JP2023172730A - 炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents

炭化珪素半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コストを低減させることができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供すること。【解決手段】SiC支持基板1のおもて面に形成した複数のトレンチをSiC膜5で塞ぐことで、互いに隣り合うトレンチ同士が連結されてなる複数の空洞6を含むSiCONウェハ22を作製する。互いに隣り合う空洞6間には、SiC膜5が柱状に残ってなるSiCピラー7が形成される。SiC膜5におもて面素子構造8を形成した後、SiCONウェハ22のSiC膜5側の面をガラス支持基板24に接着して固定する。その後、SiCピラー7を上下に分断して、SiCONウェハ22を、ガラス支持基板24に固定された部分と、SiC支持基板1と、に分離する。SiCONウェハ22のうち、ガラス支持基板24に固定された部分は、SiC膜5で構成され、所定デバイスが作製されるSiCウェハ25となる。分離後のSiC支持基板26(SiC支持基板1)は再利用される。【選択図】図8

Description

この発明は、炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
従来、炭化珪素半導体装置の作製(製造)には、製造工程中や試験工程中における半導体ウェハの破損を抑制するための機械的な支持基板として、350μm~500μmの厚さで1×1018/cm3以上の高不純物濃度のn+型の4H-SiC(炭化珪素の四層周期六方晶)単結晶基板が用いられる。このn+型支持基板上にn-型ドリフト領域となるn-型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させ、当該n-型エピタキシャル層中に所定の素子構造を形成することで各種パワーデバイスが作製される。
例えば、縦型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)において、n+型支持基板は、機械的な支持を目的とする以外に、半導体チップの裏面を形成してn+型ドレイン領域となり、ドレイン電極に電気的に接続される。このため、n+型支持基板は、可能な限り薄い厚さでかつ高不純物濃度とし、可能な限り基板抵抗を低くすることが望ましい。
従来の炭化珪素半導体装置の製造方法として、n+型支持基板上にn+型支持基板の主面に平行な方向に長い平板状の複数の空洞を含んだn-型エピタキシャル層を形成した半導体ウェハを作製し、n-型エピタキシャル層の空洞上の部分に素子構造を形成した後、空洞を通るように半導体ウェハをダイシングすることで、半導体ウェハからn-型エピタキシャル層の空洞上の部分を分離して半導体チップ状に個片化する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
内部に空洞を含む半導体ウェハの作製方法として、n+型支持基板上にエピタキシャル成長させたn-型エピタキシャル層に複数のトレンチを形成した後、エッチング効果のあるガスと、SiC膜の成膜の原料であるシリコン(Si)を含むガスおよび炭素(C)を含むガスと、を同時に導入してトレンチ側壁をエッチングしながら、n-型エピタキシャル層をさらにエピタキシャル成長させることで、複数のトレンチの開口部をそれぞれ塞ぐとともに、互いに隣り合うトレンチ同士をつなげて、n-型エピタキシャル層の内部に平板状の空洞を形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1,2参照。)。
内部に空洞を含む半導体ウェハの別の作製方法として、炭化珪素単結晶からなる半導体ウェハに複数のトレンチを形成した後、水素雰囲気での熱処理により半導体ウェハの表面を流動させて、トレンチの開口部を塞ぐとともに、互いに隣り合うトレンチ同士をつなげて空洞を形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献3参照。)。下記特許文献3では、熱処理により半導体ウェハ内部に温度勾配を形成して低温側から高温側へと空洞を移動させることで、半導体ウェハを再結晶化させて高品質化している。
また、炭化珪素を材料とした半導体ウェハの作製法として、支持基板上に形成したSOI(Silicon On Insulator)構造等の多層構造体を、支持基板中に水素イオン注入により形成した脆弱層を境に当該支持基板から分離して多層構造の半導体ウェハとする方法が提案されている(例えば、下記特許文献4,5参照。)。下記特許文献4,5では、多層構造体を分離した後に残る支持基板を、当該支持基板の表面に残る脆弱層や凹凸を除去してから再度製造工程に投入して再利用することが開示されている。
特開2019-012801号公報 特開2018-037561号公報 特開2003-095797号公報 特開2000-349266号公報 特開2005-537685号公報
しかしながら、炭化珪素単結晶は、原料を2000℃に近い高温度で昇華させて気相から直接固相を得る昇華法によって成長させるため、シリコン(Si)のような液相成長(液相から固相を得る)と比べて成長速度が遅い。また、昇華法による単結晶成長では、炉内の温度勾配を大きくすることで成長速度を早くすることができるが、炭化珪素単結晶の成長において炉内の温度勾配を大きくすると結晶品質が悪くなるため、成長速度を早めることができない。このため、炭化珪素単結晶基板の単価が高く、製造コストが高くなる。上記特許文献1では、半導体ウェハから分離した半導体チップの厚さが薄くなりすぎることで、その後、半導体チップの裏面に行う製造工程や、半導体チップの試験工程において半導体チップに割れや折れ、クラック等の破損が生じやすく、チップ単価が高くなる。
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、コストを低減させることができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。炭化珪素からなる半導体支持基板におもて面から所定深さの複数のトレンチを形成する第1工程を行う。前記半導体支持基板のおもて面に炭化珪素膜をエピタキシャル成長させて、前記トレンチの開口部を塞ぐとともに、複数の前記トレンチ同士を連結させることで空洞を形成し、前記空洞を含むSiCONウェハを作製する第2工程を行う。前記炭化珪素膜に所定の素子構造を形成する第3工程を行う。前記空洞を境にして前記SiCONウェハを、前記素子構造が形成された前記炭化珪素膜からなる半導体ウェハと、前記半導体支持基板と、に分離する分離工程を行う。前記第1工程では、前記半導体支持基板の複数の領域区分にそれぞれ複数の前記トレンチを形成する。前記第2工程では、同一の前記領域区分内のすべての前記トレンチを連結させて前記領域区分ごとに1つの前記空洞を形成するとともに、互いに隣り合う前記空洞間に前記炭化珪素膜を柱状に残してなる半導体ピラーを形成する。前記分離工程では、すべての前記半導体ピラーを分断することで、前記SiCONウェハを前記半導体ウェハと前記半導体支持基板とに分離する。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記分離工程では、加圧した水を局所的に噴射して前記SiCONウェハの側面から前記SiCONウェハに衝突させることで前記半導体ピラーを分断することを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1工程では、前記第2工程において前記半導体ピラーを10μm以上の高さで形成可能な前記所定深さで前記トレンチを形成する。前記第2工程では、前記炭化珪素膜の厚さを前記空洞上の部分で15μm以上とする。前記分離工程では、前記水を40μm以下の直径で噴射して前記SiCONウェハの側面から前記SiCONウェハの前記空洞に対向する部分に衝突させることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1工程では、前記第2工程において前記半導体ピラーを10μm以上の高さで形成可能な前記所定深さで前記トレンチを形成する。前記第2工程では、前記炭化珪素膜の厚さを前記空洞上の部分で15μm以上とする。前記分離工程では、前記水を40μm以下の直径のスリットを通して前記SiCONウェハの側面から前記SiCONウェハの前記空洞に対向する部分に衝突させることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程の後、前記分離工程の前に、前記SiCONウェハの前記空洞上の部分をガラス支持基板の凹部の内部に収容した状態で、前記SiCONウェハの前記炭化珪素膜側の表面を前記凹部の内部で接着剤層を介して前記ガラス支持基板に接着して固定する接着工程をさらに含むことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記分離工程では、前記半導体ピラーに応力を与えることで前記半導体ピラーを分断することを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記分離工程では、超音波振動によって前記半導体ピラーに前記応力を与えることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記分離工程では、レーザー光照射によって前記半導体ピラーに前記応力を与えることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面に、前記素子構造の裏面電極となる金属支持基板を接合する接合工程をさらに含む。前記金属支持基板は、100μm以上の厚さのアルミニウム板であることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記接合工程では、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面に、半田層を介して前記金属支持基板を半田接合することを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記分離工程では、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面に前記半導体ピラーの残部による凹凸が生じる。前記接合工程では、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面の前記凹凸を前記半田層で埋めることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記接合工程では、前記半田層を50μm以上の厚さで形成することを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記分離工程の後、前記接合工程の前に、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面に、最表面をニッケル膜とした金属膜を形成する第4工程をさらに含む。前記金属支持基板は、表面がニッケルめっき膜で被覆されている。前記接合工程では、前記ニッケルめっき膜に半田を塗布し、前記金属支持基板に前記半田による前記半田層を介して前記半導体ウェハの前記金属膜を形成した面を押し付けた状態で前記半田層をリフローすることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記分離工程の後、前記接合工程の前に、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面に、最表面をアルミニウム膜とした金属膜を形成する第4工程をさらに含む。前記金属支持基板は、前記金属膜との接合面の中心線平均粗さが1μm四方の単位面積当たり0.7nm以下である。前記接合工程は、前記金属膜の表面を平坦化して、前記金属膜の表面の中心線平均粗さを1μm四方の単位面積当たり0.7nm以下にする工程と、前記金属膜の平坦化した表面に前記金属支持基板を常温接合する工程と、を含むことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記金属支持基板は、前記接合面を除く表面がニッケルめっき膜で被覆されていることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程の後、前記分離工程の前に、前記SiCONウェハの前記炭化珪素膜側の表面を接着剤層を介してガラス支持基板に接着して固定する接着工程と、前記接合工程の後、前記半導体ウェハから前記接着剤層および前記ガラス支持基板を剥離する剥離工程と、をさらに含むことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記半導体支持基板の前記半導体ウェハとの分離面を前記第1工程で利用可能な平坦面にする再生工程をさらに含む。前記第1工程では、前記再生工程を経た前記半導体支持基板を用いることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記半導体支持基板の前記半導体ウェハとの分離面を前記第1工程で利用可能な平坦面にする第1再生工程と、前記第1再生工程を経た前記半導体支持基板同士を貼り合わせてなる貼り合わせ基板を作製する第1貼り合わせ工程と、をさらに含む。前記第1工程では、前記貼り合わせ基板を前記半導体支持基板として用いることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1貼り合わせ工程では、前記貼り合わせ基板となる2枚の前記半導体支持基板のうちの一方の第1半導体支持基板の主面に溝を形成した後に、他方の第2半導体支持基板を前記第1半導体支持基板の前記溝を形成した主面に貼り合わせることで前記貼り合わせ基板を形成する。前記第1工程では、前記貼り合わせ基板の前記第1半導体支持基板側の主面に前記トレンチを形成する。前記第2工程では、前記貼り合わせ基板の前記第1半導体支持基板側の主面に前記炭化珪素膜をエピタキシャル成長させる。前記分離工程を経た前記貼り合わせ基板の前記半導体ウェハとの分離面を前記第1工程で利用可能な平坦面にする第2再生工程と、前記第2再生工程において前記貼り合わせ基板の前記半導体ウェハとの分離面に前記溝が露出された場合に、前記貼り合わせ基板の前記半導体ウェハとの分離面を前記溝が消失するまで平坦化して前記第2半導体支持基板のみを残し、当該第2半導体支持基板に前記第1再生工程を経た新たな前記半導体支持基板を貼り合わせて新たな前記貼り合わせ基板を作製する第2貼り合わせ工程と、をさらに含むことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1工程では、前記第1工程において前記トレンチ形成したトレンチピラーのうち、前記第2工程時のエピタキシャル成長時に前記空洞となる領域に該当する前記トレンチピラーの幅をWPILとし、前記トレンチピラーの前記炭化珪素膜の部分の高さDEPIとし、前記トレンチピラーの側面と結晶方位<11-20>とのなす角度をαとし、前記半導体支持基板のおもて面と基底面とのなす角度をβとしたときに、下記(1)式を満たすレイアウトで前記トレンチを形成することを特徴とする。
