JP2024007100A - 回路基板の解析装置および解析方法 - Google Patents

回路基板の解析装置および解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回路基板におけるインピーダンス特異点を適切に特定する。【解決手段】演算部は、回路基板の配置領域上に複数の観測点をメッシュ状に配置し、回路基板の基準点から各観測点までのインピーダンスの周波数特性を算出し、周波数特性を用いて基準周波数におけるインピーダンスを算出する処理を各観測点に対して実行し、各観測点のインピーダンスを用いて回路基板におけるインピーダンス特異点を抽出する抽出処理を行なう。演算部は、抽出処理において、各観測点を判定対象点として、判定対象点の周辺に配置される周辺観測点群のインピーダンスの平均を算出し、周辺観測点群のインピーダンスの平均に対して判定対象点のインピーダンスが乖離している場合に、当該判定対象点をインピーダンス特異点として抽出する。【選択図】図6

Description

本開示は、回路基板を解析する技術に関する。
特開2009-223885号公報(特許文献1)には、熟練設計者でなくとも短時間でノイズの低いプリント基板の設計が可能なプリント基板設計支援装置が開示されている。この設計支援装置は、プリント基板の設計データを入手し、入出されたプリント基板をメッシュ状に分割し、メッシュ毎に等価回路を計算し、計算されたメッシュ毎の等価回路を各端子で接続してプリント基板全体の等価回路モデルを生成する。そして、生成された等価回路モデルを用いて、電源端子から見たプリント基板のインピーダンスの絶対値を計算し、計算されたインピーダンス絶対値を評価する。
特開2009-223885号公報
特開2009-223885号公報に開示された設計支援装置は、電源端子を基準点とし、回路基板の特定の観測点に注目してその観測点と基準点との間のインピーダンスを算出し、算出されたインピーダンスの絶対値を評価している。そのため、特定の観測点におけるインピーダンスを評価することはできるが、その観測点のインピーダンスがその周辺領域のインピーダンスと比べて特異な値であるか否かを認識することはできない。したがって、回路基板全体のうち、どの箇所がインピーダンス特異値を持つ箇所(インピーダンス特異点)なのかを特定することはできない。
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、回路基板におけるインピーダンス特異点を適切に特定することである。
(第1項) 本開示による回路基板の解析装置は、回路基板の設計データが入力される入力部と、設計データに基づいて回路基板の解析を行なう演算部とを備える。演算部は、回路基板の配置領域上に複数の観測点をメッシュ状に配置し、回路基板の基準点から各観測点までのインピーダンスの周波数特性を算出し、周波数特性を用いて基準周波数におけるインピーダンスを算出する処理を各観測点に対して実行し、各観測点のインピーダンスを用いて回路基板におけるインピーダンス特異点を抽出する抽出処理を行なう。演算部は、抽出処理において、各観測点を判定対象点として、判定対象点の周辺に配置される周辺観測点群のインピーダンスの平均を算出し、周辺観測点群のインピーダンスの平均に対して判定対象点のインピーダンスが乖離している場合に、当該判定対象点をインピーダンス特異点として抽出する。
(第2項) 第1項に記載の回路基板の解析装置において、回路基板の配置領域には第1部分と第1部分とは異なる第2部分とが含まれる。演算部は、第1部分における観測点の密度と第2部分における観測点の密度とを互いに異ならせる。
(第3項) 第1または2項に記載の回路基板の解析装置において、演算部は、抽出処理において、周辺観測点群のインピーダンスの平均に対して判定対象点のインピーダンスが閾値以上乖離している場合に、当該判定対象点をインピーダンス特異点として抽出する。
(第4項) 第1項に記載の回路基板の解析装置において、表示装置をさらに備える。演算部は、複数の観測点のインピーダンスを複数の観測点の配置順に並べてグラフ化した画像を表示装置に表示させる。
