JP2023171360A - 全固体電池用電極及び全固体電池 - Google Patents

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長 鈴木
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Abstract

【課題】高いレート性能を発現することができる全固体電池用電極を提供することである。【解決手段】本発明の全固体電池用電極は、活物質と、固体電解質34Bとを含む電極合剤層を備え、固体電解質34Bがハライド系固体電解質、硫化物系固体電解質から選ばれる少なくとも1種を含み、電極合剤層の厚さ方向の中心を通る断面を観察した断面観察像において、活物質の粒子34A同士の接触率が30%以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、全固体電池用電極及び全固体電池に関する。
近年、安全性の向上や高出力化の観点から全固体電池が注目されている。
全固体電池の課題として良好な活物質と固体電解質界面の構築が課題とされている。一般的なリチウムイオン二次電池では電解質に有機系の電解液を用いるため、多孔質電極に電解液が充填されることで容易に活物質と電解質で良好な界面を構築することが出来る。一方で、全固体電池の場合、構成される部材が固体であるため、エネルギー密度の改善がリチウムイオン二次電池と比較し困難である。
エネルギー密度の対策として、特許文献1では、活物質粒子が長辺と短辺を有し、前記短辺に対する前記長辺の比率が3以上のものを用いる方法がある。特許文献2では、LCOの平均粒子径が1μm以下であり、0.1μm以下の細孔体積が全細孔体積に対して70%以上であるような電極を用いている。特許文献3では正極及び/ 又は負極において、空隙率が38%以下であり、活物質材料の平均粒径D50が1μm以下であるようなリチウムイオン二次電池を用いている。特許文献4では、固体電解質粉末として平均粒径0.1~50μm、活物質粉末として平均粒径0.1~50μmのものを重量比で3.0:7.0~9.5:0.5の割合で混合した電極を用いている。特許文献5では、負極活物質を炭素マトリックス中に分散させ、その粒径を15μm以下にしている。
国際公開第2014/038311号 特開平6-20679号公報 特開2007-73344号公報 特開平8-195219号公報 特開2017-27886号公報
しかしながら、エネルギー密度の対策としては十分ではなく、さらなる改良が求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高いエネルギー密度を達成するために高い容量を発現できる全固体電池用電極及び全固体電池を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
本発明の第1態様に係る全固体電池用電極は、活物質と、固体電解質とを含む電極合剤層を備え、前記固体電解質がハライド系固体電解質、硫化物系固体電解質から選ばれる少なくとも1種を含み、前記電極合剤層の厚さ方向の中心を通る断面を観察した断面観察像で検出した活物質の粒子において、前記活物質の粒子同士の接触率が30%以下である。
本発明の第2態様に係る全固体電池は、上記態様に係る全固体電池用電極を備える。
本発明によれば、高いエネルギー密度を達成するために高い容量を発現できる全固体電池用電極を提供できる。
本実施形態にかかる全固体電池100の断面模式図である。 電極合剤層の一例の厚さ方向の中心を通る断面の走査型電子顕微鏡で観察したSEM像である。 接触率の算出について説明するためのSEM像である。 画像解析ソフトを用いて接触率を算出する方法を説明するためのSEM像である。 画像解析ソフトを用いて接触率を算出する方法を説明するためのSEM像である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[全固体電池]
図1は、本実施形態にかかる全固体電池100の断面模式図である。図1に示す全固体電池100は、発電素子40と外装体50とを備える。外装体50は、発電素子40の周囲を被覆する。発電素子40は、接続された一対の端子60、62によって外部と接続される。図1では、積層型の電池を示したが、巻回型の電池でもよい。全固体電池100は、例えば、ラミネート電池、角型電池、円筒型電池、コイン型電池、ボタン型電池等に用いられる。
<発電素子>
発電素子40は、固体電解質層10と正極20と負極30とを備える。発電素子40は、正極20と負極30の間で固体電解質層10を介したイオンの授受及び外部回路を介した電子の授受により充電または放電する。
「固体電解質層」
固体電解質層10は、正極20と負極30とに挟まれる。固体電解質層10は、外部から印加された電圧によってイオンを移動させることができる固体電解質を含む。例えば、固体電解質は、リチウムイオンを伝導し、電子の移動を阻害する。
固体電解質は、例えば、リチウムを含む。固体電解質は、例えば、酸化物系材料、硫化物系材料、ハライド系材料でもよい。
固体電解質は、粉末(粒子)の状態であってもよいし、粉末を焼結した焼結体の状態でもよい。また固体電解質は、粉末を圧縮して成形した成形体、粉末とバインダーとの混合物を成形した成形体、粉末とバインダーと溶媒とを含む塗料を塗布した後、加熱して溶媒を除去することにより形成した塗膜でもよい。
固体電解質は、例えば、以下の式(1)で表されるハライド系固体電解質とすることができる。
LiaEbGcXd・・・(1)
式(1)で表されるハライド系固体電解質において、EがAl、Sc、Y、ランタノイドである場合、aは2.0≦a≦4.0が好ましく、2.5≦a≦3.5がより好ましい。EがZrまたはHfである場合、aは1.0≦a≦3.0が好ましく、1.5≦a≦2.5がより好ましい。式(1)で表される固体電解質においては、aが0.5≦a<6であるので、化合物中に含まれるLiの含有量が適正となり、固体電解質層10のイオン伝導度が高くなる。
式(1)で表されるハライド系固体電解質において、Eは、必須の元素であり、式(1)で表されるハライド系固体電解質の骨格を形成する元素である。Eは、Al、Sc、Y、Zr、Hf、ランタノイド(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)からなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
Eを含むことにより、電位窓が広く、高いイオン伝導度を有する固体電解質となる。Eとしては、よりイオン伝導度の高い固体電解質となるため、Al、Sc、Y、Zr、Hf、Laを含むことが好ましく、特にZr、Yを含むことが好ましい。
式(1)で表されるハライド系化合物において、bは0<b<2である。bは、Eを含むことによる効果がより効果的に得られるため、0.6≦bであることが好ましい。また、Eは、式(1)で表される固体電解質層10のハライド系固体電解質の骨格を形成する元素であり、比較的密度の大きい元素である。bが、b≦1であると、密度の小さい固体電解質密度となるため、好ましい。
式(1)で表されるハライド系固体電解質において、Gは含んでいてもよい基である。Gは、例えば、OH、BO、BO、BO、B、B、CO、NO、AlO、SiO、SiO、Si、Si、Si11、Si18、PO、PO、P、P10、SO、SO、SO、S、S、S、S、S、S、BF、PF、BOB、(COO)、N、AlCl、CFSO、CHCOO、CFCOO、OOC-(CH-COO、OOC-CH-COO、OOC-CH(OH)-CH(OH)-COO、OOC-CH(OH)-CH-COO、CSO、OOC-CH=CH-COO、C(OH)(CHCOOH)COO、AsO、BiO、CrO、MnO、PtF、PtCl、PtBr、PtI、SbO、SeO、TeO、HCOO、Oからなる群から選択される少なくとも1つの基である。Gは、OH、SO、CHCOO、CFCOO、HCOO、Oからなる群から選択される少なくとも1つの基であることが好ましく、Gとしては、Eとの間の共有結合性が強いことにより、Eイオンが還元されにくい化合物となるため、SO、BO、CO、BF、PFからなる群から選択される少なくとも1種の基であることが好ましく、特にSOあるいはOであることが好ましい。Gを含むと、固体電解質層10のハライド系固体電解質の還元側の電位窓が広くなり、還元されにくくなる。
