JP2023160239A - 樹脂組成物およびフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性が高く、かつ十分な機械強度を有する透明フィルム、およびその作製に用いられる樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリイミド樹脂、ポリカーボネートおよびポリアリレートを含み、前記ポリイミド樹脂が、特定のテトラカルボン酸二無水物と特定のジアミンとの反応により得られうるポリイミドであり、前記ポリイミドの酸二無水物成分全量に対する特定のテトラカルボン酸二無水物の量が、30モル%以上であり、溶解性パラメーターが、8.00~9.10(cal/cm3)1/2である、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物およびフィルムに関する。
液晶、有機EL、電子ペーパー等の表示装置や、太陽電池、タッチパネル等のエレクトロニクスデバイスにおいて、薄型化や軽量化、さらにはフレキシブル化が要求されている。これらのデバイスに使用されるガラス材料をフィルム材料に代えることにより、フレキシブル化、薄型化、軽量化が図られる。ガラス代替材料として、透明ポリイミドフィルムが開発され、ディスプレイ用基板やカバーフィルム等に用いられている。
通常のポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸溶液を支持体上に膜状に塗布し、高温処理することにより、溶媒除去と同時に熱イミド化を行うことにより得られる。しかしながら、熱イミド化のための加熱温度は高く(例えば300℃以上)、加熱による着色(黄色度の上昇)が生じやすく、ディスプレイ用カバーフィルム等の高い透明性が要求される用途への適用が困難である。特許文献1~3では、有機溶媒に可溶であり、フィルム化後の高温でのイミド化を必要としないポリイミド樹脂が報告されている。特許文献1~3等に記載の可溶性ポリイミドを有機溶媒に溶解させ、支持体上に塗布し、有機溶媒を除去することにより、ポリイミドフィルムが得られる。
特開2012-144603号公報 特開2016-132686号公報 WO2017/175869号国際公開パンフレット
ポリイミドは、剛直な構造を導入すると、機械強度が向上するものの、有機溶媒への溶解性や透明性、耐光性が悪化する傾向にある。かかる課題に鑑み、本発明は、透明性と耐光性に優れ、かつ十分な機械強度を有する透明フィルム、およびその作製に用いられる樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、特定の化学構造を有するポリイミド、ポリカーボネートおよびポリアリレートが相溶性を示し、これらを混合した樹脂組成物により透明性の高いフィルムを作製可能であることを見出し、上記課題を解決するに至った。
1)ポリイミド樹脂、ポリカーボネートおよびポリアリレートを含み、
前記ポリイミド樹脂が、一般式(3)で表される酸二無水物と一般式(4)で表されるジアミンとの反応により得られうる一般式(1)で表される構造単位を含むポリイミドであり、
前記ポリイミドの酸二無水物成分全量に対する一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の量が、30モル%以上であり、
前記ポリイミドの溶解性パラメーターが、8.00~9.10(cal/cm1/2である、樹脂組成物。
(ただし、一般式(1)および一般式(3)において、Xは、群(I)で表される2価の有機基であり、RおよびRは、それぞれ、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、または炭素原子数1~20のフルオロアルキル基であり、mは1~4の整数であり、nは0~4の整数であり、一般式(1)および一般式(4)において、Yは、フッ素基、トリフルオロメチル基、スルホン基、フルオレン構造および脂環構造からなる群から選択される1以上を含む2価の基である。)
2)前記ポリイミドが、酸二無水物成分全量に対して、式(6)で表される酸二無水物を30モル%以上含む、1)に記載の樹脂組成物。
3)前記ポリイミド樹脂が塩化メチレンに可溶である、1)または2)に記載の樹脂組成物。
4)前記ポリカーボネートが、式(8)の繰り返し単位を含む、1)~3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
5)前記ポリアリレートが式(10)の繰り返し単位を含む、1)~4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
6)前記ポリイミド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレートを、98:2~2:98の範囲の重量比で含む、1)~5)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
7)1)~6)のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含むフィルム。
8)厚みが5μm以上300μm以下であり、厚みが50μmの時のヘイズが5%以下、YIが5.0以下、引張弾性率が3.0GPa以上、光照射時の黄変度合い(ΔYI)が20以下、屈曲半径1.5mm以下、かつ1回/秒の速度で繰り返し曲げ試験した際に破断するまでの回数が10万回以上、鉛筆硬度がH以上である、7)に記載のフィルム。
樹脂組成物に含まれるポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂が相溶性を示すため、ヘイズが小さい透明フィルムが得られる。また、ポリイミドの優れた機械強度を大幅に低下されることなく、紫外線等に暴露時の黄変を抑制でき、複屈折を低減可能であるため、ディスプレイのカバーフィルム等に適した透明フィルムを作製できる。
[樹脂組成物]
本発明の一実施形態は、ポリイミド樹脂と、ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂からなるエステル系樹脂を含む相溶系の樹脂組成物である。
(エステル系樹脂)
本発明において、エステル系樹脂とはエステル構造を含む構造を含有する樹脂を意味する。樹脂がエステル基を含む構造を有することで、ポリイミドとの相溶性が向上する傾向がある。エステル基を含む構造の例として、エステル基、カーボネート基などが挙げられる。エステル基を含む構造を有する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の(メタ)アクリル樹脂、などが挙げられる。単にエステル系樹脂と表現した場合、ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂のことを意味する。本件発明の樹脂組成物には、ポリエステル系樹脂のほかに、PET、TAC、PMMA等のエステル基を有する樹脂を、一部混合することができる。
