JP2023053420A - 多糖複合粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】肌に塗布する際に良好な使用感が得られ、かつ、光散乱性に優れる化粧用粉体を提供する。【解決手段】セルロース又はセルロース誘導体とマイカの分散液を噴霧乾燥することにより得られる粒子が、平板状粉体特有の肌上での使用感の悪さと、球状粉体特有の付着性の悪さを改善し、かつ光散乱性に優れることから、特にファンデーションのような化粧品に配合した際に良好な隠蔽性を発現する。【選択図】なし
Description
本発明は、表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有し、セルロース又はセルロース誘導体とマイカを主成分として含む、粒子、その製造方法、及び該粒子を含む化粧品に関する。
従来、メイクアップ化粧料においては、光散乱の強い粉体を配合することで肌のマット感を、天然マイカや合成マイカ、パール顔料を配合して艶感を出すなど、使用する粉体の組み合わせによって目的とする仕上がりが目指されてきた。また、容貌修正や肌色の補正といった仕上がりの機能に加えて、肌に塗布する際の伸びの良さ、平滑感等の使用感触の良さ、肌面への付着性といった化粧性能も要求されている。
天然マイカや合成マイカは、平板状(鱗片状)の結晶であり、化粧料中に光沢のある天然マイカや合成マイカを配合し、シワや毛穴に塗布した場合、肌上のシワや毛穴と天然マイカや合成マイカとの間に陰影部分が生じるため、かえってシワや毛穴が目立ってしまい本来のメイクアップ効果を損なうという問題があった。
こうした肌の毛穴やシワの補正については、粉体表面に微粒子を付着させたもの、粉体表面をポリマーや酸化物等で被覆処理したものなど、様々な表面処理粉体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの多くは、粉体表面での光散乱性を増強することで毛穴やシワを見え難くする。こうした粉体は、肌上に不透明感のある化粧膜を形成するため、肌の色むらやシワ等を見え難くし、マットな質感が得られるものの、白浮きし、肌本来の持つ透明感、素肌感が失われてしまうという問題があった。
また、従来、粉体化粧料においては、タルク、マイカ、セリサイト等の体質顔料が配合されているが、これらの体質顔料だけでは肌上での伸びの良さや平滑感等の使用感触の良さが十分に得られていなかった。そこで、より良好な感触を得ることを目的として、球状粒子が用いられている。(例えば、特許文献2参照)
また、従来、粉体化粧料においては、タルク、マイカ、セリサイト等の体質顔料が配合されているが、これらの体質顔料だけでは肌上での伸びの良さや平滑感等の使用感触の良さが十分に得られていなかった。そこで、より良好な感触を得ることを目的として、球状粒子が用いられている。(例えば、特許文献2参照)
しかしながら、このような球状粒子は、その粒子径と形状の点から肌への付着性が悪く、多量に配合すると化粧の持続性が低下してしまうという欠点がある。したがって、良好な感触を有し、化粧の持続性に優れる粉体化粧料が望まれている。
本発明者らは、上記の平板状粉体特有の肌上での使用感の悪さと、球状粉体特有の付着性の悪さを改善し、かつ光散乱性に優れた粉体化粧品原料を提供することを目的として鋭意検討した結果、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとの分散液を噴霧乾燥することにより得られる粒子が、表面に凹凸構造を有することから柔らかく、かつ付着性に優れること、さらには光散乱性に優れ、特にファンデーションのような化粧品に配合した際の隠蔽性に優れることを見出し、本発明を完成させた。本発明は以下のとおりである。
(1) 表面に凹凸構造を有し、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとを主成分として含む、粒子。
(2) 表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有する、上記(1)に記載の粒子。
(3) 空隙率が5~70%の範囲にある、上記(1)又は(2)に記載の粒子。
(4) 粒径が0.5~500μmの範囲にある、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の粒子。
(5) 光散乱率が50~200%の範囲にある、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の粒子。
(6) セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、0.1~20質量部のマイカを含む、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の粒子。
(7) セルロースが、結晶セルロースである、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の粒子。
(8) セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとの分散液を得る工程と、得られた分散液を噴霧乾燥する工程を含む、表面に凹凸構造を有し、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとを主成分とする粒子の製造方法。
(9) 分散液が、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとの物理的な粉砕により得られる、上記(8)に記載の製造方法。
(10) 分散液におけるセルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカを含む固形分の濃度が、0.5~40質量%である、上記(8)又は(9)に記載の製造方法。
(11) 分散液が、セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、0.1~20質量部のタルク又はマイカを含む、上記(8)乃至(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12) 上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の粒子、あるいは上記(8)乃至(11)のいずれかに記載の製造方法により得られる粒子を含む、化粧品。
(13) セルロース又はセルロース誘導体と、タルク又はマイカとを主成分とする粒子を含み、該粒子表面が疎水性及び/又は親水性を有する、粒子状組成物。
(14) 前記粒子表面が疎水性を有する、(13)に記載の粒子状組成物。
(2) 表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有する、上記(1)に記載の粒子。
(3) 空隙率が5~70%の範囲にある、上記(1)又は(2)に記載の粒子。
(4) 粒径が0.5~500μmの範囲にある、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の粒子。
(5) 光散乱率が50~200%の範囲にある、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の粒子。
(6) セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、0.1~20質量部のマイカを含む、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の粒子。
(7) セルロースが、結晶セルロースである、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の粒子。
(8) セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとの分散液を得る工程と、得られた分散液を噴霧乾燥する工程を含む、表面に凹凸構造を有し、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとを主成分とする粒子の製造方法。
(9) 分散液が、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとの物理的な粉砕により得られる、上記(8)に記載の製造方法。
(10) 分散液におけるセルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカを含む固形分の濃度が、0.5~40質量%である、上記(8)又は(9)に記載の製造方法。
