JP2023161210A - ポリプロピレン系無延伸フィルム、包装材及び包装体 - Google Patents

ポリプロピレン系無延伸フィルム、包装材及び包装体 Download PDF

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大輔 ▲濱▼田
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Abstract

【課題】耐熱性及び低温シール性を高いレベルでバランスよく達成することが可能なポリプロピレン系無延伸フィルムを提供すること。また、当該ポリプロピレン系無延伸フィルムを用いて得られる包装材及び包装体を提供すること。【解決手段】本開示の一側面に係るポリプロピレン系無延伸フィルムは、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第一の樹脂組成物から構成される第一の層を備え、第一の樹脂組成物の融解熱量を135℃で分割した際の高温側の融解熱量ΔHhと低温側の融解熱量ΔHlとの比ΔHh/ΔHlが、2.5~5.8である。【選択図】図1

Description

本開示は、ポリプロピレン系無延伸フィルム、包装材及び包装体に関する。
食品包装等の種々の包装用材料では、シーラントフィルムとして、ポリプロピレン系フィルムが使用されることがある。
下記の特許文献1では、特定の結晶性プロピレン重合体と、特定のエチレン・α-オレフィン共重合体と、特定の共重合体とを特定の量で含有するシーラントフィルムが提案されている。
下記の特許文献2では、A層及びB層を備え、場合によってC層を特定の順序で備える耐衝撃性フィルムが提案されている。該耐衝撃性フィルムにおいて、B層はプロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とし、C層は特定のプロピレン系ランダム共重合体を主成分とし、未破袋率は特定の範囲である。
特開2003-119298号公報 特開2017-132186号公報
シーラントフィルム用のポリプロピレン系フィルムとして、無延伸フィルムを用いることが考えられるが、ポリプロピレン系無延伸フィルムには、例えば、ハイレトルト条件である135℃の高温で加圧処理を行って殺菌及び滅菌を行うレトルト処理に耐えられる耐熱性が求められる。
他方、近年、環境問題への意識の高まりから、包装材料にリサイクル適性を持たせるために、同一素材を使用した包装材料、いわゆるモノマテリアル包材への関心が高まっている。ポリプロピレン系フィルムをシーラント層として使用する場合には、ポリプロピレン系フィルムを基材として使用することが求められる。
しかし、例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、基材として従来使用されていた二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)及び二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)等と比較して融点が低い。そのため、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを基材とした包装材は、製袋加工時にヒートシールを高温で行うことができない。しかし、従来のポリプロピレン無延伸フィルムをシーラント層として用いると、低温でのシール性が十分ではないことが本発明者らの検討で明らかとなった。
本開示の一側面は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性及び低温シール性を高いレベルでバランスよく達成することが可能なポリプロピレン系無延伸フィルムを提供する。また、本開示の一側面は、当該ポリプロピレン系無延伸フィルムを用いて得られる包装材及び包装体を提供する。
本開示の一側面に係るポリプロピレン系無延伸フィルムは、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第一の樹脂組成物から構成される第一の層を備え、第一の樹脂組成物の融解熱量を135℃で分割した際の高温側の融解熱量ΔHと低温側の融解熱量ΔHとの比ΔH/ΔHが、2.5~5.8である。上記ポリプロピレン系無延伸フィルムは、ΔH/ΔHが、このような数値範囲にあることで、耐熱性及び低温シール性を高いレベルでバランスよく達成できる。このような効果は、従来のポリプロピレン系フィルム(例えば、上記特許文献1及び2)では得ることができないものである。このような効果は、ポリプロピレンの同一素材で構成するレトルト用の包装材用途において特に好適な効果である。
一態様において、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)のエチレン含有量は、5質量%以下であってよい。一態様において、第一の樹脂組成物は、熱可塑性エラストマー(E)を更に含有してよい。これにより、上記ポリプロピレン系無延伸フィルムは、耐寒衝撃性を得やすい。
一態様において、上記ポリプロピレン系無延伸フィルムは、多層構造を有し、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を含有する第二の樹脂組成物から構成される第二の層を更に備えてもよい。これにより、上記ポリプロピレン系無延伸フィルムは、耐寒衝撃性を得やすい。
一態様において、上記ポリプロピレン系無延伸フィルムは、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第三の樹脂組成物から構成される第三の層を更に備え、第三の層は、第一の層と第二の層との間に設けられていてよい。これにより、上記ポリプロピレン系無延伸フィルムは、歪みや反りを抑制し易い。
本開示の一側面に係る包装材は、上記ポリプロピレン系無延伸フィルムと、金属酸化物の蒸着層を有する樹脂フィルムと、を備える。本開示の他の一側面に係る包装材は、上記ポリプロピレン系無延伸フィルムと、ポリプロピレン系二軸延伸フィルムと、を備える。
本開示の一側面に係る包装体は、上記包装材から製袋される。
本開示の一側面によれば、耐熱性及び低温シール性を高いレベルでバランスよく達成することが可能なポリプロピレン系無延伸フィルムが提供される。また、本開示の一側面によれば、当該ポリプロピレン系無延伸フィルムを用いて得られる包装材及び包装体が提供される。
