JP2024006542A - 金属板の成形限界取得方法及び装置 - Google Patents

金属板の成形限界取得方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】曲げ変形の影響を考慮して金属板の成形限界を取得することができる金属板の成形限界取得方法及び装置を提供する。【解決手段】本発明に係る金属板の成形限界取得方法は、先端部11a1の曲率が異なる複数の球頭パンチ11aを用いて、金属板の試験片100を種々の曲げ変形度で張出成形し、張出成形した試験片100の曲げ変形度と、該曲げ変形度で張出成形した試験片100の最大主ひずみ及び最小主ひずみと、の関係で表される金属板の成形限界を求めることを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属板の曲げ変形度を考慮して該金属板の成形限界を求める金属板の成形限界取得方法及び装置に関する。
自動車車体の材料として用いられる金属板は、大部分がプレス成形によって車体部品へと加工される。車体部品のプレス成形性は車体部品の形状によって異なるが、材料である鋼板等といった金属板の延性をはじめとする材料特性の影響も大きい。また、近年の車体軽量化に対する要望から、車体部品に用いられる鋼板等の金属板の高強度化が進められている。しかしながら、金属板の高強度化に伴って延性が低下することによりプレス成形において割れが生じやすくなり、プレス成形性が低下してしまう。
そこで、プレス成形による車体部品の量産中における割れ発生といったトラブル回避のため、CAE(Computer Aided Engineering)によるプレス成形性の事前予測に基づいた金型設計が重要となっている。さらに、プレス成形における割れ発生の事前予測を精度良く行うために、鋼板等の金属板の成形限界を精度良く判定する技術の重要性が高まっている。
金属板の成形限界の判定には、通常、成形限界線図(Forming Limit Diagram;以下、「FLD」と称する)が用いられる。
FLDはプレス成形における各変形様式(等二軸変形、不等二軸変形、平面ひずみ変形、単軸変形)での成形限界を実験室規模での成形試験により測定して作成するものである。そして、成形限界線図の作成においては、試験片の幅をいくつかの水準に変更して試験片の長軸方向と短軸方向の変形比率を変化させることにより、試験片の破断発生時における長軸方向と短軸方向それぞれのひずみを測定している。
一般的に、金属板のプレス成形においては、金属板が均一変形する過程に続いて、ひずみが特定の場所に集中する過程へと推移する。この過程では、金属板のひずみが集中する部位においてネッキングと呼ばれる板厚減少が発生し、板厚減少が進んだのちに破断が発生する。プレス成形ではネッキング発生は製品不良になるため、プレス成形品における製品不良の事前予測に用いるFLDにおいては、ネッキング発生直前のひずみ量で定義する必要がある。
さらに、引張強度が980MPaを超えるような高強度鋼板においては、10%程度の低ひずみ量でネッキングが発生し、その直後に破断が発生する。そのため、成形限界を精度よく判定する方法が提案されてきた。
ISO12004には、金属板の成形限界線(Forming Limit Curve;以下「FLC」と称する)を求める方法が規格化されている。本方法は、まず、破断まで張出成形した試験片の破断発生部の近傍におけるひずみ分布を測定し、測定したひずみ分布の近似曲線の極大値を成形限界ひずみとして求めるものである。
しかしながら、IS12004に規定されている方法では、破断発生部のひずみを十分に近似できず、成形限界ひずみを求めることができない場合があった。そこで、非特許文献2にはISO12004を改良した方法として、成形中に試験片に生じたひずみを連続的に計測し、破断発生部のひずみの時間変化からFLCを求める方法が提案されている。
また、特許文献1には、先端の最小曲率半径が3~10mmのパンチを用いて張出し成形し、パンチ先端部の金属板表面に亀裂が発生した時点における最大主ひずみおよび最小主ひずみを測定し、成形限界線図を作成する方法が提案されている。
特開2012-166252号公報
ISO 12004-2:2008, Metallic materials - Sheet and strip - Determination of forming-limit curves, 2008. W Hotz, M Merklein et al., "Time Dependent FLC Determination Comparison of Different Algorithms to Detect the Onset of Unstable Necking before Fracture", Key Engineering Materials, Vol. 549, pp.397-404, 2013.
