JP2016027032A - 慢性閉塞性肺疾患治療剤 - Google Patents

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寿久 新井
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幸則 阪田
海 柴田
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海 柴田
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Abstract

【課題】慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に有用な治療剤の提供。【解決手段】これまでのCOPDに対する薬物療法では不十分な患者に対して極めて有効である、リゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩を含む慢性閉塞性肺疾患治療剤。【選択図】なし

Description

本発明は、リゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩を含む慢性閉塞性肺疾患治療剤に関する。
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、様々な原因、特に喫煙により肺に慢性の炎症が生じ、これにより、肺胞の破壊や気管支粘液線の肥大が起き、その結果、息切れを生じたり、咳嗽や喀痰が増加したりする疾患である。
COPDの最大の原因は喫煙である。COPD患者の90%は喫煙者であり、非喫煙者に比べて喫煙者ではCOPDの発症のリスクは6倍以上となる。また、COPDによる死亡率は、喫煙者では非喫煙者に比べて約10倍高い。喫煙者の約15〜20%がCOPDを発症するが、高齢者に限るとその50%近くがCOPDである。その他の原因として、室内空気汚染や、大気汚染、化学物質や粉塵の吸入、遺伝によるもの、小児期の肺炎・気管支炎などが挙げられている。
その病態としては、気流制限、すなわち息が吐きづらいことを特徴とする疾患であるが、病態の本質は、気道の慢性炎症である。喫煙や吸入物質により、中枢気道から末梢気管支まで肺のさまざまなレベルで炎症が惹起される。その結果、プロテアーゼ・アンチプロテアーゼの不均等や、オキシダント・アンチオキシダントの不均等などにより、肺胞の破壊や、気管支粘液腺の肥大が起きると考えられている。
このCOPDは、不可逆的な気道の破壊が生じているために、いったん発症すると治癒しない疾患であると考えられている。禁煙や、気管支拡張薬などの投与による薬物療法、酸素療法等の治療法も存在するが、いずれも症状を緩和するにすぎず、治癒することが極めて困難な疾患である。
COPDに対する薬物療法としては、現在、β刺激薬や抗コリン薬、アミノフィリンやテオフィリン等のキサンチン誘導体といった気管支拡張薬が一般的に使用されている。
また、特開2009−108044号公報(特許文献1)には、アゼラスチンとリゾチーム塩酸塩の併用によってCOPDに効果があることが記載されている。しかしながら、リゾチームを単独投与することによってCOPDに効果があることは記載されていない。
さらに、Allergologia et. Immunopathologia(1985).13(1).53−8.(非特許文献1)には、リゾチームをCOPD患者に投与したとの記載があるが、投与した結果について一切記載されていない。そのため、リゾチームがCOPDに効果があるか否か不明のままであった。
特開2009−108044号
Allergologia et. Immunopathologia(1985).13(1).53−8.
COPD患者においては、喀痰が多く喀出困難を訴えるケースがある。喀痰量の多いCOPD患者では、呼吸機能の経年的な低下率が大きいことから、喀痰に対する治療は重要である。これまでの気管支拡張薬は気管支平滑筋の弛緩作用によって一定の呼吸機能の改善効果が認められるものの、β刺激薬はその交感神経刺激作用により心血管障害患者の症状を悪化させる恐れがあり、抗コリン薬は緑内障や前立腺肥大症の患者には投与できず、また、いずれも高価である。さらに、キサンチン誘導体には嘔気や不整脈などの副作用があり、血中濃度のモニタリングをする必要がある。これらの問題点に鑑み、本発明では、COPDの治療により有用な治療剤を提供することを課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、リゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩を含む組成物が、これまでのCOPDに対する薬物療法では不十分な患者に対して、極めて有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
