JP2023524312A - 線維化疾患及び炎症性疾患の予防及び治療のための組成物及び方法 - Google Patents
線維化疾患及び炎症性疾患の予防及び治療のための組成物及び方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2023524312A JP2023524312A JP2022567903A JP2022567903A JP2023524312A JP 2023524312 A JP2023524312 A JP 2023524312A JP 2022567903 A JP2022567903 A JP 2022567903A JP 2022567903 A JP2022567903 A JP 2022567903A JP 2023524312 A JP2023524312 A JP 2023524312A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fibrosis
- lung
- disease
- use according
- inflammation
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/33—Heterocyclic compounds
- A61K31/335—Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin
- A61K31/35—Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin having six-membered rings with one oxygen as the only ring hetero atom
- A61K31/352—Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin having six-membered rings with one oxygen as the only ring hetero atom condensed with carbocyclic rings, e.g. methantheline
- A61K31/353—3,4-Dihydrobenzopyrans, e.g. chroman, catechin
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/33—Heterocyclic compounds
- A61K31/335—Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin
- A61K31/35—Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin having six-membered rings with one oxygen as the only ring hetero atom
- A61K31/352—Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin having six-membered rings with one oxygen as the only ring hetero atom condensed with carbocyclic rings, e.g. methantheline
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K9/00—Medicinal preparations characterised by special physical form
- A61K9/0012—Galenical forms characterised by the site of application
- A61K9/007—Pulmonary tract; Aromatherapy
- A61K9/0073—Sprays or powders for inhalation; Aerolised or nebulised preparations generated by other means than thermal energy
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K9/00—Medicinal preparations characterised by special physical form
- A61K9/0012—Galenical forms characterised by the site of application
- A61K9/007—Pulmonary tract; Aromatherapy
- A61K9/0073—Sprays or powders for inhalation; Aerolised or nebulised preparations generated by other means than thermal energy
- A61K9/0078—Sprays or powders for inhalation; Aerolised or nebulised preparations generated by other means than thermal energy for inhalation via a nebulizer such as a jet nebulizer, ultrasonic nebulizer, e.g. in the form of aqueous drug solutions or dispersions
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K9/00—Medicinal preparations characterised by special physical form
- A61K9/08—Solutions
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P11/00—Drugs for disorders of the respiratory system
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P13/00—Drugs for disorders of the urinary system
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P17/00—Drugs for dermatological disorders
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P17/00—Drugs for dermatological disorders
- A61P17/02—Drugs for dermatological disorders for treating wounds, ulcers, burns, scars, keloids, or the like
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P29/00—Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/04—Antibacterial agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P37/00—Drugs for immunological or allergic disorders
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P43/00—Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P9/00—Drugs for disorders of the cardiovascular system
Abstract
本発明は、それが必要な動物にある化合物を投与することによる、線維化又は炎症性の疾患の予防及び/又は治療に関する。特に、ピノセンブリン(5,7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-4H-クロメン-4-オン)等の天然植物材料から抽出されるフラボノン類は、線維化又は炎症性の成分がある気道状態に有用であることが見出されている。
Description
本発明は、一般にヒト及び獣医学の分野に関する。特に、本発明は、動物に化合物を投与することによる、線維化又は炎症性の状態の予防及び/又は治療に関する。
線維症は組織損傷に対する創傷治癒反応の結果として生じうる病理学的結果である。いくつかの例では、線維症は未知のメカニズムによって引き起こされ、そのような場合は通常、特発性線維症として公知である。その代表例は特発性肺線維症(IPF)である。もちろん、特発性線維症が、未検出の組織損傷とその後の創傷治癒反応に起因する場合もある。
創傷治癒は、損傷、炎症、修復という連続した段階を含むことが公知である。身体の完全性と適当な機能を維持するために創傷治癒が必要なのは明らかであるが、線維化瘢痕組織の形成は健康に深刻な影響を及ぼす場合がある。IPFの場合、肺機能の劇的な低下がしばしば見られ、多くの場合、患者の死亡につながる。
創傷治癒の引き金となる損傷は、身体的外傷、自己免疫反応、感染(細菌性、ウイルス性、その他)、異物への暴露のうちの1つ以上によって引き起こされる場合がある。損傷した組織が内皮細胞で構成されている場合、炎症のメディエーターが放出され、それが凝固経路を調節してフィブリンの凝固塊を形成し、出血を防ぐ。IPFでは、肺組織で血小板分化因子とXボックス結合タンパク質のレベルが上昇することが指摘されており、凝固経路が絶えず活性化されていることがわかる。
また、IPF患者や他の肺線維症患者の肺からは、トロンビンが検出される。トロンビンは、フィブリン血栓の形成につながる凝固経路に関与し、また線維芽細胞の増殖や筋線維芽細胞への分化を誘発する。
創傷治癒の引き金となる損傷は、身体的外傷、自己免疫反応、感染(細菌性、ウイルス性、その他)、異物への暴露のうちの1つ以上によって引き起こされる場合がある。損傷した組織が内皮細胞で構成されている場合、炎症のメディエーターが放出され、それが凝固経路を調節してフィブリンの凝固塊を形成し、出血を防ぐ。IPFでは、肺組織で血小板分化因子とXボックス結合タンパク質のレベルが上昇することが指摘されており、凝固経路が絶えず活性化されていることがわかる。
また、IPF患者や他の肺線維症患者の肺からは、トロンビンが検出される。トロンビンは、フィブリン血栓の形成につながる凝固経路に関与し、また線維芽細胞の増殖や筋線維芽細胞への分化を誘発する。
肺上皮の損傷は、フィブリン形成の同様の引き金となり、間質性浮腫、局所性急性炎症、基底膜からの上皮細胞の剥離にもつながる。
マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、炎症細胞の損傷領域への出入りを調節し、MMP阻害薬がその過程を調節する。MMPとその阻害薬のバランスが炎症を調節し、治癒反応の間に沈着するコラーゲンの正味量を決定する。
炎症期は、ケモカインがリンパ球、好中球、好酸球、マクロファージを引きつけるところから始まる。炎症反応の後期に動員された食作用性マクロファージが線維芽細胞のクリアランスを補助することで、正常な治癒が促進され、病的な線維化が防御されると考えられている。
創傷治癒の修復段階では、フィブリンに富む足場が形成され、その後に創傷の収縮、閉鎖、再上皮化が起こる。いわゆる肉芽組織は、フィブロネクチン、平滑筋アクチン、コラーゲンとフィブリン足場の結合によって形成される。IPF患者から得られた線維芽細胞と肺胞マクロファージは、平滑筋アクチンとフィブロネクチンのレベルの上昇を示し、異常に高いレベルの線維芽細胞活性化を示唆する。
炎症細胞(特に筋線維芽細胞)の枯渇は、コラーゲン沈着を止める上で重要である。IPF患者では、おそらくアポトーシスのシグナルに対する抵抗性のために、線維芽細胞の枯渇が遅延する場合がある。アポトーシスに対する抵抗性が線維化疾患の発症機序であることが提唱されているが、いくつかの研究では、IPFにおけるコラーゲン分泌線維芽細胞及び上皮細胞のアポトーシス率の上昇が示されており、他の因子が関与することが示唆されている。
広義の線維化とは、正常または異常な創傷治癒反応によって形成された、体内の過剰量の結合組織の発生をいう。最終的には瘢痕組織が形成され、IPF等の健康にとって有益(例えば、傷口の閉鎖)にも有害にもなり得る瘢痕組織が形成されるほか、嚢胞性線維症、心筋線維症、ペイロニー病、強皮症等の線維症に関連した状態になることもある。
マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、炎症細胞の損傷領域への出入りを調節し、MMP阻害薬がその過程を調節する。MMPとその阻害薬のバランスが炎症を調節し、治癒反応の間に沈着するコラーゲンの正味量を決定する。
炎症期は、ケモカインがリンパ球、好中球、好酸球、マクロファージを引きつけるところから始まる。炎症反応の後期に動員された食作用性マクロファージが線維芽細胞のクリアランスを補助することで、正常な治癒が促進され、病的な線維化が防御されると考えられている。
創傷治癒の修復段階では、フィブリンに富む足場が形成され、その後に創傷の収縮、閉鎖、再上皮化が起こる。いわゆる肉芽組織は、フィブロネクチン、平滑筋アクチン、コラーゲンとフィブリン足場の結合によって形成される。IPF患者から得られた線維芽細胞と肺胞マクロファージは、平滑筋アクチンとフィブロネクチンのレベルの上昇を示し、異常に高いレベルの線維芽細胞活性化を示唆する。
炎症細胞(特に筋線維芽細胞)の枯渇は、コラーゲン沈着を止める上で重要である。IPF患者では、おそらくアポトーシスのシグナルに対する抵抗性のために、線維芽細胞の枯渇が遅延する場合がある。アポトーシスに対する抵抗性が線維化疾患の発症機序であることが提唱されているが、いくつかの研究では、IPFにおけるコラーゲン分泌線維芽細胞及び上皮細胞のアポトーシス率の上昇が示されており、他の因子が関与することが示唆されている。
広義の線維化とは、正常または異常な創傷治癒反応によって形成された、体内の過剰量の結合組織の発生をいう。最終的には瘢痕組織が形成され、IPF等の健康にとって有益(例えば、傷口の閉鎖)にも有害にもなり得る瘢痕組織が形成されるほか、嚢胞性線維症、心筋線維症、ペイロニー病、強皮症等の線維症に関連した状態になることもある。
先行技術は、線維化症状に対する多数の治療法を提供するが、それぞれ1つ以上の欠点を呈する。例えば、肺移植はIPF患者の選択肢であるが、ドナー臓器の不足と免疫抑制の必要性により、その治療方法は大幅に制限される。ニンテンダニブ(Ofev(商標)、ベーリンガーインゲルハイム)等の医薬化合物は、呼吸パラメータを改善することで生活の質を改善できるが、生存率は改善されない。他の例では、ペルフェニドン(Esbriet(商標)、ジェネテック)は無増悪生存期間を改善することがわかっているが、この薬は皮膚、消化管、肝臓、神経系に様々な副作用を誘発する。
SARS-CoV-2が大流行した今、肺線維症を治療するための改善策や代替策の模索は特に急務である。上記のように、感染は損傷を誘発し、その結果、影響を受けた組織や臓器の線維化が発生する場合がある。ある研究では、COVID-19患者の17%では、胸部CTスキャンによって線維化の縞模様が呈されたと報告され、線維化病変は肺の慢性炎症や増殖性疾患が治癒する過程で形成され、感染した肺組織の細胞成分は瘢痕組織によって徐々に置換されると提唱されている。このように、SARS-CoV-2感染を肺から除去する有効な治療法が開発されても、肺線維化という慢性的な健康問題は残る場合がある。
炎症は線維化の構成要素である場合がある一方で、それ自体が、肺の炎症、皮膚の炎症、消化管の炎症、自己免疫疾患、泌尿器系疾患、サルコイドーシス、移植拒絶反応、血管炎、アテローム性動脈硬化症、骨盤内炎症性疾患、リウマチ熱、耳炎等の様々な病態を誘発する場合のある過程である。先行技術は、副腎皮質ステロイド、デキサメタゾン、生物学的製剤(抗体療法等)等の様々な医薬物質の使用を教示するが、各々望ましくない副作用を示す。
炎症は線維化の構成要素である場合がある一方で、それ自体が、肺の炎症、皮膚の炎症、消化管の炎症、自己免疫疾患、泌尿器系疾患、サルコイドーシス、移植拒絶反応、血管炎、アテローム性動脈硬化症、骨盤内炎症性疾患、リウマチ熱、耳炎等の様々な病態を誘発する場合のある過程である。先行技術は、副腎皮質ステロイド、デキサメタゾン、生物学的製剤(抗体療法等)等の様々な医薬物質の使用を教示するが、各々望ましくない副作用を示す。
本発明の一態様は、線維化又は炎症性の状態、特に肺組織に関与する状態の予防及び治療のための組成物及び方法の改善を提供することである。本発明のさらなる態様は、線維化関連又は炎症性関連の状態、特に肺組織に関与する状態の予防及び治療のための従来技術の方法及び組成物に代わる有用な代替物を提供することである。
文書、行為、材料、装置、物品等による議論は、本発明の文脈を提供する目的のみで、本明細書に含まれる。これらの事項のいずれか又はすべてが先行技術の基礎の一部を形成していたこと、又は本出願の各クレームの優先日以前に存在していた本発明に関連する分野における一般的な知識であったことは示唆も表明もされるものではない。
第一の態様では、必ずしも最も広い態様ではないが、本発明は、線維化症状又は炎症性症状の治療及び/又は予防のための方法を提供し、その方法は、有効量のフラボノイドをそれが必要な動物に投与することを含む。
第一の態様の一実施形態では、線維化症状は少なくとも部分的には創傷治癒反応によって引き起こされる。
第一の態様の一実施形態では、創傷治癒反応は上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む組織で起こる。
第一の態様の一実施形態では、線維化症状が、肺線維症(特発性肺線維症、感染症誘発性肺線維症、放射線誘発性肺線維症、進行性巨大線維症、嚢胞性線維症を含む)、膵線維症(嚢胞性線維症を含む)、後腹膜線維症、動脈線維症(動脈硬化を含む)、腸線維症(クローン病を含む)、関節線維症(膝関節、肩関節、その他の関節のアテローム線維症、癒着性被膜炎を含む)、手指線維症(デュピュイトラン拘縮を含む)、皮膚線維症(ケロイド、腎性全身性線維症、強皮症を含む)、陰茎(ペイロニー病を含む)、リンパ節線維症(縦隔線維症を含む)及び心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)からなる群から選択される。
第一の態様の一実施形態では、線維症の状態は肺線維症であり、炎症の状態は肺の炎症である。
第一の態様の一実施形態では、フラボノイドはフラバノンである。
第一の態様の一実施形態では、線維化症状は少なくとも部分的には創傷治癒反応によって引き起こされる。
第一の態様の一実施形態では、創傷治癒反応は上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む組織で起こる。
第一の態様の一実施形態では、線維化症状が、肺線維症(特発性肺線維症、感染症誘発性肺線維症、放射線誘発性肺線維症、進行性巨大線維症、嚢胞性線維症を含む)、膵線維症(嚢胞性線維症を含む)、後腹膜線維症、動脈線維症(動脈硬化を含む)、腸線維症(クローン病を含む)、関節線維症(膝関節、肩関節、その他の関節のアテローム線維症、癒着性被膜炎を含む)、手指線維症(デュピュイトラン拘縮を含む)、皮膚線維症(ケロイド、腎性全身性線維症、強皮症を含む)、陰茎(ペイロニー病を含む)、リンパ節線維症(縦隔線維症を含む)及び心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)からなる群から選択される。
第一の態様の一実施形態では、線維症の状態は肺線維症であり、炎症の状態は肺の炎症である。
第一の態様の一実施形態では、フラボノイドはフラバノンである。
第一の態様の一実施形態では、フラバノンには、以下の式1:
H、
OH、
O-、
O-CH3、
グルコシド(ラムノシドグルコシドを含む)、又は
その他の有機官能基である)
で表される化学構造がある。
第一の態様の一実施形態では、R2’、R3、R3’、R4’、R5、R6、R7は、以下の:
第一の態様の一実施形態では、フラバノンがジヒドロキシフラバノン及び/又は(2S)-フラバン-4-オン、又はその機能的誘導体である。
第一の態様の一実施形態では、フラバノンが(2S)-5、7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2、3-ジヒドロクロメン-4-オン、又はその機能的誘導体である。
第一の態様の一実施形態では、フラバノンが(2S)-5、7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2、3-ジヒドロクロメン-4-オン、又はその機能的誘導体である。
第一の態様の一実施形態では、フラボノイドは、植物細胞内で天然に合成されるが、この方法で用いるために必ずしも植物細胞から得られるとは限らない。
第一の態様の一実施形態では、肺疾患のヒツジモデルにフラボノイドを用いることにより、肺機能のいずれか1つ以上のモード、肺洗浄液中の好中球及び/又は炎症細胞の存在、組織学的に評価された炎症及び/又は線維症を改善させる。
第一の態様の一実施形態では、肺疾患のヒツジモデルはブレオマイシン誘発肺損傷に依存する。
第一の態様の一実施形態では、フラボノイドは線維症があるか、潜在的に線維症があるか、又は将来線維症を有すると予測される、組織に直接送達される。
第一の態様の一実施形態では、フラボノイドを直接肺に送達させる。
第一の態様の一実施形態では、フラボノイドは、ネブライザーにより送達可能な、吸入可能な粉末若しくは溶液、又は気管支鏡の生検ポートにより送達可能な溶液として製剤化される。
第一の態様の一実施形態では、肺疾患のヒツジモデルにフラボノイドを用いることにより、肺機能のいずれか1つ以上のモード、肺洗浄液中の好中球及び/又は炎症細胞の存在、組織学的に評価された炎症及び/又は線維症を改善させる。
第一の態様の一実施形態では、肺疾患のヒツジモデルはブレオマイシン誘発肺損傷に依存する。
第一の態様の一実施形態では、フラボノイドは線維症があるか、潜在的に線維症があるか、又は将来線維症を有すると予測される、組織に直接送達される。
第一の態様の一実施形態では、フラボノイドを直接肺に送達させる。
第一の態様の一実施形態では、フラボノイドは、ネブライザーにより送達可能な、吸入可能な粉末若しくは溶液、又は気管支鏡の生検ポートにより送達可能な溶液として製剤化される。
第二の態様では、本発明は、線維化症状又は炎症性症状の治療及び/又は予防のためのフラボノイドの使用を提供する。
第二の態様の一実施形態では、線維化症状及び/又は炎症性症状の少なくとも部分は創傷治癒反応又はアレルゲンを含む環境因子への曝露により誘発される。
第二の態様の一実施形態では、創傷治癒反応又は環境因子への曝露は、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む組織で生じる。
