JP2023160019A - 食品の殺菌方法 - Google Patents

食品の殺菌方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023160019A
JP2023160019A JP2022070024A JP2022070024A JP2023160019A JP 2023160019 A JP2023160019 A JP 2023160019A JP 2022070024 A JP2022070024 A JP 2022070024A JP 2022070024 A JP2022070024 A JP 2022070024A JP 2023160019 A JP2023160019 A JP 2023160019A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heating chamber
steam
food
sterilization
cooking
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022070024A
Other languages
English (en)
Inventor
清次郎 中村
Seijiro Nakamura
一寛 小野森
Kazuhiro Onomori
浩之 大根田
Hiroyuki Oneda
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ONOMORI KK
Tablemark Co Ltd
Original Assignee
ONOMORI KK
Tablemark Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ONOMORI KK, Tablemark Co Ltd filed Critical ONOMORI KK
Priority to JP2022070024A priority Critical patent/JP2023160019A/ja
Publication of JP2023160019A publication Critical patent/JP2023160019A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】短時間で食品を殺菌する方法を提供する。【解決手段】加熱室に、粒状または麺状食品原料を装入する装入工程、加熱室に水蒸気を供給して、食品として有効な加熱殺菌を行う殺菌工程、および当該殺菌工程中に、加熱室において、特定の位置から水蒸気を供給して、当該位置に略対向する位置から前記水蒸気を排出して気流を発生させることを含む気流調整工程 を備え、前記殺菌工程の時間をXとする場合、当該殺菌工程の開始から0.3Xの間に、前記気流調整工程を開始する、食品原料の殺菌方法。【選択図】なし

Description

本発明は食品の殺菌方法に関する。
パックご飯等の殺菌済密封食品においては、微生物等の増殖による腐敗が抑えられており、長期的な保存が可能である。無菌的に食品を包装するためには通常の微生物のみならず、特に耐熱性を有する胞子を産生する微生物をも完全に殺菌する必要があり、加圧加熱処理が必要であった。これらの殺菌済密封食品は、レトルト食品と殺菌済密封食品とに大別される。レトルト食品は、密封した容器内で加圧加熱殺菌を行い製造される。殺菌済密封食品は、加圧下で水蒸気等を用いて食品の温度を殺菌温度にして殺菌処理を行い、そのまま無菌条件下で包装して製造される。しかし、これらの殺菌済密封食品、特にパックご飯においては、レトルト処理を行う場合には長時間の加圧加熱殺菌が必要であり、所望の品質(特に食感)にするための繊細な炊飯条件の調整が困難であるという問題があった。一方、無菌包装処理を行う、無菌包装米飯の場合は、水蒸気などの噴射による加圧加熱処理により短時間の殺菌が可能であり、その後、別途調理(炊飯)を行うことによって調理(炊飯)条件の調整が容易である。そのため無菌包装処理を行う殺菌済密封食品は、所望の品質(特に食感)を達成しやすく、広く利用されている。
食品を殺菌する方法として、例えば特許文献1は、水蒸気を食品に間欠的に噴射する殺菌方法を開示する。具体的に特許文献1は、水蒸気の供給および排気を繰返し、連続的、間欠的に水蒸気を食品に噴射する方法および装置を開示する。また特許文献2は、加熱室と、水蒸気循環器とを備え、前記加熱室の鉛直方向上部に設けられた水蒸気を供給する供給口と鉛直方向下部に設けられた水蒸気を排出する排気口とを介して、前記加熱室と水蒸気循環器とが接続されている殺菌装置を開示する。