図1は、本開示の第一実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムの断面図である。 図2は、本開示の第二実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムの断面図である。 図3は、本開示の第三実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムの断面図である。 図4は、本開示の一実施形態に係る包装材の断面図である。 図5は、本開示の他の実施形態に係る包装材の断面図である。 図6は、本開示の更に他の実施形態に係る包装材の断面図である。 図7は、本開示の更に他の実施形態に係る包装材の断面図である。 図8は、本開示の更に他の実施形態に係る包装材の断面図である。 図9は、本開示の更に他の実施形態に係る包装材の断面図である。 図10は、本開示の更に他の実施形態に係る包装材の断面図である。 図11は、本開示の更に他の実施形態に係る包装材の断面図である。 図12は、本開示の更に他の実施形態に係る包装材の断面図である。
以下、図面を参照しながら本開示の複数の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
[ポリプロピレン系無延伸フィルム]
<第一実施形態>
以下、第一実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムについて説明する。図1は、本実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルム10(以下、単に「フィルム10」ともいう。)の断面図である。フィルム10は、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第一の樹脂組成物から構成される第一の層1からなる。第一の樹脂組成物の融解熱量を135℃で分割した際の高温側の融解熱量ΔHと低温側の融解熱量ΔHとの比ΔH/ΔHは、2.5~5.8である。
(プロピレン単独重合体(A))
プロピレン単独重合体(A)は、例えばチーグラー・ナッタ型触媒、メタロセン触媒、又はハーフメタロセン触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法により得ることができる。
プロピレン単独重合体(A)としては、以下の条件で示差走査熱量測定をした際の、融解開始温度が150℃以上、融点が155℃以上であるものを用いることができる。融解開始温度及び融点が共にこの範囲内である場合に、フィルム10は、一層優れた耐熱性を有し、例えば高温でのレトルト処理を行った後に、包装袋の内面で融着が発生し難い傾向にある。
(示差走査熱量測定条件)
JIS K 7121に準拠し、25℃から230℃まで10℃/分で昇温した際の、DSC曲線の低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に接しかつ勾配が最大になるように引いた接線との交点を融解開始温度とし、融解ピークの頂点の温度を融点とする。
プロピレン単独重合体(A)としては、メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が2.0~7.0g/10分の範囲であるものを用いることができる。メルトフローレートが下限値以上であることで、成形加工時の押出機負荷が小さくなり、加工速度が低下し難く優れた生産性を維持し易い。また、メルトフローレートが上限値以下であることで、優れた耐衝撃性を有し易い。
(プロピレン・エチレンランダム共重合体(B))
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)は、例えばチーグラー・ナッタ型触媒、メタロセン触媒、又はハーフメタロセン触媒を用いて、プロピレンからなる主モノマー中にコモノマーとしてエチレンを共重合することにより得ることができる。
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)としては、以下の条件で示差走査熱量測定をした際の、融点が132~150℃の範囲であるものを用いることができる。融点がこの範囲内であるものを用いることで、フィルム10は、耐熱性及び低温シール性を一層高いレベルでバランスよく達成できる傾向がある。
(示差走査熱量測定条件)
JIS K 7121に準拠し、25℃から230℃まで10℃/分で昇温した際の、DSC曲線の融解ピークの頂点の温度を融点とする。
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)のエチレン含有量は、6質量%以下でることが好ましい。エチレン含有量が上限値以下であることで、低温シール性を維持しつつも耐熱性が過度に低下せず、レトルト処理後に包装袋の内面における融着を一層抑制することができる傾向がある。この観点から、当該エチレン含有量は5.5質量%以下であってよく、5質量%以下であってよく、4.5質量%以下であってよい。エチレン含有量の下限は特に限定されないが、低温シール性の観点から、3質量%とすることができる。
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)のエチレン含有量は、社団法人日本分析学会 高分子分析懇談会編集 高分子分析ハンドブック(2013年5月10日,第3刷)の412~413ページに記載の、エチレン含有量の定量方法(IR法)に従い測定することができる。
(熱可塑性エラストマー(E))
第一の樹脂組成物は、フィルム10の耐寒衝撃性が向上し、低温シール性が一層向上する観点から、熱可塑性エラストマー(E)を更に含有することが好ましい。熱可塑性エラストマー(E)としては、例えば、プロピレン-α-オレフィン共重合体エラストマー及びエチレン-α-オレフィン共重合体エラストマーを用いることができる。これらの熱可塑性エラストマー(E)は、例えばチーグラー・ナッタ型触媒、メタロセン触媒、又はハーフメタロセン触媒を用いて、プロピレン又はエチレンと炭素数4~20のα-オレフィンとを共重合することにより得ることができる。