(11) 分散液が、セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、0.1~20質量部のタルク又はマイカを含む、上記(8)乃至(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12) 上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の粒子、あるいは上記(8)乃至(11)のいずれかに記載の製造方法により得られる粒子を含む、化粧品。
(13) セルロース又はセルロース誘導体と、タルク又はマイカとを主成分とする粒子を含み、該粒子表面が疎水性及び/又は親水性を有する、粒子状組成物。
(14) 前記粒子表面が疎水性を有する、(13)に記載の粒子状組成物。
本発明の粒子は、その表面に凹凸構造を有することから(すなわち、孔又は空隙が適度に存在することから)柔らかく、かつ付着性に優れることから肌に直接触れる化粧品への添加に適している。本発明の粒子はまた、入射光が均一に光散乱するという優れた光学特性(光散乱性)を有することから、ファンデーションなどの化粧品に配合することにより、隠蔽効果の発現が期待できる。
<粒子>
本発明は、表面に凹凸構造を有し、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカを主成分として含む、粒子に関する。好ましくは、本発明は、表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有し、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカを主成分として含む、粒子に関する。「皺状又は襞状の凹凸構造を有する」とは、粒子の拡大像を観察した際に、その表面が平滑ではなく、皺状又は襞状の外観を有する溝状の筋目を有することを意味する。
本発明は、表面に凹凸構造を有し、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカを主成分として含む、粒子に関する。好ましくは、本発明は、表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有し、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカを主成分として含む、粒子に関する。「皺状又は襞状の凹凸構造を有する」とは、粒子の拡大像を観察した際に、その表面が平滑ではなく、皺状又は襞状の外観を有する溝状の筋目を有することを意味する。
本発明の粒子は、セルロース又はセルロース誘導体を主成分として含む。本発明で使用されるセルロース又はセルロース誘導体は、羊毛、綿、絹、麻、パルプ等の天然繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ(ベンベルグ(登録商標))、リヨセル(テンセル(登録商標))等の再生繊維に由来するもの、あるいはバクテリアが生産するセルロースが挙げられる。またセルロース繊維と合成繊維(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維)のセルロース複合繊維に由来するものであってもよい。
本発明で使用するセルロース又はセルロース誘導体としては、天然繊維に由来するもの、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート、農産物残廃物等の植物に由来するものが挙げられ、特に、広葉樹、針葉樹又は竹に由来するものが挙げられる。また、このような繊維性植物から得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合して精製したもの、例えば、結晶セルロースを用いることが好ましい。
また本発明では、セルロース又はセルロース誘導体として、セルロースナノファイバーを用いることが好ましい。「セルロースナノファイバー(CNF)」とは、セルロース繊維をナノサイズレベルまで解繊処理することにより得られる繊維であり、一般に、繊維幅約4~200nm、繊維長約5μm以上の繊維である。このようなセルロースナノファイバーは、公知の方法により調製でき、また市販品として入手できる。例えば、大王製紙(株)や中越パルプ工業(株)等の供給業者より入手できる。
本発明の粒子はまた、タルク又はマイカを主成分として含む。タルク又はマイカはケイ酸塩鉱物(体質顔料)として知られている。本発明で使用するマイカは、合成マイカでも、天然マイカでもよい。天然マイカの例としては、金雲母、白雲母、セリサイトなどが挙げられる。また本発明で使用する合成マイカとは、天然マイカと性質が類似した鱗片状(平板状)の結晶である、合成フッ素金雲母を意味する。例としては、フッ素金雲母(KMg3AlSi3O10F2)、カリウム四ケイ素雲母(KMg2.5Si4O10F2)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg2.5Si4O10F2)、ナトリウムテニオライト(NaMg2LiSi4O10F2)、リチウムテニオライト(LiMg2LiSi4O10F2)等が挙げられる。特に断りのない限り、本発明の合成マイカは、フッ素金雲母を意味する。本発明で使用するタルク又はマイカは、医薬品用又は化粧品用添加剤として、供給業者より入手できる。
本発明において「セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとを主成分として含む」とは、粒子に占めるセルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカの割合(質量基準)が50質量%超であることを意味する。セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカの割合(質量基準)は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。最も好適な態様では、本発明の粒子はセルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカのみからなる。
本発明において、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとの配合比は、本発明の効果を奏する限り特に限定はないが、典型的には、セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、0.1~20質量部、好ましくは0.2~20質量部、より好ましくは0.5~15質量部、特に好ましくは1~10質量部のタルク又はマイカを含む。
粒子に含まれるセルロース又はセルロース誘導体及びタルク又はマイカ以外の成分としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、カーボンブラック、酸化チタン、微粒子及び超微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子及び超微粒子酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、煙霧状シリカ(超微粒子無水ケイ酸)、雲母チタン、魚鱗箔、窒化ホウ素、ホトクロミック顔料、微粒子複合粉体、金、アルミニウム等の各種の大きさ・形状の無機粉体、及び、これらをハイドロジェンシリコーン、環状ハイドロジェンシリコーン等のシリコーン若しくはその他のシラン若しくはチタンカップリング剤等の各種表面処理剤で処理を行って疎水化若しくは親水化した粉体等が挙げられる。
本発明の粒子の粒径は、粒子の所望の用途に応じて適宜設定できるが、例えば0.5~500μmの範囲、好ましくは1~200μmの範囲、より好ましくは2~100μm、特に好ましくは5~80μmの範囲に分布し、また平均粒子径は、例えば5~40μmの範囲、好ましくは5~30μmの範囲にある。なお、本発明において粒径とは、散乱式粒子径分布測定装置で測定した値を意味し、平均粒子径とは、得られた粒度分布より算出される算術平均径を意味する。
本発明の粒子の空隙率は、粒子の所望の用途に応じて適宜設定できるが、例えば5~70%の範囲、好ましくは15~65%の範囲、より好ましくは20~50%の範囲にある。なお、本発明において空隙率とは、走査型電子顕微鏡等を用いて得られる粒子断面像を用い、断面積(粒子断面像における断面全体の面積)を100としたときの空隙面積(粒子断面像における空隙部分の面積の総和)の割合を百分率で示した値を意味し、平均空隙率とは、得られた空隙率の算術平均値を意味する。具体的に、本発明の粒子の空隙率は、後述の評価例5に従って算出することができる。X線CTなどの手法を用いても同様に空隙率を算出することが可能である。本発明の粒子の空隙率がこのような範囲にあることで、粒子の柔らさが保たれると共に、ファンデーション処方中においても優れた光学特性を示すことができる。
本発明の粒子の硬度は、粒子の所望の用途に応じて適宜設定できるが、例えば0.1~50MPaの範囲にある。なお、本発明において硬度とは、微小圧縮試験機で測定した値を意味し、粒子径が10%変形したときの強度C(x)として、下記式から算出した。
