JP2023153417A - 高弾性ヒアルロナン組成物およびその使用の方法 - Google Patents

高弾性ヒアルロナン組成物およびその使用の方法 Download PDF

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Abstract

【課題】眼乾燥状態を有効に処置し、注射用補強デバイスを使用して皮膚の欠点を最小にし、創傷治癒を促進する一方でこれらの状態に関連する疼痛を緩和する方法を提供する。【解決手段】本発明は、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感の緩和を必要とする被験体において、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感を緩和する方法を提供する。本方法は、被験体の眼にヒアルロナンを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を投与することを含み、ここで、ヒアルロナンが、組成物中に約30mg/mLを超える濃度で存在し;ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず、それにより、被験体における疼痛および不快感が緩和される。【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、2015年9月24日に出願された米国仮出願番号第62/232,364号の利益を主張しており、この仮出願の全体の内容は、参考として本明細書中に援用される。
発明の背景
ヒアルロナンまたはヒアルロン酸(HA)は、平均分子量が高い線状ポリサッカリドであり、結合組織、上皮組織、および神経組織の至る所に広く分布している。HAは、主に細胞外基質および細胞周囲マトリックスに見出されるが、細胞内に存在することも示されている。HAの生物学的機能には、液体状の結合組織(関節内の滑液および眼のガラス体など)の弾粘性の維持、組織の水和および水輸送の調節、細胞外基質内のプロテオグリカンの超分子集合、ならびに細胞の分離、有糸分裂、遊走、および腫瘍成長における多数の受容体に媒介される役割が含まれる。
HAのいくつかの公知の用途には、眼乾燥状態の処置、スキンケアにおける皮膚充填剤、および創傷治癒の促進が含まれる。しばしば、眼乾燥状態、スキンケア/皮膚科学的手技、ならびに創傷治癒は、疼痛および不快感に関連し、この疼痛および不快感には、典型的には、鎮痛薬を個別に適用する必要がある。上記の状態を処置するために現時点で使用されているHA処方物は、局所疼痛の処置で有効ではない。したがって、眼乾燥状態を有効に処置し、注射用補強デバイス(injectable augmentation device)を使用して皮膚の欠点を最小にし、創傷治癒を促進する一方でこれらの状態に関連する疼痛を緩和する方法が当該分野で必要とされている。
発明の概要
本発明者らは、高濃度のHAを含む組成物(例えば、HA濃度が約30mg/mL(約3%重量/体積)またはそれを超える組成物)を、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感の緩和、皮膚科学的手技、および創傷治癒のために有効に使用することができることを発見した。特定の理論に拘束されることを望まないが、疼痛および不快感処置のための高濃度のHAを含む本発明のHA組成物の有効性が、高値の弾性係数G’によって証明されるその弾性の高さによって決定されると考えられる。特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明のHA組成物の有効性が、HA分子の疼痛変換チャネル(TRPV1など)との相互作用の確率が比較的高く、それにより、侵害受容器興奮性が軽減されることによって決定されるとも考えられる。
したがって、本発明は、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感の緩和を必要とする被験体において、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感を緩和する方法を提供する。本方法は、被験体の眼にヒアルロナンを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を投与することを含み、ここで、ヒアルロナンが、組成物中に約30mg/mLを超える濃度(例えば、約35mg/mLまたはそれを超える濃度、約40mg/mLまたはそれを超える濃度、約45mg/mLまたはそれを超える濃度、約50mg/mLまたはそれを超える濃度、約55mg/mLまたはそれを超える濃度、約60mg/mLまたはそれを超える濃度、約65mg/mLまたはそれを超える濃度、約70mg/mLまたはそれを超える濃度、約75mg/mLまたはそれを超える濃度、約80mg/mLまたはそれを超える濃度、約85mg/mLまたはそれを超える濃度、約90mg/mLまたはそれを超える濃度、約95mg/mLまたはそれを超える濃度、または約100mg/mLまたはそれを超える濃度)で存在し;ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず、それにより、被験体における疼痛および不快感が緩和される。
別の態様では、ヒアルロナンは、組成物中に約40mg/mL~約60mg/mLの濃度で存在する。
いくつかの実施形態では、本発明はまた、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感の緩和を必要とする被験体において、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感を緩和する方法であって、被験体の眼にヒアルロナンを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を投与することを含み、ここで、ヒアルロナンが組成物中に少なくとも約40mg/mLの濃度で存在し;ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず、それにより、被験体における疼痛および不快感が緩和される、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、組成物は他の薬学的に活性な物質を実質的に含まない。
一定の態様では、組成物はポリグリコールを含まない。
いくつかの実施形態では、組成物は、緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))をさらに含む。
いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約200パスカル;周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約1,000パスカル;周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約2,000パスカル;または周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約4,000パスカルである。
いくつかの実施形態では、組成物は、ゲル、軟膏、塗布剤、ローション、またはクリームの形態である。
いくつかの態様では、組成物を、被験体の眼表面(眼瞼下(例えば、上眼瞼下または下眼瞼下)または角膜-眼瞼境界など)に投与する。
特定の実施形態では、組成物を、被験体に休憩または就寝の直前に投与する。
いくつかの態様では、組成物を、注射を用いずに被験体の眼内に投与する。
いくつかの態様では、組成物を、容器(例えば、軟プラスチックボトル、チューブ、エアレスチューブ、アイカップ、ドロッパー、またはカートリッジなどの単回投与用容器)を使用して投与する。
いくつかの実施形態では、眼乾燥状態は、眼球の乾燥;涙の産生、体積、および流れの減少;涙組成の異常;涙容量オスモル濃度の増加;角膜炎;結膜および角膜の着色;発赤;視界不良(blurry vision);涙液層破壊時間の減少;結膜発赤の増加;涙液層内のデブリの過剰、眼に砂が入ったような感じ(ocular grittiness);眼の灼熱感(ocular burning);眼内の異物感;涙の分泌過剰;羞明;眼の刺激感(ocular stinging);屈折機能障害(refractive impairment);眼過敏症(ocular sensitivity);および眼球刺激(ocular irritation)からなる群から選択される1つまたはそれを超える症状に関連する。他の実施形態では、眼乾燥状態は、自己免疫障害;眼科手術;薬物摂取;乾燥した環境条件;長時間のコンピュータの使用;眼球疲労;長時間のコンタクトレンズ装着による角膜過敏症;部分的閉瞼;表面のむら;眼瞼のむら;および角膜損傷に関連する角膜侵害受容性疼痛に関連する状態または神経因性疼痛に関連する状態からなる群から選択される状態に関連する。1つのさらなる実施形態では、眼乾燥状態は、眼科手術に関連し、眼科手術は、光屈折手術(光学的屈折矯正角膜切除術(PRK)など)、白内障手術、網膜剥離手術、レーザー角膜内切削形成術(LASIK)、および角膜感覚神経損傷に関与する任意の角膜手術手技からなる群から選択される。さらなる実施形態では、眼乾燥状態は、神経因性疼痛に関連する状態(例えば、白内障もしくは網膜剥離または白内障もしくは網膜剥離を処置するためにデザインされた手術)に関連する。
いくつかの態様では、組成物を、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、4週間、または10週間にわたって毎日投与する。他の態様では、被験体において疼痛および不快感が長期間(例えば、8時間、12時間、24時間、1日間、3日間、5日間、7日間、14日間、または28日間)緩和される。
いくつかの実施形態では、被験体は、哺乳動物(例えば、ヒト)である。
さらに別の態様では、本発明はまた、疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点の最小化を必要とする被験体において、疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点を最小化する方法を提供する。本方法は、被験体にヒアルロナンを含む組成物を投与することを含み、ここで、ヒアルロナンが、組成物中に約30mg/mLを超える濃度で存在し;ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず;組成物が他の薬学的に活性な物質を実質的に含まず、それにより、疼痛を緩和し、且つ少なくとも1つの皮膚の欠点を最小にする。
いくつかの実施形態では、ヒアルロナンは、約40mg/mL~約60mg/mLの濃度で存在する。
1つのさらなる態様では、本発明はまた、疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点の最小化を必要とする被験体において、疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点を最小化する方法であって、被験体にヒアルロナンを含む組成物を投与することを含み、ここで、ヒアルロナンが組成物中に少なくとも約40mg/mLの濃度で存在し;ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず;組成物が他の薬学的に活性な物質を実質的に含まず、それにより、疼痛を緩和し、且つ少なくとも1つの皮膚の欠点を最小にする、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、他の薬学的に活性な物質は、局所麻酔薬(例えば、リドカインまたはブピバカイン)である。
一定の態様では、組成物はまた、緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))を含む。
いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約200パスカル;周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約1,000パスカル;周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約2,000パスカル;または周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約4,000パスカルである。
いくつかの態様では、組成物は無菌である。
特定の実施形態では、組成物を、被験体への皮内注射によって投与する。さらなる実施形態では、組成物を、被験体の顔面に注射する。例えば、組成物を、鼻唇領域、上唇領域、前頭部、眼領域、および頬領域からなる群から選択される領域内に注射する。
いくつかの態様では、組成物を、充填済みシリンジ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10mLの充填済みシリンジ)を使用した注射によって投与する。1つのさらなる態様では、充填済みシリンジは滅菌されている。
別の態様では、本発明はまた、疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒の促進を必要とする被験体において、疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒を促成する方法を提供する。本方法は、被験体にヒアルロナンを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を投与することを含み、ここで、ヒアルロナンが、組成物中に約30mg/mLを超える濃度で存在し;ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず、それにより、疼痛が緩和され、且つ創傷治癒が促進される。
1つのさらなる実施形態では、ヒアルロナンは、約40mg/mL~約60mg/mLの濃度で存在する。
