JP2022176884A - 素肌を美しく見せる方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、肌の質感を生かし、自然な仕上がりを得るための方法を提供することを目的とする。【解決手段】ミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することを特徴とする方法を提供する。この方法により、透過性と散乱性に優れ、肌からの光の取り出し効率を向上できる。【選択図】なし
Description
本発明は、肌からの光を有効に活用できる方法に関する。
着色顔料を配合した化粧品は、シミ、そばかすなどの肌の色むらを抑制することができるが、隠ぺい力が高いため、不透明な仕上がりとなり、自然な質感を得ることができない。通常、皮膚に入射した光は約5%が表面で反射され、皮膚内に入った光のうち、約40%が吸収され、約55%が表皮や真皮で散乱されて戻ってくるとされ、このモデルに基づき、肌の透明感は、光が皮膚の内部へ透過して、皮膚内部から反射されて戻ってくる内部反射光に起因すると考えられている(例えば、非特許文献1参照)。したがって、より自然な肌を提供する方法として、肌内部からの光(内部反射光)を活用することで、自然な質感が得られることが知られている。
そのような観点から、化粧品に配合する材料の光学特性を制御する各種技術が報告されている。例えば、肌化粧料として用いられる色材として、波長630~700nmにおける光の吸収率が小さいものを配合することで、内部反射光の射出部位の分布が素肌のものと近くなり、自然な質感が得られることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。また、干渉色と光沢の度合いを複合粒子の表面状態で適切にコントロールすることにより、各個体に応じた肌色とはりを皮膚に付与することができる複合粉体が報告されている(例えば、特許文献2参照)。さらには、油性基剤と粉体を混合し、吸光度が0.5~1.5である化粧料を用いることにより、塗布した際に角質層と粉体が類似した透明感になり、肌に存在する毛穴、しわ等の形態に関するトラブルを隠す効果に優れること(例えば、特許文献3参照)や、球晶構造を有し、結晶子サイズ及び結晶化度を調整した多孔質ポリアミド微粒子を用いることで、光透過性と光散乱性に優れた化粧品組成物が製造できること(例えば、特許文献4参照)が報告されている。
光学39巻11号524-528頁(2010年)
本発明は、肌内部からの光を透過させ、均等に散乱させることで、自然な仕上がりを得るための方法を提供することを目的とする。
本発明者らはこれまで、これまでセルロース又はセルロース誘導体を含む粒子をはじめとする多孔質粒子の光学特性について種々の検討を行ってきた。その中、ミー散乱と称される粒子による光の散乱現象に着目し鋭意検討した結果、ミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することにより、透過性と散乱性に優れ、肌からの光(内部反射光)の取り出し効率を向上できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下のとおりである。
[1] ミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することを特徴とする、肌内部からの光の取り出し効率を向上させる方法。
[2] 粒子が多孔質粒子である、[1]に記載の方法。
[3] 粒子の空隙率が5~70%である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 粒子の表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有する、[1]至乃[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 粒子が、セルロース又はセルロース誘導体を主成分として含む、[1]至乃[4]のいずれかに記載の方法。
[6] セルロースが、結晶セルロースである、[5]に記載の方法。
[7] 粒子が、セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体とを主成分として含む、[1]至乃[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 無機粉体が、無機顔料又は粘土鉱物である、[7]に記載の方法。
[9] 無機顔料が、白色顔料、着色顔料、真珠光沢顔料及び機能性顔料からなる群より選択される少なくとも1種である、[8]に記載の方法。
[10] 無機顔料が、べんがら、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、マンガン紫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素及び硫酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種である、[8]に記載の方法。
[11] 粘土鉱物が、タルク、カオリン及びマイカからなる群より選択される少なくとも1種である、[8]に記載の方法。
[2] 粒子が多孔質粒子である、[1]に記載の方法。
[3] 粒子の空隙率が5~70%である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 粒子の表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有する、[1]至乃[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 粒子が、セルロース又はセルロース誘導体を主成分として含む、[1]至乃[4]のいずれかに記載の方法。
[6] セルロースが、結晶セルロースである、[5]に記載の方法。
[7] 粒子が、セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体とを主成分として含む、[1]至乃[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 無機粉体が、無機顔料又は粘土鉱物である、[7]に記載の方法。
[9] 無機顔料が、白色顔料、着色顔料、真珠光沢顔料及び機能性顔料からなる群より選択される少なくとも1種である、[8]に記載の方法。
[10] 無機顔料が、べんがら、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、マンガン紫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素及び硫酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種である、[8]に記載の方法。
[11] 粘土鉱物が、タルク、カオリン及びマイカからなる群より選択される少なくとも1種である、[8]に記載の方法。
本発明のミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することを特徴とする方法により、隠ぺい力を損なわずに、肌の質感を生かし、肌からの光(内部反射光)の取り出し効率を向上させ、透明感があり、より自然な質感の肌を提供できる。
本発明は、ミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することを特徴とする、肌からの光の取り出し効率を向上させる方法に関する。
<粒子>
本発明は、ミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することを特徴とする。
ミー散乱は、光の波長程度以上の大きさの球形の粒子による光の散乱現象として知られ、本発明におけるミー散乱領域の粒子径とは、可視光線の波長域に対してミー散乱が観測されうる粒子径を意味する。入射波長と粒子半径と光の散乱現象との相関関係は公知であり、当業者は入射波長からミー散乱領域の粒子径を適宜選択することができるが、典型的には、0.5μm~1mmであり、例えば0.5~500μmの範囲、好ましくは1~200μmの範囲、より好ましくは2~100μm、特に好ましくは5~80μmの範囲に分布し、また平均粒子径は、例えば5~40μmの範囲、好ましくは5~30μmの範囲にある。なお、本発明において粒径とは、散乱式粒子径分布測定装置で測定した値を意味し、平均粒子径とは、得られた粒度分布より算出される算術平均径を意味する。
本発明は、ミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することを特徴とする。
