JP2023167269A - 電磁波吸収体及びその製造方法並びに通信安定空間 - Google Patents

電磁波吸収体及びその製造方法並びに通信安定空間 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な反射減衰量を有し、且つ、吸収可能な電磁波の帯域幅が広い電磁波吸収体及びその製造方法並びに通信安定空間を提供すること。【解決手段】本開示の一側面に係る電磁波吸収体は、抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体であり、誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、σ1及びμ1が式(1)を満たす。0.005≦σ1/μ1≦0.15・・・(1)【選択図】図1

Description

本開示は、電磁波吸収体及びその製造方法並びに通信安定空間に関する。
近年、急速な情報量の増加や移動体の高速化、自動運転、IoT(Internet of Things)の実用化に向け、各々に対応できる通信、レーダー、セキュリティ用のスキャナ等の需要が益々高まっている。これに伴い5G、ミリ波、テラヘルツ波を活用した次世代の電磁波を用いた高速無線通信方式に関する技術が急速に進んでいる。
電磁波を利用した製品は、他の電子機器から発生する電磁波と干渉し、誤作動を引き起こすことがある。誤作動を防止するための技術として、電磁波抑制シート及びこれに使用するコーティング剤が提案されている(例えば、下記の特許文献1~3)。
特開2010-153542号公報 特開2017-112253号公報 特開2017-216337号公報
電磁波抑制シートのタイプは、反射型と透過型に大別される。反射型は入射する電磁波と電磁波を低減するものである。透過型は電磁波を吸収する性能を有する磁性体や誘電体を利用し、これを含む層に電磁波を通過させることで電磁波を低減するものである。特にλ/4と呼ばれる反射型は、抵抗層のインピーダンスマッチングと誘電体層での位相調整を利用し、表面の反射波と反射体からの反射波を干渉させ、相殺させる為、電磁波吸収体の厚さが薄く、大きな反射減衰量を得る事ができる。
ところで、上述した通信、レーダー、セキュリティ用のスキャナ等で用いる電磁波における周波数の幅、即ち帯域幅は、広いほど多くの情報を転送することができる。例えば、4G、LTEでは、場所によって異なるが最大で15MHzの帯域幅を持ち、通信速度は100Mbpsである。これに対し、5G、特にミリ波28GHzでは、最大で400MHzの帯域幅を持ち、通信速度は20Gbpsまで高速化できる。これら帯域幅を各社通信メーカーや各種サービス用途へ、400MHzごとに区切って割り振るため、28GHzは、全体で26.5~29.5GHzの周波数範囲が使用されることになる。
自動車、民生、産業など様々な用途に展開可能な60GHzは、57~64GHzの帯域幅7GHz、距離分解能は2.14cm、又は60~64GHzの帯域幅4GHz、距離分解能は4cm未満、自動車の長距離用レーダーに用いられる76GHzは76~77GHzの帯域幅1GHz、距離分解能15cm、79GHzは、77~81GHzの帯域幅4GHz、距離分解能3.75cmである。
このように、高速無線通信技術に伴い、通信の帯域幅や周波数範囲は増加傾向にあり、電磁波吸収体もこれら帯域幅や周波数範囲を網羅的に吸収することが求められる。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、十分な反射減衰量を有し、且つ、吸収可能な電磁波の帯域幅が広い電磁波吸収体及びその製造方法並びに通信安定空間を提供する。
本開示の一側面に係る電磁波吸収体は、抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体であり、誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、σ1及びμ1が式(1)を満たす。
0.005≦σ1/μ1≦0.15・・・(1)
上記電磁波吸収体は、誘電体層の厚さに分布があり、更に、σ1/μ1が0.005以上0.15以下であることで、十分な反射減衰量を有し、且つ、吸収可能な電磁波の帯域幅が広いものとなる。
一態様において、誘電体層の複素誘電率の実部は、4以上であってよい。
一態様において、σ1及びμ1は、式(2)を満たす。
0.01≦σ1/μ1≦0.06・・・(2)
σ1/μ1が0.01以上0.06以下であることで、複素誘電率の実部が4以上であっても、より十分な反射減衰量を有し、且つ、吸収可能な電磁波の帯域幅が一層広いものとなる。
一態様において、μ1は、1.6mm以下であってよい。
一態様において、抵抗層のシート抵抗は、200Ω/□以上1400Ω/□以下であってよい。
本開示の他の一側面に係る電磁波吸収体の製造方法は、抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体の製造方法であって、溶融した状態の熱可塑性樹脂を含む組成物を押出すことで誘電体層を形成する工程を備え、誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、σ1及びμ1が式(1)を満たす。
0.005≦σ1/μ1≦0.15・・・(1)
本開示の更に他の一側面に係る電磁波吸収体の製造方法は、抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体の製造方法であって、ウェットコーティングにより誘電体層を形成する工程を備え、誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、σ1及びμ1が式(1)を満たす。
0.005≦σ1/μ1≦0.15・・・(1)
本開示の更に他の一側面に係る通信安定空間は、上記電磁波吸収体を備える。
本開示によれば、十分な反射減衰量を有し、且つ、吸収可能な電磁波の帯域幅が広い電磁波吸収体及びその製造方法並びに通信安定空間が提供される。
図1は本開示に係る電磁波吸収体の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図2は本開示に係る電磁波吸収体の他の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図3は本開示に係る電磁波吸収体の更に他の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図4は本開示に係る電磁波吸収体の更に他の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図5の(a)~(c)は、それぞれ、実施例a1~a3で得られた電磁波吸収体の反射減衰特性のシミュレーション結果である。 図6の(a)~(c)は、それぞれ、比較例b1、実施例b1、b2で得られた電磁波吸収体の反射減衰特性のシミュレーション結果である。 図7の(a)~(c)は、それぞれ、実施例b3~b5で得られた電磁波吸収体の反射減衰特性のシミュレーション結果である。 図8の(a)~(c)は、それぞれ、実施例b6、b7、比較例b2で得られた電磁波吸収体の反射減衰特性のシミュレーション結果である。 図9の(a)、(b)は、それぞれ、比較例b3、実施例b8で得られた電磁波吸収体の反射減衰特性のシミュレーション結果である。 図10の(a)~(c)は、それぞれ、実施例b9、b10、比較例b4で得られた電磁波吸収体の反射減衰特性のシミュレーション結果である。 図11の(a)~(c)は、それぞれ、実施例b11~b13で得られた電磁波吸収体の反射減衰特性のシミュレーション結果である。
