JP2024004949A - 炭素繊維強化複合材料のための炭素繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】向上したコンポジット強度をもたらす炭素繊維を提供すること。【解決手段】炭素繊維強化複合材料のための炭素繊維であって、X線回折装置を用いて測定された炭素繊維の結晶配向度C(%)と、炭素繊維の直径Df(μm)とが、下記の関係式(1):81.5-0.31×Df≦C≦82.5-0.31×Df (1)を満たし、上記式(1)中、Dfは、4.0~8.0μmである、炭素繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維強化複合材料のための炭素繊維に関する。特には、本発明は、コンパウンドから形成される炭素繊維強化複合材料であって比較的高い繊維含有率を有する炭素繊維強化複合材料のための炭素繊維、に関する。
炭素繊維は、比強度・比弾性率に優れ、軽量であるため、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の強化繊維として、幅広い用途に利用される。利用用途が拡大されるにつれ、炭素繊維強化複合材料(以下コンポジットとも言う)には、さらに高い性能が求められている。
従来から、コンポジットの物性を向上させるために、炭素繊維に対して種々の改良が検討されてきた。
特許文献1は、摩擦係数、炭素繊維表面の酸素含有官能基量、並びにストランドの引張強度及び弾性率が特定範囲である炭素繊維束を開示している。この文献は、発明の目的として、炭素繊維のコンポジット物性を向上させることを記載している。
特許文献2は、特定範囲の平均単繊維引張強度、樹脂含浸ストランド引張強度、繊維摩擦係数、及び熱分解性有機物量を示す炭素繊維を記載している。この文献は、発明の目的として、超高強度コンポジット物性を示す炭素繊維を提供することを記載している。
特開昭60-239521号公報 特開昭61-296123号公報
炭素繊維強化複合材料を製造するために、樹脂と樹脂中に分散した炭素繊維とを有するコンパウンドを用いることができる。具体的には、例えば、ペレット状のコンパウンド(ペレット)を溶融させて射出成形することによって、炭素繊維強化複合材料を製造することができる。コンパウンドから形成される炭素繊維強化複合材料は、一方向に引き揃えられた炭素繊維からなるシートに樹脂を含浸させる場合などとは異なり、炭素繊維が樹脂中に分散した構造を有する。
従来の炭素繊維を用いて製造されたコンポジットは、強度などの機械特性の点で十分な特性を得られない場合があった。特に、従来、炭素繊維の繊維含有率が比較的高いコンパウンドから形成される炭素繊維強化複合材料において、十分な機械特性を得ることができない場合があった。
本開示は、向上したコンポジット強度をもたらす炭素繊維を提供することを目的とする。特に、本開示は、コンパウンドから形成される炭素繊維強化複合材料であって比較的高い繊維含有率を有する炭素繊維強化複合材料において、向上した強度を達成することができる炭素繊維を提供することを、目的とする。
上記の課題は、本発明に係る下記の態様によって、解決することができる。
<態様1>
炭素繊維強化複合材料のための炭素繊維であって、
X線回折装置を用いて測定された前記炭素繊維の結晶配向度C(%)と、前記炭素繊維の直径Df(μm)とが、下記の関係式(1):
81.5-0.31×Df≦C≦82.5-0.31×Df (1)
を満たし、
上記式(1)中、Dfは、4.0~8.0μmである、
炭素繊維。
<態様2>
S1/S2で表される前記炭素繊維の比表面積比の値が、1.20~1.80であり、
前記S1は、クリプトン吸着法によって計測された吸着比表面積(m/g)であり、
前記S2は、理論比表面積(m/g)である、
態様1に記載の炭素繊維。
<態様3>
前記結晶配向度C(%)と、X線回折装置を用いて測定された前記炭素繊維の結晶子サイズLc(Å)と、が、下記の関係式(2):
76.7+0.17×Lc≦C≦77.9+0.17×Lc (2)
を満たし、
上記式(2)中、Lcは、12.0~20.0Åである、
態様1又は2に記載の炭素繊維。
<態様4>
走査型プローブ顕微鏡を用いて測定された前記炭素繊維の表面粗さRmsが、15nm~35nmである、態様1~3のいずれか一項に記載の炭素繊維。
<態様5>
前記炭素繊維の直径Dfが、5.0~6.5μmである、態様1~4のいずれか一項に記載の炭素繊維。
<態様6>
20体積%以上の繊維体積含有率Vfを有しており、かつ炭素繊維が樹脂中に分散した構造を有する炭素繊維強化複合材料を製造するための、態様1~5のいずれか一項に記載の炭素繊維。
<態様7>
第一炭素化工程及び随意の第二炭素化工程におけるトータル延伸倍率を0.90~0.96倍にすることを含む、態様1~6のいずれか一項に記載の炭素繊維を製造する方法。
<態様8>
樹脂と、前記樹脂中に分散した態様1~6のいずれか一項に記載の炭素繊維とを含み、
繊維体積含有率Vfが、20体積%以上である、
炭素繊維強化複合材料。
<態様9>
樹脂と、前記樹脂中に分散した態様1~6のいずれか一項に記載の炭素繊維とを含み、
繊維体積含有率Vfが、20体積%以上である、
コンパウンド。
<態様10>
樹脂と前記樹脂中に分散した態様1~6のいずれか一項に記載の炭素繊維とを含むコンパウンドを成形して、炭素繊維強化複合材料を形成すること
を含む、
炭素繊維強化複合材料の製造方法。
<態様11>
前記コンパウンドが、ペレット状である、態様10に記載の方法。
本発明によれば、向上した強度を有するコンポジットをもたらす炭素繊維を提供することができる。特に、本発明によれば、コンパウンドから形成される炭素繊維強化複合材料であって比較的高い繊維含有率を有する炭素繊維強化複合材料において、向上した強度を達成することができる炭素繊維を提供することができる。
図1は、製造例A、B、X、Y、及びZに係る炭素繊維について、直径と結晶配向度との関係を示すグラフである。 図2は、製造例A、B、X、Y、及びZに係る炭素繊維について、結晶子サイズと結晶配向度との関係を示すグラフである。 図3は、関係式(1)を満たす製造例Aに係る炭素繊維を含むコンポジット、及び、関係式(1)を満たさない製造例X及びYに係る炭素繊維を含むコンポジットについての、繊維体積含有率Vf(%)とコンポジット引張強度(MPa)との間の関係を示すグラフである。
本発明に係る炭素繊維は、X線回折装置を用いて測定された炭素繊維の結晶配向度C(%)と、炭素繊維の直径Df(μm)とが、81.5-0.31×Df≦C≦82.5-0.31×Df(式中、Dfは4.0~8.0μm)の関係式を満たす。