ISO12004には、成形限界線を求める試験方法として、中島法とマルシニアック法の2通りの方法が規定されている。
中島法は、図9(a)に示すように、球頭パンチ43と上型ダイ45としわ押さえ47とを備えた成形金型41を用いて試験片100を張出成形する張出試験により成形限界を求める方法である。
一方、マルシニアック法は、図9(b)に示すように、平頭パンチ53と、上型ダイ55としわ押さえ57とを備えた成形金型51を用いるものである。そして、マルシニアック法では、平頭パンチ53と試験片100との間にドライビングシート110を挟んで試験片100を張出成形する張出試験により成形限界を求める。
中島法は、試験片100が球頭パンチ43の先端部43aの形状になじんだ状態で張出成形するものである。そのため、得られる成形限界(破断時の最大主ひずみ及び最小主ひずみ)は試験片100の曲げ変形の影響を受ける。
これに対し、マルシニアック法は、先端部53aが平面の平頭パンチ53を用いて張出成形するものである。そのため、試験片100は曲げ変形されず、得られる成形限界は試験片100の曲げ変形の影響を受けない。
また、一般的に、中島法により求めたFLDとマルシニアック法により求めたFLDとを比較すると、図9(c)に示すように、中島法により求めたFLDの方が1~2%程度ネッキング発生直前のひずみ量が大きくなる。延性の低い高強度材料(例えば、高張力鋼板等)のプレス成形においては、わずかなひずみ量の差でくびれ(ネッキング)発生に違いが生じる場合がある。そのため、これまでに、実際のプレス成形品で測定したひずみ量やCAEを用いたプレス成形解析結果から得られたひずみ量から、中島法とマルシニアック法のFLDを比較して成形限界の評価が行われてきた。
しかし、中島法ではプレス成形解析により得られたひずみ量からは割れ発生なしと予測されたプレス成形条件でも、実際の金属板のプレス成形品、特に980MPa以上の高強度鋼板の実プレス成形品では割れが発生する場合があった。また、マルシニアック法では割れ発生ありと予測されたプレス成形条件でも、実際のプレス成形品では割れが発生しない場合もあった。
このように、FLDに基づいた割れ発生有無の予測結果と実際のプレス成形品での割れ発生の有無とで大きく乖離している事例が多々発生して問題があった。
また、非特許文献2で提案されている方法は、ISO12004に比べて成形限界を精度が良く求めることができる。しかしながら、ISO12004と同様に、曲げ変形の程度を考慮して成形限界を求めることはできない。そのため、非特許文献2で提案されている方法により求めた成形限界線図に基づいて割れ発生の有無を予測した結果が、実際のプレス成形品の割れ発生の有無とは一致しない場合があった。
さらに、特許文献1の方法により作成される成形限界線は、鋼板の引張強さが980MPa級あるいは1180MPa級と高強度化、硬質化するのに伴い、くびれ(ネッキング)を起こすことなく鋼板表面からクラックが発生して割れに至る場合に特化したものである。そのため、中島法よりも成形限界ひずみは高くなり、実際のプレス成形において局所的なくびれの発生から板厚減少が進展して割れに至る延性支配の割れ発生を予測することはできなかった。
このように、実際のプレス成形は曲げ変形を受ける部位や受けない部位が混在し、さらに曲げ変形の程度も部位によって異なるにも関わらず、従来のFLDを求める方法では曲げ変形の程度が考慮されていなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、曲げ変形の影響を考慮して金属板の成形限界を求めることができる金属板の成形限界取得方法及び装置を提供することを目的とする。
<発明に至った経緯>
前述したように、中島法とマルシニアック法によるFLDの差は、ひずみで1~2%程度と小さいものの、延性の低い高張力鋼板ではわずかなひずみ(成形量)の差により破断の発生に違いが生じる。
発明者らは、中島法とマルシニアック法による成形限界に差が生じる原因の一つとして、成形限界試験における試験片の曲げ変形の有無に着目した。
前述したように、中島法では、試験片100は球頭パンチ43により張出成形されるため、成形限界は試験片100の曲げ変形の影響を受ける(図9(a))。一方、マルシニアック法では、試験片100は平頭パンチ53により張出成形されため、試験片100の曲げ変形の影響は受けない。
そこで、発明者らは、成形限界試験における試験片100の曲げ変形の影響を検討すべく、平面ひずみ(最小主ひずみ)=0の条件で、図9に示すように、先端部43aの曲率が異なる複数の球頭パンチ43及び平頭パンチ53を用いて張出試験を行った。そして、球頭パンチ43及び平頭パンチ53を用いた張出試験の結果に基づいて、それぞれの成形限界を求めた。
図10に、球頭パンチ43の先端部43aの曲率と、成形限界を表す最大主ひずみの関係を示す。なお、図10において、曲率0における最大主ひずみは、図9(b)に示す平頭パンチ53を用いた張出成形試験により求めたものである。
図10に示すように、先端部43aの曲率が大きくなるほど、すなわち、球頭パンチ43の先端部43aにより急峻な曲げ変形が加えられた張出成形の方が、成形限界となる最大主ひずみが大きくなることを見出した。この結果、実際のプレス成形における割れ発生の有無を予測するためには、曲げ変形の程度まで考慮して成形限界を求める必要があるという知見が得られた。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、具体的には、以下の構成を備えたものである。
(1)本発明に係る金属板の成形限界取得方法は、先端部の曲率が異なる複数の球頭パンチを用いて、金属板の試験片を種々の曲げ変形度で張出成形し、
張出成形した前記試験片の曲げ変形度と、該曲げ変形度で張出成形した前記試験片の最大主ひずみ及び最小主ひずみと、の関係で表される前記金属板の成形限界を求めることを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、
