JP2023171235A - 保育器、保育システム、除去方法 - Google Patents

保育器、保育システム、除去方法 Download PDF

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大介 日高
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博和 赤星
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Abstract

【課題】保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避する。【解決手段】保育器(1)は、患児を収容可能な収容室(101)と、収容室(101)内にて患児を保持する保持部(10)と、を備え、保持部(10)の少なくとも一部において、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する。【選択図】図1

Description

本発明は、保育器、保育システム、保育器内の揮発性物質を除去する除去方法に関する。
保育器は、未熟児および新生児等の患児を保護し、診療するための医療機器である。患児は保育器内において様々な医学的介入を受ける。患児が受ける医学的介入には、採血、人工呼吸器の装着、点滴、などが挙げられる。
医学的介入の一例として、保育器内の患児から採血を行ったり、患児に点滴を行ったりする場合がある。これらの医学的介入では、針を刺す部位の消毒等のためにエタノールなどのアルコールが使用され得る。エタノールなどのアルコールは揮発性を有しているため、医学的介入の度に保育器内の空気に含まれるアルコール濃度が上昇する。その結果、保育器内の患児は、意図せず揮発性物質に暴露されている可能性がある。
揮発性物質の中には、患児の健康状態に影響を及ぼすものもある。例えば、妊娠中の飲酒によって胎児へ悪影響をもたらす(胎児エタノール症候群)ことは広く知られており、保育器内で患児が揮発性物質に暴露される状況は改善することが望ましい。
本開示は、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る保育器は、患児を収容可能な収容室と、前記収容室内にて前記患児を保持する保持部と、を備え、前記保持部の少なくとも一部において、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する。
上記構成によれば、保育器の基本的な設計を変更することなく、収容室内の空気の揮発性物質を除去できる。これにより、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
前記保持部は、前記患児が載置される患児載置部、および該患児載置部の端部に配された衝立部を含んでいてもよい。保育器には、患児が載置される患児載置部を備えており、また、患児載置部の端部には衝立部が設けられる。上記構成によれば、保育器が備える患児載置部および衝立部の少なくとも一部において、収容室内の空気の揮発性物質を除去することができる。
前記衝立部の少なくとも一部において、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去してもよい。この構成によれば、保育器の基本的な設計を変更することなく、収容室内の空気の揮発性物質を除去できる。
前記保持部の少なくとも一部から、空気を前記収容室外から前記収容室内に供給してもよい。この構成によれば、保育器の基本的な設計を変更することなく、収容室内に空気を供給することができる。
前記保持部の少なくとも一部から、前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出してもよい。この構成によれば、保育器の基本的な設計を変更することなく、収容室内の空気を収容室外に排出することができる。
前記保持部は、前記患児が載置される患児載置部、および該患児載置部の端部に配された衝立部を含み、前記衝立部は、前記患児載置部の第1端部に配された第1衝立部と、前記患児載置部の前記第1端部とは異なる第2端部に配された第2衝立部とを備え、前記第1衝立部の少なくとも一部から、前記収容室外の空気を前記収容室内に供給し、前記第2衝立部の少なくとも一部から、前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出してもよい。この構成によれば、患児載置部の第1端部に配された第1衝立部の少なくとも一部から、収容室外の空気を収容室内に供給する。一方、患児載置部の第2端部に配された第2衝立部の少なくとも一部から、収容室内の空気の少なくとも一部を収容室外に排出する。これにより、衝立部(すなわち、第1衝立部および第2衝立部)は、プッシュプル型の換気機構として機能することができる。
前記保持部は、前記患児が載置される患児載置部、および該患児載置部の端部に配された衝立部を含み、前記衝立部は、前記患児載置部の第1端部に配された第1衝立部と、前記患児載置部の前記第1端部とは異なる第2端部に配された第2衝立部とを備え、前記第1衝立部の少なくとも一部から、前記収容室内の空気を吸気し、前記第2衝立部の少なくとも一部から、揮発性物質が除去された空気を前記収容室内に排出してもよい。この構成によれば、衝立部(すなわち、第1衝立部および第2衝立部)は、収容室内の空気を循環させつつ、収容室内の空気から揮発性物質を除去することができる。これにより、収容室内の温度および湿度を保ったまま、揮発性物質を除去することができる。
本開示の一側面に係る保育システムは、上記保育器と、前記収容室に温度および湿度が調節された空気を循環させる循環機構と、を備えていてもよい。この構成によれば、保育システムは、保育器の収容室内の空気を循環させつつ、収容室内の空気の揮発性物質を除去することができる。これにより、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
本開示の一側面に係る除去方法は、患児を収容可能な収容室と、前記収容室内にて前記患児を保持する保持部と、を備える保育器の、前記収容室内の揮発性物質を除去する除去方法であって、前記保持部の少なくとも一部において、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去ステップ、を含む。
上記構成によれば、保育器の基本的な設計を変更することなく、収容室内の空気の揮発性物質を除去し、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
本開示の一態様によれば、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
本開示の実施形態1に係る揮発性物質除去装置を備えた保育器の概略斜視図である。 図1に示す揮発性物質除去装置の概略平面図である。 図2に示す揮発性物質除去装置のAA線矢視断面図である。 本開示の実施形態2に係る揮発性物質除去装置の概略平面図である。 本開示の実施形態3に係る揮発性物質除去装置の概略平面図である。 図5に示す揮発性物質除去装置のAA線矢視断面図である。 図5に示す揮発性物質除去装置の使用例を説明する図である。 本開示の実施形態4に係る浄化装置の概略斜図である。 図8に示す浄化装置のBB線矢視断面図である。 本開示の実施形態5に係る浄化装置を示す概略斜視図である。 本開示の実施形態6に係る浄化装置を示す概略斜視図である。 図11に示す浄化装置の概略断面図である。 本開示の実施形態7に係る保育システムの概略ブロック図である。 図1に示す保育器の変形例を示す保育器の概略斜視図である。 図3に示す揮発性物質除去装置の変形例の概略断面図である。 図6に示す揮発性物質除去装置の変形例の概略断面図である。 図3に示す揮発性物質除去装置の変形例の概略断面図である。 本開示の実施形態1に係るエタノール除去方法を説明するためのフローチャートである。 図1に示す保育器の概略断面図である。 本開示の実施形態8に係る保育器の概略斜視図である。 本開示の実施形態8に係る保育器の別の構成例を示す概略斜視図である。 本開示の実施形態9に係る保育器が備える衝立部およびベッドの概略断面図である。 本開示の実施形態10に係る保育器が備える衝立部およびベッドの概略断面図である。 本開示の実施形態11に係る保育器の概略斜視図である。 本開示の実施形態12に係る保育器の概略斜視図である。 本開示の実施形態13に係る保育器の概略斜視図である。 本開示の実施形態14に係る保育器の概略構成を示すブロック図である。 本開示の実施形態14に係る保育器の動作の流れを示すフローチャートである。 本開示の実施形態15に係る保育器の概略斜視図である。 2101は図29に示す保育器が備えるホルダを引き出した状態を示す概略斜視図であり、2102は、2101に示す破線囲みを拡大した概略斜視図である。 本開示の実施形態16に係る保育器の断面図である。
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。以下では保育器は、後述する閉鎖型保育器を例にして説明する。
患児に対する医学的介入(点滴投与等)には、保育器内で実施されるものがある。また、保育器内の空気に含まれる揮発性物質を吸着除去する必要がある。この揮発性物質は、エタノールのような患児Xに対する医学的介入において使用される物質である。
従って、保育器内には、保育器内で実施される医学的介入において使用される揮発性物質を、該保育器内の空気から除去する揮発性物質除去装置が設置されている。これにより、患児に対する医学的介入を保育器内において行うことの安全性を向上させることができる。なお、揮発性物質除去装置を保育器内に設置する理由の一例として、衛生面や機能面で問題が生じ難いことを挙げることができる。例えば、揮発性物質除去装置の全てあるいは一部を保育器外に設置した場合、保育器内と保育器外との温湿度差によって結露などが生じ、衛生面や機能面で問題が生じ易くなる。このため、揮発性物質除去装置は、保育器内に設置するのが好ましい。以下、除去対象の揮発性物質としてエタノールを例に説明するため、揮発性物質除去装置をエタノール除去装置とする。はじめに、保育器の概要を説明する。
<保育器の概要>
図1は、保育器1の概略斜視図である。保育器1は、患児Xを収容する収容室101と、収容室101を載置する載置台102(設置台)とを含む。収容室101内には、臥位の患児Xを保持するベッド11(患児載置部、保持部)、ベッド11の前後に配置され、医療器具などの落下を防止する衝立部12(保持部)が配置されている。ベッド11および衝立部12は、収容室101内における保持部10を構成する。なお、保持部10は、ベッド11の代替として、座位の患児Xを保持可能な背凭れおよび座面などを有する椅子型部材を備えていてもよい。ベッド11の表面11a(患児載置部、保持部、載置面)は、当該ベッド11における、患児Xが載置される載置面の一例である。ベッド11は、載置台102(設置台)上に設けられたベッドステージ13(設置台)に設置されている。ベッドステージ13は、ベッド11を上下方向または上下左右方向に動かすことが可能である。衝立部12は、ベッド11の表面11aから所定の高さおよび所定の幅を有する透明な樹脂で形成されている。
収容室101には、医師または看護師が患児Xに対して点滴投与等の処置を行うための処置用の開口部101aが2個設けられている。収容室101内で患児Xに対して何らかの処置をする場合には、必ず消毒する必要がある。例えば、酒精綿を用いて患児Xの手等の処置対象の部位を消毒する。収容室101内で酒精綿を使用すれば、当該収容室101内にエタノールが発生する。発生したエタノールを除去するために、収容室101内には、ベッド11上にエタノール除去装置110が配置されている。
ここで、収容室101内の空気は、エタノールを発する発生源(例えば酒精綿)から離れた位置の第1空気と、エタノールを発する発生源(例えば酒精綿)近傍の第2空気とを含む。従って、エタノール除去装置110は、主に、エタノールの発生源付近の第2空気からエタノールを除去する。エタノール除去装置110の駆動制御は、各装置に設けられた操作部(図示せず)の操作によって行う。
保育器1は、患児を収容するために内部の温度および湿度が調節可能な収容室を備えた保育器(所謂、閉鎖型保育器)である。このため、保育器1は、さらに、循環部410(循環機構)、供給部420(供給機構)、排出部430(排出機構)を備える。循環部410は、温度および湿度が調節された空気を収容室101に循環させる。供給部420は、空気を収容室101外から収容室101内に供給する。排出部430は、収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101外に排出する。これにより、保育器1は、患児を収容する収容室における温湿度が維持され、温湿度が維持できるレベルで自然吸排気を行い換気されている。なお、保育器1は温湿度に加えて、酸素濃度が調整可能であってもよい。循環部で供給される空気の気流は、患児に影響を与えないようにその向きおよび速度等が考慮されている。また、循環部410、供給部420、および排出部430に加えて、外付けの循環装置、供給装置、および排出装置の少なくとも1つを、保育器1に配置可能であってもよい。
載置台102には、保育器1の機能などを、使用者(医師、看護師等)が操作できるように操作パネル102aが設けられている。
保育器1において収容室101内の空気は、循環部410によって温度および湿度が調整されている。また、エタノール除去装置110は、収容室101内の空気を吸気して、吸気した空気に含まれるエタノールを除去し、エタノールを除去した空気を再び収容室101内に排気する。これにより、収容室101内の温度および湿度を保ったまま、当該収容室101からエタノールを除去することができる。また、保育器1外の空気中のエタノールを除去し、保育器1外の空気と保育器1内の空気を入れ替える方法も考えられるが、当該方法では保育器1内の温度、湿度の維持が難しい。
また、エタノール除去装置110を収容室101内に配置することで、保育器1を設置するスペースとは別に、エタノール除去装置110を設置するためのスペースを確保する必要が無い。
また、エタノール除去装置110は、ベッド11上で自由に配置して使用できるようになっている。このため、患児Xに対して消毒する場合には、消毒する部位に近い位置にエタノール除去装置110を配置することで、消毒時に発生するエタノールを効果的に吸着することが可能となる。
<エタノール除去装置の概要>
図2は、エタノール除去装置110の概略正面図である。図3は、図2のAA線矢視断面図である。
エタノール除去装置110は、図2に示すように、筐体111を含む。筐体111の前面111aには、空気を取り込む吸気部111cが当該前面111aの長手方向に並列して設けられ、後面111bには、当該筐体111内でエタノールが除去された空気を排気する排気部111d(図3)が設けられている。筐体111の前面111aには、吸気部111cに空気を導くガイド部112が設けられている。
筐体111内には、図3に示すように、吸気部111c側から排気部111dに向かって順に、第1除去部114、吸引部115が配置されている。
第1除去部114は、破砕状の活性炭114aを含み、吸引部115によって吸気部111c側の第1開口部114bから吸引された空気に含まれる気化されたエタノールを吸着し、吸引部115側の第2開口部114cから排気する。第1除去部114は、筐体111の上部側から着脱可能なカートリッジ内に破砕状の活性炭114aを収容したカートリッジ型である。これにより、第1除去部114の交換が容易である。また、破砕状の活性炭114aは使い捨てである。このため、第1除去部114の交換は、以下のように行う。筐体111から取り出した第1除去部114に収容された破砕状の活性炭114aは捨てて、新しい破砕状の活性炭114aを第1除去部114に収容し、再度、第1除去部114を筐体111に取り付ける。
第1除去部114と吸引部115との間には、ガスセンサ117が設けられている。このガスセンサ117は、第1除去部114によるエタノールの吸着能力の低下検出するためのセンサである。具体的には、エタノール除去装置110の制御部(図示せず)は、ガスセンサ117によって検出されたエタノール濃度が予め設定した値(第1除去部114の交換要と判断するための値)以上であると判断すれば、第1除去部114のエタノール吸着能力が所定基準よりも低下していると判断する。つまり、制御部は、ガスセンサ117によって検出されたエタノール濃度から、第1除去部114の交換時期であることを知らせることができる。このように、制御部は、ガスセンサ117が検出したエタノール濃度から、第1除去部114の吸着状態(破過している(吸着機能を超えて吸着して、吸着対象が漏れている)状態か、あるいは十分に吸着できている状態か)を判断する。よって、ガスセンサ117は破過センサとして機能する。つまり、ガスセンサ117は、第1除去部114内の活性炭の吸着能力の低下を検出するセンサであり、ガスセンサ117の検出結果に基づき、第1除去部114内の活性炭の交換時期を知らせるようになっている。
吸引部115は、2つのシロッコファンからなり、第1除去部114を介して吸気部111cから空気を吸引し、筐体111の後面111bに設けられた排気部111dから排気される。ここで、吸引部115における1分間当たりの吸気量は20L以上とするが、これに限定されものではない。ただし、吸引部115における吸気量は、吸気量および排気量によって閉鎖保育器内の環境を乱さない範囲に設定されることが好ましい。
排気部111dによる空気の排気方向は、保育器1内の気流を邪魔しない方向であることが望ましい。また、排気部111dから排気される空気(エタノール除去済の空気)は、収容室101内の患児Xの身体に当たらないことが好ましい。なぜなら、排気部111dから排気される空気が患児Xにあたることによって、患児の体温を奪ったり、不感蒸泄による水分喪失を促進させたりする可能性があるからである。そこで、エタノール除去装置110は、排気部111dから排気される空気が、収容室101内の患児Xから遠ざかる方向に排気されるように構成されている。
筐体111の吸気部111cから吸気する空気は、上述したガイド部112によって導かれる。ガイド部112の詳細について説明する。ガイド部112は、エタノールによる処置の処置対象である患児Xの少なくとも一部、および酒精綿等のエタノールの発生源の少なくとも一方が載置可能な載置部112aを含む。
載置部112a上で患児Xの少なくとも一部を載置してエタノールによる処置(例えば、消毒等)が行われるか、載置部112a上にエタノールの発生源である、処置に用いる酒精綿等が置かれれば、載置部112aに載置された患児Xの一部の付近にエタノールが漂うことになる。しかしながら、エタノール除去装置110は、ガイド部112によって、載置部112aの患児Xの少なくとも一部が載置されている載置面(所定の面)に漂うエタノールを含む空気を積極的に吸気部111cに導く。これにより、エタノール除去装置110は、筐体111内の第1除去部114によってエタノールを除去することができる。また後述の例のように、筐体111内の第1除去部114および第2除去部116によってエタノールを除去することもできる。従って、エタノール除去装置110は、短時間で空気に含まれるエタノールを除去することが可能となる。保育器1外の空気と保育器1内の空気を入れ替える方法と比較した場合、入れ替える方法では酒精綿等から揮発したエタノールが保育器内を漂った後、保育器1外に排出されるので、保育器1内のエタノール濃度の最高値を抑制することができない。また保育器1内のエタノール濃度が高い状態になるので、保育器1外への排出にも時間を要してしまい、患児へのエタノールの影響を十分に改善できない。これに対して、エタノール除去装置110を用いる除去では、酒精綿等から揮発したエタノールを発生源の近くで除去するため、保育器1内のエタノール濃度の最高値を抑制することができるので、患児へのエタノールの影響を十分に改善することができる。なお、保育器1内外の空気を素早く入れ替えるために、保育器の扉などを開放することも考えられるが、温度や湿度、酸素濃度などの急激な変動が生じ、患児への負担が大きいため、このような方法を採用することはできない。
載置部112aは、一枚の板状部材(樹脂板等)からなり、筐体111と一体に形成されている。載置部112aは、筐体111の前面111a側では、当該前面111aの長手方向の幅とほぼ同じ幅を有し、前面111aに対向する側では、当該前面111aの長手方向の幅よりも長い幅を有する略台形状となっている。このように、前面111a側よりも当該前面111aに対向する側の幅が長い。この構成を採用すれば、載置部112a上での処置のし易さが格段に向上する。また、載置部112aは、患児Xの一部を載置して酒精綿による消毒等の処置を行うために使用される他、酒精綿の一時置き場としても使用され得る。
ガイド部112は、載置部112aの周縁から上方に立ち上がる2つの壁部112b・112bを有している。つまり、壁部112bは、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていることになる。ここで、壁部112bは、載置部112aと同一の種類の材料で、且つ一体的に形成されている。
壁部112bにより、載置部112aに載置された患児Xの少なくとも一部を処置した後に発生するエタノールが載置部112a外に拡散するのを防ぐことができる。これにより、吸気部111cにエタノールを含む空気をより積極的に導くことが可能となる。
しかも、壁部112bが、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていることで、処置者は、壁部112bが形成されていない箇所から載置部112aに載置された患児Xの少なくとも一部に対してエタノールを用いる処置(消毒)を行うことができる。ここで、処置者は、医療関係者、看護師等である。また、エタノール除去装置110は、エタノールを吸気部111cに案内するのを阻害しないようにすることができる。これにより、患児Xの少なくとも一部のような処置対象に対するエタノールを用いる処置を、壁部112bに邪魔されずに行うことができる。このため、処置対象への処置が行い易くなる(保育器1の収容室101内での医師や看護師による処置を想定)とともに、発生するエタノールを除去することができる。従って、保育器1内の安全性を考慮した処置を患児Xに対して行うことができる。また、患児Xに対する医療行為の邪魔にならないように、且つ、エタノールの除去率を向上させるために、エタノール除去装置110の吸気部111cは、気化されたエタノールを含む空気の風向が適切になる向きに配置される。さらに、エタノール除去装置110の吸引部115は、吸気部111cから吸引される空気の風速が適切となる風速になるようにファンの回転数が設定される。
壁部112bは、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状となっている。壁部112bにおいて、筐体111の前面111a側を後面111bより高くすることにより、空気を吸気部111cに導き易くすることができる。壁部112bの高さを、前面111aから遠ざかるにつれて低くすることにより、壁部112bが邪魔にならないため、載置部112a上で処置の実施が容易となる。このように、壁部112bを、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状とすることで、空気導入のし易さ、処置のし易さの両立を図ることができる。
空気を筐体111の吸気部111cに確実に導くには、ガイド部112の少なくとも一部が吸気部111cに接続されていればよい。具体的には、ガイド部112の載置部112aおよび壁部112bの前面111a側の端部が吸気部111cに接続されればよい。この場合、ガイド部112によって吸気部111cに導かれる空気は、当該ガイド部112の載置部112aおよび壁部112bの前面111a側の端部と吸気部111cとの間から漏れにくく、多くの空気が吸気部111cに導かれる。つまり、ガイド部112の少なくとも一部が、吸気部111cに接続されていることで、空気を確実に吸気部111cまで導くことができる。