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
<電磁波吸収体>
[第一実施形態]
以下、第一実施形態に係る電磁波吸収体について説明する。図1は、本実施形態に係る反射型の電磁波吸収体を模式的に示す断面図である。この図に示す電磁波吸収体10はフィルム状又はシート状であり、抵抗層1と、誘電体層2と、反射層3とをこの順に備える積層体である。なお、フィルム状の電磁波吸収体は、例えば、全体の厚さが24~250μmである。他方、シート状の電磁波吸収体は、例えば、全体の厚さが0.25~7.1mmである。
(抵抗層1)
抵抗層1は外側から入射してきた電磁波を誘電体層2へと至らしめるための層である。すなわち、抵抗層1は、インピーダンスマッチングをするための層である。
電磁波吸収体10が空気(インピーダンス:377Ω/□)中で使用される場合、抵抗層1のシート抵抗は、例えば、200Ω/□以上1400Ω/□以下の範囲に設定されると高い反射減衰を得ることができる。
抵抗層1は、導電性無機材料及び導電性有機材料の少なくとも一方で構成される層を含む。導電性無機材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛アルミニウム(AZO)、カーボン、グラフェン、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Cu、Co、Cr、In、Ag-Cu、Cu-AuおよびNiからなる群から選択される1つ以上が挙げられる。導電性無機材料の形状は特に限定されず、例えば粒子状又はワイヤー状である。導電性有機材料としては、ポリチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリアニリン誘導体及びポリピロール誘導体が挙げられる。特に、導電性有機材料としては、柔軟性、成膜性、安定性、表面抵抗の観点から、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を含む導電性ポリマーが好ましい。抵抗層1は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PPS)との混合物(PEDOT/PSS)を含むものであってもよい。抵抗層1は、導電性無機材料及び導電性有機材料の少なくとも一方で構成される層のみで構成されてもよいが、導電性無機材料及び導電性有機材料の少なくとも一方からなる層を基材上に設けてなるものであってもよい。基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。特に柔軟性、成膜性、安定性、表面抵抗の観点から、抵抗層1は、PEDOTを含む導電性ポリマーからなる膜を形成してなるPETフィルムで構成されることが好ましい。
抵抗層1のシート抵抗値は、例えば、導電性を有する有機材料の選定、膜厚の調節によって適宜設定することができる。抵抗層1の厚さ(膜厚)は0.1~2.0μmの範囲内とすることが好ましく、0.1~0.4μmの範囲内とすることがより好ましい。膜厚が0.1μm以上であると、均一な膜を形成しやすく、抵抗層1としての機能をより十分に果たすことができる傾向がある。一方、膜厚が2.0μm以下であると、十分な柔軟性を保持させることができ、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じることをより確実に防ぐことができる傾向がある。抵抗層1のシート抵抗値は例えばロレスターGP MCP-T610(商品名、株式会社三菱化学アナリテック製)を用いて測定することができる。
抵抗層1の製膜方法は、材料によって適宜選択されることが好ましく、主に有機材料であればウェットコーテイング法が好ましく、無機材料であればドライコーテイング法が好ましい。ウエットコーティング法としては、例えば、ダイコーター、マイクログラビアコーター、キスリバースコーター及びリップコーターを用いたコーティング法が挙げられる。ドライコーティング法としては、例えば、抵抗加熱蒸着、イオンビーム(EB)法及びスパッタリング法があげられる。
(誘電体層2)
誘電体層2は、厚さに分布がある。そのため、複数の周波数の電磁波は、互いに干渉して相殺される傾向にある。更に、誘電体層2は、σ1/μ1が0.005以上0.15以下である。これにより、電磁波吸収体10は、十分な反射減衰量を有しつつも、吸収可能な電磁波の帯域幅が広いものとなる。
誘電体層2は、表面に凹凸を有する。それにより、σ1/μ1が0.005以上0.15以下となる。凹凸の形状は、規則的であってもよく、不規則であってもよく、それらが混在していてもよい。規則的な凹凸の形状としては、例えば、格子状及びストライプ状が挙げられる。これらの形状は、簡便に形成できるため好ましい。誘電体層2の表面の凹凸は、抵抗層1及び反射層3がその凹凸に追従できるように、誘電体層2の表面において緩やかに変化することが好ましい。
誘電体層2のμ1は、例えば、1.6mm以下、1.0mm以下、又は0.5mm以下であってもよい。誘電体層2のμ1は、例えば、0.01mm以上であってよい。誘電体層2のμ1が1.6mm以下であると、上記式(1)を満たす誘電体層2の形成が容易となる傾向にある。
誘電体層2のσ1/μ1は、0.005以上であり、帯域幅が一層広くなる傾向があることから、0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましい。σ1/μ1は、0.15以下であり、最大反射減衰量が一層高くなる傾向があることから、0.06以下であることが好ましく、0.04以下であることがより好ましい。
誘電体層2のμ1及びσ1は、以下のように測定される。すなわち、誘電体層2から試験片(サイズ:10cm×10cm角)を切り出す。試験片の縦方向及び横方向に2cm間隔で格子状にしたときの交点25点について厚さを測定する。厚さは、定圧厚さ測定器を用いて測定する。試験片の周縁から1cm未満の領域には交点が含まれないようにする。25点の厚さの測定値から、その平均値と標準偏差とを算出し、それぞれμ1とσ1とする。
μ1及びσ1は、以下のように測定されてもよい。すなわち、電磁波吸収体10から試験片(サイズ:10cm×10cm角)を切り出す。試験片の縦方向及び横方向に2cm間隔で格子状にしたときの交点25点について誘電体層2の厚さを測定する。誘電体層2の厚さは、電磁波吸収体の断面を光学顕微鏡で観察して画像を撮影し、ソフトウェアを用いて画像を解析することで測定する。試験片の周縁から1cm未満の領域には交点が含まれないようにする。25点の厚さの測定値から、その平均値と標準偏差とを算出し、それぞれμ1とσ1とする。電磁波吸収体の断面は、測定精度を一層向上させるために、以下の手法により形成されたものであってよい。すなわち、試験片をエポキシ樹脂で覆い、エポキシ樹脂を硬化させる。その後、カッターを用いてエポキシ樹脂から試験片の断面を出す。断面の表面をミクロトームで薄く切削することで平滑なものとし、観察する対象となる断面とする。
誘電体層2は樹脂を含む。樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、グリプタル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメチルメタアクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、ポリクロロプレン樹脂が挙げられる。中でも、成形性に優れることから、樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド又はこれらの2種以上の混合樹脂が好ましい。特に、樹脂の誘電率が高いと、誘電体粒子の添加量を低下させることが可能となり、(1)薄膜化、(2)成形性、(3)低コストの実現が可能になることから、樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂又はこれらの混合樹脂が好ましい。
