JP2023148709A - 剥離シート - Google Patents

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    • C08J11/04Recovery or working-up of waste materials of polymers
    • C08J11/06Recovery or working-up of waste materials of polymers without chemical reactions

Abstract

【課題】基材を有する剥離シートであって、剥離シートとしての使用時は基材の密着性が良好であり、かつ、その使用後には前記基材を容易に分離可能である、新規な剥離シートを提供する。【解決手段】基材と、該基材の少なくとも一方の表面側に、中間層と、剥離剤層とをこの順で有する積層体であって、前記中間層が、加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物(A)、並びに、アクリレート化合物(B)を含む中間層形成用組成物から形成された層である、剥離シート。【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも基材と、該基材の少なくとも一方の表面側に、中間層と、剥離剤層とをこの順で有する剥離シートに関する。
一般的に、剥離シートは、基材上に機能を奏するための剥離剤層を設けた積層構造を有するものであり、前記基材としては、紙基材や各種のプラスチック基材が用いられている。
近年、地球資源保護や環境保護等の観点から、各種分野で、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用等の取組みを通じて、循環型社会の構築を目指す動きが活発化している。
剥離シート分野についても同様であり、一般に、剥離シートは使用後に廃棄されるため、地球資源保護や環境保護等の観点からも、廃棄量の低減が急務となっている。その対応策の一つとして、例えば、使用済みの剥離シートから樹脂の含有率が大きい基材等を分離し、樹脂等を回収して再利用する取り組みが進められている。
しかしながら、剥離剤層を有する剥離シートは、そのままでは容易に基材を分離することができず、基材の原料樹脂等回収して再生することができないため、使用済みの剥離シートから基材を容易に分離できる仕組みが必要となっている。こうした背景から、剥離シートとして使用された後、基材を容易に分離できる剥離シートが要求されている。
例えば、特許文献1には、基材フィルムの少なくとも片面に易溶解性樹脂層を介して離型層が形成されてなる離型フィルムで、かつ、使用後の離型フィルムを、易溶解性樹脂が溶解可能な溶媒中に浸漬して、易溶解性樹脂を溶媒中に溶解させることにより、フィルム表面の離型層を分離除去し、基材フィルムのみを回収することを特徴とする離型フィルムの回収方法が開示されている。
特開2002-265665号公報
一方で、単に剥離シートからの基材分離性を向上させるだけでは、通常の使用時に、剥離シートから基材が分離してしまう等の不具合が生じてしまい、剥離シートとしての本来の使用に問題が生じる。すなわち、本来の目的での使用時においては、剥離シートから基材が分離しないことが必要とされる。
したがって、通常使用時において良好な基材密着性を有し、一方で、その使用後には容易に基材を分離できる剥離シートの開発が求められている。
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、基材を有する剥離シートであって、剥離シートとしての使用時は基材の密着性が良好であり、かつ、その使用後には前記基材を容易に分離可能である、新規な剥離シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、基材と、該基材の少なくとも一方の表面側に、中間層と、剥離剤層とをこの順で有する積層体であって、前記中間層が、特定の中間層形成用組成物から形成された層である、剥離シートとすることによって、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]~[9]を提供する。
[1] 基材と、該基材の少なくとも一方の表面側に、中間層と、剥離剤層とをこの順で有する積層体であって、前記中間層が、加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物(A)及びアクリレート化合物(B)を含む中間層形成用組成物から形成された層である、剥離シート。
[2] 成分(B)が、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートである、前記[1]に記載の剥離シート。
[3] 成分(A)が、下記一般式(a)で表される4官能シラン系化合物及びそのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種を主成分として含む、前記[1]又は[2]に記載の剥離シート。
Si(OR)(X)4-p (a)
〔一般式(a)中、Rはアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。R及びXが複数存在する場合、複数のR及びXは、互いに同一でも、異なっていてもよい。pは0~4の整数を表す。〕
