JP2023149755A - 銀めっき材の製造方法、銀被覆金属板材および通電部品 - Google Patents

銀めっき材の製造方法、銀被覆金属板材および通電部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2023149755A
JP2023149755A JP2022058508A JP2022058508A JP2023149755A JP 2023149755 A JP2023149755 A JP 2023149755A JP 2022058508 A JP2022058508 A JP 2022058508A JP 2022058508 A JP2022058508 A JP 2022058508A JP 2023149755 A JP2023149755 A JP 2023149755A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
coating layer
plating
silver coating
test
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022058508A
Other languages
English (en)
Inventor
恵理 船田
Eri FUNADA
健太郎 荒井
Kentaro Arai
陽介 佐藤
Yosuke Sato
悠太郎 平井
Yutaro Hirai
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dowa Metaltech Co Ltd
Original Assignee
Dowa Metaltech Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dowa Metaltech Co Ltd filed Critical Dowa Metaltech Co Ltd
Priority to JP2022058508A priority Critical patent/JP2023149755A/ja
Priority to PCT/JP2022/029386 priority patent/WO2023188446A1/ja
Priority to CN202280064838.XA priority patent/CN118043503A/zh
Publication of JP2023149755A publication Critical patent/JP2023149755A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D3/00Electroplating: Baths therefor
    • C25D3/02Electroplating: Baths therefor from solutions
    • C25D3/46Electroplating: Baths therefor from solutions of silver
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D5/00Electroplating characterised by the process; Pretreatment or after-treatment of workpieces
    • C25D5/10Electroplating with more than one layer of the same or of different metals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D5/00Electroplating characterised by the process; Pretreatment or after-treatment of workpieces
    • C25D5/10Electroplating with more than one layer of the same or of different metals
    • C25D5/12Electroplating with more than one layer of the same or of different metals at least one layer being of nickel or chromium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D5/00Electroplating characterised by the process; Pretreatment or after-treatment of workpieces
    • C25D5/48After-treatment of electroplated surfaces
    • C25D5/50After-treatment of electroplated surfaces by heat-treatment

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)

Abstract

【課題】耐摩耗性に優れるとともに、高温高湿の環境に曝した場合でも銀被覆層の耐剥離性が高く維持される性能を持つ銀めっき材を提供する。【解決手段】上記課題は、ベンゾチアゾール類またはその誘導体が溶解しているシアン含有銀めっき液を用いた電気めっき法により素材上に銀被覆層を形成する電気銀めっき工程と、前記銀被覆層を150~300℃の温度域に3~30秒保持する熱処理工程と、を含む銀めっき材の製造方法によって達成される。前記ベンゾチアゾール類またはその誘導体に該当する物質として、例えばメルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体を使用することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、車載用や民生用の電気配線に使用されるコネクタ、スイッチ、リレーなどの接点や、端子部品の材料として有用な銀めっき材の製造方法に関する。また、その製造方法によって得ることができる銀被覆金属板、およびその銀被覆金属板を材料に用いた通電部品に関する。