第二の態様の一実施形態では、線維化症状が、肺線維症(特発性肺線維症、感染症誘発性肺線維症、放射線誘発性肺線維症、進行性巨大線維症、嚢胞性線維症を含む)、膵線維症(嚢胞性線維症を含む)、後腹膜線維症、動脈線維症(動脈硬化を含む)、腸線維症(クローン病を含む)、関節線維症(膝関節、肩関節、その他の関節のアテローム線維症、癒着性被膜炎を含む)、手指線維症(デュピュイトラン拘縮を含む)、皮膚線維症(ケロイド、腎性全身性線維症、強皮症を含む)、陰茎(ペイロニー病を含む)、リンパ節線維症(縦隔線維症を含む)及び心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)からなる群から選択され、かつ、炎症性症状が、肺の炎症(COPD、喘息、鼻炎、気管支炎を含む)、皮膚の炎症(にきびおよび強皮症を含む)、消化管の炎症(セリアック病、クローン病、大腸炎、憩室炎を含む)、泌尿器系疾患(糸球体腎炎、膀胱炎、前立腺炎を含む)、自己免疫疾患(SLEを含む)、サルコイドーシス、移植拒絶反応、血管炎、動脈硬化、骨盤内炎症性疾患、リウマチ熱、耳炎からなる群から選択される。
第二の態様の一実施形態では、線維化症状が肺線維症であり、炎症性症状が肺の炎症である。
第二の態様の一実施形態では、フラボノイドはフラバノンである。
第二の態様の一実施形態では、線維化症状及び/又は炎症性症状の少なくとも部分は創傷治癒反応又はアレルゲンを含む環境因子への曝露により誘発される。
第二の態様の一実施形態では、創傷治癒反応又は環境因子への曝露は、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む組織で生じる。
第二の態様の一実施形態では、線維化症状が、肺線維症(特発性肺線維症、感染症誘発性肺線維症、放射線誘発性肺線維症、進行性巨大線維症、嚢胞性線維症を含む)、膵線維症(嚢胞性線維症を含む)、後腹膜線維症、動脈線維症(動脈硬化を含む)、腸線維症(クローン病を含む)、関節線維症(膝関節、肩関節、その他の関節のアテローム線維症、癒着性被膜炎を含む)、手指線維症(デュピュイトラン拘縮を含む)、皮膚線維症(ケロイド、腎性全身性線維症、強皮症を含む)、陰茎(ペイロニー病を含む)、リンパ節線維症(縦隔線維症を含む)及び心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)からなる群から選択され、かつ、炎症性症状が、肺の炎症(COPD、喘息、鼻炎、気管支炎を含む)、皮膚の炎症(にきびおよび強皮症を含む)、消化管の炎症(セリアック病、クローン病、大腸炎、憩室炎を含む)、泌尿器系疾患(糸球体腎炎、膀胱炎、前立腺炎を含む)、自己免疫疾患(SLEを含む)、サルコイドーシス、移植拒絶反応、血管炎、動脈硬化、骨盤内炎症性疾患、リウマチ熱、耳炎からなる群から選択される。
第二の態様の一実施形態では、線維化症状が肺線維症であり、炎症性症状が肺の炎症である。
第二の態様の一実施形態では、フラボノイドはフラバノンである。
第二の態様の一実施形態では、フラバノンには、以下の式1:
H、
OH、
O-、
O-CH3、
グルコシド(ラムノシドグルコシドを含む)、又は
その他の有機官能基である)
で表される化学構造がある。
第二の態様の一実施形態では、R2’、R3、R3’、R4’、R5、R6、R7は、以下の:
b;Rh-Gl=ラムノシドグルコシドである)で表される。
第二の態様の一実施形態では、フラバノンがジヒドロキシフラバノン及び/又は(2S)-フラバン-4-オン、又はその機能的誘導体である。
第二の態様の一実施形態では、フラバノンが(2S)-5、7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2、3-ジヒドロクロメン-4-オン、又はその機能的誘導体である。
第二の態様の一実施形態では、フラボノイドは、植物細胞内で天然に合成されるが、この方法で用いるために必ずしも植物細胞から得られるとは限らない。一実施形態では、フラボノイドはラセミ体であり、その場合は発酵プロセスから得られる。
第二の態様の一実施形態では、肺疾患のヒツジモデルにフラボノイドを用いることにより、肺機能のいずれか1つ以上のモード、肺洗浄液中の好中球及び/又は炎症細胞の存在、組織学的に評価された炎症及び/又は線維症を改善させる。
第二の態様の一実施形態では、肺疾患のヒツジモデルはブレオマイシン誘発肺損傷に依存する。
第二の態様の一実施形態では、フラボノイドは線維症及び/又は炎症があるか、潜在的に線維症及び/又は炎症があるか、又は将来線維症及び/又は炎症を有すると予測される、組織に直接送達される。
第二の態様の一実施形態では、フラボノイドは肺及び/又は気道に直接送達される。
第二の態様の一実施形態では、ネブライザーにより送達可能な、吸入可能な粉末若しくは溶液、又は気管支鏡の生検ポートにより送達可能な溶液として製剤化される。
第三の態様では、本発明は、線維化症状又は炎症性症状の治療薬の製造におけるフラボノイドの使用を提供する。
第三の態様の一実施形態では、線維化症状は少なくとも部分的に創傷治癒反応によって引き起こされる。
第三の態様の一実施形態では、創傷治癒反応は上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む組織で起こる。
第三の態様の一実施形態では、線維化症状が、肺線維症(特発性肺線維症、感染症誘発性肺線維症、放射線誘発性肺線維症、進行性巨大線維症、嚢胞性線維症を含む)、膵線維症(嚢胞性線維症を含む)、後腹膜線維症、動脈線維症(動脈硬化を含む)、腸線維症(クローン病を含む)、関節線維症(膝関節、肩関節、その他の関節のアテローム線維症、癒着性被膜炎を含む)、手指線維症(デュピュイトラン拘縮を含む)、皮膚線維症(ケロイド、腎性全身性線維症、強皮症を含む)、陰茎(ペイロニー病を含む)、リンパ節線維症(縦隔線維症を含む)及び心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)からなる群から選択され、かつ、炎症性症状が、肺の炎症(COPD、喘息、鼻炎、気管支炎を含む)、皮膚の炎症(にきびおよび強皮症を含む)、消化管の炎症(セリアック病、クローン病、大腸炎、憩室炎を含む)、泌尿器系疾患(糸球体腎炎、膀胱炎、前立腺炎を含む)、自己免疫疾患(SLEを含む)、サルコイドーシス、移植拒絶反応、血管炎、動脈硬化、骨盤内炎症性疾患、リウマチ熱、耳炎からなる群から選択される。
第三の態様の一実施形態では、線維症の状態は肺線維症であり、炎症の状態は肺の炎症である。
第三の態様の一実施形態では、フラボノイドはフラバノンである。
第三の態様の一実施形態では、線維化症状は少なくとも部分的に創傷治癒反応によって引き起こされる。
第三の態様の一実施形態では、創傷治癒反応は上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む組織で起こる。
第三の態様の一実施形態では、線維化症状が、肺線維症(特発性肺線維症、感染症誘発性肺線維症、放射線誘発性肺線維症、進行性巨大線維症、嚢胞性線維症を含む)、膵線維症(嚢胞性線維症を含む)、後腹膜線維症、動脈線維症(動脈硬化を含む)、腸線維症(クローン病を含む)、関節線維症(膝関節、肩関節、その他の関節のアテローム線維症、癒着性被膜炎を含む)、手指線維症(デュピュイトラン拘縮を含む)、皮膚線維症(ケロイド、腎性全身性線維症、強皮症を含む)、陰茎(ペイロニー病を含む)、リンパ節線維症(縦隔線維症を含む)及び心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)からなる群から選択され、かつ、炎症性症状が、肺の炎症(COPD、喘息、鼻炎、気管支炎を含む)、皮膚の炎症(にきびおよび強皮症を含む)、消化管の炎症(セリアック病、クローン病、大腸炎、憩室炎を含む)、泌尿器系疾患(糸球体腎炎、膀胱炎、前立腺炎を含む)、自己免疫疾患(SLEを含む)、サルコイドーシス、移植拒絶反応、血管炎、動脈硬化、骨盤内炎症性疾患、リウマチ熱、耳炎からなる群から選択される。
第三の態様の一実施形態では、線維症の状態は肺線維症であり、炎症の状態は肺の炎症である。
第三の態様の一実施形態では、フラボノイドはフラバノンである。
第三の態様の一実施形態では、フラバノンには、以下の式1:
H、
OH、
O-、
O-CH3、
グルコシド(ラムノシドグルコシドを含む)、又は
その他の有機官能基である)
で表される化学構造がある。
第三の態様の一実施形態では、R2’、R3、R3’、R4’、R5、R6、R7は、以下の:
b;Rh-Gl=ラムノシドグルコシドである)で表される。
第三の態様の一実施形態では、フラバノンがジヒドロキシフラバノン及び/又は(2S)-フラバン-4-オン、又はその機能的誘導体である。
第三の態様の一実施形態では、フラバノンが(2S)-5、7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2、3-ジヒドロクロメン-4-オン、又はその機能的誘導体である。
第三の態様の一実施形態では、植物細胞内で天然に合成されるが、この方法で用いるために必ずしも植物細胞から得られるとは限らない。
第三の態様の一実施形態では、肺疾患のヒツジモデルにフラボノイドを用いることにより、肺機能のいずれか1つ以上のモード、肺洗浄液中の好中球及び/又は炎症細胞の存在、組織学的に評価された炎症及び/又は線維症を改善させる。
第三の態様の一実施形態では、肺疾患のヒツジモデルはブレオマイシン誘発肺損傷に依存する。
第三の態様の一実施形態では、フラボノイドは線維症及び/又は炎症があるか、潜在的に線維症及び/又は炎症があるか、又は将来線維症及び/又は炎症を有すると予測される。
第三の態様の一実施形態では、フラボノイドを肺及び/又は気道に直接送達させる。
第三の態様の一実施形態では、フラボノイドは、ネブライザーにより送達可能な、吸入可能な粉末若しくは溶液、又は気管支鏡の生検ポートにより送達可能な溶液として製剤化される。
第四の態様では、本発明は、フラボノイドを含み、動物の肺及び/又は気道への送達に適するように製剤化された、医薬組成物を提供する。
第四の態様の一実施形態では、動物の気道を介した動物の肺への直接送達に適するように製剤化された医薬組成物が調合される。
第四の態様の一実施形態では、医薬組成物は、ネブライザーにより送達可能な、吸入可能な粉末若しくは溶液、又は気管支鏡の生検ポートにより送達可能な溶液として製剤化される。
第四の態様の一実施形態では、フラボノイドはフラバノンである。
第四の態様の一実施形態では、動物の気道を介した動物の肺への直接送達に適するように製剤化された医薬組成物が調合される。
第四の態様の一実施形態では、医薬組成物は、ネブライザーにより送達可能な、吸入可能な粉末若しくは溶液、又は気管支鏡の生検ポートにより送達可能な溶液として製剤化される。
第四の態様の一実施形態では、フラボノイドはフラバノンである。
第四の態様の一実施形態では、フラバノンには、以下の式1:
H、
OH、
O-、
O-CH3、
グルコシド(ラムノシドグルコシドを含む)、又は
その他の有機官能基である)
で表される化学構造がある。
第四の態様の一実施形態では、R2’、R3、R3’、R4’、R5、R6、R7は、以下の:
b;Rh-Gl=ラムノシドグルコシドである)
で表される。
第四の態様の一実施形態では、フラバノンがジヒドロキシフラバノン及び/又は(2S)-フラバン-4-オン、又はその機能的誘導体である。
第四の態様の一実施形態では、フラバノンが(2S)-5、7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2、3-ジヒドロクロメン-4-オン、又はその機能的誘導体である。
第四の態様の一実施形態では、植物細胞内で天然に合成されるが、この方法で用いるために必ずしも植物細胞から得られるとは限らない。
第四の態様の一実施形態では、肺疾患のヒツジモデルにフラボノイドを用いることにより、肺機能のいずれか1つ以上のモード、肺洗浄液中の好中球及び/又は炎症細胞の存在、組織学的に評価された炎症及び/又は線維症を改善させる。
第四の態様の一実施形態では、肺疾患のヒツジモデルはブレオマイシン誘発肺損傷に依存する。
本明細書の説明及びクレームを通して、用語「含む」及びその変形「含んでいる」及び「含む」等は、他の添加剤、成分、整数又は工程を除外することを意図しない。
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「実施形態」との言及は、その実施形態に関連して記述された特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における記載「一実施形態では」又は「実施形態では」は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指していても、そうでなくてもよい。
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「実施形態」との言及は、その実施形態に関連して記述された特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における記載「一実施形態では」又は「実施形態では」は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指していても、そうでなくてもよい。
本発明は、少なくとも部分的には、プロトタイプの植物フラボノイドが病的損傷誘発性線維症又は炎症の予防及び/又は治療において利益を提供することができるという発明者の発見を前提とする。フラボノイドは炎症に伴う線維化に作用することもあれば、炎症に伴わない線維化に作用することもある。フラボノイドは、線維化をおこす炎症に作用することも、そうでない炎症に作用することもある。したがって、フラボノイドは抗炎症薬及び/又は抗線維化薬として機能する場合がある。これらの発見は、ピノセンブリン(通常のフラボノンである)が、特発性肺線維症の一般に認められている動物モデルにおいて、疾患パラメータを有意に改善することができることを示す、本明細書に記載の実施例の実験的研究に基づく。本発見は、感染症誘発性肺線維症、(SARS-CoV-2等のコロナウイルスによる呼吸器の感染症を含む)放射線誘発性肺線維症、進行性巨大線維症、嚢胞性線維症)膵線維症(嚢胞性線維症を含む)、後腹膜線維症、動脈線維症(動脈硬化を含む)、腸線維症(クローン病を含む)、関節線維症(膝関節、肩関節、その他の関節のアテローム線維症、癒着性被膜炎を含む)、手指線維症(デュピュイトラン拘縮を含む)、皮膚線維症(ケロイド、腎性全身性線維症、強皮症を含む)、陰茎(ペイロニー病を含む)、リンパ節線維症(縦隔線維症を含む)及び心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)等の他の線維化疾患に適用される場合がある。
本発明の文脈における用語「線維症」は、ある器官又は組織において、その部分の損傷又は炎症、又はその血液供給の妨害の結果として、過剰な線維化結合組織が形成又は発達することをいう。これは、既知又は理解されている原因の有無にかかわらず、瘢痕、異常で反応性のプロセスにつながる正常な治癒反応の結果である場合がある。
線維症に関する研究のボーナス効果は、フラボノイドが炎症の治療及び/又は予防に有用であるという知見である。出願人は、発明者が用いた線維化に用いられる動物モデルに不可欠なブレオマイシン誘発性損傷からおこる刺激の結果として生じる炎症マーカーを実験的に調査した。
線維症に関する研究のボーナス効果は、フラボノイドが炎症の治療及び/又は予防に有用であるという知見である。出願人は、発明者が用いた線維化に用いられる動物モデルに不可欠なブレオマイシン誘発性損傷からおこる刺激の結果として生じる炎症マーカーを実験的に調査した。
本発明の文脈における用語「炎症」は、感染、刺激物、アレルゲン、又は細胞損傷等の刺激にさらされた後の哺乳類の免疫応答の活性化を含む。炎症は、特定の病原体に対する特異的な反応である適応免疫と比較して、自然免疫の一種と考えられる場合がある。
炎症は急性又は慢性と考えられ、前者は一般的に顆粒球により媒介され、後者は単球及びリンパ球を含む単核細胞により媒介される。
急性炎症は、組織の完全性を維持し、組織修復を行うことにより、傷害や刺激に対する身体の初期の保護反応として発生する場合がある。あるいは、その刺激がアレルギー刺激である場合もある。
急性炎症は、常在マクロファージ、樹状細胞、組織球、クッパー細胞、肥満細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞等の細胞によって引き起こされる。これらの細胞は刺激を受けると活性化され、炎症性サイトカイン、炎症性プロスタグランジン、ロイコトリエン、ヒスタミン、セロトニン、中性プロテアーゼ、ブラジキニン、一酸化窒素等の炎症仲介分子や感作分子を放出する。これらの分子は、局所血管系、免疫系、及び影響を受けた組織部位の細胞性及び無細胞性物質に依存する生物学的経路を調節して、炎症反応を伝播及び増幅する。
急性炎症反応は、通常血管拡張によって組織内への血流が高まり、それによって紅斑が発生し、その部位を越えて広がることがあり、血管透過性が高まり浮腫が発生する。この反応によって特定の感覚ニューロンの興奮性が変化し、過敏症や痛みを誘発する場合がある。さらなる効果として、サブスタンスPを含む神経ペプチド、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、プロスタグランジン、グルタミン酸等のアミノ酸等の炎症誘発分子の放出が考えられる。炎症のさらなる要素は、白血球、主に顆粒球の血管から組織への移動の増加である場合がある。急性炎症反応は通常、炎症刺激が除去されると停止する。
炎症は急性又は慢性と考えられ、前者は一般的に顆粒球により媒介され、後者は単球及びリンパ球を含む単核細胞により媒介される。
急性炎症は、組織の完全性を維持し、組織修復を行うことにより、傷害や刺激に対する身体の初期の保護反応として発生する場合がある。あるいは、その刺激がアレルギー刺激である場合もある。
急性炎症は、常在マクロファージ、樹状細胞、組織球、クッパー細胞、肥満細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞等の細胞によって引き起こされる。これらの細胞は刺激を受けると活性化され、炎症性サイトカイン、炎症性プロスタグランジン、ロイコトリエン、ヒスタミン、セロトニン、中性プロテアーゼ、ブラジキニン、一酸化窒素等の炎症仲介分子や感作分子を放出する。これらの分子は、局所血管系、免疫系、及び影響を受けた組織部位の細胞性及び無細胞性物質に依存する生物学的経路を調節して、炎症反応を伝播及び増幅する。
急性炎症反応は、通常血管拡張によって組織内への血流が高まり、それによって紅斑が発生し、その部位を越えて広がることがあり、血管透過性が高まり浮腫が発生する。この反応によって特定の感覚ニューロンの興奮性が変化し、過敏症や痛みを誘発する場合がある。さらなる効果として、サブスタンスPを含む神経ペプチド、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、プロスタグランジン、グルタミン酸等のアミノ酸等の炎症誘発分子の放出が考えられる。炎症のさらなる要素は、白血球、主に顆粒球の血管から組織への移動の増加である場合がある。急性炎症反応は通常、炎症刺激が除去されると停止する。
刺激が長引くと慢性的な炎症反応が起こり、影響を受けた組織に存在する細胞の種類が進行性に変化する。慢性炎症は同時に起こる組織の破壊と治癒と考えられ、最終的な結果は有害である(通常は組織損傷)。慢性炎症は、心血管疾患、がん、アレルギー、肥満、糖尿病、消化器系疾患、変性疾患、自己免疫疾患、神経疾患等の、他の点では無関係なさまざまな病態に関与する。
慢性炎症の治療又は予防の試みは、おそらく慢性炎症の複雑な病因と、多くの関与する炎症仲介剤及び感作剤のために、その効果は限局的である。NSAIDクラスの薬剤は内因性抗炎症反応を阻害する場合があり、場合によっては慢性炎症を長引かせたり悪化させたりする場合がある。
慢性炎症の治療又は予防の試みは、おそらく慢性炎症の複雑な病因と、多くの関与する炎症仲介剤及び感作剤のために、その効果は限局的である。NSAIDクラスの薬剤は内因性抗炎症反応を阻害する場合があり、場合によっては慢性炎症を長引かせたり悪化させたりする場合がある。
モデル動物から得られた組織の分析において、ピノセンブリンは、動物の肺組織における(特発性肺線維症のモデルで必要とされる)ブレオマイシン誘発性損傷によって生成される炎症反応に有意な影響を及ぼすことが見出された。したがって、フラボノイドは肺を含む呼吸器系の様々な炎症性症状の治療又は予防に有用である場合があると提案されている。
例えば、喘息とCOPDは、重大な罹患率と死亡率につながる炎症性要素がある世界的に有病率の高い疾患である。どちらの疾患も特徴的な症状と機能異常があり、主な特徴は気道閉塞である。喘息の気道閉塞は可逆的であるが、COPDの場合、異常な呼気流は長期間にわたって顕著に変化するわけでない。これらの疾患の炎症は、環境アレルゲン、職業性感作剤、ウイルス性呼吸器感染症によって誘発される場合がある。COPDでは、タバコの煙に含まれる無数の薬剤のいずれかが見られる炎症反応を誘発する場合がある。
例えば、喘息とCOPDは、重大な罹患率と死亡率につながる炎症性要素がある世界的に有病率の高い疾患である。どちらの疾患も特徴的な症状と機能異常があり、主な特徴は気道閉塞である。喘息の気道閉塞は可逆的であるが、COPDの場合、異常な呼気流は長期間にわたって顕著に変化するわけでない。これらの疾患の炎症は、環境アレルゲン、職業性感作剤、ウイルス性呼吸器感染症によって誘発される場合がある。COPDでは、タバコの煙に含まれる無数の薬剤のいずれかが見られる炎症反応を誘発する場合がある。
本発明の文脈における用語「フラボノイド」は、フラバノール、フラボン、及びフラバノンを含むことを意図する。組成物のある実施形態では、フラボノイドはフラバノンであり、ある実施形態では光学異性体として存在するキラルフラバノンであり、その場合、フラバノンはD-型又はS-型のいずれかである。組成物のある実施形態では、S-異性体が本組成物で用いられる。
ある実施形態では、フラボノイドはフラバノンのピノセンブリンである。有利なことに、ピノセンブリンは安全性プロファイルが既知である天然に存在する化合物である。さらに、医師が化合物を処方しなければならないほど、化合物は管理されているわけではない。
多くの健常消費者は天然物の摂取を非常に好む。本願では、ピノセンブリンは(例えば、将来発症する場合のある呼吸器感染症に起因する肺線維症を予防するために)重大な副作用の恐れなく、予防的に自由に服用することができる。したがって、フラボノイド化合物は、後日経験する場合のある肺の問題に対処するための一般的な手段と考えられる。
さらに又はあるいは、フラボノイド化合物は、疾患プロセスが開始された後に投与されることがあり、その場合、多くの植物由来化合物の一般的な安全性を考慮すると、当該化合物は、それ自体又は他の治療(医薬品又はその他)と併用して自由に服用されることができる。
ある実施形態では、フラボノイドはフラバノンのピノセンブリンである。有利なことに、ピノセンブリンは安全性プロファイルが既知である天然に存在する化合物である。さらに、医師が化合物を処方しなければならないほど、化合物は管理されているわけではない。