[4] 前記4官能シラン系化合物が、下記一般式(a1)で表されるテトラアルコキシシランである、前記[3]に記載の剥離シート。
Si(OR) (a1)
〔一般式(a1)中、Rはアルキル基を表す。Rが複数存在する場合、複数のRは、互いに同一でも、異なっていてもよい。〕
[5] 前記中間層形成用組成物の固形分100質量%中、成分(A)及び成分(B)の合計含有量が、80質量%以上である、前記[1]~[4]のいずれか1つに記載の剥離シート。
[6] 前記中間層形成用組成物における成分(B)の含有量が、成分(A)及び成分(B)の合計含有量100質量%中、50質量%以下である、前記[1]~[5]のいずれか1つに記載の剥離シート。
[7] 前記基材が、樹脂フィルムである、前記[1]~[6]のいずれか1つに記載の剥離シート。
[8] 前記基材と前記中間層とが、直接積層している、前記[1]~[7]のいずれか1つに記載の剥離シート。
[9] 前記中間層と水とを接触させることによって、前記剥離シートから前記基材が分離されることを特徴とする、前記[1]~[8]のいずれか1つに記載の剥離シート。
本発明によれば、基材を有する剥離シートであって、剥離シートとしての使用時は基材の密着性が良好であり、かつ、その使用後には前記基材を容易に分離可能である、新規な剥離シートを提供し得る。
以下、本発明について実施形態を用いて詳細に説明する。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。同様に、同一事項に対する「好ましくは10以上、より好ましくは30以上」の記載と「好ましくは90以下、より好ましくは60以下」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10以上60以下」とすることもできる。
本明細書において、「固形分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、水や有機溶媒等の希釈溶媒を除いた成分を指す。
また、本明細書において、例えば、「エネルギー線」とは、公知のγ線、電子線、紫外線、可視光等のエネルギー線を意味する用語である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」の一方若しくは双方を意味する用語として使用する。同様に、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」の一方若しくは双方を意味する用語として使用する。同様に、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」又は「メタクリロイル」の一方若しくは双方を意味する用語として使用する。
[剥離シート]
本発明の剥離シートは、基材と、該基材の少なくとも一方の表面側に、中間層と、剥離剤層とをこの順で有する積層体であって、前記中間層が、加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物(A)、並びに、アクリレート化合物(B)を含む中間層形成用組成物から形成された層であることを特徴とする。
前記剥離シートは、分離した基材から基材を構成する樹脂等を回収し、再利用し易くする観点からは、前記基材と前記中間層とが、直接積層している構成であることが好ましい。ここで、「直接積層」とは、例えば、基材と、中間層との間に、他の層を有さずに、各層が互いに直接接触している構成を指す。
また、前記剥離シートの一態様としては、基材と、中間層と、剥離剤層とがこの順で直接積層していてもよい。すなわち、基材と、中間層と、剥離剤層との間に、他の層を有さずに、各層が互いに直接接触している構成であってもよい。
以下、前記剥離シートを構成する各層についてより詳細に説明する。
<基材>
前記基材としては、例えば、紙基材、樹脂フィルム等を用いることができ、分離がより容易となる観点から、樹脂フィルムが好ましい。また、樹脂フィルムを分離した場合には、回収される成分は樹脂である。一方、紙基材を分離した場合は、回収される成分はパルプ繊維となる。
前記樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリアセテートフィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルム;エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム;シクロオレフィンポリマーフィルム;ポリウレタンフィルム;ポリフェニレンスルフィドフィルム;セロハン;等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性、強度の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムとしては、樹脂の回収、再生がし易い観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを主たる構成成分とするポリエステルフィルムが好ましい。ここで、「主たる構成成分」とは、当該フィルムを構成する成分中、最も含有量が多い成分を指す。前記ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムが更に好ましい。
