類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、N-メチルピロリドン、N-シクロヘキシルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類、γ-ブチロラクトン等のラクトン、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。最も好適な態様では、分散媒は水であるか、又は水と炭素数1~4のアルコール類の混合物である。
分散液は、セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、1~20質量部、好ましくは2~10質量部、より好ましくは2.5~5質量部の無機顔料を含む。また分散液におけるセルロース又はセルロース誘導体及び無機顔料を含む固形分の濃度は、続く噴霧乾燥工程に使用できる範囲であれば特に限定されないが、例えば0.5~50質量%であり、好ましくは5~50質量%であり、より好ましくは10~40質量%である。
分散液を得る操作に、特に限定はなく、当業者に公知の分散液を得る操作を用いて実施できる。典型的には、分散液は、セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料の粉砕処理により得られ、好ましくは物理的な粉砕により得られる。物理的な粉砕とは、セルロース又はセルロース誘導体及び/又は無機顔料と分散媒の混合物に、マグネチックスターラー、撹拌翼等の攪拌装置、ポリトロン等のホモジナイザー、超音波破砕機等の超音波発生機器、湿式微粒化装置(例えば、スターバースト;(株)スギノマシン製)等の粉砕機を用いて物理的な外力を与えることにより実施される。ただし、市販のセルロース又はセルロース誘導体及び/又は無機顔料が十分に粉砕されているものであれば、粉砕処理を行わずに分散液を得てもよい。したがって本発明の製造方法では、セルロース若しくはセルロース誘導体(又は無機顔料)分散液を得る工程に代えて、市販のセルロース分散液(又は市販の無機顔料分散液)、例えば市販のセルロースナノファイバーの分散液を用いてもよい。
本発明の粒子は、得られた分散液を噴霧乾燥することにより得られる。噴霧乾燥は、アトマイザー、スプレードライヤー、マイクロミストスプレードライヤー等、公知の噴霧乾燥装置を用いて実施される。噴霧乾燥条件は、分散液における分散媒の種類、セルロース又はセルロース誘導体の種類又は濃度等に応じて適宜設定されるが、例えば、入口温度150~300℃、出口温度0~150℃で実施される。
本発明の組成物は、このようにして得られた多孔性顔料粒子と、光沢感を有する板状粉体を混合することにより得られる。混合は、多孔性顔料粒子と、光沢感を有する板状粉体とを均一に混合することができる任意の手段で実施すればよく、例えば、従来公知の撹拌機や撹拌翼を使用し、周囲温度(約25±5℃)で1分から1時間撹拌することにより実施してもよい。
本発明の組成物に含まれる多孔性顔料粒子は、さらに疎水性及び/又は親水性処理されたものであってもよい。該粒子表面への疎水性及び/又は親水性の付与は、化学的又は物理的な表面処理により行うことができ、適切な処理剤を用いる化学的な表面処理により行うことが好ましい。
本発明の粒子は、一般的な他の真球状粒子等とは異なり、表面に凹凸構造を、内部に空隙構造を有する特殊構造を有するため、その表面処理においては粒子の表面だけでなく、内部の空隙表面まで表面処理を施す、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐことが望ましい。特に疎水化処理の場合は、粒子内部の空隙への基材(水)の浸入による表面処理剤の欠落等が防がれるため、油性基材中での分散安定性が向上し、長期間分散状態を維持することが出来る。したがって、粒子内部の空隙まで表面処理剤で処理できる、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐよう、適切な処理剤、処理濃度、処理方法(温度や攪拌方法等)を選択する必要がある。
また、本発明の粒子は、表面処理工程における攪拌操作や粉砕操作の機械的強度が高すぎると、粒子表面から無機顔料成分が脱離する、粒子が変形する等の問題が生じ、その効果が失われることが懸念されるため、できるだけ機械的強度が粒子に強くかからない処理装置(攪拌翼形状等)、プロセス(攪拌速度、攪拌時間等)による処理が望ましい。さらに、本発明の組成物は、粒子内部の空隙、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐまで処理できるように処理剤、処理濃度、処理方法(温度等)を選択することで、高い疎水性を有する組成物を形成でき、疎水性の経時安定性が高まると考えられる。
本発明において、セルロース又はセルロース誘導体を含む多孔性顔料粒子に対し処理される表面処理剤の処理量(質量基準)は、特に限定されないが、セルロース又はセルロース誘導体を含む多孔性顔料粒子の効果を損なわないという観点から、好ましくは0.01~60質量%、より好ましくは0.05~50質量%、特に好ましくは0.1~50質量%である。