さらなる態様では、本発明はまた、疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒の促進を必要とする被験体において、疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒を促成する方法であって、被験体にヒアルロナンを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を投与することを含み、ここで、ヒアルロナンが組成物中に少なくとも約40mg/mLの濃度で存在し;ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず、それにより、疼痛が緩和され、且つ創傷治癒が促進される、方法を提供する。
いくつかの態様では、組成物は、他の薬学的に活性な物質(局所麻酔薬(例えば、リドカインまたはブピバカイン)など)を実質的に含まない。
いくつかの実施形態では、組成物は、緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))をさらに含む。
いくつかの態様では、組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約200パスカル;周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約1,000パスカル;周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約2,000パスカル;または周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約4,000パスカルである。
いくつかの実施形態では、組成物は無菌である。
特定の実施形態では、組成物を、局所に(例えば、皮膚上の創傷または瘢痕の表面上に)投与する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感の緩和を必要とする被験体において、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感を緩和する方法であって、前記被験体の眼にヒアルロナンを含む組成物を投与することを含み、ここで、
前記ヒアルロナンが、前記組成物中に約30mg/mLを超える濃度で存在し;
前記ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;
前記ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず、それにより、前記被験体における前記疼痛および不快感が緩和される、方法。
(項目2)
ヒアルロナンが、組成物中に約40mg/mL~約60mg/mLの濃度で存在する、項目1に記載の方法。
(項目3)
眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感の緩和を必要とする被験体において、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感を緩和する方法であって、前記被験体の眼にヒアルロナンを含む組成物を投与することを含み、ここで、
前記ヒアルロナンが前記組成物中に少なくとも約40mg/mLの濃度で存在し;
前記ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;
前記ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず、それにより、前記被験体における前記疼痛および不快感が緩和される、方法。
(項目4)
前記組成物が他の薬学的に活性な物質を実質的に含まない、項目1または3に記載の方法。
(項目5)
前記組成物がポリグリコールを含まない、項目1または3に記載の方法。
(項目6)
前記組成物が緩衝液をさらに含む、項目1または3に記載の方法。
(項目7)
前記緩衝液がリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、項目1または3に記載の方法。(項目8)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約200パスカルである、項目1または3に記載の方法。
(項目9)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約1,000パスカルである、項目1または3に記載の方法。
(項目10)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約2,000パスカルである、項目1または3に記載の方法。
(項目11)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約4,000パスカルである、項目1または3に記載の方法。
(項目12)
前記組成物が無菌である、項目1または3に記載の方法。
(項目13)
前記組成物がゲル、軟膏、塗布剤、ローション、またはクリームの形態である、項目1または3に記載の方法。
(項目14)
前記組成物を眼表面に投与する、項目1または3に記載の方法。
(項目15)
前記組成物を前記被験体の眼瞼下に投与する、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記組成物を角膜-眼瞼境界に投与する、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記組成物を、前記被験体に休憩または就寝の直前に投与する、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記組成物を、注射を用いずに前記被験体の眼内に投与する、項目1または3に記載の方法。
(項目19)
前記組成物を、単回投与用容器、軟プラスチックボトル、チューブ、エアレスチューブ、アイカップ、ドロッパー、およびカートリッジからなる群から選択される容器を使用して投与する、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記眼乾燥状態が、眼球の乾燥;涙の産生、体積、および流れの減少;涙組成の異常;涙容量オスモル濃度の増加;角膜炎;結膜および角膜の着色;発赤;視界不良;涙液層破壊時間の減少;結膜発赤の増加;涙液層内のデブリの過剰、眼に砂が入ったような感じ;眼の灼熱感;眼内の異物感;涙の分泌過剰;羞明;眼の刺激感;屈折機能障害;眼過敏症;眼球刺激、および長時間のコンタクトレンズ装着に起因する不快感からなる群から選択される1つまたはそれを超える症状に関連する、項目1または3に記載の方法。
(項目21)
前記眼乾燥状態が、自己免疫障害;眼科手術;薬物摂取;乾燥した環境条件;長時間のコンピュータの使用;眼球疲労;コンタクトレンズ装着による角膜過敏症;部分的閉瞼;表面のむら;眼瞼のむら;および神経因性疼痛に関連する状態からなる群から選択される状態に関連する、項目1または3に記載の方法。
(項目22)
前記眼乾燥状態が眼科手術に関連し、前記眼科手術が、光屈折手術、白内障手術、網膜剥離手術、レーザー角膜内切削形成術(LASIK)、および角膜感覚神経損傷に関与する任意の角膜手術手技からなる群から選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記眼乾燥状態が神経因性疼痛に関連する状態に関連し、前記状態が白内障または網膜剥離後の手術である、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記組成物を、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、4週間、または10週間にわたって毎日投与する、項目14に記載の方法。
(項目25)
前記被験体において疼痛および不快感が長期間緩和される、項目1または3に記載の方法。
(項目26)
前記長期間が、8時間、12時間、24時間、1日間、3日間、5日間、7日間、14日間、または28日間である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記被験体が哺乳動物である、項目1または3に記載の方法。
(項目28)
前記被験体がヒトである、項目27に記載の方法。
(項目29)
疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点の最小化を必要とする被験体において、疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点を最小化する方法であって、前記被験体にヒアルロナンを含む組成物を投与することを含み、ここで、
前記ヒアルロナンが、前記組成物中に約30mg/mLを超える濃度で存在し;
前記ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;
前記ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず;
前記組成物が他の薬学的に活性な物質を実質的に含まず、それにより、前記疼痛を緩和し、且つ前記少なくとも1つの皮膚の欠点を最小にする、方法。
(項目30)
ヒアルロナンが約40mg/mL~約60mg/mLの濃度で存在する、項目29に記載の方法。
(項目31)
疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点の最小化を必要とする被験体において、疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点を最小化する方法であって、前記被験体にヒアルロナンを含む組成物を投与することを含み、ここで、
前記ヒアルロナンが前記組成物中に約40mg/mLの濃度で存在し;
前記ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;
前記ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず;
前記組成物が他の薬学的に活性な物質を実質的に含まず、それにより、前記疼痛を緩和し、且つ前記少なくとも1つの皮膚の欠点を最小にする、方法。
(項目32)
前記他の薬学的に活性な物質が局所麻酔薬である、項目29または31に記載の方法。(項目33)
前記局所麻酔薬がリドカインまたはブピバカインである、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記組成物が緩衝液をさらに含む、項目29または31に記載の方法。
(項目35)
前記緩衝液がリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約200パスカルである、項目29または31に記載の方法。
(項目37)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約1,000パスカルである、項目29または31に記載の方法。
(項目38)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約2,000パスカルである、項目29または31に記載の方法。
(項目39)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約4,000パスカルである、項目29または31に記載の方法。
(項目40)
前記組成物が無菌である、項目29または31に記載の方法。
(項目41)
前記組成物を、前記被験体への皮内注射によって投与する、項目29または31に記載の方法。
(項目42)
前記組成物を、前記被験体の顔面、頸部、腕、脚、胴、および胸部からなる群から選択される前記被験体の領域内に注射する、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記組成物を、鼻唇領域、上唇領域、前頭部、眼領域、および頬領域からなる群から選択される領域内に注射する、項目41に記載の方法。
(項目44)
前記組成物を、充填済みシリンジを使用した注射によって投与する、項目41に記載の方法。
(項目45)
前記充填済みシリンジが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10mLの充填済みシリンジである、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記充填済みシリンジが滅菌されている、項目45に記載の方法。
(項目47)
疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒の促進を必要とする被験体において、疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒を促成する方法であって、前記被験体にヒアルロナンを含む組成物を投与することを含み、ここで、
前記ヒアルロナンが、前記組成物中に約30mg/mLを超える濃度で存在し;
前記ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;
前記ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず、それにより、前記疼痛が緩和され、且つ前記創傷治癒が促進される、方法。
(項目48)
ヒアルロナンが約40mg/mL~約60mg/mLの濃度で存在する、項目47に記載の方法。
(項目49)
疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒の促進を必要とする被験体において、疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒を促成する方法であって、前記被験体にヒアルロナンを含む組成物を投与することを含み、ここで、
前記ヒアルロナンが前記組成物中に約40mg/mLの濃度で存在し;
前記ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;