誘電体層2は、樹脂の比誘電率よりも大きい比誘電率を有する誘電体粒子をさらに含んでいてもよい。誘電体粒子としては、分散の安定性、及び、誘電体層2の高誘電率化の観点から、無機化合物が好ましい。無機化合物としては、無機酸化物が好ましい。無機酸化物としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ネオジウム酸バリウム(BaNd9.3Ti1854)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、フォルステライト(MgSiO)、酸化アルミニウム(Al)、ニオブ酸マグネシウム酸バリウム(Ba(Mg1/3Nb2/3)O)が挙げられる。
誘電体層2の複素誘電率実部は、4以上、10以上、又は20以上であってもよい。これにより、誘電体層2のμ1を小さくできる傾向にある。誘電体層2の複素誘電率実部は、30以下であってよい。
(反射層3)
反射層3は、誘電体層2から入射してきた電磁波を反射させ、誘電体層2へと至らしめるための層である。反射層3の厚さは、例えば、0.1nm~1mmであり、0.1nm~10μmの薄膜又は0.01~0.2mmの箔、0.2mm~1mmの板であってもよい。
反射層3は、例えば導電性無機材料及び導電性有機材料の少なくとも一方で構成される層を含む。導電性無機材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛アルミニウム(AZO)、カーボン、グラフェン、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Cu、Co、Cr、In、Ag-Cu、Cu-AuおよびNiからなる群から選択される1つ以上が挙げられる。導電性無機材料の形状は特に限定されず、例えば粒子状又はワイヤー状である。導電性有機材料としては、ポリチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリアニリン誘導体及びポリピロール誘導体が挙げられる。反射層3は、導電性無機材料及び導電性有機材料の少なくとも一方で構成される層のみで構成されてもよいが、導電性無機材料及び導電性有機材料の少なくとも一方からなる層を基材上に設けてなるものであってもよい。基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。特に柔軟性、成膜性、安定性、表面抵抗の観点から、反射層3は、アルミニウム蒸着膜を形成してなるPETフィルムで構成されることが好ましい。反射層3の表面抵抗値は特に制限されるものではないが、100Ω/□以下であることが好ましい。反射層3は単一の層であってもよいし、複数層から成る積層体であってもよい。
電磁波吸収体10の半値幅は、28GHz用であれば、1GHz以上、2GHz以上、又は、3GHz以上であればよく、60GHz用であれば、4.5GHz以上、7.5GHz以上、又は10GHz以上であればよく、76GHzであれば、1.5GHz以上、2.5GHz以上、又は、3.5GHz以上であればよく、79GHzであれば、4.5GHz以上、又は、5.5GHz以上、又は6.5GHz以上であってよい。
電磁波吸収体10の最大反射減衰量は、20dB以上、25dB以上、又は30dB以上であってよい。
[第二実施形態]
以下、第二実施形態に係る電磁波吸収体について説明する。以下で説明がない点については、不整合が生じない限り、第一実施形態に係る電磁波吸収体と同様である。図2は、本実施形態に係る反射型の電磁波吸収体を模式的に示す断面図である。この図に示す電磁波吸収体20は、保護層4と、抵抗層1と、誘電体層2と、反射層3とをこの順に備える積層体である。
(保護層4)
保護層4は、例えば、高分子フィルムで構成されている。高分子フィルムの材質としては、例えば、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(三酢酸セルロース)、PMMA(ポリメタクリル酸エステル)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロテトラフルオロエチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)及びPEN(ポリエチレンナフタレート)が挙げられる。
保護層4の厚さは、例えば、11~13μm、49~51μm、又は74~76μmであってもよい。
保護層4の表面には、意匠性のあるデザインが形成されていてもよい。
[第三実施形態]
以下、第三実施形態に係る電磁波吸収体について説明する。以下で説明がない点については、不整合が生じない限り、第二実施形態に係る電磁波吸収体と同様である。図3は、本実施形態に係る反射型の電磁波吸収体を模式的に示す断面図である。この図に示す電磁波吸収体30は、保護層4と、抵抗層1と、バリア接着層5と、バリア層6と、誘電体層2と、反射層3とをこの順に備える積層体である。電磁波吸収体30は、バリア接着層5と、バリア層6とを備えることで、誘電体層2による抵抗層1の抵抗増加を抑制し、反射減衰量が大きく帯域幅が広い電磁波吸収体が得られる。
(バリア接着層5)
バリア接着層5は、抵抗層1と、バリア層6と密着させるための層である。バリア接着層5は、抵抗層1の抵抗を上昇させないことが好ましい。
バリア接着層5の厚さは、吸収周波数と密着力に応じ適宜変更されることが好ましい。バリア接着層5の厚さは、0.5μm以上100μm以下であることが好ましく、3μm以上25μm以下であることがより好ましい。この厚さが0.5μm以上であると十分な密着力が得られる傾向にあり、100μm以下であると電磁波抑制体の総厚を薄くすることができる傾向にある。
バリア接着層5は、例えば、アクリル系接着剤や粘着剤、シリコーン系接着剤や粘着剤、ポリオレフィン系接着剤や粘着剤、ウレタン系接着剤や粘着剤、又はポリビニルエーテル系接着剤や粘着剤等が挙げられる。このうち、シリコーン系粘着剤は、透明性及び耐湿熱性が高く、厳しい環境下においても密着力が低下しにくく、かつ抵抗層1の抵抗の上昇が抑制される傾向にあるため、好ましい。バリア接着層5のシート抵抗値は十分に高いことが好ましく、例えば、1.0×10Ω/□以上であることが好ましい。バリア接着層5のシート抵抗値が1.0×10Ω/□以上であることで、抵抗層1から入射してきた電磁波がバリア接着層5の表面で反射することを抑制することができる。
(バリア層6)
バリア層6は、誘電体層2による抵抗層1の抵抗の増加を抑制させるための層である。バリア層6のシート抵抗値は十分に高いことが好ましく、例えば、1.0×10Ω/□以上であることが好ましい。バリア層6のシート抵抗値が1.0×10Ω/□以上であることで、抵抗層1から入射してきた電磁波がバリア層6の表面で反射することを抑制ができる傾向にある。
バリア層6の酸素透過度は、好ましくは4.0×10cc/m・day・atm以下であり、より好ましくは1.0×10cc/m・day・atm以下であり、更に好ましくは1.0×10-1cc/m・day・atm以下である。酸素透過度は、JIS K7126-2に記載の方法に準拠し、温度30℃、相対湿度70%の条件下で測定される値を意味する。