本発明の多孔性顔料粒子については、化粧品又は医薬部外品への添加の際、処方中での分散安定化、撥水・耐水性の付与、親水性の付与、皮脂や汗に対する耐性の付与、保湿性の付与、肌なじみの向上、感触制御、粒子の表面凹凸・内部空隙の制御等を目的とし、その効果を損なわない範囲で、通常化粧品料に用いられる表面処理剤を用いて表面処理を施すことができる。具体的には、以下に挙げるよう処理剤を一種又は二種以上を用いて表面処理を施すことができる。
1)シリコーン処理;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、パーフルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン油剤を用いることができるが、反応基を持つメチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーン分子の片末端又は側鎖に官能基を持つアルキルポリシロキサン(例えばジメチルポリシロキシシラザン、α-モノヒドロキシシロキサン、α,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α-モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α-ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α-トリアルコキシポリジメチルシロキサン(例えば、α-トリエトキシポリジメチルシロキサン等)、α,ω-ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α,ω-ヘキサアルコキシポリジメチルシロキサン、ジメチルポリシロキシクロリド、ジメチルポリシロキシブロミド及びジメチルポリシロキシイオジン等)等を使用することが好ましい。
2)アクリルシリコーン処理;アクリルポリマーとジメチルポリシロキサンからなるグラフト共重合体((アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー等)を用いることができる。
3)フッ素処理;その分子中にパーフロオロアルキル基やパーフルオロポリポリエーテル基を有し、かつ、カルボキシル基やリン酸基、スルホン基、アルコキシ基いずれかの極性基を有する化粧料用処理剤として使用可能なフッ素処理剤であればよく、公知の技術によるフッ素処理粉体が使用できる。例えば、パーフルオロポリエーテルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテルアルキルシラン、パーフルオロアルキルアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、パーフルオロカルボン酸、炭素数6のフルオロアルコールリン酸等が挙げられる。
4)金属石ケン処理;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸及びそれら飽和脂肪酸の亜鉛塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等が好ましい。
5)擬似セラミド処理;特に限定されないが、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、ヒドロキシプロピルビスラウラミドMEA、ヒドロキシプロピルビスイソステアラミドMEAであるのが好ましい。また、セラミド様のジアシルグルタミン酸リシン塩等も挙げられる。
6)高級アルコール処理;ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどが好ましい。
7)高級脂肪酸処理;例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
8)エステル処理;ショ糖脂肪酸エステル、酸性エステル油がヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオクチルドデカノールから選択される1種以上のアルコールと、アジピン酸、グルタル酸、ジエチルグルタル酸、セバシン酸、エイコサン二酸及び水添ダイマー酸から選択される1種以上の2塩基酸との部分エステル等が挙げられる。植物油脂由来のエステル油剤には、ヒドロキシステアリン酸水添ひまし油、イソステアリン酸水添ひまし油、ラウリン酸水添ひまし油、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイビス(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル及びセバシン酸ジエチル等が挙げられる。
9)ワックスロウ処理;例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、水素添加ホホバ油(ホホバワックス)、水素添加コメヌカ油、シアバター、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、オゾケライト、ヌカロウ、ライスワックス、パラフィン、ラノリン、サンフラワーワックス、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セバシン酸、セラックロウ、マイクロクリスタリンワックス、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、シリコーンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