(光散乱率)
本発明の粒子は、下記式(1)で表される光散乱率が、50~200%の範囲にあることを特徴とする。
本発明の粒子は、下記式(1)で表される光散乱率が、50~200%の範囲にあることを特徴とする。
{式(1)中、角度20°、70°及び5°での反射強度は、粒子に対して法線方向を0°として、粒子に-30°の角度から光を入射した時の受光器の感度を任意の値(感度調整値と呼ぶ)に設定した後、ある角度から光を入射した時の受光器の角度が20°、70°及び5°における反射光の強度を意味する。}
ここで、光散乱率は、国際公開第2010/092890号に記載された上記式(1)に従って算出する。例えば、光の入射角が-30°における光散乱率を算出する場合、初めに、試料を押し当てた面の法線方向を0°として、試料に-30°の角度から光を入射した時の受光器の感度を任意の値(感度調整値と呼ぶ)に設定した後、受光器の角度が20°、70°及び5°における反射光の強度を測定する。次いで、最初の感度調整値を維持したまま、同一試料に-45°の角度から光を入射したときの、受光器の角度が20°、70°及び5°における反射光の強度を測定する。入射角-60°の場合も同様にして相対強度を測定し、最終的に光散乱率を算出する。
上記式(1)で表わされる光散乱率が100%になれば、反射強度を示すグラフが円形になり、入射光が均一に拡散したことを意味する。この光散乱率が100%を超えることは、反射強度を示すグラフが横長の楕円形になることを意味し、100%を下回る場合には、縦長の楕円形になることを意味する。
本発明の粒子は、その表面に凹凸構造を有するにもかかわらず、より均一性の高い反射光強度を有する。本発明の粒子は、光散乱率が50~200%の範囲にあることを特徴とする。光の入射角が-30°、-45°及び-60°の各観測時において、好ましくは、いずれか1つの入射角において光散乱率が50~200%の範囲にあり、より好ましくは、任意の2つの入射角において光散乱率が50~200%の範囲にあり、さらに好ましくは、いずれの入射角においても光散乱率が50~200%の範囲にある。本発明の粒子の光散乱率は、より好ましくは70~200%の範囲であり、さらに好ましくは90~200%の範囲である。このことは、本発明の粒子が、より均一な全方向反射を可能にできることを意味し、例えば、本発明の粒子を化粧品用添加物として使用した場合、遮蔽効果の発現が期待できる。
<粒子の製造方法>
本発明の粒子は、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとの分散液を得る工程と、得られた分散液を噴霧乾燥する工程を含む方法により製造できる。
本発明の粒子は、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとの分散液を得る工程と、得られた分散液を噴霧乾燥する工程を含む方法により製造できる。
本発明の製造方法に係る分散液において、セルロース又はセルロース誘導体やタルク又はマイカの例と好ましい態様は上述のとおりである。分散液は、任意の方法で調製することができ、例えば、セルロース又はセルロース誘導体、タルク又はマイカ及び分散媒を混合し、これを粉砕処理することにより得られる。あるいは、先ずセルロース若しくはセルロース誘導体(又はタルク若しくはマイカ)と分散媒を混合し、これを粉砕処理し、セルロース若しくはセルロース誘導体(又はタルク若しくはマイカ)分散液を得た後に、タルク若しくはマイカ(又はセルロース若しくはセルロース誘導体)と分散媒を混合して、さらに粉砕処理をすることにより得ることもできる。分散媒は、好ましくは水性媒体であり、より好ましくは水、水混和性有機溶媒又はその混合物である。水混和性有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1~4のアルコール類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、N-メチルピロリドン、N-シクロヘキシルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類、γ-ブチロラクトン等のラクトン、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。最も好適な態様では、分散媒は水であるか、又は水と炭素数1~4のアルコール類の混合物である。
分散液は、セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、0.1~20質量部、好ましくは0.2~20質量部、より好ましくは0.5~15質量部、特に好ましくは1~10質量部のタルク又はマイカを含む。また分散液におけるセルロース又はセルロース誘導体及びタルク又はマイカを含む固形分の濃度は、続く噴霧乾燥工程に使用できる範囲であれば特に限定されないが、例えば0.5~40質量%であり、好ましくは1~35質量%であり、より好ましくは5~30質量%である。
分散液を得る操作に、特に限定はなく、当業者に公知の分散液を得る操作を用いて実施できる。典型的には、分散液は、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカの粉砕処理により得られ、好ましくは物理的な粉砕により得られる。物理的な粉砕とは、セルロース若しくはセルロース誘導体及び/又はタルク若しくはマイカと分散媒の混合物に、マグネチックスターラー、撹拌翼等の攪拌装置、ポリトロン等のホモジナイザー、超音波破砕機等の超音波発生機器、湿式微粒化装置(例えば、スターバースト;(株)スギノマシン)等の粉砕機を用いて物理的な外力を与えることにより実施される。ただし、市販のセルロース若しくはセルロース誘導体及び/又はタルク若しくはマイカが十分に粉砕されているものであれば、粉砕処理を行わずに分散液を得てもよい。また本発明の製造方法では、セルロース又はセルロース誘導体分散液を得る工程に代えて、市販のセルロース分散液、例えば市販のセルロースナノファイバーの分散液を用いてもよい。
本発明の粒子は、得られた分散液を噴霧乾燥することにより得られる。噴霧乾燥は、アトマイザー、スプレードライヤー、マイクロミストスプレードライヤー等、公知の噴霧乾燥装置を用いて実施される。噴霧乾燥条件は、分散液における分散媒の種類、セルロース又はセルロース誘導体の種類又は濃度等に応じて適宜設定されるが、例えば、入口温度150~300℃、出口温度0~150℃で実施される。
<粒子状組成物>
本発明は、上述した粒子を含み、該粒子表面が疎水性及び/又は親水性を有する、粒子状組成物に関する。該粒子表面への疎水性及び/又は親水性の付与は、化学的又は物理的な表面処理により行うことができ、適切な処理剤を用いる化学的な表面処理により行うことが好ましい。
本発明は、上述した粒子を含み、該粒子表面が疎水性及び/又は親水性を有する、粒子状組成物に関する。該粒子表面への疎水性及び/又は親水性の付与は、化学的又は物理的な表面処理により行うことができ、適切な処理剤を用いる化学的な表面処理により行うことが好ましい。
<粒子の表面処理>
本発明の粒子は、一般的な他の真球状粒子等とは異なり、表面に凹凸構造を、内部に空隙構造を有する特殊構造を有するため、その表面処理においては粒子の表面だけでなく、内部の空隙表面まで表面処理を施す、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐことが望ましい。特に疎水化処理の場合は、粒子内部の空隙への基材(水)の浸入による表面処理剤の欠落等が防がれるため、油性基材中での分散安定性が向上し、長期間分散状態を維持することが出来る。したがって、粒子内部の空隙まで表面処理剤で処理できる、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐよう、適切な処理剤、処理濃度、処理方法(温度や攪拌方法等)を選択する必要がある。
本発明の粒子は、一般的な他の真球状粒子等とは異なり、表面に凹凸構造を、内部に空隙構造を有する特殊構造を有するため、その表面処理においては粒子の表面だけでなく、内部の空隙表面まで表面処理を施す、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐことが望ましい。特に疎水化処理の場合は、粒子内部の空隙への基材(水)の浸入による表面処理剤の欠落等が防がれるため、油性基材中での分散安定性が向上し、長期間分散状態を維持することが出来る。したがって、粒子内部の空隙まで表面処理剤で処理できる、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐよう、適切な処理剤、処理濃度、処理方法(温度や攪拌方法等)を選択する必要がある。
