JP2023169800A - 光学フィルム及びこれを用いた画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高屈曲性と高硬度とを有し、カールが低減された光学フィルム及びこれを用いた画像表示装置を提供する。【解決手段】透明基材の少なくとも一方の面にハードコート層を有する光学フィルムであって、ハードコート層が、(A)1分子中に3以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と、(B)エポキシ基含有化合物と、(C)エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物とを含有する組成物の硬化膜であり、組成物の全固形分のうち、(A)(メタ)アクリロイル基含有化合物の含有割合が60~85質量%であり、(B)エポキシ基含有化合物の含有割合が1~20質量%であり、(C)エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物の含有割合が5~30質量%であり、ハードコート層の膜厚が3~20μmである、光学フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルム及びこれを用いた画像表示装置に関する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置には、樹脂フィルム上にハードコート層を設けた光学フィルムが用いられている。
例えば、特許文献1には、透明基材の片面または両面に、(メタ)アクリレート末端基を有するデンドリマー化合物、(メタ)アクリレート末端基を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン化合物、光開始剤及び溶剤を含む組成物を用いてコーティング層を形成したハードコーティングフィルムが記載されている。
特許文献2には、多官能アクリレート系モノマー、アクリレート系オリゴマー、アクリレート系弾性高分子及び光開始剤を含有する樹脂組成物を硬化させて形成した偏光子保護フィルムが記載されている。
特許文献3には、多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル基が修飾されたコロイダルシリカ、多官能チオール化合物及び光重合性開始剤を含有する紫外線硬化型ハードコート剤が記載されている。
特許第7002895号公報 特許第6455993号公報 特開2016-11365号公報
近年、表示画面の大型化と機器サイズの小型化とを両立するため、画像表示装置を折り畳み可能に構成した携帯端末が開発されている。折り畳み可能な画像表示装置に用いる光学フィルムには、硬度が高いことに加え、高い屈曲性が求められる。しかしながら、一般的に、硬度と屈曲性はトレードオフの関係にあり、高硬度材料ほど屈曲性が劣るという問題があった。
また、樹脂フィルム上にアクリル系樹脂の硬化層を設けた光学フィルムには、硬化時の収縮によりカールが発生する。光学フィルムのカールは高硬度アクリル系材料を使用した場合に強く現れる。高硬度アクリル系材料の一部を低カール性アクリル系材料に置換することも考えられるが、この場合、カールは抑制されるが、硬度が低下するという問題があった。
それ故に、本発明は、高屈曲性と高硬度とを有し、カールが低減された光学フィルム及びこれを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る光学フィルムは、透明基材の少なくとも一方の面にハードコート層を有し、ハードコート層が、(A)1分子中に3以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と、(B)エポキシ基含有化合物と、(C)エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物とを含有する組成物の硬化膜であり、組成物の全固形分のうち、(A)(メタ)アクリロイル基含有化合物の含有割合が60~85質量%であり、(B)エポキシ基含有化合物の含有割合が1~20質量%であり、(C)エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物の含有割合が5~30質量%であり、ハードコート層の膜厚が3~20μmであるものである。
本発明に係る画像表示装置は、上記の光学フィルムを備える。
本発明によれば、高屈曲性と高硬度とを有し、カールが低減された光学フィルム及びこれを用いた画像表示装置を提供できる。
実施形態に係る光学フィルムの概略構成を示す断面図
以下、本発明の実施形態を説明する。本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方の総称であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルの両方の総称である。
図1は、実施形態に係る光学フィルムの概略構成を示す断面図である。
光学フィルム1は、透明基材2と、透明基材2の一方の面に積層されたハードコート層3とを備える。
透明基材2は、光学フィルムの基体となるフィルムであり、可視光線の透過性に優れる材料により形成される。透明基材の形成材料としては、トリアセチルセルロース、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリイミド及びポリアミド等を利用できる。透明基材2の厚みは特に限定されないが、例えば、10~200μmであることが好ましい。
透明基材2の表面には、他の層との密着性を向上させるために、表面改質処理を施しても良い。表面改質処理としては、アルカリ処理、コロナ処理、プラズマ処理、スパッタ処理、界面活性剤やシランカップリング剤等の塗布、Si蒸着等を例示できる。
ハードコート層3は、光学フィルム1に硬度を付与する層である。ハードコート層3は、(A)1分子中に3以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と、(B)エポキシ基含有化合物と、(C)エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物とを所定の割合で含有する組成物を透明基材2に塗布し、硬化させることによって形成することができる。ハードコート層3の膜厚は、3~20μmであることが好ましい。ハードコート層3の膜厚が3μm未満の場合、ハードコート層3の硬度が不足するため好ましくない。一方、ハードコート層3の厚みが30μmを超える場合、光学フィルム1の屈曲性が低下すると共に、硬化時の収縮によるカールが大きくなるため好ましくない。