また、基材は、前述の樹脂を1種のみ有する樹脂フィルムであってもよいし、2種以上有するものであってもよい。例えば、1つの樹脂フィルムからなる単層フィルムでもよく、複数の樹脂フィルムが積層した複層フィルムであってもよい。樹脂の回収がし易くなる観点からは、1つの樹脂フィルムからなる単層フィルム又は1つの樹脂フィルムを積層した複層フィルムであることが好ましい。
また、樹脂フィルムは、公知のフィラー、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒等を含有してもよい。また、樹脂フィルムは、透明なものであっても、所望により着色等されていてもよい。また、基材の少なくとも1つの表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、酸化等のエッチング処理等の表面処理を必要に応じて施してもよい。
基材の厚さは、特に制限はないが、強度、剛性等の観点から、好ましくは10~500μm、より好ましくは15~300μm、更に好ましくは20~200μmである。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、前述した2層以上積層した複層フィルムを用いる場合、基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<中間層>
前記中間層は、加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物(A)(以下、「成分(A)」ともいう。)及びアクリレート化合物(B)(以下、「成分(B)」ともいう。)を含む中間層形成用組成物から形成された層である。
前記剥離シートが、前記中間層を有することで、前述の優れた効果が奏され、その理由は、次のとおりと考えられる。
すなわち、剥離シートから基材を分離する前、中間層は、主に、水素結合とアンカー効果とによって、基材又は基材側の他の層と密着している。特に、中間層がシロキサン結合(-Si-O-Si-)を有することで、中間層の基材側の表面にSi-OH基が部分的に形成され、基材表面に存在する極性部位と水素結合を形成している。剥離シートを水に浸漬させると、前記基材と中間層との界面又は前記基材側に存在する他の層と中間層との界面に水が浸入し易い。そして、界面に侵入した水が、前記水素結合を阻害することで、前記界面での剥離が生じる結果、前記剥離シートから基材を容易に分離することが可能になると考えられる。
また、前記中間層は、アクリレート化合物(B)を含む中間層形成用組成物から形成されるため、成分(B)に由来する極性も有することから、成分(A)のみから形成される中間層と異なり、剥離シートとしての通常の使用時には、基材と中間層との間に水素結合に代わって極性基同士の分子間力が働くことにより、湿度で基材と中間層との密着性不足に陥ることを防ぐことができると考えられる。
したがって、剥離シートとしての使用時は基材密着性が良好であり、かつ、その使用後には前記基材を容易に分離可能である剥離シートとすることができる。
また、前記中間層は、前記剥離シートから基材を分離する際に使用される前述の水(以下、「洗浄水」ともいう。)と接触した際に、洗浄水中への中間層の溶出を防止又は抑制することができる。したがって、洗浄水の汚染を防止又は低減することができる。
(加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物(A))
前記加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物(A)は、加水分解された化合物が重縮合可能な化合物である。例えば、成分(A)は、加水分解による重縮合性を示すアルコキシシランであってもよい。
成分(A)は、下記一般式(a)で表される4官能シラン系化合物及びそのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種を主成分として含むことが好ましい。
Si(OR)(X)4-p (a)
〔一般式(a)中、Rはアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。R及びXが複数存在する場合、複数のR及びXは、互いに同一でも、異なっていてもよい。pは0~4の整数を表す。〕
Rとして選択し得るアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、ネオペンチル基、メチルペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、シラン系化合物の反応性をより向上させる観点から、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はn-ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。Rとして選択し得るアルキル基は、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよいが、直鎖であることが好ましい。
