JP2023175568A - 不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質シートの製造方法 - Google Patents

不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薄膜化が可能であり、薄膜化しても高い引張強度を有し、さらに高い熱安定性を有する不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質シートの製造方法を提供する。
【解決手段】不織布補強固体電解質シート1は、二層不織布基材10と、固体高分子40と、前記固体高分子40に分散されたリチウム塩50と、を含む。さらに、前記二層不織布基材10は、ポリエチレンテレフタレートのマイクロ繊維22を含むマイクロ繊維層20と、前記マイクロ繊維層20の一方の面に形成され、ポリフッ化ビニリデンのナノ繊維32を含むナノ繊維層30を含んでもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質シートの製造方法に関する。
リチウムイオン電池は、パーソナルコンピューター、スマートフォン、リスト型活動量測定装置、さらにはグリッドエネルギー貯蔵装置や電気自動車などの主要なエネルギー貯蔵装置として、広く採用されている。従来、リチウムイオン電池の電解質として、有機液体電解質が使用されてきたが、有機液体電解質は人体に有害であることから漏洩防止に万全を期す必要がある。また、アノード上におけるデンドライト形成や副反応による短絡という問題もある。そこで、有機液体電解質に代わる電解質として、固体電解質を用いた全固体リチウム電池が検討されている。
固体電解質として、ポリオキシエチレン(POE)等の固体高分子電解質が知られている。固体高分子電解質は、厚くてもろい固体セラミック電解質に比べて、柔軟性が高く、製造が容易で、電極との界面抵抗が小さいという利点がある。特許文献1には、ポリオキシエチレン鎖を有する高分子化合物及びリチウム塩を含んでなる固体高分子電解質とリチウム塩を含む固体高分子電解質が記載されている。
特開2004-178995号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている固体高分子電解質は、厚さが100~1000μmと厚い。リチウムイオン電池に求められる、高い体積エネルギー密度と長いサイクル寿命という要求を満たすためには、薄く、均一な厚さの固体高分子電解質が必要である。しかし、薄く、均一な厚さの固体高分子電解質を製造することは、容易ではない、という課題がある。
固体高分子電解質の厚さを薄くすることにより、機械的特性は損なわれる傾向にある。すなわち、固体高分子電解質を薄くすることにより、固体電解質シートの引張強度は低下し、また、熱安定性も失われることになる。
本発明の目的は、薄膜化が可能であり、薄膜化しても高い引張強度を有し、さらに高い熱安定性を有する不織布補強固体電解質シートを提供すること、及び、そのような不織布補強固体電解質シートの製造方法を提供することである。
[1]本発明の不織布補強固体電解質シートは、二層不織布基材と、固体高分子と、前記固体高分子に分散されたリチウム塩と、を含む。
[2]本発明の不織布補強固体電解質シートにおいては、前記二層不織布基材は、ポリエチレンテレフタレートを含むマイクロ繊維を有するマイクロ繊維層と、前記マイクロ繊維層の一方の面に形成され、ポリフッ化ビニリデンを含むナノ繊維を有するナノ繊維層と、を含むことが好ましい。
[3]本発明の不織布補強固体電解質シートにおいては、前記マイクロ繊維は、異なる融点を有する2種類のポリエステルを含み、前記2種類のポリエステルのうちの少なくとも一つは前記ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
[4]本発明の不織布補強固体電解質シートにおいては、前記マイクロ繊維は、延伸したポリエチレンテレフタレートと延伸していないポリエチレンテレフタレートとを含むマイクロ繊維、及び/又は、芯鞘構造を有するマイクロ繊維であって芯部が前記ポリエチレンテレフタレートを含み鞘部が前記ポリエチレンテレフタレートより融点の低いエステルを含むマイクロ繊維を含む、ことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
[5]本発明の不織布補強固体電解質シートにおいては、前記マイクロ繊維は、1μm~20μmの平均直径を有し、前記ナノ繊維は、50nm~300nmの平均直径を有することが好ましい。
[6]本発明の不織布補強固体電解質シートにおいては、前記二層不織布基材は孔を有し、前記孔の平均孔径は、0.1μm以上3μm未満であることが好ましい。
[7]本発明の不織布補強固体電解質シートにおいては、前記固体高分子は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリシロキサン、デンプン、糖、繊維、ポリビニルアルコール、ポリホスファゼン、及び、ポリスチレンからからなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
[8]本発明の不織布補強固体電解質シートにおいては、前記リチウム塩は、LiTFSI、LiPF、LiN(CFSO)、Li(CFSO)C、LiN(SOCFCF)、及び、LiB(CO)からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
[9]本発明の不織布補強固体電解質シートにおいては、前記固体高分子と前記リチウム塩との質量比が4:1~26:1であることが好ましい。
[10]本発明の不織布補強固体電解質シートの製造方法は、ポリエチレンテレフタレートを含むマイクロ繊維を有するマイクロ繊維層を形成する工程と、前記マイクロ繊維層の一方の面にポリフッ化ビニリデンを含む溶液をエレクトロスピニング法により適用してポリフッ化ビニリデンを含むナノ繊維を有するナノ繊維層を形成して二層不織布基材を得る工程と、前記二層不織布基材のマイクロ繊維層の側からリチウム塩が分散された固体電解質をキャスティングするキャスティング工程と、を含む。
