JP2024000638A - 玉軸受用保持器、及び玉軸受 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、玉軸受用保持器、及び玉軸受に関する。
玉軸受として、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に配置された複数の玉と、それらの玉を転動自在に保持する保持器と、を備えるものが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された玉軸受では、保持器が、軸方向において互いに向かい合う一対のリング状の板部材が結合されることによって構成されている。複数の玉は、一対の板部材によって画定される複数のポケットにそれぞれ配置されている。高速回転用の玉軸受には、軽量化された保持器が使用され得る。
上述したような玉軸受には、潤滑剤(例えばグリース)を玉に適切に供給して潤滑特性を向上することが求められる。
本発明は、潤滑特性を向上することができる玉軸受用保持器、及び玉軸受を提供することを目的とする。
本発明の玉軸受用保持器は、[1]「周方向に沿って並んで配置される複数の玉を転動自在に保持するための玉軸受用保持器であって、軸方向において互いに向かい合い、前記複数の玉がそれぞれ配置される複数のポケットを互いの間に画定する一対の板部材を備え、前記一対の板部材は、樹脂により形成されており、前記一対の板部材の各々は、前記複数のポケットをそれぞれ画定する複数のポケット形成部を有し、前記一対の板部材の少なくとも一方における前記複数のポケット形成部の各々には、貫通孔が形成されている、玉軸受用保持器」である。
この玉軸受用保持器では、複数のポケットを画定する一対の板部材が、樹脂により形成されている。これにより、玉軸受用保持器を軽量化することができる。軽量化された玉軸受用保持器は、高速回転用の玉軸受に適用され得る。一方、高速回転用の玉軸受に適用される場合、潤滑不良による焼付き等を防止するために、玉に潤滑剤(例えばグリース)を適切に供給することが求められる。この点、この玉軸受用保持器では、一対の板部材の少なくとも一方における複数のポケット形成部の各々に、貫通孔が形成されている。これにより、貫通孔を介して潤滑剤を適切に供給することが可能となる。よって、この玉軸受用保持器によれば、潤滑特性を向上することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[2]「前記貫通孔は、軸方向から見た場合に前記ポケットの中心と重なるように配置されている、[1]に記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、軸方向に沿った回転軸を中心として自転する玉に対して回転軸の側から潤滑剤を供給することができ、玉に潤滑剤を好適に供給することができる。これは、回転軸上においては玉の周速が遅く、また玉に大きな荷重が作用しないことから、潤滑剤が押し出されずに玉の表面上に留まりやすいためである。
本発明の玉軸受用保持器は、[3]「前記貫通孔は、周方向に沿って延在している、[1]又は[2]に記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、貫通孔を介して玉に潤滑剤を好適に供給することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[4]「前記一対の板部材の両方における前記複数のポケット形成部の各々に、前記貫通孔が形成されている、[1]~[3]のいずれかに記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、潤滑特性を一層向上することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[5]「前記複数のポケット形成部の各々は、周方向と交差するように延在する一対の側部と、前記一対の側部に接続され、軸方向と交差するように延在する底部と、を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、潤滑剤の溜まりとして利用可能な空間をポケット内に形成することができ、潤滑特性を一層向上することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[6]「前記貫通孔は、前記底部に形成されている、[5]に記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、軸方向に沿った回転軸を中心として自転する玉に対して回転軸の側から潤滑剤を供給することができ、玉に潤滑剤を好適に供給することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[7]「前記一対の側部及び前記底部は、前記一対の側部と前記底部との接続部分と、前記ポケットに配