10)植物油処理;カメリア極度硬化油脂、ハイオレイックヒマワリ極度硬化油、グレープシード極度硬化油、菜種極度硬化油、ハイエルシン菜種極度硬化油、マカダミアナッツ極度硬化油、パーム極度硬化油及び大豆極度硬化油からなる群から選択される植物性極度硬化油脂が挙げられる。
11)アミノ酸処理;下記のアミノ酸やそのN-アシル体(Na、K、Ba、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al等の金属塩やアンモニウム塩、有機アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール及びトリイソプロパノールアミン)等の塩の形態も含まれる。):バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン(リシン)、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン(トレオニン)、ヒスチジン、アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸。上記アミノ酸のN-アシル体を構成する長鎖脂肪酸としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、樹脂酸(アビエチン酸)等を挙げることができる。これらは、例えば、アミホープ(登録商標)LL(ラウロイルリシン)等の市販品として入手することもできる。
12)界面活性剤処理;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の非イオン性界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、N-アシルタウリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ジアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物、カルボキシビニルポリマー、スチレンオキシアルキレン酸無水物共重合体等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、トリポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、モノアルキルアミドアミン塩、カチオン化セルロース等のカチオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の両イオン性界面活性剤が挙げられる。好ましい界面活性剤としては、肌への刺激性が低くPRTR法(化学物質排出把握管理促進法:Pollutant Release and Transfer Register)等の規制物質でないものが好ましい。
13)生分解性樹脂処理;ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシアルカノエート、(ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート)ブロックコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸等の脂肪族ポリエステル;変性でんぷん;カゼインプラスチック;セルロースなどが挙げられる。
上記の他、ペンダント処理(気相法シリコーン処理後にアルキル鎖などを付加する方法)、チタンカップリング剤処理、アルミニウムカップリング剤処理、ポリアクリル酸処理、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理、有機顔料による処理、ケイヒ酸、フェルラ酸等の不溶性のカルボン酸による処理、非水溶性の微細結晶セルロースによる処理、マンノースと糖アルコールと脂肪酸で構成される糖脂質であるマンノシルエリスリトールリピッドによる処理、多糖(寒天、澱粉、セルロース、キチン、キサンタンガム、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、アルギン酸Na等)による処理、コラーゲン処理、ヒアルロン酸、エラスチン処理、レシチン処理、水添レシチン処理、糖脂質処理、パルミトイルサルコシンNaによる処理、シリカ処理、特開2001-72527号公報及び特開2002-80748号公報等に開示されている処理方法(二つの層を構成するよう表面処理剤で処理する方法(マイブリッド処理))を選択することができる。
本発明の粉体を表面処理する方法は、特に限定されず表面処理剤を粉体粒子表面に接触させて処理することができる。ミキサー等の混合機を使用する乾式法や水や有機溶媒中で処理するスラリー法が挙げられる。スラリー法としては処理液を脱液後、乾燥して粉砕する方法や水や有機溶媒中の処理液を噴霧乾燥して粉砕する方法等の公知方法がある。