式(1)で表されるハライド系固体電解質において、cは0≦c≦6を満たす。cは、Gを含むことによる還元側の電位窓が広くなる効果がより顕著となるため、0.1≦cであることが好ましく、0.5≦cであることがより好ましい。cは、Gの含有量が多すぎることに起因する固体電解質のイオン伝導度の低下が生じないように、c≦3であることが好ましい。
式(1)で表されるハライド系固体電解質において、Xは、必須成分である。XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種以上である。Xは価数当たりのイオン半径が大きい。このため、式(1)で表されるハライド系固体電解質がXを含むことにより、リチウムイオンが流れやすくなり、イオン伝導度が高くなるという効果が得られる。Xとしては、イオン伝導度の高い固体電解質となるため、Clを含むことが好ましい。さらに、XがFを含む場合、Xはイオン伝導度の高い固体電解質となるため、Fと、Cl、Br、Iからなる群から選択される2種以上とを含むことが好ましい。
XがFであると、イオン伝導度が十分に高く、かつ耐酸化性に優れる固体電解質となる。XがClであると、イオン伝導度が高く、かつ耐酸化性および耐還元性のバランスが良い固体電解質となる。XがBrであると、イオン伝導度十分に高く、かつ耐酸化性および耐還元性のバランスが良い固体電解質となる。XがIであると、イオン伝導度の高い固体電解質となる。
式(1)で表されるハライド系固体電解質においては、dは、0<d≦6.1を満たす。dは1≦dであることが好ましい。dが1≦dであると、固体電解質を加圧成形してペレット状に成形する場合に、ペレットの強度が高くなる。また、dが1≦dであると、固体電解質のイオン伝導度が高くなる。また、dは、Xの含有量が多すぎることによってGが不足して、固体電解質の電位窓が狭くならないように、d≦5であることが好ましい。
式(1)で表されるハライド系固体電解質は、例えば、LiZrCl、LiZrSOCl、LiZrCOCl、LiZr((COO)0.5Cl、LiZr(CHCOO)0.2Cl5.8、LiZr(CFCOO)0.2Cl5.8、LiZr(HCOO)0.4Cl5.6、LiZrBOCl、LiZrBFCl、LiYSOCl、LiYCOCl、LiYBOCl、LiYBFCl、LiZrOClである。
また、固体電解質は硫化物系固体電解質とすることができ、硫化物系固体電解質としては、Liと、Sと、Siおよび/またはPを含む化合物を用いることができる。硫化物系固体電解質は、さらにGe、Cl、Br、Iを含んでいてもよい。硫化物系固体電解質は、非晶質であってもよいし、結晶質であってもよいし、アルジロダイト型であってもよい。硫化物系固体電解質の例としては、LiS-P系固体電解質(Li7P11、LiPS、Li等)、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiBr-LiS-P、LiS-P-GeS系固体電解質(Li13GeP16、Li10GeP12等)、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、Li7-xPS6-xCl(xは、1.0~1.9)を挙げることができる。
硫化物系固体電解質は、下記式(2)で表される化合物であってもよい。
LiqMrPsOtXuSv・・・(2)
式(2)において、Liは、リチウムであり、Mは、4価の金属であり、Pは、リンであり、Oは、酸素であり、Sは、硫黄であり、Xは、F、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種であり、q、r、s、t、u、vはそれぞれ、1≦q≦20、0≦r≦2、1≦s≦5、0≦t≦5、0≦u≦5、v=q/2+2×r+2.5×s-t-u/2を満足する数である。Mは、Si、Geであることが好ましい。
「正極」
図1に示すように、正極20は、板状(箔状)の正極集電体22と正極合剤層24とを有する。正極合剤層24は、正極集電体22の少なくとも一面に接する。
(正極集電体)
正極集電体22は、充電時の酸化に耐え腐食しにくい電子伝導性の材料であれば良い。
正極集電体22は、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、チタンなどの金属、伝導性樹脂等である。正極集電体22は、粉体、箔、パンチング、エクスパンドの各形態であっても良い。
(正極合剤層)
正極合剤層24は、正極活物質と固体電解質とを含み、バインダー、導電助剤を含んでもよい。バインダー及び導電助剤は、公知のものを用いることができる。導電助剤は、例えば、カーボンブラックである。導電助剤は、VGCF(Vapor Growth Carbon Fiber)、カーボンナノチューブ、金属等でもよい。
(正極活物質)
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵・放出、挿入・脱離(インターカレーション・デインターカレーション)を可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン2次電池に用いられている正極活物質を使用できる。正極活物質としては、例えば、リチウム含有金属酸化物、リチウム含有金属リン酸化物などが挙げられる。
リチウム含有金属酸化物は、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiVOPO、Li(PO)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Feから選択される少なくとも1種を示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)等である。
また正極活物質は、リチウムを含有していないものでもよい。このような正極活物質としては、リチウム非含有金属酸化物(MnO、Vなど)、リチウム非含有金属硫化物(MoSなど)、リチウム非含有フッ化物(FeF、VFなど)、硫黄変性ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。リチウムを含有していない正極活物質を用いる場合、あらかじめ負極にリチウムイオンをドープしておく、またはリチウムイオンを含有する負極を用いる。
(固体電解質)
正極合剤層24が含む固体電解質は、ハライド系固体電解質、硫化物系固体電解質から選ばれる少なくとも1種を含む。
ハライド系固体電解質としては、上記式(1)で表されるものを用いてもよい。硫化物系固体電解質としては、上記式(2)で表されるものを用いてもよい。固体電解質34Bには、式(1)で表されるハライド系固体電解質、及び、式(2)で表される硫化物系固体電解質のうちの2種以上を合わせて用いてもよい。
(バインダー)
バインダーは、正極合剤層24内において正極活物質と固体電解質と導電助剤とを相互に結合するとともに、正極合剤層24と正極集電体22とを、強固に接着する。正極合剤層24は、バインダーを含むことが好ましい。バインダーは、耐酸化性を有し、接着性が良いことが好ましい。
正極合剤層24に用いられるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはそのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリル酸(PA)及びその共重合体、ポリアクリル酸(PA)及びその共重合体の金属イオン架橋体、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)、無水マレイン酸をグラフト化したポリエチレン(PE)、または、これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、バインダーとしては、特にPVDFを用いることが好ましい。
