JP2023526304A - コロナウイルス感染症治療のためのtlr7/8拮抗薬 - Google Patents

コロナウイルス感染症治療のためのtlr7/8拮抗薬 Download PDF

Info

Publication number
JP2023526304A
JP2023526304A JP2022569248A JP2022569248A JP2023526304A JP 2023526304 A JP2023526304 A JP 2023526304A JP 2022569248 A JP2022569248 A JP 2022569248A JP 2022569248 A JP2022569248 A JP 2022569248A JP 2023526304 A JP2023526304 A JP 2023526304A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tlr7
inhibitor
subject
administered
additional therapeutic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022569248A
Other languages
English (en)
Inventor
エー.デマルティーノ ジュリー
Original Assignee
メルク ヘルスケア コマンディトゲゼルシャフト アウフ アクティーン
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by メルク ヘルスケア コマンディトゲゼルシャフト アウフ アクティーン filed Critical メルク ヘルスケア コマンディトゲゼルシャフト アウフ アクティーン
Publication of JP2023526304A publication Critical patent/JP2023526304A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/435Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
    • A61K31/47Quinolines; Isoquinolines
    • A61K31/4709Non-condensed quinolines and containing further heterocyclic rings
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/435Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
    • A61K31/4353Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom ortho- or peri-condensed with heterocyclic ring systems
    • A61K31/4375Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom ortho- or peri-condensed with heterocyclic ring systems the heterocyclic ring system containing a six-membered ring having nitrogen as a ring heteroatom, e.g. quinolizines, naphthyridines, berberine, vincamine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

本発明は、単独で又は1もしくは複数の追加の治療薬と組合せて、COVID-19を含む、コロナウイルス感染症の治療に使用するための、TLR7/8拮抗薬を包含している。【選択図】図1