従来、コネクタやスイッチなどの接点や端子部品などの材料として、銅または銅合金やステンレス鋼などの比較的安価で耐食性や機械的特性などに優れた素材に、電気特性やはんだ付け性などの必要な特性に応じて、錫、銀、金などのめっきを施しためっき材が使用されている。これらのうち、錫めっき材は、安価であるが高温環境下における耐食性に劣る。金めっき材は、耐食性に優れ信頼性が高いが、高コストである。一方、銀めっき材は、金めっき材と比べて安価であり、錫めっき材と比べて耐食性に優れるという利点を持つ。
コネクタやスイッチなどの接点や端子部品などの材料には、コネクタの挿抜やスイッチの摺動に伴う耐摩耗性も要求される。しかし、銀めっき材は軟質で摩耗し易いため、銀めっき材を接続端子などの材料として使用すると、挿抜や摺動により凝着して凝着摩耗が生じ易くなったり、接続端子の挿入時に表面が削られて摩擦係数が高くなり挿入力が増加したりする問題があった。
本出願人は、従来よりも耐摩耗性に優れた銀めっき材を得る手法を特許文献1に開示した。その手法は、所定量のベンゾチアゾール類またはその誘導体を含むめっき液を使用するというものである。
特許第6916971号公報
特許文献1に開示の手法に従えば、銀めっき層の耐摩耗性を従来よりも顕著に向上させることができる。しかし、特許文献1の手法では、得られた銀めっき材を高温高湿の厳しい環境に曝した場合に、下地に対する銀被覆層の耐剥離性が低下するという問題が生じることがわかった。ここで、「銀被覆層」とは材料の表面に形成されている銀の皮膜であり、例えば銀ストライクめっき皮膜の上に銀めっき層が形成されている場合は、銀ストライクめっき皮膜とその上の銀めっき層が一体化した銀皮膜全体を銀被覆層と呼ぶ。
本発明は、耐摩耗性に優れるとともに、高温高湿の環境に曝した場合でも銀被覆層の耐剥離性が高く維持される性能を持つ銀めっき材を提供することを目的とする。
発明者らは検討の結果、ベンゾチアゾール類またはその誘導体を含む銀めっき液を用いて電気めっきにより形成した銀被覆層に、比較的低温・短時間の熱処理を施すことによって、耐摩耗性の向上効果を維持したまま、高温高湿の環境に曝した場合の耐剥離性を改善することが可能になることを見出した。
上記目的は、ベンゾチアゾール類またはその誘導体が溶解しているシアン含有銀めっき液を用いた電気めっき法により素材上に銀被覆層を形成する電気銀めっき工程と、
前記銀被覆層を150~300℃の温度域に3~30秒保持する熱処理工程と、
を含む銀めっき材の製造方法によって達成される。
前記銀めっき液は、ベンゾチアゾール類またはその誘導体が例えば0.01~0.80モル/L溶解しているものを適用することができる。前記電気銀めっき工程によって得られる銀被覆層は、C、Sを含有し、C/Agモル比が例えば0.030~0.200、S/Agモル比が例えば0.005~0.050である。前記ベンゾチアゾール類またはその誘導体として、例えばメルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体を挙げることができる。
前記素材は、例えば銅または銅合金を基材に持つものが適用される。その素材の表面には銀ストライクめっき皮膜が形成されていてもよい。また、銀ストライクめっき皮膜の下地としてニッケルめっき層を有していてもよい。
また、本発明では上記の銀めっき材の製造方法によって得られる具体的な材料として、銅または銅合金を基材に持つ金属板の表面に、C、Sを含有し、C/Agモル比が0.030~0.200、S/Agモル比が0.005~0.050である銀被覆層が形成されている銀被覆金属板材であって、温度85℃、相対湿度85%の条件で120時間保持した後に下記の剥離試験に供したとき、銀被覆層の剥離面積率が3%以下となる耐剥離性を呈する銀被覆金属板材が提供される。
(剥離試験)
銀被覆層の表面にカッターナイフにより銀被覆層の厚さより深い直線状の切込みを直交する2方向にそれぞれ3mm間隔で形成することにより3mm角のマス目を100個以上形成し、全マス目についてJIS H8504:1999の15.1項に規定される粘着テープによる引きはがし試験方法に準ずる方法で剥離試験を行い、100×[剥離が生じたマス目の数]/[マス目総数]で表される値を剥離面積率(%)とする。
また、本発明では上記銀被覆金属板材を材料に用いた通電部品が提供される。
本発明では、特許文献1の技術で問題とされた高温高湿環境に曝した後の銀被覆層の耐剥離性低下を改善することができた。すなわち本発明によれば、耐摩耗性と、高温高湿環境に曝した後の銀被覆層の耐剥離性の両方に優れた銀めっき材を提供することができた。
実施例2で得られた供試材の銀被覆層についてのXPSによる深さ方向の元素濃度プロファイル。 実施例6で得られた供試材の銀被覆層についてのXPSによる深さ方向の元素濃度プロファイル。 実施例7で得られた供試材の銀被覆層についてのXPSによる深さ方向の元素濃度プロファイル。 比較例1で得られた供試材の銀被覆層についてのXPSによる深さ方向の元素濃度プロファイル。 比較例3で得られた供試材の銀被覆層についてのXPSによる深さ方向の元素濃度プロファイル。
[電気銀めっき工程]
(銀めっき液)
本発明の銀めっき材の製造方法では、電気銀めっき工程において、シアン含有銀めっき液を用いた電気めっき法を対象とする。シアン含有銀めっき液の主成分であるシアン含有物質、銀含有物質に関しては、従来公知のものが適用できる。例えば、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムとを含有する水溶液が好適である。