ポリイミドは、下記の一般式(1)で表される構造単位を含み、ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂は、一般式(2)で表される構造単位を含む。
一般式(1)において、Yは、フッ素基、トリフルオロメチル基、スルホン基、フルオレン構造、および脂環構造からなる群から選択される1以上を有するジアミン残基である。Xは下記の群(I)から選択される2価の有機基である。
群(I)のRおよびRは、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、または炭素原子数1~20のフルオロアルキル基であり、mは1~4の整数であり、nは0~4の整数である。
一般式(2)において、Zは任意の2価の有機基であり、Rは、ハロゲン、炭素原子数1~20のアルキル基、または炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基であり、jは0~4の整数である。Qは、直結、または下記の群(II)から選択される2価の有機基である。
ポリカーボネートは、一般式(2)の繰り返し単位を有するポリマーのうちQが直結であるものである。ポリアリレートは、一般式(2)の繰り返し単位を有するポリマーのうちQが群(II)から選択される2価の有機基であるものである。
<ポリイミド樹脂>
本実施形態におけるポリイミドは、上記の一般式(1)で表される構造単位を含む。ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物(以下、「酸二無水物」と記載する場合がある)とジアミンとの縮合により得られるポリアミド酸を脱水環化することにより得られる。すなわち、ポリイミドは、酸二無水物由来構造(酸二無水物成分)とジアミン由来構造(ジアミン成分)とを有する。
(酸二無水物)
本実施形態におけるポリイミドは、酸二無水物成分として、下記の一般式(3)で表されるビス(無水トリメリット酸)エステルを含む。
一般式(3)におけるXは、一般式(1)におけるXと同一である。すなわち、Xは、下記の(IA)、(IB)、(IC)、(ID)のいずれかである。
式(IA)におけるRは、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、または炭素原子数1~20のフルオロアルキル基であり、mは1~4の整数である。式(1A)で表される基は、ベンゼン環上に置換基を有するヒドロキノン誘導体から2つの水酸基を除いた基である。ベンゼン環上に置換基を有するヒドロキノンとしては、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン等が挙げられる。
式(IB)におけるRは、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、または炭素原子数1~20のフルオロアルキル基であり、nは0~4の整数である。式(IB)で表される基は、ベンゼン環上に置換基を有していてもよいビフェノールから2つの水酸基を除いた基である。ベンゼン環上に置換基を有するビフェノール誘導体としては、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジオール、3,3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジオール、3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル-4,4’-ジオール、2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチルビフェニル-4,4’-ジオール等が挙げられる。
式(IC)で表される基は、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)から2つの水酸基を除いた基である。式(1D)で表される基は、レゾルシノールから2つの水酸基を除いた基である。
上記の中でも、エステル系樹脂との相溶性の観点から、Xは、(IB)、(IC)または(ID)が好ましく、中でも式(IB)が好ましく、特に、n=3であり、ビフェニルの2,2’3,3’,5,5’位に置換基を有するものが好ましい。これらの位置に置換基を有すると、置換基の立体障害等に起因して、ビフェニル骨格のベンゼン環同士の結合にねじれが生じ、ポリイミドの有機溶媒への溶解性が向上するとともに、エステル系樹脂との相溶性が高められる傾向がある。
式(IB)で表され、ビフェニルの2,2’3,3’,5,5’位に置換基を有する2価値の有機基の具体例として、下記の式(5)で表される2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチルビフェニル-4,4’-ジイルが挙げられる。式(3)のXが2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチルビフェニル-4,4’-ジイルである酸二無水物は、式(6)で表される。
すなわち、一実施形態において、ポリイミドは、酸二無水物として、式(6)で表される化合物:ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボン酸)-2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチルビフェニル-4,4’ジイル(略称:TAHMBP)を含む。
ポリイミドを構成する酸二無水物成分の全量100モル%に対する一般式(3)の酸二無水物の量は、30モル%以上が好ましい。一般式(3)の酸二無水物の比率が高いほど、ポリイミドとエステル系ポリマーとの相溶性が向上し、フィルムのヘイズが低減し透明性向上する傾向がある。酸二無水物成分の全量100モル%に対する一般式(3)の酸二無水物の量は、40モル%以上が好ましく、45モル%以上がより好ましく、50モル%以上がより好ましく、55モル%以上、60モル%以上、65モル%以上または70モル%以上であってもよい。