ミー散乱は、光の波長程度以上の大きさの球形の粒子による光の散乱現象として知られ、本発明におけるミー散乱領域の粒子径とは、可視光線の波長域に対してミー散乱が観測されうる粒子径を意味する。入射波長と粒子半径と光の散乱現象との相関関係は公知であり、当業者は入射波長からミー散乱領域の粒子径を適宜選択することができるが、典型的には、0.5μm~1mmであり、例えば0.5~500μmの範囲、好ましくは1~200μmの範囲、より好ましくは2~100μm、特に好ましくは5~80μmの範囲に分布し、また平均粒子径は、例えば5~40μmの範囲、好ましくは5~30μmの範囲にある。なお、本発明において粒径とは、散乱式粒子径分布測定装置で測定した値を意味し、平均粒子径とは、得られた粒度分布より算出される算術平均径を意味する。
本発明に係る粒子は、好ましくは、ミー散乱領域の粒子径を有する多孔質粒子である。本発明において「多孔質」とは、粒子の表面に凹凸があり、複数の細孔を有することを意味する。具体的に、本発明の多孔質粒子は、粒子の拡大像を観察した際に、皺状又は襞状の外観を有する溝状の筋目(凹凸構造)を有する。
本発明の好ましい態様では、粒子は、セルロース又はセルロース誘導体を主成分として含む。本発明で使用されるセルロース又はセルロース誘導体は、羊毛、綿、絹、麻、パルプ等の天然繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ(ベンベルグ(登録商標))、リヨセル(テンセル(登録商標))等の再生繊維に由来するもの、あるいはバクテリアが生産するセルロースが挙げられる。またセルロース繊維と合成繊維(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維)のセルロース複合繊維に由来するものであってもよい。
本発明で使用するセルロース又はセルロース誘導体としては、天然繊維に由来するもの、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート、農産物残廃物等の植物に由来するものが挙げられ、特に、広葉樹、針葉樹又は竹に由来するものが挙げられる。また、このような繊維性植物から得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合して精製したもの、例えば、結晶セルロースを用いることが好ましく、微結晶セルロースを用いることがより好ましい。このようなセルロースナノファイバーは、例えば、(株)伏見製薬所等の供給業者より市販品として入手できる。
また本発明では、セルロース又はセルロース誘導体として、セルロースナノファイバーを用いてもよい。「セルロースナノファイバー(CNF)」とは、セルロース繊維をナノサイズレベルまで解繊処理することにより得られる繊維であり、一般に、繊維幅約4~200nm、繊維長約5μm以上の繊維である。このようなセルロースナノファイバーは、公知の方法により調製でき、また市販品として入手できる。例えば、大王製紙(株)や中越パルプ工業(株)等の供給業者より入手できる。
本発明に係る粒子が「セルロース又はセルロース誘導体を主成分として含む」とは、粒子に占めるセルロース又はセルロース誘導体の割合(質量基準)が50質量%超であることを意味する。セルロース又はセルロース誘導体の割合(質量基準)は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。最も好適な態様では、本発明の粒子はセルロース又はセルロース誘導体のみからなる。
本発明の別の好ましい態様では、粒子は、セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体とを主成分として含む。本発明で使用する無機粉体とは、典型的には、化粧品組成物に添加可能な無機顔料又は粘土鉱物である。
本発明で使用する無機顔料とは、組成物(例えば、化粧品組成物)に彩色性、被覆性、隠蔽性、滑り性等をもたらすことができる無機系の顔料を意味する。典型的には、製品の色調を調整するための着色顔料、被覆性、隠蔽性を制御するための白色顔料、いわゆるパール感を付与する真珠光沢顔料、又は隠蔽性、滑り性等の複合的機能をもたせた機能性顔料である。例としては、べんがら(赤酸化鉄)、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、マンガン紫、カーボンブラック等の着色顔料;酸化チタン(二酸化チタン)、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム等の白色顔料;オキシ塩化ビスマス、アルミニウム粉末、べんがら被覆雲母、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)等の真珠光沢顔料、窒化ホウ素、合成フッ素金雲母(合成マイカ)、フォトクロミック顔料、紫外線吸収マイカ等の機能性顔料が挙げられる。中でもセルロース又はセルロース誘導体との組合せや粒子の化粧品への適用の観点から、着色顔料及び白色顔料、具体的には、べんがら、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、マンガン紫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及び硫酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。あるいは、機能性顔料、具体的には、窒化ホウ素が好ましい。これらの無機顔料は、医薬品用又は化粧品用添加剤として、供給業者より入手できる。
本発明で使用する粘土鉱物とは、天然又は合成の層状ケイ酸塩鉱物を意味し、水に膨潤し、かつイオン交換可能なものであれば特に限定されるものではない。例としては、タルク、カオリン、セリサイト、モンモリロナイト、カオリナイト、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母および黒雲母等の雲母(マイカ)、バーミキュライト、ゼオライト、ベントナイト、スメクタイト、クロライト、イライト、グローコナイト、等が挙げられる。中でもセルロース又はセルロース誘導体との組合せや粒子状組成物の化粧品への適用の観点から、タルク、カオリン及びマイカからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらの粘土鉱物は、医薬品用又は化粧品用添加剤として、供給業者より入手できる。
上記層状ケイ酸塩鉱物は、粘土鉱物の主成分として含まれ、通常その含有量は60%以上、好ましくは75%以上、最も好ましくは80%以上である。
本発明に係る粒子が「セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体とを主成分とする」とは、粒子に占めるセルロース又はセルロース誘導体と無機粉体の割合(質量基準)が50質量%超であることを意味する。セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体の割合(質量基準)は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。最も好適な態様では、本発明の粒子はセルロース又はセルロース誘導体と無機粉体のみからなる。
本発明において、セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体との配合比(質量基準)は、本発明の効果を奏する限り特に限定はないが、例えば、無機粉体が無機顔料である場合、セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、1~20質量部、好ましくは2~10質量部、より好ましくは2.5~5質量部の無機顔料を含み、無機粉体が粘土鉱物である場合、典型的には、セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、0.1~20質量部、好ましくは0.2~20質量部、より好ましくは0.5~15質量部、特に好ましくは1~10質量部の粘土鉱物を含む。
粒子に含まれるセルロース又はセルロース誘導体及び無機顔料又は粘土鉱物以外の無機粉体としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、焼成硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、シリカ、含水シリカ、煙霧状シリカ(超微粒子無水ケイ酸)等の各種の大きさ・形状の無機粉体、及び、これらをハイドロジェンシリコーン、環状ハイドロジェンシリコーン等のシリコーン若しくはその他のシラン若しくはチタンカップリング剤等の各種表面処理剤で処理を行って疎水化若しくは親水化した粉体等が挙げられる。
(空隙率)