めっき液への添加剤として、本発明では、ベンゾチアゾール類またはその誘導体を適用する。この点は特許文献1の技術と同様である。ベンゾチアゾール(CNS)は、ベンゼン骨格とチアゾール骨格を有する複素環式化合物である。ベンゾチアゾール類は、2-メルカプトベンゾチアゾールなどのメルカプト基(-SH)を有するベンゾチアゾールであることが好ましい。また、ベンゾチアゾール類の誘導体として、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))、亜鉛-2-メルカプトベンゾチアゾール、5-クロロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、6-アミノ-2-メルカプトベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾチアゾールなどを使用することができる。これらのベンゾチアゾール類の誘導体のうち、ベンゾチアゾール類のアルカリ金属塩が好ましく、例えば2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))などの、ベンゾチアゾール類のナトリウム塩が好適である。
このように、シアン系銀めっき液中に有機添加剤としてメルカプトベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール類またはそのアルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩)を添加して電気銀めっきを行うと、形成される銀被覆層中に有機添加剤由来の成分が取り込まれて耐摩耗性が向上するものと考えられる。また、有機添加剤の潤滑効果により表層の摩擦係数を低下させることができると考えられる。この摩擦係数の低下によって、銀めっき材を接続端子などの材料として使用した場合に、挿抜や摺動による凝着の発生が抑制され、そのことも耐摩耗性の向上に効いていると推察される。
銀めっき液中のフリーシアンの濃度は、例えば3~70g/Lの範囲で設定することができ、10~70g/Lとすることがより好ましく、15~60g/Lとすることが更に好ましい。銀めっき液中のフリーシアンの濃度は、銀めっき液を水で希釈した後に、ヨウ化カリウム水溶液を加えて、銀めっき液が白濁するまで硝酸銀水溶液を滴下して、その滴下量から求めることができる。
銀めっき液中のベンゾチアゾール分の濃度は、例えば0.01~0.80モル/Lの範囲で設定することができ、0.015~0.35モル/Lとすることが好ましく、0.03~0.3モル/Lとすることがより好ましく、0.07~0.25モル/Lとすることが更に好ましい。
銀めっき液中の銀の濃度は、例えば15~150g/Lの範囲で設定することができ、30~120g/Lとすることがより好ましい。銀めっき液中のシアン化銀カリウムまたはシアン化銀の濃度は、例えば30~220g/Lの範囲で設定することができ、50~200g/Lとすることがより好ましい。銀めっき液中のシアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度は、例えば30~150g/Lの範囲で設定することができ、35~145g/Lとすることがより好ましく、38~110g/Lとすることが更に好ましい。銀めっき液中のベンゾチアゾール類またはそのアルカリ金属塩の濃度は、例えば15~70g/Lの範囲で設定することができ、20~50g/Lの範囲に管理してもよい。
(銀めっき条件)
上記の銀めっき液を用いた電気銀めっきは、液温15~50℃で行われるのが好ましく、液温18~47℃で行われるのがさらに好ましい。この電気銀めっきの電流密度は例えば0.5~12A/dmの範囲で設定することができ、0.5~10A/dmで行うことがより好ましい。欠陥の少ない良好な銀めっき層を効率良く形成するためには、2A/dm以上の電流密度を確保することが好ましく、3A/dm以上とすることがより好ましい。めっき時間は、この電気銀めっきによって形成される銀めっき層の平均膜厚が例えば0.5~10μm、好ましくは0.8~5μmの範囲となるように、用途に応じて設定すればよい。
このようにして、C、Sを含有し、C/Agモル比が例えば0.030~0.200、S/Agモル比が例えば0.005~0.050である銀被覆層を形成することができる。
(めっき素材)
上記の電気銀めっきを施す素材、すなわち被めっき材としては、通電部品の用途を考慮すると、銅または銅合金を基材とする材料が好ましい。基材が銅または銅合金である場合、基材に対する銀被覆層の密着性を十分に確保する観点から、基材である銅系金属の表面にニッケルめっき層等の下地めっき層を形成した素材を適用することが好ましい。また、基材である銅系金属の表面にニッケルめっき層等の下地めっき層が形成されており、その下地めっき層の上に、更に銀ストライクめっき皮膜が形成されている素材を適用することがより好ましい。銀ストライクめっき皮膜の厚さは、電流密度と通電時間から算出される銀の電解析出膜厚さで例えば0.001~0.05μm、あるいは0.001~0.02μm程度と非常に薄い。
[熱処理工程]
上記のように、添加剤としてベンゾチアゾール類またはその誘導体を使用した銀めっき液で電気銀めっきを行うと、銀被覆層の耐摩耗性を顕著に向上させることができる。しかしながら、そのめっき材を高温高湿の厳しい使用環境に曝すと、銀被覆層の耐剥離性が低下するという現象が生じてしまう。ベンゾチアゾール類またはその誘導体がめっき層中に存在する場合には、理由は未解明であるが、厳しい使用環境を考慮した恒温恒湿試験(例えば85℃、相対湿度85%)に供した後の銀被覆層の密着性が低下することがわかった。