特許第5627233号 特許第6047320号
特許文献1に開示された装置は、装置上部に水蒸気供給口と排気口が配置されており、さらに水蒸気が凝縮するために発生するドレンなどを排出する必要もあり、工程が煩雑でありかつ殺菌時間が長くなるという問題があった。特許文献2に開示された装置は、装置上部に水蒸気供給口が、装置下部に排気口を有するので、排気や配管中の凝縮水(ドレン)を連続的に排除することが可能である。しかし、特許文献2には具体的な食品の殺菌方法は開示されていない。かかる事情に鑑み、本発明は短時間で食品を殺菌する方法を提供することを課題とする。
発明者らは、殺菌工程の初期に特定方向に水蒸気の流れを形成することで、前記課題が解決できることを見出した。すなわち、前記課題は、以下の本発明によって解決される。
態様1
加熱室に、粒状または麺状食品原料を装入する装入工程、
加熱室に水蒸気を供給して、食品として有効な加熱殺菌を行う殺菌工程、および
当該殺菌工程中に、加熱室において、特定の位置から水蒸気を供給して、当該位置に略対向する位置から前記水蒸気を排出して気流を発生させることを含む気流調整工程を備え、
前記殺菌工程の時間をXとする場合、当該殺菌工程の開始から0.3Xの間に、前記気流調整工程を開始する、
食品原料の殺菌方法。
態様2
前記加熱室と、水蒸気循環器とを備え、
前記加熱室に設けられた水蒸気供給口と、当該水蒸気供給口に略対向する位置に設けられた水蒸気排気口とを介して、前記加熱室と前記水蒸気循環器とが接続されている装置、
を用いて、前記装入工程、気流調整工程、および殺菌工程を実施する、態様1に記載の方法。
態様3
前記水蒸気供給口が前記加熱室の鉛直方向上部に設けられている、態様2に記載の方法。
態様4
前記気流調整工程が、前記加熱室内の気体を、前記水蒸気排気口から前記水蒸気循環器内に導入することを含む、態様2または3に記載の方法。
態様5
前記水蒸気循環器が制御機を備え、
前記気流調整工程が、当該制御機を用いて前記水蒸気循環器内に前記加熱室内の気体を導入することを含む、態様4に記載の方法。
態様6
前記制御機が制御弁である、態様5に記載の方法。
態様7
前記装入工程が、粒状または麺状食品原料が充填された開口部を有する容器を前記加熱室に装入することを含む、態様1~6のいずれかに記載の方法。
態様8
前記食品原料が米である、態様1~7のいずれかに記載の方法。
態様9
態様1~8のいずれかに記載の方法で殺菌した食品原料を準備する工程、および
当該殺菌済食品原料を調理する調理工程を備える、
食品の製造方法。
態様10
態様7または8に記載の方法で殺菌した、前記食品が充填された容器を準備する工程、
前記食品が容器に充填されたまま、当該食品を調理する調理工程、および
当該調理された食品が充填された容器の開口部をシール材で密封包装する密封工程、を含む、
殺菌済密封食品の製造方法。
本発明によって、短時間で食品を殺菌する方法を提供できる。
水蒸気供給口と水蒸気排気口の関係を説明する図 加熱室の周辺を説明する図 加熱室の周辺を説明する図 容器下部の温度分布図 容器下部の温度分布図 容器下部の温度分布図
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X~Y」はその端値であるXおよびYを含む。
1.殺菌方法
(1)装入工程
本工程においては、加熱室に、粒状または麺状食品原料を装入する。
1)加熱室
加熱室は、殺菌工程を行うための室である。加熱室は好ましくは耐圧容器で構成される。
2)粒状または麺状食品原料
食品原料とは、調理されることによって喫食可能になる食品の原料である。粒状または麺状である食品原料は、容器に充填された際に隣接する個々の粒間または麺間に隙間を形成する。この隙間により食品原料への熱の伝達が高まるため、殺菌工程において殺菌効果が高くなる。
粒状食品原料の例には、米類、豆類、麦類、雑穀類、トウモロコシ等が含まれる。米類の例には、うるち米、もち米等が、豆類の例には、小豆、大豆等、麦類の例には小麦、大麦、ライ麦、エン麦等、雑穀類にはヒエ、アワ、キビ等が含まれる。当該、米類、豆類、麦類、雑穀類、トウモロコシ等は、洗浄した後、一定の時間水に漬けて吸水させておくことが好ましい。このような処理を施すことで、その後の調理時間を短縮できる。特に吸水させた米類を食品原料として用いると、次工程の殺菌工程により米の表面がα化されるので、その後の調理工程において米の形状が崩れにくくなるという利点がある。このときの吸水量は、当該分野で通常採用されている量とすればよい。食品原料として米類、豆類、麦類、雑穀類、トウモロコシ等の混合物も使用できる。