バリア層6の水蒸気透過度は、好ましくは1.0×10g/m・day以下であり、より好ましくは1.0×10g/m・day以下であり、更に好ましくは2.0×10-1g/m・day以下である。水蒸気透過度は、JIS K7129Bに記載の方法に準拠し、温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定される値を意味する。
バリア層6の厚さは、吸収周波数と酸素透過度、水蒸気透過度に応じて適宜変更されてよいが、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上25μm以下であることがより好ましい。この厚さが3μm以上であると加工が容易であり、100μm以下であると電磁波抑制体の総厚を薄くすることができる。なお、バリア層6は、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び滑り剤等の添加剤を含んでいてもよい。バリア層の表面は、コロナ処理、フレーム処理及びプラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
バリア層6は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;ポリプロピレン及びシクロオレフィン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;並びにトリアセチルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されない。バリア層6は、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム又はポリオレフィンフィルムであることが好ましく、ポリエステルフィルム又はポリアミドフィルムであることがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)であることが更に好ましい。PETフィルムは、加工適性及び密着性の観点から望ましい。また、PETフィルムは、ガスバリア性の観点から、二軸延伸PETフィルムであることが好ましい。
バリア層6は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;ポリプロピレン及びシクロオレフィン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;並びにトリアセチルセルロース等の基材フィルム上に蒸着層とバリア性被覆層とをこの順序で含む積層構造であってもよい。バリア性被覆層は蒸着層を覆うように設けられている。バリア性被覆層は、後工程での二次的な各種損傷を防止するとともに、高いバリア性を付与するために設けられるものである。バリア性被覆層の厚さは、50~2000nmであることが好ましく、100~1000nmであることがより好ましい。バリア性被覆層の厚さが50nm以上であると、膜形成がしやすくなる傾向があり、他方、2000nm以下であると、割れ又はカールを抑制できる傾向がある。
バリア性被覆層は、シロキサン結合を含んでいてもよい。シロキサン結合を含む化合物は、例えば、シラン化合物を用い、シラノール基を反応させて形成されることが好ましい。このようなシラン化合物としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
(OR4-nSi …(1)
[式中、nは0~3の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。窒素を含むポリシラザンを使用してもよい。
バリア性被覆層には、他の金属原子からなる前駆体から作られる材料を使用してもよい。Ti原子を含む化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
(OR4-nTi …(2)
[式中、nは0~3の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(2)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、及びテトラブトキシチタニウム等が挙げられる。
Al原子を含む化合物としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
(OR3-mAl …(3)
[式中、mは0~2の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(3)で表される化合物としては、例えば、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、及びトリブトキシアルミニウム等が挙げられる。
Zr原子を含む化合物としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
(OR4-nZr …(4)
[式中、nは0~3の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(4)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、及びテトラブトキシジルコニウム等が挙げられる。
バリア性被覆層は、大気中で形成することもできる。バリア性被覆層を大気中で形成する場合は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアルコールのような極性を持つ化合物、ポリ塩化ビニリデン等の塩素を含む化合物、及びSi原子を含む化合物、Ti原子を含む化合物、Al原子を含む化合物、Zr原子を含む化合物等を含有する塗布液を蒸着層上に塗布し、乾燥硬化させることで形成することができる。バリア性被覆層を大気中で形成する際の塗布液の塗布方法としては、具体的には、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。上記塗布液は塗布後、硬化される。硬化方法としては、特に限定されないが、紫外線硬化及び熱硬化等が挙げられる。紫外線硬化の場合、塗布液は重合開始剤及び二重結合を有する化合物を含んでいてもよい。また必要に応じて、加熱エージングがされてもよい。
バリア性被覆層を大気中で形成する別の方法として、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウムなどの無機酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して脱水縮合することで得られる反応生成物をバリア性被覆層とする方法を用いることもできる。具体的には、無機酸化物の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)と、無機酸化物と反応可能なリン化合物の部位(例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子)とが、縮合反応を起こし、結合する。反応生成物は、例えば、無機酸化物とリン化合物とを含む塗布液を蒸着層の表面に塗布し、形成した塗膜を熱処理することにより、無機酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して結合する反応を進行させることで得られる。熱処理の温度の下限は、110℃以上であり、120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることが更に好ましい。熱処理温度が低いと、十分な反応速度を得ることが難しくなり、生産性が低下する原因となる。熱処理の温度の好ましい上限は、基材の種類などによって異なるが、220℃以下であり、190℃以下であることが好ましい。熱処理は、空気中、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下などで実施することができる。