Figure 2023172730000002
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1工程では、前記半導体支持基板のおもて面側から見てストライプ状に前記トレンチピラーが残るレイアウトで前記トレンチを形成することを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1工程では、前記半導体支持基板のおもて面側から見て格子状に前記トレンチピラーが残るレイアウトで前記トレンチを形成することを特徴とする。
上述した発明によれば、SiC支持基板(半導体支持基板)を用いて作製したSiCONウェハから炭化珪素膜の部分を分離して、所定デバイス(炭化珪素半導体装置)を作製するためのSiCウェハ(半導体ウェハ)とすることができる。SiCウェハは、SiC支持基板を含まないか、ほぼ含まない。このため、分離後のSiC支持基板の総消失量を少なくすることができる。分離後のSiC支持基板は、ウェハ流動に機械的に耐えられない薄さになるまで繰り返し再利用することができる。
本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、コストを低減させることができるという効果を奏する。
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである(その1)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。 図2の領域区分内のレイアウト例を示す平面図である。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その1)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その2)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その3)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その4)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その5)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その6)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その7)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その8)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その9)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その10)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その11)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その12)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その13)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その14)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その15)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである(その2)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その16)。 実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。 実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その1)。 実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その2)。 実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。 図24の切断線B-B’における断面構造を示す断面図である。 実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態の別例を示す平面図である。 図26のSiC膜のエピタキシャル成長時の状態を模式的に示す平面図である。 図27の切断線C-C’における断面構造を示す断面図である。 実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。 実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である(その1)。 実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である(その2)。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造例を示す断面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本明細書では、ミラー指数の表記において、“-”はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に“-”を付けることで負の指数を表している。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。図1,19は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。図2は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。図2には、図4のSiC支持基板1を主面側から見た状態を示す。図3は、図2の領域区分内のレイアウト例を示す平面図である。図4~18,20は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。
まず、図2~4に示すように、4H-SiC等の炭化珪素(SiC)単結晶からなる半導体支持基板(以下、SiC支持基板とする)1を用意する。SiC支持基板1の直径および厚さt1は、例えばそれぞれ8インチおよび500μm程度である。SiC支持基板1は、結晶方位を示す例えばオリエンテーションフラット(エッジ端の一部に設けられた直線状の切り欠け)2またはノッチ(エッジ端の一部に設けられたV字状の切り欠け:不図示)を有する。SiC支持基板1のオリエンテーションフラット2と平行な方向が示す結晶方位は例えば[11-20]である(図2参照)。
SiC支持基板1上に各種パターンを形成するためのマスクパターンの位置合わせの基準としてオリエンテーションフラット2(またはノッチ)が用いられる。SiC支持基板1のオリエンテーションフラット2の形成保証精度は1度以内であることが好ましい。その理由は、後述するトレンチ3の形成方向を制限するための所定角度がオリエンテーションフラット2の形成保証精度に基づいて定まるため、オリエンテーションフラット2の形成保証精度がよいほど、この所定角度を小さくすることができるからである。
SiC支持基板1のおもて面は、後述するSiC膜(炭化珪素膜)5を略均一な厚さでエピタキシャル成長させることができる程度に平坦化されている。SiC支持基板1の裏面は、各種製造装置のステージに吸着保持可能な程度に平坦化されている。SiC支持基板1の外周は、面取りされてベベル形状となっていてもよい。SiC支持基板1として、製造工程で1回以上使用した後述するSiC支持基板26(図8参照)を後述する方法によって再生させたSiC支持基板27(図20参照)を用いてもよい。
次に、SiC支持基板1を、例えば有機洗浄やRCA洗浄(強酸および高塩基溶液を用いたウェット洗浄)により洗浄する。次に、SiC支持基板1のおもて面に、例えばプラズマ化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)等により酸化シリコン(SiO2)膜等の酸化膜21を形成する。酸化膜21は、後の工程でトレンチ3を形成するためのエッチング用マスクとして用いる。このため、酸化膜21の厚さは、トレンチ3を形成するためのエッチングによって消失しない厚さとする。
次に、フォトリソグラフィおよびドライエッチングにより酸化膜21を選択的に除去して、酸化膜21の、トレンチ3の形成領域に対向する部分を開口する。これによって、酸化膜21はトレンチ3のパターンに開口される。トレンチ3を形成するためのマスクパターンの位置合わせは、SiC支持基板1のオリエンテーションフラット2を基準とする。酸化膜21のドライエッチングとして、例えば反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)などの異方性エッチングなどが挙げられる。
次に、酸化膜21の残部をマスクとして、SiC支持基板1をおもて面から所定の深さd1までドライエッチングしてトレンチ3を形成する(ステップS1:第1工程)。トレンチ3の深さd1は、例えば30μm以下程度の範囲内である。トレンチ3は、所定の結晶方位に平行な直線状の平面形状とする。トレンチ3のパターンは、例えば、トレンチ3の短手方向の幅w1(ライン幅)が2.5μm以上5μm以下程度の範囲内であり、同一の領域区分4内で互いに隣り合うトレンチ3間の間隔w2が1μm以上3μm以下の範囲内である。
トレンチ3の形成方向について図2を用いて説明する。図2には、SiC支持基板1のおもて面の結晶面を(0001)とし、裏面の結晶面を(000-1)とし、オリエンテーションフラット2が示す結晶方位を[11-20]とした例を示す。図2には、SiC支持基板1の結晶方位[11-20]、[1-100]、[-1-120]、[-1100]を矢印で示す。結晶方位[11-20]は、図2において右向きの矢印によって表される。結晶方位[-1-120]は、図2において左向きの矢印によって表される。
結晶方位[1-100]は、図2において下向きの矢印によって表される。結晶方位[-1100]は、図2において上向きの矢印によって表される。結晶方位[11-20]は、結晶方位[-1-120]と逆向きである。また、結晶方位[11-20]は、結晶方位[1-100]および結晶方位[-1100]と直交する。結晶方位[1-100]は、結晶方位[-1100]と逆向きである。また、結晶方位[1-100]は、結晶方位[-1-120]および結晶方位[11-20]と直交する。
SiC支持基板1をマトリクス状に区分した矩形状の平面形状の複数の領域区分4に、それぞれSiC支持基板1のおもて面側から見てストライプ状に複数のトレンチ3が形成される(図2,3参照)。図2において実線がトレンチ3である。領域区分4のサイズは、トレンチ3のパターンを露光可能なサイズであり、ステッパー(露光装置)の性能に基づいて決定される。互いに隣り合う領域区分4同士のトレンチ3間の最短距離w3は、同一の領域区分4内で互いに隣り合うトレンチ3間の間隔w2よりも広い。
また、トレンチ3の形成方向(すなわちトレンチ3の長手方向)は、結晶方位<11-20>から所定角度θ以上ずらした方向である。例えば、トレンチ3の形成方向は、結晶方位[11-20]から結晶方位[-1100]または結晶方位[1-100]に所定角度θ以上ずらした方向である。換言すると、トレンチ3の形成方向は、結晶方位[11-20]から結晶方位[-1100]と結晶方位[1-100]とにそれぞれ所定角度θ回転させた方向の範囲に含まれない方向である。
ここで、所定角度θは、SiC支持基板1のオリエンテーションフラット2の形成保証精度に基づいて定まる。例えば、SiC支持基板1のオリエンテーションフラット2の形成保証精度が1度以内の場合については、所定角度θを5度とする。SiC支持基板1のオリエンテーションフラット2の形成保証精度が5度以内の場合については、所定角度θを9度とする。本実施の形態では、SiC支持基板1のオリエンテーションフラット2の形成保証精度が1度以内として、所定角度θを5度として以降説明する。
また、トレンチ3の形成方向は、トレンチ3の側壁の結晶面がSiC支持基板1のm面にならないような方向であり、具体的にはSiC支持基板1のm面から±5度以上ずらした範囲に含まれる方向である。ここで、m面は、炭化珪素の結晶面{10-10}である。結晶面{10-10}は、(1-100)、(0-110)、(-1010)、(-1100)、(01-10)、(10-10)の6面である。結晶方位<11-20>に垂直な結晶面がm面である。
換言すると、結晶方位[11-20]に垂直な結晶面と、結晶方位[11-20]から60度おきにずらした結晶方位に垂直な結晶面と、がm面である。結晶方位[11-20]から60度おきにずらした結晶方位は図2に示す第1破線である。第1破線から±5度以内の範囲は第2破線によって表される。トレンチ3の形成方向がSiC支持基板1のm面からずれていることで、後述するステップS2の処理時に、同一の領域区分4に形成されたすべてのトレンチ3同士が繋がって略平板形状の断面形状の空洞6が形成される。
ここで、SiC支持基板1には、m面のように安定して結晶を成長させることができる結晶面もあれば、安定して結晶を成長させることができない結晶面なども存在する。図2において丸印で囲われた領域に形成されたトレンチ3の形成方向は、m面から5度以内の範囲に含まれる方向である。図2において丸印で囲われた領域に形成されたトレンチ3の側壁はほぼm面となる。この場合、後述するステップS2の処理時にトレンチ3の側壁にSiC膜が安定して結晶成長するため、トレンチ3の側壁がエッチングされにくい。
後述するステップS2の処理時にトレンチ3の側壁がエッチングされにくいと、互いに隣り合うトレンチ3同士を連結させることが難しく、空洞6の形成が困難である。一方、トレンチ3の形成方向がm面と第2破線とによって表される範囲に含まれない方向である場合、m面と第2破線とによって表される範囲に含まれる方向である場合に比べて、トレンチ3の側壁で珪素(Si)原子や炭素(C)原子が移動しやすいため、後述するステップS2の処理時にトレンチ3の側壁がエッチングされやすくなる。
