JP2023182308A - 電磁波吸収体 - Google Patents

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Miho Imai
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Akira Shoda
碩芳 西山
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順平 今井
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Abstract

【課題】本発明は、断面方向に荷重がかかったときでも反射減衰特性が良好な耐性を有する電磁波吸収体を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の電磁波吸収体は、抵抗層、誘電体層、反射層を備え、マルテンス硬さが2.5N/mm2以上4.5N/mm2以下である。前記誘電体は1種類以上の樹脂成分と1種類以上の無機フィラーを含むことができる。その無機フィラーは配合割合が堆積部で10~80%であって、金属化合物であってよい。床に電磁波吸収体を設置し、637Nの荷重がかかった際に、最大反射減衰量となる周波数の変化率は20%以下である。さらに温度85℃および相対湿度85%RHの環境に1000時間にわたって晒した電磁波吸収体を床に設置し、637Nの荷重がかかった際に、最大反射減衰量となる周波数の変化率が20%以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、電磁波吸収体に関する。
通信、レーダー、スキャナなど特定の電磁波を用いる環境に設置された産業資材やエレクトロニクス部材が電磁波を反射し、ノイズ発生源となることが知られている。これに対し電磁波吸収体を用いてノイズの発生を防ぎ、製品本来の性能や機能を維持することができる。例えば、無線通信であれば通信速度の低下防止、センサーであれば感度の維持、画像スキャナであれば画像の鮮明化が可能となる。
より詳しくは、オフィスビルや集合住宅で、5G、6Gなどの電磁波を用いた高速無線通信を使用する場合、鉄骨柱、梁、支持鉄筋やコンクリート、ガラス窓から反射された電磁波がノイズとなり通信速度を低下させる原因となる。これに対し、室内の最表面に施工される意匠性産業資材、即ち従来の壁紙の代わりに、壁紙の意匠性をもった意匠性電磁波吸収体を用いることでノイズを抑制し、本来の通信速度を維持できるようになる。
また例えば、サービス付き高齢者向け住宅や介護施設のトイレでの転倒検知・離座システムや、保育施設の見守りに使用されるミリ波レーダーを用いた室内環境において、床や壁材質(タイル、鉄筋コンクリート)などで反射した電磁波がマルチパスを生み、誤検知や誤作動を引き起こすことがある。これに対し、床や壁に意匠性電磁波吸収体を設置することによって、内外装の意匠性を保ちつつ見守りレーダーの誤検知を防止することができる。
このような電磁波吸収体として、特許文献1には曲面に取り付けるために有利な特性を有する電磁波吸収体に関し開示されている。また特許文献2には平坦ではない面にも取り付けやすく、かつ、高温高湿環境に長期間晒されてもシート抵抗の増加を抑え反射減衰量が低下しにくい電磁波吸収体に関し開示されている。
特開2017-40699号公報 特開2019-71463号公報
電磁波吸収体が設置される用途や環境が広がるにつれ、例えば床や壁に設置された電磁波吸収体に対し断面方向(上方)から荷重(圧縮応力)がかかるケースが想定される。さらにそうした荷重がかかった状態で高温高湿な環境下で長時間晒されるケースも考えられるところである。発明者は、上方からの荷重に対し反射減衰特性が耐性を有する電磁波吸収体へのニーズを見出した。
これに対し、特許文献1では、曲面に取り付け易くするため、曲げ剛性を300MP a・mm以下に設定する旨の記載はあるものの、電磁波吸収体の断面方向の力が加わった場合に関する開示はない。また、特許文献2では、高温高湿な環境下において曲げ剛性が耐久性を有する電磁波吸収体の記載はあるが、断面方向の荷重に関する耐久性の開示はされていない。
そこで本発明は、断面方向に荷重がかかったときでも反射減衰特性が良好な耐性を有する電磁波吸収体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、代表的な本発明の電磁波吸収体の一つは、抵抗層、誘電体層、反射層を備え、マルテンス硬さが2.5N/mm以上4.5N/mm以下であるものである。
