JP2023166277A - ポリオレフィン系架橋発泡体 - Google Patents

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Katsushi Yamazaki
一彦 今村
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Abstract

【課題】高い発泡倍率を有し、かつフォギングが発生しない発泡体の提供を課題とする。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を含有する発泡性組成物を架橋発泡してなるポリオレフィン系架橋発泡体であって、
x=発泡性組成物における記樹脂100質量部に対するアゾ化合物(A)の含有量、
b=記発泡性組成物における樹脂100質量部に対するニトロソ化合物(B)の含有量
とし、
下記の数式(1)で求めたy、及びxが、数式(2)及び(3)に示す関係を満たすポリオレフィン系架橋発泡体。



【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系架橋発泡体に関する。
ポリオレフィン系樹脂発泡体シート、とりわけポリプロピレン系樹脂発泡体シートは、断熱材、クッション材等として汎用されている。例えば、自動車分野では、天井材、ドア、インスツルメントパネル等の車輌用内装材として使用される。車両用内装材に使用される発泡体においては、手触り感を良好にするために、高い柔軟性が求められることがある。柔軟性を高めるためには、見掛け密度を低くすること、すなわち発泡倍率を高くすることが一般的である。こうした発泡体を形成する工程においては、発泡剤としてアゾ化合物が使用されることがある。
例えば、特許文献1には、アゾジカルボンアミド(A)と、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(B)との複合発泡剤を配合することを特徴とする、発泡倍率が10倍程度のポリオレフィン系架橋発泡体が開示されている。
また、特許文献2には、アゾジカルボンアミドと、ジニトロソペンタメチレンテトラミンとの混合発泡剤により発泡されてなるポリオレフィン発泡体が開示されている。
さらに、特許文献3には、アゾジカルボンアミド100重量部と、ジニトロソペンタメチレンテトラミン3~15重量部と、からなる混合発泡剤を含む発泡性ポリオレフィン系樹脂成形物を架橋発泡することで得られるポリオレフィン系樹脂高発泡体が開示されている。
特開平11-228725号公報 特公平02-016211号公報 特開昭54-132668号公報
ところで、発泡剤としてアゾ化合物を使用した場合には、発泡時の残渣として尿素が発生し、そのまま発泡体の中に残ってしまうことがある。そうした発泡体を車両用内装材として使用した場合には、高温の車内で発泡体から揮発した尿素が、外気で冷えた窓ガラス内面に凝縮して付着することにより、窓ガラスを曇らせて運転者の視界を妨げる、いわゆるフォギングが発生するおそれがあり、安全性の観点から問題がある。とりわけガス透過性の高い表皮材の下に発泡体を充填した場合に、そうした問題が顕在化することが多い。
そこで、本発明は、高い発泡倍率を有し、かつフォギングを抑制できる発泡体を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を混合した発泡剤を用い、これらの混合比及び含有量を最適化することで、上記課題の解決を見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の[1]~[9]を提供するものである。
[1]ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を含有する発泡性組成物を架橋発泡してなるポリオレフィン系架橋発泡体であって、
x=前記発泡性組成物における前記樹脂100質量部に対するアゾ化合物(A)の含有量、
b=前記発泡性組成物における前記樹脂100質量部に対するニトロソ化合物(B)の含有量とし、
以下の数式(1)に示すように、xとbとの合計値に対するbの比率をyとしたとき、x、yが、以下の数式(2)及び(3)に示す関係を満たす、ポリオレフィン系架橋発泡体。
[2]前記ポリオレフィン系架橋発泡体の発泡倍率が11倍以上である、[1]に記載のポリオレフィン系架橋発泡体。
[3]前記アゾ化合物(A)がアゾジカルボンアミドである、[1]又は[2]に記載のポリオレフィン系架橋発泡体。
[4]前記ニトロソ化合物(B)が、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミンである、[1]又は[2]に記載のポリオレフィン系架橋発泡体。
[5]前記発泡性組成物が架橋助剤を含有し、前記発泡性組成物における前記架橋助剤の含有量が、前記樹脂100質量部に対して1質量部よりも多い、[1]又は[2]に記載のポリオレフィン系架橋発泡体。
[6]前記発泡性組成物がヒンダードフェノール系酸化防止剤及びチオ系酸化防止剤を含み、前記発泡性組成物におけるヒンダードフェノール系酸化防止剤及びチオ系酸化防止剤を合計含有量が、前記樹脂100質量部に対して1質量部よりも多い、[1]又は[2]に記載のポリオレフィン系架橋発泡体。
[7][1]又は[2]に記載のポリオレフィン系架橋発泡体の製造方法であって、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を含有する発泡性組成物を電子線照射により架橋する工程を含む、ポリオレフィン系架橋発泡体の製造方法。
[8][1]又は[2]に記載のポリオレフィン系架橋発泡体を成形してなる車両用内装材。
[9]ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を含有する発泡性組成物であって、
x=前記樹脂100質量部に対するアゾ化合物(A)の含有量、
b=前記樹脂100質量部に対するニトロソ化合物(B)の含有量とし、
以下の数式(1)に示すように、xとbとの合計値に対するbの比率をyとしたとき、x、yが、以下の数式(2)及び(3)に示す関係を満たす、発泡性組成物。