多くの健常消費者は天然物の摂取を非常に好む。本願では、ピノセンブリンは(例えば、将来発症する場合のある呼吸器感染症に起因する肺線維症を予防するために)重大な副作用の恐れなく、予防的に自由に服用することができる。したがって、フラボノイド化合物は、後日経験する場合のある肺の問題に対処するための一般的な手段と考えられる。
さらに又はあるいは、フラボノイド化合物は、疾患プロセスが開始された後に投与されることがあり、その場合、多くの植物由来化合物の一般的な安全性を考慮すると、当該化合物は、それ自体又は他の治療(医薬品又はその他)と併用して自由に服用されることができる。
本発明の方法では、フラボノイドを被験体に投与する。用語「被験体」及び「患者」としては、マウス、ラット、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ハムスター、フェレット、カモノハシ、ブタ、イヌ、モルモット、ウサギ及び、例えば、サル、類人猿、又はヒト等の霊長類があげられるが、これらに限定されない、哺乳類起源の動物種のメンバーをさすために互換的に用いられる。
被験体は、線維化疾患又は炎症性疾患の予防又は治療が必要な者であり、疾患、障害、状態、又は病理学的プロセスに罹患する(又は将来罹患する場合がある)被験体をいう。
被験体は、線維化疾患又は炎症性疾患の予防又は治療が必要な者であり、疾患、障害、状態、又は病理学的プロセスに罹患する(又は将来罹患する場合がある)被験体をいう。
用語「治療する」、「治療している」、「予防する」、「予防している」には、疾患、状態又は障害の進行を中止、実質的に阻害、遅延又は逆転させること、ある状態の臨床症状又は症状を実質的に改善すること、ある疾患、状態又は障害の臨床症状又は外観の症状の出現を実質的に防止すること、及び有害な症状又は厄介な症状から保護することが含まれる。さらなる治療とは、以下の:(a)障害の重症度を軽減する;(b)治療対象の疾患に特徴的な症状の発現を制限する;(c)治療対象の疾患に特徴的な症状の悪化を制限する;(d)当該障害の既往歴のある患者における当該障害の再発の抑制;(e)これまで無症状であった患者の症状の再発を制限する;ことの1つ以上を達成することをいう。
本明細書に開示された方法では、フラボノイドは「有効量」で被験体に投与される。これには、対象となる線維化疾患又は炎症性疾患及び患者の特性を考慮し、治療上有効な量を含むものと解される。ある実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.000001mg/kg体重~100mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約100mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.0001mg/kg体重~約100mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.001mg/kg体重~約10mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.01mg/kg体重~約10mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.1mg/kg(又は100μg/kg)体重~約10mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約1mg/kg体重~約10mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約10mg/kg体重~約100mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約2mg/kg体重~約10mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約3mg/kg体重~約10mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約4mg/kg体重~約10mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約5mg/kg体重~約10mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約20、30、40、50、又は60mg/kg体重~約100mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約70mg/kg体重~約100mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約80mg/kg体重~約100mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約90mg/kg体重~約100mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約90mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約80mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約70mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約60mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約50mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約40mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約30mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約20mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約10mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約1mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約0.1mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約0.1mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約0.01mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約0.001mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約0.0001mg/kg体重の量である。他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の有効量は、約0.00001mg/kg体重~約0.0001mg/kg体重の量である。
ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、1μg/kg/日~25μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、1μg/kg/日~2μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、2μg/kg/日~3μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、3μg/kg/日~4μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、4μg/kg/日~5μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、5μg/kg/日~6μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、6μg/kg/日~7μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、7μg/kg/日~8μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、8μg/kg/日~9μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、9μg/kg/日~10μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、1μg/kg/日~5μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、5μg/kg/日~10μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、10μg/kg/日~15μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、15μg/kg/日~20μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、25μg/kg/日~30μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、30μg/kg/日~35μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、35μg/kg/日~40μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、40μg/kg/日~45μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、45μg/kg/日~50μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、50μg/kg/日~55μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、55μg/kg/日~60μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、60μg/kg/日~65μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、65μg/kg/日~70μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、70μg/kg/日~75μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、80μg/kg/日~85μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、85μg/kg/日~90μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、90μg/kg/日~95μg/kg/日の範囲である。ある他の実施形態では、医薬組成物のフラボノイド化合物の治療用量は、95μg/kg/日~100μg/kg/日の範囲である。
本明細書に開示される発明の有効量のフラボノイドには、(1)少なくとも1つの線維化局在を除去又はその大きさを縮小する、又は(2)肺線維症患者の肺における間質におけるコラーゲン及びフィブロネクチンを含む細胞外マトリクスの沈着速度を低下させる、への沈着、又は(3)好中球等の炎症細胞の患部組織への流入を含む炎症が十分に起こる量があげられるが、これらに限定されない。当該用語はまた、肺線維症患者の少なくとも1つの症状を抑制又は軽減するのに十分な量を含み、その症状には、酸素飽和度、呼吸困難(dyspnea)、乾性咳嗽(刺激または炎症に起因し得る、肺からの空気の急激で騒々しい排出であり、気道から痰を除去しない))があげられるが、これらに限定されない。用語「有効量」は、喘息やCOPDで見られる咳、喘鳴又は気道の狭窄を予防するのに十分な量、又は少なくとも部分的に回復させるのに十分な量を含むことができる。当該用語は、急性又は慢性気管支炎で見られる咳、喘鳴、又は粘液産生を予防又は少なくとも部分的に回復させるのに十分な量を含むことができる。
本明細書に開示される発明により用いられる有効量は、一般に約0.001mg/kg体重~約10g/kg体重の範囲である。しかし、用量レベルは、傷害の種類、年齢、体重、性別、患者の病状、病状の重症度、投与経路と頻度、用いられる特定の活性薬剤など、様々な要因に基づいて決定される。したがって、用量レジメンは大きく異なる場合があるが、標準的な方法を用いて医師が常套手段で決定することができ、本明細書の利点がある。
フラボノイドを肺に到達させる場合、吸入(呼吸で薬剤を吸い込む行為)又は送気(空気、ガス、または粉末を体の空洞または室に圧力下で送達する行為、例えば、鼻腔送気は、空気、ガス、または粉末を鼻から圧力下で送達する行為に関する)が投与経路として利用される場合がある。
フラボノイド化合物は、吸入デバイス(液体又は乾燥粉末のエアロゾル製剤から小さな液滴又はエアロゾルを生成し、例えば溶液、粉末等の薬物の肺投与を達成するために口から投与するために用いられる機械/装置又は要素)の支援を受けて送達される場合がある。吸入送達装置の例としては、ネブライザー、定量噴霧式吸入器、ドライパウダー吸入器(DPI)などがあげられるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられる用語「ネブライザー」は、肺に吸入されるミストの形で液体薬剤を投与するために用いられる装置をいう。
本明細書で用いられる用語「定量噴霧式吸入器」、「MDI」、又は「パファー」は、推進剤を用いて特定量の薬剤(定量用量)を患者の肺に送達する、加圧された携帯型デバイスをいう。本明細書で用いられる用語「推進剤」は、通常はガス圧によって物質を排出するために用いられる、収束して発散するノズルを通る材料をいう。圧力は圧縮ガスによるものと、化学反応によって生成されたガスによるものがある。排気物質には、気体、液体、プラズマ、又は化学反応前の固体、液体、ゲルがある。加圧定量噴霧式吸入器で用いられる推進剤は液化ガスであり、従来はクロロフルオロカーボン(CFC)、最近ではハイドロフルオロアルカン(HFA)である。適当な推進剤としては、例えば、トリクロロフルオロメタン(推進剤11ともいう)、ジクロロジフルオロメタン(推進剤12ともいう)、及び1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(推進剤114ともいう)等のクロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン、1,1,2-テトラフルオロエタン(推進剤134a、HFC-134a、HFA-134aともいう)及び1,1,1,2,3,3-ヘプタフルオロプロパン(推進剤227、HFC-227、HFA-227ともいう)等のハイドロフルオロカーボン(HFC)、二酸化炭素、ジメチルエーテル、ブタン、プロパン、又はそれらの混合物があげられる。他の実施形態では、推進剤としては、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、又はそれらの混合物があげられる。他の実施形態では、ハイドロフルオロカーボンが推進剤として用いられる。他の実施形態では、HFC-227及び/又はHFC-134aが推進剤として用いられる。
本明細書で用いられる用語「乾燥粉末吸入器」又は「DPI」は、定量噴霧式吸入器に類似した装置をいうが、薬物が粉末状である場合をいう。患者は十分に息を吐き出し、マウスピースの周りに唇を置き、その後速やかに粉末を吸い込む。ドライパウダー吸入器は、MDIに必要なタイミングや調整が必要ない。
本明細書で用いられる用語「粒子」は、本明細書で説明されている組成の中に、又はその上に含まれている極めて小さな構成成分((例えば、ナノ粒子、微粒子、又は場合によってはより大きな粒子)をいう。
本明細書で用いられる用語「粒子」は、本明細書で説明されている組成の中に、又はその上に含まれている極めて小さな構成成分((例えば、ナノ粒子、微粒子、又は場合によってはより大きな粒子)をいう。
肺への適用では、肺組織に直接フラボノイドを送達する必要はなく、状況によっては、化合物を経口、非経口、直腸又は他の投与経路で投与することができることがと提案されている。さらに、肺以外の用途では、フラボノイドは一般的に肺以外の経路で投与される。
この点に関して、本方法は、本発明のフラボノイドを含む医薬組成物又は単一の単位剤形、又は本発明にも含まれる薬学的に許容されるその塩、水和物又は立体異性体の投与が必要な場合がある。本発明の個々の剤形は、経口、粘膜(舌下、頬、直腸、鼻、膣を含む)、非経口(皮下注射、筋肉内注射、ボーラス注射、動脈内注射、静脈内注射を含む)、経皮、又は局所投与に適することができる。本発明の医薬組成物及び剤形は、通常、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。無菌の剤形であってよい。
この点に関して、本方法は、本発明のフラボノイドを含む医薬組成物又は単一の単位剤形、又は本発明にも含まれる薬学的に許容されるその塩、水和物又は立体異性体の投与が必要な場合がある。本発明の個々の剤形は、経口、粘膜(舌下、頬、直腸、鼻、膣を含む)、非経口(皮下注射、筋肉内注射、ボーラス注射、動脈内注射、静脈内注射を含む)、経皮、又は局所投与に適することができる。本発明の医薬組成物及び剤形は、通常、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。無菌の剤形であってよい。
本実施形態に含まれる医薬組成物は、本発明のフラボノイド、又はその薬学的に許容される塩、水和物又は立体異性体、及び関連する線維化又は炎症性の状態を治療するための先行技術の組成物等の少なくとも1つのさらなる治療剤を含む。通常、剤形の組成、形状、種類は用途によって異なるであろう。例えば、ある疾患やその関連疾患の急性期治療に用いられる剤形は、その同じ疾患の慢性期治療に用いられる剤形よりも、1つ以上の活性成分を多く含むことができる。同様に、非経口剤形には、同じ疾患又は障害の治療に用いられる経口剤よりも、含まれる活性成分の量を少なくすることができる。本発明に含まれる特定の剤形が互いに異なるであろうこれらの方法及びその他の方法は、当業者には容易に明らかであろう。剤形の例としては、カプレット;軟質弾性ゼラチンカプセル等のカプセル剤;カシェ;トローチ;ロゼンジ;分散剤;坐薬;軟膏;カタプラ(湿布剤);ペースト;粉末;ドレッシング;クリーム;プラスター;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば、鼻腔用スプレーや吸入器);ジェル;患者への経口または粘膜投与に適した液体剤形、例えば、懸濁液(エマルジョン)(例えば、水性又は非水性の液体懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン)、溶液及びエリキシル剤;患者への非経口投与に適した液体剤形;並びに、患者への非経口投与に適した液体剤形を提供するために再構成することができる滅菌固形物(例えば、結晶性又は非晶質固体)があげられるが、これらに限定されない。
通常の医薬組成物及び剤形は、1つ以上の担体、賦形剤又は希釈剤を含む。適当な賦形剤は、医薬業界の当業者には公知であり、ここでは適当な賦形剤の非限定的な例を提供する。
特定の賦形剤が医薬組成物又は剤形へ組み込まれることに適するか否かは、剤形を患者に投与する方法があげられるが、これらに限定されない、当該技術分野でよく知られた様々な要因による。例えば、錠剤等の経口剤には、非経口剤として用いるのに適さない賦形剤が含まれている場合がある。特定の賦形剤の適合性は、剤形中の特定の活性成分による場合もある。
本発明は、水がいくつかの化合物の分解を促進することができるので、活性成分を含む無水の医薬組成物及び剤形の使用をさらに含む。例えば、水の添加(例:5%)は、長期保存をシミュレートする手段として、製剤の有効期間や経時安定性等の特性を決定するために、薬学分野で広く受容されている。実際、水と熱はいくつかの化合物の分解を促進する。
したがって、一般に、製剤の製造、取り扱い、包装、保管、出荷、及び使用中に水分及び/又は湿度に曝露するため、製剤に対する水の影響は重要でありうる。
本発明と併用するための無水の医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分の成分、かつ、低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。
したがって、一般に、製剤の製造、取り扱い、包装、保管、出荷、及び使用中に水分及び/又は湿度に曝露するため、製剤に対する水の影響は重要でありうる。
本発明と併用するための無水の医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分の成分、かつ、低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。
無水の医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように調製し、保存することができる。したがって、無水組成物は、好ましくは、適当な処方キットに含めることができるように、水への暴露を防止することが公知の材料を用いて包装される。適当な包装の例としては、密閉箔、プラスチック、単回投与容器(例:バイアル)、ブリスターパック、ストリップパック等があげられるが、これらに限定されない。
本発明はさらに、活性成分の分解速度を低下させる1つ以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形を含む。そのような化合物を本明細書では「安定剤」といい、アスコルビン酸、pH緩衝剤、塩緩衝剤等の抗酸化剤があげられるが、これらに限定されない。
製剤中の活性成分の量や種類は、添加剤の量や種類と同様に、患者への投与経路等の要因によって異なってよい。しかしながら、本発明の通常剤形は、本発明のフラボノイド、又はその薬学的に許容される塩、水和物、又は立体異性体を、単位あたり0.1mg~1500mgを含み、約0.01から200mg/kg/日の用量を提供する。
製剤中の活性成分の量や種類は、添加剤の量や種類と同様に、患者への投与経路等の要因によって異なってよい。しかしながら、本発明の通常剤形は、本発明のフラボノイド、又はその薬学的に許容される塩、水和物、又は立体異性体を、単位あたり0.1mg~1500mgを含み、約0.01から200mg/kg/日の用量を提供する。
経口投与に適する本発明の医薬組成物は、錠剤(例:チュアブル錠)、カプレット、カプセル、液体(例:フレーバーシロップ)等の個別の剤形として提示することができるが、これらに限定されない。当該剤形は、所定量の活性成分を含み、当業者に公知の薬学的方法によって調製することができる。