上記構成のエタノール除去装置110によれば、吸気部111cにエタノールを含む空気を導くガイド部112は、エタノールを用いる処置の処置理対象である患児Xの手・足等の少なくとも一部が載置可能な載置部112aを有することで、載置部112aで処置対象の処置を行う際に用いるエタノールを含む外気を当該ガイド部112によって吸気部111cに導くことが可能となる。このように、ガイド部112には、処置対象である、患児Xの手・足等の少なくとも一部が載置される、または触れることになる。それゆえ、ガイド部112は柔らかいことが望ましい。ガイド部112に適用する材料は、例えば、弾性(または可撓性)を有し、エタノールが吸着し難く、さらに、患児Xの身体およびガスセンサ117等に悪影響を及ぼさないことが必要である。ガイド部112は、第1除去部114よりもエタノールが吸着し難いことが必要である。
しかも、載置部112aには、処置対象の少なくとも一部が載置されていることで、載置部112aに載置された処置対象の付近にエタノールが漂うことになる。従って、載置部112aの処置対象の載置面(所定の面)に漂うエタノールを含む空気は、ガイド部112によって積極的に吸気部111cに導かれる。これにより、エタノール除去装置110は、短時間で空気に含まれるエタノールを除去することが可能となる。
<エタノール除去方法>
図18は、本実施形態に係るエタノール除去方法の流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態に係るエタノール除去方法は、患児を収容するために内部の温度および湿度が調節可能な収容室101を備えた保育器内に設置され、収容室101内に収容された患児に対するエタノールによる医療行為に伴い気化したエタノールを収容室101から除去する。
ステップ1(S1)において、エタノール除去装置110は、収容室101内の空気を第1除去部114に吸引する吸気部111cに導く(ガイドステップ)。第1除去部114は、本実施形態において、除去手段を実現する構成であり、吸気部111cは、本実施形態において、吸気手段を実現する構成である。
ステップ2(S2)において、エタノール除去装置110は、吸気部111cから収容室101内の空気を吸引部115によって吸引する(吸引ステップ)。吸引部115は、本実施形態において、吸引手段を実現する構成である。
ステップ3(S3)において、エタノール除去装置110は、吸引された空気に含まれるエタノールを第1除去部114によって除去する(除去ステップ)。
ステップ(S4)において、エタノール除去装置110は、エタノールが除去された空気を排気部111dによって排気する(排気ステップ)。排気部111dは、本実施形態において、排気手段を実現する構成である。
上記構成によれば、収容室101内の空気を吸気部111cに導くためのガイドステップを含んでいるため、吸引部115(吸引手段)によって空気を効率良く導くことができる。これにより、吸引部115を構成するファンは小型で済むため、エタノール除去方法を実現するための装置全体を小型にすることができる。従って、エタノール除去方法を実現するための装置を、閉鎖型の保育器1内で使用しても、患児に対する医療行為の邪魔にならない。
また、排気ステップにおいて、排気部111d(排気手段)による空気の排気方向は、吸気部111c(吸気手段)が設けられる方向とは異なる方向であってよい。吸気部111cは、エタノールを含む空気を吸気し、排気部111dは、エタノールが除去された空気を排気する。このため、吸気部111cに、エタノールが除去された空気が導かれると、エタノールを含む空気を効率よく吸気することができない。従って、排気部111dによる空気の排気方向を、吸気部111cが設けられる方向とは異なる方向にすることで、排気部111dから排気される空気(エタノールが除去された空気)によって、吸気部111cによるエタノールを含む空気の吸気を邪魔しないようにできる。
なお、本実施形態では、ガイド部112の壁部112bは、載置部112aの両側端に設けた例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、壁部112bは、載置部112aの両側端だけでなく、載置部112a上にも設けてもよい。この例について、以下の実施形態2において説明する。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<揮発性除去装置の概要>
図4は、エタノール除去装置210の本概略正面図である。エタノール除去装置210は、前記実施形態1で説明したエタノール除去装置110と同じ筐体111を有し、エタノール除去装置110と異なるガイド部212を有している。
ガイド部212は、載置部212aと、載置部212aの両側縁から上方に立ち上がるように設けられた2つの第1壁部212bと、載置部212a上に第1壁部212bと略平行で略等間隔に設けられた5つの第2壁部212cとを有している。
第1壁部212bおよび第2壁部212cは、前記実施形態1のエタノール除去装置110のガイド部112に設けられた壁部112bと同じ形状である。
5つの第2壁部212cは、ほぼ等間隔で載置部212a上に設けられ、2つの第1壁部212bとで、筐体111の吸気部111cに空気を導くための通路(溝)を6つ形成する。このように、筐体111の吸気部111cに空気を導くための溝が6つ形成されれば、空気を吸気部111cに導き易くなり、空気に含まれる発生源からのエタノールはもれなく除去される。
ガイド部212は、前記実施形態1のガイド部112と同様に、処置対象である、患児Xの手・足等の少なくとも一部が載置または触れることになるため、ガイド部212の材料としては弾性を有することが必要である。また、ガイド部212には、エタノールが吸着し難いことも必要であり、さらにガイド部212が、患児Xやセンサ(ガスセンサ117等)に悪影響を及ぼさないことが必要である。ガイド部212は、第1除去部114よりもエタノールが吸着し難いことが必要である。
ただし、ガイド部212を構成する載置部212aと第2壁部212cのうち、少なくとも載置部212a上に設けられた第2壁部212cは弾性を有することが好ましい。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<エタノール除去装置の概要>
図5は、エタノール除去装置110Aの概略正面図である。図6は、図5のAA線矢視断面図である。
エタノール除去装置110Aは、図5および図6に示すように、前記実施形態1のエタノール除去装置110のガイド部112から載置部112aを取り除いた構造となっている。すなわち、エタノール除去装置110Aは、図5に示すように、ガイド部112の構造が異なるだけで、前記実施形態1のエタノール除去装置110と同じ構造である。
エタノール除去装置110Aの筐体111内には、図6に示すように、吸気部111c側から排気部111dに向かって順に、第1除去部114、吸引部115が配置されている。
吸引部115は、2つのシロッコファンからなり、第1除去部114を介して吸気部111cから空気を吸引し、筐体111の後面111bに設けられた排気部111dから排気される。ここで、吸引部115における1分間当たりの吸気量は20L以上とするが、これに限定されものではない。ただし、吸引部115における吸気量は、吸気量および排気量によって閉鎖保育器内の環境を乱さない範囲に設定されることが好ましい。
排気部111dから排気される空気(エタノール除去済の空気)は、収容室101内の患児Xの身体に当たらないことが好ましい。そこで、エタノール除去装置110は、収容室101内の患児Xから遠ざかる方向に空気を排気するように構成されている。
筐体111の吸気部111cから吸気する空気は、上述したガイド部112によって導かれる。ガイド部112の詳細について説明する。ガイド部112は、エタノールを含む空気を、エタノールを発する発生源である酒精綿Yを載置した載置面であるベッド11(患児載置部、保持部)の表面11a(患児載置部、保持部、載置面)に対して垂直でない方向から吸気部111cに導くように形成されている。
ベッド11の表面11aに酒精綿Yを載置すれば、酒精綿Yから生じるエタノールは酒精綿Yを載置している載置面に漂うことになる。しかしながら、ガイド部112は、エタノールを含む空気を、酒精綿Yを載置したベッド11の表面11aの載置面に対して垂直でない方向から吸気部111cに導くように形成されているので、載置面に載置された酒精綿Yが発するエタノールを含む空気を吸気部111cに導くことができる。
ガイド部112は、空気を筐体111の吸気部111cに導くためには、エタノールを発する酒精綿Yが載置されている載置面であるベッド11の表面11aに、少なくとも一部が接していることが好ましい。
上記のように、吸気部111cにエタノールを含む空気を導くガイド部112の少なくとも一部が、エタノールを発する酒精綿Yが載置されているベッド11の表面11aの載置面に接することで、前記載置面に載置された酒精綿Yが発するエタノールを含む空気をより効果的に吸気部111cに導くことができる。
ガイド部112は、図5に示すように、揮発性物質を発する酒精綿Yが載置されたベッド11の表面の所定の範囲Zを囲む2つの壁部112b・112bを有している。壁部112bは、それぞれ筐体111の前面111aの長手方向の両端部から前に突き出すように形成されている。壁部112bは範囲Zの周囲を囲むように設けられてもいいが、本実施形態では処置の行い易さを考慮し、壁部112bは、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていることになる。
これにより、ガイド部112が、発生源である酒精綿Yが載置されたベッド11の載置面である表面11aの所定の範囲Zを囲む壁部112bを有していることで、表面11aに載置された酒精綿Yから発するエタノールが壁112bにより、ガイド部112外に拡散するのを防ぐことができる。これにより、エタノール除去装置110Aは、吸気部111cにエタノールを含む空気をより積極的に導くことが可能となる。
しかも、壁部112bが、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていることで、壁部112bが形成されていない箇所から表面11aに載置された患児Xの少なくとも一部に対してエタノールを用いる処置を行うことができる。また、壁部112bは、エタノールを吸気部111cに案内するのを阻害しないようにすることができる。これにより、処置者は、患児Xの少なくとも一部のような処置対象に対するエタノールを用いる処置を、壁部112bに邪魔されずに行うことができるため、処置対象への処置が行い易くなる(保育器1の収容室101内での医師や看護師による処置を想定)とともに、発生するエタノールを除去することができる。
壁部112bは、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状となっている。壁部112bにおいて、筐体111の前面111a側を高くするのは、ガイド部112をベッド11の表面11aに載置した状態で、空気を吸気部111cに導き易くするためであり、前面111aから遠ざかるにつれて低くするのは、酒精綿Yの載置面上で処置をし易くするためである。このように、壁部112bを、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状とすることで、ガイド部112をベッド11の表面11aに載置した状態で、空気導入のし易さ、処置のし易さの両立を図ることができる。
上記構成のエタノール除去装置110Aによれば、吸気部111cにエタノールを含む空気を導くガイド部112は、エタノールを含む空気を、エタノールを発する発生源(酒精綿Y等)を載置した載置面であるベッド11の表面11aに対して垂直でない方向から吸気部111cに導くように形成されている。これにより、ベッド11の表面11aに載置された酒精綿Yが発するエタノールを含む空気をガイド部112によって吸気部111cに導くことができる。従って、エタノール除去装置110Aは、酒精綿Yが載置されている載置面(ベッド11の表面11a)に漂うエタノールを含む空気をガイド部112によって積極的に吸気部111cに導くことができる。これにより、エタノール除去装置110Aは、短時間で空気に含まれるエタノールを除去することが可能となる。しかも、エタノールを含む空気を吸気部111cによって吸気する方向は、酒精綿Yが載置されたベッド11の表面11aに対して垂直でない向き(横方向、斜め方向等)であるため、酒精綿Yをベッド11の表面11aに上から置く際に、ガイド部112によって邪魔され難い。具体的には、図6に示すように、吸気部111cによって吸気する方向が、酒精綿Yが載置されたベッド11の表面11aに対して垂直でない向き(横方向)であれば、ガイド部112の上(ベッド11の表面11aに対向する方向)は開放されている。そして、医師は、開放されたガイド部112の上から酒精綿Yを載置できるため、ガイド部112によって医師による酒精綿Yの載置動作は邪魔されない。
(使用例)
図7は、エタノール除去装置110Aの使用例を説明する概略断面図である。エタノール除去装置110Aは、基本的に図5および図6に示すように、ガイド部112および筐体111をベッド11の表面11aに載置した状態で基本的に使用する。
図7に示すように、エタノール除去装置110Aは、ガイド部112の壁部112bの先端をベッド11の表面11aに接触させて、当該表面11aから所定の角度θ(0≦<θ<90°)に傾けた状態で、表面11aに載置された酒精綿Yから発生するエタノールを含む空気を吸気部111cに導くように使用してもよい。つまり、エタノール除去装置110Aは、ベッド11の表面11aに対して垂直でない方向から吸気部111cに導くように使用してもよい。
また、図7に示すエタノール除去装置110Aにおいて、壁部112bは、弾性のある部材で構成することで、壁部112bの先端を少し曲げて、壁部112bがベッド11に接する面積を増やすようにしてもよい。
また、図7に示すエタノール除去装置110Aの壁部112bは、ベッド11側の一部を切り欠くようにしてもよい。
図7に示すように、エタノール除去装置110Aを傾けて使用する場合、筐体111の排気部111d側を衝立部12(保持部)に立てかけることによってエタノール除去装置110Aを支持する構成であってもよい。衝立部12とエタノール除去装置110Aを一体に構成してもよい。なお、エタノール除去装置110Aを傾けて支持する構成はこれらに限定されない。例えば、傾斜面を有する支持部材(図示せず)をベッドの表面11aに設置し、この指示部材の傾斜面によってエタノール除去装置110Aが支持される構成であってもよい。支持部材とエタノール除去装置110Aを一体に構成してもよい。
さらに、図7に示すように、エタノール除去装置110Aを傾けて支持すれば、当該エタノール除去装置110Aの下部(ベッド11とエタノール除去装置110Aとの間)から手指等を入れての処置が可能となる。
(エタノール除去装置の駆動制御)
前記実施形態1、2、3のエタノール除去装置110、210、110Aは、電源のオン・オフにより内部の吸引部115内のファンの駆動および停止を行うようになっている。この電源は、電池(1次電池、充電池等)であってもよく、外部電源であってもよく、また、外部電源と充電池との組み合わせであってもよい。エタノール除去装置の使用の都度保育器内に設置する場合には、電源は電池が好ましく、エタノール除去装置を常時保育器内に設置する場合には、電源は外部電源が好ましい。通常、収容室101内で患児Xに対して処置を行う際に、処置者(医師または看護師)によって電源をオンすることで、吸引部115のファンを駆動させる。また、エタノール除去装置110、210、110Aにおける吸引力は、吸引部115内のファンの回転数によって調整することができるので、除去するエタノールの濃度に応じてファンの回転数を変えることで、適切にエタノールの吸引および除去を行うことができる。
また、前記実施形態1、2、3のエタノール除去装置110、210、110Aは、それぞれ動作状況(駆動状況)を表示する機能を有している。駆動状況を表示する機能とは、運転中であるか否か、停止中であるか否か、フィルタ(除去部の活性炭)交換要か否か、トラブル発生しているか否か、バッテリー低下しているか否か等を明示的に表示することを示す。この場合、駆動状況は、表示パネルに表示してもよいし、駆動状況に応じたランプを点灯させることによって表示してもよい。これにより、処置者は、エタノール除去装置110、210、110Aの作動忘れを無くすことができる。また、エタノール除去装置110、210、110Aは、フィルタの交換を促す表示をすることが可能となる。
さらに、前記実施形態1、2、3のエタノール除去装置110、210、110Aは、何れも寝かせたときの高さを低く設計し、保育器1(2)内での作業の邪魔にならないサイズとなっている。さらに、エタノール除去装置110、210、110Aは、除去部内の吸着材の交換をする際に、保育器1(2)の開口部101aから吸着材等の出し入れがし易いサイズであることが好ましい。また、前記実施形態1、2、3のエタノール除去装置110、210、110Aは、保育器1(2)の開口部101aから出し入れし易く、取り扱い易い質量(例えば120g)であることが好ましい。このようにすることで、病棟内の既存の保育器内でエタノール除去装置110、210、110Aを使用可能とすることができる。
〔実施形態4〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
<浄化装置の概要>
図8は、浄化装置120の概略斜視図である。図9は、図8のBB線矢視断面図である。
浄化装置120は、図8に示すように、一体的に設けられた2つの筐体(第1筐体121、第2筐体122)を含む。ここでは、別々の筐体(第1筐体121、第2筐体122)を接続して一つの筐体としている例を示している。なお、2つの筐体(第1筐体121、第2筐体122)を一体で成形して一つの筐体としてもよい。第1筐体121の前面121aには、外気を取り込む吸気部121bが設けられている。第1筐体121は、第1筐体121の後面を含む後部であって第1筐体121の下面121cにおいて第2筐体122と内部で連通した構造となっており、吸気部121bによって吸気された外気を第2筐体122に導くようになっている。第1筐体121の後部は、吸気部121bから排気部122bに向かう方向(以下、排気方向)において、前面121aの下流側に位置する。換言すると前面121aは、排気方向において第1筐体121の後部より上流側に位置する。第2筐体122の前面は第1筐体121の後面を含む後部であって第1筐体121の下面121cに接続されている。第2筐体122の後面122a(第1筐体121との連通側と反対側の面)には、外気を排気する排気部122b(図9)が設けられている。第2筐体122の前面は、排気方向において後面122aの上流側に位置する、換言すると後面122aは、排気方向において第2筐体122の下流側に位置する。
浄化装置120は、図9に示すように、断面逆L字状の形状をし、収容室101内の衝立部12(保持部)に設置されている。すなわち、浄化装置120はベッド11(患児載置部、保持部)の上方に設置される。浄化装置120には、第1筐体121および第2筐体122を収容室101の内縁に固定するための固定部が設けられている。具体的には、第1筐体121の下面121cには、第2筐体122の側面122cに平行で、且つ当該側面122cから所定の距離離れた位置に、固定部として、下方に突出した突起部121dが設けられている。突起部121dは、所定の高さおよび所定の幅を有する例えば樹脂からなる部材であり、第1筐体121と一体的に設けられている。図9では、第1筐体121に突起部121dを接続して一つの筐体としている例を示している。なお、第1筐体121と突起部121dとを一体で成形して一つの筐体としてもよい。
突起部121dは、当該突起部121dと第2筐体122の側面122cまでの距離が、収容室101の衝立部12の厚みよりも少し長くなる位置に設けられている。これにより、浄化装置120を収容室101の内縁に設けられた衝立部12に設置する際に、第2筐体122の側面122cと第1筐体121の突起部121dとによって衝立部12を挟み込むことで、浄化装置120を衝立部12に安定して設置することができる。このように、突起部121dによって、第1筐体121および第2筐体122を収容室101の内縁に立設された壁部である衝立部12に固定することができる。このように、固定部である突起部121dによって、第1筐体121および第2筐体122筐体、すなわち浄化装置120本体は、収容室101の内縁に立設され衝立部12に固定される。従って、浄化装置120は、保育器1内での患児Xに対する医療行為の邪魔にならない。なお、突起部121dは、収容室101の内縁に設けられた衝立部12に着脱可能な構成としてもよい。
このように、浄化装置120は、医療行為の邪魔にならない位置に設置するのが好ましい。さらに、浄化装置120の排気方向(エタノールを除去した空気を排気する方向)は、保育器1内の空気の循環を阻害しない方向であり、且つ、患児Xに当たらない方向が好ましい。これにより、保育器1は、機能(温湿度の維持機能等)を維持し、且つ、空気が患児Xにあたることによって、患児の体温を奪ったり、不感蒸泄による水分喪失を促進させたりすることが無いため、患児Xの安全性を確保することができる。本明細書において、保育器1内の空気は、閉鎖型の保育器1が備える収容室101内の空気を意図している。
また、第1筐体121に設けられた突起部121dは、当該第1筐体121の幅方向(第1筐体121内での排気方向に直交する方向)に向かって、連続して設けられていている。
第1筐体121は、第1除去部124、吸引部125を含む。第1除去部124は、繊維状の活性炭からなり、吸気部121bから吸気された外気に含まれるエタノールの大部分を素早く吸着する。従って、外気に含まれるエタノールの量が少なければ、第1除去部124において全てのエタノールが吸着されることになる。本実施形態において繊維状の活性炭をシート状に成型したシート状の活性炭を用いている。
第1除去部124は、第1筐体121の上部側から着脱可能な容器内にシート状の活性炭を収容したカートリッジ型である。これにより、第1除去部124の交換が容易である。また、シート状の活性炭は使い捨てである。このため、第1除去部124の交換は、以下のように行う。第1筐体121から取り出した第1除去部124に収容されたシート状の活性炭を捨てて、新しいシート状の活性炭を第1除去部124に収容し、再度、第1除去部114を第1筐体121に取り付ける。
吸引部125は、1つのシロッコファンからなり、第1除去部124を介して吸気部121bから外気を吸引し、当該ファンの回転軸方向と直交する方向となる後段の第2除去部126に送風する。ここで、吸引部125における吸気量は50L/min以上とするが、これに限定されものではない。なお、大量の吸気ができるように、吸引部125における吸気面積は大きい方が好ましい。
第2筐体122は、第2除去部126を含む。第2除去部126は、第2筐体122から着脱可能なカートリッジ内にペレット状の活性炭を収容したカートリッジ型である。これにより、第2除去部126の交換を容易に行うことができる。また、ペレット状の活性炭は使い捨てであるため、交換のために取り出した第2除去部126に収容されたペレット状の活性炭は捨てて、新しいペレット状の活性炭を収容し、再度、第2除去部126を第2筐体122に取り付ける。
上記構成の浄化装置120の排気部122bから排気される空気(エタノール除去済の空気)の排気方向は、保育器1内の空気の循環を阻害しない方向に設定されている。
保育器1は、例えば図19に示すように、水槽17と、加熱部18と、ヒーター19と、ファン20と、を備える。水槽17は水を収容している。加熱部18は、水槽17内に設けられており、水槽17が収容している水を加熱することにより、蒸気を発生させる。加熱部18により発生した蒸気は、ファン20によって収容室101内を循環する。水槽17と、加熱部18と、ヒーター19と、ファン20は循環部410の一例である。また水槽17と加熱部18は加湿手段の一例であり、ヒーター19は加温手段の一例である。
一方、浄化装置120は、ベッド11に設けられた衝立部12に固定されており、収容室101内の空気を吸気部121bから吸気し、排気部122bから排気する。排気部122bから排気される空気は、保育器1のベッド11の衝立部12と収容室101の内壁面との隙間から、ベッド11の下部に排気される。ベッド11の下部に排気された空気(エタノール除去済の空気)は、ファン20によって加熱部18で発生した蒸気と共に吸気される。従って、浄化装置120の排気方向は、保育器1の吸気方向と一致している。
