JP2023172847A - コンデンサ用誘電体フィルム、コンデンサ用金属化フィルム、及びコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用誘電体フィルム、コンデンサ用金属化フィルム、及びコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境における漏れ電流が低減された、コンデンサ用誘電体フィルムを提供する。【解決手段】少なくとも、主成分として、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂と、副成分として、1質量%以上8質量%以下のオレフィン系樹脂と、を含む、コンデンサ用誘電体フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、コンデンサ用誘電体フィルム、コンデンサ用金属化フィルム、及びコンデンサに関する。
従来、電子機器、電気機器などにおいて、例えば高電圧コンデンサ、各種スイッチング電源、コンバータ及びインバータ等のフィルタ用コンデンサ及び平滑用コンデンサ等として、樹脂フィルムを利用したコンデンサが使用されている。このようなコンデンサにおいては、樹脂フィルムはコンデンサ用誘電体フィルムとして、例えば、(i)当該誘電体フィルム上に、例えば、金属蒸着、スパッタリング等の真空めっき、または金属含有ペーストの塗工・乾燥、金属箔や金属粉の圧着等の方法で、金属層等の導電層を設けた所謂「金属化フィルム」とする方法、(ii)金属層等の導電層を設けない当該誘電体フィルムと、金属箔または(i)と同様の方法等で金属層を設けた金属化フィルム等の他の導電体を積層すること、等の方法でコンデンサを構成している。コンデンサ用誘電体フィルムは、近年需要が高まっている電気自動車及びハイブリッド自動車等の駆動モーターを制御するインバータ電源機器用コンデンサとしても利用されている。
上記の用途において、例えば自動車用として用いられるコンデンサなどは、高温環境で使用されるため、コンデンサ用誘電体フィルムとしては、高温環境においても高い絶縁破壊強さを有するものが求められる。さらに近年、自動車用としての要求温度は以前よりも上昇しており、要求温度は120℃を超え、150℃に達する場合もある。
例えば、特許文献1には、高い耐熱性を有する芳香族ポリエーテルスルホン樹脂を主成分とするフィルムを誘電性薄膜として使用したプラスチックフィルムコンデンサが開示されている。
特開昭60-68505号公報
一般に、高分子樹脂の絶縁破壊強さには温度依存性があり、試験の温度条件が高くなると、絶縁破壊強さは低下傾向を示す。従って、前記の通り、高温環境で使用されるコンデンサには、高温環境において高い絶縁破壊強さを有するコンデンサ用誘電体フィルムが求められる。
従来、コンデンサ用誘電体フィルムの絶縁破壊強さ(耐電圧性)が高ければ、コンデンサに加工した後でも同様に高電位傾度下で使用できると考えられてきた。しかしながら、誘電体フィルムから予想される耐電圧性とコンデンサ素子に加工した後の耐電圧性は必ずしも一致せず、数百V/μmといった高電位傾度下ではコンデンサ素子が熱暴走(発煙・発火)する場合がある。
高分子樹脂から製造される誘電体フィルムは、一般に温度が高くなるほど電気絶縁性が低下し、漏れ電流が大きくなることが知られている。すなわち、漏れ電流の大きい誘電体フィルムは自己発熱量(電圧と電流の乗算)が大きいため、雰囲気温度に対して自己発熱に起因する温度上昇が大きくなり、電気絶縁性の低下が漏れ電流の増加を招き更に発熱する悪循環に陥ることで、コンデンサの熱暴走(発煙・発火)の可能性が高まる。
このようなコンデンサの熱暴走を回避するため、高温環境ではコンデンサへの印加電圧をディレーティングして漏れ電流(発熱)を抑制する、コンデンサを強制冷却する補助機構を設けるなどの発熱対策が必要とされている。その他、周波数、時間、雰囲気温度のディレーティングが必要になる場合もある。
また、誘電体フィルムの種類によって、高い電位傾度下では電気絶縁性がオームの法則から外れる現象を起こし、オームの法則で示される電圧と電流の比例関係(一定の抵抗値、つまり一定の電気絶縁性)を外れ、電流は電圧の二乗に比例する領域に移行する。つまり、低い電位傾度下で評価した電気絶縁性からは、高電位傾度下での電気絶縁性は推測できない。さらに、電気絶縁性を評価する手法としては、体積抵抗率が挙げられるが、電位傾度が数十V/μm程度での測定に留まる事例が多く、前述の理由により数百V/μmといった高電位傾度下での電気絶縁性を推測する手法としては不十分である。
このような状況下、本発明は、高温環境における漏れ電流が低減された、コンデンサ用誘電体フィルムを提供することを主な目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂を主成分とし、所定量のオレフィン系樹脂を副成分として配合したコンデンサ用誘電体フィルムは、高温環境における漏れ電流が低減されることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
すなわち、本発明には、以下のものが含まれる。
項1. 少なくとも、主成分として、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂と、副成分として、1質量%以上8質量%以下のオレフィン系樹脂と、を含む、コンデンサ用誘電体フィルム。
項2. 厚みが、1μm以上9μm以下である、項1に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
項3. 150℃環境での絶縁破壊強さが、300VDC/μm以上である、項1又は2に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
項4. 面粗さSaが、0.004μm以上0.020μm以下である、項1~3のいずれか1項に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
項5. 前記主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂が、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルイミド及びポリアミドイミドからなる群より選択される少なくとも1種である、項1~4のいずれか1項に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
項6. 前記主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂が、ポリスルホンである、項1~5のいずれか1項に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
項7. 前記オレフィン系樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー及びシクロオレフィンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種である、項1~6のいずれか1項に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
項8. 前記オレフィン系樹脂が、ポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一方である、項1~7のいずれか1項に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
項9. 項1~8のいずれか1項に記載のコンデンサ用誘電体フィルムの片面又は両面に金属膜を有する、コンデンサ用金属化フィルム。
項10. 項1~9のいずれか1項に記載のコンデンサ用誘電体フィルムを含む、コンデンサ。