正極合剤層24における固体電解質の含有率は、特に限定されないが、正極活物質、固体電解質、導電助剤及びバインダーの質量の総和を基準にして、15質量%~80質量%であることが好ましく、15質量%~45質量%であることがより好ましい。
正極合剤層24におけるバインダーの含有率は、特に限定されないが、正極活物質、固体電解質、導電助剤及びバインダーの質量の総和を基準にして、0質量%~10質量%であることが好ましく、2質量%~6質量%であることがより好ましい。バインダー量が少な過ぎると、十分な接着強度の正極20を形成できなくなる傾向がある。逆にバインダー量が多過ぎると、一般的なバインダーは電気化学的に不活性なので放電容量に寄与せず、十分な体積または質量エネルギー密度を得ることが困難となる傾向がある。
(導電助剤)
導電助剤は、正極合剤層24の電子伝導性を良好にする。導電助剤は、公知のものを用いることができる。導電助剤は、例えば、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、グラフェンなどの炭素材料、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、鉄、アモルファス金属などの金属、ITOなどの伝導性酸化物、またはこれらの混合物である。導電助剤は、粉体、繊維の各形態であっても良い。
正極合剤層24における導電助剤の含有率は、特に限定されない。導電助剤を添加する場合には通常、正極活物質、固体電解質、導電助剤及びバインダーの質量の総和を基準にして、導電助剤の質量比は、0質量%~20質量%であることが好ましく、2質量%~10質量%とすることがより好ましい。
正極合剤層24の厚さ方向の中心を通る断面を観察した断面観察像で検出した正極活物質の粒子(正極活物質粒子)において、正極活物質の粒子同士の接触率が30%以下である。
活物質の粒子同士の接触率を30%以下にすることで反応へさらに寄与する部分(固体電解質や導電助剤と接する面)を増やすことができ、活物質の利用率を高め、エネルギー密度を向上させることができる。
正極活物質の粒子同士の接触率は20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
また、正極合剤層24の断面観察像において、一次粒子の正極活物質の粒子の平均粒径が0.9~10μmであり、空隙率が1~20%であることが好ましい。空隙の占める割合を1~20%にすることで活物質の膨張収縮を吸収でき、電極のクラックも抑制できる。
電解液を用いたリチウムイオン二次電池と比較してより大きな平均粒径(0.9~10μm)にすることで空隙の占める割合を1~20%にすることができ、これにより充放電に関わる反応に寄与しない部分(空隙)を低減することができ、エネルギー密度を向上させることができる。
なお、SEM像で観察された正極活物質の粒子が一次粒子であるか否かは、粒子内に粒界が見えるか否かで判断でき、粒子内に粒界が見えない場合が一次粒子であり、粒界が見えた場合は二次粒子である。
一次粒子の負極活物質の平均粒径は3~10μmであることがより好ましい。
また、正極合剤層24の断面観察像において、正極活物質の粒子が占める面積(面積占有率)が35~50%であることが好ましい。
正極活物質が占める面積がこの範囲にあることで、エネルギー密度を向上させることができる。
また、正極合剤層24において、用いた活物質の粒子の粒度分布のD50(D50a)に対する、用いた固体電解質の粒度分布のD50(D50e)の粒径比D50e/D50aは0.7~5.0であることが好ましく、0.7~3.5であることがより好ましく、1.4~2.0であることがさらに好ましい。D50、D90はそれぞれ、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置により測定した累積粒度分布曲線(ふるい下積算分布曲線)において累積値が50%となる粒径、90%となる粒径である。
反応に寄与する接触部(固体電解質と接触する部分)を増加させることができ、その結果、反応を促進し、これによりレート特性が改善できるからである。
また、正極合剤層24において、用いた固体電解質の粒子における粒度分布のD50に対するD90の値の比(D90/D50)は1.0~4.0であることが好ましく、1.5~3.5であることがより好ましく、1.5~2.5であることがさらに好ましい。D50、D90はそれぞれ、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置により測定した累積粒度分布曲線(ふるい下積算分布曲線)において累積値が50%となる粒径、90%となる粒径である。
この場合、固体電解質粒子(固体電解質の粒子)が緻密に積み重ねられ、活物質粒子(活物質の粒子)と固体電解質粒子(固体電解質の粒子)との接触部が増加し、その結果、反応を促進し、これによりレート特性が改善できるからである。
正極合剤層24における正極活物質の平均粒径の求め方は、後述する、負極合剤層34における負極活物質の粒子34Aの平均粒径の求め方と同様である。
正極活物質粒子同士の「接触率」の求め方も、後述する、負極活物質同士の「接触率」の求め方と同様である。
「負極」
図1に示すように、負極30は、負極集電体32と負極合剤層34とを有する。負極合剤層34は、負極集電体32に接する。以下において、「正極」と共通する構成要素については説明を省略している場合がある。
(負極集電体)
負極集電体32は、電子伝導性を有すれば良い。負極集電体32は、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄などの金属、または、伝導性樹脂等である。負極集電体32は、粉体、箔、パンチング、エクスパンドの各形態であっても良い。
(負極合剤層)
負極合剤層34は、負極活物質の粒子34Aと固体電解質34Bとを含む。
図2に、負極合剤層の一例として、負極活物質の粒子34AがLiTi12で、固体電解質34BがLiZrSOClである場合について、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したSEM像を示す。SEM像において、薄灰色が固体電解質34Bであり、それよりも濃い灰色が負極活物質の粒子34Aであり、さらに濃い灰色が導電助剤34Cである。また、符号34Dは空隙である。このようにSEM像において各構成要素は色分けされる。後述するように、この色分けを利用して接触率を算出することができる。
負極合剤層34は、バインダー、導電助剤(図2中の符号34C)を含んでもよい。バインダー及び導電助剤は、公知の物を用いることができる。導電助剤は、例えば、カーボンブラックである。導電助剤は、VGCF(Vapor Growth Carbon Fiber)、カーボンナノチューブ、金属等でもよい。
(負極活物質)
負極活物質の粒子34Aは、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの挿入及び脱離を可逆的に進行させることができればよく、特に限定されない。負極活物質の粒子34Aには、公知のリチウムイオン2次電池に用いられている負極活物質を使用できる。
負極活物質の粒子34Aは、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体などの炭素材料、Si、SiOx、Sn、アルミニウムなどのリチウムと化合できる金属、これらの合金、これら金属と炭素材料との複合材料、チタン酸リチウム(LiTi12)、SnOなどの酸化物、硫黄変性ポリアクリロニトリル、金属リチウム等である。負極活物質の粒子34Aは、天然黒鉛またはチタン酸リチウム(LiTi12)が好ましい。
(固体電解質)