前記ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず、それにより、前記疼痛が緩和され、且つ前記創傷治癒が促進される、方法。
(項目50)
前記組成物が他の薬学的に活性な物質を実質的に含まない、項目47または49に記載の方法。
(項目51)
前記組成物が緩衝液をさらに含む、項目47または49に記載の方法。
(項目52)
前記緩衝液がリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約200パスカルである、項目47または49に記載の方法。
(項目54)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約1,000パスカルである、項目47または49に記載の方法。
(項目55)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約2,000パスカルである、項目47または49に記載の方法。
(項目56)
前記組成物の弾性が、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも約4,000パスカルである、項目47または49に記載の方法。
(項目57)
前記組成物が無菌である、項目47または49に記載の方法。
(項目58)
前記組成物を局所投与する、項目47または49に記載の方法。
(項目59)
前記組成物を、前記皮膚上の創傷または瘢痕の表面上に局所投与する、項目58に記載の方法。
図1は、異なるサイズの針から4%HA溶液を排出するのに必要な圧力を示すグラフである。
発明の詳細な説明
本発明は、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感の緩和;スキンケア/皮膚科学的処置、および創傷治癒の方法を提供する。本特許請求の範囲に記載の方法は、高濃度のヒアルロナン(HA)(例えば、約30mg/mLまたはそれを超える)を含むHA組成物を投与することを含む。かかる組成物は、周波数0.1~10Hzで測定した場合に高い弾性(例えば、高い弾性係数G’)を有すると判断された。高弾性によって特徴付けられたHA組成物(例えば、高濃度のHAを含む組成物)は、驚いたことに、眼乾燥状態に起因する疼痛および不快感の緩和;美容上の処置;または創傷治癒に有効である。特定の理論に拘束されることを望まないが、疼痛および不快感の処置における高濃度のHAを含む本発明のHA組成物の有効性が、高値の弾性係数G’によって証明されるその高弾性によって決定されると考えられる。特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明のHA組成物の有効性が、HA分子の疼痛変換チャネル(TRPV1など)との相互作用の確率が比較的高く、それにより、侵害受容器興奮性が軽減されることによって決定されるとも考えられる。本発明の方法で使用したHAの平均分子量は、200万またはそれ未満(例えば、約100万~200万)であり得る。
I.本発明の方法で用いるヒアルロナン組成物
本発明は、ヒアルロナン(HA)を含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物はヒアルロナンを含み、ヒアルロナンが、組成物中に約30mg/mLを超える(すなわち約3%重量/体積を超える)濃度で存在し;ヒアルロナンの平均分子量は約100万と約200万との間であり;ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まない。
例えば、組成物中のヒアルロナン濃度は、約30mg/mL(すなわち約3%w/v)、約35mg/mL(すなわち約3.5%w/v)、約40mg/mL(すなわち約4%w/v)、約45mg/mL(すなわち約4.5%w/v)、約50mg/mL(すなわち約5%w/v)、約55mg/mL(すなわち約5.5%w/v)、約60mg/mL(すなわち約6%w/v)、約65mg/mL(すなわち約6.5%w/v)、約70mg/mL(すなわち約7%w/v)、約75mg/mL(すなわち約7.5%w/v)、約80mg/mL(すなわち約8%w/v)、約85mg/mL(すなわち約8.5%w/v)、約90mg/mL(すなわち約9%w/v)、約95mg/mL(すなわち約9.5%w/v)、約100mg/mL(すなわち約10%w/v)、約105mg/mL(すなわち約10.5%w/v)、約110mg/mL(すなわち約11%w/v)約115mg/mL(すなわち約11.5%w/v)、約120mg/mL(すなわち約12%w/v)、約125mg/mL(すなわち約12.5%w/v)、約130mg/mL(すなわち約13%w/v)、約135mg/mL(すなわち約13.5%w/v)、約140mg/mL(すなわち約14%w/v)、約145mg/mL(すなわち約14.5%w/v)、または約150mg/mL(すなわち約15%w/v)であり得る。1つの特定の実施形態では、HAは、組成物中に、約40mg/mL(すなわち約4%w/v)の濃度で存在する。他の特定の実施形態では、HAは、本発明の組成物中に、約41mg/mL(すなわち約4.1%w/v)、約42mg/mL(すなわち約4.2%w/v)、約43mg/mL(すなわち約4.3%w/v)、約44mg/mL(すなわち約4.4%w/v)、約45mg/mL(すなわち約4.5%w/v)、約46mg/mL(すなわち約4.6%w/v)、約47mg/mL(すなわち約4.7%w/v)、約48mg/mL(すなわち約4.8%w/v)、約49mg/mL(すなわち約4.9%w/v)、約50mg/mL(すなわち約5.0%w/v)、約51mg/mL(すなわち約5.1%w/v)、約52mg/mL(すなわち約5.2%w/v)、約53mg/mL(すなわち約5.3%w/v)、約54mg/mL(すなわち約5.4%w/v)、約55mg/mL(すなわち約5.5%w/v)、約56mg/mL(すなわち約5.6%w/v)、約57mg/mL(すなわち約5.7%w/v)、約58mg/mL(すなわち約5.8%w/v)、59mg/mL(すなわち約5.9%w/v)、または約60mg/mL(すなわち約6%w/v)の濃度で存在する。
いくつかの例では、組成物中のヒアルロナン濃度は、約30mg/mL(すなわち約3%w/v)超(例えば、約31mg/mL(すなわち約3.1%)超、約32mg/mL(すなわち約3.2%)超、約33mg/mL(すなわち約3.3%)超、約34mg/mL(すなわち約3.4%)超、約35mg/mL(すなわち約3.5%)超、約36mg/mL(すなわち約3.6%)超、約37mg/mL(すなわち約3.7%)超、約38mg/mL(すなわち約3.8%)超、または約39mg/mL(すなわち約3.9%)超であり得る。
いくつかの例では、組成物中のヒアルロナン濃度は、平均分子量が、約100万と約200万との間(例えば、約110万と約200万との間、約120万と約200万との間、約130万と約200万との間、約140万と約200万との間、約150万と約200万との間、または約160万と約200万との間)であり得る。
特定の実施形態では、組成物中で使用されるヒアルロナンは、架橋しておらず、そして/または化学修飾を含まない。例えば、組成物中で使用されるヒアルロナンは、例えば、欧州特許第1095064B1号に記載のHAのカルボキシル基と誘導体化剤のアミン基との間の反応によって形成され得るアミド化を含まない。組成物中で使用されるヒアルロナンはまた、例えば、米国特許第8,323,617号に記載のヒアルロナンのカルボジイミド(モノカルボジイミドまたはビスカルボジイミドなど)との反応に起因し得る化学修飾および/または架橋を含まなくてよい。いくつかの場合、組成物中で使用されるヒアルロナンはまた、米国特許出願公開第2010/0048755号に記載のアクリレート(例えば、メタクリレート);例えば、米国特許出願公開第2013/0209531号に記載のスルフェート;および、例えば、米国特許出願公開第2015/0148310号に記載の重水素を含まなくてよい。
いくつかの実施形態では、本発明のHA組成物は、他の薬学的に活性な物質を含まない。本明細書中で使用される場合、「薬学的に活性な物質」は、被験体(例えば、ヒトまたは動物の被験体)に生物学的効果を発揮することができる物質である。用語「薬学的に活性な物質」はまた、HA組成物の生物学的効果を、この組成物を被験体に投与した場合に調整すること(例えば、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感の緩和;スキンケア/皮膚科学的処置、または創傷治癒)が可能な物質を含む。特定の実施形態では、薬学的に活性な物質は、タンパク質(例えば、骨形態形成タンパク質(BMP)(rhGDF-5など))である。特定の実施形態では、薬学的に活性な物質は、HAと異なるグリコサミノグリカン(GAG)(例えば、コンドロイチン)である。いくつかの実施形態では、薬学的に活性な物質は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。他の実施形態では、薬学的に活性な物質は、局所麻酔薬(リドカインまたはブピバカインなど)である。いくつかの場合、薬学的に活性な物質は、プリン受容体アゴニスト(例えば、P2Y受容体アゴニスト)である。
特定の実施形態では、本発明のHA組成物は、フリーラジカルを捕捉することができる分子(ポリオール(例えば、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、またはイソマルト)など)を含まない。他の実施形態では、本発明の方法で使用されるHA組成物は、HAの弾性を減少させる分子(例えば、デキストランまたはスクロース)を含まない。
いくつかの場合、本発明の方法で使用されるHA組成物は、ポリグリコール(例えば、ポリエチレングリコール)を含まない。
HA組成物は、生理学的緩衝液(例えば、リン酸緩衝液または重炭酸塩緩衝液)中に約30mg/mL(約3%w/v)、または約40mg/mL(約4%w/v)を超える濃度で存在し、平均分子量が約100万と約200万との間であるHAから本質的になり得る。例えば、本発明の方法で使用されるHA組成物は、約40mg/mL(すなわち約4%w/v)の濃度で存在し、平均分子量が約100万と約200万との間であるHAから本質的になる。
本発明の方法で使用される組成物におけるヒアルロナンは、弾性が周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも100パスカル、または弾性が周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも400パスカル、または弾性が周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも1,000パスカル、または弾性が周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも2,000パスカル、または弾性が周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも4,000パスカル、または弾性が周波数0.5Hzで測定した場合に400パスカルと5,000パスカルとの間であり得る。
種々の方法がバイオポリマー(ヒアルロナンなど)の弾性の測定に利用可能であると認識すべきである。1つの実施形態では、ヒアルロナンを含む組成物の弾性を、特定の周波数(ヘルツで示す)での圧力(パスカルで示す)として測定する。例えば、本明細書中に提供したヒアルロナン組成物の弾性を評価するために使用することができる周波数を、0.5Hz、2.5Hz、または5.0Hzで測定することができる。
弾性を任意の関連する周波数で示すことができるとさらに認識すべきである。したがって、例えば、1つの実施形態では、周波数2.5Hzに基づいて弾性を示し、高弾性ヒアルロナンを含む組成物は、弾性が周波数2.5Hzで少なくとも200Paの組成物である。同様に、1つの実施形態では、周波数5.0Hzに基づいて弾性を示し、高弾性ヒアルロナンを含む組成物は、弾性が周波数5.0Hzで少なくとも400Paである組成物である。
1つの実施形態では、本特許請求の範囲に記載の方法で用いるヒアルロナンを含む組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも100パスカルである。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数2.5Hzで測定した場合に少なくとも300パスカルである。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数5.0Hzで測定した場合に少なくとも350パスカルである。
1つのさらなる実施形態では、ヒアルロナンを含む組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも400パスカルである。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数2.5Hzで測定した場合に少なくとも750パスカルである。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数5.0Hzで測定した場合に少なくとも900パスカルである。
別の実施形態では、ヒアルロナンを含む組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも1000パスカルである。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数2.5Hzで測定した場合に少なくとも1600パスカルである。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数5.0Hzで測定した場合に少なくとも2000パスカルである。
