JP2024000979A - 定着フィルムとその製造方法、加熱定着装置及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

定着フィルムとその製造方法、加熱定着装置及び電子写真画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2024000979A
JP2024000979A JP2023096734A JP2023096734A JP2024000979A JP 2024000979 A JP2024000979 A JP 2024000979A JP 2023096734 A JP2023096734 A JP 2023096734A JP 2023096734 A JP2023096734 A JP 2023096734A JP 2024000979 A JP2024000979 A JP 2024000979A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fixing film
fluororesin
film according
heat
fixing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023096734A
Other languages
English (en)
Inventor
明志 浅香
Akishi Asaka
龍之介 川原
Ryunosuke Kawahara
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to US18/334,465 priority Critical patent/US20240045359A1/en
Priority to EP23180261.2A priority patent/EP4296784A1/en
Priority to CN202310739100.5A priority patent/CN117270354A/zh
Publication of JP2024000979A publication Critical patent/JP2024000979A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】長期の使用によっても回転軸に沿う方向への耐裂け性と、回転軸に沿う方向の両側の端部領域の耐摩耗性と、をより高いレベルで両立させてなる表面層を備えたエンドレス形状を有する定着フィルムの提供。【解決手段】エンドレス形状を有する定着フィルムであって、少なくとも基材、弾性層及び離型層をこの順に有し、該離型層はフッ素樹脂を含むチューブで構成されてなり、該離型層の、反射X線回折法による2θ=39.5~40.5°の最大X線回折強度Iaに対する、2θ=17~19°の最大X線回折強度Icの比の値をXとし、該定着フィルムの特定の領域間のXの平均値が特定の関係を満たすことを特徴とする定着フィルム。【選択図】図4

Description

本開示は、電子写真画像形成装置に用いられる定着フィルム及びその製造方法、加熱定着装置、並びに電子写真画像形成装置に関する。
電子写真画像形成装置は、紙のような記録材(以下、「用紙」と記す場合がある)に形成されたトナー画像を加熱、加圧することによって当該用紙にトナー画像を定着させる定着装置を備えている。この定着装置においては、加熱ローラ(加熱フィルム)や加圧ローラ(加圧フィルム)のような定着部材を備えており、加熱ローラ及び加圧ローラが互いに圧接した位置(定着ニップ部)において、用紙上の未定着トナー像の定着処理が行われる。
定着装置の一例として、フィルム加熱方式の装置がある。この装置は、セラミックス製の基板上に抵抗発熱体を有する加熱部材(加熱源)としてのヒータを有する。この装置は、ヒータを内包してヒータと接触しつつ回転走行する加熱部材としての無端状の定着フィルムを有する。この装置は、定着フィルムと圧接してニップ部を形成し、かつ定着フィルムを回転駆動させるニップ部形成部材としての加圧ローラ(加圧用回転体)を有する。
このフィルム加熱方式では、定着フィルムの低熱容量化及び小型化が可能となることから、定着装置を省エネルギー化できる。また、定着フィルムの温度がトナー画像を加熱定着するのに十分な所定温度に達するまでにかかる時間(ウォームアップタイム)を短縮することが可能となる。
フィルム形状の基材には、ポリイミドのような樹脂や、ニッケルやステンレス鋼のような金属が用いられている。かかる基材上には、シリコーンゴムのような耐熱性に優れたゴムを含む弾性層が設けられている。弾性層を有することにより、トナーが転写された用紙がニップ部を通過する際に、弾性層の柔軟性によって、定着部材の表面が変形して、用紙上の未定着トナー画像によく追従することにより、定着部材と用紙上の未定着トナー画像との接触面積が広がる。そのため、未定着トナー画像をより均一に溶融して用紙上に定着させることができ、その結果、高品位な電子写真画像を得ることができる。
そして、弾性層上には、定着部材のトナーに対する離型性を付与するため離型層が設けられる。離型層を構成する材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、及びテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)のようなフッ素樹脂が使用される。
弾性層上への離型層の形成方法として、予め押出成形によって製造したフッ素樹脂を含むチューブ(以降、「フッ素樹脂チューブ」ともいう)で弾性層の表面を被覆する方法が知られている。ところで、フッ素樹脂チューブは、その押出方向に沿ってフッ素樹脂の分子が配向している。その結果、フッ素樹脂チューブは、分子鎖の配向方向、すなわち、押出方向に平行な方向に裂けやすい。
特許文献1では、PFAチューブを拡径した熱収縮性チューブを加熱して収縮させ、ゴムローラと融着一体化させてゴムローラの外周面上にPFA層を形成した後、PFAチューブに含有されるPFAの融点以上の温度に該PFA層を再加熱している。このことにより、熱収縮後のPFAチューブから形成されたPFA層の内部応力を解放し、除去して、PFA層の、ローラやベルトの回転軸に沿う方向の割れを防止している。
特開2011-197507号公報 特開2010-143118号公報
本開示の少なくとも一つの態様は、長期の使用によっても回転軸に沿う方向への耐裂け性と、回転軸に沿う方向の両側の端部領域の耐摩耗性と、をより高いレベルで両立させてなる表面層を備えたエンドレス形状を有する定着フィルムの提供に向けたものである。
また、本開示の少なくとも一つの態様は、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する加熱定着装置の提供に向けたものである。
さらに、本開示の少なくとも一つの態様は、高品位な電子写真画像を安定的に形成することができる電子写真画像形成装置に向けたものである。
また、本開示の少なくとも一の態様は、長期の使用によっても軸に沿う方向への耐裂け性と、軸に沿う方向の両側の端部領域の耐摩耗性と、をより高いレベルで両立させてなる表面層を備えた定着フィルムの製造方法の提供に向けたものである。
本開示の少なくとも一つの態様によれば、エンドレス形状を有する定着フィルムであって、少なくとも、基材、弾性層及び離型層をこの順に有し、
該離型層は、フッ素樹脂を含むチューブで構成されてなり、
該離型層の、反射X線回折法による2θ=39.5~40.5°の最大X線回折強度Iaに対する、2θ=17~19°の最大X線回折強度Icの比の値(Ic/Ia)をXとし、
該定着フィルムの回転軸に沿う方向の長さをLとし、
該定着フィルムの回転軸に沿う方向の両側の端部から0.15Lまでの端部領域における該Xの平均値をXeとし、
該定着フィルムの該両端部から0.15Lまでの該領域の間に存在する、回転軸に沿う方向の中央部である長さ0.70Lの中央領域における該Xの平均値をXmとしたとき、
Xmに対するXeの比の値(Xe/Xm)が、1.20以上である
定着フィルムが提供される。
また、本開示の少なくとも一つの態様によれば、上記の定着フィルムを有する加熱定着装置が提供される。