固体電解質34Bは、ハライド系固体電解質、硫化物系固体電解質から選ばれる少なくとも1種を含む。
ハライド系固体電解質としては、上記式(1)で表されるものを用いてもよい。硫化物系固体電解質としては、上記式(2)で表されるものを用いてもよい。固体電解質34Bには、式(1)で表されるハライド系固体電解質、及び、式(2)で表される硫化物系固体電解質のうちの2種以上を合わせて用いてもよい。
負極合剤層34の厚さ方向の中心を通る断面を観察した断面観察像で検出した負極活物質の粒子(負極活物質粒子)において、負極活物質の粒子34A同士の接触率が30%以下である。
活物質の粒子同士の接触率を30%以下にすることで反応へさらに寄与する部分(固体電解質や導電助剤と接する面)を増やすことができ、活物質の利用率を高め、エネルギー密度を向上させることができる。
負極活物質の粒子34A同士の接触率は20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
また、負極合剤層34の断面観察像において、一次粒子の負極活物質の粒子34Aの平均粒径が0.9~10μmであり、空隙率が1~20%であることが好ましい。空隙の占める割合を1~20%にすることで活物質の膨張収縮を吸収でき、電極のクラックも抑制できる。
電解液を用いたリチウムイオン二次電池と比較してより大きな平均粒径(0.9~10μm)にすることで空隙の占める割合を1~20%にすることができ、これにより充放電に関わる反応に寄与しない部分(空隙)を低減することができ、エネルギー密度を向上させることができる。
なお、SEM像で観察された負極活物質の粒子が一次粒子であるか否かは、粒子内に粒界が見えるか否かで判断でき、粒子内に粒界が見えない場合が一次粒子であり、粒界が見えた場合は二次粒子である。
一次粒子の負極活物質の平均粒径は3~10μmであることがより好ましい。
また、負極合剤層34の断面観察像において、負極活物質の粒子34Aが占める面積(面積占有率)が35~50%であることが好ましい。
負極活物質が占める面積がこの範囲にあることで、エネルギー密度を向上させることができる。
また、負極合剤層34において、用いた活物質の粒子の粒度分布のD50(D50a)に対する、用いた固体電解質の粒度分布のD50(D50e)の粒径比D50e/D50aは0.7~5.0であることが好ましく、0.7~3.5であることがより好ましく、1.4~2.0であることがさらに好ましい。D50a及びD50eはそれぞれ、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置により測定した累積粒度分布曲線(ふるい下積算分布曲線)において累積値が50%となる粒径である。
粒径比D50e/D50aを0.7~5.0にすることで負極活物質間に固体電解質がち密に充填され、負極活物質と固体電解質との間にち密な界面を形成でき、これによりエネルギー密度を向上させることができる。
また、負極合剤層34において、用いた固体電解質の粒子における粒度分布のD50に対するD90の値の比(D90/D50)は1.0~4.0であることが好ましく、1.5~3.5であることがより好ましく、1.5~2.5であることがさらに好ましい。D50、D90はそれぞれ、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置により測定した累積粒度分布曲線(ふるい下積算分布曲線)において累積値が50%となる粒径、90%となる粒径である。
固体電解質のD50に対するD90の値を1.0~4.0にすることで固体電解質が分散した電極が作製できるとともに、活物質間に固体電解質がち密に充填され、負極活物質と固体電解質との間にち密な界面を形成でき、これによりエネルギー密度を向上させることができる。
負極合剤層34における負極活物質の粒子34Aの平均粒径は、負極合剤層34を厚さ方向の中心を通る断面を観察した断面観察像(断面画像)から求める。断面観察像は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)で確認できる。平均粒径を求めるために用いる断面観察像は1枚でも複数枚でもよい。複数枚の断面観察像を用いるときは例えば、負極合剤層を平面視で中心部と4隅に近い部分の5箇所で得た断面観察像を用いることができる。断面観察像で確認できる負極活物質の粒子34Aを100個抽出し、それらの平均を求めることで平均粒径とする。各負極活物質の粒子34Aの各粒子の面積をもとに円相当径を算出しその値を負極活物質の粒径とする。
負極活物質の粒子同士の「接触率」は、厚さ方向の中心を通る断面観察像で検出した活物質の粒子において、選択した負極活物質粒子(負極活物質の粒子)の全界面(負極活物質とそれ以外の構成要素との界面のすべて)の長さに対する、他の負極活物質粒子(負極活物質の粒子)とが接触する界面の長さの割合(%)である。
上述したように、SEM像において、負極活物質、固体電解質及び導電助剤が色分けされるので、この色分けを利用して接触率を算出してもよいし、画像解析ソフトを使って負極活物質、固体電解質及び導電助剤を切り分けして接触率を算出してもよい。
図3に示した、負極活物質がLiTi12(LTO)で、固体電解質がLiZrSOClの負極合剤層の厚さ方向の中心を通る断面を観察したSEM像を用いて、接触率の算出について説明する。
図3のSEM像において、目視にて、選択した負極活物質粒子と他の負極活物質粒子との界面(この界面の長さを界面長さAという。)、負極活物質粒子と固体電解質粒子との界面(この界面の長さを界面長さBという。)、負極活物質粒子と導電助剤との界面(この界面の長さを界面長さCという。)、及び、負極活物質粒子と空隙との界面(この界面の長さを界面長さDという。)を識別し、その界面に線を入れている。
選択した負極活物質の全界面の長さは「A+B+C+D」である。負極活物質と他の負極活物質との接触率は{A/(A+B+C+D)}×100で算出され、負極活物質と固体電解質との接触率は{B/(A+B+C+D)}×100で算出され、負極活物質と導電助剤との接触率は{C/(A+B+C+D)}×100で算出され、負極活物質と空隙との接触率は{D/(A+B+C+D)}×100で算出される。
各界面長さの計測は種々の方法で行うことができ、画像解析ソフト例えば、オープンソースでパブリックドメインの「ImageJ」で行うことができる。
図4、図5で示した画像を用いて画像解析ソフト「ImageJ」を用いて接触率を算出する方法を説明する。
STEP1(図4)では、負極合剤層の厚さ方向の中心を通る断面を観察したSEM画像(a)を準備する。
STEP2(図4)では、白黒の濃淡を256階調で表したグレースケール画像であるSEM画像において、(b)負極活物質(白の部分)、(c)固体電解質(白の部分の周囲のグレイの部分)、及び、(d)導電助剤(白の部分)の各構成要素ごとに画素値範囲を確認して、負極活物質、固体電解質及び導電助剤を切り分ける。ここで、各負極活物質ごとの粒径を計測して平均粒径を算出することができ、また、SEM像における全負極活物質の面積を算出して活物質占有率を決定できる。
ステップ3(図4)では、(e)SEM画像において、負極活物質、固体電解質及び導電助剤に割り当てた以外の構成要素を空隙として切り分ける。ここで、SEM像における全空隙の面積を算出して空隙率を算出することができる。
ステップ4(図5)では、(a)負極活物質粒子同士の界面に線を入れ(図中の太い白線)、(b)負極活物質粒子と固体電解質粒子との界面に線を入れ(図中の太い白線)、及び、(c)負極活物質粒子と導電助剤との界面に線を入れ(図中の太い白線)、残りを負極活物質粒子AM1と空隙との界面に線を入れて識別する。ここで、負極活物質同士の接触率を算出する。
<外装体>
外装体50は、その内部に発電素子40を収納する。外装体50は、外部から内部への水分などの侵入を防ぐ。外装体50は、例えば図1に示すように、金属箔52と、金属箔52の各面に積層された樹脂層54と、を有する。外装体50は、金属箔52を樹脂層54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムである。