本発明によれば、断面方向に荷重がかかったときでも反射減衰特性が良好な耐性を有することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施をするための形態における説明により明らかにされる。
図1は、実施形態に係る反射型の電磁波吸収体を模式的に示す断面図である。 図2は、床に電磁波吸収体を設置した例を示す模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
本開示において、電磁波吸収体の「断面方向」というときは、電磁波が入射する側の表面の法線方向を意味する。
また本開示において、「床」というときは、特に限定されず、地面に平行な平面を意味する。
図1は、実施形態に係る反射型の電磁波吸収体10を模式的に示す断面図である。この図に示す電磁波吸収体10はフィルム状又はシート状であり、抵抗層1と、誘電体層2と、反射層3とをこの順序で備える積層構造を有する。なお、フィルム状の電磁波吸収体10は、例えば、全体の厚さが24~250μmである。他方、シート状の電磁波吸収体10は、例えば、全体の厚さが0.25~7.1mmである。
(抵抗層)
抵抗層1は外側から入射してきた電磁波を誘電体層2へと至らしめるための層である。すなわち、抵抗層1は、電磁波吸収体10が使用される環境に応じてインピーダンスマッチングをするための層である。電磁波吸収体10が空気(インピーダンス:377Ω/□)中で使用される場合、抵抗層1のシート抵抗は、例えば、350~400Ω/□の範囲に設定される。
抵抗層1は、導電性を有する無機材料や有機材料を含有する。導電性を有する無機材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛アルミニウム(AZO)、カーボンナノチューブ、グラフェン、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Cu、Co、Cr、In、Ag-Cu、Cu-Au及びNiナノ粒子からなる群から選択される1つ以上を含むナノ粒子、又は及びナノワイヤーが挙げられ、導電性を有する有機材料としては、ポリチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、が挙げられる。特に柔軟性、成膜性、安定性、377Ω/□のシート抵抗の観点から、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を含む導電性ポリマーが好ましい。抵抗層1は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PPS)との混合物(PEDOT/PSS)を含むものであってもよい。
抵抗層1のシート抵抗値は、例えば、導電性を有する有機材料の選定、膜厚の調節によって適宜設定することができる。抵抗層1の厚さ(膜厚)は0.1~2.0μmの範囲内とすることが好ましく、0.1~0.4μmの範囲内とすることがより好ましい。膜厚が0.1μm以上であると、均一な膜を形成しやすく、抵抗層1としての機能をより十分に果たすことができる傾向がある。一方、膜厚が2.0μm以下であると、十分なフレキシビリティを保持させることができ、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じることをより確実に防ぐことができる傾向がある。抵抗層1のシート抵抗値は例えばロレスターGP MCP-T610(商品名、株式会社三菱化学アナリテック製)を用いて測定することができる。
(誘電体層)
誘電体層2は、入射する電磁波と反射した電磁波を干渉させるための層である。誘電体層2は、以下の式で表される条件を満たすように厚さ等が設定されている。
d=λ/(4(εr)1/2
式中、λは抑制すべき電磁波の波長(単位:m)を示し、εrは誘電体層を構成する材料の比誘電率、dは誘電体層の厚さ(単位:m)を示す。入射する電磁波の位相と反射した電磁波の位相がπずれることで反射減衰が得られる。
誘電体層2は、1種類以上の無機フィラーと、1種類以上の樹脂成分とを含有する。無機フィラーが含有された誘電体層2は、樹脂成分のみで構成された誘電体層と比較して硬くなる傾向を示し、断面方向のひずみや収縮が発生しにくく、変形を防ぐことができるため、荷重がかかった際も、選択した周波数において一定の反射減衰量を得ることができる。