このようにして得られた本発明の顔料粒子の粒径は、ミー散乱領域の粒子径の範囲内で、組成物の所望の用途に応じて適宜設定できるが、例えば0.5μm~1mmの範囲、好ましくは0.5~500μmの範囲、より好ましくは1~200μmの範囲、さらにより好ましくは2~100μm、特に好ましくは5~80μmの範囲に分布し、また平均粒子径は、例えば5~40μmの範囲、好ましくは5~30μmの範囲にある。なお、本発明において粒径とは、他に断りのない限り、散乱式粒子径分布測定装置で測定した値を意味し、平均粒子径とは、得られた粒度分布より算出される算術平均径を意味する。
本発明の粒子の空隙率は、粒子の所望の用途に応じて適宜設定できるが、例えば0.1~60%の範囲、好ましくは1~55%の範囲、より好ましくは5~50%の範囲にある。なお、本発明において空隙率とは、走査型電子顕微鏡等を用いて得られる粒子断面像を用い、断面積(粒子断面像における断面全体の面積)を100としたときの空隙面積(粒子断面像における空隙部分の面積の総和)の割合を百分率で示した値を意味し、平均空隙率とは、得られた空隙率の算術平均値を意味する。本発明の粒子の空隙率がこのような範囲にあることで、粒子の柔らさが保たれると共に、ファンデーション処方中においても優れた光学特性を示すことができる。
(光散乱率)
本発明の粒子は、下記式(1)で表される光散乱率が、50~230%の範囲にあることを特徴とする。

{式(1)中、角度20°、70°及び5°での反射強度は、粒子に対して法線方向を0°として、粒子に-30°の角度から光を入射した時の受光器の感度を任意の値(感度調整値と呼ぶ)に設定した後、ある角度から光を入射した時の受光器の角度が20°、70°及び5°における反射光の強度を意味する。}
ここで、光散乱率は、国際公開第2010/092890号に記載された上記式(1)に従って算出する。例えば、光の入射角が-30°における光散乱率を算出する場合、初めに、試料を押し当てた面の法線方向を0°として、試料に-30°の角度から光を入射した時の受光器の感度を任意の値(感度調整値と呼ぶ)に設定した後、受光器の角度が20°、70°及び5°における反射光の強度を測定する。次いで、最初の感度調整値を維持したまま、同一試料に-45°の角度から光を入射したときの、受光器の角度が20°、70°及び5°における反射光の強度を測定する。入射角-60°の場合も同様にして相対強度を測定し、最終的に光散乱率を算出する。
上記式(1)で表わされる光散乱率が100%になれば、反射強度を示すグラフが円形になり、入射光が均一に拡散したことを意味する。この光散乱率が100%を超えることは、反射強度を示すグラフが横長の楕円形になることを意味し、100%を下回る場合には、縦長の楕円形になることを意味する。
本発明の粒子は、その表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有するにもかかわらず、より均一性の高い反射光強度を有する。本発明の粒子は、光散乱率が50~230%の範囲にあることを特徴とする。光の入射角が-30°、-45°及び-60°の各観測時において、好ましくは、いずれか1つの入射角において光散乱率が50~230%の範囲にあり、より好ましくは、任意の2つの入射角において光散乱率が50~230%の範囲にあり、さらに好ましくは、いずれの入射角においても光散乱率が50~230%の範囲にある。本発明の粒子の光散乱率は、より好ましくは70~230%の範囲であり、さらに好ましくは90~230%の範囲である。このことは、本発明の粒子が、より均一な全方向反射を可能にできることを意味し、例えば、本発明の粒子を化粧品用添加物として使用した場合、デフォーカス効果の発現が期待できる。
特に、反射光分布の測定において、入射光に対する正反射近傍(例えば、正反射の角度±10°以内、好ましくは正反射の角度±5°以内)の反射光の最大強度の、入射光近傍(例えば、入射光の角度±10°以内、好ましくは入射光の角度±5°以内)の反射光の最大強度に対する比が、0.5:1~2:1の範囲にあることが好ましく、0.5:1~1.8:1の範囲にあることが好ましい。正反射の強度がこのような範囲にあることで、優れた光学特性、特に、本発明の粒子を化粧品用添加物(特に、ファンデーションへの添加物)として使用した場合、デフォーカス効果の発現が期待できる。
本発明の組成物は、多孔性顔料粒子と光沢感を有する板状粉体の他に、任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の種類及びその割合は、本発明の目的を損なわないものである限り、特に限定はない。例えば、本発明の組成物を化粧品分野において利用する場合、多孔性顔料粒子や板状粉体の分散に悪影響を及ぼさない範囲で、任意の他の成分を配合できる。そのような他の成分の例として、アルコール類、多価アルコール類、糖類、エモリエント剤、ノニオン性界面活性剤、植物抽出液、水溶性高分子、香料、着色剤、紫外線防御剤、pH調整剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、金属封鎖剤及び生理活性成分が挙げられる。また他の成分の溶解又は分散のために、適宜分散剤、増粘剤又は界面活性剤を配合しても良い。