また、保育器1内において、ベッド11の衝立部12と収容室101の内壁面との隙間から、保育器1内で循環されている空気がベッド11の下部に吸引される。従って、浄化装置120は、ベッド11の衝立部12と収容室101の内壁面との隙間に余裕があれば、ベッド11の衝立部12に設置するのが好ましい。これにより、浄化装置220の排気方向と保育器1内で循環される空気の循環方向とを同じにできる。
以上のように、第1筐体121内の第1除去部124では、シート状の活性炭を吸着材として用いることで、高濃度のエタノールを素早く大量に吸着し、第2筐体122内の第2除去部126では、ペレット状の活性炭を吸着材として用いることで、第1除去部114によって吸着しきれていないエタノールをゆっくり、もれなく吸着する。
つまり、第1除去部124は、図9に示すように、第2除去部126よりも吸気部121bに近い側に配置されている。つまり、吸引部125によって吸引された空気の流れの上流側に第1除去部124が配置され、下流側に第2除去部が配置されているので、吸気部121bから吸引された空気は、吸気部121bに近い側(空気の流れの上流側)に配置された第1除去部124によってエタノールが除去され、その後、空気の流れの下流側に配置された第2除去部126によってエタノールが除去されるので、第1除去部124で除去しれなかったエタノールを、第2除去部126で除去することができる。
上述した第1除去部124で用いるシート状の活性炭における吸着特性を実現するための条件として、吸引される空気と接触する表面積が広いことが上げられる。
従って、第1筐体121の吸気部121bから吸気された外気は、第1除去部124によって素早く大量にエタノールが吸着され、さらに、第2除去部126によってエタノールがもれなく吸着されるので、排気部122bから排気される外気にはほとんどエタノールが含まれない。
浄化装置120は、図1に示すように、保育器1の収容室101内に設置されるのが好ましい。このように、浄化装置120を収容室101内に設置すれば、収容室101内の空気からエタノールを除去することができる。これにより、保育器1の収容室101内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
通常、保育器1において収容室101内の空気は、温度および湿度が調整されている。従って、上述したように、浄化装置120は、収容室101内の空気を吸気して第1筐体121の第1除去部124によって素早く大量にエタノールが除去された空気を第2筐体122内の第2除去部126へと誘導し、該第2除去部126によってもれなくエタノールが除去された空気を収容室101内に排気する。これにより、収容室101内の温度および湿度を保ったまま、当該収容室101からエタノールを除去することができる。
なお、前記実施形態4では、吸引部125を含む第1筐体121と、第2除去部126を含む第2筐体122とを一体化した浄化装置120について説明した。この場合、各筐体のスリム化を図ったとしても、第1筐体121内に含まれる吸引部125を構成するファンのスリム化を行うのが難しいため、保育器1によっては収容室101のベッド11の衝立部12に設置させるのが難しい場合もある。そこで、下記の実施形態5では、保育器1内のベッド11の衝立部12と収容室101との間に空間が小さい場合であっても、浄化した空気をベッド11に排気することができる浄化装置について説明する。
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<浄化装置の概要>
図10は、本実施形態に係る浄化装置220の概略斜視図である。浄化装置220は、前記実施形態1の浄化装置120とほぼ同じ構造をしており、異なるのは、エタノールを除去した外気の排気構造である。ここで、浄化装置220を構成する各要素と、前記実施形態1の浄化装置120を構成する各要素との対応関係は、以下のようになる。第1筐体221は第1筐体121に対応し、第2筐体222は第2筐体122に対応し、前面221aは前面121aに対応し、吸気部221bは吸気部121bに対応し、上面221cは、下面121cに対応する。さらに、第1筐体221は、第1筐体121と同様に、内部に第1除去部124、吸引部125を備え、第2筐体222は、第2筐体122と同様に、内部に第2除去部126を備えている。ただし、第2筐体222においては、エタノールを吸着した後の外気を側面222aに設けられたチューブ223から排気するようになっている。チューブ223は、所定の長さを有するフレキシブルチューブであり、排気口223aを所望する方向に向けることが可能となっている。
上記構成の浄化装置220は、第1筐体221を下側にして収容室101のベッド11(患児載置部、保持部)の下に配置し、さらに、チューブ223の排気口223aもベッド11の下に配置する。ここで、排気口223aは、当該空気の排気する方向、すなわち排気する方向が、収容室101内における空気の循環する方向と同じ向きになるように配置する。これにより、浄化装置220は、ベッド11の下でエタノールを含む空気を吸引し、ベッド11の下でエタノールを除去した空気を収容室101内に循環させることができる。
また、浄化装置220は、ベッド11の下に配置して使用するので、吸引部125内のファンを大きくすることが可能となり、吸引力をアップさせることが可能となる。つまり、収容室101内のベッド11の下における空間に浄化装置220を配置できる範囲内で、吸引部125内のファンの大きさを大きくして、吸引力をアップさせることが可能となる。このように、浄化装置220をベッド11の下に配置すれば、浄化装置220をベッド11の衝立部12(保持部)上に設置する必要がない。従って、浄化装置220をベッド11下に配置することは、ベッド11の衝立部12と収容室101の内周面との隙間が大きくない場合、すなわち浄化装置220を衝立部12に設置するのが空間的に難しい場合に好適である。
〔実施形態6〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<浄化装置の概要>
図11は、本実施形態にかかる浄化装置230の斜視図である。図12は、図11に示す浄化装置の概略断面図である。前記実施形態5では、浄化装置220の第1筐体221と第2筐体222とが一体となった構成の例について説明したが、これに限られるものではなく、図11および図12に示す浄化装置230のような構成であってもよい。浄化装置230は、第1筐体231と第2筐体232とが分離して、チューブ233によって接続された構造となっている。浄化装置230の第1筐体231は浄化装置220の第1筐体221に対応し、第2筐体232は第2筐体222に対応する。
第1筐体231は、吸引部125を備え、前面231aから空気を吸引し、後面231b側から排気する。第1筐体231の前面231aには、当該第1筐体231内部に連通する開口部(図示せず)が形成され、この開口部にチューブ233が接続されている。このチューブ233は、図10に示す浄化装置220のチューブ223と同じものである。
第2筐体232は、断面略L字状で有り、第1除去部124および第2除去部126を備え、前面232aから導入された空気を第1除去部124および第2除去部126を介して後面232bから排気する。第2筐体232の後面232bには、当該第2筐体232内部に連通する開口部(図示せず)が形成され、この開口部にチューブ233が接続されている。従って、第2筐体232から排気される空気は、チューブ233を通して第1筐体231によって吸引される。
なお、第1除去部124は、前記実施形態4の第1除去部124と同じシート状の活性炭を用いてエタノールを吸着し、第2除去部126は、前記実施形態1の第2除去部126と同じペレット状の活性炭を用いてエタノールを吸着する。また、第1除去部124および第2除去部126においては、エタノールを除去するために、吸着材によってエタノールを吸着するだけでなく、触媒によってエタノールを分解するようにしてもよい。
第1筐体231は、ベッド11(患児載置部、保持部)の下、すなわち載置面の下方に設置し、第2筐体232は、ベッド11の衝立部12(保持部)、すなわち載置面の上方に設置する。この場合、第2筐体232の側面232dを衝立部12に近づけて設置する。このとき、第2筐体232の上部側の下面232cに前記実施形態1で説明した突起部121dと同じ突起部を設けて、この突起部によって第2筐体232を衝立部12に固定する。従って、浄化装置230は、図12に示す状態で、第2筐体232の前面232aからエタノールを含む空気を吸気し、当該第2筐体232内の第1除去部124および第2除去部126によってエタノールが除去された空気がチューブ233を介して第1筐体231の吸引部125によって吸引され、当該第1筐体231の後面231bからベッド11の下の空間に排気される。
上記構成の浄化装置230によれば、吸引部125を含む第1筐体231の筐体サイズが衝立部12と保育器1の収容室101の周壁との間の大きさに制限されず、吸引部125を大きくすることで、ファンのサイズを大きくし吸引量の増加を図ることができる。さらに、第2筐体232内の第1除去部124と第2除去部126のサイズを大きくでき、エタノールの吸着量や吸着材の耐久性の向上を図ることが可能となる。
また、第2筐体232において屈曲した部分の角(下面232cと側面232dとが交差する部分に対向する部位)が面取りされている。これにより、衝立部12と収容室101の周壁との間で、第2筐体232を揺動させる範囲を広げることができる。
(浄化装置の駆動制御)
前記実施形態4、5、6の浄化装置120、220および230は、電源のオン・オフにより内部の吸引部125内のファンの駆動および停止を行うようになっている。この電源は、電池(1次電池、充電池等)であってもよく、外部電源であってもよく、また、外部電源と充電池との組み合わせであってもよい。浄化装置の使用の都度保育器内に設置する場合には、電源として電池が好ましく、浄化装置を常時保育器内に設置する場合には、外部電源が好ましい。通常、浄化装置は、保育器内で常設し、連続運転する場合には、電源は外部電源が好ましい。通常、収容室101内で患児Xに対して処置を行う際に、処置者(医師または看護師)によって電源をオンすることで、吸引部125のファンを駆動させる。また、浄化装置120、220および230における吸引力は、吸引部125内のファンの回転数によって調整することができるので、除去するエタノールの濃度に応じてファンの回転数を変えることで、適切にエタノールの吸引および除去を行うことができる。
また、前記実施形態4、5、6の浄化装置120、220、230は、それぞれ動作状況(駆動状況)を表示する機能を有している。駆動状況を表示する機能とは、運転中であるか否か、停止中であるか否か、フィルタ(除去部の活性炭)交換要か否か、トラブル発生しているか否か、バッテリー低下しているか否か等を明示的に表示することを示す。この場合、駆動状況は、表示パネルに表示してもよいし、駆動状況に応じたランプを点灯させることによって表示してもよい。これにより、処置者は、浄化装置120、220、230の作動忘れを無くすことができる。また、浄化装置120、220、230は、フィルタの交換を促す表示をすることが可能となる。
さらに、前記実施形態4、5、6の浄化装置120、220、230は、保育器1の開口部101aから出し入れし易く、取り扱い易い質量(例えば150g)であることが好ましい。
(保育器1による効果)
上記構成の保育器1は、収容室101内の空気からエタノールを除去する除去部としてのエタノール除去装置110および浄化装置120を備えている。また、保育器1は、空気を収容室101に循環させる循環部410、空気を収容室101外から収容室101内に供給可能な供給部420、収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101外に排出可能な排出部430も備えている。保育器1は、収容室101外の空気を収容室101内に供給して収容室101内の空気のエタノールの濃度を低下させることができる。また、保育器1は、収容室101内の空気を循環させながら、除去部であるエタノール除去装置110および浄化装置120によって収容室101内の空気のエタノールを除去することができる。これにより、保育器1内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
なお、前記実施形態1では、保育器1に空調装置を構成する循環部410、供給部420、排出部430、および除去部(エタノール除去装置110、浄化装置120)を備えた例について説明した。しかしながら、除去部が保育器1に組み込まれていてもよい。例えば、保育器1のベッドの裏側(患児Xが寝ているのとは反対側)に温度や湿度を調整するヒーターが設けられており、ヒーターを設けた付近に浄化装置120を一つ設けてもよい。
また、図1に示す循環部410内に除去部としてのエタノール除去装置110、浄化装置120の少なくとも一方の装置を配置してもよい。この場合、循環部410には、既に吸引部が備えられているため、エタノールを吸着する吸着材、あるいはエタノールを分解する触媒を循環部410内の空気の流路上に配置すればよい。
以下の実施形態7では、空調装置を構成する各部(循環部410、供給部420、排出部430)と、除去部(エタノール除去装置110、浄化装置120)とが保育器1の外部に備えられた例について説明する。
〔実施形態7〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<保育システム>
図13は、本実施形態7に係る保育システム501の概略ブロック図である。なお、図13に示す保育システム501の構成は一例を示しており、様々な形態をとる。保育システム501は、図13に示すように、保育器1Aと、空調装置401と、除去装置402(除去機構)とを含む。保育器1Aは、前記実施形態1の保育器1とほぼ同じ構成であるが、収容室101内の空気の温度および湿度を調整するための空調装置401と、収容室101内の空気に含まれるエタノールを除去する除去装置402とを当該保育器1と別に設けている点で異なる。
空調装置401は、循環部(循環機構)410、供給部(供給機構)420、排出部(排出機構)430を含む。循環部410、供給部420、排出部430の機能については、前記実施形態1において説明したので、ここでは省略する。空調装置401と保育器1Aの収容室101とはエアーチューブで接続されており、循環部410によって温度および湿度が調整された空気を、エアーチューブを介して収容室101に送り出す。一方、空調装置401の供給部420は、エアーチューブを介して新鮮な空気(清浄な空気:医療ガス)を収容室101に供給し、空調装置401の排出部430は、エアーチューブを介して収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101の外に排出する。排出部430は、収容室101に供給部420から供給された空気の量とほぼ同じ量の空気を排出する。従って、収容室101内の空気にエタノールが含まれていれば、排出部430から空気とともにエタノールも排出されることになるため、収容室101内のエタノール濃度を下げることができる。このように、空調装置401を用いることで、収容室101内のエタノール濃度をある程度下げることは可能である。しかしながら、収容室101内のエタノール濃度を積極的に下げるには、除去装置402を用いる必要がある。
除去装置402は、空調装置401と同様にエアーチューブで収容室101と接続されており、収容室101内の空気を吸気し、吸気した空気に含まれるエタノールを除去し、エタノールを除去した空気を再度収容室101に送り出す。このようにして、除去装置402によって収容室101内のエタノールを積極的に除去することで、収容室101内のエタノール濃度を大幅に低減することができる。
除去装置402は、基本的な構造として、エタノール除去装置110、浄化装置120と同じように、吸気部を有し、吸気部によって収容室101から吸気した空気に含まれるエタノールをペレット状の活性炭等によって吸着除去し、エタノールを吸着除去した空気を再び収容室101に戻す構造となっている。
しかも、除去装置402は、収容室101の外部に設けられていることで、図1に示すように、除去装置402を収容室101内部に配置する必要がない。これにより、収容室101内の患児Xを処置するためのスペースを広くし、処置をし易くできる。
上記構成の保育システム501によれば、空調装置401によって、収容室101外の空気を収容室101内に供給して収容室101内の空気のエタノールの濃度を低下させながら、除去装置402によって収容室101内の空気のエタノールを除去することができる。これにより、保育器1Aの収容室101内のエタノールの濃度を大幅に低減することができるため、保育器1A内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
図13には、保育器1Aと、保育器1Aの収容室101の外部に設けられた除去装置402とを備える保育システム501が示されているが、保育システム501の構成はこれに限定されない。収容室101内の空気の揮発性物質を除去可能な保持部10を収容室101内に備える保育器1を用いて保育システム501を構成することも可能である。この場合、除去装置402は必須の構成ではなく、保育システム501は、保育器1と、収容室101に温度および湿度が調節された空気を循環させる循環部410と、を少なくとも備えていればよい。このような保育システム501は、保育器1の収容室101内の空気を循環させつつ、収容室101内の空気の揮発性物質を除去することができる。これにより、保育器1内の患児Xが、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
〔実施形態8〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図1および図14では、エタノール除去装置110をベッド11の表面11aに載置し、浄化装置120を衝立部12に設置した保育器1が例示されているが、保育器1の構成はこれに限定されない。例えば、実施形態1~6に係る保育器1において、収容室101内の保持部10の少なくとも一部が、エタノール除去装置110および浄化装置120の機能を備えていてもよい。例えば、実施形態1~6に係る保育器1において、収容室101内の保持部10の少なくとも一部が、浄化装置120の第1除去部124に相当する機能を備える構成であってもよい。このような構成の保育器1について、図20を用いて説明する。図20は、本開示の実施形態8に係る保育器1の概略斜視図である。
図20に示す保育器1は、ベッド11(患児載置部、保持部)およびベッド11の端部に配された衝立部12(保持部)を備えており、衝立部12の少なくとも一部が、エタノール除去装置110および浄化装置120の機能を備えている。この場合、保育器1の衝立部12自体が揮発性物質を除去する装置であってもよい。あるいは、浄化装置120が衝立部12の少なくとも一部に内蔵された構成であってもよい。なお、第1衝立部12Uは、ベッド11の第1端部に配されており、第2衝立部12Dは、ベッド11の第1端部とは異なる第2端部に配されていればよく、図20に示す配置に限定されない。例えば、第1衝立部12Uおよび第2衝立部12Dのいずれかが、開口部101aから遠い側のベッド11の端部に配されていてもよい。
本実施形態に係る保育器1は、患児Xを収容可能な収容室101と、収容室101内にて患児Xを保持する保持部10と、を備え、保持部10の少なくとも一部において、収容室101内の空気から揮発性物質を除去する。この構成によれば、保育器1は、保育器1の基本的な設計を変更することなく、収容室101内の空気の揮発性物質を除去できる。また、この構成によれば、保育器1は、エタノール除去装置110および浄化装置120などを配置するためのスペースを収容室101内に確保する必要がないため、収容室101内の空間を有効活用することが可能である。
図20に示す保育器1は、衝立部12の少なくとも一部において、収容室101内の空気から揮発性物質を除去する。図20に示す第1衝立部12Uおよび第2衝立部12Dはそれぞれ、浄化装置120の第1除去部124に相当する構成を内包しており、内部を通過した空気から揮発性物質を除去する。吸気部12Uaおよび吸気部12Daは浄化装置120の吸気部121bに相当し、排気部12Ubおよび排気部12Dbは、浄化装置120の排気部122bに相当する。このように、第1衝立部12Uおよび第2衝立部12Dの少なくとも一部から、収容室101内の空気を吸気し、第1衝立部12Uおよび第2衝立部12Dの少なくとも一部から、揮発性物質が除去された空気を収容室101内に排出してもよい。この構成によれば、衝立部12(すなわち、第1衝立部12Uおよび第2衝立部12D)は、収容室101内の空気を循環させつつ、収容室101内の空気から揮発性物質を除去することができる。これにより、収容室101内の温度および湿度を保ったまま、揮発性物質を除去することができる。なお、図20には、第1衝立部12Uおよび第2衝立部12Dが共に、浄化装置120の機能を備える例を示したが、これに限定されない。例えば、第1衝立部12Uおよび第2衝立部12Dのいずれか一方が浄化装置120の機能を備える構成であってもよい。
図20に示すように、保育器1の第1衝立部12Uは、空気を収容室101外から収容室101内に供給する供給部12Ucをさらに備えていてもよい。収容室101外の空気は、第1衝立部12Uの内部を通り、供給部12Ucから収容室101内に供給される。なお、空気を収容室101外から収容室101内に供給する手段は任意のものが適用され得る。図20において、空気を収容室101外から収容室101内に供給する手段の図示を省略した。この構成によれば、保育器1の基本的な設計を変更することなく、収容室101内に空気を供給することができる。これにより、揮発性物質の濃度が低い空気を収容室101外から収容室101内に積極的に供給することによって、収容室101内の空気の揮発性物質の濃度を希釈することができる。
また、図20に示すように、保育器1の第2衝立部12Dは、収容室101内の空気を収容室101外に排出する排出部12Dcをさらに備えていてもよい。収容室101内の空気は、排出部12Dcから第2衝立部12Dの内部を通り収容室101外に排出される。なお、空気を収容室101内から収容室101外に排出する手段は任意のものが適用され得る。図20において、空気を収容室101内から収容室101外に排出する手段の図示を省略した。この構成によれば、保育器1の基本的な設計を変更することなく、収容室101内の空気を収容室101外に排出することができる。これにより、揮発性物質の濃度が高くなった収容室101内の空気を収容室101外に積極的に排出することによって、収容室101内の空気の揮発性物質の濃度を希釈することができる。
保育器1は、第1衝立部12Uの少なくとも一部から、収容室101外の空気を収容室101内に供給し、第2衝立部12Dの少なくとも一部から、収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101外に排出してもよい。図20に示すように、保育器1の第1衝立部12Uが供給部12Ucを備え、第2衝立部12Dが排出部12Dcを備えていれば、第1衝立部12Uおよび第2衝立部12Dは、保育器1の収容室101内においてプッシュプル型の換気機構として機能することができる。なお、第2衝立部12Dの少なくとも一部から、収容室101外の空気を収容室101内に供給し、第1衝立部12Uの少なくとも一部から、収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101外に排出する構成であってもよい。あるいは、第1衝立部12Uおよび第2衝立部12Dのいずれか一方の少なくとも一部から、収容室101外の空気を収容室101内に供給し、収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101外に排出する構成であってもよい。
図20に示す保育器1は、衝立部12の少なくとも一部が、エタノール除去装置110および浄化装置120の機能を備えていたが、これに限定されない。例えば、図21に示す保育器1のように、ベッド11の少なくとも一部が、エタノール除去装置110および浄化装置120の機能を備えていてもよい。