発明者らの検討によれば、上記の銀めっき工程で得られた銀被覆層に対して、想定される使用温度よりも高い所定の温度域に短時間保持する熱処理を施すことによって、銀めっき工程直後に低下していた銀被覆層の耐剥離性を顕著に回復させることが可能になる。銀被覆層の優れた耐摩耗性はこの熱処理後も維持される。また、銀被覆層の化学組成は、熱処理の前後で大きく変化しないこともわかった。銀被覆層の耐剥離性が熱処理によって顕著に改善されるメカニズムについては現時点で未解明であるが、銀被覆層の組成以外の何らかの構造が熱処理によって変化しているものと考えられる。
具体的には、上述の銀めっき工程によって形成された銀被覆層を150~300℃の温度域に3~30秒、より好ましくは3~15秒保持する熱処理を施す。この熱処理では銀被覆層の最高到達温度TMAXが150~300℃の範囲となり、銀被覆層の温度が150℃以上TMAX(℃)以下となる時間が3~30秒の範囲となるヒートパターンを採用する。最高到達温度TMAXが低すぎる場合や、150~300℃での保持時間が短すぎる場合は、耐剥離性の改善効果が十分に得られない恐れがある。最高到達温度TMAXが高すぎる場合や、150~300℃での保持時間が長すぎる場合は、耐摩耗性を安定して高く維持する上で不利となる。この熱処理は大気雰囲気で実施することができる。実際の製品製造現場では、使用する加熱装置において予め基材の板厚に応じた銀被覆層のヒートカーブ(温度の経時変化)を予備実験により把握しておくことにより、適正な熱処理条件にコントロールすることができる。
[銀めっき材]
上記の銀めっき工程および熱処理工程を経て得られた、本発明に従う銀めっき材は、高温高湿の環境に曝した場合の銀被覆層の耐剥離性が顕著に改善されている。その銀被覆層の組成は、熱処理前と同様に、C、Sを含有し、C/Agモル比が例えば0.030~0.200、S/Agモル比が例えば0.005~0.050である。銀被覆層のC/Agモル比、S/Agモル比は、XPS(X線光電子分光分析法)による銀被覆層の深さ方向の元素濃度プロファイルにおいて、最表面付近のコンタミネーションの影響と下地金属との界面付近の濃度変化の影響が及ばない、銀被覆層の内部領域におけるC、S、Agの平均濃度から求めることができる。
また、銀被覆層の内部領域における平均Ag濃度は80~95at%であることが好ましく、85at%以上であることがより好ましい。平均C濃度は3~15at%であることが好ましい。平均S濃度は0.5~5at%であることが好ましい。
本発明に従う銀めっき材の代表的な形態は、金属板の少なくとも片側表面に銀被覆層を持つ板材(銀被覆金属板材)である。その板厚は例えば0.05~3.5mmとすることができ、0.1~3.0mmであることがより好ましい。ここで「板材」とはシート状の金属材料を意味する。薄いシート状の金属材料は「箔」と呼ばれることもあるが、そのような「箔」もここでいう「板材」に含まれる。コイル状に巻き取られた長尺のシート状金属材料も「板材」に含まれる。また、シート状の金属材料の厚さを「板厚」と呼ぶ。
また、本発明に従う銀めっき材の表面に形成されている銀被覆層の平均厚さ(銀ストライクめっき皮膜の上に、上記の銀めっき液を用いた電気銀めっき層を形成した場合は、それらが一体化した銀被覆層のトータル平均厚さ)は、例えば0.5~10μmの範囲で設定することが好ましく、0.8~8μmとすることがより好ましい。当該銀被覆層の平均結晶子径は25nm以下とすることができ、8~20nmのものがより好ましい。銀被覆層の結晶子径は例えば電流密度、めっき液組成、液温などを調整することによって制御できる。
[通電部品]
上記の銀めっき材を公知の方法で加工して、コネクタ、スイッチ、リレーなどの通電部品を得ることができる。本発明による銀めっき材を用いた通電部品では、上述した組成を有する電気銀めっき層(すなわち上述の銀被覆層)が接触相手材と摺接し得る部分を構成する構造を有していることが、効果的である。
[比較例1]
(前処理)
基材として、無酸素銅(C1020、1/2H)からなる67mm×50mm×0.3mmの圧延板を用意した。アルカリ脱脂液中でこの基材を陰極、ステンレス鋼板を陽極として、電圧5Vで30秒間電解脱脂を施し、基材を水洗した後、3%硫酸水溶液中に15秒間浸漬することにより酸洗した。このようにして表面を清浄化した基材に対して、以下に示す工程により各めっきを順次施し、銀めっき材を作製した。
(下地ニッケルめっき工程)
スルファミン酸ニッケル四水和物540g/L、塩化ニッケル25g/L、およびホウ酸35g/Lを含む水溶液からなる無光沢ニッケルめっき液中において、前処理を行った基材を陰極とし、ニッケル電極板を陽極として、スターラーにより500rpmで撹拌しながら液温50℃、電流密度7A/dmの条件で70秒間電気めっきを行って、基材上に無光沢下地ニッケルめっき層を形成した。この板材試料の表面中央部において、下地ニッケルめっき層の厚さを蛍光X線膜厚計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、SFT-110A)により測定したところ約1μmであった。
(銀ストライクめっき工程)
シアン化銀カリウム(K[Ag(CN)])3g/L、およびシアン化カリウム(KCN)90g/Lを含む水溶液からなる銀ストライクめっき液中において、上記の下地ニッケルめっき層が形成された板材試料を陰極とし、白金で被覆したチタン電極板を陽極として、スターラーにより500rpmで撹拌しながら室温(25℃)において電流密度2.0A/dmで10秒間電気めっきを行って、銀ストライクめっき皮膜を形成した。その後、水洗して銀ストライクめっき液を十分に洗い流した。
(銀めっき工程)