前記曲げ変形度は、前記球頭パンチの前記先端部の曲率で表わすことを特徴とするものである。
(3)本発明に係る金属板の成形限界取得方法は、曲げ変形度を考慮して金属板の成形限界を求めるものであって、
成形試験ステップと、成形限界解析ステップと、成形限界面作成ステップと、を含み、
前記成形試験ステップは、
前記金属板の表面に所定の格子又はひずみ解析用パターンを付した試験片を準備する試験片準備工程と、
前記格子又はひずみ解析用パターンを付した前記試験片の表面を撮影しながら、先端部の曲率が異なる複数の球頭パンチを用いて、前記試験片を種々の曲げ変形度で張出成形する張出成形工程と、
該張出成形工程において撮影した前記試験片表面の画像を解析し、前記張出成形した前記試験片の曲げ変形度ごとに、前記試験片に生じるひずみを測定するひずみ測定工程と、
張出成形した前記試験片の曲げ変形度ごとに測定した前記ひずみを成形開始から破断までの時系列順に記憶し、ひずみデータベースを構築するひずみデータベース構築工程と、を備え、
前記成形限界解析ステップは、
張出成形された前記試験片の曲げ変形度ごとに、前記試験片の破断発生部近傍のひずみ分布を前記ひずみデータベースから抽出するひずみ分布抽出工程と、
該抽出したひずみ分布から、前記試験片の曲げ変形度ごとに、該試験片の破断発生部における最大主ひずみと最小主ひずみとで表される成形限界ひずみを求める成形限界取得工程と、を備え、
前記成形限界面作成ステップは、
最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度を三軸とする三次元座標空間に、前記成形限界解析ステップにおいて前記曲げ変形度ごとに求めた前記成形限界ひずみをプロットする成形限界プロット工程と、
前記三次元座標空間にプロットした前記曲げ変形度ごとの前記成形限界ひずみに基づいて、最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度の関係で表される成形限界面を作成する成形限界面作成工程と、を備えることを特徴とするものである。
(4)上記(3)に記載のものにおいて、
前記成形限界面作成工程において、前記成形限界面として、曲げ変形度が同じ成形限界ひずみ群のプロットのうち隣接する2つのプロットと、該2つのプロットとは曲げ変形度が異なる成形限界ひずみ群のプロットのうち前記2つのプロットを結ぶ線分との距離がもっとも小さい1つのプロットと、を結ぶ複数の三角形平面からなる多角面を作成することを特徴とするものである。
(5)上記(3)に記載のものにおいて、
前記成形限界面作成工程において、成形限界平面又は成形限界曲面を仮定し、該仮定した成形限界平面又は成形限界曲面と前記三次元座標空間における曲げ変形度ごとの成形限界ひずみのプロットとの垂直距離の二乗和を求め、該求めた二乗和が最小となる前記成形限界平面又は前記成形限界曲面を決定することにより前記成形限界面を作成する、ことを特徴とするものである。
(6)上記(3)に記載のものにおいて、
前記成形限界面作成工程において、成形限界平面又は成形限界曲面を仮定し、該仮定した成形限界平面又は成形限界曲面と、前記三次元座標空間における曲げ変形度ごとの成形限界ひずみのプロットと、の垂直距離に重み付けをした二乗和を求め、該求めた二乗和が最小となるように前記成形限界平面又は成形限界曲面を決定することにより前記成形限界面を作成する、ことを特徴とするものである。
(7)上記(5)又は(6)に記載のものにおいて、
前記成形限界面作成工程において、複数の成形限界平面及び成形限界曲面を組み合わせて前記成形限界面を作成することを特徴とするものである。
(8)本発明に係る金属板の成形限界取得装置は、曲げ変形度を考慮して金属板の成形限界を求めるものであって、
成形試験部と、成形限界解析部と、成形限界面作成部と、を備え、
前記成形試験部は、
先端部の曲率が異なる複数の球頭パンチを有し、該複数の球頭パンチを用いて、表面に所定の格子又はひずみ解析パターンが付された前記金属板の試験片を種々の曲げ変形度で張出成形する成形金型と、
前記成形金型により前記試験片を張出成形する過程における前記試験片の表面を撮影する撮影装置と、
該撮影装置により撮影した前記試験片表面の画像を解析し、前記曲げ変形度ごとに、前記試験片に生じるひずみを測定するひずみ測定装置と、
前記測定した前記ひずみを、張出成形した前記試験片の曲げ変形度ごとに、成形開始から破断までの時系列順に記憶したひずみデータベースを構築するひずみデータベース構築装置と、を有し、
前記成形限界解析部は、
張出成形された前記試験片の曲げ変形度ごとに、前記試験片の破断発生部近傍のひずみ分布を前記ひずみデータベースから抽出するひずみ分布抽出装置と、
該抽出したひずみ分布から、前記試験片の曲げ変形度ごとに、該試験片の破断発生部における最大主ひずみと最小主ひずみとで表される成形限界ひずみを求める成形限界取得装置と、を有し、
前記成形限界面作成部は、
最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度を三軸とする三次元座標空間に、前記成形限界解析部により前記曲げ変形度ごとに求めた前記成形限界ひずみをプロットする成形限界プロット装置と、
前記三次元座標空間にプロットした前記成形限界に基づいて、最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度の関係で表される成形限界面を作成する成形限界面作成装置と、を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、金属板の試験片を種々の曲げ変形度で張出成形し、成形限界の指標として最大主ひずみ及び最小主ひずみに加えて曲げ変形度を求めることにより、曲げ変形の影響を考慮した金属板の成形限界を求めることができる。
さらに、本発明によれば、曲げ変形度と、最大主ひずみと、最小主ひずみと、の関係で表される成形限界面を求めることができる。