本発明に係る粒子の空隙率は、粒子の所望の用途に応じて適宜設定できるが、例えば1~80%の範囲、好ましくは5~70%の範囲、より好ましくは5~50%の範囲にある。なお、本発明において空隙率とは、走査型電子顕微鏡等を用いて得られる粒子断面像を用い、断面積(粒子断面像における断面全体の面積)を100としたときの空隙面積(粒子断面像における空隙部分の面積の総和)の割合を百分率で示した値を意味し、平均空隙率とは、得られた空隙率の算術平均値を意味する。具体的に、本発明の粒子の空隙率は、後述の評価例5に従って算出することができる。本発明の粒子の空隙率がこのような範囲にあることで、粒子の柔らさが保たれると共に、ファンデーション処方中においても優れた光学特性を示すことができる。
本発明に係る粒子の空隙率は、粒子の所望の用途に応じて適宜設定できるが、例えば1~80%の範囲、好ましくは5~70%の範囲、より好ましくは5~50%の範囲にある。なお、本発明において空隙率とは、走査型電子顕微鏡等を用いて得られる粒子断面像を用い、断面積(粒子断面像における断面全体の面積)を100としたときの空隙面積(粒子断面像における空隙部分の面積の総和)の割合を百分率で示した値を意味し、平均空隙率とは、得られた空隙率の算術平均値を意味する。具体的に、本発明の粒子の空隙率は、後述の評価例5に従って算出することができる。本発明の粒子の空隙率がこのような範囲にあることで、粒子の柔らさが保たれると共に、ファンデーション処方中においても優れた光学特性を示すことができる。
(光散乱率)
本発明に係る粒子は、典型的には、下記式(1)で表される光散乱率が、50~230%の範囲にある。
本発明に係る粒子は、典型的には、下記式(1)で表される光散乱率が、50~230%の範囲にある。
{式(1)中、角度20°、70°及び5°での反射強度は、粒子に対して法線方向を0°として、粒子に-30°の角度から光を入射した時の受光器の感度を任意の値(感度調整値と呼ぶ)に設定した後、ある角度から光を入射した時の受光器の角度が20°、70°及び5°における反射光の強度を意味する。}
ここで、光散乱率は、国際公開第2010/092890号に記載された上記式(1)に従って算出する。例えば、光の入射角が-30°における光散乱率を算出する場合、初めに、試料を押し当てた面の法線方向を0°として、試料に-30°の角度から光を入射した時の受光器の感度を任意の値(感度調整値と呼ぶ)に設定した後、受光器の角度が20°、70°及び5°における反射光の強度を測定する。次いで、最初の感度調整値を維持したまま、同一試料に-45°の角度から光を入射したときの、受光器の角度が20°、70°及び5°における反射光の強度を測定する。入射角-60°の場合も同様にして相対強度を測定し、最終的に光散乱率を算出する。
上記式(1)で表わされる光散乱率が100%になれば、反射強度を示すグラフが円形になり、入射光が均一に拡散したことを意味する。この光散乱率が100%を超えることは、反射強度を示すグラフが横長の楕円形になることを意味し、100%を下回る場合には、縦長の楕円形になることを意味する。
本発明に係る粒子は、その表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有する場合であっても、均一性の高い反射光強度を有する。本発明に係る粒子は、典型的には、光散乱率が50~230%の範囲にある。光の入射角が-30°、-45°及び-60°の各観測時において、好ましくは、いずれか1つの入射角において光散乱率が50~230%の範囲にあり、より好ましくは、任意の2つの入射角において光散乱率が50~230%の範囲にあり、さらに好ましくは、いずれの入射角においても光散乱率が50~230%の範囲にある。本発明の粒子の光散乱率は、より好ましくは70~230%の範囲であり、さらに好ましくは90~230%の範囲である。このことは、本発明に係る粒子が、より均一な全方向反射を可能にできることを意味し、例えば、本発明に係る粒子を含む化粧品組成物を使用した場合、デフォーカス効果の発現が期待できる。
特に、反射光分布の測定において、入射光に対する正反射近傍(例えば、正反射の角度±10°以内、好ましくは正反射の角度±5°以内)の反射光の最大強度の、入射光近傍(例えば、入射光の角度±10°以内、好ましくは入射光の角度±5°以内)の反射光の最大強度に対する比が、0.5:1~2:1の範囲にあることが好ましく、0.5:1~1.8:1の範囲にあることが好ましい。正反射の強度がこのような範囲にあることで、本発明に係る粒子を含む化粧品組成物(例えば、ファンデーション)を使用した場合、優れた光学特性、特に、デフォーカス効果の発現が期待できる。
(粒子の製造方法)
本発明に係る粒子は、公知の方法により製造することができる。例えば、本発明に係る粒子の好ましい態様である、セルロース又はセルロース誘導体を主成分として含む粒子は、セルロース又はセルロース誘導体の分散液を得る工程と、得られた分散液を噴霧乾燥する工程を含む方法により製造できる。また、本発明に係る粒子の別の好ましい態様である、セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体とを主成分として含む粒子は、セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体との分散液を得る工程と、得られた分散液を噴霧乾燥する工程を含む方法により製造できる。
本発明に係る粒子は、公知の方法により製造することができる。例えば、本発明に係る粒子の好ましい態様である、セルロース又はセルロース誘導体を主成分として含む粒子は、セルロース又はセルロース誘導体の分散液を得る工程と、得られた分散液を噴霧乾燥する工程を含む方法により製造できる。また、本発明に係る粒子の別の好ましい態様である、セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体とを主成分として含む粒子は、セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体との分散液を得る工程と、得られた分散液を噴霧乾燥する工程を含む方法により製造できる。
上記分散液において、セルロース又はセルロース誘導体の例と好ましい態様、及び無機粉体の例と好ましい態様は上述のとおりである。分散液は、任意の方法で調製することができ、例えば、セルロース又はセルロース誘導体、好ましくは無機粉体、及び分散媒を混合し、これを粉砕処理することにより得られる。分散媒は、好ましくは水性媒体であり、より好ましくは水、水混和性有機溶媒又はその混合物である。水混和性有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1~4のアルコール類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、N-メチルピロリドン、N-シクロヘキシルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類、γ-ブチロラクトン等のラクトン、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。最も好適な態様では、分散媒は水であるか、又は水と炭素数1~4のアルコール類の混合物である。
分散液における固形分の濃度は、続く噴霧乾燥工程に使用できる範囲であれば特に限定されないが、例えば0.5~50質量%であり、好ましくは5~50質量%であり、より好ましくは10~40質量%である。
分散液を得る操作に、特に限定はなく、当業者に公知の分散液を得る操作を用いて実施できる。典型的には、分散液は、固形分(セルロース又はセルロース誘導体、及び/又は無機顔料)の粉砕処理により得られ、好ましくは物理的な粉砕により得られる。物理的な粉砕とは、固形分と分散媒の混合物に、マグネチックスターラー、撹拌翼等の攪拌装置、ポリトロン等のホモジナイザー、超音波破砕機等の超音波発生機器、湿式微粒化装置(例えば、スターバースト;(株)スギノマシン)等の粉砕機を用いて物理的な外力を与えることにより実施される。ただし、固形分が十分に粉砕されているものであれば、粉砕処理を行わずに分散液を得てもよい。したがって本発明の製造方法では、セルロース若しくはセルロース誘導体(又は無機粉体)分散液を得る工程に代えて、市販のセルロース分散液(又は市販の無機粉体分散液)、例えば市販のセルロースナノファイバーの分散液を用いてもよい。
本発明の粒子は、得られた分散液を噴霧乾燥することにより得られる。噴霧乾燥は、アトマイザー、スプレードライヤー、マイクロミストスプレードライヤー等、公知の噴霧乾燥装置を用いて実施される。噴霧乾燥条件は、分散液における分散媒の種類、固形分の種類又は濃度等に応じて適宜設定されるが、例えば、入口温度150~300℃、出口温度0~150℃で実施される。
(表面処理)