Xとして選択し得るハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
なお、前記一般式(a)で表されるシラン系化合物は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記一般式(a)で表されるシラン系化合物としては、前記一般式(a)中のpが4であるシラン系化合物を含むことが好ましい。
すなわち、前記4官能シラン系化合物は、下記一般式(a1)で表されるテトラアルコキシシランであることが好ましい。
Si(OR) (a1)
〔一般式(a1)中、Rはアルキル基を表す。Rが複数存在する場合、複数のRは、互いに同一でも、異なっていてもよい。〕
一般式(a1)中、Rとして選択し得るアルキル基としては、前述した一般式(a)中のRと同様のものが例示され、その好適な態様も同様である。
前記テトラアルコキシシランのより好ましい具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、入手の容易性及び加水分解反応の反応性の観点から、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランの少なくとも一方、又は、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランの混合物であることが好ましい。
ここで、前記成分(A)中における「主成分」とは、前記成分(A)の全量100質量%中、最も多く含まれるシラン系化合物のことを指す。
前記成分(A)中、主成分として含まれる前記一般式(a)で表されるシラン系化合物及びそのオリゴマーの含有量は、その他のシラン系化合物の含有量よりも多ければ特に制限はないが、例えば、成分(A)の全量100質量%中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
また、前記一般式(a)で表される4官能シラン系化合物のオリゴマー、又は、前記一般式(a1)で表されるテトラアルコキシシランのオリゴマーの平均重合度は、それぞれ、特に限定されないが、それぞれ独立に、例えば、2~20であってもよく、2~15であってもよい。すなわち、前記各シラン系化合物の平均2~20量体であってもよく、前記各シラン系化合物の平均2~15量体であってもよい。
また、前記「一般式(a)で表される4官能シラン系化合物のオリゴマー」及び「前記一般式(a1)で表されるテトラアルコキシシランのオリゴマー」は、いずれも、単に、前記各シラン系化合物の単量体を出発原料として得られたものに限定されず、他の化合物を出発原料とする合成の結果、得られる化合物の構造が、前記一般式(a)で表される4官能シラン系化合物、又は、前記一般式(a1)で表されるテトラアルコキシシランが2つ以上縮合した構造を有する化合物も含む。後述する「1~3官能のシラン系化合物のオリゴマー」についても同様である。
成分(A)としては市販品を用いることもでき、当該市販品の好適例としては、「コルコート(登録商標)N-103X」、「コルコート(登録商標)PX」、テトラメトキシシランの平均4量体オリゴマーである「メチルシリケート51」、テトラメトキシシランの平均7量体オリゴマーである「メチルシリケート53A」、テトラエトキシシランの平均5量体オリゴマーである「エチルシリケート40」、テトラエトキシシランの平均10量体オリゴマーである「エチルシリケート48」、テトラメトキシシランの平均10量体オリゴマーと、テトラエトキシシランの平均10量体オリゴマーとの混合物である「EMS-485」(いずれも、コルコート株式会社製)等が挙げられる。
成分(A)として含んでもよいその他のシラン系化合物としては、例えば、単量体であれば1~3官能のシラン系化合物が挙げられ、また、オリゴマーであれば1~3官能のシラン系化合物のオリゴマーが挙げられる。ただし、基材の分離性をより向上させる観点からは、前述のとおり、一般式(a)で表される4官能シラン系化合物及びそのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種を主成分として含むことが好ましい。
また、中間層形成用組成物は、前記成分(A)の加水分解反応又は縮合反応を促進する観点から、例えば、酸触媒、金属触媒等の触媒を用いてもよい。
本発明の効果がより奏され易くする観点から、中間層形成用組成物における成分(A)の含有量は、成分(A)及び成分(B)の合計含有量100質量%中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
(アクリレート化合物(B))
前記アクリレート化合物(B)としては、本発明の効果がより奏され易くする観点から、例えば、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが好ましく、1分子中に3以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールに由来する構造を有する多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