エステル系樹脂との相溶性向上の観点から、ポリイミドを構成する酸二無水物成分の全量100モル%に対する式(6)の酸二無水物の量が30モル%以上であることが好ましい。酸二無水物成分の全量100モル%に対する式(6)の酸二無水物の量は、40モル%以上が好ましく、45モル%以上がより好ましく、50モル%以上がより好ましく、55モル%以上、60モル%以上、65モル%以上または70モル%以上であってもよい。ポリイミドは、酸二無水成分として、TAHMBPに加えて、TAHMBP以外の一般式(3)で表される酸二無水物を含んでいてもよい。
一般式(3)の酸二無水物の比率が過度に大きいと、フィルムの複屈折が大きくなる場合がある。酸二無水物成分の全量100モル%に対する一般式(3)の酸二無水物の量は、90モル%以下が好ましく、85モル%以下、80モル%以下、または75モル%以下であってもよい。
上記の通り、ポリイミドの酸二無水物成分のうち、一般式(3)の酸二無水物の量は90モル%以下が好ましく、酸二無水物成分の10モル%以上は、一般式(3)以外の酸二無水物であることが好ましい。
一般式(3)以外の酸二無水物の例としては、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,1’-ビシクロヘキサン53,3’,4,4’テトラカルボン酸‐3,4,3’,4’-二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3-ビス[(3,4-ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[(3,4-ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、2,2-ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、2,2-ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、4,4’-ビス[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、4,4’-ビス[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、2,2-ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルプロパン二無水物、2,2-ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}-1,1,1,3,3,3-プロパン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸)-1,4-フェニレンエステルが挙げられる。
上記の中でも、ポリイミドの透明性および有機溶媒への溶解性向上、ならびに低複屈折化の観点から、下記のX-1、X-2、X-3で表される酸二無水物、または脂環式構造を有する酸二無水物を含むことが好ましい。X-3におけるMは、O、SまたはSOである。
脂環式の酸二無水物の具体例としては、下記の群(III)の酸二無水物が挙げられる。
ポリイミドは、酸二無水物成分として、上記のX-1,X-2,X-3および群(III)の酸二無水物を、合計10モル%以上含むことが好ましく、合計15モル%以上、20モル%以上、または25モル%以上含んでいてもよい。
(ジアミン)
本実施形態におけるポリイミドは、ジアミン成分として、下記の一般式(4)で表されるジアミンを含む。
一般式(4)におけるYは、一般式(1)におけるYと同一である。すなわち、Yは、フッ素基、トリフルオロメチル基、スルホン基、フルオレン構造、および脂環構造からなる群から選択される1以上を有するジアミン残基である。これらの官能基を有するジアミン成分を含むことにより、ポリイミドは透明性を示すとともに、有機溶媒に対する優れた溶解性を示す。
一般式(4)で表されるジアミン、すなわち、フッ素基、トリフルオロメチル基、スルホン基、フルオレン構造、および脂環構造からなる群から選択される1以上を有するジアミンの例としては、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン1,4-ジアミノ-2-フルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,6-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5-トリフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2-(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5,6-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2-フルオロベンジジン、3-フルオロベンジジン、2,3-ジフルオロベンジジン、2,5-ジフルオロベンジジン、2,6-ジフルオロベンジジン、2,3,5-トリフルオロベンジジン、2,3,6-トリフルオロベンジジン、2,3,5,6-テトラフルオロベンジジン、2,2’-ジフルオロベンジジン、3,3’-ジフルオロベンジジン、2,3’-ジフルオロベンジジン、2,2’,3-トリフルオロベンジジン、2,3,3’-トリフルオロベンジジン、2,2’,5-トリフルオロベンジジン、2,2’,6-トリフルオロベンジジン、2,3’,5-トリフルオロベンジジン、2,3’,6,-トリフルオロベンジジン、2,2’,3,3’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,5,5’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,6,6’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,6,6’-ヘキサフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’、6,6’-オクタフルオロベンジジン、2-(トリフルオロメチル)ベンジジン、3-(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,6-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5,6-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,3’-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,6,-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