(第5項) 本開示による回路基板の解析方法は、回路基板の配置領域上に複数の観測点をメッシュ状に配置するステップと、回路基板の基準点から各観測点までのインピーダンスの周波数特性を算出するステップと、周波数特性を用いて基準周波数におけるインピーダンスを算出する処理を各観測点に対して実行するステップと、各観測点のインピーダンスを用いて回路基板におけるインピーダンス特異点を抽出する抽出処理を行なうステップとを含む。抽出処理を行なうステップは、各観測点を判定対象点として、判定対象点から所定範囲内に配置される周辺観測点群のインピーダンスの平均を算出するステップと、周辺観測点群のインピーダンスの平均に対して判定対象点のインピーダンスが乖離している場合に、当該判定対象点をインピーダンス特異点として抽出するステップとを含む。
本開示によれば、回路基板におけるインピーダンス特異点を適切に特定することができる。
解析システムの全体構成を概略的に示す図である。 回路基板の断面を模式的に示す図である。 観測点の配置例を示す図(その1)である。 各観測点のインピーダンス周波数特性の一例を示す図である。 インピーダンス特異点の抽出手法の一例を説明するための図である。 演算部の処理手順の一例を示すフローチャートである。 観測点の配置例を示す図(その2)である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<システム構成>
図1は、本実施の形態に係る解析システム1の全体構成を概略的に示す図である。解析システム1は、回路基板10のインピーダンス特性の解析を行なう。
回路基板10は、電子部品が実装される上面10aおよび下面10bを有する、略矩形状の基板である。なお、図1には、回路基板10の上面図(Top View)が示されている。以下では、回路基板10の上面10aの長手方向および短手方向をそれぞれX軸方向およびY軸方向とも称し、回路基板10の高さ(厚さ)方向をZ軸方向とも称する。
図2は、回路基板10の断面を模式的に示す図である。回路基板10は、基板本体18と、集積回路21~23と、電子部品31~36とを含む。
基板本体18は、4層のプリント基板11~14と、3層の絶縁層15~17とを含む。4層のプリント基板11~14は、回路基板10の上面10aから下面10bまでの間に、この順に配置される。絶縁層15はプリント基板11,12の間に配置され、絶縁層16はプリント基板12,13の間に配置され、絶縁層17はプリント基板13,14の間に配置される。
集積回路21~23は、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどの多数の素子とそれらを結ぶ金属配線とが一枚の半導体基板の上に一体的に形成された回路である。集積回路21~23は、たとえばLSI(Large-Scale Integration、大規模集積回路)であってもよい。電子部品31~36は、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどの回路素子である。集積回路21~23および電子部品31~36は、基板本体18内の金属配線によって所定の接続パターンで電気的に接続されている。
なお、本実施の形態では、集積回路21~23および電子部品31~33は回路基板10の上面10aに配置され、電子部品34~36は回路基板10の下面10bに配置される。
図1に戻って、解析システム1は、解析対象である回路基板10の設計データが記憶されたデータベース70と、ユーザによって操作されるキーボード等の入力装置80と、画像等を表示するための表示装置90と、解析装置100とを備える。
解析装置100は、ポート101~103と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を含む記憶部110と、CPU(Central Processing Unit)等を含む演算部120とを備える。
ポート101は、データベース70を接続するためのインターフェースであり、データベース70と解析装置100との間のデータの入出力を実現する。ポート102は、入力装置80を接続するためのインターフェースであり、入力装置80と解析装置100との間のデータの入出力を実現する。ポート103は、表示装置90を接続するためのインターフェースであり、表示装置90と解析装置100との間のデータの入出力を実現する。
記憶部110は、演算部120により実行されるプログラムを格納する。また、記憶部110は、演算部120におけるプログラムの実行により生成されるデータと、データベース70からポート101に入力される回路基板10の設計データとを一時的に格納する。