[11]本発明の不織布補強固体電解質シートの製造方法においては、前記固体電解質がキャスティングされた前記二層不織布基材をホットプレスするホットプレス工程をさらに有することが好ましい。
[12]本発明の不織布補強固体電解質シートの製造方法においては、前記ホットプレス工程は、前記二層不織布基材を、80℃~120℃の温度範囲かつ、20MPa~30MPaの圧力範囲で、10秒~120秒間、加圧する工程であることが好ましい。
本発明の不織布補強固体電解質シートによれば、不織布補強固体電解質シートは、二層不織布基材と、固体高分子と、前記固体高分子に分散されたリチウム塩と、を含む。これにより、固体電解質シートを薄膜化することが可能になる。これにより、固体電池の固体電解質シートとして利用したときに、体積エネルギーの高密度化を実現することができる。
さらに、本発明の不織布補強固体電解質シートは、薄膜化した場合であっても、十分な引張強度を有し、高い熱安定性を有する不織布補強固体電解質シートを提供することができる。高い引張強度を有する不織布補強固体電解質シートは、信頼性の高いリチウムイオン電池の製造を容易にし、構造的な故障または損失を防ぐことができる。また、化学的観点からは、不織布補強固体電解質シートの引張強度を高めることにより、酸化還元環境に対する耐性を高めることができるという効果も奏する。不織布補強固体電解質シートの引張強度は、デンドライトの形成を抑制する上でも有効である。
また、本発明の不織布補強固体電解質シートの一態様によれば、二層不織布基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むマイクロ繊維を有するマイクロ繊維層と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むナノ繊維を有するナノ繊維層と、を含むことにより、不織布補強固体電解質シートを薄膜化することができる。さらに、不織布補強固体電解質シートは、二層不織布基材が、ポリエチレンテレフタレートを含むマイクロ繊維を有するマイクロ繊維層を含むので、不織布補強固体電解質シートを薄膜化した場合にあっても、高い引張強度を有し、高い熱安定性を有する不織布補強固体電解質シートを提供することができる。
さらにまた、本発明の不織布補強固体電解質シートの製造方法によれば、上記した本発明の不織布補強固体電解質シートを製造することができる。したがって、本発明の不織布補強固体電解質シートの製造方法によれば、薄膜化が可能であり、薄膜化しても高い引張強度を有し、さらに高い熱安定性を有する不織布補強固体電解質シートの製造方法を提供することができる。
実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を説明するために示す図である。 実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を構成する二層不織布基材10を説明するために示す図である。 実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を構成する二層不織布基材10の分析結果である。 実施形態に係る二層不織布基材10の熱質量分析(TGA)による分析結果を示す図である。 実施形態に係る二層不織布基材10の孔径分布を示す図である。 実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の製造方法を示すフローチャートである。 実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の製造方法において好適に使用することができる電界紡糸装置100を示す模式図である。 固体高分子40のキャスティングにおいて好適に使用することができるキャスティング装置200の模式図である。 実施例1の不織布補強固体電解質シート、及び、参考例の熱安定性試験の結果を示す図である。 実施形態に係る二層不織布基材10の引張強度を示す図である。
以下、本発明に係る不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質シートの製造方法について、説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明に必須であるとは限らない。
1.不織布補強固体電解質シート
1-1.全体構成
図1は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を説明するために示す図である。図1(a)は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の概略図である。図1(b)は、不織布補強固体電解質シート1をマイクロ繊維層20の面から撮影した電子顕微鏡写真であり、図1(c)は、不織布補強固体電解質シート1をナノ繊維層30の面から撮影した電子顕微鏡写真であり、図1(d)は、不織布補強固体電解質シート1の断面の電子顕微鏡写真である。不織布補強固体電解質シート1の表面、及び、断面の観察は、日本電子株式会社(JEOL)の走査型電子顕微鏡(SEM)JSM-60を用いて行った。
不織布補強固体電解質シートは、図1(a)に示すように、二層不織布基材10と、固体高分子40と、固体高分子40に分散されたリチウム塩50とを含む。より具体的には、二層不織布基材10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むマイクロ繊維22を有するマイクロ繊維層20と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むナノ繊維32を有するナノ繊維層30と、を有する