本開示に係る炭素繊維では、結晶配向度が最適化されているため、比較的高い特性を有するコンポジットを得ることができる。
一般に、炭素繊維の結晶配向度が高いほど繊維方向における高い強度が得られると考えられており、従来は、コンポジット強度を確保するために、結晶配向度が高い繊維が用いられてきた。しかしながら、従来のコンポジットは、強度が十分でない場合があった。これに対して、本発明に係る炭素繊維では、結晶配向度が特定の範囲に限定されており、それにより、優れた強度を有するコンポジットを得ることができる。理論によって限定する意図はないが、本発明に係る炭素繊維では、結晶配向度が一定以上であることによって繊維軸方向における強度(すなわち引張強さ)が十分に確保されるとともに、結晶配向度が一定以下であることによって、繊維軸とは異なる方向から付与されるせん断応力に対する繊維の抵抗性(すなわち曲げたときの破断しにくさ)が比較的高くなっていると考えられる。繊維軸とは異なる方向から付与されるせん断応力に対する繊維の抵抗性が比較的高い場合には、コンポジット製造時の混練(特には混練によるコンパウンドの製造)の際に繊維の折れが抑制されて、コンポジット中に残存する繊維長が比較的長くなり、結果として、繊維自体の機械的特性が比較的低くても、比較的高い機械特性を有するコンポジットを得ることができると考えられる。
また、本発明に係る炭素繊維は、比較的高い繊維含有率を有するコンポジットを製造するために、特に有用であると考えられる。すなわち、比較的高い繊維含有率を有するコンポジットを製造する場合には、繊維同士の相互作用によって繊維が折れやすくなっていると考えられる。本発明に係る繊維によれば、このような場合であっても繊維折れを抑制して比較的長い繊維を残存させることができるので、優れたコンポジット強度を得ることができる。
さらに、本発明に係る炭素繊維は、比較的小さい繊維径を有する場合に、特に効果が高いと考えられる。理論によって限定する意図はないが、本発明によれば、比較的小さい繊維径を有する炭素繊維においても、コンポジット製造時の折れを低減し、残存繊維長を比較的長くすることができる。したがって、本発明によれば、アスペクト比が特に高い炭素繊維を有するコンポジットを得ることができる。アスペクト比とコンポジット強度との間には正の相関関係があるので、これによって、特に高い強度を有するコンポジットが得られると考えられる。
なお、炭素繊維の最適な結晶配向度は、炭素繊維の直径に依存すると考えられる。理論によって限定する意図はないが、炭素繊維の直径が比較的大きい場合には、繊維が曲がりにくく、繊維軸とは異なる方向から付与されるせん断応力によって比較的破断しやすいため、十分な残存繊維長を維持するためには、結晶配向度が比較的小さい必要があると考えられる。一方で、炭素繊維の直径が比較的小さい場合には、繊維が曲がりやすく、繊維軸とは異なる方向から付与されるせん断応力によって比較的破断しにくいので、比較的大きい結晶配向度であっても、十分な残存繊維長をできると考えられる。
以下で、本発明の構成要素及び実施態様についてさらに詳細に説明する。
<<結晶配向度と直径との関係式>>
本開示に係る炭素繊維は、炭素繊維強化複合材料(コンポジット)のための炭素繊維である。特には、本開示に係る炭素繊維は、20体積%以上(より好ましくは21体積%以上、22体積%以上、23体積%以上、又は24体積%以上)の繊維体積含有率Vfを有する炭素繊維強化複合材料を製造するための炭素繊維である。
特には、本開示に係る炭素繊維は、炭素繊維が樹脂中に分散した構造を有する炭素繊維強化複合材料のための炭素繊維である。より特には、本開示に係る炭素繊維は、20体積%以上(より好ましくは21体積%以上、22体積%以上、23体積%以上、又は24体積%以上)の繊維体積含有率Vfを有しており、かつ炭素繊維が樹脂中に分散した構造を有する炭素繊維強化複合材料を製造するための炭素繊維である。
なお、炭素繊維強化複合材料の繊維体積含有率Vfの上限は、50体積%以下、45体積%以下、40体積%以下、又は35体積%以下であってよい。
炭素繊維強化複合材料については、炭素繊維強化複合材料に関する後述の記載を参照することができる。
本開示に係る炭素繊維は、
X線回折装置を用いて測定された炭素繊維の結晶配向度C(%)と、炭素繊維の直径Df(μm)とが、下記の関係式(1):
81.5-0.31×Df≦C≦82.5-0.31×Df (1)
を満たし、
上記式(1)中、Dfは、4.0~8.0μmである。
好ましくは、本開示に係る炭素繊維について、炭素繊維の直径Df(μm)が4.0~8.0μmの範囲であるときに、
X線回折装置を用いて測定された炭素繊維の結晶配向度C(%)が、
(81.6-0.31×Df)以上、
(81.7-0.31×Df)以上、
(81.8-0.31×Df)以上、
(81.9-0.31×Df)以上、
(82.0-0.31×Df)以上、
(82.1-0.31×Df)以上、
(82.2-0.31×Df)以上、若しくは
(82.3-0.31×Df)以上、
を満たし、かつ/又は、
(82.4-0.31×Df)以下、
を満たす。
<結晶配向度、結晶子サイズ>
炭素繊維の結晶子サイズLcは、X線回折装置を使用し、透過法により面指数(002)の回折ピークの半値幅βから、下式(4)
結晶子サイズLc(nm) = 0.9λ/βcosθ ・・・ (4)
(式中、λ:X線の波長、β:半値幅、θ:回折角)
を用いて算出することができる。
また、炭素繊維の結晶配向度は、この回折ピーク角度(回折角θ)を円周方向にスキャンして得られる二つのピークの半値幅H1/2及びH’1/2(強度分布に由来)から下式(5)
結晶配向度(%)=100×[360-(H1/2-H’1/2)]/360・・・(5)
(式中、H1/2及びH’1/2は、半値幅を示す。)
を用いて算出することができる。
<炭素繊維の直径>
炭素繊維の直径Dfは、好ましくは、4.5μm以上、5.0μm以上、5.5μm以上、若しくは5.8μm以上であり、かつ/又は、7.5μm以下、7.0μm以下、6.5μm以下、若しくは6.2μm以下である。また、炭素繊維の直径Dfは、4.5~7.5μm、5.0~7.0μm、5.0μm~6.5μm、又は5.5~6.5μmであることが好ましい。
炭素繊維の直径は、電子顕微鏡等を用いて取得した画像を用いて計測した30以上の炭素繊維の直径を平均することによって得ることができる。
炭素繊維束について、密度Db(g/cm)、繊度Fb(tex)、及び繊維束一本あたりのフィラメント数Nb(本)が既知である場合には、下記の式に従って炭素繊維の直径Df(μm)を求めることもできる。
<炭素繊維>