3,3’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5,5’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6,6’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン2,2-ジ(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、1,3-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、1,4-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロへキシル)メタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、9,9’-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(FDA)、9,9’-ビス(4-アミノ-3-フルオロフェニル)フルオレン(FFDA)が挙げられる。
上記の中でも、ポリイミドの低複屈折化の観点から、Y-1~Y-5で表されるジアミンが好ましく、透明性の観点からはY-6で表されるジアミンが好ましい。Y-5のRは、メチル基または水素である。ポリイミドは、ジアミン成分として、Y-1~Y-5から選択される1以上と、Y-6の両方を含んでいてもよい。
ジアミン成分の全量100モル%に対する上記のジアミンの量は、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましく、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または100%であってもよい。Y-1~Y-6の合計がこの範囲であってもよい。
ポリイミドの透明性および溶解性の観点から、ジアミン成分全量に対する2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(上記のY-6)の量は、5モル%以上が好ましく、10~99モル%、20~98モル%、30~97モル%、35~96モル%または40~95モル%であってもよい。
ポリイミドの透明性および有機溶媒への溶解性を過度に低下させない範囲で、フッ素基、トリフルオロメチル基、スルホン基、フルオレン構造、および脂環構造のいずれも含まないジアミンを用いてもよい。その具体例としては、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ジ(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン、1,1-ジ(3-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ジ(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1-(3-アミノフェニル)-1-(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ビス(4-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、ビス(2-アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(2-アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(3-アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2-ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、1,2-ビス[2-(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2-ビス[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、等を例示できる。
(ポリイミドの組成)
上記の様に、ポリイミドの組成、すなわち酸二無水物およびジアミンの種類および比率を調整することにより、ポリイミドは、透明性および有機溶媒への溶解性を有するとともに、エステル系ポリマーとの相溶性を示す。ポリイミドの有機溶媒への溶解性および他の樹脂との相溶性を表す指標の1つとして、溶解性パラメーター(SP値)を利用できる。
ポリイミドのSP値は、各モノマー(酸二無水物およびジアミン)の単体のSP値と組成比(酸二無水物とジアミンの合計を1としたモル比)との積を合計した値である。ポリイミドと、溶媒および他の樹脂とのSP値の差が小さいほど、溶解性・相溶性が高くなる傾向がある。エステル系樹脂との相溶性の観点から、ポリイミドのSP値は、8.00~9.10(cal/cm1/2が好ましく、8.05~9.00(cal/cm1/2であってもよい。
ポリイミドは、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、N-メチル-2-ピロリドン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラヒドロフランおよび1,4-ジオキサンから選択される1以上の溶媒に対する溶解性を示すことが好ましい。ポリイミドが溶媒に溶解性を示すとは、5重量%以上の濃度で溶解することを意味する。上記の溶媒の中でも、塩化メチレンは、低沸点でありフィルム作製時の残存溶媒の除去が容易であることから、ポリイミドは、塩化メチレンに可溶であることが好ましい。
(ポリイミド樹脂の調製)
酸二無水物とジアミンとの反応によりポリイミド前駆体としてのポリアミド酸が得られ、ポリアミド酸の脱水環化(イミド化)によりポリイミドが得られる。
ポリアミド酸の調製方法は特に限定されず、公知のあらゆる方法を適用できる。例えば、酸二無水物とジアミンとを、略等モル量(95:100~105:100のモル比)で有機溶媒中に溶解させ、攪拌することにより、ポリアミド酸溶液が得られる。ポリアミド酸溶液の濃度は、通常5~35重量%であり、好ましくは10~30重量%である。この範囲の濃度である場合に、重合により得られるポリアミド酸が適切な分子量を有するとともに、ポリアミド酸溶液が適切な粘度を有する。
ポリアミド酸の重合に際しては、酸二無水物の開環を抑制するため、ジアミンに酸二無水物を加える方法が好ましい。複数種のジアミンや複数種の酸二無水物を添加する場合は、一度に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。モノマーの添加順序を調整することにより、ポリイミドの諸物性を制御することもできる。