本発明に係る粒子は、該粒子表面が疎水性及び/又は親水性を有するよう、表面処理が施されたものであってもよい。該粒子表面への疎水性及び/又は親水性の付与は、化学的又は物理的な表面処理により行うことができ、適切な処理剤を用いる化学的な表面処理により行うことが好ましい。本発明に係る粒子は、好ましくは、一般的な他の真球状粒子等とは異なり、表面に凹凸構造を、内部に空隙構造を有する特殊構造を有するため、その表面処理においては粒子の表面だけでなく、内部の空隙表面まで表面処理を施す、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐことが望ましい。特に疎水化処理の場合は、粒子内部の空隙への基材(水)の浸入による表面処理剤の欠落等が防がれるため、油性基材中での分散安定性が向上し、長期間分散状態を維持することが出来る。したがって、粒子内部の空隙まで表面処理剤で処理できる、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐよう、適切な処理剤、処理濃度、処理方法(温度や攪拌方法等)を選択する必要がある。
本発明に係る粒子は、該粒子表面が疎水性及び/又は親水性を有するよう、表面処理が施されたものであってもよい。該粒子表面への疎水性及び/又は親水性の付与は、化学的又は物理的な表面処理により行うことができ、適切な処理剤を用いる化学的な表面処理により行うことが好ましい。本発明に係る粒子は、好ましくは、一般的な他の真球状粒子等とは異なり、表面に凹凸構造を、内部に空隙構造を有する特殊構造を有するため、その表面処理においては粒子の表面だけでなく、内部の空隙表面まで表面処理を施す、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐことが望ましい。特に疎水化処理の場合は、粒子内部の空隙への基材(水)の浸入による表面処理剤の欠落等が防がれるため、油性基材中での分散安定性が向上し、長期間分散状態を維持することが出来る。したがって、粒子内部の空隙まで表面処理剤で処理できる、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐよう、適切な処理剤、処理濃度、処理方法(温度や攪拌方法等)を選択する必要がある。
また、本発明に係る粒子は、表面処理工程における攪拌操作や粉砕操作の機械的強度が高すぎると、粒子表面から無機粉体成分が脱離する、粒子が変形する等の問題が生じ、その効果が失われることが懸念されるため、できるだけ機械的強度が粒子に強くかからない処理装置(攪拌翼形状等)、プロセス(攪拌速度、攪拌時間等)による処理が望ましい。さらに、本発明に係る粒子は、粒子内部の空隙、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐまで処理できるように処理剤、処理濃度、処理方法(温度等)を選択することで、高い疎水性を有する組成物を形成でき、疎水性の経時安定性が高まると考えられる。
本発明に係る粒子に対し処理される表面処理剤の処理濃度(質量基準)は、特に限定されないが、粒子の効果を損なわないという観点から、好ましくは0.01~60質量%、より好ましくは0.05~50質量%、特に好ましくは0.1~50質量%である。
本発明に係る粒子については、化粧品組成物への添加の際、処方中での分散安定化、撥水・耐水性の付与、親水性の付与、皮脂や汗に対する耐性の付与、保湿性の付与、肌なじみの向上、感触制御、粒子の表面凹凸・内部空隙の制御等を目的とし、その効果を損なわない範囲で、通常化粧品料に用いられる表面処理剤を用いて表面処理を施すことができる。具体的には、以下に挙げるよう処理剤を一種又は二種以上を用いて表面処理を施すことができる。
1)シリコーン処理;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、パーフルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン油剤を用いることができるが、反応基を持つメチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーン分子の片末端又は側鎖に官能基を持つアルキルポリシロキサン(例えばジメチルポリシロキシシラザン、α-モノヒドロキシシロキサン、α,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α-モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α-ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α-トリアルコキシポリジメチルシロキサン(例えば、α-トリエトキシポリジメチルシロキサン等)、α,ω-ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α,ω-ヘキサアルコキシポリジメチルシロキサン、ジメチルポリシロキシクロリド、ジメチルポリシロキシブロミド及びジメチルポリシロキシイオジン等)等を使用することが好ましい。
2)アクリルシリコーン処理;アクリルポリマーとジメチルポリシロキサンからなるグラフト共重合体((アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー等)を用いることができる。
3)フッ素処理;その分子中にパーフロオロアルキル基やパーフルオロポリポリエーテル基を有し、かつ、カルボキシル基やリン酸基、スルホン基、アルコキシ基いずれかの極性基を有する化粧料用処理剤として使用可能なフッ素処理剤であればよく、公知の技術によるフッ素処理粉体が使用できる。例えば、パーフルオロポリエーテルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテルアルキルシラン、パーフルオロアルキルアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、パーフルオロカルボン酸、炭素数6のフルオロアルコールリン酸等が挙げられる。
4)金属石ケン処理;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸及びそれら飽和脂肪酸の亜鉛塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等が好ましい。
5)擬似セラミド処理;特に限定されないが、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、ヒドロキシプロピルビスラウラミドMEA、ヒドロキシプロピルビスイソステアラミドMEAであるのが好ましい。また、セラミド様のジアシルグルタミン酸リシン塩等も挙げられる。
6)高級アルコール処理;ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどが好ましい。
7)高級脂肪酸処理;例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
8)エステル処理;ショ糖脂肪酸エステル、酸性エステル油がヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオクチルドデカノールから選択される1種以上のアルコールと、アジピン酸、グルタル酸、ジエチルグルタル酸、セバシン酸、エイコサン二酸及び水添ダイマー酸から選択される1種以上の2塩基酸との部分エステル等が挙げられる。植物油脂由来のエステル油剤には、ヒドロキシステアリン酸水添ひまし油、イソステアリン酸水添ひまし油、ラウリン酸水添ひまし油、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイビス(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル及びセバシン酸ジエチル等が挙げられる。
9)ワックスロウ処理;例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加コメヌカ油、シアバター、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、オゾケライト、ヌカロウ、ライスワックス、パラフィン、ラノリン、サンフラワーワックス、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セバシン酸、セラックロウ、マイクロクリスタリンワックス、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、シリコーンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
10)植物油処理;カメリア極度硬化油脂、ハイオレイックヒマワリ極度硬化油、グレープシード極度硬化油、菜種極度硬化油、ハイエルシン菜種極度硬化油、マカダミアナッツ極度硬化油、パーム極度硬化油及び大豆極度硬化油からなる群から選択される植物性極度硬化油脂が挙げられる。