本発明の通常の経口剤形は、従来の医薬調合技術により、少なくとも1つの賦形剤と密接な混合物中の活性成分を併用することで調製される。賦形剤は、投与に望ましい製剤形態に応じて、多種多様な形態をとってよい。例えば、経口液体又はエアロゾル剤形で用いるのに適する賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤、着色剤があげられるが、これらに限定されない。固形経口剤(例えば、粉末、錠剤、カプセル、カプレット)で用いるのに適する賦形剤の例としては、デンプン、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤があげられるが、これらに限定されない。
本発明の通常の経口剤形は、従来の医薬調合技術により、少なくとも1つの賦形剤と密接な混合物中の活性成分を併用することで調製される。賦形剤は、投与に望ましい製剤形態に応じて、多種多様な形態をとってよい。例えば、経口液体又はエアロゾル剤形で用いるのに適する賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤、着色剤があげられるが、これらに限定されない。固形経口剤(例えば、粉末、錠剤、カプセル、カプレット)で用いるのに適する賦形剤の例としては、デンプン、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤があげられるが、これらに限定されない。
錠剤とカプセルは、投与が容易であるため、最も有利な経口投与単位の形態を表し、固体賦形剤が用いられる。必要に応じて、錠剤を標準的な水性又は非水性技術でコーティングすることができる。当該剤形は、薬局においていかなる方法でも調製することができる。一般に、医薬組成物及び剤形は、活性成分を液体担体、細かく粉砕した固体担体、又はその両方と均一かつ密接に混合した後、必要に応じて目的の表示に成形することによって調製される。
例えば、錠剤は圧縮や成形によって調製することができる。圧縮錠剤は、適当な機械で活性成分を粉末や顆粒等の流動性のある形で圧縮し、必要に応じて賦形剤と混合することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適当な機械で成形することによって調製することができる。
本発明の経口剤形で用いることができる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤があげられるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形で用いるのに適する結合剤としては、コーンスターチ、ポテトスターチ又は他のデンプン、ゼラチン、アカシア等の天然及び合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカンツ、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例:エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、プレゼラチン化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例:No.2208、No.2906、No.2910)、マクロ結晶性セルロース、及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。
例えば、錠剤は圧縮や成形によって調製することができる。圧縮錠剤は、適当な機械で活性成分を粉末や顆粒等の流動性のある形で圧縮し、必要に応じて賦形剤と混合することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適当な機械で成形することによって調製することができる。
本発明の経口剤形で用いることができる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤があげられるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形で用いるのに適する結合剤としては、コーンスターチ、ポテトスターチ又は他のデンプン、ゼラチン、アカシア等の天然及び合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカンツ、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例:エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、プレゼラチン化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例:No.2208、No.2906、No.2910)、マクロ結晶性セルロース、及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。
本明細書で開示される医薬組成物及び剤形で用いるのに適する充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例:顆粒や粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストラート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、ゲル化前デンプン、及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物における結合剤又は充填剤は、通常、医薬組成物又は剤形の約50~約99質量%で存在する。
適当な形態の微結晶セルロースとしては、AVlCEL-PH-101、AVTCEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corporation、American Viscose Division、Avicel Sales、Marcus Hook、PAから入手可能)、及びそれらの混合物として販売されている材料があげられるが、これらに限定されない。特定の結合剤は微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物で、AVICEL RC-581として販売されている。適当な無水又は低水分の賦形剤又は添加剤には、AVICEL-PH-1500(商標)及びStarch LMがある。
本発明の組成物には、水性環境に曝されると崩壊する錠剤を提供するために崩壊剤が用いられる。崩壊剤の含有量が多すぎる錠剤は保存中に崩壊する場合があるが、少なすぎる錠剤は望ましい速度や条件で崩壊しない場合がある。そこで、活性成分の放出を有害に変化させるような多すぎも少なすぎもしない十分な量の崩壊剤を用いることが望ましい。用いられる崩壊剤の量は製剤の種類によって異なり、当業者であれば容易に識別できる。通常の医薬組成物は、約0.5~約15質量%の崩壊剤、具体的には約1~約5質量%の崩壊剤を含む。
本発明の医薬組成物及び剤形に用いることができる崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、前糊化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物及び剤形に用いることができる崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、前糊化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物及び剤形に用いることができる潤滑剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、その他のグリコール類、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ごま油、オリーブ油、共油、大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。さらなる潤滑剤としては、例えば、サイロイドシリカゲル(メリーランド州ボルチモアのW.R.Grace社製AEROSIL 200)、合成シリカの凝固エアロゾル(テキサス州ピアノのデグッサ社販売)、CAB-O-SIL(マサチューセッツ州ボストンのCabot社販売のパイロジェニックシリコン二酸化製品)、及びそれらの混合物があげられる。潤滑剤を全く用いない場合、一般に、それらが組み込まれる医薬組成物又は剤形の約1質量%未満の量で用いられる。
本発明の方法で用いられるフラボノイドは、徐放性手段又は当業者に公知の送達装置によって投与することができる。例としては、米国特許番号第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号及び第5,733,566号に記載されたものがあげられるが、これらに限定されない。当該剤形は、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、又はそれらの組み合わせを用いて、1つ以上の活性成分の徐放性又は制御放出を提供し、様々な比率で所望の放出プロファイルを提供するために用いることができる。本発明の活性成分と併用するために、当業者に公知の適当な放出制御型製剤を容易に選択することができる。したがって、本発明は、制御放出に適合する錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ、カプレット等の経口投与に適した単一単位の剤形があげられるが、これらに限定されない。
すべての放出制御型製剤には、その非制御型対応物によって達成されるものよりも薬物療法を改善するという共通の目標がある。理想的には、最適に設計された放出制御型製剤を医療に用いることは、最小限の時間で状態を治癒又は制御するために最小限の薬物物質が用いられることを特徴とする。放出制御型製剤の利点は、薬剤の活性の延長、投与回数の削減及び患者のコンプライアンスの向上等である。さらに、放出制御型製剤は、薬物の作用発現時間や血中濃度等の他の特性に影響を与えるために用いることができ、その結果、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を与えることができる。
ほとんどの放出制御型製剤は、所望の治療効果を速やかにもたらす量の薬物(活性成分)を最初に放出し、他の量の薬物を徐々に連続的に放出して、長期間にわたってこのレベルの治療効果又は予防効果を維持するように設計されている。このように体内の薬物量を一定に保つためには、体内で代謝・排泄される薬物量に代わる速度で、薬物が剤形から放出される必要がある。活性成分の放出制御は、pH、温度、酵素、水、又はその他の生理的条件や化合物等、様々な条件によって刺激されることがあるが、これらに限定されない。
非経口剤は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、動脈内等の様々な経路で患者に投与することができるが、これらに限定されない。当該投与は通常、汚染物質に対する患者の自然防御を迂回するため、非経口剤の剤形は、好ましくは、患者に投与する前に滅菌されるか又は滅菌することができる。非経口剤形の例としては、注射可能な溶液、薬学的に許容される注射用ベヒクルに溶解又は懸濁させることができる乾燥及び/又は凍結乾燥させた製品(再構成可能な粉末)、注射可能な懸濁液、及びエマルジョンがあげられるが、これらに限定されない。
本発明の非経口剤形を提供するために用いることができる適当なベヒクルは、当業者には公知である。例としては、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、乳酸リンゲル液等の水性ベヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の水混和性ベヒクル(ただしこれらに限定されない);及び、コーン油、綿実油、落花生油、ごま油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル等の非水性ベヒクルがあげられるが、これらに限定されない。
ここに開示された1つ以上の活性成分の溶解度を高める化合物もまた、本発明の非経口剤形に組み込むこともできる。
ここに開示された1つ以上の活性成分の溶解度を高める化合物もまた、本発明の非経口剤形に組み込むこともできる。
経皮投与の剤形を用いてもよい。当該形態としては、「リザーバタイプ」又は「マトリクスタイプ」のパッチがあげられ、これを皮膚に塗布し、特定の期間装着することで、所望の量の活性成分を浸透させることができる。
本発明に含まれる経皮的及び局所的な剤形を提供するために用いることができる適当な賦形剤(例えば、担体や希釈剤等)及び他の材料は医薬業界の当業者には公知であり、所定の医薬組成物又は剤形が適用される特定の組織によって異なる。この事実を考慮すると、代表的な賦形剤としては、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1、3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。
処理される特定の組織に応じて、本発明の活性成分による処理の前、併用、又は後にさらなる成分を用いることができる。例えば、浸透促進剤は活性成分の組織への送達を補助するために用いることができる。適当な浸透促進剤としては、エタノール、オレイユ、テトラヒドロフリル等の各種アルコール;ジメチルスルホキシド等のアルキルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン等のピロリドン類;オリドン等級(ポビドン、ポリビドン);尿素;及びTween80(ポリソイベート80)やSpan60(モノステアリン酸ソルビタン)等の水溶性又は不溶性の様々な糖エステル等があげられるが、これらに限定されない。
1つ以上の活性成分の送達を改善するために、医薬組成物又は剤形、あるいは医薬組成物又は剤形が適用される組織のpHを調整することもできる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、又は強直性を調整して、送達性を向上させることができる。ステアリン酸塩等の化合物を医薬組成物又は剤形に添加して、1つ以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変化させ、送達性を改善することもできる。この点で、ステアリン酸塩は製剤用の脂質ベヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、及び送達促進剤又は浸透促進剤として機能することができる。活性成分の異なる塩、水和物又は溶媒和物を用いて、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
線維化又は炎症性の状態が真皮又は皮下に浸潤する場合、局所剤形を用いることができる。当該形態には、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、乳液、懸濁液、又は当業者に公知の他の形態があげられるが、これらに限定されない。
本発明に含まれる経皮的及び局所的な剤形を提供するために用いることができる適当な賦形剤(例えば、担体や希釈剤等)及びその他の材料は、医薬業界の当業者には公知であり、所定の医薬組成物又は剤形が適用される特定の組織に依存する。この事実を考慮すると、通常の賦形剤としては、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1、3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。
処理される特定の組織に応じて、本発明の活性成分による処理の前、併用、又は後にさらなる成分を用いることができる。例えば、浸透促進剤は活性成分の組織への送達を補助するために用いることができる。適当な浸透促進剤としては、エタノール、オレイユ、テトラヒドロフリル等の各種アルコール;ジメチルスルホキシド等のアルキルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン等のピロリドン類;オリドン等級(ポビドン、ポリビドン);尿素;及びTween80(ポリソイベート80)やSpan60(モノステアリン酸ソルビタン)等の水溶性又は不溶性の様々な糖エステル等があげられるが、これらに限定されない。
粘膜投与形態は、眼科用溶液、スプレー及びエアロゾル、または当業者に公知の他の形態を含むが、これらに限定されないものを用いてよい。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した剤形は、洗口剤又は口腔用として製剤化することができる。一実施形態では、エアロゾルは担体を含む。他の実施形態では、エアロゾルは担体フリーである。
本発明のフラボノイドはまた、吸入によって肺に直接投与することもできる。吸入による投与の場合、フラボノイドは多数の異なる装置によって肺に都合よく送達されることができる。
フラボノイドはまた、デポ製剤として製剤化することもできる。当該長時間作用型製剤は、移植(例えば皮下又は筋肉内)又は筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、化合物は、適当な高分子又は疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂と共に、あるいは、例えば、難溶性の塩として、難溶性誘導体として、製剤化することができる。
あるいは、他の医薬品送達システムを採用してもよい。リポソームやエマルジョンは、フラボノイドの送達に用いることができる送達ベヒクルの公知の例である。ジメチルスルホキシド等の特定の有機溶媒を用いることもできるが、通常、毒性が強くなる。フラボノイドはまた、放出制御システムで送達することもできる。一実施形態では、ポンプを用いることができる。他の実施形態では、高分子材料を用いることができる。さらに他の実施形態では、放出制御システムを本発明の化合物の標的、例えば、肺の近傍に配置することができ、そのため全身投与量のほんの一部しか必要としない。
本発明に含まれる粘膜剤形を提供するために用いることができる適当な賦形剤(例えば、担体や希釈剤等)及び他の材料は、医薬業界の当業者には公知であり、所定の医薬組成物又は剤形が投与される特定の部位又は方法による。この事実を考慮すると、通常の賦形剤には、水、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1、3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。
1つ以上の活性成分の送達を改善するために、医薬組成物又は剤形、あるいは医薬組成物又は剤形が適用される組織のpHを調整することもできる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、又は強直性を調整して、送達性を向上させることができる。ステアリン酸塩等の化合物を医薬組成物又は剤形に添加して、1つ以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変化させ、送達性を改善することもできる。この点で、ステアリン酸塩は製剤用の脂質ベヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、及び送達促進剤又は浸透促進剤として機能することができる。活性成分の異なる塩、水和物又は溶媒和物を用いて、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
本発明のある実施形態では、フラボノイドを製剤化するか、又はアミノ酸と併用投与する。フラボノイドとアミノ酸は相乗的に作用して、予防や炎症性症状、特に喘息や急性呼吸窮迫症候群(新型コロナウイルス感染症で発見されたCOVID-19等)等の気道の炎症性症状を治療することが提唱される。特に有効なアミノ酸としてはL-グリシンとL-チロシンがあげられる。p-クレゾール硫酸等の腸内細菌代謝物をフラボノイドと併用してよく、アミノ酸等の第3の活性物質と併用してもよい。
フラボノイドは、食品組成物、市販品、及び栄養補助食品等の栄養製品に取り込まれてよいが、これらに限定されない。フラボノイドは同時に消費されるように様々な食品に添加されてよい。本発明のフラボノイドは、食品添加物としては、従来の食品添加物と同様に用いることができるため、他の成分と混合するだけで味覚を高めることができる。
栄養補助食品は、同じ製剤成分を用いず、また、医薬組成物と同等の無菌その他の医薬品規制当局の要件を備える場合もあることが認識されるであろう。栄養補助食品は、例えば溶液、シロップ又は懸濁液等の液状でも、使用前に水又は他の適当な液体で再構成するための製品形態でもよい。当該液体製剤は、お茶、健康飲料、ダイエットシェイク、液体濃縮物、又は液体可溶性錠剤、カプセル、錠剤、粉末等の通常の方法によって、液体可溶性錠剤、カプセル、錠剤、又は粉末を液体内に溶解し、得られた飲料を飲用することによって飲料を調製できるように調製することができる。あるいは、栄養補助食品は、従来の方法で調製された錠剤又はカプセルの形態であってよく、場合によっては、ビタミン、ミネラル、他のハーブ補助食品、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、又は湿潤剤を含む他の栄養補助食品を含むことができ、上記のように、錠剤は、当業界で公知の方法でコーティングすることができる。好ましい実施形態では、栄養補助食品は、経口摂取のために液体に溶解するカプセル又は粉末の形態をとることができる。
飲料又は食品に含まれるフラボノイドの量は、飲料や食品の種類、目的とする効果によって異なる。一般に、一食分は食品組成物の約0.1%~約50%、約0.5%~約20%の量を含む。より好ましくは、食品は、食品組成物の質量比で約1%~約10%の量のフラボノイドを含む。食品の例としては、菓子(キャンディー、ゼリー、ジャム等)、ガム、餡、焼き菓子又は成型菓子(クッキー、ビスケット等)、蒸し菓子、カカオ又はカカオ製品、冷凍菓子(アイスクリーム、アイス等)、飲料(果汁、清涼飲料水、炭酸飲料)、健康飲料、ヘルスバー、茶(緑茶、紅茶等)等の菓子類があげられるが、これらに限定されない。
ピノセンブリンは本発明による好ましいフラボノイドである。ピノセンブリンの製造方法には主として3つの方法がある。ピノセンブリンの抽出には、出発材料として、例えば、出発物質として、植物材料、蜂蜜又はプロポリス、菌類等を用いることができる。
費用、効率又は消費者の嗜好の理由から、化合物は、好ましくは、天然資源から抽出されてよい。当該化合物は多種多様な植物に存在するが、いくつかの科においてより多く存在する。植物の特定の部位に一様に発生するわけではないが、各科は同じ部位に集中する傾向がある。病原菌の攻撃に備えた、植物の保護機能と考えられている。大多数の植物は(S)-ピノセンブリンを含むようであるが、中には(R)-エナンチオマーやラセミ体を含むものもある。
ユーカ属の多くの種はピノセンブリンを含み、中には非常に高いレベルのものもある。例えば、ユーカリ・トレリアーナは、この化合物を果実樹脂中で3.7%のレベルまで発現させることができる。葉由来の材料ではより低いが、それでも実用的かつ経済的な抽出には十分なレベルである。
ピノセンブリンの最も高い収量のいくつかは、アルピニア属の種に由来し、実際にはアルピニア・カツマダイが主要な商業的供給源である。この種について報告されている収量は、種子からの613mg/kg~2490mg/kgの範囲である。Alpinia officinariumの根茎から32000mg/kgが単離されている。