演算部120は、回路基板10の設計データに対して演算部120に格納されたプログラムに基づく処理を実行することによって、回路基板10の解析処理を行なう。演算部120は、回路基板10の解析結果を示す画像を表示装置90に表示させることができる。
<回路基板10の解析処理>
演算部120は、データベース70からポート101に入力される回路基板10の設計データに対して、以下のような解析処理を実行する。
まず、演算部120は、回路基板10の設計データから回路基板10の配置領域を特定し、たとえばユーザの入力指示に従って、回路基板10の配置領域上に複数の観測点をメッシュ状に配置する。なお、観測点は、回路基板10のプリント基板11~14のそれぞれに対して配置される。
図3は、回路基板10のプリント基板11における複数の観測点の配置例を示す図である。図3に示す例では、プリント基板11が配置される領域がX軸方向およびY軸方向に一定間隔で分割されて複数のメッシュ(要素)が形成されている。観測点は、複数のメッシュ内の予め定められた点(たとえば面中心)に配置される。このような観測点の配置が、プリント基板11~14のそれぞれに対して行なわれる。
なお、図3に示される基準点P0は、たとえば、図示しない外部の電源から供給される電力を受ける電源端子の位置に予め設定されている。
観測点の配置が完了すると、演算部120は、複数の観測点の各々について、基準点P0から各観測点までのインピーダンスの周波数特性を算出する。たとえば、演算部120は、基準点P0から各観測点までのインピーダンスの周波数特性を、Sパラメータ解析を実行できるシミュレータを利用して算出する。すなわち、本実施の形態による演算部120は、インピーダンスの周波数特性を実測するのではなく、シミュレーションによりSパラメータを算出し、算出されたSパラメータをインピーダンス値に変換することによって、基準点P0から各観測点までのインピーダンスの周波数特性を算出する。
具体的には、演算部120は、回路基板10の設計データを読み込んで、回路基板10の3次元の形状情報、回路基板10内のプリント基板11~14の物理定数(電気伝導度、比誘電率など)、および、電子部品31~36の情報を認識する。
そして、演算部120は、たとえばユーザによって指定されたスイープ周波数帯および解析ステップに基づいて、各観測点に対してSパラメータ解析(信号源の周波数の変化に対して観測点の利得と位相がどのように変化するかを観測する処理)を実施することにより、各観測点のSパラメータを算出する。そして、演算部120は、算出されたSパラメータをインピーダンス値に変換する。これにより、基準点P0から各観測点までのインピーダンスの周波数特性が算出される。
図4は、演算部120によって算出された、各観測点のインピーダンス周波数特性の一例を示す図である。なお、図4には、4つの観測点P11,P12,P21,P22におけるインピーダンスの周波数特性が例示されている。各観測点の周波数特性において、横軸はSパラメータ解析に用いる信号源の周波数を示し、縦軸はインピーダンスを示す。
図4に示されるように、周波数に対するインピーダンスの値は、各観測点毎に異なっている。特に、低周波数帯では、いずれの観測点においても周波数の増加に伴ってインピーダンスが単調に低下する傾向が見られるが、回路基板10で使用されることが想定される基準周波数f0が含まれる高周波数帯では、周波数に対するインピーダンスの変化の態様が観測点毎に大きく異なっている。したがって、回路基板10に入力される信号が基準周波数f0近傍の高周波信号である場合、各観測点におけるインピーダンスが大きく異なり得る。
そのため、演算部120は、各観測点のインピーダンスの周波数特性を用いて、基準周波数f0におけるインピーダンスを算出する処理を各観測点に対して実行する。そして、演算部120は、基準周波数f0における各観測点のインピーダンスを用いて回路基板10におけるインピーダンス特異点を抽出する抽出処理を行なう。なお、回路基板10で使用される信号の周波数が変動することが想定される場合には、その変動範囲をカバーできるように、基準周波数f0を複数設定し、各基準周波数f0毎に上記の抽出処理を行なうようにすればよい。
演算部120は、インピーダンス特異点を抽出する抽出処理において、各観測点を判定対象点として、判定対象点から所定範囲内に配置される周辺観測点群のインピーダンスの平均を算出し、周辺観測点群のインピーダンスの平均に対して判定対象点のインピーダンスが乖離している場合にその判定対象点をインピーダンス特異点として抽出する。
