JP2023152932A - 磁気記録媒体用磁性粉およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用磁性粉およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微細な粒子からなる六方晶フェライト磁性粉において、磁気記録媒体の垂直方向角形比SQを向上させる効果の大きいものを提供する。【解決手段】六方晶バリウムフェライトのBaの一部をSrで置換した磁性粒子からなり、Dx体積(nm3)=Dxc×π×(Dxa/2)2で表されるDx体積が2200nm3以下であり、Sr/(Ba+Sr)モル比が0.01~0.15である磁気記録媒体用磁性粉。Ku≧0.1×[Sr/(Ba+Sr)モル比]+0.13を満たすものがより好ましい。ここで、Dxcは六方晶フェライト結晶格子のc軸方向の結晶子径(nm)、Dxaは同結晶格子のa軸方向の結晶子径(nm)、πは円周率、Kuは結晶磁気異方性定数(MJ/m3)である。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録媒体の高密度記録に適したマグネトプランバイト型(M型)六方晶バリウムフェライト磁性粉およびその製造方法に関する。
磁気記録媒体の高密度記録に適した磁性粉としてM型六方晶フェライト磁性粉が知られている。M型六方晶フェライトは化学式AO・6Feを基本構造とするものである。上記化学式中のA元素はBa、Sr、Pb、Caなどである。磁気記録媒体用のM型六方晶フェライトには、A元素の大部分がBaで構成されるバリウムフェライトや、A元素の大部分がSrで構成されるストロンチウムフェライトを適用するのが一般的である。Feサイトの一部は要求特性に応じてCo、Zn、Ti、Sn、Nb、V等の金属元素で置換されることがある。
特許文献1には、Feサイトの一部を所定量のTi、Zn、Coで置換した組成の六方晶バリウムフェライト磁性粉が記載されている。これにより抗磁力(保磁力)の温度安定性が向上するという。上記A元素にはBaとSrを複合して使用してもよいとされ、実施例7にはSr/(Ba+Sr)モル比が0.08であるSr含有六方晶バリウムフェライト磁性粉が示されている。
一方、六方晶ストロンチウムフェライトは結晶磁気異方性定数Kuが高く、磁化の熱的安定性を高める上で有利であることが知られている。
特許文献2、3には、Baを含有させることにより微粒子化を図った六方晶ストロンチウムフェライト磁性粉が記載されている。上記A元素の大部分はSrであり、特許文献2、3に開示される磁性粉のSr/(Ba+Sr)モル比は約0.5~0.95である。
特開昭63-234409号公報 特開2015-127984号公報 特開2015-127985号公報
磁気記録媒体の性能向上には、記録密度とSNR(S/N比)の両方を向上させることが重要である。記録密度向上の観点からは、磁性粒子の微細化(具体的にはDx体積の微小化)が有利となる。一方、磁気記録媒体のSNR(S/N比)は、媒体特性としての垂直方向角形比SQに大きく依存することが確かめられている。SNRの向上には垂直方向角形比SQの向上が有効となる。垂直方向角形比SQは磁性層に対し垂直方向に磁場を印加した場合の磁化曲線における角形比である。
特許文献2、3に開示されるような六方晶ストロンチウムフェライトでは、結晶格子のa軸方向の結晶子径Dxaとc軸方向の結晶子径Dxcの比(Dxa/Dxc)で表される板状比が小さくなりやすく、c軸が磁性層に対してできるだけ垂直方向に揃う特性(配向性)に劣ることから、特に薄い磁性層を持つ磁気記録媒体で高い再生出力を発揮させることを意図した場合には不利となる。一方、六方晶バリウムフェライトは板状比の大きい磁性粒子を得やすいという点では有利である。しかし、六方晶バリウムフェライトは六方晶ストロンチウムフェライトに比べて結晶磁気異方性定数Kuが小さく、微粒子化すると超常磁性に近づくため、垂直方向角型比SQが低下してしまう。磁気記録媒体の垂直方向角形比SQを向上させる効果に優れる六方晶バリウムフェライト微粒子磁性粉を実現するための手法は、確立されていない。特許文献1にはSr含有六方晶バリウムフェライト磁性粉が例示されているが(実施例7)、非晶質体を経由せずに原料混合物質を直接焼成する製法で合成されているため、粒子径が大きくなり(表2の実施例7は0.17μmと記載されている。)、昨今の高密度記録用途には対応できない。また特許文献1には、磁気記録媒体の垂直方向角形比SQを向上させることに関し、示唆はない。
本発明は、微細な粒子からなる六方晶フェライト磁性粉において、磁気記録媒体の垂直方向角形比SQを向上させる効果の大きいものを提供することを目的とする。
発明者らは研究の結果、上記A元素として少量のSrを含有させた特定組成範囲の六方晶バリウムフェライト磁性粉において、磁気記録媒体の垂直方向角形比SQを向上させる効果が生じることを発見した。すなわち、Srの含有量が増えすぎると六方晶粒子の板状比が小さくなり、磁気記録媒体における磁性粒子の配向性が悪くなって磁気記録媒体の垂直方向角形比SQが低下するようになる。また、原料物質の融体を急冷して得た非晶質体に予備的な熱処理を加え、その後、焼成を行って結晶化させるというプロセスを適用することによって、結晶磁気異方性定数Ku(MJ/m)とSr/(Ba+Sr)モル比の関係が所定範囲となる磁性粉を得ることができ、その磁性粉では磁気記録媒体の垂直方向角形比SQを向上させる効果が生じる組成範囲が拡大されることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