誘電体層2における無機フィラーの選択及びその含有量に応じて、誘電体層2の密度を調整することができる。樹脂と無機フィラーの合計100体積部に対し、無機フィラーの含有量(以下、体積比の「配合割合」ともいう。)は、好ましくは10~80体積部(%)、より好ましくは25~80体積部(%)である。下限値以上であることで、誘電体層2の圧縮変形割合を小さくできる傾向にあり、他方、上限値以下であることで、フィルム形状を維持することができ、ウエットコーティング(例えばグラビアコート、マイクロコート、ロッドコート、コンマコート)又は押出し成形によって誘電体層2を効率的に製造できる傾向にある。厚みは、好ましくは50~1000μmであり、より好ましくは50~800μmであり、誘電率と反射減衰させる周波数に応じて選択することが好ましい。薄いほど、誘電体層2の圧縮変形割合を小さくできる傾向にあり、ウエットコーティング又は押出し成形によって誘電体層2を効率的に製造できる傾向にある。誘電体層2における無機フィラーの含有量は、電磁波吸収体をカットして断面を露出させ、エネルギー分散型X線分光法(EDX)によって断面における無機フィラー固有の元素の存在割合を分析することにより定量する。
無機フィラーとして、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属珪酸塩、金属窒化物、金属リン酸塩、金属ホウ酸塩、金属チタン酸塩、金属硫化物、炭素類からなる群から選ばれる。例えば、金属酸化物として、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化クロム、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化サマリウム、酸化ランタン、酸化タンタル、酸化テルビウム、酸化銅、酸化ユーロピウム、酸化ネオジウム、フェライト類等、が挙げられる。金属水酸化物として、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム等、金属炭酸塩として、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルイサイト等、が挙げれられる。金属珪酸塩として、硫酸バリウム、石膏繊維等の金属硫酸塩、珪酸カルシウム(ウォラスナイト、ゾノトライト)、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク等、が挙げれる。金属窒化物として、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素等、金属チタン酸塩として、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛アルミニウムボレード等、金属ホウ酸塩として、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム等、が挙げられる。
リン酸三カルシウム等の金属燐酸塩、硫化モリブデン等の金属硫化物、炭化珪素等の金属炭化物、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素類、その他のフィラーが挙げられる。
無機フィラーとして金属化合物が望ましい。例えばチタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ネオジウム酸バリウム(BaNd9.3Ti1854)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、フォルステライト(MgSiO)、酸化アルミニウム(Al)、ニオブ酸マグネシウム酸バリウム(Ba(Mg1/3Nb2/3)O)、二酸化珪素(SiO)などの金属化合物が挙げられる。
無機フィラーの態様は粉末(例えば、ナノ粒子)であることが好ましい。特に、高誘電フィラーであると、薄くできて、変形量が小さい為、好ましい。
金属化合物の密度は樹脂成分の密度よりも高いことが好ましい。金属化合物の密度は、好ましくは2.0~20g/cm以下であり、より好ましくは4.0~8.0g/cmであり、更に好ましくは4.0~6.5g/cmである。
樹脂成分として、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、クリブタル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール、フェノール樹脂、ユリア樹脂及びポリクロロブレン樹脂が挙げられる。樹脂成分の密度は、好ましくは0.7~3.0g/cmであり、より好ましくは0.85~2.5g/cmである。
(反射層)
反射層3は誘電体層2から入射してきた電磁波を反射させ、誘電体層2へと至らしめるための層である。反射層3の厚さは、例えば、4~250μmであり、4~12μm又は50~100μmであってもよい。