麺状食品原料の例には、ラーメン、そば、うどんおよびスパゲッティ等の麺類が含まれる。これらの麺類は茹でる前の状態であってもよいし、茹でた後の状態であってもよい。
食品原料は後述する容器に充填され、当該容器ごと加熱室に装入されることが好ましい。食品原料の容器への充填量は、前記食品原料の種類や、製造される無菌包装食品の用途によって異なる。例えば、前記食品原料として吸水させたうるち米を用いる場合、その充填量を80~150gとすると、1人前に適した量の無菌包装米飯を製造できるので好ましい。
3)容器
容器は、食品原料を充填するための開口部を有する。その形状は、食品原料を充填しやすい等の理由から略直方体が好ましい。容器の大きさは、充填する前記食品原料の種類や、製造される無菌包装食品の用途によって異なる。例えば、前記食品原料として吸水させたうるち米を80~150g用いて無菌包装食品を製造する場合は、縦110~160mm、横160~220mm、高さ10~60mmの大きさが好ましい。容器は110℃以上の耐熱性を有することが好ましい。
(2)殺菌工程
本工程では、加熱室に水蒸気を供給して、食品として有効な加熱殺菌を行う。食品として有効な加熱のための温度および時間とは、殺菌強度の指標とされるF値が4以上、好ましく4.5以上、より好ましくは10以上に達するような温度および時間である。F値は、殺菌強度F値を定義する下記式において、基準温度Tr=121.1℃、Z値=10とした場合のF値である(清水潮、横山理雄著、「レトルト食品の理論と実践」p60~68、幸書房、1986年)。

F:殺菌強度
tT:加熱時間(分)
T:容器内温度(℃)
Tr:基準温度(℃)
Z:死滅速度がどの程度温度に依存するかを示すパラメータ
食品衛生法は、レトルト食品等について、121℃で4分以上またはそれに相当する殺菌強度で処理しなければならないことを規定する。この殺菌強度は約4のF値に相当する。よって、本工程においては、F値が4以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは10以上となるように食品原料を加熱する。一態様において、容器内温度が加圧される100℃以上、好ましくは110~150℃となることが好ましい。容器内温度とは、食品原料が充填された容器の内部の温度であり、食品原料の温度でもある。加熱時間は適宜調整されるが、気流調整工程を設けることで、トータルの加熱時間を短縮できる。したがって、加熱時間は、好ましくは3~60秒、より好ましくは4~20秒、さらに好ましく5~12秒である。気流調整工程については後述する。
加熱方法は特に限定されない。例えば、加熱室の回りに、ヒータ等の加熱手段を設置することで加熱できる。しかしながら、加熱室内に水蒸気を導入することによって、加熱することが好ましい。水蒸気は熱伝達率が高いため、効率よく加熱できる。また、水蒸気は加熱室に導入管を設けることで容易に導入できるので、装置を簡素化できる。導入される水蒸気は、高圧水蒸気であることが好ましく、その圧力は一態様において0.2~0.4MPaである。
(3)気流調整工程
本工程は殺菌工程内に実施される。本工程では、加熱室の特定の位置から水蒸気を供給して、当該位置に略対向する位置から前記水蒸気を排出して気流を発生させることを含む。本工程によって、水蒸気の流れを安定化することができる。特定の位置(「位置a」という)とは限定されないが、一態様において加熱室の天面、底面、または側面である。図1を用いて当該位置について説明する。図1において位置aは天面(鉛直方向上方の面)に設けられている。略対向する位置(「位置b」という)とは、一態様において次のように定義される。1)加熱室10の中央部を通り、かつ位置aに対向する面Sで、加熱室10を二分割する。2)当該2つの領域のうち、位置aが属する領域を領域A、位置aが属さない領域を領域Bとする。3)領域Bの任意の位置を位置bとする。
位置aとbがこの関係を満たすと、加熱室内の水蒸気の交換が効率よく行われ、最初に存在していた空気を速やかに交換することができる。この結果、熱伝達効率が向上し、効率の良い殺菌が可能となる。かかる観点から、位置aとbは好ましくは、加熱室の中央軸に対して対象の位置(図中b’)に存在する。また、位置aとbは複数存在してもよい。この場合、少なくとも1組の位置aとbが前記関係を満たせばよいが、すべての組の位置aとbが前記関係を満たすことが好ましい。位置aである水蒸気供給口は加熱室10の鉛直方向上部に設けられていることが好ましい。