次に、図5に示すように、例えばフッ化水素(HF)溶液などにより酸化膜21を除去した後、SiC支持基板1を洗浄する。次に、エッチング効果のあるガスと、炭化珪素(SiC)の原料ガスと、ドーパントとなるガスと、を含むガス雰囲気下での熱処理により、SiC支持基板1のおもて面にSiC膜5をエピタキシャル成長させることで、空洞6を内部に含むSiCON(SiC On Nothing)構造の半導体ウェハ(以下、SiCONウェハとする)22を作製する(ステップS2:第2工程)。
ステップS2の熱処理は、例えばCVDやハライド気相成長(HVPE:Halide Vapor Phase Epitaxy)法を用いた熱処理であってもよい。エッチング効果のあるガスとしては、例えば塩化水素(HCl)ガスや塩素(Cl2)ガスが挙げられる。SiCの原料ガスは、珪素を含むガスおよび炭素を含むガスである。珪素を含むガスとしては、例えばモノシラン(SiH4)ガスが挙げられる。炭素を含むガスとしては、例えばプロパン(C38)ガスが挙げられる。
SiC膜5は、後述する半導体チップ(以下、SiCチップとする)30(図17参照)の裏面側の裏面構造として残るため、当該裏面構造に応じた積層構造および導電型でエピタキシャル成長させる。ドーパントとなるガスとしては、p型SiC膜をエピタキシャル成長させる場合には例えばトリメチルアルミニウム(Trimethylaluminium:TMA)ガスが挙げられ、n型SiC膜をエピタキシャル成長させる場合には例えば窒素(N2)ガスが挙げられる。
図5には、SiCチップ30に後述する図32に例示するMOSFETを作製する場合を示しており、SiC支持基板1のおもて面上に、SiC膜5として、n+型ドレイン領域71となるn+型エピタキシャル層31と、n-型ドリフト領域72となるn-型エピタキシャル層32と、をこの順にエピタキシャル成長させている。n+型ドレイン領域71の不純物濃度は、例えば1×1018/cm3以上程度である。n-型ドリフト領域72の不純物濃度は、例えば1×1015/cm3以上1×1016/cm3以下程度である。
SiC膜5の成膜条件は、例えば、トレンチ3の側壁において、SiCの堆積量>SiCのエッチング量が成立するような条件である。SiCの堆積量とは、単位時間あたりに、トレンチ3の側壁と直交する方向(横方向)に厚さが増すようにトレンチ3の側壁上に成膜されるSiC膜の横方向の厚さである。SiCのエッチング量とは、単位時間あたりに、トレンチ3の側壁が当該側壁に垂直な方向にエッチングされる横方向の厚さ(トレンチ3の側壁上に成膜されたSiC膜がエッチングされる横方向の厚さも含む)である。
エッチング効果のあるガスのガス量が少ないと、SiC支持基板1のおもて面に堆積されるSiC膜5の厚さが厚くなると同時に、トレンチ3の側壁のエッチング量が少なくなり、トレンチ3同士が繋がりにくくなる。そこで、エッチング効果のあるガスのガス量は、SiCの堆積量がSiCのエッチング量より若干多くなるようなガス量のうち最大量とする。これにより、各トレンチ3の開口部が塞がってなる微細な空洞(ボイド)が複数形成されるとともに、当該ボイド同士が繋がって平板状の断面形状の空洞6が形成される。
n型のSiC膜5を成膜するために、例えば、キャリアガスとして水素(H2)ガスと、SiC膜の原料ガスとしてSiH4ガスおよびC38ガスと、エッチング効果のあるガスとしてHClガスと、ドーパントとなるガスとしてN2ガスと、を導入する。このとき、熱処理温度を例えば1635℃以上1665℃以内程度の範囲内とし、熱処理時間を5時間以上7時間以内の範囲内にすることがよい。ステップS2の熱処理時間によってトレンチ3の開口部を塞ぐSiC膜(以下、閉塞エピ膜とする)の厚さを調整可能である。
具体的には、例えば熱処理温度を1650℃とし、熱処理時間を6時間程度とする。また、SiH4ガスの流量、C38ガスの流量、およびHClガスの流量を、それぞれ、例えば36sccm(standard cubic centimeter per minute)、12sccmおよび6sccmとする。これによって、SiC膜の原料ガスによってトレンチ3の開口部が塞がって各トレンチ3がボイドになり、エッチング効果のあるガスによってトレンチ3の側壁(ボイドの側壁)が抉られてボイド間が繋がる。
結晶方位[11-20]とトレンチ3の形成方向とのずれ量(結晶方位[11-20]とトレンチ3の形成方向とのなす角度)が大きくなるほど、トレンチ3の側壁がエッチング効果のあるガスによって抉られる量が大きくなる。トレンチ3の側壁がエッチングされると、トレンチ3ごとに微細な空洞(ボイド)が発生する。結晶方位[11-20]とトレンチ3の形成方向とのずれ量が大きくなると、トレンチ3の側壁が抉られる量が大きくなり、互いに隣り合うボイド間が繋がりやすくなる。
このようにして、SiC支持基板1上にSiC膜5をエピタキシャル成長させてなるSiCONウェハ22が作製される。SiC膜5のエピタキシャル成長中に、トレンチ3の開口部付近でトレンチ3の側壁に対して斜め方向にSiC膜5が成長して各トレンチ3の開口部がそれぞれ塞がってボイドが形成されるとともに、トレンチ3の側壁(ボイドの側壁)がエッチングされて同一の領域区分4内すべてのトレンチ3同士が繋がる。例えば、n+型エピタキシャル層31がトレンチ3の開口部を塞ぐ閉塞エピ膜となる。
これによって、SiCONウェハ22の内部に、SiC支持基板1とSiC膜5との界面を跨ぐように、各領域区分4にそれぞれ1つの空洞6が形成される。領域区分4ごとに空洞6を形成することができるため、SiCONウェハ22の内部に複数の空洞6を同時に形成可能である。空洞6は、複数のトレンチ3同士が繋がることでSiC支持基板1のおもて面に平行な方向に長い平板状の断面形状となる。空洞6は、SiCONウェハ22の端部(側面)に達して一部が開いた断面形状となってもよい。
空洞6の高さt3は、トレンチ3の深さd1によって適宜変更可能であり、例えば10μm以上程度である。空洞6の、トレンチ3の短手方向に平行な方向の長さx1は、SiC支持基板1の領域区分4に形成するトレンチ3の数によって適宜変更可能である。空洞6の、トレンチ3の長手方向に平行な方向の長さは、トレンチ3の長手方向の長さによって適宜変更可能である。SiC支持基板1の領域区分4のサイズを調整することで、同一の領域区分4に形成可能なトレンチ3の最大数やトレンチ3の形成方向の最大の長さなどが決まり、領域区分4に形成可能な空洞6の最大サイズを適宜変更可能である。
また、上述したように互いに隣り合う領域区分4間の最短距離w3が同一の領域区分4内で互いに隣り合うトレンチ3間の間隔w2よりも広いことで、互いに隣り合う領域区分4の空洞6同士は繋がらない。互いに隣り合う空洞6間には、SiC膜5およびSiC支持基板1が柱状に残ってSiCピラー(半導体ピラー)7が形成される。空洞6の内部に露出するSiC膜5の表面(空洞6の上面)は、所定デバイスが作製される半導体ウェハ(以下、SiCウェハとする)25(図8参照)の裏面となる。
SiCピラー7は、後述するステップS3およびステップS4の処理時に変形しない(空洞6が潰れない)程度に機械的強度を有し、かつ後述するステップS5の処理によって上下に分断(SiC膜5側とSiC支持基板1側とに分断)可能な幅に設定される。SiCピラー7の幅は、領域区分4の配置によって適宜設定可能である。SiCピラー7の高さは、空洞6の高さt3と同程度である。SiCピラー7は、ステップS5の処理によって上下に分断されることで、SiCウェハ25の裏面と分離後のSiC支持基板26(図8参照)のおもて面とに残る。
SiCピラー7の配置は任意に設定可能であるが、SiCチップ30(図17参照)に残ったSiCピラー7はSiCチップ30の内部抵抗(基板抵抗)となる。このため、SiCピラー7がSiCチップ30の外周部(SiCチップ30の端部と活性領域との間の部分)に位置するように、SiC支持基板1の領域区分4の配置が設定されてもよい。SiCピラー7がSiCチップ30の主電流が流れる中央の活性領域から外れた外周部に位置することで、SiCチップ30に作製される所定デバイスのオン抵抗を低減させることができる。
具体的には、SiCピラー7をSiCチップ30の外周部に位置させるには、例えば、SiC支持基板1の領域区分4を、SiCウェハ25の各チップ領域に対応する部分にそれぞれ1つずつ配置すればよい。領域区分4のサイズは、チップ領域の活性領域に対応する部分の全域を含むサイズとする。これによって、SiCONウェハ22においてSiCウェハ25の各チップ領域に対応する部分に、それぞれSiCチップ30の活性領域のサイズ以上のサイズである1つの平板状の断面形状の空洞6を形成することができる。
SiCウェハ25の各チップ領域に対応する部分にそれぞれ活性領域のサイズ以上のサイズの1つの空洞6が形成されることで、SiCピラー7は、SiCウェハ25の各チップ領域の外周部(チップ領域の端部と活性領域との間の部分)に対応する部分か、またはSiCウェハ25のダイシングラインに対応する部分に形成される。これによって、SiCピラー7がSiCチップ30の活性領域に配置されないため、SiCチップ30に作製される所定デバイスの内部抵抗を低減させることができる。
チップ領域とは、所定デバイスが作製される後述するSiCウェハ25がダイシングラインに沿って切断されることで個片化されSiCチップ30となる部分である。チップ領域は、例えば、略矩形状の平面形状を有し、SiCウェハ25にマトリクス状に複数配置される。ダイシングラインは、互いに隣り合うチップ領域間に、チップ領域の周囲を囲む格子状に形成される。活性領域は、SiCチップ30に作製された所定デバイスがオン状態のときに主電流が流れる領域であり、例えば略矩形状の平面形状を有する。
上述したSiCONウェハ22の形成方法は、トレンチ3をSiC支持基板1に形成すること以外は上記特許文献1,2と同様である。本実施の形態1においては、後述するようにSiCONウェハ22は空洞6を境としてSiCウェハ25とSiC支持基板1とに分離されるため、SiCウェハ25に作製される所定デバイスにSiC支持基板1が含まれない。SiCONウェハ22の分離後に、SiC膜5の、SiC支持基板1(分離後のSiC支持基板26:図8参照)に残る部分は廃棄される。
したがって、分離後のSiC支持基板26に可能な限りSiC膜5が残らないことがよい。仮に、トレンチ3をSiC膜5に形成した場合、SiC膜5の内部に空洞6が形成される可能性が高い。この場合、SiC支持基板1と空洞6との間にSiC膜5が存在するため、分離後のSiC支持基板26のおもて面の全面にSiC膜5が残る。分離後のSiC支持基板26上に残るSiC膜5の厚さ分だけ余分に厚くSiC膜5をエピタキシャル成長させたこととなるため、材料コストが高くなるとともに、かつ処理時間が長くなる。
本実施の形態1のようにトレンチ3をSiC支持基板1に形成することで、SiC支持基板1とSiC膜5との界面を跨ぐように空洞6が形成される。SiC支持基板1と空洞6との間にSiC膜5が存在しないため、SiC膜5の、分離後のSiC支持基板26のおもて面に残る破棄される部分を少なくすることができる。また、SiC膜5を必要な厚さ分(エピタキシャル層31,32の厚さ分)だけエピタキシャル成長させればよい。このため、処理時間やSiC膜5の材料コストを低減させることができる。
また、SiC支持基板1とSiC膜5との界面を跨ぐように空洞6が形成されることで、SiC膜5のエピタキシャル成長中にSiC支持基板1とSiC膜5との界面(SiC支持基板1の基底面)からSiC膜5中に成長する結晶欠陥が空洞6によって遮断される。このため、SiC膜5中の結晶欠陥密度を低減させることができる。SiC膜5の空洞6上の部分の厚さt2がSiCウェハ25の厚さとなる。SiCウェハ25の厚さは、例えば20μm程度と比較的に薄くなる。
SiC膜5としてn+型ドレイン領域71となるn+型エピタキシャル層31をエピタキシャル成長させることに代えて、後述するステップS5の処理後、後述するステップS6の処理前に、ステップS5の処理で分離されるSiCウェハ25の裏面へのイオン注入によりn+型ドレイン領域71を形成してもよい。SiC膜5の厚さや、SiC膜5の積層構造、SiC膜5の積層構造を構成するエピタキシャル層の導電型および不純物濃度は、SiCウェハ25の利用用途に応じて適宜決定すればよく、特に限定しない。
次に、図6に示すように、SiCONウェハ22のおもて面側に、一般的な方法により、ゲート構造、おもて面電極、層間絶縁膜およびパッシベーション膜等の所定のおもて面素子構造8を形成する(ステップS3:第3工程)。ここでは、SiCONウェハ22は、SiC膜5側の主面をおもて面とし、SiC支持基板1側の主面を裏面とする。おもて面素子構造8は、SiCウェハ25の各チップ領域に対応する部分にそれぞれ形成される。図6には、おもて面素子構造8の一部を図示し、残りの各部を図示省略する。
次に、図7に示すように、SiCONウェハ22のおもて面に接着剤層23を介してガラス支持基板24を貼り付けて、SiCONウェハ22のおもて面の全面をガラス支持基板24に固定する(ステップS4:接着工程)。ガラス支持基板24は、例えばSiC支持基板1の直径以上の直径を有する略円形の平面形状のガラス板である。接着剤層23は、後述する半田層13のリフロー時の加熱温度で変質しない耐熱性を有する接着剤か、または半田層13がリフローを始める低温度で接着力が弱くなる接着剤で形成される。
次に、図8に示すように、空洞6を境にして、SiCONウェハ22を、ガラス支持基板24に固定された部分(上部)と、SiC支持基板1(下部:以下、分離後のSiC支持基板26とする)と、に分離する(ステップS5:分離工程)。SiCONウェハ22のうち、ガラス支持基板24に固定された部分は、SiC膜5(エピタキシャル層31,32)で構成され、所定デバイス(後述する炭化珪素半導体装置10:図17,32参照)が作製されるSiCウェハ25となる。SiCウェハ25の直径は、例えばSiC支持基板1の直径と略同じである。
SiCウェハ25は、ガラス支持基板24に固定された主面をおもて面とし、SiC膜5側の主面(n+型エピタキシャル層31の表面)を裏面とする。SiCウェハ25の裏面には、SiCピラー7の残部による凹凸が生じている。SiC支持基板1は、SiCウェハ25に残らないか、またはSiCピラー7の部分にわずかに残る程度である。分離後のSiC支持基板26のおもて面には、SiCピラー7の残部による凹凸が生じている。分離後のSiC支持基板26は、再利用可能である。分離後のSiC支持基板26の再生方法(図19,20参照)については後述する。
ステップS5の処理においては、例えば加圧ポンプで加圧した水をノズルから噴射して対象物に衝突させることで対象物を切断するウォータージェット法を用いる。具体的には、図9に示すように、SiCONウェハ22の裏面をステージ(不図示)に吸着保持させ、例えば20MPa以上60MPa以下程度に加圧した水43を中空円柱状のノズル41を通して噴射しSiCONウェハ22の側面(端部)からSiCONウェハ22の空洞6に対向する部分に衝突させることで、SiCピラー7を略中間の高さ位置で上下に分断する。