Description

発明の技術分野
本発明は、Toll様受容体7/8(TLR7/8)インヒビター、及びCOVID-19などのSARS-CoV感染症を含むコロナウイルス感染症の治療におけるそれらの使用を提供する。
発明の背景
現時点で異なる特異性を持つ10種の受容体の遺伝子ファミリーを含むToll様受容体(TLR)は、細胞の病原体パターン認識システムの一部であり、これは、様々な感染症(細菌、ウイルス、真菌)に対する防御のために進化している。TLRの活性化は、例えばインターフェロンの放出を伴う、サイトカイン反応、及び特定の免疫細胞の活性化に繋がる。組織における選択されたTLRの機能発現は、高度に異なる。これらの受容体の一部は、例えば上皮細胞上のTLR4(大腸菌リポ多糖LPSにより刺激される)、又は特定された免疫細胞のエンドソーム膜に局在化されたTLR3、7、8及び9のように、細胞表面に局在化される。後者は、全て核酸により活性化されるが、それらの様々な型を認識する。例えば、TLR9は、CpG部分配列を含む一本鎖DNAにより活性化され、TLR7及び8は、一本鎖RNAにより活性化され、並びにTLR3は、二本鎖RNAにより活性化される。
TLRは、様々な自己免疫疾患及び炎症疾患に関与しており、最も明らかな例は、全身性紅斑性狼瘡の病理発生においてTLR7により果たされる役割である(Barrat及びCoffman, Immunol Rev, 223:271-283, 2008)。加えてTLR8多型は、関節リウマチに関連している(Enevoldら, J Rheumatol, 37:905-10, 2010)。
コロナウイルス
コロナウイルス(CoV)は、コロナウイルス科のニドウイルス目のポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルスである。コロナウイルスには4種の亜型-アルファ、ベータ、ガンマ及びデルタ-が存在し、アルファコロナウイルス及びベータコロナウイルスは、ヒトを含むほとんどの哺乳動物に感染する。最近20年間にわたり、非ヒト哺乳動物宿主から飛び超え(jumped from)、ヒトに感染する3種の重大な新規コロナウイルスが出現しており:2002年に現れた重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV-1)、2012年に現れた中東呼吸器症候群(MERS-CoV)、及び最新の2019年に現れたCOVID-19(SARS-CoV-2)である。SARS-CoV-2が同定されて最初の5ヶ月間に、400万人以上のヒトが感染したことがわかっており、及びほぼ300,000人のヒトが死亡した。両方の数値は、本疾患による打撃をかなり少なめに数えて表しているであろう。
COVID-19
SARS-CoV-2は、2002-03年のSARS流行の原因物質であるSARS-CoV-1と密接に似ている(Fungら, Annu. Rev. Microbiol. 2019. 73:529-57)。重症疾患が、SARS-CoV-2に感染した患者のおよそ15%において報告されており、その1/3は、重篤な疾患(例えば、呼吸不全、ショック、又は多臓器機能不全)に進行している(Siddiqiら, J. Heart and Lung Trans. (2020), doi: https://doi.org/10.1016/j.healun.2020.03.012;Zhouら, Lancet 2020; 395: 1054-62. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30566-3)。SARS-CoV-2により引き起こされるウイルス病原性及び免疫反応の機序の完全な理解は、抗ウイルス治療及び支持療法を超える治療的介入を理論的に設計する際に極めて重要であろう。COVID-19が、それを発症しているヒトの健康に影響を及ぼす様々な様式について、依然多くが発見されつつある。
SARSコロナウイルスから同定された並外れてGU-リッチな一本鎖RNAは、過剰な自然免疫反応に寄与している。インビトロ実験において、結果は、代表的SARS-CoV ssRNAは、強力な免疫刺激活性を有し、TLR7及びTLR8を介して、かなりのレベルの炎症性サイトカインTNF-α、IL-6及びIL-12の放出を誘導したことを示した(Liら, Microbes and Infection (15:2, 88-95 (2013))。SARS-CoV-2変種における点変異バイアスは、炎症反応を刺激する能力の増大を生じる。武漢において単離されたウイルスのssRNA配列による刺激と比べた場合に、SARS-CoV-2変種におけるU増加の程度は、細胞株におけるTNF-α及びIL-6などのサイトカイン産生の増強と相関している。先の報告と一致するが、ssRNAにより刺激されたTHP-1からのサイトカイン産生は、TLR7に左右される(Kosugeら, Scientific Reports (10:17766 (2020))。
重症急性呼吸器症候群(SARS)-コロナウイルス-2(CoV-2)は、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の病原因子であるが、これは世界中で400万人超に影響を及ぼす世界的流行を引き起こし、2020年5月時点で、症例の致死率は2~4%であった。このウイルスは、高い伝染率を有し、このことは恐らく高い初期のウイルス量及び既存の免疫の欠如に結びついている(Heら, Nat Med 2020 https://doi.org/10.1038/s41591-020-0869-5)。これは、特に高齢者及び併存疾患を有する個体において、重症疾患を引き起こす。COVID-19の世界規模の負担は計り知れず、且つ本疾患に立ち向かうための治療的アプローチの必要性が増している。HIV-1(ロピナビル+リトナビル)及びエボラウイルス(レムデシビル)などの、エンベロープを持つRNAウイルスのために開発されたものを含む、直感的な抗-ウイルスアプローチが、治験薬として試験実施されている(Greinら, NEJM 2020 https://doi.org/10.1056/NEJMoa2007016;Caoら, NEJM 2020 DOI: 10.1056/NEJMoa2001282)。しかし、重症疾患を伴う多くの患者は免疫病理を伴うということから、段階的アプローチ又は抗ウイルス薬との併用のいずれかにおいて、宿主に方向付けられた免疫調節アプローチもまた考慮される(Methaら, The Lancet 2020; 395(10229) DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30628-0;Stebbingら, Lancet Infect Dis 2020. https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30132-8)。
COVID-19の治療における使用に関して検討される多くの療法が存在するにもかかわらず、今のところまだ本疾患を治療するために承認された薬物療法、及び利用可能なワクチンは、存在しない。今日まで、治療は典型的には、利用可能な臨床的主力の対症的管理、呼吸不全の患者に関する人工呼吸器による酸素療法のみからなる。従って異なるステージのSARS-CoV-2感染症サイクルに対処するための、新規療法の緊急の必要性が存在している(Siddiqiら)。
図面の簡単な説明
図1は、2つの相を含む、疾患進行の概略を示す:1)ウイルス反応相、及び2)宿主炎症反応相。本疾患によりおおまかに同定される3つのステージも存在し、最も重症の症例は、患者が、重度のサイトカインストームに冒されるステージIIIである。
図2A及び2Bは、TLR7又はTLR8のアゴニストのいずれかにより刺激された試料におけるIL-6及びTNF-αの産生に対する、化合物3、対、ヒドロキシクロロキン投与の効果を示している。化合物3は、低濃度であっても、認められるサイトカインの量を、ヒドロキシクロロキンと比べ有意に減少する。図2Cは、化合物3又はヒドロキシクロロキンにより治療された場合の、Alu刺激された細胞に関する、対照と比較した、IFN-αの量を示し、並びに図2Dは、化合物3又はヒドロキシクロロキンにより治療された場合の、miR-122刺激された細胞に関する、対照と比較した、TNF-αの量を示す。 同上。 同上。 同上。
図3A-3Dは、マウス狼瘡モデルにおける、化合物3の投与の結果を示す。図3Aは、経時的生存を示し(図3A);図3Bは、時間経過としてプロットしたタンパク尿を示し;図3Cは、時間経過に関する個々のマウスのAUCを示し;並びに、図3Dは、健常対照マウスと比べた、IFN遺伝子シグネチャースコアを算出するための17種のIFN-調節された遺伝子のパネルにおいて行われた、血液遺伝子発現解析を示す。 同上。 同上。 同上。
図4A-4Eは、IL-6レベル(図4C-4E)及びIFN-αレベル(図4A、4B)に対する、異なるTLR7、TLR8、及びTLR7/8のアゴニストにより刺激された血漿への化合物4の異なる濃度の効果を示す。 同上。 同上。 同上。 同上。
図5は、本治療薬に曝露されない非感染細胞及び感染細胞と比較した、本発明の化合物4(“NCE3”)の81μMで処理した場合のCalu-3細胞のコンフルエンスを表す図を示す。この図は、処理した細胞のコンフルエンスは、この実験における非感染細胞のそれに類似していることを示している。
図6は、非感染細胞及び感染対照細胞と比較した、化合物3(“NCE5”)の81μMで処理した場合のCalu-3細胞のコンフルエンスを表す図を示す。この図は、処理した細胞のコンフルエンスは、この実験における非感染細胞のそれに類似していることを示している。
図7Aは、化合物3(“M5049”とも記される)の存在下又は化合物3の非存在下で刺激後の、IFN-αの濃度を示す。図7Bは、化合物3の存在下又は化合物3の非存在下で刺激後のIL-6の濃度を示す。図7Cは、化合物3の存在下又は化合物3の非存在下で刺激後のTNF-αの濃度を示す。全ての図面は、化合物3に曝露された場合の炎症サイトカインの有意な減少を示している。 同上。 同上。
図8Aは、インビボモデルにおいて化合物3を投与した時の、IFN-αの減少を示す。図8Bは、インビボモデルにおいて化合物3を投与した時の、IL-6の減少を示す。 同上。
図9Aは、様々な濃度の化合物3(M5049)に関するIFN遺伝子シグネチャースコアを示し-これは、M5049投与量の増加に伴う、発現の減少(肺の炎症の低下に相関する)を示し、10mg/kgの化合物3で、IFNを完全に減少する。図9Bは、様々な濃度の化合物3(M5049)に関するNF-κB遺伝子シグネチャースコアを示し-これは、M5049投与量の増加に伴う、NF-κBの発現の減少(肺の炎症の低下に相関する)を示し、10mg/kgで、NF-κBを完全に減少する。 同上。
発明の概要
一実施態様において、本発明は、以下に示されたTLR7/8インヒビター:
Figure 2023526304000002
又はその医薬として許容し得る塩を提供する。
別の実施態様において、本発明は、治療を必要とする対象におけるウイルス感染症の治療において使用するための本発明のTLR7/8インヒビターを提供する。この実施態様の一局面において、ウイルス感染症は、コロナウイルス感染症である。この実施態様の一局面において、ウイルス感染症は、SARS-CoV-1、MERS-CoV、又はSARS-CoV-2感染症である。この実施態様の一局面において、ウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
一実施態様は、対象へ、有効量のTLR7/8インヒビター、又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む、それを必要とする対象においてコロナウイルス感染症を治療する方法である。この実施態様の一局面において、対象は、COVID-19肺炎に罹患している。別の局面において、対象は、SARS-CoV-2感染症に起因した過剰炎症性宿主免疫反応に罹患している。この実施態様の更なる局面において、対象は、医療介入を必要とする中等度から重度のCOVID-19を有する。
本発明の別の実施態様は、有効量のTLR7/8インヒビター、又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む、それを必要とする対象においてコロナウイルス感染症を治療する方法であり、ここでこの投与は、対象におけるウイルス量を減少する。この実施態様の一局面において、TLR7/8インヒビターは、COVID-19肺炎発症の前に、投与される。この実施態様の別の局面において、TLR7/8インヒビターは、重度のサイトカインストームを発症する前に、対象へ投与される。この実施態様の更なる局面において、対象は、軽度から中等度のSARS-CoV-2感染症を有する。この実施態様の追加の局面において、対象は、投与レジメンの開始時には無症状である。
詳細な説明
COVID-19の強力な宿主炎症反応相に対処するための療法に関する切迫した必要性を考慮すると、本発明のパターン認識受容体TLR7及びTLR8の二重インヒビターのような小型分子の免疫調節化合物は、COVID-19患者に緩和を提供する価値のあるツールであることができる。本発明の化合物は、COVID-19におけるウイルスに関連したサイトカインストームの中心機序を阻害することができ、且つウイルス排除を損なうことなく、重度の免疫病理を食い止めるのに十分なように標的化されることができる。
最初の抗ウイルス反応相(図1)で、ウイルスが主に肺胞内のACE2-発現している特定の上皮細胞(II型肺細胞)に感染する場合、直接の抗-ウイルス療法又は免疫増強療法(例えばレビフを含む、IFN-I)は、接触感染を最小化し且つ重症疾患への進行を防止する利点があることを証明することができる(Hoffmannら, Cell 2020. DOI: https://doi.org/10.1016/j.cell.2020.02.052;Sungnakら, Qbio 査読前原稿; arXiv:2003.06122 [q-bio.CB];Zouら, Front Med 2020 https://doi.org/10.1007/s11684-020-0754-0;Zhaoら, BioRxv 査読前原稿 https://doi.org/10.1101/2020.01.26.919985;Qiら, BBRC 2020 https://doi.org/10.1016/j.bbrc.2020.03.044;Tacconeら, Lancet Resp. Med. (2020) https://doi.org/10.1016/S2213-2600(20)30172-7)。実際、最近の論文は、SARS-CoV-2ウイルス量と症状の重症度とウイルス排出の間の相関関係を示唆している(Heら; Liuら, Lancet Infect Dis 2020. https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30232-2)。コロナウイルス複製を鈍くするために症状開始時に投与される抗ウイルス薬が、臨床試験相にある(Greinら;Tacconeら)。
対照的に、免疫調節治療については、初期の抗ウイルス免疫反応を可能にするため、又は疾患が進行した患者において抗ウイルス薬と併用するためのいずれかのステージ分類されたアプローチが、提唱されている(図1、ステージII)(Stebbingら;Richardsonら, Lancet 2020. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30304-4)。ここで、局所化された炎症、全身性の炎症マーカー、肺疾患及びウイルス性肺炎は、より明白であり、より多くの支持療法(例えば、入院、酸素補給)を必要とする(Siddiqiら)。この設定において、抗炎症療法は、人工呼吸器を必要とするステージへの重症疾患の進行を防止する上で、有益であり得る。
現在治験中の一部の免疫調節薬は、本疾患の宿主炎症相に関連したサイトカインストームの症状を治療するために理論付けられている(図1、ステージIII)。しかし、現在評価されている一部の薬物療法は、サイトカインストームを沈静化するにはそれらの標的化において余りにも特異的であるか(例えば、トシリズマブ)、余りにも多くの有害事象を引き起こさずにサイトカインストームを沈静化するのに有用であるには余りにも無差別的であるか(例えば、Jak1/2阻害薬)、それらの標的化は余りにも作用が弱いか及び/もしくは非特異的であり(例えば、ヒドロキシクロロキン)、並びに/又は重篤な副作用を有する(Richardsonら;Chenら, medRxiv 2020 査読前原稿 doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.22.20040758)。しかし臨床において現在使用されているこれらの療法のいずれも、観察されたサイトカインストームをその発端時に調節するための基礎となるドライバー(driver)を標的化しない。従って例え臨床試験において複数の薬物療法が評価されるとしても、サイトカインストームを沈静化するため、及びCOVID-19に罹患した患者のウイルス量を減少するための有効な薬物療法に関する緊急の必要性が依然存在している。
TLR7/8の刺激は、抗ウイルス反応(IFN-Iにより)、並びにIL-6及びTNF-αの産生により炎症性サイトカイン反応を活性化する。感染後の強力な炎症促進性反応(“サイトカインストーム”とも称される)は、COVID-19の重度症例の顕著な特徴である(Chowら, Annu. Rev. Immunol. 2018. 36:667-94;Huangら, Lancet (2020), 395:497-506)。IL-6は、多面的活性を特徴とするサイトカインであり;これは、作用の中でもとりわけ、CRP、血清アミロイドA、フィブリノゲン、及び肝細胞におけるへプシジンなどの、急性相タンパク質の合成を誘導する。IL-6はまた、抗体産生の刺激及びエフェクターT細胞発達の刺激により、獲得免疫反応において重要な役割も果たす。別のサイトカインであるTNFの主な役割は、免疫細胞の調節にあり;これは、多くの作用の中でもとりわけ、炎症及びウイルス複製に関連している。従って、TLR7/8の拮抗は、サイトカインの中でもとりわけ、IL-6及びTNF-αの両方の抑制に繋がり、並びに弱まった炎症促進性反応に繋がり、その結果対象が重度のサイトカインストームへ進行するのを弱めるか又は防止する。