上記目的は以下の発明によって達成される。
[1]六方晶バリウムフェライトのBaの一部をSrで置換した磁性粒子からなり、下記(1)式で表されるDx体積が2200nm以下であり、Sr/(Ba+Sr)モル比が0.01~0.15である磁気記録媒体用磁性粉。
Dx体積(nm)=Dxc×π×(Dxa/2) …(1)
ここで、Dxcは六方晶フェライト結晶格子のc軸方向の結晶子径(nm)、Dxaは同結晶格子のa軸方向の結晶子径(nm)、πは円周率である。
[2]六方晶バリウムフェライトのBaの一部をSrで置換した磁性粒子からなり、下記(1)式で表されるDx体積が2200nm以下であり、Sr/(Ba+Sr)モル比が0.01~0.30であり、結晶磁気異方性定数Ku(MJ/m)とSr/(Ba+Sr)モル比の関係が下記(2)式を満たす磁気記録媒体用磁性粉。
Dx体積(nm)=Dxc×π×(Dxa/2) …(1)
ここで、Dxcは六方晶フェライト結晶格子のc軸方向の結晶子径(nm)、Dxaは同結晶格子のa軸方向の結晶子径(nm)、πは円周率である。
Ku≧0.1×[Sr/(Ba+Sr)モル比]+0.13 …(2)
[3]Sr/(Ba+Sr)モル比が0.01~0.15である、上記[2]に記載の磁気記録媒体用磁性粉。
[4]Bi/Feモル比が0.005~0.05の範囲でBiを含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体用磁性粉。
[5]六方晶バリウムフェライトの構成元素としてSrを含む非晶質体を、600~670℃の温度範囲に加熱することにより結晶化させる工程を含む、上記[1]に記載の磁気記録媒体用磁性粉の製造方法。
[6]六方晶バリウムフェライトの構成元素としてSrを含む非晶質体を、500~570℃の温度に10時間以上保持することにより中間体を得る工程と、
前記中間体を600~670℃の温度範囲に加熱することにより結晶化させる工程と、
を含む、上記[2]に記載の磁気記録媒体用磁性粉の製造方法。
本発明によれば、微細な粒子で構成される六方晶フェライト磁性粉において、磁気記録媒体の垂直方向角形比SQを向上させる効果が大きいものを実現することができた。したがって本発明は、磁気記録媒体の記録密度向上とSNR向上の高レベルでの両立に寄与しうる。
六方晶バリウムフェライト磁性粉のSr/(Sr+Ba)モル比と、その磁性粉を用いた磁気テープの垂直方向角型比SQの関係を示すグラフ。 六方晶バリウムフェライト磁性粉のSr/(Sr+Ba)モル比と結晶磁気異方性定数Kuの関係を示すグラフ。
以下、本発明を特定する事項について説明する。
[Dx体積]
磁気記録媒体の記録密度向上のためには、六方晶フェライト結晶粒子が微細であることが有利となる。結晶粒子のサイズ的パラメータとして、結晶子径から求まるDx体積を採用することができる。Dx体積は下記(1)式により算出される。
Dx体積(nm)=Dxc×π×(Dxa/2) …(1)
ここで、Dxcは六方晶フェライト結晶格子のc軸方向の結晶子径(nm)、Dxaは同結晶格子のa軸方向の結晶子径(nm)、πは円周率である。結晶子径は、後述の実施例に示すように、Cu-Kα線を用いたX線回折法(XRD)により測定される回折ピークの半値幅から求めることができる。
発明者らの検討によれば、十分に高い記録密度を有する磁気記録媒体を得るためには、Dx体積が2200nm以下の六方晶バリウムフェライト磁性粉を適用することが望まれる。Dx体積は2000nm以下であることがより好ましい。記録密度の向上を特に重視する用途では、Dx体積を1800nm以下に調整することが有利であり、1750nm以下に調整することもできる。一方、Dx体積を比較的高めの範囲に調整すると、磁気記録媒体の垂直方向角形比SQに関しては、より高い値が実現されやすくなる。磁気記録媒体の垂直方向角形比SQの向上、すなわち磁気記録媒体のSNRの向上を特に重視する用途では、Dx体積を例えば1800nmより大きく2200nm以下の範囲に調整することが有利であり、1800nmより大きく2000nm以下の範囲に調整してもよい。Dx体積は、原料物質の融体を非晶質化させる過程を経由して六方晶フェライト結晶を合成するプロセスにおいて、結晶化のための焼成温度や、焼成前の熱履歴によってコントロールすることができる。Dx体積を大幅に小さくするためには焼成温度をかなり低くする必要があり、その場合には結晶性が低下することによる磁気特性の低下が懸念される。通常、Dx体積は1100nm以上の範囲で調整すればよく、1300nm以上に管理してもよい。
[組成]
六方晶バリウムフェライトのBaの一部を少量のSrで置換することによって、磁気記録媒体の垂直方向角形比SQを向上させる効果(以下これを「媒体SQ向上効果」と言うことがある。)が大きい磁性粉を実現することができる。具体的には、Sr/(Ba+Sr)モル比を0.01~0.15の範囲とすることにより媒体SQ向上効果を得ることができる。Sr/(Ba+Sr)モル比を0.03~0.15の範囲とすることがより効果的であり、0.05~0.15の範囲とすることが更に好ましい。「Sr/(Ba+Sr)モル比」は、六方晶フェライトを構成するBaとSrの合計モル数に対するSrのモル数の割合を意味する。Sr/(Ba+Sr)モル比が0.15を超えて大きくなると、媒体SQ向上効果は低下傾向に転じ、Sr無添加の場合と比較してむしろ悪化する場合もある。そのメカニズムについては未解明であるが、Srの置換割合が増加していくと、結晶磁気異方性定数Kuが上昇することに伴う保磁力Hcの上昇が媒体SQ向上効果にプラスに作用する反面、磁性粒子の板状比(Dxa/Dxc)が低下することに伴う磁性層中での磁性粒子の配向性低下が媒体SQ向上効果にマイナスに作用し、それらのバランスによって媒体SQ向上効果が有効に発現するSr/(Ba+Sr)モル比の範囲が生じているのではないかと推察される。