さらに、本開示の少なくとも一つの態様によれば、上記の加熱定着装置を備えた電子写真画像形成装置が提供される。
さらにまた、本開示の少なくとも一つの態様によれば、上記の定着フィルムの製造方法であって、(i) フッ素樹脂を含む樹脂混合物の円筒押出成形物であるフッ素樹脂チューブを用意する工程と、
(ii) 該フッ素樹脂チューブで、該基材の弾性層の外表面を被覆する工程と、
(iii) 該フッ素樹脂チューブの該中央領域に対応する領域を、該フッ素樹脂の融解温度以上の温度にて熱処理し、該端部領域に対応する領域を該フッ素樹脂の融解温度を超えない温度で熱処理する工程と、
を有する定着フィルムの製造方法が提供される。
本開示の少なくとも一つの態様によれば、長期の使用によっても回転軸に沿う方向への耐裂け性と、回転軸に沿う方向の両側の端部領域の耐摩耗性と、をより高いレベルで両立させてなる表面層を備えた、エンドレス形状を有する定着フィルムを得ることができる。
また、本開示の少なくとも一つの態様によれば、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する加熱定着装置を得ることができる。
さらに、本開示の少なくとも一つの態様によれば、高品位な電子写真画像を安定的に形成することができる電子写真画像形成装置に向けたものである。
また、本開示の少なくとも一の態様は、長期の使用によっても軸に沿う方向への耐裂け性と、軸に沿う方向の両側の端部領域の耐摩耗性と、をより高いレベルで両立させてなる表面層を備えた定着フィルムの製造方法を得ることができる。
電子写真画像形成装置の一例の概略構成図 本実施形態に係る定着装置の構成を示す概略断面図 本実施形態に係る定着フィルムの概略断面図 本実施形態に係るフッ素樹脂離型層のX線回折パターンの一例 反射X線回折法による測定部位を示す概略図
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の方法によって内部応力を解放したPFA層は、PFAチューブが有していた押出方向(回転軸に沿う方向)の分子配向が緩和され、回転軸に沿う方向の裂けが生じ難くなることを確認した。ここで、特許文献2に開示されているように、フッ素樹脂の配向度と結晶化度とは相関している。そのため、回転軸に沿う方向への分子の配向度が高いフッ素樹脂チューブは、結晶性も高く、優れた耐摩耗性を有している。したがって、特許文献1に記載の方法によって回転軸に沿う方向へのフッ素樹脂の分子配向を緩和させたフッ素樹脂チューブは、耐摩耗性も低下する。
近年の電子写真画像形成装置に対するより一層の長寿命化の要求に対して、定着フィルムに対しても耐久性の向上が求められてきている。そして、定着フィルムの回転軸に沿う方向の両側の端部領域は、紙のエッジが繰り返し接触する部位であるため、特に高い耐摩耗性が必要となる。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、記録材の画像形成領域に概略対応する、定着フィルムの回転軸に沿う方向(以降、「長手方向」ともいう)の中央領域と、記録材の端部が接触する領域に概略対応する軸に沿う方向の両側の端部領域と、において、離形層中のフッ素樹脂の分子の配向状態を異ならせることによって、耐裂け性と、耐摩耗性と、をより高いレベルで両立させ得ることを見出した。
すなわち、本開示の少なくとも一つの態様に係る定着フィルムは、少なくとも、基材、弾性層及び離型層をこの順に有する。
該離型層は、フッ素樹脂を含むチューブ(以降、「フッ素樹脂チューブ」ともいう)で構成されている。
そして、該離型層の、反射X線回折法による2θ=39.5~40.5°の最大X線回折強度Iaに対する、2θ=17~19°の最大X線回折強度Icの比の値(Ic/Ia)をXとし、該定着フィルムの回転軸に沿う方向の長さをLとし、該定着フィルムの回転軸に沿う方向の両側の端部から0.15Lまでの領域(以降、「端部領域」ともいう)における該Xの平均値をXeとし、該定着フィルムの該両端部から0.15Lまでの端部領域の間に存在する、回転軸方向に沿う方向における中央部である長さ0.70Lの領域(以降、「中央領域」ともいう)における該Xの平均値をXmとしたとき、Xmに対するXeの比の値(Xe/Xm)が、1.20以上である。
フッ素樹脂チューブの反射X線回折法によって測定されるX線回折ピークのチャートにおいて、2θ=17~19°の範囲に観察される最大ピークは、フッ素樹脂チューブにおいてフッ素樹脂によるα型結晶(100)面の回折ピークであると考えられる。また、上
記チャートにおいて、2θ=30~50°の範囲に観察されるハローパターンは、フッ素樹脂チューブにおけるフッ素樹脂の非晶質(アモルファス)成分に由来するものと考えられる。
そこで本開示においては、上記チャートにおいて、非晶質ハローピークのうち、2θ=39.5~40.5°における最大X線回折強度を、Ia とする。また、上記チャート
において、2θ=17~19°のフッ素樹脂のα型結晶(100)面に由来の回折ピークの最大X線回折強度を、Ic とする。そして、フッ素樹脂チューブにおける結晶化の発
達の程度を示すパラメータとして、Iaに対するIcの比(Ic/Ia)の値(X)を設定する。
なお、Ic及びIaは、ベースラインの影響を排除するため、2θ=59~60°におけるX線回折強度を基準として差し引いた値を用いることとする。
本開示の一態様に係るフッ素樹脂チューブは、端部領域におけるX、すなわち、Xeの、中央領域におけるX、すなわち、Xmに対する比率(Xe/Xm)が、1.20以上である。つまり、フッ素樹脂チューブは、端部領域におけるフッ素樹脂の結晶化の発達の程度が、中央領域におけるフッ素樹脂の結晶化の発達の程度よりも高い。このことにより、本開示に係るフッ素樹脂チューブは、中央領域においては、長期の使用によっても回転軸に沿う方向への裂けが生じにくい。また、紙のエッジ部分と接触し易い端部領域においては、高い耐摩耗性を有する。その結果、本開示の少なくとも一の態様に係る定着フィルムは、長期の使用によっても回転軸に沿う方向への耐裂け性と、回転軸に沿う方向の両側の端部領域の耐摩耗性と、をより高いレベルで両立したものとなる。
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。
[電子写真画像形成装置(画像形成装置)]
図1は電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置ともいう)の一例の概略構成模式図である。この画像形成装置は電子写真方式の画像形成装置であり、回転する電子写真感光体101を有する。画像形成装置は、感光体101に対する静電潜像形成手段としての帯電装置102と像露光手段103、感光体101上の静電潜像をトナー像(現像剤像)として現像する現像手段104を有する。さらに、画像形成装置は、感光体101上のトナー像をシート状の記録材(以下、紙又は用紙と記す)Pに転写する転写手段105を有する。画像形成装置は、トナー像転写後の感光体101面を清掃するクリーニング手段106、用紙P上のトナー像Tを定着する定着手段としての加熱定着装置(定着装置)10(図2)などを有する。
[加熱定着装置(定着装置)]
図2は本実施形態における定着装置10の概略構成を示す横断面模式図である。以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、回転軸に沿う方向とは、紙の面上において紙の搬送方向と直交する方向である。長さとは、回転軸に沿う方向の寸法である。定着フィルムの回転軸に沿う方向も、同様に紙搬送方向と直交する方向であり、図2において定着フィルム20が描かれた面に対して垂直な方向(図面に垂直方向)である。
この定着装置10はベルト(フィルム)加熱方式の定着装置である。加熱体としてのセラミックスヒータ(以下、ヒータと記す)1と、加熱体支持部材を兼ねるフィルムガイド2を備える。また、加熱部材(定着部材)としての、エンドレス形状(円筒状)で可撓性・耐熱性の定着フィルム20を備える。また、定着フィルム20と圧接してニップ部(定着ニップ部)Nを形成するニップ部形成部材としての加圧ローラ30を備える。
