JP2022077261A - ポリプロピレン系多層フィルム、これを用いた包装材及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐熱性及び耐寒衝撃性、透明性を両立することが可能なポリプロピレン系の多層フィルムを提供すること。【解決手段】プロピレン単独重合体(A)75~90質量%、及び非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)10~25質量%を含有する第一の外層と、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)からなる内層と、プロピレン単独重合体(A)75~90質量%、及び非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)10~25質量%を含有する第二の外層と、をこの順に備える、多層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルム、包装材及び包装体に関する。詳しくは、本発明は、耐熱性及び透明性、耐寒衝撃性に優れ、包装袋用シーラントフィルムとして、沸水処理やレトルト処理等の過酷な処理にも好適に使用できる、ポリプロピレン系多層フィルム、並びに当該ポリプロピレン系多層フィルムを用いて得られる包装材及び包装体に関する。
ポリプロピレン系フィルムは、剛性及び耐熱性に優れ、かつ安価であることから、食品包装等の種々の包装用材料における、シーラントフィルムとして使用されることがある。
一般的に、レトルト用包装袋に用いられる、プロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレン樹脂の低温時の衝撃耐性を向上するため、エラストマー成分を配合し、分散させているが、エラストマー成分の分散形状によりフィルム表面に凹凸が生じる事で光が乱反射し、外部ヘーズの上昇が発生するため、本質的に不透明なフィルムとなる。
近年では、上述の性能に加え、包装した内容物が見えるように、レトルト用包装袋にも透明性が求められるようになり、例えば下記特許文献には透明性が改良されたフィルムが記載されている。
特許文献1には、3層から構成されるポリプロピレン系複合フィルムであって、中間層がプロピレン・エチレンブロック共重合体からなり、両表面層がプロピレン系ランダム共重合体からなることを特徴とするポリプロピレン系複合フィルムが提案されているが、表層成分のプロピレン系ランダム共重合体では、耐熱性が不十分であり、135℃以上の高温で加圧処理を行うハイレトルト処理では、フィルムの変形や包装袋の内面で融着が発生するという問題点があった。
特許文献2では、プロピレン単独重合体もしくは、プロピレン系ランダム共重合体にエチレン・α-オレフィン共重合体からなる両表面層とプロピレン・エチレンブロック共重合体とエチレン・α-オレフィン共重合体からなる中間層よりなる多層フィルムが提案されているが、両表面層にエチレン・α-オレフィン共重合体を添加していることにより、耐熱性とヒートシール性が不足しているという問題点があった。
特許文献3では、プロピレン単独重合体もしくはプロピレン系ランダム共重合体からなる両表面層とエチレン-プロピレンブロック共重合体と該ブロック共重合体中のゴム成分と良相溶性のポリオレフィン系重合体からなる内層よりなる多層フィルムが提案されているが、表面層にプロピレン単独重合体のみ、またはプロピレン系ランダム共重合体のみを用いることで、耐寒衝撃性が不足し、低温での保管後に袋が破袋してしまうという問題点があった。
レトルト用包装袋に使用されるポリプロピレン系シーラントフィルムの要求性能で、耐寒衝撃性や耐熱性は近年益々高レベルの性能が要求されるようになってきており、さらに包装した内容物が見えるように透明性が求められるようになってきたが、これまでに開示された構成では、耐熱性、耐寒衝撃性、透明性を全て高いレベルで満たすものは見いだせていない。
特開2017-132186号公報 特開2017-105174号公報 特開昭62-3950号公報
ポリプロピレン系多層フィルムには、例えば120~135℃の高温で加圧処理を行って殺菌及び滅菌を行うレトルト処理等に耐えられる耐熱性と、低温保管時に袋を落としても破袋しない優れた耐寒衝撃性と、内容物の視認性を維持できる透明性とが求められるようになってきた。しかしながら、従来のポリプロピレン系フィルムでは、優れた耐熱性と耐寒衝撃性、透明性を全て満たすことは困難であるのが現状である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性及び耐寒衝撃性、透明性を両立することが可能なポリプロピレン系の多層フィルムを提供することを目的とする。本発明はまた、当該多層フィルムを用いて得られる包装材及び包装体を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る多層フィルムは、プロピレン単独重合体(A)75~90質量%、及び非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)10~25質量%を含有する第一の外層と、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)からなる内層と、プロピレン単独重合体(A)75~90質量%、及び非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)10~25質量%を含有する第二の外層と、をこの順に備える。
上記多層フィルムでは、外層がプロピレン単独重合体(A)と、非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)とを特定の量比で含有する。これにより、優れた耐熱性と耐寒衝撃性を維持しつつ、フィルムの透明性を低下させる要因である表面の凹凸を抑制することができる。このような効果は、外層にプロピレン系ランダム共重合体を用いた場合や(例えば、上記特許文献1)、エチレン-α-オレフィン共重合体及びプロピレン系重合体を用いた場合(例えば、上記特許文献2)、また外層プロピレン単独重合体もしくはプロピレン系ランダム共重合体を用いた場合(例えば、上記特許文献3)では得ることができないものであり、特にレトルト処理用途において好適な効果である。
一態様において、内層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)50~90質量%及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)10~50質量%を含有してよい。これにより、フィルムに低温での衝撃性を付与することができ、優れた耐寒衝撃性を有する。