本発明によれば、高い発泡倍率を有し、かつフォギングを抑制できる発泡体を提供することができる。
[ポリオレフィン系架橋発泡体]
本発明のポリオレフィン系架橋発泡体(以下、「発泡体」ともいう)は、後述する発泡性組成物を架橋発泡することで得られるものである。
<発泡倍率>
本発明の発泡体は、発泡倍率が11倍以上であることが好ましく、12倍以上であることがより好ましく、14倍以上であることがさらに好ましい。発泡倍率が上記下限値以上であると、発泡体に優れた柔軟性を付与することができ、車両用内装材として好適に使用することができる。他方で、本発明の発泡体は、一定の機械強度を付与する観点から、発泡倍率が35倍以下であることが好ましく、30倍以下であることがより好ましく、25倍以下であることがさらに好ましい。
なお、発泡倍率は、後述の実施例に記載の測定方法により得ることができる。
<光沢保持率>
本発明の発泡体は、ISO6452に準拠して測定した光沢保持率(以下、「光沢保持率」ともいう)が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上であることがよりさらに好ましい。光沢保持率が上記下限値以上であると、発泡体を車両用内装材として使用した際に、フォギングを抑制することができる。フォギング抑制の観点からは、光沢保持率は高ければ高い程よいため、上限は特に限定されず、100%以下であればよいが、実用的には、例えば98%以下、好ましくは95%以下である。
<厚み>
本発明の発泡体の厚みは、特に限定されないが、0.5~5.0mmであることが好ましく、1~4mmであることがより好ましい。厚みがこれらの範囲内であると、発泡体から成形される成形体を車輌用内装材に好適に使用できる。発泡体は、典型的にはシート状である。
<架橋度>
本発明の発泡体は架橋体であるが、発泡体の架橋度を表す架橋度(%)は、20~60%であることが好ましい。架橋度を上記範囲内にすると、発泡体の機械強度を良好に維持しつつ、柔軟性が優れたものとなる。これらの観点から、発泡体の架橋度(%)は、25~55%がより好ましく、30~50%がさらに好ましい。
なお、架橋度は、例えば、以下の方法により算出できる。
発泡体から約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式により架橋度(重量%)を算出する。
架橋度(重量%)=100×(B/A)
本発明の発泡体は、電子線照射により架橋された電子線架橋体であることが好ましい。本発明の発泡体は、後述する通りに発泡時間を短時間にすることができるので、電子線架橋体であっても、架橋度のムラに基づく気泡の成長の差が小さくなり、それにより、破泡などによる発泡倍率の低下を抑制しやすくなる。
[発泡性組成物]
本発明の発泡体の原料となる発泡性組成物は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を含有する。以下、発泡性組成物の成分について、詳細に説明する。
<発泡剤>
本発明の発泡体の原料である発泡性組成物は、発泡剤として、アゾ化合物(A)と、ニトロソ化合物(B)とを含有する。ここで、発泡性組成物における樹脂100質量部に対するアゾ化合物(A)の含有量をx(質量部)、発泡性組成物における樹脂100質量部に対するニトロソ化合物(B)の含有量をb(質量部)とし、さらに、以下の数式(1)に示すように、xとbとの合計値に対するbの比率をyとしたとき、x、yは、以下の数式(2)及び(3)に示す関係を満たす。
x、b、yが上記関係を満たさない場合、アゾ化合物(A)とニトロソ化合物(B)との含有量のバランスが崩れることとなり、発泡体の発泡倍率を高く調整したり、発泡体を車両用内装材として使用した場合に、フォギングを抑制したりすることができなくなる。より具体的には、yが0.2未満である場合、xがbに対して大きくなるため、アゾ化合物(A)が過剰に含有されることとなり、発泡体を車両用内装材として使用した場合に、フォギングを抑制できなくなる。また、yが1となる場合、アゾ化合物(A)が含有されないこととなり、発泡倍率の高い発泡体を得ることができない。さらに、上記数式(2)及び(3)を満たすためには、xが1.25よりも大きく、かつbの4倍以下となる必要がある。xが1.25以下の場合、発泡倍率の高い発泡体を得ることができず、また、xがbの4倍より大きくなると、フォギングを抑制できなくなる。
x及びyは、発泡性組成物の加熱発泡工程において、樹脂の焦げなどによる劣化を防止する観点から、以下の数式(6)に示す関係を満たすことが好ましい。また、樹脂の上記劣化防止と共に、発泡体の発泡倍率をより高くしやすくしたり、フォギングをより効果的に抑制しやすくしたりする観点から、x、yは、上記数式(3)に加えて、以下の数式(4)及び(6)に示す関係を満たすことがより好ましく、上記数式(3)に加えて、以下の数式(4)、(5)及び(6)に示す関係を満たすことがさらに好ましい。
発泡性組成物において、上記yは、0.23~0.9であることが好ましく、0.3~0.7であることがより好ましく、0.45~0.65であることがさらに好ましい。yが上記下限値以上であると、アゾ化合物(A)とニトロソ化合物(B)との合計含有量(以下、「(A+B)」とする)に占めるニトロソ化合物(B)の割合を一定以上とし、良好な発泡性が維持されつつ、発泡体によるフォギングを有効に抑制することができる。(A+B)に占めるニトロソ化合物(B)の割合を一定以上とすると、フォギングを有効に抑制できる原理は定かではないが、ニトロソ化合物(B)と、アゾ化合物(A)から発泡時の残渣として発生した尿素とが反応し、窒素ガスを発生させることで、フォギングの原因物質である尿素が除去されると推定される。
また、(A+B)に占めるニトロソ化合物(B)の割合を一定以上とすることで、発泡により形成される気泡の成長速度を均一にし、発泡時間を短縮することができることで、発泡体の発泡倍率を高くすることができる。