1-2.二層不織布基材
図2は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を構成する二層不織布基材10を説明するために示す図である。図2(a)は、実施形態に係る二層不織布基材10の概略図である。図2(b)は、二層不織布基材10の断面の電子顕微鏡写真である。
二層不織布基材10は、図2(a)に示すように、マイクロ繊維層20と、マイクロ繊維層20の一方の面に形成されたナノ繊維層30とを有する。
1-2-1.マイクロ繊維層
マイクロ繊維層20は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として含むマイクロ繊維22を有する。ここでポリエチレンテレフタレート(PET)とは、エチレングリコールとテレフタル酸との脱水縮合によって得られるポリエステルである。
なお、本明細書において「主成分」とは、対象としてみるもの(繊維等)の重量の半分より多い重量を占める成分のことをいう。また、本明細書において、「ある繊維」について「主に含む」とは、繊維の過半が「ある繊維」であることをいう。
マイクロ繊維22は、異なる融点を有する2種類のポリエステルを含むことが好ましい。マイクロ繊維22が、異なる融点を有する2種類のポリエステルを含む場合、2種類のポリエステルのうちの少なくとも一つはポリエチレンテレフタレート(PET)である。
ポリエステルとは、ポリアルコールと多価カルボン酸とを脱水縮合して得られる高分子である。ポリエステルは、主鎖にエステル結合を有する高分子であれば特に制限なく使用することができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。また、ポリエステルは、変性ポリエステルであってもよい。ポリエステルの例として、ポリエチレングリコール(PEG)、イソフタル酸とテレフタル酸との混合物とエチレングリコールから得られるポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等を例示することができる。
マイクロ繊維22が異なる融点を有する2種類のポリエステルを含む例として、延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)と延伸していないポリエチレンテレフタレート(PET)とを含む場合を挙げることができる。
この場合、延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)の融点は、延伸していないポリエチレンテレフタレート(PET)の融点より高い。これにより、延伸していないポリエチレンテレフタレート(PET)がバインダーとして機能し、マイクロ繊維層20にナノ繊維層20を形成するナノ繊維22を強固に接着させることができる。この結果、不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導性を高めることができる。
また、マイクロ繊維22が異なる融点を有する2種類のポリエステルを含む他の例として、マイクロ繊維22が芯部と鞘部とを有する芯鞘構造を有し、芯部がポリエチレンテレフタレート(PET)であり、鞘部がポリエチレンテレフタレート(PET)より融点の低いアモルファスのポリエステルである場合を挙げることができる。
マイクロ繊維22は、鞘部を構成する融点の低いポリエステルがバインダーとして機能し、マイクロ繊維層20にナノ繊維層20を形成するナノ繊維22を強固に接着させることができる。この結果、不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導性を高めることができる。一方、マイクロ繊維22の芯部はポリエチレンテレフタレート(PET)であることから、不織布補強固体電解質シート1の引張強度を強固なものとすることができる。
マイクロ繊維22の平均直径は、1.0μm~20.0μmの範囲内にあることが好ましく、2.0μm~5.0μmの範囲内にあることがより好ましい。マイクロ繊維22の平均直径が上記数値の下限以上であることにより、マイクロ繊維層20、さらには不織布補強固体電解質シート1の機械的強度を大きくすることができる。また、マイクロ繊維22の平均直径が上記数値の上限以下であることにより、マイクロ繊維層20を薄膜化することができる。
マイクロ繊維22の平均繊維長は、例えば4mmである。
また、マイクロ繊維層20におけるマイクロ繊維22の目付量は、例えば7g/m~60g/mである。
図3は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を構成する二層不織布基材10の分析結果である。図3(a)は、マイクロ繊維層20の表面状態を示す電子顕微鏡写真である。図3(b)は、マイクロ繊維層20に含まれるマイクロ繊維22の直径の分布を示す図である。図3(c)は、ナノ繊維層30の表面状態を示す電子顕微鏡写真である。図3(d)は、ナノ繊維層30に含まれるナノ繊維32の直径の分布を示す図である。
マイクロ繊維層は、図3(a)及び図3(b)に示すように、直径が3.5±0.8μmのマイクロ繊維22が積層していることがわかる。また、マイクロ繊維22とマイクロ繊維22との間には隙間があり、マイクロ繊維22の間に形成された隙間は連結して、実質的に孔を形成する。なお、図3(a)に示す電子顕微鏡写真は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維22の目付量が7g/mのときの電子顕微鏡写真である。
1-2-2.ナノ繊維層
ナノ繊維層30は、マイクロ繊維層20の一方の面に形成される。図2においては、ナノ繊維層30は、図中、マイクロ繊維層20の下に形成されている。