バリア性被覆層を大気中で形成する場合は、凝集等しない限り、上記塗布液は更に樹脂を含んでいてもよい。上記樹脂としては、具体的にはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。上記塗布液は、これらの樹脂のうち、塗布液中の他の材料との相溶性が高い樹脂を含むことが好ましい。上記塗布液は、更に、フィラー、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、並びに、シランカップリング剤及びチタンキレート剤等を必要に応じて含んでいてもよい。
[第四実施形態]
以下、第四実施形態に係る電磁波吸収体について説明する。以下で説明がない点については、不整合が生じない限り、第三実施形態に係る電磁波吸収体と同様である。図4は、本実施形態に係る反射型の電磁波吸収体を模式的に示す断面図である。この図に示す電磁波吸収体40は、保護層4と、抵抗層1と、バリア接着層5と、バリア層6と、第1の接着層7aと、誘電体層2と、第2の接着層7bと、反射層3とをこの順に備える積層体である。
(接着層)
接着層7a,7bは、誘電体層2に接着性や粘着性が低い場合、バリア層6と反射層3と密着させるための層である。
接着層7a,7bの厚さは、吸収する電磁波の周波数と密着力に応じ適宜変更されてよい。接着層7a,7bの厚さは、0.5μm以上100μm以下であることが好ましく、3μm以上25μm以下であることがより好ましい。この厚さが0.5μm以上であると十分な密着力が得られ、100μm以下であると電磁波抑制体の総厚を薄くすることができる。
接着層7a,7bの材料としては、例えば、アクリル系接着剤や粘着剤、エポキシ系接着剤や粘着剤、シリコーン系接着剤や粘着剤、ポリオレフィン系接着剤や粘着剤、ウレタン系接着剤や粘着剤、又はポリビニルエーテル系接着剤や粘着剤等が挙げられる。
以上、第一~第四実施形態に係る電磁波吸収体について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、電磁波吸収体20,30,40において、保護層4と、抵抗層1との間に、下地層を設けてよい。これにより、電磁波吸収体は、保護層及び抵抗層の密着性が向上し、また、保護層の塗工性が向上する傾向にある。また、電磁波吸収体20,30,40において、保護層4の抵抗層1と接する表面とは反対側の表面にオーバーコート層が設けられていてもよい。これにより、マイグレーションが抑制される傾向にあり、また、保護層4を保護できる。
<電磁波吸収体の製造方法>
[第一実施形態]
以下、第一実施形態に係る電磁波吸収体10の製造方法について説明する。本実施形態に係る製造方法は、溶融した状態の熱可塑性樹脂を含む組成物を押出すことで誘電体層2を形成する工程を備え、σ1及びμ1が式(1)を満たす。
抵抗層1の製膜方法は、抵抗層1を構成する材質によって適宜選択されることが好ましい。例えば、材質が有機材料であれば、ウェットコーテイング法が好ましく、材質が無機材料であればドライコーテイング法が好ましい。ウエットコーティング法としては、例えば、ダイコーター、マイクログラビアコーター、キスリバースコーター及びリップコーターが挙げられる。ドライコーティング法としては、例えば、抵抗加熱蒸着、イオンビーム(EB)法及びスパッタリング法が挙げられる。抵抗層1は、誘電体層2の表面状に直接形成してよい。また、電磁波吸収体が保護層を備える場合には、保護層を構成する高分子フィルム上に製膜してもよい。
誘電体層2を形成する方法としては、例えば、押出成形法及びカレンダー成型が挙げられる。押出成形法では、熱可塑性樹脂を含む組成物を加熱機構付のスクリューで溶融する。溶融した組成物は、正規分布、二項分布、ポアソン分布など所定の分布をもった形状のダイ(金型)を通して押し出す。これにより誘電体層2が形成される。カレンダー成型では、2つの所定の表面分布を持った加熱ローラーの間にギャップを設ける。次いで、溶融した熱可塑性樹脂を含む組成物をローラー間に導入し、加熱ローラーの回転によって圧延することで誘電体層2を形成する。こうして形成される誘電体層2は、σ1及びμ1が式(1)を満たすものとなる。前述した溶融した状態の熱可塑性樹脂を含む組成物に対して更にエンボスロールを用いて賦形し誘電体層2を、σ1及びμ1が式(1)を満たすものとしてもよい。
熱可塑性樹脂としては、誘電体層2を構成する有機材料として例示した樹脂のうち、熱可塑性樹脂であるものを用いてよい。
電磁波吸収体10は、抵抗層1と、反射層3とを、誘電体層2により貼り合わせることで製造されてもよく、抵抗層1及び誘電体層2を備える積層体と、反射層3とを、積層体の誘電体層2及び反射層3が対向するように貼り合わせることで製造されてもよい。
[第二実施形態]
以下、第二実施形態に係る電磁波吸収体10の製造方法について説明する。以下で説明がない点については、不整合が生じない限り、第一実施形態に係る電磁波吸収体10の製造方法と同様である。本実施形態に係る製造方法は、ウェットコーティングにより誘電体層2を形成する工程を備え、σ1及びμ1が式(1)を満たす。
誘電体層2は、ウェットコーティングにより形成される。ウェットコーティングは、誘電体層2を構成する材料が分散又は溶解した分散液を基材上に塗工して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることで行われてよい。ウェットコーティングの方法としては、グラビアコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング、コンマコーティング及びナイフコーティングなどが挙げられ、分散液の塗工及び塗膜の乾燥という操作が1回であっても十分な厚さの誘電体層が形成できる傾向にあることから、コンマコーティング、ナイフコーティング及びロールコーティングであることが好ましい。
ウェットコーティングにおいて、分散液の塗工及び塗膜の乾燥という操作は、1回のみ行ってもよく、複数回行ってもよい。
ウェットコーティングにおいて、下記の方法1~4のいずれかにより、誘電体層の厚さに分布が付与されうる。
方法1:誘電体層2を形成する分散液における固形分の配合割合と、塗膜の乾燥の時間を調整する。
方法2:表面上に凹凸を有する基材を準備する。誘電体層2を形成する分散液を基材上に塗工して塗膜を形成し、塗膜を乾燥する。
方法3:表面上に凹凸を有しない基材を準備する。誘電体層2を形成する分散液を基材上に塗工して塗膜を形成する。表面に凹凸を有するエンボスロールを塗膜に押し当てることで塗膜に凹凸を付与する。凹凸が付与された塗膜を乾燥する。
方法4:コーティングギャップに分布を有する塗工機を準備する。当該塗工機を用いて誘電体層2を形成する分散液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥する。コーティングギャップは、誘電体層に厚さを付与するための隙間である。本方法によれば、塗工の流れ方向に対して垂直な方向において、凹と凸とが交互に並ぶストライプ状のパターンを有する誘電体層2が形成されうる。
上記方法1においては、固形分の配合割合が大きい場合には、乾燥時間は長くなる傾向があり、固形分の配合割合が小さい場合には、乾燥時間が短くなる傾向がある。塗膜の乾燥時間が長いと、塗膜の形成時に付与された凹凸が平滑になり、σ1は小さくなる傾向がある。塗膜の乾燥時間が短いと、σ1は大きくなる傾向がある。また、塗膜を短い時間で乾燥すると、誘電体層2には、分散液の突沸による凹凸や、ベナードセル(微細な凹凸)やうねりが生じ得る。