置された前記玉との間に隙間が形成されるように構成されている、[5]又は[6]に記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、当該隙間を潤滑剤の溜まりとして利用することができ、潤滑特性を一層向上することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[8]「前記一対の側部と前記底部との接続部分には、段差部が形成されている、[5]又は[7]に記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、段差部が形成されていることで、一対の側部と底部との接続部分と、ポケットに配置された玉との間に隙間が形成される。当該隙間を潤滑剤の溜まりとして利用することができ、潤滑特性を一層向上することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[9]「前記一対の側部の各々は、円筒状の内面を有しており、前記底部は、球面状の内面を有している、[5]~[8]のいずれかに記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、一対の側部と底部との接続部分と、ポケットに配置された玉との間に隙間が形成される。当該隙間を潤滑剤の溜まりとして利用することができ、潤滑特性を一層向上することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[10]「前記一対の板部材の各々は、周方向において前記複数のポケット形成部と互いに違いに配置された複数の連結部を更に有し、前記一対の板部材の一方の前記複数の連結部は、突起部と穴部との係合により、前記一対の板部材の他方の前記複数の連結部とそれぞれ結合されている、[1]~[9]のいずれかに記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、一対の板部材を簡易な構成により互いに強固に結合することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[11]「前記一対の板部材の各々は、周方向において前記複数のポケット形成部と互いに違いに配置された複数の連結部を更に有し、前記複数の連結部の各々には、軸方向の外側に突出するように設けられ、周方向に沿って延在するリブが形成されている、[1]~[9]のいずれかに記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、玉軸受用保持器の変形を抑制することができる。また、使用時に遠心力等により流れた潤滑材をリブによって留めることができ、潤滑特性を一層向上することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[12]「前記リブは、径方向における前記連結部の外縁部に形成されている、[11]に記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、玉軸受用保持器の変形を効果的に抑制することができると共に、使用時に遠心力等により流れた潤滑剤をリブによって効果的に留めることができ、潤滑特性を一層向上することができる。
本発明の玉軸受用保持器は、[13]「前記複数のポケット形成部の各々の外面は、軸方向と垂直な平坦部分を有し、前記平坦部分は、前記外面において軸方向における最も外側の部分を構成している、[1]~[12]のいずれかに記載の玉軸受用保持器」であってもよい。この場合、貫通孔に向けて潤滑剤が流れやすくなり、潤滑特性を一層向上することができる。
本発明の玉軸受は、[14]「内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置された前記複数の玉と、前記複数の玉を転動自在に保持する[1]~[13]のいずれかに記載の玉軸受用保持器と、を備える玉軸受」である。この玉軸受によれば、上述した理由により、潤滑特性を向上することができる。
本発明によれば、潤滑特性を向上することができる玉軸受用保持器、及び玉軸受を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1~図4に示される保持器(玉軸受用保持器)10は、玉軸受1において複数(この例では8つ)の玉5を転動自在に保持するために用いられる。図1に示されるように、玉軸受1は、内輪2と、外輪3と、複数の玉5と、保持器10とを備える深溝玉軸受である。内輪2は、円環状に形成され、外周面として内輪軌道面2aを有している。外輪3は、円環状に形成され、内周面として外輪軌道面3aを有している。複数の玉5は、内輪軌道面2aと外輪軌道面3aとの間に配置されている。複数の玉5は、周方向に沿って所定の間隔を空けて並んで配置されている。玉軸受1内には潤滑剤が封入されている。潤滑材は、例えばグリースであるが、潤滑油であってもよい。