ナノ繊維層30は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むナノ繊維32を有する。ナノ繊維層30は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の繊維の重量がナノ繊維層30の重量の半分以上を占めるものであることが好ましい。ナノ繊維層30は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維32により構成されていることがいっそう好ましい。
ナノ繊維32の平均直径は、50nm~300nmの範囲内であることが好ましく、75nm~145nmの範囲内であることがより好ましい。ナノ繊維32の平均直径が上記数値の上限以下であることにより、高い空隙率を実現することができる。また、ナノ繊維32の平均直径が上記数値の下限以上であることにより、高い生産性を実現しつつ、ナノ繊維層30の強度を確保することができる。
ナノ繊維層30におけるナノ繊維32の目付量は、例えば1g/m~3g/mである。
ナノ繊維32の平均直径は、ナノ繊維32を製造するときの製造条件、具体的には、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)によりナノ繊維32を製造するときに、材料であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)の溶液を吐出させるキャピラリーチップ112(図7参照)の内径を調整することにより、調整可能である。なお、エレクトロスピニング法については、後で説明する。
ナノ繊維層は、図3(c)及び図3(d)に示すように、直径が110.6±31μmのナノ繊維32が積層していることがわかる。また、それぞれのナノ繊維32は相互に連結して三次元繊維構造を示している。ナノ繊維32とナノ繊維32との間には隙間があり、ナノ繊維32の間に形成された隙間は連結して、実質的に孔を形成する。なお、図3(c)に示す電子顕微鏡写真は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維32の目付量が1g/mのときの電子顕微鏡写真である。
二層不織布基材10は、空隙率が60%~70%であることが好ましい。空隙率の数値範囲が、上記数値範囲の下限以上であることにより、不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導度を十分に高くすることが可能となる。また、空隙率の数値範囲が、上記数値範囲の上限以下であることにより、不織布補強固体電解質シート1の機械的強度を高めることができる。
なお、空隙率は、試料をn-ブタノールに室温で10分間浸漬する試験を行うことにより算出することができる。すなわち、空隙率(%)は、空隙率をPとし、Wwを浸漬前の試料の質量とし、Wdを浸漬後の試料の質量とし、ρbをn-ブタノールの密度とし、Vを試料の体積とするとき、P=((Ww-Wd)/ρbV)×100 という式で求めることができる。
ナノ繊維層30は、ナノ繊維32を密に積層することにより、空隙率を高くすることが好ましい。
1-3.固体高分子
固体高分子40としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリエーテルを挙げることができる。固体高分子40は、上記したポリエーテルに加え、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリシロキサン、デンプン、糖、繊維、ポリビニルアルコール、ポリホスファゼン、及び、ポリスチレンを含んでいてもよい。固体高分子40は、架橋されていてもよい。
1-4.リチウム塩
リチウム塩50としては、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド)、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiN(CFSO)(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)、Li(CFSO)C(リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニルメチド)、LiN(SOCFCF)、LiB(CO)、及び、これらの混合物、などを挙げることができる。
固体高分子40とリチウム塩50との質量比は、4:1~26:1であることが好ましい。固体高分子40とリチウム塩50との質量比が上記数値範囲内であることにより、リチウム塩が分散した固体高分子の粘度を適宜なものとすることができ、また不織布補強固体電解質シート1を製造するときのキャスティングなどの後工程において、製造を容易なものとすることができる。
さらに、固体高分子40、及び、リチウム塩50に加え、酸化物、セラミック、硫化物、可塑剤などを含んでいてもよい。上記した酸化物等を含むことにより、不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導度を向上させることができる。
酸化物の例として、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、酸化チタン(TiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、カーボンナノチューブ、カーボン量子ドット、などを挙げることができる。
セラミックの例として、ゼオライト、LiLaZr12(LLZO)、Li6.4LaZr1.4Ta0.612(LLZTO)、などを挙げることができる。
硫化物の例として、Li10GeP12(LGPS)、Li10SnPS12(LSPS)、Li6.25PS5.2510.25、LiS-P)、などを挙げることができる。
可塑物の例として、ポリエチレングリコール、ポリエチレン、などを挙げることができる。
1-5.不織布補強固体電解質シート
