JP2023183925A - 皮膚洗浄剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、細かい粒径の微粒子を配合する必要性がない皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。また、肌に刺激を与えずに洗浄効果を高めることができ、かつ、使用後にべたつきがなく、さらさらとした触感を肌に与えることのできる皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の皮膚洗浄剤組成物は、(A)10μm以上の粗大繊維、(B)5μm以上、10μm未満のマイクロ繊維、(C)400nm以上、5μm未満のサブミクロン繊維の範囲にある繊維径の(1)微細状繊維と、(2)保湿剤を含む皮膚洗浄剤組成物である。【選択図】図1

Description

本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。また、本明細書の皮膚洗浄剤組成物とは、医薬品又は化粧品として使用するものをいう。
一般的に、皮膚の古い角質や皮脂などの代謝物を除去等するための皮膚洗浄剤は、配合されているピーリング成分やスクラブ成分が古くなった肌の角質層に働きかけ、剥離を促すことにより、新陳代謝がすすみ、肌が生まれ変わるのを助ける効果がある。
一般的に、スクラブ成分を用いたスクラブ剤は、角質層の剥離を、吸着、擦り落とし、削るなどの物理的な方法で行うものである。一方、ピーリング成分を用いたピーリング剤は、角質層の剥離を促すために、主に薬剤を用いる化学的な方法である。
特許文献1には、固形化時間が極めて短く、皮膚に負担を掛けない優れたゴマージュ化粧料として、カルボキシビニルポリマーと、カチオン性界面活性剤とを、特定の重量%処方した組成物が開示されている。
また、特許文献2には、適度に伸び広がり、擦り落とす際肌への負担感が少なく、充分なゴマージュ効果が得られるゴマージュ化粧料として、皮膜形成性水溶性高分子0.5~3質量%;ポリスチレン末1~10質量%、25℃において液状の油0.5~5質量%を配合したゴマージュ化粧料が開示されている。
さらに、特許文献3には、使用時のスクラブ感が良好であるとともに、塗擦時に粒子が崩壊することでスクラブ剤により対象物への刺激が低い特定のシリカゲル粒子からなるスクラブ剤が開示されている。
特開2007-119437号公報 特開2007-262029号公報 特開2011-225548号公報
しかしながら、 特許文献1に記載のゴマージュ化粧料のpHは2.1~2.6の範囲にあるものであるため、人によっては、皮膚に刺激を感じたり、皮膚が赤くなったりすることもあるため、使用後のスキンケアを充分に行う必要がある。
また、特許文献2に記載のゴマージュ化粧料や特許文献3に記載の洗浄剤組成物用スクラブ剤は、細かい粒径のポリスチレン末やシリカゲル粒子を配合することにより、擦る効果を与えるものである。細かい粒子が配合されていると、摩擦感が強くなってしまうことや所望のスクラブ感を得るために強い押込圧でスクラブ剤を塗擦してしまい、微視的には角質層に洗浄痕等の微小な傷が生じて、皮膚を傷つけてしまうおそれがある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、細かい粒径の微粒子を配合する必要性がない皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。また、肌に刺激を与えずに洗浄効果を高めることができ、かつ、使用後にべたつきがなく、さらさらとした触感を肌に与えることのできる皮膚洗浄剤組成物を提供することをさらなる目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特定の繊維径を有する微細状繊維を皮膚洗浄剤組成物に配合することにより、微細状繊維の比表面積効果により汚れを吸着して除去し、微細状繊維を適度に凝集させることで満足感を高めることができることを見出した。また、微細状繊維を配合すれば、細かい粒径の微粒子を配合する必要性がなく、肌への摩擦刺激を低減させることができることから、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)10μm以上の粗大繊維、(B)5μm以上、10μm未満のマイクロ繊維、(C)400nm以上、5μm未満のサブミクロン繊維の範囲にある繊維径の(1)微細状繊維と、(2)保湿剤を含む皮膚洗浄剤組成物である。