炭素繊維は、特に制限が無く、ピッチ系、レーヨン系、ポリアクリロニトリル(PAN)系など、いずれの炭素繊維であってもよいが、操作性、工程通過性、及び機械強度等を鑑みると、アクリロニトリル系の炭素繊維が好ましい。炭素繊維の繊度、強度等の特性も特に制限が無く、公知のいずれの炭素繊維も制限無く使用できる。
炭素繊維の形態は、特に制限されないが、複数の単糸(フィラメント)から構成される炭素繊維束の形態であってよい。炭素繊維束を構成するフィラメントの構成本数は、生産性の観点などから1,000本~80,000本であることが好ましく、さらには3,000本~50,000本の範囲であることが好ましい。単糸径は、好ましくは4.5μm~7.5μmであり、より好ましくは5.0μm~7.0μmである。
好ましくは、炭素繊維は、JIS R 7608に従って計測したときに、4000~6000MPaの引張強度を有し、かつ/又は、200~400GPa、若しくは220~300GPaの引張弾性率を有する。
<炭素繊維の比表面積比>
本開示に係る炭素繊維の好ましい1つの実施態様では、クリプトン吸着法によって計測された吸着比表面積S1(m/g)、及び、理論比表面積S2(m/g)に関して、炭素繊維の比表面積比(S1/S2)が、1.20~1.80である。
本開示に係る炭素繊維が上記の比表面積比の条件を満たす場合、機械的特性がさらに向上した炭素繊維強化複合材料を得ることができる。理論によって限定する意図はないが、比表面積比が上記の範囲である場合には、炭素繊維の表面における微細な凹凸が比較的低減されているので、せん断応力に対する抵抗性が比較的高くなると考えられる。
また、炭素繊維の比表面積比が上記の範囲である場合には、炭素繊維と表面処理剤との間の接着性を確保するために十分な程度の凹凸が確保されると考えらえる。
本開示に係る炭素繊維の比表面積比(S1/S2)の値は、好ましくは、1.25以上、1.30以上、1.40以上、若しくは1.45以上であり、かつ/又は、1.70以下、1.65以下、若しくは1.60以下である。
(吸着比表面積)
炭素繊維の吸着比表面積(m/g)は、クリプトン吸着法(BET法)によって計測することができる。
(理論比表面積)
炭素繊維の理論比表面積は、単繊維直径(m)、繊維束1本あたりのフィラメント数、及び繊度(tex)から計算することができる。より具体的には、炭素繊維の理論比表面積は、下記の式に従って算出することができる。
理論比表面積(m/g)=((単繊維直径×π×繊維束1本あたりのフィラメント数)/(繊度/1000)
なお、単繊維直径は、電子顕微鏡等を用いて取得した画像を用いて計測した30以上の炭素繊維の直径を平均することによって得ることができる。単繊維直径は、密度(g/m)、繊維束1本あたりのフィラメント数、及び繊度(tex)が既知である場合には、これらの値から計算することもできる。より具体的には、単繊維直径は、下記の式に従って算出することができる:
単繊維直径(m) = 2×{((繊度/1000)/(π×密度×繊維束1本あたりのフィラメント数))}1/2
密度は、アルキメデス法により測定することができる。
繊度は、JIS R7605に従い計測することができる。
<炭素繊維の結晶子サイズ>
本開示に係る炭素繊維が結晶子サイズに係る上記の条件を満たす場合、機械的特性がさらに向上した炭素繊維強化複合材料を得ることができる。
好ましくは、本開示に係る炭素繊維について、炭素繊維の結晶子サイズLcが12.0~20.0Åの範囲であるときに、X線回折装置を用いて測定された炭素繊維の結晶配向度C(%)が、
(76.7+0.17×Lc)以上、
(76.8+0.17×Lc)以上、
(76.9+0.17×Lc)以上、
(77.0+0.17×Lc)以上、
(77.1+0.17×Lc)以上、
(77.2+0.17×Lc)以上、
(77.3+0.17×Lc)以上、
(77.4+0.17×Lc)以上、
(77.5+0.17×Lc)以上、若しくは
(77.6+0.17×Lc)以上
であり、かつ/又は、
(77.9+0.17×Lc)以下、
(77.8+0.17×Lc)以下、若しくは
(77.7+0.17×Lc)以下
である。
また、好ましくは、上記式(2)中、Lcは、13.0Å以上、13.5Å以上、若しくは14.0Å以上であり、かつ/又は、19.0Å以下、18.0Å以下、若しくは17.0Å以下である。
炭素繊維の結晶子サイズLc(Å)は、上述のとおり、X線回折装置を用いて測定することができる。
<炭素繊維の表面粗さ>
本開示に係る炭素繊維の好ましい1つの実施態様では、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて測定された炭素繊維の表面粗さRmsが、15.0nm~35.0nmである。
本開示に係る炭素繊維が、表面粗さに係る上記の条件を満たす場合、機械的特性がさらに向上した炭素繊維強化複合材料を得ることができる。理論によって限定する意図はないが、表面粗さが上記の範囲である場合には、炭素繊維の表面における微細な凹凸が比較的低減されているので、せん断応力に対する抵抗性が比較的高くなると考えられる。また、表面粗さが上記の範囲である場合には、炭素繊維と表面処理剤との間の接着性を確保するために十分な程度の凹凸が確保されると考えらえる。
より好ましくは、炭素繊維の表面粗さRmsは、16.0nm以上、18.0nm以上、20.0nm以上、22.0nm以上、若しくは24.0nm以上であり、かつ/又は、34.0nm以下、32.0nm以下、30.0nm以下、若しくは28.0nm以下である。また、炭素繊維の表面粗さRmsは、20nm~30nmであることが好ましく、より好ましくは22nm~28nmである。
炭素繊維の表面粗Rmsさは、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて計測することができる。より具体的には、視野3μmの範囲で測定した自乗平均面粗さとして求めることができる。
<表面酸素濃度(O/C)>
本開示に係る炭素繊維の1つの実施態様では、下記の手順に従ってX線光電子分光法XPSによって求めた炭素繊維の表面酸素濃度(O原子のC原子に対する割合:O/C(%))が、15~20%、又はさらには16~19%である。
炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)測定は、X線光電子分光装置用いて行うことができる。具体的には、繊維をカットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90度に設定し、X線源としてMgKαを用い、試料チャンバー内を1×10-6[Pa]の真空度に保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、まずC1sの主ピークの結合エネルギ値B.E.を284.6[eV]に合わせる。O1sピーク面積を、527~540[eV]の範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。また、C1sピーク面積を、281~297[eV]の範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。C1sピークに対するO1sピークの感度補正係数として2.6865を用いる。上記のO1sピーク面積とC1sピーク面積の比を計算することによって、炭素繊維の表面酸素濃度の比を求めることができる。
<炭素繊維の製造方法>
本開示に係る炭素繊維を得る方法は、特に限定されない。本開示に係る炭素繊維は、例えば、炭素繊維の製造過程における炭素化工程で繊維に付与される延伸倍率を調節することによって、得ることができる。
具体的には、例えば、本開示に係る炭素繊維は、第一炭素化工程(及び随意の第二炭素化工程)におけるトータル延伸倍率を0.90~0.96倍にすることを含む方法によって、製造することができる。
一般に、炭素化処理の際の延伸倍率と、炭素繊維中のグラファイト結晶が繊維方向に配向する度合いとの間には、正の相関関係があると考えられる。したがって、炭素化処理の際の延伸倍率を特定の範囲に調節することによって、特定範囲の結晶配向度を有する炭素繊維を得ることができる。
従来は、炭素繊維の強度を高めるためには、炭素化処理の際の延伸倍率をできるだけ高くした状態で繊維の焼成を行うことが必要であると考えられていた。これに対して、本発明に係る方法の1つの態様では、炭素化処理の際の延伸倍率を最適化することによって、得られる炭素繊維の結晶配向度を特定の範囲にする。本発明に係るこのような炭素繊維を用いて製造される炭素繊維強化複合材料は、従来の炭素繊維よりも優れた物性を示す。すなわち、このようにして得られる炭素繊維は、炭素繊維の結晶配向度が最適化されているので、繊維方向における十分な強度を確保しつつ、せん断応力に対する抵抗性が向上している。これにより、コンポジットを製造する過程(特には、コンパウンドを混練によって製造する過程)での繊維の折れが低減又は回避されるので、優れたコンポジット強度を得ることができると考えられる。
<炭素繊維の製造方法の実施態様>
以下で、炭素繊維の製造方法について、例示を用いて具体的に説明する。
(前駆体繊維)
炭素繊維の製造方法では、まず、炭素繊維の前駆体繊維(前駆体繊維)を提供する。PAN系炭素繊維を例として説明すると、アクリル系前駆体繊維は、好ましくは、アクリロニトリルを90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含有し、その他の単量体を10質量%以下含有する単量体を単独又は共重合した紡糸溶液を紡糸して製造される。その他の単量体としてはイタコン酸、(メタ)アクリル酸エステル等が例示される。紡糸後の原料繊維を、水洗、乾燥、延伸、オイリング処理することにより、前駆体繊維を得ることができる。
前駆体繊維は、複数の単糸(フィラメント)から構成される繊維束の形態であってよい。前駆体繊維のフィラメント数は、製造効率の面では1,000フィラメント以上が好ましく、3,000フィラメント以上がより好ましい。フィラメント数の上限は特に限定されないが、例えば100,000フィラメント以下であってよく、50,000フィラメント以下であることが好ましい。前駆体繊維の単繊維直径は5~13μmであることが好ましい。
前駆体繊維は、油剤を付与されたものであることが好ましい。油剤は、例えば、炭素繊維前駆体繊維の製造過程で付与することができ、特には、紡糸後の凝固繊維を油剤含有水溶液に浸漬することによって、付与することができる。油剤は、シリコーン系油剤であってよく、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、若しくはエーテル変性シリコーン、又はこれらの混合物であってよい。
前駆体繊維に付着している油剤の量(油剤の付着量)は、前駆体繊維に対して、好ましくは0.01重量%~1.0重量%、より好ましくは0.05~0.75重量%である。前駆体繊維における油剤の付着量をこの範囲に制御することで、静電防止効果がもたらされ、かつ、その後の工程での糸切れ及び毛羽の発生を抑制することができ、高品質の前駆体繊維及び炭素繊維束を得ることができる。なお、前駆体繊維における油剤の付着量は、油剤付与の前後でそれぞれ計測した繊維の重量に基づいて決定することができる。
(耐炎化処理)
次に、上記の前駆体繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、耐炎化繊維を製造する(耐炎化処理)。耐炎化処理は、例えば、加熱炉を用いて行うことができる。耐炎化処理は、特には空気中で行うことができる。耐炎化処理を行うことにより、前駆体繊維の分子内で環化反応が起こり、酸素結合量が増加する。その結果、不融化・難燃化された耐炎化繊維を得ることができる。
耐炎化工程では、例えば、予備耐炎化工程で得られた予備耐炎化繊維を、加熱空気中で10~120分間、好ましくは30~90分間にわたって加熱する。加熱処理の温度、すなわち、耐炎化繊維を製造する際の加熱温度は、200℃~280℃、好ましくは230℃~260℃であってよい。耐炎化処理は、延伸倍率0.85~1.20、好ましくは0.90~1.15の範囲で行うことができる。高強度・高弾性率の炭素繊維を得るためには、延伸倍率が0.95以上であることが好ましく、0.98超であることが特に好ましい。耐炎化処理は、前駆体繊維を酸化された繊維とするものである。
(炭素化処理)
上記の耐炎化処理した前駆体繊維(耐炎化繊維)を、不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって、炭素繊維を得ることができる。例えば、下記の第一炭素化工程に従って炭素化を行ってよい。好ましくは、比較的低温で炭素化(第一炭素化工程、C1)した後、比較的高温で炭素化(第二炭素化工程、C2)する二段階の炭素化工程を経て、炭素化処理を行う。この場合には、さらに高い引張強度を有し緻密な内部構造をもつ炭素繊維束を得ることができる。特に高い弾性率が求められる場合は、高温(例えば2000~3000℃)での黒鉛化処理をさらに行ってもよい。
<第一炭素化工程、C1>
第一炭素化工程では、耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、300℃~1000℃の第1温度範囲で加熱して炭素化処理する。不活性雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、例えば窒素ガス雰囲気が挙げられる。