一方、結晶磁気異方性定数Kuの向上効果が大きい製造方法(後述)で得られた六方晶バリウムフェライト磁性粉を使用すると、媒体SQ向上効果が発揮されるSr/(Ba+Sr)モル比の範囲を拡張させることが可能になる。具体的には、結晶磁気異方性定数Ku(MJ/m)とSr/(Ba+Sr)モル比の関係が下記(2)式を満たす六方晶バリウムフェライト磁性粉では、Sr/(Ba+Sr)モル比が0.01~0.30の範囲で媒体SQ向上効果を得ることができる。Sr/(Ba+Sr)モル比は0.03~0.30の範囲であることがより効果的であり、0.05~0.30の範囲であることが更に好ましい。
Ku≧0.1×[Sr/(Ba+Sr)モル比]+0.13 …(2)
六方晶バリウムフェライトのFeサイトについては、Feの一部が2価、4価または5価の金属元素の1種以上で置換されていてもよい。上記2価の金属元素としてはCo、Zn等が挙げられ、上記4価の金属元素としてはTi、Sn等が挙げられ、上記5価の金属元素としてはNb、V等が挙げられる。Feサイト置換元素については[Feサイト置換元素のトータル含有量(モル)]/[Fe含有量(モル)]を0.001~0.060とすることが好ましい。
本発明で対象とする六方晶バリウムフェライト磁性粉は、Biを含有していても構わない。Biは六方晶フェライトの結晶構造を構成する元素(化学式AO・6Feのいずれかの原子サイトに入る元素)ではないが、六方晶フェライト結晶粒子の微細化や、当該磁性粉を使用した磁気記録媒体の電磁変換特性の向上に有効な添加元素である。特に、焼成温度を低くして結晶粒子の微細化を狙った場合でも磁気特性の低下を小さくする効果を有する。Biを含有させる場合、Bi/Feモル比は0.005~0.05の範囲とすることが効果的である。
また、要求特性に応じて、Nd、Y、Sm、Y、Er、Ho等の希土類元素の1種以上や、Alを含有していても構わない。これらの元素も六方晶フェライトの結晶構造を構成するものではない。希土類元素の1種以上を含有させる場合は、希土類元素をRと表記するとき、R/Feモル比を0.001~0.010とすることが好ましい。Alを含有させる場合は、Al/Feモル比を0.001~0.050とすることが好ましい。
[製造方法]
六方晶バリウムフェライト磁性粉の製造方法としては、小さい結晶粒子サイズを有する粒度分布の揃った六方晶フェライト磁性粉を得る観点から、原料物質の融体を急冷して得た非晶質体を経由するプロセスを適用することが好ましい。そのプロセスとして、下記の2つのパターンを挙げることができる。
(パターン1)
上記の非晶質体を焼成して結晶化させるパターン。これは、いわゆる「ガラス結晶化法」と呼ばれる手法であり、従来公知の手法が利用できる。具体的には、六方晶バリウムフェライトの構成元素としてSrを含む非晶質体を、600~670℃の温度範囲に加熱することにより結晶化させる工程が適用できる。この「パターン1」は、Sr/(Ba+Sr)モル比が0.01~0.15の組成範囲にある六方晶バリウムフェライト磁性粉の合成に利用でき、その組成範囲で媒体SQ向上効果を得ることができる。
(パターン2)
上記の非晶質体に予備的な熱処理を加え、その後、焼成を行って結晶化させるパターン。これは本明細書で開示する新たな手法である。具体的には、六方晶バリウムフェライトの構成元素としてSrを含む非晶質体を500~570℃の温度に10時間以上保持することにより中間体を得る工程と、前記中間体を600~670℃の温度範囲に加熱することにより結晶化させる工程とを含むプロセスが適用できる。上記の中間体を得るための予備的な熱処理では、急冷して得られた非晶質体に含まれる2価のFeの大部分が3価のFeに酸化されると考えられる。予め3価のFeが形成された状態の中間体を使用することによって、焼成時に2価のFeから3価のFeへの酸化を進行させる反応が大幅に軽減されるものと考えられ、結果的に結晶磁気異方性定数Kuが向上した六方晶バリウムフェライト磁性粉が合成される。この「パターン2」は、Sr/(Ba+Sr)モル比が0.01~0.30の組成範囲にある六方晶バリウムフェライト磁性粉の合成に利用でき、その組成範囲で媒体SQ向上効果を得ることができる。パターン2の手法は、媒体SQ向上効果が発現するSr/(Ba+Sr)モル比の組成範囲の拡張をもたらすとともに、媒体SQ向上効果自体の増大にも極めて有効である。
[実施例1]
(六方晶バリウムフェライト磁性粉の製造)
ホウ酸HBO(工業用)、炭酸バリウムBaCO(工業用)、炭酸ストロンチウムSrCO(工業用)、酸化鉄Fe(工業用)、酸化コバルトCoO(試薬、純度90%以上)、酸化チタンTiO(試薬1級)、酸化ビスマスBi(工業用)、酸化ネオジムNd(工業用)、水酸化アルミニウムAl(OH)(試薬、純度99.0%以上)を秤量して表1に示す原料配合とし、三井三池製FMミキサーを用いて混合し、原料混合物を得た。上記原料混合物をペレタイザーに入れ、水を噴霧しながら球状に成形して造粒し、その後270℃で14時間乾燥させ、粒径1~50mmの造粒品を得た。
