JP6294773B2 - 口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤に関する。
口腔粘膜は、空洞器官である口腔の表面を被覆する軟組織であり、体表面として生体の防衛機構の重要な役割を果たしている。口腔粘膜疾患とは、広くこの粘膜に症状を呈する疾患を意味する。口腔粘膜疾患のうち、粘膜の滲出性炎は、口内炎と呼ばれている。口内炎は、主として通常アフタ性、カタル性、ウイルス性、口腔カンジダ症の4種類に大別される。
これらの口腔粘膜疾患の発症原因は不明であるが、免疫系のバランス異常が関与すると推測されている。また、疲労、ストレス、ウイルス、真菌、又は物理的刺激などの関与も示唆されている。口腔粘膜疾患は、びらん(粘膜の浅い欠損)を伴うこともあり、接触痛または疼痛のため食物の摂食障害や発語障害などの問題となるため、早期に治療することが必要である。
また、口腔粘膜疾患は、例えば、がんの化学療法、放射線療法の副作用の1つとして、口内炎を発症することが知られている。がん治療中に発症する口腔粘膜疾患は、がんの化学療法、放射線療法により発生するフリーラジカルよる直接作用やがんの化学療法、放射線療法により骨髄抑制が起こり、免疫力が低下するなどの間接作用により発症する。がん治療中に発症する口腔粘膜疾患は難治性であり、コンプライアンスが低下すると共に、がん治療の遅延や中止などのがんの治療方法に影響する。このため、がんの治療中における口腔粘膜疾患の治療は重要な問題となる。
口腔粘膜疾患の治療剤として、デキサメタゾン、トリアムロシノロンアセトニドなどのステロイド系炎症剤が軟膏、局所用錠剤、又は局所用噴霧剤の形態で使用されている(例えば、特許文献1参照)。また、胃炎又は胃潰瘍の治療効果を有するソファルコンを口腔粘膜治療に使用することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、γグルタミントランスペプチダーゼ(以下、「GGsTop」(登録商標)という)阻害物質である下記の化学式1で表される化合物が知られている。
上述の化合物は、ナールスゲン(登録商標)(一般名称:2−アミノ−4−{[3−(カルボキシメチル)フェニル](メチル)ホスホノ}ブタン酸,化粧品原料の国際命名法(「INCI」,International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)による名称:Methyl Carboxymethylphenyl Aminocarboxypropylphosphonate,その他の表記:カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル)という物質であり、特許文献3においては、その総称的な化学物質が紹介されている。
特開2003−226644号公報 特開2009−126813号公報 特開2010−270115号公報
ステロイド系炎症剤を用いる口腔粘膜疾患の治療剤は、細菌性の口腔粘膜疾患の場合には症状を悪化させることがある。また、場合によっては、ステロイド系炎症剤を用いると、口腔内細菌等により口腔粘膜疾患をさらに悪化させるという問題が生じ得る。
また、胃炎又は胃潰瘍の治療効果を有する薬剤を用いる場合においても、全ての胃炎又は胃潰瘍の治療効果を有する薬剤が、必ずしも口腔粘膜疾患の治療に有効であるわけではない。従って、従来知られていない機能を有する優れた口腔粘膜疾患の治療剤が、強く求められている。
本発明は、新規かつ有用な口腔粘膜疾患の治療剤を提供することに大きく貢献し得る。
本発明者らは、口腔粘膜疾患の治療のメカニズムとして、最初に粘膜下層が修復され、それに続いて上皮細胞の増殖が行われると考えた。このため、本発明者らは、コラーゲン、エラスチンの再生促進剤である上述のナールスゲンが口腔粘膜疾患の治療に有用であると考えた。そこで、該ナールスゲンが、口腔粘膜疾患の治療に寄与する可能性について本発明者らは鋭意研究及び分析を行った結果、本発明を完成した。本発明は、上述の視点に基づいて創出されたものである。
本発明の1つの口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤は、ナールスゲンを含有する。
また、本発明のもう1つの口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤は、ナールスゲンを含有するとともに、潰瘍治療剤を含む。
本発明の1つの口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤は、ナールスゲンを含有する。そのため、このナールスゲンが、口腔粘膜疾患の治癒を促進する優れた効果を発揮する。従って、本発明によれば、新規な口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤を提供することができる。