第一炭素工程での加熱温度は、350℃以上、400℃以上、若しくは500℃以上であってよく、かつ/又は、1000℃以下、900℃以下、800℃以下、若しくは700℃以下であってよい。
<第二炭素化工程、C2>
第二炭素化工程では、第一炭素化工程を経た繊維を、不活性雰囲気中で加熱して、さらに炭素化処理する。第二炭素化処理によって、繊維の炭素化がさらに進行する。
第二炭素化工程では、例えば、第一炭素化工程を経た繊維を、窒素等の不活性ガス雰囲気中で、第一炭素化工程よりも高い加熱温度にまで徐々に温度を上昇させつつ、焼成することができる。第二炭素化工程での加熱温度は、700℃以上、800℃以上、若しくは900℃以上であってよく、かつ/又は、2000℃以下、1800℃以下、1600℃以下、若しくは1400℃以下であってよい。
(延伸倍率)
本開示に係る方法の1つの実施態様では、炭素化工程(第一炭素化工程及び随意の第二炭素化工程)における繊維の延伸倍率を選択し、それによって、得られる炭素繊維の結晶配向度が、上記関係式(1)で規定される特定の範囲になるようにする。延伸倍率は、炭素化工程前後のローラー速度を制御することによって調節することができる。
一般に、炭素化工程での延伸倍率は、炭素繊維の強度(特に繊維方向における引張強さ)を考慮して決定されるので、炭素化工程の間に繊維に付与される延伸倍率は、できるだけ高く設定される。これに対して、本開示に係る方法では、例えば、結晶配向度が一定値以上にならないように、繊維に付与される延伸倍率を比較的低減することができる。
炭素化工程におけるトータル延伸倍率は、好ましくは0.85~0.99、さらに好ましくは0.90~0.96である。
(追加の炭素化工程)
より高い弾性率が求められる場合などは、所望により、第二炭素化工程を経た繊維に対して、2000℃~3000℃の高温で黒鉛化処理をさらに行うことができる。黒鉛化処理を行うと、グラファイト化(炭素の高結晶化)がさらに進み、より弾性率の高い炭素繊維とすることができる。
(表面酸化処理)
上記で得られた炭素繊維は、サイジング剤及び/又はマトリックス樹脂との濡れ性を改善するために、表面酸化処理を行うことが好ましい。表面酸化処理は、従来公知のいずれの方法でも行うことができるが、装置が簡便であり工程での管理が容易であることから、工業的には電解酸化を用いることが一般的である。
表面酸化処理の電気量は、炭素繊維1gに対して10~150クーロンになる範囲とすることが好ましい。電気量をこの範囲で調節すると、繊維としての力学的特性に優れ、かつ、樹脂との接着性の向上した炭素繊維を得ることができる。
電解液としては、例えば、硝酸、硫酸、硫酸アンモニウムや炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。電解液の電解質濃度は0.1規定以上が好ましく、0.1~1規定がより好ましい。
<サイジング処理>
表面酸化処理された炭素繊維に対して、必要に応じて、サイジング処理を行うことができる。サイジング処理は、公知の方法で行うことができる。サイジング処理では、公知のサイジング剤を用途に応じて適宜使用することができる。炭素繊維に対してサイジング剤を均一に付着させた後、乾燥させることが好ましい。
<<コンパウンド>>
本開示は、本開示に係る炭素繊維を含有するコンパウンドを含む。本開示に係るコンパウンドは、本開示に係る炭素繊維と、樹脂とを含有し、好ましくはこれらから構成される。特には、本開示に係るコンパウンドは、樹脂と、樹脂中に分散している炭素繊維とを含有し、好ましくはこれらから構成される。
コンパウンドは、ペレット状(ペレット状のコンパウンド)であってよい。
ペレットは、本開示に係る炭素繊維、及び樹脂から製造することができる。ペレットの製造の具体的な態様は、特に限定されず、公知の方法を参照することができる。例えば、二軸押出機に本開示に係る炭素繊維と樹脂とを供給し、随意に加熱して混練・押出することによって、ペレットを製造することができる。
コンパウンド(特にはペレット状のコンパウンド)に含有される樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂の具体例として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂の予備重合樹脂、ビスマレイミド樹脂、アセチレン末端を有するポリイミド樹脂及びポリイソイミド樹脂、ナジック酸末端を有するポリイミド樹脂等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いることもできる。中でも、耐熱性、弾性率、耐薬品性に優れたエポキシ樹脂やビニルエステル樹脂が好ましい。これらの熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤以外に、通常用いられる着色剤や各種添加剤等が含まれていてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスルホン(PS)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエステル(PE)樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリアリーレンオキシド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いることもできる。好ましい熱可塑性樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂である。これらの熱可塑性樹脂には、着色剤や各種添加剤等が含まれていてもよい。
本開示に係るコンパウンド(特にはペレット状のコンパウンド)における炭素繊維の含有率(繊維体積含有率Vf)は、10体積%以上、15体積%以上、20体積%以上、22体積%以上、24体積%以上、26体積%以上、28体積%以上、若しくは30体積%以上であってよく、かつ/又は、50体積%以下、40体積%以下、38体積%以下、36体積%以下、若しくは34体積%以下であってよい。好ましい1つの実施態様では、本開示に係るコンパウンド(特にはペレット状のコンパウンド)は、樹脂と、樹脂中に分散した本開示に係る炭素繊維とを含み、繊維体積含有率Vfが、20体積%以上である。
(重量平均繊維長)
本開示に係る1つの実施態様では、本発明に係るコンパウンド(特にはペレット状のコンパウンド)に含有される炭素繊維が、0.050mm~1.000(mm)、又はさらには0.050mm~0.500(mm)の重量平均繊維長を有する。この重量平均繊維長は、0.060mm以上、0.070mm以上、0.080mm以上、若しくは0.090mm以上であってよく、かつ/又は、0.300mm以下、0.250mm以下、0.200mm以下、0.150mm以下、0.120mm以下、若しくは0.100mm以下であってよい。