11)アミノ酸処理;下記のアミノ酸やそのN-アシル体(Na、K、Ba、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al等の金属塩やアンモニウム塩、有機アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール及びトリイソプロパノールアミン)等の塩の形態も含まれる。):バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン(リシン)、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン(トレオニン)、ヒスチジン、アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸。上記アミノ酸のN-アシル体を構成する長鎖脂肪酸としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、樹脂酸(アビエチン酸)等を挙げることができる。
12)界面活性剤処理;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の非イオン性界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、N-アシルタウリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ジアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物、カルボキシビニルポリマー、スチレンオキシアルキレン酸無水物共重合体等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、トリポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、モノアルキルアミドアミン塩、カチオン化セルロース等のカチオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の両イオン性界面活性剤が挙げられる。好ましい界面活性剤としては、肌への刺激性が低くPRTR法(化学物質排出把握管理促進法:Pollutant Release and Transfer Register)等の規制物質でないものが好ましい。
13)生分解性樹脂処理;ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシアルカノエート、(ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート)ブロックコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(エチレンンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸等の脂肪族ポリエステル;変性でんぷん;カゼインプラスチック;セルロースなどが挙げられる。
上記の他、ペンダント処理(気相法シリコーン処理後にアルキル鎖などを付加する方法)、チタンカップリング剤処理、アルミニウムカップリング剤処理、ポリアクリル酸処理、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理、有機顔料による処理、ケイヒ酸、フェルラ酸等の不溶性のカルボン酸による処理、非水溶性の微細結晶セルロースによる処理、マンノースと糖アルコールと脂肪酸で構成される糖脂質であるマンノシルエリスリトールリピッドによる処理、多糖(寒天、澱粉、セルロース、キチン、キサンタンガム、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、アルギン酸Na等)による処理、コラーゲン処理、ヒアルロン酸、エラスチン処理、レシチン処理、水添レシチン処理、糖脂質処理、パルミトイルサルコシンNaによる処理、シリカ処理、特開2001-72527号公報及び特開2002-80748号公報等に開示されている処理方法(二つの層を構成するよう表面処理剤で処理する方法(マイブリッド処理))を選択することができる。
本発明に係る粒子を表面処理する方法は、特に限定されず表面処理剤を粒子表面に接触させて処理することができる。ミキサー等の混合機を使用する乾式法や水や有機溶媒中で処理するスラリー法が挙げられる。スラリー法としては処理液を脱液後、乾燥して粉砕する方法や水や有機溶媒中の処理液を噴霧乾燥して粉砕する方法等の公知方法がある。
<化粧品組成物>
本発明の方法は、上述した粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することを特徴とする。化粧品組成物は、上述した粒子の他に、任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の種類及びその割合は、本発明の目的を損なわないものである限り、特に限定はない。例えば、本発明の粒子状組成を化粧品分野において利用する場合、粒子の分散に悪影響を及ぼさない範囲で、任意の他の成分を配合できる。そのような他の成分の例として、アルコール類、多価アルコール類、糖類、エモリエント剤、ノニオン性界面活性剤、植物抽出液、水溶性高分子、香料、着色剤、紫外線防御剤、pH調整剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、金属封鎖剤及び生理活性成分が挙げられる。また他の成分の溶解又は分散のために、適宜分散剤、増粘剤又は界面活性剤を配合しても良い。
本発明の方法は、上述した粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することを特徴とする。化粧品組成物は、上述した粒子の他に、任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の種類及びその割合は、本発明の目的を損なわないものである限り、特に限定はない。例えば、本発明の粒子状組成を化粧品分野において利用する場合、粒子の分散に悪影響を及ぼさない範囲で、任意の他の成分を配合できる。そのような他の成分の例として、アルコール類、多価アルコール類、糖類、エモリエント剤、ノニオン性界面活性剤、植物抽出液、水溶性高分子、香料、着色剤、紫外線防御剤、pH調整剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、金属封鎖剤及び生理活性成分が挙げられる。また他の成分の溶解又は分散のために、適宜分散剤、増粘剤又は界面活性剤を配合しても良い。
本発明に係る化粧品組成物は、ミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含むことから、これを肌表面に塗布することにより、隠ぺい力を損なわずに、肌の質感を生かし、肌からの光(内部反射光)の取り出し効率を向上させ、透明感があり、より自然な質感の肌を提供できる。
本発明に係る化粧品組成物はまた、粒子の凝集が抑制され、基材への分散性に優れることから顔料のくすんだ色彩を改善することができるので、彩色性、被覆性、隠蔽性に優れる。特に、本発明に係る化粧品組成物は、セルロース又はセルロース誘導体を含み、その表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有し、その内部に適度な細孔と空隙を有する粒子を含むことから、柔らかく、使用感に優れる。本発明に係る化粧品組成物はまた、入射光が均一に光散乱するという優れた光学特性(光散乱性)を有する粒子を含むことから、デフォーカス効果等の光学特性が期待できる。そのような化粧品組成物の例としては、ローション、ジェル、エマルション等のスキンケア製品、洗顔フォーム、洗顔パウダー、ボディ洗浄料等のトイレタリー製品、シャンプー、コンディショナー等のヘアケア製品、歯磨剤等のオーラルケア製品、化粧下地、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、BBクリーム、コンシーラー、口紅、日焼け止め等のメーキャップ化粧品等が挙げられ、これらにおいて、無機顔料として、又は光散乱剤等として使用できる。
本発明に係る化粧品組成物における、ミー散乱領域の粒子径を有する粒子の含有量は、本発明の効果を奏し、且つ化粧品組成物の本来の機能を損なわない範囲であれば、特に限定はないが、好ましくは0.1質量%~20質量%(組成物の質量基準)の範囲であり、より好ましくは1質量%~20質量%の範囲である。