さらに別の実施形態では、ヒアルロナンを含む組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも2600パスカルである。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数2.5Hzで測定した場合に少なくとも4000パスカルである。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数5.0Hzで測定した場合に少なくとも4500パスカルである。
1つの実施形態では、ヒアルロナンを含む組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に少なくとも4000パスカルである。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数2.5Hzで測定した場合に少なくとも5000パスカルである。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数5.0Hzで測定した場合に少なくとも6000パスカルである。
いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に100パスカルと10,000パスカルとの間である。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に400パスカルと5,000パスカルとの間である。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数0.5Hzで測定した場合に1,000パスカルと2,000パスカルとの間である。
いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数2.5Hzで測定した場合に300パスカルと10,000パスカルとの間である。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数2.5Hzで測定した場合に750パスカルと6,000パスカルとの間である。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数2.5Hzで測定した場合に1,500パスカルと4,000パスカルとの間である。
いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数5.0Hzで測定した場合に300パスカルと10,000パスカルとの間である。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数5.0Hzで測定した場合に900パスカルと7,000パスカルとの間である。いくつかの実施形態では、組成物の弾性は、周波数5.0Hzで測定した場合に2,000パスカルと5,000パスカルとの間である。
いくつかの実施形態では、弾性を、適切なデバイス(例えば、レオメーター)を使用して測定することができる。例えば、弾性を、Stresstech High Resolution Researchのレオメーター(Reologica Instruments AB)を使用して測定することができる。典型的には、弾性を周囲温度および周囲圧力で決定するが;弾性を非周囲温度および/または非周囲圧力で測定することもできると認識すべきである。当業者が種々の温度および圧力で決定した弾性の規模を周囲温度および周囲圧力での弾性の規模に変換する方法を承知しているとさらに認識すべきである。
ヒアルロナンの高弾性組成物を、組成物中のヒアルロナン濃度を増加させることによって調製することができる。したがって、1つの態様では、本特許請求の範囲に記載の方法は、ヒアルロナン比率が高い高弾性を有する組成物を利用する。例えば、組成物は、少なくとも3.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも3.5%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも4.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも4.5%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも5.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも5.5%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも6.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも6.5%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも7.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも7.5%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも8.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも8.5%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも8.9%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも9.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも10.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも11.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも12.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも13.0%のヒアルロナン(重量/体積)、少なくとも14.0%のヒアルロナン(重量/体積)、または少なくとも15.0%、またはそれを超えるヒアルロナン(重量/体積)を含み得る。
引用した値の中間の範囲も、本発明の方法で用いる組成物中に含まれることが意図される。例えば、組成物中のヒアルロナン含有量は、約3%と約15%(重量/体積)との間、約3%と約10%(重量/体積)との間、約3.5%と約9%(重量/体積)との間、約4%と約8%(重量/体積)との間、または約5%と約7%(重量/体積)との間であり得る。
特定の体積中のヒアルロナンの量を代替手段(例えば、グラム/リットルまたはモル/リットル)で示すこともできることをさらに認識すべきである。当業者は、特定の体積中のヒアルロナン量を示す種々の手段を変換する方法を承知している。
平均分子量が約1~200万の高濃度のヒアルロナンを有するヒアルロナンの組成物は、疼痛(例えば、眼乾燥状態、美容上の処置、または創傷治癒に関連する疼痛)の処置において特に有効である。したがって、本明細書中に記載のHA組成物中に含まれるヒアルロナンの平均分子量は、100万と200万との間の範囲内に含まれ得、200万未満、190万未満、180万未満、170万未満、160万未満、150万未満、140万未満、130万未満、120万未満、110万未満、100万未満、90万未満、80万未満、70万未満、60万未満、または50万未満でもある。他の場合、本明細書中に記載のHA組成物中に含まれるヒアルロナンの平均分子量は、100万と200万との間の範囲内に含まれ得、10万超、20万超、30万超、40万超、50万超、60万超、70万超、80万超、90万超、100万超、110万超、120万超、130万超、140万超、150万超、160万超、170万超、180万超、または190万超でもある。
引用した値の中間の範囲も本発明の一部であることが意図される。例えば、本明細書中に提供したヒアルロナンの組成物では、ヒアルロナンの平均分子量は、100万と200万との間、100万と150万との間、50万と100万との間、50万と200万との間、または90万と140万との間である。
本明細書中に記載のヒアルロナンの組成物のいくつかの実施形態では、組成物中に存在する大部分のヒアルロナンの平均分子量は、本明細書中に記載の範囲内に含まれる。したがって、例えば、平均分子量が20万と200万との間のヒアルロナンを有する組成物では、組成物中に存在する少なくとも95%のヒアルロナンが、20万と200万との間の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した組成物中に存在する少なくとも50%のヒアルロナンの平均分子量は、引用した範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した組成物中に存在する少なくとも60%のヒアルロナンの平均分子量は、引用した範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した組成物中に存在する少なくとも70%のヒアルロナンの平均分子量は、引用した範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した組成物中に存在する少なくとも80%のヒアルロナンの平均分子量は、引用した範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した組成物中に存在する少なくとも90%のヒアルロナンの平均分子量は、引用した範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した組成物中に存在する少なくとも95%のヒアルロナンの平均分子量は、引用した範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した組成物中に存在する少なくとも98%のヒアルロナンの平均分子量は、引用した範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した組成物中に存在する少なくとも99%のヒアルロナンの平均分子量は、引用した範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供した組成物中に存在する少なくとも99.9%のヒアルロナンの平均分子量は、引用した範囲内に含まれる。
II.ヒアルロナンの供給源
本明細書中に記載の組成物および方法で使用されるヒアルロナンを、任意の供給源から得ることができる。一般に、ヒアルロナンは、その供給源(例えば、ニワトリまたは雄鶏の鶏冠、ヒト組織、または細菌細胞壁)と無関係に同一の化学構造を有する。ヒアルロナンを、例えば、ニワトリまたは雄鶏の鶏冠、細菌細胞壁、およびヒト組織(臍帯、硝子体、関節由来の滑液など)から得ることができる。いくつかの実施形態では、ヒアルロナンを、ニワトリの鶏冠から単離する。いくつかの実施形態では、ヒアルロナンを、ヒト組織(例えば、臍帯、硝子体、関節由来の滑液)から単離する。いくつかの実施形態では、ヒアルロナンを、細胞培養物から単離する。いくつかの実施形態では、ヒアルロナンを細菌細胞壁から単離する。種々の供給源からのヒアルロナンの単離は、当業者に公知である。例えば、雄鶏の鶏冠からのヒアルロナンの採取および精製は米国特許第4,141,973号に記載されており、一方、細菌供給源からのヒアルロナンの採取および精製は米国特許第4,517.295号に記載されている。いくつかの実施形態では、ヒアルロナンを、pH6~8の0.15M NaCl溶液において精製および採取する。一般に、種々の供給源から得たヒアルロナンは、ヒアルロナン以外のタンパク質やグリコサミノグリカンを含まない。
いくつかの実施形態では、単離したヒアルロナンをさらに精製して、所望の平均分子量範囲を有するヒアルロナンを得る(例えば、カラムクロマトグラフィによる)。所望の平均分子量範囲を有するヒアルロナンの精製方法は、当業者に公知である。
1つの態様では、本明細書中に開示の高弾性ヒアルロナンは、未修飾ヒアルロナンである。しかし、いくつかの実施形態では、ヒアルロナンを化学修飾することができると認識すべきである。例えば、ヒアルロナンを化学修飾して、ヒアルロナンの弾性を増大させることができる。
III.ヒアルロナン組成物の滅菌
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載され、本発明の方法で使用されるHA組成物は無菌である。「無菌組成物」は、本明細書中で使用される場合、被験体(例えば、ヒト被験体)に安全に投与される組成物をいう。したがって、無菌組成物は、望ましくない副作用(望ましくない組織応答、免疫応答、炎症、または感染など)を引き起こし得る薬剤を最小数しか含まない。
ヒアルロナン組成物の滅菌方法は、当該分野で公知であり、例えば、加熱滅菌または蒸気滅菌(例えば、高圧蒸気殺菌による)が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明のHA組成物を、組成物の加熱によって滅菌する。いくつかの実施形態では、本発明のHA組成物を、シリンジ内にHA組成物を含め、HAを含むシリンジを131℃で2分間または121℃で15分間高圧蒸気殺菌し、その直後に冷却することによって滅菌する。
IV.ヒアルロナン組成物のためのさらなる構成要素