ヒータ1は定着フィルム20の長手方向(図面に垂直方向)に沿って細長い板状部材であり、不図示の給電手段によって通電されることで発熱する抵抗発熱体などの発熱源を有しており、給電により急峻に昇温する。ヒータ1の温度は不図示の温度検知手段で検知さ
れ、その検知温度情報が不図示の制御手段に入力する。制御手段は温度検知手段から入力する検知温度が所定の定着温度に維持されるように給電手段から発熱源への供給電力を制御してヒータ1の温度を所定の温度に調整する。
ヒータ1は、剛性を有する耐熱性材料によって横断面略半円弧状の樋型に形成されているフィルムガイド2に支持されている。より具体的には、フィルムガイド2の外面にガイド長手に沿って溝部2aが設けられており、ヒータ1はこの溝部2aに嵌入されている。
後述するように、定着フィルム20は内側から外側に、少なくとも環状(筒状)の基材21、弾性層22、及び離型層24等をこの順に含む(図3)。図3に示すように、定着フィルム20は、さらに内面摺動層25やプライマー層26などその他の層を有してもよい。定着フィルム20は使用状態で内周面がヒータ1及びフィルムガイド2に摺擦されるエンドレスフィルムであり、ヒータ1を支持したフィルムガイド2の外周に周長に余裕を持たせて外嵌されている。
ヒータ1と加圧ローラ30は定着フィルム20を挟んで圧接しており、定着フィルム20と加圧ローラ30との間にニップ部Nが形成されている。加圧ローラ30は例えばモータなどの回転駆動装置Mによって矢印R30で示す反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動に従動して定着フィルム20がその内面がヒータ1の面に密着して摺動しながらフィルムガイド2の外回りを矢印R20の時計方向に回転する。定着フィルム20の回転軸に沿う方向の両側の端部は、定着装置10に固定された規制部材であるフランジ(不図示)によって回転自在に支持されている。
フィルムガイド2はヒータ1の支持部材として機能すると共に定着フィルム20の回転ガイド部材としても機能する。定着フィルム20の内周面には、ヒータ1及びフィルムガイド2との摺動性を確保するために潤滑剤(グリス)が塗られている。
加圧ローラ30は、内側から外側に、中実丸棒状又は円筒状(パイプ状)等の基体31、弾性層32、離型層33を備える。加圧ローラ30は、例えばモータなどの回転駆動装置Mによって使用時に回転駆動される。このため基体31の回転軸に沿う方向の両側の端部は、定着装置10のフレームなどの不図示の固定部分に軸受部材を介して回転自在に支持されている。
また、加圧ローラ30は、フィルムガイド2に支持されたヒータ1と定着フィルム20を挟んで対向する位置に配置されている。そして、加圧機構(不図示)によって加圧ローラ30と定着フィルム20とに所定の圧力が付与されることで、加圧ローラ30と定着フィルム20とが圧接してそれぞれの弾性層(22、32)は弾性変形する。これによって、加圧ローラ30と定着フィルム20との間には用紙搬送方向に関して所定の幅のニップ部Nが形成される。
加熱部材としての定着フィルム20とニップ形成部材としての加圧ローラ30の両者の圧接は、加圧ローラ30を定着フィルム20に所定の圧力で圧接させる構成でも、定着フィルム20側を加圧ローラ30に圧接させる構成でもよい。また定着フィルム20側と加圧ローラ30の両方を互いに所定の圧力で圧接させる構成でもよい。
加圧ローラ30は回転駆動装置Mによって回転駆動されると、従動回転する定着フィルム20との間のニップ部Nにおいて用紙Pを挟持しつつ搬送する。また、定着フィルム20は、ヒータ1により表面が所定温度(例えば200℃)に達するまで加熱される。この状態で、未定着トナー像Tを担持した用紙Pがニップ部Nに導入されて挟持搬送されることで、用紙P上の未定着トナーTが加熱、加圧される。すると、未定着トナーTは溶融/
混色するので、その後、これが冷却することによって、トナー像が定着画像として用紙Pに定着される。
[定着フィルム]
次に、本実施例における定着フィルム20の詳細について説明する。
図3は定着フィルム20の層構成を示す断面模式図である。21は定着フィルム20の基材(円筒状基体)、25はその基材21の内周面に配された内面摺動層、26は基材21の外周面を被覆したプライマー層、22はプライマー層26上に配された弾性層である。24は離型層としてのフッ素樹脂チューブであり、23は弾性層22上に離型層24を固定するための接着剤層である。
以下に各構成層について具体的に説明する。
(3-1)基材21
定着フィルム20の基材21は、エンドレス形状を有する。そして、基材には、耐熱性及び耐屈曲性が求められることに鑑みて、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱性樹脂、及び熱伝導性も考慮して、耐熱性樹脂に比べ熱伝導率のより高いステンレス(SUS)、ニッケル、ニッケル合金等の金属が好適に用いられる。基材21は熱容量を小さくする一方で機械的強度を高くする必要があることから、厚みは5~100μm好ましくは20~85μmとするのが望ましい。
(3-2)内面摺動層25
定着フィルム20は、基材21の内周面側に内面摺動層25を備えてもよい。
内面摺動層25としては、ポリイミド樹脂のような高耐久性、高耐熱性を併せ持つ樹脂が適している。本実施例では、芳香族テトラカルボン酸二無水物あるいはその誘導体と、芳香族ジアミンとの略等モル有機極性溶媒中で反応させて得られるポリイミド前駆体溶液を基材21の内周面に塗布し、溶媒を乾燥後、加熱により脱水閉環反応(イミド化反応)させることで内面摺動層25を形成している。内面摺動層25は前記ヒータ1と摺擦されて徐々に摩耗していくことから、使用耐久を通じて摺動層として働くことが十分可能な厚みを設けることが好ましい。一方で厚くしすぎてしまうとヒータ1からの熱供給を妨げる熱抵抗層として働いてしまう。そのため、厚みは5~20μmが好ましく、10~15μmがより好ましい。
(3-3)弾性層22
基材21の外周面にはプライマー層26を介して弾性層22が設けられている。弾性層22は用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上の未定着トナーTを包み込むようにして未定着トナーTに対し均一に熱を与える。弾性層22がこのように機能することで、高光沢で定着ムラのない良質な画像が得られる。
プライマー層26の材料は、特に制限されず公知のものを使用しうる。例えば、ダウ・東レ社製「DY39-051 A/B」(商品名)などが挙げられる。プライマー層26の厚さは特に制限されず、例えば、0.1~5μmである。プライマー層26の形成方法も特に制限されないが、例えば、スプレー塗工や浸漬塗工などが挙げられる。
弾性層22の材料は、特に制限されず公知のものを使用しうる。加工が容易である、高い寸法精度で加工できる、加熱硬化時に反応副生成物が発生しないなどの理由から、付加反応架橋型の液状シリコーンゴムの硬化物が好ましい。付加反応架橋型の液状シリコーンゴムは、例えばオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含み、さらには触媒や他の添加物を含んでいてもよい。オルガノポリシロキサンはシリコーンゴムを原料とするベースポリマーであり、数平均分子量が5千~10万、重量平均分子量が1万~50万であるものを用いるとよい。
液状シリコーンゴムは室温で流動性を持つポリマーであるが、加熱によって硬化し、硬化後は適度に低硬度であり、また十分な耐熱性と変形回復力を有する。そのため、液状シリコーンゴムはベルト弾性層22だけでなく、後述する加圧ローラ30の弾性層32に用いるのにも好適である。
ところで、弾性層22がシリコーンゴム単体で形成されるならば、弾性層22の熱伝導率は低くなる。弾性層22の熱伝導率を高めて、ヒータ1で発生した熱が定着フィルム20を介して用紙Pに伝わりやすくし、用紙Pにトナーを定着させる際に十分に加熱し定着ムラなどの画像不良を抑制することが好ましい。そこで、弾性層22の熱伝導率を上げるために、弾性層22には高い熱伝導性を持つ例えば粒状の高熱伝導性フィラーが混入、分散されていることが好ましい。