本発明により、細かい粒径の微粒子を配合する必要性がない皮膚洗浄剤組成物が提供される。また、肌に刺激を与えずに洗浄効果を高めることができ、かつ、使用後にべたつきがなく、さらさらとした触感を肌に与えることのできる皮膚洗浄剤組成物が提供される。さらに、生分解性のないスチレン等の微粒子を含まないため環境への悪影響を抑えることができる皮膚洗浄剤組成物が提供される。
微細状セルロース繊維分散液の製造(解繊処理)装置の概念図である。 評価項目4(洗浄効果)における手の甲の写真である。
以下、本発明に係る皮膚洗浄剤組成物について、それぞれ詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、発明の理解を助けるためのものであり、本発明を限定するものではない。
なお、以下の実施形態の説明に用いられる図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表わす。本明細書において「A~B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
(用語の定義)
本明細書における「微細状繊維」との用語は、多糖等を解繊処理して得られる微細状繊維のことをいい、「微細状繊維分散液」との用語は、溶媒中に微細状繊維を含む分散液、或いは、含水状態の微細状繊維のことをいう。
本明細書における「繊維径」との用語は、微細状繊維分散液中の微細状繊維につき、粒度分布によって測定される個数基準の粒度分布における粒子径のことをいう。
(皮膚洗浄剤組成物)
本発明における皮膚洗浄剤組成物は、(A)繊維径10μm以上の粗大繊維、(B)繊維径5μm以上、10μm未満のマイクロ繊維、(C)繊維径400nm以上、5μm未満のサブミクロン繊維、(D)繊維径400nm未満のナノ繊維のうちいずれか一以上の(1)微細状繊維と、(2)保湿剤とを含むものである。
以下、詳細に説明する。
(微細状繊維)
本発明に係る微細状繊維は、多糖等を解繊処理して得られるものである。また、その由来成分として、セルロース(微生物生産物を含む)、キチン、キトサン等の多糖類、コラーゲン、ゼラチン等のタンパク質、ポリ乳酸、ポリカプロラクタム等を挙げることができる。
また、本発明においては、繊維由来成分を微細状と繊維の間に入れて表すものとする。例えば、微細状繊維がセルロース由来である場合には、微細状セルロース繊維の如きである。
したがって、本願発明に用いることのできる微細状繊維を例示すると、微細状キチン繊維、微細状キトサン繊維、微細状コラーゲン繊維、微細状ゼラチン繊維、微細状ポリ乳酸繊維等を例示することができる。
微細状繊維の由来成分としてセルロース繊維を用いた場合の調製方法について説明する。微細状セルロース繊維の由来成分としては、例えば、木材繊維、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維、葉繊維等の天然の植物を含む多糖由来のセルロース繊維又は酢酸菌をはじめとする微生物が生産するバクテリアセルロース(多糖)由来の100%セルロースのゲル状物質であるペリクルが挙げられる。
また、バガス、稲わら・麦わら・もみ殻、茶殻、果汁の搾り粕等の植物の葉、花、茎、根、外皮等に由来する作物残渣から産出されるものであっても良い。これら微細状セルロース繊維は一種を単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
また、ペリクル以外を多糖として用いる場合には、α-セルロース含有率60%~99質量%のパルプを用いるのが好ましい。α-セルロース含有率60質量%以上の純度であれば繊維径及び繊維長さが調整しやすく、α-セルロース含有率60質量%未満のものを用いた場合に比べ、安定性等に優れている。
α-セルロース含有率60質量%未満の純度の場合はセルロースの持つ高強度・高剛性等の特性を十分に引き出せない。または、腐敗しやすい等のデメリットがある。一方、99質量%以上のものを用いた場合、繊維をナノレベルに解繊することが困難となる。
セルロースとしては、入手しやすく安価である点から紙及び製紙用パルプを特に制限されることなく用いることができる。具体的には、漂白クラフトパルプ、未晒クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプ、サーモメカニカルパルプ、脱墨パルプ、古紙パルプ、溶解パルプ等のパルプが挙げられる。これらの中でも、より入手しやすいことから、漂白クラフトパルプ、未晒クラフトパルプが好ましい。なお、これらパルプの状態は、乾燥状態、湿潤状態或いは粉末状の状態であっても特に制限無く用いることができる。また、完全に水分を除去した経緯のないネバードライのものが微細化しやすく好ましい。