金属箔52は、例えばアルミ箔、ステンレス箔である。樹脂層54は、例えば、ポリプロピレン等の樹脂膜を利用できる。樹脂層54を構成する材料は、内側と外側とで異なっていてもよい。例えば、外側の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)等を用い、内側の材料としては、外側の材料よりも融点の低い樹脂、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を用いることができる。
<端子>
端子60、62は、それぞれ正極20と負極30とに接続されている。正極20に接続された端子62は正極端子であり、負極30に接続された端子60は負極端子である。端子60、62は、外部との電気的接続を担う。端子60、62は、アルミニウム、ニッケル、銅等の導電材料から形成されている。接続方法は、溶接でもネジ止めでもよい。端子60、62は短絡を防ぐために、絶縁テープで保護することが好ましい。
[全固体電池の製造方法]
次に、本実施形態にかかる全固体電池の製造方法の一例について説明する。まず固体電解質を準備する。固体電解質は、例えば、所定のモル比で所定の元素を含む原料粉末を混合し、メカノケミカル反応をさせる方法により製造できる。また所定のモル比で所定の元素を含む原料粉末を混合、成形し、真空中または不活性ガス雰囲気中で焼結することで、焼結体の固体電解質を形成してもよい。
原材粉末中にハロゲン化物原料が含まれている場合、ハロゲン化物原料は、温度を上げると蒸発しやすい。このため、焼結する際の雰囲気中にハロゲンガスを共存させて、ハロゲンを補ってもよい。また、原材粉末中にハロゲン化物原料が含まれている場合、密閉性の高い型を用いてホットプレス法により焼結しても良い。この場合、型の密閉性が高いため、焼結によるハロゲン化物原料の蒸発を抑制できる。このようにして焼結することにより、所定の組成を有する化合物からなる焼結体の状態の固体電解質が得られる。
また固体電解質の製造する際に、必要に応じて熱処理を行ってもよい。熱処理を行うことにより、固体電解質の結晶子サイズを調整できる。熱処理としては、例えば、アルゴンガス雰囲気中で、130℃~650℃で0.5~60時間行うことが好ましく、140℃~600℃で1~30時間行うことがより好ましい。アルゴンガス雰囲気中で、150~550℃で5~24時間行うことにより、固体電解質が得られる。
合剤層に含まれる固体電解質について、ふるいを用いて分級し、粒度分布のD50に対するD90の値の比が1.0~4.0となるように調整することができる。この分級工程において、ふるいを通った粉末をジェットミル等を用いてさらに粉砕して粒度分布のD50に対するD90の値の比を調整してもよい。
電極合剤層を作製するのに用いる活物質(平均粒径D50a)及び固体電解質(平均粒径D50e)についても、活物質及び固体電解質の少なくとも一方をふるいを用いて分級し、粒径比D50e/D50aとなるように調整することができる。この分級工程において、ふるいを通った粉末をジェットミル等を用いてさらに粉砕して粒径比D50e/D50aを調整してもよい。
電極合剤層を以下のように粉末成形法によって作製することによって、電極合剤層における活物質同士の接触率を調整することができる。
(i)活物質への固体電解質の予備複合工程:目的電極組成の全量ではなく表面に付着させる分のみ複合する。複合化の手法としては、静電噴霧法、ボールミリング法等が挙げられる。
(ii)予備複合した活物質/固体電解質の加圧工程:従来の複合方法では、活物質と固体電解質との付着力が弱く、助剤、固体電解質と混合した際に、固体電解質の一部が脱落してしまい、所望の接触面積を得ることが難しい。そこで、弾力性のある材料(例えば、ブチルゴムなどのゴム材など)からなる加圧治具で加圧することで、やわらかい固体電解質と活物質で緻密な界面を形成して、所望の接触面積を得ることができる。こうして活物質と固体電解質との接触率の調整を介して活物質同士の接触率を調整することができる。また、弾力性のある材料で加圧することで、活物質粒子の割れを防止できる。
(iii)電極合剤の混合工程:複合した活物質/固体電解質に、所望の電極組成になるように固体電解質、導電助剤を添加して混合する。混合はポットミルなどの公知の方法を用いてもよい。
(iv)成形工程:混合工程で得た負極合剤をプレス機で成形して電極合剤層を得る。
全固体電池は、例えば、粉末成型法を用いて作製できる。まず、中央に貫通穴を有する樹脂ホルダーと、下パンチと、上パンチとを用意する。樹脂ホルダーの貫通穴の直径は例えば10mmとし、下パンチ及び上パンチの直径は例えば9.99mmとする。樹脂ホルダーの貫通穴の下から下パンチを挿入し、樹脂ホルダーの開口側から、粉末状の固体電解質を投入する。次いで投入した粉末状の固体電解質の上に上パンチを挿入し、プレス機に載置し、プレスする。プレスの圧力は、例えば、373MPaとする。粉末状の固体電解質は、樹脂ホルダー内で上パンチと下パンチとでプレスされることで、固体電解質層10となる。
次いで、上パンチを一旦取り外し、固体電解質層10の上パンチ側に、正極合剤層の材料を投入する。その後、再度、上パンチを挿入し、プレスする。プレスの圧力は、例えば、373MPaとする。正極合剤層の材料は、プレスにより正極合剤層24となる。
次いで、下パンチを一旦取り外し、固体電解質層10の下パンチ側に、負極合剤層の材料を投入する。例えば、試料を上下逆にして、固体電解質層10上に、負極合剤層の材料を投入する。
次いで、再度、下パンチを挿入し、プレスする。プレスの圧力は、例えば、373MPaとする。負極合剤層の材料は、プレスにより負極合剤層34となる。
次いで、上パンチを一度取り外し、正極合剤層24の上に正極集電体22、上パンチの順に挿入する。また下パンチを一度取り外し、負極合剤層34の上に負極集電体32、下パンチの順に挿入する。正極集電体22、負極集電体32は例えば直径10mmのアルミニウム箔や銅箔とする。上記手順を経て、正極集電体22/正極合剤層24/固体電解質層10/負極合剤層34/負極集電体32からなる本実施形態の発電素子40が得られる。
発電素子40は、必要に応じて、4か所にねじ穴を有するステンレス製円板およびテフロン(登録商標)製円板で、ステンレス円板/テフロン(登録商標)円板/発電素子40/テフロン(登録商標)円板/ステンレス円板の順序で積載し、4か所のネジを締めしてもよい。また全固体電池40は、保形機能を有する類似した機構であってもよい。
また必要に応じて、外部引き出し正極端子、外部引き出し負極端子を取り付けた外装体(アルミラミネート袋)の中に挿入し、上パンチ側面のネジと外装体内の外部引き出し正極端子と、及び、下パンチ側面のネジと外装体内の外部引き出し負極端子とをリード線で接続し、最後に外装体の開口部をヒートシールしてもよい。外装体により耐候性が向上する。
次に、積層体を形成している正極20の正極集電体22および負極30の負極集電体32に、それぞれ公知の方法により外部端子を溶接し、正極集電体22または負極集電体32と外部端子とを電気的に接続する。その後、外部端子と接続された積層体を外装体50に収納し、外装体50の開口部をヒートシールすることにより密封する。以上の工程により、本実施形態の全固体電池100が得られる。
<正極実施例>
〔正極実施例1〕
(固体電解質の作製)