前記ペンタエリスリトールに由来する構造を有する多官能(メタ)アクリレートの例としては、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、成分(B)としては、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
本発明の効果がより奏され易くする観点から、前記中間層形成用組成物における成分(B)の含有量は、成分(A)及び成分(B)の合計含有量100質量%中、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下であり、そして、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。
また、本発明の効果がより奏され易くする観点から、前記中間層形成用組成物の固形分100質量%中、成分(A)及び成分(B)の合計含有量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは99.5質量%以下、更に好ましくは99.3質量%以下である。
(光重合開始剤(C))
また、前記中間層形成用組成物は、更に、光重合開始剤(C)を含むことが好ましい。
光重合開始剤(C)(以下、「成分(C)」ともいう。)は、紫外線などのエネルギー線を用いて中間層形成用組成物を硬化させる場合に、中間層形成用組成物の硬化性を向上させる成分である。
成分(C)としては、優れた硬化性及び耐溶剤性の観点から、例えば、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノンが好ましい。
成分(C)は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記中間層形成用組成物が成分(C)を含む場合、成分(C)の含有量としては、前記成分(B)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
また、前記中間層形成用組成物が成分(C)を含む場合、本発明の効果がより奏され易くする観点から、前記中間層形成用組成物の固形分100質量%中、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計含有量は、好ましくは80~100質量%、より好ましくは85~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%、より更に好ましくは98~100質量%である。
前記中間層の厚さは、本発明の効果がより奏され易くする観点から、好ましくは0.02~1μm、より好ましくは0.03~0.5μm、更に好ましくは0.04~0.3μmである。
<剥離剤層>
前記剥離剤層は、剥離剤組成物から形成された層であることが好ましい。
前記剥離剤層の形成に用いられる剥離剤組成物としては、剥離性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、シリコーン系化合物;フッ素化合物;長鎖アルキル基含有化合物;オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂などの熱可塑性樹脂材料;などを主成分とする剥離剤組成物を用いることができる。また、エネルギー線硬化型又は熱硬化型樹脂を主成分とする剥離剤組成物を使用することが好ましい。これらの剥離剤組成物は、1種を単独で用いてもよく、又は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、前記剥離剤組成物中における「主成分」とは、前記剥離剤組成物の固形分100質量%中、最も多く含まれる成分のことを指す。
シリコーン系化合物を主成分とする剥離剤組成物において、前記シリコーン系化合物としては、基本骨格としてオルガノポリシロキサンを有するシリコーン系化合物が挙げられる。また、前記シリコーン系化合物としては、付加反応型及び縮合反応型などの熱硬化型シリコーン系化合物;紫外線硬化型、及び電子線硬化型などのエネルギー線硬化型シリコーン系化合物;などが挙げられる。
前述した付加反応型シリコーン系化合物の具体例としては、分子の末端及び/又は側鎖に、ビニル基、アリル基、プロペニル基、及びヘキセニル基などの炭素数2以上10以下のアルケニル基を2個以上備えたオルガノポリシロキサンが挙げられる。このような付加反応型シリコーン系化合物を用いる際には、架橋剤及び触媒を併用することが好ましい。
前述した架橋剤としては、例えば、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン、具体的には、ジメチルハイドロジェンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)などが挙げられる。
また、前述した触媒としては、微粒子状白金、炭素粉末担体上に吸着された微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、パラジウム、及びロジウムなどの白金属金属系化合物などが挙げられる。このような触媒を用いることにより、剥離剤組成物の硬化反応をより効率よく進行させることができる。