本発明の実施の形態に係る金属板の成形限界取得方法の処理の流れを示すフロー図である。 本発明の実施の形態に係る金属板の成形限界取得方法及び成形限界装置において試験片の張出成形に用いる成形金型の一例を示す図である。 本実施の形態及び実施例において、張出試験に用いる金属板の試験片の形状を示す図である。 本発明の実施の形態に係る金属板の成形限界試験装置の構成を示す図である。 実施例において、金属板の成形限界を求める処理の流れを示す図である。 実施例において、張出成形に用いた球頭パンチの形状を示す図である。 実施例において、曲げ変形度ごとに求めた成形限界ひずみを示すグラフである。 実施例において、最大主ひずみと最小主ひずみと曲げ変形度との関係で表される成形限界面を求めた結果を示すグラフである。 従来の成形限界試験において用いられる成形金型と成形限界線図の例を示す図である((a)中島法、(b)マルシニアック法、(c)中島法とマルシニアック法のそれぞれにより求められた成形限界線図)。 成形限界ひずみに対する試験片の曲げ変形の度合いの影響を説明するグラフである。
<金属板の成形限界取得方法>
本実施の形態に係る金属板の成形限界取得方法(以下、単に「成形限界取得方法」ともいう)は、図2に例示するように、先端部11a1の曲率が異なる複数の球頭パンチ11aを用いて、金属板の試験片100を種々の曲げ変形度で張出成形するものである。そして、当該成形限界取得方法は、張出成形した試験片の曲げ変形度と、当該曲げ変形度で張出成形した試験片の破断発生部における最大主ひずみ及び最小主ひずみと、の関係で表される金属板の成形限界を求めるものである。
球頭パンチ11aは、図2に示すように、曲率半径Rの球面、すなわち曲率ρ(=1/R)が0よりも大きい先端部11a1を有するものである。もっとも、本発明において、球頭パンチ11aは、図9(b)に示すような、平面(曲率半径R=∞、曲率ρ=0)の先端部53aを有する平頭パンチ53をも含むものとする。これにより、本発明に係る球頭パンチ11aは、曲率ρが0以上の先端部11a1を有するものとする。
試験片100には、プレス成形における各変形様式(等二軸変形、不等二軸変形、平面ひずみ変形、単軸変形)での成形限界を求めるために、図3に例示する形状の試験片101及び試験片103を用いる。
試験片101は、図3(a)に示すように、円板状のものであり、等二軸変形の成形限界を求めるものである。
一方、試験片103は、図3(b)及び(c)に示すように、円板状の周縁部の直径方向に対向する位置に円弧状に切り欠いた形状の切り欠き部103aを形成したものである。そして、試験片103については、中央部103bの最も幅狭の部位の幅Wを種々に変更し、幅Wを狭くするに従い、等二軸変形から不等二軸変形、平面ひずみ変形となり、次第に単軸引張に近づけ、各変形様式での成形限界を求めるものである。
さらに、試験片100は、金属板の表面に所定の格子又はひずみ解析パターンが付されたものとする。
成形限界の指標となる曲げ変形度は、試験片100における張出成形された部位における曲げ変形の程度を表すものであり、張出成形された部位の曲率半径や曲率の実測値を曲げ変形度とすることができる。
もっとも、本実施の形態において、曲げ変形度は、張出成形された部位の曲率半径や曲率を実測せずに、試験片100の張出成形に用いた球頭パンチ11aの先端部11a1の曲率で表してもよい。
さらに、成形限界の指標となる最大主ひずみと最小主ひずみを求める方法は特に限定されるものではなく、先端部11a1の曲率が異なる複数の球頭パンチ11aを用いて測定したひずみについて、同一の基準で成形限界を求めるものであればよい。
例えば、破断が発生するまで張出成形した試験片100の破断発生部の近傍において、試験片100の表面に付したマーキングの形状から破断発生時の最大主ひずみと最小主ひずみを求めても良いし、後述する方法により求めてもよい。
本実施の形態に係る成形限界取得方法の具体的な態様について説明する。本実施の形態に係る成形限界取得方法の具体的な態様としては、図1に示すように、成形試験ステップS10と、成形限界解析ステップS20と、成形限界面作成ステップS30と、を含むものが例示できる。
≪成形試験ステップ≫
成形試験ステップS10は、図1に示すように、試験片準備工程S11と、張出成形工程S13と、ひずみ測定工程S15と、ひずみデータベース構築工程S17と、備える。
(試験片準備工程)
試験片準備工程S11は、金属板の表面に所定の格子又はひずみ解析用パターンが付された試験片100を準備する工程である。
試験片100としては、前述した図3に示すように、円形状の試験片101と、円形状の外縁部に切り欠き部103aを形成した形状の試験片103と、を準備する。そして、切り欠き部103aを形成した試験片103については、中央部103bの幅Wを複数の水準で変更したものを準備する。
(張出成形工程)
張出成形工程S13は、格子又はひずみ解析用パターンが付された試験片100の表面を撮影しながら、先端部11a1の曲率が異なる複数の球頭パンチ11aを用いて、試験片100を種々の曲げ変形度で張出成形する工程である。
(ひずみ測定工程)
ひずみ測定工程S15は、張出成形工程S13において撮影した試験片100表面の画像を解析し、曲げ変形度ごとに、試験片100に生じるひずみを測定する工程である。ひずみを測定する方法としては、例えば、デジタル画像相関法(Digital Image Correlation、以下、「DIC」という)を用いる。張出成形過程における試験片100表面を所定の時間間隔で撮像し、各時間ステップで撮像した画像を画像解析して格子又はひずみ解析用パターンの変形具合より試験片100に生じる面内2方向のひずみとして、最大主ひずみと最小主ひずみを測定する。
(ひずみデータベース構築工程)
ひずみデータベース構築工程S17は、ひずみ測定工程S15において測定したひずみを、曲げ変形度ごとに、成形開始から破断までの時系列順に記憶してひずみデータベースを構築する工程である。
すなわち、成形試験ステップS10では、まず、試験片準備工程S11において所定の格子(サンプルグリッド)が付された試験片100を準備する。