[第三実施形態]
以下、第三実施形態に係る電磁波吸収体30の製造方法について説明する。以下で説明がない点については、不整合が生じない限り、第二実施形態に係る電磁波吸収体10の製造方法と同様である。
本実施形態に係る電磁波吸収体30の製造方法は、保護層4上に設けられた抵抗層1と、バリア層6とをバリア接着層5を介して貼合して第1の積層体を得る工程を備える。バリア接着層5と抵抗層1とはラミネーターで貼合されてよい。バリア接着層5の表面には、シリコーンやフッ素樹脂で形成された離形フィルムが抵抗層1との貼合前に一時的に設けられていてもよい。離形フィルムはドライラミネート法により設けられてよい。バリア接着層5は、バリア層6の表面にグラビアコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング、コンマコーティング及びナイフコーティングなどのウェットコーティング法でバリア接着層5の材料を塗工して塗膜を形成し、塗膜を乾燥することで形成されてよい。
本実施形態に係る電磁波吸収体30の製造方法は、誘電体層2及び反射層3を備える第2の積層体と、第1の積層体とを、誘電体層2とバリア層6とが対向するようにドライラミネート法で貼合する工程を更に備える。誘電体層2とバリア層6とは、誘電体層2が有する接着性により貼合される。
[第四実施形態]
以下、第四実施形態に係る電磁波吸収体40の製造方法について説明する。以下で説明がない点については、不整合が生じない限り、第三の実施形態に係る電磁波吸収体30の製造方法と同様である。本実施形態に係る製造方法は、溶融した状態の熱可塑性樹脂を含む組成物を押出すことで誘電体層2を形成する工程を備え、σ1及びμ1が式(1)を満たす。
本実施形態に係る製造方法は、反射層3の表面上に第2の接着層7bを形成する工程を備える。第2の接着層7bを形成する方法は、例えば、ウェットコーティング法で反射層3の表面上に第2の接着層7bの材料を塗工して塗膜を形成して塗膜の乾燥を行う方法であってよい。ウェットコーティング法としては、グラビアコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング、コンマコーティング及びナイフコーティングが挙げられる。第2の接着層7bと、誘電体層2とは、ドライラミネート法で貼合される。
次に、第三実施形態と同様の方法で作製した第1の積層体のバリア層6の表面に第1の接着層7aを形成する。第1の接着層7aの形成方法としては、例えば、グラビアコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング、コンマコーティング及びナイフコーティングなどのウェットコーティング法で第1の接着層7aの材料を塗工して塗膜を形成して塗膜の乾燥を行う方法が挙げられる。誘電体層2と第1の接着層7aとは、ドライラミネート法で貼合される。
<通信安定空間>
本実施形態に係る通信安定空間は、物品として電磁波吸収体10,20,30,40を備える。電磁波吸収体10,20,30,40は、様々な物品に適用可能である。物品の具体例として、建装材(例えば、鏡面化粧板、フロアシート及び化粧フィルム)や産業資材(例えば、路面部材、ガードレール、道路標識及び防音壁)が挙げられる。電磁波吸収体10,20,30,40を建装材に適用することで、例えば、オフィスビルや集合住宅で、5G、6Gなどの電磁波を用いた高速無線通信を使用する場合であっても、5G、6G本来の通信速度を維持できる。例えば、電磁波吸収体10,20,30,40を産業資材に適用することで、電磁波の散乱やノイズを抑制することができ、自動運転の安全性向上に寄与できる。
以下、本開示について、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
<電磁波吸収体の製造>
実施例に係る電磁波吸収体を作製するために以下の材料を準備した。
[保護層]
・PETフィルム(厚さ:50μm、東レ株式会社製、商品名「ルミラーS10」)
[抵抗層]
・ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PPS)との混合物(PEDOT/PSS)(ナガセケムテックス株式会社製、商品名「PT-436」)
[バリア粘着層]
・シリコーン粘着剤(信越化学工業社製の商品名「KR-3700」と、同社製の商品名「CAT-PL-50T」と、トルエンとの混合物(配合比は、KR-3700:CAT-PL-50T:トルエン=40:0.2:60、固形分は、20質量%))
[バリア層]
・バリアフィルム(商品名「GL-RD」、凸版印刷社製)
[誘電体層]
・アクリル粘着剤(サイデン化学株式会社製の商品名「OC-3405」と同社製の商品名「K-341」との混合物)
・ウレタン樹脂(商品名「C60A」、BASF社製)
・チタン酸バリウムのナノ粒子(堺化学工業株式会社製、平均一次粒径:100nm)
[接着層]
・エポキシウレタン接着剤(東洋インキ社製の商品名「AD-393」と同社製の商品名「CAT-EP5」との混合物)
[反射層]
・Al蒸着PETフィルム(蒸着層の厚さ:30nm、全体の厚さ:12μm)
(実施例a1)
PETフィルム(保護層)の表面に、PEDOTとPSSとの混合物(固形分1.3質量%)をバーコーター(番線の番号:「No.30」)で塗工して塗膜を形成した。120℃に設定したオーブンで塗膜を1分間乾燥して抵抗層(厚さ:500nm)を形成し、第1の積層体を得た。
他方、バリアフィルム(バリア層)の表面にシリコーン粘着剤をバーコーター(番線の番号:「No.34」)を用いて塗工して塗膜を形成した。130℃に設定したオーブンで塗膜を1分間乾燥することでバリア粘着層(厚さ:10μm)を形成して第2の積層体を得た。
第1の積層体と、第2の積層体とを、抵抗層とバリア粘着層とが対向するようにラミネーター(ラミネート温度:40℃、圧力:0.4MPa、速度:1m/分)で第3の積層体を得た。
次に、誘電体層を以下の方法で得た。すなわち、チタン酸バリウムのナノ粒子、OC-3405、K-341及びトルエン溶媒を混合(質量基準の混合比率は、チタン酸バリウムのナノ粒子:OC-3405:K-341:トルエン溶媒=57:28:1:15)して攪拌することで固形分74質量%のアクリル粘着剤を得た。
このように作製したアクリル粘着剤と、セパレートフィルム(商品名「TN-100」、東洋紡製)と、シムテープ(厚さ:300μm)と、アプリケーター(200μmギャップ)とを用いて以下のように塗工を行った。アプリケーターの基準面とナイフ部のギャップの標準偏差は、5.2μmであった。ギャップの標準偏差は、3D形状測定機(キーエンス製、商品名「VR-6000」)により測定した。
セパレートフィルム離形面とアプリケーターの基準面との間にシムテープを設置した。こうしてアプリケーター塗工時のセパレートフィルム離形面と、アプリケーターのナイフ部との間隔は常に平均500μmとなるようにした。アクリル粘着溶液をセパレートフィルム離形面とアプリケーターのナイフ部との間に滴下し、アプリケーター基準面をシムテープに接触させながらアプリケーターを走査するよう塗工して塗膜を形成した。塗膜は、50℃に設定したオーブンで2分間乾燥し、80℃に設定したオーブンで2分間乾燥し、120℃に設定したオーブンで2分間乾燥した。これにより、セパレートフィルムの表面にアクリル粘着剤が製膜された第4の積層体を得た。第4の積層体を2つ準備し、第4の積層体のアクリル粘着剤が製膜された面同士をラミネート装置(ラミネート温度:60℃、圧力:0.4MPa、速度:1m/分)で貼合して2つの主面上にセパレートフィルムが設けられた誘電体層を得た。