気流調整工程は、殺菌工程の初期、具体的には開始から0.3Xの間に開始される。殺菌工程の初期において、単に水蒸気を供給した場合には、水蒸気が本来流れる方向には流れずに、装置内に滞留したり、逆流したりするため、効率よく水蒸気を供給することができない。そのため、殺菌工程の早い段階で気流調整工程を開始することによって、水蒸気を制御された方向へ速やかに供給でき、効率よく加熱することが可能となり、結果として殺菌工程を短縮できる。さらにその結果、使用される水蒸気量を減らすことも可能である。気流調整工程は、加熱室の特定の位置から水蒸気を供給して、当該位置に略対向する位置から前記水蒸気を排出して気流を発生させるという操作(以下、単に「気流調整操作」ともいう)のみを備えていてもよいし、気流発生操作の後に連続して実施される気流を安定させるための操作を含んでいてもよい。当該後に実施される操作としては、加圧操作が挙げられる。
気流調整工程の始点は、好ましくは0~0.2Xのいずれかの時点、より好ましくは0~0.1Xのいずれかの時点、さらに好ましくは0、すなわち殺菌工程の開始と同時である。気流調整工程の継続時間は、適宜調整されるが、例えば0.7X以内、0.6X以内、または0.5X以内とすることができる。したがって、気流調整工程の終了時点は、継続時間によって適宜調整される。気流調整工程の開始時に、気流調整操作を実施することがより好ましい。
(4)好ましい形態
当該方法は、前記加熱室と、水蒸気循環器とを備え、前記加熱室に設けられた水蒸気供給口と、当該水蒸気供給口に略対向する位置に設けられた水蒸気排気口とを介して、前記加熱室と前記水蒸気循環器とが接続されている装置を用いて実施されることが好ましい。当該装置としては、例えば、特許文献2に記載されたような、加熱室と水蒸気発生装置を備える装置を用いることができる。図2は加熱室10の概要を示す。図中、22はファン、24は排気弁、26は水蒸気弁、aは水蒸気供給口、bは水蒸気排気口、Tは食品原料が充填された容器である。水蒸気弁26を介して紙面右に延びる管は水蒸気供給装置30に接続されている。水蒸気供給口aは鉛直上部に設けられることが好ましい。このようにすることで、食品原料に効率よく水蒸気を当てることができるので、殺菌効率が向上する。
前記気流調整工程は、例えば図2および図3の装置において、水蒸気弁26を開、排気弁24を開とすること(排気操作)で実施できる。また、初めに排気操作等を行い、一定の水蒸気の流れを発生させた後に、続いて水蒸気弁26を開、排気弁24を閉として加熱室10内に水蒸気を充満させて圧力を高めた状態で、排気弁24を開とすることでも実施できる。あるいは、後述する制御機を使用することによって、加熱室10内に一旦水蒸気の流れを発生させた後に、続いて水蒸気弁26を開、排気弁24を閉として加熱室10内に水蒸気を充満させて圧力を高めた状態で、排気弁24を開とすることでも実施できる。殺菌工程の初期等のタイミングで装置内に単に水蒸気を供給しても、装置内に滞留している水蒸気等によって供給された水蒸気が滞留したり、逆流したりするので、装置内の気流を安定的に発生することができない。しかし、気流発生操作を行う、または気流発生操作に続いて加圧操作等を行うと、装置内の気流を安定化することができる。
気流調整工程においては、加熱室10内の気体を水蒸気排気口bから前記水蒸気循環器内20に導入することが好ましい。このようにすることで、排気弁24を閉じたまま、すなわち高い圧力を保ちながら気流調整工程を実施できるので、水蒸気を効率的に使用しながら、加圧加熱殺菌を行うことができ、効率的に殺菌することができる。さらに結果として、殺菌工程時間をより短縮することができ、使用される水蒸気量を削減することも可能である。例えば図3の装置において、水蒸気弁26を開、排気弁24を閉とし、制御機28を用いて水蒸気循環器20と加熱室10を遮断すると、水蒸気供給口aから供給された水蒸気は加熱室10内に溜め込まれる。次いで制御機28を用いて水蒸気循環器20と加熱室10を連通すると、加熱室10内の気体を、水蒸気排気口bを介して水蒸気循環器内20に導入することができる。制御機28は好ましくは弁であり、より好ましくはバタフライ弁である。
また、従来の水蒸気を間欠的に噴射する殺菌装置においては、噴射した水蒸気、およびその滞留した水蒸気から発生するドレンを排出する工程が必要であった。しかし本発明では水蒸気を循環させることができるので、排出工程を設けることなく連続的に加圧することが可能であり、この点においても殺菌効率を向上させることが可能である。
制御機28を設けることで、水蒸気供給開始時に配管から水蒸気排気口bを経由して加熱室へ水蒸気が流れること(逆流)を防ぐことができる。制御機28は、前述のとおりバタフライ弁であってよく、最初は閉じており徐々に開くように設定できる。このように制御弁28を操作すると、加熱室10内の食品原料の飛散を防ぐことができる。