他方で、yが上記上限値以下であることにより、(A+B)に占めるアゾ化合物(A)の割合を一定以上とし、発泡性組成物の発泡性が高められるため、発泡倍率の高い発泡体を得ることができる。また、ニトロソ化合物(B)は発熱性も有するため、(A+B)に占めるニトロソ化合物(B)の割合を上記上限値以下とすることで、発泡性組成物を架橋発泡させる工程において、樹脂が焦げて劣化することを防止することができる。
(アゾ化合物(A))
アゾ化合物(A)としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。これらのアゾ化合物(A)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよいが、1種を単独で使用することが好ましく、中でもアゾジカルボンアミドを使用することがより好ましい。アゾジカルボンアミドを使用すると、発泡体の発泡倍率を効果的に高くすることができる。
アゾ化合物(A)の含有量は、上記の通り、ニトロソ化合物(B)の含有量の4倍以下であることが必須であり、また、樹脂100質量部に対し、7質量部以下であることが好ましく、5.5質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましい。アゾ化合物(A)の含有量が上記上限値以下であることで、フォギングを有効に抑制することができる。また、アゾ化合物(A)の含有量は、上記の通り、樹脂100質量部に対し、1.25質量部以上であることが必須であり、好ましくは1.3質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、さらに好ましくは1.7質量部以上である。アゾ化合物(A)の含有量が上記下限値以上であることで、発泡倍率を高めに調整しやすくなる。
発泡剤組成物におけるアゾ化合物(A)の削減率は、8%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、35%以上であることがさらに好ましく、40%以上であることがよりさらに好ましく、50%以上であることが特に好ましい。アゾ化合物(A)の削減率が上記下限値以上であることで、発泡体によるフォギングを有効に抑制することができる。また、アゾ化合物(A)の削減率は、発泡性組成物の発泡性を良好に維持し、高い発泡倍率の発泡体を得る観点から、80%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましく、65%以下であることがさらに好ましい。
なお、アゾ化合物(A)の削減率は、後述する実施例に記載する方法により算出することができる。
(ニトロソ化合物(B))
ニトロソ化合物(B)は、ニトロソ基(-N=O)を有する化合物である。具体的には、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、N-ニトロソ-N-メチルアニリン、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、N-ニトロソジフェニルアミン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N-ニトロソ-N-シクロヘキシルアニリン等が挙げられる。これらの中では、高い発泡倍率を維持しつつ、より効果的にフォギングを抑制する観点から、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミンを含有することが好ましい。
ニトロソ化合物(B)の含有量は、樹脂100質量部に対し、0.1~15質量部であることが好ましく、0.8~10質量部であることがより好ましく、0.5~8質量部であることがさらに好ましい。ニトロソ化合物(B)の含有量が上記下限値以上であると、フォギングが発生しない発泡体を形成しやすくなる。また、発泡性組成物を架橋発泡させる工程において、発泡により形成される気泡の成長速度を均一にし、発泡時間を短縮することができることで、発泡体の発泡倍率を高くすることができる。他方で、ニトロソ化合物(B)の含有量を上記上限値以下とすることで、発泡性組成物を架橋発泡させる工程において、樹脂が焦げて劣化することを防止することができる。
(その他の発泡剤)
発泡性組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲内において、上記したアゾ化合物(A)及びニトロソ化合物(B)に加え、アゾ化合物(A)及びニトロソ化合物(B)以外のその他の発泡剤を含有してもよい。発泡性組成物におけるその他の発泡剤の含有量は、例えば、(A)と(B)の合計量100質量部に対して、例えば0~40質量部、好ましくは0~20質量、更に好ましくは0~10質量部、最も好ましくは0質量部である。
その他の発泡剤としては、例えば、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
<樹脂>
発泡性組成物を構成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を含む。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムなどが挙げられる。これらポリオレフィン系樹脂のうち、発泡体の一定の機械強度を確保して、高温下でも良好な成形性を確保する観点から、少なくともポリプロピレン系樹脂を含有することが好ましい。
(ポリプロピレン系樹脂)
ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体が挙げられる。プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体の何れであってもよいが、ランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)が好ましい。
プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン等のα-オレフィンが挙げられ、これらの中ではエチレンが好ましい。したがって、エチレン-プロピレンランダム共重合体がより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の含有量は、発泡体を構成する樹脂全量に対して、好ましくは20質量%以上である。ポリプロピレン系樹脂の含有量を20質量%以上とすることで、機械強度、及び高温下における成形性などを確保しやすくなる。これら観点から、ポリプロピレン系樹脂の含有量は、樹脂全量基準で30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂の含有量は、発泡体を構成する樹脂全量に対して、100質量%以下であればよいが、90質量%以下としてもよい。90質量%以下とすることでポリエチレン系樹脂などの他の樹脂を一定量配合でき、柔軟性などを確保しやすくなる。ポリプロピレン系樹脂の含有量は、上記観点から、より好ましく75質量%以下である。
ポリプロピレン系樹脂の中でも、成形性などの観点からプロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、又はランダムポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよいが、2種以上併用してもよい。
ホモポリプロピレンとランダムポリプロピレンを併用してもよく、これらを併用する場合、成形性、機械強度、柔軟性などをバランスよく良好にできる観点から、ホモポリプロピレンに対するランダムポリプロピレンの質量比(ランダム/ホモ)は、0.2~5であることが好ましく、0.4~4であることが好ましく、0.6~3であることがさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、その230℃におけるメルトフローレート(以下、「MFR」ともいう)が0.1~20g/10分であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂のMFRを上記範囲内とすると、樹脂の流れ性が良好になる一方で、樹脂の流動性が高くなりすぎるのを防止し、発泡性組成物を発泡体に加工する際の加工性が良好になる。これら観点から、ポリプロピレン系樹脂の上記MFRは、0.3~15g/10分であることより好ましく、0.4~12g/10分であることさらに好ましい。
本発明の発泡体におけるポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂に加えて、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂を含有してもよい。そのようなポリオレフィン系樹脂としては、発泡体の柔軟性をさらに改善できる観点から、ポリエチレン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、及びエチレン-α-オレフィン系共重合ゴムが挙げられ、これらの中でもポリエチレン系樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂全量基準で70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。なお、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂の含有量は、0質量%であってもよく、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂を含有する場合は、好ましく10質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。
(ポリエチレン系樹脂)
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられ、中でも直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンとしては、エチレン/1-ブテン共重合体、エチレン/1-ヘキセン共重合体、エチレン/4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン/1-オクテン共重合体などが挙げられるが、中でもエチレン/1-ヘキセン共重合体が好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンは、密度が0.880~0.940g/cmのポリエチレンであり、好ましくは密度が0.900~0.930g/cmのものである。なお、密度とは、JIS K 7112に準拠して測定したものである。
また、加工性及び柔軟性などの観点から、ポリエチレン系樹脂の190℃におけるメルトフローレート(MFR)は、0.5~20g/10分が好ましく、3~15g/10分がより好ましく、5~12g/10分がさらに好ましい。
ポリエチレン系樹脂の含有量は、樹脂全量基準で、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。なお、ポリエチレン系樹脂の含有量は、0質量%であってもよく、ポリエチレン系樹脂を含有する場合は、好ましく10質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。70質量%以下とすることでポリプロピレン系樹脂などの他の樹脂を相当量配合でき、発泡体の機械強度などを確保しやすくなる。また、ポリエチレン系樹脂の含有量を10質量%以上とすることで柔軟性を確保しやすくなる。
(オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO))
上記の通り本発明の発泡体におけるポリオレフィン系樹脂は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)を含有してもよい。これにより、発泡体の柔軟性をさらに改善することができる。