このとき、SiCONウェハ22は、SiCONウェハ22の中心を基準として円周方向に回転40させる。これによって、加圧した水43をSiCONウェハ22の側面の全周にわたって衝突させることができ、SiCONウェハ22の側面に最も近いSiCピラー7からSiCONウェハ22の中心側のSiCピラー7まで順次すべてのSiCピラー7が分断される。すべてのSiCピラー7が分断されることで、SiCONウェハ22がSiCウェハ25とSiC支持基板26とに分離される。
ノズル41は、筒状であり、開口部42がSiCONウェハ22の側面から空洞6に対向するようにSiCONウェハ22の側面に対向する位置に配置される。ノズル41の開口部42の直径φ1は、例えば100μm以下程度であり、SiCONウェハ22の空洞6の高さt3よりも広くてもよいし狭くてもよい。ノズル41の中心軸(ノズル41の開口部42の中心)は、SiCONウェハ22の空洞6の中間の高さ位置(すなわちSiCピラー7の中間の高さ位置)に一致させることがよい。
ノズル41から噴出する水43は、SiCONウェハ22の側面に最も近いSiCピラー7からその奥のSiCピラー7へと順次分断しながら流速を減衰していき、少なくともSiCONウェハ22の中心に達する。図9には、水43の水流方向を左向きの矢印で示す(図10~11においても同様)。空洞6が一部開いた断面形状である場合、空洞6の一部開いた部分が空洞6への水43の侵入経路や空洞6内の水43の排出経路となり、SiCウェハ25に局所的に圧力がかかることを抑制することができる。
また、図10に示すように、ノズル44の開口部45の直径φ2を例えば40μm以下程度と狭くすることで、ノズル44から噴出する水43の径を絞ってもよい。空洞6の高さ(すなわちSiCピラー7の高さ)t3は10μm以上程度であり、SiC膜5の空洞6上の部分の厚さt2は15μm以上程度である。空洞6の中間の高さ位置から接着剤層23までの距離は20μm以上となるため、ノズル44の開口部45の直径φ2が40μm以下であれば、空洞6の中間の高さ位置に中心軸を一致させたノズル44の開口部45は接着剤層23に対向しない。
このようにSiCONウェハ22の空洞6の中間の高さ位置に中心軸を一致させたノズル44から噴出する水43の径を絞ることで、比較的脆弱な接着剤層23に水43が当たらないため、接着剤層23の崩れやガラス支持基板24の剥離を防止することができる。ノズル44の開口部45の直径φ2は、SiCONウェハ22の空洞6の高さt3以下であってもよい。ノズル44を用いたSiCONウェハ22の分断方法は、ノズル44の開口部45の直径φ2を狭くした以外は図9のノズル41を用いる場合と同様である。
また、図11に示すように、ノズル41から噴出する水43がSiCONウェハ22の側面に到達するまでの間に、当該水43を略円形の平面形状のスリット(微小孔)47に通すことでその噴出径を絞ってもよい。スリット47の直径(幅)φ3は、例えば40μm以下程度である。スリット47は、例えば、SiCONウェハ22の側面とノズル41との間に配置した、水43の衝突に耐え得る硬質材料の平板46に形成される。スリット47の中心は、SiCONウェハ22の空洞6の中間の高さ位置に一致させることがよい。
また、図12に示すように、ガラス支持基板29に設けた凹部28にSiCONウェハ22の空洞6よりもSiC膜5側の部分が収容されるように、SiCONウェハ22のおもて面に接着剤層23を介してガラス支持基板29を貼り付けてもよい。ガラス支持基板29はSiCONウェハ22の空洞6よりもSiC膜5側の部分を囲み、ガラス支持基板29の凹部28の開口端(ガラス支持基板29の下端)はSiCONウェハ22の側面でSiC膜5に対向する。ガラス支持基板29の凹部28には接着剤層23が充填される。
ガラス支持基板29によってSiCONウェハ22の空洞6よりもSiC膜5側の部分が囲まれているため、ノズル41から噴出された水43の一部はガラス支持基板29によって遮られてSiCONウェハ22に達しない。すなわち、ガラス支持基板29によってノズル41から噴出された水43の径が絞られ、ノズル41から噴出された水43を、ガラス支持基板29の下端よりも下の部分でSiCONウェハ22の側面から空洞6に対向する部分に衝突させることができる。
ガラス支持基板29の凹部28の内部にSiCONウェハ22の一部が収容されるようにSiCONウェハ22のおもて面に接着剤層23を介してガラス支持基板29を貼り付けるには、例えば、図13に示すように、SiCONウェハ22を内部に収容可能な高さ調整のためのスペーサー48を用意する。スペーサー48の上面は、SiCONウェハ22の空洞6の上面よりも高い位置にある。スペーサー48は、ガラス支持基板29の直径と略同じ直径の中空円柱状であり、上面でガラス支持基板29の外周全周を保持する。
スペーサー48の内部に裏面を下にしてSiCONウェハ22を収容し、SiCONウェハ22のおもて面に接着剤を塗布した後、ガラス支持基板29によってスペーサー48の中空部を塞ぐように、凹部28を下にしてガラス支持基板29の外周をスペーサー48に載せて押し付ける。これによって、ガラス支持基板29の凹部28の内部にSiCONウェハ22の空洞6よりもSiC膜5側の部分を収容した状態で、SiCONウェハ22のおもて面に接着剤層23を介してガラス支持基板29を貼り付けることができる。
図11,12に示すSiCONウェハ22の分離方法においては、図9と同様のノズル41を用いることができる。上述したように、SiCONウェハ22の側面とノズル41との間に配置したスリット47(図11)や、接着剤層23を保護するように凹部28を設けたガラス支持基板29(図12)によっても、ノズル41から噴出された水43の径を絞ることができるため、ノズル41の開口部42の直径φ1が40μm超であっても、接着剤層23の崩れやガラス支持基板24,29の剥離を防止することができる。
ステップS5の処理において、ウォータージェット法(SiCピラー7に水43を衝突させること)に代えて、SiCピラー7に機械的ストレス(応力)を与えてもよい。SiCピラー7を機械的ストレスによって上下に分断(SiCウェハ25側とSiC支持基板26側とに分断)する方法として、例えば、超音波振動を与えてSiCピラー7を上下に分断する方法や、レーザー光照射によるレーザーアブレーションによって形成したダメージ層を境にSiCピラー7を上下に分断する方法が挙げられる。
次に、図14に示すように、SiCウェハ25の裏面(SiC支持基板26との分離面)上に図示省略するモリブデン(Mo)膜やニッケル(Ni)膜を形成してレーザーアニールすることによってシリサイド化して、SiCウェハ25の裏面にオーミック接触するシリサイド膜を形成する。さらに、SiCウェハ25の裏面のシリサイド膜上に金属膜9を形成する(ステップS6:第4工程)。金属膜9は、最表面がNi膜であり、例えばNi膜の単層構造か、またはチタン(Ti)膜およびNi膜をこの順に積層した2層構造とする。
金属膜9の表面には下層のSiC膜5の表面(SiC支持基板26との分離面)に残るSiCピラー7に応じた凹凸が生じるが、金属膜9の表面の凹凸は後述するようにステップS7の処理において半田層13(図15参照)に埋もれる。このため、SiCウェハ25の裏面を研磨せず、SiCウェハ25の裏面にSiCピラー7を残したままでもよい。ステップS5のSiCウェハ25の分離後に、SiCウェハ25の裏面をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)等により平坦化してもよい。
次に、図15に示すように、SiCウェハ25の裏面上の金属膜9に、半田層13を介してアルミニウム(Al)支持基板(金属支持基板)11を半田接合する(ステップS7:接合工程)。図15では、金属膜9および半田層13を1層で図示する。Al支持基板11は、例えばSiCウェハ25の直径以上の直径を有する略円形の平面形状のAl板である。Al支持基板11の少なくとも両主面は、めっき処理等により半田濡れ性の高いNi膜(ニッケルめっき膜)12で覆われている。図15には、Al支持基板11の全表面を覆うNi膜12を示す。
Al支持基板11のおもて面のNi膜12上には、SiCウェハ25の接合前に予め半田を塗布し、Al支持基板11のおもて面に当該半田による半田層13を介してSiCウェハ25の裏面(金属膜9の表面)を押し付けた状態で、Al支持基板11を加熱して半田層13をリフローさせる。これによって、SiCウェハ25の裏面の金属膜9とAl支持基板11のおもて面とが半田層13を介して半田接合(圧着)される。金属膜9の表面にSiCピラー7によって生じた凹凸は、50μm以上の厚さの半田層13に埋もれる。
Al支持基板11は、SiCウェハ25に作製される所定デバイスの裏面電極となるとともに、SiCウェハ25の機械的強度を高くする機能を有する。Al支持基板11の厚さt4は、例えば100μm以上500μm以下程度であり、従来スパッタ等により形成されるAl電極層の厚さ(通常5~10μm程度)よりも厚い。このため、従来方法よりもSiCウェハ25の機械的強度を高くすることができる。Al支持基板11の厚さt4が500μm以下であれば、以降の工程において既存の製造装置を用いることができる。
Al支持基板11の厚さt4を厚くするほど、Al支持基板11の主面(後述する絶縁基板16との接合面:図18参照)からの放熱性が低くなり、かつダイシング困難となるが、Al支持基板11の側面からの放熱性が高くなる。このため、Al支持基板11の側面からの放熱性を高くする場合、Al支持基板11の厚さt4は最大で1mm程度であることがよい。裏面電極となる金属支持基板は、熱伝導率が高くかつ加工容易であればよく、Al支持基板11に代えて銅(Cu)等を金属材料とした金属支持基板を用いてもよい。
次に、図16に示すように、例えばガラス支持基板24および接着剤層23を有機溶剤に浸漬して接着剤層23を溶融することで、SiCウェハ25からガラス支持基板24を剥離する(ステップS8:剥離工程)。ステップS8の処理において、SiCウェハ25からガラス支持基板24を物理的に剥離してもよい。物理的剥離とは、加熱して接着剤層23を熱劣化させたり柔らかくしたりすることで剥離することである。例えば、半田層13がリフローを始める低温度で接着力が弱くなる接着剤を用いて接着剤層23が形成されてもよい。
半田層13がリフローし始める低温度で接着力が弱くなるような接着剤を用いて接着剤層23が形成されている場合、ステップS7の処理において、半田層13がリフローし始める低温度で、SiCウェハ25とAl支持基板11とを半田層13を介して仮接合するとともに、SiCウェハ25とガラス支持基板24とを接着する接着剤層23の接着力を弱くしてからステップS8の処理を行い、その後、所定温度で半田層13をリフローしてSiCウェハ25とAl支持基板11とを完全に半田接合してもよい。
次に、SiCウェハ25の電気特性試験をウェハ状態のまま行う(ステップS9)。SiCウェハ25の電気特性試験としては、素子のオン電圧、しきい電圧および各端子間のリーク電流等を評価し、規格から外れ異常と判断したSiCチップ30をスクリーニングする試験が挙げられる。
次に、Al支持基板11の裏面にダイシングテープ(不図示)を貼り付ける。ダイシングテープは、Al支持基板11の直径と略同じ直径の略円形の平面形状を有する。ダイシングテープは、シート状の基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成されてなり、粘着剤層によってAl支持基板11に貼り付けられる。ダイシングテープの基材は、例えば、放射線透過性を有するプラスチックフィルムである。粘着剤層は、例えば、紫外線や電子線などにより硬化する放射線硬化型の粘着剤で形成される。
次に、図17に示すように、ダイシングテープ側の面を下にしてSiCウェハ25をステージ(不図示)に載置して、SiCウェハ25をダイシングラインに沿ってダイシング(切断)して個々のSiCチップ30に個片化する(ステップS10)。ダイシングテープを用いることによって、ダイシングブレードによってダイシングテープに切り込みが入るようにSiCウェハ25のおもて面からSiCウェハ25を深さ方向に貫通する深さまで切断する切削加工(フルカット)を採用することができる。
次に、ダイシングテープからSiCチップ30をピックアップする。このとき、例えば、放射線照射によりダイシングテープの粘着剤層を硬化させて粘着性を低下させることで、ダイシングテープからのSiCチップ30の剥離が容易となる。これによって、SiCチップ30は、おもて面側に炭化珪素半導体装置10の所定のおもて面素子構造8が形成され、裏面に裏面電極となるAl支持基板11を有する。SiCチップ30とAl支持基板11との間の金属膜9の内部にSiCピラー7が残っていてもよい。
次に、SiCチップ30の電気特性試験を行う(ステップS11)。ステップS11の処理において、例えば、一般的な信頼性試験によってSiCチップ30のオン電圧特性や耐圧特性、リーク電流特性等の電気特性を検査する。次に、図18に示すように、一般的なモジュール組立工程により、SiCチップ30の裏面のAl支持基板11(Al支持基板11の裏面のNi膜12)を回路基板17のおもて面の導電性板15に半田層14を介して半田接合する(ステップS12)。
これによって、回路基板17のおもて面上に1つ以上のSiCチップ30を実装した半導体モジュールが完成する。SiCチップ30の半田層14のリフロー時の温度は、例えば290℃以上300℃以下程度である。回路基板17は、絶縁基板16の両面にそれぞれ導電性板を有する積層基板である。図18には、絶縁基板16のおもて面の導電性板15のみを示す。導電性板15は、絶縁基板16のおもて面に1つ以上接合されて所定の回路パターンをなす銅(Cu)箔である。
導電性板15は、例えば、直接接合(Direct Copper Bonding)法を用いて絶縁基板16に直接接合されてもよい。絶縁基板16の裏面の導電性板(不図示)は、絶縁基板16の裏面の全体に形成された金属箔である。絶縁基板16の裏面の導電性板は、放熱板である金属ベース基板(不図示)のおもて面にはんだ接合されている。絶縁基板16の材料は、電気絶縁性や熱伝導性に優れた材料であり、例えばアルミナ(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)などが挙げられる。
金属ベース基板の裏面は、冷却ベース部(不図示)に接合されてもよい。冷却ベース部には、複数の放熱フィン部(不図示)が櫛歯状に設けられている。SiCチップ30や回路基板17の回路パターン(導電性板15)で発生した熱は、冷却ベースを介して放熱フィン部(不図示)へ伝導され放散される。金属ベース基板の周縁に樹脂成形されたケース(不図示)の下端が接着され、SiCチップ30がケース内に収容される。SiCチップ30は、ケースに一体成形された外部接続用端子(不図示)に電気的に接続される。