シアン化銀カリウム(K[Ag(CN)])175g/L、シアン化カリウム(KCN)95g/L、およびベンゾチアゾール類またはその誘導体に該当する物質として2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(CNNaS)30g/L(=0.16モル/L)を含む水溶液からなる銀めっき液中において、上記の銀ストライクめっき皮膜が形成された板材試料を陰極とし、銀電極板を陽極として、スターラーにより500rpmで撹拌しながら液温35℃、電流密度7A/dmの条件で18秒間電気めっきを行って、銀被覆層を形成した。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/Lである。この板材試料の表面中央部において、銀被覆層の厚さを、上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ約1μmであった。このようにして、板材の両面に銀被覆層を有する銀めっき材を得た。
得られた銀めっき材を供試材として、以下の試験に供した。
(恒温恒湿試験)
供試材を恒温恒湿試験装置(株式会社いすゞ製作所製、TPAV-48-20)に入れ、温度85℃、相対湿度85%の条件で保持した。保持時間は120時間および144時間の2水準とした。
(折り曲げ試験)
上記の恒温恒湿試験に供した後の板材を、手で180°折り曲げたのち、その折り曲げ部を概ね元の板形状まで曲げ戻し、曲げ部の外側表面および内側表面を観察することにより銀被覆層の剥離が生じるかどうかを検査した。この折り曲げ試験で曲げ部の外側表面と内側表面のいずれにも銀被覆層の剥離(脱落)および浮きが認められなかったものを◎(耐剥離性:優秀)、曲げ部の外側表面と内側表面のいずれにも銀被覆層の剥離(脱落)が認められないが、少なくとも一方の銀被覆層に軽微な浮きが認められたものを○(耐剥離性:良好)、曲げ部の外側表面と内側表面の少なくとも一方の銀被覆層に銀被覆層の剥離(脱落)が認められたものを×(耐剥離性:不良)とし、○評価以上を合格と判定した。本例で得た供試材は恒温恒湿試験の保持時間2水準とも×評価であった。
(クロスカットピーリングによる剥離試験)
上記の恒温恒湿試験に供した後の板材について、両側の銀被覆層の表面(めっき面)にそれぞれ、カッターナイフにより銀被覆層の厚さより深い直線状の切込みを直交する2方向にそれぞれ3mm間隔で形成することにより3mm角のマス目を100個以上形成し、JIS H8504:1999の15.1項に規定される粘着テープによる引きはがし試験方法に準ずる方法で剥離試験を行った。全てのマス目について粘着テープによる引きはがし試験を施し、100×[剥離が生じたマス目の数]/[マス目総数]で表される剥離面積率(%)を求めた。剥離面積率が0%(剥離なし)であったものを◎、剥離面積率が0%を超え3%以下であったものを○、剥離面積率が3%を超えたものを×とし、○評価以上を合格と判定した。この試験において恒温恒湿試験の120時間保持材で○評価が得られたものは、従来一般的な銀めっき材と同等以上の優れた耐剥離性を呈すると評価できる。本例で得た供試材は恒温恒湿試験の保持時間2水準とも×評価であった。
(往復摺動試験)
供試材である銀めっき材を2枚用意し、一方をインデント加工(内側R=1.5mm)して圧子として使用し、他方を平板状の評価試料として使用し、精密摺動試験装置(株式会社山崎精機研究所製、CRS-G2050-DWA)により、評価試料に圧子を一定の荷重(5N)で押し当てながら、往復摺動動作(摺動距離5mm、摺動速度1.67mm/s)を施した。この往復摺動試験を所定回数まで行った段階の評価試料について、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製のVHX-1000)により摺動痕を倍率100倍で観察し、銀被覆層の摩耗状態を調べた。膜厚が約1μmである銀被覆層を有する材料において、この試験条件による往復摺動回数が100回の段階で摺動痕に基材の銅が露出していなければ、当該銀被覆層は優れた耐摩耗性を有すると判断できる。したがって、往復摺動回数が100回の段階で摺動痕に基材の銅の露出が認められたものを×評価(耐摩耗性:不十分)、それ以外を○評価(耐摩耗性:良好)とした。本例の供試材では、基材の銅は摺動回数400回で露出が認められず、この段階で摺動試験を終了した。摺動回数400回でも銅の露出が認められなかったので、耐摩耗性は○評価であった。この場合、基材の銅の露出が生じた摺動回数を表2中に「400超え」と表示している。
供試材の製造条件を表1に、調査結果を表2にまとめて示す(以下の各例において同じ。)。
[実施例1]
比較例1と同条件の銀めっき工程によって得られた銀めっき材を、以下に示す熱処理工程に供した。
(熱処理工程)
ここでは実験のため、卓上ホットスターラーの温調機能を利用して上記銀めっき工程で得られた板材試料(銀めっき材)の銀被覆層に熱処理を施した。具体的には、卓上ホットスターラーの温度を180℃に設定し、温度が設定値に安定したのち、板材試料を卓上ホットスターラーのフラットな盤面上に載置し、板材試料の片側の銀被覆層を卓上ホットスターラーの盤面と密着させた。載置開始から5秒後に板材試料を卓上ホットスターラーの盤面から離し、常温の空気中で放冷した。すなわち載置時間は5秒である。この実験では片側表面からの加熱としたが、別途予備実験によるヒートカーブの測定により、卓上ホットスターラーの盤面に対して反対側の表面まで急速に昇温し、両側の銀被覆層の最高到達温度TMAXはともに卓上ホッとスターラーの設定温度とほぼ等しくなること、および両側の銀被覆層が150℃以上TMAX(℃)以下の温度域に保持される時間は載置時間とほぼ同じとなることが確認された。したがって、本例では、両側の銀被覆層いずれにおいても150℃以上180℃(TMAX)以下の温度域に保持される時間は5秒であるとみなすことができる。
この熱処理工程を終えためっき材を供試材として、比較例1と同様の試験を行った。その結果、恒温恒湿試験の保持時間2水準とも折り曲げ試験は◎評価、クロスカットピーリングによる剥離試験は◎評価であり、往復摺動試験は○評価であった。すなわち、上記熱処理後の銀被覆層では、優れた耐摩耗性と耐剥離性を両立させることができた。
[実施例2]