図1(b)及び図1(c)からわかるように、不織布補強固体電解質シート1のマイクロ繊維層20側の表面、及び、ナノ繊維層30側の表面は、平滑に形成されている。固体電解質40及びリチウム塩50をキャスティングしたあとの二層不織布基材10に対して、ホットプレスを行い、マイクロ繊維層20側の表面、及び、ナノ繊維層30側の表面の凹凸をなくして平滑にしたことによるものである。マイクロ繊維層20側の表面、及び、ナノ繊維層30側の表面を平滑な表面にすることにより、電極との良好な接触を得ることができる。
不織布補強固体電解質シート1の厚さは、80μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることがさらに好ましい。不織布補強固体電解質シート1の厚さが上記数値範囲以下であることにより、固体電池の体積低減に貢献することができる。なお、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の厚さは、約23μmである。
2.評価、分析
2-1.二層不織布基材の熱質量分析
図4は、実施形態に係る二層不織布基材10の熱質量分析(TGA)による分析結果を示す図である。図4において、グラフの横軸は温度(単位:℃)を、縦軸は重量(単位:%)をそれぞれ示す。熱質量分析には、理学社の熱分析装置 Thermo plus TG 8200を使用した。
二層不織布基材10は、図4に示すように、350℃までは、吸着水の蒸散によるわずかな重量減が認められたのみで、安定であることがわかる。一方、350℃から450の間で、二層不織布基材10の分解による重量減少が起きている。以上の結果より、二層不織布基材10は350℃までの温度においては、構造を安定に維持できることが確認できた。
2-2.二層不織布基材の孔径分布
実施形態に係る二層不織布基材10は、上記したように、マイクロ繊維層20にあっては、マイクロ繊維22とマイクロ繊維22との間に隙間を有し、マイクロ繊維22の間に形成された隙間は連結して実質的に孔を形成する。また、ナノ繊維層30にあっては、ナノ繊維32とナノ繊維32との間に隙間を有し、ナノ繊維32の間に形成された隙間は連結して実質的に孔を形成する。
マイクロ繊維層に形成された孔、及び、ナノ繊維層に形成された孔の孔径は、0.1μm以上3μm未満であることが好ましく、0.2μm以上1μm以下であることがより好ましい。
図5は、実施形態に係る二層不織布基材10の孔径分布を示す図である。図5において、グラフの横軸は孔径(単位:μm)を示し、縦軸は分布(単位:個)を示す。
孔径は1μmより小さく、平均孔径は約0.45μmである。孔径が小さくなった原因は、マイクロ繊維層20側の方の面にナノ繊維層30が形成されたためである。
3.不織布補強固体電解質シートの製造方法
図6は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シートの製造方法を示すフローチャートである。実施形態に係る不織布補強固体電解質シートの製造方法は、図6に示すように、ナノ繊維層形成工程S10と、キャスティング工程S20と、ホットプレス工程S30と、を含む。
ナノ繊維層形成工程S10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含むマイクロ繊維層20の一方の面に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むスピニング溶液を適用することにより、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維32を含むナノ繊維層30を形成する工程である。
マイクロ繊維層20は、上記した不織布補強固体電解質シート1におけるマイクロ繊維層20と同様のものであるため、詳細な説明は省略するが、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含むマイクロ繊維層20は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含む不織布として入手することが可能である。実施形態に係る不織布補強固体電解質シートの製造方法においては、天間特殊製紙株式会社から入手したポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含む不織布を使用した。
ナノ繊維層形成工程S10においては、まず、溶質の主成分としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むスピニング溶液を準備する。
スピニング溶液は、ナノ繊維を形成するための高分子成分としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のみを含むことが好ましい。また、スピニング溶液は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の他に、エレクトロンスピニングを補助するための物質等を含んでいてもよい。例えば、スピニング溶液は、0.05wt%~0.5wt%の過塩素酸テトラブチルアンモニウム(Tetrabutylammonium Perchlorate、TBAP)を含んでいてもよい。
ナノ繊維層形成工程S10においては、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)により、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維32を含むナノ繊維層30を形成することができる。
図7は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の製造方法において好適に使用することができる電界紡糸装置100を示す模式図である。
電界紡糸装置100は、キャピラリーチップ112を取り付けたシリンジ110と、コレクタ120と、電源装置130とを備える。