本発明によれば、高温環境における漏れ電流が低減された、コンデンサ用誘電体フィルムを提供することができる。本発明のコンデンサ用誘電体フィルムは、高温環境における漏れ電流が低減されていることから、高温環境において高い絶縁破壊強さを有し得る。また、本発明によれば、当該コンデンサ用誘電体フィルムを利用したコンデンサ用金属化フィルム、及びコンデンサを提供することもできる。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、少なくとも、主成分として、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂と、副成分として、1質量%以上8質量%以下のオレフィン系樹脂とを含むことを特徴としている。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、このような構成を備えていることにより、高温環境における漏れ電流が低減されている。本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、高温環境における漏れ電流が低減されていることから、高温環境における高い絶縁破壊強さ(例えば、120℃環境での絶縁破壊強さが300VDC/μm以上、さらには150℃環境での絶縁破壊強さが300VDC/μm以上)を備えることができ、高温環境で使用されるコンデンサに好適に用いることができる。
以下、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルム、当該コンデンサ用誘電体フィルムを利用した、コンデンサ用金属化フィルム、及びコンデンサについて詳述する。なお、本明細書において、数値範囲の「~」とは、以上と以下とを意味する。即ち、α~βという表記は、α以上β以下、或いは、β以上α以下を意味し、範囲としてα及びβを含む。また、本明細書において、各成分の含有率を示す「質量%」は、断りがない限りコンデンサ用誘電体フィルムを100質量%とした場合の含有量の割合を示す。
また、本開示のコンデンサ用誘電体フィルムにおいて、「主成分」とは、コンデンサ用誘電体フィルムに含まれる成分のうち、最も含有量が多い成分を意味しており、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂が主成分である。また、コンデンサ用誘電体フィルムにおいて、「副成分」とは、コンデンサ用誘電体フィルムに含まれる成分のうち、主成分以外の成分である。
1.コンデンサ用誘電体フィルム
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、少なくとも、主成分として、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂と、副成分として、1質量%以上8質量%以下のオレフィン系樹脂とを含む。
なお、本実施形態において、「非晶性熱可塑性樹脂」とは、示差走査熱量計(DSC)を用いた測定において、ガラス転移温度(Tg)を有するが、明確な溶解に伴う吸熱ピーク(融点)を有しない樹脂である。主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルイミド及びポリアミドイミド等が挙げられる。コンデンサ用誘電体フィルムに含まれる当該非晶性熱可塑性樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
当該非晶性熱可塑性樹脂は、比較的高い比誘電率により電荷を蓄える性能を高め易い観点から、主鎖に式:-[O-Ph-SO2-Ph]-で表される構造単位を有する非晶性熱可塑性樹脂が好ましい。
なお、式:-[O-Ph-SO2-Ph]-は、化学式(構造式)で以下のように表記される。
Figure 2023172847000001
非晶性熱可塑性樹脂の特に好ましい具体例としては、上記構造単位を有するポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン)が挙げられる。
ポリスルホン系樹脂としては、特に制限されず、公知のものを使用することができ、市販品を使用することもできる。ポリスルホンの市販品としては、例えば、BASF社製の商品名ウルトラゾーン(登録商標)(例えば、ウルトラゾーン(登録商標)S6010、ウルトラゾーン(登録商標)S3010、ウルトラゾーン(登録商標)S2010)、Solvey社製の商品名ユーデル(登録商標)(例えば、ユーデル(登録商標)P-1700、ユーデル(登録商標)P-3500LCD)などが挙げられる。ポリエーテルスルホンの市販品としては、例えば、BASF社製の商品名ウルトラゾーン(登録商標)(例えば、ウルトラゾーン(登録商標)E3010、ウルトラゾーン(登録商標)E2010)、Solvey社製の商品名ベラデル(登録商標)(例えば、ベラデル(登録商標)3200、ベラデル(登録商標)3300PREM、ベラデル(登録商標)A-301)などが挙げられる。ポリフェニルスルホンの市販品としては、例えば、BASF社製の商品名ウルトラゾーン(登録商標)(例えば、ウルトラゾーン(登録商標)P3010、ウルトラゾーン(登録商標)P2010)、Solvey社製の商品名レーデル(登録商標)(例えば、レーデル(登録商標)R-5100、レーデル(登録商標)R-5500)などが挙げられる。
ポリスルホン系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、例えば170~230℃、好ましくは175~225℃、より好ましくは180~200℃、さらに好ましくは185~195℃が挙げられる。また、ポリスルホンの質量(重量)平均分子量としては、特に制限されないが、例えば3万~10万程度、好ましくは3.5万~8万程度が挙げられる。
なお、本実施形態において、樹脂の質量(重量)平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)装置を用いて測定することができる。
ポリカーボネートとしては、特に制限されず、公知のものを使用することができ、市販品を使用することもできる。ポリカーボネートの市販品としては、例えば、帝人株式会社製の商品名パンライト(登録商標)(例えば、パンライト(登録商標)K-1300Y)、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製の商品名ユーピロン(登録商標)(例えば、ユーピロン(登録商標)E-2000)、ノバレックス(登録商標)(例えば、ノバレックス(登録商標)7030R)などが挙げられる。
ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)としては、130℃以上200℃未満の範囲にあればよいが、好ましくは140~165℃、より好ましくは145~160℃、さらに好ましくは145~155℃が挙げられる。また、ポリカーボネートの重量平均分子量としては、特に制限されないが、例えば1万~6万程度、好ましくは2万~4万程度が挙げられる。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムにおいて、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂の含有率は、主成分として含まればよいが、例えば好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90.5質量%以上、とくに好ましくは91.5質量%以上、もっとも好ましくは93質量%以上である。一方、例えば好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは97質量%以下である。好ましい範囲としては、60~99質量%程度、60~98質量%程度、60~97質量%程度、70~99質量%程度、70~98質量%程度、70~97質量%程度、80~99質量%程度、80~98質量%程度、80~97質量%程度、90.5~99質量%程度、90.5~98質量%程度、90.5~97質量%程度、91.5~99質量%程度、91.5~98質量%程度、91.5~97質量%程度、93~99質量%程度、93~98質量%程度、93~97質量%程度などが挙げられる。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、オレフィン系樹脂をさらに含む。オレフィン系樹脂は、副成分であり、1質量%以上8質量%以下の範囲で含まれる。本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、前記の主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂を主成分とし、さらに、オレフィン系樹脂を1~8質量%含むことにより、高温環境における漏れ電流が低減されるという効果を発揮する。