露点約-70℃のグローブボックス内において、塩化ジルコニウム(ZrCl)と硫酸リチウム(LiSO)とをそれぞれ、モル比で1:1の割合になるように原料粉末を秤量した。あらかじめジルコニアボールを入れている遊星型ボールミル用のジルコニア製密閉容器に、原料粉末を投入した。次に密閉容器に蓋をし、蓋を容器本体にねじ止めし、さらに蓋と容器の間をポリイミドテープでシールした。ポリイミドテープは水分を遮断する効果がある。次に、ジルコニア製密閉容器を遊星型ボールミルにセットした。自転回転数500rpm及び公転回転数500rpm(自転の回転方向と公転の回転方向は逆方向)で24時間メカノケミカル反応させた。遊星型ボールミルは、通常雰囲気(大気)中に設置している。遊星型ボールミル用のジルコニア製密閉容器はねじ止めさらにポリイミドテープでシールしてあり、遊星型ボールミルにジルコニア製密閉容器をセットすると、ジルコニア製密閉容器が固く押圧固定される構造であるため、通常雰囲気であっても、ジルコニア製密閉容器内には大気から水分の混入は殆どないと考えられる。このようにして、LiZrSOClの粉末を得た。
その後、正極合剤用のLiZrSOClの粉末について分級工程を行い、D90/D50が2.0になるように調整した。
(正極合剤の作製)
次に、露点約-70℃のグローブボックス内において、コバルト酸リチウム(LiCoO)の粉末について分級工程を行って、D90/D50が2.0に調整された固体電解質に対して、LiCoOの平均粒径D50aに対するLiZrSOClの平均粒径D50e(=D50)の粒径比D50e/D50aが4.1になるように調整した。次いで、LiCoO粉末へのLiZrSOClの粉末への複合処理を行った。具体的には静電噴霧法による予備複合工程、ブチルゴムからなる加圧治具による加圧工程による複合を行った。得られたLiCoO/LiZrSOClに、所望の電極組成になるように秤量したLiZrSOCl、カーボンブラックを添加して、めのう乳鉢で15分間混合して、正極合剤を得た。
(充放電用ハーフセルの作製)
充放電用ハーフセルの作製を、露点約-70℃のグローブボックス内において行った。
ハーフセル用に、ペレット作製治具を用いて準備した。ペレット作製治具は、外径30mm、内径10mm、高さ20mmのPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製の円筒、直径9.99mmの上パンチおよび下パンチを有する。上下パンチの材質はダイス鋼(SKD11材)である。
PEEK製円筒に下パンチを挿入し、下パンチの上に固体電解質LiZrSOClを110mg投入した。次いで、PEEK製円筒を振動させ、固体電解質の表面を均した後、固体電解質の上に上パンチを挿入して、プレス機を用いて373MPaの加重でプレスした。
次に、上パンチを抜いて、固体電解質の上に、正極合剤を15mg投入した。次いで、PEEK製円筒を振動させ、正極合剤の表面を均した後、正極合剤の上に上パンチを挿入して、プレス機を用いて373MPaの加重でプレスした。次に、下パンチを外して、固体電解質層の上に直径10mm、厚み100μmのリチウム箔を配置し、下パンチを挿入した。ハーフセルの構成は、(LiCoO+LiZrSOCl+CB)/LiZrSOCl/Liとなる。
また、直径50mm、厚み5mmのステンレス鋼板2枚と、直径50mm、厚み2mmのベークライト(登録商標)板2枚とを準備した。次いで、2枚のステンレス鋼板および2枚のベークライト(登録商標)板に、ネジを通す穴をそれぞれ4つずつ設けた。ネジを通す穴は、ハーフセルと、2枚のステンレス鋼板および2枚のベークライト(登録商標)板とを積層したときに、2枚のステンレス鋼板と2枚のベークライト(登録商標)板とが平面視で重なり、かつハーフセルと平面視で重ならない位置に設けた。
その後、ステンレス鋼板、ベークライト(登録商標)板、ハーフセル、ベークライト(登録商標)板、ステンレス鋼板をこの順に積層し、上記のネジ穴にネジを入れて1N・mのトルクで締めた。このようにして、電気化学セルの上パンチおよび下パンチが、ベークライト(登録商標)板によって絶縁されたハーフセルを得た。次に、ハーフセルを25℃の恒温槽に48時間静置し開回路電圧を安定させた。
(評価)
(1)放電容量(実容量)/設計容量
まず、ハーフセルを電圧範囲2.8Vから4.2Vとし、0.1C定電流充電にて行い、定電圧後、0.05C相当の電流になるまで充電した。充電後、それぞれ放電電圧まで0.1Cの定電流で放電した。この放電容量(1サイクル後の放電容量)と設計容量との比(放電容量/設計容量)を算出した。その値を表1に示す。なお、設計容量は、上記の電圧範囲において0.01C相当の電流値で測定した正極活物質の容量と、各実施例及び比較例で作製した全固体電池の正極活物質の含有量に基づいて算出した値である。
(2)空隙率、正極活物質の平均粒径、正極活物質の面積占有率、正極活物質同士の接触率
次にグローブボックス内において、この充放電後のハーフセルを分解し、正極合剤層を取り出し厚さ方向の中心を通る断面で切断し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察し、SEM像を得た。そのSEM像において、上述した方法によって、空隙率、正極活物質の平均粒径、正極活物質の面積占有率、及び、正極活物質同士の接触率を算出した。得られた結果を表1、表2に示す。
Figure 2023171360000002
Figure 2023171360000003
〔正極実施例2~13〕
プレス圧を調整して表1に示す正極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表1に示す正極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は正極実施例1と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔正極実施例14〕
固体電解質層及び正極合剤層作製のための固体電解質について、塩化ジルコニウム(ZrCl)と酸化リチウム(LiO)とをそれぞれ、モル比で1:1の割合になるように原料粉末を用いてLiZrOClの粉末を作製し、また、分級工程を調整して、表1に示す正極合剤層の空隙率、正極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は正極実施例1と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔正極実施例15~26〕
プレス圧を調整して表1に示す正極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表1に示す正極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は正極実施例14と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔正極実施例27〕
固体電解質層及び正極合剤層作製のための固体電解質について、LiSとPとLiClとをそれぞれ、モル比で2.5:0.5:1の割合になるように原料粉末を用いてLiPSClの粉末を作製し、また、分級工程を調整して、表1に示す正極合剤層の空隙率、正極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は正極実施例1と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔正極実施例28~39〕
プレス圧を調整して表1に示す正極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表1に示す正極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は正極実施例27と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔正極比較例1~3〕
プレス圧を調整して表1に示す正極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表1に示す正極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は正極実施例1と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔正極比較例4〕