図5は、演算部120によるインピーダンス特異点の抽出手法の一例を説明するための図である。図5において、横軸は回路基板10の配置領域におけるX軸方向の位置を示し、縦軸は基準周波数f0におけるインピーダンスを示す。
図5に示す例では、演算部120は、X軸方向の位置が第1点x1から第2点x2までの領域R1内の観測点については、領域R1内の観測点群を周辺観測点群として、領域R1内の観測点群のインピーダンス平均Zave1を算出し、インピーダンス平均Zave1から閾値以上乖離しているインピーダンスを有する観測点をインピーダンス特異点として抽出する。図5に示す例では、点線枠α内の観測点がインピーダンス特異点として抽出されている。
X軸方向の位置が第2点x2から第3点x3までの領域R2内の観測点については、演算部120は、領域R2内の観測点群を周辺観測点群として、領域R2内の観測点群のインピーダンス平均Zave2を算出し、インピーダンス平均Zave2から閾値以上乖離しているインピーダンスを有する観測点をインピーダンス特異点として抽出する。
図5に示す例では、点線枠α内のインピーダンスの大きさと点線枠β内のインピーダンスの大きさとはあまり差はない。しかしながら、点線枠α内の観測点が含まれる領域R1のインピーダンス平均Zave1が比較的低く点線枠α内のインピーダンスが領域R1のインピーダンス平均Zave1から閾値以上乖離しているため、点線枠α内のインピーダンスがインピーダンス特異点として抽出される。
その一方で、点線枠β内の観測点が含まれる領域R2のインピーダンス平均Zave2は比較的高く点線枠β内のインピーダンスが領域R2のインピーダンス平均Zave2から閾値以上乖離はしていないため、点線枠β内のインピーダンスはインピーダンス特異点としては抽出されない。
ただし、点線枠β内のインピーダンスは領域R2のインピーダンス平均Zave2からやや乖離しているように見えるため、注意すべき観測点ではある。この点に鑑み、演算部120は、基準周波数f0におけるインピーダンスを回路基板10の全領域に亘って俯瞰描画した画像を表示装置90に表示させる。言い換えれば、演算部120は、基準周波数f0における全観測点のインピーダンスを観測点の配置順に並べてグラフ化した画像を表示装置90に表示させる。たとえば、演算部120は、回路基板10の配置領域をX軸およびY軸を含むXY平面に配置し、X軸方向の位置およびY軸方向の位置に対するインピーダンスの大きさがZ軸方向に示されるような画像を表示装置90に表示させる。すなわち、回路基板10のイメージ画像の上に、インピーダンスがどのように分布するのかを空間的に表示させる。これにより、ユーザは、表示装置90に表示された画像を見ながら、注意すべき観測点の位置を確認することができる。
なお、演算部120が、俯瞰描画した画像を表示装置90に表示させる際に、インピーダンス特異点を他の観測点とは異なる態様で目立つように表示させるようにしてもよい。また、点線枠β内のような注意すべき観測点についても、インピーダンス特異点およびその他の観測点とは異なる態様で表示させることによって、ユーザに注意を促すようにしてもよい。
図6は、演算部120がインピーダンス特異点を抽出する際に行なう処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、たとえばユーザが解析開始指令を入力装置80に入力した場合に開始される。なお、図6に示す処理は上述したように回路基板10のプリント基板11~14のそれぞれに対して行なわれるが、図6ではプリント基板11~14を区別することなく「回路基板10」と記載している。
演算部120は、回路基板10の設計データを読み込んで、回路基板10の配置領域を特定する(ステップS10)。
次いで、演算部120は、回路基板10の配置領域に、基準点P0を設定する(ステップS10)。たとえば、基準点P0が予めユーザによって指定されている場合には、演算部120は、ユーザによる指定箇所を基準点P0に設定する。また、たとえば、演算部120が回路基板10の設計データから電源端子が配置されている位置を特定し、電源端子が配置されている位置を基準点P0に設定するようにしてもよい。
次いで、演算部120は、回路基板10の配置領域上に、複数の観測点をメッシュ状(上述の図3参照)に配置する(ステップS20)。
次いで、演算部120は、複数の観測点をいくつかのグループに層別する(ステップS30)。なお、この処理は、1回の解析で扱えるデータ量に制限があることに鑑みて、複数の観測点をグループ化することで1回の解析で扱うデータ量を抑えるためのものである。