シリンジ110としては、2mL~10mL、例えば5mLプラスチックシリンジを用いることができる。また、キャピラリーチップ112としては、内径が0.4mm~0.8mm、例えば0.6mmのものを用いることができる。
コレクタ120としては、接地した回転型ドラムコレクタを用いる。紡糸時には、コレクタ120をキッチンペーパー及びアルミ箔で覆うことが好ましい。
電源装置130としては、例えば、松定プレシジョン株式会社のHar-100*12を用いることができる。電源装置130のアノードとシリンジ110内のスピニング溶液との間の電気的接続には、銅線132を好適に用いることができる。
印加電圧及びキャピラリーチップ112とコレクタ120との間の距離(Tip to Corrector Distance:TCD)は、紡糸するナノ繊維ごとに決定することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維を紡糸するときには、印加電圧及びTCDをそれぞれ10kV~20kV、及び、10cm~20cmの範囲で適宜設定することができる。
次のキャスティング工程S20に進む前に、固体高分子40/リチウム塩50のゲルを調製する。固体高分子40/リチウム塩50のゲルは、室温で固体高分子40とリチウム塩50とを溶媒に混合し、均一で安定なゲルを形成するまで攪拌することにより調整する。ゲルを調製するために使用する溶媒として、DMFとアセトンとの混合溶媒(DMF/アセトン=3/1~3/2(v/v))等を例示することができる。
図8は、固体高分子40のキャスティングにおいて好適に使用することができるキャスティング装置200の模式図である。キャスティング工程S20においては、図8に示すように、二層不織布基材10に固体高分子40/リチウム塩50のゲルをキャスティングする。
図8に示すように、二層不織布基材10をガラス基板210の上に置き、調製した固体高分子/リチウム塩ゲルを二層不織布基材10上にキャスティングする。このとき、ナノ繊維層30が下に、マイクロ繊維層20が上になるように二層不織布基材10を配置し、マイクロ繊維層20の面から、固体高分子40/リチウム塩50のゲルをキャスティングすることが好ましい。
キャスティング工程S20において、ナノ繊維層20を二層不織布基材10の下側に配置することで、固体高分子40/リチウム塩50のゲルをポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維22からなるマイクロ繊維層20の孔に貯留することができ、緻密で薄膜化された不織布補強固体電解質シート1を形成することが可能になる。
固体高分子40/リチウム塩50のゲルのキャスティング方法として、スラリーコーティング法やドクターブレード法などが挙げられ、その方法は特に限定されないが、固体高分子40/リチウム塩50ゲルを均一に分布させることができるという点で、ドクターブレード法によることが好ましい。
固体高分子40/リチウム塩50のゲルを、ドクターブレード220を用いて複数回キャスティングすることにより、不織布補強固体電解質シート1の表面を平滑化することができる。また、固体高分子40/リチウム塩50の二層不織布基材10の空隙へ効率よく浸透させ、二層不織布基材10における固体高分子40/リチウム塩50の均一な分布を得ることができる。
固体高分子40/リチウム塩50のゲルをキャスティングした不織布補強固体電解質シート1は、真空オーブンに入れ、60℃で24時間乾燥させる。
ホットプレス工程S30では、乾燥した不織布補強固体電解質シート1のマイクロ繊維層20とナノ繊維層30とを、80℃~120℃の温度範囲で、20MPa~30MPaの圧力範囲で、10秒~120秒間、加圧する。これにより、緻密で薄く、平滑で均一な不織布補強固体電解質シート1を形成することができる。
4.実施例
以下に本発明を実施例により説明する。なお、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。
4-1.試料の調製
4-1-1.実施例1
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維6.9g/mを含むマイクロ繊維層の一方の面に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維2.0g/mを含むナノ繊維層を積層して、二層不織布基材を作成した。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維6.9g/mを含む不織布を準備した。また、3gのポリフッ化ビニリデンを15mlのDMF/アセトン(3/1)の混合溶媒に溶解し、室温で12時間溶解することにより、スピニング溶液を調製した。調製したスピンニグ液は、先端に導電性チップを有するプラスチック製のシリンジに充填した。エレクトロスピニング法によりポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維を、ステンレス製のシリンダー・ローラーに巻き付けたポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含む不織布の表面に堆積させた。導電性チップとシリンダー・ローラーとの距離は15cmとし、導電性チップとシリンダー・ローラーとの間には15kVの電圧を印加した。
次に、固体電解質を構成するポリマー液を準備する。ポリマー液は、1.5gのポリエチレンオキシド(PEO)と0.98gのLiTSFIとを25℃で30mlのアセトニトリルに混合し、均一な溶液になるまで攪拌することにより調整した。二層不織布基材のマイクロ繊維層側からドクターブレードを用いてポリマー液をキャスティングし、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維22を含むマイクロ繊維層を被覆してポリエチレンオキシドのフィルムを形成した。フィルムを60℃で24時間真空乾燥し、溶媒のアセトニトリルを除去した。最後に、フィルムを含む二層不織布基材を、110℃、20MPaで20秒間、ホットプレスして、実施例1の不織布補強固体電解質シートを得た。