GU-含有RNAは、IFN-αを誘導し、その放出の大きさは、1配列当たりのGUの総数に相関している。GU-リッチ配列は、当初HIVにおいて同定され(Heilら, Science 2004 https://doi.org/10.1126/science.1093620)、またlet-7ファミリーにおいて、現時点ではSARS-CoV-2においてなど、ヒトmiRNAにおいても発見された(Kosugeら, Scientific Reports (10:17766 (2020))。本発明者らの内部分析を基に、SARS-COV-2ゲノムは、1配列当たり約229のGU ssRNA断片、及びHIVにおいて同定された3個のGUUGUモチーフを含むGUトリマー配列(GUUGUGUUGUGUUGU)のアラインメントを有することがわかり、且つこれは少なくとも7及び最大11のマッチするヌクレオチドを伴うSARS-CoV-2ゲノム内のTLR7/8同定された96のユニーク領域の強力なアクチベーターであることが知られている。表1参照:
Figure 2023526304000003
本発明のTLR7/8インヒビターは、SARS-CoV-2ゲノムにおいて認められたものに類似している配列を伴うGU-リッチmiRNAを使用する実験において、GU-リッチRNA-誘導したIFN-α及びIL-6の分泌を阻害する(図7A-7C参照)。
SARS-CoV-2は、受容体-媒介型エンドサイトーシスを介して、ACE2を発現している細胞へ直接侵入する(Hoffmannら)。ウイルス複製が成功するには、ウイルスゲノムを宿主細胞質ゾルへ放出するための、宿主エンドソームの酸性化を必要とする。単球、マクロファージ及び好中球のような自然免疫細胞は、ACE2を高度に発現しないが、豊富なFc受容体を有す(Zouら;Qiら;Luら, Nat. Rev. Imm. 2018 https://doi.org/10.1038/nri.2017.106)。ステージII(図1)において、このウイルスへ結合する抗体は、Fc受容体(FcR)又は補体受容体(CR)を介して、骨髄系細胞エンドソームへのウイルスの取込みを媒介することができる(Luら;Dandekarら, Nat. Rev. Imm. 2005, https://doi.org/10.1038/nri1732)。従ってACE2、FcR及びCRは、どのようにSARS-CoV-2は、エンドソームへ侵入し、且つサイトカインストーム及び重症疾患へと繋がるTLR7/8-駆動した過剰炎症の引き金をひくかについて、3種の機序を提示する。加えてssRNAウイルスは、好中球において、TLR7/8-依存型ネトーシス(NETosis)を誘導することができ(Saitohら, Cell Host Microbe (2012), 19;12(1):109-16)、これはDNA及びRNAの放出へ繋がり、TLR7/8-駆動した炎症を更にあおるためのフィードフォワードループを作出し(Hersterら, Nat Commun 2020; 11, 105 https://doi.org/10.1038/s41467-019-13756-4)、これは重度COVID-19のドライバーであることが提唱されている(Barnesら, J Exp med 2020; 217 (6) https://doi.org/10.1084/jem.20200652)。SARS-CoV-1駆動したssRNAは、動物モデルにおいて重度のTLR7/8-駆動した肺病理を媒介することが示されており、並びにウイルス-関連したサイトカインストームの可能性のあるドライバーとして提示されている(Liら, Microbes Infect 2013; 15 (2) 88-95. https://doi.org/10.1016/j.micinf.2012.10.008)。更にTLR8-発現している自然免疫細胞の浸潤が、重度に罹患した患者の肺において観察されている(Liaoら, medRxiv 査読前原稿 doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.23.20026690)。この状況において、TLR7/8活性化の阻害は、根本において、SARS-CoV-2を含むコロナウイルスにより引き金を引かれた有害な炎症カスケードを鎮めることができる、独自の標的化された療法であり得、従って最初の天然のウイルス排除を依然損なわない選択的免疫抑制を提供する。
感染の早いステージにおいてウイルスの繁殖を遅くすることができることは、対象に重症疾患を回避させることができる。この可能性のある抗ウイルス作用は加えて、先に考察したように、重度のウイルス感染症に関連したサイトカインストームの減衰又は回避であることができる。従って本発明の化合物は、SARS-CoV-2などの、コロナウイルス感染した対象を効果的に治療する独自の機会を提供する。
本発明の化合物は、細胞膜の表面のpHを変化させ、その結果ウイルスの細胞膜への融合を阻害することができると考えられる。本発明の化合物は、核酸複製、ウイルスタンパク質の糖鎖修飾、ウイルス集成、新規のウイルス粒子の輸送、及び/又はウイルス放出を阻害することができることが仮定される。本発明の化合物の投与は結果として、ウイルス複製を減少し、これは次にウイルス量を減少し、疾患の重症度を軽減する。本発明の化合物の抗ウイルス特性に関する正確な作用機序がどのようなものであっても、その投与は、本明細書において更に説明されるように、1又は複数の臨床上の利点を有し得ることが提唱される。
「COVID-19」は、SARS-CoV-2感染により引き起こされる疾患の名称である。正確な専門用語で感染症及び疾患の両方を説明するには注意を要するが、「COVID-19」及び「SARS-CoV-2感染症」は、おおまかに同等の用語であることを意味する。
本出願に記載されているように、COVID-19患者/症状の重症度の決定及び特徴付けは、最終的には確立されていない。しかし本発明の状況において、「軽度から中等度」のCOVID-19は、対象が、無症状を示すか、又は肺炎の証拠がなく、重症度の低い臨床症状(例えば、程度の低い発熱又は発熱なし(<39.1℃)、咳、軽度から中等度の不快感)を示す場合に起こり、且つ一般に、医学的注意を必要としない。「中等度から重度」の感染症は、一般により重度の臨床症状(例えば、発熱>39.1℃、息切れ、持続性の咳、肺炎など)を示す患者を指す。本明細書において使用される「中等度から重度」の感染症は、典型的には、入院を含む医療介入を必要とする。疾患の進行時に、対象は、「軽度から中等度」から「中等度から重度」へと移り、且つ感染症の期間(bout)の一経過を戻ることができる。
本発明の方法を使用するCOVID-19の治療は、この感染症の任意のステージにおいて、本発明のTLR7/8インヒビターの有効量を投与し、それに関連した症状を防止又は軽減することを含む。典型的には、対象には、確定診断後及びSARS-CoV-2感染症と一致する症状が現れた後に、本発明のTLR7/8インヒビターの有効量が投与され、並びに投与は、この感染症の重症度を軽減し、及び/又はより重度の状態への感染症の進行を防止する。そのような投与時の臨床上の利点は、以下のセクションにおいてより詳細に説明される。
1. 化合物及び定義
一実施態様は、以下からなる群から選択される化合物:
Figure 2023526304000004
又はその医薬として許容し得る塩である。この実施態様の一局面において、本発明のTLR7/8インヒビターは:
Figure 2023526304000005
である。この実施態様の別の態様において、本発明のTLR7/8インヒビターは:
Figure 2023526304000006
である。
好適な塩基に由来する塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びN(C1-4アルキル)塩を含む。代表的アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及び同類のものを含む。更なる医薬として許容し得る塩は、適切な場合は、ハロゲン化物、水酸化物、カルボキシラート、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、低級アルキルスルホネート及びアリールスルホネートなどの対イオンを使用して形成される、無毒のアンモニウム、第四級アンモニウム、及びアミンの陽イオンを含む。
別に言及しない限りは、本明細書に描いた構造はまた、この構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体(又は配座異性体))の形;例えば、各不斉中心についてR及びS配置、Z及びE二重結合異性体、並びにZ及びE配座異性体:を含むことも意味する。従って、本化合物の単独の立体化学異性体、並びにエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体(もしくは配座異性体)の混合物は、本発明の範囲内である。
加えて別に言及しない限りは、本明細書に描いた構造はまた、1又は複数の同位体濃縮された原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意味する。例えば、水素のジュウテリウムもしくはトリチウムによる置き換え、又は炭素の13C-もしくは14C-濃縮された炭素による置き換えを含む本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。一部の実施態様において、これらの群は、1個又は複数のジュウテリウム原子を含む。
2. 使用、製剤及び投与
本明細書において使用される用語「患者」又は「対象」は、動物、好ましくはヒトを意味する。しかし、「対象」は、イヌ及びネコなどの伴侶動物を含むことができる。一実施態様において、対象は、成人ヒト患者である。別の実施態様において、対象は、小児患者である。小児患者は、治療の開始時に、18歳未満である任意のヒトを含む。成人患者は、治療の開始時に、18歳以上である任意のヒトを含む。一実施態様において、対象は、年齢が65歳以上、あらゆる年齢の免疫無防備状態のヒト、慢性の肺状態(喘息、COPD、嚢胞性線維症など)を伴うヒト、及び他の併存疾患を伴うヒトなどの、高リスク群の一員である。この実施態様の一局面において、他の併存疾患は、肥満症、糖尿病、及び/又は高血圧である。
本発明の組成物は、経口的、非経口的、吸入スプレーにより、局所的、経直腸、経鼻、口腔内、経膣、又は埋植された貯蔵庫により投与される。好ましくは、本組成物は、経口的に投与される。一実施態様において、本発明の化合物の経口製剤は、錠剤又はカプセル剤の形状である。別の実施態様において、この経口製剤は、口又は経鼻胃チューブを介してそれを必要とする対象へ与えられ得る、液剤又は懸濁剤である。任意の本発明の経口製剤は、食物と一緒又は一緒でなく投与されてよい。一部の実施態様において、本発明の医薬として許容し得る組成物は、食物とは一緒でなく投与される。他の実施態様において、本発明の医薬として許容し得る組成物は、食物と一緒に投与される。
本発明の医薬として許容し得る組成物は、任意の経口的に許容し得る剤形において、経口投与される。例証的経口剤形は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤又は液剤である。経口使用のための錠剤の場合、通常使用される担体は、乳糖及びトウモロコシデンプンを含む。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、典型的には添加される。カプセル剤の形状での経口投与に関して、有用な希釈剤は、乳糖及び乾燥トウモロコシデンプンを含む。水性懸濁液が経口使用のために必要とされる場合、活性成分は、乳化剤及び懸濁化剤と組合せられる。望ましいならば、特定の甘味料、香味剤又は着色剤も、任意に添加される。
単独の剤形中の組成物を製造するための担体材料と任意に組合せられる本発明の化合物の量は、治療される宿主、投与の特定の様式に応じて変動するであろう。好ましくは、提供される組成物は、これらの組成物を受け取る患者へ、本化合物の0.01~100mg/kg体重/日の用量で投与され得るように、製剤化されるべきである。
一実施態様において、それを必要とする対象へ投与されるTLR7/8インヒビターの総量は、1日当たり約10mg~約500mgである。この実施態様の一局面において、投与されるTLR7/8インヒビターの総量は、1日当たり約50mg~約300mgである。別の局面において、投与されるTLR7/8インヒビターの総量は、1日当たり約100mg~約200mgである。
別の実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1日1回投与される。この実施態様の別の局面において、TLR7/8インヒビターは、1日2回投与される。
一実施態様において、それを必要とする対象へ投与されるTLR7/8インヒビターの量は、約50mgが1日2回である。別の実施態様において、それを必要とする対象へ投与されるTLR7/8インヒビターの量は、約100mgが1日2回である。
前記実施態様のいずれかにおいて、TLR7/8インヒビターは、約7日間~約21日間の期間投与される。前記実施態様のいずれかの一局面において、TLR7/8インヒビターは、約14日間投与される。
本発明の一実施態様において、本発明のTLR7/8インヒビターの50mgは、1日2回、約14日間投与される。別の本発明の実施態様において、本発明のTLR7/8インヒビターの100mgは、1日2回、約14日間投与される。
本発明の一実施態様において、対象は、COVID-19肺炎に罹患している。本発明の一実施態様において、対象は、COVID-19に起因した極度の炎症促進性反応に罹患しており、これは体の任意の主要臓器に存在することができる。本発明の一実施態様において、対象は、COVID-19に起因した急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に罹患している。本発明の一実施態様において、対象は、胸部鬱血、咳、94%以下の血中酸素飽和度(SpO)のレベル、息切れ、呼吸困難、発熱、悪寒、反復する悪寒戦慄、筋肉痛及び/又は虚弱、頭痛、咽喉炎及び/又は味覚もしくは嗅覚の新たな喪失から選択される1又は複数の症状に悩まされている。
一実施態様において、対象は、SARS-CoV-2感染症に対する過剰炎症性宿主免疫反応に罹患している。この実施態様の一局面において、過剰炎症性宿主免疫反応は、1)末梢血中のリンパ球、特にナチュラルキラー(NK)細胞の低下したレベル;2)炎症パラメータ(例えば、C反応性タンパク質[CRP]、フェリチン、d-ダイマー)、及び炎症性サイトカイン(例えば、IL-6、TNFα、IL-8、及び/又はIL-1β)の高いレベル;3)リンパ球減少症、並びに/又はリンパ系器官のリンパ球減少を随伴する、脾臓及びリンパ節の萎縮により明らかにされる、免疫系の悪化;4)血液の酸素化の減少を生じるリンパ球浸潤は最小であるが、単球、マクロファージ、及び/又は好中球により浸潤された肺病巣により表される、肺生理の機能障害;5)急性呼吸窮迫症候群(ARDS);6)血管炎;7)脳炎、ギランバレー症候群、及び他の神経学的障害;8)腎機能障害及び腎不全;9)動脈血栓症などの、凝固性亢進;並びに10)又は、末端器管の損傷及び死滅を生じる先の任意の組合せ:から選択される、1又は複数の臨床的徴候に関連している。
一実施態様において、COVID-19を伴う対象は、川崎病(すなわち、川崎症候群)及び川崎病類縁疾患を含む、血管炎に罹患している、小児患者である。
本発明の一実施態様において、対象は、病院の設定で治療される入院患者である。別の実施態様において、対象は、外来患者の設定で治療される。先行する実施態様の一局面において、対象は、入院患者の病院の設定から外来患者の設定に移行された後、TLR7/8インヒビターの投与が継続されてよい。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターの投与は、1又は複数の臨床上の利点を生じる。この実施態様の一局面において、1又は複数の臨床上の利点は、以下からなる群から選択される:病院滞在期間の短縮、集中治療室(ICU)滞在期間の短縮、ICUへ収容される対象の公算の低下、死亡率の低下、透析を必要とする腎不全の公算の低下、非侵襲的又は侵襲的人工呼吸器を装着する公算の低下、回復までの時間の短縮、酸素補給が必要となる公算の低下、機械的介入を伴わない末梢毛細血管酸素飽和度(SpOレベル)の改善又は正常化、胸部画像(例えば、CT又は胸部X線)により決定される肺炎の重症度の低下、サイトカイン産生の減少、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の重症度の低下、ARDS発症の公算の低下、COVID-19肺炎の臨床的消散、PaO/FiO比の改善、及び対象における炎症反応の軽減。
別の実施態様において、この1又は複数の臨床上の利点は、人工呼吸器又は膜型人工肺を装着しない対象における末梢毛細血管酸素飽和度(SpOレベル)の改善又は正常化を含む。
一実施態様において、この1又は複数の臨床上の利点は、対象の炎症反応の軽減を含む。この実施態様の一局面において、対象における炎症反応の軽減は、単独で、又はIFNα及び/もしくはIFNβを含むI型IFNなどIRF3/7により駆動されるサイトカイン放出の阻害と組合せて、NFκB(NF-カッパB)IL-1b、IL-6、IL-8、IL-12、IL-18、IL-23、又はIL-27により駆動される、炎症性サイトカイン放出の減少を生じる。この実施態様の一局面において、この1又は複数の臨床上の利点は、対象における重度のサイトカインストームの回避を含む。