(1)
リゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩を含む、慢性閉塞性肺疾患治療剤。
(2)
(1)に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
前記リゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩がリゾチーム塩酸塩であることを特徴とする、
慢性閉塞性肺疾患治療剤。
(3)
(1)または(2)に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
前記治療剤が固形製剤または液状製剤であることを特徴とする、
慢性閉塞性肺疾患治療剤。
(4)
(3)に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
前記固形製剤または液状製剤が、錠剤、丸剤、散剤、被覆錠剤、顆粒剤、カプセル剤またはシロップ剤であることを特徴とする、
慢性閉塞性肺疾患治療剤。
(5)
(1)から(4)のいずれかに記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
前記治療剤が、1日量として15mg〜5g、対象に投与されることを特徴とする、
慢性閉塞性肺疾患治療剤。
(6)
(5)に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
前記治療剤の1日量を3回に分けて経口投与されることを特徴とする、
慢性閉塞性肺疾患治療剤。
(7)
(1)〜(6)のいずれかに記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
前記慢性閉塞性肺疾患が、末梢気道病変優位型(非気腫型または慢性気管支炎型)慢性閉塞性肺疾患であることを特徴とする、
慢性閉塞性肺疾患治療剤。
(8)
(1)〜(6)のいずれかに記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
喫煙習慣のある対象に投与されることを特徴とする、
慢性閉塞性肺疾患治療剤。
(9)
(1)〜(8)のいずれかに記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
他の慢性閉塞性肺疾患治療剤と併用されることを特徴とする、
慢性閉塞性肺疾患治療剤。
(10)
(9)に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
前記他の慢性閉塞性肺疾患治療剤が、気管支拡張薬、吸入ステロイド、抗アレルギー剤、または、呼吸器疾患の適応のある漢方薬であることを特徴とする、
慢性閉塞性肺疾患治療剤。
本発明によれば、治療効果の高い慢性閉塞性肺疾患治療剤を提供することができる。
図1は、末梢気道病変優位型COPDの患者と、肺気腫優位型COPDの患者とにおける、本発明のCOPD増悪抑制効果を比較した結果を示す。 図2は、患者の喫煙状況(喫煙習慣のある患者、または、禁煙の患者)による、本発明のCOPD増悪抑制効果を比較した結果を示す。
リゾチームは、動物の体液等(例えば、涙、鼻汁、母乳)に含まれる酵素であり、抗菌・止血等の作用を有することが知られている。本発明において用いるリゾチームの由来は限定されず、例えば、哺乳動物(ヒト、ブタ、ウシ、サル、ヒヒ、イヌ、ネコ、ラット、マウス等)や鳥類(ニワトリ、ダチョウ等)に由来するリゾチームを用いることができる。
本発明において用いるリゾチームは、天然由来のものでもよく、合成されたものでもよい。天然由来のリゾチームとしては、例えば、鶏卵卵白から常法により抽出したリゾチームを用いることができる。鶏卵卵白からリゾチームを抽出する場合には、大量に調製することが比較的容易である。また、鶏卵アレルギーを避けるという観点からは、例えば、遺伝子組み換えによって合成したリゾチーム(例えば、ヒトリゾチーム)を用いることもできる。
本発明において用いるリゾチームは、塩の形態であってもよい。リゾチームの塩は、有機酸との塩、無機酸との塩、有機塩基との塩、無機塩基との塩など、リゾチームと塩を形成することができるあらゆる物質との塩であってよい。好ましくは、本発明において用いるリゾチームはリゾチーム塩酸塩(塩化リゾチーム)であってよい。
本発明の慢性閉塞性肺疾患治療剤の投与方法は限定されず、例えば、経口投与や注腸投与等によって消化管へ投与してもよく、注射や経皮投与等によって消化管以外の経路から非経口的に投与してもよく、吸入投与や経鼻投与等によって呼吸器へ局所的に投与してもよいが、好ましくは、経口投与又は吸入投与を用いてよい。