コンパウンドに含有される炭素繊維の重量平均繊維長は、空気中で575℃2時間の条件で焼成法によりペレット中のマトリックス樹脂を除去し、ろ過を行った後、マイクロスコープを用いて300本以上の単繊維の繊維長を測定し、測定値の重量平均値を算出することによって得ることができる。空気中で575℃2時間の条件で焼成を行うことによって、焼成に起因して炭素繊維の繊維長が変化することを回避できる。
<炭素繊維強化複合材料>
本開示に係る発明は、本開示に係る炭素繊維を含有する炭素繊維強化複合材料(コンポジット)を含む。
好ましい1つの実施態様では、本開示に係る炭素繊維強化複合材料は、樹脂と、樹脂中に分散した本開示に係る炭素繊維とを含み、繊維体積含有率Vfが、20体積%以上である。
炭素繊維強化複合材料に含まれる炭素繊維については、本開示に係る炭素繊維関する上記の記載を参照することができる。また、炭素繊維強化複合材料に含まれる樹脂については、コンパウンド(特にはペレット状のコンパウンド)に関する上記の記載を参照することができる。
本開示に係る炭素繊維強化複合材料における炭素繊維の繊維体積含有率Vfは、より好ましくは、22体積%以上、24体積%以上、26体積%以上、28体積%以上、若しくは30体積%以上であり、かつ/又は、50体積%以下、40体積%以下、38体積%以下、36体積%以下、若しくは34体積%以下である。
本開示に係る炭素繊維強化複合材料の製造方法は、特には限定されないが、例えば下記を含む方法によって製造することができる:
本開示に係る炭素繊維と樹脂とを含むコンパウンド(特にはペレット状のコンパウンド)を成形して、炭素繊維強化複合材料を形成すること。
本開示に係る炭素繊維強化複合材料の製造方法で用いられるコンパウンド(特にはペレット状のコンパウンド)については、上記の記載を参照することができる。
コンパウンド(特にはペレット状のコンパウンド)を成形して炭素繊維強化複合材料を形成する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。コンパウンド(特にはペレット状のコンパウンド)は、射出成型法によって成形することができる。
以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。
<<評価方法等>>
下記の実施例では、以下の評価方法を用いた。
<炭素繊維の直径>
炭素繊維の直径Df(μm)は、密度Db(g/cm)、繊度Fb(tex)、及びフィラメント数Nb(本)に基づいて、下記の式に従って算出した。
<結晶配向度、結晶子サイズ>
X線回折装置:リガク社製RINT2000を使用し、透過法により面指数(002)の回折ピークの半値幅βから、下式(4)
結晶子サイズLc(nm) = 0.9λ/βcosθ ・・・ (4)
(式中、λ:X線の波長、β:半値幅、θ:回折角)
を用いて、炭素繊維の結晶子サイズLcを算出した。
また、この回折ピーク角度(回折角θ)を円周方向にスキャンして得られる二つのピークの半値幅H1/2及びH’1/2(強度分布に由来)から下式(5)
結晶配向度(%)=100×[360-(H1/2-H’1/2)]/360・・・(5)
(式中、H1/2及びH’1/2は、半値幅を表す)
を用いて炭素繊維の結晶配向度Cを算出した。
<炭素繊維の比表面積比>
炭素繊維の比表面積比は、下記のとおりにして計測される吸着比表面積S1(m/g)、及び、下記のとおりにして決定される理論比表面積S2(m/g)から、
比表面積比=S1/S2
に従って求めた。
<吸着比表面積>
吸着比表面積(S1)は、BET法に従ってクリプトン吸着法によって計測した。
<理論比表面積>
炭素繊維の理論比表面積は、単繊維直径(m)、繊維束1本あたりのフィラメント数、及び繊度(tex)から計算した。より具体的には、炭素繊維の理論比表面積を、下記の式に従って算出した:
理論比表面積(m/g)=((単繊維直径×π×繊維束1本あたりのフィラメント数)/(繊度/1000)
単繊維直径は、密度(g/m)、繊維束1本あたりのフィラメント数、及び繊度(tex)から計算した。より具体的には、単繊維直径は、下記の式に従って算出した:
単繊維直径(m)=2×{((繊度/1000)/(π×密度×繊維束1本あたりのフィラメント数))}1/2
密度は、アルキメデス法により測定した。繊度は、JIS R7605に従い計測した。
<炭素繊維の表面粗さRms>
炭素繊維の表面粗さRms(nm)は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて、視野3μmの範囲で測定した自乗平均面粗さとして求めた。測定方法は、評価用炭素繊維を測定用ステンレス円盤上にのせ、サンプルの両端を固定した物を走査型プローブ顕微鏡(DI社製 SPM N anoscope III)を使用し、Tapping Modeで測定した。得られたデータを付属のソフトを用いて二次曲線補正を行い、自乗平均面粗さを求めた。
<表面酸素濃度(O/C)>
表面処理後の表面処理された炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)は、次の手順に従ってX線光電子分光法XPS(ESCA)によって求めた。測定には、日本電子株式会社製X線光電子分光装置ESCA JPS-9000MXを使用した。繊維をカットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90度に設定し、X線源としてMgKαを用い、試料チャンバー内を1×10-6[Pa]の真空度に保った。測定時の帯電に伴うピークの補正として、まずC1sの主ピークの結合エネルギ値B.E.を284.6[eV]に合わせる。O1sピーク面積は、527~540[eV]の範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、C1sピーク面積は、281~297[eV]の範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。C1sピークに対するO1sピークの感度補正係数として2.6865を用いた。炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)は、上記O1sピーク面積とC1sピーク面積の比で計算して求めた。
<引張弾性率、引張強度>
炭素繊維のストランド弾性率及びストランド引張強度は、JIS R 7608に従って計測した。
<重量平均繊維長>