本発明の組成物は、多孔性顔料粒子と板状粉体を1:1の重量比で混合した際に、板状粉体単独に対する光沢度維持率が0~80%の範囲であることを特徴とする。すなわち本発明の光沢度維持率とは、例えば、評価例2に記載されているように、プロテインレザー上に均一に塗布した板状粉体の光沢度を光沢計により測定した値を100%としたときの、対応する本発明の組成物の光沢度の割合を示した値であり、本発明の組成物は、光沢度の損失を低減することができることから、0~80%の範囲であり、好ましくは10~80%の範囲であり、より好ましくは20~80%の範囲である。
本発明の組成物は、多孔性顔料粒子単独を基準とした色変化Δhの絶対値が2以上であることを特徴とする。すなわち本発明の色変化Δhとは、例えば、評価例1に記載されているように、分光測色計を用いて測定したLa*b*表色系のL値、a*値及びb*値から算出される、多孔性顔料粒子の色相hと、対応する組成物の色相hの差を意味し、本発明の組成物は、着色性能に優れており、色変化Δhが1以上であり、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上である。
また本発明の組成物において、板状粉体が真珠光沢顔料である場合、真珠光沢顔料単独を基準とした色差ΔEabが3~30の範囲であることを特徴とする。すなわち本発明の色差ΔEabとは、例えば、評価例3に記載されているように、分光測色計を用いて測定したLa*b*表色系のL値、a*値及びb*値から算出される。本発明の組成物は、着色性能に優れており、色差ΔEabが3~30の範囲であり、好ましくは5~25の範囲である。
<化粧品>
本発明の組成物に含まれる多孔性顔料粒子は、凝集が抑制され、基材への分散性に優れることから顔料のくすんだ色彩を改善することができるので、彩色性、被覆性、隠蔽性を要する化粧品への添加に適している。また粒子は、セルロースを含み、その表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有し、その内部に適度な細孔と空隙を有することから柔らかく、使用感に優れる点からも、肌に直接触れる化粧品への添加に適している。粒子はまた入射光が均一に光散乱するという優れた光学特性(光散乱性)を有することから、肌に直接触れ、かつデフォーカス効果等の光学特性が要求される化粧品への添加に特に適している。これに加えて本発明の組成物は、板状粉体が本来有する光沢やツヤのような光機能性を損なうことがない。そのため、多孔性顔料粒子の優れた光散乱性と、板状粉体による光の反射の相乗効果が期待できる。そのような化粧品の例としては、ローション、ジェル、エマルション等のスキンケア製品、洗顔フォーム、洗顔パウダー、ボディ洗浄料等のトイレタリー製品、シャンプー、コンディショナー等のヘアケア製品、歯磨剤等のオーラルケア製品、化粧下地、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、BBクリーム、コンシーラー、口紅、日焼け止め等のメーキャップ化粧品等が挙げられ、これらにおいて、無機顔料として、又はデフォーカス効果を発現させるための光散乱剤として使用できる。
さらに本発明の組成物は、化粧品のみならず、塗料などにも適用可能である。
[製造例1:8質量%結晶セルロース分散液]
結晶セルロース(コンプレッセルM101SD、(株)伏見製薬所製)40kgをイオン交換水460kgに分散させた後、湿式微粒化装置スターバースト((株)スギノマシン製)にて150MPaで5回粉砕処理を行い、表題の8質量%結晶セルロース分散液を得た。
[製造例2:セルロース:酸化チタン=1:4 w/wの多孔性顔料粒子]
製造例1と同様の方法で得られた結晶セルロース分散液4.50kg、酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)1.44kg、及びイオン交換水4.06kgを撹拌混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量11.6kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度93℃、サイクロン差圧1.8kPaで、7.7kg噴霧乾燥し、表題粒子として1.11kgの粉末を得た。
[製造例3:セルロース:黄酸化鉄=1:4 w/wの多孔性顔料粒子]
製造例1と同様の方法で得られた結晶セルロース分散液3.75kg、黄酸化鉄(LL-100HP、チタン工業(株)製)1.20kg、及びイオン交換水5.05kgを撹拌混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量11.0kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度93℃、サイクロン差圧1.8kPaで、6.96kg噴霧乾燥し、表題粒子として0.86kgの粉末を得た。
[製造例4:セルロース:赤酸化鉄=1:4 w/wの多孔性顔料粒子]