フッ素化合物を主成分とする剥離剤組成物において、前記フッ素化合物としては、フッ素シリコーン化合物、フッ素ボロン化合物、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖含有化合物などが挙げられる。
長鎖アルキル基含有化合物を主成分とする剥離剤組成物において、前記長鎖アルキル基含有化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール系重合体に、アルキル基の炭素数が炭素数12以上40以下の長鎖アルキルイソシアネートを反応させて得られたポリビニルカーバメートや、ポリエチレンイミンに、アルキル基の炭素数が炭素数12以上40以下の長鎖アルキルイソシアネートを反応させて得られたアルキル尿素誘導体、あるいはアルキル基の炭素数が炭素数12以上40以下の長鎖アルキル(メタ)アクリレートの共重合体などが挙げられる。さらに、多価アルコールと多塩基酸との縮合反応によって得られるアルキド樹脂に、アルキル基の炭素数が炭素数12以上40以下の長鎖脂肪酸を変性剤として用いた長鎖アルキル変性アルキッド樹脂が用いられてもよい。
エネルギー線硬化型樹脂を主成分とする剥離剤組成物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基及びマレイミド基から選択される反応性官能基を有するエネルギー線硬化性化合物(D)と、ポリオルガノシロキサン(E)とを含むものが好ましい。この剥離剤組成物により形成された剥離剤層においては、相互に分子構造、極性、分子量が異なるエネルギー線硬化性化合物(D)及びポリオルガノシロキサン(E)を用いているので、塗布後で硬化前にポリオルガノシロキサン(E)が剥離剤層の外表面付近に押し上げられてポリオルガノシロキサン(E)に由来する成分が偏析した状態となる。これにより、剥離剤層の剥離性を向上することができる。
(エネルギー線硬化性化合物(D))
エネルギー線硬化性化合物(D)は、剥離剤層に硬化性を付与する成分である。
エネルギー線硬化性化合物(D)(以下、「成分(D)」ともいう。)としては、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基及びマレイミド基から選択される反応性官能基を有するものが好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基及びヘキセニル基などの炭素数2以上10以下のアルケニル基が挙げられる。成分(D)は、1種を単独で用いてもよく、又は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、成分(D)としては、硬化性の観点から、上記反応性官能基を分子内に3つ以上有するものが好ましい。成分(D)として、反応性官能基を分子内に3つ以上有するエネルギー線硬化性化合物を用いることにより、酸素阻害により硬化が難しい厚さの剥離剤層であっても、優れた硬化性、耐溶剤性、及び剥離性を得ることができる。
ルケニル基が挙げられる。
成分(D)としては、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、成分(D)としては、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群から選択された少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、剥離剤組成物が基材上の中間層表面に薄膜で塗布された場合であっても、成分(D)の硬化性が良好となる。
前記剥離剤組成物が成分(D)を含む場合、成分(D)の含有量としては、前記剥離剤組成物の固形分100質量%中、65質量%以上98.5質量%以下が好ましく、70質量%以上95質量%以下がより好ましい。
(ポリオルガノシロキサン(E))
ポリオルガノシロキサン(E)は、剥離剤層に剥離性を付与する成分である。ポリオルガノシロキサン(E)(以下、「成分(E)」ともいう。)としては、例えば、直鎖状又は分岐状の分子鎖を有するものが挙げられる。また、成分(E)としては、分子鎖の末端及び側鎖の少なくとも一方に、直接又は2価の連結基を介して(メタ)アクリロイル基、アルケニル基及びマレイミド基から選択される反応性官能基が分子鎖のケイ素原子と結合した変性ポリオルガノシロキサンを用いることが好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、及びプロペニル基等が挙げられる。また、2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アルキレンオキシ基、オキシ基、イミノ基、カルボニル基及びこれらを組み合わせた2価の連結基が挙げられる。2価の連結基の炭素数としては、1以上30以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい。成分(E)は、1種を単独で用いてもよく、又は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記変性オルガノポリシロキサンによれば、エネルギー線照射によりエネルギー線硬化性化合物(D)が硬化する際に、変性オルガノポリシロキサンがエネルギー線硬化性化合物(D)の硬化物の架橋構造に組み込まれて固定される。これにより、剥離剤層の外表面に接する相手(例えば、粘着剤層、セラミックグリーンシート、剥離シート自身の基材背面など)に剥離剤層に含まれるポリオルガノシロキサンが移行することを抑制することができる。