本発明に係る化粧品組成物は、肌表面に塗布することにより、肌内部からの光(内部反射光)の取り出し効率を向上させることができる。したがって、本発明は、ミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することを特徴とする、肌内部からの光の取り出し効率を向上させる方法に関する。本発明の方法において「肌内部からの光の取り出し効率を向上させる」とは、例えば、後述する評価例1に示したように、5質量%の粒子を含むフィルムサンプルの分光反射率を測定し、透過分光スペクトルを測定し、得られたスペクトルデータを650nmの反射率で除算して規格化した場合に、580nm以下の反射率が0.9未満、好ましくは0.85未満であることで評価できる。あるいは、後述する評価例2に示したように、5質量%の粒子を含むフィルムサンプルの透過分光スペクトルを測定し、650nmにおける透過率が40%以上、好ましくは50%以上であり、95%以下、好ましくは90%以下、最も好ましくは85%以下であることで評価できる。
[調製例1:セルロース:酸化チタン=1:4 w/wの粒子]
微結晶セルロース(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)2.5kgをイオン交換水47.5kgに分散させた後、湿式微粒化装置スターバースト((株)スギノマシン製)にて150MPaで5回粉砕処理を行い、5質量%微結晶セルロース分散液を得た。
得られた微結晶セルロース分散液30.0kg、酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)6.0kg、及びイオン交換水14.0kgを混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量10.3kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度90℃、サイクロン差圧1.8kPaで、49.0kg噴霧乾燥し、表題粒子として6.4kgの粉末を得た。
微結晶セルロース(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)2.5kgをイオン交換水47.5kgに分散させた後、湿式微粒化装置スターバースト((株)スギノマシン製)にて150MPaで5回粉砕処理を行い、5質量%微結晶セルロース分散液を得た。
得られた微結晶セルロース分散液30.0kg、酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)6.0kg、及びイオン交換水14.0kgを混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量10.3kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度90℃、サイクロン差圧1.8kPaで、49.0kg噴霧乾燥し、表題粒子として6.4kgの粉末を得た。
[調製例2:セルロース:黄酸化鉄=1:4 w/wの粒子]
調製例1と同様の方法で得られた微結晶セルロース分散液10.4kg、黄酸化鉄(LL-100HP、チタン工業(株)製)2.08kg、及びイオン交換水7.52kgを攪拌混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量9.6kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度102℃、サイクロン差圧1.7kPaで、19.72kg噴霧乾燥し、表題粒子として2.15kgの粉末を得た。
調製例1と同様の方法で得られた微結晶セルロース分散液10.4kg、黄酸化鉄(LL-100HP、チタン工業(株)製)2.08kg、及びイオン交換水7.52kgを攪拌混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量9.6kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度102℃、サイクロン差圧1.7kPaで、19.72kg噴霧乾燥し、表題粒子として2.15kgの粉末を得た。
[調製例3:セルロース:赤酸化鉄=1:4 w/wの粒子]
調製例1と同様の方法で得られた微結晶セルロース分散液14.4kg、赤酸化鉄(R-516HP、チタン工業(株))2.88kg、及びイオン交換水2.72kgを混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量8.5kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度100℃、サイクロン差圧1.6kPaで、16.16kg噴霧乾燥し、表題粒子として2.52kgの粉末を得た。
調製例1と同様の方法で得られた微結晶セルロース分散液14.4kg、赤酸化鉄(R-516HP、チタン工業(株))2.88kg、及びイオン交換水2.72kgを混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量8.5kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度100℃、サイクロン差圧1.6kPaで、16.16kg噴霧乾燥し、表題粒子として2.52kgの粉末を得た。
[調製例4:セルロース:黒酸化鉄=1:4 w/wの粒子]
調製例1と同様の方法で得られた微結晶セルロース分散液13.6kg、黒酸化鉄(BL-100HP、チタン工業(株))2.72kg、及びイオン交換水3.68kgを混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量9.7kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度97℃、サイクロン差圧1.7kPaで、19.88kg噴霧乾燥し、表題粒子として3.02kgの粉末を得た。
調製例1と同様の方法で得られた微結晶セルロース分散液13.6kg、黒酸化鉄(BL-100HP、チタン工業(株))2.72kg、及びイオン交換水3.68kgを混合し分散液を得た。得られた分散液を、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量9.7kg/h、噴霧圧力0.2MPa、入口温度250℃、出口温度97℃、サイクロン差圧1.7kPaで、19.88kg噴霧乾燥し、表題粒子として3.02kgの粉末を得た。
[評価例1:分光反射率の評価]
液状シリコーンゴム(KE-1310T、信越化学工業(株)製)4.40g、硬化剤(CX-32-1649、信越化学工業(株)製)0.50gを20mLバイアルへ秤量した。評価粒子として、調製例1で得られた粒子及び酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)を用意した。
このバイアルに、評価粒子を表1に示す量を添加した。その後、自転・公転ミキサーあわとり練太郎ARE-250((株)シンキー製)により、2000rpmで10分間攪拌混合し、2200rpmで10分間脱泡した。調製したサンプルを、アプリケーターを用いて100μm厚で隠蔽率試験紙タテ白黒Bタイプ(TP技研(株)製)上に製膜し、一晩乾燥させることでフィルムサンプルを作製した。これらのフィルムサンプルの背面に毛穴3D肌模型No.351-001#バイオカラー((株)ビューラックス製)を配置し、フィルムサンプル側から光を照射したときの分光反射率を、可視分光測色器CM-3700A(コニカミノルタ(株)製)にて測定した。得られたスペクトルデータを650nmの反射率で除算して規格化し、比較した。図1に結果を示す。評価粒子として調製例1の粒子を含むフィルムサンプル(実施例1)では580nm以下の反射率が抑制されており、評価粒子を含まないフィルムサンプル(比較例2)が示す、より素肌の色に近い分光特性を得た。
液状シリコーンゴム(KE-1310T、信越化学工業(株)製)4.40g、硬化剤(CX-32-1649、信越化学工業(株)製)0.50gを20mLバイアルへ秤量した。評価粒子として、調製例1で得られた粒子及び酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)を用意した。
このバイアルに、評価粒子を表1に示す量を添加した。その後、自転・公転ミキサーあわとり練太郎ARE-250((株)シンキー製)により、2000rpmで10分間攪拌混合し、2200rpmで10分間脱泡した。調製したサンプルを、アプリケーターを用いて100μm厚で隠蔽率試験紙タテ白黒Bタイプ(TP技研(株)製)上に製膜し、一晩乾燥させることでフィルムサンプルを作製した。これらのフィルムサンプルの背面に毛穴3D肌模型No.351-001#バイオカラー((株)ビューラックス製)を配置し、フィルムサンプル側から光を照射したときの分光反射率を、可視分光測色器CM-3700A(コニカミノルタ(株)製)にて測定した。得られたスペクトルデータを650nmの反射率で除算して規格化し、比較した。図1に結果を示す。評価粒子として調製例1の粒子を含むフィルムサンプル(実施例1)では580nm以下の反射率が抑制されており、評価粒子を含まないフィルムサンプル(比較例2)が示す、より素肌の色に近い分光特性を得た。