反射層3は、例えば、シート抵抗値が100Ω/□以下の導電性を有する材料で構成されている。かかる材料は無機材料であっても有機材料であってもよい。導電性を有する無機材料として、例えば、酸化ンジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛アルミニウム(AZO)、カーボンナノチューブ、グラフェン、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Cu、Co、Cr、In、Ag-Cu、Cu-Au及びNiナノ粒子からなる群から選択される1つ以上を含むナノ粒子、又は及びナノワイヤーが挙げられる。導電性を有する有機材料として、例えば、ポリチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体が挙げられる。導電性を有する無機材料又は有機材料を基材上に製膜してもよい。柔軟性、成膜性、安定性、シート抵抗値及び低コストの観点から、PETフィルムと、その表面に蒸着されたアルミニウム層とを備える積層フィルム(Al蒸着PETフィルム)を 反射層3として用いることが好ましい。
(製造方法)
誘電体層は例えば以下の工程を経て製造される。まず、誘電体層材料となる樹脂及び無機フィラーを設計した処方通りに計量し、撹拌機に投入し、均一になるよう攪拌を行う。混ぜ合わせたものを押し出し機に投入し、溶融・混錬を行う。押出機の先端から細い棒状に形成した樹脂を押出し、水槽中で冷却し、任意の大きさにカットし誘電体層の原料となる樹脂ペレットを作製する。次いで、作製した樹脂に熱をかけることで溶融させ、押し出し機やカレンダー製膜機、熱プレス機等の装置を用いて所定の厚みに調整した誘電体層を作製する。上記方法は一例であり、樹脂ペレット製造工程を含まず、直接、押出機やカレンダー製膜機での製膜も可能である。
上記方法のほかにウェットコーティングにより誘電体層を形成することもできる。ウェットコーティングは、誘電体層2を構成する材料が分散した分散液を基材上に塗工して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることで行われる。ウェットコーティングの方法としては、グラビアコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング、コンマコーテイング及びナイフコーティングなどが挙げられ、分散液の塗工及び塗膜の乾燥という操作が1回であっても十分な厚さの誘電体層2が形成できる傾向にあることから、コンマコーティング、ナイフコーティング及びロールコーティングであることが好ましい。
電磁波吸収体は、例えば、以下の工程を経て製造される。まず、ロール状の誘電体層を押出し成形で作製し、次いで、ロールtoロールのラミネートによって誘電体層を含むロール状の積層体を作製する。この積層体を所定のサイズに切断することで電磁波吸収体が得られる。ロール状の誘電体層は、(A)上記無機フィラーと樹脂を含む樹脂組成物を調製する工程と、(B)この樹脂組成物からなる誘電体層を押出し成形によって形成する工程とを経て製造される。電磁波吸収体として用いる際の周波数帯が高い場合(例えば、60GHz以上)、誘電体層の厚さが十分に薄いため、ウエットコーティングによって電磁波吸収体を製造できる。これに対し、適用対象の周波数帯が低い場合厚く形成する必要があるため、ウエットコーティングでの製造が困難となる傾向にある(例えば、28GHz未満)。この場合、例えば、熱プレス成形によって誘電体層を形成することができる。つまり、使用する周波数帯(換言すれば、誘電体層の厚さ)に応じて作製方法を適宜選択すればよい。
<実施例>
以下の材料を使用し、基材に抵抗層材料を塗工し乾燥させて実施例及び比較例に係る抵抗層を作製した。
基材:意匠性フィルムLOVAL(凸版印刷)
抵抗層材料:PEDOT-PSS(ナガセケムテックス)
以下の材料を使用して実施例及び比較例に係る反射層を作製した。
アルミニウム蒸着フィルム テトライトSC(尾池工業)
以下の材料を使用して実施例及び比較例に係る誘電体層を作製した。
樹脂成分
アクリル樹脂:OC-3405(サイデン化学社製、密度0.96g/cm
ウレタン樹脂:エラストランC60A10WNクリヤー(BASFジャパン社製、密度1.1g/cm
無機フィラー
チタン酸バリウム粉末:BT-01(堺化学工業社製、密度6.01g/cm
酸化チタン粉末:CR-60(石原産業社製、密度4.02g/cm
シリカ:SO―C1(アドマテックス)
(実施例1)
アクリル樹脂:酸化チタンを体積比25:75にて配合し、アプリケーターを用いて厚さ550μmの誘電体層を作製した。
(実施例2)