また、本発明の粒子は、表面処理工程における攪拌操作や粉砕操作の機械的強度が高すぎると、粒子表面から無機顔料成分が脱離する、粒子が変形する等の問題が生じ、その効果が失われることが懸念されるため、できるだけ機械的強度が粒子に強くかからない処理装置(攪拌翼形状等)、プロセス(攪拌速度、攪拌時間等)による処理が望ましい。さらに、本発明の粒子状組成物は、粒子内部の空隙、もしくは表面の空隙を処理剤で覆い塞ぐまで処理できるように処理剤、処理濃度、処理方法(温度等)を選択することで、高い疎水性を有する粒子を形成でき、疎水性の経時安定性が高まると考えられる。
本発明の粒子に対し処理される表面処理剤の処理濃度(質量基準)は、特に限定されないが、本発明の粒子の効果を損なわないという観点から、好ましくは0.01~60質量%、より好ましくは0.05~50質量%、特に好ましくは0.1~50質量%である。
<粒子の疎水化及び/又は親水化処理>
本発明の粒子については、化粧品又は医薬部外品への添加の際、処方中での分散安定化、撥水・耐水性の付与、親水性の付与、皮脂や汗に対する耐性の付与、保湿性の付与、肌なじみの向上、感触制御、粒子の表面凹凸・内部空隙の制御等を目的とし、その効果を損なわない範囲で、通常化粧品料に用いられる表面処理剤を用いて表面処理を施し、疎水性及び/又は親水性を付与することができる。本発明の粒子については、特に、疎水性を付与することが好ましい。具体的には、以下に挙げるよう処理剤を一種又は二種以上を用いて表面処理を施すことにより、疎水性及び/又は親水性を付与することができる。
本発明の粒子については、化粧品又は医薬部外品への添加の際、処方中での分散安定化、撥水・耐水性の付与、親水性の付与、皮脂や汗に対する耐性の付与、保湿性の付与、肌なじみの向上、感触制御、粒子の表面凹凸・内部空隙の制御等を目的とし、その効果を損なわない範囲で、通常化粧品料に用いられる表面処理剤を用いて表面処理を施し、疎水性及び/又は親水性を付与することができる。本発明の粒子については、特に、疎水性を付与することが好ましい。具体的には、以下に挙げるよう処理剤を一種又は二種以上を用いて表面処理を施すことにより、疎水性及び/又は親水性を付与することができる。
1)シリコーン処理;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、パーフルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン油剤を用いることができるが、反応基を持つメチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーン分子の片末端又は側鎖に官能基を持つアルキルポリシロキサン(例えばジメチルポリシロキシシラザン、α-モノヒドロキシシロキサン、α,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α-モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α-ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α-トリアルコキシポリジメチルシロキサン(例えば、α-トリエトキシポリジメチルシロキサン等)、α,ω-ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α,ω-ヘキサアルコキシポリジメチルシロキサン、ジメチルポリシロキシクロリド、ジメチルポリシロキシブロミド及びジメチルポリシロキシイオジン等)等を使用することが好ましい。
2)アクリルシリコーン処理;アクリルポリマーとジメチルポリシロキサンからなるグラフト共重合体((アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー等)を用いることができる。
3)フッ素処理;その分子中にパーフロオロアルキル基やパーフルオロポリポリエーテル基を有し、かつ、カルボキシル基やリン酸基、スルホン基、アルコキシ基いずれかの極性基を有する化粧料用処理剤として使用可能なフッ素処理剤であればよく、公知の技術によるフッ素処理粉体が使用できる。例えば、パーフルオロポリエーテルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテルアルキルシラン、パーフルオロアルキルアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、パーフルオロカルボン酸、炭素数6のフルオロアルコールリン酸等が挙げられる。
4)金属石ケン処理;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸及びそれら飽和脂肪酸の亜鉛塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等が好ましい。
5)擬似セラミド処理;特に限定されないが、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、ヒドロキシプロピルビスラウラミドMEA、ヒドロキシプロピルビスイソステアラミドMEAであるのが好ましい。また、セラミド様のジアシルグルタミン酸リシン塩等も挙げられる。
6)高級アルコール処理;ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどが好ましい。
7)高級脂肪酸処理;例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
8)エステル処理;ショ糖脂肪酸エステル、酸性エステル油がヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオクチルドデカノールから選択される1種以上のアルコールと、アジピン酸、グルタル酸、ジエチルグルタル酸、セバシン酸、エイコサン二酸及び水添ダイマー酸から選択される1種以上の2塩基酸との部分エステル等が挙げられる。植物油脂由来のエステル油剤には、ヒドロキシステアリン酸水添ひまし油、イソステアリン酸水添ひまし油、ラウリン酸水添ひまし油、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイビス(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル及びセバシン酸ジエチル等が挙げられる。
9)ワックスロウ処理;例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加コメヌカ油、シアバター、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、オゾケライト、ヌカロウ、ライスワックス、パラフィン、ラノリン、サンフラワーワックス、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セバシン酸、セラックロウ、マイクロクリスタリンワックス、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、シリコーンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
10)植物油処理;カメリア極度硬化油脂、ハイオレイックヒマワリ極度硬化油、グレープシード極度硬化油、菜種極度硬化油、ハイエルシン菜種極度硬化油、マカダミアナッツ極度硬化油、パーム極度硬化油及び大豆極度硬化油からなる群から選択される植物性極度硬化油脂が挙げられる。
11)アミノ酸処理;下記のアミノ酸やそのN-アシル体(Na、K、Ba、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al等の金属塩やアンモニウム塩、有機アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール及びトリイソプロパノールアミン)等の塩の形態も含まれる。):バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン(リシン)、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン(トレオニン)、ヒスチジン、アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸。上記アミノ酸のN-アシル体を構成する長鎖脂肪酸としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、樹脂酸(アビエチン酸)等を挙げることができる。