次いで、演算部120は、基準点P0からグループ内の各観測点までのインピーダンスの周波数特性(上述の図4参照)を算出する(ステップS40)。
次いで、演算部120は、全グループに対してステップS40の処理を実施したか否かを判定する(ステップS50)
全グループに対してステップS40の処理が実施していない場合(ステップS50においてNO)、演算部120は、全グループに対してステップS40の処理が実施されるのを待つ。
全グループに対してステップS40の処理が実施されている場合(ステップS50においてYES)、演算部120は、各観測点の基準周波数f0におけるインピーダンスを算出する(ステップS60)。
次いで、演算部120は、インピーダンス特異点の抽出処理を行なう(ステップS70)。具体的には、演算部120は、上述したように、各観測点を判定対象点として、判定対象点の周辺に配置される周辺観測点群のインピーダンス平均Zaveを算出し、周辺観測点群のインピーダンス平均Zaveに対して判定対象点のインピーダンスが閾値以上乖離している場合に、当該判定対象点をインピーダンス特異点として抽出する。演算部120は、このような抽出処理を全観測点に対して行なう。なお、周辺観測点群については、たとえば、判定対象点を中心する所定範囲内に配置される観測点群としてもよいし、判定対象点が配置される領域毎に予め設定された範囲内に配置される観測点群としてもよい。
次いで、演算部120は、基準周波数f0におけるインピーダンスを回路基板10の全領域に亘って俯瞰描画した画像を表示装置90に表示させる(ステップS80)。たとえば、演算部120は、基準周波数f0における全観測点のインピーダンスを観測点の配置順に並べてグラフ化した画像を表示装置90に表示させる。
以上のように、本実施の形態による演算部120は、回路基板10の配置領域上に複数の観測点をメッシュ状に配置し、回路基板の基準点P0から各観測点までのインピーダンスの周波数特性を算出する。そして、演算部120は、算出された周波数特性を用いて基準周波数f0における各観測点のインピーダンスを算出し、各観測点のインピーダンスを用いてインピーダンス特異点を抽出する。
インピーダンス特異点を抽出する際、演算部120は、各観測点を判定対象点として、判定対象点の周辺に配置される周辺観測点群のインピーダンス平均Zaveを算出し、周辺観測点群のインピーダンス平均Zaveに対して判定対象点のインピーダンスが閾値以上乖離している場合に、当該判定対象点をインピーダンス特異点として抽出する。
このように、本実施の形態においては、特定の観測点に注目するのではなく、回路基板10の全体を網羅的に観測し、各観測点とその周辺領域の観測点との相対値比較によってインピーダンス特異点を特定する。そのため、特定の観測点のみに注目する場合に比べて、回路基板10の全体のうちのどの箇所がインピーダンス特異点なのかを適切に特定することができる。また、解消すべきインピーダンス特異点の位置を特定することができるので、回路基板10のEMC(Electromagnetic Compatibility)特性の向上にも寄与することができる。
さらに、本実施の形態による演算部120は、周辺観測点群のインピーダンス平均Zaveに対して判定対象点のインピーダンスが「閾値」以上乖離している場合に、当該判定対象点をインピーダンス特異点として抽出する。そのため、「閾値」の大きさを調整することで、インピーダンス特異点の抽出感度(解析感度)を簡単に調整することができる。
さらに、本実施の形態による演算部120は、基準周波数f0における全観測点のインピーダンスを観測点の配置順に並べてグラフ化した画像を表示装置90に表示させる。これにより、ユーザは、表示装置90に表示された画像を見ながら、インピーダンス特異点のインピーダンスが周辺観測点のインピーダンスからどの程度乖離しているのかを確認したり、あるいは、インピーダンス特異点以外の注意すべき観測点の位置を確認したり、することができる。
<変形例>
上述の実施の形態においては回路基板10の配置領域に一定間隔で観測点を配置したが、効率的な解析を行なうために、指定エリア毎に観測点を粗密化するようにしてもよい。