本明細書中に記載のHA組成物は、ヒアルロナンを安定化し、そして/または組成物を被験体への投与により適切にすることができるさらなる構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、本発明のHA組成物は緩衝液を含み得る。緩衝液を、pHを安定にするために添加する。本発明での使用に適切な緩衝液には、リン酸緩衝液および重炭酸塩緩衝液が含まれる。いくつかの実施形態では、緩衝液はトリス-リン酸緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、1mMと100mMとの間、2mMと50mMとの間、または5mMと20mMとの間の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、緩衝液濃度は1mM未満である。いくつかの実施形態では、緩衝液濃度は100mMを超える。いくつかの実施形態では、緩衝液濃度は10mMである。緩衝液濃度が使用される緩衝液の性質に依存すると認識すべきである。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、pH7とpH9との間またはpH7.5とpH8.5との間である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは8.0である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは7.5である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは8.5である。必要に応じて、酸(HCLなど)または塩基(NaOHなど)を組成物に添加して所望のpHを得ることができる。
例えば、HA組成物は、緩衝液(例えば、生理学的に適合する緩衝液)を含み得るが、いかなるさらなる構成要素も含まない。
HA組成物はまた、安定化賦形剤(カルボン酸またはその塩など)を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、モノカルボン酸および/またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、グルコン酸および/またはグルコン酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ジカルボン酸および/またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、クエン酸、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸、および/またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、カルボン酸はクエン酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、トリカルボン酸(tricarboxylic
aid)(TCA)および/またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ニトリロ三酢酸および/またはニトリロ三酢酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、テトラカルボン酸および/またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetracetic acid)(EDTA)および/またはEDTAナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ペンタカルボン酸および/またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)および/またはDTPAナトリウムを含む。適切なカルボン酸には、クエン酸塩化合物(クエン酸ナトリウムなど);酒石酸塩化合物、コハク酸塩化合物、およびEDTAが含まれるが、これらに限定されない。Kaushilら、Protein Science 1999 8:222-233およびBusbyら、the Journal of Biological
Chemistry Volume 256、Number 23 pp 12140-1210-12147は、カルボン酸およびその使用を記載している。いくつかの実施形態では、安定化賦形剤の濃度は、50~600mM、250~500mM、または250~350mMである。いくつかの実施形態では、安定化賦形剤の濃度は300mMである。いくつかの実施形態では、安定化賦形剤の濃度は100mM未満である。いくつかの実施形態では、安定化賦形剤の濃度は600mMを超える。
本明細書中に記載のHA組成物はまた、糖(例えば、二糖)を含み得る。組成物に添加することができる二糖には、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、デキストロース、およびデキストランが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの場合、糖は0.5~5%(wt/体積)存在し得る。いくつかの場合、糖は1~2%(wt/体積)存在し得る。1つの実施形態では、糖は1%存在し得る。いくつかの実施形態では、糖は、1%(wt/体積)未満存在し得る。いくつかの実施形態では、糖は5%(wt/体積)を超えて存在し得る。1つの実施形態では、糖はスクロースまたはトレハロースであり得、1%(wt/体積)存在する。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のHA組成物は塩を含み得る。組成物中で使用することができる塩には、塩化ナトリウムおよび他の生理学的に適合し得る塩が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のHA組成物中に存在する塩の濃度は、約10mMと約250mMとの間、約25mMと約100mMとの間、約30mMと約70mMとの間、約45mMと約150mMとの間、約125mMと約200mMとの間、約150mMと約250mMとの間、または約190mMと約250mMとの間である。いくつかの実施形態では、塩濃度は50mMである。いくつかの実施形態では、塩濃度は10mM未満である。いくつかの実施形態では、塩濃度は250mMを超える。1つの特定の実施形態では、塩濃度は、約50mMと約200mMとの間である。
いくつかの実施形態では、本発明のHA組成物の容量オスモル濃度は、通常(例えば、約310mOsm/L)であり得る。他の実施形態では、本発明のHA組成物の容量オスモル濃度は、通常の容量オスモル濃度未満(例えば、310mOsm/L未満)であり得る。例えば、本発明のHA組成物の容量オスモル濃度は、約20mOsm/Lと約500mOsm/Lとの間(例えば、約150mOsm/Lと約310mOsm/Lとの間、約150mOsm/Lと約200mOsm/Lとの間、約160mOsm/Lと約220mOsm/Lとの間、約180mOsm/Lと約250mOsm/Lとの間、約200mOsm/Lと約300mOsm/Lとの間、約250mOsm/Lと約310mOsm/Lとの間、約290mOsm/Lと約310mOsm/Lとの間、約250mOsm/Lと約290mOsm/Lとの間、または約270mOsm/Lと約300mOsm/Lとの間)であり得る。いくつかの実施形態では、本発明のHA組成物の容量オスモル濃度は、約150mOsm/L、約155mOsm/L、約160mOsm/L、約165mOsm/L、約170mOsm/L、約175mOsm/L、約180mOsm/L、約185mOsm/L、約190mOsm/L、約195mOsm/L、約200mOsm/L、約205mOsm/L、約210mOsm/L、約215mOsm/L、約220mOsm/L、約225mOsm/L、約230mOsm/L、約235mOsm/L、約240mOsm/L、約245mOsm/L、約250mOsm/L、約255mOsm/L、約260mOsm/L、約265mOsm/L、約270mOsm/L、約275mOsm/L、約280mOsm/L、約285mOsm/L、約290mOsm/L、約295mOsm/L、約300mOsm/L、約305mOsm/L、または約310mOsm/Lであり得る。1つの特定の実施形態では、本発明のHA組成物の容量オスモル濃度は、約100mOsm/Lと約400mOsm/Lとの間、例えば、約100mOsm/L、約110mOsm/L、約120mOsm/L、約130mOsm/L、約140mOsm/L、または約150mOsm/Lである。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のHA組成物は、1つまたはそれを超える抗酸化剤を含む。抗酸化剤は、溶液からフリーラジカルを除去することによって酸化を阻害することができる物質である。抗酸化剤は当業者に周知であり、アスコルビン酸、アスコルビン誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸カルシウム)、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化(buylated)ヒドロキシトルエン、アルキルガラート、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、トコフェロールおよびその誘導体、(d-αトコフェロール、d-α酢酸トコフェロール、d-αコハク酸トコフェロール、βトコフェロール、δトコフェロール、γトコフェロール、およびd-αトコフェロールポリオキシエチレングリコール1000スクシナート)モノチオグリセロール、および亜硫酸ナトリウムなどの物質が含まれる。かかる物質を、典型的には、0.01~2.0%の範囲で添加する。
いくつかの実施形態では、HA組成物は、1つまたはそれを超える等張剤を含み得る。この用語を、当該分野で、等浸透圧剤と互換的に使用し、浸透圧(ヒト細胞外液(血漿など)と等浸透圧の0.9%塩化ナトリウム溶液の浸透圧など)を増大させるために組成物に添加することができる化合物として公知である。HA組成物中で使用することができる好ましい等張剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、デキストロース、およびグリセロールである/が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明のHA組成物は、1つまたはそれを超える防腐剤を含み得る。適切な防腐剤には、クロロブタノール(0.3~0.9%w/v)、パラベン(0.01~5.0%)、チメロサール(0.004~0.2%)、ベンジルアルコール(0.5~5%)、およびフェノール(0.1~1.0%)などが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、HA組成物は、眼科使用に適切な構成要素を含み得る。
いくつかの実施形態では、HA組成物は、組成物の注射中に望ましくない副作用を最小にする1つまたはそれを超える構成要素を含み得る。
V.眼科使用のためのヒアルロナン組成物
本発明は、被験体の眼にHAを含む組成物を投与することによって眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感を緩和する方法を提供する。
種々のキャリアのうちのいずれかを、眼科使用のためにHA組成物中で使用することができ、キャリアには、水、水と水混和性溶媒(C1~C7-アルカノールなど)との混合物、0.5~5%非毒性水溶性ポリマーを含む植物油または鉱油、天然物(ゼラチン、アルギナート、ペクチン、トラガカント、カラヤゴム、キサンタンガム、カラゲニン、寒天およびアカシア、デンプン誘導体(酢酸デンプンおよびヒドロキシプロピルデンプンなど)など)、また、他の合成生成物(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、好ましくは、架橋ポリアクリル酸(中性カルボポールなど)など)、またはこれらのポリマーの混合物が含まれる。キャリアの濃度は、典型的には、有効成分の濃度の1~100,000倍である。
眼科使用のためにHA組成物中に含めることができるさらなる成分には、張度増強薬、防腐剤、可溶化剤、非毒性の賦形剤、緩和薬、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、共溶媒、および増粘剤が含まれる。
pH、好ましくは生理学的pHに調整するために、緩衝液が特に有用であり得る。眼投与に適切なヒアルロナン組成物のpHを、pH4.0~8.0、より好ましくは約pH4.0~6.0、より好ましくは約pH6.5~7.8の範囲内に維持すべきである。適切な緩衝液(ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸、重炭酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、および種々の混合リン酸緩衝液(NaHPO、NaHPO、およびKHPOの組み合わせが含まれる)、およびその混合物など)を添加することができる。一般に、緩衝液を、約0.05~2.5パーセント/重量、好ましくは、0.1~1.5パーセントの範囲の量で使用する。
張度を、必要に応じて、典型的には張度増強剤によって調整する。かかる薬剤は、例えば、イオンタイプおよび/または非イオンタイプであり得る。イオン性張度増強薬の例には、アルカリ金属ハライドまたはアルカリ土類金属ハライド(例えば、CaCl、KBr、KCl、LiCl、NaI、NaBrもしくはNaCl、NaSO、またはホウ酸など)が含まれる。非イオン性張度増強剤には、例えば、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、またはデキストロースが含まれる。本発明の方法で使用されるヒアルロナン組成物の容量オスモル濃度を、張度剤を使用して、およそ通常の涙液の浸透圧(0.9%塩化ナトリウム溶液または2.5%グリセロール溶液に等しい)に調整することができる。いくつかの例では、約100mOsm/Lと約150mOsm/Lとの間(例えば、100mOsm/L、110mOsm/L、120mOsm/L、120mOsm/L、130mOsm/L、140mOsm/L、または150mOsm/L)の容量オスモル濃度が好ましい。他の例では、約225と400mOsm/Lとの間(例えば、約280mOsm/Lと約320mOsm/Lとの間、または約297mOsm/Lと約318mOsm/Lとの間)の重量オスモル濃度が好ましい。いくつかの場合、平均容量オスモル濃度は、約303.7mOsm/Lと約306.7mOsm/Lとの間で変動し得る。