TPOとしては、例えば、ブレンド型エラストマー及び動的架橋型エラストマーなどを使用することができる。ブレンド型エラストマーは、ポリオレフィン系樹脂をゴム成分とブレンドして作製される。ポリオレフィン系樹脂とブレンドする前に、ゴム成分を一部架橋してもよい。また、動的架橋型エラストマーは、ポリオレフィン系樹脂とゴム成分を混合しているときに、ゴム成分を架橋させることで作製される。ポリオレフィン系樹脂とブレンドするゴム成分には、例えば、エチレン-プロピレン共重合体(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、イソブチレン-イソプレンゴム(IIR)等が挙げられる。また、動的架橋に用いられる架橋剤には、例えば、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄化合物等が挙げられる。配合物の混練りによりポリオレフィン系樹脂中にゴム成分を微分散、又はゴム成分中にポリオレフィン系樹脂を微分散させて、TPOの柔軟性をさらに改善できるという観点から、動的架橋型エラストマーが好ましい。また、ゴム成分による優れた弾性を維持しながらポリオレフィン系樹脂の熱可塑性による優れた加工性を発現できるという観点から、ポリオレフィン系樹脂マトリックス中にゴム成分が分散している動的架橋型エラストマーがさらに好ましい。
TPOは、TPOの柔軟性及び加工性を改善するために、可塑剤を含むことが好ましい。これにより、TPOの加工性が改善される。可塑剤は、例えば、TPO中のゴム相に吸着したり、ポリオレフィン系樹脂マトリックスのアモルファルな領域に残存したりしている。
可塑剤には、例えば、プロセスオイル、フィッシャー・トロプシェ誘導基油、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、椰子油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ(ファクチス)、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩、ナフテン酸、パイン油、ロジン又はその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、水添末端変性ポリイソプレン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。これらの可塑剤の中で、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体に使用するTPOにおける可塑剤は、分子量分布が狭く、揮発分が少ないものが好ましい。
本発明の発泡体のフォギングの発生を抑制できるTPOの中で市販されているものには、例えば、三井化学社製の「タフマー PN-2070」、「タフマー PN-3560」等が挙げられる。
TPOは、その190℃におけるメルトフローレート(以下、「MFR」ともいう)が1.0~30g/10分であることが好ましい。TPOのMFRを上記範囲内とすると、柔軟性を改善できる一方で、樹脂の流動性が高くなりすぎるのを防止し、発泡性組成物を発泡体に加工する際の加工性が良好になる。また、発泡体のフォギングの発生を抑制できる。これら観点から、TPOの上記MFRは、1.0~20g/10分であることより好ましく、2.0~10g/10分であることさらに好ましい。
(エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム)
本発明の発泡体におけるポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂に加えて、エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムを含有することが好ましい。これにより、発泡体の柔軟性をさらに改善することができる。
エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムとしては、2種以上のオレフィン系モノマーが実質的にランダムに共重合した非晶性又は低結晶性のゴム状物質が好ましい。
エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムに使用されるα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、2-メチルプロピレン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等の炭素数3~15、好ましくは炭素数3~10のα-オレフィンの1種又は2種以上が挙げられる。
エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムは、エチレン単位及びα-オレフィン単位に加え、他のモノマー単位を有していてもよい。
前記他のモノマー単位を形成するモノマーとしては、炭素数4~8の共役ジエン、炭素数5~15の非共役ジエン、ビニルエステル化合物、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸等が挙げられる。
炭素数4~8の共役ジエンとしては、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。
炭素数5~15の非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ジシクロオクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン等が挙げられる。
ビニルエステル化合物としては、酢酸ビニル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
これらのモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の中では炭素数5~15の非共役ジエンが好ましく、入手容易性の観点から、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)がより好ましい。
エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムの中でも、エチレン-プロピレン共重合体(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)が好ましく、中でも、EPDMがより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、上記以外の樹脂成分を使用してもよい。具体的には、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アルキルアクリレート共重合体、又は無水マレイン酸を共重合した変性共重合体等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
また、本発明の効果を阻害しない限り、発泡性組成物は、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。具体的には、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、尿素系樹脂、シリコーン系樹脂等を含有することができる。ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂は、樹脂成分全量に対して、例えば25質量%以下含有され、好ましくは10質量%以下含有される。
<架橋助剤>
発泡性組成物は、架橋助剤を含有することが好ましい。架橋助剤としては、例えば、多官能モノマーを使用することができる。より具体的には、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の3官能(メタ)アクリレート系化合物、トリメリット酸トリアリルエステル、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート等の1分子中に3個の官能基を持つ化合物、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート等の2官能(メタ)アクリレート系化合物、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル等の1分子中に2個の官能基を持つ化合物、エチルビニルベンゼン、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
架橋助剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。上記した中では、(メタ)アクリレート系化合物が好ましい。
架橋助剤を発泡性組成物に添加することによって、少ない電離性放射線量で発泡性組成物を架橋することが可能になる。そのため、電離性放射線の照射に伴う各樹脂分子の切断、劣化を防止することができる。
発泡性組成物における架橋助剤の含有量は、樹脂100質量部に対し、1質量部よりも多いことが好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、2質量部以上がさらに好ましい。架橋助剤の含有量が上記のように一定以上であると、発泡性組成物を発泡する際、所望する架橋度に調整しやすくなる。また、発泡性組成物における架橋助剤の含有量は、樹脂100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。架橋助剤の含有量が上記上限値以下とすると発泡性組成物に付与する架橋度の制御が容易となる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられるが、これらの中では、フェノール系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤が好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とチオ系酸化防止剤とを組み合わせて使用することがより好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
酸化防止剤を含有する場合は、発泡性組成物におけるヒンダードフェノール系酸化防止剤とチオ系酸化防止剤との合計含有量が、樹脂100質量部に対し、1質量部より多いことが好ましく、1.1質量部以上がより好ましく、1.2質量部以上がさらに好ましい。酸化防止剤の含有量が上記下限値以上であると、発泡性組成物を架橋発泡させる工程において、樹脂の劣化を抑制することができる。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とチオ系酸化防止剤との合計含有量は、樹脂100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることがさらに好ましい。酸化防止剤の含有量が上記上限値以下であると、アゾ化合物(A)及びニトロソ化合物(B)による効果の阻害を回避することができる。
<その他の成分>
発泡体組成物は、必要に応じて、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素、トリアゾール系化合物等の発泡助剤、難燃剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、充填剤、顔料等の上記以外の添加剤を含有してもよい。
[発泡体の製造方法]
発泡体は、ポリオレフィン系樹脂などの樹脂成分、、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を含む発泡性組成物を架橋し、かつ発泡させることにより製造することができる。発泡体組成物の架橋は、電子線照射により行うことが好ましい。
本発明の発泡体は、具体的には、以下の工程(1)~(3)に示す手順により製造することが工業的に有利である。
工程(1):樹脂、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を含有する発泡性組成物の各成分を混練装置に供給して混練した後、発泡性組成物を得る工程
工程(2):工程(1)で得た発泡性組成物に電離性放射線を照射して架橋する工程
工程(3):工程(2)で架橋した発泡性組成物を、発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させ、発泡体を得る工程