保持器10は、内輪2の内輪軌道面2aと外輪3の外輪軌道面3aとの間に配置され、複数の玉5を転動自在に保持している。保持器10は、複数(この例では8つ)のポケット11を有している。複数のポケット11には、複数の玉5がそれぞれ配置されている。すなわち、ポケット11は、玉5を収容するための空間である。ポケット11は、略球状に(球状と円筒状の組み合わせにより)形成されている。保持器10は、波形の合わせ保持器であり、一対のリング状の板部材20を備えている。一対の板部材20は、軸方向Dにおいて互いに向かい合っており、複数のポケット11を互いの間に画定している。以下、1つの板部材20について説明するが、一対の板部材20は、後述する突起部26及び穴部27を除き、軸方向Dに関して互いに対称な形状を有している。
板部材20は、例えばナイロン66、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料により形成されている。板部材20は、複数のポケット形成部21と、複数の連結部25とを有している。この例では、ポケット形成部21及び連結部25は8つずつ設けられている。ポケット形成部21と連結部25とは、周方向において互いに違いに配置されており、周方向において隣り合う2つのポケット形成部21が連結部25によって連結されている。
連結部25は、軸方向Dと垂直に平坦に形成されており、周方向に沿って延在している。一方の板部材20(以下、板部材20Aとも記す)の連結部25は、他方の板部材20(以下、板部材20Bとも記す)の連結部25と軸方向Dにおいて重ね合わされている。板部材20Aの各連結部25の内面25aには、突起部26が形成されている。内面25aは、板部材20Bの連結部25と接触する表面(合わせ面)である。突起部26は、内面25aの中央部に形成され、内面25aから軸方向Dに突出している。突起部26は、例えば軸方向Dに平行な中心線を有する円柱状に形成されている。
板部材20Bの各連結部25には、突起部26に対応した形状を有する穴部27が形成されている。穴部27は、板部材20Bの連結部25の中央部に形成され、当該連結部25を軸方向Dに沿って貫通する貫通孔である。板部材20Aの連結部25は、突起部26が穴部27に入り込んで穴部27と嵌合することにより、板部材20Bの連結部25に結合されている。すなわち、板部材20Aの複数の連結部25は、突起部26と穴部27との係合により、板部材20Bの複数の連結部25にそれぞれ結合されている。
各ポケット形成部21は、連結部25に対して軸方向Dに凹むように形成されており、ポケット11を画定している。より具体的には、各ポケット形成部21は、軸方向Dにおけるポケット11の半分を画定しており、一方の板部材20のポケット形成部21と他方の板部材20のポケット形成部21とが互いに向かい合うように配置されることにより、1つのポケット11が画定されている。
各ポケット形成部21は、一対の側部22と、底部23とを有している。各側部22は、周方向と交差するように延在している。この例では、各側部22は、連結部25から軸方向Dに立ち上がるように形成されており、周方向と垂直に(軸方向Dと平行に)延在している。各側部22は、円筒状の内面22aを有している(図3、図4)。内面22aは、例えば、ポケット11の中心Cを通り且つ軸方向に平行な中心線を有する円筒に沿うように延在している。
底部23は、軸方向Dと交差するように延在しており、一対の側部22における連結部25とは反対側の縁に接続されている。底部23の内面23aは、球面状の第1部分P1と、平坦な一対の第2部分P2とを含んでいる(図4)。第1部分P1は、例えば、ポケット11の中心Cを中心とする球に沿うように延在している。一対の第2部分P2は、周方向における第1部分P1の両側にそれぞれ配置されている。第2部分P2は、軸方向Dと垂直に平坦に形成されており、側部22に連なっている。第2部分P2は、軸方向Dから見た場合に、側部22に沿って円弧状に延在している。なお、第2部分P2は、軸方向Dに垂直な平面に対して傾斜した傾斜面であってもよい。
底部23の内面23aが第1部分P1に加えて第2部分P2を有し、第2部分P2において側部22に接続されていることにより、側部22と底部23との間の接続部分31には、段差部32が形成されている。この例では、段差部32は、側部22の内面22aと、第2部分P2とにより形成されている。段差部32が形成されていることで、側部22と底部23との接続部分31と、ポケット11に配置された玉5との間には隙間(空間)33が形成される。すなわち、一対の側部22及び底部23は、接続部分31と玉5との間に隙間33が形成されるように構成されている。