オレフィン系樹脂としては、高温環境における漏れ電流を好適に低減する観点から、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー及びシクロオレフィンコポリマー等が挙げられ、より好ましくはポリプロピレン、ポリエチレンである。コンデンサ用誘電体フィルムに含まれるオレフィン系樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
オレフィン系樹脂として好ましい特性は、例えば、以下の通りである。
(1)ポリプロピレン
例えば不純物が少ないことが好ましい。不純物の指標としての灰分が100ppm以下が好ましく、60ppm以下がさらに好ましく、20ppm以下が特に好ましい。灰分の下限値は0ppm、10ppm以上、15ppm以上などである。灰分が少ない製品として、例えばプライムポリマー社製:商品名F135A、Borealis AG(本社:オーストリア)社製:商品名Borclean(登録商標)HC300BF、HC318BFが挙げられる。不純物の指標としての全塩素量が10ppm以下が好ましく、5ppm以下がさらに好ましく、1ppm以下が特に好ましい。全塩素量の下限値は0ppm、0.3ppm以上、0.5ppm以上などである。全塩素量が少ない製品として、例えばプライムポリマー社製:商品名F135A、Borealis AG(本社:オーストリア)社製:商品名Borclean(登録商標)HC300BF、HC318BFが挙げられる。また、例えばMFR(230℃、2.16kg)が小さいことも好ましい。MFRに特に制約はないが、6g/10min以下、3g/10min以下、1g/10min以下である。MFRが小さい製品として、例えば日本ポリプロ株式会社製ノバテック(登録商標)PP EA9HDが挙げられる。
(2)ポリエチレン
例えばMFR(190℃、2.16kg)が小さいことも好ましい。MFRに特に制約はないが、6g/10min以下、3g/10min以下、1g/10min以下である。MFRが小さい製品として、例えばプライムポリマー社製Hi-zex(登録商標)7000Fが挙げられる。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムにおいて、オレフィン系樹脂の含有率は、好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上である。一方、好ましくは7.5質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは6.5質量%以下である。好ましい範囲としては、1.5~7.5質量%程度、1.5~7.0質量%程度、1.5~6.5質量%程度、2.0~7.5質量%程度、2.0~7.0質量%程度、2.0~6.5質量%程度、3.0~7.5質量%程度、3.0~7.0質量%程度、3.0~6.5質量%程度などが挙げられる。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、本発明の効果を阻害しなければ、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂及びオレフィン系樹脂とは異なる他の樹脂を含んでいてもよい。このような他の樹脂としては、これらとは異なる熱可塑性樹脂が好ましい。
他の樹脂としての非晶性熱可塑性樹脂の具体例としては、非晶性ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性非晶性ポリイミド等が挙げられる。
また、他の樹脂としての結晶性熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、液晶ポリマー、熱可塑性結晶性ポリイミド、フッ素樹脂などが挙げられる。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムに他の樹脂が含まれる場合、その含有率としては、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下が挙げられる。コンデンサ用誘電体フィルムに含まれる他の樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
本実施形態の係るコンデンサ用誘電体フィルムは、単層であって複層であってもよいが、好ましく単層である。
本実施形態の係るコンデンサ用誘電体フィルムには、アンチブロッキング剤が含まれていてもよいし、実質的に含まれていなくてもよい。コンデンサ用誘電体フィルムにアンチブロッキング剤が含まれる場合、アンチブロッキング剤の含有率は、例えば好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。一方、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、さらに好ましくは0.7質量%以下である。好ましい範囲としては、0.3~1.5質量%程度、0.3~1.1質量%程度、0.3~0.7質量%程度、0.5~1.5質量%程度、0.5~1.1質量%程度、0.5~0.7質量%程度などが挙げられる。また、コンデンサ用誘電体フィルムにアンチブロッキング剤が実質的に含まれない場合、アンチブロッキング剤の含有率としては、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。
アンチブロッキング剤の平均粒子径は、例えば0.1~5μm程度、好ましくは0.5~2.5μm程度、さらに好ましくは0.7~1.5μmである。本実施形態の係るコンデンサ用誘電体フィルムにアンチブロッキング剤が含まれる場合、アンチブロッキング剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、市販品を使用することもできる。シリカとしては、合成非晶質シリカが、好ましい粒子径のものが得られ易く好ましい。シリカの形状としては、特に制限されず、例えば、単粒子からなる球状シリカ、複数の1次粒子から2次粒子や3次粒子を形成する不定形シリカなどであってよいが、単粒子からなる球状シリカが好ましい。合成非晶質シリカに含まれる合成時の不純物(例えば低級アルコール)は耐電圧性に悪影響を及ぼすことがあるため、焼成処理により不純物の含有量を低減しておくことが好ましい。炭酸カルシウムとしては、軽質炭酸カルシウムが、好ましい粒子径のものが得られ易く好ましい。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの厚みとしては、例えば15μm以下であり、コンデンサの体積を小さくし、かつ、静電容量を高める観点から、好ましくは12μm以下、より好ましくは9μm以下、さらに好ましくは8μm以下、さらに好ましくは5μm以下が挙げられる。絶縁破壊強さ(VDC)や巻取適性をより高める観点から、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの厚みの下限としては、例えば1μm以上、好ましくは1.8μm以上、より好ましくは2.0μm以上が挙げられる。