一態様において、第一の外層及び第二の外層の総厚が、多層フィルムの厚さを基準として16~42%であってよい。これにより、透明性及び耐寒衝撃性を両立し易い。
一態様において、内層の厚さは20μm以上であってよい。これにより、フィルムの耐寒衝撃性を維持し易い。
本発明の一側面に係る包装材は、上記の多層フィルムと、基材と、を備える。
本発明の一側面に係る包装体は、上記の包装材から製袋される。
本発明によれば、優れた耐熱性及び耐寒衝撃性、透明性を全て満たすことが可能なポリプロピレン系の多層フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、当該多層フィルムを用いて得られる包装材及び包装体を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層フィルムの断面図である。
<多層フィルム>
図1は、本発明の一実施形態に係る多層フィルムの断面図である。多層フィルム10は、第一の外層1aと、内層2と、第二の外層1bと、をこの順に備える。多層フィルムは、ポリプロピレン系無延伸シーラントフィルムとして用いることができる。
[第一の外層及び第二の外層]
第一の外層1a及び第二の外層1bは、プロピレン単独重合体(A)、及び非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)を含有する。第一の外層1a及び第二の外層1bをまとめて、単に「外層」という場合がある。第一の外層1a及び第二の外層1bは同一の組成を有していてもよく、異なる組成を有していてもよい。
(プロピレン単独重合体(A))
プロピレン単独重合体(A)は、例えばチーグラー・ナッタ型触媒又はメタロセン触媒、ハーフメタロセン触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法により得ることができる。外層がプロピレン単独重合体(A)を含有することにより、外層に優れた耐熱性を付与することができる。
プロピレン単独重合体(A)としては、示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、融解開始温度が150℃以上、融解ピーク温度が155℃以上であるものを用いることができる。融解開始温度及び融解ピーク温度が共にこの範囲内であるものは、優れた耐熱性を有し、例えば高温でのレトルト処理を行った後に、包装袋の内面で融着が発生し難い。
プロピレン単独重合体(A)としては、メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が2.0~7.0g/10分の範囲であるものを用いることができる。メルトフローレートが下限値以上であることで、成形加工時の押出機負荷が小さくなり、加工速度が低下し難く優れた生産性を維持し易い。また、メルトフローレートが上限値以下であることで、外層が優れた耐衝撃性を有し易い。
(非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B))
非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)は、メタロセン触媒を用いて、気相法重合プロセスにより、ハードセグメントである結晶性ポリマーと多量のソフトセグメントであるゴム成分を重合段階で導入することにより得ることができる。外層が非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)を含有することにより、優れた透明性を付与しつつ、優れた耐寒衝撃性を維持することができる。
非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)としては、ハードセグメントである結晶性ポリマーがプロピレンからなり、ソフトセグメントであるゴム成分がエチレンとプロピレンがランダムに重合してなるエチレン・プロピレンランダム共重合体エラストマーであるものを用いることができる。
非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)としては、プロピレン含有量とエチレン含有量の比(プロピレン含有量/エチレン含有量)が2~4の範囲であるものを用いることができる。上記比が下限以上であることで、フィルムの耐衝撃性が維持され、レトルト処理後でも、優れた耐寒衝撃性を得易い。上記比が上限値以下であることで、優れた耐熱性を有し、例えば高温でのレトルト処理を行った後に、包装袋の内面で融着が発生し難い。
非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)としては、ビカット軟化温度(500g荷重)(JIS K 7206)が100℃以上であるものを用いることができる。軟化温度が100℃以上であることで、優れた耐熱性を有し、例えば高温でのレトルト処理を行った後に、包装袋の内面で融着が発生し難い。
外層は、プロピレン単独重合体(A)75~90質量%、及び非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)10~25質量%を含有する。プロピレン単独重合体(A)の含有量が75質量%以上であることで、優れた耐熱性を維持することができる。また、プロピレン単独重合体(A)の含有量が90質量%以下であることで、すなわち、非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量が少なくとも10質量%以上であることで、優れた透明性、耐寒衝撃性を発現することができる。
[内層]
内層2は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を含有する。
(プロピレン・エチレンブロック共重合体(C))