この場合、保育器1のベッド11自体が揮発性物質を除去する装置であってもよい。あるいは、浄化装置120がベッド11の少なくとも一部に内蔵された構成であってもよい。この構成によれば、保育器1は、保育器1の基本的な設計を変更することなく、収容室101内の空気の揮発性物質を除去できる。
図21に示す保育器1は、ベッド11の少なくとも一部において、収容室101内の空気から揮発性物質を除去する。図21に示すベッド11は、浄化装置120の第1除去部124に相当する構成を内包しており、内部を通過した空気から揮発性物質を除去する。吸気部11bは浄化装置120の吸気部121bに相当し、排気部11cは、浄化装置120の排気部122bに相当する。このように、ベッド11の少なくとも一部から、収容室101内の空気を吸気し、ベッド11の少なくとも一部から、揮発性物質が除去された空気を収容室101内に排出してもよい。この構成によれば、ベッド11は、収容室101内の空気を循環させつつ、収容室101内の空気から揮発性物質を除去することができる。これにより、保育器1は、収容室101内の温度および湿度を保ったまま、揮発性物質を除去することができる。
図21に示すように、保育器1のベッド11は、空気を収容室101外から収容室101内に供給する供給部11dをさらに備えていてもよい。この構成によれば、保育器1の基本的な設計を変更することなく、収容室101内に空気を供給することができる。これにより、揮発性物質の濃度が低い空気を収容室101外から収容室101内に積極的に供給することによって、収容室101内の空気の揮発性物質の濃度を希釈することができる。
また、図21に示すように、保育器1のベッド11は、収容室101内の空気を収容室101外に排出する排出部11eをさらに備えていてもよい。この構成によれば、保育器1の基本的な設計を変更することなく、収容室101内の空気を収容室101外に排出することができる。これにより、揮発性物質の濃度が高くなった収容室101内の空気を収容室101外に積極的に排出することによって、収容室101内の空気の揮発性物質の濃度を希釈することができる。
保育器1は、ベッド11の少なくとも一部から、収容室101外の空気を収容室101内に供給し、該ベッド11の少なくとも一部から、収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101外に排出してもよい。図21に示すように、供給部11dおよび排出部11eを備えるベッド11は、保育器1の収容室101内においてプッシュプル型の換気機構として機能することができる。
本開示の各実施形態に係る保育器1は、いずれも患児Xを収容可能な収容室101と、収容室101内にて患児Xを保持する保持部10と、を備えている。そして、保育器1における揮発性物質の除去方法は、保持部10の少なくとも一部において、収容室101内の空気から揮発性物質を除去する除去ステップ、を含んでいる。例えば、衝立部12およびベッド11にて収容室101内の空気の揮発性物質を除去する構成を採用した場合、保育器1の基本的な設計を変更することなく、収容室101内の空気の揮発性物質を除去し、収容室101内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
〔実施形態9〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図20に示す保育器1では、収容室101外の空気を第1衝立部12Uの供給部12Ucから収容室101内の上方に向けて供給し、第2衝立部12Dの排出部12Dcから収容室101内の上方の空気を収容室101外に排出する構成である。しかし、保育器1の構成はこれに限定されない。例えば、第1衝立部12Uの少なくとも一部が揮発性物質を除去する機能を備える場合、第1衝立部12Uの供給部12Ueから収容室101内に供給された空気の流れを活用し、収容室101内の空気の揮発性物質を効率よく除去可能な構成であってもよい。ここで、第1衝立部12Uの少なくとも一部は、浄化装置120の第1除去部124に相当する機能を備えていてもよい。このような構成を備える保育器1について、図22を用いて説明する。図22は、本開示の実施形態9に係る保育器1が備える衝立部12およびベッド11の概略断面図である。
図22に示す構成を備える保育器1では、第1衝立部12Uの内部を通る空気は、第1衝立部12Uの内部を通過する途上で、該第1衝立部12Uが備える機能によって揮発性物質が除去される。供給部12Ueから、収容室101外の空気を収容室101内に供給し、排出部12Deから、収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101外に排出する。供給部12Ueは、第1衝立部12Uの、第2衝立部12Dと対向する対向面にあり、排出部12Deは、第2衝立部12Dの、第1衝立部12Uと対向する対向面にある。それゆえ、供給部12Ueから収容室101内に供給された空気(すなわち、揮発性物質が除去された後の空気)は、排出部12Deに向けて流れる気流(矢印f1)を形成する。収容室101内の空気は、この気流に乗って排出部12Deに到達し、第2衝立部12Dの内部を通り収容室101外に排出される。この構成によれば、第1衝立部12Uおよび第2衝立部12Dは、保育器1の収容室101内においてプッシュプル型の換気機構として機能することができる。また、第1衝立部12Uが揮発性物質を除去する機能を備える場合、患児Xに対する処置等により発生した高濃度の揮発性物質は、矢印f1で示された気流によって排気部12Deに向かって運ばれ、該排出部12Deから収容室101外に排出される。これにより、収容室101内の揮発性物質の濃度を効率よく低減させることが可能である。また、この構成によれば、収容室101内に供給する前に、収容室101外の空気から揮発性物質を除去することができる。これにより、収容室101外の空気に含まれる揮発性物質の濃度をさらに低下させた空気を収容室101内に供給することができる。
なお、供給部12Ueが収容室101外から収容室101内に空気を供給する手段は任意のものが適用され得る。図22において、空気を収容室101外から収容室101内に供給する手段の図示を省略した。また、排出部12Deが空気を収容室101内から収容室101外に排出する手段は任意のものが適用され得る。図22において、空気を収容室101内から収容室101外に供給する手段の図示を省略した。
第2衝立部12Dの少なくとも一部も、浄化装置120の第1除去部124に相当する機能を備え、第2衝立部12Dの内部を通る空気から該第2衝立部12Dが備える機能によって揮発性物質が除去される構成であってもよい。この構成によれば、収容室101外に排出される空気は、揮発性物質が除去された後の空気である。それゆえ、収容室101外の空気に含まれる揮発性物質の濃度が、収容室101内の空気によって高くなることを抑制することもできる。
〔実施形態10〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図20に示す保育器1では、ベッド11の表面11aの上方に気流(すなわち、重力とほぼ平行な回転軸を有する気流)を生じさせ、該気流によって収容室101内の空気を循環させる構成である。しかし、保育器1の構成はこれに限定されない。例えば、ベッド11の表面11aの上方から下方への流れ、およびベッド11の表面11aの下方から上方への流れを含む気流(すなわち、重力とほぼ垂直な回転軸を有する気流)によって、収容室101内の空気を循環させる構成であってもよい。ここで、第2衝立部12Dの少なくとも一部は、浄化装置120の第1除去部124に相当する機能を備えていてもよい。このような構成を備える保育器1について、図23を用いて説明する。図23は、本開示の実施形態10に係る保育器1が備える衝立部12およびベッド11の概略断面図である。
図23に示す構成を備える保育器1では、第1衝立部12Uは吸気部12Ufおよび排気部12Ugを備え、第2衝立部12Dは吸気部12Dfおよび排気部12Dgを備えている。排気部12Ugは、第1衝立部12Uの、第2衝立部12Dと対向する対向面にあり、吸気部12Dfは、第2衝立部12Dの、第1衝立部12Uと対向する対向面にある。また、吸気部12Ufは、第1衝立部12Uの、第2衝立部12Dと対向する対向面と反対側の面にあり、排気部12Dgは、第2衝立部12Dの、第1衝立部12Uと対向する対向面とは反対側の面にある。それゆえ、排気部12Ugから排出された空気は、吸気部12Dfに向けて流れる気流(矢印f2)を形成する。収容室101内の空気は、この気流に乗って吸気部12Dfに到達し、第2衝立部12Dの内部を通り、排気部12Dgから収容室101内に排出される。第2衝立部12Dの内部を通る空気は、第2衝立部12Dの内部を通過する途上で、該第2衝立部12Dが備える機能によって揮発性物質が除去される。収容室101内の空気は、排気部12Dgから排出され、吸気部12Ufにおいて吸気される。その結果、収容室101内の空気は、ベッド11の下方において、衝立部12Dの下方から衝立部12Uの下方への気流(矢印f3)が形成される。この構成によれば、衝立部12は、収容室101内の空気を循環させつつ、収容室101内の空気から揮発性物質を除去することができる。これにより、保育器1は、収容室101内の温度および湿度を保ったまま、揮発性物質を除去することができる。
第1衝立部12Uの少なくとも一部も、浄化装置120の第1除去部124に相当する機能を備え、第1衝立部12Uの内部を通る空気から該第1衝立部12Uが備える機能によって揮発性物質が除去される構成であってもよい。この構成によれば、複数の衝立部12を用いて、収容室101内の空気から揮発性物質を除去することができる。これにより、収容室101内の空気に含まれる揮発性物質をより短い時間で除去することができる。
〔実施形態11〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<保育器>
図24は、本開示の実施形態11に係る閉鎖型の保育器3の概略斜視図である。図24において、本実施形態11に係る保育器3は、患児Xを収容可能な収容室101と、収容室101を載置する載置台102(設置台)と、患児Xが載置される載置面としての表面11aを有するベッド11(患児載置部、保持部)と、を備える。また、収容室101には、収容室101内で空気が表面11a(患児載置部、保持部、載置面)に沿って一方向に流れるように送風可能な送風部520(送風機構)と、収容室101に対して前記一方向での空気の流れ(図24に矢印FL2にて図示)の下流側に設置されるとともに、収容室101内の空気から揮発性物質として、例えば、エタノールを除去する除去部110Kと、が設けられている。
また、保育器3では、衝立部12(保持部)として、上記一方向で患児Xを間に配置するように、当該一方向での空気の流れの上流側に第1衝立部12U(保持部)および前記空気の流れの下流側に第2衝立部12D(保持部)が設けられている。換言すれば、保育器3では、図24に示すように、患児Xはその頭側および足側がそれぞれ第1衝立部12Uおよび第2衝立部12Dに近接するように、これら第1衝立部12Uと第2衝立部12Dとの間でベッド11の表面11a上に寝かされる。なお、第2衝立部12Dが、特許請求の範囲での衝立の一例である。
また、本実施形態11の保育器3では、図示されていないが、例えば、図1と同じ循環部410がベッド11の下部に配置されている。そして、本実施形態11の保育器3では、送風部520は循環部410からの空気を上記一方向での空気として利用可能に構成されている。具体的にいえば、保育器3では、送風部520は、例えば、第1衝立部12Uに組み込まれている。また、送風部520は、図24に矢印FL1にて示すように、循環部410の供給口(図示せず)からの空気を取り込んで、矢印FL2にて示すように、上記一方向での下流側に向かって送風可能とされている。なお、本実施形態11の保育器3は、前記実施形態1の図1に示す排出部430のように保育器3の空気を積極的に保育器3外に排出する装置を設けず、保育器3内の空気を、収容室101の開口部101a、収容室101と載置台102との間に存在する僅かな隙間などを通して、保育器3外に排出可能とされている。
さらに、本実施形態11の保育器3は、ベッド11の下部に配置された循環部410によって温度および湿度が調整された空気が、保育器3の長辺側の内壁に沿ってベッド11の下部から収容室101の上部に導かれる。また、保育器3は、保育器3の短辺側の内壁に沿ってベッド11上の空気がベッド11の下部の循環部410に導かれる。このように保育器3では、患児Xに空気の流れによる温度変化の影響が少ないように空気が循環している。
以上のように、本実施形態11の保育器3では、収容室101内の患児Xに保育器3内の空気の流れの影響を少なくした状態で、保育器3内の空気を清浄に保ち、且つ空気の温度・湿度を適切に保つことが可能となる。つまり、本実施形態の保育器3では、収容室101内の空気の適切な温湿度管理を容易に行うことができる。
また、送風部520は、循環部410の上記供給口からの空気を導入する導入口と、導入口に導入された空気を上記一方向に沿って導出する導出口とを備えている(図示せず)。また、送風部520は、例えば、風量調整用のルーバー(図示せず)が上記導入口および導出口との間に設けられている。そして、送風部520は、循環部410からの空気を用いて、収容室101の内部において、患児Xの頭側から足側に向かって当該空気を送風可能とされている。なお、この説明以外に、上記ルーバーの設置を割愛してもよい。
なお、上記の説明に加えてまたは上記の説明に代えて、例えば、ファンなどの送風装置(図示せず)を送風部520に設けて、例えば、操作パネル102aに対する使用者の操作指示に応じて、上記送風装置を動作させる構成でもよい。但し、送風部520において、上記導入口および導出口の間に上記ルーバーおよび/または送風装置などの患児Xへの空気の風量の制御を容易に行える構成を有する場合の方が、患児Xに対する上記一方向の空気の流れの影響を簡単に抑えることができる点で好ましい。
なお、上記の説明では、患児Xの頭側から足側に向かって空気を流す場合について説明したが、本開示は収容室101内で空気を表面(載置面)11aに沿って一方向に流すものであれば限定されず、患児Xの左側(もしくは右側)から患児Xの右側(もしくは左側)に流すようにしてもよい。例えば、本開示では、循環部410の上記供給口の設置場所や開口面積など、および/または送風部520の設置箇所や設置数などを変更することにより、収容室101内での空気の流れを適宜変えることができる。但し、上記のように、保育器3およびベッド11の表面(載置面)11aの長手方向に沿う方向である、患児Xの頭側から足側に向かって空気を流す場合の方が、エタノールなどの揮発性物質を患児Xの頭側から確実に遠ざけることができる点で好ましい。
また、本実施形態11の保育器3では、除去部110Kは、例えば、第2衝立部12Dに組み込まれている。この除去部110Kは、上記実施形態1と同様に、例えば、破砕状の活性炭114aを交換可能な除去部材として有しており、除去部110Kは、送風部520からの矢印FL2にて示す空気を吸気する。換言すれば、第2衝立部12Dは、除去部110Kの吸気口が患児Xの足側に対向する面に設けられており、除去部110Kの吸気口は矢印FL2で示した第1衝立部12Uから第2衝立部に向かって流れる空気を吸気するよう構成されている。そして、除去部110Kは、上記実施形態1と同様に、活性炭114aによってエタノールなどの揮発性物質を除去する。このように除去部110Kの吸気口が収容室101内で空気が流れる一方向の下流側の第2衝立部12Dに設けられているので、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避可能な保育器1のコンパクト化を容易に図ることができる。また、除去部110Kの除去部材が第2衝立部12Dに組み込まれているので、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避可能な保育器1のコンパクト化をより容易に図ることができる。
さらに、除去部110Kは、図24に矢印FL3にて示すように、揮発性物質を除去した空気を循環部410の吸込み口(図示せず)に向けて流すようになっている。なお、循環部410では、空気は、図24に矢印FL4にて示すように、上記吸込み口から上記供給口へ循環可能とされている(後掲の実施形態12および実施形態13においても同様に、表面11aの下方で循環可能とされている。)。
なお、本実施形態11の保育器3では、浄化装置120の設置を省略した構成について説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、上記実施形態1と同様に、浄化装置120を設置してもよい。
また、上記の説明以外に、例えば、図1に示した供給部420を設けて、送風部520として機能することもできる。すなわち、この場合には、供給部420が収容室101外の空気を収容室101内で矢印FL2に沿った一方向に流すことにより、送風部520を兼用して当該送風部520の設置を割愛することができる。
また、上記の説明以外に、保育器3内において、循環部410によって温度および湿度が調整された空気を、上記一方向の空気の流れに含めて、矢印FL1、矢印FL2、および矢印FL3に示すように順次流す構成でもよい。
<保育システム>
また、本実施形態11に係る保育システムは、保育器3と、収容室101内で空気が表面(載置面)11aに沿って一方向に流れるように送風可能な送風機構と、収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側に設置されるとともに、収容室101内の空気から揮発性物質としてのエタノールを除去する除去機構と、を備える。送風機構は、送風部520を用いて構成することができる。また、除去機構は、除去部110Kを用いて構成することができる。このため、本実施形態8の保育システムは、保育器3、送風部520、および除去部110Kを含んだものとなる。
<除去方法>
また、本実施形態11に係る除去方法は、患児Xを収容可能な収容室101と、収容室101を載置する載置台102と、患児Xが載置される表面(載置面)11aを有するベッド11と、を備える保育器3の、収容室101内のエタノール(揮発性物質)を除去する除去方法である。また、本実施形態の除去方法は、以下に示す送風ステップ(S11)と、除去ステップ(S12)と、を含む。・送風ステップ(S11):収容室101内で空気が表面11aに沿って一方向に流れるように送風する。・除去ステップ(S12):収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側において、収容室101内の空気からエタノールを除去する。
上記保育器3及びこれを用いた保育システムでは、送風部(送風機構)520が収容室101内で空気が表面11aに沿って一方向に流れるように送風する。除去部(除去機構)110Kは、収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側に設置されるとともに、収容室101内の空気からエタノールを除去する。これにより、保育器3内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
また、上記除去方法では、送風ステップにより、収容室101内で空気が表面11aに沿って一方向に流れるように送風する。除去ステップにより、収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側において、収容室101内の空気からエタノールを除去する。これにより、保育器3内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
〔実施形態12〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<保育器>
図25は、本開示の実施形態11に係る保育器4の概略斜視図である。図25において、本実施形態11に係る保育器4は、患児Xを収容可能な収容室101と、収容室101を載置する載置台102(設置台)と、患児Xが載置される載置面としての表面11a(患児載置部、保持部、載置面)を有するベッド11(患児載置部、保持部)と、を備える。また、収容室101には、収容室101内で空気が表面11aに沿って一方向に流れるように送風可能な送風部520と、収容室101に対して前記一方向での空気の流れ(図25に矢印FL5にて図示)の下流側に設置されるとともに、収容室101内の空気から揮発性物質として、例えば、エタノールを除去する除去部110Kと、が設けられている。
また、本実施形態12の保育器4では、実施形態11の保育器3と同様に、衝立部12(保持部)として、上記一方向で患児Xを間に配置するように、当該一方向での空気の流れの上流側に第1衝立部12U(保持部)および前記空気の流れの下流側に第2衝立部12D(保持部)が設けられている。さらに、本実施形態12の保育器4では、実施形態11の保育器3と同様に、上記除去部材を有する除去部110Kが第2衝立部12Dに組み込まれている。これにより、本実施形態12の保育器4は、実施形態11の保育器3と同様な効果を奏する。
また、本実施形態12の送風部520は、実施形態11の保育器3と異なり、例えば、第1衝立部12Uの近傍に設置されている。また、送風部520は、ファンなどの送風装置(図示せず)を含んで構成されており、例えば、操作パネル102aに対する使用者の操作指示に応じて、上記送風装置を動作させることにより、収容室101の内部で矢印FL5に沿って空気を一方向に流すように構成されている。このように本実施形態12の保育器4では、実施形態11の保育器3と異なり、循環部410からの空気を上記一方向での空気に利用せずに、循環部410と独立して、収容室101の内部において、空気は患児Xの頭側から足側に向かって送風可能とされている。
また、本実施形態12の保育器4では、実施形態11の保育器3と同様に、循環部410がベッド11の下部に配置されている。そして、本実施形態12の保育器4では、例えば、図25の矢印FL6および矢印FL7にて例示するように、循環部410によって温度および湿度が調整された空気が、保育器3の長辺側の内壁に沿ってベッド11の下部から収容室101の上部に導かれる。これにより、本実施形態12の保育器4では、実施形態11の保育器3と同様に、収容室101内の患児Xに保育器4内の空気の流れの影響を少なくした状態で、保育器4内の空気を清浄に保ち、且つ空気の温度・湿度を適切に保つことが可能となる。つまり、本実施形態の保育器4では、収容室101内の空気の適切な温湿度管理を容易に行うことができる。
また、本実施形態12の保育器4では、循環部410による温度および湿度が調整された空気の流れは、送風部520による空気の流れを極力阻害しないように調整されている。これにより、本実施形態12の保育器4では、除去部110Kの除去部材によるエタノールの除去の機能低下が生じるのを極力抑えることができるようになっている。
また、本実施形態12の保育器4では、実施形態11の保育器3と同様に、除去部110Kは、図25に矢印FL8にて示すように、揮発性物質を除去した空気を循環部410の上記吸込み口に向けて流すようになっている。さらに、本実施形態12の保育器4では、収容室101内において、図25に矢印FL9にて示すように、第2衝立部12Dを乗り越えて当該第2衝立部12Dの上方から上記吸込み口に吸い込まれる空気の流れも生じ得る(実施形態11及び後掲の実施形態13においても同様に空気の流れが生じ得る。)。
なお、本実施形態12の保育器4では、浄化装置120の設置を省略した構成について説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、上記実施形態1と同様に、浄化装置120を設置してもよい。
また、上記の説明以外に、保育器4内において、循環部410によって温度および湿度が調整された空気を、上記一方向の空気の流れに含めて、矢印FL5および矢印FL8に示すように順次流す構成でもよい。
<保育システム>
また、本実施形態12に係る保育システムは、保育器4と、収容室101内で空気が表面(載置面)11aに沿って一方向に流れるように送風可能な送風機構と、収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側に設置されるとともに、収容室101内の空気から揮発性物質としてのエタノールを除去する除去機構と、を備える。送風機構は、送風部520を用いて構成することができる。また、除去機構は、除去部110Kを用いて構成することができる。このため、本実施形態12の保育システムは、保育器4、送風部520、および除去部110Kを含んだものとなる。