次に、上述したステップS5の処理で分離されたSiC支持基板26の再生方法について、図19,20を参照して説明する。まず、図20に示すように、一般的なラッピング装置(シート状の基材に比較的粗い研磨材が接着されてなる例えば研磨布やサンドペーパー等)を用いて、SiC支持基板26のおもて面(SiCウェハ25との分離面)を比較的早い速度で粗研磨(ラッピング)することで、SiC支持基板26のおもて面に残るSiCピラー7の残部による突起(凸部)を除去する(ステップS21)。
ステップS21の処理によるSiC支持基板26のおもて面の研磨量(研磨により除去される厚さ)は例えば10μm程度である。これによって、SiC支持基板26のおもて面のSiCピラー7による5μm程度の高さの突起が比較的短時間で除去される。図20に示す下向きの矢印がSiC支持基板26の研磨方向である。SiC支持基板26の両主面をラッピングしてもよい。この場合、SiC支持基板26の両主面の研磨量はそれぞれ10μm程度であり、SiC支持基板26の厚さは合計で20μm程度薄くなる。
SiC支持基板26の裏面には、上述した実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図1~18参照)の製造工程中に堆積物(デポ)等の異物が付着する場合がある。この場合、SiC支持基板26の裏面を各種製造装置でステージに吸着保持することができない虞がある。ステップS21の処理においてSiC支持基板26の裏面をラッピングすることで、SiC支持基板26の裏面の異物等が除去され、SiC支持基板26の裏面を各種製造装置のステージに吸着保持可能な状態にすることができる。
次に、一般的な研磨装置を用いて、SiC支持基板26の中心を基準として円周方向に回転させたSiC支持基板26のおもて面にダイヤモンドスラリー(水または油などの液体に粒子状の微小なダイヤモンドを混ぜた研磨剤)を滴下し、SiC支持基板26のおもて面に回転する研磨盤を押し付けることで、SiC支持基板26のラッピング加工されたおもて面を研磨(ポリッシング)して平坦化する(ステップS22)。ステップS22の処理によるSiC支持基板26のおもて面の研磨量は例えば2μm程度である。
次に、CMPによりSiC支持基板26のおもて面を研磨して、SiC支持基板26のおもて面にポリッシング加工により生じたダメージ層を除去するとともに、SiC支持基板26のおもて面を最終的な平坦面にする(ステップS23)。ステップS23によりSiC支持基板26を再生後、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図1参照)でのウェハ流動に用いる。SiC支持基板26のステップS23の処理後に残る部分(以下、再生後のSiC支持基板とする)27は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図1参照)でのウェハ流動に機械的に耐えられない程度に薄くなるまで、ステップS21からステップS23までの処理を繰り返し行ってステップS1の処理においてSiC支持基板1として繰り返し利用される。
再生後のSiC支持基板27の外周を面取してベベル形状にしてもよい。ステップS23の処理によるSiC支持基板26のおもて面の研磨量は例えば0.5μm程度である。SiC支持基板26のおもて面の総研磨量(厚さ)t11は、ステップS21の処理が片面ラップの場合に12.5μm程度であり、ステップS21の処理が両面ラップの場合に22.5μm程度である。SiC支持基板1のうち、SiCONウェハ22の作製に使用される部分の厚さ(トレンチ3の深さd1に相当)は25μm程度である。
したがって、ステップS1からステップS5までの処理(SiCウェハ25の製造工程:図1)と、ステップS21からステップS23までの処理(分離後のSiC支持基板26の再生工程:図19)と、を一巡することで、SiC支持基板1(再生後のSiC支持基板27)の総消失量は最大で47.5μm程度である。SiC支持基板1は、再生後の厚さt12が300μm以上程度であればウェハ流動に機械的に耐え得るため、初期の厚さt1が500μm程度である場合に最低でも計5回使用可能である。
以上、説明したように、実施の形態1によれば、SiC支持基板を用いて作製したSiCONウェハからSiC膜の部分を分離して、所定デバイスを作製するためのSiCウェハとする。SiCウェハは、SiC支持基板を含まないか、またはほぼ含まない。このため、分離後のSiC支持基板の総消失量は少ない。分離後のSiC支持基板はウェハ流動に機械的に耐えられない薄さになるまで繰り返し再利用することができ、SiC支持基板を繰り返し再利用した回数分だけ、材料コストを低減させることができる。
例えば、SiC支持基板上に所定のエピタキシャル層をエピタキシャル成長させた半導体ウェハをDISCO(登録商標:ディスコ)社のKABRA(登録商標:カブラ)技術を用いて、SiC支持基板とSiCウェハとに分離する場合、半導体ウェハの主面からSiC支持基板内の所定深さにレーザー照射により発生させた複数のクラックを半導体ウェハのおもて面に平行な方向につなげて分離層(KABRA層)を形成し、当該分離層を起点としてSiC支持基板とSiCウェハとに分離(スライシング)する。
このKABRA技術を用いる場合、半導体ウェハに照射したレーザーが乱反射すると分離層を形成することができないため、レーザーが乱反射しないように、SiC支持基板の外周を面取りしてベベル形状にする必要がある。このため、再生後のSiC支持基板を用いる場合、SiC支持基板の外周を面取りするための加工工程が増える。また、半導体ウェハの主面に素子構造が形成されている場合、半導体ウェハに照射したレーザーが素子構造で乱反射して分離層を形成することができない虞がある。
また、KABRA技術を用いる場合、レーザー照射によりSiC支持基板内に形成されるクラックによる分離層の厚さが190μm程度となり、SiC支持基板が分離層の厚さ分だけ消失してしまう。一方、実施の形態1によれば、SiC支持基板1の総消失量(厚さ)は、上述したようにSiC支持基板のおもて面の総研磨量と、SiCONウェハの作製に使用される部分の厚さと、を合わせて47.5μm程度であり、SiC支持基板の再利用回数を増やすことができるため、材料コストを低減させることができる。
また、例えば、SiCOXS(登録商標:サイコックス)社やSoitec(登録商標:ソイテック)社では、水素イオン注入により内部に脆弱層を形成したSiC単結晶基板にSiC多結晶基板を貼り合わせた後に当該脆弱層を除去することで、この貼り合わせ基板からSiC多結晶基板を含むSiCウェハを分離している。一方、実施の形態1によれば、高価なSiC多結晶基板を用いずに、安価なAl支持基板を用いてSiCONウェハから分離したSiCウェハの機械的強度を高くすることができる。
例えば、SiCウェハ表面にプローブ針を接触させて素子構造の電気特性を検査する際にSiCウェハの破損が低減されることが本発明者により確認されている。また、実施の形態1によれば、安価なAl支持基板を用いてSiCウェハの機械的強度を高くすることで、材料コストを低減させることができる。また、SiCウェハの機械的強度が高くなることで、SiCウェハの割れや折れ、クラック等の破損を低減することができる。これにより、チップ単価を低減させることができる。
また、実施の形態1によれば、SiCウェハ裏面を平坦化することなく、SiCウェハの裏面にSiCピラーを残したまま、裏面電極となるAl支持基板を半田接合することができる。また、SiCONウェハの空洞となるトレンチのレイアウトを適宜調整することで、SiCチップの裏面にSiCピラーが残らないか、またはSiCチップの内部抵抗の増加が抑制される位置にSiCピラーを配置することができる。さらに、SiCチップにSiC支持基板を用いないので、SiCチップのオン抵抗等の電気特性を改善し、かつ工程数を少なくして製造コストを低減させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。図21は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。図22,23は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。図22,23には、それぞれ図21のステップS37,S38の状態を示している。図21のステップS31~S36の処理は、それぞれ実施の形態1のステップS1~S6の処理と同じである。
図21のステップS39~S43の処理は、それぞれ実施の形態1のステップS8~S12の処理と同じである。図21のステップS31の状態は、実施の形態1の図2~4と同様である。図21のステップS32~S36の状態は、それぞれ実施の形態1の図5~8,14と同様である。図21のステップS39,S41,S43の状態は、それぞれ実施の形態1の図16~18の金属膜9の断面形状およびNi膜12をそれぞれ図23の金属膜9の断面形状およびNi膜(ニッケルめっき膜)18に代えたものである。
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図1参照)と異なる点は、SiCウェハ25の裏面とAl支持基板11のおもて面との接合方法を、半田接合に代えて常温接合とした点である。常温接合とは、接合する両対象部材の表面(接合面)に超高真空下において常温(例えば25℃程度)でアルゴン(Ar)イオンリミングを行うことで表面酸化膜(酸化アルミニウム(Al23)膜)を除去してから当該対象部材同士を常温下で直接接合することである。
Arイオンリミングとは、Arイオン照射により表面を削る(Arスパッタ)またはArイオン照射によって表面をエッチングすることによって対象部材表面の結晶原子の結合を切断して、対象部材表面に結晶原子の未結合手(ダングリングボンド)を形成する(結晶原子を活性状態にする)ことである。
常温接合時、SiCウェハ25の裏面とAl支持基板11のおもて面とを押し付けるように、SiCウェハ25およびAl支持基板11に圧力をかける(圧着する)ことが望ましい。SiCウェハ25の裏面とAl支持基板11のおもて面とを押し付ける圧力は、例えば、0.1MPa以上10MPa以下程度であることがよい。Arイオンリミング時の温度と、SiCウェハ25の裏面とAl支持基板11のおもて面とを接触させるときの温度と、を常温よりも高くしてもよい。
具体的には、実施の形態2においては、まず、ステップS31からステップS36までの処理をそれぞれ実施の形態1のステップS1からステップS6までの処理と同様に行う。ステップS36の処理において形成する金属膜9は、最表面がAl膜であり、例えばAl膜の単層構造か、またはチタン膜およびAl膜をこの順に積層した2層構造とする。次に、図22に示すように、金属膜9の表面には下層のSiC膜5の表面に残るSiCピラー7に応じて生じた凹凸を除去して、金属膜9の表面を平坦化する(ステップS37)。
ステップS37の処理によって、金属膜9の表面の中心線平均粗さRa(JISB0601に規定)が1μm四方の単位面積当たり0.7nm以下になるまで、金属膜9の表面を平坦化することがよい。金属膜9の表面の中心線平均粗さRaが上記範囲内になればよく、ステップS37において金属膜9の表面にラッピング、ポリッシングおよびCMPをこの順に行ってもよいし、金属膜9の表面の凹凸が小さい場合にはラッピングやポリッシングを省略してもよい。金属膜9の表面にSiCピラー7が露出されてもよい。
ステップS37の処理に代えて、ステップS35の処理後、SiCウェハ25の裏面をラッピングしてSiCピラー7の残部を除去し、続けてポリッシングおよびCMPをこの順に行ってSiCウェハ25の裏面を平坦化してから、SiCウェハ25の裏面にオーミック接触するシリサイド膜を形成する工程と、シリサイド膜上に金属膜9を形成する工程(ステップS36の処理)と、を行ってもよい。この場合においても、金属膜9の表面の中心線平均粗さRaが上記範囲内になっていればよい。
次に、SiCウェハ25の裏面とAl支持基板11のおもて面とを常温接合する(ステップS38)。ステップS38の処理において、Al支持基板11のおもて面(SiCウェハ25との接合面)はAl表面であり、中心線平均粗さRaが1μm四方の単位面積当たり0.7nm以下の範囲内である。Al支持基板11の裏面は、めっき処理等によりNi膜18で覆われている。Ni膜18で全表面が覆われたAl支持基板11を、おもて面のみNi膜18を除去してAl表面を露出させてから用いてもよい。
金属膜9の表面(接合面)およびAl支持基板11のおもて面(接合面)の中心線平均粗さRaを上記範囲内にすることで、SiCウェハ25の裏面とAl支持基板11のおもて面とを常温接合しやすくなる。また、金属膜9の表面およびAl支持基板11のおもて面の中心線平均粗さRaを上記範囲内にすることで、常温接合時にSiCウェハ25の裏面とAl支持基板11のおもて面とを押し付けるようにSiCウェハ25およびAl支持基板11に圧力をかけやすくなる。
その後、ステップS39からステップS43までの処理をそれぞれ実施の形態1のステップS8からステップS12までの処理と同様に行うことで、回路基板17のおもて面上に1つ以上のSiCチップ30を実装した半導体モジュールが完成する。ステップS39の処理において、SiCウェハ25とAl支持基板11とを半田層13を介して常温で局所的に接合してからステップS38の処理を行い、その後、半田層13を所定温度でリフローさせることでSiCウェハ25とAl支持基板11とを完全に半田接合してもよい。
また、上述したステップS35の処理で分離されたSiC支持基板26は、実施の形態1と同様の再生方法(図19,20参照)によっておもて面(SiCウェハ25との分離面)に残るSiCピラー7の残部を除去するとともに平坦化する。再生後のSiC支持基板27は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図21参照)でのウェハ流動に機械的に耐えられない薄さになるまでSiC支持基板1として繰り返し利用される。
以上、説明したように、実施の形態2によれば、素子構造が形成されたSiCウェハと、裏面電極となるAl支持基板と、を常温接合する場合においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。図24は、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。図25は、図24の切断線B-B’における断面構造を示す断面図である。実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図1参照)において、ステップS1の処理で形成するトレンチ3(図2,4参照)のレイアウト条件を設定したものである。
具体的には、実施の形態3においては、まず、実施の形態1と同様にステップS1の処理を行って、SiC支持基板1のおもて面から所定の深さd1(図4参照)のトレンチ3を形成する。図24に示すように、トレンチ3の形成方向(すなわちトレンチ3の長手方向)は、SiC支持基板1のおもて面側から見て結晶方位<1-100>から所定角度ずらした方向であり、SiC支持基板1の各領域区分4(図2参照)に、SiC支持基板1のおもて面側から見てストライプ状に複数のトレンチ3が形成される。