炭素繊維の重量平均繊維長は、空気中で575℃2時間の条件で焼成法によりペレット中のマトリックス樹脂を除去し、ろ過を行った後、マイクロスコープを用いて300本以上の単繊維の繊維長を測定し、重量平均値として算出した。
<引張強度>
コンポジットの引張強度(単位:MPa)は、射出成形によって作製したISO 20753 A1型試験片に対して、ISO527に従って計測を行うことによって、得た。
<<製造例A、B、X、Y、及びZ>>
下記のとおりにして、製造例A、B、X、Y、及びZに係る炭素繊維を製造した。
<製造例A>
前駆体繊維であるPAN繊維ストランド(単繊維繊度0.77dtex、フィラメント数36000)を、空気中255℃で耐炎化処理を行った後に、第一炭素化工程(窒素ガス雰囲気下、最高温度600℃)及び第二炭素化工程(窒素雰囲気下、最高温度1400℃)において、トータル延伸倍率0.94倍で炭素化させた。得られた未表面処理炭素繊維を表面処理(電解質溶液:10質量%硫酸アンモニウム水溶液、総電気量25c/g)した後、サイジング剤としてポリイミド(PI)を炭素繊維基準1重量%適用して、炭素繊維を得た。得られた製造例Aに係る炭素繊維の物性を評価した。結果を下記の表1に示す。
<製造例X>
炭素化工程で適用されるトータル延伸倍率を、0.97倍としたこと以外は、上記の製造例Aと同様にして、製造例Xに係る炭素繊維を製造した。得られた製造例Xに係る炭素繊維の物性を評価した。結果を下記の表1に示す。
<製造例Y>
炭素化工程で適用されるトータル延伸倍率を、1.01倍、第二炭素化工程の最高温度を1420℃としたしたこと以外は、上記の製造例Aと同様にして、製造例Yに係る炭素繊維を製造した。得られた製造例Yに係る炭素繊維の物性を評価した。結果を下記の表1に示す。
<製造例B>
前駆体繊維であるPAN繊維ストランド(単繊維繊度1.15dtex、フィラメント数12000)を、空気中256℃で耐炎化処理を行った後に、第一炭素化工程(窒素ガス雰囲気下、最高温度600℃)及び第二炭素化工程(窒素雰囲気下、最高温度1200℃)において、トータル延伸倍率0.96倍で炭素化させた。得られた未表面処理炭素繊維を表面処理(電解質溶液:10質量%硫酸アンモニウム水溶液、総電気量25c/g)した後、サイジング剤としてポリイミド(PI)を炭素繊維基準1重量%適用して、炭素繊維を得た。得られた製造例Bに係る炭素繊維の物性を評価した。結果を下記の表1に示す。
<製造例Z>
炭素化工程で適用されるトータル延伸倍率を、1.00倍とし、かつ第二炭素化工程における最高温度を1150℃としたたこと以外は、上記の製造例Bと同様にして、製造例Zに係る炭素繊維を製造した。得られた製造例Zに係る炭素繊維の物性を評価した。結果を下記の表1に示す。
上記製造例に係る炭素繊維の物性に関するグラフを図1及び図2に示す。
図1は、製造例A、B、X、Y、及びZに係る炭素繊維について、直径と結晶配向度との関係を示すグラフである。図中の2つの点線は、それぞれ、上記の関係式(1)の上限及び下限に対応する。製造例A及びBに係る炭素繊維は、2つの点線で画定される領域内にある。すなわち、製造例A及びBに係る炭素繊維は、関係式(1)を満たす。製造例X、Y、及びZに係る炭素繊維は、この領域外にある。
図2は、製造例A、B、X、Y、及びZに係る炭素繊維について、結晶子サイズと結晶配向度との関係を示すグラフである。図中の2つの点線は、それぞれ、上記の関係式(2)の上限及び下限に対応する。製造例A及びBに係る炭素繊維は、2つの点線で画定される領域内にある。すなわち、製造例A及びBに係る炭素繊維は、関係式(2)を満たす。製造例X、Y、及びZに係る炭素繊維は、この領域外にある。
<<実施例1及び比較例1~2>>
実施例1及び比較例1~2では、比較的小さい直径を有する炭素繊維を用いてコンポジットを製造し、物性評価を行った。
<実施例1>
上記の製造例Aに係る炭素繊維を用いて、実施例1に係るコンポジットを製造した。
具体的には、製造例Aに係る炭素繊維と、樹脂(PEEK樹脂、ビクトレックス社製、製品名VICTREX PEEK 150P)とを、繊維体積含有率(Vf)33体積%で二軸押出機(日本製鋼所社製、製品名TEX30X)に供給し、400℃で加熱して混練・押出することによって、ペレットを製造した。
そして、射出成形機(日本製鋼所社製、製品名J-110AD-180H)を用いて上記ペレットを射出成形することによって、ISO 20753 A1型試験片を製造した。製造した実施例1に係るコンポジット試験片の特性を評価した。結果を下記の表2に示す。
<比較例1>
炭素繊維として製造例Aに係る炭素繊維の代わりに製造例Xに係る炭素繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係るコンポジットを製造し、特性評価を行った。結果を下記の表2に示す。
<比較例2>
炭素繊維として製造例Aに係る炭素繊維の代わりに製造例Yに係る炭素繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係るコンポジットを製造し、特性評価を行った。結果を下記の表2に示す。
表2で見られるとおり、直径及び結晶配向度が関係式(1)を満たしている製造例Aに係る炭素繊維を用いて製造されたコンポジット(実施例1)は、関係式(1)を満たさない製造例X又はYに係る炭素繊維を用いて製造されたコンポジット(比較例1及び2)よりも、高い引張強度を示した。
より具体的には、表2で見られるとおり、製造例Aに係る炭素繊維は、製造例X及びYに係る炭素繊維と比較して、比較的低いストランド強度及び弾性率を有する一方で、比較的低い結晶配向度を有していた。また、表2で見られるとおり、コンポジットを製造するために用いたペレット中において、製造例Aに係る炭素繊維の重量平均繊維長は、製造例X及びYに係る炭素繊維よりも比較的長かった。理論によって限定する意図はないが、炭素繊維が比較的低い結晶配向度を有している場合には、繊維軸方向とは異なる方向から付与されるせん断応力に対する繊維の抵抗性が比較的高くなるので、コンポジット製造時(特には混練によるコンパウンド製造時)に繊維の折れが抑制されて、コンポジット中において比較的長い長さで維持され、その結果として、繊維自体の機械的特性が比較的低いにも関わらず、比較的高い機械特性を有するコンポジットを得ることができると考えられる。
<<実施例2及び比較例3>>
比較的大きい直径を有する製造例B及びZに係る炭素繊維を用たこと以外は、上記の実施例1と同様にして、それぞれ、実施例2及び比較例3に係るコンポジットを製造し、特性を評価した。結果を下記の表3に示す。