誘電体フィルムの厚み、コンデンサの体積、および静電容量の関係について、以下に詳細に説明する。誘電体フィルムは、厚さが薄いほど、単位体積当たりの静電容量を大きくできる。より具体的に説明すると、平板コンデンサの静電容量Cは、誘電率ε、電極面積S、誘電体厚さd(コンデンサ用誘電体フィルムの厚さd)を用いて、以下のように表される。
C=εS/d
ここで、フィルムコンデンサの場合、電極の厚さは、誘電体フィルムの厚さと比較して3桁以上薄いため、電極の体積を無視すると、コンデンサの体積Vは、以下のように表される。
V=Sd
従って、上記2つの式より、単位体積当たりの静電容量C/Vは、以下のように表される。
C/V=ε/d2
ここで誘電率εは使用する材料により決まる。そうすると材料を変更しない限りは、上記式から分かるように、単位体積当たりの静電容量(C/V)は、コンデンサ用誘電体フィルム厚さを薄くすると、その二乗に反比例して単位体積当たりの静電容量(C/V)が向上することが分かる。
上記説明は、理解を容易にするために理想化している。つまり実際には、例えばフィルム間にわずかな空隙が存在する場合があることや、電極端でのフリンジ効果の影響があること、また捲回型コンデンサであること等により、面積に応じて単位体積当たりの静電容量(C/V)の値に変化が見られる。しかしながら一般的には、単位体積当たりの静電容量(C/V)は、誘電体フィルム厚さによって決まるということが理解できる。
以上より、前記誘電体フィルムの厚さは、高温環境における漏れ電流が低減される範囲内で、なるべく薄くすることが好ましい。
コンデンサ用誘電体フィルムの厚みは、外側マイクロメータ(株式会社ミツトヨ製 高精度デジマチックマイクロメータ MDH-25MB)を用いて、JIS K 7130:1999 A法に準拠して測定される値である。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの高温環境における漏れ電流としては、以下の漏れ電流の低減評価において、下記式(A)の関係を満たすことが好ましい。下記式(A)の関係を満たすことにより、コンデンサ用誘電体フィルムの高温環境(150℃環境)における漏れ電流が好適に低減されていると評価することができる。
<漏れ電流の低減評価>
150℃雰囲気下でのコンデンサ用誘電体フィルムの絶縁破壊試験を、試験開始電圧0V、昇圧速度を100V/s、電流値が5mA以上となった時点を絶縁破壊時とした。試験開始から試験時間と漏れ電流値を0.1秒間隔で記録し、絶縁破壊を起こす直前の時間(t)、絶縁破壊の直前に計測された電流値(I)、試験に要した時間のうち80%経過時点の試験経過時間(t80)、試験経過時間(t80)の時点での漏洩電流値(I80)が、下記式(A)の関係を満たす。
式(A):|I-I80%|/(t-t80%)≦1
また、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの120℃環境での絶縁破壊強さとしては、高温環境における絶縁破壊強さの観点から、好ましくは300VDC/μm以上、310VDC/μm以上、より好ましくは350VDC/μm以上、さらに380VDC/μm以上、さらに400VDC/μm以上、特に420VDC/μm以上が挙げられる。なお、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの120℃環境での絶縁破壊強さの上限に制限は無いがとしては、例えば600VDC/μmが挙げられる。120℃環境での絶縁破壊強さは、以下の測定方法によって測定される値である。
(120℃及び150℃環境での絶縁破壊強さ)
JIS C2151:2006の17.2.2(平板電極法)に準じた測定装置を用意する。ただし下部電極として、JIS C2151:2006の17.2.2に記載の弾性体の替わりに導電ゴム(星和電機株式会社製E12S10)を電極として用い、アルミニウム箔の巻き付けは行わないものとする。測定環境は設定温度120℃の強制循環式オーブン内とし、電極およびフィルムは同オーブン内で30分調温した後に使用する。電圧上昇は0Vから開始して100V/秒の速度とし、電流値が5mAを超えた時を破壊時とする。絶縁破壊電圧測定回数は20回とし、絶縁破壊電圧値VDCを、フィルムの厚み(μm)で割り、その20回の計算結果中の上位2点および下位2点を除いた16点の平均値を、絶縁破壊強さ(VDC/μm)とする。
また、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの150℃環境での絶縁破壊強さとしては、高温環境における絶縁破壊強さの観点から、好ましくは300VDC/μm以上、310VDC/μm以上、より好ましくは350VDC/μm以上、さらに380VDC/μm以上、さらに400VDC/μm以上、特に420VDC/μm以上が挙げられる。なお、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの150℃環境での絶縁破壊強さの上限に制限は無いがとしては、例えば600VDC/μmが挙げられる。150℃環境での絶縁破壊強さは、測定環境を設定温度150℃の強制循環式オーブン内としたこと以外は、120℃環境での絶縁破壊強さと同様にして実施、算出する。
なお、120℃環境と150℃環境とでは、同じ「高温」環境とはいえ、通常、絶縁破壊強さに関する負荷が大きく異なる。本発明によれば、150℃という負荷が大きい環境下でも、より高い絶縁破壊強さを発揮及び/又は維持することができる。
また、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの23℃環境での絶縁破壊強さとしては、好ましくは300VDC/μm以上、310VDC/μm以上、より好ましくは350VDC/μm以上、さらに380VDC/μm以上、さらに400VDC/μm以上、特に420VDC/μm以上が挙げられる。なお、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの23℃環境での絶縁破壊強さの上限に制限は無いが、例えば650VDC/μmが挙げられる。23℃環境での絶縁破壊強さは、120℃と同様の測定を、設定温度120℃の強制循環式オーブン内ではなく、乾燥空気で満たした23℃、相対湿度0%のグローブボックス内にて実施して算出する。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの面粗さSaは、0.004~0.020μm、好ましくは0.006~0.018μm、より好ましくは0.008~0.016μmである。面粗さSaの測定法は、実施例の記載による。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。コンデンサ用誘電体フィルムが延伸フィルムである場合、一軸延伸フィルムであってもよいし、二軸延伸フィルムであってもよい。
前記の通り、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、単層であってもよいし、複層であってもよい。単層であるとフィルム厚みを薄くし易く好ましい。
また、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、アルミニウム箔などの金属箔や、他のコンデンサ用誘電体フィルムなどによって形成された基材の上に積層された状態であってもよいが、好ましくは基材の上に形成されておらず、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルム単体として製造(好ましくは、製膜後、単独で巻芯に巻き取り、巻取体とする)し、後述するコンデンサ用金属化フィルムやコンデンサの製造に供されることが好ましい。