上記造粒品を、白金るつぼを用いて溶融炉により溶融させた。1400℃まで昇温して60分撹拌しながら保持し、各原料物質を完全に溶融状態としたのち、その溶融物(溶湯)をノズルから出湯させて、ガスアトマイズ法にて急冷し、非晶質体を得た。
得られた非晶質体に、以下の熱処理を順次施すプロセス(上述のパターン2)を適用して、結晶化させた。
<予備熱処理>
上記の非晶質体を空気中530℃で72時間加熱保持することにより中間体を得た。
<結晶化熱処理>
得られた中間体を空気中630℃で60分加熱保持することにより結晶化させた。
結晶化熱処理によって得られた粉体には、六方晶フェライトの他、ホウ酸バリウムを主体とする残余物質が含まれている。残余物質を除去するため、結晶化熱処理によって得られた粉体を60℃に加温した10質量%酢酸水溶液に浸漬させ、撹拌しながら1時間保持して上記残余物質を液中に溶解させる酸洗浄を施し、その後、ろ過により固液分離を行い、純水を加えて洗浄した。得られた固形分に純水を加えて撹拌し、スターミルで湿式解砕した。
湿式解砕後の固形分を含むスラリーに塩化アルミニウム水溶液を添加した。塩化アルミニウムによるAlの添加量を固形分100質量部に対するAl(OH)換算で3.3質量部とした。塩化アルミニウム水溶液添加後のスラリーを40℃で10分撹拌した。このスラリーのpHは3.0~4.0の範囲にあった。その後、水酸化ナトリウムを添加してpHを8.0~9.0に調整した後、40℃で更に10分撹拌することにより、反応生成物であるアルミニウム水酸化物の層を固形分の粒子(六方晶フェライト磁性粒子)の表面に形成した。その後、ろ過により固液分離を行い、純水を加え、洗浄后液(ろ液)の導電率が10μS/cm以下となるまで水洗した。水洗後は110℃の空気中で12時間の乾燥を行った。このようにして六方晶バリウムフェライト粒子の表面にアルミニウム水酸化物を被着させた乾燥粉を得た。このアルミニウム水酸化物は磁気記録媒体の耐久性向上に寄与する。
仕上解砕工程として、得られた乾燥粉を、供給速度150g/minでインパクトミル(ミルシステム株式会社製ファインインパクトミルAVIS-150)に投入し、インパクトミルのローターのピン先端とステーターの台座との間隔を1mmとして、回転数9750rpmで解砕した。解砕条件は予備実験により求めた適正条件範囲内において設定した。仕上解砕工程を終えた六方晶バリウムフェライト磁性粉を供試粉として以下の調査に供した。磁性粉製造条件の主な項目は表1中に示してある。
(磁性粉の組成分析)
アジレントテクノロジー株式会社製の高周波誘導プラズマ発光分析装置ICP(720-ES)により供試粉の組成分析を行った。測定波長(nm)についてはFe:259.940nm、Ba:233.527nm、Sr:421.552nm、Co:231.160nm、Ti:334.941nm、Bi:222.821nm、Nd:406.108nm、Al:396.152nmにて行った。なお、各金属元素の測定波長は、分析する磁性粉の組成に応じて、他元素のスペクトルの干渉がなく、検量線の直線性を得られる波長を選択するようにした。得られた定量値から、各元素のFeに対するモル比を算出した。ある元素X(Xは例えばCo、Alなど)についてのX/Feモル比は下記の式により算出される。
X/Feモル比=X含有量(モル%)/Fe含有量(モル%)
Baの含有量については、以下の式で算出されるBa/Feサイト元素モル比で表示した。
Ba/Feサイト元素モル比=Ba含有量(モル%)/FeおよびFeサイトの一部を置換する遷移金属元素の合計含有量(モル%)
本例の場合、Feサイトの一部を置換する遷移金属元素はCoとTiのみであるから、Ba/Feサイト元素モル比=Ba含有量(モル%)/(Fe含有量(モル%)+Co含有量(モル%)+Ti含有量(モル%))となる。
Srの含有量については、Sr/(Sr+Ba)モル比で表示した。本例の供試粉のSr/(Sr+Ba)モル比は0.041であった。
(粉末磁気特性の測定)
供試粉をφ6mmのプラスチック製容器に詰め、振動試料型磁力計(東英工業株式会社製、VSM-P7-15)を使用して、外部磁場795.8kA/m(10kOe)、M測定レンジ0.010A・m(10emu)、ステップビット198(bit)、時定数0.03sec、ウエイトタイム0.1secの条件で、保磁力Hc、飽和磁化σs、角形比SQを測定した。
(BET比表面積の測定)
供試粉について、全自動比表面積測定装置(マウンテック株式会社製、Macsorb HM Model-1210)を用いてBET一点法による比表面積を求めた。
(活性化体積Vact、結晶磁気異方定数Kuの評価)
パルス磁界発生器(TESLA製、TP15326)および振動試料型磁力計(東英工業社製、VSM-5)を用いた。以下の(1)~(10)の操作により、活性化体積Vact、結晶磁気異方定数Kuの評価を行った。ただし、(2)~(10)の操作は、25±1℃で行った。残留磁化量は、M測定レンジ0.005A・m(5emu)、時定数0.03secで測定を行った。
(1)供試分である六方晶バリウムフェライト磁性粉をφ6mmのプラスチック製容器に詰めた。