表3で見られるとおり、比較的大きい直径を有する炭素繊維を用いた場合にも、上記と同様の結果が得られた。すなわち、直径及び結晶配向度が関係式(1)を満たす製造例Bの炭素繊維を用いて製造された実施例2に係るコンポジットは、関係式(1)を満たさない製造例Zの炭素繊維を用いて製造された比較例3に係るコンポジットと比較して、優れた強度を有していた。重量平均繊維長についても、実施例1等と同様の結果が見られた。
<<実施例3~5及び比較例4~6並びに参考例1及び参考比較例1>>
実施例3~5及び比較例4~6並びに参考例1及び参考比較例1では、炭素繊維の含有量が比較的低いコンポジットを製造し、評価を行った。
<実施例3及び比較例4>
実施例3及び比較例4では、それぞれ、製造例A及び製造例Xに係る炭素繊維を用いた。繊維体積含有率を24体積%としたこと以外は、上記の実施例1と同様にして、実施例3及び比較例4に係るコンポジットをそれぞれ製造し、評価を行った。結果を下記の表4に示す。
<実施例4及び比較例5>
実施例4及び比較例5では、それぞれ、製造例B及び製造例Zに係る炭素繊維を用いた。繊維体積含有率を24体積%としたこと以外は上記の実施例1と同様にして、実施例4及び比較例5に係るコンポジットをそれぞれ製造し、評価を行った。結果を下記の表4に示す。
<実施例5及び比較例6>
実施例5及び比較例6では、それぞれ、製造例A及び製造例Xに係る炭素繊維を用いた。繊維体積含有率を15体積%としたこと以外は上記の実施例1と同様にして、実施例5及び比較例6に係るコンポジットをそれぞれ製造し、評価を行った。結果を下記の表4に示す。
<参考例1及び参考比較例1>
参考例1及び参考比較例1では、製造例B及び製造例Zに係る炭素繊維をそれぞれ用いた。繊維体積含有率を15体積%としたこと以外は上記の実施例1と同様にして、参考例1及び参考比較例1に係るコンポジットをそれぞれ製造し、評価を行った。結果を下記の表4に示す。
表4で見られるとおり、コンポジット中の炭素繊維含有量が比較的低い場合(Vf=24体積%)にも、関係式(1)を満たす炭素繊維(製造例A及びB)によるコンポジット強度の向上が観察された。また、表4で見られるとおり、コンポジット中の炭素繊維含有量をさらに低減した場合(Vf=15体積%)にも、関係式(1)を満たす炭素繊維によるコンポジット強度の向上が観察される場合があった。
一方で、比較的低いVfを有するコンポジット(Vf=15~24体積%の場合、表4参照)における本発明に係る繊維の効果(コンポジット引張強度の向上効果)は、Vfが比較的高い場合(Vf=33体積%の場合、表2及び表3参照)よりは限定的であった。特に、表4で見られるとおり、参考例1及び参考比較例1では、関係式(1)を満たす製造例Bと関係式(1)を満たさない製造例Zとで、コンポジットの引張強度は同程度であった。
図3は、関係式(1)を満たす製造例Aに係る炭素繊維を含むコンポジット、並びに、関係式(1)を満たさない製造例X及びYに係る炭素繊維を含むコンポジットについての、繊維体積含有率(Vf)とコンポジット引張強度との間の関係を示すグラフである。図3で見られるとおり、関係式(1)を満たす炭素繊維を用いることによるコンポジット引張強度の向上は、コンポジットの繊維含有率が高いほど顕著であることがわかる。
理論によって限定する意図はないが、比較的繊維含有率が低い場合には、コンポジットを製造する際の混練による繊維間の相互作用が比較的少なっているので、繊維が折れる割合がそもそも低く、結晶配向度を最適化することによる効果が表れにくくなっていると考えられる。
図3は、データに基づく近似曲線も示している。図3では、近似曲線に対応する式及び決定係数(R)も示す。この近似曲線を見ると、繊維含有率が低い領域(特に5体積%~約10体積%の領域)では、関係式(1)を満たす炭素繊維を有するコンポジットの引張強度は、関係式(1)を満たさない炭素繊維を有するコンポジットの引張強度よりも低くなっている。理論によって限定する意図はないが、Vfを15体積%未満の値にさらに低減した場合には、結晶配向度を最適化することによって得られる効果(特には繊維の折れの抑制)よりも、繊維の引張強度等が低下することによる影響が優勢となり、コンポジットの特性が低下すると予測される。

Claims (11)

  1. 炭素繊維強化複合材料のための炭素繊維であって、
    X線回折装置を用いて測定された前記炭素繊維の結晶配向度C(%)と、前記炭素繊維の直径Df(μm)とが、下記の関係式(1):
    81.5-0.31×Df≦C≦82.5-0.31×Df (1)
    を満たし、
    上記式(1)中、Dfは、4.0~8.0μmである、
    炭素繊維。
  2. S1/S2で表される前記炭素繊維の比表面積比の値が、1.20~1.80であり、
    前記S1は、クリプトン吸着法によって計測された吸着比表面積(m/g)であり、
    前記S2は、理論比表面積(m/g)である、
    請求項1に記載の炭素繊維。
  3. 前記結晶配向度C(%)と、X線回折装置を用いて測定された前記炭素繊維の結晶子サイズLc(Å)と、が、下記の関係式(2):
    76.7+0.17×Lc≦C≦77.9+0.17×Lc (2)
    を満たし、
    上記式(2)中、Lcは、12.0~20.0Åである、
    請求項1又は2に記載の炭素繊維。
  4. 走査型プローブ顕微鏡を用いて測定された前記炭素繊維の表面粗さRmsが、15nm~35nmである、請求項1又は2に記載の炭素繊維。
  5. 前記炭素繊維の直径Dfが、5.0~6.5μmである、請求項1又は2に記載の炭素繊維。
  6. 20体積%以上の繊維体積含有率Vfを有しており、かつ炭素繊維が樹脂中に分散した構造を有する炭素繊維強化複合材料を製造するための、請求項1又は2に記載の炭素繊維。
  7. 第一炭素化工程及び随意の第二炭素化工程におけるトータル延伸倍率を0.90~0.96倍にすることを含む、請求項1又は2に記載の炭素繊維を製造する方法。
  8. 樹脂と、前記樹脂中に分散した請求項1又は2に記載の炭素繊維とを含み、
    繊維体積含有率Vfが、20体積%以上である、
    炭素繊維強化複合材料。
  9. 樹脂と、前記樹脂中に分散した請求項1又は2に記載の炭素繊維とを含み、
    繊維体積含有率Vfが、20体積%以上である、
    コンパウンド。
  10. 樹脂と前記樹脂中に分散した請求項1又は2に記載の炭素繊維とを含むコンパウンドを成形して、炭素繊維強化複合材料を形成すること
    を含む、
    炭素繊維強化複合材料の製造方法。
  11. 前記コンパウンドが、ペレット状である、請求項10に記載の方法。
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