特定の実施形態では、眼科使用のためのHA組成物は、さらに、防腐剤を含み得る。防腐剤を、典型的には、第四級アンモニウム化合物(塩化ベンザルコニウム(N-ベンジル-N-(C8~C18アルキル)-N,N-ジメチル塩化アンモニウム)、またはベンゾキソニウムクロリドなど)から選択することができる。他の適切な防腐剤の例には、チオサリチル酸のアルキル水銀塩(例えば、チメロサール(thiomersal));硝酸フェニル水銀(II)、酢酸フェニル水銀、またはホウ酸フェニル水銀;過ホウ酸ナトリウム;亜塩素酸ナトリウム;パラベン(例えば、メチルパラベンまたはプロピルパラベンなど);アルコール(例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコール、またはフェニルエタノールなど);グアニジン誘導体(例えば、クロロヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアニドなど);イミダゾリジニル尿素(ジェルマール(商標))、またはソルビン酸が含まれる。好ましい防腐剤は、第四級アンモニウム化合物、特に、塩化ベンザルコニウムまたはその誘導体(Polyquad(米国特許第4,407,791号を参照のこと)など)、アルキル水銀塩、およびパラベンである。適切な場合には、細菌および真菌に原因する使用中の二次汚染から確実に防御するのに十分な量の防腐剤を眼科組成物に添加する。
別の実施形態では、眼科使用のためのHA組成物は防腐剤を含まない。かかる組成物は、コンタクトレンズを装着している患者、または、防腐剤への曝露を制限することがより好ましい可能性がある、いくつかの局所点眼薬を使用している患者および/もしくは眼表面に既に障害を有する(例えば、眼乾燥症の)患者に有用である。
眼科使用のためのHA組成物は、特に、活性成分または不活性成分が懸濁液または乳濁液を形成する傾向がある場合、可溶化剤がさらに必要であり得る。本発明の方法で使用されるヒアルロナン組成物に適切な可溶化剤には、例えば、チロキサポール、脂肪酸グリセロールポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテル、シクロデキストリン(例えば、α-、β-、もしくはγ-シクロデキストリン(例えば、アルキル化誘導体、ヒドロキシアルキル化誘導体、カルボキシアルキル化誘導体、またはアルキルオキシカルボニル-アルキル化誘導体)、またはモノ-もしくはジグリコシル-α-、β-、もしくはγ-シクロデキストリン、モノ-もしくはジマルトシル-α-、β-、もしくはγ-シクロデキストリン、またはパノシル-シクロデキストリン)、ポリソルベート20、ポリソルベート80、またはこれらの化合物の混合物が含まれる。好ましい可溶化剤は、ヒマシ油とエチレンオキシドとの反応生成物(例えば、市販品であるクレモフォールEL(登録商標)またはクレモフォールRH40(登録商標))であり得る。ヒマシ油とエチレンオキシドとの反応生成物は、眼による忍容性が極めて良好な特に優れた可溶化剤であることが証明されている。別の好ましい可溶化剤は、チロキサポールまたはシクロデキストリンであり得る。使用濃度は、特に、組成物中のヒアルロナン濃度に依存する。添加量は、典型的には、組成物中のヒアルロナンを可溶化するのに十分な量である。例えば、可溶化剤濃度は、組成物中のヒアルロナン濃度の0.1~5000倍である。
眼科使用のためのHA組成物はまた、例えば、乳化剤、湿潤薬、または充填剤(例えば、200、300、400、および600と命名されたポリエチレングリコール、または1000、1500、4000、6000、および10000と命名されたカルボワックスなど)などの非毒性賦形剤をさらに含み得る。賦形剤の添加量およびタイプは、特定の要件に従い、一般に、およそ0.0001~およそ90重量%の範囲である。
他の化合物を、キャリアの粘度を増大させるために本発明の処方物に添加することもできる。粘度増強剤の例には、ポリサッカリド(コンドロイチン硫酸およびその塩、デキストラン、セルロースファミリーの種々のポリマーなど);ビニルポリマー;およびアクリル酸ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
1つの実施形態では、眼科使用を意図したヒアルロナン組成物は、HAに加えて、眼科組成物で典型的に見出されるさらなる成分を含み得る。かかる構成要素の例には、他の有効成分(血管収縮薬、抗アレルギー剤、抗感染症薬、ステロイド、麻酔薬、抗炎症薬、鎮痛薬、眼乾燥症剤(例えば、分泌促進物質、粘液模倣物、ポリマー、脂質、抗酸化剤)が含まれるが、これらに限定されない)が含まれ得るか、他の有効成分(血管収縮薬、抗アレルギー剤、抗感染症薬、ステロイド、麻酔薬、抗炎症薬、鎮痛薬、または眼乾燥症剤(例えば、分泌促進物質、粘液模倣物、ポリマー、脂質、抗酸化剤)が含まれるが、これらに限定されない)を含む組成物と併せて(同時または連続的に)投与することができる。
いくつかの実施形態では、本発明のヒアルロナン組成物を、被験体の眼表面(被験体の眼瞼下(例えば、上眼瞼下または下眼瞼下)または被験体の角膜-眼瞼境界など)に投与する。いくつかの実施形態では、本発明のヒアルロナン組成物は、眼手術(ophalmic surgery)中の粘性手術ツールまたはデバイスとしての使用に適切でないか、使用されない(または眼科手術中の眼内注射に適切でないか、注射されない)。
1つの例では、本発明のヒアルロナン組成物を、被験体に、休憩または就寝の直前に投与する。
VI.スキンケア/皮膚科学的使用のためのヒアルロナン組成物
本発明はまた、HAを含む組成物の投与による、疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点の最小化を必要とする被験体において、疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点を最小化する方法を提供する。スキンケア/皮膚科学的使用を意図するかかるHA組成物は、HAに加えて、かかる組成物(例えば、皮膚充填剤として使用される組成物)で典型的に見出されるさらなる成分を含み得る。かかる成分には、例えば、コラーゲン、カルニチン、ビタミンE、ビタミンA、およびコンドロイチン硫酸が含まれ得る。
いくつかの実施形態では、スキンケア/皮膚科学的使用のためのHA組成物を皮膚に注射する。したがって、HA組成物を、この組成物を充填した容器(例えば、充填済みシリンジ)の形態に処方することができる。当業者に公知の任意の充填済みシリンジを、本発明の組成物と組み合わせて使用することができる。使用することができる充填済みシリンジは、例えば、PCT国際公開第05032627号、同第08094984号、同第9945985号、同第03077976号、米国特許第6792743号、同第5607400号、同第5893842号、同第7081107号、同第7041087号、同第5989227号、同第6807797号、同第6142976号、同第5899889号、米国特許出願公開第20070161961A1号、同第20050075611A1号、同第20070092487A1号、同第20040267194A1号、または同第20060129108A1号に記載されている。充填済みシリンジを、種々の材料から作製することができる。1つの実施形態では、充填済みシリンジはガラスシリンジである。別の実施形態では、充填済みシリンジはプラスチックシリンジである。当業者は、シリンジの製造のために使用される材料の性質および/または品質がシリンジ内に保存されるHA組成物の安定性に影響を及ぼし得ることを理解している。1つの実施形態では、充填済みシリンジは、シリコーン系潤滑剤を含む。1つの実施形態では、充填済みシリンジは、焼成シリコーン(baked-on silicone)を含む。別の実施形態では、充填済みシリンジはシリコーン系潤滑剤を含まない。当業者はまた、シリンジ外筒、シリンジチップキャップ、プランジャ、またはストッパから処方物に進出した少量の夾雑要素も組成物の安定性に影響し得ることを理解している。例えば、製造プロセスで取り込まれたタングステンが処方物の安定性に悪影響を及ぼし得ることが理解される。1つの実施形態では、充填済みシリンジは、500ppbを超えるレベルのタングステンを含み得る。別の実施形態では、充填済みシリンジは、低タングステンシリンジである。別の実施形態では、充填済みシリンジは、タングステンを、約500ppbと約10ppbとの間、約400ppbと約10ppbとの間、約300ppbと約10ppbとの間、約200ppbと約10ppbとの間、約100ppbと約10ppbとの間、約50ppbと約10ppbとの間、約25ppbと約10ppbとの間のレベルで含み得る。
VII.創傷治癒のためのヒアルロナン組成物
本発明はまた、疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒の促進を必要とする被験体において、疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒を促進する方法を提供する。局所使用を意図するかかるHA組成物は、HAに加えて、かかる組成物で典型的に見出されるさらなる成分を含み得る。かかる成分には、例えば、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、エタノール、メチルp-ヒドロキシベンゾアート、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン、デシルテトラデシルエーテル、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ならびにビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンK)が含まれ得る。かかる成分はまた、さらなる薬学的に活性な物質を含み得る。いくつかの場合、これらのさらなる薬学的に活性な物質は、疼痛処置のための鎮痛薬を含まない。他の場合、これらの薬学的に活性な物質は、抗生物質(例えば、典型的には皮膚感染を処置するために使用され、局所使用を意図する抗生物質)を含む。
本明細書中に開示の方法で用いるHA組成物はまた、完成し、包装され、ラベリングされた医薬製品を包含する。この製品は、適切な単位投薬形態が適切な器または容器(ガラスバイアル、充填済みシリンジ、または密閉された他の容器など)に納められている。1つの実施形態では、単位投薬形態を、非経口投与(例えば、被験体(例えば、被験体の顔面、頸部、腕、脚、または背中)への皮内または皮下投与)に適切な無菌無粒子HA組成物として提供する。
任意の医薬製品と同様に、包装材料および容器を、保存および運搬中の製品の安定性を保護するようにデザインする。さらに、本発明の製品は、対象となる疾患または障害を適切に防止または処置する方法ならびにHA組成物の投与方法および投与頻度を医師、技師、または患者に助言する使用説明書または他の情報資料を含む。換言すれば、製造品は、投与レジメン(実際の用量、モニタリング手順、および他のモニタリング情報が含まれるが、これらに限定されない)を示すか提案する指示手段を含む。
VIII.眼乾燥症に関連する疼痛および不快感を緩和する方法
眼乾燥疾患は、人口のおよそ10~20%が罹患する眼疾患である。この疾患は、病的状態(白内障または自己免疫障害など)に関連する可能性があるか、病的状態が存在しない場合、眼表面が乾燥する長時間の眼を使う作業、コンピュータを使用した仕事、乾燥環境下、コンタクトレンズの使用、または薬物への曝露などの一定の環境下で生じ得る。
眼乾燥症を罹患した個体では、まばたきするための反射および対症的な涙物質の分泌が損なわれている。眼乾燥症の徴候および症状には、眼球の乾燥;涙の産生、体積、および流れの減少;涙組成の異常;涙容量オスモル濃度の増加;角膜炎、結膜および角膜の着色;発赤;視界不良;涙液層破壊時間の減少;結膜発赤の増加;涙液層内のデブリの過剰;眼に砂が入ったような感じ;眼の灼熱感;眼内の異物感;涙の分泌過剰;羞明;眼の刺激感;屈折機能障害;眼過敏症;眼球刺激、および長時間のコンタクトレンズ装着に起因する不快感が含まれる。涙の分泌過剰応答は反直感的と思われることがあるが、眼乾燥症に原因する刺激および異物感に対する自然な反射応答である。個体によっては眼アレルギーと眼乾燥症状との組み合わせに起因する眼のかゆみも経験し得る。
個体の眼乾燥症の症状(血中ホルモンレベル、種々の自己免疫疾患(例えば、シェーグレン症候群(Sjorgren’s syndrome)および全身性エリテマトーデス)、眼科手術(PRKまたはLASIKが含まれる)、多数の薬物適用、環境条件、看視作業(コンピュータの使用など)、眼球疲労、コンタクトレンズの装着、および機械的影響(角膜知覚、部分的閉瞼、表面のむら(例えば、翼状片)、および眼瞼異常(例えば、下垂、内反/外反、瞼裂斑)など)が含まれる)にも影響を及ぼし得る多数の変動要因が存在し得る。低湿度環境(例えば、脱水を引き起こす環境)(デフロスター動作中の航空機内または自動車内での着席または乾燥気候地帯での生活など)は、眼乾燥症状を悪化させるか引き起こし得る。さらに、看視作業も症状を悪化させ得る。症状に非常に影響を及ぼし得る作業には、瞬きの数が減少する長時間のTVの視聴またはコンピュータの使用が含まれる。
HAを含む組成物は、眼乾燥状態の処置のためにこれまで使用されてきた。HA含有点眼薬は市販されており、典型的には、1%未満の濃度でHAを含む。例示的な市販のHA含有点眼薬には、Opticalm点眼薬(0.2%HA);Aquify comfort drops(0.1%HA);Blink(0.15%HA);Hyal-drop(0.2%HA);Hycosan(0.1%HA);Oxyal(0.15%HA);およびVismed(0.18%および0.8%HA)が含まれる。
出願人は、驚いたことに、約30mg/mL(すなわち3%HA)を超える濃度のHA(例えば、40mg/mLの濃度のHA(すなわち4%HA))を含む高濃縮HA組成物が眼乾燥状態の処置のために被験体の眼に投与することが有効であり得ることを発見した。かかる高濃縮HA組成物は、これらの組成物が眼に有効に投与するには粘度が高すぎると考えられていたので、これまで眼乾燥症処置のために使用されていなかった。
