JP2023505758A - オレフィン重合用触媒組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、オレフィンモノマー重合用のチーグラ・ナッタ型触媒組成物における使用に適した固体触媒前駆体を調製する方法に関する。該方法は、遷移金属、Mg、ハロゲン、モディファイヤ及び内部供与体を含む触媒前駆体を調製する方法であり、該方法は、遷移金属のハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとを反応させて、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含む固体反応生成物を得ることと、固体反応生成物を、内部供与体及びモディファイヤと接触させることとを含む。

Description

本発明は、オレフィンモノマー重合用のチーグラ・ナッタ型触媒組成物における使用に適した固体触媒前駆体(pro-catalyst)を調製する方法に関する。本発明はまた、触媒前駆体、該触媒前駆体を含むチーグラ・ナッタ型触媒組成物、及びオレフィンモノマーを重合するためのこれらの各々の使用にも及ぶ。該触媒前駆体又は触媒組成物は、高い生産性、高いメルトフローレート及び高い立体規則性を有するフタレートフリーのポリプロピレンを製造するために使用することができる。
チーグラ・ナッタ触媒組成物/系は、オレフィン重合に関して、当該技術分野で既知である。一般的に、チーグラ・ナッタ触媒組成物/系は、(I)チタン等の遷移金属と、マグネシウムと、電子供与体化合物と、ハロゲン原子とを含む固体触媒前駆体成分、及び(II)通常有機アルミニウム化合物である助触媒成分を含む。チーグラ・ナッタ触媒組成物の活性及び立体特異性を向上させることが望まれており、この点で広く用いられているアプローチは、電子供与性化合物を用いるものである。通常、電子供与性化合物は、2つのグループ、(1)内部電子供与体及び(2)外部電子供与体に分類され、これらは固体チーグラ・ナッタ触媒前駆体及び助触媒成分と共に使用される。重合条件を変化させることにより、特に外部電子供与体を利用することにより、様々なポリプロピレン製品を製造することができる。外部電子供与体には、O、Si、N、S、及び/又はPを含む有機化合物が含まれる。一般に、外部供与体化合物は、シラン、ケトン、アミド、アミン及びチオール化合物等をベースとしており、中でも最も一般的な化合物は、Si-O-C及び/又はSi-N-C結合を含む有機ケイ素化合物である。内部供与体に関しては、内部供与体としてのフタレート誘導体の使用についての環境問題に関連する懸念が最近指摘されており、例えばフタレート誘導体を含むポリプロピレン製品との人体の接触に関する懸念も指摘されている。したがって、フタレート化合物に代わる内部電子供与体を提供することが非常に望まれている。特許文献1は、オレフィン重合用触媒前駆体を調製するプロセスを開示する。該プロセスは、固体担体Mg(OR 2-x(式中、0<x<2、好ましくは、Rはエチルであり、XはClである)の2段階活性化を含むものであり、これにより該固体担体及び少なくとも2種の活性化化合物の付加物が得られる。該プロセスは、固体担体の調製にグリニャール試薬を用いており、これは触媒のモルフォロジの制御を困難とし得る。
内部電子供与体は、触媒調製時に取り込まれるチーグラ・ナッタ触媒組成物の成分である。既知の内部電子供与体には、エーテル、エステル、ケトン、アミン、アルコール、複素環式有機化合物、フェノール、及びホスフィンが含まれる。内部電子供与体の構造が、触媒活性、立体規則性、水素(ポリマーのメルトフローレート)及びコモノマー応答に影響を与え得る。したがって、得られるポリマーの分子量、分子量分布、及びアイソタクチシティは、内部電子供与体の分子構造に大きく依存し得る(例えば、非特許文献1を参照)。したがって、チーグラ・ナッタ触媒用の新規な内部供与体の開発に対して、製造のために使用できるポリマーの特性を向上することを目的として、多くの努力が捧げられてきた。チーグラ・ナッタ触媒に組み込むのに適した、当該技術分野で知られている一般的な内部電子供与体化合物には、エステル、アミン、アルコール、複素環式有機化合物、フタレート、ジエーテル、及びコハク酸塩化合物が含まれる。フタレートフリーのポリプロピレンを製造するためのジエーテル化合物が開発されたことが公開されている(非特許文献2)。最も広く使用されているものの1つは、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン及びその誘導体である。このジエーテル内部供与体は、チーグラ・ナッタ触媒組成物に使用された場合の、活性及び水素応答における大きな向上と関連している。しかし、それはまた、中程度の立体選択性、及び重要なことに、フタレートベースの触媒のものよりも劣る立体選択性と関連していることから、フタレートフリーのポリプロピレン製造の分野への拡大におけるこのような内部供与体の適用が制限されている。したがって、フタレートフリーのポリプロピレンを製造する努力における、ジエーテルベースのチーグラ・ナッタ触媒の立体選択性を向上させることが望まれている。特に、フタレートフリーのポリプロピレンを製造する努力における、これらの触媒に関連するあらゆる他の有利な特性を損なうことなく、ジエーテルベースのチーグラ・ナッタ触媒の立体選択性を向上させることが望まれている。高度に立体規則性のあるポリプロピレンを製造する新規なチーグラ・ナッタ触媒組成物を提供することが求められている。
国際公開第2018/059955号
ACS Catal. 2017, 7, 4509-4518 Journal of Applied Polymer Science, Vol. 99, 1399-1404 (2006)
本発明は、上述の問題の1つ以上を解決すること、又は上述の要望/ニーズの1つ以上を満たすことを目的とする。
第1の態様において、本発明は、遷移金属、Mg、ハロゲン、モディファイヤ及び内部供与体を含む触媒前駆体を調製する方法であって、該方法は、(i)遷移金属のハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとを接触させて、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含む固体反応生成物を得ることと、(ii)固体反応生成物を、内部供与体及びモディファイヤと接触させることとを含み、モディファイヤは、式(I):
Figure 2023505758000001
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1~6のアルキル基であり、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヘテロ原子又はヒドロカルビル基から選択される)のものである、方法を提供する。
別の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の方法によって得られた/得られ得る、遷移金属、Mg、ハロゲン、モディファイヤ及び内部供与体を含む触媒前駆体を提供する。例えば、触媒前駆体は、(i)遷移金属のハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとを接触させて、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含む固体反応生成物を得て、(ii)固体反応生成物を、内部供与体及びモディファイヤと接触させることによって得ることができる/得ることが可能であり、モディファイヤは、式(I):
Figure 2023505758000002
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1~6のアルキル基であり、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヘテロ原子又はヒドロカルビル基から選択される)のものである。
本発明の触媒前駆体は、オレフィンモノマー重合用触媒組成物において使用するのに適している。より詳細には、触媒前駆体は、オレフィンモノマー重合において、有機アルミニウム助触媒及び任意選択で外部供与体とともに使用するのに適している。触媒前駆体は、任意のフタレート(フタレートは、フタル酸エステル又はフタレートエステル、及びその誘導体である)フリーであることができ、すなわち、一実施の形態において、触媒前駆体はいかなるフタレートも含まない。有利には、本発明の触媒前駆体は、高度にアイソタクチックなポリマー/コポリマーを製造するためのオレフィンモノマー重合において、例えば高度にアイソタクチックなポリプロピレンを製造するためのポリプロピレンの重合において使用することが可能である。