甘草(Glycyrrhiza glabra)の葉は、特にピノセンブリン濃度が高く、24100mg/kgまでと報告されている。
Leptospermum polygalifoliumとLeptospermum scopariumの単花蜂蜜からピノセンブリンが検出されている。このことは、これらの植物の蜜にはピノセンブリンが含まれており、そのレベルは60~260mg/kgのレベルであることを示す。
ピノセンブリンはSyzygium jambosの花とS.samarangenseの葉と果実から単離された。果実中の含有量は2.2mg/kgと特に高くないが、用いることができる。
好ましくは、ピノセンブリンは、クロマトグラフィーを用いずに植物源から単離される。クロマトグラフィーを用いなければならない場合、抽出物の複雑さと必要な溶媒量を最小限に抑えるために、プロセスをできるだけ後で行う必要がある。
Eucalyptus sieberiから3種のフラバノイドのみの粗混合物を以下の手順で単離した。室温でメタノール抽出後、部分濃縮し、水に注ぎ、沈殿物を濾過して除去する。フラバノイドが沈殿に残らなくなるまで、メタノール中で沈殿の再溶解と水による再沈殿を繰り返した。混合したメタノール水溶液の濃縮と、石油精によるクロロフィルとワックスを抽出する。数日間の石油精の部分濃縮とエーテルによる液液抽出を行う。部分濃縮し、冷所で沈殿させた後、クロマトグラフィーで分離する。
大量のメタノール水溶液を濃縮する他の方法としては、XAD等のマクロポーラス樹脂に通し、勾配溶出を行い、目的画分を回収して濃縮する方法があげられる。それにもかかわらず、クロマトグラフィーは必要である。
フラバノイドを含む粗抽出物は、乾燥葉からの室温抽出、及びn-ヘキサン60又はメタノールによるソックスレー抽出によって得た。室温抽出ソックスレー抽出は低温抽出よりも溶媒の使用量が少なく、ピノセンブリンが68℃まで長期間生存できることを示す。メタノールによる抽出は、ソックスレー抽出(64.7℃、32時間)、超音波補助抽出(超音波、40℃、30分×3回)、60℃(100bar、20分、2サイクル)、80℃(100bar、20分、2サイクル)、100℃(100bar、20分、2サイクル)での加速溶媒抽出により、各々3.2g、2.6g、3.3g、3.6g、3.5gの抽出物が得られた。
大量のメタノール水溶液を濃縮する他の方法としては、XAD等のマクロポーラス樹脂に通し、勾配溶出を行い、目的画分を回収して濃縮する方法があげられる。それにもかかわらず、クロマトグラフィーは必要である。
フラバノイドを含む粗抽出物は、乾燥葉からの室温抽出、及びn-ヘキサン60又はメタノールによるソックスレー抽出によって得た。室温抽出ソックスレー抽出は低温抽出よりも溶媒の使用量が少なく、ピノセンブリンが68℃まで長期間生存できることを示す。メタノールによる抽出は、ソックスレー抽出(64.7℃、32時間)、超音波補助抽出(超音波、40℃、30分×3回)、60℃(100bar、20分、2サイクル)、80℃(100bar、20分、2サイクル)、100℃(100bar、20分、2サイクル)での加速溶媒抽出により、各々3.2g、2.6g、3.3g、3.6g、3.5gの抽出物が得られた。
本組成物に用いるピノセンブリンは、大腸菌、Saccharomyces cerevisiae及びStreptomyces venezuelaeにおける発酵法により得ることができる。最初の2つは(S)-ピノセンブリンを産生するようであるが、S.venezuelaeはラセミ体を産生する。
細胞培養は、無傷の植物よりも多量に蓄積する場合があるため、植物由来の代謝産物(ピノセンブリン等)を生産する手段として提案されている。ジンチョウゲ科(Zingiberaceae)の植物は多量のピノセンブリンを産生する。この科に属するBoesenbergia rotundaでは9.2g/kgまで報告されている。細胞懸濁培養は、ナフチル酢酸と2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の培地を用いた分裂組織由来のカルスを用いて確立された。沈降細胞体積1.0mLを接種すると、最大で乾燥質量8.6mg/kgのピノセンブリンが蓄積した。
ピノセンブリンの化学合成は多数報告されている。例えば、ピノセンブリンはL-フェニルアラニンから生合成することができる。この変換には4つの触媒工程を要する。まず、L-フェニルアラニンはフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)によって桂皮酸に変換される。次に、ケイ皮酸は4-クマル酸:CoAリガーゼ(4CL)によって対応する補酵素A(CoA)エステルに変換される。次に、カルコンシンターゼ(CHS)の触媒作用により、3分子のマロニルCoAと1分子のシンナミルCoAエステルが段階的に縮合して(2S)-ピノセンブリンカルコンが生成する。最後にカルコンイソメラーゼ(CHI)はカルコンを(2S)-ピノセンブリンに変換する。
組成物のある実施形態では、フラバノンはピノセンブリンであり、好ましくは、以下に示す(S)-ピノセンブリンである。
ある実施形態では、ピノストロビン(5位のヒドロキシル基と7位のメトキシ基で置換された(2S)-フラバノンである。
他の潜在的に有用な化合物としては、フラバノンのクリシン、ガランギン、ピノバンクシンがあげられる。
ヒツジ肺モデルにおける炎症及び線維症の治療における5,7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-4H-クロメン-4-オン(PINOCEMBRIN)の効能の実証
動物モデルでは、ブレオマイシンは肺線維症を特徴づけるために最も汎用されている薬剤である。ヒツジモデルでは、肺実質の線維化を誘発するためにブレオマイシンを2回気管内投与する。全体的な研究プロトコルを図1に示す。
動物モデルでは、ブレオマイシンは肺線維症を特徴づけるために最も汎用されている薬剤である。ヒツジモデルでは、肺実質の線維化を誘発するためにブレオマイシンを2回気管内投与する。全体的な研究プロトコルを図1に示す。
実験動物
本実施例では、生後9か月から1歳までの雌のメリノ種ヒツジ3頭を用いた。動物は屋内に収容され、既存の寄生虫病の治療のために駆虫薬を投与された。ヒツジは、実験開始前の臨床検査と剖検時の肉眼的病理検査により、重大な肺疾患はないと判断された。メルボルン大学の動物実験倫理委員会は、科学的目的のための実験動物の飼育と使用に関するオーストラリアの行動規範に遵守しており、以下に概説するすべての実験手順を承認した。
本実施例では、生後9か月から1歳までの雌のメリノ種ヒツジ3頭を用いた。動物は屋内に収容され、既存の寄生虫病の治療のために駆虫薬を投与された。ヒツジは、実験開始前の臨床検査と剖検時の肉眼的病理検査により、重大な肺疾患はないと判断された。メルボルン大学の動物実験倫理委員会は、科学的目的のための実験動物の飼育と使用に関するオーストラリアの行動規範に遵守しており、以下に概説するすべての実験手順を承認した。
ブレオマイシンの投与と治療プロトコル
図2に示すように、医薬品グレードの硫酸ブレオマイシン(ホスピラ、メルボルン、オーストラリア)を用いて、すべての動物の肺の左尾葉内の生きているヒツジに線維症を誘発させた。硫酸ブレオマイシンを0.6U/mLの生理食塩水の濃度で作成し、左尾葉と右尾葉に1セグメントあたり3Uの比率で投与し、組織に損傷を与えて線維症を誘発させた。左尾葉に対して、10% DMSO中のピノセンブリン7mgを投与し、ピノセンブリンのブレオマイシン誘発線維症の治療又は予防に対する効能を検討した。右尾葉をブレオマイシンによって損傷を誘発し、DMSOのみを投与して、左右の尾葉間の差次的影響がピノセンブリンに起因するようにした。
偽処置として右中葉に生理食塩水を投与した。
ブレオマイシン、ブレオマイシン/ピノセンブリン、及び生理食塩水の各組成物を、5mlのボーラスとして適当な肺セグメントに光ファイバー気管支鏡の生検ポートを介して投与した。
様々な組成物の投与のタイミングを図1に概説したが、3頭のヒツジは全て12週目に安楽死させた。
図2に示すように、医薬品グレードの硫酸ブレオマイシン(ホスピラ、メルボルン、オーストラリア)を用いて、すべての動物の肺の左尾葉内の生きているヒツジに線維症を誘発させた。硫酸ブレオマイシンを0.6U/mLの生理食塩水の濃度で作成し、左尾葉と右尾葉に1セグメントあたり3Uの比率で投与し、組織に損傷を与えて線維症を誘発させた。左尾葉に対して、10% DMSO中のピノセンブリン7mgを投与し、ピノセンブリンのブレオマイシン誘発線維症の治療又は予防に対する効能を検討した。右尾葉をブレオマイシンによって損傷を誘発し、DMSOのみを投与して、左右の尾葉間の差次的影響がピノセンブリンに起因するようにした。
偽処置として右中葉に生理食塩水を投与した。
ブレオマイシン、ブレオマイシン/ピノセンブリン、及び生理食塩水の各組成物を、5mlのボーラスとして適当な肺セグメントに光ファイバー気管支鏡の生検ポートを介して投与した。
様々な組成物の投与のタイミングを図1に概説したが、3頭のヒツジは全て12週目に安楽死させた。
剖検及び組織採取
ヒツジは、組織採取と分析のために、図1に概説したように、12週目にバルビツール酸(Lethabarb,Veterinary Clinic,メルボルン大学,ウェリビー,オーストラリア)の静脈内過剰投与によって安楽死させた。
安楽死後、肺を摘出し、標的肺セグメントを同定し、周囲の組織とは別に慎重に剥離した。その後、個々のセグメントをOCT及び滅菌PBS溶液の1:1混合液で膨張させた。この膨張手順により、ホルマリンで固定するか、又は凍結して凍結切片にする前に、肺セグメント組織が膨張状態に維持される。
2mmの厚さの横断切片を採取し、処理した各セグメントを10%中性緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンで処理し、病理組織学的評価を行った。残りの肺切片をOCTに包埋し、液体窒素上に浮かべたアルミニウムボート上のクライオモールドで凍結した。これらは凍結切片と免疫組織学のために-80°Cで保管した。
ヒツジは、組織採取と分析のために、図1に概説したように、12週目にバルビツール酸(Lethabarb,Veterinary Clinic,メルボルン大学,ウェリビー,オーストラリア)の静脈内過剰投与によって安楽死させた。
安楽死後、肺を摘出し、標的肺セグメントを同定し、周囲の組織とは別に慎重に剥離した。その後、個々のセグメントをOCT及び滅菌PBS溶液の1:1混合液で膨張させた。この膨張手順により、ホルマリンで固定するか、又は凍結して凍結切片にする前に、肺セグメント組織が膨張状態に維持される。
2mmの厚さの横断切片を採取し、処理した各セグメントを10%中性緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンで処理し、病理組織学的評価を行った。残りの肺切片をOCTに包埋し、液体窒素上に浮かべたアルミニウムボート上のクライオモールドで凍結した。これらは凍結切片と免疫組織学のために-80°Cで保管した。
セグメント肺の機能解析
覚醒状態で、楔形気管支鏡技術を用いてヒツジを意識的に呼吸させながら、図2に示すように異なるセグメント内を流れる圧力応答を用いて、セグメントコンプライアンス(Cseg)を評価した。簡潔には、特注のセグメント肺気道モニタリング(SLAM)システムを用いて、セグメントの流れと圧力を監視した。まず、設定した流量に対する気管支鏡の抵抗を測定後、気管支鏡を対象の肺セグメントの気道に楔着し、空気中の5% CO2の一定流量(6mL/s)を気管支鏡の作用経路に通した。
肺セグメントのコンプライアンスを算出した。簡潔には、気管支鏡を肺の特定の領域に挿入した後、圧力が定常状態になるようにした。定常状態で約5秒後、気流を遮断し、気流供給を停止した。次に、この手順から生成された圧力-流量減衰曲線からセグメントコンプライアンスを算出した。このプロセスをセグメントごとに3回繰り返し、Csegの平均値として表した。圧力はPM-1000トランスデューサアンプ(CWE Inc.(米国アドモア))で記録し、流量は質量流量計(824-S、Sierra Instruments(米国モントレー))で記録した。データはData Acquisition Card(PCI-6233;National Instruments Corp.(米国オースティン))で取得し、SLAMシステム(Latitude E 6520、Dell Computer Corporation(米国テキサス州)及びLabVIEW、National Instruments Corp.(米国オースティン州))で解析した。抵抗測定値はすべて、気管支鏡の作動チャネルを通る流れの抵抗について補正された。
覚醒状態で、楔形気管支鏡技術を用いてヒツジを意識的に呼吸させながら、図2に示すように異なるセグメント内を流れる圧力応答を用いて、セグメントコンプライアンス(Cseg)を評価した。簡潔には、特注のセグメント肺気道モニタリング(SLAM)システムを用いて、セグメントの流れと圧力を監視した。まず、設定した流量に対する気管支鏡の抵抗を測定後、気管支鏡を対象の肺セグメントの気道に楔着し、空気中の5% CO2の一定流量(6mL/s)を気管支鏡の作用経路に通した。
肺セグメントのコンプライアンスを算出した。簡潔には、気管支鏡を肺の特定の領域に挿入した後、圧力が定常状態になるようにした。定常状態で約5秒後、気流を遮断し、気流供給を停止した。次に、この手順から生成された圧力-流量減衰曲線からセグメントコンプライアンスを算出した。このプロセスをセグメントごとに3回繰り返し、Csegの平均値として表した。圧力はPM-1000トランスデューサアンプ(CWE Inc.(米国アドモア))で記録し、流量は質量流量計(824-S、Sierra Instruments(米国モントレー))で記録した。データはData Acquisition Card(PCI-6233;National Instruments Corp.(米国オースティン))で取得し、SLAMシステム(Latitude E 6520、Dell Computer Corporation(米国テキサス州)及びLabVIEW、National Instruments Corp.(米国オースティン州))で解析した。抵抗測定値はすべて、気管支鏡の作動チャネルを通る流れの抵抗について補正された。
組織学
パラフィン包埋組織切片(5μm)をヘマトキシリン及びエオシンY(H&E)で染色して一般組織学と病理学的変化の評価を行い、マッソンのトリクローム染色を用いて肺実質内のコラーゲン含有量の変化を同定した。線維性肺損傷は、以下のように半定量的及び定量的パラメータによって形態学的に評価した。
(i)半定量的形態指数(SMI)
肺実質の組織病理は、半定量的スコアリングシステムを用いて、治療群に盲検化された経験豊富な病理医によって評価された。簡潔には、用いられる基準は炎症と線維症の両方の病理のスコア指標を各々示し、これらのスコア指標を合計して「総合病理学スコア」を得る。
(ii)定量的画像解析(QIA)
a)線維化分画:線維化の程度、すなわちコラーゲン含有量を定量化し、実質組織内の総コラーゲン含有量の変化の指標を示した。簡潔には、マッソンのトリクローム染色されたスライドを、Miraxスライドスキャナー(Carl Zeiss Micro-Imaging社(ドイツ・イエナ))を用いてデジタル形式にスキャンした。明らかな気道及び/又は血管のない10の連続した非重複領域を解析用に選択した。各フィールドはImage Pro plus(Windows6.3版、Media Cybernetics,Bethesda,Maryland,USA)を用いて分析し、「カラーセレクター」ツールを用いて各フィールド内の青色に染色された組織(コラーゲン)の領域を測定した。10の各フィールドの青色に染色されたコラーゲン領域の比率を各スライドで平均化した。線維症の比率の面積を、フィールドの総面積に対する比率で表す。
b)形態計測:肺組織のパラフィン包埋切片を形態計測評価のためにH&Eで染色した。対照群及びブレオマイシン投与群の肺セグメントから得られた肺実質のデジタル画像を、Image Pro Plusソフトウェアにインポートして分析した。測定は、Image Proを用いて生成されたカスタム設計のテストグリッドを肺実質に重ねることによって行われた。組織分画と気腔分画は、ポイントカウント法によって実質組織内で測定した。最終倍率200倍で計15フィールドから解析を行った。
パラフィン包埋組織切片(5μm)をヘマトキシリン及びエオシンY(H&E)で染色して一般組織学と病理学的変化の評価を行い、マッソンのトリクローム染色を用いて肺実質内のコラーゲン含有量の変化を同定した。線維性肺損傷は、以下のように半定量的及び定量的パラメータによって形態学的に評価した。
(i)半定量的形態指数(SMI)
肺実質の組織病理は、半定量的スコアリングシステムを用いて、治療群に盲検化された経験豊富な病理医によって評価された。簡潔には、用いられる基準は炎症と線維症の両方の病理のスコア指標を各々示し、これらのスコア指標を合計して「総合病理学スコア」を得る。
(ii)定量的画像解析(QIA)
a)線維化分画:線維化の程度、すなわちコラーゲン含有量を定量化し、実質組織内の総コラーゲン含有量の変化の指標を示した。簡潔には、マッソンのトリクローム染色されたスライドを、Miraxスライドスキャナー(Carl Zeiss Micro-Imaging社(ドイツ・イエナ))を用いてデジタル形式にスキャンした。明らかな気道及び/又は血管のない10の連続した非重複領域を解析用に選択した。各フィールドはImage Pro plus(Windows6.3版、Media Cybernetics,Bethesda,Maryland,USA)を用いて分析し、「カラーセレクター」ツールを用いて各フィールド内の青色に染色された組織(コラーゲン)の領域を測定した。10の各フィールドの青色に染色されたコラーゲン領域の比率を各スライドで平均化した。線維症の比率の面積を、フィールドの総面積に対する比率で表す。
b)形態計測:肺組織のパラフィン包埋切片を形態計測評価のためにH&Eで染色した。対照群及びブレオマイシン投与群の肺セグメントから得られた肺実質のデジタル画像を、Image Pro Plusソフトウェアにインポートして分析した。測定は、Image Proを用いて生成されたカスタム設計のテストグリッドを肺実質に重ねることによって行われた。組織分画と気腔分画は、ポイントカウント法によって実質組織内で測定した。最終倍率200倍で計15フィールドから解析を行った。
免疫組織化学
凍結組織切片で免疫組織化学を行った。切片を100%冷エタノールで10分間固定し、同時に3% H2O2で内因性ペルオキシダーゼをブロックした(ユニバー、ノックスビル、ヴィック、オーストラリア)。その後、切片をブロッキング液(ウシ血清アルブミン1%、PBSで正常なヒツジ血清5%)で30分間プレブロッキングした。ブロック後、切片をCD4及びCD8陽性炎症細胞(各々米国ローリーのAbD Serotechから得られたマウス抗体)に対する一次抗体と共にインキュベートした。
洗浄後、切片を適当な二次抗体(ウサギ抗マウスIg/HRP;AbD Serotech(米国ローリー))と共に1時間インキュベートした。次に切片を洗浄し、ペルオキシダーゼベースの検出システムを用いて可視化した。特異度は、二次対照に対する一次抗体の省略、及び生物学的に無関係なアイソタイプコントロールによって決定された。
凍結組織切片で免疫組織化学を行った。切片を100%冷エタノールで10分間固定し、同時に3% H2O2で内因性ペルオキシダーゼをブロックした(ユニバー、ノックスビル、ヴィック、オーストラリア)。その後、切片をブロッキング液(ウシ血清アルブミン1%、PBSで正常なヒツジ血清5%)で30分間プレブロッキングした。ブロック後、切片をCD4及びCD8陽性炎症細胞(各々米国ローリーのAbD Serotechから得られたマウス抗体)に対する一次抗体と共にインキュベートした。
洗浄後、切片を適当な二次抗体(ウサギ抗マウスIg/HRP;AbD Serotech(米国ローリー))と共に1時間インキュベートした。次に切片を洗浄し、ペルオキシダーゼベースの検出システムを用いて可視化した。特異度は、二次対照に対する一次抗体の省略、及び生物学的に無関係なアイソタイプコントロールによって決定された。
肺実質細胞数
CD4、CD8(上記参照)のいずれかで免疫組織化学的に染色された個々の組織切片について、肺実質領域の陽性細胞数を評価した。無傷の肺実質の領域は、目盛り付きの顕微鏡を用いて400倍の倍率で視覚化した。目盛りの境界内にあるすべての陽性細胞を数え、必要に応じて視野を新しい領域に再配置して少なくとも100個の陽性細胞を数え、フィールドの数とヒツジあたりの細胞の総数の両方を記録した。400倍の倍率での目盛りの面積は0.078mm2であり、これを用いて細胞密度(細胞/領域;データは細胞(cells)/mm2として表示される)を算出した。
CD4、CD8(上記参照)のいずれかで免疫組織化学的に染色された個々の組織切片について、肺実質領域の陽性細胞数を評価した。無傷の肺実質の領域は、目盛り付きの顕微鏡を用いて400倍の倍率で視覚化した。目盛りの境界内にあるすべての陽性細胞を数え、必要に応じて視野を新しい領域に再配置して少なくとも100個の陽性細胞を数え、フィールドの数とヒツジあたりの細胞の総数の両方を記録した。400倍の倍率での目盛りの面積は0.078mm2であり、これを用いて細胞密度(細胞/領域;データは細胞(cells)/mm2として表示される)を算出した。
気管支肺胞洗浄の採取
全ヒツジの各々の肺セグメントから気管支肺胞(BAL)液を採取して分析した。BAL細胞/液体を収集するために、柔軟性のある光ファイバー気管支鏡を選択した肺セグメントに進め、約10mLのPBS溶液のアリコートを滴下及び吸引して洗浄物を収集した。試料は直ちに氷上に置かれた。洗浄液を1000rpmで7分間遠心分離して細胞を除去することにより、上清から細胞を分離した。上清は用いるまで-80°Cで保存した。
全ヒツジの各々の肺セグメントから気管支肺胞(BAL)液を採取して分析した。BAL細胞/液体を収集するために、柔軟性のある光ファイバー気管支鏡を選択した肺セグメントに進め、約10mLのPBS溶液のアリコートを滴下及び吸引して洗浄物を収集した。試料は直ちに氷上に置かれた。洗浄液を1000rpmで7分間遠心分離して細胞を除去することにより、上清から細胞を分離した。上清は用いるまで-80°Cで保存した。
この説明を検討した後、当業者には、本発明を様々な代替実施形態及び代替用途でどのように実施するかは明らかであろう。しかしながら、本発明の様々な実施形態が本明細書で説明されるが、これらの実施形態は、限定ではなく、例示としてのみ提示され、限定されるものではないことが理解される。そのため、様々な代替的な実施形態のこの説明は、本発明の範囲または幅を制限するように解釈されるべきではない。さらに、利点又は他の態様の記載は、特定の例示的な実施形態に適用され、必ずしもすべての実施形態、又は実際に特許請求の範囲によってカバーされるいかなる実施形態には適用されるわけではない。