本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、本発明の効果を阻害しないことを限度として、特に制限されず、公知のコンデンサ用誘電体フィルムに配合されている添加剤を使用することができる。添加剤には、例えば、酸化防止剤、塩素吸収剤や等の必要な安定剤、滑剤(前述のシリカ、炭酸カルシウムなどのアンチブロッキング剤とは異なるもの)、可塑剤、難燃化剤、着色剤等が含まれる。本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、そのような添加剤を、本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムに悪影響を与えない量で含むことができる。なお、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムは、シリコーン樹脂等の球状架橋高分子樹脂粒子は使用しないことが好ましい。
「酸化防止剤」は、本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムを得ることができる限り、特に制限されることはない。酸化防止剤は、一般的に2種類の目的で使用される。一つの目的は、押出機内での熱劣化及び酸化劣化を抑制することであり、他の目的は、コンデンサフィルムとしての長期使用における劣化抑制及びコンデンサ性能向上に寄与することである。
「塩素吸収剤」は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されることはない。塩素吸収剤を使用すると、重合触媒等に由来して樹脂に微量含有される塩素を補足し、後述の金属蒸着膜の塩素化を抑制してコンデンサの性能を高めやすい。塩素吸収剤として、例えば、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸等を例示できる。
「滑剤」は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。滑剤として、例えば、第一級アミド(ステアリン酸アミド等)、第二級アミド(N-ステアリルステアリン酸アミド等)、エチレンビスアミド(N,N’-エチレンビスステアリン酸アミド等)、ポリエチレンワックス等の各種ワックス類等を例示できる。
「可塑剤」は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。可塑剤として、例えば、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)等を例示できる。
「難燃化剤」は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。難燃化剤として、例えば、ハロゲン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸塩、ボレート、アンチモン酸化物等を例示できる。
「着色剤」は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。着色剤として、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、タルク、クロム化合物、硫化亜鉛等の無機着色剤や、アゾ系、キナクリドン系、フタロシアニン系等の有機着色剤が例示できる。
本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムは、高温環境における漏れ電流が低減されていることから、高温環境で使用され、小型、さらには、高容量(例えば、5μF以上、好ましくは10μF以上、さらに好ましくは20μF以上)のコンデンサに極めて好適に使用することができる。
本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムは、少なくとも、主成分として、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂と、副成分として、1質量%以上8質量%以下のオレフィン系樹脂とを含む樹脂組成物を、フィルム状に成形することによって製造することができる。
主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂及びオレフィン系樹脂の詳細については、それぞれ、前述の通りである。
また、樹脂組成物を、フィルム状に成形する方法としても、特に制限されず、公知のフィルム成形方法を採用することができる。例えば、押出機へ供給した樹脂組成物を、加熱により溶融状態とし、フィルタでろ過した後、Tダイを用いてフィルム状に押出し、所定の表面温度に設定したロールに接触固化させて成形する方法が挙げられる。フィルム状に成形した後、巻芯の周囲に巻き取ることにより、本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムは、巻取体(フィルムロール)とすることができる。
樹脂組成物を混合する方法としては、特に制限はないが、樹脂組成物のペレットを、ミキサー等を用いてドライブレンドする方法や、樹脂組成物のペレットを、混練機に供給し、溶融混練してブレンド樹脂を得る方法などがあるが、いずれでも構わない。
ミキサーや混練機にも特に制限は無く、また、混練機も、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプあるいは、それ以上の多軸スクリュータイプの何れでも良く、さらに、2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のどちらの混練タイプでも構わない。
溶融混練によるブレンドの場合は、良好な混練さえ得られれば、混練温度にも特に制限はないが、一般的には、230~400℃、好ましくは、280~380℃、より好ましくは290~350℃の範囲である。樹脂の混練混合の際の劣化を抑制するため、混練機に窒素などの不活性ガスをパージしても構わない。
樹脂組成物を溶融状態としてフィルム状に成形する際の押出温度や、冷却ロールの表面温度は、適宜調整する。押出温度としては、例えば230~400℃、好ましくは280~380℃、より好ましくは290~350℃程度が挙げられる。また、冷却ロールの表面温度としては、例えば80~230℃、好ましくは120~190℃、より好ましくは130~170℃程度が挙げられる。
以下に、樹脂ペレットの事前準備と押出機への樹脂ペレットの供給について、具体例を示す。
(樹脂ペレットの事前準備)
樹脂ペレット中の主成分の含水率は0.02%以下、望ましくは0.01%以下、さらに望ましくは0.005%以下に調節することが望ましい。含水率の下限値は0%である。含水率が0.02%を超えると、Tダイから吐出された溶融樹脂が僅かな発泡を起こし易くなり、Tダイ出口に微細な樹脂飛沫が付着する。樹脂飛沫の堆積が続くと、堆積物がTダイ出口から吐出された溶融樹脂と接触して製膜安定性を阻害することがある。主成分の含水率の調節は、樹脂ペレット乾燥機で130~150℃、3~5時間の乾燥処理を行うことで達成できる。樹脂ペレット乾燥機内には乾燥空気を循環させることが一般に行われるが、酸化劣化を抑制するために乾燥した不活性ガス(例えば窒素ガス)を循環させても良い。また、樹脂ペレット乾燥機で乾燥するのは主成分のみでも構わないし、事前に所望の比率で副成分を混合しても構わない。乾燥を終えた樹脂ペレットを押出機へ移送する経路は、外気を遮断した密閉系であることが好ましい。経路が開放系であると、外気に暴露された際に空気中の水分により吸湿を起こし含水率が高くなることがある。樹脂ペレット移送する手段は、事前に水分を除去した乾燥空気による風送が好ましく、乾燥した不活性ガスによる風送がより好ましい。
(押出機への樹脂ペレット供給)