図25の一点鎖線で示す部分は、ボイド55が形成される前までのトレンチ3の断面形状である。上述したように、領域区分4内のトレンチ3は、ステップS2の処理中に開口部が塞がってボイド55となる。このとき、SiC支持基板1およびSiC膜5の、同一の領域区分4内で互いに隣り合うトレンチ3間の柱状に残る部分(以下、トレンチピラーとする)53の短手方向の幅(トレンチ3間の間隔)WPILの条件は、実施の形態1の同一の領域区分4内で互いに隣り合うトレンチ3間の間隔w2(図4参照)と同様である。トレンチ3の短手方向の幅w1(ライン幅)の条件は、実施の形態1と同様である。
互いに隣り合う領域区分4同士のトレンチ3間の最短距離w3(図4参照)の条件は、実施の形態1と同様である。これに加えて、トレンチピラー53の側面54と結晶方位<11-20>とのなす角度α(すなわちトレンチ3の形成方向)は、トレンチピラー53の短手方向の幅WPIL、トレンチピラー53のエピ高さDEPIおよびSiC支持基板1のオフ角βに基づいて下記(2)式を満たす。トレンチピラー53の側面54は、トレンチ3の側壁(長手方向に平行な側壁)である。
Figure 2023172730000003
上記(2)式は、後の工程(ステップS2の処理:図1参照)でSiC支持基板1上にSiC膜5をエピタキシャル成長させる際に、SiC支持基板1の基底面に存在する基底面転位(BPD:Basal Plane Dislocation)51(細い破線)や、SiC支持基板1の基底面からSiC膜5内に拡張する貫通転位(TD:Threading Dislocation)52(細い実線)等の結晶欠陥をトレンチピラー53間に形成される後述するボイド(微細な空洞)55で遮断するための条件である。
貫通転位は、貫通らせん転位(TSD:Threading Screw Dislocation)と、貫通刃状転位(TED:Threading Edge Dislocation)と、に大別される。炭化珪素単結晶であるSiC支持基板1は、貫通らせん転位を300個/cm2~600個/cm2程度、貫通刃状転位を2000個/cm2~5000個/cm2程度、基底面転位を500個/cm2~3000個/cm2程度と、結晶欠陥を多く含む。
これは、SiCチップ30のサイズが例えば5mm四方である場合、SiCチップ30内に、貫通らせん転位が75個/cm2~150個/cm2程度、貫通刃状転位が500個/cm2~1250個/cm2程度、基底面転位が125個/cm2~750個/cm2程度含まれる計算となる。このため、MOSFETの主接合が逆バイアスされるオフ時に結晶欠陥がリーク電流の経路となってリーク電流の増加やアバランシェ降伏が起きる絶縁破壊電界強度の低下を引き起こしたり、MOSFETの主接合の順バイアス時に積層欠陥が成長してオン抵抗が増加したりする等の問題が起きる。
実施の形態3においては、上記(1)式を満たすレイアウト条件でトレンチ3を形成して、SiC支持基板1からSiC膜5への結晶欠陥の拡張を抑制している。SiC支持基板1のオフ角βは、SiC支持基板1のおもて面と基底面とのなす角度であり、例えば4度程度である。これに加えて、ステップS2の処理で空洞6(図5参照)が形成されるように、トレンチ3のレイアウト条件として、トレンチ3の短手方向の幅w1と、トレンチピラー53の短手方向の幅WPILと、が上述した所定条件に設定される。
トレンチピラー53の側面54と結晶方位<11-20>とのなす角度αが2.5度以下である場合、各トレンチをボイド55にすることができるが、互いに隣り合うトレンチ3同士がつながらないことが本発明者により確認されている。一方、トレンチピラー53の側面54と結晶方位<11-20>とのなす角度αが5度以上90度以下程度であれば、互いに隣り合うトレンチ3同士を連結させて平板状の断面形状の空洞6(図5参照)を形成することができることが本発明者により確認されている。
トレンチピラー53のエピ高さDEPIとは、ステップS2の処理でSiC支持基板1上にエピタキシャル成長させるSiC膜5のうち、SiC支持基板1の、互いに隣り合うトレンチ3間の部分(ステップS2の処理前のトレンチピラー)53a上に柱状に成長してトレンチピラー53となる部分(ステップS2の処理で高さが増した部分)53bの高さである。ステップS2の処理前のトレンチピラー53(53a)の高さDTRNは、ステップS2の処理前のトレンチ3の深さd1と等しい。
次に、実施の形態1と同様にステップS2の処理を行って、SiC支持基板1上にSiC膜5をエピタキシャル成長させる。このとき、SiC膜5は、エッチング効果のあるガスによってエッチングされながらエピタキシャル成長する。このため、図25に示すように、SiC膜5は、まず、SiC支持基板1の、互いに隣り合うトレンチ3間の部分(ステップS2の処理前のトレンチピラー)53a上にのみ柱状に成長する。これによって、トレンチピラー53の高さが増して、トレンチ3の深さが深くなる。
トレンチピラー53は、SiC支持基板1の部分53aを下部とし、SiC膜5の部分53bを上部とした2層構造となる。トレンチピラー53の最終的な高さは、ステップS2の処理前のトレンチピラー53(53a)の高さDTRNと、トレンチピラー53のエピ高さDEPIと、の総和である。トレンチピラー53のエピ高さDEPIが所定高さになると、SiC膜5は、横方向へ成長してトレンチ3の開口部を塞ぐ。各トレンチ3の開口部がそれぞれ塞がって、トレンチ3がボイド55となる。
上述したように、トレンチ3が上記(1)式を満たすレイアウト条件で形成されているため、SiC支持基板1からSiC膜5へ拡張する基底面転位51や貫通転位52等の結晶欠陥がボイド55によって遮断される。このため、SiC膜5の、トレンチピラー53となる部分53bを除く部分(後述するステップS5の処理で分離されるSiCウェハ25(図8参照)となる部分)にSiC支持基板1から結晶欠陥が拡張することを抑制することができる。
その後、実施の形態1と同様に、エッチング効果のあるガスによってボイド55の側壁(トレンチピラー53の側面)が抉られることでトレンチピラー53が消失し、同一の領域区分4内のすべてボイド55間が繋がって平板状の断面形状の空洞6(図5参照)が形成される。これによって、空洞6を内部に含むSiCONウェハ22(図5参照)が作製される。その後、実施の形態1と同様に、ステップS3からステップS12までの処理と同様に行うことで、実施の形態1と同様に半導体モジュール(図18参照)が完成する。なお、互いに隣り合う領域区分4同士のトレンチ3間の最短距離w3(図4参照)の条件も、上記(2)式を満たすのがよい。
実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の別例について説明する。図26は、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態の別例を示す平面図である。図26には、SiC支持基板1のおもて面側から見たトレンチ3(ボイド55)およびトレンチピラー53のレイアウトの別例を示す。図27は、図26のSiC膜のエピタキシャル成長時の状態を模式的に示す平面図である。図28は、図27の切断線C-C’における断面構造を示す断面図である。
図26~28に示す実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法が図24,25に示す実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法と異なる点は、SiC支持基板1のおもて面側から見て少なくとも結晶方位<1-100>から所定角度ずらした2方向に延在して格子状をなすトレンチピラー53を配置する点である。トレンチピラー53は、結晶方位<1-100>から所定角度ずらした2方向に延在して格子状をなしていればよく、さらに他の結晶方向に延在する部分を有していてもよい。
例えば、トレンチピラー53が結晶方位<1-100>から所定角度ずらした2方向のみに延在する格子状をなす場合、ステップS1(図1参照)の処理において、平方四辺形状(好ましくは4辺すべての長さの等しいひし形状)の平面形状のトレンチ3をマトリクス状に配置すればよい。図26には、ひし形状の平面形状のトレンチ3を示す。トレンチピラー53が3つ以上の結晶方向に延在して格子状をなす場合、この3つ以上の結晶方向に結晶方位<1-100>が含まれていてもよい。
例えば、トレンチピラー53がストライプ状である場合(図24,25参照)、SiC膜5がトレンチ3の開口部を塞ぐように横方向に成長する際に、トレンチ3の開口部は、トレンチ3の両側壁(トレンチピラー53の両側面54)が徐々に近づくように閉塞していき、最終的にはトレンチ3の略中央の1直線上でほぼ同時に閉塞する。このとき、互いに隣り合うトレンチピラー53間の略中央に、トレンチピラー53が延在する方向に直線状に基底面転位51や貫通転位52等の結晶欠陥が高密度に残る虞がある。
一方、図26~28に示すようにトレンチピラー53を格子状とすることで、SiC膜5は、図28に1点鎖線で示すトレンチ3の開口部を塞ぐように横方向に成長する際に、トレンチ3の各頂点部(図27ではひし形状の平面形状のトレンチ3の4つの頂点)から当該トレンチ3の内側へ向かって(図27,28に白抜き矢印で示す方向)エピタキシャル成長する。このとき、トレンチ3の開口部は、平面形状を維持したまま徐々に面積(表面積)が小さくなるように閉塞していき、最終的にはトレンチ3の略中央の1点で閉塞する。
したがって、閉塞エピ膜(SiC膜5のうち、トレンチ3の開口部を塞ぐ部分)に結晶欠陥が残る部分を、トレンチピラー53に周囲を囲まれてマトリクス状に点在する各部分(図27ではひし形状の平面形状の部分)の略中央の1点に抑制することができる。このため、トレンチピラー53がストライプ状である場合と比べて、結晶欠陥の転位密度を低減させることができる。図27には、トレンチ3の開口部が徐々に閉塞する様子を、トレンチ3内に図示する細線の複数のひし形で示している。
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図21~23参照)に実施の形態3を適用して、ステップS31の処理において形成するトレンチ3のレイアウト条件を実施の形態3と同様に設定してもよい。
以上、説明したように、実施の形態3によれば、実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態3によれば、素子構造が形成されたSiCウェハの転位密度を、従来のSiCウェハと比べて1桁程度低減(すなわち転位密度が1/10倍)させることができる。
(実施の形態4)
実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。図29は、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。図30,31は、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。図30には、図29のステップS51~S53の状態を示している。図29のステップS51~S53の処理は、それぞれ実施の形態1(図19参照)のステップS21~S23の処理と同じである。図31には、図29のステップS55の状態を示している。
実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、SiCONウェハ22からSiCウェハ25を分離した後に残るSiC支持基板1(分離後のSiC支持基板26:図8参照)の再生方法が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図19,20参照)と異なる。具体的には、実施の形態4においては、まず、実施の形態1と同様に、ステップS1からステップS12までの処理と同様に行うことで所定の半導体モジュールを作製する(図1~18参照)。
ステップS5の処理で分離されたSiC支持基板26について、ステップS51からステップS53までの処理をそれぞれ実施の形態1のステップS21からステップS23までの処理と同様に行う(第1再生工程)。図30に示す下向きの矢印がSiC支持基板26の研磨方向である。次に、ステップS23の処理後に残る再生後のSiC支持基板27の厚さt12が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図1参照)でのウェハ流動に機械的に耐えられない厚さであるか否かを判断する(ステップS54)。
ステップS54の処理において再生後のSiC支持基板27の厚さt12がウェハ流動に機械的に耐えられる厚さである場合(ステップS54:No)、実施の形態1と同様にSiC支持基板1として繰り返し利用される。一方、ステップS54の処理において再生後のSiC支持基板27の厚さt12がウェハ流動に機械的に耐えられない程度に薄い場合(ステップS54:Yes)、当該厚さt12の薄い再生後のSiC支持基板27同士を貼り合わせることで1枚のSiC貼り合わせ基板61を作製する(ステップS55:第1貼り合わせ工程)。
例えば、上述したように、ステップS1からステップS5までの処理(SiCウェハ25の製造工程:図1)と、ステップS51からステップS53までの処理(SiC支持基板1(分離後のSiC支持基板26)の再生工程)と、を一巡するごとに、SiC支持基板1(再生後のSiC支持基板27)の厚さは47.5μm程度ずつ薄くなる。SiC支持基板1は、5巡回の再生工程までの総消失量t10が200μmとなり、初期の厚さt1が500μm程度である場合に300μm程度の厚さt12となる。
半導体モジュールの製造工程(ステップS1からステップS12までの処理)はロット(所定の製品個数単位)ごとに行うため、1回の半導体モジュールの製造工程に複数枚のSiC支持基板1が投入され、同じ厚さまで薄くなった分離後のSiC支持基板26(図8参照)が複数枚生じる。このため、これらすべてのSiC支持基板26を再生し、再生後のSiC支持基板27の厚さt12がウェハ流動に機械的に耐えられない厚さ(例えば300μm程度)となったときに、ステップS55の処理を行う。
ステップS55の処理においては、このようにウェハ流動に機械的に耐えられない程度に厚さt12が薄くなった再生後のSiC支持基板27(以下、上部基板(第1半導体支持基板)27aとする)の裏面を、同じロットの製造工程で用いられウェハ流動に機械的に耐えられない程度に厚さt12が薄くなった他の再生後のSiC支持基板27(以下、下部基板(第2半導体支持基板)27bとする)のおもて面に貼り合わせて1枚のSiC貼り合わせ基板61を作製する。上部基板27aと下部基板27bとの貼り合わせは、例えば常温接合によって行う。