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)は、第一工程でプロピレン重合体(C1)を製造し、次いで、第二工程で気相重合によりエチレン-プロピレン共重合体(C2)を製造することで得ることができる共重合体である。プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)は、プロピレン重合体末端とエチレン-プロピレン共重合体末端が結合されたブロック共重合体ではなく、一種のブレンド系の共重合体である。内層がプロピレン・エチレンブロック共重合体(C)を含有することにより、フィルムの柔軟性が維持され、優れた耐寒衝撃性を得易い。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)としては、メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.5~2.5g/10分の範囲であるものを用いることができる。メルトフローレートが下限値以上であることで、成形加工時の押出機負荷が小さくなり、加工速度が低下し難く優れた生産性を維持し易い。メルトフローレートが上限値以下であることで、内層が優れた耐寒衝撃性を有し易い。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)は、上記プロピレン重合体(C1)60~90質量%及びエチレン-プロピレン共重合体(C2)10~40質量%を含有してよい。各成分がこの範囲であることにより、優れた耐寒衝撃性が得易い。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)に含まれている、エチレン-プロピレン共重合体(C2)のエチレン含有量は、特に制限はないが、20~40質量%の範囲とすることができる。エチレン含有量が上限値以下であることで、生成物のタック性を抑制することができ、製造時に生成物のタックによる汚染がし難く優れた生産性を維持し易い。エチレン含有量が下限値以上であることで、フィルムの柔軟性が維持され、レトルト処理後でも、優れた耐寒衝撃性を得易い。
(エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D))
エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)は、例えばヘキサン、ヘプタン、灯油等の不活性炭化水素、又はプロピレン等の液化α-オレフィン溶媒の存在下で行うスラリー重合法、無溶媒下の気相重合法などにより得ることができる。具体的には、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)は、公知の多段重合法を用いて得られる。すなわち、第1段の反応器でプロピレン及び/又はプロピレン-α-オレフィン重合体を重合した後、第2段の反応でプロピレンとα-オレフィンとの共重合により得ることができる、重合型高ゴム含有ポリプロピレン系樹脂である。内層がエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を含有することにより、フィルムに衝撃性を付与し易く、優れた耐寒衝撃性を得易い。
エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)としては、メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.5~3.5g/10分の範囲であるものを用いることができる。メルトフローレートが下限値以上であることで、成形加工時の押出機負荷が小さくなり、加工速度が低下し難く優れた生産性を維持し易い。メルトフローレートが上限値以下であることで、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)とエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)との相容性が良好となり、透明性が低下し難い。
エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)としては、プロピレン含有量とエチレン含有量の比(プロピレン含有量/エチレン含有量)が1.5~4の範囲であるものを用いることができる。上記比が下限以上であることで、フィルムの衝撃性が維持され、レトルト処理後でも、優れた耐寒衝撃性を得易い。上記比が上限値以下であることで、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)とエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)との相容性が良好となり、透明性が低下し難い。
内層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)50~90質量%及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)10~50質量%を含有してよい。プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)の含有量が50質量%以上であることで、優れた耐寒衝撃性を維持し易い。また、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)の含有量が90質量%以下であることで、すなわち、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)の含有量が少なくとも10質量%以上であることで、さらに優れた耐寒衝撃性を発現することができる。
多層フィルムの厚さは、例えば包装材料用のフィルムとして使用可能な範囲であれば特に制限されることはないが、フィルムが厚すぎる場合にはコストデメリットとなる。このため、多層フィルムの厚さは100μm以下とすることができ、50~70μmであってよい。
外層の厚さ(すなわち第一の外層及び第二の外層の総厚)は、多層フィルムの厚さを基準として16~42%であってよい。外層の厚さの割合が下限値以上であることで、優れた透明性を得易く、また上限値以下であることで、優れた耐寒衝撃性が得られ易い。
内層の厚さは20μm以上であってよい。これにより、フィルムの柔軟性が維持され、レトルト処理後でも耐寒衝撃性が得易い。この観点から、内層の厚さは25μm以上であってよく、30μm以上であってよい。内層の厚さの上限値は特に限定されないが、コストデメリットとなるため、50μmとすることができる。
<多層フィルムの製造方法>
多層フィルムを製造する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。例えば、熱成形加工の方法としては、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。作業性を考慮した場合、単軸スクリュー押出機又は2軸スクリュー押出機を使用することができる。単軸押出機を用いる場合、スクリューとしては、フルフライトスクリュー、ミキシングエレメントを持つスクリュー、バリアフライトスクリュー、フルーテッドスクリュー等が挙げられ、これらを特に制限なく使用することができる。2軸混練装置としては、同方向回転2軸スクリュー押出機、異方向回転2軸スクリュー押出機等を用いることができ、またスクリュー形状としてはフルフライトスクリュー、ニーディングディスクタイプ等特に限定なく用いることができる。