図7は、本変形例による観測点の配置例を示す図である。図7に示す例では、詳しい観測が必要なエリアとして、集積回路21と電子部品31とを含むエリアA1、集積回路22と電子部品32とを含むエリアA2、および集積回路23と電子部品33とを含むエリアA3が指定されている。そして、エリアA1,A2,A2内の観測点の配置密度が密となり、エリアA1,A2,A2以外の観測点の配置密度が粗くなるように、観測点(メッシュ)が配置されている。さらに、図7に示す例では、エリアA1内の観測点の配置密度が、エリアA1,A2内の観測点の配置密度よりも高くなるように、観測点(メッシュ)が配置されている。
このように、回路基板10の配置領域における指定エリアの観測点の密度と、指定エリア以外の観測点の密度とを互いに異ならせるようにしてもよい。このようにすることで、たとえば詳しい観測が必要な領域内の観測点数を多くし、そうでない領域内の観測点数を少なくすることができる。その結果、解析精度を確保しつつ、解析に要する演算負荷を軽減することができる。
なお、より効率的に解析を行なうために、第1回目の解析では全体の観測点の配置密度を粗くしておき、その結果で観測点の配置密度を密にする領域(詳しい観測を行なう領域)を決めるようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 解析システム、10 回路基板、10a 上面、10b 下面、11~14 プリント基板、15~17 絶縁層、18 基板本体、21~23 集積回路、31~36 電子部品、70 データベース、80 入力装置、90 表示装置、100 解析装置、101,102,103 ポート、110 記憶部、120 演算部。

Claims (5)

  1. 回路基板の解析装置であって、
    前記回路基板の設計データが入力される入力部と、
    前記設計データに基づいて前記回路基板の解析を行なう演算部とを備え、
    前記演算部は、
    前記回路基板の配置領域上に複数の観測点をメッシュ状に配置し、
    前記回路基板の基準点から各前記観測点までのインピーダンスの周波数特性を算出し、
    前記周波数特性を用いて基準周波数におけるインピーダンスを算出する処理を各前記観測点に対して実行し、
    各前記観測点の前記インピーダンスを用いて前記回路基板におけるインピーダンス特異点を抽出する抽出処理を行ない、
    前記演算部は、前記抽出処理において、各前記観測点を判定対象点として、
    前記判定対象点の周辺に配置される周辺観測点群のインピーダンスの平均を算出し、
    前記周辺観測点群のインピーダンスの平均に対して前記判定対象点のインピーダンスが乖離している場合に、当該判定対象点をインピーダンス特異点として抽出する、回路基板の解析装置。
  2. 前記回路基板の配置領域には第1部分と前記第1部分とは異なる第2部分とが含まれ、
    前記演算部は、前記第1部分における観測点の密度と前記第2部分における観測点の密度とを互いに異ならせる、請求項1に記載の回路基板の解析装置。
  3. 前記演算部は、前記抽出処理において、前記周辺観測点群のインピーダンスの平均に対して前記判定対象点のインピーダンスが閾値以上乖離している場合に、当該判定対象点をインピーダンス特異点として抽出する、請求項1または2に記載の回路基板の解析装置。
  4. 表示装置をさらに備え、
    前記演算部は、前記複数の観測点のインピーダンスを前記複数の観測点の配置順に並べてグラフ化した画像を前記表示装置に表示させる、請求項1に記載の回路基板の解析装置。
  5. 回路基板の解析方法であって、
    前記回路基板の配置領域上に複数の観測点をメッシュ状に配置するステップと、
    前記回路基板の基準点から各前記観測点までのインピーダンスの周波数特性を算出するステップと、
    前記周波数特性を用いて基準周波数におけるインピーダンスを算出する処理を各前記観測点に対して実行するステップと、
    各前記観測点の前記インピーダンスを用いて前記回路基板におけるインピーダンス特異点を抽出する抽出処理を行なうステップとを含み、
    抽出処理を行なうステップは、各前記観測点を判定対象点として、
    前記判定対象点から所定範囲内に配置される周辺観測点群のインピーダンスの平均を算出するステップと、
    前記周辺観測点群のインピーダンスの平均に対して前記判定対象点のインピーダンスが乖離している場合に、当該判定対象点をインピーダンス特異点として抽出するステップとを含む、回路基板の解析方法。
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