製造例1と同様の方法で得られた結晶セルロース分散液4.75kg、赤酸化鉄(R-516HP、チタン工業(株)製)1.52kg、及びイオン交換水3.73kgを撹拌混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量8.6kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度115℃、サイクロン差圧1.8kPaで、8.68kg噴霧乾燥し、表題粒子として1.31kgの粉末を得た。
[製造例5:セルロース:黒酸化鉄=1:4 w/wの多孔性顔料粒子]
製造例1と同様の方法で得られた結晶セルロース分散液4.75kg、黒酸化鉄(BL-100HP、チタン工業(株)製)1.52kg、及びイオン交換水3.73kgを撹拌混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量9.7kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度98℃、サイクロン差圧1.8kPaで、7.58kg噴霧乾燥し、表題粒子として1.28kgの粉末を得た。
[実施例1乃至4、比較例1乃至4:組成物の調製]
製造例3又は4と同様の方法で得られた多孔性顔料粒子1gと、板状粉体(体質顔料)として合成マイカPDM-20L(トピー工業(株)製)又は板状硫酸バリウム・H(堺化学工業(株)製)1gを、10mLねじ口瓶SV-10(日電理化硝子(株)製)へ秤量した。混合物をVORTEX3(IKA製)にて混合し組成物を作成し、評価サンプル(実施例1乃至4)とした。また顔料粒子として、製造例3又は4の多孔性顔料粒子に代えて、黄酸化鉄LL-100HP又は赤酸化鉄R-516HP(チタン工業(株))を使用し、同様の方法により組成物を作成し、比較評価サンプル(比較例1乃至4)とした。なお比較例は、混合物の分散性が悪いため、乳棒と乳鉢を使用して混合した。各実施例及び比較例の組成物の組成は表2に示す。
[評価例1:板状粉体(体質顔料)に対する着色性能の評価]
得られた評価サンプルが入ったねじ口瓶の底部を、分光測色計CM―700d(コニカミノルタ(株)製)にて、光源:D65、視野:10°、口径:Φ8mm、SCE方式の条件で測定することで、各サンプルの色味を評価した。合成マイカPDM-20L(トピー工業(株)製)又は板状硫酸バリウム・H(堺化学工業(株)製)単独の粉末を同様に測定した際の色味を基準(対照)とし、色味がサンプルの着色性によりどれだけ変化したかを、色相変化Δhで評価した。各サンプルの成分単独の測定値を表1に、そして結果を表2に示す。本発明の組成物(実施例1乃至4)は、比較例1乃至4の組成物と比較して、色相変化Δhが大きく、着色性能に優れていることがわかる。
Figure 2024008719000003
Figure 2024008719000004
[評価例2:板状粉体(体質顔料)に対する光沢維持性能の評価]
実施例1乃至4、比較例1乃至4と同様にして得られた各評価サンプルを、プロテインレザー(色:BK)(イデアテックスジャパン(株))に刷毛で均一に塗布し、余分な粉末を除いた。サンプルを塗布した表面を、光沢計IG-320にて測定した。合成マイカPDM-20L(トピー工業(株)製)又は板状硫酸バリウム・H(堺化学工業(株)製)単独で塗布した表面の光沢度を基準(対照:100%)として、各評価サンプルを塗布した表面で光沢度がどれだけ維持されているかを評価した。結果を表3に示す。本発明の組成物(実施例1乃至4)は、比較例1乃至4の組成物と比較して、光沢度維持率が高く、顔料成分との混合による光沢の損失が低減されていることがわかる。
Figure 2024008719000005
[実施例5乃至11、比較例5乃至14:組成物の調製]
製造例2乃至4と同様の方法で得られた多孔性顔料粒子1.5gと、白色パール顔料(FLAMENCO VELVET 120V)、黄色パール顔料(CLOISONNE GOLD 222C)、赤色パール顔料(CLOISONNE ROUGE FLAMBE 440X)又は青色パール顔料(FLAMENCO SUMMIT BLUE B30D)(いずれもBASF Color&Effects社)1.5gを、10mLねじ口瓶SV-10(日電理化硝子(株)製)へ秤量した。混合物をVORTEX3(IKA製)にて混合し組成物を作成し、評価サンプル(実施例5乃至11)とした。また顔料粒子として、製造例2乃至4の多孔性顔料粒子に代えて、酸化チタンCR-50(石原産業(株))、黄酸化鉄LL-100HP、赤酸化鉄R-516HP(チタン工業(株))又はセルロース粒子CELLULOBEADS D-10(大東化成工業(株))を使用し、同様の方法により組成物を作成し、比較評価サンプル(比較例5乃至14)とした。なお比較例は、混合物の分散性が悪いため、乳棒と乳鉢を使用して混合したが、セルロース粒子CELLULOBEADS D-10(大東化成工業(株))を使用した比較例7、10及び12では、混合物をVORTEX3(IKA製)にて混合し作成した。各実施例及び比較例の組成物の組成は表5に示す。
[評価例3:板状粉体(パール材)に対する着色性能の評価]