更なる実施態様において、この1又は複数の臨床上の利点は、入院の公算の低下、ICUへ収容される公算の低下、挿管される公算の低下(侵襲的人工呼吸器)、酸素補給が必要となる公算の低下、病院滞在の長さの短縮、死亡の公算の低下、及び/又は再入院の公算を含む再発の公算の低下である。
免疫調節の方法が、本開示により提供され、且つ非限定的に、免疫反応を含む、免疫反応を抑制及び/又は阻害する方法を含む。本明細書記載の方法に従う免疫抑制及び/又は阻害は、ウイルス感染などの、免疫反応の望ましくない活性化に関連した障害に罹患している個体を含む、個体に対し実践されてよい。
本発明はまた、本発明の化合物の有効量を、対象へ投与することを含む、それを必要とする対象において、ウイルス感染を治療する方法も提供する。ウイルス感染を治療又は阻害するための有効な量は、未治療の対照対象と比べ、ウイルス病巣、ウイルス量、ウイルス産生率、及び死亡率など、1又は複数のウイルス感染の顕在化の低下を引き起こす量である。
個体において免疫反応を阻害する方法が、本明細書に提供され、この方法は、本明細書において開示された少なくとも1種のTLRインヒビターを、個体における免疫反応を阻害するのに有効な量、個体へ投与することを含む。一部の変動において、免疫反応は、慢性の病原体刺激に関連している。一部の変動において、免疫反応、ウイルス感染に関連している。更なる局面において、免疫反応の阻害は、SARS-CoV-2による感染症から生じるウイルス性疾患又は障害の1又は複数の症状を改善する。また更なる局面において、免疫反応の阻害は、SARS-CoV-2による感染症から生じたウイルス性疾患又は障害を治療する。また更なる局面において、免疫反応の阻害は、SARS-CoV-2による感染症から生じるウイルス性疾患又は障害の発達を防止又は遅延する。本明細書に提供される他の変動は、SARS-CoV-2に曝露されたか又はこれに感染された個体の免疫阻害療法に関連している。SARS-CoV-2に曝露又は感染された個体へのTLRインヒビターの投与は、COVID-19-誘導した過剰なサイトカイン産生の抑制を生じる。一部の局面において、少なくとも1種のTLRインヒビターは、SARS-CoV-2に曝露又は感染された個体においてCOVID-19誘導したサイトカイン産生を抑制するのに有効な量で投与される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターの投与は、過剰炎症性宿主免疫反応状態を選択的に軽減する一方で、ウイルス感染に対する対象の天然のインターフェロン反応と干渉しない。この実施態様の一局面において、過剰炎症性宿主免疫反応状態は、対象が重度のサイトカインストームに罹患する前に、軽減される。
本発明の一実施態様は、TLR7/8インヒビター、又はその医薬として許容し得る塩の有効量を、対象へ投与することを含む、それを必要とする対象において、コロナウイルス感染症を治療する方法である。この実施態様の一局面において、対象は、SARS-CoV-2に感染している。この実施態様の別の局面において、TLR7/8インヒビターの投与は、対象におけるウイルス量の減少を生じる。この実施態様の更なる局面において、TLR7/8インヒビターの投与は、エンドソームのpHを上昇し、細胞へ侵入するウイルスの能力を低下し、及び/又は細胞受容体ACE2の末端糖鎖修飾と干渉することにより、ウイルス量を減少する。この実施態様の別の局面において、本発明のTLR7/8インヒビターの投与は、ウイルス複製の減少を提供する。この実施態様の更なる局面において、TLR7/8インヒビターの投与は、核酸複製、ウイルスタンパク質の糖鎖修飾、ウイルス集成、新規ウイルス粒子の輸送、及びウイルス放出の1又は複数を阻害することができる。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、COVID-19肺炎の発症の前に投与される。一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、対象がサイトカインストームを発症する前に投与される。別の実施態様において、対象は、軽度から中等度のSARS-CoV-2感染症を有する。更なる実施態様において、対象は、本投与レジメンの開始時には無症状である。別の実施態様において、対象は、SARS-CoV-2感染症と診断された患者と接触したことが分かっている。追加の実施態様において、対象は、COVID-19と正式に診断される前に、TLR7/8インヒビターの投与が開始される。
一実施態様は、有効量のTLR7/8インヒビターを対象へ投与することを含む、COVID-19を伴う対象を治療する方法である。この実施態様の一局面において、対象は、先にSARS-CoV-2ワクチンによりワクチン接種されており、且つ感染症のワクチン-関連した増悪、例えば、ワクチン/抗体-関連した増悪の抗体-依存型の増強又は関連抗体-媒介型機序を発症している。
先の実施態様のいずれかにおいて、TLR7/8インヒビターの投与は、対象に1又は複数の臨床上の利点を生じる。この実施態様の一局面において、1又は複数の臨床上の利点は、感染症の期間の短縮、入院の公算の低下、死亡の公算の低下、ICU収容の公算の低下、人工呼吸器を装着する公算の低下、酸素補給が必要となる公算の低下、及び/又は入院期間の短縮である。この実施態様の別の局面において、1又は複数の臨床上の利点は、重大な炎症促進性反応の回避である。この実施態様の更なる局面において、1又は複数の臨床上の利点は、対象が、COVID-19の重大な症状を発症することの失敗である。
本発明の化合物は、SARS-CoV-2感染症の発病の前又はそれに続けて、又は急性感染症が対象において診断された後に、投与することができる。前述の化合物及び発明で使用する医療製品は、治療的処置のために特に使用される。治療的に関連する効果は、障害の1又は複数の症状をある程度緩和するか、又は疾患もしくは病的状態に関連したもしくはこれの原因となる、1もしくは複数の生理的もしくは生化学的パラメータを、部分的もしくは完全にのいずれかで、正常へ回復する。モニタリングは、本化合物が、例えばその反応をブーストし、且つ本疾患の病原体及び/又は症状を根絶するために、明確な間隔で投与されるという条件で、治療の一種と考えられる。本発明の方法はまた、障害の発症の公算を低下するため、又は軽度から中等度の疾患の顕在化に先立ちCOVID-19に関連した障害の開始を防止さえするため、或いは急性感染症の発生及び継続する症状を治療するためにも使用され得る。
軽度から中等度のCOVID-19の治療は、典型的には外来患者の設定で実行される。中等度から重度のCOVID-19の治療は、典型的には、病院の設定の入院患者で実行される。加えて治療は、対象が病院から退院した後に、外来患者の設定で継続され得る。
本発明は更に、少なくとも1種の本発明の化合物又はその医薬として許容し得る塩を含有する医薬品に関する。
本発明の意味の「医薬品」は、医学分野の任意の物質であり、これは、1又は複数の本発明の化合物又はその調製品(例えば、医薬組成物又は医薬製剤)を含み、且つ臨床症状に冒される及び/又はCOVID-19に曝露されたことがわかっている患者の予防、治療、経過観察もしくはアフターケアに使用することができる。
組合せ治療
様々な実施態様において、この活性成分は、単独で、又は1もしくは複数の追加の治療薬と組合せて投与されてよい。相乗効果又は増強効果は、この医薬組成物中の2種以上の化合物の使用により達成されてよい。これらの活性成分は、同時に又は連続してのいずれかで使用され得る。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数の追加の治療薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、1又は複数の追加の治療薬は、抗炎症薬、抗生物質、抗凝固薬、抗寄生虫薬、抗血小板薬及び抗血小板薬2剤併用療法、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、β-遮断薬、スタチン及び他の併用コレステロール低下薬、特異的(specific)サイトカイン阻害薬、補体阻害薬、抗-VEGF治療、JAK阻害薬、免疫調節物質、抗-インフラマソーム療法、スフィンゴシン-1リン酸受容体結合薬、N-メチル-d-アスパラギン酸(NDMA)受容体グルタミン酸受容体拮抗薬、コルチコステロイド、顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子(GM-CSF)、抗-GM-CSF、インターフェロン、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、利尿薬、筋弛緩薬、及び抗ウイルス薬から選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、抗ウイルス薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、抗ウイルス薬は、レムデシビルである。この実施態様の別の局面において、抗ウイルス薬は、単独で、又はリバビリン及びインターフェロン-βと組合せた、ロピナビル-リトナビルである。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、スペクトルの広い抗生物質と組合せて投与される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、クロロキン又はヒドロキシクロロキンと組合せて投与される。この実施態様の一局面において、TLR7/8インヒビターは、更にアジトロマイシンと組合せて投与される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、インターフェロン-β-1a(レビフ(登録商標))と組合せて投与される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、デキサメタゾンと組合せて投与される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、イベルメクチン、トラネキサム酸、ナファモスタット、ビラゾール、リバビリン、ロピナビル/リトナビル、ファビピラビル、アルビドール、レロンリマブ、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、β-インターフェロン、アジトロマイシン、ニタゾキサニド(nitrazoxamide)、ロバスタチン、クラザキズマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、サリルマブ、トシリズマブ、アナキンラ、エマパルマブ、ピルフェニドン、ベリムマブ、リツキシマブ、オクレリズマブ、アニフロルマブ、ラブリズマブ-cwvz、エクリズマブ、ベバシズマブ、ヘパリン、エノキサパリン、アプレミラスト、クマジン、バリシチニブ、ルキソリチニブ、ダパグリフロジン、メトトレキセート、レフルノミド、アザチオプリン、スルファサラジン、ミコフェノレート・モフェチル、コルヒチン、フィンゴリモド、イフェンプロジル、プレドニソン、コルチゾール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、メラトニン、オチリマブ、ATR-002、APN-01、メシル酸カモスタット、ブリラシジン、IFX-1、PAX-1-001、BXT-25、NP-120、免疫グロブリン静注(IVIG)、及びソルナチドから選択された1又は複数の追加の治療薬と組合せて投与される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数の抗炎症薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、抗炎症薬は、コルチコステロイド、ステロイド、COX-2阻害薬、及び非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)から選択される。この実施態様の一局面において、抗炎症薬は、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメイト、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、プレドニソン、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン、ベタメタゾン、プレドニソロン、トリアムシノロン、メチルプレドニソン、デキサメタゾン、フルチカゾン、及びブデソニド(単独で又はフォルモテロール、サルメテロール、もしくはビランテロールと組合せて)である。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数の免疫調節物質と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、免疫調節物質は、カルシニューリン阻害薬、代謝拮抗薬、又はアルキル化剤である。この実施態様の別の局面において、免疫調節物質は、アザチオプリン、ミコフェノレート・モフェチル、メトトレキセート、ダプソン、シクロスポリン、シクロホスファミド及び同類のものから選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数の抗生物質と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、抗生物質は、スペクトルの広い抗生物質である。この実施態様の別の局面において、抗生物質は、ペニシリン、抗-ブドウ球菌ペニシリン、セファロスポリン、アミノペニシリン(通常ベータラクタマーゼ阻害薬と共に投与される)、モノバクタム、キノリン、アミノ配糖体、リンコサミド、マクロライド、テトラサイクリン、糖ペプチド、代謝拮抗薬又はニトロイミダゾールである。この実施態様の更なる局面において、抗生物質は、ペニシリンG、オキサシリン、アモキシシリン、セファゾリン、セファレキシン、セフォテタン、セフォキシチン、セフトリアゾン、オーグメンチン、アモキシシリン、アンピシリン(+スルバクタム)、ピベラシリン(+タゾバクタム)、エルタペネム、シプロフロキサシン、イミペネム、メロペネム、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、アミカシン、クリンダマイシン、アジトロマイシン、ドキシサイクリン、バンコマイシン、バクトリム、及びメトロニダゾールから選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数の抗凝固薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、抗凝固薬は、アピキサバン、ダビガトラン、エドキサバン、ヘパリン、リバーロキサバン、及びワルファリンから選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数の抗血小板薬及び/又は抗血小板薬2剤併用療法と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、抗血小板薬及び/又は抗血小板薬2剤併用療法は、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、プラスグレル、及びチカグレロルから選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数のACE阻害薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、ACE阻害薬は、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、及びトランドラプリルから選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数のアンジオテンシンII受容体遮断薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、アンジオテンシンII受容体遮断薬は、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、及びバルサルタンから選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数のβ-遮断薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、β-遮断薬は、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド、ビソプロロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、及びソタロールから選択される。