<除去方法>
また、本実施形態12に係る除去方法は、患児Xを収容可能な収容室101と、収容室101を載置する載置台102と、患児Xが載置される表面(載置面)11aを有するベッド11と、を備える保育器4の、収容室101内のエタノール(揮発性物質)を除去する除去方法である。また、本実施形態の除去方法は、以下に示す送風ステップ(S11)と、除去ステップ(S12)と、を含む。・送風ステップ(S11):収容室101内で空気が表面11aに沿って一方向に流れるように送風する。・除去ステップ(S12):収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側において、収容室101内の空気からエタノールを除去する。
上記保育器4及びこれを用いた保育システムでは、送風部(送風機構)520が収容室101内で空気が表面11aに沿って一方向に流れるように送風する。除去部(除去機構)110Kは、収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側に設置されるとともに、収容室101内の空気からエタノールを除去する。これにより、保育器4内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
また、上記除去方法では、送風ステップにより、収容室101内で空気が表面11aに沿って一方向に流れるように送風する。除去ステップにより、収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側において、収容室101内の空気からエタノールを除去する。これにより、保育器4内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
〔実施形態13〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<保育器>
図26は、本開示の実施形態13に係る保育器5の概略斜視図である。図26において、本実施形態13に係る保育器5は、患児Xを収容可能な収容室101と、収容室101を載置する載置台102と、患児Xが載置される載置面としての表面11aを有するベッド11(患児載置部、保持部)と、を備える。また、収容室101には、収容室101内で空気が表面11a(患児載置部、保持部、載置面)に沿って一方向に流れるように送風可能な送風部520と、収容室101に対して前記一方向での空気の流れ(図26に矢印FL2にて図示)の下流側に設置されるとともに、収容室101内の空気から揮発性物質として、例えば、エタノールを除去する除去部110Kと、が設けられている。
また、本実施形態13の保育器5では、実施形態11の保育器3と同様に、衝立部12(保持部)として、上記一方向で患児Xを間に配置するように、当該一方向での空気の流れの上流側に第1衝立部12U(保持部)および前記空気の流れの下流側に第2衝立部12D(保持部)が設けられている。
また、本実施形態13の保育器5では、実施形態11の保育器3と同様に、循環部410がベッド11の下部に配置されている。これにより、本実施形態13の保育器5では、実施形態11の保育器3と同様に、収容室101内の患児Xに保育器5内の空気の流れの影響を少なくした状態で、保育器5内の空気を清浄に保ち、且つ空気の温度・湿度を適切に保つことが可能となる。つまり、本実施形態の保育器5では、収容室101内の空気の適切な温湿度管理を容易に行うことができる。
また、本実施形態13の保育器5では、実施形態11の保育器3と同様に、送風部520は、第1衝立部12Uに組み込まれており、循環部410からの空気を上記一方向での空気として利用可能に構成されている。但し、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば、第1衝立部12Uに組み込まれた送風部520を設けることなく、循環部410からの空気を上記一方向に流す構成でもよい。
また、本実施形態13の保育器5では、除去部110Hは、図26に示すように、表面(載置面)11aよりも下側、例えば、ベッドステージ13(設置台)の内部に設置されている。また、除去部110Hには、図26に矢印FL10にて示すように、第2衝立部12Dを乗り越えて当該第2衝立部12Dの上方からの空気を取り込む吸気部が設けられている。また、除去部110Hは、例えば、活性炭114aを用いて構成された交換可能な除去部材を有している。さらに、除去部110Hは、上記除去部材によって揮発性物質が除去された空気を排気する排気部を有している。この排気部は、例えば、図3に示した排気部111dと同一構造を有している。
なお、上記の説明以外に、除去部110Hを載置台102の内部に設けたり、収容室101の外部に設けたりすることもできる。但し、上記のように、除去部材および排気部を含んだ除去部110Hをベッドステージ13の内部に設置したり、除去部110Hを載置台102の内部に設置したりする場合の方が、除去部110Hが表面(載置面)11aよりも下側に設けられることとなる。この結果、本実施形態では、保育器3を設置するためのスペースとは別に、除去部110Hを設置するためのスペースを確保する必要が無くすことができる。
なお、本実施形態13の保育器5では、浄化装置120の設置を省略した構成について説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、上記実施形態1と同様に、浄化装置120を設置してもよい。
<保育システム>
また、本実施形態13に係る保育システムは、保育器5と、収容室101内で空気が表面(載置面)11aに沿って一方向に流れるように送風可能な送風機構と、収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側に設置されるとともに、収容室101内の空気から揮発性物質としてのエタノールを除去する除去機構と、を備える。送風機構は、送風部520を用いて構成することができる。また、除去機構は、除去部110Hを用いて構成することができる。このため、本実施形態10の保育システムは、保育器5、送風部520、および除去部110Hを含んだものとなる。
<除去方法>
また、本実施形態13に係る除去方法は、患児Xを収容可能な収容室101と、収容室101を載置する載置台102と、患児Xが載置される表面(載置面)11aを有するベッド11と、を備える保育器5の、収容室101内のエタノール(揮発性物質)を除去する除去方法である。また、本実施形態の除去方法は、以下に示す送風ステップ(S11)と、除去ステップ(S12)と、を含む。・送風ステップ(S11):収容室101内で空気が表面11aに沿って一方向に流れるように送風する。・除去ステップ(S12):収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側において、収容室101内の空気からエタノールを除去する。
上記保育器5及びこれを用いた保育システムでは、送風部(送風機構)520が収容室101内で空気が表面11aに沿って一方向に流れるように送風する。除去部(除去機構)110Hは、収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側に設置されるとともに、収容室101内の空気からエタノールを除去する。これにより、保育器5内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
また、上記除去方法では、送風ステップにより、収容室101内で空気が表面11aに沿って一方向に流れるように送風する。除去ステップにより、収容室101に対して一方向での空気の流れの下流側において、収容室101内の空気からエタノールを除去する。これにより、保育器5内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
〔実施形態14〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図27は、本開示の実施形態14に係る閉鎖型の保育器1の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態に係る保育器1は、収容室101内の空気を積極的に排出する排出部は設けられていない。供給部420で供給された空気は、収容室101に設けられている隙間および開口の少なくともいずれか一方から自然排出される。例えば、供給部420で供給された空気は、収容室101と載置台102(設置台)との接続部の隙間や、開口部101aなどから自然排出される。供給部420が収容室101内に供給する空気は、保育器1外に存在するエアタンクからの医療ガスであってもよいし、保育器1外の空気(例えば保育器1が設置されたNICU(新生児集中治療室)内の空気)を供給してもよい。この場合には、NICU内の空気の供給時に活性炭やフィルタなどを通すことで、清浄な空気にして保育器1内に供給することができる。なお、実施形態8に係る保育器1は、エタノール除去装置110および浄化装置120を備えていなくともよい。
また、供給部420は、保育器1の動作期間中、常に収容室101に収容室101の外部の空気を供給するように動作する。保育器1の動作期間とは、保育器1が患児を収容可能な状態として動作している期間に相当し、メンテナンス期間や収容室101が開放されている期間を含まなくてもよい。
上記構成によれば、収容室101内には常に収容室101外の空気が供給される。これにより、収容室101内に揮発性物質が存在したとしても、当該揮発性物質の濃度を低下させることができるため、保育器1内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまうことを回避することができる。また、供給部420から収容室101に空気が供給されると、収容室101内の空気は保育器1の隙間や開口から自然に排出される。このように、供給部420が収容室101内に空気を供給することで、保育器1は収容室101内の空気を積極的に排気する構成を備えずとも、収容室101内の空気を排気することができ、装置コストを抑えることができる。
また、供給部420が供給量調節部421および供給空気調節部422を備える。供給空気調節部422は、供給部420が供給する空気の温度および湿度を調節する。具体的には、供給空気調節部422は、収容室101の内部へ供給される空気の温度および湿度を調節可能なヒーターおよび加湿器等を備えており、供給部420が供給する空気に対して加温、加湿、冷却、および除湿のいずれかを行うことができる。
収容室101外の空気は、常に患児にとって好ましい温度および湿度であるとは限らない。ここで、上記構成によれば、収容室101内に供給される空気の温度および湿度は供給空気調節部422によって調節される。これにより、収容室101内に常に空気を供給したとしても、収容室101内の温度および湿度を患児にとって好ましい状態に保つことが可能である。
供給量調節部421は、収容室101の内部への空気の供給量を調節する。具体的には、供給量調節部421は、収容室101内に空気を供給可能なポンプまたはファン(不図示)の出力値を制御する。または、供給量調節部421は、収容室101内に空気を供給可能なコンプレッサまたはエアタンク等(不図示)における、収容室101内への空気の供給量を調節するためのバルブの開口量を調節する。または、供給量調節部421は、コンプレッサまたはエアタンク等による、収容室101に供給する空気の圧力を調節する。これにより、供給量調節部421は、供給部420による収容室101の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量を調節することができる。
なお、上記のバルブは、保育器1の内部に設けられていてもよいし、保育器1の外部に設けられていてもよい。例えば、バルブが、載置台102の下方に設けられる空間の壁面に設けられていてもよいし、保育器1に対して医療用エアを供給する供給管が、当該保育器1に接続される供給口に設けられていてもよい。
以上のように、収容室101内に供給される空気の量が調節されるので、収容室101内に供給される空気の量が少なく十分に換気が行われないなどの問題が生じる可能性を低減することができる。
一例として、供給量調節部421は、収容室101内の揮発性物質の濃度に基づき、収容室101の内部への空気の供給量を調節する。具体的には、供給量調節部421は、エタノール濃度を検知可能なセンサ(不図示)から、収容室101内のエタノール濃度を示す情報を取得する。供給量調節部421は、当該情報に基づき、供給部420による収容室101の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量を調節する。例えば、収容室101内のエタノール濃度が予め設定された閾値よりも高い場合、供給量調節部421は、収容室101の外部から内部への空気の供給量を増加させるよう供給部420を制御する。これにより、保育器1は収容室101内のエタノール濃度を低下させ、収容室101内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減することができる。
供給量調節部421は、上述のように収容室101内の揮発性物質の濃度に基づき自動で空気の供給量の制御を行ってもよいし、ユーザからの指示に基づき空気の供給量の制御を行ってもよい。ユーザからの指示に基づき制御を行う場合、保育器1は、センサによって検知された収容室101内の揮発性物質の濃度を示す情報を不図示の表示部に表示させてよい。また、操作パネル102aは、当該情報を確認したユーザによる入力操作を受け付けてよい。当該入力操作には、例えば収容室101内の揮発性物質の目標濃度を指定する情報、または収容室101内に供給される空気の量および風向等を指定する情報が含まれる。供給量調節部421は、当該入力操作に示される指示を取得し、当該指示に基づき空気の供給量の制御を行う。例えば、供給量調節部421は、収容室101内の揮発性物質の濃度が入力された目標濃度よりも高い場合、収容室101の外部から内部への空気の供給量を増加させるよう供給部420を制御する。また、収容室101内に供給される空気の量を増加させることを指示する入力操作が行われた場合、供給量調節部421は、収容室101の外部から内部への空気の供給量を増加させるよう供給部420を制御する。これにより、保育器1は収容室101内のエタノール濃度を低下させ、収容室101内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減することができる。
また、本実施形態に係る保育器1は、循環部410が室内空気調節部411を備える。室内空気調節部411は、循環部410が循環させる収容室101内の空気の温度および湿度を調節可能なヒーターおよび加湿器等の部材である。なお、室内空気調節部411は、空気を加温および加湿するだけでなく、冷却および除湿可能であってもよい。
上記構成によれば、収容室101内に常に空気を供給したとしても、室内空気調節部411によって、収容室101内の温度および湿度を患児にとって好ましい状態に保つことが可能である。
また、循環部410から収容室101内に空気が排出される方向と、供給部420から収容室101内に空気が供給される方向とは一致することが望ましい。循環部410および供給部420からの風が様々な方向から患児にあたると、患児に対して負担がかかる。ここで、循環部410および供給部420からの空気の方向を一致させることで、患児に対する負担を低減することができる。
また、本実施形態に係る保育器1は、温湿度制御部700を備える。温湿度制御部700は、収容室101内の温度および湿度である室内温湿度の情報に基づき、該収容室101内の温度および湿度を制御する。温湿度制御部700は、収容室101内に配置される室内温湿度センサ610から、収容室101内の温度および湿度である室内温湿度の情報を取得する。また、温湿度制御部700は、収容室101の外部の空気の温度および湿度である外部温湿度を検知可能な外気温湿度センサ620から、収容室101の外部の空気の温度および湿度である外部温湿度の情報を取得する。また、温湿度制御部700は、操作パネル102aが受け付けた、収容室101内の温度および湿度の目標値である目標温湿度の指示入力に基づき、室内温湿度が目標温湿度となるように制御を行う。そして、温湿度制御部700は、供給空気調節部422、供給量調節部421、および、室内空気調節部411の少なくともいずれか一つを制御する。
例えば、温湿度制御部700は、収容室101内の温度が予め設定された温度よりも低い場合、供給空気調節部422を制御し、収容室101内に供給させる空気の温度を上昇させるよう制御を行う。これにより、収容室101内の温度よりも高い温度の空気が供給部420によって収容室101内に供給されるため、収容室101内の温度を上昇させることができる。
または、温湿度制御部700は、収容室101内の温度が予め設定された温度よりも低く、かつ、供給部420で供給される空気の温度が低い場合、供給量調節部421を制御し、収容室101内に供給させる空気の量を少なくするとともに、室内空気調節部411を制御して、収容室101内の温度を上げるように制御する。これにより、効率的に、収容室101内の温度を上昇させることができる。
上記構成によれば、収容室101内に供給される空気の温度および湿度、収容室101の内部への空気の供給量、および収容室101内の温度および湿度の少なくともいずれかが制御される。これにより、収容室101内の環境の変化を低減しつつ、患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減することができる。
なお、上記では、温湿度制御部700が供給空気調節部422と室内空気調節部411との両方を制御する構成となっているが、供給空気調節部422専用の供給空気温湿度制御部と、室内空気調節部411専用の室内空気温湿度制御部とをそれぞれ設けてもよい。この場合、供給空気温湿度制御部および室内空気温湿度制御部をトータルでコントロールする上位温湿度制御部をさらに設けてもよい。
(保育器制御方法の流れの一例)
図28は、本実施形態に係る保育器制御方法の流れの一例を示すフローチャートである。以下、図28を用いて、本実施形態に係る保育器制御方法の流れの一例について説明する。なお、温湿度制御部700は、操作パネル102aが受け付けた、収容室101内の温度および湿度の目標値である目標温湿度の情報を予め取得しておく。
保育器制御が開始すると、温湿度制御部700は、室内温湿度センサ610から収容室101内の温度および湿度である室内温湿度の情報を取得する(S11)。続いて、温湿度制御部700は、外気温湿度センサ620から、収容室101の外部の空気の温度および湿度である外部温湿度の情報を取得する。
温湿度制御部700は、目標温湿度、室内温湿度および外部温湿度情報に基づき、保育器1が備える、患児を収容可能な収容室の外部から内部への空気の供給量の動作を制御する(S12:空気供給量制御ステップ)。
具体的には、温湿度制御部700は、目標温湿度に室内温湿度を近づける制御を行うよう、供給量調節部421を制御する。供給量調節部421は、温湿度制御部700からの制御指示に応じて空気の供給量を調節する。
次に、温湿度制御部700は、供給空気調節部422を制御し、供給部420によって供給される空気の温度および湿度を制御する。また、温湿度制御部700は、室内空気調節部411を制御し、循環部410によって循環される空気の温度および湿度を制御する(S13:温湿度制御ステップ)。以上の制御を繰り返し行うことにより、フィードバック制御が実現され、室内温湿度を目標温湿度に近づけることができる。
なお、上記では、供給空気調節部422、供給量調節部421、および、室内空気調節部411が温湿度制御部700によって制御される例を示したが、温湿度制御部700によって制御されずに、ユーザによって手動で制御されてもよい。
(空気供給量のみに基づく制御の例)
温湿度制御部700は、実際の収容室101内の温湿度は確認せずに、供給空気調節部422による空気供給量のみに基づいて、収容室101内の温湿度の制御を行ってもよい。例えば、供給部420で供給される空気の温度および湿度が低い状況において、温湿度制御部700は、空気供給量が多い場合には、供給している空気の加温・加湿の程度を大きくし、空気供給量が少ない場合には、供給している空気の加温・加湿の程度を小さくするように供給空気調節部422を制御してもよい。
また、同じく供給部420で供給される空気の温度および湿度が低い状況において、温湿度制御部700は、空気供給量が多い場合には、収容室101内の空気の加温・加湿の程度を大きくし、空気供給量が少ない場合には、収容室101内の空気の加温・加湿の程度を小さくするように室内空気調節部411を制御してもよい。
以上はあくまで制御の一例であり、温湿度制御部700は、供給空気調節部422、供給量調節部421、および、室内空気調節部411の少なくともいずれか一つを適宜制御して、収容室101内の環境を適正に保つことができる。また、温湿度制御部700、供給空気調節部422、供給量調節部421、および、室内空気調節部411は、必要に応じて設けられていればよく、本実施形態の保育器1において必須な構成ではない。
〔実施形態15〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
(保育器の概要)
図29は、本実施形態に係る閉鎖型の保育器3の概略斜視図である。また、図30の2101は、図29に示す保育器3が備えるホルダ31を引き出した状態を示す概略斜視図であり、図30の2102は、図30の2101に示す破線囲みCを拡大した概略斜視図である。
図29に示すように、保育器3は、ベッド11(患児載置部、保持部)の表面11a(患児載置部、保持部、載置面)よりも下側に配置された浄化装置240を備えた構造となっている。すなわち、保育器3は、ベッド11が設置される設置台14に浄化装置240が一体的に備え付けられた構造となっている。
設置台14は、収容室101を載置する載置台102と、該載置台102上に設けられ、ベッド11が設置されるベッドステージ13(設置台)とを含んでいる。図示の例では、ベッド11が設置される設置台14の上面(ベッド設置面)よりも下方であって、設置台14のうちのベッドステージ13内に浄化装置240(第1除去部134)が設けられた構成を示している。
浄化装置240は、収容室101内の空気を吸気して、吸気した空気に含まれるエタノール(揮発性物質)を除去し、エタノールを除去した空気を再び収容室101内に排気できるようになっている。浄化装置240は、例えばエアーチューブ(図示せず)で収容室101に接続されていてもよい。この場合、浄化装置240は、吸気用のエアーチューブを介して収容室101内の空気を吸気し、吸気した空気に含まれるエタノールを除去する。また、浄化装置240は、エタノールを除去した空気を、排気用のエアーチューブを介して収容室101に排気する。このようにして、浄化装置240によって収容室101内のエタノールを積極的に除去することで、収容室101内のエタノール濃度を大幅に低減することができる。また、ベッド11の表面11aよりも下側に浄化装置240が設けられているため、表面11a上で患児Xを処置するためのスペースを広くし、処置がし易くなる。
図30に示すように、浄化装置240は、エタノールを吸着する破砕状の活性炭114a(吸着材)を含む第1除去部(除去部)134を備えている。保育器3では、設置台14の外部から活性炭114aの交換が可能になっている。これにより、設置台14内に活性炭114aを設けた場合であっても、活性炭114aの交換を容易に行うことができる。なお、第1除去部134は、活性炭114aを容器内に収容したカートリッジ型であってもよい。これにより、活性炭114aの交換作業がさらに容易になる。
設置台14は、外部から活性炭114aを交換するための機構の一例として、第1除去部134の周縁を保持するスライド可能なホルダ31を有している。このホルダ31は、設置台14の側面に形成された開口部14aから出し入れ可能になっている。これにより、設置台14の開口部14aを介して、活性炭114aの交換を行うことができる。