プレス圧を調整して表1に示す正極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表1に示す正極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は正極実施例14と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔正極比較例5〕
プレス圧を調整して表1に示す正極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表1に示す正極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は正極実施例27と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
<負極実施例>
〔負極実施例1〕
(固体電解質の作製)
露点約-70℃のグローブボックス内において、塩化ジルコニウム(ZrCl)と硫酸リチウム(LiSO)とをそれぞれ、モル比で1:1の割合になるように原料粉末を秤量した。あらかじめジルコニアボールを入れている遊星型ボールミル用のジルコニア製密閉容器に、原料粉末を投入した。次に密閉容器に蓋をし、蓋を容器本体にねじ止めし、さらに蓋と容器の間をポリイミドテープでシールした。ポリイミドテープは水分を遮断する効果がある。次に、ジルコニア製密閉容器を遊星型ボールミルにセットした。自転回転数500rpm及び公転回転数500rpm(自転の回転方向と公転の回転方向は逆方向)で24時間メカノケミカル反応させた。遊星型ボールミルは、通常雰囲気(大気)中に設置している。遊星型ボールミル用のジルコニア製密閉容器はねじ止めさらにポリイミドテープでシールしてあり、遊星型ボールミルにジルコニア製密閉容器をセットすると、ジルコニア製密閉容器が固く押圧固定される構造であるため、通常雰囲気であっても、ジルコニア製密閉容器内には大気から水分の混入は殆どないと考えられる。このようにして、LiZrSOClの粉末を得た。
その後、負極合剤用のLiZrSOClの粉末について分級工程を行い、D90/D50が2.0になるように調整した。
(負極合剤の作製)
次に、露点約-70℃のグローブボックス内において、チタン酸リチウム(LiTi12)の粉末について分級工程を行って、D90/D50が2.0に調整された固体電解質に対して、LiTi12の平均粒径D50aに対するLiZrSOClの平均粒径D50e(=D50)の粒径比D50e/D50aが4.1になるように調整した。次いで、LiTi12粉末へのLiZrSOClの粉末への複合処理を行った。具体的には静電噴霧法による予備複合工程、ブチルゴムからなる加圧治具による加圧工程による複合を行った。得られたLiTi12/LiZrSOClに、所望の電極組成になるように秤量したLiZrSOCl、カーボンブラックを添加して、めのう乳鉢で15分間混合して、負極合剤を得た。
(充放電用ハーフセルの作製)
充放電用ハーフセルの作製を、露点約-70℃のグローブボックス内において行った。
ハーフセル用に、ペレット作製治具を用いて準備した。ペレット作製治具は、外径30mm、内径10mm、高さ20mmのPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製の円筒、直径9.99mmの上パンチおよび下パンチを有する。上下パンチの材質はダイス鋼(SKD11材)である。
PEEK製円筒に下パンチを挿入し、下パンチの上に固体電解質LiZrSOClを110mg投入した。次いで、PEEK製円筒を振動させ、固体電解質の表面を均した後、固体電解質の上に上パンチを挿入して、プレス機を用いて373MPaの加重でプレスした。
次に、上パンチを抜いて、固体電解質の上に、負極合剤を20mg投入した。次いで、PEEK製円筒を振動させ、負極合剤の表面を均した後、負極合剤の上に上パンチを挿入して、プレス機を用いて373MPaの加重でプレスした。次に、下パンチを外して、固体電解質層の上に直径10mm、厚み100μmのリチウム箔を配置し、下パンチを挿入した。ハーフセルの構成は、(LiTi12+LiZrSOCl+CB)/LiZrSOCl/Liとなる。
また、直径50mm、厚み5mmのステンレス鋼板2枚と、直径50mm、厚み2mmのベークライト(登録商標)板2枚とを準備した。次いで、2枚のステンレス鋼板および2枚のベークライト(登録商標)板に、ネジを通す穴をそれぞれ4つずつ設けた。ネジを通す穴は、ハーフセルと、2枚のステンレス鋼板および2枚のベークライト(登録商標)板とを積層したときに、2枚のステンレス鋼板と2枚のベークライト(登録商標)板とが平面視で重なり、かつハーフセルと平面視で重ならない位置に設けた。
その後、ステンレス鋼板、ベークライト(登録商標)板、ハーフセル、ベークライト(登録商標)板、ステンレス鋼板をこの順に積層し、上記のネジ穴にネジを入れて1N・mのトルクで締めた。このようにして、電気化学セルの上パンチおよび下パンチが、ベークライト(登録商標)板によって絶縁されたハーフセルを得た。次に、ハーフセルを25℃の恒温槽に48時間静置し開回路電圧を安定させた。
(評価)
(1)放電容量(実容量)/設計容量
まず、ハーフセルをLiTi12であれば電圧範囲1.0Vから2.5Vまで、グラファイトであれば、0.005Vから1.0Vまでとしてそれぞれ充電電位まで0.1C定電流充電にて行い、定電圧後、0.05C相当の電流になるまで充電した。充電後、それぞれ放電電圧まで0.1Cの定電流で放電した。この放電容量(1サイクル後の放電容量)と設計容量との比(放電容量/設計容量)を算出した。その値を表2に示す。なお、設計容量は、ハーフセルを作製して測定し、上記の電圧範囲において0.01C相当の電流値で測定した負極活物質の容量と、各実施例及び比較例で作製した全固体電池の負極活物質の含有量に基づいて算出した値である。
(2)空隙率、負極活物質の平均粒径、負極活物質の面積占有率、負極活物質同士の接触率
次にグローブボックス内において、この充放電後のハーフセルを分解し、負極合剤層を取り出し厚さ方向の中心を通る断面で切断し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察し、SEM像を得た。そのSEM像において、上述した方法によって、空隙率、負極活物質の平均粒径、負極活物質の面積占有率、及び、負極活物質同士の接触率を算出した。得られた結果を表3、表4に示す。
Figure 2023171360000004
Figure 2023171360000005
〔負極実施例2~13〕
プレス圧を調整して表2に示す負極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表2に示す負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例1と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極実施例14〕
負極活物質として黒鉛(グラファイト)を用い、プレス圧を調整して表2に示す負極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表2に示す負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例1と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極実施例15〕
固体電解質層及び負極合剤層作製のための固体電解質について、塩化ジルコニウム(ZrCl)と酸化リチウム(LiO)とをそれぞれ、モル比で1:1の割合になるように原料粉末を用いてLiZrOClの粉末を作製し、また、分級工程を調整して、表2に示す負極合剤層の空隙率、負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例1と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極実施例16~27〕