12)界面活性剤処理;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の非イオン性界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、N-アシルタウリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ジアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物、カルボキシビニルポリマー、スチレンオキシアルキレン酸無水物共重合体等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、トリポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、モノアルキルアミドアミン塩、カチオン化セルロース等のカチオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の両イオン性界面活性剤が挙げられる。好ましい界面活性剤としては、肌への刺激性が低くPRTR法(化学物質排出把握管理促進法:Pollutant Release and Transfer Register)等の規制物質でないものが好ましい。
13)生分解性樹脂処理;ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシアルカノエート、(ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート)ブロックコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(エチレンンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸等の脂肪族ポリエステル;変性でんぷん;カゼインプラスチック;セルロースなどが挙げられる。
上記の他、ペンダント処理(気相法シリコーン処理後にアルキル鎖などを付加する方法)、チタンカップリング剤処理、アルミニウムカップリング剤処理、ポリアクリル酸処理、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理、有機顔料による処理、ケイヒ酸、フェルラ酸等の不溶性のカルボン酸による処理、非水溶性の微細結晶セルロースによる処理、マンノースと糖アルコールと脂肪酸で構成される糖脂質であるマンノシルエリスリトールリピッドによる処理、多糖(寒天、澱粉、セルロース、キチン、キサンタンガム、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、アルギン酸Na等)による処理、コラーゲン処理、ヒアルロン酸、エラスチン処理、レシチン処理、水添レシチン処理、糖脂質処理、パルミトイルサルコシンNaによる処理、シリカ処理、特開2001-72527号公報及び特開2002-80748号公報等に開示されている処理方法(二つの層を構成するよう表面処理剤で処理する方法(マイブリッド処理))を選択することができる。
本発明の粉体を表面処理する方法は、特に限定されず表面処理剤を粉体粒子表面に接触させて処理することができる。ミキサー等の混合機を使用する乾式法や水や有機溶媒中で処理するスラリー法が挙げられる。スラリー法としては処理液を脱液後、乾燥して粉砕する方法や水や有機溶媒中の処理液を噴霧乾燥して粉砕する方法等の公知方法がある。
<化粧品>
本発明の粒子は、その表面に凹凸構造を有し、適切な硬度と空隙率を有することから柔らかく、かつ付着性に優れること、また入射光が均一に光散乱するという優れた光学特性(光散乱性)を有することから、肌に直接触れ、かつ遮蔽効果等の光学特性が要求される化粧品への添加に適している。そのような化粧品の例としては、洗顔フォーム、洗顔パウダー、ボディ洗浄料等のトイレタリー製品、シャンプー、コンディショナー等のヘアケア製品、歯磨剤等のオーラルケア製品、化粧下地、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、BBクリーム、コンシーラー、口紅、日焼け止め等のメーキャップ化粧品等が挙げられ、これらにおいて、マッサージ効果や洗浄効果を増強するためのスクラブ剤として、又は遮蔽効果を発現させるための光散乱剤として使用できる。
本発明の粒子は、その表面に凹凸構造を有し、適切な硬度と空隙率を有することから柔らかく、かつ付着性に優れること、また入射光が均一に光散乱するという優れた光学特性(光散乱性)を有することから、肌に直接触れ、かつ遮蔽効果等の光学特性が要求される化粧品への添加に適している。そのような化粧品の例としては、洗顔フォーム、洗顔パウダー、ボディ洗浄料等のトイレタリー製品、シャンプー、コンディショナー等のヘアケア製品、歯磨剤等のオーラルケア製品、化粧下地、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、BBクリーム、コンシーラー、口紅、日焼け止め等のメーキャップ化粧品等が挙げられ、これらにおいて、マッサージ効果や洗浄効果を増強するためのスクラブ剤として、又は遮蔽効果を発現させるための光散乱剤として使用できる。
[参考合成例1:微結晶セルロース:合成マイカ1:4分散液]
微結晶セルロース(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)7.2kg、合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株))28.8kgをイオン交換水144kgに分散させた後、湿式微粒化装置スターバースト((株)スギノマシン製)にて150MPaで2回粉砕処理を行い、表題の微結晶セルロース:合成マイカ1:4分散液を得た。
微結晶セルロース(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)7.2kg、合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株))28.8kgをイオン交換水144kgに分散させた後、湿式微粒化装置スターバースト((株)スギノマシン製)にて150MPaで2回粉砕処理を行い、表題の微結晶セルロース:合成マイカ1:4分散液を得た。
[参考合成例2:微結晶セルロース:天然マイカ1:4分散液]
マイカ(セリサイトFSE、三信鉱工(株))4.0kgをイオン交換水20.0kgに分散させた後、湿式微粒化装置スターバースト((株)スギノマシン製)にて150MPaで4回粉砕処理を行い、その後、微結晶セルロース(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)1.0kgを加えさらに2回粉砕処理を行うことで、表題の微結晶セルロース:天然マイカ1:4分散液を得た。
マイカ(セリサイトFSE、三信鉱工(株))4.0kgをイオン交換水20.0kgに分散させた後、湿式微粒化装置スターバースト((株)スギノマシン製)にて150MPaで4回粉砕処理を行い、その後、微結晶セルロース(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)1.0kgを加えさらに2回粉砕処理を行うことで、表題の微結晶セルロース:天然マイカ1:4分散液を得た。
[実施例1:微結晶セルロース:合成マイカ=1:4 w/wの粒子]
参考合成例1で得られた分散液5.14kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量9.6kg/h、噴霧圧力0.4MPa、入口温度250℃、出口温度98℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題の粒子358gを得た。
参考合成例1で得られた分散液5.14kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量9.6kg/h、噴霧圧力0.4MPa、入口温度250℃、出口温度98℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題の粒子358gを得た。
[実施例2:微結晶セルロース:合成マイカ=1:4 w/wの粒子]
参考合成例1で得られた分散液5.92kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量5.9kg/h、噴霧圧力0.4MPa、入口温度250℃、出口温度117℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題の粒子742gを得た。
参考合成例1で得られた分散液5.92kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量5.9kg/h、噴霧圧力0.4MPa、入口温度250℃、出口温度117℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題の粒子742gを得た。
[実施例3:微結晶セルロース:合成マイカ=1:4 w/wの粒子]
参考合成例1で得られた分散液を純水で固形分15%へ希釈した分散液5.99kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量6.0kg/h、噴霧圧力0.4MPa、入口温度250℃、出口温度109℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題の粒子725gを得た。