熱処理工程において、卓上ホットスターラーの設定温度を200℃としたことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。その結果、恒温恒湿試験の保持時間2水準とも折り曲げ試験は◎評価、クロスカットピーリングによる剥離試験は◎評価であり、往復摺動試験は○評価であった。すなわち、上記熱処理後の銀被覆層では、優れた耐摩耗性と耐剥離性を両立させることができた。
[実施例3]
熱処理工程において、卓上ホットスターラーの設定温度を200℃とし、卓上ホットスターラーへの載置時間を10秒としたことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。その結果、恒温恒湿試験の保持時間2水準とも折り曲げ試験は◎評価、クロスカットピーリングによる剥離試験は◎評価であり、往復摺動試験は○評価であった。すなわち、上記熱処理後の銀被覆層では、優れた耐摩耗性と耐剥離性を両立させることができた。
[実施例4]
熱処理工程において、卓上ホットスターラーの設定温度を250℃としたこと、および恒温恒湿試験の保持時間を120時間の1水準のみ実施したことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。その結果、恒温恒湿試験の120時間保持材において折り曲げ試験は◎評価、クロスカットピーリングによる剥離試験は◎評価であり、往復摺動試験は○評価であった。すなわち、上記熱処理後の銀被覆層では、優れた耐摩耗性と耐剥離性を両立させることができた。
[実施例5]
熱処理工程において、卓上ホットスターラーの設定温度を160℃とし、卓上ホットスターラーへの載置時間を20秒としたことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。その結果、恒温恒湿試験の保持時間2水準とも折り曲げ試験は◎評価、クロスカットピーリングによる剥離試験は◎評価であり、往復摺動試験は○評価であった。すなわち、上記熱処理後の銀被覆層では、優れた耐摩耗性と耐剥離性を両立させることができた。
[実施例6]
銀めっき工程において、銀めっき液中の2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(CNNaS)濃度を25g/L(=0.13モル/L)としたこと、熱処理工程において、卓上ホットスターラーの設定温度を200℃としたこと、および恒温恒湿試験の保持時間を120時間の1水準のみ実施したことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。その結果、恒温恒湿試験の120時間保持材において折り曲げ試験は◎評価、クロスカットピーリングによる剥離試験は◎評価であり、往復摺動試験は○評価であった。すなわち、上記熱処理後の銀被覆層では、優れた耐摩耗性と耐剥離性を両立させることができた。
[実施例7]
銀めっき工程において、銀めっき液中の2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(CNNaS)濃度を35g/L(=0.18モル/L)としたこと、熱処理工程において、卓上ホットスターラーの設定温度を200℃としたこと、および恒温恒湿試験の保持時間を120時間の1水準のみ実施したことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。その結果、恒温恒湿試験の120時間保持材において折り曲げ試験は◎評価、クロスカットピーリングによる剥離試験は◎評価であり、往復摺動試験は○評価であった。すなわち、上記熱処理後の銀被覆層では、優れた耐摩耗性と耐剥離性を両立させることができた。
[実施例8]
銀めっき工程において、銀めっき液中のシアン化カリウム(KCN)濃度を70g/Lとしたこと、熱処理工程において、卓上ホットスターラーの設定温度を200℃としたこと、および恒温恒湿試験の保持時間を120時間の1水準のみ実施したことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は28g/Lである。その結果、恒温恒湿試験の120時間保持材において折り曲げ試験は○評価、クロスカットピーリングによる剥離試験は○評価であり、往復摺動試験は○評価であった。すなわち、上記熱処理後の銀被覆層では、優れた耐摩耗性と良好な耐剥離性を両立させることができた。
[実施例9]
銀めっき工程において、銀めっき液中のシアン化カリウム(KCN)濃度を120g/Lとしたこと、熱処理工程において、卓上ホットスターラーの設定温度を200℃としたこと、および恒温恒湿試験の保持時間を120時間の1水準のみ実施したことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は48g/Lである。その結果、恒温恒湿試験の120時間保持材において折り曲げ試験は◎評価、クロスカットピーリングによる剥離試験は◎評価であり、往復摺動試験は○評価であった。すなわち、上記熱処理後の銀被覆層では、優れた耐摩耗性と耐剥離性を両立させることができた。
[比較例2]
銀めっき工程において、ベンゾチアゾール類またはその誘導体に該当する物質を含有せず、セレン37g/Lを含有する銀めっき液を使用し、液温を18℃、通電時間90秒として電気銀めっきを施したことを除き、比較例1と同様の方法で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/Lである。その結果、得られた銀被覆層は、厚さが5μmであり、ベンゾチアゾール類またはその誘導体を含む銀めっき液を用いて形成した比較例1の銀被覆層と比べ、耐摩耗性に劣っていた。
[比較例3]