また、設置台14は、開口部14aを塞ぐ蓋板(閉塞板)32を有しており、この蓋板32の内面にホルダ31に接続されている。このため、蓋板32に連動してホルダ31がスライドするため、設置台14の外部から蓋板32を手前側へ引くことによって、設置台14からホルダ31が引き出される。これにより、ホルダ31に保持された第1除去部134を、設置台14から容易に取り出すことができる。
なお、収容室101を開放せずに保育器3の開口部101aから活性炭114a(第1除去部134)の交換が行えるように、活性炭114a(第1除去部134)は開口部101aから出し入れし易いサイズであることが好ましい。
また、浄化装置240は、設置台14のうちの載置台102内に設けられていてもよい。これにより、保育器3の開口部101aを介さずに活性炭114a(第1除去部134)の交換が可能になるため、交換作業がさらに容易になる。
(保育器による効果)
このように、保育器3は、患児Xを収容可能な収容室101と、患児Xが載置される表面11aを有するベッド11と、表面11aよりも下側に設けられ、収容室101内の空気から揮発性物質を除去する第1除去部134であって、エタノールを吸着する活性炭114aを含む第1除去部134と、を備える。
本実施形態によれば、第1除去部134によって収容室101内の空気に含まれるエタノールを除去することができる。また、ベッド11の表面11aよりも下側に第1除去部134が設けられているため、収容室101内での患児Xに対する医療行為の邪魔にならない。
〔実施形態16〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
(保育器の概要)
図31は、本実施形態に係る保育器3Aの断面図である。前記実施形態15では、設置台14に浄化装置240が一体的に備え付けられた構成例について説明した。ただし、浄化装置240に代えて、吸着材114aを含む第1除去部134が設置台14に備え付けられた構成であってもよい。
図31に示すように、保育器3Aは、設置台14内に、水槽17と、加熱部18と、ヒーター19と、ファン20と、第1除去部134とを備える。水槽17は水を収容している。加熱部18は、水槽17内に設けられており、水槽17が収容している水を加熱することにより、蒸気を発生させる。加熱部18により発生した蒸気は、ファン20によって収容室101内を循環する。水槽17と、加熱部18と、ヒーター19と、ファン20とは循環部410の一例である。また水槽17と加熱部18とは加湿手段の一例であり、ヒーター19は加温手段の一例である。保育器3Aでは、循環部を構成する加湿手段及び加温手段が設けられる空間と同じ空間に第1除去部134が設けられている。
保育器3A内において、ベッド11(患児載置部、保持部)の衝立部12(保持部)と収容室101の内壁面との隙間から、保育器3A内で循環されている空気がベッド11の下部に吸引される。第1除去部134は、ベッド11の衝立部12と収容室101の内壁面との隙間を通った空気が流れ込む流路141に設けられている。このため、流路141を流れる空気は、第1除去部134が含む吸着材114aによってエタノールが除去された後、ファン20によって、加熱部18で発生した蒸気と共に収容室101に排気される。
活性炭114aは、設置台14の外部からの交換が可能になっている。これにより、設置台14内に活性炭114aを設けた場合であっても、活性炭114aの交換を容易に行うことができる。設置台14の外部から活性炭114aを交換するための機構として、例えば、前述したスライド可能なホルダ31等が挙げられる。
なお、図示の例では、流路141を流れる空気の流れ方向に対してファン20の上流側、例えばファン20を挟んでヒーター19とは反対側に第1除去部134が設けられた構成を示している。ただし、前記流れ方向に対してファン20の下流側、例えばヒーター19とファン20との間に第1除去部134が設けられていてもよい。
(保育器による効果)
このように、保育器3Aでは、患児Xを収容可能な収容室101と、患児Xが載置される表面11aを有するベッド11と、表面11aよりも下側に設けられ、収容室101内の空気から揮発性物質を除去する第1除去部134であって、エタノールを吸着する活性炭114aを含む第1除去部134と、を備える。
本実施形態によれば、第1除去部134によって収容室101内の空気に含まれるエタノールを除去することができる。また、ベッド11の表面11aよりも下側に第1除去部134が設けられているため、収容室101内での患児Xに対する医療行為の邪魔にならない。
さらに、保育器3Aでは、保育器3A内の空気を循環させるためのファン20が、エタノールを含む空気を吸引して第1除去部134へ導く吸引部としての役割を兼ねている。このため、吸引部を別途設ける必要性がなく、保育器3Aの装置構成を簡略化することができる。
〔変形例1〕
前記実施形態1では、収容室101に処置用の開口部101aが2個設けられている例について説明したが、開口部101aの数については少なくとも2個であればよく、3個以上であってもよい。
〔変形例2〕
前記実施形態1では、エタノール除去装置110の駆動制御を、各装置に設けられた操作部の操作によって行う例について説明したが、保育器1が備える操作パネル102aの操作によって行われるようにしてもよい。
〔変形例3〕
前記実施形態1では、図1に示すように、保育器1は、収容室101のベッド11の上部側で、循環部410による保育器1内の空気の循環、供給部420からの保育器1内への空気の供給、排出部430からの保育器1外への空気の排出を行っている。つまり、図1に示す保育器1における主な空気の循環は、収容室101のベッド11の上部側で行われる。このため、収容室101のベッド11上の患児Xに空気の流れは、保育器1内の温度変化に影響を与える可能性がある。そこで、収容室101のベッド11上の患児Xに空気の流れによる温度変化の影響を少なくするために、例えば図14に示す保育器2のように、収容室101のベッド11の下部側で、空気の保育器2内での循環、空気の保育器2内への供給、および空気の保育器2外の排出を行うようにすることが好ましい。なお、保育器2内から保育器2外への空気の排出方向については、保育器2内の空気の循環方向を阻害しない方向(例えば循環方向と同じ方向)に排出するのが好ましい。
図14に示す保育器2は、図示されていないが、図1と同じ循環部410と供給部420がベッド11の下部に配置されている。なお、図14に示す保育器2は、前記実施形態1の図1に示す排出部430のように保育器2の空気を積極的に保育器2外に排出する装置を設けず、保育器2内の空気を、収容室101の開口部101a、収容室101と載置台102との間に存在する僅かな隙間等を通して、保育器2外に排出させている。
図14に示す保育器2は、ベッド11の下部に配置された循環部410によって温度および湿度が調整された空気が、保育器2の長辺側の内壁に沿ってベッド11の下部から収容室101の上部に導かれる。また保育器2は、保育器2の短辺側の内壁に沿ってベッド11上の空気がベッド11の下部の循環部410に導かれる。このように保育器2では、患児Xに空気の流れによる温度変化の影響が少ないように空気が循環している。
従って、図14に示す保育器2は、収容室101内の患児Xに保育器2内の空気の流れの影響を少なくした状態で、保育器2内の空気を清浄に保ち、且つ空気の温度・湿度を適切に保つことが可能となる。
〔変形例4〕
前記実施形態1では、エタノール除去装置110に設けられた吸気部111cが筐体111の前面111aの長手方向に並列して設けられている例について説明したが、これに限定されるものではなく、空気を取り込むことができれば、どこに設けられてもよく、また、どのような構造であってもよい。また、前記実施形態1では、エタノール除去装置110に設けられた排気部111dが筐体111の後面111bに設けられている例について説明したが、これに限定されるものではなく、空気を排気できれば、どこに設けられてもよく、また、どのような構造であってもよい。さらに、エタノール除去装置110に設けられたガイド部112は、空気を吸気部111cに導くことができればどのような構造であってもよい。
〔変形例5〕
前記実施形態1では、第1除去部114をカートリッジ型で、筐体111から着脱可能である例について説明した。同様に、第2除去部116もカートリッジ型であることが好ましい。この場合、カートリッジ型の第2除去部116は、第1除去部114と同様に、筐体111の上面から着脱可能にする。このように、第1除去部114、第2除去部116の何れもカートリッジ型であれば、筐体111からの着脱も容易であるので、各除去部における吸着材の交換が容易である。
〔変形例6〕
前記実施形態1では、第1除去部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と直交する方向であるため、吸引部に115に用いるファンはシロッコファンを用いていたが、これに限定されるものではい。例えば、第1除去部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と同じ方向であれば、吸引部115に用いるファンとして軸流ファンを用いる。このように、第1除去部114、吸引部115の配置位置に応じて他の形式のファンを用いてもよい。また、吸引部115で用いるファンの数についても2個に限定されるものではなく、1個または3個以上であってもよい。さらに、ファンの種類や数は、必要とされる風量やバッテリー、消費電力を考慮して適宜決定すればよい。
〔変形例7〕
前記実施形態1では、ガイド部112の載置部112aは、筐体111と一体に形成された例について説明したが、筐体111と別体で形成され、筐体111と接続可能に形成されてもよい。載置部112aを筐体111と別体とする場合、大きさや形状の異なる載置部112aを用意することができ、設置環境に応じたエタノール除去装置110を提供することができる。また、載置部112aの形状および大きさに関しては特に限定されるものではない。
〔変形例8〕
前記実施形態1では、壁部112bが2つの例について説明したが、壁部112bは、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていればよいので、2つに限定されず、1つであってもよい。すなわち、ガイド部112は、壁部112bを少なくとも1つ有していればよい。
また、前記実施形態1では、壁部112bは、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状となっている例について説明したが、この形状に限定されるものではない。例えば、吸気部111cへの空気の導入のし易さを考慮した場合、壁部112bは、筐体111の前面111a側の高さと、前面111aから最も遠ざかった位置での高さとを同じにしてもよい。また、載置部112a上での処置のし易さを考慮した場合、壁部112bの高さはできるだけ低い形状にするのが好ましい。
壁部112bは、前記実施形態1で説明したように、載置部112aと同一の種類の材料で形成されてもよいし、異なる種類の材料で形成されてもよい。さらに、壁部112bは、前記実施形態1で説明したように、載置部112aと一体的に形成されていてもよいし、載置部112aと別体に形成されていてもよい。また、壁部112bは、載置部112aと別体に形成されている場合、載置部112aから着脱自在であってもよい。また、ガイド部は、筐体111の天面を載置部112a側に少し延ばす構造(突き出す構造)としてもよい。このようにすることで、空気はガイド部によって効率よく吸気部111cに導かれる。
〔変形例9〕
前記実施形態2では、ガイド部212の第1壁部212bおよび第2壁部212cの形状は、前記実施形態1のガイド部112に設けられた壁部112bと同じ形状であるとしているが、この形状に限定されるものではない。例えば、吸気部111cへの空気の導入のし易さを考慮した場合、第1壁部212bは、筐体111の前面111a側の高さと、前面111aから最も遠ざかった位置での高さとを同じにしてもよい。また、載置部212a上での処置のし易さを考慮した場合、第1壁部212bおよび第2壁部212cの高さは、できるだけ低い形状にしてもよい。
第2壁部212cは、第1壁部212bと同一の形状であってもよいし、異なる形状であってもよいし、処置をする際に邪魔にならない形状であればよい。さらに、第2壁部212cの高さは低いほうが載置部212a上での処置がし易い。また、第2壁部212cを設ける数は、5つに限定されるものではなく、5つより少なくてもよいし、5つよりも多くてもよい。また、第1壁部212bおよび第2壁部212cは、載置部212aと別体に形成されている場合、載置部212aから着脱自在であってよい。また、第2壁部212cは、載置部212aの一部(例えば、第1壁部212b近傍)のみに設けるようにしてもよい。このようにすることで処置対象を載置し易いスペースを載置部212aに確保しつつ、空気を吸気部111cに導き易くなり、短時間で空気に含まれるエタノールを除去することが可能となる。
〔変形例10〕
前記実施形態1、2のエタノール除去装置110および210では、通常、ガイド部112および筐体111、ガイド部212および筐体111をベッド11の表面11aに載置した状態で使用するが、これに限定されるものはでない。例えば、エタノール除去装置110のガイド部112およびエタノール除去装置210のガイド部212の先端をベッド11の表面11aに接触させて、当該表面11aから所定の角度θ(0≦<θ<90°)に傾けた状態を保持して、載置部112aおよび載置部212aに載置されたエタノールの発生源(例えば酒精綿)から発生するエタノールを含む空気を吸気部111cに導くようにしてもよい。
〔変形例11〕
前記実施形態3では、図6に示すように、酒精綿Yを直接ベッド11上に載置していたが、これに限定されるものではなく、トレイ(図示せず)に載せて、当該トレイをベッド11上に載置するようにして、ガイド部112によってエタノールを含む空気を吸気部111cに導くようにしてもよい。
〔変形例12〕
前記実施形態3では、壁部112bを2つ形成した例について説明したが、壁部112bは吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていればよいので、2つに限定されず、1つであってもよい。すなわち、ガイド部112は、酒精綿Yが載置されたベッド11の表面の所定の範囲Zを囲む壁部112bを少なくとも1つ有していればよい。
また、前記実施形態3では、壁部112bは、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状となっている例について説明したが、この形状に限定されるものではなく、例えば、吸気部111cへの空気の導入のし易さを考慮した場合、壁部112bは、筐体111の前面111a側の高さと、前面111aから最も遠ざかった位置での高さとを同じにしてもよい。また、ガイド部112をベッド11の表面11aに載置した状態で、酒精綿Yの載置面上での処置のし易さを考慮した場合、壁部112bの高さをできるだけ低い形状にするのが好ましい。また、壁部112bは、筐体111から着脱自在であってもよい。
空気を筐体111の吸気部111cに確実に導くには、ガイド部112の少なくとも一部が吸気部111cに接続されていればよい。具体的には、ガイド部112の壁部112bの前面111a側の端部が吸気部111cに接続されていればよい。この場合、ガイド部112によって吸気部111cに導かれる空気は、当該ガイド部112の壁部112bの前面111a側の端部と吸気部111cとの間から漏れにくく、多くの空気が吸気部111cに導かれる。つまり、ガイド部112の少なくとも一部が、吸気部111cに接続されていることで、空気を確実に吸気部111cまで導くことができる。また、筐体111の天面を載置部(例えばベッド11の表面11a)側に少し延ばす構造(突き出す構造)としてガイド部としてもよい。このようにすることで、空気を効率よく吸気部111cに導くことができる。
〔変形例13〕
前記実施形態3では、エタノール除去装置110Aの使用例として、図7に示すように、エタノール除去装置110Aを、ガイド部112の壁部112bの先端をベッド11の表面11aに接触させて、当該表面11aから所定の角度θ(0≦<θ<90°)に傾けた状態で使用する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、エタノール除去装置110Aのガイド部112には壁部112bのみが形成されているので、壁部112bの先端をベッド11の表面11aに接触させて、エタノール除去装置110をベッド11の表面11aから所定の角度θ(90°<θ≦180°)に傾けた状態で使用してもよい。つまり、エタノール除去装置110Aは、ベッド11の表面11aに対して垂直でない方向から吸気部111cに導くように使用してもよい。
〔変形例14〕
前記実施形態3では、エタノール除去装置110Aが備える除去部として、第1除去部114の1つの除去部の例について説明したが、これに限定されるものではなく、除去部は2つ以上であってもよい。
第1除去部114は、図16に示すように、シート状の活性炭からなり、吸気部111cから吸気された空気に含まれるエタノールの大部分を素早く吸着する。従って、第1除去部114は、空気に含まれるエタノールの量が少なければ、全てのエタノールを吸着することになる。
第2除去部116は、ペレット状の活性炭からなり、吸引部115によって吸引された空気に含まれるエタノールをゆっくり確実に吸着する。第2除去部116によってエタノールが吸着された空気は、筐体111の後面111bに設けられた排気部111dから排気される。
以上のように、第1除去部114では、シート状の活性炭を吸着材として用いることで、高濃度のエタノールを素早く大量に吸着し、第2除去部116では、ペレット状の活性炭を吸着材として用いることで、第1除去部114によって吸着しきれていないエタノールをゆっくり吸着する。
従って、筐体111の吸気部111cから吸気された空気は、第1除去部114によって素早く大量にエタノールが吸着され、さらに、第2除去部116によってエタノールがもれなく吸着されるので、吸気部111cから吸気された空気中のエタノールを十分に除去することができる。
〔変形例15〕
前記実施形態3では、前記実施形態1と同様に、第1除去部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と直交する方向であるため、吸引部に115に用いるファンはシロッコファンを用いていたが、これに限定されるものではい。例えば、第1除去部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と同じ方向であれば、吸引部115に用いるファンとして軸流ファンを用いる。このように、吸引部115に用いるファンは、第1除去部114、吸引部115の配置位置に応じて他の形式のファンを用いてもよい。また、吸引部115で用いるファンの数は2個に限定されるものではなく、1個または3個以上であってもよい。さらに、ファンの種類や数は、必要とされる風量やバッテリー、消費電力を考慮して適宜決定すればよい。
〔変形例16〕
前記実施形態1~3では、エタノール除去装置110、210および110Aが備える除去部として、第1除去部114の1つの除去部の例について説明したが、これに限定されるものではなく、除去部は2つ以上であってもよい。
例えば、筐体111内に、図15に示すように、吸気部111c側から排気部111dに向かって順に、第1除去部114、吸引部115、第2除去部116が配置されていてもよい。
第1除去部114は、シート状の活性炭からなり、第2除去部116と比較して、吸気部111cから吸気された空気に含まれるエタノールの大部分を素早く吸着する。換言すると、第1除去部114は、第2除去部116よりも吸着速度の観点においては吸着性能が高い。従って、空気に含まれるエタノールの量が少なければ、第1除去部114において全てのエタノールが吸着されることになる。しかしながら、第1除去部114は、シート状の活性炭からなるので、第2除去部116と比較して、持続性の観点においては吸着性能が低下しやすい。
一方、第2除去部116は、ペレット状の活性炭からなり、第1除去部114と比較して、吸引部115によって吸引された空気に含まれるエタノールをゆっくり吸着する。換言すると、第2除去部116は、第1除去部114よりも吸着速度の観点においては吸着性能が低い。しかしながら、第2除去部116は、ペレット状の活性炭からなるので、第1除去部114と比較して、持続性の観点においては吸着性能が低下し難い。第2除去部116によってエタノールが吸着された空気は、筐体111の後面111bに設けられた排気部111dから排気される。
以上のように、第1除去部114は、シート状の活性炭を吸着材として用いることで、高濃度のエタノールを素早く大量に吸着し、第2除去部116は、ペレット状の活性炭を吸着材として用いることで、第1除去部114によって吸着しきれていないエタノールをゆっくり吸着する。
従って、筐体111の吸気部111cから吸気された空気は、第1除去部114によって素早く大量にエタノールが吸着され、さらに、第2除去部116によってエタノールがもれなく吸着されるので、吸気部111cから吸気された空気中のエタノールを十分に除去することができる。
〔変形例17〕
前記実施形態1~3の第1除去部114において使用する吸着材として、ペレット状の活性炭を用いる例について説明したが、これに限定されず、シート状の活性炭、およびペレット状の活性剤等の他の吸着材を使用してもよい。
また、前記変形例16では、第1除去部114において使用する吸着材として、シート状の活性炭を用い、第2除去部116において使用する吸着材としてペレット状の活性炭を用いる例について説明したが、これらに限定されず、各除去部において他の吸着材を使用してもよい。
さらに、前記変形例16では、第1除去部114と第2除去部116においてそれぞれ使用される吸着材は異なっている例について説明したが、同じであってもよい。また、エタノールを除去するために、吸着材によってエタノールを吸着する以外に、エタノールを触媒によって分解するようにしてもよい。
さらに、エタノールの吸着と分解を両方行って除去するようにしてもよい。例えば、第1除去部114と第2除去部116のそれぞれに、吸着材と触媒を備え、一つの除去部内で吸着材によるエタノールの吸着と触媒によるエタノールの分解を行うようにしてもよい。あるいは、第1除去部114が触媒によってエタノールを分解し、第2除去部116が吸着材によってエタノールを吸着してもよいし、第1除去部114が吸着材によってエタノールを吸着し、第2除去部116が触媒によってエタノールを分解してもよい。なお、第1除去部114と第2除去部116において使用される吸着材、または触媒は、第1除去部114と第2除去部116とで同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、第1除去部114、第2除去部116は、吸着や分解する対象が異なっていてもよい。例えば、第1除去部114は、エタノール以外の揮発性物質を吸着または分解し、第2除去部116は、エタノールを吸着または分解するようにしてもよく、あるいは、第1除去部114は、エタノールを吸着または分解し、第2除去部116は、エタノール以外の揮発性物質を吸着または分解するようにしてもよい。
〔変形例18〕
前記実施形態1~3のエタノール除去装置110、210および110Aでは、電源のオン・オフによって駆動制御を行っていたが、これに限定されるものではない。例えば、収容室101内にエタノールの濃度を検知する濃度センサを設置し、濃度センサの検知信号に基づき、エタノール除去装置110および210の駆動制御を行うようにしてもよい。例えば、濃度センサの検知信号が示すエタノールの濃度が、所定濃度以上になったときに、エタノール除去装置110、210および110Aのファンの駆動を開始させ、所定濃度よりも下がれば、エタノール除去装置110、210および110Aのファンの駆動を停止させるようにしてもよい。さらに、エタノール除去装置110、210および110Aが駆動している間、濃度センサの検知信号が示すエタノールの濃度が所定濃度よりもさらに上昇したことを示せば、吸引部115内のファンの回転数を上げるようにして、吸引力を上げて収容室101内のエタノールをより積極的に吸引するようにしてもよい。これにより、迅速にエタノールを吸引して除去することができる。
〔変形例19〕