2.食品の製造方法
上記の方法で殺菌した食品原料を準備する工程、および当該殺菌済食品原料を調理する調理工程を備える方法によって、食品を製造することができる。調理としては限定されず、例えば炊飯または茹で調理等が挙げられる。
(1)調理工程
時間および温度等の調理条件は、通常採用されている条件としてよい。調理工程の前に、前記殺菌済み容器に調理水を加える加水工程をさらに含むことが好ましい。調理水の添加により食品原料が調理水に浸漬され、調理がしやすくなる。調理水とは食用の水である。調理水には、食品として許容される種々の添加物、例えば、米飯に関しては、酵素類(リゾチーム、アミラーゼ)、pH調節剤、pH低下剤、ビタミン類、ミネラル類、油脂類、甘味料、調味料、香料、オリゴ糖混合物等が添加されてもよい。pH低下剤は、米飯のpHを下げ、保存性を向上させるために使用される。pH低下剤としては、例えば、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、これらの混合物を用いることができる。pH添加剤の酸味・酸臭を抑えるために、オリゴ糖混合物を使用してもよい。
調理水は、必要に応じて調味料、香料等を含んでいてもよい。例えば、調理水は、米類または豆類を調理する場合は醤油、砂糖等の調味量を、そばやうどんを調理する場合は、醤油、出汁、みりん等の調味量を含んでいてよい。調理水の添加量は、食品原料により適宜調整できる。例えば、食品原料がうるち米である場合は、うるち米100重量部に対して110~170重量部が好ましい。
例えば、食品原料がうるち米である場合は、前記のとおり調理水を添加し、調理工程において、容器内温度が95~105℃となるように10~40分程度加熱して、うるち米を炊飯することが好ましい。この後、必要に応じて蒸らし工程を加えてもよい。
食品原料が豆類である場合は、調理工程により煮込み調理がなされる。この場合、調理水の添加量は、豆類100重量部に対して150~300重量部が好ましい。容器内温度は95~130℃、調理時間は5~30分が好ましい。
食品原料が茹でていない麺類である場合は、調理工程により茹で調理がなされる。この場合、調理水の添加量は、麺類100重量部に対して200~400重量部が好ましい。容器内温度は95~110℃、調理時間は3~20分が好ましい。また、食品原料が茹でてある麺類である場合は、調理工程により煮込み調理がなされる。この場合、調理水の添加量は、麺類100重量部に対して100~200重量部が好ましい。容器内温度は95~110℃、調理時間は5~30分が好ましい。
(2)密封工程
本工程では、殺菌済み食品が充填された容器の開口部をシール材で密封包装する。シール材とは、前記開口部を密封するための部材であり、通常はシート状またはフィルム状の部材である。シール材としてプラスチックフィルムを用いることが好ましい。密封は公知の方法で行ってよいが、殺菌処理がなされたプラスチックフィルムを容器の開口部に貼付または熱融着して密封することが好ましい。密封工程により無菌包装食品が得られる。密封工程は無菌状態で行われることが好ましい。
3.殺菌済密封食品
上記方法で製造された殺菌済密封食品は、そのまま、あるいは加熱することにより喫食できる。無菌包装米飯の場合には、その風味から電子レンジで容器ごと加熱して喫食することが好ましい。
(1)食品原料の準備
新潟県産コシヒカリ精米を洗米後、20℃で1時間、水に浸漬して浸漬米を得た。
(2)容器の準備
略直方体のプラスチック製容器(寸法:底面の縦150mm×底面の横98mm、天面の縦180mm×天面の横120mm、高さ26mm)を準備した。この容器は、縦158mm×横98mmの天面が開口されていた。浸漬米100gをこの容器に充填した。
(3)装置の準備
特許文献2を参考にして、図2に示す循環型加圧加熱殺菌装置を準備した。加熱室を構成する函体はφ480mm、長さ420mmであり、加熱室内容積は0.176mであった。最高使用圧力は0.35MPaとした。各操作の定義は、下表のとおりである。
<試験1>水蒸気の流れの制御による加熱効果の検証
図2に示す装置を用いて実施した。
浸漬米100gを充填した前記容器を、容器内で浸漬米が均一な厚みになるように均した。当該容器を前記循環型加圧加熱殺菌装置の定位置に設置するためのリテーナに乗せ、当該リテーナを十分に暖気された当該装置の加熱室内に収容した。下記条件1~3に従って、加熱処理を行った後、加熱室を開放し、リテーナを取り出した。また、各処理時に、容器内の試料上部に設置したセンサーによって函体内温度を測定した。さらに容器下部の温度分布をサーモグラフィーによって測定した(図4)。各条件において4検体を測定し、その平均値、標準偏差を算出した。