上記方法において、多層フィルムを単軸押出機又は2軸押出機等により溶融したのち、フィードブロック又はマルチマニホールドを介しTダイで製膜する方法を用いることが可能である。
得られた多層フィルムは、必要に応じて適宜後工程適性を向上する表面改質処理を施されてよい。例えば、単体フィルム使用時の印刷適性向上や、積層使用時のラミネート適性向上のために、印刷面や基材と接触する面に対して表面改質処理を行ってよい。表面改質処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等のフィルム表面を酸化させることにより官能基を生じさせる処理や、コーティングにより易接着層を形成するウェットプロセスによる改質処理が挙げられる。
<包装材>
多層フィルムは、単体フィルムとして用いてもよく、基材と積層して用いてもよく、その包装材としての使用方法は特に制限されるものではない。
多層フィルムを基材と積層して用いる場合、包装材は、上記の多層フィルムと基材とを備えることができる。そのような包装材は、具体的には上記の多層フィルムに、二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、印刷紙、金属箔(AL箔)、透明蒸着フィルム等の基材を少なくとも1層積層し、積層体を形成することで得ることができる。積層体の製造方法は、積層体を構成するフィルムに接着剤を用いて貼合せる通常のドライラミネート法が好適に採用できるが、必要に応じて多層フィルムを基材上に直接押出ラミネートする方法も採用することができる。
積層体の積層構造は、包装体の要求特性、例えば包装する食品の品質保持期間を満たすバリア性、内容物の重量に対応できるサイズ・耐衝撃性、内容物の視認性等に応じて適宜調整することができる。
<包装体>
包装体は上記の包装材から製袋されてよく、その製袋様式に関してはとくに制限されない。例えば上記の包装材(積層体)は、多層フィルムをシール材とする、平袋、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、スタンディングパウチ、スパウト付きパウチ、ビーク付きパウチ等に用いることが可能である。
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
<積層フィルムの作製>
(実施例1)
以下に示すプロピレン単独重合体(A)、非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を準備した。
(プロピレン単独重合体(A))
示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、融解開始温度が153℃、融解ピーク温度が159℃であり、かつメルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が3.0g/10分であるプロピレン単独重合体。
(非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B))
メタロセン触媒を用いて、気相法重合プロセスにより製造された日本ポリプロ株式会社製WELNEXTM RFX4V(MFR:ISO 1133(温度230℃、荷重2.16kg)6.0g/10分)。
(プロピレン・エチレンブロック共重合体(C))
メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が2.0g/10分であり、かつプロピレン重合体77.1質量%、エチレン-プロピレン共重合体22.9質量%、前記エチレン-プロピレン共重合体に含まれるエチレン含有量が28.7重量%であるプロピレン・エチレンブロック共重合体。
(エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D))
メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.6g/10分であり、かつプロピレン含有量/エチレン含有量が2.7であるエチレン・プロピレン共重合体エラストマー。
外層形成用に、プロピレン単独重合体(A)90質量%及び非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)10質量%をペレット状態で混合した樹脂混合体を用い、内層形成用に、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)83質量%及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)17質量%をペレット状態で混合した樹脂混合体を用いた。それぞれの原料を250℃に温調した押出機に供給し、溶融状態にて混錬して、フィードブロックを持つTダイ押出機にて第一の外層及び第二の外層の厚さがそれぞれ10μm、内層の厚さが40μmとなるように積層し、実施例1のフィルムを作製した。
(実施例2)
プロピレン単独重合体(A)と非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の混合割合を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のフィルムを作製した。
(実施例3)
プロピレン単独重合体(A)と非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の混合割合を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のフィルムを作製した。
(比較例1)
プロピレン単独重合体(A)と非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の混合割合を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のフィルムを作製した。
(比較例2)
プロピレン単独重合体(A)のみを用いて外層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のフィルムを作製した。
(比較例3)
以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体(E)のみを用いて外層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のフィルムを作製した。
(プロピレン・エチレンランダム共重合体(E))