本発明の慢性閉塞性肺疾患治療剤を消化管へ投与する場合は、薬剤の形態として、例えば、錠剤、丸剤、散剤、被覆錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形製剤、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等の液状製剤として用いることができる。また、本発明の慢性閉塞性肺疾患治療剤を非経口的に投与する場合には、例えば、静脈注射、皮下注射、皮内注射、筋肉注射および腹腔内注射などに使用される注射剤(液剤、乳剤、懸濁剤等)や、貼付剤、塗布剤として用いることができる。さらに、本発明の慢性閉塞性肺疾患治療剤を呼吸器へ局所的に投与する場合は、例えば、エアゾール剤、アトマイザー、ネブライザー等の吸入剤、又は、点鼻薬として用いることができる。
また、本発明に係る慢性閉塞性肺疾患治療剤を固形製剤として成形する場合、有効成分と共に薬学的に許容される製剤担体を用いて、医薬製剤の形態としてもよい。該製剤担体としては、例えば、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、吸収促進剤、保湿剤、吸着剤、滑沢剤、充填剤、増量剤、付湿剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩、緩衝剤等の希釈剤又は賦形剤を例示でき、これらは得られる製剤の投与形態に応じて適宜選択使用される。
本発明に係る慢性閉塞性肺疾患治療剤を錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウム等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の崩壊剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド等の界面活性剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。
さらに錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠とすることができる。この剤皮の層の数によって二重錠、多層錠とすることができる。
本発明に係る慢性閉塞性肺疾患治療剤を丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
本発明の慢性閉塞性肺疾患治療剤が液状製剤である場合は、シロップ剤等の液状製剤として調製される場合、水、エタノール等の溶剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、安息香酸塩、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロルブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、プロピオン酸ナトリウム、チメロサール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン、ソルビン酸およびソルビン酸塩等の保存剤、エデト酸塩等の安定化剤、アスパルテーム、エリスリトール、キシリトール及びD−ソルビトール等の甘味剤、塩酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、水酸化ナトリウム等の無機塩基等のpH調整剤を使用できる。
本発明の慢性閉塞性肺疾患治療剤が、液剤、乳剤、懸濁剤等の注射剤として調製される場合、これらは殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましく、これらの形態に成形するに際しては、希釈剤として例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用できる。なお、この場合、等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを本発明薬剤中に含有させてもよい。また、通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
本発明の慢性閉塞性肺疾患治療剤が液状製剤である場合は、凍結保存または凍結乾燥等により水分を除去して保存してもよい。凍結乾燥製剤は、使用時に注射用蒸留水等を加え、再度溶解して使用される。
さらに、本発明に係る慢性閉塞性肺疾患治療剤中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させて調製することもできる。
本発明に係る慢性閉塞性肺疾患治療剤を吸入剤として用いる場合、リゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩を有効成分として用いて、粉末、溶液又は懸濁液の形態として製造することができる。
吸入剤を粉末として製造する場合には、有効成分であるリゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩をそのまま、若しくは賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定化剤、矯味・矯臭剤などの添加剤を加えて微細化することにより製造することができる。