炭素数4~20のα-オレフィン成分としては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、4-メチル-1-ペンテン及び4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられ、1-ブテン及び1-ヘキセンであることが好ましい。熱可塑性エラストマー(E)は、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構造単位を2種以上有していてもよい。
熱可塑性エラストマー(E)としては、密度(JIS K 7112)が860~950kg/mの範囲であるものを用いてよい。密度が下限値以上であることで、フィルム10のタック性を抑制できる傾向にある。また、密度が上限値以下であることで、フィルム10の低温シール性が一層向上する傾向にある。
熱可塑性エラストマー(E)としては、メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度190℃、荷重2.16kg)が、0.5~30g/10分の範囲であるものを用いてよい。メルトフローレートが下限値以上であることで、成形加工時の押出機負荷が小さくなり、加工速度が低下し難く優れた生産性を維持し易い。また、メルトフローレートが上限値以下であることで、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)への相溶性が良好となり、フィルム10の耐熱性が一層優れる傾向にある。
第一の樹脂組成物の融解熱量は、示差走査熱量測定(JIS K 7122)で測定される。第一の樹脂組成物の融解熱量比ΔH/ΔHは、2.5~5.8であることが好ましい。
フィルム10は、フィルム10の全量を基準として、プロピレン単独重合体(A)10~50質量%、及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)50~90質量%を含有することができる。プロピレン単独重合体(A)の含有量が10質量%以上であることで、フィルム10は、一層優れた耐熱性を維持することができる。この観点から、当該含有量は15質量%以上であってよく、20質量%以上であってよい。プロピレン単独重合体(A)の含有量が50質量%以下であることで、すなわち、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の含有量が少なくとも50質量%以上であることで、フィルム10は、一層優れた低温シール性を発現することができる。この観点から、プロピレン単独重合体(A)の含有量は45質量%以下であってよく、40質量%以下であってよい。以上の観点から、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の含有量は、45~85質量%であってよく、40~80質量%であってよい。
フィルム10が熱可塑性エラストマー(E)を含有する場合には、熱可塑性エラストマー(E)の含有量は、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の全量100質量部に対して、5.0~11.5質量部であってよい。熱可塑性エラストマー(E)の含有量が上記範囲内であることで、フィルム10は、耐熱性及び低温シール性を一層高いレベルでバランスよく達成できる傾向がある。
フィルム10の厚さは、例えば包装材用のフィルムとして使用可能な範囲であれば特に制限されることはないが、フィルムが厚すぎる場合にはコストデメリットとなる。このため、フィルム10の厚さは、100μm以下とすることができ、50~70μmであってよい。
<第二実施形態>
以下、第二実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムについて説明する。以下で説明がない点については、不都合が生じない限り、第一実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムと同様である。図2は、本実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルム11(以下、単に「フィルム11」ともいう。)の断面図である。フィルム11は、第一の層1と、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を含有する第二の樹脂組成物から構成される第二の層2と、を備える。フィルム11は、第二の層2を備えることで優れた耐寒衝撃性を得易い。
(プロピレン・エチレンブロック共重合体(C))
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)は、第一工程でプロピレン重合体(C1)を製造し、次いで、第二工程で気相重合によりエチレン-プロピレン共重合体(C2)を製造して得られる共重合体であってよい。プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)は、プロピレン重合体末端とエチレン-プロピレン共重合体末端が結合されたブロック共重合体ではなく、一種のブレンド系の共重合体であってよい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)としては、メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.5~2.5g/10分の範囲であるものを用いてよい。メルトフローレートが下限値以上であることで、成形加工時の押出機負荷が小さくなり、加工速度が低下し難く優れた生産性を維持し易い。メルトフローレートが上限値以下であることで、フィルム11は、優れた耐寒衝撃性を得易い。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)は、上記プロピレン重合体(C1)90~60質量%及びエチレン-プロピレン共重合体(C2)10~40質量%を含有してよい。各成分がこの範囲であることにより、優れた耐寒衝撃性が得易い。この観点から、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)は、プロピレン重合体(C1)87.5~65質量%及びエチレン-プロピレン共重合体(C2)12.5~35質量%を含有してよく、プロピレン重合体(C1)85~70質量%及びエチレン-プロピレン共重合体(C2)15~30質量%を含有してよい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)に含まれている、エチレン-プロピレン共重合体(C2)のエチレン含有量は、特に制限はないが、20~40質量%の範囲とすることができる。エチレン含有量が上限値以下であることで、生成物のタック性を抑制することができ、製造時に生成物のタックによる汚染がし難く優れた生産性を維持し易い。エチレン含有量が下限値以上であることで、フィルム11は、優れた耐寒衝撃性を得易い。
(エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D))
エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)は、例えばヘキサン、ヘプタン、灯油等の不活性炭化水素、又はプロピレン等の液化α-オレフィン溶媒の存在下で行うスラリー重合法、無溶媒下の気相重合法などにより得ることができる。具体的には、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)は、公知の多段重合法を用いて得られる。すなわち、第1段の反応器でプロピレン及び/又はプロピレン-α-オレフィン重合体を重合した後、第2段の反応でプロピレンとα-オレフィンとの共重合により得ることができる、重合型高ゴム含有ポリプロピレン系樹脂である。第二の層2がエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を含有することにより、フィルム11は、優れた耐寒衝撃性を得易い。
エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)としては、メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.5~3.5g/10分の範囲であるものを用いることができる。メルトフローレートが下限値以上であることで、成形加工時の押出機負荷が小さくなり、加工速度が低下し難く優れた生産性を維持し易い。メルトフローレートが上限値以下であることで、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)とエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)との相容性が良好となり、包装材11は、耐衝撃性を得易い。
エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)としては、プロピレン含有量とエチレン含有量の質量比(プロピレン含有量/エチレン含有量)が1.5~4の範囲であるものを用いることができる。上記範囲であることで、包装材11は、優れた耐寒衝撃性が得易い。
第二の層2は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)90~50質量%及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)10~50質量%を含有してよい。プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)の含有量が50質量%以上であることで、包装材11は、一層優れた耐熱性を維持し易い。この観点から、当該含有量は60質量%以上であってよく、70質量%以上であってよい。プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)の含有量が90質量%以下であることで、すなわち、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)の含有量が少なくとも10質量%以上であることで、包装材11は、優れた耐寒衝撃性を発現することができる。この観点から、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)の含有量は87.5質量%以下であってよく、85質量%以下であってよい。以上の観点から、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)の含有量は、12.5~40質量%であってよく、15~30質量%であってよい。
フィルム11の厚さは、フィルム10と同様であってよい。第一の層1の厚さの割合は、フィルム11の厚さを基準として8~30%であってよい。第一の層1の厚さの割合が下限値以上であることで、優れた低温シール性を得易く、また上限値以下であることで、フィルムのヒートシール強度の低下を抑制することができ、実用性が得られ易い。この観点から、第一の層の厚さの割合は、10~25%であってよい。
第二の層2の厚さは20μm以上であってよい。これにより、フィルムの耐寒衝撃性が維持され、低温保管時でも破袋し難い。この観点から、第二の層2の厚さは25μm以上であってよく、30μm以上であってよい。第二の層2の厚さの上限値は特に限定されないが、コストデメリットとなるため、50μmとすることができる。
<第三実施形態>
以下、第三実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムについて説明する。以下で説明がない点については、不都合が生じない限り、第一及び第二実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムと同様である。図3は、本実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルム12(以下、単に「フィルム12」ともいう。)の断面図である。フィルム12は、第一の層1と、第二の層2と、プロピレン単独重合体(A)、及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第三の樹脂組成物から構成される第三の層3と、をこの順に備える。フィルム12は、第三の層3を備えることで、フィルムの歪みやカールが抑制される傾向にある。
第三の層3におけるプロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の比率に特に制限はないが、フィルム成形後のフィルムカール抑制の観点から第一の層1と同様の比率であることが好ましい。