樹脂ペレットは、樹脂ペレット乾燥機から押出機へ移送するまでの間に貯留設備を設けて一時貯留することもできる。貯留設備の内部は、乾燥空気で満たされていることが好ましく、乾燥した不活性ガスで満たされていることがより好ましい。また、ヒーターなどで貯留設備内部を加温しても良い。樹脂ペレット同士がぶつかることで発生する樹脂粉を少なくできるため、加温して樹脂ペレットを軟化させることが好ましい。貯留設備内部の温度は50~150℃、好ましくは60~140℃、より好ましくは70~130℃である。貯留設備は押出機に接続したペレットホッパーであっても良い。
樹脂ペレットの熱劣化および酸化劣化を抑制することで、連続製膜性を向上させることができる。溶融樹脂の吐出が安定する範囲で押出機およびTダイの温度を低く設定すると熱劣化を抑制できる。樹脂ペレットの乾燥や搬送に不活性ガス(例えば窒素ガス)を用いると酸化劣化を抑制できる。主成分と比べて副成分であるオレフィン系樹脂は熱劣化および酸化劣化を起こし易いため、オレフィン系樹脂の添加率を小さくすることでも連続製膜性を向上することができる。
溶融状態の樹脂組成物を冷却ロールに接触固化させる際の密着方法は、エアナイフ、静電ピンニング、弾性体ロールニップ、金属ロールニップ、弾性金属ロールニップ等、公知の方法が使用可能である。
本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムを延伸フィルムとする場合には、前記の樹脂組成物をフィルム状に成形した後、さらにフィルムを延伸する。延伸倍率としては、特に制限されず、MD方向については1.1~4.0倍程度、TD方向については1.1~4.0倍程度が挙げられる。なお、前述の通り、延伸フィルムは1軸延伸フィルムとしてもよいし、2軸延伸フィルムとしてもよい。2軸延伸する場合は、同時二軸延伸でもよいし、逐次二軸延伸でもよい。
延伸時の温度は、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)などに応じて適宜調整する。延伸温度としては、例えば100~270℃、好ましくは220~260℃程度が挙げられる。
延伸後に緩和(弛緩)させる際の温度は、特に制限されないが、例えば100~220℃、好ましくは150~200℃である。緩和(弛緩)率は、特に制限されないが、例えば1~10%、好ましくは2~6%である。温度や緩和率を上記範囲内とすることで、フィルムの熱収縮を抑制しやすく好ましい。
2.コンデンサ用金属化フィルム
本実施形態に係るコンデンサ用金属化フィルムは、本実施形態に係るコンデンサ用誘電体フィルムの片面又は両面に金属膜を有する。
本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムは、コンデンサとして加工するために片面又は両面に電極としての金属膜を付けることができる。そのような電極は、本発明が目的とするコンデンサを得ることができる限り特に限定されることは無く、通常コンデンサを製造するために使用される電極を用いることができる。
コンデンサには、小型及び軽量化が一層要求されるので、本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムの片面もしくは両面に直接電極を形成(金属化)して金属化フィルムとすることが好ましい。
本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムの表面を金属化する方法として、例えば、金属蒸着、スパッタリング等の真空めっき、または金属含有ペーストの塗工・乾燥、金属箔や金属粉の圧着等の方法で、金属層(電極)を設ける。なかでも、コンデンサの小型及び軽量化の一層の要求に答えるには、真空蒸着法及びスパッタリング法が好ましく、生産性及び経済性などの観点から、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法として、一般的にるつぼ方式やワイヤー方式などを例示することができるが、本発明が目的とするコンデンサを得ることができる限り特に限定されることはなく、適宜最適なものを選択することができる。
電極に用いられる金属は、例えば、亜鉛、鉛、銀、クロム、アルミニウム、銅、及びニッケルなどの金属単体、それらの複数種の混合物、及びそれらの合金などを使用することができるが、環境、経済性及びコンデンサ性能などを考慮すると、亜鉛及びアルミニウムが、好ましい。
金属蒸着膜の膜抵抗は、コンデンサの電気特性の点から、1~100Ω/□程度が好ましい。この範囲内でも高めであることがセルフヒーリング(自己修復)特性の点から望ましく、膜抵抗は5Ω/□以上であることがより好ましく、10Ω/□以上であることが更に好ましい。また、コンデンサとしての安全性の点から、膜抵抗は50Ω/□以下であることがより好ましく、30Ω/□以下であることが更に好ましい。
真空蒸着法にて電極(金属蒸着膜)を形成する際、その膜抵抗は、例えば当業者に既知の方法によって蒸着中に測定することができる。金属蒸着膜の膜抵抗は光の透過率と相関関係があるので、例えば光の透過率を指標として蒸発源の出力を調整して蒸発量を調整することによって膜抵抗を調節することができる。
本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムの片面に金属蒸着膜を形成する際、フィルムを巻回した際にコンデンサとなるよう、フィルムの片方の端部から一定幅は蒸着せずに絶縁マージンが形成される。さらに、コンデンサ用金属化フィルムとメタリコン電極との接合を強固にするため、絶縁マージンと逆の端部に、ヘビーエッジ構造を形成することが好ましく、ヘビーエッジの膜抵抗は通常1~8Ω/□程度であり、1~5Ω/□程度であることが好ましい。ヘビーエッジの金属膜の厚さは特に限定されないが、1~200nmが好ましい。
形成する金属蒸着膜の蒸着パターン(マージンパターン)には特に制限はないが、コンデンサの保安性等の特性を向上させる点からは、フィッシュネットパターン、Tマージンパターン等のいわゆる特殊マージンを含むパターンとしてヒューズを形成することが好ましい。特殊マージンを含む蒸着パターンで金属蒸着膜を本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムの少なくとも片面に形成すると、得られるコンデンサの保安性が向上し、コンデンサの破壊、ショートの抑制等の点からも効果的であり、好ましい。
マージンを形成する方法としては、蒸着時にテープによりマスキングを施すテープ法、オイルの塗布または転写によりマスキングを施すオイル法等、公知の方法を何ら制限なく使用することができる。
本実施形態の金属化フィルム上には、金属蒸着膜の物理的保護、吸湿防止、酸化防止等を目的に保護層を設けても良い。保護層としては、好ましくはシリコーンオイルやフッ素オイル等が使用できる。
本実施形態の金属化フィルムは、後述の本実施形態のコンデンサに加工され得る。
3.コンデンサ
本実施形態に係るコンデンサは、本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムおよび/又は金属化フィルムを含む。
このようなコンデンサにおいては、本発明のフィルムはコンデンサ用誘電体フィルムとして、例えば、(i)前述の金属化フィルムを使用する方法、(ii)電極を設けない本発明のフィルムと、他の導電体(例えば、金属箔、片面もしくは両面を金属化した本発明のフィルム、片面もしくは両面を金属化した紙及び他のプラスチックフィルム等)を積層すること、等の方法でコンデンサを構成できる。
コンデンサを作製する工程では、フィルムの巻き付け加工が行われる。例えば、本実施形態の金属化フィルムにおける金属膜と、本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムとが交互に積層されるように、更には、絶縁マージン部が逆サイドとなるように、2枚1対の本実施形態の金属化フィルムを重ね合わせて巻回する。この際、2枚1対の本実施形態の金属化フィルムを1~2mmずらして積層することが好ましい。あるいは、金属化されていないコンデンサ用誘電体フィルムと、金属箔または他の金属化フィルム等の他の導電体を積層してもよい。用いる巻回機は特に制限されず、例えば、株式会社皆藤製作所製の自動巻取機3KAW-N2型等を利用することができる。フィルムの巻き付け加工は上記方法に限定されず、他の方法、例えば、両面蒸着した本実施形態のフィルムと、未蒸着の本実施形態のフィルム(両面蒸着した本実施形態のフィルムより2~3mm狭幅とする)を交互に積層して巻回しても良い。