別の実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数のα及びβ-遮断薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、α及びβ-遮断薬は、カルベジロール又はラベタロール塩酸塩である。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数のインターフェロンと組合せて投与される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数のアンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬は、サクビトリル/バルサルタンである。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数のカルシウムチャネル遮断薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、カルシウムチャネル遮断薬は、アムロジピン、ジルチアゼム、フェロジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、及びベラパミルから選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数の血管拡張薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、1又は複数の血管拡張薬は、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、及びミノキシジルから選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数の利尿薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、1又は複数の利尿薬は、アセタゾラミド、アミロリド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン、スピロノラクトン、及びトラセミドから選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数の筋弛緩薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、筋弛緩薬は、抗痙攣薬又は鎮痙薬である。この実施態様の別の局面において、1又は複数の筋弛緩薬は、カリソプロドール(casisoprodol)、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メタキサロン、メトカルバモール、オルフェナドリン、チザニジン、バクロフェン、ダントロレン、及びジアゼパムから選択される。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、1又は複数の抗ウイルス薬と組合せて投与される。この実施態様の一局面において、抗ウイルス薬は、レムデシビルである。
一実施態様において、TLR7/8インヒビターは、抗寄生虫薬(非限定的に、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、イベルメクチンを含む)、抗ウイルス薬(非限定的に、トラネキサム酸、ナファモスタット、ビラゾール[リバビリン]、ロピナビル/リトナビル、ファビピラビル、レロンリマブ、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、β-インターフェロンを含む)、細胞内活性のある抗生物質(非限定的に、アジトロマイシン、ニタゾキサニドを含む)、スタチン及び他の併用コレステロール低下薬及び抗炎症薬(非限定的に、ロバスタチンを含む)、特異的サイトカイン阻害薬(非限定的に、クラザキズマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、サリルマブ、トシリズマブ、アナキンラ、エマパルマブ、ピルフェニドンを含む)、補体阻害薬(非限定的に、ラブリズマブ-cwvz、エクリズマブを含む)、抗-VEGF治療(非限定的に、ベバシズマブを含む)、抗凝固薬(非限定的に、ヘパリン、エノキサパリン、アプレミラスト、クマジンを含む)、JAK阻害薬(非限定的に、バリシチニブ、ルキソリチニブ、ダパグリフロジンを含む)、抗-インフラマソーム療法(非限定的に、コルヒチンを含む)、スフィンゴシン-1リン酸受容体結合薬(非限定的に、フィンゴリモドを含む)、N-メチル-d-アスパラギン酸(NDMA)受容体グルタミン酸受容体拮抗薬(非限定的に、イフェンプロジルを含む)、コルチコステロイド(非限定的に、プレドニソン、コルチゾール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロンを含む)、GM-CSF、抗-GM-CSF(オチリマブ)、ATR-002、APN-01、メシル酸カモスタット、アルビドール、ブリラシジン、IFX-1、PAX-1-001、BXT-25、NP-120、免疫グロブリン静注(IVIG)、及びソルナチドから選択された1又は複数の追加の治療薬と組合せて投与される。
一部の実施態様において、TLRインヒビターの1又は複数の追加の治療薬との組合せは、TLRインヒビター又は追加の治療薬が単独で投与される場合に投与される有効量と比べ、同じ結果を達成するために投与されるTLRインヒビター及び/又は1もしくは複数の追加の治療薬の有効量(非限定的に、投薬容量、投薬濃度、及び/又は投与される薬物総量を含む)を減少する。一部の実施態様において、TLRインヒビターの追加の治療薬との組合せは、追加の治療薬単独の投与と比べ、全治療期間を短縮する。一部の実施態様において、TLRインヒビターの追加の治療薬との組合せは、追加の治療薬単独の投与に関連した副作用を軽減する。一部の実施態様において、TLRインヒビターの追加の治療薬との有効量の組合せは、TLRインヒビター又は追加の治療薬の単独の有効量と比べ、より効果的である。一実施態様において、TLRインヒビターの1又は複数の追加の治療薬との有効量の組合せは、いずれかの薬剤の単独の投与よりも、1又は複数の追加の臨床上の利点を生じる。
本明細書において使用される用語「治療」、「治療する」及び「治療している」は、本明細書に説明されたように、ウイルス感染又はその1もしくは複数の症状を逆行し、緩和し、その発病を遅延し、その進行を阻害することを指す。一部の実施態様において、治療は、1又は複数の症状が発症した後に投与される。他の実施態様においては、治療は、症状の非存在下で投与される。例えば、治療は、症状の発病前に、易罹患性の個体に投与される(例えば、感染者へのわかっている曝露を考慮し及び/又は重症疾患の予測因子である併存疾患、もしくは他の感受性因子を考慮し)。
例証
下記「実施例」において描かれたように、特定の例証的実施態様において、化合物は、以下の一般的手順に従い調製される。この一般的方法は、本発明の特定の化合物の合成を説明するが、以下の一般的方法及び当業者に公知の他の方法を、本明細書に記載されたように、全ての化合物並びにこれらの化合物の各々のサブクラス及び種物質に適用することができることは、理解されるであろう。
以下のプロセス、スキーム、及び実施例の説明において使用される記号及び慣例は、当代の科学文献、例えば、the Journal of the American Chemical Society又はthe Journal of Biological Chemistryなどにおいて使用されるものと一致している。
実施例1:cis-5-(3-アミノ-5-トリフルオロメチル-ピペリジン-1-イル)-キノリン-8-カルボニトリル(化合物1)の合成
Figure 2023526304000007
Cis-[1-(8-シアノ-キノリン-5-イル)-5-トリフルオロメチル-ピペリジン-3-イル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル:無水tert-ブタノール(15mL)中の、5-ブロモ-キノリン-8-カルボニトリル(500mg;2.15mmol)、cis-3-(boc-アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピペリジン(691mg;2.57mmol)、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-i-プロポキシ-1,1’-ビフェニル)[2-(2-アミノエチルフェニル)]パラジウム(II),メチル-t-ブチルエーテル付加物(88mg;0.11mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-i-プロポキシ-1,1’-ビフェニル(50mg;0.11mmol)及び炭酸セシウム(1.4g;4.3mmol)の混合物を、85℃で8hマイクロウェーブ処理した。この反応混合物を、減圧下で濃縮し、ヘキサン及び酢酸エチルで溶離する、クロマトグラフィーにより精製し、[1-(8-シアノ-キノリン-5-イル)-5-トリフルオロメチル-ピペリジン-3-イル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(731mg;80%)を、明黄色固形物として供した。 H NMR (400 MHz, CDCl) δ 9.09 (dd, J = 4.2, 1.7 Hz, 1H), 8.44 (dd, J = 8.6, 1.7 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.57 (ddd, J = 8.3, 6.2, 4.2 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.50 (s, 1H), 4.06 (s, 1H), 3.75 (dd, J = 11.8, 4.6 Hz, 1H), 3.65 - 3.55 (m, 1H), 2.89 (t, J = 11.3 Hz, 1H), 2.79 (dtq, J = 15.3, 7.5, 3.8 Hz, 1H), 2.56 - 2.39 (m, 2H), 1.54 - 1.33 (m, 10H); MS: m/z = 421 [M+H]
Cis-5-(3-アミノ-5-トリフルオロメチル-ピペリジン-1-イル)-キノリン-8-カルボニトリル:無水メタノール(17mL)中の、[1-(8-シアノ-キノリン-5-イル)-5-トリフルオロメチル-ピペリジン-3-イル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(720mg;1.71mmol)の溶液へ、ジオキサン中の4M塩酸(12.8mL;51.4mmol)の溶液を添加し、このオレンジ色の溶液を、室温で一晩撹拌した。エーテル(40mL)を、この反応混合物へ添加し、このオレンジ色溶液を、室温で20分間攪拌した。このオレンジ色懸濁液を濾過し、黄色固形物を、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させ、5-(3-アミノ-5-トリフルオロメチル-ピペリジン-1-イル)-キノリン-8-カルボニトリル塩酸塩(571mg;94%)を黄色固形物として供した。
化合物1H NMR (400 MHz, DO) δ 8.94 (dd, J = 4.6, 1.7 Hz, 1H), 8.66 (dd, J = 8.6, 1.8 Hz, 1H), 8.17 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.77 (dd, J = 8.8, 4.5 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.02 - 3.87 (m, 1H), 3.82 (dd, J = 11.5, 3.6 Hz, 1H), 3.71 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 3.17 (td, J = 8.0, 3.9 Hz, 1H), 3.05 (td, J = 11.4, 8.8 Hz, 2H), 2.64 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 1.81 (q, J = 12.2 Hz, 1H); MS: m/z = 321 [M+H]
実施例2:化合物1の異性体1(化合物2)(5-((3S,5R)-3-アミノ-5-トリフルオロメチル-ピペリジン-1-イル)-キノリン-8-カルボニトリル及び異性体2(化合物3)(5-((3R,5S)-3-アミノ-5-トリフルオロメチル-ピペリジン-1-イル)-キノリン-8-カルボニトリル)への分離
Figure 2023526304000008
表題化合物を、化合物1のキラルSFCクロマトグラフィーにより単離した。(カラム:2.1×25.0cm、Chiral Technologies(West Chester, PA)からのキラルパックAD-H;CO2共-溶媒(溶媒B):0.2%水酸化アンモニウムを含むメタノール;定組成法:20%共-溶媒を80g/分;システム圧力:100bar;カラム温度:25℃)。
化合物2H NMR (400 MHz, アセトン-d6) δ 8.60 (dd, J = 4.2, 1.7 Hz, 1H), 8.06 (dd, J = 8.6, 1.7 Hz, 1H), 7.78 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.24 (dd, J = 8.6, 4.2 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.07 (dt, J = 12.0, 2.3 Hz, 1H), 3.05 - 2.96 (m, 1H), 2.66 (tt, J = 11.2, 4.3 Hz, 1H), 2.57 (ddd, J = 15.5, 7.4, 3.4 Hz, 1H), 2.40 (t, J = 11.4 Hz, 1H), 2.04 - 1.97 (m, 1H), 1.78 - 1.67 (m, 1H), 1.29 (s, 2H), 0.80 (q, J = 12.1 Hz, 1H)。MS: m/z = 321 [M+H]
化合物3H NMR (400 MHz, アセトン-d6) δ 8.63 (dd, J = 4.2, 1.7 Hz, 1H), 8.12 (dd, J = 8.6, 1.7 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.12 (dd, J = 8.6, 4.2 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.09 (dt, J = 12.0, 2.3 Hz, 1H), 3.11 - 2.99 (m, 1H), 2.66 (tt, J = 11.2, 4.3 Hz, 1H), 2.58 (ddd, J = 15.5, 7.4, 3.4 Hz, 1H), 2.47 (t, J = 11.4 Hz, 1H), 2.07 - 1.79 (m, 1H), 1.75 - 1.67 (m, 1H), 1.23 (s, 2H), 0.84 (q, J = 12.1 Hz, 1H)。MS: m/z = 321 [M+H]
実施例3:(3R,5S)-1-(8-メトキシ-[1,7]ナフチリジン-5-イル)-5-メチル-ピペリジン-3-イルアミン(化合物4)の合成
Figure 2023526304000009
[(3R,5S)-1-(8-メトキシ-[1,7]ナフチリジン-5-イル)-5-メチル-ピペリジン-3-イル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル:マイクロウェーブバイアル中で、5-ブロモ-8-メトキシ-[1,7]ナフチリジン(0.58g;2.43mmol;1.0当量)、((3R,5S)-5-メチル-ピペリジン-3-イル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(0.62g;2.91mmol;1.20当量)、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-i-プロポキシ-1,1’-ビフェニル)[2-(2-アミノエチルフェニル)]パラジウム(ii),メチル-t-ブチルエーテル付加物(99mg;0.12mmol;0.05当量)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-i-プロポキシ-1,1’-ビフェニル(56mg;0.12mmol;0.05当量)及び炭酸セシウム(1.58g;4.85mmol;2.0当量)を、無水ジオキサン(11ml)中に溶解した。この反応物を、窒素下に配置し、マイクロウェーブ内で85℃で8時間加熱した。この反応物を、酢酸エチル/ヘキサン勾配によりシリカ上で精製し、表題化合物(578mg;1.55mmol;64.0%)を供した。MS: 373.5 [M+H]
(3R,5S)-1-(8-メトキシ-[1,7]ナフチリジン-5-イル)-5-メチル-ピペリジン-3-イルアミン:[(3R,5S)-1-(8-メトキシ-[1,7]ナフチリジン-5-イル)-5-メチル-ピペリジン-3-イル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(185.0mg;0.50mmol;1.0当量)を、反応バイアル内のジオキサン(2mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(4mL;2.48mmol;5.0当量)を添加し、この反応物を、4時間撹拌した。この混合物を、アセトニトリル/水(0.1%NHOHに変更)勾配の、分取HPLCにより精製し、表題化合物(114.0mg;0.42mmol;84.3%)を供した。MS: 273.4 [M+H]。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.94 (dd, J = 4.3, 2.1 Hz, 1H), 8.38 - 8.33 (m, 1H), 7.78 (dd, J = 8.8, 4.0 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 4.02 (d, J = 1.8 Hz, 3H), 3.27 - 3.18 (m, 1H), 3.10 (d, J = 11.4 Hz, 2H), 2.98 (s, 2H), 2.28 (t, J = 10.8 Hz, 2H), 1.94 (s, 2H), 0.91 (d, J = 6.3 Hz, 3H), 0.80 (q, J = 12.1 Hz, 1H)。