現在のデータを考慮すると、3頭のヒツジすべてにおいて、ブレオマイシンの投与は、偽処置された右内側セグメントと比較して、肺機能に悪影響を及ぼし、炎症を高め、線維症を誘発したことが明らかである。左右の尾側セグメントのデータを比較すると、肺機能の改善と炎症と線維化の低下がピノセンブリン投与に起因していることがわかる。ピノセンブリンの有益な効果は統計的に有意であり、3頭すべてのヒツジで認められた。
現在のデータを考慮すると、3頭のヒツジすべてにおいて、ブレオマイシンの投与は、偽処置された右内側セグメントと比較して、肺機能に悪影響を及ぼし、炎症を高め、線維症を誘発したことが明らかである。左右の尾側セグメントのデータを比較すると、肺機能の改善と炎症と線維化の低下がピノセンブリン投与に起因していることがわかる。ピノセンブリンの有益な効果は統計的に有意であり、3頭すべてのヒツジで認められた。
ヒツジ肺モデルにおける炎症及び線維症の治療における5,7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-4H-クロメン-4-オン(PINOCEMBRIN)の単一の尾側肺セグメントへの注入による効能の実証
材料・方法・分析
ヒツジ肺セグメントにおける線維症の誘発
本実施例では、合計10頭のヒツジを用いた。本明細書実施例1で実施したのと同様の方法で、各ヒツジの2つの肺セグメントで線維化を行った。この手順(詳細は後述)を用いて、線維化を肺の小さな孤立した領域に限定し、健常で、影響を受けていない肺の残りの90~95%が正常な呼吸機能を担うようにした。
この研究で用いたすべてのヒツジ(n=10)は、2週間間隔で、肺セグメントごとにブレオマイシン(3単位)を2回単回投与し、最終的なブレオマイシン投与後、5週間余り飼育した。ブレオマイシンは肺の線維症を誘発する薬剤として公知である。投与手順は、左右の肺の肺セグメントに気管支鏡を挿入し、気管支鏡生検ポートを介して図2に示すように、ブレオマイシンを2つのセグメントにゆっくりと注入する。
材料・方法・分析
ヒツジ肺セグメントにおける線維症の誘発
本実施例では、合計10頭のヒツジを用いた。本明細書実施例1で実施したのと同様の方法で、各ヒツジの2つの肺セグメントで線維化を行った。この手順(詳細は後述)を用いて、線維化を肺の小さな孤立した領域に限定し、健常で、影響を受けていない肺の残りの90~95%が正常な呼吸機能を担うようにした。
この研究で用いたすべてのヒツジ(n=10)は、2週間間隔で、肺セグメントごとにブレオマイシン(3単位)を2回単回投与し、最終的なブレオマイシン投与後、5週間余り飼育した。ブレオマイシンは肺の線維症を誘発する薬剤として公知である。投与手順は、左右の肺の肺セグメントに気管支鏡を挿入し、気管支鏡生検ポートを介して図2に示すように、ブレオマイシンを2つのセグメントにゆっくりと注入する。
本明細書の実施例1に詳述されている試験では、ピノセンブリンの用量比はヒツジ1匹あたり7mg/週であった。この比較的低用量により、1つの肺セグメントの比較的小さな領域のみが治療され、全肺や全身では治療されなかったという事実に到達するが、それは、もしそうでなければ、各ヒツジに著しく多くの薬剤が必要になったであろうということに留意されたい。実施例1の試験ではヒツジ1頭あたり7mgであったことから、本実施例でも同じ投与量とした(すなわち、7mgのピノセンブリンが各ヒツジの単一の尾側肺セグメントに注入された)。ピノセンブリンを10% DMSOに溶解し、図1に示すように1週間間隔で4回投与した。
投与手順は、図1に示すように、溶媒中の生理活性分子を肺セグメントに注入することがあげられる。対照目的のために、反対側の肺の肺セグメントを、図1に示すように、薬剤なしで、ブレオマイシン陽性対照として用いた。ベヒクル中の生理活性分子は、気管支鏡の生検ポートを通して5mlの注入液として送達された。左肺と右肺の間のいかなる微差(例えば生理学的、解剖学的等)も無効にするため、ピノセンブリンの注入は左と右の尾側肺セグメントの間で無作為化されたことに留意されたい。半数のヒツジ(5頭)にはピノセンブリンを右尾側肺セグメントに投与し、残りの5頭にはピノセンブリンを左尾側肺セグメントに投与した。右内側肺セグメントは未処理のままとし、剖検時に採取された健常な肺の対照組織として用いた(図2)。
投与手順は、図1に示すように、溶媒中の生理活性分子を肺セグメントに注入することがあげられる。対照目的のために、反対側の肺の肺セグメントを、図1に示すように、薬剤なしで、ブレオマイシン陽性対照として用いた。ベヒクル中の生理活性分子は、気管支鏡の生検ポートを通して5mlの注入液として送達された。左肺と右肺の間のいかなる微差(例えば生理学的、解剖学的等)も無効にするため、ピノセンブリンの注入は左と右の尾側肺セグメントの間で無作為化されたことに留意されたい。半数のヒツジ(5頭)にはピノセンブリンを右尾側肺セグメントに投与し、残りの5頭にはピノセンブリンを左尾側肺セグメントに投与した。右内側肺セグメントは未処理のままとし、剖検時に採取された健常な肺の対照組織として用いた(図2)。
気管支肺胞洗浄のサンプリング手順
図1に示された各時点での気管支肺胞(BAL)サンプリングについて、内視鏡をサンプリングのための特定の肺セグメントに操作し、通常は約3~4本の気道分岐を通過させた。BALサンプリングでは、10mlの滅菌生理食塩水を内視鏡の生検ポートから特定の肺セグメントに注入し、その後同じポートから注射器に回収した。この方法で3~5mlのBAL液を回収した。このサンプリング法は、気管支鏡を操作した特定の肺セグメントの小気道及び肺胞腔から分析用の細胞を採取するものである。各セグメントのBAL細胞をスライドグラス上で遠心分離し、Hem-Quikによる炎症細胞の鑑別細胞計数のために染色した。
図1に示された各時点での気管支肺胞(BAL)サンプリングについて、内視鏡をサンプリングのための特定の肺セグメントに操作し、通常は約3~4本の気道分岐を通過させた。BALサンプリングでは、10mlの滅菌生理食塩水を内視鏡の生検ポートから特定の肺セグメントに注入し、その後同じポートから注射器に回収した。この方法で3~5mlのBAL液を回収した。このサンプリング法は、気管支鏡を操作した特定の肺セグメントの小気道及び肺胞腔から分析用の細胞を採取するものである。各セグメントのBAL細胞をスライドグラス上で遠心分離し、Hem-Quikによる炎症細胞の鑑別細胞計数のために染色した。
肺機能検査と分析
肺機能は、図1に示した時点で、記載された肺セグメントで測定された。肺機能は全ての試験肺セグメント(各ヒツジの左尾葉及び右尾葉、並びに内側葉)で評価した。肺セグメントの機能的能力は、本明細書の実施例1に概説された手順を用いて内視鏡を通して測定された。本実施例で評価した肺機能パラメータは、肺セグメントにおけるコンプライアンス(略してCseg)という。一般に、コンプライアンスは、肺を膨らませるのがどの程度容易かを示す指標である。肺のコンプライアンスが低い場合を、硬い肺といい、通常は膨らませるのがより困難である。
肺機能は、図1に示した時点で、記載された肺セグメントで測定された。肺機能は全ての試験肺セグメント(各ヒツジの左尾葉及び右尾葉、並びに内側葉)で評価した。肺セグメントの機能的能力は、本明細書の実施例1に概説された手順を用いて内視鏡を通して測定された。本実施例で評価した肺機能パラメータは、肺セグメントにおけるコンプライアンス(略してCseg)という。一般に、コンプライアンスは、肺を膨らませるのがどの程度容易かを示す指標である。肺のコンプライアンスが低い場合を、硬い肺といい、通常は膨らませるのがより困難である。
血液サンプリング
図1に示した時間に、頸静脈からヘパリンを含むチューブに10mlの血液を採取して、ヒツジの採血を行った。この血液は血球数分析のために処理された。
図1に示した時間に、頸静脈からヘパリンを含むチューブに10mlの血液を採取して、ヒツジの採血を行った。この血液は血球数分析のために処理された。
ヒツジの安楽死と分析用肺組織の採取
図1に示すように、最後にブレオマイシンを投与してから5週間余り(12週目の初め)にヒツジを安楽死させた。死後、肺を摘出し、標的肺セグメントを同定し、周囲組織から切り離して慎重に剥離した。次に、個々のセグメントを約20cm/H2Oの圧力下で、最適当削温度コンパウンド(Optimal Cutting Temperature Compound)(OCT、ProSciTech Ltd Pty)と滅菌PBS溶液の1:1の混合物で膨張させた。膨張したセグメントのいくつかの連続横断切片を10%中性緩衝ホルマリンで固定し、病理組織学的評価のためにパラフィンで処理した。残りの肺切片をOCTに包埋し、免疫化学分析用に液体窒素上に浮かべたアルミニウムボート上のクライオモールドで凍結した。
パラフィン包埋組織切片(5μm)をヘマトキシリン及びエオシンY(H&E)で染色して一般組織学的に、マッソンのトリクローム染色で肺実質内のコラーゲン含有量の変化を同定した。
図1に示すように、最後にブレオマイシンを投与してから5週間余り(12週目の初め)にヒツジを安楽死させた。死後、肺を摘出し、標的肺セグメントを同定し、周囲組織から切り離して慎重に剥離した。次に、個々のセグメントを約20cm/H2Oの圧力下で、最適当削温度コンパウンド(Optimal Cutting Temperature Compound)(OCT、ProSciTech Ltd Pty)と滅菌PBS溶液の1:1の混合物で膨張させた。膨張したセグメントのいくつかの連続横断切片を10%中性緩衝ホルマリンで固定し、病理組織学的評価のためにパラフィンで処理した。残りの肺切片をOCTに包埋し、免疫化学分析用に液体窒素上に浮かべたアルミニウムボート上のクライオモールドで凍結した。
パラフィン包埋組織切片(5μm)をヘマトキシリン及びエオシンY(H&E)で染色して一般組織学的に、マッソンのトリクローム染色で肺実質内のコラーゲン含有量の変化を同定した。
病理組織学的スコアリング
肺実質の組織病理は、本明細書の実施例1に概略を示す半定量的スコアリングシステムを用いて評価された。簡潔には、組織学スライドはすべて盲検化されていたため、評価者は治療群を知らない。H&E染色された各切片について、線維化、炎症、及び本明細書の実施例1に概説されている全体的な病理スコアのスコアリング基準に基づいて、20倍の倍率で10個の連続した重複しないフィールドを等級付けした。この領域は、太い気道と主要な血管から離して選択された。その後、10分野すべてのスコアを平均して、肺セグメントの切片で評価したパラメータの代表的なスコアを得た。
肺実質の組織病理は、本明細書の実施例1に概略を示す半定量的スコアリングシステムを用いて評価された。簡潔には、組織学スライドはすべて盲検化されていたため、評価者は治療群を知らない。H&E染色された各切片について、線維化、炎症、及び本明細書の実施例1に概説されている全体的な病理スコアのスコアリング基準に基づいて、20倍の倍率で10個の連続した重複しないフィールドを等級付けした。この領域は、太い気道と主要な血管から離して選択された。その後、10分野すべてのスコアを平均して、肺セグメントの切片で評価したパラメータの代表的なスコアを得た。
ヒドロキシプロリンアッセイを用いたコラーゲンタンパク質含有量の分析
ヒドロキシプロリンアッセイを用いて、各セグメントのコラーゲン含有量と濃度を推定した。簡潔には、各セグメントの凍結肺組織を乾燥質量まで凍結乾燥し、6M HClで加水分解し、Beckman DU-64分光光度計(Beckman Coulter Inc,Brea,CA)を用いて558nmで再構成試料(0.1M HCl中)の吸光度を測定することによってヒドロキシプロリン含有量を評価した。trans-L-ヒドロキシ-L-プロリン(Sigma-Aldrich)の標準曲線からヒドロキシプロリン含有量を測定した。コラーゲン含有量は、ヒドロキシプロリンの測定値に6.94(ヒドロキシプロリンはほとんどの組織でコラーゲンのアミノ酸組成の14.4%を占めることに基づく)を乗じて外挿し、乾燥質量組織の比率として表して、コラーゲン濃度を算出した(これはパーセンテージで表した)。
ヒドロキシプロリンアッセイを用いて、各セグメントのコラーゲン含有量と濃度を推定した。簡潔には、各セグメントの凍結肺組織を乾燥質量まで凍結乾燥し、6M HClで加水分解し、Beckman DU-64分光光度計(Beckman Coulter Inc,Brea,CA)を用いて558nmで再構成試料(0.1M HCl中)の吸光度を測定することによってヒドロキシプロリン含有量を評価した。trans-L-ヒドロキシ-L-プロリン(Sigma-Aldrich)の標準曲線からヒドロキシプロリン含有量を測定した。コラーゲン含有量は、ヒドロキシプロリンの測定値に6.94(ヒドロキシプロリンはほとんどの組織でコラーゲンのアミノ酸組成の14.4%を占めることに基づく)を乗じて外挿し、乾燥質量組織の比率として表して、コラーゲン濃度を算出した(これはパーセンテージで表した)。
結合組織含有量の分析:マッソンのトリクロームアッセイ
線維化の程度は、当業者に公知の方法を用いて、実質組織内の全体的な結合組織含有量の変化を評価することによって定量化した。この分析を行うため、結合組織を青色に染色するマッソンのトリクローム染色を用いてヒツジの肺組織のパラフィン切片を染色した。簡潔には、マッソンのトリクローム染色された肺部分の画像を、顕微鏡とコンピュータに接続されたデジタルカメラを用いて撮影した。大血管と気管支を除く10のフィールドをx400の倍率で無作為に撮影した。その後、画像はImage-Pro(登録商標)Plus(Windows6.3版、Media Cybernetics,Bethesda,Maryland,USA)を用いて、「カラーセレクター」ツールを用いて分析し、各フィールド内の青色に染色された組織(コラーゲンやその他の結合組織)の領域を測定した。その後、10枚の画像各々の値をスライドごとに平均化した。青色に染色された組織領域の比率を、全フィールド領域あたりの比率(全フィールド領域あたりの青色に染色された組織領域の比率)として表した。画像の取り込みと解析は、コード化されたスライドで盲検法により行った。
線維化の程度は、当業者に公知の方法を用いて、実質組織内の全体的な結合組織含有量の変化を評価することによって定量化した。この分析を行うため、結合組織を青色に染色するマッソンのトリクローム染色を用いてヒツジの肺組織のパラフィン切片を染色した。簡潔には、マッソンのトリクローム染色された肺部分の画像を、顕微鏡とコンピュータに接続されたデジタルカメラを用いて撮影した。大血管と気管支を除く10のフィールドをx400の倍率で無作為に撮影した。その後、画像はImage-Pro(登録商標)Plus(Windows6.3版、Media Cybernetics,Bethesda,Maryland,USA)を用いて、「カラーセレクター」ツールを用いて分析し、各フィールド内の青色に染色された組織(コラーゲンやその他の結合組織)の領域を測定した。その後、10枚の画像各々の値をスライドごとに平均化した。青色に染色された組織領域の比率を、全フィールド領域あたりの比率(全フィールド領域あたりの青色に染色された組織領域の比率)として表した。画像の取り込みと解析は、コード化されたスライドで盲検法により行った。
肺実質のCD 4+及びCD 8+T細胞の解析
この解析のために、10頭すべてのヒツジの左右尾葉と右内葉の凍結組織切片を切り出し、ガラススライドに載せた。
これらの凍結組織切片に対して、間接免疫ペルオキシダーゼ法を用いて免疫組織化学を行った。ヒツジ細胞表面分子に対する特異的モノクローナル抗体を用いて、CD8及びCD4のTリンパ球亜集団を同定した。細胞数については、面積較正グリッドを用いて最大20個の顕微鏡視野(400倍)で200個の免疫ペルオキシダーゼ陽性細胞をカウントするか、又は頻度の低いカウントで最小20個の顕微鏡視野をカウントした。
この解析のために、10頭すべてのヒツジの左右尾葉と右内葉の凍結組織切片を切り出し、ガラススライドに載せた。
これらの凍結組織切片に対して、間接免疫ペルオキシダーゼ法を用いて免疫組織化学を行った。ヒツジ細胞表面分子に対する特異的モノクローナル抗体を用いて、CD8及びCD4のTリンパ球亜集団を同定した。細胞数については、面積較正グリッドを用いて最大20個の顕微鏡視野(400倍)で200個の免疫ペルオキシダーゼ陽性細胞をカウントするか、又は頻度の低いカウントで最小20個の顕微鏡視野をカウントした。
結果
ピノセンブリン投与の動物の健康と安全性
健康診断は、治療期間中及び安楽死までの試験期間中、定期的に実施された。これは、ピノセンブリン投与が、試験を受けているヒツジに有害な健康問題や副作用を引き起こしていないことを確認するためであった。すべての動物は、ピノセンブリン投与期間(第8~12週、図2)を通して健常であった。この期間中、動物は、当該ヒツジに対して期待される正常範囲内で体重が増え続け(図11)、それ以外の健康上の有害事象は存在しなかった。
ピノセンブリン処理期間中、心拍数及び呼吸数は、これらの飼育条件下のヒツジで予想される正常な範囲内であることがわかった。芯温の測定値も正常範囲内であった。血液中の白血球の微分計数は両測定時点で正常範囲内であった。
要約すると、用いた臨床評価基準に基づいて、ピノセンブリン処置は試験を受けた10頭すべてのヒツジに健康に有害な影響を及ぼさないことが判明した。
ピノセンブリン投与の動物の健康と安全性
健康診断は、治療期間中及び安楽死までの試験期間中、定期的に実施された。これは、ピノセンブリン投与が、試験を受けているヒツジに有害な健康問題や副作用を引き起こしていないことを確認するためであった。すべての動物は、ピノセンブリン投与期間(第8~12週、図2)を通して健常であった。この期間中、動物は、当該ヒツジに対して期待される正常範囲内で体重が増え続け(図11)、それ以外の健康上の有害事象は存在しなかった。
ピノセンブリン処理期間中、心拍数及び呼吸数は、これらの飼育条件下のヒツジで予想される正常な範囲内であることがわかった。芯温の測定値も正常範囲内であった。血液中の白血球の微分計数は両測定時点で正常範囲内であった。
要約すると、用いた臨床評価基準に基づいて、ピノセンブリン処置は試験を受けた10頭すべてのヒツジに健康に有害な影響を及ぼさないことが判明した。
ピノセンブリンが肺機能に及ぼす影響
図12は、ピノセンブリンによる週四回の治療後の異なる肺セグメントの肺機能を示す。測定された肺機能パラメータは局所肺セグメントにおけるコンプライアンスであり、Csegという。一般に、コンプライアンスのレベルが低いほど肺セグメント(つまり、より膨らみにくく、肺が硬くなる)の機能が低下する。予想されたように、ピノセンブリンを含まない損傷剤ブレオマイシンを単独投与された肺セグメントは、未処置の健常な対照肺セグメントよりも平均セグメントコンプライアンスが有意に低かった(図12A)。損傷剤ブレオマイシンとピノセンブリンを併用投与された肺セグメントは、平均セグメントコンプライアンスが高く、未処置の健常な対照肺セグメント(図12A)と有意差はなかった。個々のヒツジにおけるCsegのデータによると、この試験では10頭のヒツジのうち8頭で、ブレオマイシンで損傷した肺部分の機能がピノセンブリンの週4回の注入で改善された(図18に示す図12B、表1)。他の肺機能評価として、ベースラインからのコンプライアンスの変化率(図12C)が用いられた。これは、試験開始時(ブレオマイシン及びピノセンブリン投与前)から最終的なピノセンブリン投与完了後までのコンプライアンスの変化を測定するものである。この評価では、ピノセンブリンを週4回投与した後に、ピノセンブリン投与肺セグメントのコンプライアンスが有意に改善したことが示された(図12C)。
要約すると、ピノセンブリン治療はブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントの肺機能を有意に改善した。
図12は、ピノセンブリンによる週四回の治療後の異なる肺セグメントの肺機能を示す。測定された肺機能パラメータは局所肺セグメントにおけるコンプライアンスであり、Csegという。一般に、コンプライアンスのレベルが低いほど肺セグメント(つまり、より膨らみにくく、肺が硬くなる)の機能が低下する。予想されたように、ピノセンブリンを含まない損傷剤ブレオマイシンを単独投与された肺セグメントは、未処置の健常な対照肺セグメントよりも平均セグメントコンプライアンスが有意に低かった(図12A)。損傷剤ブレオマイシンとピノセンブリンを併用投与された肺セグメントは、平均セグメントコンプライアンスが高く、未処置の健常な対照肺セグメント(図12A)と有意差はなかった。個々のヒツジにおけるCsegのデータによると、この試験では10頭のヒツジのうち8頭で、ブレオマイシンで損傷した肺部分の機能がピノセンブリンの週4回の注入で改善された(図18に示す図12B、表1)。他の肺機能評価として、ベースラインからのコンプライアンスの変化率(図12C)が用いられた。これは、試験開始時(ブレオマイシン及びピノセンブリン投与前)から最終的なピノセンブリン投与完了後までのコンプライアンスの変化を測定するものである。この評価では、ピノセンブリンを週4回投与した後に、ピノセンブリン投与肺セグメントのコンプライアンスが有意に改善したことが示された(図12C)。
要約すると、ピノセンブリン治療はブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントの肺機能を有意に改善した。
気管支肺胞洗浄細胞に対するピノセンブリンの効果
図13は、ピノセンブリンによる週四回の注入処理後のBAL細胞データを示す。BAL細胞は、試験の12週目、すなわちヒツジが殺処分される2日前に肺の一部から採取された。BAL液の細胞数は、好中球のみ、および好中球、好酸球、リンパ球を含む主要な炎症性細胞の合計で評価した。正常な健常な肺で予想されるように、未治療の健常な対照肺セグメントでは、BAL液中の炎症細胞の数が比較的少なかった(図13)。
図13は、ピノセンブリンによる週四回の注入処理後のBAL細胞データを示す。BAL細胞は、試験の12週目、すなわちヒツジが殺処分される2日前に肺の一部から採取された。BAL液の細胞数は、好中球のみ、および好中球、好酸球、リンパ球を含む主要な炎症性細胞の合計で評価した。正常な健常な肺で予想されるように、未治療の健常な対照肺セグメントでは、BAL液中の炎症細胞の数が比較的少なかった(図13)。
一方、ピノセンブリンを投与せずにブレオマイシンで損傷した肺セグメントは、健常な対照セグメントと比較して、BAL液中の好中球及びその他の炎症細胞の数が有意に多かった(図13)。損傷剤ブレオマイシンを投与し、ピノセンブリン処理を行った肺セグメントでは、ピノセンブリンを投与せずにブレオマイシンのみを投与した肺セグメントから採取した細胞数と比較して、好中球及び炎症細胞の数が有意に少なかった(図13)。個々のヒツジのBAL細胞データによると、試験に参加した10頭のヒツジのうち9頭では、ピノセンブリンを投与せずにブレオマイシンで損傷した肺セグメントから採取したBAL液中の炎症細胞数と比較して、ブレオマイシンで損傷しピノセンブリンで処理した肺セグメントから採取した炎症細胞数が少なかった(図13、図18に示す表1)。
要約すると、ピノセンブリン治療は、ブレオマイシンの損傷暴露に反応してBAL液に浸潤する炎症細胞の数を有意に減少させた。10頭中9頭のヒツジでは、これらの部位のBAL液中に浸潤する炎症細胞の比率が減少していた。
要約すると、ピノセンブリン治療は、ブレオマイシンの損傷暴露に反応してBAL液に浸潤する炎症細胞の数を有意に減少させた。10頭中9頭のヒツジでは、これらの部位のBAL液中に浸潤する炎症細胞の比率が減少していた。