(2)振動試料型磁力計により1034.54kA/m(13kOe)の磁場を印加することで磁化を飽和させ、磁場をゼロに戻した。この際、ステップビット240bit、ウエイトタイム0.8secとし、Returnモードにして磁場を印加した。
(3)試料を振動試料型磁力計から取り外し、パルス磁界発生器に取り付けた。この際、飽和磁化方向と逆方向に磁場(逆磁場と呼ぶ)がかかるように試料を取り付けた。
(4)逆磁場印加時間0.40msで磁場を印加し磁場をゼロに戻した。印加する磁場は、1回目はHc+23.88kA/mを目安とする。2回目以降は1回目の結果を参考にして残留磁化がゼロ付近となるように1回目と異なる逆磁場を設定する。
(5)試料をパルス磁界発生器から取り外し、試料の向きが(2)のときと同じになるように振動試料型磁力計に取り付けた。
(6)振動試料型磁力計により残留磁化量を測定した。(2)の操作終了後から残留磁化量測定まで、20秒で操作を行った。
(7)(4)で印加する逆磁場の値を変更し、(2)~(6)までの操作をさらに4回以上繰り返した。
(8)残留磁化が0Am/kgとなる逆磁場の値Hr(0.40ms)を内挿して求められるように測定結果を5点以上選んで直線近似し、決定係数Rの値が0.990以上になるまで(2)~(7)の作業を繰り返した。この近似直線から、残留磁化が0Am/kgとなるときの逆磁場の値Hr(0.40ms)を求めた。このHrを残留保磁力と呼ぶこととする。磁性体のHr値によって印加する逆磁場の値は適宜設定することができる。
(9)逆磁場印加時間を6.1msとして(2)~(8)と同様の操作を行い、残留磁化が0Am/kgとなるときの残留保磁力Hr(6.1ms)を求めた。
(10)逆磁場印加時間を17s、磁場を印加する装置を振動試料型磁力計に変更し、(2)~(8)と同様の操作を行い、残留磁化が0Am/kgとなる時の残留保磁力Hr(17s)を求めた。この際、(3)~(5)の試料の付け外し作業は行わなかった。また、(7)での繰り返し回数を2回以上とし、(8)では測定結果を3点選んで直線近似し、決定係数Rの値を0.997以上とした。
Hr(0.40ms)、Hr(6.1ms)、Hr(17s)について、データ解析用ソフトウェア(OriginLab Corporation社製、Origin)を用いて解析した。Curve Fit(非線形)機能を用い、下記(3)式のH、KuV/kTをフィッティングパラメータとし、最小二乗法により最適化することでH、KuV/kTの値を求めた。このとき、H、KuV/kTの初期値としてそれぞれ5000、50を入力した。最小二乗法により求めたH、KuV/kTを下記(4)式に代入して活性化体積Vactを算出した。また、Hを下記(5)式に代入して結晶磁気異方性定数Kuを算出した。
Hr(t)=H{1-[(kT/KuV)ln(ft/ln2)]0.77} …(3)
ここで、k:ボルツマン定数(J/K)、T:測定温度(K)、Ku:結晶磁気異方性定数(J/m)、V=Vact:活性化体積(nm)、Hr(t):逆磁場印加時間tにおける残留保磁力(kA/m)、H:10-9秒での残留保磁力(kA/m)、f:スピン歳差周波数(s-1)、t:逆磁場印加時間(s)である。fの値はここでは10(s-1)である。
Vact(nm)=1.249×10×KuV/kT/H …(4)
Ku(J/m)=331×H(kA/m) …(5)
ここで、(4)式の係数1.249×10、および(5)式の係数331は計算過程での個別の数値および単位換算係数をまとめたものである。
上記(5)式により算出されるKu値の単位をMJ/mに変換すると、本例の供試粉の結晶磁気異方性定数Kuは0.139MJ/mと求まった。
(Dx体積、Dx比の評価)
X線回折装置(リガク製、UltimaIV)により、Cu管球を用いて、六方晶フェライト結晶格子のc軸方向の結晶子径Dxc(nm)、およびa軸方向の結晶子径Dxa(nm)を下記(6)式に従って求めた。
結晶子径(nm)=Kλ/(β・cosθ) …(6)
ここで、K:シェラー定数0.9、λ:Cu-Kα線波長(nm)、β:Dxcの測定では六方晶(006)面の回折ピークの半値幅(ラジアン)、Dxaの測定では六方晶(220)面の回折ピークの半値幅(ラジアン)、θ:回折ピークのブラッグ角(回折角2θの1/2)(ラジアン)である。
Dxcは2θ:20.5~25°、Dxaは2θ:60~65°の範囲をそれぞれスキャンして測定した。測定方法は集中法の連続測定法で、検出器は一次元半導体検出器(D-tex)を用いた。発散スリットは1/2°、散乱スリットは8mm、受光スリットは開放状態で測定を行った。サンプリング間隔Dxc:0.05°、Dxa:0.02°、走査速度Dxc:0.1°/min、Dxa:0.4°/min、積算回数1回とした。
Dx体積およびDx比(板状比)は、Dxc(nm)、Dxa(nm)の測定値をそれぞれ下記(1)式および(7)式に代入することにより算出した。
Dx体積(nm)=Dxc×π×(Dxa/2) …(1)
Dx比=Dxa/Dxc …(7)
ここで、πは円周率である。
上記の供試粉(六方晶バリウムフェライト磁性粉)を用いて磁気記録媒体(磁気テープ)を以下のようにして作製した。磁気テープ作製に関して記載する「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。
(磁性層塗布液の処方)
<磁性液>
六方晶バリウムフェライト磁性粉粒子:100.0部