フィルム12の厚さは、フィルム10と同様であってよい。第一の層の厚さは、フィルム12の厚さを基準として8~21%であってよい。第一の層1の厚さの割合が下限値以上であることで、優れた低温シール性を得易く、また上限値以下であることで、フィルムのヒートシール強度の低下を抑制することができ、実用性が得られ易い。この観点から、第一の層1の厚さの割合は10~15%であってよい。
第二の層2の厚さは20μm以上であってよい。これにより、フィルムの耐寒衝撃性が維持され、低温保管時でも破袋し難い。この観点から、第二の層2の厚さは25μm以上であってよく、30μm以上であってよい。第二の層2の厚さの上限値は特に限定されないが、コストデメリットとなるため、50μmとすることができる。
第一の層1と第三の層3の総厚は、フィルム12の厚さを基準として16~42%であってよい。第一の層1の厚さの割合が下限値以上であることで、優れた低温シール性を得易く、また上限値以下であることで、フィルム12のヒートシール強度の低下を抑制することができ、実用性が得られ易い。この観点から、第一の層1と第三の層3の総厚の割合は20~35%であってよい。
以上、第一~第三実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムについて詳細に説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。第一~第三実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムは、耐熱性及び低温シール性を高いレベルでバランスよく達成することが可能であるため、シーラントフィルムとして好適に用いることができる。第一~第三実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムは、沸水処理やレトルト処理等の過酷な処理にも好適に使用でき、また、ポリプロピレン系の同一素材で構成する包装材にも好適に使用できる。
[ポリプロピレン系無延伸フィルムの製造方法]
以下、上記実施形態に係るポリプロピレン系無延伸フィルムの製造方法について説明する。フィルム10~12を製造する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。例えば、熱成形加工の方法としては、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。作業性を考慮した場合、単軸スクリュー押出機又は2軸スクリュー押出機を使用することができる。単軸押出機を用いる場合、スクリューとしては、フルフライトスクリュー、ミキシングエレメントを持つスクリュー、バリアフライトスクリュー及びフルーテッドスクリュー等が挙げられ、これらを特に制限なく使用することができる。2軸混練装置としては、同方向回転2軸スクリュー押出機及び異方向回転2軸スクリュー押出機等を用いることができる。スクリュー形状としては、フルフライトスクリュー及びニーディングディスクタイプ等特に限定なく用いることができる。
上記方法において、フィルム10~12を単軸押出機又は2軸押出機等により溶融したのち、フィードブロック又はマルチマニホールドを介しTダイで製膜する方法を用いることが可能である。
フィルム10~12は、後工程適性を向上する表面改質処理を必要に応じて適宜施されてよい。例えば、単体フィルム使用時の印刷適性向上や、積層使用時のラミネート適性向上のために、印刷面や基材と接触する面に対して表面改質処理を行ってよい。表面改質処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等のフィルム表面を酸化させることにより官能基を生じさせる処理や、コーティングにより易接着層を形成するウェットプロセスによる改質処理が挙げられる。
[包装材]
フィルム10~12は、単体フィルムとして用いてもよく、基材と積層して用いてもよく、その包装材としての使用方法は特に制限されるものではない。
フィルム10~12を基材と積層して用いる場合、包装材は、上記のフィルムと基材とを備えることができる。そのような包装材は、上記のフィルムに、ポリプロピレン系二軸延伸フィルム(OPP)を少なくとも1層を積層し、積層体を形成することができる。基材としてポリプロピレン系二軸延伸フィルムを用いて得られる包装材を、同一素材包装材ということができる。
また、フィルム10~12に、二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、金属酸化物の蒸着層を有する樹脂フィルム(透明蒸着フィルム)、印刷紙及び金属箔(AL箔)等を少なくとも1層を積層し、積層体を形成してもよい。金属酸化物の蒸着層を有する樹脂フィルムは、例えば、ONy又はPETの表面に金属酸化物の蒸着層を設けたものであってよい。
図4~12は、それぞれ、本開示の一実施形態に係る包装材の断面図である。図4に示す包装材100は、フィルム10、接着層23、及び金属酸化物の蒸着層を有する樹脂フィルム(透明蒸着フィルム24)をこの順に備える。図5に示す包装材101は、フィルム11、接着層23、及び透明蒸着フィルム24をこの順に備える。図6に示す包装材102は、フィルム12、接着層23、及び透明蒸着フィルム24をこの順に備える。図7に示す包装材103は、フィルム10、接着層25、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルム26をこの順に備える。図8に示す包装材104は、フィルム11、接着層25、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルム26をこの順に備える。図9に示す包装材105は、フィルム12、接着層25、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルム26をこの順に備える。図10に示す包装材106は、フィルム10、接着層23、透明蒸着フィルム24、接着層25、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルム26をこの順に備える。図11に示す包装材107は、フィルム11、接着層23、透明蒸着フィルム24、接着層25、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルム26をこの順に備える。図12に示す包装材108は、フィルム12、接着層23、透明蒸着フィルム24、接着層25、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルム26をこの順に備える。包装材100~108は、フィルム10~12が内容物側となるように用いられる。