別の態様において、本発明は、本発明の触媒前駆体及び助触媒を含むオレフィンモノマー重合用触媒組成物を提供する。助触媒は、有機アルミニウム化合物を含む。
別の態様において、本発明は、本発明の触媒前駆体、又は本発明の触媒前駆体を含む上述の触媒組成物の、オレフィンモノマー重合のための使用を提供する。特に、本発明は、少なくとも95%のmmmm含有量を有するポリオレフィン等の、高度に立体規則的なポリオレフィンの調製のための、本発明の触媒前駆体、又は本発明の触媒前駆体を含む上述の触媒組成物の使用を提供する。特に、驚くべきことに、本発明の触媒前駆体又は本発明の触媒組成物は、従来のジエーテル触媒を用いて調製されたポリプロピレンよりも高い立体選択性(mmmm含有量に関して)を有するポリプロピレンを調製するために使用できることが見出された。
別の態様において、本発明は、本発明の第1の態様による触媒前駆体と、有機アルミニウム化合物を含む助触媒と、任意選択で外部供与体とを含む触媒組成物の存在下でオレフィンモノマーを重合することを含む、ポリオレフィンを調製するプロセスを提供する。別の態様において、本発明は、そのように得られた、又は上記プロセスによって得られ得るポリオレフィンを提供する。ポリオレフィンは、ホモポリマー又はコポリマー、例えばインパクトコポリマーポリプロピレンであることができる。
定義
本明細書で使用される場合、「チーグラ・ナッタ(ZN)触媒組成物/系」の語は、助触媒と組み合わせた、金属又は半金属化合物(例えば、マグネシウム化合物又はシリカ化合物)に担持された遷移金属ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化チタン、ハロゲン化クロム、ハロゲン化ハフニウム、ハロゲン化ジルコニウム又はハロゲン化バナジウム)を含む触媒前駆体をいう。触媒前駆体は、チーグラ・ナッタ(ZN)触媒組成物/系の固体成分ともいう。助触媒は、一般的には、有機アルミニウム化合物である。
本明細書で使用される場合、「触媒系」の語は、「触媒組成物」の語と交換可能であり、助触媒及び任意の外部電子供与体と組み合わせた、任意選択で任意の活性剤、内部電子供与体、及びモディファイヤを含む触媒前駆体をいう。
本明細書で使用される場合、「内部電子供与体」、「内部供与体」、「ID」の語は交換可能であり、触媒前駆体の調製中に固体触媒前駆体に組み込まれる、酸素(O)及び/又は窒素(N)の1つ以上の原子を含む電子供与性化合物をいう。適切な内部電子供与体は、プロピレン重合に有用なチーグラ・ナッタ触媒系用の固体触媒前駆体の調製に関して従来技術において一般的に記載されている。
本明細書で使用される場合、「外部電子供与体」、「外部供与体」及び「ED」の語は交換可能であり、オレフィンモノマー重合において触媒前駆体と組み合わせて使用される電子供与性化合物をいう。外部電子供与体は、固体触媒前駆体の調製時に触媒前駆体に取り込まれず、触媒前駆体とは独立に重合反応に添加される。外部電子供与体は、別の化合物に電子を供与する機能を有し、触媒組成物/系の特性に影響を与え得る。
本明細書で使用される場合、「ホモポリマー」の語は、同一のモノマーに由来する繰り返し単位から実質的になるポリマーをいう。ホモポリマーは、例えば、少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、更に好ましくは少なくとも99.95重量%、より更に好ましくは少なくとも99.95重量%、例えば100重量%の同一のモノマーに由来する繰り返し単位を含み得る。
本明細書で使用される場合、「プロピレンホモポリマー」の語は、プロピレンに由来する繰り返し単位から実質的になるポリマーをいう。ホモポリマーは、例えば、少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、更に好ましくは少なくとも99.95重量%、より更に好ましくは少なくとも99.95重量%、例えば100重量%のプロピレンに由来する繰り返し単位を含み得る。
本明細書で使用される場合、「インパクトコポリマーポリプロピレン」とは、プロピレンホモポリマー又はコポリマーマトリクスと、該マトリクス中に分散したエチレンプロピレンゴム相とを含むポリマーをいう。
本明細書で使用される場合、「プロピレンコポリマー」の語は、プロピレン及び少なくとも1種の他のコモノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーをいう。一般的には、プロピレンコポリマーは、少なくとも0.05重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%、更に好ましくは少なくとも0.4重量%の少なくとも1種の他のコモノマーに由来する繰り返し単位を含み、ここで、重量%はプロピレンコポリマーに対するものである。プロピレンコポリマーは、通常、少なくとも1種の他のコモノマーに由来する繰り返し単位を15重量%より多くは含まないであろう。一般的には、プロピレンコポリマーは、少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、更に好ましくは少なくとも95重量%のプロピレンモノマー繰り返し単位を含む。
本明細書で使用される場合、「モディファイヤ」及び「M」の語は交換可能であり、固体触媒前駆体調製中に触媒前駆体に導入される、酸素(O)及び/又は窒素(N)の1つ以上の原子を含む電子供与性化合物をいう。
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」又は「ヒドロカルビル基」の語は、炭化水素に由来する1価ラジカルをいう。ヒドロカルビル基には、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基、アルコキシカルボニル基、及びアルキルアリール基が含まれる。
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」は、IUPA元素周期表の13族、14族、15族、16族又は17族から選択される原子をいい、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、N、P、As、O、S、Se、Te、F、Cl、Br及びIから選択されるヘテロ原子として記述することができる。
本明細書で使用される場合、「ポリプロピレン」の語は、プロピレンのポリマーをいう。
本明細書で使用される場合、「XS」、「キシレン可溶分」、「キシレン可溶画分」の語は交換可能であり、キシレン中のポリマー溶液の冷却時に析出しないポリマーの割合に関するキシレン可溶画分をいう。上記ポリマー溶液を還流条件に供し、次いでキシレンの沸点から25℃まで冷却する。キシレン可溶画分は、ASTM D5492-10(プロピレンプラスチック中のキシレン可溶分の測定用の標準試験方法)に従って測定される。
本明細書で使用される場合、「生産性」の語は、重合反応器中で1時間あたりに消費される固体触媒前駆体1グラムあたりに生産されるポリマーのキログラム量をいう。
本明細書で使用される場合、「含む」の語は、包括的であるか又はオープンエンド形式のものであり、追加の記載されない要素又は方法工程を除外するものではなく、代替実施の形態として、「のみから実質的になる」及び「のみからなる」の記載を包含することが意図されるものであり、但し、「のみからなる」は特定されていない任意の要素又は工程を除外するものであり、「のみから実質的になる」は、考慮される組成物又は方法の必須の又は基本的であり新規な特徴に重大な影響を与えない、追加の記載されない要素又は工程を包含することを許容するものである。
第1の態様によれば、本発明は、遷移金属、Mg、ハロゲン、モディファイヤ及び内部供与体を含む触媒前駆体を調製する方法であって、該方法は、(i)遷移金属のハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとを接触させて、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含む固体反応生成物を得ることと、(ii)固体反応生成物を、内部供与体及びモディファイヤと接触させることとを含み、モディファイヤは、式(I):