[評価例2:透過率の評価]
評価粒子として、酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)0.26gを用いた以外は、評価例1の方法に従いフィルムサンプルを作製し、比較例3とした。作製したフィルムサンプル(実施例1及び比較例3)を、紫外可視分光光度計UV-3600((株)島津製作所製)にて透過分光スペクトルを測定した。このとき検出器側に積分球を配置して受光した。フィルムサンプルの650nmの透過率を、評価粒子未添加のリファレンスサンプル(比較例2)の650nmの透過率で除算し、評価粒子のみの650nmにおける透過率を算出した。実施例1及び比較例3の透過率測定結果を図2に示す。
評価粒子として、酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)0.26gを用いた以外は、評価例1の方法に従いフィルムサンプルを作製し、比較例3とした。作製したフィルムサンプル(実施例1及び比較例3)を、紫外可視分光光度計UV-3600((株)島津製作所製)にて透過分光スペクトルを測定した。このとき検出器側に積分球を配置して受光した。フィルムサンプルの650nmの透過率を、評価粒子未添加のリファレンスサンプル(比較例2)の650nmの透過率で除算し、評価粒子のみの650nmにおける透過率を算出した。実施例1及び比較例3の透過率測定結果を図2に示す。
[評価例3:分光反射率の評価]
評価に用いたO/Wファンデーションサンプル処方組成は下記表2の通りである。A、B欄の原料をそれぞれ約80℃に加熱し、ホモミキサーで7000rpm、3分間攪拌した。その後、プロペラ撹拌機にて300rpmで室温になるまで攪拌冷却した。室温に戻ったところでC欄の原料を添加し、さらに10分間攪拌を継続した。
評価粒子として、調製例1で得られた粒子及び酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)を用意した。
この処方に表3に示す添加量で、それぞれの評価粒子を添加し、自転・公転ミキサーあわとり練太郎ARE-250型((株)シンキー製)により、2000rpmで2分間攪拌混合し、2200rpmで2分間脱泡した。調製したサンプルを、アプリケーターを用いて100μm厚でポリエステルフィルム ルミラー(登録商標)T-60(厚み100μm)(東レ(株)製)上に製膜し、室温乾燥させることでフィルムサンプルを作製した。作製したフィルムサンプルの背面に毛穴3D肌模型No.351-001#バイオカラー((株)ビューラックス製)を配置し、フィルムサンプル側から光を照射したときの分光反射率を可視分光測色器CM-3700A(コニカミノルタ(株)製)にて測定した。得られたスペクトルデータを650nmの反射率で除算して規格化し、比較した。図3に結果を示す。評価粒子として調製例1の粒子を含むO/Wファンデーションフィルムサンプル(実施例2)では580nmの反射率が抑制されており、より素肌の色に近い分光特性を得た。
評価に用いたO/Wファンデーションサンプル処方組成は下記表2の通りである。A、B欄の原料をそれぞれ約80℃に加熱し、ホモミキサーで7000rpm、3分間攪拌した。その後、プロペラ撹拌機にて300rpmで室温になるまで攪拌冷却した。室温に戻ったところでC欄の原料を添加し、さらに10分間攪拌を継続した。
評価粒子として、調製例1で得られた粒子及び酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)を用意した。
この処方に表3に示す添加量で、それぞれの評価粒子を添加し、自転・公転ミキサーあわとり練太郎ARE-250型((株)シンキー製)により、2000rpmで2分間攪拌混合し、2200rpmで2分間脱泡した。調製したサンプルを、アプリケーターを用いて100μm厚でポリエステルフィルム ルミラー(登録商標)T-60(厚み100μm)(東レ(株)製)上に製膜し、室温乾燥させることでフィルムサンプルを作製した。作製したフィルムサンプルの背面に毛穴3D肌模型No.351-001#バイオカラー((株)ビューラックス製)を配置し、フィルムサンプル側から光を照射したときの分光反射率を可視分光測色器CM-3700A(コニカミノルタ(株)製)にて測定した。得られたスペクトルデータを650nmの反射率で除算して規格化し、比較した。図3に結果を示す。評価粒子として調製例1の粒子を含むO/Wファンデーションフィルムサンプル(実施例2)では580nmの反射率が抑制されており、より素肌の色に近い分光特性を得た。
[評価例4:肌への入射光量評価]
評価例3において作製したフィルムサンプルの背面に隠蔽率試験紙タテ白黒Bタイプ(TP技研(株)製)の黒色部を配置し、フィルムサンプル側から光を照射したときの分光反射率を可視分光測色器CM-3700A(コニカミノルタ(株)製)にて測定した。得られたスペクトルデータを波長ごとに1から減算(1-分光反射率)することで、肌への入射光量を求めることができる。図4に結果を示す。実施例2では、400nm~700nmの範囲において比較例4よりも肌への入射光量が多いのが観察された。
評価例3において作製したフィルムサンプルの背面に隠蔽率試験紙タテ白黒Bタイプ(TP技研(株)製)の黒色部を配置し、フィルムサンプル側から光を照射したときの分光反射率を可視分光測色器CM-3700A(コニカミノルタ(株)製)にて測定した。得られたスペクトルデータを波長ごとに1から減算(1-分光反射率)することで、肌への入射光量を求めることができる。図4に結果を示す。実施例2では、400nm~700nmの範囲において比較例4よりも肌への入射光量が多いのが観察された。
[評価例5:O/W処方角度依存評価]
評価例3において作製したフィルムサンプルの背面に毛穴3D肌模型No.351-001#バイオカラー((株)ビューラックス製)を配置した場合と、隠蔽率試験紙タテ白黒Bタイプ(TP技研(株)製)の黒色部を配置した場合のそれぞれにおいて、フィルムサンプル側から光を照射したときの反射角度依存測定を変角光度計GP-5((株)村上色彩技術研究所製)にて実施した。測定入射光は-45度で実施した。背面を毛穴3D肌模型No.351-001#バイオカラー((株)ビューラックス製)を配置した場合の反射角度依存測定データから隠蔽率試験紙タテ白黒Bタイプ(TP技研(株)製)の黒色部を配置した反射角度依存測定データを除算し、肌内部を透過した光の散乱分布を評価した。図5(a)及び(b)に結果を示す。実施例2では、比較例4よりも肌内部を透過した光が、広い角度に散乱されているのが観察された。
評価例3において作製したフィルムサンプルの背面に毛穴3D肌模型No.351-001#バイオカラー((株)ビューラックス製)を配置した場合と、隠蔽率試験紙タテ白黒Bタイプ(TP技研(株)製)の黒色部を配置した場合のそれぞれにおいて、フィルムサンプル側から光を照射したときの反射角度依存測定を変角光度計GP-5((株)村上色彩技術研究所製)にて実施した。測定入射光は-45度で実施した。背面を毛穴3D肌模型No.351-001#バイオカラー((株)ビューラックス製)を配置した場合の反射角度依存測定データから隠蔽率試験紙タテ白黒Bタイプ(TP技研(株)製)の黒色部を配置した反射角度依存測定データを除算し、肌内部を透過した光の散乱分布を評価した。図5(a)及び(b)に結果を示す。実施例2では、比較例4よりも肌内部を透過した光が、広い角度に散乱されているのが観察された。
[評価例6:ファンデーションの視認性評価]
評価に用いたO/Wファンデーションサンプル処方組成は下記表4の通りである(以下、「O/Wファンデーション2」と称す)。A、B欄の原料をそれぞれ約80℃に加熱し、ホモミキサーで7000rpm、3分間攪拌した。その後、プロペラ撹拌機にて300rpmで室温になるまで攪拌冷却した。室温に戻ったところで、C欄の原料を添加し、さらに10分間攪拌を継続した。
評価に用いたO/Wファンデーションサンプル処方組成は下記表4の通りである(以下、「O/Wファンデーション2」と称す)。A、B欄の原料をそれぞれ約80℃に加熱し、ホモミキサーで7000rpm、3分間攪拌した。その後、プロペラ撹拌機にて300rpmで室温になるまで攪拌冷却した。室温に戻ったところで、C欄の原料を添加し、さらに10分間攪拌を継続した。
評価粒子として、調製例1、2、3と同様の方法で得られた粒子、及び酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)、黄酸化鉄(LL-100HP、チタン工業(株)製)、赤酸化鉄(R-516HP、チタン工業(株)製)、黒酸化鉄(BL-100HP、チタン工業(株)製)、含水シリカ(OVEIL GR2、水澤化学工業(株)製)を用意した。