粒状の高熱伝導性フィラーとしては、炭化ケイ素(SiC)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化マグネシウム(MgO)、カーボン等からなる群から選択される少なくとも一が用いられる。これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
高熱伝導性フィラーの平均粒径は取り扱い上、及び分散性の観点から1μm以上50μm以下が好ましい。また、形状は球状、粉砕状、針状、板状、ウィスカ状などが用いられるが、分散性の観点から球状のものが好ましい。弾性層22の厚みは、十分な弾性により良質な画像を得るため、及び加熱によって所定温度に達するまでの時間を熱容量によって良好にするために、好ましくは30~500μmであり、より好ましくは100~300μmである。
(3-4)接着剤層23
弾性層22であるところの硬化シリコーンゴム上に離型層24であるフッ素樹脂チューブを固定する接着剤層23を形成する。接着剤層23は、例えば、弾性層22の表面に1~10μmの厚みで塗布するなどして形成しうる(円筒弾性層の外周面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程)。
接着剤層23は、例えば、付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物が挙げられる。付加硬化型シリコーンゴム接着剤23は、自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを含む。具体的には、ビニル基に代表される不飽和炭化水素基を有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン及び架橋触媒としての白金化合物を含有する。そして、付加反応により硬化する。
接着剤層23に用いる接着剤は、特に制限されず、弾性層及び離型層の材料を考慮して選択すればよく、公知のものを使用することができる。
(3-5)離型層24
離型層はフッ素樹脂チューブで構成される。フッ素樹脂チューブは、例えば、円筒押出成形物であることが好ましい。定着用部材の表層である離型層には、例えば成形性やトナー離型性の観点から押出成形によるフッ素樹脂チューブが使用される。フッ素樹脂としては、耐熱性に優れたテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる。例えば、離型層は押出成形されたテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFAチューブ)であることが好ましい。
原料となるPFAの共重合の形式は特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などが挙げられる。また、原料となるPFAにおけるテトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の含有モル比は特に限定されるものではない。例えば、TFE/PAVEの含有モル比が、94/6~99/1のものを好適に用いることができる。
PFAのほか、フッ素樹脂として、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)が挙げられる。また、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。そして、それらのフッ素樹脂を1種あるいは複数種組み合わせて用いることもできる。
離型層24の厚みは、用紙との摺擦による摩耗を考慮し、耐久を通じて離型層としての機能を維持するために10μm以上とすることが好ましい。一方で厚くしすぎてしまうと、熱抵抗の増大に伴う加熱効率の低下や、柔軟性の欠如に伴う用紙との接触熱抵抗の増大によって省エネ性や画質の低下を招いてしまうことから、厚みは45μm以下であることが望ましい。例えば、離型層の厚みは、好ましくは10~45μm、10~40μm、15~40μmが挙げられる。
後述する本実施例においては、フッ素樹脂チューブとして、押し出し成形で作製した厚みが、15~40μmのPFAを含むチューブ(以降、「PFAチューブ」ともいう)を使用した。PFAチューブの内面は、予め、ナトリウム処理やエキシマレーザ処理、アンモニア処理等を施しておくことが好ましい。付加硬化型シリコーンゴム接着剤との濡れ性及び硬化後の接着性を向上させることができるためである。
離型層24は、付加硬化型シリコーンゴム接着剤23が塗布された弾性層22の外周面上に、PFAチューブを公知の技術を用いて被覆することによって形成される。後述する実施例においては、PFAチューブを外側から真空拡張し被覆する方法(真空拡張被覆法)を用いた。
被覆後のPFAチューブと弾性層22との間には、接着に寄与しない余剰な付加硬化型シリコーンゴム接着剤23と、チューブ被覆時に巻き込んでしまった空気が存在する。この余剰な接着剤23と空気を扱き出すため、定着フィルムの外径よりもわずかに大きなリング状のノズルからエアーを噴出させながら定着フィルムの長手方向へ移動させることにより扱き落とす方法や、定着フィルムの外径よりも小さなOリングを用いて扱き落とす等の方法を用いて余剰な接着剤23と空気を除去する。
次に、電気炉などの加熱手段にて所定の時間加熱することで、付加硬化型シリコーンゴム接着剤23を硬化・接着させ、両端部を所望の長さに切断することで、定着フィルムを得ることができる。
本開示の一態様に係る定着フィルムは、その回転軸に沿う方向の位置によって、離型層24の結晶配向状態を変化させている。そのような定着フィルムの具体的な製造方法の一例について説明する。離形層(フッ素樹脂チューブ)の熱処理には、定着フィルム全域を加熱するため、温度330℃以上まで加熱可能な直立型かつ円筒状の加熱筒を用いる。後述する実施例においては、定着フィルムの外径φ24.7mmに合わせて加熱筒の内径はφ42mmのものを用いた。加熱筒の内面には耐熱黒色塗装を施してある。
さらに、定着フィルムの軸に沿う方向の位置によって加熱温度を変えて制御できるよう、加熱筒の上中下少なくとも3カ所に分割してバンドヒーターを設置してある。各バンドヒーターには独立に温調制御可能な熱電対が取り付けられている。これにより、定着フィルムの軸に沿う方向で異なる加熱温度に制御して加熱処理することにより、離型層24の結晶配向状態を、軸に沿う方向の両側の端部領域に対応する領域と、中央領域に対応する領域とで異なる状態にする。フッ素樹脂を含む樹脂混合物の円筒押し出し成形物であるフッ素樹脂チューブは、フッ素樹脂の分子が押出方向に配向している。従って、このフッ素樹脂チューブで弾性層を被覆してなる定着フィルムについていうと、このフッ素樹脂チューブからなる離形層においては、定着フィルムの回転軸に沿う方向にフッ素樹脂の分子が配向している。
このようなフッ素樹脂チューブを、例えば、定着フィルムの回転軸に沿う方向の両側の端部から0.15Lまでの端部領域に対応する領域については、フッ素樹脂の融解温度を超えない温度で加熱することが好ましい。例えば、フッ素樹脂がPFAである場合においては、端部領域に対応する領域の熱処理の温度としては、100~250℃が好ましく、120~200℃がより好ましく、140~170℃がさらに好ましい。
また、定着フィルムの両端部から0.15Lまでの領域の間に存在する、回転軸に沿う方向の中央部である長さ0.70Lの中央領域を、フッ素樹脂の融解温度以上となるように加熱して熱処理することが好ましい。例えば、フッ素樹脂がPFAである場合、熱処理の温度としては、280~400℃が好ましく、300~350℃がより好ましく、310~330℃がさらに好ましい。
加熱の時間は、離型層の温度が所望の温度に十分到達しうる時間であればよく、例えば、1~20分、1~10分、2~5分などが挙げられる。
本開示では、離型層の、反射X線回折法による2θ=39.5~40.5°の最大X線回折強度Iaに対する、2θ=17~19°の最大X線回折強度Icの比の値(Ic/Ia)をXとする。
また、定着フィルムの回転軸に沿う方向の長さをLとして、定着フィルムの回転軸に沿う方向の両側の端部から長さ0.15Lまでの端部領域におけるXの平均値をXeとし、定着フィルムの両側の端部から長さ0.15Lまでの端部領域の間に存在する、回転軸に沿う方向の中央部である長さ0.70Lの中央領域におけるXの平均値をXmとする(図5)。このとき、Xmに対するXeの比の値(Xe/Xm)が、1.20以上である。