得られた評価サンプルが入ったねじ口瓶の底部を、分光測色計CM―700d(コニカミノルタ(株)製)にて、光源:D65、視野:10°、口径:Φ8mm、SCE方式の条件で測定することで、各サンプルの色味を評価した。FLAMENCO VELVET 120VもしくはCLOISONNE GOLD 222CもしくはCLOISONNE ROUGE FLAMBE 440XもしくはFLAMENCO SUMMIT BLUE B30D(BASF Color&Effects社)単独の粉末を同様に測定した際の色味を基準(対照)とし、色味がサンプルの着色性によりどれだけ変化したかを、色差ΔEabで評価した。各サンプルの成分単独の測定値を表4に、そして結果を表5に示す。
Figure 2024008719000006
Figure 2024008719000007
[評価例4:板状粉体(パール材)に対する光沢維持性能の評価]
実施例5乃至11、比較例5乃至14と同様にして得られた各評価サンプルを、プロテインレザー(色:BK)(イデアテックスジャパン(株))に刷毛で均一に塗布し、余分な粉末を除いた。サンプルを塗布した表面を、光沢計IG-320にて測定した。FLAMENCO VELVET 120V、CLOISONNE GOLD 222C、CLOISONNE ROUGE FLAMBE 440X又はFLAMENCO SUMMIT BLUE B30D(いずれもBASF Color&Effects社)単独で塗布した表面の光沢度を基準(対照:100%)として、各評価サンプルを塗布した表面で光沢度がどれだけ維持されているかを評価した。結果を表6に示す。本発明の組成物(実施例4乃至11)は、比較例4乃至14の組成物と比較して、光沢度維持率が高く、顔料成分との混合による光沢の損失が低減されていることがわかる。
Figure 2024008719000008
[評価例5:板状粉体(マイカ、硫酸バリウム)のツヤ感維持]
下記表7の配合比にて、製造例2乃至5と同様の方法で得られた粒子、又は比較として各色顔料を混合した。比較としての顔料には、酸化チタンCR-50(石原産業(株))、黄酸化鉄LL-100HP、赤酸化鉄R-516HP、黒酸化鉄BL-100HP(チタン工業(株))を使用した。粒子の混合物はVORTEX3(IKA製)にて混合し、顔料の混合物は乳棒と乳鉢を使用して均一に混合した。
Figure 2024008719000009
上記粒子又は顔料の混合物0.2gを、マイカY-2300X(ヤマグチマイカ(株))又は硫酸バリウムH(堺化学工業(株))1.8gと混合し、評価サンプル(実施例12~13、比較例15~16)とした。評価サンプルの組成を表8及び9に示す。
マイクロスライドガラスS1111(松浪硝子工業(株)製)上にナイスタック(登録商標)NW-10S(ニチバン(株)製)を用いて、隠蔽率試験紙タテ白黒Aタイプ(TP技研(株)製)の黒地((株)マルアイ製)を貼り付けた。次いで、ナイスタック(登録商標)NW-10Sを貼付し、その上にサンプル粉末を刷毛で均一に塗布し、余分な粉末を除いた。反射光分布の測定は、変角光度計GP-5((株)村上色彩技術研究所製)にて実施した。測定入射光は-45度、受光角-90度から+90度で実施した。入射光-45度における各評価サンプルの変角光度測定結果を、それぞれ図1及び2に示す。
Figure 2024008719000010
Figure 2024008719000011
[評価例6:板状粉体(パール材)のツヤ感維持]
下記表10の配合比にて、製造例2乃至5と同様の方法で得られた粒子、又は比較として各色顔料を混合した。比較としての顔料には、酸化チタンCR-50(石原産業(株))、黄酸化鉄LL-100HP、赤酸化鉄R-516HP、黒酸化鉄BL-100HP(チタン工業(株))を使用した。粒子の混合物はVORTEX3(IKA製)にて混合し、顔料の混合物は分散性が悪いため、乳棒と乳鉢を使用して混合した。
Figure 2024008719000012
上記粒子又は顔料の混合物1.07gを、パール材FLAMENCO VELVET 120V(BASF Color&Effects社)0.5gと混合し、評価サンプル(実施例14、比較例17)とした。評価サンプルの組成を表11に示す。
プロテインレザー(色:BE)(イデアテックスジャパン(株))に、評価サンプルを刷毛で均一に塗布し、余分な粉末を除いた。マイクロスライドガラスS1111(松浪硝子工業(株)製)上にナイスタック(登録商標)NW-10S(ニチバン(株)製)を用いて、サンプルを塗布したプロテインレザー(色:BE)(イデアテックスジャパン(株))を切り取って貼り付けた。反射光分布の測定は、変角光度計GP-5((株)村上色彩技術研究所製)にて実施した。測定入射光は-45度、受光角-90度から+90度で実施した。入射光-45度における各評価サンプルの変角光度測定結果を、図3に示す。
Figure 2024008719000013
[評価例7:混合系でのパール材のツヤ感維持]