プレス圧を調整して表2に示す負極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表2に示す負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例15と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極実施例28〕
負極活物質として黒鉛(グラファイト)を用い、プレス圧を調整して表2に示す負極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表2に示す負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は実施例15と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極実施例29〕
固体電解質層及び負極合剤層作製のための固体電解質について、LiSとPとLiClとをそれぞれ、モル比で2.5:0.5:1の割合になるように原料粉末を用いてLiPSClの粉末を作製し、また、分級工程を調整して、表2に示す負極合剤層の空隙率、負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例1と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極実施例30~41〕
プレス圧を調整して表2に示す負極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表2に示す負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例29と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極実施例42〕
負極活物質として黒鉛(グラファイト)を用い、プレス圧を調整して表2に示す負極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表2に示す負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例29と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極比較例1~3〕
プレス圧を調整して表2に示す負極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表2に示す負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例1と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極比較例4〕
プレス圧を調整して表2に示す負極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表2に示す負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例15と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極比較例5〕
プレス圧を調整して表2に示す負極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表2に示す負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例29と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
〔負極比較例6〕
プレス圧を調整して表2に示す負極合剤層の空隙率を得て、分級工程を調整して表2に示す負極合剤のD90/D50及びD50e/D50aを得た以外は負極実施例14と同様の条件で充放電用ハーフセルを作製し、評価を行った。
正極実施例1~39の「放電容量(実容量)/設計容量」はほぼ0.9以上であり、設計容量に近い性能が得られていた。これに対して、正極比較例1~5の「放電容量(実容量)/設計容量」は0.61~0.79であった。また、負極実施例1~42の「放電容量(実容量)/設計容量」はほぼ0.9以上であり、設計容量に近い性能が得られていた。これに対して、負極比較例1~6の「放電容量(実容量)/設計容量」は0.59~0.79であった。
正極合剤層に含まれる固体電解質としては、LiZrSOCl、LiZrOCl、LiPSClの順に高い「放電容量(実容量)/設計容量」が得られた。また、負極合剤層に含まれる固体電解質としては、LiZrSOCl、LiZrOCl、LiPSClの順に高い「放電容量(実容量)/設計容量」が得られた。
10…固体電解質層、20…正極、22…正極集電体、24…正極合剤層、30…負極、
32…負極集電体、34…負極合剤層、34A…負極活物質、34B…固体電解質、34
C…導電助剤、34D…空隙、40…発電素子、50…外装体、52…金属箔、54…樹脂層、60,62…端子、100…全固体電池

Claims (7)

  1. 活物質と、固体電解質とを含む電極合剤層を備え、
    前記固体電解質がハライド系固体電解質、硫化物系固体電解質から選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記電極合剤層の厚さ方向の中心を通る断面を観察した断面観察像で検出した活物質の粒子において、前記活物質の粒子同士の接触率が30%以下である、全固体電池用電極。
  2. 前記電極合剤層の前記断面観察像において、前記活物質の一次粒子の平均粒径が0.9~10μmであり、空隙率が1~20%である、請求項1に記載の全固体電池用電極。
  3. 前記電極合剤層の前記断面観察像において、活物質が占める面積が35~50%である、請求項1又は2に記載の全固体電池用電極。
  4. 前記電極合剤層の作製において用いた活物質の粒子の粒度分布のD50(D50a)に対する、用いた固体電解質の粒子の粒度分布のD50(D50e)の比D50e/D50aが0.7~5.0である、請求項1又は2に記載の全固体電池用電極。
  5. 前記電極合剤層の作製において用いた固体電解質の粒子における粒度分布のD50に対するD90の値の比が1.0~4.0である、請求項1又は2に記載の全固体電池用電極。
  6. 前記ハライド系固体電解質が下記式(1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の全固体電池用電極;
    LiaEbGcXd・・・(1)
    (式(1)中において、EはAl、Sc、Y、Zr、Hf、ランタノイドからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、GはOH、BO、BO、BO、B、B、CO、NO、AlO、SiO、SiO、Si、Si、Si11、Si18、PO、PO、P、P10、SO、SO、SO、S、S、S、S、S、S、BF、PF、BOB、(COO)、N、AlCl、CFSO、CHCOO、CFCOO、OOC-(CH-COO、OOC-CH-COO、OOC-CH(OH)-CH(OH)-COO、OOC-CH(OH)-CH-COO、CSO、OOC-CH=CH-COO、C(OH)(CHCOOH)COO、AsO、BiO、CrO、MnO、PtF、PtCl、PtBr、PtI、SbO、SeO、TeO、HCOO、CHCOO、Oからなる群から選択される少なくとも1つの基であり、XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.5≦a<6、0<b<2、0≦c≦6、0<d≦6.1である。)。
  7. 請求項1又は2に記載の全固体電池用電極を備える全固体電池。
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