前記のとおり、Xe/Xmの値が1.20以上であることは、離型層の中央領域よりも端部領域の方が押出成形時の分子配向に伴う結晶性が高いことを示している。Xe/Xmの値を1.20以上であることは、中央領域に比べて、端部領域の配向結晶性が高い状態であることを意味する。すなわち、端部領域においては、円筒押し出し成形による回転軸に沿う方向へのフッ素樹脂の分子の配向がより良く維持されている。そのため、端部領域は、用紙の端部(エッジ部)が接触しても摩耗が生じにくくなっていると考えられる。また、Xe/Xmの値を1.20以上とすることで、中央部すなわちトナーを担持した用紙が通過する領域の配向性が相対的に低い状態である。すなわち、1つのフッ素樹脂チューブ内の中央領域は、円筒押し出し成形による回転軸に沿う方向のフッ素樹脂の分子配向が緩和され、又は消失している。定着フィルムの内周面に接するヒータから伝えられた熱は、フッ素樹脂の分子の配向方向に伝わりやすい傾向がある。そのため、フッ素樹脂の回転軸に沿う方向への配向が緩和され、又は消失している該中央領域においては、熱の回転軸に沿う方向に伝達され難く、厚さ方向に伝わりやすくなっている。その結果、中央領域では、紙上の未定着トナーの加熱効率が向上し、省エネ性能が向上する。また、フッ素樹脂の結晶性が低いため柔軟性も向上しクラックの発生を抑制しうる。
Xe/Xmの値は、1.20~5.00であることが好ましく、1.23~4.20であることがより好ましい。また、1.25~2.00であってもよい。
Xe/Xmの値は、押出成形時の配向結晶性が高いPFAチューブが被覆された定着フィルムの中央部をPFAの融点以上に加熱処理することにより大きくすることができる。また、Xe/Xmの値は、加熱処理を行わないことや、加熱処理の際の中央部と両端部の加熱温度の差を小さくすることなどにより小さくすることができる。
Xeは、例えば、35.0~62.0の範囲内であることが好ましく、37.0~50.0の範囲内であることが特に好ましく、37.0以上50.0未満の範囲内であることがさらに好ましい。
Xmは、例えば、10.0~35.0の範囲内であることが好ましく、10.0~31
.0の範囲内であることが特に好ましく、10.0以上31.0未満であることがさらに好ましい。
Xe及びXmの各々が上記の範囲内であることによって、結晶の面内配向性を小さく制御でき、使用耐久における離型層の裂けをより抑制しやすくなる。
Xeは、PFAチューブの押出成形時の配向性を上げることにより大きくすることができる。また、Xeは、押出成形時の配向性を下げることにより小さくすることができる。
Xmは、Xeと同様に、PFAチューブの押出成形時の配向性を上げることにより大きくすることができる。また、Xmは、定着フィルムの中央部をPFAの融点以上に加熱処理することにより小さくすることができる。
本開示の少なくとも一の態様によれば、用紙との耐摩耗性を維持しつつ、裂け耐性を向上させ、良好な省エネ性能を安定的に発揮しうる離型層を備えた定着フィルムを得ることができる。また、本開示の少なくとも一の態様によれば、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する加熱定着装置を得ることができる。さらに、本開示の少なくとも一つの態様によれば、高品位な電子写真画像を安定的に形成することができる電子写真画像形成装置を得ることができる。
以下、本開示について、後述する実施例及び比較例を用いて説明する。ただし、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
まず、物性評価方法について説明する。
[離型層の結晶性の測定:反射X線回折法]
フッ素樹脂チューブからなる離形層の中央領域及び端部領域におけるフッ素樹脂の結晶化度
離型層24の配向性の評価は、X線回折装置を用いて、反射法による試料からのX線回折パターンとその回折強度を測定することにより行った。X線回折の測定条件は、以下の通りとした。
X線回折装置:MiniFlex600(リガク社製)
管電圧/電流出力:40kV/15mA
X線源:CuKα(0.154184nm)
Kβフィルター:Niフィルター
走査軸:θ/2θ連動
2θ走査範囲:3°~60°
θ/2θ軸ステップ角度:0.02°(2θ)
図4は上記の測定により得られるX線回折パターンの一例である。2θ=17~19°に現れるα型結晶(100)面の回折ピークの最大X線回折強度をIcとする。また、2θ=30~50°に現れるブロードな非晶質ハローピークの最大強度(2θ=39.5~40.5°の最大X線回折強度)をIaとする。そして、それらの比であるX=Ic/Iaを結晶性及び配向性の指標とした。なお、Ic及びIaは、ベースラインの影響を排除するため、2θ=59~60°におけるX線回折強度を基準として差し引いた値を用いることとした。
また、定着フィルムの回転軸に沿う方向の長さ10mm毎に離型層24のX線回折測定を行って各測定位置におけるXを算出した。なお、回転軸に沿う方向の長さ10mm毎の各位置において、周方向に均等に4点測定位置を設けた。
図5に示す通り、定着フィルム20の回転軸に沿う方向の長さをLとしたとき、回転軸に沿う方向(図5の矢印501)の各々の両端から長さ0.15Lの領域(端部領域)におけるXの平均値をXeとした。また、回転軸に沿う方向の両側の端部から長さ0.15L
の端部領域に挟まれた、回転軸に沿う方向における中央部の長さ0.70Lの中央領域におけるXの平均値をXmとした。
次に、定着フィルムの評価方法について説明する。
[耐久性評価]
<端部領域の耐摩耗性>
定着フィルム20の耐久性評価は、実施例及び比較例の各定着フィルムを組み込んでなる図2に記載のフィルム加熱方式の定着装置10を用いて行った。加圧力を一端側が156.8N、総加圧力が313.6N(32kgf)となるようにした状態で、加圧ローラ表面の移動スピード(周速)が320mm/secになるように回転駆動させ、定着フィルムの通紙部表面温度が170℃に温調された状態でA4サイズの紙(商品名:GF-C068;キヤノン社製)を横方向に、毎分70枚の速度で連続して50万枚通した。50万枚の紙を通した後の定着フィルムの端部領域の紙のエッジ部が当接する部分を目視で観察し、以下の基準で端部領域の耐摩耗性を評価した。
ランクA: 紙のエッジ部の当接の跡が認められない。
ランクB: 紙のエッジ部の当接の跡が認められる。
ランクC: 紙のエッジ部の当接部分の一部に表面層の消失が認められる。
<中央領域の耐裂け性>
上記端部領域の耐摩耗性の評価に用いた定着装置と同じ定着装置を別途用意した。そして、この定着装置を電子写真画像形成装置(商品名:imageRUNNER ADVANCE DX C5870F;キヤノン社製)に装着した。そして、A4サイズの紙(商品名:GF-C068;キヤノン社製)を横方向に、毎分70枚の速度で連続して50万枚通した。そして、A4サイズの紙を10万枚通すごとに、コート紙(商品名:OKトップコート128g/m;王子製紙社製)、SRA3サイズ(320mm×450mm)を1枚通して、このコート紙の全面にブラックの格子状の画像を形成した。そして、得られた5枚のブラックの格子状の画像を目視で観察し、下記の基準で評価した。
ランクA:ブラックの格子状の画像上に、定着フィルムの回転軸に沿う方向(PFAチューブ押出方向)への離型層の裂け起因の傷やシャープなスジが認められない。
ランクB:ブラックの格子状の画像上に、定着フィルムの回転軸に沿う方向(PFAチューブ押出方向)への離型層の裂け起因の傷やシャープなスジが認められた。
[省エネ性評価]
上記端部領域の耐摩耗性の評価に用いた定着装置と同じ定着装置を別途用意した。この定着装置を、電子写真画像形成装置(商品名:imageRUNNER ADVANCE