次に、張出成形工程S13において試験片100の張出成形を行いながら、ひずみ測定工程S15ではおいて画像解析装置を用いて試験片100表面のひずみを測定し、試験片100に発生する最大主ひずみ及び最小主ひずみをひずみデータベースに記録する。
そして、成形を徐々に進めて試験片100に破断が発生するまで、ひずみの測定と時系列変化の記録を繰り返すことにより、成形開始から破断までのひずみデータベースを構築する。
以上の作業を、試験片100の形状、先端部11a1の曲率が異なる球頭パンチ11aごとに行う。
≪成形限界解析ステップ≫
成形限界解析ステップS20は、図1に示すように、ひずみ分布抽出工程S21と、成形限界取得工程S23と、を備える。
(ひずみ分布抽出工程)
ひずみ分布抽出工程S21は、種々の曲げ変形度で張出成形された試験片100の破断発生部近傍のひずみ分布を、ひずみデータベース構築工程S17において構築したひずみデータベースから抽出する工程である。
本実施の形態では、ひずみ分布抽出工程S21において抽出するひずみ分布は、ひずみデータベースに曲げ変形度ごとに記憶されたひずみの時系列データとする。
(成形限界取得工程)
成形限界取得工程S23は、ひずみ分布抽出工程S21において抽出したひずみ分布から、試験片100の曲げ変形度ごとに、試験片100の破断発生部における最大主ひずみと最小主ひずみとで表される成形限界ひずみを求める工程である。
成形限界解析ステップS20において、成形限界ひずみは、例えば、以下のように求めるとよい。
まず、ひずみ分布抽出工程S21では、曲げ変形度ごとに成形開始から破断までの所定の時間ステップごとに、試験片100の破断発生部近傍の最大主ひずみと最小主ひずみを抽出して時系列データを作成する。
次に、成形限界取得工程S23では、曲げ変形度ごとに作成した最大主ひずみと最小主ひずみそれぞれの時系列データにおいて、試験片100が均一変形から不均一変形へと推移する屈曲点を決める。そして、このひずみの屈曲点において、試験片100にネッキングが発生するものとし、そのときの最大主ひずみと最小主ひずみを該曲げ変形度における成形限界ひずみとして求める。
このように、曲げ変形度ごとに成形限界ひずみを求めることにより、曲げ変形度と、最大主ひずみと、最小主ひずみとの関係で表される成形限界を求めることができる。
もっとも、本発明は、最大主ひずみと最小主ひずみの時系列データにおいて、試験片100に破断が発生した時点の最大主ひずみと最小主ひずみを成形限界ひずみとして求めてもよい。
そして、成形限界ひずみは、先端部11a1の曲率が異なる複数の球頭パンチ11aを用いた張出試験で測定したひずみについては、同一の判定基準で求めるものであれば、その求め方は問わない。
≪成形限界面作成ステップ≫
成形限界面作成ステップS30は、図1に示すように、成形限界プロット工程S31と、成形限界面作成工程S33と、を備えるものである。
(成形限界プロット工程)
成形限界プロット工程S31は、最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度を三軸とする三次元座標空間に、成形限界解析ステップS20において前記曲げ変形度ごとに求めた成形限界ひずみをプロットする工程である。
(成形限界面作成工程)
成形限界面作成工程S33は、成形限界プロット工程S31において最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度を座標軸とする三次元座標空間にプロットした成形限界に基づいて、成形限界面を作成する工程である。そして、成形限界面作成工程S33において作成される成形限界面は、最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度の関係で表されるものである。
成形限界面作成工程S33において成形限界面を作成する方法としては、例えば、以下のものがある。
1つ目の方法は、まず、曲げ変形度が等しい2つの成形限界ひずみのプロットを抽出する。
次に、この2つの成形限界ひずみとは曲げ変形度の異なる成形限界ひずみ群のうち当該2つの成形限界ひずみのプロットを結ぶ線分との距離が最も小さい1つの成形限界ひずみのプロットを選択する。
続いて、抽出した2つの成形限界ひずみのプロットと、選択した1つの成形限界ひずみのプロットと、により三角形平面を形成する。
このような三角形平面の作成を全ての成形ひずみ群のプロットについて行う。そして、作成された三角形平面を組み合わせた多角面を成形限界面とする。
2つ目の方法は、まず、三次元座標空間に成形限界平面又は成形限界曲面を仮定し、この仮定した成形限界平面又は成形限界曲面と、成形限界ひずみのプロットとの垂直距離を算出する。そして、算出した垂直距離の二乗和が最小となるように成形限界平面又は成形限界曲面を決定する。
3つ目は、上記の2つ目の方法において、仮定した成形限界平面又は成形限界曲面と、成形限界ひずみのプロットと、の垂直距離に重み付けをした二乗和が最小となるように成形限界平面又は成形限界曲面を決定する方法である。
重み付けの与え方としては、例えば、実際のプレス成形において割れが生じやすい曲げ変形度の成形限界については重みを大きくするとよい。これにより、決定された成形限界平面又は成形限界曲面と実際のプレス成形において割れが生じやすい曲げ変形度における成形限界ひずみのプロットとの誤差を小さくすることができる。
なお、上記の2つ目の方法又は3つ目の方法については、複数の成形限界平面及び/又は成形限界曲面を組み合わせたものであってもよい。
例えば、最小主ひずみが負の領域と正の領域のそれぞれに成形限界平面又は成形限界曲面を仮定し、各領域について成形限界ひずみのプロットとの垂直距離の二乗和が最小となるように、成形限界平面又は成形限界曲面を決定すればよい。成形限界ひずみのプロットとの垂直距離に重みをつけた二乗和が最小となるように成形限界面を作成する場合においても同様とする。