扁平型コンデンサを作製する場合、巻回後、通常、得られた巻回物に対してプレスが施される。プレスによってコンデンサの巻締まり・素子成形を促す。層間ギャップの制御・安定化を施す点から、与える圧力は、本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムの厚み等によってその最適値は変わるが、例えば2~20kg/cm2である。
続いて、巻回物の両端面に金属を溶射してメタリコン電極を設けることによって、コンデンサを作製する。
コンデンサに対して、更に所定の熱処理が施される。すなわち、本実施形態では、コンデンサに対し、主成分である非晶性熱可塑性樹脂のTgを超えない範囲で、80~265℃の温度で1時間以上、大気化あるいは真空下にて熱処理を施す工程(以下、「熱エージング」と称することがある)を含む。
コンデンサに対して熱処理を施す上記工程において、熱処理の温度は、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂のTgよりも10℃~100℃低い範囲が好ましく、15℃~8
0℃低い範囲がより好ましい。上記の温度で熱処理を施すことによって熱エージングの効果が得られる。具体的には、本実施形態の金属化フィルムに基づくコンデンサを構成するフィルム間の空隙が減少し、コロナ放電が抑制される。あるいは、コンデンサ用誘電体フィルムが持つ歪み(内部応力)が解消される。その結果、耐電圧性が向上するものと考えられる。熱処理の温度が所定温度より低い場合には、熱エージングによる上記効果が十分に得られない。一方、熱処理の温度が所定温度より高い場合には、コンデンサ用誘電体フィルムに熱分解や酸化劣化等が生じることがある。
コンデンサに対して熱処理を施す方法としては、例えば、真空雰囲気下で、恒温槽を用いる方法や高周波誘導加熱を用いる方法等を含む公知の方法から適宜選択してもよい。具体的には、恒温槽を用いる方法を採用することが好ましい。
熱処理を施す時間は、機械的及び熱的な安定を得る点で、1時間以上とすることが好ましく、10時間以上とすることがより好ましいが、熱シワや型付等の成形不良を防止する点で、72時間以下とすることがより好ましい。
熱エージングを施したコンデンサのメタリコン電極には、通常、リード線が接合される。接合方法は特に限定されないが、例えば溶接、超音波溶着およびハンダ付けによって行うことができる。また、耐候性を付与し、とりわけ湿度劣化を防止するため、コンデンサをケースに入れて、ケース内をエポキシ樹脂でポッティングすることが好ましい。
前述の通り、本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムは、高温環境において漏れ電流が低減されていることから、高温環境で使用され、小型、さらには、高容量(例えば、5μF以上、好ましくは10μF以上、さらに好ましくは20μF以上)コンデンサに極めて好適に使用することができる。すなわち、本実施形態のコンデンサ用誘電体フィルムを利用した、本実施形態のコンデンサは、高温環境で好適に使用され、小型、さらには、高容量のコンデンサとすることができる。従って、本実施形態のコンデンサは、電子機器、電気機器などに使用されている、高電圧コンデンサ、各種スイッチング電源、コンバータ及びインバータ等のフィルタ用コンデンサ及び平滑用コンデンサ等として利用することができる。また、本実施形態のコンデンサは、近年需要が高まっている電気自動車及びハイブリッド自動車等の駆動モーターを制御するインバータ電源機器用コンデンサとしても好適に利用することができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り、部及び%はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
〔測定方法及び評価方法〕
実施例及び比較例における、各種測定方法及び評価方法は、次のとおりである。
(1)フィルム厚み
外側マイクロメータ(株式会社ミツトヨ製 高精度デジマチックマイクロメータ MDH-25MB)を用いて、JIS K 7130:1999 A法に準拠して測定した。
(2)面粗さSa
算術平均高さSaは、ISO-25178規格に基づき、次のようにして測定される値である。光干渉式非接触表面形状測定機として(株)菱化システム製の「VertScan(登録商標)2.0(型式:R5500GML)」を使用する。測定用サンプルとして、フィルムを10cm角程度の任意の大きさに切り出し、シワを十分に伸ばした状態で、
静電密着板などを利用して測定ステージにセットする。まず、計測にはWAVEモードを用い、530whiteフィルタ及び1×BODYの鏡筒を適用し、10倍対物レンズを用いて、一視野あたり(470.92μm×353.16μm)の計測を行う。得られたデータに対して、4次の面補正を行い、メディアンフィルタ(3×3)によるノイズ除去処理を行ない、その後、カットオフ値30μmによるガウシアンフィルタ処理を行う。これにより、粗面化表面の状態を適切に計測できる状態とする。次に、「VertScan2.0」の解析ソフトウェア「VS-Viewer」のプラグイン機能「ベアリング」にある、「ISOパラメータ」を用いて解析を行い、Sa(μm)を求める。この操作を対象試料のチルロール側の表面の流れ方向・幅方向ともに中央となる箇所から流れ方向に1cm間隔で5箇所について行い、得られた各値の平均値を算出する。
(3)絶縁破壊強さ
(150℃環境での絶縁破壊強さと漏れ電流試験)
JIS C2151:2006の17.2.2(平板電極法)に準じた測定装置を用意する。絶縁破壊電圧の測定装置として菊水電子工業(株)製のTOS-9301を、強制循環式オーブンとしてアドバンテック東洋(株)製のDRM620DDを使用した。上部電極は縁端部に半径2mmの丸みを付けた直径25mmの黄銅製金属円柱(フィルムと接触する面積は3.5cm2、質量200g)とする。下部電極は、JIS C2151:2006の17.2.2に記載の弾性体の替わりに導電ゴム(星和電機株式会社製E12S10)を電極として用い、アルミニウム箔の巻き付けは行わないものとする。測定環境は設定温度150℃の強制循環式オーブン内とし、電極およびフィルムは同オーブン内で30分調温した後に使用した。電圧上昇は0Vから開始して100V/秒の速度とし、電流値が5mA以上となった時点を絶縁破壊時とし、絶縁破壊電圧VDCを記録した。試験開始から絶縁破壊を起こすまで、試験時間と漏れ電流値を0.1秒間隔で記録し、絶縁破壊を起こす直前の時間(t)、絶縁破壊の直前に計測された電流値(I)、試験に要した時間のうち80%経過時点の試験経過時間(t80)、試験経過時間(t80)の時点での漏洩電流値(I80)を求めた。なお、tに対してt80を求める際は、小数点以下2桁目を四捨五入することでt80とした。また、絶縁破壊の直前とは、0.1秒間隔で測定値を記録しているため、絶縁破壊時の0.1秒前に観測された値である。ここで、時間tの単位は秒、電流Iの単位はμAである。絶縁破壊電圧測定回数は20回とし、絶縁破壊電圧値VDCを、フィルムの厚み(μm)で割り、その20回の計算結果中の上位2点および下位2点を除いた16点の平均値を、絶縁破壊強さ(VDC/μm)とした。
漏れ電流試験は、式(A)を満たす場合に良好であると判定した。
式(A):|I-I80%|/(t-t80%)≦1
(120℃環境での絶縁破壊強さ)
測定環境を設定温度120℃の強制循環式オーブン内としたこと以外は、150℃環境での絶縁破壊強さと同様にして実施、算出した。
(4)連続性膜性
各実施例に記載の条件にて製膜し、破断無く製膜可能な製膜長より、下記の基準によって連続製膜性を評価した。