DX C5870F;キヤノン社製)に装着し、温度10℃相対湿度50%の環境下にて、定着フィルムの通紙部表面温度を170℃に温調した。この電子写真画像形成装置を用いて、A4サイズの紙(商品名:GF-C068;キヤノン社製)の全面にブラックの格子状の画像を形成した。A4サイズの紙は、横方向に、毎分70枚の速度で連続して50万枚通した。そして、以下の基準で評価した。ここで、本評価における電力削減率の比較は、実施例1については比較例1を基準とした。実施例2については比較例2を基準とした。実施例3については比較例3を基準とした。実施例4については比較例4を基準とした。実施例5については、比較例5を基準とした。また、比較例7については、比較例1を基準とした。そのため、表1における省エネ性評価の項目において、比較例1~5については、「-」と記載した。なお、比較例6については、省エネ性の評価は行わなかった。そのため、表1における省エネ性評価の項目において、比較例6についても「-」と記載した。
また、電力は、定着フィルムの通紙部表面の温度を170℃に維持するためにヒータに通電した電力を測定した。
ランクA:離型層に同じPFA種及び厚みを採用した比較例に係る定着装置と比較し
て電力削減率が5%以上;
ランクB:離型層に同じPFA種及び厚みを採用した比較例に係る定着装置と比較して電力削減率が1%以上5%未満;
つづいて、実施例と比較例について具体的に説明する。
[実施例1]
(基材)
内径が24mmで、厚みが30μmのSUSを基材として用いた。
(内面摺動層の形成)
まず、芳香族テトラカルボン酸二無水物あるいはその誘導体(3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)と、芳香族ジアミン(パラフェニレンジアミン)との等モル量を非プロトン系の極性有機溶媒(N-メチル-2-ピロリドン)中で反応させてポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体溶液を、リングコート法により基材の内周面に塗布し、電気炉で150℃に加熱して溶媒を乾燥後、200℃で30分、さらに350℃で30分加熱し、ポリイミド前駆体をイミド化することで内面摺動層を形成した。内面摺動層の厚みは12μmとした。
(プライマー層及び弾性層の形成)
内面摺動層を形成した基材に対し、以下の手順でプライマー層及び弾性層を形成した。
基材上にヒドロシリル系のシリコーンプライマー(DY39-051 A/B(商品名);ダウ・東レ社製)を塗工し、200℃にて5分間加熱硬化した。そのプライマー層上に、熱伝導性フィラーとしてアルミナを含む付加反応型液状シリコーンゴム(DY35-1310 A/B)を塗工し、200℃にて30分間加熱硬化して、シリコーンゴム弾性層を形成した。
弾性層22の熱伝導率は1.0W/mK、厚みは250μmであった。
(接着剤層の塗布)
弾性層を形成した後、弾性層上に、リングコート法を用いて接着剤(SE1819CV
A/B(商品名);ダウ・東レ社製)を7μmの厚みで塗布した。
(離型層の形成)
接着剤を塗布した後、離型層としてPFAチューブを、外側から真空拡張し被覆する方法(真空拡張被覆法)により接着剤上に被せた。具体的には、接着剤が塗布された弾性層形成後のワークの外径よりも大きな内径を有する外筒の内面にPFAチューブを真空状態で吸着させて拡径し、ワークをその中に挿入した後、真空を解除することで接着剤上に被覆した。PFAチューブと弾性層との間の余分な接着剤と空気をOリングで扱き落とした後、電気炉で加熱して接着剤を硬化・接着させた。その後、両端部を所望の長さに切断することで、定着フィルムを得た。
なお、定着フィルムの離型層には、原料としてPFA(商品名:ネオフロンPFA A
P-231SH;ダイキン社製)を円筒ダイから押し出成形して作製した、厚み20μm、内径が23.0mmのPFAチューブを用いた。なお、このチューブの長手方向の長さLは、400mmであった。また、このチューブの長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて10mm毎の各位置で測定したXの値の平均値は、34.9であった。さらに、このチューブを装着した上記定着フィルムにおいて、定着フィルムの長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて10mm毎の各位置で測定した離形層(熱処理前)のXの値の平均値は、38.4であった。チューブのときのXの値よりも大きくなっている理由は、チューブを拡径して接着層上に被せたことにより、チューブ(離形層)の結晶状態がより高くなったためであると考えられる。
(離型層の熱処理)
離型層としてPFAチューブが被覆された定着フィルムを、その外径よりも内径が大きい加熱筒に挿入し、定着フィルムを加熱した。このとき、定着フィルムの回転軸に沿う方向長さをLとしたときの、定着フィルムの回転軸に沿う方向の長さ0.70Lの中央領域のみを、その長さに対応する加熱筒内部のバンドヒーターによって加熱処理した。加熱制御温度は320℃とし、離型層の実体温度がPFAの融解温度305℃以上となるように加熱制御した。
一方、定着フィルムの両方の端部領域は、PFAの融解温度を超えない温度150℃で加熱制御した。
加熱時間は離型層の実体温度が上記した所定の温度に十分到達可能な時間として、加熱筒に定着フィルムを投入後3分間とした。投入して3分経過後、定着フィルムを加熱筒から常温雰囲気下へ取り出し、離型層を冷却して結晶化させた。
上記の熱処理を施した定着フィルムから離型層を単離した。具体的には、弾性層ごと基材から表層を剥がし、表層と接着されている弾性層をシリコーン溶解剤(商品名:eソルブ21RS;カネコ化学社製)を用いて溶解して、エンドレス形状を有する離型層のみを取り出した。
得られた離型層を用いて、定着フィルムの外表面に相当する面に対して、前記した反射X線回折法によってX=Ic/Iaを計測した。具体的には、離形層の、周方向に直交する方向(軸に沿う方向)の両側の端部から長さ0.15Lまでの端部領域について、10mm毎の位置のXを測定し、その平均値Xeを算出した。また、端部領域の間に位置する中央領域について、一方の端から他方の端に向かって10mm毎の位置のXを測定し、その平均値Xmを算出した。Xe、Xm、及びXe/Xmの値を表1に記載した。
[実施例2]
実施例1に係るPFAチューブと同じ原料を用いて、厚みが15μmのPFAチューブを用意した。このチューブの長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて10mm毎の各位置で測定したXの値の平均値は、38.4であった。このPFAチューブを用いた以外は、実施例1と同じ方法で定着フィルムとその離型層を得た。なお、熱処理前の離形層のXの値の平均値は、41.6であった。
[実施例3]
実施例1に係るPFAチューブと同じ原料を用いて、厚みが25μmのPFAチューブを用意した。このチューブの長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて10mm毎の各位置で測定したXの値の平均値は、31.7であった。このPFAチューブを用いた以外は、実施例1と同じ方法で定着フィルムとその離型層を得た。なお、熱処理前の離形層のXの値の平均値は、37.5であった。
[実施例4]
原料としてPFA(商品名:テフロン(登録商標)PFA 959HPPlus;三井
・ケマーズ社製)を円筒ダイから押し出成形して、厚み20μm、内径が23.0mmのPFAチューブを用意した。このチューブの周方向に直交する方向の長さLは、400mmであった。また、このチューブの長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて10mm毎の各位置で測定したXの値の平均値は、58.7であった。
このPFAチューブを用いた以外は、実施例1と同じ方法で定着フィルムとその離型層を得た。なお、熱処理前の離形層のXの値の平均値は、60.5であった。
[実施例5]
実施例4に係るPFAチューブと同じ原料を用いて、厚みが40μmのPFAチューブを用意した。このPFAチューブの長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて10mm毎の各位置で測定したXの値の平均値は、41.1であった。このPFAチューブを用
いた以外は、実施例4と同じ方法で定着フィルムとその離型層を得た。なお、熱処理前の離形層のXの値の平均値は、44.1であった。
[比較例1]