Figure 2023505758000003
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1~6のアルキル基であり、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヘテロ原子又はヒドロカルビル基から選択される)のものである、方法を提供する。
遷移金属は、チタン、クロム、ハフニウム、ジルコニウム及びバナジウムから選択することができる。好ましくは、遷移金属はチタンである。遷移金属のハロゲン化物は、ハロゲン化剤であり、マグネシウムアルコキシドをハロゲン化するために使用される。ハロゲン化物は、触媒前駆体のハロゲン元素を提供する。ハロゲン化物は、塩化物、臭化物及びヨウ化物から選択することができる。好ましくは、ハロゲン化物は塩化物である。一般的には、遷移金属のハロゲン化物は、塩化チタンである。好ましくは、遷移金属のハロゲン化物は、四塩化チタンである。例えば、遷移金属のハロゲン化物が塩化チタンである場合、触媒前駆体は、チタン、Mg、塩素、内部供与体及びモディファイヤ(重合調整剤ともいう)を含む。
本発明の方法は、遷移金属のハロゲン化物及びマグネシウムアルコキシドを、これらが反応して、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含む固体反応生成物を得るように接触させる工程(i)を含む。さらに、本方法は、該固体反応生成物を内部供与体及びモディファイヤと接触させて、内部供与体及びモディファイヤを含む固体反応生成物を得る工程(ii)を含む。本発明の方法では、遷移金属ハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとを一緒に反応させる。内部供与体及びモディファイヤは、固体反応生成物に取り込まれ、それ自体は化学反応に関与しない。本発明の方法により、固体触媒前駆体(ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含み、かつ内部供与体及びモディファイヤを含む固体反応生成物)が製造される。本方法は、好ましくは、フタレートの非存在下で行われ、したがって、フタレートを全く含まない固体触媒前駆体が得られる。この触媒前駆体は、チーグラ・ナッタ触媒組成物(又はチーグラ・ナッタ触媒系)の固体成分と見なすことができる。
本発明の触媒前駆体の担体の調製にマグネシウムアルコキシドを用いることで、高い多孔性及び大きい表面積を有する触媒前駆体が得られることが見出された。特に、本発明の触媒前駆体のモルフォロジは、本発明の触媒前駆体を調製するために用いられるマグネシウムアルコキシドのモルフォロジと同一又は類似していることが見出された。例えば、触媒前駆体の粒径は、マグネシウムアルコキシドの粒径の約10%以内であることができる。明らかに、高い多孔性及び大きい表面積を有する触媒前駆体を有することに関連する利点が存在する。さらに、特にインパクトコポリマーポリプロピレンの調製において本発明の触媒前駆体を使用することに利点があることが見出された。例えば、本発明の触媒前駆体は、高いゴム相含有量を有するインパクトコポリマーポリプロピレンを調製するために使用することができる。ホモポリマー部は高い立体規則性を有し、高いゴム相含有量も有するため、本発明の触媒前駆体を用いて、優れた機械的特性を有するインパクトコポリマーポリプロピレンを調製することが可能である。ホモポリプロピレン部のこの立体規則性と高いゴム相含有量とのバランスをとることにより、優れた機械的特性を有するインパクトコポリマーポリプロピレンを得ることができる。
マグネシウムアルコキシドは、本明細書においてジアルコキシマグネシウムともいうが、式MgOR12OR13(式中、R12及びR13は独立に炭素数1~6の、好ましくは炭素数1~3の、又はより好ましくは炭素数2のヒドロカルビル基である)を有することができる。ヒドロカルビル基は、アルキル基であることができる。例示的なマグネシウムアルコキシドは、マグネシウムエトキシド、すなわち、R12及びR13がそれぞれエチル基であるMgOR12OR13である。マグネシウムアルコキシドは、固体であり、粒子を含む(すなわち、粒子の形態のもの)。マグネシウムアルコキシドは、好ましくは、粒状又は粉末状である。これは球状又はほぼ球状の粒子を含み得て、例えば、粒子は必ずしも真球状である必要はなく、例えば、ポテト形状であることができる。好ましくは、マグネシウムアルコキシドは、長軸径(l)と短軸径(w)との平均比(l/w)が3以下、好ましくは1~2、より好ましくは1~1.5であるような粒子形状を有する粒子を含む。ジアルコキシマグネシウムの平均粒径は、500個超の粒子を撮影したSEM画像を用いて測定した場合の平均粒径D50(すなわち、累積粒径分布における50%の粒径)に関して1~200であることができる。粒径分布は、試料中の全直径の粒子の総数のパーセントとして与えられる様々な直径範囲の各々に該当する粒子の数である。200μmの平均粒径D50が好ましい。これは、試料中の粒子数の50%が200μmより大きい直径を有し、試料中の粒子数の50%が200μmより小さい直径を有することを意味する。5μm~150μmの平均粒径D50がより好ましい。ジアルコキシマグネシウムの場合、平均粒径D50は、好ましくは1μm~100μm、より好ましくは5μm~80μm又は50μm、更に好ましくは10μm~40μmである。さらに、微細な粉末及び粗い粉末の量が少ない、より狭い粒径分布が好ましい。好ましくは、ジアルコキシマグネシウムは、SEM画像を用いて測定した場合の直径が5μm以下の粒子の含有量が20%以下、より好ましくは10%以下である(これらは数によるパーセントである)。好ましくは、ジアルコキシマグネシウムは、100μm以上の直径を有する粒子の含有量が10%以下であり、より好ましくは5%以下である(これらは数によるパーセントである)。さらに、粒径分布、ln(D90/D10)(式中、D90は累積粒径分布において90%の粒径であり、D10は累積粒径分布において10%の累積粒径である)は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。上記のようなジアルコキシマグネシウムの製造方法は、例えば、特開昭58-41832号、特開昭62-51633号、特開平3-74341号、特開平4-368391号及び特開平8-73388号に記載されている。
モディファイヤは、式(I):
Figure 2023505758000004
(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素、又は炭素数1~6のアルキル基であり、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素、ヘテロ原子又はヒドロカルビル基から選択される)のものである。R及びRは、独立に、水素、又は炭素数1~3のアルキル基であることができる。R及びRは、独立に、水素又はメチル基であることができる。好ましくは、R及びRの少なくとも一方は、アルキル基(炭素数1~6又は1~3)であり、より好ましくは、R及びRの少なくとも一方は、メチル基である。R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素、ヘテロ原子、又はヒドロカルビル基から選択される。ヘテロ原子は、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、N、P、As、O、S、Se、Te、F、Cl、Br及びIから選択することができる。好ましくは、ヘテロ原子はハロゲン化物である。好ましくは、ヒドロカルビル基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、又はアルキルアリール基、及びこれらの1つ以上の組み合わせから選択される。ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状又は環状であり得る。ヒドロカルビル基は、置換又は非置換であり得て、1個以上のヘテロ原子を含み得る。好ましくは、ヒドロカルビル基は、炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~8、更に好ましくは炭素数1~6である。より好ましくは、R、R、R、R、及びRは、それぞれ水素である。したがって、一実施形態において、R及びRは、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1~6のアルキル基であり、R、R、R、R、及びRは、それぞれ水素である。