下記表12の配合比にて、製造例2乃至5と同様の方法で得られた粒子の混合物、又は比較として各色顔料の混合物と、パール材FLAMENCO VELVET 120V(BASF Color&Effects社)及び/又はSP-500(東レ(株))とを混合した。比較例には、酸化チタンCR-50(石原産業(株))、黄酸化鉄LL-100HP、赤酸化鉄R-516HP、黒酸化鉄BL-100HP(チタン工業(株))を使用した。粒子の混合物はVORTEX3(IKA製)にて混合し、顔料の混合物は分散性が悪いため、乳棒と乳鉢を使用して混合した。
Figure 2024008719000014
プロテインレザー(色:BE)(イデアテックスジャパン(株))に、上記評価サンプルを刷毛で均一に塗布し、余分な粉末を除いた。マイクロスライドガラスS1111(松浪硝子工業(株)製)上にナイスタック(登録商標)NW-10S(ニチバン(株)製)を用いて、サンプルを塗布したプロテインレザー(色:BE)(イデアテックスジャパン(株))を切り取って貼り付けた。反射光分布の測定は、変角光度計GP-5((株)村上色彩技術研究所製)にて実施した。測定入射光は-45度、受光角-90度から+90度で実施した。入射光-45度における各評価サンプルの変角光度測定結果を図4に示す。
[評価例8:処方の形態観察]
上記評価例7で得られた評価サンプル(比較例18、実施例15)をそれぞれカーボンテープに貼付し、走査型電子顕微鏡Miniscope(登録商標)TM3000((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて形態観察を実施した。形態観察結果を、それぞれ図5(A)及び(B)に示した。
比較例18と実施例15を比較すると、比較例18においては板状のパール材表面に顔料微粒子が付着している一方、実施例15においては板状のパール材と球状の顔料粒子が独立して存在している。このことから、着色材料として比較例のような数百nm程度の微粒子の無機顔料を使用する際には、パール材等の他の成分表面への微粒子付着が生じ、その光機能性が損なわれるが、実施例のように本発明に係る多孔性顔料粒子を使用することで、他成分への悪影響なく、処方の着色及び光機能性の発現の両立が可能となる。

Claims (12)

  1. ミー散乱領域の粒子径を有する顔料粒子と、光沢感を有する板状粉体を含む組成物であり、該顔料粒子と板状粉体を1:1の重量比で混合した際に、板状粉体単独に対する光沢度維持率が0~80%の範囲である組成物。
  2. 前記顔料粒子が、セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料を主成分として含む、多孔性顔料粒子である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記多孔性顔料粒子に含まれる無機顔料が、白色顔料、着色顔料、真珠光沢顔料及び機能性顔料からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記無機顔料が、べんがら、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、マンガン紫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素及び硫酸バリウムからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
  5. 多孔性顔料粒子単独を基準とした色変化Δhの絶対値が2以上である、請求項2~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記多孔性顔料粒子に含まれるセルロースが、結晶セルロース又はセルロースナノファイバーを含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記多孔性顔料粒子のセルロース又はセルロース誘導体の無機顔料に対する比(重量)が1:1~1:20の範囲である、請求項2~4のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記光沢感を有する板状粉体が、真珠光沢顔料である、請求項2~4のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 真珠光沢顔料単独を基準とした色差ΔEabが3~30の範囲である、請求項8に記載の組成物。
  10. セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料を含む分散液を得る工程、得られた分散液を噴霧乾燥してセルロース又はセルロース誘導体と無機顔料とを主成分とする多孔性顔料粒子を得る工程、得られた多孔性顔料粒子と光沢感を有する板状粉体を混合する工程を含む、セルロース又はセルロース誘導体と無機顔料を主成分として含む多孔性顔料粒子と、光沢感を有する板状粉体を含む組成物の製造方法。
  11. 請求項1~4のいずれかに記載の組成物、あるいは請求項10に記載の製造方法により得られる組成物を含む、化粧品。
  12. 請求項1~4のいずれかに記載の組成物、あるいは請求項10に記載の製造方法により得られる組成物を用いて、光沢を失わずに着色させる方法。
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