ポリアミド酸の重合に使用する有機溶媒は、ジアミンおよび酸二無水物と反応せず、ポリアミド酸を溶解させ得る溶媒であれば、特に限定されない。有機溶媒としては、メチル尿素、N,N-ジメチルエチルウレア等のウレア系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォン等のスルホキシドあるいはスルホン系溶媒、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化アルキル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p-クレゾールメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。通常これらの溶媒を単独でまたは必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて用いる。ポリアミド酸の溶解性および重合反応性の観点から、DMAc、DMF、NMP等が好ましく用いられる。
ポリアミド酸の脱水環化によりポリイミドが得られる。ポリアミド酸溶液からポリイミドを調製する方法として、ポリアミド酸溶液に脱水剤、イミド化触媒等を添加し、溶液中でイミド化を進行させる方法が挙げられる。イミド化の進行を促進するため、ポリアミド酸溶液を加熱してもよい。ポリアミド酸のイミド化により生成したポリイミドが含まれる溶液と貧溶媒とを混合することにより、ポリイミド樹脂が固形物として析出する。ポリイミド樹脂を固形物として単離することにより、ポリアミド酸の合成時に発生した不純物や、残存脱水剤およびイミド化触媒等を、貧溶媒により洗浄・除去可能であり、ポリイミドの着色や黄色度の上昇等を防止できる。また、ポリイミド樹脂を固形物として単離することにより、フィルムを作製するための溶液を調製する際に、低沸点溶媒等のフィルム化に適した溶媒を適用できる。
ポリイミドの分子量(ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリエチレンオキシド換算の重量平均分子量)は、10,000~200,000が好ましく、20,000~180,000がより好ましく、40,000~180,000がさらに好ましい。分子量が過度に小さい場合、フィルムの強度が不足する場合がある。分子量が過度に大きい場合、エステル系樹脂との相溶性に劣る場合がある。
<ポリカーボネート>
ポリカーボネートは、ビスフェノールの炭酸エステルであり、一般式(7)で表される繰り返し単位を有する。
一般式(7)におけるZ,Rおよびjは、一般式(2)におけるZ,Rおよびjと同一である。
有機溶媒への溶解性および上記のポリイミドとの相溶性の観点から、ポリカーボネートとしては、2価の有機基Zがイソプロピリデン基であり、j=0であるもの、すなわち、式(8)の繰り返し単位を有するビスフェノールAの炭酸エステルが好ましい。
式(8)の繰り返し単位を含むポリカーボネートの市販品としては、帝人製のパンライトAD-5503、K-1300Y、L-1225L、L-1225LM、L-1225Y、L-1225Z100、L-1225Z100M、L-1225ZL100、L-1250Y、L-1250Z100、LD-1000RM、LN-1010RM、LN-2250Y、LN-2250Z、LN-2520A、LN-2520HA、LN-2525ZA、LN-3000RM、LN-3050RM、LS-2250、LV-2225L、LV-2225Y、LV-2225Z、LV-2250Y、LV-2250Z、MN-4800、MN-4800Z、MN-4805Z;三菱エンジニアリングプラスチックス製のユーピロンK4100、ML200,ML300、ML400等が挙げられる。
ポリカーボネートは、ビスフェノールA以外のビスフェノール成分を含んでいてもよい。ビスフェノールの具体例としては、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3、3’、3’-テトラメチルスピロ(ビス)インダン、2,6-ジヒドロキシジベンゾ-p-ジオキシン、2,6-ジヒドロキシアントレン、2,7-ジヒドロキシフェノキサチン、2,7-ジヒドロキシ-9,10-ジメチルフェナジン、3,6-ジヒドロキシベンゾフラン、3,6-ジヒドロキシアントレン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジオール、3,3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジオール、イソプロピリデンジフェノール、3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル-4,4’-ジオール、2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチルビフェニル-4,4’-ジオール、レゾルシノール等が挙げられる。
式(7)における2価の有機基Zは、環状構造を含んでいてもよい。環状構造としては、フルオレン骨格、フタルイミド骨格等の芳香族;シクロヘキシルメチリデン、2-[2.2.1]-ビシクロヘプチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンチリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデン等の脂環式骨格が挙げられる。Zが環状構造を含むビスフェノールの具体例としては、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。
フィルムの強度およびポリイミドとの相溶性の観点から、ポリカーボネートの重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、5,000~250,000が好ましく、10,000~200,000がより好ましく、15,000~150,000がさらに好ましい。
<ポリアリレート>
ポリアリレートは、ビスフェノールとフタル酸(テレフタル酸および/またはイソフタル酸)とのエステルであり、一般式(9)で表される繰り返し単位を有する。
一般式(9)におけるZ,Rおよびjは、一般式(2)におけるZ,Rおよびjと同一である。