モディファイヤの例には、ベンズアミド、メチルベンズアミド、及びジメチルベンズアミドが含まれる。他の例には、モノエチルベンズアミド、ジエチルベンズアミド、及びメチルエチルベンズアミドが含まれる。例示的なモディファイヤは、ジメチルベンズアミドである。
本発明の方法で使用されるモディファイヤの量は、触媒前駆体が、NMRで測定して触媒前駆体の総重量に対して0.15重量%~8重量%の量のモディファイヤを含むように選択することができる。好ましくは、反応に使用されるモディファイヤの量は、モディファイヤが0.3重量%~6重量%の量で、より好ましくは0.5重量%~4重量%の量で触媒前駆体中に存在するようなものである。反応に使用されるモディファイヤの量は、モディファイヤが0.1重量%~2.0重量%の量で、好ましくは0.1重量%~0.4重量%の量で触媒前駆体中に存在するようなものであることができる。
内部供与体は、ジエーテル化合物であることができる。適切なジエーテル化合物は、チーグラ・ナッタ触媒系用の内部供与体として当該技術分野で一般的に知られているものである。好適なジエーテル化合物は、例えば、米国特許出願公開第2016/0311947号に記載されている。好ましいジエーテル内部供与体化合物には、構造(I):
Figure 2023505758000005
(式中、R10及びR11は、同一であるか又は異なり、それぞれ、炭素数1~約20の飽和又は不飽和脂肪族ヒドロカルビル基からなる群より選択され、R及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれ、炭素数1~約40の直鎖、環状又は分枝状のヒドロカルビル基からなる群より選択される)で表される1,3-ジエーテル化合物が含まれる。好ましくは、R10及びR11は、それぞれ独立に、炭素数1~約10のアルキル基から選択される。より好ましくは、R10及びR11は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基から選択される。より更に好ましくは、R10及びR11は、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基から選択される。より更に好ましくは、R10及びR11の各々は、メチル基である。好ましくは、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~約20のアルキル基、炭素数2~約20のアルケニル基、炭素数6~約20のアリール基、炭素数7~約40のアリールアルキル基、炭素数7~約40のアルキルアリール基、又は炭素数8~約40のアリールアルケニル基から選択され、Si、B、Al、O、S、N又はP等の1個以上のヘテロ原子を含み得て、及び/又はF、Cl又はBr等の1個以上のハロゲン原子を含み得て、及び/又はR及びRは共に炭化水素環系(フルオレン等)を形成し得る。したがって、一実施形態において、R10及びR11は、それぞれ独立に、炭素数1~約10のアルキル基から選択され、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~約20のアルキル基、炭素数2~約20のアルケニル基、炭素数6~約20のアリール基、炭素数7~約40のアリールアルキル基、炭素数7~約40のアルキルアリール基、又は炭素数8~約40のアリールアルケニル基から選択され、Si、B、Al、O、S、N又はP等の1個以上のヘテロ原子を含み得て、及び/又はF、Cl又はBr等の1つ以上のハロゲン原子を含み得て、及び/又はR及びRは共に炭化水素環系(フルオレン等)を形成し得る。
好ましくは、ジエーテル内部供与体化合物は、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン;2.2-ジ-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン;2,2-ジ-シクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン;2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン;2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン;2-イソプロピル-2-シクロペンチル-ジメトキシプロパン;2-エチル-2-tert-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン又は対応する1,3-ジエトキシプロパン類似体;9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン;及び9,9-ビス(エトキシメチル)フルオレンから選択される。
本発明の方法で使用される内部供与体の量は、触媒前駆体が、NMRによって測定して触媒前駆体の総重量に対して10重量%~30重量%の量で内部供与体を含むように選択することができる。好ましくは、本発明の方法で使用される内部供与体の量は、内部供与体が触媒前駆体中に15重量%~28重量%の量で、より好ましくは20重量%~28重量%(例えば、25重量%)の量で存在するようなものである。本発明の方法で使用される内部供与体の量は、内部供与体が触媒前駆体中に15重量%~25重量%の量で存在するようなものとすることができる。
本発明の方法で使用されるモディファイヤ及び内部供与体の相対量は、触媒前駆体が式(I)のモディファイヤ及び内部供与体を0.04~0.50のモル比(M/ID)で含むように選択することができる。好ましくは、モル比M/IDは、0.04~0.18若しくは0.17、0.04~0.12、又は0.05~0.10である。モル比M/IDは、0.005~0.5、又は0.01~0.5、又は0.01~0.3であることができる。特に、かかる低いM/ID比においても、得られる触媒前駆体は、高度に立体規則的なポリマー、例えば高度に立体規則的なポリプロピレンを得るために使用することができることが見出された。そのため、比較的低いレベルのベンズアミドモディファイヤを用いて、高度にアイソタクチックなポリプロピレンを得ることができる。さらに、より少ない量のベンズアミドモディファイヤを使用することにより、向上されたモルフォロジを有する触媒前駆体が得られ、例えば、触媒前駆体はより少ない量の微粒子を有し、触媒粒子の大部分は同様のサイズとなるであろうことが見出された。好ましくは、本発明の触媒前駆体は、微粒子(すなわち、5ミクロン未満の粒子)をほとんど又は全く含まない。これは、SEM(走査型電子顕微鏡)画像から定性的に決定することができる。触媒前駆体中の微粒子の量が多いと、流動性の問題、例えば反応器内の目詰まりが生じて、熱除去効率を低下させ得るため、触媒前駆体中の微粒子の量を少なくすることが好ましい。
遷移金属、Mg、ハロゲン、モディファイヤ及び内部供与体を含む触媒前駆体を調製する本発明の方法は、(i)遷移金属のハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとを接触させて、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含む固体反応生成物を得ることと、(ii)該固体反応生成物を内部供与体及びモディファイヤと接触させることとを含む。
本発明の方法は、遷移金属のハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとを、これらが反応してハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含む固体反応生成物を形成するように接触させる工程(i)を含む。一般的には、この工程では、遷移金属のハロゲン化物及びマグネシウムアルコキシドを混合して、反応混合物を形成させる。マグネシウムアルコキシド(固体である)を炭化水素溶媒に懸濁させてもよく、この場合、遷移金属のハロゲン化物を懸濁液に添加し、反応混合物を形成させる。好ましくは、遷移金属ハロゲン化物は、低温、例えば-20℃~0℃で、マグネシウムアルコキシド(又はマグネシウムアルコキシドを含む懸濁液)に添加する。遷移金属ハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとの間の所望の反応は低温で起こるが、遷移金属ハロゲン化物及びマグネシウムアルコキシドを含む混合物は、好ましくは反応を完了するために加熱される(例えば、最大110℃)。