前記実施形態1~3のエタノール除去装置110、210および110Aでは、第1除去部114と吸引部115との間には、ガスセンサ117を設け、第1除去部114から排出される空気に含まれるエタノール濃度を検出する例について説明したが、図15および図16に示すように、第1除去部114に加えて、第2除去部116を備えた場合であっても、ガスセンサ117をそれぞれの除去部の排気側に設けてもよい。
この場合、エタノール除去装置110、210および110Aの制御部(図示せず)は、ガスセンサ117の検出したエタノール濃度から、第1除去部114、第2除去部116の吸着状態(破過(吸着機能を超えて吸着して、吸着対象が漏れている状態)している状態か、あるいは十分に吸着できている状態か)を判断する。また、制御部は、ガスセンサ117を用いて、第1除去部114、第2除去部116の吸着状態を判断することに限定されず、他の方法(ガスセンサ117以外のセンサを用いる方法)によって第1除去部114、第2除去部116の吸着状態を判断してもよい。
ガスセンサ117を含む検知手段は、エタノール除去装置110、210および110A内に設けてもよく、エタノール除去装置110、210および110A外に設けてもよいが、例えば、第1除去部114の下流側(第1除去部114と第2除去部116の間)に設けることが好ましい。このようにすることで、第1除去部114は、第1除去部114の吸着機能の低下にともない、第1除去部114の吸着量が十分発揮できない状態や、第2除去部116の吸着量が増大し第2除去部116が破過する状態となる前に交換することが可能となる。また、第2除去部116の下流側に検知手段を設け、第2除去部116の吸着状態を検知するようにしてもよい。あるいは、第1除去部114と第2除去部116との間と、第2除去部116の下流側の両方に検知手段を設け、第1除去部114と第2除去部116の両方の吸着状態を検知するようにしてもよい。
また、収容室101内に設けたエタノール濃度を検知する濃度センサの検知結果と、前記吸着状態を検知する検知手段の検知結果とを組み合わせてエタノール除去装置110および210の駆動制御を行うようにしてもよい。
さらに、ガスセンサ117を、第1除去部114の上流側に設けてもよい。この場合、ガスセンサ117は、第1除去部114によってエタノールが吸着される前の空気に含まれるエタノール濃度を検知する。すなわちガスセンサ117は、保育器1内の空気に含まれるエタノールの濃度を検知する。ガスセンサ117が検知したエタノール濃度から吸引部115のファンの駆動制御を行うようにしてもよい。例えば、ガスセンサ117が検知したエタノール濃度に応じて、吸引部115のファンの回転数を制御する。つまり、エタノール濃度が高ければ、ファンの回転数を上げ、エタノール濃度が低ければ、ファンの回転数を下げるようにする。
また、エタノール除去装置110、210および110Aは、通信部を備え、ガスセンサ117が検知したエタノール濃度の情報を通信部を使用して外部機器に通信し、保育器内のエタノール濃度をモニタリングするモニタリング装置に使用してもよい。
〔変形例20〕
本変形例では、図17に示すように、第1開口部114bの上から下に向かって延設された第1遮蔽部材131が、第1開口部114bの一部を塞ぐようになっている。また、第2開口部114cの下から上に向かって延設された第2遮蔽部材122が、第2開口部114cの一部を塞ぐようになっている。第1遮蔽部材131は、第1開口部114bの上側3分の2程度塞ぎ、第2遮蔽部材132は、第2開口部114cの下側3分の2程度塞いでいる。この場合、図17に示すように、吸気部111cから入った空気は、第1除去部114の第1開口部114bの下側から入り、第2開口部114cの上側から出て、そのまま吸引部115によって吸引される。つまり、第1除去部114内に取り込まれた空気は、ペレット状の活性炭114aの下から上に向かって流れるようになるため、ペレット状の活性炭114aのほぼ全域に空気を行き渡らせた後、第1除去部114から排気される。なお、第1遮蔽部材131および第2遮蔽部材132の設け方は、図11に示す例に限定されない。例えば、第1遮蔽部材131を第1開口部114bの下から上に向かって形成し、第2遮蔽部材132を第2開口部114cの上から下に向かって形成してもよく、第1遮蔽部材131および第2遮蔽部材132のどちらかのみが設けられるようにしてもよい。この場合、第1除去部114内に取り込まれた空気は、ペレット状の活性炭114aの上から下に向かって流れ、ペレット状の活性炭114aのほぼ全域に行き渡る。なお、第1遮蔽部材131および第2遮蔽部材132の長さ、換言すると第1開口部114bおよび第2開口部114cをどの程度塞ぐのかは、上述した内容に限定されず、吸着部の吸着性能や空気の流量などを考慮して適宜設定すればよい。
〔変形例21〕
前記実施形態1~3では、エタノール除去装置110、210および110Aの電源のオン・オフは、各装置が備える操作部の電源ボタンを操作することで行う例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、エタノール除去装置110、210および110Aは、傾斜センサが設けられ、傾斜センサによる検知信号に基づき吸引部115のファンの駆動制御することが考えられる。この場合、エタノール除去装置110、210および110Aは、主電源をオンにした状態で、傾斜センサの検知信号が地面に対する傾斜角度が0°±5°であることを示していれば、使用状態であると判断し、吸引部115のファンを駆動させてエタノールの吸着動作を実行する。一方、エタノール除去装置110、210および110Aは、主電源をオンにした状態で、傾斜センサの検知信号が地面に対する傾斜角度が60°±20°であることを示していれば、停止状態であると判断し、吸引部115のファンを停止させてエタノールの吸着動作を停止する。つまり、エタノール除去装置110、210および110Aは、主電源がオンされていても、使用状態か停止状態かを把握してから、吸引部115のファンの駆動を制御するようになっているので、装置の作動忘れおよび停止忘れを防止することができる。なお、傾斜センサによって、使用状態であると判断するための角度、および停止状態であると判断するための角度は、上述した数値に限定されず、適宜設定すればよい。
〔変形例22〕
前記実施形態1~3では、エタノール除去装置110、210および110Aは、吸気側に風速を検出するセンサ(以下、風速センサと称する)を設けてもよい。この場合、エタノール除去装置110、210および110Aにおける制御部は、風速センサによって検出された風速に応じて、吸引部115のファンを回転させるモータの駆動を制御する。制御部は、例えば、風速センサが所定範囲内の風速を検知すれば、吸引部115のファンの回転数を一定に保つようにモータを制御する。制御部は、例えば、風速センサが所定範囲を超えて一定の風速よりも速い風速であると検知すれば、吸引部115のファンの回転数を下げるようにモータを制御し、一定の風速よりも遅い風速であると検知すれば、吸引部115のファンの回転数を上げるようにモータを制御する。これにより、エタノール除去装置110、210および110Aは、特に、吸引部115のファンを回転させるモータが過剰に作動することで、保育器1(2)内の環境に影響することを防ぐことができる。このように、エタノール除去装置110、210および110Aは、風速センサを備えることで、吸気側の風速を常に監視することが可能となる。この結果、エタノール除去装置110、210および110Aは、自身に対して、適量の空気を吸引させることが可能となる。
〔変形例23〕
前記実施形態4では、収容室101に処置用の開口部101aが2個設けられている例について説明したが、開口部101aの数については少なくとも2個であればよく、3個以上であってもよい。
〔変形例23〕
前記実施形態4では、浄化装置120の駆動制御を、各装置に設けられた操作部の操作によって行う例について説明したが、保育器1が備える操作パネル102aの操作によって行われるようにしてもよい。
〔変形例24〕
前記実施形態4では、図1に示すように、浄化装置120をベッド11の片側(例えば、患児Xの頭側)に2つ配置している例を示しているが、これに限定されるものでなく、医療行為の邪魔にならず、適切にエタノール除去ができれば、浄化装置120を反対側(例えば、患児Xの足側)に2つ配置してもよいし、ベッド11の両側に浄化装置120を一つずつ配置してもよい。設置される浄化装置120の数は1つでも、3つ以上でもよい。
〔変形例25〕
前記実施形態4では、突起部121dは、第1筐体121と一体的に設けられる例について説明したが、これに限定されるものではなく、突起部121dは、第1筐体121と別体に設けられていてもよい。
〔変形例26〕
前記実施形態4では、第1筐体121に設けられた突起部121dは、当該第1筐体121の幅方向(第1筐体121内での排気方向に直交する方向)に向かって、連続して設けられる例について説明したが、これに限定されず、断続的に設けられていてもよい。また、突起部121dは、第1筐体121の下面121cの幅方向(第1筐体121内での排気方向に直交する方向)の両端部に一つずつ設けられていてもよい。突起部121dの形状については、特に限定されるものではなく、第2筐体122の側面122cによって衝立部12を挟み込むことができる形状であればよい。なお、突起部121dは、衝立部12の厚みに応じて、突起部121dから第2筐体122の側面122cまでの距離を調整するように可動するようにしてもよい。
〔変形例27〕
前記実施形態4では、第1除去部124において使用する吸着材としては、シート状の活性炭の例について説明したが、これに限定されず、エタノールを吸着するものであれば、他の吸着材を使用してもよい。
〔変形例28〕
前記実施形態4では、吸引部125から第2除去部126を流れる外気の送風方向が、第1除去部124から吸引部125を流れる外気の送風方向に対して直交する方向であるため、回転軸方向に対して直交する方向に風を吹き出すシロッコファンを用いた例について説明したが、これに限定されるものではない。ファンの型式については、第1筐体121と第2筐体122との構造に応じて変更すればよい。例えば、第1筐体121における吸引方向と排気方向とが同じであれば、軸流ファンを用いてもよい。また、吸引部125で用いるファンの数についても2個に限定されるものではなく、1個または3個以上であってもよい。従って、ファンの型式や数は、浄化装置に採用する電源方式、消費電力、必要な流量等を考慮して選定する。
〔変形例29〕
前記実施形態4では、第2除去部126において使用する吸着材としては、ペレット状の活性炭の例について説明したが、これに限定されず、エタノールを吸着するものであれば、他の吸着材を使用してもよい。
〔変形例30〕
前記実施形態4では、第1除去部124と第2除去部126においてそれぞれ使用される吸着材が異なっている例について説明したが、同じであってもよい。また、エタノールを除去するために、吸着材によってエタノールを吸着する以外に、エタノールを触媒によって分解するようにしてもよい。
さらに、エタノールの吸着と分解を両方行って除去するようにしてもよい。例えば、第1除去部124と第2除去部126のそれぞれに、吸着材と触媒を備え、一つの除去部内で吸着材によるエタノールの吸着と触媒によるエタノールの分解を行うようにしてもよい。あるいは、第1除去部124が触媒によってエタノールを分解し、第2除去部126が吸着材によってエタノールを吸着してもよいし、第1除去部124が吸着材によってエタノールを吸着し、第2除去部126が触媒によってエタノールを分解してもよい。
また、第1除去部124、第2除去部126において、吸着や分解する対象が異なっていてもよい。例えば、第1除去部124は、エタノール以外の揮発性物質を吸着または分解し、第2除去部126は、エタノールを吸着または分解するようにしてもよく、あるいは、第1除去部124は、エタノールを吸着または分解し、第2除去部126は、エタノール以外の揮発性物質を吸着または分解するようにしてもよい。また、第1除去部124、第2除去部126は交換可能でもよい。
〔変形例31〕
前記実施形態4では、第1筐体121内に一つの第1除去部124、第2筐体122内に一つの第2除去部116を設けた例について説明したが、第1除去部124、第2除去部126の何れか一方のみであってもよいし、第1筐体121および第2筐体122のそれぞれに2つ以上の除去部を設けてもよい。これらの除去部において揮発性物質を除去する方法は同じであってもよいし、異なってもよい。
〔変形例32〕
前記実施形態5では、浄化装置220のチューブ223の排気口223aの設置位置がベッド11の下である例について説明したが、これに限られない。浄化装置220のチューブ223の排気口223aの設置位置は、ベッド11上の患児Xに影響を与えない箇所、保育器1内の循環への影響が少ない箇所へ空気を排気する位置であれば、どこでもよい。特に、浄化装置220におけるチューブ223の排気口223aの設置位置は、排気口223aから排気される空気をベッド11上の患児に直接吹き付けない位置であればよい。例えば、収容室101を構成する周囲の壁に向かって空気を排気するようにすれば、ベッド11の上にチューブ223の排気口223aを設置してもよい。
〔変形例33〕
前記実施形態5では、浄化装置220をベッド11の下に配置する例について説明したが、浄化装置220の位置は、これに限られない。例えば、ベッド11の衝立部12と収容室101の内壁面との隙間に余裕があれば、ベッド11の衝立部12に浄化装置220を設置してもよい。この場合、第1筐体221を上側にして、第2筐体222の側面222bを衝立部12に近づけて設置する。このとき、第1筐体221の上面221cに前記実施形態1で説明した突起部121dと同じ突起部を設けて、この突起部によって浄化装置220を衝立部12に固定する。この場合、浄化装置220のチューブ223の排気口223aはベッド11の下の空間に向くように、チューブ223を設置する。
また、浄化装置220をベッド11の表面11aに設置してもよい。この場合、第1筐体221をベッド11の表面11aにおける患児の処置の邪魔にならない位置に設置し、チューブ223の排気口223aはベッド11の下の空間に向くように、チューブ223を設置する。
〔変形例34〕
浄化装置220の構成のうち、吸引部125を含む第1筐体221の小型化が難しく、第2除去部126を含む浄化部である第2筐体222の小型化、特に厚みを薄くすることは容易である。従って、吸引部125を含む第1筐体221と、浄化部である第2筐体222とを分離した構成とし、第1筐体221をベッド11下に設置し、第2筐体222をベッド11の衝立部12に設置するようにしてもよい。
具体的には、第1筐体221と第2筐体222との間に、例えば図10の浄化装置220が備えるチューブ223のようなフレキシブルチューブを設け、第1筐体221によって吸引した外気を、フレキシブルチューブを介して第2筐体222に送ることが考えられる。この場合、吸引部125を含む第1筐体221の設置場所(ベッド11下)と、浄化部である第2筐体222との設置場所(衝立部12上)との距離に応じて、フレキシブルチューブの長さを設定すればよい。
本変形例の浄化装置では、ファンを有する吸引部125を含む第1筐体221と浄化部である第2除去部126を含む第2筐体222とを分離させることで、小型化が難しい第1筐体221をベッド11下に配置し、小型化が容易な第2筐体222のみを衝立部12に設置させるようにしている。これにより、スペース的に衝立部12に第1筐体221を設置させるのが難しい場合であっても、浄化部を構成している第2筐体222のみを衝立部12に設置させることによって、収容室101内の空気の浄化を行うことができる。
〔変形例35〕
また、実施形態4の第1筐体121および実施形態5の第2筐体222において屈曲した部分の角が面取りされていてもよい。これにより、浄化装置120、220を収容室101内に設置した際に、衝立部12と収容室101の周壁との間で、第1筐体121、第2筐体222を揺動させる範囲を広げることができる。
〔変形例36〕
前記実施形態4~6の浄化装置120、220、230では、電源のオン・オフによって駆動制御を行っていたが、これに限定されるものではない。例えば、また、収容室101内にエタノールの濃度を検知する濃度センサを設置し、濃度センサの検知信号に基づき、浄化装置120、220および230の駆動制御を行うようにしてもよい。例えば、濃度センサの検知信号が示すエタノールの濃度が、所定濃度以上になったときに、吸引部125のファンの駆動を開始させ、所定濃度よりも下がれば、吸引部125のファンの駆動を停止させるようにしてもよい。さらに、浄化装置120、220および230が駆動している間、濃度センサの検知信号が示すエタノールの濃度が所定濃度よりもさらに上昇したことを示せば、吸引部125内のファンの回転数を上げるようにして、吸引力を上げて収容室101内のエタノールをより積極的に吸引するようにしてもよい。これにより、迅速にエタノールを吸引して除去することができる。
さらに、浄化装置120、220および230に、第1除去部124や第2除去部126の吸着状態を検知するための検知手段を設けてもよい。検知手段は、エタノール濃度を検知する濃度センサであってもよい。この場合、浄化装置120、220および230は、検知手段が検知したエタノール濃度によって、第1除去部124、第2除去部126の吸着状態(破過(吸着機能を超えて吸着などして、吸着対象が漏れている状態)している状態か、あるいは十分に吸着できている状態か)を判断する。
前記検知手段は、浄化装置120、220および230内に設けてもよく、浄化装置120、220および230外に設けてもよいが、たとえば、第1除去部124の下流側(第1除去部124と第2除去部126の間)に設けることが好ましい。このようにすることで、第1除去部124の吸着状態を検知でき、たとえば第1除去部124の吸着機能の低下にともない、十分な吸着機能を発揮できない状態や、第2除去部126での吸着量が増大し第2除去部126が破過する状態となる前に第1除去部124を交換することが可能となる。また、第2除去部126の下流側に検知手段を設け、第2除去部126の吸着状態を検知するようにしてもよい。あるいは、第1除去部124と第2除去部126との間と、第2除去部126の下流側の両方に検知手段を設け、第1除去部124と第2除去部126の両方の吸着状態を検知するようにしてもよい。
また、収容室101内に設けたエタノール濃度を検知する濃度センサの検知結果と、前記吸着状態を検知する検知手段の検知結果とを組み合わせて浄化装置120、220および230の駆動制御を行うようにしてもよい。
さらに、検知手段を、第1除去部124の上流側に設けてもよい。この場合、検知手段は、第1除去部124によってエタノールが吸着される前の空気に含まれるエタノール濃度を検知する。すなわち検知手段は、保育器1内の空気に含まれるエタノールの濃度を検知する。検知手段が検知したエタノール濃度から吸引部125のファンの駆動制御を行うようにしてもよい。
この場合、浄化装置120、220および230の制御部(図示せず)は、検知手段が検知したエタノール濃度に応じて、吸引部125のファンを回転させるモータの駆動を制御する。例えば、制御部は、検知手段が検知したエタノール濃度が所定の値よりも高ければ、ファンの回転数を上げるようにモータの駆動を制御し、一方、検知手段が検知したエタノール濃度が所定の値以下であれば、ファンの回転数を下げるようにモータの駆動を制御する。
また、浄化装置120、220および230は通信部を備え、通信部は、検知手段が検知したエタノール濃度を示す情報を外部機器に通信することで、保育器1内のエタノール濃度をモニタリングするようにしてもよい。すなわち、浄化装置120、220および230は、保育器1内のエタノール濃度をモニタリングするモニタリング装置として機能する。
〔変形例37〕
浄化装置120による患児への影響を抑制するために、浄化装置120の吸気部121bは、患児より高い位置に存在する。このようにすることで、エタノールの除去率を高めることができるとともに、吸気部121bによる吸気によって患児の周囲の気流速度が速くなることで患児へ悪影響を及ぼすことを抑制することができる。例えば、浄化装置120の吸気部121bは、ベッド11の衝立部12の上から、ベッドステージ13内に設けられた底部ファンまでの間であって、患児と同じ高さ以外に設定されていればよい。また、吸気部121bは、ベッド11の周囲からの気流が保育器1(2)内の換気ファン(図示せず)に到達するまでの部分に設置されていればよい。
〔変形例38〕
前記実施形態4~6では、浄化装置120、220および230は、吸気側に風速を検出するセンサ(以下、風速センサと称する)を設けてもよい。この場合、浄化装置120、220および230における制御部は、風速センサによって検出された風速に応じて、吸引部125、225のファンを回転させるモータの駆動を制御する。制御部は、例えば、風速センサが所定範囲内の風速を検知すれば、吸引部125、225のファンの回転数を一定に保つようにモータを制御し、風速センサが所定範囲を超えて一定の風速よりも速い風速であると検知すれば、吸引部125、225のファンの回転数を下げるようにモータを制御し、一定の風速よりも遅い風速であると検知すれば、吸引部125、225のファンの回転数を上げるようにモータを制御する。これにより、浄化装置120、220および230は、特に、吸引部125、225のファンを回転させるモータが過剰に作動することで、保育器1(2)内の環境に影響することを防ぐことができる。このように、吸引部125、225のファンは、風速センサを備えることで、吸気側の風速を常に監視することが可能となる。この結果、吸引部125、225のファンは、自身に対して、適量の空気を吸引させることが可能となる。
〔変形例39〕
浄化装置120、220および230の吸気部121b、221bは、保育器1(2)の空気の循環を阻害しない位置に設けるのが好ましい。吸気部121b、221bは、特に、保育器1(2)内の患児Xの周囲の空気の循環を変動させない位置に設けるのが好ましい。さらに、吸気部121b、221bは、エタノールが保育器ファン(図示せず)で保育器1(2)全域に拡散されないように、保育器1(2)内の患児Xに対して医療処置が行われるベッド11の上から空気が流れ落ちる部位から、保育器1(2)本体の換気ファン(図示せず)の間に設けることが好ましい。
〔変形例40〕
浄化装置120、220および230において、排気部122b、排気口223aから排気される空気の流量を検知する流量センサが設けられてもよい。浄化装置120、220および230の制御部は、流量センサによって検知された流量が所定範囲内の流量であれば、吸引部125のファンの動作は正常であると判定し、流量センサによって検知された流量が所定範囲を超えた流量であれば、除去機能に異常があると判定する。この場合の除去機能に異常があるとは、吸引部125のファンの動作が正常でない場合、あるいは、排気部122b、排気口223aから空気が排気できない場合を示す。空気が排気できない場合とは、排気部122b、排気口223aがフィルタの目詰まり、あるいは異物によって詰まった状態が考えられる。そして、浄化装置120、220および230は、除去機能に異常があると判定した場合、除去機能が異常であることを処置者に報知する。これにより、エタノールが除去できない状態で、浄化装置120、220および230を使用し続けることがない。よって、流速センサが設けられた浄化装置120、220および230は、安全管理上好ましい装置といえる。なお、浄化装置120、220および230において、流量センサは、それぞれの第1除去部124と第2除去部126との間に設けられていてもよい。
〔変形例41〕
前記実施形態7および実施形態14では、供給部420が医療ガスを供給する例について説明したが、これに限られない。供給部420は、医療ガスを供給する以外、例えば保育器1外の空気(例えば保育器1が設置されたNICU(新生児集中治療室)内の空気)を供給してもよい。この場合には、NICU内の空気の供給時に活性炭やフィルタなどを通すことで、清浄な空気にして保育器1内に供給することができる。
〔変形例42〕