本発明における微細状セルロース繊維は、以下の解繊処理を行うことにより微細状セルロース繊維分散液(以下、含水状態のセルロース繊維ということもある。)として得られる。
前記解繊処理は、図1に示した水中対向衝突法(以下、ACC法と言うこともある。)を用いて行う。これは、出発材料である水に懸濁したパルプをチャンバー(図1:107)内で相対する二つのノズル(図1:108a,108b)に導入し、これらのノズルから一点に向かって噴射、衝突させる手法である。図1に示される装置は液体循環型となっており、タンク(図1:109)、プランジャ(図1:110)、対向する二つのノズル(図1:108a,108b)、必要に応じて熱交換器(図1:111)を備え、水中に分散させた微粒子を二つのノズルに導入し高圧下で合い対するノズル(図1:108a,108b)から噴射して水中で対向衝突させる。
係る方法によって得られる微細状セルロース繊維は、セルロース繊維間の相互作用のみを解裂させることによってナノ微細化を行うためセルロース分子の構造変化がなく、以下の化学式1に表わされる構造式を有する。換言すると、本願発明で用いる微細状セルロース繊維は、化学式1中のセロビオースユニット内に水酸基6個を有し、微細化処理工程において化学修飾されていないことを意味する。これは、FT-IRを使用してセルロースのIRスペクトルと本願発明に使用する微細状繊維とを比較することで確認することができる。また、前記パルプ等に加えられる衝突エネルギーは、セルロース同士の共有結合を切断するエネルギーには、はるかに及ばず(1/300以下と推定される。)、セルロースの重合度の低下は生じにくい。また、係る方法によって得られる微細セルロース繊維は、親水サイトと疎水サイトが共存し、両親媒性を示す。
Figure 2023183925000002
また、係る方法によって得られる微細状セルロース繊維分散液は、処理圧力、処理時間、処理回数、その他ノズル径、及び/又は、処理温度等の処理条件を適宜調節することにより、微細状セルロース繊維分散液中の微細状セルロース繊維の平均繊維幅、平均繊維長さや、微細状セルロース繊維分散液の透過率、粘度等を任意のものへと調節することができる。
具体的に例示すれば、平均繊維幅が1~100μmであり、平均繊維長が500μm~10mmであり、アスペクト比が10以上の微細状セルロース繊維を得たい場合には、出発原料であるパルプの平均繊維幅や平均繊維長、処理圧力等にも影響されるものではあるが、前記処理時間を数分間程度に抑えることによって得られる。
一方、平均繊維幅が3~1000nmであり、平均繊維長が200nm~2000μmであり、アスペクト比が10以上の範囲にある微細状セルロース繊維を得たい場合には、さらに、処理時間を多くすることによって得られる。
なお、処理時間とは、図1に示される装置において、二つのノズルに導入し、高圧下で合い対するノズルから噴射して対向衝突させた累計時間のことである。
ここで、前記平均繊維幅や平均繊維長は、顕微鏡を用いて任意の10本を選択し、それらの測定値を平均して得られた値を用いている。なお、微細状繊維の繊維幅及び繊維長は繊維の幹部分を測定しているが、微細状繊維が繊維の幹部分として単独で存在している場合と、微細状繊維が繊維の幹部分とその繊維の幹部分より枝分かれした極細な分岐した繊維で存在している場合であっても、さらに極細な多数の分岐した繊維とから構成されて存在している場合であっても、微細状繊維の幹部分の繊維幅及び繊維長の測定値として用いている。
また、本発明においては、他の原料等を由来成分ともする微細状繊維の製造方法として公知である、無水アルケニルコハク酸による疎水変性、アルキルケテンダイマーによる疎水変性、アセチル化等による疎水変性などの化学的処理をする方法によって得られる、繊維にセルロース同士を引き離すような大きな電気的な斥力を有する官能基がない微細状繊維、又はグラインダー(石臼型粉砕機)、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、高圧ホモジナイザー、ビーズミル、湿式爆砕法、超音波解繊法、混練法、凍結粉砕法等の機械的作用を利用する湿式粉砕等により、セルロース系繊維を解繊処理する物理的方法によって得られる各種微細状繊維であっても、本発明において微細状繊維として使用することができる。
(微細状繊維の繊維径)
以上のようにして得られた微細状セルロース繊維分散液について、粒度分布測定装置を使用して繊維径の測定を行う。
本発明においては、粒度分布測定装置から得られた粒度分布の個数基準の測定結果から、繊維径を以下の(A)~(D)のように分類する。