これによって、600μm程度(=300μm×2枚)の厚さのSiC貼り合わせ基板61をSiC支持基板1としてステップS1の処理に投入することができる。これによって、ウェハ流動に機械的に耐えられない程度に厚さt12が薄くなった再生後のSiC支持基板27をさらに厚さt12が薄くなるまで(例えば50μm程度)使用することができる。上部基板27aと下部基板27bとは、互いのオリエンテーションフラット2(図2参照、またはノッチ)の位置を合わせて貼り合わせる。
SiC貼り合わせ基板61は、ウェハ流動に機械的に耐えられない厚さになるまでステップS51からステップS53までの処理と同じ処理(第2再生工程)を繰り返し行ってステップS1の処理においてSiC支持基板1として再利用される。このとき、SiC貼り合わせ基板61のおもて面(上部基板27a側の主面)に上部基板27aと下部基板27bとの接合面が部分的に露出された時点で、SiC貼り合わせ基板61の上部基板27aの部分を除去して下部基板27bのみの状態にする。その理由は、次の通りである。
SiC貼り合わせ基板61のおもて面に上部基板27aと下部基板27bとの接合面が露出された場合、当該露出した接合面の端部でSiC貼り合わせ基板61のおもて面の結晶方向が変化する。この場合、SiC貼り合わせ基板61のおもて面にエピタキシャル成長させたSiC膜5に小傾角粒界などの結晶欠陥が発生し、炭化珪素半導体装置10でリーク電流が増加する原因となる。このため、上部基板27aと下部基板27bとの接合面が露出したSiC貼り合わせ基板61はSiC支持基板1として用いないことがよい。
マスクパターンの位置合わせは、例えば、後述するマーカー62を基準とするか、またはSiCウェハ25を作製するための所定処理(ステップS1からステップS5までの処理:図1参照)が行われる上部基板27aのオリエンテーションフラット2(図2参照)やノッチを基準として行う。下部基板27bのオリエンテーションフラット2は用いないため、上部基板27aと下部基板27bとを貼り合わせるにあたって互いのオリエンテーションフラット2(図2参照)またはノッチの位置が異なっていてもよい。
SiC貼り合わせ基板61は、ステップS51からステップS53までの処理中に上部基板27aと下部基板27bとの接合面を検出するための基準となるマーカー62を有することが好ましい。具体的には、マーカー62は、例えば、上部基板27aのおもて面と下部基板27bの裏面とを接合する前に上部基板27aの裏面を部分的にエッチングして形成された所定深さの溝であり、上部基板27aの裏面の複数個所(例えば中央に1箇所および外周に沿って4箇所)またはこれら複数個所を含む所定パターンに設けられる。
SiC貼り合わせ基板61の再利用および再生を繰り返すことで、SiC貼り合わせ基板61のおもて面にマーカー62が一部でも露出された場合に、マーカー62がすべて消失するまでSiC貼り合わせ基板61のおもて面を研磨する。これによって、SiC貼り合わせ基板61は、上部基板27aの部分がすべて除去されて、下部基板27bのみの状態となる。この使用後の下部基板27bは、ウェハ流動に機械的に耐えられない厚さであるため、新たなSiC貼り合わせ基板61を形成するための部材として再利用される。
新たなSiC貼り合わせ基板61は、ステップS55の処理と同様に作製される(第2貼り合わせ工程)。使用後の下部基板27bは、新たなSiC貼り合わせ基板61において再度下部基板27bとしてもよいが、上部基板27aとすることがよい。SiC支持基板27は、下部基板27bとして繰り返し使うと、傷や付着物などによって表面状態が悪くなったり、結晶欠陥が成長して内部状態が悪くなり割れやすくなる虞がある。このため、使用後の下部基板27bは、状態が悪くなる前に、新たなSiC貼り合わせ基板61の上部基板27aとして用いてSiCウェハ25を作製するための所定処理によって消費されることがよい。
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図21~23参照)に実施の形態4を適用して、SiC貼り合わせ基板61をSiC支持基板1としてステップS31の処理に投入してもよい。実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図1,24~28参照)に実施の形態4を適用して、SiC貼り合わせ基板61をSiC支持基板1としてステップS1の処理に投入してもよい。
以上、説明したように、実施の形態4によれば、実施の形態1~3と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態4によれば、ウェハ流動に機械的に耐えられない程度に厚さが薄くなった再生後のSiC支持基板同士を貼り合わせてSiC貼り合わせ基板を作製し、当該SiC貼り合わせ基板をSiC支持基板として用いる。これによって、SiC支持基板をさらに薄くなるまで再利用することができるため、SiC支持基板の破棄する部分を少なくすることができる。このため、材料コストを低減させることができる。
(実施の形態5)
実施の形態5として、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法(図1参照)を用いて作製(製造)される炭化珪素半導体装置10(図17参照)の構造例について説明する。図32は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造例を示す断面図である。ここでは、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法を用いる場合を例に説明するが、実施の形態2~4にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法を用いて作製される炭化珪素半導体装置10の構造例も図32と同様である。
図32に示す炭化珪素半導体装置10は、炭化珪素(SiC)を半導体材料として用いたSiCチップ30のおもて面側にトレンチゲート構造を備えた縦型MOSFETである。SiCチップ30は、実施の形態1のステップS5の処理でSiCONウェハ22から分離されたSiCウェハ25(図8,16参照)を個片化してなる。SiCチップ30は、例えば、おもて面の結晶面を(0001)、いわゆるSi面とし、裏面の結晶面を(000-1)、いわゆるC面とする。
SiCチップ30は、実施の形態1のSiC膜5(図17参照)で構成され、エピタキシャル層31,32をこの順に積層してなる。SiCチップ30は、n-型エピタキシャル層32側の主面をおもて面とし、n+型エピタキシャル層31側の主面を裏面とする。SiCチップ30の裏面にSiCピラー7(図17参照)が残っていてもよい。図32には、活性領域の1つの単位セル(素子の構成単位)のみを示すが、活性領域には同一構造の複数の単位セルが隣接して配置される。活性領域の周囲を囲むエッジ終端領域については図示省略する。
エッジ終端領域は、活性領域とチップ端部(SiCチップ30の端部)との間の領域であり、SiCチップ30のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する。耐圧とは、リーク電流が過度に増大せず、MOSFETが誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。エッジ終端領域には、例えば、接合終端(JTE:Junction Termination Extension)構造やフィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)構造などの一般的な耐圧構造が配置される。
エピタキシャル層31,32は、それぞれn+型ドレイン領域71およびn-型ドリフト領域72である。トレンチゲート構造は、p型ベース領域73、n+型ソース領域74、p++型コンタクト領域75、ゲートトレンチ76、ゲート絶縁膜77およびゲート電極78で構成される。p型ベース領域73は、SiCチップ30のおもて面とn-型ドリフト領域72との間に設けられている。p型ベース領域73は、例えば、n-型エピタキシャル層32の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。
p型ベース領域73は、n-型エピタキシャル層32上にエピタキシャル成長されてSiCチップ30を構成するp型エピタキシャル層であってもよい。この場合、当該p型エピタキシャル層の表面がSiCチップ30のおもて面となる。p型ベース領域73とn-型ドリフト領域72との間において、ゲートトレンチ76の底面よりもn+型ドレイン領域71側(SiCチップ30の裏面側)に深い位置に、n型電流拡散領域80、p+型領域81,82およびn+型領域83がそれぞれ選択的に設けられている。
n型電流拡散領域80、p+型領域81,82およびn+型領域83は、n-型エピタキシャル層32の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。n型電流拡散領域80は、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(CSL:Current Spreading Layer)である。n型電流拡散領域80は、p+型領域81,82に隣接し、上面(SiCチップ30のおもて面側の面)でp型ベース領域73に接し、下面(SiCチップ30の裏面側の面)でn-型ドリフト領域72に接する。
n型電流拡散領域80は、SiCチップ30のおもて面に平行な方向にゲートトレンチ76まで達して、ゲート絶縁膜77に接する。n型電流拡散領域80は設けられていなくてもよい。n型電流拡散領域80を設けない場合、n型電流拡散領域80に代えて、n-型ドリフト領域72が互いに隣り合うゲートトレンチ76間をp型ベース領域73まで達してp型ベース領域73に接し、SiCチップ30のおもて面に平行な方向にゲートトレンチ76まで達してゲート絶縁膜77に接する。
+型領域81,82は、後述するソース電極85の電位に固定されており、MOSFET(炭化珪素半導体装置10)のオフ時に空乏化して(もしくはn型電流拡散領域80を空乏化させて、またはその両方)、ゲート絶縁膜77にかかる電界を緩和させる機能を有する。p+型領域81は、p型ベース領域73と離れて設けられ、深さ方向にゲートトレンチ76の底面に対向する。p+型領域81は、図示省略する部分でp+型領域82に部分的に連結されることで、ソース電極85に電気的に接続されている。
+型領域81は、ゲートトレンチ76の底面でゲート絶縁膜77に接してもよいし、ゲートトレンチ76の底面から離れていてもよい。p+型領域81の幅は、ゲートトレンチ76の幅と同じか、またはゲートトレンチ76の幅よりも広い。p+型領域81の幅をゲートトレンチ76の幅よりも広くすることで、p+型領域81は深さ方向にゲートトレンチ76の底面コーナー部(側壁と底面との境界)にも対向する。これによって、ゲートトレンチ76の底面付近の電界緩和効果がさらに高くなる。
+型領域82は、互いに隣り合うゲートトレンチ76間に、ゲートトレンチ76およびp+型領域81と離れて設けられている。p+型領域82は、上面でp型ベース領域73に接し、p型ベース領域73を介してソース電極85に電気的に接続される。n+型領域83は、p+型領域82とn-型ドリフト領域72との間に、これらの領域に接して設けられている。n+型領域83により、ゲートトレンチ76の底面のp+型領域81で確保される耐圧が、互いに隣り合うゲートトレンチ76間のp+型領域82で確保される耐圧よりも高くなる。
SiCチップ30のおもて面とp型ベース領域73との間に、n+型ソース領域74およびp++型コンタクト領域75がそれぞれ選択的に設けられている。n+型ソース領域74およびp++型コンタクト領域75は、n-型エピタキシャル層32の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。n-型エピタキシャル層32の、n型電流拡散領域80、p+型領域81,82、n+型領域83、p型ベース領域73、n+型ソース領域74およびp++型コンタクト領域75を除く部分がn-型ドリフト領域72である。
p型ベース領域73がp型エピタキシャル層で構成される場合、n+型ソース領域74およびp++型コンタクト領域75は、p型ベース領域73となるp型エピタキシャル層の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。当該p型エピタキシャル層の、n+型ソース領域74およびp++型コンタクト領域75を除く部分がp型ベース領域73となり、n-型エピタキシャル層32の、n型電流拡散領域80、p+型領域81,82およびn+型領域83を除く部分がn-型ドリフト領域72となる。
+型ソース領域74およびp++型コンタクト領域75は、p型ベース領域73に接して設けられ、SiCチップ30のおもて面においてソース電極85にオーミック接触する。n+型ソース領域74は、p++型コンタクト領域75よりもゲートトレンチ76側に設けられ、ゲートトレンチ76の側壁でゲート絶縁膜77に接する。p++型コンタクト領域75は設けられていなくてもよい。この場合、p++型コンタクト領域75に代えて、p型ベース領域73がSiCチップ30のおもて面でソース電極85に接する。
ゲートトレンチ76は、SiCチップ30のおもて面から深さ方向にn+型ソース領域74およびp型ベース領域73を貫通してn型電流拡散領域80(n型電流拡散領域80を設けない場合はn-型ドリフト領域72)に達する。ゲートトレンチ76は、p+型領域81の内部で終端していてもよい。ゲートトレンチ76の内壁に沿ってゲート絶縁膜77が設けられている。ゲート絶縁膜77はm面上に形成することが好ましく、例えばゲートトレンチ76の側壁がm面である。
ゲートトレンチ76の内部には、ゲート絶縁膜77上にゲート電極78が設けられている。層間絶縁膜79は、SiCチップ30のおもて面の全面に設けられ、ゲート電極78を覆う。層間絶縁膜79のコンタクトホールには、n+型ソース領域74およびp++型コンタクト領域75(p++型コンタクト領域75を設けない場合はp型ベース領域73)が露出されている。ソース電極85は、層間絶縁膜79のコンタクトホールを埋め込むように、SiCチップ30のおもて面のほぼ全面に設けられている。
ソース電極85は、層間絶縁膜79のコンタクトホールにおいてSiCチップ30のおもて面にオーミック接触して、n+型ソース領域74、p++型コンタクト領域75およびp型ベース領域73に電気的に接続されている。ソース電極85と層間絶縁膜79との間に、バリアメタル84が設けられていてもよい。バリアメタル84は、例えば、ソース電極85からゲート電極78側への金属原子の拡散を防止する機能や、バリアメタル84を挟んで対向する領域間での相互反応を防止する機能を有する。
上述したトレンチゲート構造、n型電流拡散領域80、p+型領域81,82およびn+型領域83、層間絶縁膜79、バリアメタル84、ソース電極85および図示省略するパッシベーション膜等が実施の形態1のおもて面素子構造8に相当する。n型電流拡散領域80、p+型領域81,82およびn+型領域83は、例えば、n-型エピタキシャル層32を複数段に分けてエピタキシャル成長させながら各段の所定位置にイオン注入により形成することで所定深さに配置することができる。