また、吸入剤を溶液または懸濁剤として製造する場合には、例えば、リゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩を水または水と補助溶媒、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールのようなアルコール系の補助溶媒の混合物に溶解又は懸濁させることにより製造することができる。そのような溶液又は懸濁液は、さらに防腐剤、可溶化剤、緩衝剤、等張化剤、吸収促進剤、増粘剤等を含有することができる。
上記のようにして製造した吸入剤は、吸入剤の分野での一般的な手段、例えば、スポイト、ピペット、カニューレ又はアトマイザーやネブライザーなどの噴霧器を用いて霧状にして鼻腔内又は口腔内に、或いは気管、気管支、肺等へ直接投与される。噴霧器を用いる場合には、適当な噴射剤(例えば、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン若しくはジクロロテトラフルオロエタンのようなクロロフルオロカーボン、または二酸化炭素等のガス等)と共に加圧バッグの形にされたエアゾールとして噴霧するか、ネブライザーを用いて投与することができる。
本発明において、対象に投与されるリゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩の量は、固形製剤の場合、1日あたり10mg〜5g、好ましくは20mg〜1g、より好ましくは50〜500mg、さらに好ましくは60〜270mgとしてよい。また、液状製剤の場合、1日あたり1mg〜1g、好ましくは5〜500mg、より好ましくは10〜100mg、さらに好ましくは15〜60mgとしてよい。さらに、1日あたりの投与量を数回(好ましくは2〜5回、より好ましくは2〜3回、さらに好ましくは3回)に分けて投与することもできる。また、対象動物、対象の性別、対象の年齢、疾患の程度に合わせて、製剤の形態や用法、用量を当業者が適宜調節することができる。

本発明を用いて慢性閉塞性肺疾患を治療する対象は限定されず、例えば、哺乳動物(ヒト、ブタ、ウシ、サル、ヒヒ、イヌ、ネコ、ラット、マウス等)に対して本発明を用いることができる。しかし、好ましくない場合には、ヒトを対象から除くこともできる。
慢性閉塞性肺疾患は、病型によって末梢気道病変優位型(非気腫型または慢性気管支炎型ということがある。)と、肺気腫優位型(肺気腫型ということがある。)とに分類することができる。本発明は、いずれの病型の慢性閉塞性肺疾患に対しても用いることができるが、特に、末梢気道病変優位型の慢性閉塞性肺疾患に対して好適に用いることができる。
本発明は、患者の喫煙履歴に関わらず、慢性閉塞性肺疾患の症状を呈する全ての患者に用いることができるが、特に、喫煙履歴のある慢性閉塞性肺疾患患者(例えば、現在喫煙習慣のある慢性閉塞性肺疾患患者)に好適に用いることができる。
また、本発明に含まれるリゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩は、単独で慢性閉塞性肺疾患の治療に用いられ得るが、補助的に、他の慢性閉塞性肺疾患の治療剤と併用されてもよい。他の慢性閉塞性肺疾患の治療剤の例としては、気管支拡張薬(例えば、β刺激薬、抗コリン薬、または、アミノフィリンやテオフィリン等のキサンチン誘導体)、吸入ステロイド(例えば、フルチカゾン)、抗アレルギー剤、または、呼吸器疾患の適応のある漢方薬と併用されてもよい。併用の態様は特に限定されず、複数の薬剤が同時に投与されてもよいし、複数の薬剤が、併用効果を奏する範囲内においてそれぞれ異時に投与されてもよい。
なお、本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
慢性閉塞性肺疾患の「治療」には、慢性閉塞性肺疾患の増悪を抑制することも含まれる。さらに、慢性閉塞性肺疾患の「治療」には、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪を抑制することも含まれる。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
第一の、第二のなどの用語が種々の要素を表現するために用いられる場合があるが、これらの要素はそれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は一つの要素を他の要素と区別するためのみに用いられているのであり、例えば、第一の要素を第二の要素と記し、同様に、第二の要素は第一の要素と記すことは、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、しかしながら、本発明はいろいろな形態により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