銀めっき工程において、ベンゾチアゾール類またはその誘導体に該当する物質を含有せず、セレン69g/Lを含有する銀めっき液を使用し、液温18℃、電流密度5A/dm、通電時間120秒として電気銀めっきを施したことを除き、比較例1と同様の方法で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/Lである。その結果、得られた銀被覆層は、厚さが5μmであり、ベンゾチアゾール類またはその誘導体を含む銀めっき液を用いて形成した比較例1の銀被覆層と比べ、耐摩耗性に劣っていた。
[比較例4]
熱処理工程において、卓上ホットスターラーの設定温度を350℃としたこと、および恒温恒湿試験の保持時間を120時間の1水準のみ実施したことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。その結果、恒温恒湿試験の120時間保持材において折り曲げ試験は◎評価、クロスカットピーリングによる剥離試験は◎評価であった。しかし、往復摺動試験は×評価であった。すなわち、上記熱処理温度が高すぎると、ベンゾチアゾール類またはその誘導体を含む銀めっき液を用いることによる耐摩耗性向上効果が損なわれる。
<銀被覆層の元素分析>
実施例2、6、7で得られた供試材(いずれも熱処理あり)、および比較例1、3で得られた供試材(いずれも熱処理なし)について、以下の方法で銀被覆層の組成分析を行った。
供試材の銀被覆層の最表面から、XPS(X線光電子分光分析法)により、実施例2、6、7、比較例1ではC、O、S、Ag、K、Ni、Nの各元素、比較例3ではC、Se、S、Agの各元素について、それぞれ深さ方向の元素濃度プロファイルを測定した。なお、実施例2、6、7、比較例1においてSeは検出されなかった(0.014at%未満(0.01質量%未満))。
X線光電子分光分析装置として、アルバック・ファイ株式会社製、PHI5000 VersaProbeIIIを使用した。測定は、到達真空度:10-7Pa、励起源:単色化AlKα、出力:25W、加速電圧:15kV、ビームサイズを100μmΦ、入射角:90degとし、電子中和銃によりエミッション電流:20μA、バイアス電圧:1.0V、加速電圧30.0Vで電子線を、またアルゴンイオン銃によりイオン種:Ar、加速電圧:0.11kV、エミッション電流:7mAでアルゴンイオンをそれぞれ照射しながら、光電子取り出し角:45deg、積算回数:5回、積分時間:40ms(20ms×2)、パスエネルギー:140eV、測定エネルギー間隔:0.25eV/stepとして行った。
深さ方向の分析のための表面エッチングは、アルゴンイオン銃によりイオン種:Ar、加速電圧:4kV、エミッション電流:20mA、掃引領域:2.7mm×2.7mm、スパッタレート:20nm/分(SiO換算)の条件で行った。各測定深さに調整するためのエッチング時間の間隔は、実施例2、6、7では累積エッチング時間0~20分までは1分間隔、それ以降は0.25分間隔とし、比較例1では累積エッチング時間0~20分までは2分間隔、それ以降は4分間隔とし、比較例3では累積エッチング時間0~3分までは0.1分間隔、それ以降は0.2分間隔とした。
原子濃度を求めるためのスペクトル種として、Agは3d軌道の結合エネルギー(Ag3d)のピーク、Cは1s軌道の結合エネルギー(C1s)のピーク、Sは2p軌道の結合エネルギー(S2p)のピークをそれぞれ用い、バックグラウンド処理にはShirley法を使用した。
図1~5に、各供試材の銀被覆層について、XPSによる深さ方向の元素濃度プロファイルを例示してある。図1が実施例2、図2が実施例6、図3が実施例7、図4が比較例1、図5が比較例3である。
これらの元素濃度プロファイルにおいて、最表面付近のコンタミネーションの影響と下地金属との界面付近の濃度変化の影響が及ばない、銀被覆層の内部領域でのデータとして、実施例2、6、7、比較例1ではエッチング時間10~25分に相当する深さ位置、比較例3ではエッチング時間5~15分に相当する深さ位置での原子%で表される平均Ag濃度、平均C濃度、平均S濃度の値をそれぞれ用いて、平均C濃度/平均Agおよび平均S濃度/平均Ag濃度の値を算出し、これらの値を各供試材の銀被覆層のC/Agモル比およびS/Agモル比として採用した。
結果を表2中に示す。
Figure 2023149755000002
Figure 2023149755000003

Claims (9)

  1. ベンゾチアゾール類またはその誘導体が溶解しているシアン含有銀めっき液を用いた電気めっき法により素材上に銀被覆層を形成する電気銀めっき工程と、
    前記銀被覆層を150~300℃の温度域に3~30秒保持する熱処理工程と、
    を含む銀めっき材の製造方法。
  2. 前記銀めっき液は、ベンゾチアゾール類またはその誘導体が0.01~0.80モル/L溶解しているものである、請求項1に記載の銀めっき材の製造方法。
  3. 前記電気銀めっき工程において、C、Sを含有し、C/Agモル比が0.030~0.200、S/Agモル比が0.005~0.050である銀被覆層を形成する、請求項1または2に記載の銀めっき材の製造方法。
  4. 前記電気銀めっき工程において、前記ベンゾチアゾール類またはその誘導体に該当する物質として、メルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体を使用する、請求項1~3のいずれか1項に記載の銀めっき材の製造方法。
  5. 前記素材は、銅または銅合金を基材に持つものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の銀めっき材の製造方法。
  6. 前記素材は、表面に銀ストライクめっき皮膜が形成されたものである、請求項1~5のいずれか1項に記載の銀めっき材の製造方法。
  7. 前記素材は、前記銀ストライクめっき皮膜の下地としてニッケルめっき層を有するものである、請求項6に記載の銀めっき材の製造方法。
  8. 銅または銅合金を基材に持つ金属板の表面に、C、Sを含有し、C/Agモル比が0.030~0.200、S/Agモル比が0.005~0.050である銀被覆層が形成されている銀被覆金属板材であって、温度85℃、相対湿度85%の条件で120時間保持した後に下記の剥離試験に供したとき、銀被覆層の剥離面積率が3%以下となる耐剥離性を呈する銀被覆金属板材。