SiCチップ30の裏面に、実施の形態1のステップS5の処理でSiCONウェハ22からSiCウェハ25を分離した際にSiCウェハ25の裏面に残るSiCピラー7(図8,17参照)が残っていてもよい。ドレイン電極86は、SiCチップ30の裏面の全面に設けられている。ドレイン電極86は、n+型ドレイン領域71にオーミック接触して、n+型ドレイン領域71に電気的に接続されている。ドレイン電極86は、実施の形態1の金属膜9、Al支持基板11およびNi膜12(図17参照)に相当する。
以上、説明したように、実施の形態5によれば、実施の形態1~4にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法を用いて縦型MOSFETを作製することができる。
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、SiCウェハとなるエピタキシャル層の導電型や、SiCウェハに作製される素子構造を適宜変更することで各種炭化珪素半導体装置に適用可能である。例えば、各実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法を用いて、MOSFETに代えて、ショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)や縦型IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等を作製してもよい。
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用である。
1 SiC支持基板
2 オリエンテーションフラット
3 トレンチ
4 SiC支持基板の領域区分
5 SiC膜
6 SiCONウェハの空洞
7 SiCピラー
8 おもて面素子構造
9 金属膜
10 炭化珪素半導体装置
11 Al支持基板
12,18 Ni膜
13,14 半田層
15 導電性板
16 絶縁基板
17 回路基板
21 酸化膜(酸化膜マスク)
22 SiCONウェハ
23 接着剤層
24,29 ガラス支持基板
25 SiCウェハ
26 分離後のSiC支持基板
27 再生後のSiC支持基板
27a SiC貼り合わせ基板の上部基板
27b SiC貼り合わせ基板の下部基板
28 ガラス支持基板の凹部
30 SiCチップ
31 n+型エピタキシャル層
32 n-型エピタキシャル層
40 SiCONウェハの回転
41,44 ノズル
42,45 ノズルの開口部
43 ノズルの開口部から噴出する水
46 平板
47 平板のスリット
48 高さ調整のためのスペーサー
51 SiC支持基板の基底面転位
52 SiC支持基板の貫通転位
53 トレンチピラー
53a トレンチピラーのSiC支持基板の部分
53b トレンチピラーのSiC膜の部分
54 トレンチピラーの側面
55 ボイド
61 SiC貼り合わせ基板
62 SiC貼り合わせ基板のマーカー
71 n+型ドレイン領域
72 n-型ドリフト領域
73 p型ベース領域
74 n+型ソース領域
75 p++型コンタクト領域
76 ゲートトレンチ
77 ゲート絶縁膜
78 ゲート電極
79 層間絶縁膜
80 n型電流拡散領域
81,82 p+型領域
83 n+型領域
84 バリアメタル
85 ソース電極
86 ドレイン電極
EPI トレンチピラーのエピ高さ
TRN SiC膜のエピタキシャル成長前のトレンチピラーの高さ
PIL トレンチピラーの短手方向の幅
d1 トレンチの深さ
t1,t12 SiC支持基板の厚さ
t2 SiC膜の空洞上の部分の厚さ
t3 空洞の高さ
t4 Al支持基板の厚さ
t10 SiC支持基板の総消失量
t11 SiC支持基板の総研磨量
w3 互いに隣り合う領域区分同士のトレンチ間の最短距離
α トレンチピラーの側面と結晶方位<11-20>とのなす角度
β SiC支持基板のオフ角
θ 所定角度

Claims (22)

  1. 炭化珪素からなる半導体支持基板におもて面から所定深さの複数のトレンチを形成する第1工程と、
    前記半導体支持基板のおもて面に炭化珪素膜をエピタキシャル成長させて、前記トレンチの開口部を塞ぐとともに、複数の前記トレンチ同士を連結させることで空洞を形成し、前記空洞を含むSiCONウェハを作製する第2工程と、
    前記炭化珪素膜に所定の素子構造を形成する第3工程と、
    前記空洞を境にして前記SiCONウェハを、前記素子構造が形成された前記炭化珪素膜からなる半導体ウェハと、前記半導体支持基板と、に分離する分離工程と、
    を含み、
    前記第1工程では、前記半導体支持基板の複数の領域区分にそれぞれ複数の前記トレンチを形成し、
    前記第2工程では、同一の前記領域区分内のすべての前記トレンチを連結させて前記領域区分ごとに1つの前記空洞を形成するとともに、互いに隣り合う前記空洞間に前記炭化珪素膜を柱状に残してなる半導体ピラーを形成し、
    前記分離工程では、すべての前記半導体ピラーを分断することで、前記SiCONウェハを前記半導体ウェハと前記半導体支持基板とに分離することを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
  2. 前記分離工程では、加圧した水を局所的に噴射して前記SiCONウェハの側面から前記SiCONウェハに衝突させることで前記半導体ピラーを分断することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1工程では、前記第2工程において前記半導体ピラーを10μm以上の高さで形成可能な前記所定深さで前記トレンチを形成し、
    前記第2工程では、前記炭化珪素膜の厚さを前記空洞上の部分で15μm以上とし、
    前記分離工程では、前記水を40μm以下の直径で噴射して前記SiCONウェハの側面から前記SiCONウェハの前記空洞に対向する部分に衝突させることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  4. 前記第1工程では、前記第2工程において前記半導体ピラーを10μm以上の高さで形成可能な前記所定深さで前記トレンチを形成し、
    前記第2工程では、前記炭化珪素膜の厚さを前記空洞上の部分で15μm以上とし、
    前記分離工程では、前記水を40μm以下の直径のスリットを通して前記SiCONウェハの側面から前記SiCONウェハの前記空洞に対向する部分に衝突させることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  5. 前記第3工程の後、前記分離工程の前に、前記SiCONウェハの前記空洞上の部分をガラス支持基板の凹部の内部に収容した状態で、前記SiCONウェハの前記炭化珪素膜側の表面を前記凹部の内部で接着剤層を介して前記ガラス支持基板に接着して固定する接着工程をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  6. 前記分離工程では、前記半導体ピラーに応力を与えることで前記半導体ピラーを分断することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  7. 前記分離工程では、超音波振動によって前記半導体ピラーに前記応力を与えることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  8. 前記分離工程では、レーザー光照射によって前記半導体ピラーに前記応力を与えることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  9. 前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面に、前記素子構造の裏面電極となる金属支持基板を接合する接合工程をさらに含み、
    前記金属支持基板は、100μm以上の厚さのアルミニウム板であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  10. 前記接合工程では、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面に、半田層を介して前記金属支持基板を半田接合することを特徴とする請求項9に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  11. 前記分離工程では、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面に前記半導体ピラーの残部による凹凸が生じ、
    前記接合工程では、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面の前記凹凸を前記半田層で埋めることを特徴とする請求項10に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  12. 前記接合工程では、前記半田層を50μm以上の厚さで形成することを特徴とする請求項10に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  13. 前記分離工程の後、前記接合工程の前に、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面に、最表面をニッケル膜とした金属膜を形成する第4工程をさらに含み、
    前記金属支持基板は、表面がニッケルめっき膜で被覆されており、
    前記接合工程では、前記ニッケルめっき膜に半田を塗布し、前記金属支持基板に前記半田による前記半田層を介して前記半導体ウェハの前記金属膜を形成した面を押し付けた状態で前記半田層をリフローすることを特徴とする請求項10に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  14. 前記分離工程の後、前記接合工程の前に、前記半導体ウェハの前記半導体支持基板との分離面に、最表面をアルミニウム膜とした金属膜を形成する第4工程をさらに含み、
    前記金属支持基板は、前記金属膜との接合面の中心線平均粗さが1μm四方の単位面積当たり0.7nm以下であり、
    前記接合工程は、
    前記金属膜の表面を平坦化して、前記金属膜の表面の中心線平均粗さを1μm四方の単位面積当たり0.7nm以下にする工程と、
    前記金属膜の平坦化した表面に前記金属支持基板を常温接合する工程と、を含むことを特徴とする請求項9に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  15. 前記金属支持基板は、前記接合面を除く表面がニッケルめっき膜で被覆されていることを特徴とする請求項14に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  16. 前記第3工程の後、前記分離工程の前に、前記SiCONウェハの前記炭化珪素膜側の表面を接着剤層を介してガラス支持基板に接着して固定する接着工程と、
    前記接合工程の後、前記半導体ウェハから前記接着剤層および前記ガラス支持基板を剥離する剥離工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  17. 前記半導体支持基板の前記半導体ウェハとの分離面を前記第1工程で利用可能な平坦面にする再生工程をさらに含み、
    前記第1工程では、前記再生工程を経た前記半導体支持基板を用いることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  18. 前記半導体支持基板の前記半導体ウェハとの分離面を前記第1工程で利用可能な平坦面にする第1再生工程と、
    前記第1再生工程を経た前記半導体支持基板同士を貼り合わせてなる貼り合わせ基板を作製する第1貼り合わせ工程と、
    をさらに含み、
    前記第1工程では、前記貼り合わせ基板を前記半導体支持基板として用いることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  19. 前記第1貼り合わせ工程では、前記貼り合わせ基板となる2枚の前記半導体支持基板のうちの一方の第1半導体支持基板の主面に溝を形成した後に、他方の第2半導体支持基板を前記第1半導体支持基板の前記溝を形成した主面に貼り合わせることで前記貼り合わせ基板を形成し、
    前記第1工程では、前記貼り合わせ基板の前記第1半導体支持基板側の主面に前記トレンチを形成し、
    前記第2工程では、前記貼り合わせ基板の前記第1半導体支持基板側の主面に前記炭化珪素膜をエピタキシャル成長させ、
    前記分離工程を経た前記貼り合わせ基板の前記半導体ウェハとの分離面を前記第1工程で利用可能な平坦面にする第2再生工程と、
    前記第2再生工程において前記貼り合わせ基板の前記半導体ウェハとの分離面に前記溝が露出された場合に、前記貼り合わせ基板の前記半導体ウェハとの分離面を前記溝が消失するまで平坦化して前記第2半導体支持基板のみを残し、当該第2半導体支持基板に前記第1再生工程を経た新たな前記半導体支持基板を貼り合わせて新たな前記貼り合わせ基板を作製する第2貼り合わせ工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  20. 前記第1工程では、前記第1工程において前記トレンチ形成したトレンチピラーのうち、前記第2工程時のエピタキシャル成長時に前記空洞となる領域に該当する前記トレンチピラーの幅をWPILとし、前記トレンチピラーの前記炭化珪素膜の部分の高さDEPIとし、前記トレンチピラーの側面と結晶方位<11-20>とのなす角度をαとし、前記半導体支持基板のおもて面と基底面とのなす角度をβとしたときに、下記(1)式を満たすレイアウトで前記トレンチを形成することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
    Figure 2023172730000004
  21. 前記第1工程では、前記半導体支持基板のおもて面側から見てストライプ状に前記トレンチピラーが残るレイアウトで前記トレンチを形成することを特徴とする請求項20に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  22. 前記第1工程では、前記半導体支持基板のおもて面側から見て格子状に前記トレンチピラーが残るレイアウトで前記トレンチを形成することを特徴とする請求項20に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
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