<試験例1>
1.被験者
日本呼吸器学会COPDガイドラインの診断基準でCOPDと診断され、以下の基準を全て満たす患者とした。なお、日本呼吸器学会COPDガイドラインにしたがい、1秒量(FEV)は、最初の1秒間で吐き出せる息の量を示し、努力肺活量(FVC)は、思い切り息を吸ってから強く吐き出したときの息の量を示し、1秒率(FEV%)は、FEV値をFVC値で割った値を示し、対標準1秒量(%FEV)は、1秒量実測値(検査時に1秒間で吐き出した呼気の量)の1秒量予測値(年齢や身長、性別に基づいた標準的な1秒量)に対する割合を示す。
(1) 気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーで1秒率(FEV/FVC)が70%未満、%FEVが80%未満のCOPD患者
(2) 同意取得時点で20歳以上85歳未満の外来患者
(3) スクリーニング時の自覚症状として「痰が胸につかえる感じ」について「2.少し感じる」から「5.非常に強く感じる」、又は「痰の出しにくさ(痰の切れにくさ)」について「2.出し(きれ)やすい」から「5.非常に出し(きれ)にくい」の症状がある患者
(4) Brinkman指数が200以上(10 pack year以上)の患者で、かつ1年以上前から禁煙している患者
また、以下の基準のいずれかに該当する患者は、被験者の対象から除外した。
(1) スクリーニング時に急性の上気道感染症、急性の下気道感染症又は慢性の下気道感染症と診断された患者
(2) 在宅酸素療法中の患者
(3) 肺炎、肺結核を有する患者
(4) 肺移植、肺切除術、肺容量減量術を受けた患者
(5) 重篤な心疾患(例:心筋梗塞急性期等)、脳血管障害急性期、血液疾患(例:再生不良性貧血等)、腎疾患(例:急性及び慢性腎不全等)、肝疾患(例:肝硬変等)、悪性腫瘍等、高度の疾患を合併している患者
(6) リゾチーム塩酸塩に対し、過敏症の既往歴がある患者
(7) 卵アレルギーのある患者
(8) 開発中の薬剤を使用している患者あるいは使用終了後から同意取得日まで24週間を経過していない患者
(9) アルコール依存又は薬物依存を有する患者
2.本発明の治療剤の投与方法
上記の被験者を、リゾチーム塩酸塩を乳糖に置換したプラセボを対照としたリゾチーム塩酸塩(商品名:アクディームカプセル90mg、あすか製薬社製)を3回/日の投与の無作為2期2群クロスオーバー法による二重盲検比較試験に組み入れた。無作為化前はスクリーニング期、無作為化後は第一期治療期(28日)、観察期(28日)、第二期治療期(28日)で構成した。被験者はA群(第一期治療期にリゾチーム塩酸塩を投与、第二期治療期にプラセボを投与)又はB群(第一期治療期にプラセボ、第二期治療期にリゾチーム塩酸塩を投与)のいずれかに1:1の割合で無作為に割り付けられた。なお、COPDに対する標準治療薬(気管支拡張薬(β刺激薬,抗コリン薬,キサンチン誘導体)、フルチカゾン(ドライパウダー製剤)、ロイコトリエン受容体拮抗薬以外の抗アレルギー剤及び呼吸器疾患の適応のある漢方薬)の投与は、それぞれの標準治療薬ごとに添付文書で定められた用法・用量に従い、スクリーニング期開始日から第二期治療期終了日まで被験者ごとに標準治療薬及び用法・用量を変更せずに継続した。
なお、本実施例においては、リゾチーム塩酸塩を単に「LYS」と記載することもある。
3.評価
(1)有効性評価
COPDに対する本発明の治療剤の薬効を、以下の試験例1−1〜1−5によって評価した。
試験例1−1.スパイロメトリー
評価方法
肺機能検査測定機器であるスパイロメーターを用いて、被験者の呼吸機能(FVC、FEV、%FEV)を測定した。測定値のばらつきを小さくするため、被験者の規定来院日の来院を可能な限り同じ時間帯に設定し、スパイロメトリーを実施した。また、各測定日とも同一のスパイロメーターを使用し、評価者は測定前にスパイロメーターを較正した。調査時期は、スクリーニング期、第一期治療期0日目、第一期治療期28日目、第二期治療期0日目、第二期治療期28日目とした。
結果
スパイロメトリーのFAS(Full Analysis Set)における結果を以下の表1に示し、PPS(Per Protocol Set)における結果を表2に示す。
FASにおけるプラセボ群に対するLYS群の最小二乗平均値の差は、FVC 0.032L(p=0.680)、FEV 0.043L(p=0.062)、%FEV 1.878%(p=0.077)であり、PPSにおける最小二乗平均値の差はFVC 0.055L(p=0.511)、FEV 0.051L(p=0.030)、%FEV 2.276%(p=0.041)であった。いずれの測定項目も呼吸機能の改善傾向を示した。特に、PPSにおけるFEV及び%FEVにおいて有意に改善した。
試験例1−2.Impulse Oscillometry System(IOS)法による呼吸抵抗値