底部23の外面23bは、平坦部分R1と、一対の傾斜部分R2とを含んでいる。平坦部分R1は、軸方向Dと垂直に平坦に形成されており、外面23bにおいて軸方向Dにおける最も外側の部分を構成している。すなわち、平坦部分R1は、一対の傾斜部分R2よりも軸方向Dの外側に位置している。一対の傾斜部分R2は、周方向における平坦部分R1の両側にそれぞれ配置されており、側部22に連なっている。一対の傾斜部分R2は、平坦部分R1から離れるほど互いに離れるように軸方向Dに対して傾斜している。底部23の外面23bは、周方向に沿った断面において、平坦部分R1を頂面とする台形状に形成されている。
底部23には、貫通孔24が形成されている。この例では、貫通孔24は、一対の板部材20の両方における各ポケット形成部21の底部23に形成されている。貫通孔24は、底部23を切り欠くことにより形成されており、軸方向Dに沿って底部23を貫通している。この例では、貫通孔24は、周方向に沿って延在する貫通溝として構成されている。貫通孔24は、軸方向Dから見た場合にポケット11の中心Cと重なる領域に形成されている。貫通孔24は、底部23において第1部分P1を構成する部分に形成されており、第2部分P2を構成する部分には形成されていない。貫通孔24は、底部23において平坦部分R1の全体及び一対の傾斜部分R2の一部にわたって形成されており、一対の傾斜部分R2の残部には形成されていない。
[作用及び効果]
[作用及び効果]
保持器10では、複数のポケット11を画定する一対の板部材20が、樹脂により形成されている。これにより、保持器10を軽量化することができる。軽量化された保持器10は、高速回転用の玉軸受1に適用され得る。一方、高速回転用の玉軸受1に適用される場合、潤滑不良による焼付き等を防止するために、玉5に潤滑剤(例えばグリース)を適切に供給することが求められる。この点、保持器10では、一対の板部材20における複数のポケット形成部21の各々に、貫通孔24が形成されている。これにより、貫通孔24を介して潤滑剤を適切に供給することが可能となる。よって、保持器10によれば、潤滑特性を向上することができる。また、保持器10が2枚の板部材20を合わせることにより形成されていることで、遠心力により保持器10が捩れることを抑制することができる。すなわち、本実施形態の保持器10とは異なり、いわゆる冠型保持器の場合、遠心力が作用した場合に保持器が軸方向にアンバランスに倒れて変形量が多くなり、玉等の他の部材に保持器が接触してしまうことがあるが、保持器10は2枚の板部材20を合わせることにより形成されているため、軸方向におけるバランスが向上されており、遠心力による捩れを抑制することができる。
貫通孔24が、軸方向Dから見た場合にポケット11の中心と重なるように配置されている。これにより、軸方向Dに沿った回転軸を中心として自転する玉5に対して回転軸の側から潤滑剤を供給することができ、玉5に潤滑剤を好適に供給することができる。これは、回転軸上においては玉5の周速が遅く、また玉5に大きな荷重が作用しないことから、潤滑剤が押し出されずに玉5の表面上に留まりやすいためである。
貫通孔24が、周方向に沿って延在している。これにより、貫通孔24を介して玉5に潤滑剤を好適に供給することができる。
一対の板部材20の両方における各ポケット形成部21に、貫通孔24が形成されている。これにより、潤滑特性を一層向上することができる。
各ポケット形成部21が、周方向と交差するように延在する一対の側部22と、一対の側部22に接続され、軸方向Dと交差するように延在する底部23と、を有している。これにより、潤滑剤の溜まりとして利用可能な空間(隙間33)をポケット11内に形成することができ、潤滑特性を一層向上することができる。
貫通孔24が、底部23に形成されている。これにより、軸方向Dに沿った回転軸を中心として自転する玉5に対して回転軸の側から潤滑剤を供給することができ、玉5に潤滑剤を好適に供給することができる。
一対の側部22及び底部23が、一対の側部22と底部23との接続部分31と、ポケット11に配置された玉5との間に隙間33が形成されるように構成されている。これにより、隙間33を潤滑剤の溜まりとして利用することができ、潤滑特性を一層向上することができる。
一対の側部22と底部23との接続部分31に、段差部32が形成されている。この場合、段差部32が形成されていることで、一対の側部22と底部23との接続部分31と、ポケット11に配置された玉5との間に隙間33が形成される。当該隙間33を潤滑剤の溜まりとして利用することができ、潤滑特性を一層向上することができる。
側部22が、円筒状の内面22aを有しており、底部23が、球面状の内面23a(第1部分P1)を有している。これにより、一対の側部22と底部23との接続部分31と、ポケット11に配置された玉5との間に隙間33が形成される。当該隙間33を潤滑剤の溜まりとして利用することができ、潤滑特性を一層向上することができる。
一方の板部材20(板部材20A)の複数の連結部25が、突起部26と穴部27との係合により、他方の板部材20(板部材20B)の複数の連結部25とそれぞれ結合されている。これにより、一対の板部材20を簡易な構成により互いに強固に結合することができる。