包装材の製造方法は、包装材を構成するフィルムに接着剤を用いて貼合せる通常のドライラミネート法が好適に採用できるが、必要に応じてポリプロピレン系無延伸フィルム10~12を基材上に直接押出ラミネートする方法も採用することができる。
包装材の積層構造は、包装体の要求特性、例えば包装する食品の品質保持期間を満たすバリア性、内容物の重量に対応できるサイズ及び耐衝撃性、内容物の視認性等に応じて適宜調整することができる。
[包装体]
包装体は上記の包装材から製袋されてよく、その製袋様式に関してはとくに制限されない。上記の包装材は、例えば、平袋、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、スタンディングパウチ、スパウト付きパウチ及びビーク付きパウチに用いることが可能である。
以下に、本開示を実施例に基づいて具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
<ポリプロピレン系無延伸フィルムの作製>
(実施例1)
以下に示すプロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)を準備した。
(プロピレン単独重合体(A))
以下の条件で示差走査熱量測定をした際の、融解開始温度が153℃、融解ピーク温度が159℃であり、かつメルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が3.0g/10分であるプロピレン単独重合体。
(示差走査熱量測定条件)
JIS K 7121に準拠し、25℃から230℃まで10℃/分で昇温した際の、DSC曲線の低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に接しかつ勾配が最大になるように引いた接線との交点を融解開始温度とし、融解ピークの頂点の温度を融点とする。
(プロピレン・エチレンランダム共重合体(B1))
以下の条件で示差走査熱量測定をした際の融点が147℃、エチレン含有量が3.4質量%であるプロピレン・エチレンランダム共重合体。
(示差走査熱量測定条件)
JIS K 7121に準拠し、25℃から230℃まで10℃/分で昇温した際の、DSC曲線の融解ピークの頂点の温度を融点とした。
エチレン含有量の測定は、社団法人日本分析学会 高分子分析懇談会編集 高分子分析ハンドブック(2013年5月10日,第3刷)の412~413ページに記載の、エチレン含有量の定量方法(IR法)に従い行った。
ポリプロピレン系無延伸フィルムの形成用に、プロピレン単独重合体(A)10質量部及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)90質量部をペレット状態で混合した樹脂混合体を用いた。それぞれの原料を250℃に温調した押出機に供給し、溶融状態にて混錬した。フィードブロックを持つTダイ押出機で厚さが60μmとなるように混錬した原料を押し出すことでフィルム成形して実施例1のフィルムを作製した。
(実施例2)
プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)の混合割合を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のフィルムを作製した。
(実施例3)
プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)の混合割合を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のフィルムを作製した。
(実施例4)
プロピレン単独重合体(A)47.4質量部及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)52.6質量部をペレット状態で混合したのち、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)の全量100質量部に対して、エラストマー(E1)を5.3質量部混合した樹脂混合体を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4のフィルムを作製した。
(エラストマー(E1))
エチレン-1-ブテン共重合体エラストマーであるタフマーA-1085S(商品名、三井化学(株)製)。
(実施例5)
エラストマー(E1)に代えて、以下のエラストマー(E2)を用いたこと以外は実施例4と同様にして実施例5のフィルムを作製した。
(エラストマー(E2))
プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体であるタフマーPN-3560(商品名、三井化学(株)製)。
(実施例6)
エラストマー(E1)に代えて、以下のエラストマー(E3)を用いたこと以外は実施例4と同様にして実施例6のフィルムを作製した。
(エラストマー(E3))
プロピレン-1-ブテン共重合体エラストマーであるタフマーXM-7090(商品名、(三井化学(株)製)。
(比較例1)
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)に代えて、以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体(B2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のフィルムを作製した。
(プロピレン・エチレンランダム共重合体(B2))
示差走査熱量測定をした際の融点が131℃であるプロピレン・エチレンランダム共重合体。融点は、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)と同様にして測定される値である。
(比較例2)
プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B2)の混合割合を、表1に示すように変更したこと以外は、比較例1と同様にして比較例2のフィルムを作製した。
(比較例3)
プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)とエラストマー(E1)との混合割合を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例4と同様にして比較例3のフィルムを作製した。
(比較例4)
プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)の混合割合を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例4のフィルムを作製した。
(実施例7)
第二の層に使用する材料として以下に示すプロピレン・エチレンブロック共重合体(C)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を準備した。
(プロピレン・エチレンブロック共重合体(C))
メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が1.8g/10分であり、プロピレン重合体81.5質量%及びエチレン-プロピレン共重合体18.5質量%を含有し、エチレン-プロピレン共重合体に含まれるエチレン含有量が36.2重量%であるプロピレン・エチレンブロック共重合体。
(エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D))
メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.6g/10分であり、かつプロピレン含有量/エチレン含有量(質量比)が2.7であるエチレン・プロピレン共重合体エラストマー。
第一の層形成用に、プロピレン単独重合体(A)10質量部及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)90質量部をペレット状態で混合した樹脂混合体を準備した。第二の層形成用に、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)70質量部及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)30質量部をペレット状態で混合した樹脂混合体を準備した。各樹脂混合体を250℃に温調した押出機に供給し、溶融状態にて混錬して、フィードブロックを持つTダイ押出機にて第一の層の厚さが15μm、第二の層の厚さが45μmとなるように積層し、実施例7のフィルムを作製した。
(実施例8)
第一の層の、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)の混合割合を、表2に示すように変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例8のフィルムを作製した。
(実施例9)
第一の層の形成用に、プロピレン単独重合体(A)47.4質量部及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)52.6質量部をペレット状態で混合したのち、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)の全量100質量部に対して、エラストマー(E1)を5.3質量部混合した樹脂混合体を用いたこと以外は、実施例7と同様にして実施例9のフィルムを作製した。
(実施例10)
エラストマー(E1)に代えて、エラストマー(E2)を用いたこと以外は実施例9と同様にして実施例10のフィルムを作製した。
(実施例11)
エラストマー(E1)に代えて、エラストマー(E3)を用いたこと以外は実施例9と同様にして実施例11のフィルムを作製した。
(実施例12)
第一の層及び第三の層形成用に、プロピレン単独重合体(A)50質量部及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)50質量部をペレット状態で混合した樹脂混合体を準備した。第二の層形成用に、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)70質量部及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)30質量部をペレット状態で混合した樹脂混合体を準備した。各樹脂混合体を250℃に温調した押出機に供給し、溶融状態にて混錬して、フィードブロックを持つTダイ押出機にて第一の層と第三の層の厚さがそれぞれ10μm、第二の層の厚さが40μmとなるように積層し、実施例12のフィルムを作製した。
(比較例5)
第一の層の、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)に代えて、以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体(B2)を用いたこと、またプロピレン単独重合体とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B2)の混合割合を、表2に示すように変更したこと以外は、実施例7と同様にして比較例5のフィルムを作製した。
(比較例6)
第一の層の、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B2)の混合割合を、表2に示すように変更したこと以外は、実施例7と同様にして比較例6のフィルムを作製した。
(比較例7)
第一の層の、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)とエラストマー(E1)の混合割合を、表2に示すように変更したこと以外は、実施例9と同様にして比較例7のフィルムを作製した。
(比較例8)
プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(B1)の混合割合を、表2に示すように変更したこと以外は、実施例7と同様にして比較例8のフィルムを作製した。
<各種評価>
各例で得られたフィルムに対し以下の評価を行った。また、低温シール性と耐熱性の評価結果を以下の基準に沿って総合判定した。結果を表1及び表2に示す。
[融解熱量比評価]