評価方法
IOS法による呼吸抵抗測定機器を用いて被験者の呼吸抵抗値(R5、R20、R5−R20、X5、AX、Fres)を測定した。測定値のばらつきを小さくするために、被験者の規定来院日の来院を可能な限り同じ時間帯に設定し、IOSを実施した。また原則、同一測定者が実施することとした。調査時期は、スクリーニング期、第一期治療期0日目、第一期治療期28日目、第二期治療期0日目、第二期治療期28日目とした。
結果
IOS法による呼吸抵抗値のFASにおける結果を表3および表4に示し、PPSにおける結果を表5および表6に示す。
FASにおけるプラセボ群に対するLYS群のクロスオーバー分散分析によるp値は、R5において0.012、R20において0.075、R5−R20において0.105、X5において0.093、AXにおいて0.053、Fresにおいて0.147であり、PPSにおけるクロスオーバー分散分析によるp値はR5において0.018、R20において0.252、R5−R20において0.094、X5において0.114、AXにおいて0.095、Fresにおいて0.185であった。特にR5において有意に改善した。IOSのいずれの測定項目も気道抵抗の改善傾向を示した。
試験例1−3.呼気一酸化窒素(FENO)濃度測定
評価方法
FENO濃度測定器を用いて被験者のFENO濃度を測定した。調査時期は、スクリーニング期、第一期治療期0日目、第一期治療期28日目、第二期治療期0日目、第二期治療期28日目とした。
結果
FENO濃度測定のFASにおける結果を表7に示し、PPSにおける結果を表8に示す。
FASにおけるプラセボ群に対するLYS群の最小二乗平均値の差は、−8.183ppb(p=0.147)、PPSにおける最小二乗平均値の差は−9.298ppb(p=0.133)であり、気道炎症の改善傾向を示した。
試験例1−4.痰の切れ等に関する自覚症状(痰が胸につかえる感じ・痰の出しにくさ)
評価方法
「痰が胸につかえる感じ」「痰の出しにくさ(痰の切れにくさ)」のスコアを、以下の評価基準1および評価基準2を用いて評価した。調査時期は、スクリーニング期、第一期治療期0日目、第一期治療期28日目、第二期治療期0日目、第二期治療期28日目とした。
<評価基準1>
過去1週間における「痰が胸につかえている感じ」
1:感じない
2:少し感じる
3:かなり感じる
4:強く感じる
5:非常に強く感じる
<評価基準2>
過去1週間における「痰の出しにくさ(痰の切れにくさ)」
1:非常に出し(きれ)やすい
2:出し(きれ)やすい
3:やや出し(きれ)にくい
4:出し(きれ)にくい
5:非常に出し(きれ)にくい
結果
痰の切れ等に関する自覚症状に関するFASにおける結果を以下の表9に示す。
FASにおける「痰が胸につかえている感じ」のプラセボ群に対するLYS群のクロスオーバー分散分析によるp値は0.631、「改善」の率はLYS群30.4%、プラセボ群26.1%であり、LYS群の方がプラセボ群より高かった。「痰の出しにくさ(痰の切れにくさ)」のプラセボ群に対するLYS群のクロスオーバー分散分析によるp値は0.135、「改善」の率はLYS群34.8%、プラセボ群21.7%であった。「痰の出しにくさ(痰の切れにくさ)」については改善傾向を示した。
追加解析を、Fisherの直接確率法も加えて実施した。また、治療期0日目の評価が第一期、第二期のいずれかで1点と症状がなかった被験者を除いた解析対象集団についても対象として実施した。これらの結果においても、上記の結果と同様の傾向を示していた。
試験例1−5.COPD Assessment Test(CAT)
評価方法
以下の質問票を用いて、被験者自身に記入させた。調査時期は、スクリーニング期、第一期治療期0日目、第一期治療期28日目、第二期治療期0日目、第二期治療期28日目とした。
<質問票>
質問1 まったく咳が出ない/いつも咳が出ている
質問2 まったく痰がつまった感じがない/いつも痰がつまっている感じがする
質問3 まったく息苦しくない/非常に息苦しい
質問4 坂や階段を上っても、息切れがしない/坂や階段を上ると、非常に息切れがする
質問5 家での普段の生活が制限されることはない/家での普段の生活が非常に制限される
質問6 肺の状態を気にせずに、外出できる/肺の状態が気になって、外出できない
質問7 よく眠れる/肺の状態が気になって、よく眠れない
質問8 とても元気だ/まったく元気がない