実施例4:医薬調製品
(A)液剤:ボトル中の100mg散剤の溶液を、2回蒸留水930mL中の、化合物3の100mg、ショ糖100g、クエン酸一水和物18.2g、及びクエン酸ナトリウム5.3gから調製した。このボトル中の散剤を、全ての溶質が溶解するまで、激しく攪拌又は振盪した。この液剤は、口又は経鼻胃チューブによる経口投与に適している。
(B)錠剤:25mgフィルムコート錠を、以下を含むように製造した:
Figure 2023526304000010
錠剤成分を、十分に混合し、標準技術を使用し圧縮した。錠剤形成後、この錠剤を、Opadry(登録商標)ZX321A220017イエロー5.0mgでコーティングした。これらの錠剤は、経口投与に適している。
実施例5:TLR7及びTLR8刺激
全血アッセイ:血液を、健常ドナーから、EDTAの入ったVacutainerチューブ(BD Biosciences)に採取し、2時間以内にアッセイを行った。4部の血液を、1部のPBSで希釈し、96-ウェルプレートへ、150μl/ウェルで分配した。化合物の希釈液を、3つ組で添加し、プレートを、5%CO下、37℃で30分間インキュベーションした。TLR7/8試験に関して、R848(レシキモッド)を1μMになるよう添加し、TLR7に関して、以下に示したTLR7選択的アゴニストを3μMになるよう添加し、並びにTLR8に関して、以下に示したTLR8選択的アゴニストを0.5μMになるように添加した。プレートを、5%CO下、37℃で一晩インキュベーションし、AlphaLISAにより血漿中のサイトカインを測定した。
ヒト全血を、複数の濃度の化合物3、化合物4、及びヒドロキシクロロキンにより処理し、その後TLR7及びTLR8-特異的小型分子アゴニストで刺激した。16時間後に血漿中のIL-6、TNF-α及びIFN-αを、測定した。
先の実験において使用したTLR7アゴニストは:
Figure 2023526304000011
であり、且つ使用したTLR8アゴニストは:
Figure 2023526304000012
であった。
化合物3及び4は、TLR-7アゴニスト、TLR-8アゴニスト、及びTLR7/8アゴニストR848(レシキモッド、公知のTLR7/8アゴニスト)でチャレンジしたマウスにおけるIFNα及びIL-6の産生を、投与量-依存的に減少した。図2A-D、及び図4A-4E参照。注目すべきは、化合物3に関するIL-6阻害は、低投与量(0.1mg/kg)で依然100%であり、ここで同じ濃度での対応するIFNα阻害は、一部のみであり、このことは、化合物3は、抗ウイルス反応を超える炎症性サイトカインのより強力な阻害を有することを指摘している。
実施例6:インビボ炎症反応
BXSB-Yaaモデル-雄のBXSB-Yaaマウスを、Jackson Labsから購入し、7~8週齢で、処置を開始した。マウスには、0.1Mクエン酸Na緩衝液pH3中に製剤化した化合物3を、強制経口投与により1日1回、投薬した。14週間の処置後、マウスを、CO窒息により安楽死させ、血液を大静脈を介して収集した。この血液の一部から、血漿を収集し、遺伝子発現解析のために、血液100μlを、動物血液保護チューブ(Qiagen)中に保存した。BXSB-Yaaマウスにおけるタンパク尿のモニタリングのために、連続する2日の午前中の膀胱マッサージにより、尿を収集し、試料をプールした。尿中のアルブミン及びクレアチニンのレベルを、Advia 1800臨床化学分析装置(Siemens)を用いて決定した。尿中アルブミン-対-クレアチニン比(UACR)を、尿1dl当たりのクレアチニン1g当たりのアルブミンmgの比として計算した。
これらの実験は、化合物3は、マウス狼瘡モデルにおいて疾患を軽減したことを示した。BXSB-Yaaマウスに、強制経口投与により化合物3を投薬した。生存を、経時的に追跡し(図3A)、並びに腎疾患を、タンパク尿を測定することによりアッセイし、且つ時間経過に従いプロットするか(図3B)、又は個体マウスのAUCを時間経過についてプロットした(図3C)。図3Dは、健常対照マウスと比較した、IFN遺伝子シグネチャースコアを計算するために、17種のIFN-調節された遺伝子のパネルにおいて実行された血液遺伝子発現解析を示している。タンパク尿の時間経過グラフは、平均±SEMを表し、全ての他のデータは、中央値としてグラフ化している。統計学的有意性は、タンパク尿についてクラスカル-ウォリスにより(*p<0.05)、及びIFNスコアについてANOVAにより(**p<0.01)決定した。
TLR7-駆動した自己免疫疾患を伴うマウス(BXSB-Yaa)の化合物3による処置は、生存の投与量-依存型の改善(図3A)、及びより低いタンパク尿により証明される腎疾患の軽減(図3B、3C)に繋がった。これらのマウスは、強力なI型IFN反応を示し、これは化合物3により阻害される(図3D)。I型IFN阻害は、高投与量でのみ認められるが、免疫病理は、10~100倍少ない投与量でも改善され、これは抗ウイルスI型IFNに勝るTLR7/8-誘導した炎症性サイトカインの優先的阻害と一致する。
結果:化合物3は、抗-ウイルス性サイトカイン(例えば、IFN-α)に勝って、SARS-Cov-2のようなssRNAウイルスにより誘導される炎症性サイトカイン(例えば、IL6、TNF-α)を、投与量-依存型に阻害する、強力で、選択的なTLR7/8インヒビターであり、これにより抗-ウイルス免疫に勝る免疫媒介した病理を軽減する可能性がある。この免疫療法戦略は、細菌による二次感染のリスクを増大し得る臨床試験において、より広範な免疫抑制薬(例えば、バリシチニブ、コルチコステロイド及びヒドロキシクロロキンのような汎JAK阻害薬)と比べ、実質的により標的化される。このデータは、初期のウイルス反応相(図1)後の化合物3の投与は、サイトカイン血症の抗体-依存型同化(elaboration)の第二相を防ぐ可能性がある一方で、初期のウイルス排除は損なわれずに維持されることを示す。
実施例7:臨床試験プロトコール
本試験の目的は、入院しているがまだ集中治療室には収容されていないCOVID-19肺炎患者において経口投与される化合物3の安全性及び有効性を評価することである。本試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照デザインの、14日間服用された化合物3の2種の投与量レベルの評価である。本試験デザイン及び参加者の安全性のモニタリングは、ファースト-イン-ヒト第I相単剤漸増投与量及び14日間多剤漸増投与量健常志願者試験、化合物3の非臨床評価、及びCOVID-19に関する他の抗炎症薬(例えば、トシリズマブ)の臨床試験から得られた化合物3のデータを基にしている。化合物3は、投与量-比例する薬物動態(PK)を明らかにし、~7から11時間の半減期を有し、且つ一般的なCYP450酵素ではなく、アルデヒドオキシダーゼにより主に代謝される。
化合物3は、ssRNA、特定のGU-リッチマイクロRNA、及び小型分子受容体アゴニストなどの様々なTLR7/8リガンドの活性を特異的に阻害することが示されている、小型分子の二重Toll様受容体(TLR)7及びTLR8の拮抗薬である。TLR7及びTLR8は、自然免疫機能を持つ細胞のエンドソームにおいて発現され、そこではssRNAウイルス(例えば、SARS-CoV-2)による活性化は、I型インターフェロン(IFN)及び炎症性サイトカイン(インターロイキン6[IL-6]、腫瘍壊死因子アルファ[TNFα]及びその他)の分泌、細胞の成熟、及び他の宿主免疫機序の活性化を刺激する(Liら;及び、Chowら)。
化合物3の2種の投与量レベルである100mgの1日2回及び50mgの1日2回が、プラセボに対して評価される。この投与量の選択は、第I相健常志願者試験からのPK及び薬力学のデータにより、並びに前臨床の狼瘡動物モデルにおいて有効であることが認められた投与量により導かれた。第I相試験において、化合物3は、IL-6、TNFα、及びIFNαを含む、エクスビボにおいて刺激したサイトカインの分泌を、曝露に依存した様式で抑制した。これらのデータを基に、100mgの1日2回を反映した予備モデル化及びシミュレーションは、エクスビボにおいて刺激されたIL-6産生を、健常志願者の87%において90%抑制し、並びに50mgの1日2回は、これを健常志願者の90%において50%抑制するであろう。急性呼吸器疾患症候群へと進行する一部のCOVID-19患者において観察される爆発的サイトカイン産生の抑制に必要とされるTLR7及びTLR8阻害の大きさは不明であり、並びに化合物3安全性プロファイルは、この患者集団において説明されていないので、進行性COVID-19肺炎を伴う参加者における50mgの1日2回の投与量の臨床的及び薬学的評価は、理にかなったものとして観察される。
ヒト2パートプラセボ対照試験における化合物3に関する利用可能なデータを得ることは、必要と見なされる。本試験は、本薬物の完全第II相臨床評価へ拡大する前に、少ない参加者での安全性の評価(パートA)に焦点を当てて開始される。試験参加者は、他のCOVID-19試験には同時に登録されてはならず、且つ他の免疫調節薬は、化合物3と共に使用されてはならない。本試験の参加者を一次管理する臨床医は、地域の治験実施者の許可の下で、地域で推奨される抗ウイルス療法にその参加者を配置してよい(試験実施前に施設で承諾される)。
患者のCOVID-19肺炎が臨床的に悪化している者を評価する基本的(principle)第II相試験のこの証明のためには、室内空気中、少なくとも24時間維持された末梢毛細血管酸素飽和度(SpO)≧94%までの時間が、主要評価項目であろう。この集団における今後の薬物評価により良い情報をもたらすために、本試験はまた、追加の臨床パラメータ(例えば、重度のインフルエンザに受けいれられたもの)を副次的エンドポイントとして測定する。具体的には、投与14日目の最後に、本試験は、1)患者は、活動に制限を伴わずに病院から退院されるかどうか、2)患者は、退院したが、活動に制限を有するかどうか、3)患者は依然入院しているが、酸素補給療法は必要でないかどうか、4)患者は、入院しており、且つマスク又は鼻カニューレによる酸素補給を必要とするかどうか、5)患者は、入院し、且つ非侵襲的換気又はFiO<0.50の高い酸素流を受けるかどうか、又は6)患者は、入院し、且つ人工呼吸器もしくはECMOを装着するかどうか、又は7)患者は、それらの疾患により死亡するかどうかを調べる。
参加基準:
1. インフォームドコンセントに署名する時点で、年齢が≧18から≦65歳。
2. 地域の許容ガイドラインを基に、SARS-CoV-2について、試験陽性。
3. COVID-19肺炎と一致する胸部画像の証拠資料。
4. 人工呼吸器(侵襲的又は非侵襲的)を装着せず。
5. 室内空気下でSpO<94%、並びに最大FiO 0.4でPaO/FiO≧150を有する。
6. 入院が必要。
7. ≧18.5~≦35.0kg/mの範囲内のボディマスインデックス(BMI)を有する。
化合物3の投与は、単剤療法、又は1もしくは複数の追加の治療薬と組合せて行われてよい。FDAは最近、レムデシビルに、COVID-19肺炎の治療に関する緊急事態使用許可(EUA)を与えた。顧問医師が、化合物3を、レムデシビルと同時投与される事を推奨する場合、この併用の有効性に関するデータが作製される。同様に化合物3は、ロピナビル/リトナビル及びインターフェロン1-βとの組合せで投与されてよいことも想定される。更に化合物3は、顧問医師がその併用を推奨する場合には、回復期血漿の輸血を受けている患者に同時投与されてよい。
この試験から収集されたデータは、どの投与量及び投与頻度が、COVID-19肺炎の成人に関する安全且つ有効な治療に適しているかを評価するであろう。
実施例8:化合物3及び4の抗ウイルス試験
Calu-3細胞を、2個の384ウェルプレート上に播種した。プレート1は、化合物と、ウイルスSARS-CoV2/ZG/297-20継代6の感染の多重度(MOI)0.05を含み、並びにプレート2は、化合物のみを含んだ。各ウェルに関して、15,000個のCalu-3細胞を、完全成長培地(EMEM、10%FCS、1%Pen/strep)中に、50μL/ウェルで播種した。これらの細胞を、37℃及び5%COで、48時間成長させた。この時点の後、両方のプレートの培地を、交換し、新鮮な培地を各ウェルに添加した。
プレート1において:それぞれの濃度の各化合物5μLを、2つ組で、特定されたウェルに1時間添加し、その後MOIが0.05のSARS-Cov-2により感染させた。各ウェルの最終容積は、化合物5μL、ウイルス(希釈し且つMOIが0.05となるよう量を調節した)5μL、及びEMEM完全培地40μLを含み、1ウェルにつき合計50μLであった。このプレートを、ウイルス添加後、2時間間隔で、Incucyte顕微鏡によりモニタリングし、全体の観察時間は120時間であった。
細胞の生存度は、Cell Glo試薬(Promega)により決定した;試薬50μLを、各ウェルに添加し、暗所においてRTで10分間インキュベーションし、その後ルミネセンスを、Biotekプレートリーダーにより測定した。
図5及び6は、Calu-3細胞の化合物3及び4による処理は、各々、60時間の時点までに、非感染細胞のコンフルエンスに類似した細胞コンフルエンスを提供することを、明らかに示している。
実施例9-化合物3投与のインビトロ効果
血液を、健常ドナーから採取し、PBMCを、勾配遠心分離を用いて分離した。PBMCを、96-ウェルプレートに分注し、M5049希釈液を、選択したウェルへ、3つ組で添加した。プレートを、37℃及び5%COで、30分間インキュベーションした。その後、RNAオリゴヌクレオチドを、刺激のために、濃度26μg/mlで、細胞へ添加した。処理したPBMCを、37℃及び5%COで、一晩インキュベーションし、並びに翌日、上清中のIFNα、TNFα及びIL-6を、AlphaLISAにより測定した。結果を、図7A-7Cに示している;M5049(化合物3)は、処理した細胞において、IFNα、TNFα及びIL-6の生成を有意に抑制した。
刺激に使用したRNAリガンドの配列は、以下である:Let-7a、UGA GGU AGU AGG UUG UAU AGU U;Let-7b、UGA GGU AGU AGG UUG UGU GGU U;Let-7c、UGA GGU AGU AGG UUG UAU GGU U;Let-7e、UGA GGU AGG AGG UUG UAU AGU U;Let-7f、UGA GGU AGU AGA UUG UAU AGU U;miR-122、UGG AGU GUG ACA AUG GUG UUU G;miR-223、CGU GUA UUU GAC AAG CUG AGU U;miR-21、UAG CUU AUC AGA CUG AUG UUG A;miR-574、UGA GUG UGU GUG UGU GAG UGU GU。
実施例10-化合物3投与のインビボ効果
健常な雌のC57BL/6マウスに、ビヒクル(0.1Mクエン酸Na、pH3.0)又は漸増投与量のM5049(0.1、1、10mg/kg)を、p.o.投与した。30分後、マウスに、インビボフェクトアミン(Life Technologies)と複合したmiR-122(Sigma)の2mg/kgを、単回i.v.注射により投与した。miRNA投薬の4時間後、マウスを安楽死させ、血漿中のサイトカイン分析のために、血液を収集し、並びに肺を、遺伝子発現解析のために採取した。血漿試料中のIFN-α及びIL-6を、Alphalisa(Perkin Elmer)により測定した。肺を、RLT緩衝液中で、OctoMacs及びMチューブ(Qiagen)を用いてホモジナイズし、RNAを、RNEasyミニキット(Qiagen)を用いて抽出した。遺伝子発現解析を、特別注文のNanoStringパネルを用いて、実行した。遺伝子シグネチャースコアを、ビヒクル単独に対する、Log2倍変化を算出し、次に各マウスに関するシグネチャースコアとして、そのシグネチャー上の全ての遺伝子に関するLog2倍変化の中央値を使用することにより、決定した。IFN遺伝子シグネチャーについて使用した遺伝子は、以下であった:OAS1、OAS2、OAS3、OASL、BST2、CMPK2、GBP5、HERC6、IFI44、IFIT1、IFIT2、IFIT3、IFIH1、CXCL10、ISG15、MX1、MX2、STAT1、TNFSF10、USP18、RSAD2、及びIRF7。NF-κB遺伝子シグネチャーについて使用した遺伝子は、以下であった:IL1RN、TNFAIP3、CSF1、IRF1、IL1B、IL6、NFKBIA、PTGS2、TAP1、及びTNF。リポソーム製剤miR-122で処置したマウスは、IFNα及びIL-6の血漿レベルの有意な増加を示し(対のあるスチューデントt検定)、これはM5049により、投与量-依存した様式で、有意に減少された(一元配置分散分析により決定し、IFNαの全ての濃度に関してP<0.0074、並びにIL-6に関して1mg/g M5049でP=0.0237、及びIL-6に関して10mg/kg M5049でP=0.0147)。図8A及び8B参照されたい。miR-122の投与は、IFN及びNFκB遺伝子シグネチャースコアの両方の増加に繋がり、このことは、局所的肺の炎症を指摘している。M5049は、1及び10mg/kgで、両方の遺伝子シグネチャースコアを有意に減少し(P<0.01、一元配置ANOVA)、このことは、M5049は、肺へ良く分布され、且つ肺の炎症を強力に軽減することを示している。図9A及び9Bを参照されたい。
本発明の多くの実施態様が、本明細書において説明されているが、その基本的実施例は、本発明の化合物及び方法を利用する他の実施態様を提供するために、変更されてよいことは明らかである。従って、本発明の範囲は、実施例により表されている具体的実施態様よりもむしろ、添付された請求項により限定されるべきであることは明らかであろう。