(A)(メタ)アクリロイル基含有化合物
(メタ)アクリロイル基含有化合物は、主として、ハードコート層に硬度を付与する成分である。(メタ)アクリロイル基含有化合物として、1分子中に3以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を使用する。2官能以下の(メタ)アクリロイル基含有化合物を使用した場合、硬度が十分に発現しない。3官能以上の(メタ)アクリロイル基含有化合物の配合割合は、ハードコート層形成用組成物の固形分の60~90質量%とする。3官能以上の(メタ)アクリロイル基含有化合物の配合割合が、60質量%未満の場合、ハードコート層の硬度が十分に発現しない可能性がある。一方、3官能以上の(メタ)アクリロイル基含有化合物の配合割合が90%を超える場合、カールが強く現れると共に屈曲性が悪化する。
3官能以上の(メタ)アクリロイル基含有化合物の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
また、(メタ)アクリロイル基含有化合物として、ウレタン(メタ)アクリレートも使用できる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを反応させることによって得られるものを挙げることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートの例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーとして、上述した化合物のいずれか1種を用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(メタ)アクリロイル基含有化合物の具体例として、例えば、共栄社化学製のライトアクリレートPE-3A(ペンタエリスリトールトリアクリレート)、ライトアクリレートTMP-A(トリメチロールプロパントリアクリレート)、ライトアクリレートDPE-6A(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を使用することができる。
(B)エポキシ基含有化合物
エポキシ基含有化合物は、開環重合可能な反応基を有する。開環重合による硬化物は、付加重合による硬化物と比べて収縮が少ないため、エポキシ基含有化合物を添加することにより、カールを抑制することが可能である。また、エポキシ基含有化合物の硬化物は、上記の(メタ)アクリロイル基含有化合物の硬化物と比べて、屈曲性に優れるため、屈曲性付与にも有効である。エポキシ基含有化合物として、1分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物を用いることが好ましい。
エポキシ基含有化合物の配合割合は、ハードコート層形成用組成物の固形分の1~20質量%とする。エポキシ基含有化合物の配合割合が1質量%未満の場合、十分な低カール性と屈曲性が得られなくなるため好ましくない。一方、エポキシ基含有化合物の配合割合が20質量%を超える場合、低カール性及び屈曲性は良化するが、ハードコート層の硬度が著しく低下するため好ましくない。
エポキシ基含有化合物として、例えば、ダイセル製のセロキサイド2021P(3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、セロキサイド2081P(ε-カプロラクトン変性-3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポリードGT401(ブタンテトラカルボン酸-テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)-修飾ε-カプロラクトン)を使用することができる。
(C)エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物
エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物は、重合の反応機構が異なる上記化合物(A)と化合物(B)とを繋ぐ役割を有する。化合物(A)と化合物(B)のみの組み合わせでは、共重合し得ないため、層分離が起こりやすく、また、相互に硬化阻害を生じるため、十分な機械特性が得られにくい。そのため、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基の両方を有する化合物(C)を添加することにより、化合物(A)と化合物(B)とを繋ぎ、重合密度を上げ、機械特性の向上が可能となる。
エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物の配合割合は、ハードコート層形成用組成物の固形分の5~30質量%とする。エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物の配合割合が5質量%未満の場合、化合物(A)及び(B)を十分に架橋できず、硬度等の機械特性が得られないため好ましくない。一方、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物の配合割合が30質量%を超える場合、低カール性及び屈曲性は更に良化するが、ハードコート層の硬度が著しく低下するため好ましくない。
エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物の具体例として、例えば、東京化成工業製のE1384((3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート)、ダイセル製のサイクロマーM100((3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルメタアクリレート)、新中村化学工業製のEA-1010N(ビスフェノールA骨格を有するグリシジルエーテル含有エポキシアクリレート)を使用することができる。
(D)ラジカル重合開始剤