4-1-2.実施例2
二層不織布基材のナノ繊維層に含まれるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維の量、及び、ナノ繊維層を形成する際のエレクトロスピニングの条件を表1に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で二層不織布基材を製造した。さらに、二層不織布基材に適用するポリマー液、及び、ホットプレスの条件を表2に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で、実施例2の不織布補強固体電解質シートを得た。
4-1-3.実施例3
二層不織布基材のマイクロ繊維層に含まれるポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維の量、及び、ナノ繊維層を形成する際のエレクトロスピニングの条件を表1に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で二層不織布基材を製造した。さらに、二層不織布基材に適用するポリマー液、及び、ホットプレスの条件を表2に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で、実施例3の不織布補強固体電解質シートを得た。を得た。
Figure 2023175568000002
Figure 2023175568000003
4-2.評価、及び、評価結果
4-2-1.熱安定性試験
実施例1の不織布補強固体電解質シートを使用して、不織布補強固体電解質シートの熱安定性を評価した。実施例1の不織布補強固体電解質シートを直径20mmの円形に切り出し、所定温度に設定したオーブンの中に20分間放置した。参考例として、同じサイズのポリエチレンオキシド(PEO)-LiTFSIからなる固体高分子電解質を準備し、実施例1の不織布補強固体電解質シートと同じ条件で、熱安定性を評価した。
図9は、実施例1の不織布補強固体電解質シート、及び、参考例の固体高分子電解質の熱安定性試験の結果を示す図である。図9(a1)(a2)(a3)(a4)は、RT(熱履歴なし)、160℃、180℃、200℃の恒温槽に20分間放置後の、実施例1の不織布補強固定電解質シートの状態を示す写真である。図9(b1)(b2)(b3)(b4)は、RT(熱履歴なし)、160℃、180℃、200℃の恒温槽に20分間放置後の、参考例の固体高分子電解質の状態を示す写真である。参考例の固体高分子電解質は、図9(b2)に示すように、160℃で収縮し、図9(b3)及び(b4)に示すように、180℃及び200℃において溶融した。一方、実施例1の不織布補強固体電解質シートは、図9(a4)に示すように、200℃においても形状変化は示さなかった。すなわち、実施形態に係る不織布補強固体電解質シートは、従来の固体高分子電解質に比べ、熱安定性が大幅に向上していることがわかる。本発明の不織布補強固体電解質シートは、熱的安定性に優れることから、特に高温で使用したときにショートを抑制することが可能になり、安全に固体電解質シートを使用できることができる。
4-2-2.引張強度分析
実施例2の不織布補強固体電解質シートについて、引張強度を分析した。引張強度試験には、エー・アンド・デイ社の卓上型引張圧縮試験機 Force Tester MCT-2150を使用した。
図10は、本発明の不織布補強電解質シートの引張強度を説明するための図である。図10(a)は、実施例2の不織布補強固体電解質シートの引張強度試験の結果を示す図である。図10(b)は、最近の論文で報告された固体高分子電解質(参考文献1~6)の引張強度を示す図である。
図10(a)において、グラフの横軸はひずみ(単位:%)を示し、縦軸は応力(単位:MPa)を示す。図10(a)に示すように、実施例2の不織布補強固体電解質シートは、引張強度試験において、13.9MPa、ひずみ53%という結果が得られた。本発明の不織布補強固体電解質シートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維22を有することから、機械的性質を犠牲にすることなく、不織布補強固体電解質シート10の薄膜化を実現できることがわかる。
図10(b)は、最近の論文で報告された固体高分子電解質(参考文献1~6)の引張強度を示す図である。実施例2の不織布補強固体電解質シートの引張強度の測定データを一番右に示す。
[参考文献1(Ref.1)] J. Membrane Sci., 2019,589,117250
[参考文献2(Ref.2)] ACS Appl. Mater.Interfaces,2022,14,4,5932-5939
[参考文献3(Ref.3)] J. Power Sources, 2021,484,229287
[参考文献4(Ref.4)] ACS Appl. Mater.Interfaces,2020,12,10,11657-11668
[参考文献5(Ref.5)] J. Membrane Sci.,2021,621,119023
[参考文献6(Ref.6)] J. Mater. Chem.A, 2021,9,26939-26948
論文で報告された固体高分子電解質においては、引張強度は最も大きいもので6MPa程度である。一方、実施例2の不織布補強固体電解質シートの引張強度は13.9MPaである。論文で報告された固体高分子電解質に比べ、引張強度が優れていることがわかる。
4-2-3.イオン伝導度評価
実施例3の不織布補強固体電解質シートについて、対称型ステンレス製セルを作成し、イオン伝導度を評価した。イオン伝導度は、Metrohm電気化学ワークステーションで測定し、各温度のイオン伝導度を計算した。イオン伝導度σは、Lを不織布補強固体電解質シートの厚さ、Rを固有抵抗、Sを面積とするとき、σ=L/RS により求めることができる。結果を表3に示した。