底部23の外面23b(ポケット形成部21の外面)が、軸方向Dと垂直な平坦部分R1を有し、平坦部分R1が、外面23bにおいて軸方向Dにおける最も外側の部分を構成している。これにより、貫通孔24に向けて潤滑剤が流れやすくなり、潤滑特性を一層向上することができる。すなわち、例えば外面23bの全体が球面状に形成されている場合、潤滑剤が軸方向の外側に逃げやすくなる。これに対し、平坦部分R1を有する場合、例えば外面23bの全体が球面状に形成されている場合と比べて、進行方向から見た場合の保持器10の断面積が増加し、保持器10に作用する回転抵抗が増加する一方、ポケット形成部21に形成された貫通孔24に向けて潤滑剤が流れやすくなる。そのため、玉5に向けて積極的に潤滑剤を流すことができる。
[変形例]
[変形例]
図5に示される第1変形例のように、ポケット形成部21における底部23の内面23aは、周方向に沿った断面(例えば図5に示される断面)においてなだらかに湾曲していてもよい。この例では、内面23aの曲率は、側部22に近づくほど小さくなっている。第1変形例においても、側部22と底部23との接続部分31と、ポケット11に配置された玉5との間には隙間33が形成されている。隙間33の体積を大きくするほど潤滑剤を溜まりやすくすることができるため、潤滑特性の向上の観点から好ましい。保持器10では、一対の板部材20が樹脂により形成されているため、形状選択の自由度が高く、このような形状を採用することができる。また、このような第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、潤滑特性を向上することができる。
図6及び図7に示される第2変形例では、一対の板部材20の各々の各連結部25に突起部26及び穴部27が形成されている。各連結部25において、突起部26及び穴部27は周方向に並ぶように配置されている。一対の板部材20の結合時には、板部材20Aの連結部25の突起部26が対応する板部材20Bの連結部25の穴部27に入り込んで嵌合し、板部材20Bの連結部25の突起部26が対応する板部材20Aの連結部25の穴部27に入り込んで嵌合する。このように、第2変形例においても、板部材20Aの複数の連結部25は、突起部26と穴部27との係合により、板部材20Bの複数の連結部25にそれぞれ結合されている。このような第2変形例によっても、上記実施形態と同様に、潤滑特性を向上することができる。
図8に示される第3変形例では、各板部材20の各連結部25にリブ28が形成されている。その他の点については第3変形例は第2変形例と同様に構成されている。リブ28は、連結部25から軸方向Dの外側に突出している。リブ28は、板状に形成されており、周方向に沿って延在している。リブ28は、径方向における連結部25の外縁部に形成されている。リブ28は、連結部25の外縁に沿って周方向に延在している。リブ28は、周方向において連結部25の全体にわたって設けられており、隣り合う2つのポケット形成部21の側部22に至るように延在している。軸方向Dにおいて、リブ28の高さは、ポケット形成部21の高さよりも低い。
このような第3変形例によっても、上記実施形態と同様に、潤滑特性を向上することができる。また、各連結部25に、軸方向Dの外側に突出するように設けられ、周方向に沿って延在するリブ28が形成されている。これにより、保持器10の変形を抑制することができる。すなわち、玉軸受1の回転に伴って保持器10には遠心力が作用し、径方向に膨張しようとするが、リブ28が形成されていることより、遠心力によって保持器10が膨張するように変形することを抑制することができる。その結果、回転精度や耐久性を向上することができる。また、使用時に遠心力等により流れた潤滑剤をリブ28によって留めることができ、潤滑特性を一層向上することができる。より具体的には、玉軸受1内の潤滑剤は遠心力の影響により径方向の外側に流れやすいが、そのような潤滑剤をリブ28により留めることができ、リブ28の周辺に形成された潤滑剤の溜まりから貫通孔24を通ってポケット11へ潤滑剤を供給することができる。その結果、玉5の表面へ潤滑剤を適切に供給することができ、潤滑特性を一層向上することができる。また、リブ28が径方向における連結部25の外縁部に形成されている。これにより、保持器10の変形を効果的に抑制することができると共に、使用時に遠心力等により流れた潤滑剤をリブによって効果的に留めることができ、潤滑特性を一層向上することができる。
本発明は、上記実施形態及び変形例に限られない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
上記実施形態では、突起部26と穴部27との係合により一対の板部材20の複数の連結部25が結合されていたが、これに代えて又は加えて、一対の板部材20の複数の連結部25はリベット等の他の結合部材により結合されていてもよい。保持器10は、樹脂以外の材料(例えば金属材料)により形成された部分を更に含んでいてもよい。本発明の玉軸受は、深溝玉軸受に限らず、例えば4点接触玉軸受等の他の玉軸受にも適用され得る。