(A)繊維径10μm以上の微細状繊維を粗大繊維とする。また、(B)繊維径5μm以上、10μm未満の微細状繊維をマイクロ繊維とする。さらに、(C)繊維径400nm以上、5μm未満の微細状繊維をサブミクロン繊維とする。さらに、(D)繊維径400nm未満の微細状繊維をナノ繊維とする。
本発明に係る皮膚洗浄剤組成物中の(1)微細状繊維の配合量は、0.1~5%であり、好ましくは、0.3~3%、より好ましくは、0.5~2%である。0.1%より少ないと、ヨレを生じず、洗浄効果も発現しない。一方、5%より大きいと、流動性に劣り、外観不良となり、加えてヨレ摩擦が過大となる。
また、(1)微細状繊維中の前記(A)~(D)の量は以下の通りである。
(A):0~10%、好ましくは、0~5%、より好ましくは、0.01~3%である。10%よりも大きいと、肌感触に劣り、外観不良となる。
(B):0~20%、好ましくは、0.01~17%、より好ましくは、0.12~13%である。0.01%より少ないと、ヨレを生じにくい。一方、20%より大きいと、ヨレ摩擦が過大となる。
(C):0.01~97%、好ましくは、3~90%である。0.01%より少ないと、摩擦感と洗浄性のバランスを悪化させる。一方、97%より大きいと、ヨレ摩擦が過大となる。
(D):0~97%である。97%より大きいと、ヨレを生じにくくなる。
ここで、(1)微細状繊維中の(A)~(D)の量の調製方法は、以下の通りである。
(i)微細状繊維の平均繊維幅、平均繊維長が異なる数種類の微細状セルロース繊維分散液を、前記解繊処理条件を適宜調整して準備する。
(ii)次いで、得られた微細状セルロース繊維分散液について、粒度分布測定装置を用いて、粒度分布の個数基準の測定を行い、それぞれの微細状セルロース繊維分散液中に含まれる微細状繊維の繊維径(A)~(D)と個数分布を測定する。
(iii)次いで、それぞれの微細状セルロース繊維分散液を用いて、適宜混合し、微細状繊維中に含まれる(A)~(D)量を調製する。
(保湿剤)
本発明に係る皮膚洗浄剤組成物には、角質等を除去した後に、角質等を除去した患部を保湿する目的で保湿剤を配合する。保湿剤としては、例えば、多価アルコール類、糖アルコール類、糖類、アミノ酸類、吸湿性を有するアルカリ類・酸類とそれらの塩類が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また保湿剤には、微細繊維同志の凝集を緩和、抑制する副次効果もあり、ヨレの生じ具合を調整することもできる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1、3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリセリンエーテル、イソプレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、イノシトール、グルコシルトレハロース、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、フルクトース、オリゴ糖アルコール、マルチトール、還元パラチノース、還元水飴、還元澱粉加水分解物等が挙げられる。
糖類としては、例えば、果糖、ブドウ糖、乳糖、キシロース、プシコース、麦芽糖、水飴、オリゴ糖、マルトース、トレハロース、ラクトース、パラチニット、ショ糖、異性化糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース、ステビア、甘草、サッカリン、アステルパーム、アセスルファムK、スクラロース等が挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、トリプトファン等が挙げられる。
吸湿性を有するアルカリ類・酸類とそれらの塩類としては、例えば、パンテテイン-S-スルホン酸塩、トリメチルグリシン、ベタイン、ピロリン酸、ピロリン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸塩、ピロリン酸カリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の皮膚洗浄剤組成物には、上記の成分のほか、目的の効果が損なわれない範囲で、化粧品として許容される他の公知の添加剤を含んでもよい。具体的には、溶剤(例えば、精製水)、油剤、界面活性剤、防腐剤、増粘剤、着色剤、着香剤、抗炎症剤、血行促進剤、細胞賦活剤、美白剤、角質軟化剤、収斂剤、無機粉体、有機粉体、紫外線吸収剤、殺菌剤等が挙げられる。