ポリアリレートにおけるイソフタル酸由来構造とテレフタル酸由来構造の比率は特に限定されず、0:100~100:0である。溶媒への可溶性、および上記のポリイミドとの相溶性の観点から、イソフタル酸とテレフタル酸の比率は、2:98~98:2が好ましく、5:95~95:5、または10:90~90:10であってもよい。
有機溶媒への溶解性および上記のポリイミドとの相溶性の観点から、ポリアリレートとしては、2価の有機基Zがイソプロピリデン基であり、j=0であるもの、すなわち、式(10)の繰り返し単位を有するビスフェノールAとフタル酸とのエステルが好ましい。
式(10)の繰り返し単位を含むポリアリレートの市販品としては、ユニチカ製のU-100、T-200等が挙げられる。ポリアリレートの市販品として、ユニチカ製のU-8000、U-8400H,FUN-8000、C300VN、P-1001,P-3001、P-5001、P-1001A、P-3001S、P-5001S等を用いてもよい。
ポリアリレートは、ビスフェノールA以外のビスフェノール成分を含んでいてもよい。ビスフェノールA以外のビスフェノールの具体例としては、ポリカーボネートのビスフェノール成分として先に示したものが挙げられる。
フィルムの強度およびポリイミドとの相溶性の観点から、ポリアリレートの重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、5,000~150,000が好ましく、10,000~130,000がより好ましく、15,000~100,000がさらに好ましい。
<樹脂組成物の調製>
上記のポリイミド樹脂とポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂とを混合して、樹脂組成物を調製する。
上記のポリイミド樹脂とエステル系樹脂は、任意の比率で相溶性を示し得るため、樹脂組成物におけるポリイミド樹脂とエステル系樹脂との比率は特に限定されない。ポリイミド樹脂とエステル系樹脂の混合比(重量比)は、98:2~2:98、95:5~10:90、または90:10~15:85であってもよい。ポリイミド樹脂の比率が高いほど、フィルムの弾性率が高くなり、機械強度に優れる傾向がある。エステル系樹脂の比率が高いほど、フィルムの複屈折(特に厚み方向の複屈折)が小さくなる傾向がある。
ポリイミドは特殊な分子構造を有するポリマーであり、一般には、有機溶媒に対する溶解性が低く、他のポリマーとは相溶性を示さない。本実施形態では、ポリイミドが酸無水物成分として一般式(3)のビス(無水トリメリット酸)エステルを含み、一般式(1)の構造単位を有することにより、有機溶媒に対して高い溶解性を示すとともに、ポリカーボネートおよびポリアリレートとの相溶性を示す。ポリイミドがポリカーボネートおよびポリアリレートと溶解性を示す理由の1つとして、一般式(1)および一般式(3)におけるフェノールエステルの構造が、ポリカーボネートおよびポリアリレートにおけるビスフェノールエステルの構造との類似性が高いことが挙げられる。
ポリカーボネートとの相溶性を持たせるためには、ポリイミドは、酸二無水物成分の合計100モル%に対して、一般式(3)の酸二無水物を、50モル%以上含むことが好ましく、60モル%以上含むことがより好ましく、65モル%以上含むことがさらに好ましい。中でも、式(6)の酸二無水物を、50モル%以上含むことが好ましく、60モル%以上含むことがより好ましく、65モル%以上含むことがさらに好ましい。
ポリアリレートとの相溶性を持たせるためには、ポリイミドは、酸二無水物成分の合計100モル%に対して、一般式(3)の酸二無水物を、30モル%以上含むことが好ましく、40モル%以上含むことがより好ましく、45モル%以上含むことがさらに好ましい。中でも、式(6)の酸二無水物を、30モル%以上含むことが好ましく、40モル%以上含むことがより好ましく、45モル%以上含むことがさらに好ましい。
樹脂組成物は、ポリイミド樹脂とエステル系樹脂とを含む混合溶液であってもよい。樹脂の混合方法は特に限定されず、固体の状態で混合してもよく、液体中で混合して混合溶液としてもよい。ポリイミド樹脂溶液およびエステル系樹脂溶液を個別に調製し、両者を混合してポリイミド樹脂とエステル系樹脂との混合溶液を調製してもよい。
ポリイミド樹脂およびエステル系樹脂を含む溶液の溶媒としては、ポリイミド樹脂およびエステル系樹脂の両方に対する溶解性を示すものであれば特に限定されない。溶媒の例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、N-メチル-2-ピロリドン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、塩化メチレン等が挙げられる。ポリイミド樹脂とエステル系樹脂との相溶性に優れ、かつ低沸点でありフィルム作製時の残存溶媒の除去が容易であることから、溶媒としては塩化メチレンが特に好ましい。
フィルムの加工性向上や各種機能の付与等を目的として、樹脂組成物(溶液)に、有機または無機の低分子または高分子化合物を配合してもよい。樹脂組成物は、難燃剤、紫外線吸収剤、架橋剤、染料、顔料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、増感剤等を含んでいてもよい。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、多孔質や中空構造であってもよい。
[フィルム]
上記のポリイミド樹脂およびエステル系樹脂を含む溶液を、支持体上に塗布し、溶媒を乾燥除去することにより、フィルムが得られる。
樹脂溶液を支持体上に塗布する方法としては、バーコーターやコンマコーター等を用いた公知の方法を適用できる。支持体としては、ガラス基板、SUS等の金属基板、金属ドラム、金属ベルト、プラスチックフィルム等を使用できる。生産性向上の観点から、支持体として、金属ドラム、金属ベルト等の無端支持体、または長尺プラスチックフィルム等を用い、ロールトゥーロールによりフィルムを製造することが好ましい。プラスチックフィルムを支持体として使用する場合、製膜ドープの溶媒に溶解しない材料を適宜選択すればよく、プラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート等が用いられる。
溶媒の乾燥時には加熱を行うことが好ましい。加熱温度は溶媒が除去でき、かつ得られるフィルムの着色を抑制できる温度であれば特に制限されず、室温~250℃程度で適宜に設定され、50℃~220℃が好ましい。この範囲の温度であれば、フィルムの着色を抑制し、フィルムの厚み方向の位相差(複屈折)を緩和できる。加熱温度は段階的に上昇させてもよい。溶媒の除去効率を高めるために、ある程度乾燥が進んだ後に、支持体から樹脂膜を剥離して乾燥を行ってもよい。溶媒の除去を促進するために、減圧下で加熱を行ってもよい。