ハードコート層形成用組成物には、紫外線による重合硬化を可能とするため、ラジカル重合開始剤を添加する。ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等の化合物を好適に使用することができる。例えば、ラジカル重合開始剤として、2,2-エトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-フェニルアセトフェノン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p-クロロベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2-クロロチオキサントン等を使用できる。これらのうち1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用して良い。市販されているラジカル重合開始剤として、例えば、IGM RESIN製のOmnirad 184(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)やOmnirad 651(2,2-ジメトキシ-フェニルアセトフェノン)を使用することができる。ラジカル重合開始剤(D)の配合割合は、ハードコート層形成用組成物の固形分の0.1~10.0質量%であることが好ましい。
(E)光酸発生剤
ハードコート層形成用組成物には、エポキシ基のカチオン重合を進行させるため、光酸発生剤を添加する。光酸発生剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等の化合物を好適に使用することができる。例えば、光酸発生剤として、p-メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムペンタフルオロヒドロキシアンチモネート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、4,4-ビス(チアントレニウム-9-イル)-ジフェニルエーテルジヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルセレノニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジエチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、α-ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステル、N-ヒドロキシイミドスルホネート、α-スルホニロキシケトン、β-スルホニロキシケトン等を使用できる。これらのうち1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用して良い。市販されている光酸発生剤として、例えば、サンアプロ社製のCPI-100P(ジフェニル4-チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート)、CPI-101A(ジフェニル4-チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)を使用することができる。光酸発生剤の配合割合は、ハードコート層形成用組成物の固形分の0.1~5.0質量%であることが好ましい。
(F)レベリング剤
ハードコート層形成用組成物の塗膜の面性を向上させるために、レベリング剤を配合しても良い。レベリング剤の配合割合は、ハードコート層形成用組成物の固形分の0.05~5.0質量%であることが好ましい。レベリング剤として使用可能な化合物は特に限定されないが、例えば、信越化学工業製 KY-1203を使用することができる。
尚、ハードコート層形成用組成物には、適宜溶剤を添加しても良い。溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、N-メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、水等のうち、1種類または2種類以上を混合して使用できる。
その他、必要に応じて、ハードコート層形成用組成物に、上述した以外のモノマーやオリゴマー、ポリマー、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、光増感剤等の各種添加剤を配合しても良い。
本実施形態に係る光学フィルム1は、液晶パネルや有機ELパネル等の画像表示パネルの最表面に貼合して画像表示装置を構成するのに利用することができる。光学フィルム1と画像表示パネルとの間にタッチパネルが設けられても良い。また、光学フィルム1は、画像表示装置が備える偏光板の保護フィルムとして利用することもできる。本実施形態に係る光学フィルム1は、硬度及び屈曲性に優れるため、折り畳み型の画像表示装置を備えた携帯端末に好適である。また、本実施形態に係る光学フィルム1は、カールが抑制されているため、画像表示装置の製造時における加工性に優れる。
尚、上記の実施形態では、透明基材2の一方面上にハードコート層3を積層したハードコートフィルムを例として説明したが、透明基材2の両面にハードコート層3を積層した光学フィルムを構成しても良い。また、透明基材2上に、ハードコート層3に加えて、防眩層、低反射層、高屈折率層、中屈折率層、帯電防止層、電磁波遮断層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、色補正層、防汚層等の機能層が1層以上積層された光学フィルムを構成することもできる。
以下、本発明を具体的に実施した実施例を説明する。
実施例及び比較例で使用した材料は次の通りである。
(A)(メタ)アクリロイル基含有化合物
(A-1)ライトアクリレートPE-3A(ペンタエリスリトールトリアクリレート)、共栄社化学株式会社
(A-2)ライトアクリレート3EG-A(トリエチレングリコールジアクリレート)、共栄社化学株式会社
(B)エポキシ基含有化合物
セロキサイド2021P(3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、株式会社ダイセル
(C)エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物
E1384、東京化成工業株式会社
(D)ラジカル重合開始剤
Omnirad 184(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、IGM RESIN社
(E)光酸発生剤
CPI-101A(ジフェニル4-チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、サンアプロ株式会社