本発明に用いられる添加剤の含有量は、特に限定されないが、配合する場合には、0.1~20質量%が好ましく、優れた清浄効果や優れた使用感を得るためには、1~10質量%がより好ましい。
無機粉体としては、酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等が挙げられる。
有機粉体としては、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン-メタクリル酸共重合体パウダー、ポリスチレンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン等が挙げられる。
(皮膚洗浄剤組成物の調製方法)
皮膚洗浄剤組成物を調製する方法は特に制限されないが、通常の化粧料等を製造する方法により製造されるものである。具体的には、(1)微細状繊維と(2)保湿剤とを通常の方法で混合すればよい。また、(3)他の成分を配合する場合であっても、(1)微細状繊維と(2)保湿剤に、(3)他の成分を加えて通常の方法で混合すればよい。なお、その際の製造機器等は特に制限されない。
(皮膚洗浄剤組成物の使用方法)
本発明の皮膚洗浄剤組成物の使用方法は、以下の通りである。
肌の水気をよく拭きとってから、適量(1~2ml)を乾いた手の平にとり、肌に塗布する。次いで、軽く揉みながら手でなじませる。残った皮膚洗浄剤組成物を水で洗い流す。
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、一般的なピーリング剤やスクラブ剤と同様に、肌のコンディションに合わせて、使用することが可能である。
さらに、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、通常の化粧料と同様に、湿度の高い所、極端に高温の場所、及び直射日光のあたる場所での保管を避けるとよい。
使用時に物理的な肌表面の摩擦作用等を利用した従来のピーリング剤やスクラブ剤は、皮膚の負担が比較的大きい。しかしながら、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、古い角質層の剥離や洗浄等のために用いる天然素材の微細状セルロース繊維と保湿剤との相乗効果により、ヨレ感(ピーリング残渣(澱、残渣、残滓、カス等)の生じやすさ)を感じやすいものとなっている。そのため、肌への刺激が軽減されており、皮膚への刺激を避けたい方であっても、安心して使用できる。また、前記ヨレ感をあまり望まない場合は、粗大繊維が少ない、または含まない皮膚洗浄剤組成物とすると良い。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
微細状セルロース繊維分散液として、以下の微細状セルロース繊維分散液1~7を用いた。
・微細状セルロース繊維分散液1(nanoforest-S/B-S(1.7%):中越パルプ工業株式会社社製 竹由来)
・微細状セルロース繊維分散液2(nanoforest-S BB-A(1%):中越パルプ工業株式会社社製 竹由来)
・微細状セルロース繊維分散液3(nanoforest-S BB-B(1%):中越パルプ工業株式会社社製 竹由来)
・微細状セルロース繊維分散液4(nanoforest-S BB-RB(1%):中越パルプ工業株式会社社製 竹由来)
・微細状セルロース繊維分散液5(nanoforest-S BB-C(1%):中越パルプ工業株式会社社製 竹由来)
・微細状セルロース繊維分散液6(nanoforest-S/N-S(2%):中越パルプ工業株式会社社製 針葉樹由来)
・微細状セルロース繊維分散液7(nanoforest-S NB-A(1%):中越パルプ工業株式会社社製 針葉樹由来)
(微細状セルロース繊維分散液8)
微細状セルロース繊維分散液8は、以下の調製方法により調製した。
針葉樹由来の漂白クラフトパルプ1g(乾燥重量)と、
0.0125gのTEMPO(2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐1‐オキシラジカル)と、
0.125gの臭化ナトリウムとを、水100mlに分散した後、
13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、
パルプ1gに対して、次亜塩素酸ナトリウムの量が5.0mmolとなるように加えて
室温にて反応を開始した。
反応中の計内のpHは、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液と、