上記質問票は、CAT(COPDアセスメントテスト)の質問票である。CATは、日常診療においてCOPD患者の健康状態を評価するために開発された、簡便でシンプルな患者記入式の質問票である。このツールによって患者と医師とのコミュニケーションが容易になりこの疾患の真の問題が理解しやすくなることから、より的確に治療やケアが患者に提供できるようになるものと考えられている。質問項目は8つのみとシンプルでありながら、COPDが患者の健康や日常生活に及ぼす影響を広くカバーし、数値化できるようになっている。各質問について、全く該当しない場合(例えば、質問1であれば「まったく咳が出ない」、質問2であれば「まったく痰がつまった感じがない」、質問3であれば「まったく息苦しくない」、質問4であれば「坂や階段を上っても、息切れがしない」、質問5であれば「家での普段の生活が制限されることはない」、質問6であれば「肺の状態を気にせずに、外出できる」、質問7であれば「よく眠れる」、質問8であれば「とても元気だ」に該当)を0点とし、非常に良く該当する場合(例えば、質問1であれば「いつも咳が出ている」、質問2であれば「いつも痰がつまっている感じがする」、質問3であれば「非常に息苦しい」、質問4であれば「坂や階段を上ると、非常に息切れがする」、質問5であれば「家での普段の生活が非常に制限される」、質問6であれば「肺の状態が気になって、外出できない」、質問7であれば「肺の状態が気になって、よく眠れない」、質問8であれば「まったく元気がない」に該当)を5点とし、それぞれの質問について6段階に分けて合計点を0点から40点で採点し、日常診療においてCOPD患者の健康状態を数値化したものである。
結果
CAT点数(総合点)に関するFASにおける結果を表10に示し、PPSにおける結果を表11に示す。
FASにおけるプラセボ群に対するLYS群の最小二乗平均値の差は−2.125点(p=0.185)、PPSにおける最小二乗平均値の差は−1.436点(p=0.380)であった。CAT点数(総合点)がFASで2.1点、PPSで1.4点低下した。
また、CAT点数(個別点)は、以下の表12および表13に示すように、FAS、PPSともに全て改善傾向を示し、例えば質問1の咳の頻度が減少したことがうかがえ、FASにおけるプラセボ群に対するLYS群のクロスオーバー分散分析によるp値は0.091、「改善」の率はLYS群34.8%、プラセボ群8.7%であった。また、質問5の「家での普段の生活が制限されることはない」については、FASにおいて明らかに改善した。
(2)安全性評価
評価方法
試験薬との因果関係又は処置の有無にかかわらず全ての有害事象について、第一期治療期試験薬服用開始時から第二期治療期終了日又は中止時来院までに観察された全ての有害事象及び重篤な有害事象並びにそれらの記録を評価した。また、臨床検査(血液学的検査・血液生化学検査)を評価した。臨床検査測定用検体(血液)の採取時期は、第一期治療期0日目、第一期治療期28日目、第二期治療期0日目、第二期治療期28日目とした。
結果
COPD患者での安全性解析対象集団における有害事象の発現率は、LYS群25.0%(6/24例)、プラセボ群13.0%(3/23例)であった。副作用(試験薬との因果関係が否定できない有害事象)の発現は、LYS群、プラセボ群ともになかった。
重篤な有害事象は、2例(LYS群1例、プラセボ群1例)報告されたが、死亡例はなかった。中止に至った有害事象はLYS群、プラセボ群ともに発生しなかった。臨床検査値の異常変動は認められなかった。
4.結論
LYS投与はCOPD患者に対してスパイロメトリー、IOS、FENOの各評価項目でプラセボ投与と比較して改善傾向を示した。さらに、痰の切れ等に関する自覚症状及びCAT評価においても、改善傾向を示した。また、有害事象の発現状況ではLYS投与時とプラセボ投与時では同程度であり、副作用の発現もなかったことから、本剤の安全性における忍容性が示された。
以上より、LYSはCOPD患者において肺機能を改善する可能性が示唆された。また安全性についても本試験では問題がなかったことから、現在のCOPD治療体系においてLYSはCOPD治療薬として有用であると考えられた。
<試験例2>
試験例1により、本発明はCOPDの治療に有用であることが示された。本試験例においては、本発明によるCOPDの増悪抑制という観点から検討を行った。COPDの病型、または、患者の喫煙状況による、本発明のCOPD増悪抑制効果の違いを検討するために、以下の追加試験を行った。
1.被験者
日本呼吸器学会COPDガイドラインの診断基準でCOPDと診断され,以下の基準を全て満たす患者とした。
(1)スクリーニング時の気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで1秒率(FEV1/FVC)が70%未満で,%FEV1が80%未満である患者
(2)毎年1回以上,COPD増悪が見込まれる患者で,同意取得前52週間に1回以上のCOPD増悪を認めた患者
(3)同意取得時点で20歳以上85歳未満の外来患者
(4)喫煙歴のある患者
また、以下の基準のいずれかに該当する被験者は,対象から除外した。
(1)在宅酸素療法中の患者
(2)試験薬服用開始前7日以内にCOPD増悪を認めた患者
(3)肺炎,肺結核の合併を有する患者
(4)肺移植,肺切除術,肺容量減量術を受けた患者