また、上記以外の方法として、三次元座標空間における成形限界ひずみのプロットの中で隣接する3点を選択し、選択した3点を直線で結んで三角形平面を生成し、このように生成した複数の三角形平面からなる多角面を成形限界面としてもよい。
あるいは、曲げ変形度ごとに成形限界ひずみに基づいて成形限界線を作成し、作成した成形限界線を包含する成形限界面を作成してもよい。
<金属板の成形限界取得装置>
上記の説明は、最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度の関係で表させる金属板の成形限界面を求める方法についてのものであった。もっとも、本発明は、金属板の成形限界面を作成する装置として構成することもできる。
すなわち、本実施の形態に係る金属板の成形限界取得装置(以下、単に「成形限界取得装置」という)は、曲げ変形度を考慮した金属板の成形限界を求めるものである。そして、成形限界取得装置1は、図4に示すように、成形試験部10と、成形限界解析部20と、成形限界面作成部30と、を備えたものである。
≪成形試験部≫
成形試験部10は、成形金型11と、撮影装置13と、ひずみ測定装置15と、ひずみデータベース構築装置17と、を有する。
成形金型11は、試験片を種々の曲げ変形度で張出成形をするものであり、図2に示すように先端部11a1の曲率が異なる複数の球頭パンチ11aと、上型ダイ11bと、しわ押さえ11cと、を有する。
撮影装置13は、成形金型11により格子又はひずみ解析用パターンが付された試験片100を張出成形する過程における試験片100の表面の格子又はひずみ解析用パターンの変形具合を撮影するものである。撮影装置13として、例えば、2台のカメラで構成し、試験片100の表面をステレオ撮影する。
ひずみ測定装置15は、撮影装置13により撮影した試験片100表面の画像を解析し、張出成形した試験片100の曲げ変形度ごとに、試験片100に生じるひずみを測定するものである。例えば、デジタル画像相関法を用い、張出成形過程における試験片100に生じる面内2方向のひずみとして、最大主ひずみと最小主ひずみを測定する。
ひずみデータベース構築装置17は、ひずみ測定装置15により測定したひずみを、張出成形した試験片の曲げ変形度ごとに、成形開始から破断までの時系列順に記憶及び抽出可能に作成したひずみデータベースを構築するものである。
≪成形限界解析部≫
成形限界解析部20は、図4に示すように、ひずみ分布抽出装置21と、成形限界取得装置23と、を有する。
(ひずみ分布抽出装置)
ひずみ分布抽出装置21は、張出成形された試験片100の曲げ変形度ごとに、試験片100の破断発生部近傍のひずみ分布をひずみデータベース構築装置17により構築されたひずみデータベースから抽出するものである。
(成形限界取得装置)
成形限界取得装置23は、ひずみ分布抽出装置21により抽出したひずみ分布から、試験片100の曲げ変形度ごとに、試験片100の破断発生部における最大主ひずみと最小主ひずみとで表される成形限界ひずみを求めるものである。
≪成形限界面作成部≫
成形限界面作成部30は、図4に示すように、成形限界プロット装置31と、成形限界面作成装置33と、を有する。
(成形限界プロット装置)
成形限界プロット装置31は、最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度を三軸とする三次元座標空間に、成形限界解析部20により求めた曲げ変形度と、最大主ひずみ及び最小主ひずみの関係で表される成形限界をプロットするものである。
(成形限界面作成装置)
成形限界面作成装置は、成形限界プロット装置31により三次元座標空間にプロットした成形限界に基づいて、最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度の関係で表される成形限界面を作成するものである。
以上、本実施の形態に係る金属板の成形限界取得方法によれば、金属板の試験片を種々の曲げ変形度で張出成形し、曲げ変形度ごとに破断発生部の最大主ひずみ及び最小主ひずみを求めることにより、曲げ変形の影響を考慮した成形限界が求められる。
従来の成形限界試験方法においては、図9に示したように、特定の球頭パンチ43又は平頭パンチ53を用いて張出成形した試験片100から求められる成形限界ひずみ群、さらにはその近似線である成形限界線(FLC)が一つ作成されるものであった。
これに対し、本実施の形態に係る成形限界取得方法及び成形限界装置は、曲げ変形度を球頭パンチの先端部の曲率で表し、先端部の曲率の異なる複数の球頭パンチ11aを用いて張出試験を行う。これにより、球頭パンチ11aの形状の数だけ曲げ変形度ごとに成形限界ひずみ群が得られる。
そのため、各成形限界ひずみ群における曲げ変形度を新たな評価軸とし、最大主ひずみと最小主ひずみと曲げ変形度を座標軸とする三次元座標空間に成形限界をプロットすることができる。これにより、最大主ひずみ及び最小主ひずみに加えて、曲げ変形度との関係で表される成形限界面を求めることができる。
また、プレス成形品の曲げ変形度として、プレス成形品のプレス成形解析より、最大主ひずみ、最小主ひずみ、及び最大主ひずみの方向の曲率(たとえば、最大主曲率等)を曲げ変形度として取得する。そして、取得した最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度と成形限界面との関係より、曲げ変形の影響を考慮したプレス成形における割れ発生の事前予測を精度良く行うことができる。
本実施の形態に係る金属板の成形限界取得方法による金属板の成形限界面を求めるための実験を行ったので、以下、その結果について説明する。
本実施例では、図5に示す手順に基づいて行った。
はじめに、成形試験ステップS10において、図2に示す球頭パンチ11aと、上型ダイ11bと、しわ押さえ11cと、を備えた成形金型11を用いて、試験片100を張出成形した。
張出成形を行うにあたって、まず、球頭パンチ11aの先端部11a1の形状(曲率)を決定した。