参考合成例1で得られた分散液を純水で固形分15%へ希釈した分散液5.99kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量6.0kg/h、噴霧圧力0.4MPa、入口温度250℃、出口温度109℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題の粒子725gを得た。
[実施例4:微結晶セルロース:合成マイカ=1:4 w/wの粒子]
参考合成例1で得られた分散液を純水で固形分15%へ希釈した分散液4.4kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量5.9kg/h、噴霧圧力0.4MPa、入口温度170℃、出口温度73℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題の粒子600gを得た。
参考合成例1で得られた分散液を純水で固形分15%へ希釈した分散液4.4kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量5.9kg/h、噴霧圧力0.4MPa、入口温度170℃、出口温度73℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題の粒子600gを得た。
[実施例5:セルロース:天然マイカ=1:4 w/wの粒子]
参考合成例2で得られた分散液15.8kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量9.2kg/h、噴霧圧力0.3MPa、入口温度250℃、出口温度98℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題粒2.7kgを得た。
参考合成例2で得られた分散液15.8kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量9.2kg/h、噴霧圧力0.3MPa、入口温度250℃、出口温度98℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題粒2.7kgを得た。
[評価例1:粒子の形態観察]
実施例1乃至4で得られた粒子をそれぞれカーボンテープに貼付し、走査型電子顕微鏡Miniscope(登録商標)TM3000((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて形態観察を実施した。粒子の形態観察結果を図1(a)乃至(e)に示した。
実施例1乃至4で得られた粒子をそれぞれカーボンテープに貼付し、走査型電子顕微鏡Miniscope(登録商標)TM3000((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて形態観察を実施した。粒子の形態観察結果を図1(a)乃至(e)に示した。
[評価例2:粒子の粒径評価]
散乱式粒子径分布測定装置LA-960((株)堀場製作所製)を用いて、循環速度を「3」、撹拌速度を「2」に設定し、サンプル溶液を循環させた状態で、半導体レーザ(650nm)及び発光ダイオード(405nm)の透過率が90.0%以下になるように実施例1乃至4で得られた各粒子のサンプル溶液の濃度を調整した。得られたサンプル溶液に、超音波強度「3」で超音波を1分間照射した後、粒径測定を実施した。結果を順に図2(a)乃至(e)に示した。
散乱式粒子径分布測定装置LA-960((株)堀場製作所製)を用いて、循環速度を「3」、撹拌速度を「2」に設定し、サンプル溶液を循環させた状態で、半導体レーザ(650nm)及び発光ダイオード(405nm)の透過率が90.0%以下になるように実施例1乃至4で得られた各粒子のサンプル溶液の濃度を調整した。得られたサンプル溶液に、超音波強度「3」で超音波を1分間照射した後、粒径測定を実施した。結果を順に図2(a)乃至(e)に示した。
[評価例3:粒子の安息角評価]
市販の粉体特性評価装置であるPT-S型パウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製)を用いて、実施例1及び4で得られた粒子の安息角の評価を行った。結果を表1に示した。
市販の粉体特性評価装置であるPT-S型パウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製)を用いて、実施例1及び4で得られた粒子の安息角の評価を行った。結果を表1に示した。
[評価例4:粉体の見掛け比重評価]
市販の粉体特性評価装置であるPT-S型パウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製)を用いて、実施例1及び4で得られた粒子の見掛け比重の評価を行った。見掛け比重固めの測定の際には、180回タッピングを行った。また、見掛け比重ゆるみの値を見かけ比重固めの値で割ることで圧縮度を算出した。結果を表2に示した。
市販の粉体特性評価装置であるPT-S型パウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製)を用いて、実施例1及び4で得られた粒子の見掛け比重の評価を行った。見掛け比重固めの測定の際には、180回タッピングを行った。また、見掛け比重ゆるみの値を見かけ比重固めの値で割ることで圧縮度を算出した。結果を表2に示した。
[評価例5:反射光分布の測定]
マイクロスライドガラスS1111(松浪硝子工業(株)製)上にナイスタック(登録商標)NW-10S(ニチバン(株)製)を用いて、黒色の画用紙PI-N86D((株)マルアイ製)を貼り付けた。次いで、上述の黒色画用紙の上にナイスタック(登録商標)NW-10Sを貼付し、その上にサンプル粉末を押し当てた後、余分な粉末を圧力0.2MPaに調整したエアーガンにて除いた。反射光分布の測定は、変角光度計GP-5((株)村上色彩技術研究所製)にて実施した。測定入射光は-45度で実施した。入射光-45度角度における光散乱率は、下記式(1)に従って算出した(国際公開第2010/092890号参照)。
マイクロスライドガラスS1111(松浪硝子工業(株)製)上にナイスタック(登録商標)NW-10S(ニチバン(株)製)を用いて、黒色の画用紙PI-N86D((株)マルアイ製)を貼り付けた。次いで、上述の黒色画用紙の上にナイスタック(登録商標)NW-10Sを貼付し、その上にサンプル粉末を押し当てた後、余分な粉末を圧力0.2MPaに調整したエアーガンにて除いた。反射光分布の測定は、変角光度計GP-5((株)村上色彩技術研究所製)にて実施した。測定入射光は-45度で実施した。入射光-45度角度における光散乱率は、下記式(1)に従って算出した(国際公開第2010/092890号参照)。
サンプルは、実施例1乃至5で得られた粒子を用いた。また、比較例1として、合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株)製)、比較例2として、微結晶セルロース粉末(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)と合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株)製)を1:4(w/w)の混合比で攪拌混合した粉末、比較例3として、マイカ(セリサイトFSE、三信鉱工(株))を用いた。入射光-45度におけるサンプルの光散乱率を表3に記載した。
[評価例6:平均摩擦係数と平均摩擦係数の変動の評価]
各サンプル15mgを秤量し、人工皮革サプラーレ(登録商標)(出光テクノファイン(株))上にサンプル粉末を均一に塗布後、10mm角シリコン素材センサーを備えた摩擦感テスターKES-SE(カトーテック(株)製)にて摩擦係数と摩擦係数の変動を評価した。サンプルは、実施例1乃至5で得られた粒子を用いた。また、比較例1として、合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株)製)、比較例2として、微結晶セルロース粉末(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)と合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株)製)を1:4(w/w)の混合比で攪拌混合した粉末、比較例3として、マイカ(セリサイトFSE、三信鉱工(株))を用いた。なお、センサーは10mm角シリコンワイヤーを用い、測定距離を20mm、静荷重を25gf、測定速度を1.0mm/sec、接触面幅を10mmに設定した。結果を表4に示した。MIUは平均摩擦係数を指し、人の指で物体の表面を触るときに感じる、すべりやすさを表す指標である。MIUの数値が小さいほどすべりやすく、数値が大きいほどすべりにくい。MMDは平均摩擦係数の変動を指し、人の指で物体の表面を触るときに感じる、なめらかさやざらつき感を表す指標である。MMDの数値が小さいほど、なめらかであり、数値が大きいほど、ざらつきを感じる。