こうして得られた誘電体層の一方の主面上のセパレートフィルムを剥離した。当該主面上に、Al蒸着PETフィルムをラミネート装置(ラミネート温度:40℃、圧力:0.4MPa、速度:1m/分)で貼合することで第5の積層体を得た。第5の積層体と、第3の積層体とを、誘電体層とバリア層とが対向するようにラミネート装置(ラミネート温度:40℃、圧力:0.4MPa、速度:1m/分)で貼合わせることで第6の積層体を得た。第6の積層体を50℃のエージングルームで3日間エージングし、図3に示す電磁波吸収体と同様の層構成の電磁波吸収体を得た。
(実施例a2)
実施例a1と同様にして第3の積層体を得た。次に、誘電体層を以下の方法で得た。すなわち、チタン酸バリウムのナノ粒子と、ウレタン樹脂のペレットとを混合(質量基準の混合比率は、チタン酸バリウムのナノ粒子:ウレタン樹脂=70:30)して攪拌することで混合物を得た。混合物を押出機に投入して100℃で溶融と混錬とを行い棒状に押し出した。棒状の混合物を冷却した後、ペレット状に切断し、マスターバッチを作製した。
マスターバッチをカレンダー成型機(カレンダーロール温度:140℃、ロール間ギャップ:390μm、ロール間のギャップの標準偏差:2.4μm)で圧延して成型シートを得た。成型シート上に、同様の方法で圧延した成型シートを積層し、誘電体層を得た。ロール間のギャップの標準偏差は、3D形状測定機(キーエンス製、商品名「LK-G5000」)と同社製の「LK-H008ヘッド」(商品名)を用いて測定した。
次に、AD-393、CAT-EP5及びIPA溶媒を混合(質量基準の混合比率は、AD-393:CAT-EP5:IPA溶媒=44:3:53)して攪拌することで固形分25質量%のエポキシウレタン接着剤を得た。エポキシウレタン接着剤を、Al蒸着PETフィルムのPET表面に滴下し、バーコーター(番線の番号:「No.34」)を用いて塗工して塗膜を形成した。130℃に設定したオーブンで1分間塗膜を乾燥し第2の接着層(厚さ:8μm)を形成した。第2の接着層の表面に誘電体層をラミネーターで貼合し(ラミネート温度:40℃、圧力:0.4MPa、速度:1m/分)、第7の積層体を得た。
同様に、エポキシウレタン接着剤を、第3の積層体のバリアフィルム表面に滴下し、バーコーター(番線の番号:「No.70」)を用いて塗工して塗膜を形成した。130℃に設定したオーブンで1分間塗膜を乾燥し第1の接着層(厚さ:8μm)を形成し、第8の積層体を得た。第7の積層体と、第8の積層体とを、第1の接着層と誘電体層とが対向するようにラミネーターで貼合し(ラミネート温度:40℃、圧力:0.4MPa、速度:1m/分)第9の積層体を得た。第9の積層体を50℃のエージングルームで3日間エージングし、図4に示す電磁波吸収体と同様の層構成の電磁波吸収体を得た。
(実施例a3)
ロール間ギャップ290μmに設定したカレンダー成型機で圧延し成型シートを得たこと以外は、実施例a2と同様にして電磁波吸収体を得た。
<誘電体層の厚さの平均値μ1と、標準偏差σ1の測定>
(実施例a1~a3)
誘電体層から試験片(サイズ:10cm×10cm角)を切り出した。試験片の縦方向及び横方向に2cm間隔で格子状にしたときの交点25点について厚さを測定した。試験片の周縁から1cm未満の領域に交点が含まれないようにした。厚さの測定には、定圧厚さ測定器(株式会社テクロック製)を用いた。25点の厚さの測定値から、その平均値と標準偏差とを算出し、それぞれμ1とσ1とした。結果を表1に示した。
<抵抗層のシート抵抗値の測定>
(実施例a1~a3)
低抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック株式会社製)を用いて、抵抗層のシート抵抗値を測定した。印加電圧は1000Vで測定した。実施例a1~a3において、抵抗層のシート抵抗値の平均値は、388.4Ω/□であり、標準偏差は10.65であり、平均値を標準偏差で除した値は、2.74であった。
<各層の厚さの測定>
(実施例a1~a3)
各層(保護層、バリア接着層、バリア層、第1の接着層及び第2の接着層)の厚さは、シックネスゲージ(株式会社ミツトヨ製)を用いてJIS B 7503:2011に準拠し、測定した。各層の厚さの平均値、厚さの標準偏差、平均値を標準偏差で除した値をそれぞれ表1に示した。実施例a1~a3で得られた電磁波吸収体の保護層の上記値は同値となった。また、他の層についても同様であった。
<各層の複素誘電率の測定>
(実施例a1~a3)
各層(保護層、バリア接着層、バリア層、第1の接着層、誘電体層及び第2の接着層)の複素誘電率は、TDR測定器(86100B, 54754A アジレント・テクノロジー社製)により周波数1GHzで測定した。保護層、バリア接着層、バリア層、第1の接着層及び第2の接着層の複素誘電率を表1に示した。誘電体層の複素誘電率を表2に示した。実施例a1~a3で得られた電磁波吸収体の保護層の複素誘電率は、同値となった。バリア接着層、バリア層、第1の接着層及び第2の接着層の複素誘電率も同様であった。
<反射減衰特性の測定>
(実施例a1~a3)
各実施例で得られた電磁波吸収体について反射減衰量を以下の装置を使用して測定した。
・ベクトルネットワークアナライザ(Keysight PNA N5222B 10MHz-26.5GHz、Virginia DiodesInc、WR12 55-95GHz)
・高周波ネットワークアナライザー(アジレント・テクノロジー製、E8362C)
送信アンテナからミリ波を電磁波吸収体に照射し、電磁波吸収体を反射して受信アンテナに入射するミリ波の強度を測定して減衰量(dB)を求めた。測定対象とした周波数の範囲における反射減衰量の最大値と、この最大値となったときの周波数と、反射減衰量が15dB以上となる帯域幅と、反射減衰量が20dB以上となる帯域幅と、半値幅とを表2に示した。半値幅とは、反射減衰量が最大反射減衰量の半分になるときの帯域幅と定義される。実施例a1は、50~66GHz、実施例a2は、22~33GHz、実施例a3は、60~90GHzの周波数をそれぞれ測定対象とした。実施例a1~a3の結果をそれぞれ図5(a)~(c)に示した。
<反射減衰特性のシミュレーション>
(実施例b1~b10及び比較例b1~b4)
誘電体層の厚さの分布が反射減衰特性に与える影響をシミュレーションで評価した。シミュレーションソフトは内製のものを使用した。シミュレーションでは、層構成を電磁波の入射側から順に、保護層(誘電体)、抵抗層及び誘電体層(誘電体)とした。シミュレーションのための設定値は、下記のとおりとした。比較例b1、実施例b1、b2の結果をそれぞれ図6(a)~(c)に、実施例b3~b5の結果をそれぞれ図7(a)~(c)に、実施例b6、b7、比較例b2の結果をそれぞれ図8(a)~(c)に、比較例b3、実施例b8の結果をそれぞれ図9(a)、(b)に、実施例b9、b10、比較例b4の結果をそれぞれ図10(a)~(c)に示した。
(設定値)
保護層の厚さの平均値:50μm
保護層の厚さの標準偏差:0
保護層の厚さについて、標準偏差を平均値で除した値:0
保護層の複素誘電率:実部が2.95、虚部が0
抵抗層のシート抵抗値の平均値:表2に示す値。
抵抗層のシート抵抗値の標準偏差:0
抵抗層のシート抵抗値について、標準偏差を平均値で除した値:0
誘電体層の複素誘電率、厚さの平均値、厚さの標準偏差、厚さについて標準偏差を平均値で除した値:表2に示す値。
(実施例b11)