オレイン酸:1.5部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR-104):8.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂(重量平均分子量70000、SONa基:0.07meq/g):2.0部
アミン系ポリマー(ビックケミー社製DISPERBYK-102):7.0部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
<研磨剤液>
α-アルミナ(比表面積19m/g、真球度1.4):6.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂(重量平均分子量70000、SONa基:0.1meq/g):0.6部
2,3-ジヒドロキシナフタレン:0.6部
シクロヘキサノン:23.0部
<非磁性フィラー液>
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ80nm、変動係数=7%、真球度1.03):2.0部
メチルエチルケトン:8.0部
<潤滑剤・硬化剤液>
ステアリン酸:3.0部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:6.0部
メチルエチルケトン:110.0部
シクロヘキサノン:110.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート(登録商標)L):3部
(非磁性層塗布液の処方)
非磁性粉体 α酸化鉄(平均長軸長10nm、平均針状比:1.9、BET比表面積75m2/g):100部
カーボンブラック(平均粒径20nm):25部
SONa基含有ポリウレタン樹脂(平均分子量70000、SONa基含有量0.2meq/g):18部
ステアリン酸:1部
シクロヘキサノン:300部
メチルエチルケトン:300部
(バックコート層塗布液の処方)
非磁性無機粉末:α酸化鉄(平均長軸長0.15μm、平均針状比:7、BET比表面積52m/g):80部
カーボンブラック(平均粒径20nm):20部 塩化ビニル共重合体:13部
スルホン酸塩基含有ポリウレタン樹脂:6部
フェニルホスホン酸:3部
シクロヘキサノン:155部
メチルエチルケトン:155部
ステアリン酸:3部
ブチルステアレート:3部
ポリイソシアネート:5部
シクロヘキサノン:200部
(磁気テープの作製)
磁性層塗布液は、上記磁性層塗布液の処方に従う各物質を、バッチ式縦型サンドミルにより0.1mmΦのジルコニアビーズを使用して24時間分散し(ビーズ分散)、その後、0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過することにより作製した。
非磁性層塗布液は、上記非磁性層塗布液の処方に従う各物質を、バッチ式縦型サンドミルにより0.1mmΦのジルコニアビーズを使用して24時間分散し(ビーズ分散)、その後、0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過することにより作製した。 バックコート層塗布液は、上記バックコート層塗布液の処方に示した物質のうち潤滑剤(ステアリン酸およびブチルステアレート)とポリイソシアネート、シクロヘキサノン200部を除いた各物質をオープン型ニーダにより混練・希釈した後、横型ビーズミル分散機により1mmΦのジルコニアビーズを用い、ビーズ充填率80%、ローター先端周速10m/sで1パス滞留時間を2分とし、12パスの分散処理に供し、その後残りの物質を添加してディゾルバーで撹拌し、得られた分散液を1μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過することにより作製した。
厚さ5μmのポリエチレンナフタレート製支持体(幅方向ヤング率:8GPa、縦方向ヤング率:6GPa)の表面上に、乾燥後の厚みが100nmになるように上記で調製した非磁性層塗布液を塗布、乾燥した後、その上に乾燥後の厚さが70nmになるように上記で調製した磁性層塗布液を塗布した。この磁性層塗布液が未乾状態にあるうちに、磁場強度0.3Tの磁場を塗布面に対し垂直方向に印加する垂直配向処理を施し、乾燥させた。その後、この支持体の反対面に乾燥後の厚さが0.4μmになるように上記で調製したバックコート層塗布液を塗布し、乾燥させた。得られたテープを金属ロールのみから構成されるカレンダーにより、速度100m/min、線圧300kg/cm、温度100℃で表面平滑化処理し、その後70℃のドライ環境で36時間の熱処理を施した。熱処理後1/2インチ幅にスリットし、磁気テープを得た。
(垂直方向角型比SQの評価)
振動試料型磁力計(東英工業株式会社製、VSM-P7)を用いて、磁気テープの磁性層表面と直交する方向、すなわち磁気テープの厚さ方向に外部磁場を付与して垂直方向角型比SQを測定した。測定条件は、温度23℃±1℃、最大外部磁場1194kA/m(15kOe)、スキャン速度4.8kA/m/秒(60Oe/秒)とした。振動試料型磁力計のサンプルプローブの磁化をバックグラウンドノイズとして差し引くことにより磁気記録媒体としての磁化曲線を求め、その磁化曲線から垂直方向角型比SQを求めた。
角形比SQの原理上の最大値は1.00である。上記の条件で求めた磁気テープの垂直方向角型比SQが0.67以上となる磁性粉であれば、高記録密度が要求される磁気記録媒体において良好なSNRが実現でき、高密度記録化に伴う今後の厳しいニーズに対応し得る性能を有していると評価される。