本発明の方法は、固体反応生成物を内部供与体及びモディファイヤと接触させる工程(ii)を含み、これにより、オレフィン重合に適した触媒前駆体が得られる。触媒前駆体は、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属、並びに内部モディファイヤ及びモディファイヤを含む。工程(ii)は、内部供与体の存在下で少なくとも部分的に、及び任意選択でモディファイヤの存在下で少なくとも部分的に、工程(i)を実施することを含むことができる。したがって、本実施形態において、遷移金属ハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとの反応は、少なくとも部分的に内部供与体の存在下で、少なくとも部分的にモディファイヤの存在下で行われる。内部供与体及びモディファイヤは、それぞれ、マグネシウムアルコキシドを含む反応混合物(例えば、マグネシウムアルコキシドを含む懸濁液)に、広い温度範囲、例えば、-20℃~110℃で添加することができる。内部供与体及びモディファイヤは、それぞれ独立に添加され、例えば、これらは同時に又は逐次に添加することができる。内部供与体及び/又はモディファイヤは、遷移金属ハロゲン化物が添加される前に、マグネシウムアルコキシドを含む反応混合物(例えば、マグネシウムアルコキシドを含む懸濁液)に添加することもできる。この場合、内部供与体及び/又はモディファイヤは、遷移金属とマグネシウムアルコキシドとの反応中に存在することになる。また、内部供与体及び/又はモディファイヤは、マグネシウムアルコキシドを含む反応混合物(例えば、マグネシウムアルコキシドを含む懸濁液)、及び遷移金属ハロゲン化物に、すなわち、遷移金属ハロゲン化物が添加された後に、添加することも可能である。例えば、内部供与体及び/又はモディファイヤは、反応混合物の加熱中に添加することができる。この場合、遷移金属とマグネシウムアルコキシドとの反応が完了する前に、内部供与体及び/又はモディファイヤが混合物に添加される。したがって、工程(i)の反応は、少なくとも部分的に内部供与体の存在下及び/又は少なくとも部分的にモディファイヤの存在下で生じる。代替で、モディファイヤは、工程(i)の反応が完了した後に添加することも可能である。一実施形態において、工程(i)は、少なくとも部分的に内部供与体の存在下で、少なくとも部分的にモディファイヤの存在下で行われる。一実施形態において、工程(i)は、少なくとも部分的に内部供与体の存在下で、少なくとも部分的にモディファイヤの存在下で行われ、工程(i)の反応が完了した後に、モディファイヤが固体反応生成物と接触される。
好ましくは、遷移金属のハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとを接触させて、これらが反応してハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含む固体反応生成物を形成する工程は、少なくとも部分的に内部供与体の存在下で行われる。内部供与体は、遷移金属ハロゲン化物が添加される前又は後に、マグネシウムアルコキシドを含む反応混合物に添加することができる。内部供与体は、遷移金属とマグネシウムアルコキシドとの反応が完了する前に混合物に添加される。モディファイヤは、遷移金属ハロゲン化物が添加される前又は後に反応混合物に添加することができる。また、遷移金属とマグネシウムアルコキシドとの反応が完了した後に、モディファイヤを反応に添加してもよい。
本発明の方法は、遷移金属、ハロゲン、マグネシウム、内部供与体及びモディファイヤを含む固体触媒前駆体を提供する。一実施形態において、上述の工程(i)及び(ii)から得られる触媒前駆体は、遷移金属のハロゲン化物で処理することにより向上する活性を有する。一般的には、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属、並びに内部モディファイヤ及びモディファイヤを含む固体反応生成物は、炭化水素溶媒を用いて洗浄され、その後、炭化水素溶媒の存在下で遷移金属ハロゲン化物と接触させることにより、活性化された触媒前駆体を得る。その後、活性化された触媒前駆体は、任意選択で、炭化水素溶媒の存在下又は非存在下で熱処理することができる。適切な炭化水素溶媒は、当業者に知られている。
したがって、本発明の方法は、上述の工程(i)及び(ii)の固体反応生成物を、遷移金属のハロゲン化物と接触させることを含むことができる。これにより、触媒前駆体の活性が向上する。
別の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の方法によって得られた/得られ得る触媒前駆体を提供する。これは、本明細書に記載される本発明の第1の態様の方法の実施形態の全てを含む。したがって、例えば、本発明は、(i)遷移金属のハロゲン化物及びマグネシウムアルコキシドを接触させて、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含む固体反応生成物を得ることと、(ii)該固体反応生成物を内部供与体及びモディファイヤと接触させることとを含む方法によって得られた/得られ得る、遷移金属、マグネシウム、ハロゲン、モディファイヤ及び内部供与体を含む触媒前駆体を提供するものであり、モディファイヤは、式I:
Figure 2023505758000006
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1~6のアルキル基であり、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素、ヘテロ原子又はヒドロカルビル基から選択される)のものである。遷移金属、遷移金属ハロゲン化物、ハロゲン、マグネシウムアルコキシド、内部供与体及びモディファイヤは、本発明の第1の態様の方法について説明したとおりである。
特に、触媒前駆体のモルフォロジは、調製元のマグネシウムアルコキシドのモルフォロジと同じか又は類似している。触媒前駆体の粒子は、球状又は回転楕円状の形状であることができ、マグネシウムアルコキシドの粒径の10%以内である粒径を有することができる。触媒前駆体の粒子は、滑らかな表面を有することができる。特に、触媒前駆体の粒子は、長軸径(l)と短軸径wとの平均比(l/w)が3以下、好ましくは1~2、より好ましくは1~1.5である。また、平均粒径D50は、好ましくは5ミクロン~80ミクロン、より好ましくは10ミクロン~60ミクロン、最も好ましくは20ミクロン~40ミクロンである。
本発明の触媒前駆体は、オレフィンモノマー重合/ポリオレフィン調製のために、有機アルミニウム助触媒及び任意選択で外部供与体と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明は以下のものを含むオレフィンモノマー重合用触媒組成物を提供する:上記のような触媒前駆体及び有機アルミニウム化合物を含む助触媒。したがって、本発明は、以下のものを含むオレフィンモノマー重合用触媒組成物を提供する:
(i)遷移金属、Mg、ハロゲン、モディファイヤ及び内部供与体を含む触媒前駆体であって、該触媒前駆体が、(i)遷移金属のハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとを接触させて、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された遷移金属を含む固体反応生成物を得て、(ii)該固体反応生成物を内部供与体及びモディファイヤと接触させることにより得ることができる/得られ、モディファイヤは、式I:
Figure 2023505758000007
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1~6のアルキル基であり、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヘテロ原子又はヒドロカルビル基から選択される)のものである、触媒前駆体、及び、
(ii)有機アルミニウム化合物を含む助触媒。
触媒組成物は、いかなるフタレートも含まないことができる。