肺実質T細胞に対するピノセンブリンの効果
図14はピノセンブリンによる週四回の点滴処理後のT細胞データである。T細胞は、死後(12週目)に採取された、特異的に処理された肺セグメントの実質で評価された。正常な健常な肺で予想されるように、未治療の健常な対照肺セグメントでは、肺実質内のCD8+及びCD4+T細胞の数が比較的少なかった(図14)。
対照的に、ピノセンブリンを投与せずに、ブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントでは、健常な対照セグメントと比較して、肺実質内のCD8+及びCD4+T細胞の数が有意に多かった(図14)。損傷剤ブレオマイシンを投与され、ピノセンブリン処理が行われた肺セグメントは、ピノセンブリンを投与せずに、ブレオマイシンのみを投与された肺セグメントから採取された細胞数と比較して、肺実質内のCD8+及びCD4+T細胞数が有意に少なかった(図14)。個々のヒツジの細胞データは、試験に用いたすべてのヒツジが、ピノセンブリン処理後にCD8+及びCD4+T細胞が低下したことを示す(図14)。
要約すると、ピノセンブリン治療は肺実質に存在する免疫染色されたCD8+及びCD4+T細胞の数の有意な減少と関連した。評価されたすべてのヒツジで、ピノセンブリン処理した肺セグメントのT細胞数が減少していた。
図14はピノセンブリンによる週四回の点滴処理後のT細胞データである。T細胞は、死後(12週目)に採取された、特異的に処理された肺セグメントの実質で評価された。正常な健常な肺で予想されるように、未治療の健常な対照肺セグメントでは、肺実質内のCD8+及びCD4+T細胞の数が比較的少なかった(図14)。
対照的に、ピノセンブリンを投与せずに、ブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントでは、健常な対照セグメントと比較して、肺実質内のCD8+及びCD4+T細胞の数が有意に多かった(図14)。損傷剤ブレオマイシンを投与され、ピノセンブリン処理が行われた肺セグメントは、ピノセンブリンを投与せずに、ブレオマイシンのみを投与された肺セグメントから採取された細胞数と比較して、肺実質内のCD8+及びCD4+T細胞数が有意に少なかった(図14)。個々のヒツジの細胞データは、試験に用いたすべてのヒツジが、ピノセンブリン処理後にCD8+及びCD4+T細胞が低下したことを示す(図14)。
要約すると、ピノセンブリン治療は肺実質に存在する免疫染色されたCD8+及びCD4+T細胞の数の有意な減少と関連した。評価されたすべてのヒツジで、ピノセンブリン処理した肺セグメントのT細胞数が減少していた。
病理組織学に対するピノセンブリンの効果
図15は、ピノセンブリンによる週4回の治療後の病理組織学的スコアデータを示す。スコアリングされた病理組織学パラメータは、炎症、線維症、及び全体的な病理学であった。正常で健常な肺で予想されるように、未治療の健常な対照肺セグメントの、評価された各病理学パラメータのスコアは低かった(図15)。対照的に、ピノセンブリンを投与せずに、ブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントの試験した各パラメータの平均スコアは有意に高かった(図15)。重要なことは、損傷剤であるブレオマイシンを投与され、ピノセンブリン治療を受けた肺セグメントの評価された各パラメータの平均スコアは低かった(図15)。さらに、ブレオマイシンとピノセンブリンをともに投与された肺セグメントは、ブレオマイシン注入のみを受けたセグメントと比較して、炎症と全体的な病理学的スコアが有意に低かった(図15)。ブレオマイシン及びピノセンブリンが注入された肺セグメントは、ブレオマイシンの注入のみを受けたセグメントと比較して線維化スコアが低かったが、その差は統計的に有意ではなかった(図15)。個々のヒツジの病理組織学的データによると、ピノセンブリンによる治療により、試験で用いたヒツジ10頭中9頭の全体的な病理スコアは改善され、10頭中9頭の炎症スコアは改善され、10頭中8頭の線維症スコアが改善された(図15、下部パネル、図18に示す表1)。ピノセンブリン治療に関連して有意に改善された病理スコアは、評価された3つのパラメータすべてについて、未治療の対照肺セグメントの対応する病理スコアよりも依然として有意に高かったことに留意すべきである(図15)。
要約すると、ピノセンブリン治療により、ブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントにおける炎症及び全体的な病理の病理組織学的スコアが有意に改善された。10頭中9頭のヒツジで、これらの部位の全体的な病理スコアが改善された。
図15は、ピノセンブリンによる週4回の治療後の病理組織学的スコアデータを示す。スコアリングされた病理組織学パラメータは、炎症、線維症、及び全体的な病理学であった。正常で健常な肺で予想されるように、未治療の健常な対照肺セグメントの、評価された各病理学パラメータのスコアは低かった(図15)。対照的に、ピノセンブリンを投与せずに、ブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントの試験した各パラメータの平均スコアは有意に高かった(図15)。重要なことは、損傷剤であるブレオマイシンを投与され、ピノセンブリン治療を受けた肺セグメントの評価された各パラメータの平均スコアは低かった(図15)。さらに、ブレオマイシンとピノセンブリンをともに投与された肺セグメントは、ブレオマイシン注入のみを受けたセグメントと比較して、炎症と全体的な病理学的スコアが有意に低かった(図15)。ブレオマイシン及びピノセンブリンが注入された肺セグメントは、ブレオマイシンの注入のみを受けたセグメントと比較して線維化スコアが低かったが、その差は統計的に有意ではなかった(図15)。個々のヒツジの病理組織学的データによると、ピノセンブリンによる治療により、試験で用いたヒツジ10頭中9頭の全体的な病理スコアは改善され、10頭中9頭の炎症スコアは改善され、10頭中8頭の線維症スコアが改善された(図15、下部パネル、図18に示す表1)。ピノセンブリン治療に関連して有意に改善された病理スコアは、評価された3つのパラメータすべてについて、未治療の対照肺セグメントの対応する病理スコアよりも依然として有意に高かったことに留意すべきである(図15)。
要約すると、ピノセンブリン治療により、ブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントにおける炎症及び全体的な病理の病理組織学的スコアが有意に改善された。10頭中9頭のヒツジで、これらの部位の全体的な病理スコアが改善された。
ピノセンブリンがコラーゲン濃度に及ぼす影響
図16は、ピノセンブリンで週に四回処理した後のコラーゲン含有量のヒドロキシプロリンアッセイのデータを示す。図16Aのデータは、大規模試験の全10匹から収集され、ブレオマイシンもピノセンブリンも投与されなかった健常な肺の対照セグメントのコラーゲンデータと比較して、ブレオマイシンの注入単独(ピノセンブリンなし)ではコラーゲンタンパク質含有量が有意に増加したことを示す。ピノセンブリンの投与によって、ブレオマイシンによって誘発された、増加したコラーゲン含有量は減少しなかった(図16A)。これらのデータを確認するため、実施例1(図16B参照)の試験研究で用いた3頭のヒツジのコラーゲン含有量データが追加された。実施例1の追試では、実施例2で用いたものと同じプロトコルを用いて行われた。したがって、この分析に13頭すべてのヒツジのヒドロキシプロリンデータを含めることは科学的に許容できると考えられた。図16Bに示された13頭すべてのヒツジのデータは、図16Aで与えられた上記の解釈、すなわち、ピノセンブリンの投与によっては、ブレオマイシンによって誘発された増加したコラーゲン含有量は減少しないことを補強する。
要約すると、ヒドロキシプロリンアッセイによって評価されるように、ピノセンブリン治療は、ブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントのコラーゲン含有量の有意な減少と関連がなかった。
図16は、ピノセンブリンで週に四回処理した後のコラーゲン含有量のヒドロキシプロリンアッセイのデータを示す。図16Aのデータは、大規模試験の全10匹から収集され、ブレオマイシンもピノセンブリンも投与されなかった健常な肺の対照セグメントのコラーゲンデータと比較して、ブレオマイシンの注入単独(ピノセンブリンなし)ではコラーゲンタンパク質含有量が有意に増加したことを示す。ピノセンブリンの投与によって、ブレオマイシンによって誘発された、増加したコラーゲン含有量は減少しなかった(図16A)。これらのデータを確認するため、実施例1(図16B参照)の試験研究で用いた3頭のヒツジのコラーゲン含有量データが追加された。実施例1の追試では、実施例2で用いたものと同じプロトコルを用いて行われた。したがって、この分析に13頭すべてのヒツジのヒドロキシプロリンデータを含めることは科学的に許容できると考えられた。図16Bに示された13頭すべてのヒツジのデータは、図16Aで与えられた上記の解釈、すなわち、ピノセンブリンの投与によっては、ブレオマイシンによって誘発された増加したコラーゲン含有量は減少しないことを補強する。
要約すると、ヒドロキシプロリンアッセイによって評価されるように、ピノセンブリン治療は、ブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントのコラーゲン含有量の有意な減少と関連がなかった。
トリクローム染色したマッソンの結合組織に対するピノセンブリンの効果
図17はピノセンブリンによる週四回の治療後のマッソンのトリクローム染色結合組織のデータを示す。マッソンのトリクロームはほとんどの結合組織を青色に染色する。染色される結合組織としては、線維化に関連するコラーゲンやその他の細胞外マトリクスタンパク質があげられる。したがって、マッソンのトリクローム切片の青の比率スコアは、ブレオマイシンに曝露された肺セグメントにおける線維化リモデリングの程度を評価するための指標の1つである。図17のデータは、ピノセンブリン治療されなかったブレオマイシン注入肺と比較して、ピノセンブリン治療がブレオマイシンに曝露された肺セグメントにおける青色染色の比率を有意に減少させることを示す。
全体として、試験に用いた10頭のヒツジのうち9頭で、ピノセンブリン治療を行わなかった場合のブレオマイシン損傷に関連する青の比率スコアと比較して、ブレオマイシンで損傷を受け、ピノセンブリンの週4回の注入で治療された肺セグメントの青の比率値が減少したことがデータから示された(図1、図18に示す表1)。
要約すると、ピノセンブリン治療は、ブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントの青の比率スコアで表されるように、結合組織含有量の有意な減少と関連した。
図17はピノセンブリンによる週四回の治療後のマッソンのトリクローム染色結合組織のデータを示す。マッソンのトリクロームはほとんどの結合組織を青色に染色する。染色される結合組織としては、線維化に関連するコラーゲンやその他の細胞外マトリクスタンパク質があげられる。したがって、マッソンのトリクローム切片の青の比率スコアは、ブレオマイシンに曝露された肺セグメントにおける線維化リモデリングの程度を評価するための指標の1つである。図17のデータは、ピノセンブリン治療されなかったブレオマイシン注入肺と比較して、ピノセンブリン治療がブレオマイシンに曝露された肺セグメントにおける青色染色の比率を有意に減少させることを示す。
全体として、試験に用いた10頭のヒツジのうち9頭で、ピノセンブリン治療を行わなかった場合のブレオマイシン損傷に関連する青の比率スコアと比較して、ブレオマイシンで損傷を受け、ピノセンブリンの週4回の注入で治療された肺セグメントの青の比率値が減少したことがデータから示された(図1、図18に示す表1)。
要約すると、ピノセンブリン治療は、ブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントの青の比率スコアで表されるように、結合組織含有量の有意な減少と関連した。
議論
この研究では、Gretals Australia Pty Ltdによって特殊な生物資源から抽出された生理活性分子ピノセンブリンの安全性と効能の兆候を確認するために、生理学的及び薬理学的に関連する肺線維症のヒツジモデルを用いた。
この研究では、Gretals Australia Pty Ltdによって特殊な生物資源から抽出された生理活性分子ピノセンブリンの安全性と効能の兆候を確認するために、生理学的及び薬理学的に関連する肺線維症のヒツジモデルを用いた。
ピノセンブリン投与後の試験で用いたヒツジの健康状態
ピノセンブリン治療の安全性に関しては、用いた臨床評価基準に基づき、試験を実施した10頭すべてのヒツジで、ピノセンブリン治療による健康への悪影響がないことが判明した。実際、ピノセンブリン投与期間中、心拍数と呼吸数、深部体温、体重増加量の測定値は、動物飼育環境下のヒツジで予想される正常範囲内であった。
ピノセンブリンに曝露された肺の小セグメントは比較的正常であることが判明し、唯一の有意な病理は、ブレオマイシンの注入に関連した損傷の予想される残存効果に起因するものであった。ピノセンブリンに曝露されたセグメントでは、ピノセンブリンに起因すると思われるさらなる病理又は肺損傷の明らかな兆候はなかった。
ピノセンブリン治療の安全性に関しては、用いた臨床評価基準に基づき、試験を実施した10頭すべてのヒツジで、ピノセンブリン治療による健康への悪影響がないことが判明した。実際、ピノセンブリン投与期間中、心拍数と呼吸数、深部体温、体重増加量の測定値は、動物飼育環境下のヒツジで予想される正常範囲内であった。
ピノセンブリンに曝露された肺の小セグメントは比較的正常であることが判明し、唯一の有意な病理は、ブレオマイシンの注入に関連した損傷の予想される残存効果に起因するものであった。ピノセンブリンに曝露されたセグメントでは、ピノセンブリンに起因すると思われるさらなる病理又は肺損傷の明らかな兆候はなかった。
実験的肺疾患のヒツジモデルにおけるいくつかの疾患パラメータの改善に対するピノセンブリンの効能
この研究の目的は、本明細書の実施例1で詳述した研究の有望な知見を統計で裏付けることであった。本実施例では、10頭のヒツジを用いて、肺線維症のヒツジモデルにおけるピノセンブリンの効能を統計的に確認した。主な知見としては、ピノセンブリンの投与により、肺機能が改善され、肺の炎症が軽減され、ブレオマイシン損傷によって誘発される全体的な病理スコアが減少することがあげられる。重要なことは、データの統計解析により、これらの疾患の指標は、ピノセンブリン投与肺セグメントでは、非投与対照肺セグメントからの対応するデータと比較して、有意に改善されることが明らかになったことである。
肺機能の場合、コンプライアンス(肺セグメントの硬さの尺度)で評価したところ、ピノセンブリン治療はブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントの機能的コンプライアンスを有意に改善することがわかった。これは、損傷した肺セグメントにおけるピノセンブリン治療を施すと、肺セグメントが他の場合よりも高いレベルで機能することを示す。
同様に、調査中の肺セグメントから回収された肺洗浄炎症細胞の同定から、ピノセンブリン治療が肺胞と小さな気道の管腔を占める炎症細胞の数を有意に減少させることが示された。実際、10頭中9頭のヒツジで、ピノセンブリン処理後に損傷した肺部分から回収された炎症細胞の数が減少していた。肺洗浄液中で減少した主な炎症細胞型は好中球であり、薬物治療を受けていない肺セグメントのブレオマイシンでは全BAL細胞の7.4%であったが、ピノセンブリン治療を受けたブレオマイシン損傷肺セグメントでは3.7%に低下した。肺実質におけるCD4+及びCD8+T細胞のピノセンブリン関連の減少は、ピノセンブリン及びブレオマイシンに曝露された肺セグメントの肺洗浄液から回収された炎症性細胞の減少と完全に一致する。CD4+及びCD8+T細胞は、多くの免疫反応の細胞腕における重要な構成要素である。全体として、これらのデータはピノセンブリンに強い抗炎症特性があるという考えを支持する。
病理組織学的スコアに関しては、ピノセンブリン投与後、損傷した肺セグメントの平均的な炎症と全体的な病理学的スコアが改善された。重要なことは、これらの指標は、ピノセンブリン治療を受けた損傷肺では、ピノセンブリンで治療されなかった実験的に損傷させた肺と比較して統計的に低かったということである。さらに、平均的な線維症の病理スコアは、ピノセンブリンで治療されなかった実験的に損傷させた肺と比較して、ピノセンブリン治療を受けた損傷した肺で低かった。
ヒドロキシプロリン分析は、異なる処理による肺セグメントの組織試料に対して行われた。ヒドロキシプロリンアッセイは、タンパク質試料中のコラーゲンのレベルを測定し、組織中の線維化のレベルのゴールドスタンダードの読み取り指標として当業界で考えられている。この分析により、ピノセンブリンがブレオマイシン損傷に関連するコラーゲンタンパク質含有量の増加に対処しないことが示された。マッソンのトリクロームアッセイ(線維化の程度を評価するために汎用される他の読み出し指標)では、薬物治療を受けなかったブレオマイシンに曝露された肺と比較して、ブレオマイシンに曝露された肺切片及びピノセンブリン処理された肺切片では、青色染色の比率(%)(すなわち、結合組織含有量の指標、このアッセイではすべての細胞外タンパク質が青色に染色される)が有意に低いことが示された。ヒドロキシプロリンとマッソントリクロームアッセイの両方からのデータを総合すると、ピノセンブリンには、いくつかの細胞外マトリクスタンパク質(マッソンのトリクロームデータで示される)を減少させる機能があるが、必ずしもコラーゲンを減少させるわけではないことを示唆する(ヒドロキシプロリンデータで裏付けられた)。全体として、線維症スコア、マッソンのトリクローム及びヒドロキシプロリンアッセイのデータは、ピノセンブリンには適度な抗線維化作用があり、いくつかの抗リモデリング特性もあることを示す。
ピノセンブリン投与は、ブレオマイシン最終点滴後7日目に開始されたため、急性炎症後に投与され、主に肺線維症の線維化期に投与されたことになる。ピノセンブリンが線維化期に投与され、わずかな抗リモデリング作用を示し、かつ、強い抗炎症作用を示したという事実により、ピノセンブリンが様々なヒト炎症性疾患を治療するためにうまく翻訳されるはずであるという確信が得られる。
この研究の目的は、本明細書の実施例1で詳述した研究の有望な知見を統計で裏付けることであった。本実施例では、10頭のヒツジを用いて、肺線維症のヒツジモデルにおけるピノセンブリンの効能を統計的に確認した。主な知見としては、ピノセンブリンの投与により、肺機能が改善され、肺の炎症が軽減され、ブレオマイシン損傷によって誘発される全体的な病理スコアが減少することがあげられる。重要なことは、データの統計解析により、これらの疾患の指標は、ピノセンブリン投与肺セグメントでは、非投与対照肺セグメントからの対応するデータと比較して、有意に改善されることが明らかになったことである。
肺機能の場合、コンプライアンス(肺セグメントの硬さの尺度)で評価したところ、ピノセンブリン治療はブレオマイシンによって損傷を受けた肺セグメントの機能的コンプライアンスを有意に改善することがわかった。これは、損傷した肺セグメントにおけるピノセンブリン治療を施すと、肺セグメントが他の場合よりも高いレベルで機能することを示す。
同様に、調査中の肺セグメントから回収された肺洗浄炎症細胞の同定から、ピノセンブリン治療が肺胞と小さな気道の管腔を占める炎症細胞の数を有意に減少させることが示された。実際、10頭中9頭のヒツジで、ピノセンブリン処理後に損傷した肺部分から回収された炎症細胞の数が減少していた。肺洗浄液中で減少した主な炎症細胞型は好中球であり、薬物治療を受けていない肺セグメントのブレオマイシンでは全BAL細胞の7.4%であったが、ピノセンブリン治療を受けたブレオマイシン損傷肺セグメントでは3.7%に低下した。肺実質におけるCD4+及びCD8+T細胞のピノセンブリン関連の減少は、ピノセンブリン及びブレオマイシンに曝露された肺セグメントの肺洗浄液から回収された炎症性細胞の減少と完全に一致する。CD4+及びCD8+T細胞は、多くの免疫反応の細胞腕における重要な構成要素である。全体として、これらのデータはピノセンブリンに強い抗炎症特性があるという考えを支持する。
病理組織学的スコアに関しては、ピノセンブリン投与後、損傷した肺セグメントの平均的な炎症と全体的な病理学的スコアが改善された。重要なことは、これらの指標は、ピノセンブリン治療を受けた損傷肺では、ピノセンブリンで治療されなかった実験的に損傷させた肺と比較して統計的に低かったということである。さらに、平均的な線維症の病理スコアは、ピノセンブリンで治療されなかった実験的に損傷させた肺と比較して、ピノセンブリン治療を受けた損傷した肺で低かった。
ヒドロキシプロリン分析は、異なる処理による肺セグメントの組織試料に対して行われた。ヒドロキシプロリンアッセイは、タンパク質試料中のコラーゲンのレベルを測定し、組織中の線維化のレベルのゴールドスタンダードの読み取り指標として当業界で考えられている。この分析により、ピノセンブリンがブレオマイシン損傷に関連するコラーゲンタンパク質含有量の増加に対処しないことが示された。マッソンのトリクロームアッセイ(線維化の程度を評価するために汎用される他の読み出し指標)では、薬物治療を受けなかったブレオマイシンに曝露された肺と比較して、ブレオマイシンに曝露された肺切片及びピノセンブリン処理された肺切片では、青色染色の比率(%)(すなわち、結合組織含有量の指標、このアッセイではすべての細胞外タンパク質が青色に染色される)が有意に低いことが示された。ヒドロキシプロリンとマッソントリクロームアッセイの両方からのデータを総合すると、ピノセンブリンには、いくつかの細胞外マトリクスタンパク質(マッソンのトリクロームデータで示される)を減少させる機能があるが、必ずしもコラーゲンを減少させるわけではないことを示唆する(ヒドロキシプロリンデータで裏付けられた)。全体として、線維症スコア、マッソンのトリクローム及びヒドロキシプロリンアッセイのデータは、ピノセンブリンには適度な抗線維化作用があり、いくつかの抗リモデリング特性もあることを示す。
ピノセンブリン投与は、ブレオマイシン最終点滴後7日目に開始されたため、急性炎症後に投与され、主に肺線維症の線維化期に投与されたことになる。ピノセンブリンが線維化期に投与され、わずかな抗リモデリング作用を示し、かつ、強い抗炎症作用を示したという事実により、ピノセンブリンが様々なヒト炎症性疾患を治療するためにうまく翻訳されるはずであるという確信が得られる。
当業者であれば、本明細書に記載されている発明が、特に記載されているもの以外のさらなる変形及び修正を受けやすいことを理解するであろう。本発明は、本発明の精神及び範囲内にある全てのこのような変形及び修正を含むと理解される。
本発明は、詳細に示され説明された好ましい実施形態に関連して開示されているが、その上の様々な修正及び改良は、当業者に容易に明らかになるであろう。
したがって、本発明の精神及び範囲は、上記の例に限定されるものではなく、法律によって許容される最も広い意味で理解されるべきものである。