さらに、供給部420は、医療ガスと、NICU内の空気とを切替えて保育器1内に供給するようにしてもよい。この場合には、上述したフィルタなどでNICU内の空気を清浄空気にすること以外に、保育器1外(NICU内)のエタノール濃度を検知するセンサを設け、当該センサの検出結果に応じて、医療ガスと、NICU内の空気とのどちらから供給するかを判断してもよい。さらに、保育器1内のエタノール濃度を検知するセンサを設け、当該センサの検出結果と、保育器1外(NICU内)のエタノール濃度を検知するセンサの検出結果とに応じて、医療ガスと、NICU内の空気のどちらから供給するかを切り替えてもよい。例えば、供給部420は、2つのセンサの検出結果から、保育器1内のエタノール濃度より、NICU内のエタノール濃度が低いと判断すれば、供給部420はNICUの空気を保育器1内に供給し、NICU内のエタノール濃度が高と判断すれば、医療ガスを保育器1内に供給する。
〔変形例43〕
前記実施形態7および実施形態14では、空調装置401が、循環部410、供給部420、排出部430の全てを備える構成について説明したが、空調装置401は、循環部410、供給部420、排出部430の全てを備えている必要はない。例えば、空調装置401は循環部410および供給部420を備えるものとし、排出部430は空調装置401とは別の装置に設けてもよい。
〔変形例44〕
前記実施形態7では、除去装置402が、空調装置401と別に設けられる構成について説明したが、これに限られない。除去装置402は、空調装置401と別に設けなくても、エタノールを吸着する吸着材(ペレット状の活性炭等)を空調装置401内に設けて、除去装置402と同じ機能を実現してもよい。例えば、エタノールを吸着する吸着材を、空調装置401内の循環部410、供給部420、排出部430の少なくとも一つに設けて、除去装置402と同じ機能を実現してもよい。
〔変形例45〕
前記実施形態1では、除去装置402が収容室101外に設けられる構成について説明したが、これに限られず、除去装置402を、収容室101内に配置してもよい。この場合、除去装置402を設置するためのスペースを確保する必要がない。
また、保育システム501において、除去装置402とは別に、前記実施形態1の保育器1のように、収容室101内にエタノール除去装置110および浄化装置120を設けてもよい。この場合、除去装置402で十分に吸着できなかったエタノールを、収容室101内のエタノール除去装置110および浄化装置120によって吸着することができるため、収容室101内の空気に含まれるエタノールの濃度をより低下させることができる。
また、収容室101に、エタノール除去装置110および浄化装置120の両方を設置するのが好ましいが、何れか一方のみを設置してもよい。エタノール除去装置110および浄化装置120の何れかであれば、エタノール除去装置110を設置するのが好ましい。これは、前記実施形態1の図1に示すように、収容室101内で処置対象の患児Xに近接してエタノール除去装置110を設置することで、消毒などの処置を行う際に生じるエタノールを効果的に吸着できるためである。
〔変形例46〕
前記実施形態2および実施形態14では、循環部410、供給部420、排出部430を一つの装置として説明したが、上述したように、保育システムは様々な形態をとる。例えば、循環部410、供給部420、排出部430のそれぞれを複数の装置によって、循環部410としての機能、供給部420としての機能、排出部430としての機能を実現してもよし、循環部410内に供給部420および排出部430を組み込むようにして、空調装置401としての機能を実現してもよい。
〔変形例47〕
前記実施形態8では、収容室101内のベッド11または衝立部12において、該収容室101内の空気から揮発性物質を除去する構成を説明した。しかし、患児Xを保持するために収容室101内に配される、ベッド11および衝立部12以外の、保持部10を構成し得る任意の部材の少なくとも一部が該収容室101内の空気から揮発性物質を除去する構成であってもよい。このような部材には、例えば、収容室101の側面および上面を規定する収容ケース部、ベッドステージ13、およびベッド11の周縁部に配された手摺および柵などが挙げられる。
〔変形例48〕
前記実施形態9では、第1衝立部12Uが供給部12Ueを備え、第2衝立部12Dが排気部12Deを備える構成を説明した。前記実施形態9において、第1衝立部12Uが前記実施形態10に記載した吸気部12Ufおよび排気部12Ugをさらに備え、第2衝立部12Dが前記実施形態10に記載した吸気部12Dfおよび排気部12Dgをさらに備える構成であってもよい。これにより、収容室101内の空気に含まれる揮発性物質を迅速かつ効率的に除去することができる。
〔変形例49〕
前記実施形態14では、供給部420からの空気の供給により収容室101内の揮発性物質の濃度を低下させる構成について説明したが、保育器1は他の方法を併用して収容室101内の揮発性物質の濃度を低下させてもよい。例えば、保育器1がエタノール除去装置110および浄化装置120を備える場合、保育器1は、供給部420からの収容室101内への空気の供給量の調節に加えて、エタノール除去装置110および浄化装置120を駆動させて収容室101内の揮発性物質の濃度を低下させてもよい。供給部420、エタノール除去装置110および浄化装置120を併用することにより、収容室101内の揮発性物質の濃度を低下させるために供給部420から供給される空気の量を低減することができる。これにより、収容室101内の患児にあたる供給部420からの空気の量を低減し、患児への負担を低減することができる。また、供給部420からの空気の供給量の調節のみでは収容室101内の揮発性物質の濃度を十分に低下させられない場合であっても、エタノール除去装置110および浄化装置120を併用することで、収容室101内の揮発性物質の濃度を十分に低下させることが可能となる。
供給部420とエタノール除去装置110と浄化装置120とを併用する場合、供給空気調節部422が供給部420に加えてエタノール除去装置110および浄化装置120の動作を制御可能であってよい。または、供給空気調節部422は、保育器1全体の動作を制御する制御部、またはエタノール除去装置110および浄化装置120のそれぞれに設けられる制御部を介してエタノール除去装置110および浄化装置120動作を制御可能であってよい。その他、供給空気調節部422は、保育器1全体の動作を制御する制御部に収容室101内の揮発性物質の濃度の低下が十分でないことを示す情報を出力してもよい。この場合、保育器1の制御部は、当該情報に基づきエタノール除去装置110および浄化装置120の駆動を制御してもよい。
なお、前記各実施形態および各変形例では、除去対象の揮発性物質としてエタノールを例に説明したが、エタノールに限定されるものではなく、例えばイソプロパノール等の他の揮発性物質であってもよい。
また、前記各実施形態および各変形例では、保育器として閉鎖型の保育器を例に説明したが、閉鎖型でない、開放型の保育器においても、本発明の揮発性物質除去装置および浄化装置を使用してもよい。
開放型の保育器では、患児を収容する収容室を、患児を寝かせるベッドの周囲に立設された壁部で構成している。この壁部に浄化装置を取り付けて、収容室に漂うエタノール等の揮発性物質を除去するようにしてもよい。また、開放型の保育器における操作部を設けた操作板(ベッド周囲の壁部よりも高い)の上部から浄化装置を吊り下げるようにして、収容室に漂うエタノール等の揮発性物質を除去するようにしてもよい。
本開示の一側面に係るエタノール除去装置110、210および110Aは、患児を収容するために内部の温度および湿度が調節可能な収容室101を備えた保育器1、2内に設置され、収容室101内に収容された患児Xに対するエタノールによる医療行為にともない気化したエタノールを収容室101から除去するエタノール除去装置であって、吸気部111cから収容室101内の空気を吸引する吸引部115と、空気に含まれるエタノールを除去する第1除去部114と、第1除去部114によってエタノールが除去された空気を排気する排気部111dと、吸気部111cに空気を導くガイド部112、212と、を備えていてもよい。
上記構成によれば、閉鎖型保育器1、2内の空気を吸気部に導くためのガイド部112、212を備えているため、吸引部115に空気を効率良く導くことができる。これにより、吸引部115を構成するファンは小型で済むため、装置全体を小型にすることができる。従って、エタノール除去装置110、210および110Aを、閉鎖型保育器1、2内で使用しても、患児Xに対する医療行為の邪魔にならないように小型にできる。
ガイド部112、212は、前記エタノールを用いる処置の処置対象の少なくとも一部、および前記処置に使用したエタノールを発する発生源の少なくとも一方が載置可能な載置部112a、212aを有していてもよい。ガイド部112、212は、エタノールを用いる処置の処置対象(例えば、患児の手・足等)の少なくとも一部または処置に使用したエタノールを発する発生源が載置可能な載置部112a、212aを有することで、載置部112a、212aで処置対象Xを処置する際に発生するエタノールを含む空気をガイド部112、212によって吸気部111cに導くことが可能となる。また、載置部112a、212aに載置された前記処置に使用したエタノールを発する発生源の付近に漂うエタノールを含む空気をガイド部112、212によって積極的に吸気部111cに導くことが可能となる。これにより、短時間で閉鎖型保育器1、2内の空気に含まれるエタノールを除去することが可能となる。
ガイド部112、212は、載置部112a、212aの周縁から上方に立ち上がる第1壁部(壁部)112b、212bを少なくとも1つ有していてもよい。ガイド部112、212が、載置部112a、212aの周縁から上方に立ち上がる第1壁部(壁部)112b、212bを少なくとも1つ有していることで、載置部112a、212aに載置された処置対象を処置する際に発生するエタノールが壁により、載置部112a、212a外に拡散するのを防ぐことができる。これにより、吸気部111cにエタノールを含む空気をより積極的に導くことが可能となる。
ガイド部112、212は、載置部112a、212aの載置面に、第1壁部(壁部)112b、212bに並列に第2壁部(壁部)112b、212cが少なくとも1つ設けられていてもよい。上記構成によれば、載置面に第2壁部(壁部)112b、212cが設けられていることで、載置面上において第1壁部(壁部)112b、212bと第2壁部(壁部)112b、212cとの間に空気を沿わせることができるので、空気を吸気部111cに導き易くできる。
第1壁部(壁部)112b、212bは、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていてもよい。第1壁部(壁部)112b、212bが、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていることで、壁が形成されていない箇所から載置部112a、212aに載置された処置対象Xに対してエタノールを用いる処置を行うことができる。また、エタノールを吸気部111cに案内するのを阻害しないようにすることができる。これにより、処置対象Xに対するエタノールを用いる処置を、壁に邪魔されずに行うことができるため、処置対象Xへの処置が行い易くなるとともに、空気中のエタノールを除去することができる。
第1壁部(壁部)112b、212bおよび第2壁部(壁部)112b、212cのうち、少なくとも第2壁部(壁部)112b、212cは弾性を有する部材で形成されていてもよい。上記構成によれば、載置面に設けられた第2壁部(壁部)112b、212cが弾性を有することで、載置部112a、212aに患児Xの処置対象となる手や足が載置されても傷つき難くなる。
ガイド部112、212の少なくとも一部は、吸気部111cに接続されていてもよい。このように、ガイド部112、212の少なくとも一部が、吸気部111cに接続されていることで、空気を確実に吸気部111cまで導くことができる。
第1除去部114が破過状態であるか否かを検知する破過センサ(ガスセンサ)117が設けられていてもよい。上記構成によれば、破過センサ(ガスセンサ)117が設けられていることで、第1除去部114の破過状態を把握することができるため、第1除去部114の状態を把握することができる。
第1除去部114は、交換可能であってもよい。上記構成によれば、第1除去部114が交換可能であるため、第1除去部114が破過状態であれば、直ぐに交換することができる。
本開示の一側面に係るエタノール除去方法は、患児Xを収容するために内部の温度および湿度が調節可能な収容室101を備えた保育器1、2内に設置され、収容室101内に収容された患児Xに対するエタノールによる医療行為にともない気化したエタノールを除去する除去方法である。エタノール除去方法は、以下に記すガイドステップ(S1)と、吸引ステップ(S2)と、除去ステップ(S3)と、排気ステップ(S4)と、を含む。・ガイドステップ(S1):収容室101内の空気を、除去手段(例えば、第1除去部114)に吸引する、吸気手段(例えば、吸気部111c)に導く。・吸引ステップ(S2):吸気手段(例えば、吸気部111c)から保育器1、2内の空気を吸引手段(例えば、吸引部115)によって吸引する。・除去ステップ(S3):吸引された空気に含まれるエタノールを除去手段(例えば、第1除去部114)によって除去する。・排気ステップ(S4):エタノールが除去された空気を排気手段(例えば、排気部111d)によって排気する。
上記構成によれば、閉鎖型保育器1、2内の空気を吸気部111cに導くためのガイドステップを含んでいるため、吸引手段によって空気を効率良く導くことができる。これにより、吸引手段を構成するファンは小型で済むため、エタノール除去方法を実現するための装置全体を小型にすることができる。従って、エタノール除去方法を実現するための装置を、閉鎖型保育器1、2内で使用しても、患児Xに対する医療行為の邪魔にならない。
前記排気手段による空気の排気方向は、前記吸気手段が設けられる方向とは異なる方向であってもよい。吸気手段は、エタノールを含む空気を吸気し、排気手段は、エタノールが除去された空気を排気する。このため、吸気手段に、エタノールが除去された空気が導かれると、エタノールを含む空気を効率よく吸気することができない。従って、排気手段による空気の排気方向を、吸気手段が設けられる方向とは異なる方向にすることで、排気手段から排気される空気(エタノールが除去された空気)によって、吸気手段によるエタノールを含む空気の吸気を邪魔しないようにできる。
〔付記事項〕
本開示の一側面に係る保育器は、患児を収容可能な収容室と、温度および湿度が調節された空気を前記収容室に循環させる循環部と、空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給部と、前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出可能な排出部と、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去部と、を備える。
上記構成によれば、保育器は、収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去部を備えている。また、保育器は、空気を前記収容室に循環させる空調部、空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給部、収容室内の空気の少なくとも一部を収容室外に排出可能な排出部も備えている。保育器は、収容室外の空気を収容室内に供給して収容室内の空気の揮発性物質の濃度を低下させることができる。また、保育器は、収容室内の空気を循環させながら、除去部によって収容室内の空気の揮発性物質を除去することができる。これにより、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
前記除去部は、前記収容室内に設けられていてもよい。このように、除去部が収容室内に設けられていれば、保育器を設置するためのスペースとは別に、除去部を設置するためのスペースを確保する必要が無い。
前記除去部は、前記収容室内の空気を吸気して前記除去部へと誘導し、該除去部を通った空気を前記収容室内に排気するようにしてもよい。保育器内の空気は、温度および湿度が調整されている。上記の構成によれば、除去部は、所定の揮発性物質を除去後の空気を収容室内に排気する。これにより、保育器は、収容室内の温度および湿度を保ったまま、所定の揮発性物質を除去することができる。
本開示の一側面に係る保育システムは、患児を収容可能な収容室を備える保育器と、前記収容室に温度および湿度が調節された空気を循環させる循環機構と、空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給機構と、および、前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出可能な排出機構と、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去機構と、を備える。
上記構成によれば、保育システムは、保育器の収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去機構を備えている。また、保育システムは、空気を前記収容室に循環させる循環機構と、空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給機構と、収容室内の空気の少なくとも一部を収容室外に排出可能な排出機構とを備えている。保育システムは、保育器の収容室外の空気を収容室内に供給して収容室内の空気の揮発性物質の濃度を低下させることができる。また、保育システムは、保育器の収容室内の空気を循環させながら、除去機構によって収容室内の空気の揮発性物質を除去することができる。これにより、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
前記除去機構は、前記収容室内に設置されていてもよい。このように、除去機構が収容室内に設けられていれば、保育器を設置するためのスペースとは別に、除去機構を設置するためのスペースを確保する必要が無い。
本開示の一側面に係る除去方法は、温度および湿度が調節された空気が循環される収容室を備える保育器の、前記収容室内の揮発性物質を除去する除去方法であって、前記収容室外から空気を前記収容室内に供給する供給ステップと、前記収容室内の空気を前記収容室外に排出する排出ステップと、前記収容室内の空気を吸引し、前記揮発性物質を除去する除去ステップと、を含む。
上記構成によれば、保育器の収容室外の空気を収容室内に供給して収容室内の空気の揮発性物質の濃度を低下させることができる。また、保育器の収容室内の空気を循環させながら、収容室内の空気の揮発性物質を除去することができる。これにより、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
前記除去ステップにおいて、前記収容室内の前記空気は、前記揮発性物質を発する発生源から離れた位置の第1空気と、前記揮発性物質を発する発生源近傍の第2空気と、を含んでもよい。揮発性物質の発生源からは高濃度の揮発性物質が放出され得るため、発生源が収容室内に存在する場合、揮発性物質が収容室内に充満してしまう虞がある。上記の構成によれば、除去ステップにおいて、発生源から離れた位置の第1空気からの揮発性物質の除去と、発生源近傍の第2空気からの揮発性物質の除去とを行う。これにより、収容室内の空気から効果的に揮発性物質を除去することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1、1A、3、3A、4、5 保育器、10 保持部、11 ベッド(患児載置部、保持部)、11a 表面(患児載置部、保持部、載置面)、11b 吸気部、11c 排気部、11d 供給部、11e 排出部、12 衝立部(保持部)、12D 第2衝立部、12Da 吸気部、12Db 排気部、12Dc 排出部、12De 排気部、12Df 吸気部、12Dg 排気部、12U 第1衝立部、12Ua 吸気部、12Ub 排気部、12Uc 供給部、12Ue 供給部、12Uf 吸気部、12Ug 排気部、13 ベッドステージ(設置台)、101 収容室、101a 開口部、102 載置台(設置台)、102a 操作パネル、110 エタノール除去装置(揮発性物質除去装置、保持部)、110K、110H 除去部(除去機構)、111 筐体、111a 前面、111b 後面、111c 吸気部、111d 排気部、112 ガイド部、112a 載置部、112b 壁部、114 第1除去部、114a 活性炭(吸着材)、115 吸引部、116 第2除去部、120 浄化装置(保持部)、121 第1筐体、121a 前面、121b 吸気部、121c 下面、121d 突起部、122 第2筐体、122a 後面、122b 排気部、122c 側面、124 第1除去部、125 吸引部、126 第2除去部、134 第1除去部(除去部)、210 エタノール除去装置(揮発性物質除去装置、保持部)、212 ガイド部、212a 載置部、212b 第1壁部、212c 第2壁部、215 吸引部、220 浄化装置(保持部)、221 第1筐体、221a 前面、221b 吸気部、222 第2筐体、222a 側面、223 チューブ、223a 排気口、240 浄化装置、401 空調装置、402 除去装置(除去機構)、410 循環部(循環機構)、411 室内空気調節部、420 供給部(供給機構)、421 供給量調節部、422 供給空気調節部、430 排出部(排出機構)、501 保育システム、520 送風部(送風機構)、610 室内温湿度センサ、620 外気温湿度センサ、700 温湿度制御部、X 患児(処置対象)

Claims (9)

  1. 患児を収容可能な収容室と、
    前記収容室内にて前記患児を保持する保持部と、を備え、
    前記保持部の少なくとも一部において、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する、保育器。
  2. 前記保持部は、前記患児が載置される患児載置部、および該患児載置部の端部に配された衝立部を含む、請求項1に記載の保育器。
  3. 前記衝立部の少なくとも一部において、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する、請求項2に記載の保育器。
  4. 前記保持部の少なくとも一部から、空気を前記収容室外から前記収容室内に供給する、請求項1に記載の保育器。
  5. 前記保持部の少なくとも一部から、前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出する、請求項1に記載の保育器。
  6. 前記保持部は、前記患児が載置される患児載置部、および該患児載置部の端部に配された衝立部を含み、
    前記衝立部は、
    前記患児載置部の第1端部に配された第1衝立部と、前記患児載置部の前記第1端部とは異なる第2端部に配された第2衝立部とを備え、
    前記第1衝立部の少なくとも一部から、前記収容室外の空気を前記収容室内に供給し、
    前記第2衝立部の少なくとも一部から、前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出する、
    請求項1に記載の保育器。
  7. 前記保持部は、前記患児が載置される患児載置部、および該患児載置部の端部に配された衝立部を含み、
    前記衝立部は、
    前記患児載置部の第1端部に配された第1衝立部と、前記患児載置部の前記第1端部とは異なる第2端部に配された第2衝立部とを備え、
    前記第1衝立部の少なくとも一部から、前記収容室内の空気を吸気し、
    前記第2衝立部の少なくとも一部から、揮発性物質が除去された空気を前記収容室内に排出する、
    請求項1に記載の保育器。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載の保育器と、
    前記収容室に温度および湿度が調節された空気を循環させる循環機構と、
    を備える保育システム。
  9. 患児を収容可能な収容室と、前記収容室内にて前記患児を保持する保持部と、を備える保育器の、前記収容室内の揮発性物質を除去する除去方法であって、
    前記保持部の少なくとも一部において、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去ステップ、を含む、除去方法。
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