TA投与群と、乳糖投与群と、無治療群とにおける潰瘍面積の経時変化を示すグラフである。 TA投与群と、乳糖投与群と、無治療群とにおける白血球の経時変化を示すグラフである。 ナールスゲン投与群と、無治療群とにおける潰瘍面積の経時変化を示すグラフである。 ナールスゲン投与群と、無治療群とにおける白血球の経時変化を示すグラフである。 レバミピド単独投与群と、ナールスゲン単独投与群と、ナールスゲンとレバミピドの併用投与群と、無治療群とにおける潰瘍面積の経時変化を示すグラフである。 ナールスゲン投与群と、無治療群とにおける白血球の経時変化を示すグラフである。
本実施形態において使用する化合物は、下記の化学式1で表される化合物である。
上述の化合物は、ナールスゲン(登録商標)(化粧品原料の国際命名法(「INCI」,International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)による名称:Methyl Carboxymethylphenyl Aminocarboxypropylphosphonate,カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル,一般名称:2−アミノ−4−{[3−(カルボキシメチル)フェニル](メチル)ホスホノ}ブタン酸)と呼ばれる物質であり、特開2010−270115に記載されている。また、ナールスゲンは、前述の公報に記載されている方法又はそれに準じた公知の方法を用いて製造することができる。なお、本願においては、説明の便宜上、「ナールスゲン」という表現を用いて本実施形態、各実施例、及び各図を説明する。
本実施形態の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤の好ましい適用対象は、口腔粘膜疾患であり、さらに好ましい適用対象は口内炎である。
ナールスゲンを口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤として使用する場合、経口剤として投与することができる。なお、ナールスゲンを経口剤として投与する場合、チュアブル剤、トローチ、細粒剤、微粒剤などの固形製剤、液剤、ドライシロップ剤、ゲルあるいは軟膏またはクリーム剤、パッチ剤、含嗽剤、噴霧剤などの製剤として利用することができる。また、製剤の形態も、特に限定されることなく、幅広い形態とすることができる。そして、本実施形態の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤の経口製剤形態は、前述の各剤形及び各形態に限定されるものではない。
また、本実施形態の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤には、ナールスゲン以外に、他の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤を含有していてもよい。そのような場合は、他の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤の使用量は、本実施形態の効果を損なわない質的および量的範囲であれば採用することができる。
他の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤の例は、公知の他の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤である。ここで、公知の他の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤の例は、デキサメタゾン、トリアムロシノロンアセトニドなどのステロイド炎症剤、上記する特許文献2に記載のソファルコン、レバミピドなどの胃炎、及び/又は胃潰瘍の治療効果を有する薬剤(潰瘍治療剤)である。しかしながら、公知の他の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤の例は、前述の各例示に限定されるものではない。
また、本実施形態の効果を損なわない質的および量的範囲であれば、界面活性剤(アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤)、ビタミン類(例えば、ビタミンB2など)、アミノ酸、保湿剤、動物あるいは植物、生薬の抽出物やエキス、微生物培養代謝物、α−ヒドロキシ酸、無機顔料、収斂剤、殺菌・消毒薬、香料、色素・着色剤、その他、ホルモン類、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、潤沢剤、防腐・防バイ剤、清涼剤、安定化剤、乳化剤、動・植物性タンパク質およびその分解物、動・植物性多糖類およびその分解物、動・植物性糖タンパク質およびその分解物、血流促進剤、消炎剤・抗アレルギー剤、細胞賦活剤、創傷治療剤、増粘剤、口腔用剤、調味料、及び/又は酵素なども利用可能である。