助触媒は、有機アルミニウム化合物を含む。助触媒は、有機アルミニウム化合物であることができる。一般的には、有機アルミニウム化合物は、アルキルアルミニウム化合物である。アルキルアルミニウム化合物中に存在するアルキル基は、直鎖状又は分枝状であることができる。アルキルアルミニウム化合物中のアルキル基の各々は、独立に、C1~C8アルキル基、又はC2~C6アルキル基であることができる。好ましい有機アルミニウム化合物には、トリアルキルアルミニウム、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム及びこれらの混合物が含まれる。トリエチルアルミニウムが好ましい。
助触媒は、好ましくは、遷移金属、例えばチタンに対して過剰に使用される。好ましくは、触媒組成物中の遷移金属、例えばチタンに対する、助触媒中のアルミニウムのモル比は、1~500、又は2~200である。
一般的には、使用時に、得られた触媒組成物を重合反応に使用する直前に、触媒前駆体を有機アルミニウム(助触媒)化合物と接触させる。助触媒を添加する目的は、触媒前駆体を活性化することであり、これにより触媒前駆体は重合に対して活性化されることになる。したがって、別の態様において、本発明は、本発明の触媒前駆体を有機アルミニウム化合物と接触させることを含むオレフィンモノマー重合用触媒組成物を調製するプロセスを提供する。このプロセスは、触媒前駆体を有機アルミニウム化合物と接触させる前に、上記のように触媒前駆体を調製する工程を含むことができる。
触媒組成物は、外部供与体も含むことができる。使用において、外部供与体は、有機アルミニウム助触媒と同時に触媒前駆体に添加される。本明細書において重合に用いられる外部電子供与体化合物の例には、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、アルコール、ラクトン、有機リン化合物、及び有機ケイ素化合物が挙げられる。外部供与体は、アルコキシシランであることができる。好ましい外部供与体化合物は、有機ケイ素化合物、例えばジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-イソプロピルジメトキシシラン、ジ-イソブチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシランである。例示的な外部供与体は、ジシクロペンチルジメトキシシランである。
したがって、本発明の触媒前駆体は、本発明の触媒前駆体を有機アルミニウム化合物、及び任意選択で外部供与体と接触させることを含むオレフィンモノマー重合に適した触媒組成物を調製するために使用することができる。
別の態様において、本発明は、オレフィンモノマー重合のための本発明の触媒前駆体の使用を提供する。したがって、本発明は、オレフィンモノマー重合のための本明細書に記載されるような触媒前駆体の使用を提供する。特に、本発明は、オレフィンモノマー重合において、高度に立体規則的なポリプロピレンの調製における、本発明の触媒前駆体の使用を提供する。例えば、触媒前駆体は、少なくとも95%のmmmm含有量を有するポリプロピレンを調製するために使用することができる。
したがって、別の態様において、本発明は、本明細書に記載のような触媒組成物、すなわち、本発明の触媒前駆体と、有機アルミニウム化合物を含む助触媒と、任意選択で外部供与体とを含む触媒組成物の存在下でオレフィンモノマーを重合することを含むポリオレフィンを調製するプロセスを提供する。
上記プロセスは、連続、半連続又はバッチであってよいが、好ましくは連続プロセスである。好ましくは、重合はバルク反応器中で起こり、すなわち、これはバルク重合である。
重合は、従来の条件を用いて、従来の方法で実施することができる。
好ましくは、プロピレンの単独重合は、バルク反応器中で、すなわちバルク重合で起こる。任意選択で、バルク重合は、数個の反応器、例えば1個、2個又は3個の反応器中で行われる。条件は、各反応器中で同じか又は異なっていてもよい。
任意選択で、上記プロセスは、第1の重合工程に先行する予備重合工程も含み得る。いかなる予備重合工程も、従来の方法で行われる。
プロピレンホモポリマーの重合は、好ましくは65℃~80℃、より好ましくは約70℃の温度で行われる。好ましくは、重合は、0.1MPa~4.5MPa、より好ましくは2.9MPa~4.2MPa、更に好ましくは3.3MPa~4.2MPaの圧力で行われる。好ましくは、重合時間は5分~240分、より好ましくは30分~130分、更に好ましくは40分~80分である。当該技術分野で既知の方法でモル質量を制御するために水素を添加してもよい。
インパクトコポリマーポリプロピレンを調製するための重合は、一般的には、多段プロセスを含む。各段階は、同じ反応器中で又は別の反応器中で行われ得る。該プロセスは、連続、半連続又はバッチであり得るが、好ましくは連続プロセスである。本発明のインパクトコポリマーポリプロピレンを調製するための好ましいプロセスは、(i)プロピレン及び任意選択でオレフィンモノマーを重合して、プロピレンホモポリマー又はコポリマーマトリクスを得ることと、(ii)プロピレンホモポリマー又はコポリマーマトリクスの存在下でプロピレン及びエチレンを重合して、プロピレンホモポリマー又はコポリマーマトリクス中に分散したエチレンプロピレンゴム相を得ることとを含む(例えば、実質的に以下のもののみからなる)。
エチレンプロピレンゴム相の重合は、好ましくは65℃~80℃、より好ましくは約70℃の温度で行われる。好ましくは、重合は0.1MPa~2.2MPa、より好ましくは1MPa~1.6MPa、更に好ましくは1MPa~1.3MPaの圧力で行われる。
一般的には、オレフィンモノマーは、エチレン、プロピレン、ブチレン及びイソプレンのモノマーからなる群より選択される。異なる2種以上のオレフィンモノマーの混合物を使用して、これによりコポリマーを得ることができる。好ましくは、オレフィンモノマーは、プロピレンモノマーを含む。
一般的には、ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリイソプレンからなる群より選択される。好ましくは、ポリオレフィンは、ポリプロピレンである。好ましくは、ポリオレフィンは、プロピレンホモポリマーである。一実施形態において、ポリオレフィンは、コポリマーである。ポリオレフィンは、インパクトコポリマーポリプロピレンであることができる。
以下の項では、本発明の更なる利点及び特徴を実施例によって説明する。
物質
すべての出発物質は市販のものであった。
測定方法
以下に、本発明の触媒組成物/系の特性試験について説明する。用いた試験方法及び装置は、従来用いられているものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
触媒前駆体中の内部供与体(ID)及びモディファイヤ(M)の量は、H-NMRを用いて測定される。
触媒前駆体中のTi及びMgの量は、ICP(誘導結合プラズマ)質量分析法を用いて測定される。
本明細書中で使用される生産性(kgポリマー/gCat)は、特に明記しない限り、1時間あたりに重合反応器中で消費される触媒前駆体1グラムあたりに製造されるポリマーのキログラム量を意味する。ポリプロピレンについて、生産性の単位は、kgPP/gCatとして表す。
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238-13に従って、230℃、2.16kgで決定した。2.16kgは、MFRを測定する際に使用される投入量である。
キシレン可溶分(XS)は、ASTM D5492-10(プロピレンプラスチック中のキシレン可溶分の測定のための標準試験方法)に従って測定される。本明細書で使用される場合、「キシレン可溶分」、「XS」及び「キシレン可溶画分」の語は交換可能である。キシレン可溶画分は、ポリプロピレン中の非晶質(アタクチック)画分にほぼ相当する。
mmmm及びmrrmは、100.4MHzの13C共鳴周波数を用いるBruker Ascend 500 NMR分光器を用いた13C-NMR分光法によって測定される。mmmmはポリプロピレンのアイソタクチシティの度合いを表し、mrrmはポリプロピレンのアタクチシティの度合いを表す。これらは、ポリプロピレンのモルによる%として与えられ、特定ピークの積分面積を総ピークの積分面積で除したものを表す。mmmm及びmrrmは、''High-Resolution 13C NMR Configurational Analysis of Polypropylene Made with MgCl2-Supported Ziegler-Natta Catalysts. 1. The ''Model'' System MgCl2/TiCl4-2,6-Dimethylpyridine/Al(C2H5)3'', Busico et al., Macromolecules 1999, 32, 4173-4182に記載の方法に従って決定した。