フィルムの厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。フィルムの厚みは、例えば5~300μmである。自己支持性と可撓性とを両立し、かつ透明性の高いフィルムとする観点から、フィルムの厚みは20μm~100μmが好ましく、30μm~90μm、40μm~85μm、または50μm~80μmであってもよい。ディスプレイのカバーフィルム用途としてのフィルムの厚みは、50μm以上が好ましい。
フィルムのヘイズは5%以下が好ましく、4%以下がより好ましく、3.5%以下がさらに好ましく、3%以下、2%以下または1%以下であってもよい。フィルムのヘイズは低いほど好ましい。上記の様に、ポリイミド樹脂とエステル系樹脂が相溶性を示すため、ヘイズが低く、透明性の高いフィルムが得られる。ポリイミドの酸二無水物成分のうち、一般式(3)の酸二無水物の比率が高いほど、フィルムのヘイズが低くなる傾向があり、特に式(6)の酸二無水物の比率が高いほどフィルムのヘイズが低くなる傾向がある。
フィルムの黄色度(YI)は、5.0以下が好ましい。上記のように、一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミドは、可視光の吸収が少ないため、透明性が高く、YIが小さいフィルムが得られる。
本発明のフィルムは、屈曲半径1.0mmで1回/秒の速度で繰り返し曲げ試験した際の動的屈曲の回数が10万回以上であることが好ましく、15万回以上であることがより好ましく、20万回以上であることがさらに好ましい。動的屈曲の回数が10万回以上であることにより、フォルダブルディスプレイのカバーフィルムなど、折り曲げる用途に好適に用いることができる。
フィルム強度の観点から、面内屈折率最大方向およびそれと直交する方向の引張弾性率は共に3.0GPa以上が好ましく、3.1GPa以上がより好ましく、3.2GPa以上であってもよい。
フィルムの鉛筆硬度は、H以上が好ましく、2H以上または3H以上であってもよい。ポリイミド樹脂とアクリル系樹脂の相溶系においては、アクリル系樹脂の比率を高めても鉛筆硬度が低下し難い。そのため、ポリイミド特有の優れた機械強度を大きく低下させることなく、着色が少なく透明性に優れるフィルムを提供できる。
ポリイミドフィルムの光照射時の黄変の度合いを示すΔYIは、20以下が好ましく18以下がより好ましく、16以下が更に好ましい。ΔYIが小さいほど、外光に曝された場合にフィルムが黄色に着色することなく、ディスプレイ用等のフィルムとして好適に使用できる。
以下、実施例および比較例に基づき、本発明の実施形態についてさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ポリイミドの製造例におけるジアミンおよび酸二無水物の組成、ならびにポリイミドのSP値を表1に示す。表1におけるSP値の単位は(cal/cm1/2であり、ポリイミドのSP値は、各モノマーのSP値と、ジアミンおよび酸二無水物の合計に対するモル比との積を足し合わせた値である。表1に使用した原料のSP値は下記の通りである。
[ポリイミド樹脂の製造例]
セパラブルフラスコにジメチルホルムアミドを投入し、窒素雰囲気下で撹拌した。そこに、表1に示す比率(モル%)で、ジアミンおよび酸二無水物を投入し、窒素雰囲気下にて5~10時間撹拌して反応させ、固形分濃度18重量%のポリアミド酸溶液を得た。
ポリアミド酸溶液100gに、イミド化触媒としてピリジン4.5gを添加し、完全に分散させた後、無水酢酸6.0gを添加し、90℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、溶液を攪拌しながら、2-プロピルアルコール(以下、IPAと記載)100gを、2~3滴/秒の速度で投入し、ポリイミドを析出させた。さらにIPA150gを添加し、約30分撹拌後、桐山ロートを使用して吸引ろ過を行った。得られた固体をIPAで洗浄した後、120℃に設定した真空オーブンで12時間乾燥させて、ポリイミド樹脂を得た。
[フィルム作製例]
<実施例1~3>
塩化メチレンに、上記の製造例で得られたポリイミド(PI)と市販のポリカーボネート(PC)、市販のポリアリレート(PAR)を、表1に示す比率で混合し、樹脂分11重量%の塩化メチレン溶液を調製した。この溶液を無アルカリガラス板上に塗布し、60℃で30分、90℃で30分、120℃で30分、150℃で30分、180℃で30分、大気雰囲気下で加熱乾燥し、厚さ約50μmのフィルム1~3を作製した。
<比較例1~4>
比較例1では、ポリカーボネートとポリアリレートを、表1に示す比率で混合した塩化メチレン溶液を調製し、上記と同様の条件で厚さ約50μmのフィルムを作製した。
比較例2では、ポリイミド樹脂とポリアリレートを、表1に示す比率で混合した塩化メチレン溶液を調製し、上記と同様の条件で厚さ約50μmのフィルムを作製した。
比較例3では、ポリイミド樹脂とポリカーボネートを、表1に示す比率で混合した塩化メチレン溶液を調製し、上記と同様の条件で厚さ約50μmのフィルムを作製した。
比較例4では一般式(3)で表される酸二無水物を含まないポリイミド樹脂とポリカーボネートおよびポリアリレートを、表1に示す比率で混合した塩化メチレン溶液を調製し、上記と同様の条件で厚さ約50μmのフィルムを作製した。なお、ヘイズが20%を超えたものについては、全光線透過率、黄色度、引張弾性率、鉛筆硬度および動的屈曲耐久性の測定は実施しなかった。
<参考例1~3>
参考例1では、ポリイミド樹脂の塩化メチレン溶液を調製し、上記と同様の条件で厚さ約50μmのフィルムを作製した。
参考例2ではポリカーボネートの塩化メチレン溶液を調製し、上記と同様の条件で塗布および乾燥を行い、厚さ約50μmのフィルムを作製した。
参考例3ではポリアリレートの塩化メチレン溶液を調製し、上記と同様の条件で厚さ約50μmのフィルムを作製した。
[評価方法]
<フィルムの評価>
(ヘイズ)
フィルムを3cm角に切り出し、スガ試験機製のヘイズメーター「HZ-V3」により、JIS K7136に従って測定した。
(黄色度)
フィルムを3cm角に切り出し、スガ試験機製の分光測色計「SC-P」によりて、JIS K7373に従って黄色度(YI)を測定した。
(引張弾性率)
フィルムを幅10mmの短冊状に切り出し、島津製作所製の「AUTOGRAPH AGS-X」を用いて、つかみ具間距離100mm、引張速度20.0mm/minの条件で測定した。
(鉛筆硬度)
JIS K5600-5-4「鉛筆引っかき試験」により、フィルムの鉛筆硬度を測定した。