球頭パンチ11aは、図6に示すように、先端部11a1の曲率半径がR25mm、R50mm、R100m及びR=∞(図9(b)に示す平頭パンチ53に相当)の4種類を準備した。先端部11a1の曲率は、それぞれ、0.04、0.02、0.01及び0.00となる。
次に、金属板として引張強度1470MPa級、板厚1.4mmの高強度鋼板の試験片100を供試材とし、試験片100の形状を決定した。
本実施例では、試験片100の形状は、前掲した図3に示すように、直径φ180mmの円形状の試験片101と、これを基準として幅方向に切り欠いた形状の試験片103とした。さらに、試験片103については、中央部103bの幅Wが25mmから160mmまでの5種類の形状とした。一例として、図3(b)に幅Wが60mm、図3(c)に幅Wが80mmの試験片103を示す。
このように形状を決定した試験片100の表面に、ひずみ測定用の格子状のパターン(グリッド)を転写した。
次に、図2に示す成形金型11を油圧方式の深絞り試験機にセットし、試験片100の張出成形を行った。張出成形では、試験片100の流入を抑えるため、しわ押さえによりしわ押さえ力50tonを負荷し、球頭パンチ11aのパンチ速度を5mm/minとした。そして、張出成形しながら、成形金型11の上部に設置した撮影装置(図示なし)である画像解析用カメラにより試験片100の表面を撮影した。
続いて、撮影した試験片100表面の画像を解析し、試験片100の表面に生じたひずみ量(最大主ひずみ及び最小主ひずみ)を測定した。測定したひずみ量は、ひずみデータベースに記憶した。
そして、試験片100に破断が発生したか否かを目視にて判定した。破断が発生していないと判定された場合、張出成形を進め、試験片100の表面の撮影、画像解析によるひずみ量の測定、ひずみデータベースへの記憶を繰り返した。
このように、本実施例では、成形開始から破断発生まで1回/秒の間隔で試験片表面を撮影し、撮影した各画像についてひずみ量の測定を行い、破断が発生したと判定されるまで継続した。
破断が発生したと判定された場合、準備した全ての試験片100の形状について試験を行ったかどうかを判定した。全ての試験片100の形状について試験を行っていないと判定された場合、別の形状の試験片100について、張出成形と、ひずみ量の測定、ひずみデータベースへの記憶を繰り返した。
全ての試験片100の形状について試験を行ったと判定された場合、準備した全ての球頭パンチ11aの形状で試験を行ったか否かを判定した。そして、全ての球頭パンチ11aの形状について、上記の張出試験を行った。
成形試験ステップS10が終了した後、成形限界解析ステップS20では、成形試験ステップS10で構築したひずみデータベースを用いて成形限界解析を行った。
まず、試験片100の破断発生部近傍に、成形限界ひずみを求めるための評価点を設定した。
次に、設定した各評価点について,ひずみデータベースから最大主ひずみ及び最小主ひずみの時系列データを抽出した。
そして、試験片100の形状ごとに取得した最大主ひずみと最小主ひずみそれぞれの時系列データにおいて、均一変形から不均一変形へと推移する屈曲点における最大主ひずみ及び最小主ひずみを成形限界ひずみとして求めた。
さらに、この操作を張出試験に用いた先端部11a1の曲率半径の異なる全ての球頭パンチ11aについて行い、曲げ変形度ごとに成形限界ひずみ(最大主ひずみ、最小主ひずみ)を求めた。
表1に、曲げ変形度ごとに求めた成形限界ひずみの値を示す。さらに、図7に、最小主ひずみと最大主ひずみを座標軸とする2次元座標平面上に成形限界ひずみをプロットしたグラフを示す。
Figure 2024006542000002
成形限界解析ステップS20が終了した後、成形限界面作成ステップS30において、曲げ変形度ごとに求めた成形限界ひずみに基づいて、成形限界面を作成した。
成形限界解析ステップS20では、まず、成形限界解析ステップにおいて曲げ変形度ごとに求めた成形限界ひずみ(成形限界データ)を抽出し、最大主ひずみと最小主ひずみと曲げ変形度を座標軸とする三次元座標空間にプロットした。
次に、成形限界データを近似する成形限界面を求めた。
本実施例では、最小主ひずみが負の領域と正の領域のそれぞれについて、以下の式(1)で表される成形限界平面を仮定した。
Figure 2024006542000003
そして、仮定した成形限界面と曲げ変形度ごとの成形限界ひずみ群のプロットの垂直距離の二乗和が最小となるように、正の領域における成形限界平面Aと負の領域における成形限界平面Bのそれぞれについて式(1)中の係数を決定した。このように、式(1)中の係数を決定した成形限界平面A及び成形限界平面Bを成形限界面として求めた。
表2に、決定した成形限界平面A及び成形限界平面Bについての式(1)中の係数を示す。さらに、図8に、決定した係数をもとに作成した成形限界平面と、実測した曲げ変形度ごとの成形限界ひずみのプロットを示す。
Figure 2024006542000004
以上、本発明に係る方法及び装置によれば、図8に示すように、曲げ変形度と、最大主ひずみと、最小主ひずみと、の関係で表される成形限界面を求めることができた。
1 成形限界取得装置
10 成形試験部
11 成形金型
11a 球頭パンチ
11a1 先端部
11b 上型ダイ
11c しわ押さえ
13 撮影装置
15 ひずみ測定装置
17 ひずみデータベース構築装置
20 成形限界解析部
21 ひずみ分布抽出装置
23 成形限界取得装置
30 成形限界面作成部
31 成形限界プロット装置
33 成形限界面作成装置
41 成形金型
43 球頭パンチ
43a 先端部
45 上型ダイ
47 しわ押さえ
51 成形金型
53 平頭パンチ
53a 先端部
55 上型ダイ
57 しわ押さえ
100 試験片
101 試験片
103 試験片
103a 切り欠き部
103b 中央部
110 ドライビングシート

Claims (8)

  1. 先端部の曲率が異なる複数の球頭パンチを用いて、金属板の試験片を種々の曲げ変形度で張出成形し、