粒子特性は、10%、50%及び90%における累積数ベースの粒径であるD10、D50及びD90によってそれぞれ定められる。この文脈において、「径」の語は直径に等しい。測定される直径は、粒子の最大直径である。これらの値は、画像処理ソフトウェアを使用して、500個超の粒子を撮影したSEM画像から得た。
マグネシウムアルコキシドの長軸径(l)と短軸径(w)との平均比(l/w)は、500個以上の粒子が1つの画面に表示されるような倍率での走査型電子顕微鏡を用いたマグネシウムアルコキシドの粒子の撮影によって得られる。撮影した粒子からランダムに500個の粒子を抽出し、画像解析処理ソフトを用いて各粒子の長軸径(l)及び短軸径(w)を測定した後、l/wの比率が算出される。平均l/wは、500個の粒子について測定されたl/wの値の平均値である。
実施例1及び実施例2
固体触媒前駆体成分の合成-触媒前駆体1
固体触媒前駆体の調製に用いるマグネシウムエトキシドは、D50が35ミクロンであり、長軸径(l)と短軸径(w)との平均比(l/w)が1~1.5である。
オーバヘッドスターラを備えた内容積1000mLのフラスコを、無水窒素で完全にパージする。このフラスコに、10gのマグネシウムエトキシド、60mLのトルエン、40mLの四塩化チタン、3.6gの9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン、及び0.64gのN,N-ジメチルベンズアミドを導入して、-5℃で懸濁液を形成させた。各成分は、無水窒素のフロー下で添加した。すべての成分を添加した後、反応器のバルブを全て閉じ、反応器内の圧力を大気圧よりわずかに高い状態に維持した。懸濁液の温度を徐々に110℃まで上げ、懸濁液を攪拌しつつこの温度で2時間維持した。この時点で反応は終了しており、得られた固体を100mLのトルエンを用いて100℃で4回洗浄した。次に、得られた固体の入ったフラスコに、50mLのトルエン及び20mLの四塩化チタンを添加した。該固体を110℃に加熱し、この温度で30分間攪拌した。得られた固体を沈降させ、上澄みを除去した。上記の操作を2回繰り返し、その後、固体を100mLのトルエンを用いて100℃で6回洗浄した。さらに、該固体を100mLのヘキサンを用いて70℃で2回洗浄し、固液分離により固体触媒前駆体を得た。触媒前駆体中に存在するマグネシウム、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン及びN,Nジメチルベンズアミドの量は、上述の方法に従って決定した。
プロピレンバルク重合
プロピレン重合における触媒前駆体の性能について、2.4L反応器中で試験した。反応器は、汚染物である水分及び酸素を除去するために、窒素フロー下、100℃で2時間予熱した。その後、反応器を25℃に冷却し、1000gの液体プロピレンを反応器中に供給した。別の10mLステンレス鋼ボンベ中で、固体触媒前駆体である触媒前駆体1を、外部電子供与体であるジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)あり(実施例1)、又はなし(実施例2)で、トリエチルアルミニウム(ヘキサン中1M)と予め接触させた。実施例1に関して、Ti/Alのモル比=1/200。実施例2に関して、Ti/Al/Siのモル比=1/200/20。10mLステンレス鋼ボンベ中の混合物を、高圧窒素を用いて反応器中にフラッシュした。予備重合段階として、反応器を25℃で10分間保持した。その後、反応温度を70℃に上げ、この温度で1時間保持して重合を完了させた。ポリマーを、メルトフローレート(MFR)、キシレン可溶分(XS%)及び13C NMRを用いたmmmm%について評価した。触媒の生産性を測定した。結果を表1に報告する。
実施例3及び実施例4
固体触媒前駆体成分の合成-触媒前駆体2
0.64gのN,N-ジメチルベンズアミドの代わりに1.1gのN,N-ジメチルベンズアミドを用いた以外は、触媒前駆体1と同様にして触媒前駆体2のための固体触媒前駆体の調製を行った。
プロピレンバルク重合
実施例3及び4についてのプロピレンバルク重合は、触媒前駆体1の代わりに触媒前駆体2を用いたこと以外は、それぞれ実施例1及び実施例2について記載したのと同様の方法で行った。固体触媒前駆体である触媒前駆体2は、外部電子供与体であるジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)あり(実施例3)、又はなし(実施例4)で、トリエチルアルミニウム(ヘキサン中1M)と予備接触させた。実施例3に関して、Ti/Alのモル比=1/200。実施例4に関して、Ti/Al/Siのモル比=1/200/20。その結果を表1にまとめた。
実施例5
固体触媒前駆体成分の合成-触媒前駆体3
3.6gの9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンの代わりに3gの9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを用い、0.64gのN,Nジメチルベンズアミドの代わりに2.6gのN,N-ジメチルベンズアミドを用いた以外は、触媒前駆体1と同様の方法で固体触媒前駆体の調製を行った。
プロピレンバルク重合
触媒前駆体1の代わりに触媒前駆体3を用いた以外は、実施例1に記載したのと同様にして、プロピレンバルク重合を行った。重合は、外部電子供与体であるジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)を用いて行った。Ti/Al/Siのモル比=1/200/20。
実施例6
固体触媒前駆体成分の合成-触媒前駆体4
3.6gの9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンの代わりに2gの9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを用い、0.64gのN,Nジメチルベンズアミドの代わりに2gのN,N-ジメチルベンズアミドを用いた以外は、触媒前駆体1と同様の方法で固体触媒前駆体の調製を行った。
プロピレンバルク重合
触媒前駆体1の代わりに触媒前駆体4を用いた以外は、実施例1に記載したのと同様にして、プロピレンバルク重合を行った。重合は、外部電子供与体であるジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)を用いて行った。Ti/Al/Siのモル比=1/200/20。
比較実施例1及び比較実施例2
固体触媒前駆体成分の合成-比較触媒前駆体1
固体触媒成分を作製するためにN,N-ジメチルベンズアミドを反応器中に導入しなかった以外は、触媒前駆体1と同様の方法で固体触媒前駆体の調製を行った。
プロピレンバルク重合
触媒前駆体1の代わりに比較触媒前駆体1を用いた以外は、実施例1及び実施例2に記載したのと同様の方法で比較実施例1及び比較実施例2についてのプロピレンバルク重合をそれぞれ行った。結果は表1にまとめた。
Figure 2023505758000008
表1の結果は、N,N-ジメチルベンズアミドをモディファイヤとして、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを内部供与体として用いて調製された、本発明の触媒前駆体が、プロピレンの重合に用いた際に、優れた立体選択性を示すことを示す。実際、この結果は、本発明の触媒前駆体におけるモディファイヤ及び内部供与体の使用によって、該触媒前駆体を使用して調製されたポリプロピレンのアイソタクチシティを向上させることができることを示す。特に、該触媒前駆体にベンズアミドモディファイヤを使用することにより、生産性及びMFRが未だ高い値に維持される一方で、調製されたポリプロピレンのアイソタクチシティが大幅に向上されたことが観察された。