本例の供試粉はSr/(Sr+Ba)モル比が0.041であり、その供試粉を用いた磁気テープの垂直方向角型比SQは0.68であった。結果を表1に示してある。
[実施例2]
表1に示す原料配合および製造条件により、実施例1と同様の手順でSr/(Sr+Ba)モル比が0.059である六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。これを供試粉とし使用したことを除き、実施例1と同様の条件で磁気テープを作製して磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.69であった。結果を表1に示してある。
[実施例3]
表1に示す原料配合および製造条件により、実施例1と同様の手順でSr/(Sr+Ba)モル比が0.083である六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。これを供試粉とし使用したことを除き、実施例1と同様の条件で磁気テープを作製して磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.69であった。結果を表1に示してある。
[実施例4]
表1に示す原料配合および製造条件により、実施例1と同様の手順でSr/(Sr+Ba)モル比が0.093である六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。これを供試粉とし使用したことを除き、実施例1と同様の条件で磁気テープを作製して磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.70であった。結果を表1に示してある。
[実施例5]
表1に示す原料配合および製造条件により、実施例1と同様の手順でSr/(Sr+Ba)モル比が0.132である六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。これを供試粉とし使用したことを除き、実施例1と同様の条件で磁気テープを作製して磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.71であった。結果を表1に示してある。
[実施例6]
表2に示す原料配合および製造条件により、実施例1と同様の手順でSr/(Sr+Ba)モル比が0.260である六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。これを供試粉とし使用したことを除き、実施例1と同様の条件で磁気テープを作製して磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.69であった。結果を表2に示してある。
本例の供試粉はSr/(Sr+Ba)モル比が0.15を超えて高いが、予備熱処理を経由する上述のパターン2による製法で作製したことにより、0.67以上の高い垂直方向角型比SQを維持することができた。結果を表2に示してある。
[実施例7]
表2に示す原料配合および製造条件により、予備熱処理を行わない上述のパターン1(従来プロセス)による製法でSr/(Sr+Ba)モル比が0.086である六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。パターン2の過程をパターン1に変えたこと以外、実施例1と同様の手順で六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製し、その磁性粉を供試粉とした。この供試粉を用いて実施例1と同様の条件で磁気テープを作製し、磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.67であった。結果を表2に示してある。
[比較例1]
表2に示す原料配合および製造条件により、予備熱処理を行わない上述のパターン1(従来プロセス)による製法でSrを添加せずに六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。分析では不可避的不純物として微量のSrが検出され、Sr/(Sr+Ba)モル比は0.002であった。パターン2の過程をパターン1に変えたこと以外、実施例1と同様の手順で六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製し、その磁性粉を供試粉とした。この供試粉を用いて実施例1と同様の条件で磁気テープを作製し、磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.66であった。結果を表2に示してある。
[比較例2]
表2に示す原料配合および製造条件により、予備熱処理を行わない上述のパターン1(従来プロセス)による製法でSr/(Sr+Ba)モル比が0.272である六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。パターン2の過程をパターン1に変えたこと以外、実施例1と同様の手順で六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製し、その磁性粉を供試粉とした。この供試粉を用いて実施例1と同様の条件で磁気テープを作製し、磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.65であった。結果を表2に示してある。