条件1:排気弁24を閉じ、水蒸気弁26を開いて水蒸気を加熱室10内に3秒間供給した。水蒸気供給後、速やかに加熱室10を開放して容器を回収し、温度を測定した。
条件2:排気弁24を閉じ、ファン22を1秒間運転した後に、水蒸気弁26を開いて水蒸気を加熱室10内に3秒間供給した。水蒸気供給後、速やかに加熱室10を開放して容器を回収し、温度を測定した。前記1秒の間にはファン22によって、水蒸気が加熱室10内に供給された。
条件3:排気弁24と水蒸気弁26をともに1秒間開いて、加熱室10内を脱気した。その後、排気弁24のみを閉じて、2秒間、水蒸気を加熱室10に供給した。水蒸気供給後、速やかに加熱室10を開放して容器を回収し、温度を測定した。
これらの結果を表2-1および表2-2に示す。
表2-2に示すとおり、条件1よりも条件2の方が製品の温度が高くなり、条件2よりも条件3の方が製品の温度がより高くなった。すなわち、初期において水蒸気の流れを作ることで、効率よく製品が加熱され、かつその温度のばらつきも小さくなることが明らかとなった。特に条件3では、函内平均温度が低いにもかかわらず、製品温度が高いので、効率の良い加熱が可能であった。
<試験2>水蒸気の流れ制御による殺菌効率の検証
[比較例1]
水蒸気を食品に間欠的に噴射、排出する方法により殺菌する特許文献1(特許第5627233号)に記載の装置を準備し、浸漬米を充填した容器の上部から飽和水蒸気を供給し、上部に排気して圧力を下げるというサイクルを繰り返す方法で米の殺菌を行った。最高圧力0.30MPa、最高温度140℃に設定した。F値を10以上とするには、3秒間の供給、1.5秒間の排気、1秒間のドレン排出を1サイクルとして3サイクルが必要であった。さらにドレン排出後に加熱室を密閉する時間が必要であったため、合計で30秒が必要となった。
[実施例1]
図2に示す装置を用いて米の殺菌を行った。試験1と同じ方法で浸漬米を充填した容器を加熱室10内に収容した。水蒸気の温度は140℃、最高圧力0.30MPaに設定した。試験1の結果から、最初に水蒸気の流れを形成することにより、効率的な加熱処理ができることが明らかになったため、殺菌工程の初期に短時間の加圧操作および排気操作を行い、水蒸気の流れを形成した。具体的には、表3に記載の条件で殺菌工程を実施した。排気操作2において、水蒸気供給口から供給された水蒸気が水蒸気排出口から排出されて気流が発生した。これに続いて水蒸気を供給する加圧操作3までが、気流調整工程である。トータル殺菌時間Xは15.5秒であり、排気操作2は殺菌工程の開始から3.0秒経過時に開始されたから、気流調整工程は0.19X~0.77Xの間実施された。本殺菌工程によって10以上のF値を達成できた。
[実施例2]水蒸気循環器に制御弁を設置
図3に示す装置を準備し、実施例1と同じ方法で浸漬米を加熱室10内に載置した。当該装置においては、加熱室10と水蒸気循環器20が接続されており、水蒸気循環器20には制御弁28が配置されている。また、水蒸気の流れが、ファン22を経由して加熱10室へ向かうようにし、容器に対して上方向からのみ水蒸気を当てることで効果的な加熱が可能となる。制御弁28は、バタフライ弁であり、最初は閉じており徐々に開くようにした。このようにすることで装置内の気流が大きく乱れることを防ぐことが可能である。本装置においては下表の条件で、10以上のF値を達成できた。本例では水蒸気循環器20に制御弁28を設けて、初期において加熱室10内に水蒸気の流れを形成するできたため、実施例1よりも処理時間を短くすることが可能となった。加圧操作において制御弁28を徐々に開放したので水蒸気の流れが発生した。当該加圧操作が気流調整工程に相当する。トータル殺菌時間Xは9.5秒であったから、気流調整工程は0付近~0.63Xの間実施された。
<試験3>パックご飯の製造
[実施例3]
(1)殺菌
実施例2で使用した装置の加熱室10内に、実施例2と同じ方法で浸漬米を載置した。米として国産こしひかりを用いた。水蒸気弁26と排気弁24とをともに開放し、加熱室10内を脱気した。その後、加熱室10内を、排気弁を閉じた後に、水蒸気を引き続き供給することによって最高圧0.28MPa、142℃の条件で、加圧加熱による殺菌を行った。次いで排気弁を開放し、水蒸気を排出した。操作を表5に示した。本例では、脱気操作において水蒸気供給口から供給された水蒸気が水蒸気排出口から排出されて気流が発生した。これに続いて水蒸気を供給する加圧操作においてはその気流の流れによって水蒸気を循環させて殺菌を行った。本例では脱気操作と加圧操作が、気流調整工程である。トータル殺菌時間Xは13.5秒であり、脱気操作は殺菌工程の初めから開始されたから、気流調整工程は0~0.62Xの間実施された。殺菌結果について、実施例4の結果と合わせて表7に示した。