例えば、表1から、キシレン可溶画分が、比較実施例1についての8.49重量%から、実施例1についての2.47重量%、実施例3についての2.15重量%に減少していることが見て取れる。これは、N,N-ジメチルベンズアミドモディファイヤの投入量が、比較実施例1の触媒についての0から、実施例1の触媒前駆体についての0.059、実施例3の触媒前駆体についての0.095のM/ID値を与えるものに増加したことと相関する。この結果は、ポリプロピレンのこのアイソタクチシティの向上が、重合反応に外部供与体を使用したことによるものではないことも示す。外部供与体が使用された場合でさえも、N,N-ジメチルベンズアミドモディファイヤに寄与するものとできるアイソタクチシティの向上が観察される。キシレン可溶画分は、比較実施例2についての3.31重量%から、実施例2についての1.95重量%、実施例4についての1.83重量%に減少している。これは、N,N-ジメチルベンズアミドモディファイヤの投入量が、比較実施例2の触媒前駆体についての0から、実施例2の触媒前駆体についての0.059、実施例4の触媒前駆体についての0.095のM/ID値を与えるものに増加したことと相関する。
一方、実施例6の触媒前駆体についての0.441のM/ID値を得るようにN,Nジメチルベンズアミドモディファイヤの含有量を更に増加させると、より低いアイソタクチシティとなる。キシレン可溶画分は2.79重量%に増加する。いかなる理論に縛られることも望まないが、このポリマー中には微粒子が見られており、これは、N,Nジメチルベンズアミド中に溶解しているMgアルコキシド担体の一部から生じた可能性があると考えられる。
したがって、本発明は、内部供与体としてジエーテルを有し、高度にアイソタクチックなポリプロピレンを得るために使用することができる、チーグラ・ナッタ触媒前駆体の開発に関する。特に、N,Nジメチルベンズアミドを、触媒の生産性及びMFRをジエーテルベースの触媒前駆体について見られる高い値に維持しつつ、得られるアイソタクチシティを向上及び最適化するために用いることができることが見出された。

Claims (23)

  1. 遷移金属、Mg、ハロゲン、モディファイヤ及び内部供与体を含む触媒前駆体を調製する方法であって、該方法は、(i)前記遷移金属のハロゲン化物とマグネシウムアルコキシドとを接触させて、ハロゲン化マグネシウムベースの担体に担持された前記遷移金属を含む固体反応生成物を得ることと、(ii)前記固体反応生成物を、前記内部供与体及び前記モディファイヤと接触させることとを含み、前記モディファイヤが式(I):
    Figure 2023505758000009
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1~6のアルキル基であり、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ヘテロ原子又はヒドロカルビル基から選択される)のものである、方法。
  2. 前記遷移金属のハロゲン化物と前記マグネシウムアルコキシドとを接触させて固体反応生成物を得ることは、少なくとも部分的に前記内部供与体の存在下で、及び任意選択で少なくとも部分的に前記モディファイヤの存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記方法は、(i)及び(ii)から得られる前記内部供与体及び前記モディファイヤを含む前記固体反応生成物を、前記遷移金属のハロゲン化物と接触させる更なる工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記マグネシウムアルコキシドは、長軸径(l)と短軸径wとの平均比(l/w)が3以下である粒子を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記マグネシウムアルコキシドは、1ミクロン~100ミクロン又は5ミクロン~80ミクロンの平均粒径D50を有する粒子を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記マグネシウムアルコキシドは、式MgOR12OR13(式中、R12及びR13は、独立に、炭素数1~6のヒドロカルビル基である)を有する、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記遷移金属は、チタン、クロム、ハフニウム、ジルコニウム及びバナジウムから選択され、及び/又は前記ハロゲン化物は、塩化物、臭化物及びヨウ化物から選択される、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記遷移金属のハロゲン化物は、塩化チタンである、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記内部供与体は、ジエーテル化合物である、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
  10. 使用される内部供与体及びモディファイヤの量は、前記触媒前駆体中で0.01~0.5又は0.04~0.50の内部供与体に対する式(I)のモディファイヤのモル比を提供するように選択される、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
  11. 請求項1~10の何れか一項に記載の方法により得られた又は得られ得る、遷移金属、Mg、ハロゲン、モディファイヤ及び内部供与体を含む触媒前駆体。
  12. 前記触媒は、1ミクロン~100ミクロン又は5ミクロン~80ミクロンの平均粒径D50を有する粒子を含む、請求項11に記載の触媒前駆体。
  13. 前記触媒前駆体中の内部供与体に対する式(I)のモディファイヤのモル比は、0.04~0.50、0.04~0.18若しくは0.17、0.04~0.12、又は0.05~0.10、又は0.01~0.5である、請求項11又は12に記載の触媒前駆体。
  14. 前記モディファイヤは、前記触媒前駆体の総重量に対して0.25重量%~2.0重量%の量で存在し、及び/又は前記内部供与体は、前記触媒前駆体の総重量に対して15重量%~25重量%の量で存在し、或いは前記モディファイヤは、前記触媒前駆体の総重量に対して0.1重量%~2.0重量%の量で存在し、及び/又は前記内部供与体は、前記触媒前駆体の総重量に対して15重量%~28重量%の量で存在する、請求項11~13の何れか一項に記載の触媒前駆体。
  15. 前記マグネシウムアルコキシドはマグネシウムエトキシドであり、前記モディファイヤはN,N-ジメチルベンズアミドであり、前記内部供与体は9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンであり、前記モディファイヤと内部供与体とのモル比は0.05~0.10である、請求項11~14の何れか一項に記載の触媒前駆体。
  16. 請求項11~15の何れか一項に記載の触媒前駆体と助触媒とを含むポリオレフィン重合用触媒組成物であって、前記助触媒は有機アルミニウム化合物を含む、触媒組成物。
  17. 前記有機アルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム及びメチルジエチルアルミニウムから選択される、請求項16に記載の触媒組成物。
  18. 外部供与体、好ましくはカルボン酸エステル、ケトン、エーテル、アルコール、ラクトン、並びに有機リン化合物及び有機ケイ素化合物から選択される外部供与体を更に含む、請求項16又は17に記載の触媒組成物。
  19. 前記触媒前駆体は請求項15に記載のものであり、前記有機アルミニウム化合物はトリアルキルアルミニウムであり、前記組成物はジシクロペンチルジメトキシシランを含む、請求項16~18の何れか一項に記載の触媒組成物。
  20. オレフィンモノマー重合のための、請求項11~15の何れか一項に記載の触媒前駆体、又は請求項16~19の何れか一項に記載の触媒組成物の使用。
  21. 請求項16~19の何れか一項に記載の触媒組成物の存在下でオレフィンモノマーを重合することを含む、ポリオレフィンを調製するプロセス。
  22. 前記オレフィンモノマーはプロピレンモノマーを含む、請求項20に記載の使用、又は請求項21に記載のプロセス。
  23. 前記ポリオレフィンは、ポリプロピレン又はインパクトコポリマーポリプロピレンである、請求項21に記載のプロセス。
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