熱処理を行わない以外は実施例1と同様にして定着フィルムを作製した。離型層のXe、Xmの値を、実施例と同様の反射X線回折法によって得た。さらにそれらの値からXe/Xmを算出した。
[比較例2]
熱処理を行わない以外は、実施例2と同様にして定着フィルムを作製した。離型層のXe、Xmの値を、実施例と同様の反射X線回折法によって得た。さらにそれらの値からXe/Xmを算出した。
[比較例3]
熱処理を行わない以外は、実施例3と同様にして定着フィルムを作製した。離型層のXe、Xmの値を、実施例と同様の反射X線回折法によって得た。さらにそれらの値からXe/Xmを算出した。
[比較例4]
熱処理を行わない以外は、実施例4と同様にして定着フィルムを作製した。離型層のXe、Xmの値を、実施例と同様の反射X線回折法によって得た。さらにそれらの値からXe/Xmを算出した。
[比較例5]
熱処理を行わない以外は、実施例5と同様にして定着フィルムを作製した。離型層のXe、Xmの値を、実施例と同様の反射X線回折法によって得た。さらにそれらの値からXe/Xmを算出した。
[比較例6]
PFAとして「アルゴフロンPFA:F1520(商品名:ソルベイジャパン社製)」を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み20μmのPFAチューブを用意した。このチューブの長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて10mm毎の各位置で測定したXの値の平均値は、53.5であった。
そして、このPFAチューブを用いたこと、及び、熱処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして定着フィルムを得た。離型層のXe、Xmの値を、実施例と同様の反射X線回折法によって得た。さらにそれらの値からXe/Xmを算出した。
[比較例7]
離形層の熱処理を以下のように行った以外は実施例1と同様にして定着フィルムを作製した。得られた定着フィルムから単離した離型層に対し、実施例と同様の反射X線回折法によってXe、Xmの値を得た。さらにそれらの値からXe/Xmを算出した。
<熱処理>
実施例1で用いた加熱筒を用いた。ただし、加熱制御温度は定着フィルム回転軸に沿う方向の全領域において、PFAの融解温度より高い320℃に3分間加熱した。加熱後、定着フィルムを加熱筒から取り出し、常温雰囲気下に置いて、離型層のPFAを結晶化させた。
Figure 2024000979000002
上記実施例1~5に示すように、本開示の一態様に係る定着フィルムによれば、端部領域の離型層のXの平均値Xeが、中央領域のXの平均値Xmよりも1.20倍以上大きい状態とすることにより、紙のエッジ部が当接する端部領域の摩耗を防止しつつ、省エネ性が良好で、かつ、長期の使用によっても、中央領域における離型層の軸に沿う方向の裂けを防止し得る定着フィルムを得ることができる。
比較例7に係る定着フィルムは、省エネ性については、比較例1に係る定着フィルムと比較して良好であった。しかし、定着フィルムの回転軸に沿う方向の全域にわたってXが、比較例1に係る定着ベルトのXよりも小さかった。そのため、端部領域において、紙の端部の接触による摩耗が発生し、十分な耐久性を維持し得なかった。
また、比較例4及び比較例6に係る定着フィルムは、Xe及びXmの値が大きい、すなわち結晶の面内配向性が大きい状態であるため、使用耐久中に離型層の裂けが発生している。
以上、本開示に係わる実施形態を説明したが、本開示は上述の形態に限定されるものではない。
本開示は以下の構成及び方法を含む。
(構成1)
エンドレス形状を有する定着フィルムであって、少なくとも、基材、弾性層及び離型層をこの順に有し、
該離型層は、フッ素樹脂を含むチューブで構成されてなり、
該離型層の、反射X線回折法による2θ=39.5~40.5°の最大X線回折強度Iaに対する、2θ=17~19°の最大X線回折強度Icの比の値(Ic/Ia)をXとし、
該定着フィルムの回転軸に沿う方向の長さをLとし、
該定着フィルムの回転軸に沿う方向の両端部から0.15Lまでの端部領域における該Xの平均値をXeとし、
該定着フィルムの該両端部から0.15Lまでの該端部領域の間に存在する、回転軸に沿う方向の長さが0.70Lの中央領域における該Xの平均値をXmとしたとき、
Xmに対するXeの比の値(Xe/Xm)が、1.20以上である
ことを特徴とする定着フィルム。
(構成2)
前記Xe/Xmが、1.20~5.00である構成1に記載の定着フィルム。
(構成3)
前記Xe/Xmが、1.23~4.20である構成1又は2に記載の定着フィルム。
(構成4)
前記Xe/Xmが、1.25~2.00である構成1~3のいずれかに記載の定着フィルム。
(構成5)
前記Xeが、35.0~62.0である構成1~4のいずれかに記載の定着フィルム。(構成6)
前記Xeが、37.0~50.0である構成1~5のいずれかに記載の定着フィルム。(構成7)
前記Xeが、37.0以上、50.0未満である構成1~6のいずれかに記載の定着フィルム。
(構成8)
前記Xmが、10.0~35.0である構成1~7のいずれかに記載の定着フィルム。(構成9)
前記チューブが、円筒押出成形物 である構成1~8のいずれかに記載の定着フィルム

(構成10)
前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である構成1~9のいずれかに記載の定着フィルム。
(構成11)
前記フッ素樹脂を含むチューブが、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む樹脂混合物の円筒押出成形物である構成1~10のいずれかに記載の定着フィルム。
(構成12)
前記離型層の厚みが、10~45μmである構成1~11のいずれかに記載の定着フィルム。
(構成13)
構成1~12のいずれかの定着フィルムを有する加熱定着装置。
(構成14)
前記加熱定着装置が、さらにヒータを具備し、該ヒータが、前記定着フィルムの内周面に接するように配置されている構成13に記載の加熱定着装置。
(構成15)
前記加熱定着装置が、さらに加圧ローラを具備し、該加圧ローラと前記ヒータとが、前記定着フィルムを挟んで圧接している構成14に記載の加熱定着装置。
(構成16)
構成13~15のいずれかに記載の加熱定着装置を備えた電子写真画像形成装置。
(方法1)
構成1~12のいずれかの定着フィルムの製造方法であって、
(i) フッ素樹脂を含む樹脂混合物の円筒押出成形物であるフッ素樹脂チューブを用意する工程と、
(ii) 該フッ素樹脂チューブで、該基材の弾性層の外表面を被覆する工程と、
(iii) 該フッ素樹脂チューブの該中央領域に対応する領域を、該フッ素樹脂の融解温度以上の温度にて熱処理し、該端部領域に対応する領域を該フッ素樹脂の融解温度を超えない温度で熱処理する工程と、
を有することを特徴とする、定着フィルムの製造方法。
(方法2)
前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である方法1に記載の定着フィルムの製造方法。
(方法3)
前記中央領域に対応する領域を、温度280~400℃の範囲で熱処理する方法2に記載の定着フィルムの製造方法。
(方法4)
前記端部領域に対応する領域を、温度100~250℃の範囲で熱処理する方法2又は3に記載の定着フィルムの製造方法。
1…セラミックスヒータ、2…フィルムガイド、10…定着装置、20…定着フィルム、21…基材、22…弾性層、23…接着剤層、24…離型層、25…内面摺動層、26…プライマー層、30…加圧ローラ、31…基体、32…弾性層、33…離型層

Claims (20)

  1. エンドレス形状を有する定着フィルムであって、少なくとも、基材、弾性層及び離型層をこの順に有し、
    該離型層は、フッ素樹脂を含むチューブで構成されてなり、
    該離型層の、反射X線回折法による2θ=39.5~40.5°の最大X線回折強度Iaに対する、2θ=17~19°の最大X線回折強度Icの比の値(Ic/Ia)をXとし、
    該定着フィルムの回転軸に沿う方向の長さをLとし、
    該定着フィルムの回転軸に沿う方向の両端部から0.15Lまでの端部領域における該Xの平均値をXeとし、