〇:製膜長が1000m以上であり、連続製膜性が非常に高い。
△:製膜長が500m以上1000m未満であり、連続製膜性が高い。
×:製膜長が500m未満であり、連続製膜性が低い。
(5)巻取り適性
各実施例に記載の条件にて製膜したフィルム原反巻取を得た。フィルム原反巻取をスリット機で620mm幅にスリット加工し、フィルム巻取を得た。スリット加工後の巻取から100mを引き出し、620mm×100mのフィルムのシワ入りの状態を確認し、下記の基準によって巻取り適性を評価した。
〇:シワが認められない。
△:シワが3本以下、かつシワ1本あたりの長さが3m以下であり、実用上問題ない。
×:シワが4本以上、またはシワ1本あたりの長さが3mより長い。
[実施例1]
(A)ポリスルホン系樹脂〔PSU、BASFジャパン(株)製:商品名ウルトラゾーン(登録商標)S6010〕と、(B)ポリプロピレン〔PP、Borealis AG(本社:オーストリア)社製:商品名Borclean(登録商標)HC300BF〕とを、表1に記載の配合比(質量比)で計量し混合したドライブレンド体を押出機へ供給し、樹脂温度310℃で溶融した後、目開き45μmのフィルタを通し、Tダイを用いて押出し、表面温度を150℃に保持した鏡面金属ロール(冷却ロール)にエアナイフを用いて密着させてフィルム状に成形した。得られた未延伸のコンデンサ用誘電体フィルムの端部をスリットし、巻取機にて巻き取り、コンデンサ用誘電体フィルムロールを得た。得られたコンデンサ用誘電体フィルムの厚さは、表1に記載のとおり5.0μmとなるよう、押出量と引取速度を調整して、実施例1の未延伸のコンデンサ用誘電体フィルムを得た。
[実施例2-8及び比較例1-3]
(A)ポリスルホン系樹脂樹脂と(B)ポリプロピレンの配合比(質量比)を表1のようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例2-8及び比較例1-3の未延伸のコンデンサ用誘電体フィルムを得た。
[実施例9-15及び比較例4-5]
アンチブロッキング剤として、シリカ粒子(株)日本触媒製:商品名シーホスター(登録商標)KE-S100(平均粒子径1.0μmの球状微粒子))を用い、(A)ポリスルホン系樹脂樹脂と(B)ポリプロピレンとアンチブロッキング剤(AB剤)の配合比(質量比)を表1のようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例9-15及び比較例4-5の未延伸のコンデンサ用誘電体フィルムを得た。
[実施例16-19]
(B)ポリプロピレンとして「ポリプロピレン〔PP、Borealis AG(本社:オーストリア)社製:商品名Borclean(登録商標)HC300BF〕」の代わりに「ポリプロピレン〔PP、大韓油化(本社:韓国)社製:商品名S800〕」を用い、(A)ポリスルホン系樹脂樹脂と(B)ポリプロピレンの配合比(質量比)を表2のようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例16-19の未延伸のコンデンサ用誘電体フィルムを得た。
[実施例20-25及び比較例6]
(B)ポリプロピレンとして「ポリプロピレン〔PP、Borealis AG(本社:オーストリア)社製:商品名Borclean(登録商標)HC300BF〕」の代わりに「ポリプロピレン〔PP、大韓油化(本社:韓国)社製:商品名S802M〕」を用い、(A)ポリスルホン系樹脂樹脂と(B)ポリプロピレンの配合比(質量比)を表2のようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例20-25及び比較例6の未延伸のコンデンサ用誘電体フィルムを得た。
[実施例26-29]
(B)ポリプロピレンとして「ポリプロピレン〔PP、Borealis AG(本社:オーストリア)社製:商品名Borclean(登録商標)HC300BF〕」の代わりに「ポリプロピレン〔PP、日本ポリプロ(本社:日本)社製:商品名ノバテック(登録商標)EA9HD〕」を用い、(A)ポリスルホン系樹脂樹脂と(B)ポリプロピレンの配合比(質量比)を表2のようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例26-29の未延伸のコンデンサ用誘電体フィルムを得た。
[実施例30-35及び比較例7]
オレフィン系樹脂として、ポリプロピレン〔PP、Borealis AG(本社:オーストリア)社製:商品名Borclean(登録商標)HC300BF〕」の代わりに、ポリエチレン〔PE、プライムポリマー(本社:日本)社製:商品名ハイゼックス(登録商標)7000F〕を用い、(A)ポリスルホン系樹脂樹脂とポリエチレンの配合比(質量比)を表2のようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例30-35及び比較例7の未延伸のコンデンサ用誘電体フィルムを得た。
Figure 2023172847000002
Figure 2023172847000003
実施例1~35のコンデンサ用誘電体フィルムは、少なくとも、主成分として、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂と、副成分として、1質量%以上8質量%以下のオレフィン系樹脂とを含む。実施例1~35のコンデンサ用誘電体フィルムは、高温環境における漏れ電流が低減されており、高温環境において高い絶縁破壊強さを有していることが分かる。

Claims (10)

  1. 少なくとも、主成分として、主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂と、副成分として、1質量%以上8質量%以下のオレフィン系樹脂と、を含む、コンデンサ用誘電体フィルム。
  2. 厚みが、1μm以上9μm以下である、請求項1に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
  3. 150℃環境での絶縁破壊強さが、300VDC/μm以上である、請求項1又は2に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
  4. 面粗さSaが、0.004μm以上0.020μm以下である、請求項1又は2に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
  5. 前記主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂が、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルイミド及びポリアミドイミドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
  6. 前記主鎖に芳香環を含む非晶性熱可塑性樹脂が、ポリスルホンである、請求項1又は2に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
  7. 前記オレフィン系樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー及びシクロオレフィンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
  8. 前記オレフィン系樹脂が、ポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一方である、請求項1又は2に記載のコンデンサ用誘電体フィルム。
  9. 請求項1又は2に記載のコンデンサ用誘電体フィルムの片面又は両面に金属膜を有する、コンデンサ用金属化フィルム。
  10. 請求項1又は2に記載のコンデンサ用誘電体フィルムを含む、コンデンサ。
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