層構成を電磁波の入射側から順に、保護層(誘電体)、抵抗層、バリア粘着層、バリア層、誘電体層(誘電体)、反射層(短絡)とし、設定値を下記のとおり変更したこと以外は、実施例b1と同様にしてシミュレーションをした。結果を図11(a)に示した。
(設定値)
保護層、バリア接着層、バリア層及び反射層の厚さの平均値、標準偏差及び標準偏差を平均値で除した値:表1に示す値。
抵抗層のシート抵抗値の平均値、標準偏差、標準偏差を平均値で除した値:実施例a1~a3の実測値
誘電体層の複素誘電率、厚さの平均値、厚さの標準偏差、厚さについて標準偏差を平均値で除した値:表2に示す値。
(実施例b12及びb13)
層構成を電磁波の入射側から順に、保護層(誘電体)、抵抗層、バリア粘着層、バリア層、第1の接着層、誘電体層(誘電体)、第2の接着層、反射層(短絡)としたこと以外は、実施例b11と同様にしてシミュレーションをした。第1及び第2の接着層の厚さの平均値、標準偏差及び標準偏差を平均値で除した値の設定値は、表1に示す値とした。実施例b12及びb13の結果をそれぞれ図11(b)及び(c)に示した。
Figure 2023167269000002
Figure 2023167269000003

実施例a1及びb1~b11の電磁波吸収体は、50~66GHzの周波数における半値幅が4.5GHz以上であるから、60GHz用の電磁波吸収体として好適に用いることができる。実施例a2及びb12の電磁波吸収体は、22~33GHzの周波数における半値幅が1GHz以上であるから、28GHz用の電磁波吸収体として好適に用いることができる。実施例a3及びb13の電磁波吸収体は、60~90GHzの周波数における半値幅が1.5GHz以上であるから、79GHz用の電磁波吸収体として好適に用いることができる。
誘電体層の厚さが同様の実施例b1~b7の電磁波吸収体と、比較例b1、b2の電磁波吸収体とを比較すると、0.005≦σ1/μ1≦0.15である実施例b1~b7の電磁波吸収体は、半値幅が大きく、且つ、最大反射減衰量が小さいことわかる。
誘電体層の厚さが同様の実施例b8~b10の電磁波吸収体と、比較例b3、b4の電磁波吸収体とを比較すると、0.005≦σ1/μ1≦0.15である実施例b8~b10の電磁波吸収体は、半値幅が大きく、且つ、最大反射減衰量が小さいことわかる。
本開示の要旨は以下の[1]~[8]に存する。
[1]抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体であり、
誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、σ1及びμ1が式(1)を満たす、電磁波吸収体。
0.005≦σ1/μ1≦0.15・・・(1)
[2]誘電体層の複素誘電率の実部が、4以上である、[1]に記載の電磁波吸収体。
[3]抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体であり、
誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、σ1及びμ1が式(2)を満たす、[2]に記載の電磁波吸収体。
0.01≦σ1/μ1≦0.06・・・(2)
[4]μ1が、1.6mm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の電磁波吸収体。
[5]抵抗層のシート抵抗が、200Ω/□以上1400Ω/□以下である、請求項[1]~[4]のいずれかに記載の電磁波吸収体。
[6]抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体の製造方法であって、
溶融した状態の熱可塑性樹脂を含む組成物を押出すことで誘電体層を形成する工程を備え、
誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、σ1及びμ1が式(1)を満たす、電磁波吸収体の製造方法。
0.005≦σ1/μ1≦0.15・・・(1)
[7]抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体の製造方法であって、
ウェットコーティングにより誘電体層を形成する工程を備え、
誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、σ1及びμ1が式(1)を満たす、電磁波吸収体の製造方法。
0.005≦σ1/μ1≦0.15・・・(1)
[8][1]~[5]のいずれかに記載の電磁波吸収体を備える、通信安定空間。
1…抵抗層、2…誘電体層、3…反射層、4…保護層、5…バリア接着層、6…バリア層、7a…第1の接着層、7b…第2の接着層、10,20,30,40…電磁波吸収体。

Claims (8)

  1. 抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体であり、
    前記誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、前記誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、前記σ1及び前記μ1が式(1)を満たす、電磁波吸収体。
    0.005≦σ1/μ1≦0.15・・・(1)
  2. 前記誘電体層の複素誘電率の実部が、4以上である、請求項1に記載の電磁波吸収体。
  3. 抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体であり、
    前記誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、前記誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、前記σ1及び前記μ1が式(2)を満たす、請求項2に記載の電磁波吸収体。
    0.01≦σ1/μ1≦0.06・・・(2)
  4. 前記μ1が、1.6mm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
  5. 前記抵抗層のシート抵抗が、200Ω/□以上1400Ω/□以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
  6. 抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体の製造方法であって、
    溶融した状態の熱可塑性樹脂を含む組成物を押出すことで前記誘電体層を形成する工程を備え、
    前記誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、前記誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、前記σ1及び前記μ1が式(1)を満たす、電磁波吸収体の製造方法。
    0.005≦σ1/μ1≦0.15・・・(1)
  7. 抵抗層と、誘電体層と、反射層とをこの順に備える積層体の製造方法であって、
    ウェットコーティングにより前記誘電体層を形成する工程を備え、
    前記誘電体層の厚さの標準偏差をσ1とし、前記誘電体層の厚さの平均値をμ1としたとき、前記σ1及び前記μ1が式(1)を満たす、電磁波吸収体の製造方法。
    0.005≦σ1/μ1≦0.15・・・(1)
  8. 請求項1~3のいずれか一項に記載の電磁波吸収体を備える、通信安定空間。
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