Figure 2023175568000004
表3に示すように、実施例3の不織布補強固体電解質シートの30℃におけるイオン伝導度は、1.05×10-5Scm-1である。純粋なポリエチレンオキシド(PEO)のイオン伝導度は1.00×10-6Scm-1程度であることから、本発明の不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導度は非常に高いことがわかる。
1…不織布補強固体電解質シート,10…二層不織布基材,20…マイクロ繊維層,22…マイクロ繊維,30…ナノ繊維層,32…ナノ繊維,40…固体高分子,50…リチウム塩,100…電界紡糸装置,110…シリンジ,112…キャピラリーチップ,120…コレクタ,130…電源装置,200…キャスティング装置,210…ガラス基板,220…ドクターブレード

Claims (12)

  1. 二層不織布基材と、固体高分子と、前記固体高分子に分散されたリチウム塩と、を含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
  2. 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、
    前記二層不織布基材は、ポリエチレンテレフタレートを含むマイクロ繊維を有するマイクロ繊維層と、前記マイクロ繊維層の一方の面に形成され、ポリフッ化ビニリデンを含むナノ繊維を有するナノ繊維層と、を含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
  3. 請求項2に記載の不織布補強固体電解質シートであって、
    前記マイクロ繊維は、異なる融点を有する2種類のポリエステルを含み、前記2種類のポリエステルのうちの少なくとも一つは前記ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
  4. 請求項2又は3に記載の不織布補強固体電解質シートであって、
    前記マイクロ繊維は、延伸したポリエチレンテレフタレートと延伸していないポリエチレンテレフタレートとを含むマイクロ繊維、及び/又は、芯鞘構造を有するマイクロ繊維であって芯部が前記ポリエチレンテレフタレートを含み鞘部が前記ポリエチレンテレフタレートより融点の低いエステルを含むマイクロ繊維を含む、ことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
  5. 請求項2に記載の不織布補強固体電解質シートであって、
    前記マイクロ繊維は、1μm~20μmの平均直径を有し、前記ナノ繊維は、50nm~300nmの平均直径を有することを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
  6. 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、
    前記二層不織布基材は孔を有し、前記孔の平均孔径は、0.1μm以上3μm未満であることを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
  7. 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、
    前記固体高分子は、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリシロキサン、デンプン、糖、繊維、ポリビニルアルコール、ポリホスファゼン、及び、ポリスチレンからからなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
  8. 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、
    前記リチウム塩は、LiTFSI、LiPF、LiN(CFSO)、Li(CFSO)C、LiN(SOCFCF)、及び、LiB(CO)からなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
  9. 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、
    前記固体高分子と前記リチウム塩との質量比が4:1~26:1であることを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
  10. ポリエチレンテレフタレートを含むマイクロ繊維を有するマイクロ繊維層を形成する工程と、
    前記マイクロ繊維層の一方の面にポリフッ化ビニリデンを含む溶液をエレクトロスピニング法により適用してポリフッ化ビニリデンを含むナノ繊維を有するナノ繊維層を形成して二層不織布基材を得る工程と、前記二層不織布基材のマイクロ繊維層の側からリチウム塩が分散された固体電解質をキャスティングするキャスティング工程と、
    を含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シートの製造方法。
  11. 請求項10に記載の不織布補強固体電解質シートの製造方法であって、
    前記固体電解質がキャスティングされた前記二層不織布基材をホットプレスするホットプレス工程をさらに有することを特徴とする、不織布補強固体電解質シートの製造方法。
  12. 請求項11に記載の不織布補強固体電解質シートの製造方法であって、
    前記ホットプレス工程は、前記二層不織布基材を、80℃~120℃の温度範囲、かつ20MPa~30MPaの圧力範囲で、10秒~120秒間、加圧する工程であることを特徴とする、不織布補強固体電解質シートの製造方法。
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