0.5mol/lの塩酸水溶液を滴下してpHを10に保った。
2時間反応した後、反応物をろ過し、水洗することで、TEMPO酸化パルプを得た。
前記TEMPOパルプを蒸留水に分散させ、1質量%とした試料をホモジナイザーで解繊処理を行いセルロースナノファイバー水分散液を得た。
(パルプ分散液9)
パルプ分散液9は、以下調製方法により調製した。
固形分濃度50%のクラフトパルプをイオン交換水で1%に希釈し、ブレンダーを用いて攪拌した。
(微細状セルロース繊維分散液の粒度分布測定)
微細状セルロース繊維分散液1~8及びパルプ分散液9について以下の測定方法により、粒度分布測定を行った。
50ml遠沈管に各試料を入れ純水を加えて、0.1%微細状セルロース繊維分散液を40g調製した。
次いで、ホモジナイザー(IKA製ウルトラタラックス T10)の先端を遠沈管の25mlの目盛付近まで挿入し、10,000rpmの条件で、3分間撹拌して測定に供した。なお、クラフトパルプは同様な処理が困難なため60MPa圧力でACC処理を施しフィブリル化を進めて分散性を高めたものを測定に用いた。そのため処方に用いたパルプよりマイクロ繊維が増えた状態のものを用いている。
粒度分布測定装置は、Mastersizer3000(MalvernPanalytical社製)を用いた。
粒度分布測定撹拌速度を500rpmとしてバックグラウンド調整後、撹拌速度を2,000rpmに上げ、サンプルを投入量目安に沿って投入した。サンプル投入後、すぐに撹拌速度を500rpmに下げ、実測値で510rpm以下になったらストップウォッチで30秒、2分、5分、10分経過毎、各時点で試料の測定を行った。5回の測定が終了したら装置の洗浄を行い、同様の手順で次の試料の測定を行った。
測定結果は「個数分布」のデータとして5回の平均値を採用した。測定結果を表1に示す。
Figure 2023183925000003
(実施例1~12、比較例1~3)
分散液1~9を用いて以下の表2の処方にて皮膚洗浄剤組成物を作成した。
Figure 2023183925000004
(実施例1~12及び比較例1~3の各繊維径割合)
表1と表2から、各実施例及び各比較例中に含まれる微細状セルロース繊維の繊維径の割合(単位(%))を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2023183925000005
(評価項目1:ピーリング感(ヨレ感の感じやすさ))
皮膚洗浄剤組成物を肌に塗布し、擦った後の状態を観察し、以下の評価基準にて評価した。ここで、ヨレとは、ピーリング残渣(澱、残渣、残滓、カス等)のことである。
◎:こするとすぐにヨレが出てくる。
〇:数回こすると出てくる
×:出てこない
-:混ざっていない
(評価項目2:摩擦感)
皮膚洗浄剤組成物を肌に塗布し、擦る過程において摩擦感を以下の評価基準にて評価した。
◎:摩擦感を感じない
〇:摩擦感が多少ある
×:皮膚が擦れる感じがする
(評価項目3:使用後の肌感触)
皮膚洗浄剤組成物を肌に塗布し、擦った後の皮膚の状態について、以下の評価基準にて評価した。
◎:しっとり感がある
〇:つるつる感がある
×:べたつきがある
(評価項目4:洗浄効果)
疑似皮脂(化粧品用オイル(Myritol 318:(BASFジャパン株式会社))と酸化鉄の混合物(C33-134 SunCROMA Black Iron Oxide):(Sun Chemical Corporation))を汚れ成分として手の甲に100μl塗った後、各皮膚洗浄剤組成物1mlを用いて、洗浄・水洗を行い、顕微鏡((DSX500:(OLYMPUS株式会社))を使用して、手の甲を観察して、以下の評価基準にて評価した。
また、実施例1、4、8及び比較例1~3についての手の甲の写真を図2に示す。
◎:汚れがほとんどない
〇:汚れが少し残る
△:汚れがほとんど落ちない
×:汚れが落ちない
(評価項目5:外観評価)
調製した各皮膚洗浄剤組成物の外観について、以下の評価基準にて評価した。
◎:滑らかな表面である。
〇:繊維が少し見える
×:繊維が分離して見える。
(評価項目1~5の結果)
得られた実施例1~12及び比較例1~3について、上記評価項目1~5の評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 2023183925000006
評価項目1の結果から、以下のことが明らかとなった。
(B)マイクロ繊維は、0.1%以上配合されていると、ヨレ感(ピーリング達成感)を皮膚洗浄剤組成物に付与することができることが明らかとなった。また、(B)マイクロ繊維を10%以上添加すると、あまり擦らずとも、速やかにヨレ感を付与できる。