<工程(1)>
工程(1)では、発泡性組成物を、バンバリーミキサーや加圧ニーダ等の混練り機を用いて混練した後、押出機、カレンダ、コンベアベルトキャスティング等により連続的に押し出すことにより例えばシート状の発泡性組成物を製造することができる。
<工程(2)>
また、工程(2)において使用される電離性放射線としては、α線、β線、γ線、電子線等を挙げることができるが、電子線が好ましい。電離性放射線の照射量は、所望の架橋度を得ることができればよいが、0.1~10Mradが好ましく、0.2~5Mradがより好ましく、0.5~3Mradが更に好ましい。
<工程(3)>
工程(3)において、発泡性組成物を加熱発泡させる温度は、発泡剤として使用される熱分解型発泡剤の分解温度によるが、通常140~300℃、好ましくは150~260℃である。
また、工程(3)において、発泡体は、発泡後、又は発泡しつつMD又はTDの何れか一方又は双方に延伸してもよい。
なお、本明細書において「MD」は、Machine Directionを意味し、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの押出方向等と一致する方向を意味する。また、「TD」は、Transverse Directionを意味し、MDに直交しかつ発泡シートに平行な方向を意味する。
工程(3)における発泡性組成物の発泡過程では、気泡を均一に成長させることが好ましい。気泡の成長速度が気泡ごとに異なる場合、先に成長した気泡が、ガスが抜けて萎んだり、破泡したりしてしまうことで、発泡体全体の発泡倍率が低下することがあるが、気泡を均一に成長させることで、このような発泡倍率の低下を抑制することができる。また、工程(3)においては、発泡性組成物の発泡時間を短縮することが好ましい。発泡性組成物の発泡時間は、85秒以下であることが好ましく、80秒以下であることがより好ましく、78秒以下であることがさらに好ましい。発泡時間が上記上限値以下であると、加熱発泡による樹脂の劣化を抑制することができる。また、発泡性組成物の発泡時間は、発泡体の発泡倍率を十分高くする観点から、好ましくは40秒以上、より好ましくは45秒以上、さらに好ましくは50秒以上である。
気泡を均一に成長させたり、発泡時間を短くしたりするためには、例えば、発泡性組成物において、発泡剤全量に占めるニトロソ化合物(B)の割合を一定以上とするとよい。
[積層体]
本発明の発泡体は、単体で使用されてもよいが、少なくとも一方の面に例えばシート状素材などが積層され、積層体として使用されてもよい。積層体において、シート状素材は、通常、発泡体に接着される。シート状素材としては、樹脂シート、熱可塑性エラストマーシート、布帛等が挙げられ、積層体が車両用内装材に使用される場合には、ポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化ビニルとABS樹脂との混合樹脂からなる樹脂シート、熱可塑性エラストマーシート、織物、編物、不織布、皮革、人工皮革、合成皮革等の各種の布帛が好ましくは使用される。これらシート状素材は、積層体が成形体に成形された際、成形体において表面に配置されることが好ましい。
また、積層体において上記シート状素材は、発泡体の一方の面のみに設けられてもよいし、両面に設けられてもよい。例えば、積層体が車両用内装材に使用される場合には、発泡体の一方の面に上記樹脂シート、熱可塑性エラストマーシート、布帛が積層されるとともに、他方の面にポリエチレン、ポリプロピレン等からなる樹脂シートが配置されてもよい。
[車両用内装材]
本発明の発泡体は、例えば、車両用内装材に使用されることが好ましい。本発明の車両用内装材は、本発明の発泡体を成形してなるものである。なお、本発明の車両用内装材を得るために、本発明の発泡体をそのまま成形してもよいし、本発明の発泡体を上述の積層体にした後に、成形してもよい。
本発明の発泡体の成形方法としては、スタンピング成形法、真空成形法、圧縮成形法、射出成形法等が挙げられる。
本発明の車両用内装材は、自動車用内装材として使用することがより好ましい。自動車用内装材には、例えば、天井材、ドア、インスツルメントパネル等が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[物性]
各物性の測定方法、及び発泡体の評価方法は以下のとおりである。
<発泡倍率>
発泡性組成物と発泡体の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡体の比容積/発泡性組成物の比容積によって算出した。
<光沢保持率>
ISO6452に準拠して光沢保持率を測定した。具体的には、以下のようにして光沢保持率を測定した。
発泡体から試験片を採取し、試験片をガラス製サンプル瓶(内径83mm、高さ190mm)に入れた。そして、サンプル瓶をガラス板(厚さ3.0mm)で蓋をして100℃で3時間加熱することにより、ガラス板に曇り(フォギング)を発生させた。フォギング試験機は、ウィンドスクリーンフォギングテスターWF-2(スガ試験機株式会社製)を用いた。ガラス製サンプル瓶及びガラス板はスガ試験機株式会社提供のものを使用した。
フォギングを発生させた後のサンプル瓶の口を覆っていたガラス板の光沢保持率を、フォギングテスター(英弘精機(株)製)、精密光沢計(製品名:GM-26PRO、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。
[発泡時間]
発泡温度に温められた空間内に発泡性組成物を入れた時を0秒として、その時点から発泡が終了するまでの時間を測定した。
[使用材料]
実施例、比較例で使用した各成分は以下のとおりである。
<樹脂>
・ポリエチレン系樹脂:直鎖状低密度ポリエチレン(ダウケミカル日本社製、製品名「2047G」)
・ポリプロピレン系樹脂:ランダムPP(日本ポリプロ社製、製品名「EG8」)、ホモPP(プライムポリマー社製、製品名「J105G」)、混合比率(ランダム/ホモ)=80/20
<発泡剤>
・アゾ化合物(A):アゾジカルボンアミド(ADCA)