(動的屈曲)
フィルムを20mm×150mmの短冊状に切り出し、ユアサシステム機器製U字屈曲耐久性試験機DMLHBにセットし、屈曲半径1.0mmで1回/秒の速度で繰り返し曲げ試験し、所定回数でクラックや破断の有無を確認した。試験は温度23℃、湿度55%に設定された恒温恒湿環境で行った。多くの繰り返し曲げ回数後でもクラックや破断がなければ屈曲性に優れることを示す。繰り返し曲げ後にもクラックや破断が無かった最大の回数を表記した。
(耐光性試験)
スガ試験機製フェードメーターUB48HBを用いて、放射照度500W/m2、ブラックパネル温度63℃、の条件で48時間照射した。照射前後のYIを測定し、次の式に従い黄変の度合いを示すΔYIを算出した。ΔYI=(照射後フィルムのYI)―(照射前フィルムのYI)
[評価結果]
表1において、化合物は以下の略称により記載している。併せてSP値を示す。
<ジアミン>
TFMB:2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、SP値7.96(cal/cm3)1/2
3,3'-DDS:3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、SP値10.22(cal/cm3)1/2
<酸二無水物>
TAHMBP:ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボン酸)-2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチルビフェニル-4,4’ジイル、SP値8.14(cal/cm3)1/2
6FDA:2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、SP値8.21(cal/cm3)1/2
フィルム作製例で作製した実施例、比較例および参考例フィルムの樹脂組成およびフィルム特性を表1に示す。
表1におけるポリカーボネート(PC)およびポリアリレート(PAR)は下記の通りである。Mwは、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
PAR1:ユニチカ製「U-100 Lシリーズ」 Mw=45,600
PAR2:ユニチカ製「U-100 Dシリーズ」 Mw=71,000
PAR3:ユニチカ製「U-100 Cシリーズ」 Mw=54,000
PC1:三菱エンジニアリングプラスチック製「ユーピロン K4100」 Mw=38,400
比較例1は、ポリカーボネートおよびポリアリレートのみからなるフィルムである。
比較例4はSP値は8.09で範囲内あるが、一般式(3)構造を原料に含まないポリイミド、比較例5は一般式(3)構造を含むがSP値が範囲外であるポリイミドを用いた。これらのポリイミドと、ポリカーボネートおよびポリアリレートの樹脂組成物からなるフィルムでは、いずれもHazeが20%以上となり、相溶性が不十分であることが分かる。
比較例2、3は一般式(3)構造含有のポリイミドと、ポリカーボネートまたはポリアリレートのどちらか一方を含む樹脂組成物からなるフィルムである。比較例2フィルムは、折り曲げ耐久性が130,000であり、鉛筆硬度がFと低いことが分かる。また比較例3は鉛筆硬度がFと低く、光照射時に黄色度の上昇が顕著であることが分かる。
参考例1~3は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート単独からなるフィルムである。いずれも折り曲げ耐久性が低く、さらに耐光性(参考例1)、鉛筆硬度および弾性率(参考例2および3)が不十分であることが分かる。
一方、実施例1~3のポリイミド、ポリカーボネートおよびポリアリレート全てを含有する樹脂組成物から作製したフィルムは、鉛筆硬度、弾性率、耐光性、さらに光学特性において良好な値を示した。

Claims (8)

  1. ポリイミド樹脂、ポリカーボネートおよびポリアリレートを含み、
    前記ポリイミド樹脂が、一般式(3)で表される酸二無水物と一般式(4)で表されるジアミンとの反応により得られうる一般式(1)で表される構造単位を含むポリイミドであり、
    前記ポリイミドの酸二無水物成分全量に対する一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の量が、30モル%以上であり、
    前記ポリイミドの溶解性パラメーターが、8.00~9.10(cal/cm1/2である、樹脂組成物。
    (ただし、一般式(1)および一般式(3)において、Xは、群(I)で表される2価の有機基であり、RおよびRは、それぞれ、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、または炭素原子数1~20のフルオロアルキル基であり、mは1~4の整数であり、nは0~4の整数であり、一般式(1)および一般式(4)において、Yは、フッ素基、トリフルオロメチル基、スルホン基、フルオレン構造および脂環構造からなる群から選択される1以上を含む2価の基である。)
  2. 前記ポリイミドが、酸二無水物成分全量に対して、式(6)で表される酸二無水物を30モル%以上含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリイミド樹脂が塩化メチレンに可溶である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリカーボネートが、式(8)の繰り返し単位を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリアリレートが式(10)の繰り返し単位を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリイミド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレートを、98:2~2:98の範囲の重量比で含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含むフィルム。
  8. 厚みが5μm以上300μm以下であり、厚みが50μmの時のヘイズが5%以下、YIが5.0以下、引張弾性率が3.0GPa以上、光照射時の黄変度合い(ΔYI)が20以下、屈曲半径1.5mm以下、かつ1回/秒の速度で繰り返し曲げ試験した際に破断するまでの回数が10万回以上、鉛筆硬度がH以上である、請求項7に記載のフィルム。
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