実施例3は、この処方に下記表5に示す添加量で、それぞれの評価粒子を添加後、マグネチックスターラー KF-82((株)矢沢科学製)で1500rpmで4分攪拌した。比較例5~7は、含水シリカ(OVEIL GR2、水澤化学工業(株)製)を除く評価粒子を、表5に示す添加量で乳鉢に添加し、肌色になるまで混合したのち、OWファンデーション2および含水シリカ(OVEIL GR2、水澤化学工業(株)製)に添加し、マグネチックスターラー KF-82((株)矢沢科学製)で1500rpmで4分攪拌した。
実施例3は、この処方に下記表5に示す添加量で、それぞれの評価粒子を添加後、マグネチックスターラー KF-82((株)矢沢科学製)で1500rpmで4分攪拌した。比較例5~7は、含水シリカ(OVEIL GR2、水澤化学工業(株)製)を除く評価粒子を、表5に示す添加量で乳鉢に添加し、肌色になるまで混合したのち、OWファンデーション2および含水シリカ(OVEIL GR2、水澤化学工業(株)製)に添加し、マグネチックスターラー KF-82((株)矢沢科学製)で1500rpmで4分攪拌した。
毛穴3D肌模型No.351-001#バイオカラー((株)ビューラックス製)に下地(ラロッシュポゼUVイデアXLプロテクショントーンアップローズ)を指で塗布後、実施例3、比較例5~7をそれぞれパフで塗布した。図6~9にカメラ撮影画像およびマイクロスコープ観察結果を示す。図6(b)に示すように、実施例3は、フラット部に対して、凹み部の方が、粒子の存在密度が高い。また、図7~9(b)に示すように、比較例5~7においても凹み部の方が、ファンデーションが多く溜まっていることがわかる。
フラット部と凹み部の色差を定量評価するため、フラット部のファンデーション厚みを25μm、凹み部のファンデーション厚みを100μmと仮定し、膜厚違いの色差評価を実施した。実施例3および比較例5~7を、プロテインレザー(色:BE イデアテックスジャパン(株)製)にアプリケーターで25μm、100μmの厚みで塗布、乾燥後、塗布面にガラスを置いて、可視分光測色器CM-3700A(コニカミノルタ(株)製)の反射SCEモードにて明度および彩度を評価した。結果を図10~13に示す。実施例3では、25μmよりも100μmの方が彩度が低くなっており(図10(b))、明度は100μmの方が高くなっている(図10(a))。これは、実施例3で用いた評価粒子は、透明性が高いことから、100μmよりも25μmで塗布した方が、下地の色を反映し彩度が上がっている。また、散乱体であることから、粒子が多く存在している100μmの方が、明度が高くなったと考えられる。一方、比較例5~7では、100μmの彩度の方が高くなっており、これは透明性が低いことに起因している(図11~13)。肌の凹み部は、光照射した場合の反射光量が減ることから一般的に暗く見える。実施例3では凹み部が彩度が低く、明るくなっていることから、フラットな部分と比較しても違和感なく、自然な仕上がりを得ることができる。一方、比較例5~7では、フラットな部分に対して、隠蔽したい凹み部の彩度が高くなっていることから、フラット部よりも鮮やかさが強調され、違和感のある見栄えに仕上がる。
[評価例7:ファンデーションの視認性評価]
実際の見栄えを評価するため、顔モデルを用いたO/Wファンデーションの視認性評価を実施した。評価に用いたO/Wファンデ―ションサンプル処方組成は評価例3の表2に示した通りである。A、B欄の原料をそれぞれ約80℃に加熱し、ホモミキサ―で7000rpm、3分間攪拌した。その後、プロペラ撹拌機にて300rpmで室温になるまで攪拌冷却した。室温に戻ったところで、C欄の原料を添加し、さらに10分間攪拌を継続した。
評価粒子として、調製例1、2、3と同様の方法で得られた粒子、及び酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)、黄酸化鉄(LL-100HP、チタン工業(株)製)、赤酸化鉄(R-516HP、チタン工業(株))、黒酸化鉄(BL-100HP、チタン工業(株))を用意した。
実施例4は、この処方に表6に示す添加量で、それぞれの評価粒子を添加後、卓上型ホモミキサー(QUICK HOMO MIXER LR-1A みづほ工業(株))で5000rpmで2分攪拌した。比較例8は、評価粒子を表6に示す添加量で乳鉢に添加し、肌色になるまで混合したのち、この処方に添加し、卓上型ホモミキサー(QUICK HOMO MIXER LR-1A みづほ工業(株))にて5000rpmで2分、7000rpmで2分、8000rpmで10分攪拌した。
実際の見栄えを評価するため、顔モデルを用いたO/Wファンデーションの視認性評価を実施した。評価に用いたO/Wファンデ―ションサンプル処方組成は評価例3の表2に示した通りである。A、B欄の原料をそれぞれ約80℃に加熱し、ホモミキサ―で7000rpm、3分間攪拌した。その後、プロペラ撹拌機にて300rpmで室温になるまで攪拌冷却した。室温に戻ったところで、C欄の原料を添加し、さらに10分間攪拌を継続した。
評価粒子として、調製例1、2、3と同様の方法で得られた粒子、及び酸化チタン(CR-50、石原産業(株)製)、黄酸化鉄(LL-100HP、チタン工業(株)製)、赤酸化鉄(R-516HP、チタン工業(株))、黒酸化鉄(BL-100HP、チタン工業(株))を用意した。
実施例4は、この処方に表6に示す添加量で、それぞれの評価粒子を添加後、卓上型ホモミキサー(QUICK HOMO MIXER LR-1A みづほ工業(株))で5000rpmで2分攪拌した。比較例8は、評価粒子を表6に示す添加量で乳鉢に添加し、肌色になるまで混合したのち、この処方に添加し、卓上型ホモミキサー(QUICK HOMO MIXER LR-1A みづほ工業(株))にて5000rpmで2分、7000rpmで2分、8000rpmで10分攪拌した。
ほうれい線モデルNo.328((株)ビューラックス製)に下地(ラロッシュポゼUVイデアXLプロテクショントーンアップローズ)を指で塗布後、実施例4、比較例8をそれぞれパフで塗布した。図14及び15に撮影結果を示す。比較例8(図15)に対して、実施例4(図14)では毛穴やしわが視認されにくく、凹凸を補正する効果を確認した。
本発明に係る化粧品組成物は、ミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含むことから、これを肌表面に塗布することにより、隠ぺい力を損なわずに、肌の質感を生かし、肌からの光(内部反射光)の取り出し効率を向上させ、透明感があり、より自然な質感の肌を提供できる。
Claims (11)
- ミー散乱領域の粒子径を有する粒子を含む化粧品組成物を肌表面に塗布することを特徴とする、肌内部からの光の取り出し効率を向上させる方法。
- 粒子が多孔質粒子である、請求項1に記載の方法。
- 粒子の空隙率が5~70%である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
- 粒子の表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有する、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の方法。
- 粒子が、セルロース又はセルロース誘導体を主成分として含む、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の方法。
- セルロースが、結晶セルロースである、請求項5に記載の方法。
- 粒子が、セルロース又はセルロース誘導体と無機粉体とを主成分として含む、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の方法。
- 無機粉体が、無機顔料又は粘土鉱物である、請求項7に記載の方法。
- 無機顔料が、白色顔料、着色顔料、真珠光沢顔料及び機能性顔料からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の方法。
- 無機顔料が、べんがら、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、マンガン紫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素及び硫酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の方法。
- 粘土鉱物が、タルク、カオリン及びマイカからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の方法。
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