融解熱量比評価では、JIS K 7122に準拠して各例で得られたフィルムの融解曲線を測定した。融解曲線は、フィルムを昇温速度10℃/分で230℃まで昇温し、降温速度10℃/分で25℃まで冷却したときのものを測定した。測定には、(株)日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量計(DSC7000X)を用いた。融解曲線の前後でDSC曲線のベースラインから離れる点とベースラインに戻る点とを直線で結んだ線と融解曲線から融解熱量を算出した。算出した融解熱量を135℃で分割し、高温側の融解熱量ΔH、低温側の融解熱量ΔHとして、融解熱量比ΔH/ΔHを算出した。
[低温シール性評価]
低温シール性の評価では、各例で得られたフィルムの第一の層同士をヒートシールして積層体を得た。ヒートシールは、テスター産業(株)製のヒートシーラーを用いて、シール圧0.2MPa、シール時間を1秒、シール幅5mmとし、シール温度を140℃~160℃の間で2℃刻みにヒートシールすることで行った。積層体を15mm幅×80mmに切出した。引張試験機((株)島津製作所製)を用いて切出した積層体のヒートシール強度を測定した。測定は、300mm/分の引張速度で行った。ヒートシール強度が15N/15mm以上に達した温度をヒートシール立ち上がり温度とし、ヒートシール立ち上がり温度が低いほど、低温シール性が良好であると判断した。
[耐熱性の評価]
耐熱性の評価では、各例で得られたフィルムの第一の層同士をヒートシールして積層体を得た。ヒートシールは、テスター産業(株)製のヒートシーラーを用いて、シール圧0.05MPa、シール時間30秒間、シール幅10mm、シール温度135℃の条件で行った。積層体を15mm幅×80mmに切出した。引張試験機((株)島津製作所製)を用いて切出した積層体のヒートシール部分の熱融着強度を測定した。測定は、300mm/分の引張速度でヒートシール部分をT字剥離することで行った。本測定では、熱融着強度が2.0N/15mm以下であれば、耐熱性が良好であると判断した。
[総合判定の基準]
○:ヒートシール立ち上がり温度が156℃以下であり且つ熱融着強度が2.0N/15mm以下である。
×:ヒートシール立ち上がり温度が158℃以上である又は熱融着強度が2.0N/15mm超である。
Figure 2023161210000002
Figure 2023161210000003
本開示の要旨は以下の[1]~[8]に存する。
[1]プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第一の樹脂組成物から構成される第一の層を備え、
第一の樹脂組成物の融解熱量を135℃で分割した際の高温側の融解熱量ΔHと低温側の融解熱量ΔHとの比ΔH/ΔHが、2.5~5.8である、ポリプロピレン系無延伸フィルム。
[2]プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)のエチレン含有量が、5質量%以下である、[1]に記載のポリプロピレン系無延伸フィルム。
[3]第一の樹脂組成物が、熱可塑性エラストマー(E)を更に含有する、[1]又は[2]に記載のポリプロピレン系無延伸フィルム。
[4]多層構造を有し、
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を含有する第二の樹脂組成物から構成される第二の層を更に備える、[1]~[3]のいずれかに記載のポリプロピレン系無延伸フィルム。
[5]プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第三の樹脂組成物から構成される第三の層を更に備え、
第三の層が、第一の層と第二の層との間に設けられている、[4]に記載のポリプロピレン系無延伸フィルム。
[6][1]~[5]のいずれかに記載のポリプロピレン系無延伸フィルムと、
金属酸化物の蒸着層を有する樹脂フィルムと、
を備える包装材。
[7][1]~[5]のいずれかに記載のポリプロピレン系無延伸フィルムと、
ポリプロピレン系二軸延伸フィルムと、
を備える包装材。
[8][6]又は[7]に記載の包装材から製袋された、包装体。
本開示のポリプロピレン系無延伸フィルムは、耐熱性及び低温シール性を高いレベルで両立しており、例えば、レトルト包材用のシーラントフィルムに好適に使用できる。
1…第一の層、2…第二の層、3…第三の層、10~12…ポリプロピレン系無延伸フィルム、24…透明蒸着フィルム、100~108…包装材。

Claims (8)

  1. プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第一の樹脂組成物から構成される第一の層を備え、
    前記第一の樹脂組成物の融解熱量を135℃で分割した際の高温側の融解熱量ΔHと低温側の融解熱量ΔHとの比ΔH/ΔHが、2.5~5.8である、ポリプロピレン系無延伸フィルム。
  2. 前記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)のエチレン含有量が、5質量%以下である、請求項1に記載のポリプロピレン系無延伸フィルム。
  3. 前記第一の樹脂組成物が、熱可塑性エラストマー(E)を更に含有する、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系無延伸フィルム。
  4. 多層構造を有し、
    プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を含有する第二の樹脂組成物から構成される第二の層を更に備える、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系無延伸フィルム。
  5. プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第三の樹脂組成物から構成される第三の層を更に備え、
    前記第三の層が、前記第一の層と前記第二の層との間に設けられている、請求項4に記載のポリプロピレン系無延伸フィルム。
  6. 請求項1に記載のポリプロピレン系無延伸フィルムと、
    金属酸化物の蒸着層を有する樹脂フィルムと、
    を備える包装材。
  7. 請求項1に記載のポリプロピレン系無延伸フィルムと、
    ポリプロピレン系二軸延伸フィルムと、
    を備える包装材。
  8. 請求項6又は7に記載の包装材から製袋された、包装体。
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