以下の実施例8~10に、Dx体積を1800nmより大きく2000nm以下の範囲に調整した例を開示する。
[実施例8]
表3に示す原料配合および製造条件により、実施例1と同様の手順でSr/(Sr+Ba)モル比が0.046、Dx体積が1860nmである六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。これを供試粉とし使用したことを除き、実施例1と同様の条件で磁気テープを作製して磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.73であった。結果を表3に示してある。
[実施例9]
表3に示す原料配合および製造条件により、実施例1と同様の手順でSr/(Sr+Ba)モル比が0.092、Dx体積が1870nmである六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。これを供試粉とし使用したことを除き、実施例1と同様の条件で磁気テープを作製して磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.73であった。結果を表3に示してある。
[実施例10]
表3に示す原料配合および製造条件により、実施例1と同様の手順でSr/(Sr+Ba)モル比が0.144、Dx体積が1955nmである六方晶バリウムフェライト磁性粉を作製した。これを供試粉とし使用したことを除き、実施例1と同様の条件で磁気テープを作製して磁気特性を調べた。その結果、垂直方向角型比SQは0.74であった。結果を表3に示してある。
Figure 2023152932000002
Figure 2023152932000003
Figure 2023152932000004
図1に、各例について、六方晶バリウムフェライト磁性粉のSr/(Sr+Ba)モル比と、その磁性粉を用いた磁気テープの垂直方向角型比SQの関係を示す。白抜き四角プロットはDx体積が1800nmより大きく2000nm以下である実施例8~10の例である。Baの一部を少量のSrで置換することにより垂直方向角型比SQが向上することがわかる。Sr/(Sr+Ba)モル比が高くなると垂直方向角型比SQは低下傾向となるが、予備熱処理を経由する上述のパターン2による製法で作製した六方晶バリウムフェライト磁性粉を適用すると、垂直方向角型比SQが向上する効果(媒体SQ向上効果)が増大するとともに、媒体SQ向上効果が発揮されるSr/(Sr+Ba)モル比の範囲が拡大する。
図2に、各例について、六方晶バリウムフェライト磁性粉のSr/(Sr+Ba)モル比と結晶磁気異方性定数Kuの関係を示す。白抜き四角プロットはDx体積が1800nmより大きく2000nm以下である実施例8~10の例である。図2中には下記(2)式のラインを破線で示してある。図1と照合すると、下記(2)式を満たすものは媒体SQ向上効果に特に優れることがわかる。予備熱処理を経由する上述のパターン2による製法を適用することにより、下記(2)式を満たす六方晶バリウムフェライト磁性粉が得られている。
Ku≧0.1×[Sr/(Ba+Sr)モル比]+0.13 …(2)

Claims (6)

  1. 六方晶バリウムフェライトのBaの一部をSrで置換した磁性粒子からなり、下記(1)式で表されるDx体積が2200nm以下であり、Sr/(Ba+Sr)モル比が0.01~0.15である磁気記録媒体用磁性粉。
    Dx体積(nm)=Dxc×π×(Dxa/2) …(1)
    ここで、Dxcは六方晶フェライト結晶格子のc軸方向の結晶子径(nm)、Dxaは同結晶格子のa軸方向の結晶子径(nm)、πは円周率である。
  2. 六方晶バリウムフェライトのBaの一部をSrで置換した磁性粒子からなり、下記(1)式で表されるDx体積が2200nm以下であり、Sr/(Ba+Sr)モル比が0.01~0.30であり、結晶磁気異方性定数Ku(MJ/m)とSr/(Ba+Sr)モル比の関係が下記(2)式を満たす磁気記録媒体用磁性粉。
    Dx体積(nm)=Dxc×π×(Dxa/2) …(1)
    ここで、Dxcは六方晶フェライト結晶格子のc軸方向の結晶子径(nm)、Dxaは同結晶格子のa軸方向の結晶子径(nm)、πは円周率である。
    Ku≧0.1×[Sr/(Ba+Sr)モル比]+0.13 …(2)
  3. Sr/(Ba+Sr)モル比が0.01~0.15である、請求項2に記載の磁気記録媒体用磁性粉。
  4. Bi/Feモル比が0.005~0.05の範囲でBiを含有する、請求項1または2に記載の磁気記録媒体用磁性粉。
  5. 六方晶バリウムフェライトの構成元素としてSrを含む非晶質体を、600~670℃の温度範囲に加熱することにより結晶化させる工程を含む、請求項1に記載の磁気記録媒体用磁性粉の製造方法。
  6. 六方晶バリウムフェライトの構成元素としてSrを含む非晶質体を、500~570℃の温度に10時間以上保持することにより中間体を得る工程と、
    前記中間体を600~670℃の温度範囲に加熱することにより結晶化させる工程と、
    を含む、請求項2に記載の磁気記録媒体用磁性粉の製造方法。
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