・ニトロソ化合物(B):N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)
<架橋助剤>
・トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTM)
<酸化防止剤>
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤:2,6-ジ-tert-ブチル-p‐クレゾール
・チオ系酸化防止剤:ジラウリルチオジプロピオネート
[ADCA削減率]
ADCA5.4質量部(樹脂100質量部あたり)を基準とした場合における、ADCA削減率を算出した。なお、ADCA5.4質量部(樹脂100質量部あたり)のとき、ADCA削減率は0%とする。
[実施例1]
表1に示す樹脂成分、発泡剤、架橋助剤、及び酸化防止剤を、表1に示した部数で単軸押出機に投入して、樹脂温度190℃にて溶融混練して押し出し、シート状の発泡性組成物を得た。
得られたシート状の発泡性組成物の両面から加速電圧800kVで電子線を所定の架橋度になるよう、2Mradの照射量で照射することにより発泡性組成物を架橋した。その後、架橋した発泡性組成物を、MD及びTDに延伸しつつ250℃の気相オーブンで発泡させ、発泡体を得た。
なお、実施例1で得られた発泡体の物性は、表1に示す通りである。
[実施例2~9、比較例1~2]
発泡性組成物の配合を表1及び2に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡体を得た。
実施例2~9、比較例1~2で得られた発泡体の物性は、表1及び2にそれぞれ示す通りである。
[実施例10~11、比較例3~4]
発泡性組成物の配合を表3に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡体を得たのち、当該発泡体の光沢保持率を測定した。
実施例10~11、比較例3~4で得られた発泡体の物性は、表3にそれぞれ示す通りである。
[実施例12~14、比較例5~8]
発泡性組成物の配合を表4に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡体を得た。なお、発泡体を得る工程において、発泡性組成物の発泡時間を測定した。
実施例12~14、比較例5~8で得られた発泡体の物性は、表4にそれぞれ示す通りである。
以上の各実施例から明らかなように、本発明の要件を満たす発泡体は、アゾ化合物(A)の配合量を大きく削減しながらも、発泡倍率を高くすることができた。そのため、本発明の発泡体は、実施例10及び11に示すとおり、高い発泡倍率にしながらも、光沢保持率が高くなり、フォギングの発生を抑制することができることが理解できる。
これに対し、比較例で作製した発泡体は、発泡倍率を高くすることができず、又は、光沢保持率が低く、フォギングの発生を抑制することができなかった。

Claims (9)

  1. ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を含有する発泡性組成物を架橋発泡してなるポリオレフィン系架橋発泡体であって、
    x=前記発泡性組成物における前記樹脂100質量部に対するアゾ化合物(A)の含有量、
    b=前記発泡性組成物における前記樹脂100質量部に対するニトロソ化合物(B)の含有量とし、
    以下の数式(1)に示すように、xとbとの合計値に対するbの比率をyとしたとき、x、yが、以下の数式(2)及び(3)に示す関係を満たす、ポリオレフィン系架橋発泡体。
  2. 前記ポリオレフィン系架橋発泡体の発泡倍率が11倍以上である、請求項1に記載のポリオレフィン系架橋発泡体。
  3. 前記アゾ化合物(A)がアゾジカルボンアミドである、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系架橋発泡体。
  4. 前記ニトロソ化合物(B)が、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミンである、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系架橋発泡体。
  5. 前記発泡性組成物が架橋助剤を含有し、
    前記発泡性組成物における前記架橋助剤の含有量が、前記樹脂100質量部に対して1質量部よりも多い、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系架橋発泡体。
  6. 前記発泡性組成物がヒンダードフェノール系酸化防止剤及びチオ系酸化防止剤を含み、
    前記発泡性組成物におけるヒンダードフェノール系酸化防止剤及びチオ系酸化防止剤を合計含有量が、前記樹脂100質量部に対して1質量部よりも多い、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系架橋発泡体。
  7. 請求項1又は2に記載のポリオレフィン系架橋発泡体の製造方法であって、
    ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を含有する発泡性組成物を電子線照射により架橋する工程を含む、ポリオレフィン系架橋発泡体の製造方法。
  8. 請求項1又は2に記載のポリオレフィン系架橋発泡体を成形してなる車両用内装材。
  9. ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂、アゾ化合物(A)、及びニトロソ化合物(B)を含有する発泡性組成物であって、
    x=前記樹脂100質量部に対するアゾ化合物(A)の含有量、
    b=前記樹脂100質量部に対するニトロソ化合物(B)の含有量とし、
    以下の数式(1)に示すように、xとbとの合計値に対するbの比率をyとしたとき、x、yが、以下の数式(2)及び(3)に示す関係を満たす、発泡性組成物。
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