各サンプル15mgを秤量し、人工皮革サプラーレ(登録商標)(出光テクノファイン(株))上にサンプル粉末を均一に塗布後、10mm角シリコン素材センサーを備えた摩擦感テスターKES-SE(カトーテック(株)製)にて摩擦係数と摩擦係数の変動を評価した。サンプルは、実施例1乃至5で得られた粒子を用いた。また、比較例1として、合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株)製)、比較例2として、微結晶セルロース粉末(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)と合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株)製)を1:4(w/w)の混合比で攪拌混合した粉末、比較例3として、マイカ(セリサイトFSE、三信鉱工(株))を用いた。なお、センサーは10mm角シリコンワイヤーを用い、測定距離を20mm、静荷重を25gf、測定速度を1.0mm/sec、接触面幅を10mmに設定した。結果を表4に示した。MIUは平均摩擦係数を指し、人の指で物体の表面を触るときに感じる、すべりやすさを表す指標である。MIUの数値が小さいほどすべりやすく、数値が大きいほどすべりにくい。MMDは平均摩擦係数の変動を指し、人の指で物体の表面を触るときに感じる、なめらかさやざらつき感を表す指標である。MMDの数値が小さいほど、なめらかであり、数値が大きいほど、ざらつきを感じる。
[評価例7:吸油量評価]
JIS規格(K 5101-13-1:2004 (ISO 787-5:1980))を参考に吸油量評価を行った。秤量皿へ秤量した評価粒子に対し、亜麻仁油(サミット製油(株)製)をスポイトで徐々に滴下し、都度ヘラで混錬する操作を繰り返し、亜麻仁油及び評価粒子の塊ができるまで滴下を続けた。粉末が滑らかなペースト状となったところを終点とした。このペーストは、割れたり、ぼろぼろになったりせず広げることができ、かつ、測定板に軽く付着する程度のものとする。終点における評価粒子重量(g)に対する亜麻仁油滴下量(g)から、吸油量(g/100g)を算出した。評価粒子として、実施例1乃至5で得られた粒子を用いた。また、比較例1として、合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株)製)、比較例2として、微結晶セルロース粉末(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)と合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株)製)を1:4(w/w)の混合比で攪拌混合した粉末、比較例3として、マイカ(セリサイトFSE、三信鉱工(株))を用いた。結果を表5に示した。
JIS規格(K 5101-13-1:2004 (ISO 787-5:1980))を参考に吸油量評価を行った。秤量皿へ秤量した評価粒子に対し、亜麻仁油(サミット製油(株)製)をスポイトで徐々に滴下し、都度ヘラで混錬する操作を繰り返し、亜麻仁油及び評価粒子の塊ができるまで滴下を続けた。粉末が滑らかなペースト状となったところを終点とした。このペーストは、割れたり、ぼろぼろになったりせず広げることができ、かつ、測定板に軽く付着する程度のものとする。終点における評価粒子重量(g)に対する亜麻仁油滴下量(g)から、吸油量(g/100g)を算出した。評価粒子として、実施例1乃至5で得られた粒子を用いた。また、比較例1として、合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株)製)、比較例2として、微結晶セルロース粉末(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)と合成マイカ(NK-8G、日本光研工業(株)製)を1:4(w/w)の混合比で攪拌混合した粉末、比較例3として、マイカ(セリサイトFSE、三信鉱工(株))を用いた。結果を表5に示した。
[評価例8:粒子の断面及び空隙率の算出方法]
シリコンウエハ上に銀ペーストを塗布した後、実施例1で得られた粒子をふりかけた。次いで、余分なサンプルをエアブローで除去した後、イオンスパッタMC1000((株)日立製)を用いて15mAで100秒間白金を蒸着し、サンプルを作製した。集束イオンビーム-走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)Helios NanoLab G3(Thermo Fisher Scientific製)を用いて、加速電圧1kV、電流値0.1nAで、このサンプルの断面を作製し、観察を行った。観察より得られた反射電子像をAvizo 9.5 software(Thermo Fisher Scientific製)を用いて解析し、下記の式に従い空隙率を算出した。なお、試験は3回実施した。
シリコンウエハ上に銀ペーストを塗布した後、実施例1で得られた粒子をふりかけた。次いで、余分なサンプルをエアブローで除去した後、イオンスパッタMC1000((株)日立製)を用いて15mAで100秒間白金を蒸着し、サンプルを作製した。集束イオンビーム-走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)Helios NanoLab G3(Thermo Fisher Scientific製)を用いて、加速電圧1kV、電流値0.1nAで、このサンプルの断面を作製し、観察を行った。観察より得られた反射電子像をAvizo 9.5 software(Thermo Fisher Scientific製)を用いて解析し、下記の式に従い空隙率を算出した。なお、試験は3回実施した。
実施例1で得られた粒子の断面観察像を、図3(a)に、空隙率の算出に用いた粒子断面全体をハイライトした像とその面積(断面積)を図3(b)に、粒子断面の空隙部分をハイライトした像とその面積(空隙面積)を図3(c)に示した。粒子の空隙率の平均値を表6に示した。
[参考合成例3:微結晶セルロース:タルク1:4分散液]
タルク(MMR、浅田製粉(株))4.0kgをイオン交換水20kgに分散させた後、湿式微粒化装置スターバースト((株)スギノマシン製)にて150MPaで2回粉砕処理を行った。そこへ、微結晶セルロース(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)1.0kgを加え、さらに2回粉砕処理を行うことで、表題の微結晶セルロース:タルク1:4分散液を得た。
タルク(MMR、浅田製粉(株))4.0kgをイオン交換水20kgに分散させた後、湿式微粒化装置スターバースト((株)スギノマシン製)にて150MPaで2回粉砕処理を行った。そこへ、微結晶セルロース(コンプレッセルM101、(株)伏見製薬所製)1.0kgを加え、さらに2回粉砕処理を行うことで、表題の微結晶セルロース:タルク1:4分散液を得た。
[実施例6:セルロース:タルク=1:4 w/wの粒子]
参考合成例3で得られた分散液7.95kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量8.5kg/h、噴霧圧力0.3MPa、入口温度250℃、出口温度97℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題粒子として1.32kgの粉末を得た。
参考合成例3で得られた分散液7.95kgを、RJ-10ノズル(大川原化工機(株)製)を装着したRL-5型(大川原化工機(株)製)スプレードライヤーにて、原液処理量8.5kg/h、噴霧圧力0.3MPa、入口温度250℃、出口温度97℃、サイクロン差圧1.7kPaで噴霧乾燥し、表題粒子として1.32kgの粉末を得た。
[実施例7:セルロース:合成マイカ=1:4 w/wの粒子のステアリン酸マグネシウムによる表面処理]
実施例1と同様の方法で得られた粒子0.45gとステアリン酸マグネシウム(日油(株)製)0.05gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のステアリン酸マグネシウムで表面処理された粉末を得た。
実施例1と同様の方法で得られた粒子0.45gとステアリン酸マグネシウム(日油(株)製)0.05gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のステアリン酸マグネシウムで表面処理された粉末を得た。
[実施例8:セルロース:天然マイカ=1:4 w/wの粒子のステアリン酸マグネシウムによる表面処理]
実施例5と同様の方法で得られた粒子0.5gとステアリン酸マグネシウム(日油(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のステアリン酸マグネシウムで表面処理された粉末を得た。