(5)重篤な心疾患(例:心筋梗塞急性期等),脳血管障害急性期,血液疾患(例:再生不良性貧血等),腎疾患(例:急性及び慢性腎不全等),肝疾患(例:肝硬変等),悪性腫瘍等,高度の疾患を合併している患者(高度の疾患とは,「有害事象共通用語規準v 4.0日本語訳JCOG版−2010年9月11日」[試験実施計画書 別紙8]のgrade 3を参考に判断する)
(6)リゾチーム塩酸塩に対し,過敏症の既往歴がある患者
(7)卵アレルギーのある患者
(8)開発中の薬剤を使用している患者あるいは使用終了後から同意取得日まで24週間を経過していない患者
(9)アルコール依存又は薬物依存を有する患者
2.本発明の治療剤の投与方法
本試験は無作為化前,無作為化後の2段階からなり,無作為化前の期間はスクリーニング期,無作為化後の期間は試験薬による治療期とした。被験者を、リゾチーム塩酸塩を乳糖に置換したプラセボ、またはリゾチーム塩酸塩(商品名:アクディームカプセル90mg、あすか製薬社製)のいずれかの試験薬に1:1の割合で無作為に割り付けられ、1日3回毎食前に52週間経口投与した。なお、COPDに対する標準治療薬(気管支拡張薬(β刺激薬、抗コリン薬、キサンチン誘導体)、吸入ステロイド)及び呼吸器疾患の適応のある漢方薬の投与は、それぞれの標準治療薬ごとに添付文書で定められた用法・用量に従い、試験薬服用前7日前から治療期終了まで、被験者ごとに用法・用量を変更せずに継続した。
3.結果
末梢気道病変優位型COPDの患者と、肺気腫優位型COPDの患者における、本発明の薬剤のCOPD増悪抑制効果を比較した結果を図1に示す。図1に示すとおり、本発明の薬剤は、末梢気道病変優位型COPDの患者において、COPDの増悪頻度をより有意に抑制した。
また、患者の喫煙状況(喫煙中、または、禁煙)による、本発明の薬剤のCOPD増悪抑制効果を比較した結果を図2に示す。図2に示すとおり、本発明の薬剤は、喫煙中のCOPD患者において、COPDの増悪頻度をより有意に抑制した。

Claims (10)

  1. リゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩を含む、慢性閉塞性肺疾患治療剤。
  2. 請求項1に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
    前記リゾチーム又はその薬剤学的に許容される塩がリゾチーム塩酸塩であることを特徴とする、
    慢性閉塞性肺疾患治療剤。
  3. 請求項1または2に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
    前記治療剤が固形製剤または液状製剤であることを特徴とする、
    慢性閉塞性肺疾患治療剤。
  4. 請求項3に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
    前記固形製剤または液状製剤が、錠剤、丸剤、散剤、被覆錠剤、顆粒剤、カプセル剤またはシロップ剤であることを特徴とする、
    慢性閉塞性肺疾患治療剤。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
    前記治療剤が、1日量として15mg〜5g、対象に投与されることを特徴とする、
    慢性閉塞性肺疾患治療剤。
  6. 請求項5に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
    前記治療剤の1日量を3回に分けて経口投与されることを特徴とする、
    慢性閉塞性肺疾患治療剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
    前記慢性閉塞性肺疾患が、末梢気道病変優位型慢性閉塞性肺疾患であることを特徴とする、
    慢性閉塞性肺疾患治療剤。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
    喫煙対象者に投与されることを特徴とする、
    慢性閉塞性肺疾患治療剤。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
    他の慢性閉塞性肺疾患治療剤と併用されることを特徴とする、
    慢性閉塞性肺疾患治療剤。
  10. 請求項9に記載の慢性閉塞性肺疾患治療剤であって、
    前記他の慢性閉塞性肺疾患治療剤が、気管支拡張薬、吸入ステロイド、抗アレルギー剤、または、呼吸器疾患の適応のある漢方薬であることを特徴とする、
    慢性閉塞性肺疾患治療剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018127453A (ja) * 2017-02-10 2018-08-16 株式会社ツツミプランニング 水溶性分子複合体、水溶性分子複合体含有油剤、及び分散液

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