ウレタン樹脂:チタン酸バリウムを体積比30:70にて配合し、樹脂ペレットを作製し、熱プレス機を用いて厚さ440μmの誘電体層を作製した。
(実施例3)
ウレタン樹脂:シリカを体積比30:70にて配合し、樹脂ペレットを作製し、熱プレス機を用いて厚さ800μmの誘電体層を作製した。
(実施例4)
ウレタン樹脂:チタン酸バリウムを体積比45:55にて配合し、樹脂ペレットを作製し、熱プレス機を用いて厚さ787μmの誘電体層を作製した。
(実施例5)
ウレタン樹脂:チタン酸バリウムを体積比55:45にて配合し、アプリケーターを用いて厚さ310μmの誘電体層を作製した。
(比較例1)
アクリル樹脂、アプリケーターを用いて厚さ170μmの誘電体層を作製し、作製した誘電体層を4枚積層することで厚さ694μmの誘電体層を作製した。
(比較例2)
ポリカーボネート樹脂、熱プレス機を用いて厚さ800μmの誘電体層を作製した。
(比較例3)
ウレタン樹脂、熱プレス機を用いて厚さ448μmの誘電体層を作製した。
実施例1~5、比較例1~3で述べた誘電体層に、上述の抵抗層、反射層をそれぞれ貼り合わせて、各実施例及び比較例に係る電磁波吸収体を完成させた。
<評価>
上述の実施例及び比較例に関し、以下の評価方法を用い、電磁波吸収体の断面方向の硬さ、比誘電率及び電磁波吸収特性を測定した。発明者は断面方向の硬さの値として、マルテンス硬さが良好な反射減衰特性を判別する指標として有効であることを見出した。
(マルテンス硬さ)
マルテンス硬さは、物質の硬さ(硬度)を示す指標の一種であり、圧子に荷重を掛けてサンプルの表面に押し込み、その際に形成された窪み(圧痕)の深さ(押込深さ)を測定して、当該荷重から算出される押込力と、当該押込み深さから算出される窪みの表面積との商と定義される。断面方向に荷重をかけることにより、断面方向の圧縮応力による厚みの変化を確認することができる。
ISO14577に準拠したマルテンス硬さ測定装置(フィッシャースコープHM2000;株式会社フィッシャー・インストルメンツ)を用いて測定を行った。
サンプルは、測定時に誘電体層以外の積層された層の影響を避けるために電磁波吸収体の断面から行った。具体的には電磁波吸収体を冷間硬化タイプのエポキシ樹脂やUV硬化樹脂などの樹脂に包埋して十分に硬化させた後、電磁波吸収体の断面が現れるように切断して機械研磨を施すことにより測定面を得た。具体的な測定方法は、各サンプルの測定面における誘電体層に対して圧子を押し込み、その押込み深さと荷重からマルテンス硬さを算出する。測定条件は、試験力1mN、試験力負荷所要時間10秒、試験力保持時間0秒として測定を行った。特段の断りなくマルテンス硬度の値が示されるときは、作製当初(初期)の電磁波吸収体におけるマルテンス強度を意味するとする。
(比誘電率)
誘電体シートについて、JIS-C2138:2007に準拠して比誘電率を測定した。具体的には、空洞共振器法誘電率測定装置(アジレント・テクノロジー株式会製、製品名「PNA-Lネットワークアナライザ N5230A」)を用いて、周波数1GHz、温度25℃、相対湿度50%の条件にて比誘電率を測定した。
(最大反射減衰量となる周波数の変化率)
まず床の上に電磁波吸収体を設置し、人の荷重を65kgと想定した637Nの荷重をかけた前後の電磁波吸収体の反射減衰量を以下の装置を使用して測定した。具体的には送信アンテナからミリ波を電磁波吸収体に照射し、電磁波吸収体を反射して受信アンテナに入射するミリ波の強度を測定して反射減衰量(dB)を求めた。
さらに、温度85℃、相対湿度85%の環境下に1000時間にわたって晒した後の電磁波抑制体について反射減衰量を同様に測定した。
ベクトルネットワークアナライザ(Keysight PNA N5222B 10MHz-26.5GHz、Virginia DiodesInc、WR12 55-95GHz)
高周波ネットワークアナライザー(アジレント・テクノロジー製、E8362C)
次に以下の式を用いて、最大反射減衰量となる周波数の変化率を指標として導出する。
Y1(%)=(D1-D0)/D0×100
D1:637Nの荷重をかけた電磁波体の最大反射減衰量となる周波数(GHz)
D0:荷重をかけていない電磁波吸収体の最大反射減衰量となる周波数(GHz)
Y2(%)=(D2-D0)/D0×100
D2:温度85℃及び相対湿度85%RHの環境に1000時間にわたって晒した後の637Nの荷重をかけた電磁波吸収体の最大反射減衰量となる周波数(GHz)
D0:荷重をかけていない電磁波吸収体の最大反射減衰量となる周波数(GHz)