出願人はまた、驚いたことに、濃縮HA組成物は、一旦眼に投与すると、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感の処置で驚くほど有効であることを発見した。特定の理論に拘束されることを望まないが、眼乾燥状態に関連する疼痛を侵害受容器のTRPV1チャネルによって調整することができ、高濃縮HA組成物中のHA分子が眼の感覚神経および角膜細胞上に存在するTRPV1チャネルと相互作用し、それにより、侵害性刺激に対する侵害受容器の応答性が低下すると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感は、受容体電位バニロイドサブタイプ1(TRPV1)チャネルによって調整される。さらに、濃縮HAの特徴的な粘弾性が、眼表面に適用された溶液の通常の流涙および瞬きによる除去量を低下させ、それにより、HA溶液の保護効果を延長する。
本発明は、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感の緩和を必要とする被験体において、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感を緩和する方法であって、被験体の眼にヒアルロナンを含む組成物を投与することを含み、ここで、ヒアルロナンが、組成物中に約30mg/mLを超える濃度で存在し;ヒアルロナンの平均分子量が約100万と約200万との間であり;ヒアルロナンが架橋しておらず、そして/または化学修飾を実質的に含まず、それにより、被験体における疼痛および不快感が緩和される、方法を提供する。
いくつかの場合、眼科用を意図するHA組成物は、ゲル、軟膏、塗布剤、ローション、またはクリームの形態である。一定の態様では、このHA組成物は、レンズまたはミクロスフィアの形態ではない。
眼科使用を意図するHA組成物を、眼表面(眼瞼下(例えば、上眼瞼下または下眼瞼下)または角膜-眼瞼境界など)に投与することができる。1つの態様では、HA組成物を、被験体の眼内に注射しない。その高粘性によってHA組成物の投与直後に被験体の見る能力が明確に損なわれ得るので、これらの組成物を、休憩または就寝直前に被験体の眼に投与することができる。
当業者は、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感を緩和するための本明細書中に記載の眼科HA組成物の適切な投与スケジュールを確認することができる。例えば、HA組成物を、約3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月間、2ヶ月間など、または、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感が緩和されるまで任意の期間毎日投与することができる。いくつかの実施形態では、かかる疼痛および不快感を、長期間緩和することができる(例えば、約12時間、約24時間、約1日間、約3日間、約5日間、約7日間、約14日間、または約28日間継続することができる)。
用語「眼乾燥状態」には、眼球の乾燥;涙液層破壊時間の減少;涙の産生、体積、および流れの減少;涙組成の異常;涙容量オスモル濃度の増加;角膜炎;結膜および角膜の着色;発赤;視界不良;結膜発赤の増加;涙液層内のデブリの過剰、眼に砂が入ったような感じ;眼の灼熱感;眼内の異物感;涙の分泌過剰;羞明;眼の刺激感;屈折機能障害;眼過敏症;眼球刺激、および長時間のコンタクトレンズ装着に起因する不快感からなる群から選択される1つまたはそれを超える症状に関連する眼乾燥状態が含まれるが、これらに限定されない。
眼乾燥状態はまた、自己免疫障害;眼科手術;薬物摂取;乾燥した環境条件;長時間のコンピュータの使用;眼球疲労;コンタクトレンズ装着による角膜過敏症;部分的閉瞼;表面のむら;眼瞼のむら;および神経因性疼痛に関連する状態(白内障または網膜剥離など)からなる群から選択される状態に関連し得る。1つの例では、眼乾燥状態は、眼科手術(光屈折手術(例えば、光学的屈折矯正角膜切除術(PRK))、白内障手術、網膜剥離手術、レーザー角膜内切削形成術(LASIK)、または角膜感覚神経損傷に関与する任意の角膜手術手技など)に関連し得る。
IX.疼痛および不快感を緩和する一方で皮膚の欠点を最小にする方法
HAは、細胞外基質(ECM)の主な構成要素であり、皮膚などの軟結合組織中に特に大量に存在する。正常な皮膚では、HAは、皮膚線維芽細胞および上皮角化細胞によって主に合成される。その残渣が負電荷を帯びるので、HAは皮膚の水和および弾性を維持するための水ポンプとして機能する。HAは、結合組織の食物、ホルモン、ビタミン、および無機塩の分布の調節および炎症反応を含み得る代謝廃棄物の浄化において主な役割を果たす。加齢に伴って、HAの量およびその重合度は減少し、それにより、結合組織中の保水量が減少する。次いで、皮膚は老化過程を受け、それにより、線維症が増大し、弾性線維の質が低下する。
HAは、局所適用のためのクリームまたはゲルの形態でのHA組成物の使用および皮膚充填剤としての皮膚への注射のためのHA組成物の使用の両方を含む化粧用途のために広範に使用されている。後者の使用は、被験体の皮膚の最上層(例えば、被験体の顔面、頸部、腕、脚、胴、または胸部)へのHA組成物の注射を含む。この使用により、皺に起因する皮膚のたるみの機械的充填効果ならびに皮膚の加齢ならびに皮膚の弾性および堅さの機械的性質を維持するに不可欠なECMの分解に対する防止効果によって皺を減少させる。
軟部組織を増強するための皮膚充填剤の注射は皮膚科学的手技としては侵襲性が最小であるにもかかわらず、患者は、しばしば、かかる手技に関連する疼痛に懸念を示す。これらの手技中の疼痛を緩和するために局所麻酔用クリームがしばしば使用され、注射用HA組成物中には麻酔薬も含まれる。
本発明は、これらの手技において麻酔薬を使用する必要がなくなる。具体的には、本発明は、被験体に高濃縮HA組成物を投与することによる、皮膚科学的手技に関連する疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点の最小化を必要とする被験体において、皮膚科学的手技に関連する疼痛および不快感を緩和する一方で少なくとも1つの皮膚の欠点を最小化する方法を提供する。上記で説明するように、驚いたことに、本明細書中に記載の高濃縮HA組成物が、例えば、被験体の皮膚への注射を含み得る皮膚科学的手技に関連する疼痛および不快感の処置で驚異的に有効であることを発見した。特定の理論に拘束されることを望まないが、皮膚へのHA組成物の注射に関連する疼痛を侵害受容器のTRPV1チャネルによって調整することができ、そして、高濃縮HA組成物中のHA分子が感覚神経ならびに皮膚および皮下組織の上皮および結合組織の細胞に存在するTRPV1チャネルと相互作用し、それにより、侵害受容器の侵害刺激に対する応答性が低下すると考えられる。
いくつかの実施形態では、美容用途のためのHA組成物を、注射デバイス(針、トロカール、カニューレ、または灌流デバイスなど)を使用して、注射(例えば、皮下または皮内注射)によって、それを必要とする被験体に投与することができる。本発明のHA組成物の注射に適切な注射デバイスの呼び径は、2.11mmまたはそれを超え得る(14G針または14ゲージ超の針に相当する)。いくつかの実施形態では、本発明のHA組成物は、より小さな針(例えば、呼び径が2.11mm未満の針)を使用した投与には粘度が高すぎ得る。他の実施形態では、本発明のHA組成物は、呼び径が2.11mm未満のより小さな注射デバイスを使用して投与することが可能である。
例えば、本発明のHA組成物の注射に適切なデバイス(シリンジなど)の呼び径は、約0.31mm、0.34mm、0.36mm、0.41mm、0.474mm、0.46mm、0.49mm、0.515mm、0.51mm、0.54mm、0.57mm、0.59mm、0.642mm、0.64mm、0.67mm、0.718mm、0.72mm、0.77mm、0.82mm、0.87mm、0.91mm、約0.99mm、約1.07mm、約1.17mm、約1.27mm、約1.42mm、約1.47mm、約1.57mm、約1.65mm、約1.73mm、約1.83mm、約1.98mm、約2.11mm、約2.26mm、約2.41mm、約2.54mm、または約2.77mmであり得、これらは、それぞれ、30、29、28、27、26s、26、25.5、25s、25、24.5、24、23.5、23s、23、22.5、22s、22、21.5、21、20.5、20、19.5、19、18.5、18、17.5、17、16.5、16、15.5、15、14.5、14、13.5、13、12.5、または12ゲージ(すなわち30G、29G、28G、27G、26sG、26G、25.5G、25sG、25G、24.5G、24G、23.5G、23sG、23G、22.5G、22sG、22G、21.5G、21G、20.5G、20G、19.5G、19G、18.5G、18G、17.5G、17G、16.5G、16G、15.5G、15G、14.5G、14G、13.5G、13G、12.5G、または12Gの針に相当する)。1つの実施形態では、本発明のHA組成物を、呼び径が約1.27mmの18Gシリンジ針を使用して投与することができる。いくつかの実施形態では、本発明のHA組成物は、より小さな針(例えば、呼び径1.27mm未満の針)を使用した投与には粘度が高すぎ得る。
いくつかの実施形態では、本発明の方法はまた、注射可能なインプラント(特に、皮膚インプラント)の形態の高濃縮HA組成物を被験体に投与することを含み得る。
本発明の組成物は、特に、再建手術もしくは形成手術または皺、小皺、皮膚のたるみ、および瘢痕への充填(脂肪異栄養症または脂肪組織萎縮に原因する皮膚のたるみへの充填が含まれる)のための美容皮膚科学におけるヒトまたは動物での使用を意図する。組成物は、上記定義のインプラントであり得る。
X.疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒を促進する方法
皮膚は、外部環境に対する機械的バリアを提供し、感染性因子の移入を防止するように作用する。損傷した時点で、下の組織は感染に曝露され、それ故、迅速且つ有効な治癒はバリア機能の再構築において重大な意義を有する。成人における皮膚創傷治癒は複雑な過程であり、炎症、肉芽組織形成、再上皮化、および再造形などの複数の段階を含む。HAは、これらの細胞およびマトリックスの事象の投薬において多面的な役割を果たす可能性が高い。これらの創傷に関連する疼痛を緩和するために、しばしば、局所麻酔薬を創傷に投与する。
本発明は、皮膚創傷を有効に処置すると同時に鎮痛して局所麻酔を使用する必要を排除する方法を提供する。具体的には、本発明は、高濃縮HA組成物を、それを必要とする被験体に投与することによって疼痛および不快感を緩和する一方で創傷治癒を促進する方法を提供する。上記で説明するように、驚いたことに、本明細書中に記載の高濃縮HA組成物が創傷治癒に関連する疼痛および不快感の処置で驚異的に有効であることが見出された。特定の理論に拘束されることを望まないが、皮膚へのHA組成物の注射に関連する疼痛を侵害受容器のTRPV1チャネルによって調整することができ、そして、高濃縮HA組成物中のHA分子が創傷領域を神経支配する感覚神経中およびこの領域の結合組織細胞中に存在するTRPV1チャネルと相互作用し、それにより、侵害受容器の侵害刺激に対する応答性が低下すると考えられる。
本発明の方法によれば、皮膚創傷への局所投与を意図する高濃縮HA組成物を、皮膚上の創傷または瘢痕の表面上に局所投与することができる。組成物は、増粘ポリマー(セルロース誘導体またはアクリルポリマーなど)を、慣習的に使用される他の賦形剤(防腐剤および香料など)と共に含む水性ゲルまたは多価アルコールの形態であり得る。
1つまたはそれを超える疾病状態または病的状態のパラメータ(例えば、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感、スキンケア/皮膚科学的手技、または創傷治癒)において統計的に有意な改善が認められた場合に、処置効果、防止効果、または緩和効果は明らかである。処置効果、緩和効果、または防止効果はまた、症状を悪化させないか予測されない症状を発生させないことによって明らかである。例として、疾患または状態(例えば、疼痛および不快感)の測定可能なパラメータの少なくとも10%、好ましくは、少なくとも20%、30%、40%、50%またはそれを超える好ましい変化が、有効な処置を示し得る。用語「防止する」または「防止」、は、本明細書中で使用される場合、例えば、以前に疼痛を経験した被験体における疼痛および不快感の再発の防止を含む。
いくつかの実施形態では、被験体は、ヒト、哺乳動物(例えば、愛玩動物(ネコもしくはイヌなど)、家畜(ウシ、ヒツジ、ウマ、ロバなど)、またはげっ歯類(モルモット、マウス、もしくはラットなど))である。1つの特定の実施形態では、被験体はヒトである。別の特定の実施形態では、被験体はイヌである。
本明細書中で使用される場合、用語「少なくとも1つの症状の軽減」は、疼痛および不快感に関連する少なくとも1つの症状の減少、回復、または排除を含む。この用語はまた、本発明のHA組成物の投与の際にニューロン中の疼痛伝達過程に関与するイオンチャネル(TRPV1チャネルなど)の活性化範囲を軽減することを含む。かかるチャネルの活性化を、例えば、侵害受容性インパルス後のニューロン中の細胞内Ca2+の変化の測定または本発明のHA組成物投与の際のニューロン中のホールセル電流の測定によって測定することができる。さらに、用語「少なくとも1つの症状の軽減」はまた、本発明のHA組成物投与の際のニューロンの侵害受容性発火の減少を含む。
いくつかの実施形態では、眼乾燥状態に関連する疼痛および不快感を軽減する方法、スキンケア/皮膚科学的手技、または創傷治癒は、治療有効量の本発明の組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む。用語「治療有効量」は、本明細書中で使用される場合、それを必要とする被験体に投与した場合、疼痛および不快感を処置、防止、軽減、または緩和するのに十分な本発明のHA組成物の量が含まれることを意図する。当業者、例えば、医師は、治療に有効であろうHA組成物の量を容易に確認することができる。一般に、組成物の治療有効量は、約0.1~約500mg(例えば、約0.1mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、または約500mg)である。