    2つの該端部領域の間に存在する、回転軸に沿う方向の長さが0.70Lの中央領域における該Xの平均値をXmとしたとき、
    Xmに対するXeの比の値(Xe/Xm)が、1.20以上である
    ことを特徴とする定着フィルム。
  2. 前記Xe/Xmが、1.20~5.00である請求項1に記載の定着フィルム。
  3. 前記Xe/Xmが、1.23~4.20である請求項1に記載の定着フィルム。
  4. 前記Xe/Xmが、1.25~2.00である請求項1に記載の定着フィルム。
  5. 前記Xeが、35.0~62.0である請求項1に記載の定着フィルム。
  6. 前記Xeが、37.0~50.0である請求項1に記載の定着フィルム。
  7. 前記Xeが、37.0以上、50.0未満である請求項1に記載の定着フィルム。
  8. 前記Xmが、10.0~35.0である請求項1に記載の定着フィルム。
  9. 前記チューブが、円筒押出成形物である請求項1に記載の定着フィルム。
  10. 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である請求項1に記載の定着フィルム。
  11. 前記フッ素樹脂を含むチューブが、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む樹脂混合物の円筒押出成形物である請求項1に記載の定着フィルム。
  12. 前記離型層の厚みが、10~45μmである請求項1に記載の定着フィルム。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の定着フィルムを有することを特徴とする加熱定着装置。
  14. 前記加熱定着装置が、さらにヒータを具備し、該ヒータが、前記定着フィルムの内周面に接するように配置されている請求項13に記載の加熱定着装置。
  15. 前記加熱定着装置が、さらに加圧ローラを具備し、該加圧ローラと前記ヒータとが、前記定着フィルムを挟んで圧接している請求項14に記載の加熱定着装置。
  16. 請求項13に記載の加熱定着装置を備えていることを特徴とする電子写真画像形成装置。
  17. 請求項1~12のいずれか一項に記載の定着フィルムの製造方法であって、
    (i) フッ素樹脂を含む樹脂混合物の円筒押出成形物であるフッ素樹脂チューブを用意する工程と、
    (ii) 該フッ素樹脂チューブで、該基材の弾性層の外表面を被覆する工程と、
    (iii) 該フッ素樹脂チューブの該中央領域に対応する領域を、該フッ素樹脂の融解温度以上の温度にて熱処理し、該端部領域に対応する領域を該フッ素樹脂の融解温度を超えない温度で熱処理する工程と、
    を有することを特徴とする、定着フィルムの製造方法。
  18. 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である請求項17に記載の定着フィルムの製造方法。
  19. 前記中央領域に対応する領域を、温度280~400℃の範囲で熱処理する請求項18に記載の定着フィルムの製造方法。
  20. 前記端部領域に対応する領域を、温度100~250℃の範囲で熱処理する請求項18に記載の定着フィルムの製造方法。
JP2023096734A 2022-06-21 2023-06-13 定着フィルムとその製造方法、加熱定着装置及び電子写真画像形成装置 Pending JP2024000979A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US18/334,465 US20240045359A1 (en) 2022-06-21 2023-06-14 Fixing film, heat fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus
EP23180261.2A EP4296784A1 (en) 2022-06-21 2023-06-20 Fixing film and manufacturing method thereof, heat fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus
CN202310739100.5A CN117270354A (zh) 2022-06-21 2023-06-21 定影薄膜及其制造方法、加热定影装置以及电子照相图像形成装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022099830 2022-06-21
JP2022099830 2022-06-21

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024000979A true JP2024000979A (ja) 2024-01-09

Family

ID=89451617

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023096734A Pending JP2024000979A (ja) 2022-06-21 2023-06-13 定着フィルムとその製造方法、加熱定着装置及び電子写真画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024000979A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6921649B2 (ja) 定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置
JP6173040B2 (ja) 定着ベルトおよび定着装置
JP2009109952A (ja) 加圧部材、及びその加圧部材を有する像加熱装置
US8422922B2 (en) Tubular body, tubular body supporting apparatus, image fixing apparatus, and image forming apparatus
JP2009031772A (ja) 加圧部材、及びこの加圧部材を有する像加熱装置
JP6478702B2 (ja) 電子写真用部材および定着装置
JP6433320B2 (ja) 定着部材とその製造方法、定着装置および画像形成装置
JP6366662B2 (ja) 定着部材、定着装置、画像形成装置および定着部材の製造方法
JP2009045577A (ja) フッ素樹被膜形成方法及びその被膜形成物
JP5186677B2 (ja) フッ素樹脂チューブおよび定着器用回転体
JP2024000979A (ja) 定着フィルムとその製造方法、加熱定着装置及び電子写真画像形成装置
JPS60205561A (ja) 定着用ローラ及びそれを有する定着装置
US20240045359A1 (en) Fixing film, heat fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus
US20230051709A1 (en) Fixing film
CN117270354A (zh) 定影薄膜及其制造方法、加热定影装置以及电子照相图像形成装置
JP7207994B2 (ja) 定着部材、加熱定着装置、及び定着部材の製造方法
JP5012012B2 (ja) 定着部材、画像定着装置、及び画像形成装置
JP2001060050A (ja) 電子写真用定着部品、電子写真用定着エンドレスベルト及び加熱ロール・ベルト型定着装置
JP2017219662A (ja) 定着部材、および加熱定着装置
US11487232B1 (en) Endless belt, fixing device, and image forming apparatus
JP2019028182A (ja) 定着ベルトおよび定着装置
JP5737836B2 (ja) 速硬化および低温硬化ポリイミド定着ベルト
JP2004138957A (ja) トナー定着部材
JP2004163578A (ja) 定着部材
JP2024090278A (ja) 管状定着部材、定着装置及び画像形成装置