示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、融解開始温度が142℃、融解ピーク温度が147℃であり、かつエチレン含有量が3.4質量%であるプロピレン・エチレンランダム共重合体。
(比較例4)
プロピレン単独重合体(A)70質量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体(E)30質量%をペレット状態で混合した樹脂混合体を用いて外層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例4のフィルムを作製した。
(比較例5)
プロピレン単独重合体(A)50質量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体(E)50質量%をペレット状態で混合した樹脂混合体を用いて外層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例5のフィルムを作製した。
(比較例6)
プロピレン単独重合体(A)85質量%と以下のエラストマー樹脂15質量%をペレット状態で混合した樹脂混合体を用いて外層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例6のフィルムを形成した。
(エラストマー樹脂)
メタロセン触媒を用いて、エチレンを主モノマーとしてコモノマーにブテン-1を用いたオレフィン系エラストマーであり、かつメルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度190℃、荷重2.16kg)が3.6g/10分であるエラストマー樹脂。
(比較例7)
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)83質量%及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)17質量%をペレット状態で混合した樹脂混合体を用いて、厚さ60μmの比較例7のフィルムを作製した。
<各種評価>
各例で得られたフィルムに対し以下の評価を行った。結果を表1に示す。
[レトルト後ヘーズ測定]
JISK7136に記載されているヘーズの測定方法に則り、村上色彩技術研究所製のヘーズメーター(型番HM-150)を用いて評価を実施した。レトルト後ヘーズについては、10%以下を良好と判定した。
[耐寒衝撃性評価]
テスター産業株式会社製のヒートシーラーを用いて、シール圧0.2MPa、シール時間1秒間、シール幅5mm、シール温度200℃の条件で、各例で得られたフィルム同士をヒートシールし、製袋サイズ(内寸)90mm×160mmとなるように3方袋を作成した。この袋に濃度0.1%の食塩水100mlを充填した後、135℃で40分レトルト処理する。レトルト処理後の袋を0℃の冷蔵庫で3日間保存し、0℃から常温中にサンプルを取り出し、直ぐに0.7mの高さから垂直落下させた。サンプル数はn=10とし、それぞれ10回袋を落下させた際に破袋しなかった袋の割合(残存率)で評価した。耐寒衝撃性については、残存率が30%以上を良好と判定した。
[耐熱性評価]
テスター産業株式会社製のヒートシーラーを用いて、シール圧0.03MPa、シール時間30秒間、シール幅10mm、シール温度135℃の条件で、各例で得られたフィルム同士をヒートシールした。その後、ヒートシールされたフィルムを15mm幅×80mmに切出し、株式会社島津製作所製の引張試験機を用いて、300mm/minの引張速度でT字剥離を行い、ヒートシール部分の融着強度を測定した。耐熱性評価については、融着強度が2N/15mm以下を良好と判定した。
Figure 2022077261000002
実施例1~3に係るフィルムは、プロピレン単独重合体(A)75~90質量%、非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)10~25質量%を含有することにより、透明性、耐寒衝撃性及び耐熱性の全てに優れていた。これに対して、プロピレン単独重合体(A)及び非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の配合割合が本願発明の範囲外である比較例1に係るフィルムと、非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)を含まない比較例2に係るフィルムは、各実施例と比べて、少なくとも耐寒衝撃性が劣っていた。また、比較例7に係るフィルムは、外層が設けられないことにより、フィルムの表面凹凸を抑制できず、透明性が低かった。
本発明のポリプロピレン系の多層フィルムは、耐熱性及び耐寒衝撃性、透明性を高いレベルで両立しており、レトルト包装用のシーラントフィルムに好適に使用できる。
10…ポリプロピレン系多層フィルム、1a…第一の外層、1b…第二の外層、2…内層

Claims (6)

  1. プロピレン単独重合体(A)75~90質量%、及び非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)10~25質量%を含有する第一の外層と、
    プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)を含む材料からなる内層と、
    プロピレン単独重合体(A)75~90質量%、及び非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)10~25質量%を含有する第二の外層と、をこの順に備える、多層フィルム。
  2. 前記内層が、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)50~90質量%及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)10~50質量%を含有する、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記第一の外層及び前記第二の外層の総厚が、前記多層フィルムの厚さを基準として16~42%である、請求項1または2に記載の多層フィルム。
  4. 前記内層の厚さが20μm以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の多層フィルムと、基材と、を備える包装材。
  6. 請求項5に記載の包装材から製袋された包装体。
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