また、澱粉を同時に添加するとヨレが生じなくなっていることも明らかとなった。同様の効果はオリーブオイル、CMC(カルボキシメチルセルロース)等でも確認できた。
さらに、(A)粗大繊維が10%以上存在すると、調製した皮膚洗浄剤組成物の外観評価は芳しいものではなかった。
評価項目1と2の結果から、以下のことが明らかとなった。
(A)粗大繊維を50%以上含む比較例3は、摩擦が大きく、こすれ感をもたらすので好ましくない。実施例2,4,7,11は、ほとんど擦らなくてもヨレがでるので、こすり合せる必要がなく、摩擦感を感じないという評価であったと考えられる。
また、(D)ナノ繊維が20%以上配合されていると摩擦感を感じないことが明らかとなった。これは、(D)ナノ繊維が滑りを向上させる効果があると考えられる。これは、(A)粗大繊維や(B)マイクロ繊維を比較的多く配合した実施例7の場合であっても、(D)ナノ繊維が20%以上配合されていれば、摩擦感を感じないという評価ということからも裏付けられる。
一方、実施例4の評価結果から、(D)ナノ繊維の配合量が少ない場合であっても、タルクが処方されていれば、摩擦感を感じないという評価であった。これは、タルクにより繊維同士の凝集を抑えられ、扁平顔料が滑りを向上させたと考えられる。
評価項目3の結果から、以下のことが明らかとなった。
まず、前提として、微細状セルロース繊維自体は、べたつきの無い成分である。水中対向衝突法により得られる微細状セルロース繊維は、親水サイトと疎水サイトを有した両親媒性の性質を有している。したがって、微細状セルロース繊維は、油分の吸着性が良いことから皮膚表面等に存在する油分を吸着して除去することが可能である。このように皮膚表面の余分な油分を落とすことができるため、使用後の肌感触がさらさらとしており、保湿剤との相乗効果により、しっとり感があるという評価になったと考えられる。
また、比較例2の結果から、超親水性のTEMPO酸化処理による微細状セルロース繊維は、油分を吸着させる能力が低いため、皮膚表面に油分が残ってしまい、べたつき感があり肌感触は良くないという評価になったと考えられる。
評価項目4の結果から、以下のことが明らかとなった。
皮膚洗浄剤組成物中のナノ繊維の比率で洗浄効果が変わることが明らかとなった。これは、ナノ繊維は汚れ等を担持する作用に優れるため、この作用効果が洗浄性の良さに発揮されていると考えられる。
また、タルクのような顔料を添加すると汚れを擦り落とす効果が加わり更に良好となることもまた明らかとなった。
評価項目5の結果から以下のことが明らかとなった。
(A)粗大繊維が存在すると、粗い繊維が存在することが目視で分かる。そのため(A)粗大繊維は10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下が望まれる。

Claims (6)

  1. (1)以下の(A)~(C)の範囲にある繊維径の微細状繊維と、
    (A)10μm以上の粗大繊維
    (B)5μm以上、10μm未満のマイクロ繊維
    (C)400nm以上、5μm未満のサブミクロン繊維
    (2)保湿剤と、
    を含む皮膚洗浄剤組成物。
  2. (1)以下の(B)~(D)の範囲にある繊維径の微細状繊維と、
    (B)5μm以上、10μm未満のマイクロ繊維
    (C)400nm以上、5μm未満のサブミクロン繊維
    (D)400nm未満のナノ繊維
    (2)保湿剤と、
    を含む皮膚洗浄剤組成物。
  3. (1)以下の(A)~(D)の範囲にある繊維径の微細状繊維と、
    (A)10μm以上の粗大繊維
    (B)5μm以上、10μm未満のマイクロ繊維
    (C)400nm以上、5μm未満のサブミクロン繊維
    (D)400nm未満のナノ繊維
    (2)保湿剤と、
    を含む皮膚洗浄剤組成物。
  4. 前記(1)微細状繊維中の(A)10μm以上の粗大繊維の構成比率が5%以下である
    請求項1又は請求項3に記載の皮膚洗浄剤組成物。
  5. 前記(1)微細状繊維中の(B)5μm以上、10μm未満のマイクロ繊維の構成比率が0.1%以上である
    請求項1から請求項3のいずれか一に記載の皮膚洗浄剤組成物。
  6. 前記(1)微細状繊維中の(B)5μm以上、10μm未満の微細状繊維の構成比率が0.1%以上であって、
    さらに、(3)顔料を含む、
    請求項1から請求項3のいずれか一に記載の皮膚洗浄剤組成物。
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