実施例5と同様の方法で得られた粒子0.5gとステアリン酸マグネシウム(日油(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のステアリン酸マグネシウムで表面処理された粉末を得た。
[実施例9:セルロース:タルク=1:4 w/wの粒子のステアリン酸マグネシウムによる表面処理]
実施例6と同様の方法で得られた粒子0.5gとステアリン酸マグネシウム(マグネシウムステアレート、日油(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のステアリン酸マグネシウムで表面処理された粉末を得た。
実施例6と同様の方法で得られた粒子0.5gとステアリン酸マグネシウム(マグネシウムステアレート、日油(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のステアリン酸マグネシウムで表面処理された粉末を得た。
[実施例10:セルロース:合成マイカ=1:4 w/wの粒子のアミホープ(登録商標)LLによる表面処理]
実施例1と同様の方法で得られた粒子0.5gとアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)で表面処理された粉末を得た。
実施例1と同様の方法で得られた粒子0.5gとアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)で表面処理された粉末を得た。
[実施例11:セルロース:天然マイカ=1:4 w/wの粒子のアミホープ(登録商標)LLによる表面処理]
実施例5と同様の方法で得られた粒子0.5gとアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)で表面処理された粉末を得た。
実施例5と同様の方法で得られた粒子0.5gとアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)で表面処理された粉末を得た。
[実施例12:セルロース:タルク=1: 4w/wの粒子のアミホープ(登録商標)LLによる表面処理]
実施例6と同様の方法で得られた粒子0.5gとアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)で表面処理された粉末を得た。
実施例6と同様の方法で得られた粒子0.5gとアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のアミホープ(登録商標)LL(味の素(株)製)で表面処理された粉末を得た。
[実施例13:セルロース:合成マイカ=1:4 w/wの粒子のホホバワックスによる表面処理]
実施例1と同様の方法で得られた粒子0.5gとホホバワックス(日光ケミカルズ(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のホホバワックスで表面処理された粉末を得た。
実施例1と同様の方法で得られた粒子0.5gとホホバワックス(日光ケミカルズ(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のホホバワックスで表面処理された粉末を得た。
[実施例14:セルロース:天然マイカ=1:4 w/wの粒子のホホバワックスによる表面処理]
実施例5と同様の方法で得られた粒子0.5gとホホバワックス(日光ケミカルズ(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のホホバワックスで表面処理された粉末を得た。
実施例5と同様の方法で得られた粒子0.5gとホホバワックス(日光ケミカルズ(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のホホバワックスで表面処理された粉末を得た。
[実施例15:セルロース:タルク=1:4 w/wの粒子のホホバワックスによる表面処理]
実施例6と同様の方法で得られた粒子0.5gとホホバワックス(日光ケミカルズ(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のホホバワックスで表面処理された粉末を得た。
実施例6と同様の方法で得られた粒子0.5gとホホバワックス(日光ケミカルズ(株)製)0.2gを、VORTEX3(IKA製)にて3分間攪拌混合後、アルミトレー上に混合した粉末を広げ、ホットプレート上で加熱しながら薬さじで混合、破砕した。その後、室温へ冷却することによって、表題のホホバワックスで表面処理された粉末を得た。
[評価例9:撥水性評価]
実施例1、5乃至15で得られた各粉末0.1gを、50mLビーカーに秤量した蒸留水50g上に浮かべ、3分間静置後、蒸留水の濁りや底へ沈んだ粉末の有無を目視にて確認し、濁りや沈殿があれば「撥水性なし」、無ければ「撥水性あり」として評価した。結果を表7に示した。
実施例1、5乃至15で得られた各粉末0.1gを、50mLビーカーに秤量した蒸留水50g上に浮かべ、3分間静置後、蒸留水の濁りや底へ沈んだ粉末の有無を目視にて確認し、濁りや沈殿があれば「撥水性なし」、無ければ「撥水性あり」として評価した。結果を表7に示した。
本発明の粒子は、天然素材で柔らかく、かつ光散乱性に優れている。したがって、光拡散剤等として、工業分野への適用が可能である。加えて、本発明の粒子は、その表面に凹凸構造を有することから(すなわち、孔又は空隙が適度に存在することから)柔らかく、かつ付着性に優れることから肌に直接触れる化粧品への添加に適している。本発明の粒子はまた、入射光が均一に光散乱するという優れた光学特性(光散乱性)を有することから遮蔽効果の発現が期待できるため、化粧下地、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、BBクリーム、コンシーラー、口紅、日焼け止め等のメーキャップ化粧品等への適用が好ましい。
Claims (14)
- 表面に凹凸構造を有し、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとを主成分として含む、粒子。
- 表面に皺状又は襞状の凹凸構造を有する、請求項1に記載の粒子。
- 空隙率が5~70%の範囲にある、請求項1又は2に記載の粒子。
- 粒径が0.5~500μmの範囲にある、請求項1~3のいずれかに記載の粒子。
- 光散乱率が50~200%の範囲にある、請求項1~4のいずれかに記載の粒子。
- セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、0.1~20質量部のタルク又はマイカを含む、請求項1~5のいずれかに記載の粒子。
- セルロースが、結晶セルロースである、請求項1~6のいずれかに記載の粒子。
- セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとの分散液を得る工程と、得られた分散液を噴霧乾燥する工程を含む、表面に凹凸構造を有し、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとを主成分とする粒子の製造方法。
- 分散液が、セルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカとの物理的な粉砕により得られる、請求項8に記載の製造方法。
- 分散液におけるセルロース又はセルロース誘導体とタルク又はマイカを含む固形分の濃度が、0.5~40質量%である、請求項8又は9に記載の製造方法。
- 分散液が、セルロース又はセルロース誘導体1質量部に対し、0.1~20質量部のタルク又はマイカを含む、請求項8乃至10のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の粒子、あるいは請求項8乃至11のいずれかに記載の製造方法により得られる粒子を含む、化粧品。
- セルロース又はセルロース誘導体と、タルク又はマイカとを主成分として含み、その表面が疎水性及び/又は親水性を有する、粒子。
- 前記粒子表面が疎水性を有する、請求項13に記載の粒子。
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PCT/JP2021/009459 WO2021182498A1 (ja) | 2020-03-11 | 2021-03-10 | 多糖複合粒子 |
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-
2020
- 2020-12-18 JP JP2020210020A patent/JP2023053420A/ja active Pending
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