    (剥離試験)
    銀被覆層の表面にカッターナイフにより銀被覆層の厚さより深い直線状の切込みを直交する2方向にそれぞれ3mm間隔で形成することにより3mm角のマス目を100個以上形成し、全マス目についてJIS H8504:1999の15.1項に規定される粘着テープによる引きはがし試験方法に準ずる方法で剥離試験を行い、100×[剥離が生じたマス目の数]/[マス目総数]で表される値を剥離面積率(%)とする。
  9. 請求項8に記載の銀被覆金属板材を材料に用いた通電部品。
JP2022058508A 2022-03-31 2022-03-31 銀めっき材の製造方法、銀被覆金属板材および通電部品 Pending JP2023149755A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022058508A JP2023149755A (ja) 2022-03-31 2022-03-31 銀めっき材の製造方法、銀被覆金属板材および通電部品
PCT/JP2022/029386 WO2023188446A1 (ja) 2022-03-31 2022-07-29 銀めっき材の製造方法、銀被覆金属板材および通電部品
CN202280064838.XA CN118043503A (zh) 2022-03-31 2022-07-29 镀银材料的制造方法、银被覆金属板材和通电部件

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022058508A JP2023149755A (ja) 2022-03-31 2022-03-31 銀めっき材の製造方法、銀被覆金属板材および通電部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023149755A true JP2023149755A (ja) 2023-10-13

Family

ID=88200576

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022058508A Pending JP2023149755A (ja) 2022-03-31 2022-03-31 銀めっき材の製造方法、銀被覆金属板材および通電部品

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2023149755A (ja)
CN (1) CN118043503A (ja)
WO (1) WO2023188446A1 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5743995A (en) * 1980-08-27 1982-03-12 Sumitomo Electric Ind Ltd Silver plating liquid and silver plating method
JPH03232991A (ja) * 1990-02-06 1991-10-16 Shinko Electric Ind Co Ltd 銀めっき用揆水防止液または銀めっき液
JP6916971B1 (ja) * 2020-09-15 2021-08-11 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023188446A1 (ja) 2023-10-05
CN118043503A (zh) 2024-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101639994B1 (ko) 표면 처리 도금재 및 그 제조 방법, 그리고 전자 부품
JP2009108389A (ja) 電子部品用Snめっき材
JP2013517375A (ja) 電子物品製造における浸漬錫−銀めっき
JP2012036436A (ja) Sn合金めっき付き導電材及びその製造方法
CN110103584B (zh) 老化测试插座用表面处理金属材料、插座用连接器及插座
KR102509377B1 (ko) 주석 도금이 형성된 구리 단자재 및 단자 그리고 전선 단말부 구조
JP5185759B2 (ja) 導電材及びその製造方法
WO2023188446A1 (ja) 銀めっき材の製造方法、銀被覆金属板材および通電部品
JP3175381B2 (ja) 電気接点材料とその製造方法
JP2020056056A (ja) 銅端子材、銅端子及び銅端子材の製造方法
JP7494618B2 (ja) コネクタ用端子材
JP7040544B2 (ja) コネクタ用端子材
JP7059877B2 (ja) コネクタ用端子材及びコネクタ用端子
WO2024116940A1 (ja) 銀被覆材の製造方法、銀被覆材および通電部品
JP7313600B2 (ja) コネクタ用端子材及びコネクタ用端子
JP7302364B2 (ja) コネクタ用端子材及びコネクタ用端子
JP5714465B2 (ja) Snめっき材およびその製造方法
JP2016130362A (ja) 銀めっき材およびその製造方法
WO2023188637A1 (ja) 銀めっき材およびその製造方法
CN118140016A (zh) 镀银料的制造方法和镀银料
EP4012075A1 (en) Terminal material for connectors
JP2023152637A (ja) 銀めっき材およびその製造方法
JP2022182670A (ja) 導電部材及び導電部材の製造方法
WO2021019907A1 (ja) 複合めっき材およびその製造方法
JP2020056057A (ja) コネクタ用端子材、コネクタ用端子及びコネクタ用端子材の製造方法