第2変形例において、突起部26の先端部には爪部が形成されていてもよい。爪部は、例えば、突起部26の先端部から周方向に突出するように形成され、突起部26が穴部27に挿通されて突起部26の先端部が穴部27から軸方向Dの外側に突出した状態において、連結部25の外面に引っ掛かって係合してもよい。同様に、上記実施形態において突起部26の先端部に爪部が形成されていてもよい。
1…玉軸受、2…内輪、3…外輪、5…玉、10…保持器(玉軸受用保持器)、11…ポケット、20,20A,20B…板部材、21…ポケット形成部、22…側部、22a…内面、23…底部、23a…内面、23b…外面、24…貫通孔、25…連結部、26…突起部、27…穴部、28…リブ、31…接続部分、32…段差部、33…隙間、C…ポケットの中心、D…軸方向、R1…平坦部分。
Claims (14)
- 周方向に沿って並んで配置される複数の玉を転動自在に保持するための玉軸受用保持器であって、
軸方向において互いに向かい合い、前記複数の玉がそれぞれ配置される複数のポケットを互いの間に画定する一対の板部材を備え、
前記一対の板部材は、樹脂により形成されており、
前記一対の板部材の各々は、前記複数のポケットをそれぞれ画定する複数のポケット形成部を有し、
前記一対の板部材の少なくとも一方における前記複数のポケット形成部の各々には、貫通孔が形成されている、玉軸受用保持器。 - 前記貫通孔は、軸方向から見た場合に前記ポケットの中心と重なるように配置されている、請求項1に記載の玉軸受用保持器。
- 前記貫通孔は、周方向に沿って延在している、請求項1又は2に記載の玉軸受用保持器。
- 前記一対の板部材の両方における前記複数のポケット形成部の各々に、前記貫通孔が形成されている、請求項1又は2に記載の玉軸受用保持器。
- 前記複数のポケット形成部の各々は、周方向と交差するように延在する一対の側部と、前記一対の側部に接続され、軸方向と交差するように延在する底部と、を有する、請求項1又は2に記載の玉軸受用保持器。
- 前記貫通孔は、前記底部に形成されている、請求項5に記載の玉軸受用保持器。
- 前記一対の側部及び前記底部は、前記一対の側部と前記底部との接続部分と、前記ポケットに配置された前記玉との間に隙間が形成されるように構成されている、請求項5に記載の玉軸受用保持器。
- 前記一対の側部と前記底部との接続部分には、段差部が形成されている、請求項5に記載の玉軸受用保持器。
- 前記一対の側部の各々は、円筒状の内面を有しており、
前記底部は、球面状の内面を有している、請求項5に記載の玉軸受用保持器。 - 前記一対の板部材の各々は、周方向において前記複数のポケット形成部と互いに違いに配置された複数の連結部を更に有し、
前記一対の板部材の一方の前記複数の連結部は、突起部と穴部との係合により、前記一対の板部材の他方の前記複数の連結部とそれぞれ結合されている、請求項1又は2に記載の玉軸受用保持器。 - 前記一対の板部材の各々は、周方向において前記複数のポケット形成部と互いに違いに配置された複数の連結部を更に有し、
前記複数の連結部の各々には、軸方向の外側に突出するように設けられ、周方向に沿って延在するリブが形成されている、請求項1又は2に記載の玉軸受用保持器。 - 前記リブは、径方向における前記連結部の外縁部に形成されている、請求項11に記載の玉軸受用保持器。
- 前記複数のポケット形成部の各々の外面は、軸方向と垂直な平坦部分を有し、
前記平坦部分は、前記外面において軸方向における最も外側の部分を構成している、請求項1または2に記載の玉軸受用保持器。 - 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置された前記複数の玉と、前記複数の玉を転動自在に保持する請求項1又は2に記載の玉軸受用保持器と、を備える玉軸受。
Priority Applications (1)
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JP2022099441A JP2024000638A (ja) | 2022-06-21 | 2022-06-21 | 玉軸受用保持器、及び玉軸受 |
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Family Applications (1)
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- 2022-06-21 JP JP2022099441A patent/JP2024000638A/ja active Pending
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