本発明は、詳細に示され説明された好ましい実施形態に関連して開示されているが、その上の様々な修正及び改良は、当業者に容易に明らかになるであろう。
したがって、本発明の精神及び範囲は、上記の例に限定されるものではなく、法律によって許容される最も広い意味で理解されるべきものである。
Claims (59)
- 線維化症状又は炎症性症状の治療及び/又は予防のための方法であって、有効量のフラボノイドをそれが必要な動物に投与することを含む、方法。
- 線維化症状の少なくとも部分は創傷治癒反応により誘発される、請求項1に記載の方法。
- 創傷治癒反応は、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む組織で生じる、請求項2に記載の方法。
- 線維化症状が、肺線維症(特発性肺線維症、感染症誘発性肺線維症、放射線誘発性肺線維症、進行性巨大線維症、嚢胞性線維症を含む)、膵線維症(嚢胞性線維症を含む)、後腹膜線維症、動脈線維症(動脈硬化を含む)、腸線維症(クローン病を含む)、関節線維症(膝関節、肩関節、その他の関節のアテローム線維症、癒着性被膜炎を含む)、手指線維症(デュピュイトラン拘縮を含む)、皮膚線維症(ケロイド、腎性全身性線維症、強皮症を含む)、陰茎(ペイロニー病を含む)、リンパ節線維症(縦隔線維症を含む)及び心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- 線維化症状が肺線維症であり、炎症性症状が肺の炎症である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- フラボノイドがフラバノンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- フラバノンがジヒドロキシフラバノン及び/又は(2S)-フラバン-4-オン、又はその機能的誘導体である、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
- フラバノンが(2S)-5、7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2、3-ジヒドロクロメン-4-オン、又はその機能的誘導体である、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
- フラボノイドは、植物細胞内で天然に合成されるが、必ずしも植物細胞から得られるとは限らない、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
- 肺疾患のヒツジモデルにフラボノイドを用いることにより、肺機能のいずれか1つ以上のモード、肺洗浄液中の好中球及び/又は炎症細胞の存在、組織学的に評価された炎症及び/又は線維症を改善させる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
- 肺疾患のヒツジモデルはブレオマイシン誘発肺損傷に依存する、請求項12に記載の方法。
- フラボノイドは線維症があるか、潜在的に線維症があるか、又は将来線維症を有すると予測される、組織に直接送達される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
- フラボノイドを直接肺に送達させる、請求項14に記載の方法。
- フラボノイドは、ネブライザーにより送達可能な、吸入可能な粉末若しくは溶液、又は気管支鏡の生検ポートにより送達可能な溶液として製剤化される、請求項15に記載の方法。
- 線維化症状又は炎症性症状の治療及び/又は予防のためのフラボノイドの使用。
- 線維化症状及び/又は炎症性症状の少なくとも部分は創傷治癒反応又はアレルゲンを含む環境因子への曝露により誘発される、請求項17の使用。
- 創傷治癒反応又は環境因子への曝露は、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む組織で生じる、請求項18に記載の使用。
- 線維化症状が、肺線維症(特発性肺線維症、感染症誘発性肺線維症、放射線誘発性肺線維症、進行性巨大線維症、嚢胞性線維症を含む)、膵線維症(嚢胞性線維症を含む)、後腹膜線維症、動脈線維症(動脈硬化を含む)、腸線維症(クローン病を含む)、関節線維症(膝関節、肩関節、その他の関節のアテローム線維症、癒着性被膜炎を含む)、手指線維症(デュピュイトラン拘縮を含む)、皮膚線維症(ケロイド、腎性全身性線維症、強皮症を含む)、陰茎(ペイロニー病を含む)、リンパ節線維症(縦隔線維症を含む)及び心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)からなる群から選択され、かつ、炎症性症状が、肺の炎症(COPD、喘息、鼻炎、気管支炎を含む)、皮膚の炎症(にきびおよび強皮症を含む)、消化管の炎症(セリアック病、クローン病、大腸炎、憩室炎を含む)、泌尿器系疾患(糸球体腎炎、膀胱炎、前立腺炎を含む)、自己免疫疾患(SLEを含む)、サルコイドーシス、移植拒絶反応、血管炎、動脈硬化、骨盤内炎症性疾患、リウマチ熱、耳炎からなる群から選択される、請求項17~19のいずれか一項に記載の使用。
- 線維化症状が肺線維症であり、炎症性症状が肺の炎症である、請求項17から20のいずれか一項に記載の使用。
- フラボノイドがフラバノンである、請求項17~21のいずれか一項に記載の使用。
- フラバノンがジヒドロキシフラバノン及び/又は(2S)-フラバン-4-オン、又はその機能的誘導体である、請求項22から24のいずれか一項に記載の使用。
- フラバノンが(2S)-5、7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2、3-ジヒドロクロメン-4-オン、又はその機能的誘導体である、請求項22~25のいずれか一項に記載の使用。
- フラボノイドは、植物細胞内で天然に合成されるが、必ずしも植物細胞から得られるとは限らない、請求項17~26のいずれか一項に記載の使用。
- 肺疾患のヒツジモデルにフラボノイドを用いることにより、肺機能のいずれか1つ以上のモード、肺洗浄液中の好中球及び/又は炎症細胞の存在、組織学的に評価された炎症及び/又は線維症を改善させる、請求項17~27のいずれか一項に記載の使用。
- 肺疾患のヒツジモデルはブレオマイシン誘発肺損傷に依存する、請求項28の使用。
- フラボノイドは線維症及び/又は炎症があるか、潜在的に線維症及び/又は炎症があるか、又は将来線維症及び/又は炎症を有すると予測される、組織に直接送達される、請求項17から29のいずれか一項に記載の使用。
- フラボノイドを肺及び/又は気道に直接送達させる、請求項30に記載の使用。
- フラボノイドは、ネブライザーにより送達可能な、吸入可能な粉末若しくは溶液、又は気管支鏡の生検ポートにより送達可能な溶液として製剤化される、請求項31に記載の使用。
- 線維化症状又は炎症性症状の治療薬の製造におけるフラボノイドの使用。
- 線維化症状の少なくとも部分は創傷治癒反応創傷治癒反応により誘発され、炎症性症状の少なくとも部分はアレルゲンを含む環境因子への曝露により誘発される、請求項33の使用。
- 創傷治癒反応は上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む組織で生じる、請求項34の使用。
- 線維化症状が、肺線維症(特発性肺線維症、感染症誘発性肺線維症、放射線誘発性肺線維症、進行性巨大線維症、嚢胞性線維症を含む)、膵線維症(嚢胞性線維症を含む)、後腹膜線維症、動脈線維症(動脈硬化を含む)、腸線維症(クローン病を含む)、関節線維症(膝関節、肩関節、その他の関節のアテローム線維症、癒着性被膜炎を含む)、手指線維症(デュピュイトラン拘縮を含む)、皮膚線維症(ケロイド、腎性全身性線維症、強皮症を含む)、陰茎(ペイロニー病を含む)、リンパ節線維症(縦隔線維症を含む)及び心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)からなる群から選択され、かつ、炎症性症状が、肺の炎症(COPD、喘息、鼻炎、気管支炎を含む)、皮膚の炎症(にきびおよび強皮症を含む)、消化管の炎症(セリアック病、クローン病、大腸炎、憩室炎を含む)、泌尿器系疾患(糸球体腎炎、膀胱炎、前立腺炎を含む)、自己免疫疾患(SLEを含む)、サルコイドーシス、移植拒絶反応、血管炎、動脈硬化、骨盤内炎症性疾患、リウマチ熱、耳炎からなる群から選択される、請求項33~35のいずれか一項に記載の使用。
- 線維化症状が肺線維症であり、炎症性症状が肺の炎症である、請求項33~36のいずれか一項に記載の使用。
- フラボノイドがフラバノンである、請求項33~37のいずれか一項に記載の使用。
- フラバノンがジヒドロキシフラバノン及び/又は(2S)-フラバン-4-オン、又はその機能的誘導体である、請求項38~40のいずれか一項に記載の使用。
- フラバノンが(2S)-5、7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2、3-ジヒドロクロメン-4-オン、又はその機能的誘導体である、請求項38~41のいずれか一項に記載の使用。
- フラボノイドは、植物細胞内で天然に合成されるが、必ずしも植物細胞から得られるとは限らない、請求項33~42のいずれか一項に記載の使用。
- 肺疾患のヒツジモデルにフラボノイドを用いることにより、肺機能のいずれか1つ以上のモード、肺洗浄液中の好中球及び/又は炎症細胞の存在、組織学的に評価された炎症及び/又は線維症を改善させる、請求項33~43のいずれか一項に記載の使用。
- 肺疾患のヒツジモデルはブレオマイシン誘発肺損傷に依存する、請求項44の使用。
- フラボノイドは線維症及び/又は炎症があるか、潜在的に線維症及び/又は炎症があるか、又は将来線維症及び/又は炎症を有すると予測される、組織に直接送達される、請求項33~45のいずれか一項に記載の使用。
- フラボノイドを肺及び/又は気道に直接送達させる、請求項46に記載の使用。
- フラボノイドは、ネブライザーにより送達可能な、吸入可能な粉末若しくは溶液、又は気管支鏡の生検ポートにより送達可能な溶液として製剤化される、請求項47に記載の使用。
- フラボノイドを含み、動物の肺及び/又は気道への送達に適するように製剤化された、医薬組成物。
- 動物の気道を介した動物の肺への直接送達に適するように製剤化された、請求項49に記載の医薬組成物。
- ネブライザーにより送達可能な、吸入可能な粉末若しくは溶液、又は気管支鏡の生検ポートにより送達可能な溶液として製剤化された、請求項49又は請求項50に記載の医薬組成物。
- フラボノイドがフラバノンである、請求項49~51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- フラバノンがジヒドロキシフラバノン及び/又は(2S)-フラバン-4-オン、又はその機能的誘導体である、請求項52~54のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- フラバノンが(2S)-5、7-ジヒドロキシ-2-フェニル-2、3-ジヒドロクロメン-4-オン、又はその機能的誘導体である、請求項52~55のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- フラボノイドは、植物細胞内で天然に合成されるが、必ずしも植物細胞から得られるとは限らない、請求項49~56のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 肺疾患のヒツジモデルにフラボノイドを用いることにより、肺機能のいずれか1つ以上のモード、肺洗浄液中の好中球及び/又は炎症細胞の存在、組織学的に評価された炎症及び/又は線維症を改善させる、請求項49~57のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 肺疾患のヒツジモデルはブレオマイシン誘発肺損傷に依存する、請求項58に記載の医薬組成物。
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
AU2020901475A AU2020901475A0 (en) | 2020-05-08 | Compositions and methods for the prophylaxis and treatment of fibrotic conditions | |
AU2020901475 | 2020-05-08 | ||
AU2020904863A AU2020904863A0 (en) | 2020-12-29 | Compositions and methods for the prophylaxis and treatment of fibrotic and inflammatory conditions | |
AU2020904863 | 2020-12-29 | ||
PCT/AU2021/050421 WO2021222987A1 (en) | 2020-05-08 | 2021-05-07 | Compositions and methods for the prophylaxis and treatment of fibrotic and inflammatory conditions |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023524312A true JP2023524312A (ja) | 2023-06-09 |
Family
ID=78467835
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022567903A Pending JP2023524312A (ja) | 2020-05-08 | 2021-05-07 | 線維化疾患及び炎症性疾患の予防及び治療のための組成物及び方法 |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20230172901A1 (ja) |
EP (1) | EP4146194A1 (ja) |
JP (1) | JP2023524312A (ja) |
CN (1) | CN115811969A (ja) |
AU (1) | AU2021268683A1 (ja) |
CA (1) | CA3178090A1 (ja) |
WO (1) | WO2021222987A1 (ja) |
Family Cites Families (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5658881A (en) * | 1994-10-14 | 1997-08-19 | Twk, Inc. | Method for topical inhibition of the metabolic activity of cytochrome P450 |
US20080262080A1 (en) * | 2004-10-05 | 2008-10-23 | Kyushu University, National University Corporation | Allergy Suppressive Agent |
CN101322700B (zh) * | 2007-06-13 | 2010-08-25 | 中国科学院生物物理研究所 | 柚皮素和柚皮苷作为转化生长因子-β1信号通路抑制剂在制备药物中的应用 |
US9889098B2 (en) * | 2009-10-22 | 2018-02-13 | Vizuri Health Sciences Llc | Methods of making and using compositions comprising flavonoids |
WO2014063660A1 (en) * | 2012-10-26 | 2014-05-01 | The Chinese University Of Hong Kong | Naringenin and asiatic acid combination treatment of fibrosis |
CN103417563A (zh) * | 2013-08-08 | 2013-12-04 | 中国科学院广州生物医药与健康研究院 | 橙皮苷在制备治疗急、慢性支气管炎药物中的应用 |
CN104906120A (zh) * | 2015-06-29 | 2015-09-16 | 河南中医学院 | 一种橙皮苷在制备预防和/或治疗肺纤维化疾病药物中的用途 |
CN106963755B (zh) * | 2017-04-07 | 2020-01-10 | 中国人民解放军第二军医大学 | 松属素在制备脱髓鞘疾病治疗药物中的应用 |
CN107412205A (zh) * | 2017-09-11 | 2017-12-01 | 上海市杨浦区中心医院 | 柚皮素纳米吸入剂在治疗急性肺损伤中的应用 |
IT201800003804A1 (it) * | 2018-03-21 | 2019-09-21 | Neilos S R L | Composizione per il trattamento delle patologie respiratorie e orofaringee |
CN109806256A (zh) * | 2019-02-28 | 2019-05-28 | 天津国际生物医药联合研究院 | 乔松素在制备用于治疗肺纤维化疾病药物中的应用 |
CN110179786A (zh) * | 2019-06-11 | 2019-08-30 | 四川大学 | 高良姜素或其盐在制备防治肺纤维化的药品或保健品中的用途 |
-
2021
- 2021-05-07 EP EP21800033.9A patent/EP4146194A1/en active Pending
- 2021-05-07 CN CN202180048724.1A patent/CN115811969A/zh active Pending
- 2021-05-07 JP JP2022567903A patent/JP2023524312A/ja active Pending
- 2021-05-07 CA CA3178090A patent/CA3178090A1/en active Pending
- 2021-05-07 WO PCT/AU2021/050421 patent/WO2021222987A1/en unknown
- 2021-05-07 US US17/923,782 patent/US20230172901A1/en active Pending
- 2021-05-07 AU AU2021268683A patent/AU2021268683A1/en active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN115811969A (zh) | 2023-03-17 |
AU2021268683A1 (en) | 2023-01-19 |
WO2021222987A1 (en) | 2021-11-11 |
CA3178090A1 (en) | 2021-11-11 |
US20230172901A1 (en) | 2023-06-08 |
EP4146194A1 (en) | 2023-03-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
ES2887358T3 (es) | Inhibidor de Alfa1-Proteinasa para demorar el comienzo o progresión de exacerbaciones pulmonares | |
TWI792171B (zh) | 包括透明質酸和蛋白聚醣連接蛋白1的用於預防或治療肺部疾病的組合物 | |
JP6151454B2 (ja) | モノアセチルジアシルグリセロール化合物を有効性分として含有する慢性閉塞性肺疾患の予防または治療用組成物 | |
JP7334983B2 (ja) | 肺気腫及びその他の形態のcopdの治療のための組成物及び方法 | |
US20230346899A1 (en) | PHARMACEUTICAL COMBINATION THERAPY AND PREVENTION WITH APROTININ + NIRMATRELVIR OF SARS-CoV-2 AND/OR DISEASE ASSOCIATED WITH THIS INFECTION, INCLUDING COVID-19 | |
JP2023524312A (ja) | 線維化疾患及び炎症性疾患の予防及び治療のための組成物及び方法 | |
WO2019200274A1 (en) | Compositions and methods for treating elastic fiber breakdown | |
US20080249144A1 (en) | Preventive or Therapeutic Agent for Chronic Inflammatory Lung Disease | |
RU2737799C1 (ru) | Ингаляционный гексапептид для лечения респираторных заболеваний, связанных с интерлейкином-6 | |
RU2810732C1 (ru) | Композиция для профилактики или лечения заболеваний легких, содержащая гиалуронан/протеогликан-связывающий белок 1 | |
CN108096240B (zh) | 一种治疗肺纤维化的中药组合物 | |
KR102087661B1 (ko) | Gebr―7b 화합물을 유효성분으로 포함하는 만성폐쇄성 폐질환의 예방 또는 치료용 조성물 | |
JP6294773B2 (ja) | 口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤 | |
CN112915193B (zh) | Kp-1在制备治疗慢性肺病的药物中的用途 | |
RU2746161C1 (ru) | Фармацевтический набор для комбинированной терапии COVID-19 (SARS-CoV-2) и способ его применения | |
US20240058299A1 (en) | Genistein treatment of inflammatory and immunological disorders | |
KR20180065223A (ko) | 천식의 치료 또는 완화용 약학 조성물 | |
CN106692972B (zh) | 含细胞自噬抑制剂的制剂及其在治疗气道粘液高分泌中的用途 | |
JP2016027032A (ja) | 慢性閉塞性肺疾患治療剤 | |
KR20200089374A (ko) | 효모 추출물을 유효성분으로 함유하는 만성 폐쇄성 폐질환 개선, 예방 또는 치료용 조성물 | |
NZ621596B2 (en) | Alpha1-proteinase inhibitor for delaying the onset or progression of pulmonary exacerbations |