    張出成形した前記試験片の曲げ変形度と、該曲げ変形度で張出成形した前記試験片の最大主ひずみ及び最小主ひずみと、の関係で表される前記金属板の成形限界を求めることを特徴とする金属板の成形限界取得方法。
  2. 前記曲げ変形度は、前記球頭パンチの前記先端部の曲率で表わすことを特徴とする請求項1記載の金属板の成形限界取得方法。
  3. 曲げ変形度を考慮して金属板の成形限界を求める金属板の成形限界取得方法であって、
    成形試験ステップと、成形限界解析ステップと、成形限界面作成ステップと、を含み、
    前記成形試験ステップは、
    前記金属板の表面に所定の格子又はひずみ解析用パターンを付した試験片を準備する試験片準備工程と、
    前記格子又はひずみ解析用パターンを付した前記試験片の表面を撮影しながら、先端部の曲率が異なる複数の球頭パンチを用いて、前記試験片を種々の曲げ変形度で張出成形する張出成形工程と、
    該張出成形工程において撮影した前記試験片表面の画像を解析し、前記張出成形した前記試験片の曲げ変形度ごとに、前記試験片に生じるひずみを測定するひずみ測定工程と、
    張出成形した前記試験片の曲げ変形度ごとに測定した前記ひずみを成形開始から破断までの時系列順に記憶し、ひずみデータベースを構築するひずみデータベース構築工程と、を備え、
    前記成形限界解析ステップは、
    張出成形された前記試験片の曲げ変形度ごとに、前記試験片の破断発生部近傍のひずみ分布を前記ひずみデータベースから抽出するひずみ分布抽出工程と、
    該抽出したひずみ分布から、前記試験片の曲げ変形度ごとに、該試験片の破断発生部における最大主ひずみと最小主ひずみとで表される成形限界ひずみを求める成形限界取得工程と、を備え、
    前記成形限界面作成ステップは、
    最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度を三軸とする三次元座標空間に、前記成形限界解析ステップにおいて前記曲げ変形度ごとに求めた前記成形限界ひずみをプロットする成形限界プロット工程と、
    前記三次元座標空間にプロットした前記曲げ変形度ごとの前記成形限界ひずみに基づいて、最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度の関係で表される成形限界面を作成する成形限界面作成工程と、を備えることを特徴とする金属板の成形限界取得方法。
  4. 前記成形限界面作成工程において、前記成形限界面として、曲げ変形度が同じ成形限界ひずみ群のプロットのうち隣接する2つのプロットと、該2つのプロットとは曲げ変形度が異なる成形限界ひずみ群のプロットのうち前記2つのプロットを結ぶ線分との距離がもっとも小さい1つのプロットと、を結ぶ複数の三角形平面からなる多角面を作成することを特徴とする請求項3記載の金属板の成形限界取得方法。
  5. 前記成形限界面作成工程において、成形限界平面又は成形限界曲面を仮定し、該仮定した成形限界平面又は成形限界曲面と前記三次元座標空間における曲げ変形度ごとの成形限界ひずみのプロットとの垂直距離の二乗和を求め、該求めた二乗和が最小となる前記成形限界平面又は前記成形限界曲面を決定することにより前記成形限界面を作成する、ことを特徴とする請求項3記載の金属板の成形限界取得方法。
  6. 前記成形限界面作成工程において、成形限界平面又は成形限界曲面を仮定し、該仮定した成形限界平面又は成形限界曲面と、前記三次元座標空間における曲げ変形度ごとの成形限界ひずみのプロットと、の垂直距離に重み付けをした二乗和を求め、該求めた二乗和が最小となるように前記成形限界平面又は成形限界曲面を決定することにより前記成形限界面を作成する、ことを特徴とする請求項3記載の金属板の成形限界取得方法。
  7. 前記成形限界面作成工程において、複数の成形限界平面及び成形限界曲面を組み合わせて前記成形限界面を作成することを特徴とする請求項5又は6に記載の金属板の成形限界取得方法。
  8. 曲げ変形度を考慮して金属板の成形限界を求める金属板の成形限界取得装置であって、
    成形試験部と、成形限界解析部と、成形限界面作成部と、を備え、
    前記成形試験部は、
    先端部の曲率が異なる複数の球頭パンチを有し、該複数の球頭パンチを用いて、表面に所定の格子又はひずみ解析パターンが付された前記金属板の試験片を種々の曲げ変形度で張出成形する成形金型と、
    前記成形金型により前記試験片を張出成形する過程における前記試験片の表面を撮影する撮影装置と、
    該撮影装置により撮影した前記試験片表面の画像を解析し、前記曲げ変形度ごとに、前記試験片に生じるひずみを測定するひずみ測定装置と、
    前記測定した前記ひずみを、張出成形した前記試験片の曲げ変形度ごとに、成形開始から破断までの時系列順に記憶したひずみデータベースを構築するひずみデータベース構築装置と、を有し、
    前記成形限界解析部は、
    張出成形された前記試験片の曲げ変形度ごとに、前記試験片の破断発生部近傍のひずみ分布を前記ひずみデータベースから抽出するひずみ分布抽出装置と、
    該抽出したひずみ分布から、前記試験片の曲げ変形度ごとに、該試験片の破断発生部における最大主ひずみと最小主ひずみとで表される成形限界ひずみを求める成形限界取得装置と、を有し、
    前記成形限界面作成部は、
    最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度を三軸とする三次元座標空間に、前記成形限界解析部により前記曲げ変形度ごとに求めた前記成形限界ひずみをプロットする成形限界プロット装置と、
    前記三次元座標空間にプロットした前記成形限界に基づいて、最大主ひずみ、最小主ひずみ及び曲げ変形度の関係で表される成形限界面を作成する成形限界面作成装置と、を有することを特徴とする金属板の成形限界取得装置。
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