(2)炊飯
前記殺菌後の米とグルコノデルタラクトンを溶解した調理水を100:75(重量比)で混合した。ただし、グルコノデルタラクトンの量は、当該米に対して0.455重量%となるようにした。次いで、下記条件で炊飯(調理)を行った。
炊飯:99℃以上、32分
蒸らし:75℃、15分
冷却:氷冷
炊飯された容器を定法に従い無菌的に密封し、パックご飯を製造した。
[実施例4]
(1)殺菌
実施例2で使用した装置の加熱室10内に、実施例2と同じ方法で浸漬米を充填した容器を載置した。米として国産こしひかりを用いた。制御弁28を閉じた状態で、水蒸気弁26を開き、排気弁24を閉じて、加熱室10内に水蒸気を供給した。1秒経過後に制御弁28徐々に開き、加熱室10を加圧した。所定の時間まで最高圧0.28MPa、143~144℃の条件で、加圧状態を継続した。その後、排気を行い、殺菌を行った。操作を表6に、殺菌結果を表7に示した。本例では、殺菌工程開始から1秒後に制御弁を開き始めたので、加圧操作において水蒸気供給口から供給された水蒸気が水蒸気排出口から排出されて気流が発生した。本例では加圧操作が気流調整工程である。水蒸気の流れが発生した。トータル殺菌時間Xは11.5秒であるから、1/11.5=0.1Xより、気流調整工程は0.1X~0.57Xの間実施された。
(2)炊飯
当該殺菌後の米から、実施例3と同じ方法でパックご飯を製造した。
実施例3のように脱気操作を最初に行うことによって、通常の条件よりさらに2秒間、殺菌工程を短縮することができた。また、パックご飯底部のサーモグラフィーの結果、F値、サーモグラフィーの温度分布の結果より、通常、殺菌が困難であるサンプル底部も十分に、かつ均一に加熱されており、効率よく殺菌されていることが明らかになった。
実施例4のように加圧1秒後から制御弁を徐々に開いた場合には、殺菌工程を実施例3よりも2秒間短縮することができた。また、加熱効率は実施例3よりもさらに高く、F値は2倍高く、かつ食品原料も十分に加熱されていた。サーモグラフィーによる温度分布の写真においても容器底部まで十分に加熱されていることが明らかになり、十分な殺菌強度(F値)を得ることができた。得られたパックご飯の風味も良好であり、特に品質的に問題ないパックご飯が得られることが明らかになった。
10 加熱室
20水蒸気循環器
22 ファン
24 排気弁
26 水蒸気弁、
28 制御機
30 水蒸気供給装置
a 水蒸気供給口、位置a
b 水蒸気排気口、位置b
T 食品材料が充填された容器
A 領域A
B 領域B

Claims (10)

  1. 加熱室に、粒状または麺状食品原料を装入する装入工程、
    加熱室に水蒸気を供給して、食品として有効な加熱殺菌を行う殺菌工程、および
    当該殺菌工程中に、加熱室において、特定の位置から水蒸気を供給して、当該位置に略対向する位置から前記水蒸気を排出して気流を発生させることを含む気流調整工程を備え、
    前記殺菌工程の時間をXとする場合、当該殺菌工程の開始から0.3Xの間に、前記気流調整工程を開始する、
    食品原料の殺菌方法。
  2. 前記加熱室と、水蒸気循環器とを備え、
    前記加熱室に設けられた水蒸気供給口と、当該水蒸気供給口に略対向する位置に設けられた水蒸気排気口とを介して、前記加熱室と前記水蒸気循環器とが接続されている装置、
    を用いて、前記装入工程、気流調整工程、および殺菌工程を実施する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水蒸気供給口が前記加熱室の鉛直方向上部に設けられている、請求項2に記載の方法。
  4. 前記気流調整工程が、前記加熱室内の気体を、前記水蒸気排気口から前記水蒸気循環器内に導入することを含む、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記水蒸気循環器が制御機を備え、
    前記気流調整工程が、当該制御機を用いて前記水蒸気循環器内に前記加熱室内の気体を導入することを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記制御機が制御弁である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記装入工程が、粒状または麺状食品原料が充填された開口部を有する容器を前記加熱室に装入することを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