Y1は作製当初(初期)の電磁波吸収体において、所定の荷重を断面方向にかけた場合の最大反射減衰量となる周波数の変化率を表し、Y2は温度85℃及び相対湿度85%RHの環境に1000時間にわたって晒した後の電磁波吸収体における変化率を表す。
上述した各指標の測定結果を表1に示す。マルテンス硬さが2.5N/mm以上4.5N/mm以下の電磁波吸収体に対しては、最大反射減衰量となる周波数の変化率は実施例1~5に関し初期のケースにおいて20%以下の良好な数値を示した。さらに温度85℃及び相対湿度85%RHの環境に1000時間にわたって晒したケースでは、実施例に1~4に関し20%以下の良好な数値を示し、いずれについても断面方向の荷重に関し反射減衰特性が良好な耐性を有することが見出された。
Figure 2023182308000002
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
(適用事例)
本発明に係る電磁波吸収体は、一例として建物内で人や家具、オフィス用品などの荷重がかかる床に適用する用途が考えられる。図2は、床20に電磁波吸収体10を設置した例を示す模式図である。ただし、電磁波吸収体の設置は、設置面の法線方向からの荷重が想定されるケースであればこれに限られるものではなく、壁や斜面などであってもよく、歩道や坂のような屋外に設置されてもよい。さらに曲面上に設置することを妨げるものではない。また上述した用途例に適用される電磁波吸収体を製造または選定する際の標準規格として用いることも可能である。
本発明の内容となり得る項目を以下に述べる、ただしこれに限られるものではない。
(項目1)
抵抗層、誘電体層、反射層を備え、誘電体層のマルテンス硬さが2.5N/mm以上4.5N/mm以下である、電磁波吸収体。
(項目2)
前記誘電体層が、1種類以上の樹脂成分と1種類以上の無機フィラーを含む、項目1に記載の電磁波吸収体。
(項目3)
前記無機フィラーの配合割合が体積比で10~80%である項目2に記載の電磁波吸収体。
(項目4)
前記無機フィラーが金属化合物である、項目2または3に記載の電磁波吸収体。
(項目5)
前記金属化合物が酸化チタン及びチタン酸バリウムの少なくとも一方である、項目4に記載の電磁波吸収体。
(項目6)
前記誘電体層の比誘電率が10以上である、項目1~5のいずれか一つに記載の電磁波吸収体。
(項目7)
床に電磁波吸収体を設置し、637Nの荷重がかかった際に、最大反射減衰量となる周波数の変化率が20%以下である、項目1~6のいずれか一つに記載の電磁波吸収体。
(項目8)
温度85℃および相対湿度85%RHの環境に1000時間にわたって晒した後のマルテンス硬さが2.5N/mm以上4.5N/mm以下である、項目1~7のいずれか一つに記載の電磁波吸収体。
(項目9)
温度85℃および相対湿度85%RHの環境に1000時間にわたって晒した電磁波吸収体を床に設置し、637Nの荷重がかかった際に、最大反射減衰量となる周波数の変化率が20%以下である、項目1~8のいずれか一つに記載の電磁波吸収体。
1…抵抗層、2…誘電体層、3…反射層、
10…電磁波吸収体
20…床
特開2017-163141号公報 特開2019-71463号公報

Claims (9)

  1. 抵抗層、誘電体層、反射層を備え、誘電体層のマルテンス硬さが2.5N/mm以上4.5N/mm以下である、電磁波吸収体。
  2. 前記誘電体層が、1種類以上の樹脂成分と1種類以上の無機フィラーを含む、請求項1に記載の電磁波吸収体。
  3. 前記無機フィラーの配合割合が体積比で10~80%である請求項2に記載の電磁波吸収体。
  4. 前記無機フィラーが金属化合物である、請求項2または3に記載の電磁波吸収体。
  5. 前記金属化合物が酸化チタン及びチタン酸バリウムの少なくとも一方である、請求項4に記載の電磁波吸収体。
  6. 前記誘電体層の比誘電率が10以上である、請求項1~3のいずれか一つに記載の電磁波吸収体。
  7. 床に電磁波吸収体を設置し、637Nの荷重がかかった際に、最大反射減衰量となる周波数の変化率が20%以下である、請求項1~3のいずれか一つに記載の電磁波吸収体。
  8. 温度85℃および相対湿度85%RHの環境に1000時間にわたって晒した後のマルテンス硬さが2.5N/mm以上4.5N/mm以下である、請求項1~3のいずれか一つに記載の電磁波吸収体。
  9. 温度85℃および相対湿度85%RHの環境に1000時間にわたって晒した電磁波吸収体を床に設置し、637Nの荷重がかかった際に、最大反射減衰量となる周波数の変化率が20%以下である、請求項1~3のいずれか一つに記載の電磁波吸収体。
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