本実施形態の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤におけるナールスゲンの配合量は、特に限定されない。配合する剤形の種類、性状、品質、期待する効果の程度によって異なるが、例えば、ナールスゲンの配合量は、0.00001重量%〜50.0重量%であることが好ましく、0.00005重量%〜10.0重量%であることがより好ましく、さらには0.0005重量%〜1.0重量%が特に好ましい。特に、安全性と有効性の観点から言えば、0.00001重量%〜0.00005重量%であることが非常に好ましい。
また、本実施形態の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤の投与の好適な一例は、1回あたり0.1μmol〜2μmol、好ましくは1回あたり0.5μmol〜1.5μmolのナールスゲンを、1日1〜3回経口投与することである。また、この投与量は、製剤の剤型、年齢、性別、症状の重症度により適宜増減することも可能である。
また、本実施形態の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤は、例えば、医薬品、医薬部外品、または食品として使用し得る。
[実施例]
以下、実施例を挙げて上述の実施形態を説明するが、本発明及び上述の実施形態は、下記の各実施例の記載内容に限定されるものではない。
(口内炎モデルマウスの作製)
ICRマウス(10週齢、オス)を温度23±1℃、湿度55±5%、明暗サイクル(明期8〜20時、暗期20〜8時)で標準量の飼料と水を与え、1週間馴化させ、その後飼育開始とした。上記ICRマウスに、5−フルオロウラシル(以下、「5−FU」という)を8mg/mLの5−FUを生理食塩水に溶解したものを、ICRマウスに対して50mg/kgになるように、飼育開始から0、2日目、及び4日目に6.25mL/kgを腹腔内投与した。
飼育開始から5日目に、ICRマウスをイソフルランで麻酔した後、仰向けにして口を開けた状態で固定した。マウスの左頬口腔粘膜に酢酸15μLを注射して、口腔粘膜を刺激した。この酢酸投与の翌日(飼育開始から6日目)から口腔内に白い潰瘍を生じた。この潰瘍は、飼育開始から11日目に最大の大きさになり、このときの潰瘍面積は約14mmであった。なお、潰瘍面積は、下記に示す方法によって測定した。
上述の方法を用いて作製した口内炎モデルマウスは、飼育開始から11日目以降、潰瘍面積は徐々に小さくなっていった。しかしながら、潰瘍は飼育開始から23日後まで存在した。
本実施例においては、潰瘍面積の評価、白血球測定、及び解析方法について、以下の方法を採用した。
(潰瘍面積の評価)
口内炎の評価として、潰瘍面積を測定した。具体的には、マウスをイソフルランで麻酔した後、上述と同様の方法により固定し、潰瘍部位の長径および短径を測定し、潰瘍面積の概算で算出した。
(白血球の測定)
26Gの注射針を用いて、マウスの尾静脈に傷をつけた。出てきた血液を、ピペットを用いて2μLを採取した。採取したこのマウスの血液2μLを、チュルク染色液を38μL入れたチューブ(1.5mL)に加えた。ボルテックスした後、10μLの液を血球計算盤に採り、顕微鏡下で白血球数をカウントした。カウントした白血球数から、マウスの血液中の白血球数を算出した。
なお、白血球の評価に関し、人の正常な白血球数は約4×10個/μL〜9×10個/μLである。したがって、本実施例においては、白血球数が9×10個/μLを超えたものを、炎症が起きている状態にあると判定した。
(解析方法)
本実施例において、作用効果の比較には、ダネット検定を用いた。データは、平均値±SD(標準偏差)で表し、有意水準5%未満を有意差ありと判定した。
(実施例1)
(口内炎治療モデルとしての適性評価)
酢酸注射日(飼育開始から5日目)の翌日(同6日目)から、口内炎治療剤であるトリアムシノロンアセトニド(以下、「TA」という)製剤を、上述の口内炎モデルマウス3匹に対して、1日1回、約5mg連日投与した。また、比較例として、乳糖を投与した乳糖投与群と、コントロールとして何も投与しない無治療群とを用いた。それらの結果を図1に示す。なお、図1において、「*」印は無処理群に対して有意水準5%未満であることを意味する。
図1は、TA投与群と、乳糖投与群と、無治療群とにおける潰瘍面積の経時変化を示すグラフである。図1において、横軸は、5−FUを最初に投与した日からの経過日数を、縦軸は潰瘍面積(mm)を示す。酢酸刺激により発症した口内炎の潰瘍面積はマウスの口腔粘膜内に収まるほどの大きさであった。それぞれの日における棒グラフは、左から無治療群、乳糖投与群、TA投与群を示す。図1に示すように、TA投与群においては、乳糖投与群と無治療群と比較して16日目以降から潰瘍面積が有意に減少していることが分かった。これらの結果から、上述の口内炎モデルマウスは、口内炎の治療効果を評価するために有効な指標となり得ることが明らかとなった。
また、図2は、TA投与群と、乳糖投与群と、無治療群とにおける白血球の経時変化を示すグラフである。図2において、横軸は5−FUを最初に投与した日からの経過日数を、縦軸は白血球数(×10個/μL)を示す。また、図2において、「*」印は無処理群に対して有意水準5%未満であることを意味する。また、図2において、▲印はTA投与群を、■印は乳糖投与群を、◆印は無治療群をそれぞれ意味する。