  8. 前記食品原料が米である、請求項1~3のいずれかにに記載の方法。
  9. 請求項1~3のいずれかにに記載の方法で殺菌した食品原料を準備する工程、および
    当該殺菌済食品原料を調理する調理工程を備える、
    食品の製造方法。
  10. 請求項7に記載の方法で殺菌した、前記食品が充填された容器を準備する工程、
    前記食品が容器に充填されたまま、当該食品を調理する調理工程、および
    当該調理された食品が充填された容器の開口部をシール材で密封包装する密封工程、を含む、
    殺菌済密封食品の製造方法。
JP2022070024A 2022-04-21 2022-04-21 食品の殺菌方法 Pending JP2023160019A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022070024A JP2023160019A (ja) 2022-04-21 2022-04-21 食品の殺菌方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022070024A JP2023160019A (ja) 2022-04-21 2022-04-21 食品の殺菌方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023160019A true JP2023160019A (ja) 2023-11-02

Family

ID=88515879

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022070024A Pending JP2023160019A (ja) 2022-04-21 2022-04-21 食品の殺菌方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023160019A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6840665B2 (ja) マイクロ波レトルトシステム、マイクロ波レトルトシステムを用いて食品を加熱する方法、及びマイクロ波レトルト用に調合した食品
JP6014031B2 (ja) 滅菌状態で完全調理された即席飯の製造装置および方法
EP2849570B1 (en) Method of and system for surface pasteurization or sterilization of low-moisture particulate foods
AU2008256342B2 (en) Packaged food products
JP2009005674A (ja) 無菌化包装麦飯の製造方法
JP2023160019A (ja) 食品の殺菌方法
JP5627233B2 (ja) 無菌包装食品の製造方法
JP6898032B2 (ja) 醤類の製造方法及びこれによって製造された醤類
US7402326B2 (en) Process for producing cooked noodles
JP3308477B2 (ja) 無菌液体調理ソースの製造方法及び装置
JP2002262796A (ja) 包装麺類およびその製造方法
US20040208971A1 (en) Process for producing cooked noodles
JP2004283084A (ja) 容器入り粥の製造方法
EP1525806B1 (en) Process for producing cooked noodles
JP2001204414A (ja) 包装麺類およびその製造方法
JP2024024852A (ja) 食品の加熱調理装置
JP7334085B2 (ja) 包装米飯の製造方法、および包装米飯
JP3724639B2 (ja) 玄米餅
JP2937771B2 (ja) 包装麺の製造方法
JPH07170954A (ja) 密封包装食品の製造方法
KR101096341B1 (ko) 면류의 제조방법
JP5680300B2 (ja) 個食用米飯の製造方法
JP2002065183A (ja) 玄米加工食品
JPH0838086A (ja) 密封包装マカロニ類の製造方法
JPH07313122A (ja) 含気食品の缶内調理殺菌システム