種々の処置レジメンが本明細書中に開示の方法に含まれる。例えば、被験体に、第1の用量の本明細書中に開示のHA組成物を投与後、さらなる用量を投与することができる。いくつかの実施形態では、第1の用量を投与後、特定の間隔をおいて第2の用量を投与する。いくつかの実施形態では、第2の用量を、第1の用量の約30日後、約60日後、約90日後、約120日後、約150日後、約180日後、約210日後、約240日後、約270日後、約300日後、約330日後、または約360日後に投与する。被験体が経験する疼痛および不快感の軽減に基づいて用法を調整することができると認識すべきである。いくつかの実施形態では、被験体に、一定の用量を、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回、6ヶ月に1回、7ヶ月に1回、8ヶ月に1回、9ヶ月に1回、10ヶ月に1回、11ヶ月に1回、または12ヶ月に1回投与する。
本発明を、以下の実施例によってさらに例示するが、この実施例は本発明をさらに制限すると決して解釈すべきではない。本出願を通して引用した全ての文献(参照文献、発行済み特許、公開特許出願、および同時継続特許出願が含まれる)の全ての内容は、本明細書中で参考として明確に援用される。
実施例
他の意味を提供しない限り、本明細書中に記載の組成物中で使用されるヒアルロナン(HA)を、動物、ヒト、または細菌の供給源から得る。他の意味を提供しない限り、本明細書中で使用される組成物は、生理学的緩衝液中に含まれる。
実施例1.角膜への4%ヒアルロナンナトリウムの局所適用による角膜感覚神経線維におけるインパルス活性の低下
侵害受容器の興奮は、痛覚生成の第1のステップである。急性疼痛について、痛覚の規模は、侵害受容性線維の発火頻度および刺激による線維の採用数と非常に相関する(Acostaら、2001、J.Physiol.534(2)、511-525)。また、末梢損傷後の痛みの持続は、侵害受容器の活動継続に関連している(Belmonteら、2004、Ocular Surface、2、248-253)。
角膜神経における感覚神経のインパルス活性の増大は、眼の不快感および痛覚の生成の第1のステップである。眼表面では、侵害刺激は、角膜および結膜を神経支配する多様式侵害受容器および機械侵害受容器によって検出される(Belmonte & Giraldez、1981、J.Physiol.、437、709-725;Gallarら、1993、J.Physiol.、468、609-622)。炎症が起こるときに多様式侵害受容器が感作されるようになり、連続的に発火し、継続的な痛覚を惹起する。他方では、角膜冷温度受容器の活動は、眼表面の蒸発に関連しており、眼表面乾燥の意識的感覚にも寄与する可能性がある(Gallarら、1993、J.Physiol.、468、609-622;Parraら、2010、Nature Medicine、16、1396-1399;Kovacsら、2016、Pain、157、399-417)。
下記の実験の目的は、平均分子量が100万~200万で濃度4%のヒアルロナン(4%HA)が、モルモット角膜の刺激による感覚受容器線維(機械侵害受容器、多様式侵害受容器、冷温度受容器)における自発性および刺激誘発性の神経インパルス発射を調整する能力を試験することであった。
角膜多様式侵害受容器の化学的刺激の有効な生成手段は98.5%COの適用であり、この適用による刺激生成は、炭酸の局所形成によって惹起される酸性化に起因する(Chenら、1995、Eur.J.Neurosci.7、1154-1163)。全ての例において類似のCOパルスのヒト角膜への適用によって即時且つ鋭い痛覚が誘発されることが証明されている(Chenら、1995、Eur.J.Neurosci.7、1154-1163;Acostaら、2001、J.Physiol.534(2)、511-525)。神経終末の周囲でプロトンが急速に形成されるので、Hの刺激効果は、おそらく直接的であり、神経が脱分極するプロトン開閉イオンチャネル、おそらく「カプサイシンチャネル」TRPV1および/またはASICチャネルの活性化によって生じる。さらに、CO刺激に供した角膜上皮細胞における細胞内pHの減少によっても炎症メディエーター(例えば、プロスタグランジン)を形成および放出することができ、このメディエーターは角膜多様式侵害受容器を感作し得るので、バックグラウンド発射が生じ、直接的な酸性刺激に対するインパルス応答が増強される。
角膜冷温度受容器の場合、これらの線維は、バックグラウンド(34℃の基礎角膜温度での通常のインパルス活性)を示し、非常に小さな温度低下(例えば、涙の蒸発時に起こる温度低下)に伴って発火頻度が増加する(Belmonteら、2015、Curr.Ophthalmol.Rep.3、111-121)。
方法
200~300gの両方の性別のダンキンハートレイモルモットを、実験で使用した。研究を、NIH実験動物の管理と使用に関する指針、欧州連合指令(2010/63/EU)、および実験動物保護に関するスペイン規制(Spanish regulations on the protection of animals used for
research)に従って行い、ミゲル・ヘルナンデス大学の倫理委員会によって承認および監督されたプロトコールに従った。
電気生理学的記録
異なる機能タイプの末梢角膜受容器のインパルス活性を記録した。この目的のために、動物を、100mg/kgペントバルビトンナトリウム腹腔内注射を用いて安楽死させ、直ちに眼球結膜および眼瞼結膜ならびに視神経および毛様体神経と共に眼球を摘出し、冷生理食塩水(4℃)に入れた。
結合組織および外眼筋を摘出した眼球から慎重に除去して視神経周囲の毛様体神経を有する眼底を曝露させた。次いで、結膜を有する前眼部が後極および毛様体神経から離れたままになるように特別にデザインされた二室中に眼を入れた。室の前部に、結膜を、両区画を隔離するために分離壁にピン留めし、個別に灌流した。前部区画を加温(34℃)生理食塩水で灌流し、上角強膜境界上に連続的に滴下した。加温鉱油を充填した室の後部区画中で、神経フィラメントを毛様体神経から引き裂き、従来の電気生理学的装置を使用した単一ユニットインパルス活性の単極記録のためのAg-AgCl電極上に置いた。後部区画中のAg/AgClペレットに関する電気信号を記録した。電気信号を、CEDインターフェースを有するPCに転送し、適切なソフトウェアを用いて解析した。選択したユニットの自発的活性を、任意の意図する刺激の1分前に記録した。その後に較正von Frey hair(範囲0.25~4.00mN)を使用して機械的閾値を決定した。角膜求心性線維の受容野を、微細な絵筆を使用した機械的刺激を用いて限定し、その後に閾値上von Frey hairを使用してマッピングした。化学的刺激について、98.5%COを含むガス噴射を角膜受容野に30秒間適用した。熱刺激を、特注のペルチェデバイスによる灌流溶液の冷却(20℃に低下)によって行った。
データ解析
多様式線維の単線維記録では、その刺激様式、振幅、および形状に従って区別される個別のユニットのインパルス発火を解析した。継続インパルス活性を、記録開始から30秒間およびインパル間期に測定した平均インパルス頻度(インパルス/秒)として示した。COに対する応答を、以下のパラメータを測定して定量化した:潜伏期:COパルスの開始時とユニットによって与えられた第1のパルスとの間の時間遅延;平均発射率:COパルスを通じた1秒あたりの平均インパルス数(imp/秒);発射後:COパルス直後30秒間の平均発火頻度(imp/秒)。
冷神経線維記録では、以下のさらなる発火パターンパラメータを計算した:平均発火頻度:1秒あたりの平均インパルス記録数(インパルス/秒);冷却閾値:基礎温度での平均神経インパルス頻度が25%増加した冷却勾配中の温度;ピーク応答:冷却勾配中のインパルス頻度の最大インパルス/秒値;ピーク応答時温度:ピーク頻度に到達した時の温度値(℃)。
実験プロトコール
以下の実験順序にしたがった:
多様式侵害受容性線維の同定
角膜を刺激し、角膜表面に適用された湿った微細なブラシを使用した機械刺激に対して応答する線維を含むフィラメントを同定した。神経フィラメントの分割後、単一の角膜侵害受容性ユニットを、機械刺激によって位置確認した。それぞれの隔離した単一ユニットのさらなる特徴づけ(多様式性の決定)のために、以下の所定の作業を行った:
1.受容野境界のマッピングおよびvon Freyフィラメントを使用した機械的閾値の決定;
2.98.5%COの30秒間パルスに対する応答の測定。応答が検出されなかった場合、新規の線維を調査した。
多様式侵害受容器に及ぼす4%HAの影響
4%HA溶液を角膜表面上に適用した。湿度を維持するために、角膜に生理食塩水を定期的に滴下した。4%HAの滴下後、30秒COパルスを角膜表面上に逐次適用した(4%HA適用から5、20、35、50、65、および80分後)。次いで、角膜を生理食塩水で5分間継続的に洗浄し、洗浄から15分後および20分後にCOに対する応答を測定した。プロトコールの終了時に電気的閾値を測定して、線維の応答性を確認した。完全な実験手順にわたる自発的活性の存在およびCO刺激に対するインパルス応答の規模を測定した。
冷温度感受性線維の同定
角膜を神経支配する冷温度感受性線維を含むフィラメントを、角膜上に冷生理食塩水の液滴を適用することによって同定した。線維の分割後、単一の角膜冷ユニットを含むフィラメントを、氷冷金属棒(先端部直径1mm)を角膜上に適用することによって位置確認して受容野をマッピングした。
34℃での単一の冷感神経終末によって示された継続インパルス活性を記録した。34℃~15℃の冷却勾配を、ペルチェデバイスを使用した受容野の温度変化によって行った。
冷温度受容器神経活動に及ぼす4%HAの影響
4%HAを室の前区画中に曝露した眼表面に適用し、34℃での冷温度受容器の継続活動および冷却勾配に対する応答に及ぼす影響を、HA適用から5、20、35、50、65、および80分後、ならびに角膜洗浄から15分後および20分後に調査した。
静止温度34℃での平均継続活動、温度閾値、および冷却勾配中の神経インパルス活性の増加を決定した。
結果
インタクトな角膜では、多様式侵害受容器線維として同定された知覚求心性部分は、角膜受容野を示し、この角膜受容野は、通常は隣接する強膜内に1mmまで及ぶ。多様式侵害受容器線維は、静止時にサイレントであり、機械刺激に応答し、98.5%COにも応答する。
継続活動およびCOに対する発火応答に及ぼす4%HAの影響を、2つの単一の多様式ユニットおよび2つの冷感ユニットにおいて測定した。COの影響を、角膜表面上への4%HAの適用前および適用後に分析した。以下の表1に示すように、多様式侵害受容器は、静止時にサイレントであり、2分間の記録期間中に継続活動は認められなかった。多様式侵害受容器は、約6インパルス/秒の平均インパルス発射頻度での30秒COパルスに対して約2.5秒間応答した。角膜上への4%HAの適用から最初の35分間に、COに対する応答は、顕著に減少し、その後終了した。4%HA処置から80分後の洗浄により、COに対する応答が次第に回復した。
全角膜知覚求心性部分の約10%を占める冷温度受容器線維におけるインパルス活性も記録した。本発明者らは、インタクトな眼における34℃でのその規則的な継続インパルス活性および眼の冷温度受容器に特徴的な15℃冷却パルスに原因する顕著な頻度の増加を確認した(Gallarら、1993、J.Physiol.、468、609-622;Parraら、2010、Nature Medicine、16、1396-1399)。
表1に示すように、角膜の4%HAへの4時間の曝露により、34℃での冷温度受容器のバックグラウンドの継続活動が減少した。冷閾値に明確な変化は認められなかったが、表1にも示すように、冷勾配に対する応答が顕著に減少し、洗浄20分後に部分的にしか回復せず、一方、冷勾配によって誘発されたピーク頻度値はこの間に正常値に戻った。
要するに、これらの値は、4%HAが角膜の酸性刺激に起因する多様式侵害受容器線維における異常なインパルス活性を軽減することを示す。これは、おそらく、HA分子と感作された侵害受容性神経終末のTRPV1チャネルとの相互作用の結果であり(Cairesら、2015、Nat.Comm.6、8095)、高濃度のHAがこの効果の惹起に非常に有効であることを証明している。また、冷温度受容器の活動が減少した。これはおそらく低濃度のHA溶液よりも角膜表面の遮蔽に有効であることに起因していた。
実施例2.種々の針サイズによるHA排出に必要な力
異なる直径(30~18G)の針を有する3mLシリンジから4%HA組成物を排出するのに必要な圧力を測定し、図1に示す。シリンジのガスケット(embolus)に対して垂直に作用するように二皿天秤の一方の皿に力をかけた。分銅を軽いものから反対側の皿に加えた。図1に示す結果によって証明されるように、本発明のHA組成物を、直径30~18Gの針を使用して被験体に投与することができる。
均等論
前述の明細書は、当業者が本発明を実施することが可能であるのに十分であると考えられる。実施例は本発明の1つの態様の1つの例示であることを意図し、他の機能的に等価な実施形態が本発明の範囲内に含まれるので、本発明は、提供した実施例によってその範囲が制限されてはならない。本明細書中に示し、説明した実施形態に加えて、本発明の種々の修正形態が前述の説明から当業者に明らかとなり、この修正形態は添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる。本発明の利点および目的は、本発明の各実施形態に必ずしも含まれているわけではない。

Claims (1)

  1. 図面に記載の発明。
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