ところで、白血球が減少すると、身体の免疫力が減少し、細菌やウイルスが繁殖しやすくなる。図2に示すように、5−FUを最初に投与した日から5日目に白血球数が正常値から約40%減少していることが分かる。この結果から、上述の口内炎モデルマウスは、がん治療患者を含め、免疫力が低下して発症する口内炎のモデルにもなり得ることが明らかとなった。
また、酢酸刺激(5−FUを最初に投与した日から6日目)以降から白血球数が増加し、口内炎による炎症を起こしていることが分かる。乳糖投与群と、無治療群とにおいては、23日目にも9000×10個/μLを超えており、白血球数が増加する状態が継続していることが分かる。一方、TA投与群では、21日目で白血球数が正常範囲に戻ることがわかった。このことから、白血球数を測定することにより、口内炎モデルマウスの炎症(口内炎)の治癒状態が、白血球数から評価できることが確認された。
(実施例2)
(ナールスゲンによる口内炎治療効果の評価)
ナールスゲンを精製水に溶解して、それぞれ6.8mg/mL及び13.6mg/mLの濃度の水溶液を作製した。上述の方法により得られた口内炎モデルマウスをイソフルランを用いて麻酔した後、仰向けにして口を開けた状態で固定した。P100ピペットを用いて、上述の各濃度のナールスゲン水溶液25μLずつ(0.5μmol、1.0μmol)を口内炎部位に塗布投与した。
酢酸注射日(飼育開始から5日目)の翌日(同6日目)から、ナールスゲンを、上述の口内炎モデルマウス3〜4匹に対して、1日1回、連日それぞれ0.5μmol、1.0μmolを塗布投与した。比較例として、コントロールとして何も投与しない無治療群とを用いた。実施例1と同様に、潰瘍面積の経時変化と白血球の経時変化とを測定した。それらの結果を図3及び図4に示す。なお、図3及び図4において、「*」印は無処理群に対して有意水準5%未満であることを意味する。
図3は、ナールスゲン投与群と、無治療群とにおける潰瘍面積の経時変化を示すグラフである。図3において、横軸は、5−FUを最初に投与した日からの経過日数を、縦軸は潰瘍面積(mm)を示す。また、それぞれの日における棒グラフは、左から無治療群、ナールスゲン投与群(0.5μmol)、ナールスゲン投与群(1.0μmol)を示す。図3に示すように、ナールスゲンを口腔内潰瘍部位に塗布すると、無処理群に比べて13日目、換言すれば、ナールスゲンを投与してから8日目から潰瘍面積が早く減少することが分かる。特に、ナールスゲンを1.0μmol塗布投与した群では、有意に潰瘍面積が早く減少した。図3の結果から、ナールスゲンを少なくとも0.5μmol以上1.0μmol以下投与することは潰瘍面積の低減に貢献し得ることが確認された。
また、図4は、ナールスゲン投与群と、無治療群とにおける白血球の経時変化を示すグラフである。図4において、横軸は、5−FUを最初に投与した日からの経過日数を、縦軸は、白血球数(×10個/μL)を示す。また、図4において、□印はナールスゲン投与群(0.5μmol)を、△印はナールスゲン投与群(1.0μmol)を、○印は無処理群を表す。
図4に示すように、ナールスゲンを口腔内潰瘍部位に塗布投与すると、最初に投与した日から18日目には1.0μmol投与群の白血球数が正常範囲に戻っていることが分かる。特に、最初に投与した日から20日目以降は、0.5μmol投与群、1.0μmol投与群のいずれも、無処理群に比べて優位に白血球数が回復していることが分かる。また、無処理群の白血球数は、20日目以降であっても正常に戻らなかった。図4の結果から、ナールスゲンを少なくとも0.5μmol以上1.0μmol以下投与することは白血球数の回復に貢献し得ることが確認された。
上述の各結果から、ナールスゲンは、既存の口内炎治療薬TAよりも、口内炎の治癒、及び白血球数の正常時への回復に優れた機能を発揮することがわかった。
(実施例3)
(ナールスゲンとレバミピドの併用による口内炎治療効果の評価)
胃炎や胃潰瘍を治療するための薬剤であるレバミピドと、ナールスゲンとを併用して口内炎治療効果を評価した。具体的には、酢酸注射日(飼育開始から5日目)の翌日(同6日目)から、レバミピドを2.0μmol、ナールスゲンを1.0μmol、ナールスゲン1.0μmolとレバミピドとを2.0μmolを、それぞれ上述の口内炎モデルマウス各4匹に、1日1回連日塗布投与した。比較例として、コントロールとして何も投与しない無治療群とを用いた。実施例1と同様に、潰瘍面積の経時変化と白血球の経時変化とを測定した。結果を図5及び図6に示す。図5及び図6においては、「*」印は無処理群に対して有意水準5%未満であることを意味する。