(F)レベリング剤
KY-1203、信越化学工業株式会社
ポリイミド基材(厚み50μm)の表面に、表1に記載の組成のハードコート層形成用組成物をバーコート法により塗布して乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて照射線量200mJ/mで紫外線を照射して塗膜を硬化させ、各実施例及び各比較例に係る光学フィルムを得た。尚、ハードコート層形成用組成物は、全体の固形分濃度が40質量%となるようにメチルイソブチルケトンで希釈した。また、ハードコート層形成用組成物の塗工量は、硬化後の膜厚が表1に記載の値となるように調節した。
各実施例及び各比較例に係る光学フィルムを用いて、下記方法により、鉛筆硬度、カール及び屈曲性を評価した。
<鉛筆硬度>
鉛筆硬度は、JIS K5400-1900に準拠して測定した。鉛筆(uni、三菱鉛筆株式会社製)及びクレメンス型引掻き試験機(HA-301、テスター産業株式会社製)を用いて、ハードコート層表面の鉛筆硬度を測定した。鉛筆の硬度を変えながら繰り返し試験を行って、キズによる外観の変化を目視で観察し、キズが観察されない最大の硬度を評価値とした。評価基準は次の通りである。
◎:6H以上
〇:5H
△:4H
×:3H以下
<カール>
作製した光学フィルムを100mm角の正方形に切り出したサンプルを作製し、このサンプルを平面上に載置して、平面から4隅の先端までの垂直距離をmm単位で測定し、4隅の測定値の合計を評価値とした。この評価値が小さいほどカールが小さいことを意味する。評価基準は次の通りである。
◎:10mm以下
〇:10mm超、かつ、20mm以下
△:20mm超、かつ、35mm以下
×:35mm超
<屈曲性>
作製した光学フィルムを30mm幅に切り出したサンプルを作製し、このサンプルのハードコート層が外側になるように、クラムシェル型屈曲試験機(DR11MR-CS-t、ユアサシステム機器株式会社製)に固定して、20万回繰り返し折り曲げ試験を行った。20万回繰り返し折り曲げ試験可能なmm単位の屈曲直径を下記基準で判定した。
◎:5mm以下
〇:5mm超、かつ、10mm以下
△:10m超、かつ、15mm以下、
×:15mm超
表1に、実施例及び比較例に係るハードコート層形性用組成物の組成と、鉛筆硬度、カール及び屈曲性の評価結果を示す。
Figure 2023169800000002
表1に示すように、実施例1~5に係る光学フィルムは、鉛筆硬度、カール及び屈曲性のいずれも○以上の評価であり、鉛筆硬度、カール及び屈曲性の全てが良好であった。
比較例1に係る光学フィルムは、(メタ)アクリロイル基含有化合物(A)の配合割合が多いことにより、カールが大きくなり、屈曲性が低くなった。
比較例2に係る光学フィルムは、(メタ)アクリロイル基含有化合物(A)の配合割合が少ないことにより、鉛筆硬度が低くなった。
比較例3に係る光学フィルムは、エポキシ基含有化合物(B)の配合割合が多いことにより、鉛筆硬度が低くなった。
比較例4に係る光学フィルムは、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)の配合割合が多いことにより、鉛筆硬度が低くなった。
比較例5に係る光学フィルムは、エポキシ基含有化合物(B)及びエポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)が配合されておらず、(メタ)アクリロイル基含有化合物(A)の配合割合が多いことにより、カールが大きくなり、屈曲性が低くなった。
比較例6に係る光学フィルムは、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)が配合されていないことにより、鉛筆硬度が低くなった。
比較例7に係る光学フィルムは、エポキシ基含有化合物(B)が配合されていないことにより、カールが大きくなり、屈曲性が低くなった。
比較例8に係る光学フィルムは、(メタ)アクリロイル基含有化合物として2官能のモノマーを使用したことにより、鉛筆硬度が低くなった。
比較例9に係る光学フィルムは、ハードコート層の膜厚が薄いことにより、鉛筆硬度が低下した。
比較例10に係る光学フィルムは、ハードコート層の膜厚が厚いことにより、カールが大きくなり、屈曲性が低くなった。
本発明は、画像表示装置に用いる光学フィルムに利用できる。
1 光学フィルム
2 透明基材
3 ハードコート層

Claims (5)

  1. 透明基材の少なくとも一方の面にハードコート層を有する光学フィルムであって、
    前記ハードコート層が、(A)1分子中に3以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と、(B)エポキシ基含有化合物と、(C)エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物とを含有する組成物の硬化膜であり、
    前記組成物の全固形分のうち、(A)(メタ)アクリロイル基含有化合物の含有割合が60~85質量%であり、(B)エポキシ基含有化合物の含有割合が1~20質量%であり、(C)エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基含有化合物の含有割合が5~30質量%であり、
    前記ハードコート層の膜厚が3~20μmである、光学フィルム。
  2. (B)エポキシ基含有化合物が、1分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物である、請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記透明基材が、トリアセチルセルロース、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリイミド及びポリアミドのいずれかよりなる、請求項1に記載の光学フィルム。
  4. 前記透明基材が、トリアセチルセルロース、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリイミド及びポリアミドのいずれかよりなる、請求項2に記載の光学フィルム。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルムを備える画像表示装置。
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