Claims (71)

  1. 治療を必要とする対象においてコロナウイルス感染症を治療する方法であって、TLR7/8インヒビター、又はその医薬として許容し得る塩の有効量を、対象へ投与することを含む、方法。
  2. 前記コロナウイルスが、SARS又はMERS感染症を引きおこす、請求項1記載の方法。
  3. 前記コロナウイルスが、SARS-CoV1又はSARS-CoV-2又はMERS-CoV感染症を引きおこす、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
  5. 前記TLR7/8インヒビターが:
    Figure 2023526304000013
    又はその医薬として許容し得る塩からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
  6. 前記TLR7/8インヒビターが:
    Figure 2023526304000014
    である、請求項1記載の方法。
  7. 前記対象が、SARS-CoV-2感染症に対する過剰炎症性宿主免疫反応に罹患している、請求項4~6のいずれか一項記載の方法。
  8. 前記対象が、COVID-19肺炎を有する、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
  9. 前記対象が、医療介入を必要とする中等度から重度のCOVID-19を有する、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
  10. 前記過剰炎症性宿主免疫反応が、1)末梢血中のリンパ球、特にナチュラルキラー(NK)細胞の低下したレベル;2)炎症パラメータ(例えば、C反応性タンパク質[CRP]、フェリチン、d-ダイマー)、及び炎症性サイトカイン(例えば、IL-6、TNFα、IL-8、及び/又はIL-1β)の高いレベル;3)リンパ球減少症、並びに/又はリンパ系器官のリンパ球減少を随伴する脾臓及びリンパ節の萎縮により明らかにされる、免疫系の悪化;4)血液の酸素化の減少を生じるリンパ球浸潤は最小であるが、単球、マクロファージ、及び/又は好中球により浸潤された肺病巣により表される、肺生理の機能障害;5)急性呼吸窮迫症候群(ARDS);6)血管炎、7)脳炎、ギランバレー症候群、及び他の神経学的障害、8)腎機能障害及び腎不全、並びに9)動脈血栓症などの、凝固性亢進、並びに10)又は、末端器管の損傷及び死滅を生じる先の任意の組合せ:から選択される、1又は複数の臨床的徴候に関連している、請求項7~9のいずれか一項記載の方法。
  11. 前記対象が、成人患者である、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
  12. 前記対象が、小児患者である、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
  13. 前記小児患者が、川崎病及び川崎病類縁疾患を含む、血管炎に罹患している、請求項12記載の方法。
  14. 前記TLR7/8インヒビターが、1日1又は2回投与される、請求項1~13のいずれか一項記載の方法。
  15. 前述の投与されるTLR7/8インヒビターの総量が、1日当たり約50mg~約300mgである、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
  16. 前記TLR7/8インヒビター50mgが、1日2回投与される、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
  17. 前記TLR7/8インヒビター100mgが、1日2回投与される、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
  18. 前記TLR7/8インヒビターが、約7日間~約21日間投与される、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
  19. 前記TLR7/8インヒビターが、約14日間投与される、請求項18記載の方法。
  20. 前記TLRインヒビター100mgが、それを必要とする対象へ、1日2回、14日間投与される、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
  21. 前記TLR7/8インヒビターが、経口投与される、請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
  22. 前記対象が、病院の設定で治療される入院患者である、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
  23. 前記対象が、それらのSARS-CoV-2感染症について外来患者治療を受けている、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
  24. 前記対象が、病院の設定での入院患者治療から退院した後、外来患者治療を受けている、請求項23記載の方法。
  25. 投与が、対象にとって1又は複数の臨床上の利点を生じる、請求項1~24のいずれか一項記載の方法。
  26. 前述の1又は複数の臨床上の利点が、病院滞在期間の短縮、集中治療室(ICU)滞在期間の短縮、ICUへ収容される対象の公算の低下、死亡率の低下、透析を必要とする腎不全の公算の低下、非侵襲的又は侵襲的人工呼吸器を装着する公算の低下、回復までの時間の短縮、酸素補給が必要となる公算の低下、機械的介入を伴わない末梢毛細血管酸素飽和度(SpOレベル)の改善又は正常化、胸部画像(例えば、CT又は胸部X線)により決定される肺炎の重症度の低下、サイトカイン産生の減少、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の重症度の低下、ARDS発症の公算の低下、COVID-19肺炎の臨床的消散、PaO/FiO比の改善、及び対象における炎症反応の軽減:を含む群から選択される、請求項25記載の方法。
  27. 前述の対象の炎症反応の軽減が、単独で、又はIFNα及び/もしくはIFNβを含むI型IFNなどのIRF3/7により駆動されるサイトカイン放出の阻害と組合せて、NFκB、IL-1b、IL-6、IL-8、IL-12、IL-18、IL-23、又はIL-27により駆動される、炎症性サイトカイン放出の減少を生じる、請求項26記載の方法。
  28. 前述の1又は複数の臨床上の利点が、人工呼吸器又は膜型人工肺を装着しない対象における末梢毛細血管酸素飽和度(SpOレベル)の改善又は正常化を含む、請求項26記載の方法。
  29. 前述の1又は複数の臨床上の利点が、入院の公算の低下、ICUへ収容される公算の低下、挿管される公算の低下(侵襲的人工呼吸器)、酸素補給が必要となる公算の低下、病院滞在の長さの短縮、死亡の公算の低下、再入院の公算を含む再発の公算の低下である、請求項26記載の方法。
  30. 更に1又は複数の追加の治療薬の投与を含む、請求項1~29のいずれか一項記載の方法。
  31. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、抗炎症薬、抗生物質、抗凝固薬、抗寄生虫薬、抗血小板薬及び抗血小板薬2剤併用療法、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、β-遮断薬、スタチン及び他の併用コレステロール低下薬、特異的サイトカイン阻害薬、補体阻害薬、抗-VEGF治療、JAK阻害薬、免疫調節物質、抗-インフラマソーム療法、スフィンゴシン-1リン酸受容体結合薬、N-メチル-d-アスパラギン酸(NDMA)受容体グルタミン酸受容体拮抗薬、コルチコステロイド、顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子(GM-CSF)、抗-GM-CSF、インターフェロン、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、利尿薬、筋弛緩薬、及び抗ウイルス薬から選択される、請求項30記載の方法。
  32. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、抗ウイルス薬である、請求項31記載の方法。
  33. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、レムデシビルである、請求項32記載の方法。
  34. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、ロピナビル-リトナビルである、請求項32記載の方法。
  35. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、更にリバビリン及びインターフェロン-βを含む、請求項34記載の方法。
  36. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、クロロキン又はヒドロキシクロロキンである、請求項31記載の方法。
  37. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、デキサメタゾンである、請求項31記載の方法。
  38. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、インターフェロン-β-1a(レビフ(登録商標))である、請求項31記載の方法。
  39. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、イベルメクチン、トラネキサム酸、ナファモスタット、ビラゾール、リバビリン、ロピナビル/リトナビル、ファビピラビル、レロンリマブ、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、β-インターフェロン、アジトロマイシン、ニタゾキサニド、ロバスタチン、クラザキズマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、サリルマブ、トシリズマブ、アナキンラ、エマパルマブ、ピルフェニドン、ベリムマブ、リツキシマブ、オクレリズマブ、アニフロルマブ、ラブリズマブ-cwvz、エクリズマブ、ベバシズマブ、ヘパリン、エノキサパリン、アプレミラスト、クマジン、バリシチニブ、ルキソリチニブ、ダパグリフロジン、メトトレキセート、レフルノミド、アザチオプリン、スルファサラジン、ミコフェノレート・モフェチル、コルヒチン、フィンゴリモド、イフェンプロジル、プレドニソン、コルチゾール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、メラトニン、オチリマブ、ATR-002、APN-01、アルビドール、メシル酸カモスタット、ブリラシジン、IFX-1、PAX-1-001、BXT-25、NP-120、免疫グロブリン静注(IVIG)、及びソルナチドから選択される、請求項30記載の方法。
  40. 前述のTLR7/8インヒビターの投与が、そのウイルス感染に対する対象の天然のインターフェロン反応と干渉することなく、過剰炎症性宿主免疫反応状態を選択的に軽減する、請求項1~39のいずれか一項記載の方法。
  41. 前記過剰炎症性宿主免疫反応状態が、対象が重度のサイトカインストームに罹患する前に、軽減される、請求項40記載の方法。
  42. 前述のTLR7/8インヒビターの投与が、対象におけるウイルス量の減少を生じる、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
  43. 前述のTLR7/8インヒビターの投与が、エンドソームのpHを上昇すること、細胞へ侵入するウイルスの能力を低下すること、及び/又は細胞受容体ACE2の末端糖鎖修飾と干渉することにより、ウイルス量を減少する、請求項42記載の方法。
  44. 前記TLR7/8インヒビターが、COVID-19肺炎の発症の前に投与される、請求項42又は43記載の方法。
  45. 前記TLR7/8インヒビターが、対象がサイトカインストームを発症する前に投与される、請求項42又は43記載の方法。
  46. 前記対象が、軽度から中等度のSARS-CoV-2感染症を有する、請求項42~45のいずれか一項記載の方法。
  47. 前記対象が、先にSARS-CoV-2ワクチンの接種を受け、且つ感染症のワクチン-関連した増悪、例えば、ワクチン/抗体-関連した増悪の抗体-依存型増強又は関連抗体-媒介型機序を発症している、請求項42~46のいずれか一項記載の方法。
  48. 前記対象が、この投与レジメンの開始時に無症状である、請求項44~46のいずれか一項記載の方法。
  49. 前記対象が、SARS-CoV-2感染症と診断された患者と接触したことが分かっている、請求項48記載の方法。
  50. 前記対象が、SARS-CoV-2感染症と正式に診断される前に、TLR7/8インヒビターの投与が開始される、請求項42~49のいずれか一項記載の方法。
  51. 前述のTLR7/8インヒビターの投与が、1又は複数の臨床上の利点を生じる、請求項42~50のいずれか一項記載の方法。
  52. 前述の1又は複数の臨床上の利点が、感染症の期間の短縮、入院の公算の低下、死亡の公算の低下、ICU収容の公算の低下、人工呼吸器を装着する公算の低下、酸素補給が必要となる公算の低下、及び/又は病院滞在の長さの短縮である、請求項51記載の方法。
  53. 前記対象が、外来治療を受けている、請求項42~52のいずれか一項記載の方法。
  54. 更に1又は複数の追加の治療薬の投与を含む、請求項42~53のいずれか一項記載の方法。
  55. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、抗炎症薬、抗生物質、抗凝固薬、抗寄生虫薬、抗血小板薬及び抗血小板薬2剤併用療法、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、β-遮断薬、スタチン及び他の併用コレステロール低下薬、特異的サイトカイン阻害薬、補体阻害薬、抗-VEGF治療、JAK阻害薬、免疫調節物質、抗-インフラマソーム療法、スフィンゴシン-1リン酸受容体結合薬、N-メチル-d-アスパラギン酸(NDMA)受容体グルタミン酸受容体拮抗薬、コルチコステロイド、顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子(GM-CSF)、抗-GM-CSF、インターフェロン、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、利尿薬、筋弛緩薬、及び抗ウイルス薬から選択される、請求項54記載の方法。
  56. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、抗ウイルス薬である、請求項55記載の方法。
  57. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、レムデシビルである、請求項56記載の方法。
  58. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、ロピナビル-リトナビルである、請求項56記載の方法。
  59. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、更にリバビリン及びインターフェロン-βを含む、請求項58記載の方法。
  60. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、クロロキン又はヒドロキシクロロキンである、請求項54記載の方法。
  61. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、デキサメタゾンである、請求項55記載の方法。
  62. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、インターフェロン-1-β(レビフ(登録商標))である、請求項55記載の方法。
  63. 前述の1又は複数の追加の治療薬が、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、イベルメクチン、トラネキサム酸、ナファモスタット、ビラゾール[リバビリン]、ロピナビル/リトナビル、ファビピラビル、レロンリマブ、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、β-インターフェロン、アジトロマイシン、ニタゾキサニド、ロバスタチン、クラザキズマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、サリルマブ、トシリズマブ、アナキンラ、エマパルマブ、ピルフェニドン、ラブリズマブ-cwvz、エクリズマブ、ベバシズマブ、ヘパリン、エノキサパリン、アプレミラスト、クマジン、バリシチニブ、ルキソリチニブ、ダパグリフロジン、コルヒチン、フィンゴリモド、イフェンプロジル、プレドニソン、コルチゾール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、GM-CSF、オチリマブ、ATR-002、APN-01、メシル酸カモスタット、アルビドール、ブリラシジン、IFX-1、PAX-1-001、BXT-25、NP-120、免疫グロブリン静注(IVIG)、及びソルナチドから選択される、請求項54記載の方法。
  64. 前記TLR7/8インヒビターが、1日1又は2回投与される、請求項42~63のいずれか一項記載の方法。
  65. 投与されるTLR7/8インヒビターの総量が、1日当たり約50mg~約300mgである、請求項64記載の方法。
  66. 前記TLR7/8インヒビター50mgが、1日2回投与される、請求項65記載の方法。
  67. 前記TLR7/8インヒビター100mgが、1日2回投与される、請求項65記載の方法。
  68. 前記TLR7/8インヒビターが、約7日間~約21日間投与される、請求項64~67のいずれか一項記載の方法。
  69. 前記TLR7/8インヒビターが、約14日間投与される、請求項68記載の方法。
  70. 前記TLRインヒビター100mgが、それを必要とする対象へ、1日2回、14日間投与される、請求項67記載の方法。
  71. 前記TLR7/8インヒビターが、経口投与される、請求項64~70のいずれか一項記載の方法。
JP2022569248A 2020-05-14 2021-05-14 コロナウイルス感染症治療のためのtlr7/8拮抗薬 Pending JP2023526304A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202063024683P 2020-05-14 2020-05-14
US63/024,683 2020-05-14
US202063040643P 2020-06-18 2020-06-18
US63/040,643 2020-06-18
PCT/US2021/032573 WO2021231941A1 (en) 2020-05-14 2021-05-14 Tlr7/8 antagonists for the treatment of coronavirus infections