図5は、レバミピド単独投与群と、ナールスゲン単独投与群と、ナールスゲンとレバミピド併用投与群と、無治療群とにおける、潰瘍面積の経時変化を示すグラフである。図5において、横軸は、5−FUを最初に投与した日からの経過日数を、縦軸は潰瘍面積(mm)を示す。また、それぞれの日における棒グラフは、左から無治療群、レバピミド投与群、ナールスゲン投与群、ナールスゲン及びレバピミド併用投与群を示す。図5に示すように、レバミピド単独投与群はその投与から6日目(飼育開始から11日目)以降、ナールスゲンとレバミピド併用投与群はその投与から3日目(飼育開始から8日目)以降において、潰瘍面積が有意に減少していることが分かる。また、レバミピド単独投与群においては、その投与から6日目(飼育開始から11日目)から有意に潰瘍面積が減少しているが、11日目(飼育開始から16日目)以降はナールスゲン単独投与群と差はなくなった。特に、ナールスゲンとレバミピド併用投与群においては、その投与から3日目(飼育開始から8日目)以降から潰瘍面積が急速に減少し、15日目(飼育開始から20日目)には完治していることが分かる。
図6は、ナールスゲン投与群と、無治療群とにおける白血球の経時変化を示すグラフである。図6において、横軸は、5−FUを最初に投与した日からの経過日数を、縦軸は、白血球数(×10個/μL)を示す。また、図中、〇印は無治療群を、△印はレバピミド投与群を、□印はナールスゲン投与群を、◇印はナールスゲン及びレバピミド併用投与群をそれぞれ表す。
図6に示すように、ナールスゲンとレバミピド併用投与群においては、白血球の増加率が他の群に比べて若干低く、炎症の程度が少ないことが分かる。また、レバミピド単独投与群と、ナールスゲン単独投与群と、ナールスゲンとレバミピド併用投与群においては、16日目以降、白血球数が正常範囲に戻っていることが分かる。
上述の結果から、ナールスゲンとレバミピドとを併用すると、ナールスゲンを単独で用いるよりも口内炎の治癒を非常に促進し得ることがわかった。これは、ナールスゲンが併存する状態であっても、レバミピドの粘液分泌増加作用による防御機構の回復作用が有効に機能していることを示していると考えられる。換言すれば、ナールスゲンによるコラーゲン、エラスチン産生促進作用が粘膜下層の肉芽組織の修復に貢献するとともに、レバミピドの前述の機能も発揮し得るために、口内炎の治癒がさらに促進されたといえる。
従って、上述の実施形態及び各実施例における口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤は、5−FU投与した後に発症させた口内炎の治療に大きく貢献し得ることが確認されたことから、該経口製剤は、通常の発生原因による口内炎のみならず、がん治療中に発症する口内炎にも有効であると考えられる。
(実施例4)
(1.0μmolを超えるナールスゲンを投与した例)
上述の実施例2に示す方法と同様に、ナールスゲンの量が5.0μmolとなるナールスゲン水溶液を25μLずつ投与した結果、潰瘍面積の経時変化を調べると、1.0μmolの投与の場合と同様に、ナールスゲンを投与してから6日目から、顕著に治療効果が見られた。特筆すべきは、1.0μmolの投与の場合よりも早期に、該潰瘍に対する高い治療効果が発揮されている点である。同様に、ナールスゲンを投与してから8日目及びナールスゲンを投与してから11日目についても、1.0μmolの投与の場合よりも該潰瘍に対する高い治療効果が発揮されていることが確認された。その後は、十分に潰瘍面積が低減されたため、5.0μmolの場合と1.0μmolの場合との差が殆どなくなった。上述のとおり、より多くの量のナールスゲンを投与することが早期の治療に貢献し得ることが確認された。
さらに、この例において白血球の経時変化を調べたところ、ナールスゲンの量が5.0μmolとなるナールスゲン水溶液を25μLずつ投与した結果、1.0μmolの投与の場合と同等以上の回復効果が確認された。
従って、これまでの結果を踏まえると、ナールスゲンを少なくとも0.5μmol以上5.0μmol以下投与することは口内炎の治癒、及び白血球数の正常時への回復に貢献し、特に、少なくとも1.0μmol以上5.0μmol以下投与することは口内炎の治癒、及び白血球数の正常時への回復に非常に大きく貢献し得ることが分かった。すなわち、少なくとも1.0μmol以上5.0μmol以下のナールスゲンを含有する経口製剤に相当する製剤を予め準備することは、口内炎の治癒、及び白血球数の正常時への回復に非常に大きく貢献し得る。
上述の実施形態又は実施例の開示は、該実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、上述の実施形態及び各実施例における他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。

Claims (2)

  1. 下記の化学式1で表される化合物を含有する口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤。
  2. さらに潰瘍治療剤を含む、
    請求項1に記載の口腔粘膜疾患の予防または治療用経口製剤。
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