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023526304A true JP2023526304A (ja) 2023-06-21

Family

ID=76375634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022569248A Pending JP2023526304A (ja) 2020-05-14 2021-05-14 コロナウイルス感染症治療のためのtlr7/8拮抗薬

Country Status (9)

Country Link
US (1) US20240024308A1 (ja)
EP (1) EP4149463A1 (ja)
JP (1) JP2023526304A (ja)
CN (1) CN116018139A (ja)
AU (1) AU2021271862A1 (ja)
CA (1) CA3177685A1 (ja)
IL (1) IL298124A (ja)
TW (1) TW202200139A (ja)
WO (1) WO2021231941A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022170396A1 (en) * 2021-02-12 2022-08-18 ViraLok Therapeutics Pty Ltd Agents and methods for therapy and prophylaxis
JP2024513945A (ja) 2021-04-16 2024-03-27 ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド チオノピロール化合物

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2938280C (en) * 2014-04-22 2022-07-12 F. Hoffmann-La Roche Ag 4-amino-imidazoquinoline compounds
NZ742476A (en) * 2015-12-17 2022-09-30 Merck Patent Gmbh Polycyclic tlr7/8 antagonists and use thereof in the treatment of immune disorders
KR20210040085A (ko) * 2018-07-31 2021-04-12 메르크 파텐트 게엠베하 Tlr7/8 안타고니스트 및 이의 용도

Also Published As

Publication number Publication date
AU2021271862A1 (en) 2022-12-08
TW202200139A (zh) 2022-01-01
WO2021231941A1 (en) 2021-11-18
EP4149463A1 (en) 2023-03-22
CN116018139A (zh) 2023-04-25
IL298124A (en) 2023-01-01
US20240024308A1 (en) 2024-01-25
CA3177685A1 (en) 2021-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2018527366A (ja) HIVを処置するためのtoll様レセプターのモジュレーター
JP2023526304A (ja) コロナウイルス感染症治療のためのtlr7/8拮抗薬
TWI791212B (zh) 維多氟地莫司(Vidofludimus)用於治療或預防病毒性疾病
CA2995004A1 (en) Deuterated toll-like receptor modulators
RU2722641C2 (ru) Ценикривирок для лечения заболеваний печени и перитонита
WO2021195521A1 (en) Methods of treating coronavirus infections
CN115697342A (zh) 用于治疗病毒感染的化合物
KR20220150348A (ko) 코로나바이러스의 치료에 조합하여 사용하기 위한 pld
US20210205325A1 (en) Methods of treating a subject having an infectious disease
US20230226041A1 (en) Compounds for the treatment of viral infections
WO2022058323A1 (en) Compounds for the treatment of viral infections
JP2021505559A (ja) 組合せ製品を用いるrsvの処置
US20230263812A1 (en) Compositions and Methods for Treating COVID-19 and/or Acute Respiratory Failure and/or Acute Respiratory Distress Syndrome Using Tetrahydrocannabinol and Compositions Including Same
US20230301991A1 (en) Compounds for the treatment of viral infections
CN116507335A (zh) 用于治疗病毒感染的atr抑制剂
CN116600797A (zh) 用于治疗急性呼吸衰竭和/或急性呼吸窘迫综合征的包含四氢大麻酚的组合物
MX2012005551A (es) Tratamiento de infecciones microbianas.
De Soto et al. Complementary Pharmacological Treatment and Therapeutic Prospects for COVID-19
WO2024100139A1 (en) Use of ifn-i activity as a biomarker for tlr inhibitor treatment
WO2023070058A1 (en) Treatment of viruses with antiviral nucleosides
KR20230097100A (ko) 테트라하이드로칸나비놀 및 이를 포함하는 조성물을 사용한 급성 호흡 부전 및/또는 급성 호흡 곤란 증후군을 치료하기 위한 조성물 및 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230120

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240426