成分(E)の反応性官能基以外の有機基としては、脂肪族不飽和結合を有しない一価の炭化水素基が挙げられる。この有機基としては、同種又は異種のものを複数有していてもよい。炭化水素基としては、炭素数1以上12以下のものが好ましく、炭素数1以上10以下のものがより好ましい。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基などが挙げられる。
成分(E)としては、剥離剤層の剥離性を向上する観点から、成分(E)の分子中の反応性官能基以外の有機基の80モル%以上がメチル基であるものが好ましい。
前記剥離剤組成物が成分(E)を含む場合、成分(E)の含有量としては、前記剥離剤組成物の固形分100質量%中、0.5質量%以上5質量%以下が好ましく、0.7質量%以上4質量%以下がより好ましい。これにより、例えば、グリーンシートの製造に用いられる場合、セラミックスラリーをはじくことなく基材に塗布することが容易となり、剥離シートの剥離性が向上する。
また、エネルギー線硬化性化合物(D)とポリオルガノシロキサン(E)との配合量としては、成分(E)/成分(D)=0.7/99.3以上5/95以下であることが好ましく、成分(E)/成分(D)=1/99以上4.5/95.5以下であることがより好ましい。これにより、例えばグリーンシートの製造に用いられる場合、セラミックスラリーをはじくことなく剥離剤層上に塗布することが容易となり、剥離シートからグリーンシートの剥離性が向上する。
(光重合開始剤)
また、前記剥離剤組成物は、更に、光重合開始剤を含んでいてもよい。
剥離剤組成物が含んでもよい光重合開始剤としては、優れた硬化性、耐溶剤性及び剥離性の観点から、例えば、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノンが好ましい。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記剥離剤組成物が光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤の含有量としては、前記剥離剤組成物の固形分100質量%中、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。これにより、剥離剤層の厚さが酸素阻害により硬化性が得られ難い範囲の厚さであっても、優れた硬化性、耐溶剤性及び剥離性を得ることができる。
また、エネルギー線硬化型樹脂を主成分とする剥離剤組成物としては、本発明の効果を奏する範囲で増感剤や反応性モノマーなどの他の成分を含むものを用いることもできる。
また、前記エネルギー線硬化型樹脂を主成分とする剥離剤組成物が、前記成分(D)、成分(E)を含む剥離剤組成物である場合、前記成分(D)及び成分(E)、並びに、必要に応じて含有してもよい、前記光重合開始剤の合計含有量は、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%である。
なお、エネルギー線硬化性樹脂は、主鎖を形成する化学結合が酸やアルカリにより分解されにくい構造となっているため、化学処理による異物の除去手段を受けにくい。このため、エネルギー線硬化性樹脂を主成分とする剥離剤層を有する剥離シートでは、本発明の構成とすることで、容易に剥離剤層を除去することのできるものとなる。
熱硬化型樹脂を主成分とする剥離剤組成物としては、例えば、メラミン樹脂を主成分とする剥離剤組成物やエポキシ樹脂を主成分とする剥離剤組成物が挙げられる。メラミン樹脂を主成分とする剥離剤組成物としては、主成分であるメラミン樹脂、メラミン樹脂を熱硬化させる酸触媒、及び剥離剤層に剥離性を付与するポリオルガノシロキサンを含む組成物が挙げられる。また、エポキシ樹脂を主成分とする剥離剤組成物としては、主成分であるエポキシ樹脂、エポキシ樹脂を熱硬化させる酸又は塩基性の熱硬化触媒、及び剥離剤層に剥離性を付与するポリオルガノシロキサンを含む組成物が挙げられる。
前記剥離剤組成物が熱硬化型樹脂を主成分として含む場合、前記熱硬化型樹脂の含有量としては、前記剥離剤組成物の固形分100質量%中、65質量%以上98.5質量%以下が好ましく、70質量%以上95質量%以下がより好ましい。
また、前記剥離剤組成物が熱硬化型樹脂を主成分として含む場合、前記剥離剤層に剥離性を付与するポリオルガノシロキサンの含有量としては、前記剥離剤組成物の固形分100質量%中、1質量%以上8質量%以下が好ましく、2質量%以上6質量%以下がより好ましい。
また、前記剥離剤組成物が熱硬化型樹脂を主成分として含む場合、前記各触媒の含有量としては、それぞれ独立に、前記剥離剤組成物の固形分100質量%中、1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上6質量%以下がより好ましい。
また、前記剥離剤組成物が熱硬化型樹脂を主成分として含む場合、前記熱硬化型樹脂、前記剥離剤層に剥離性を付与するポリオルガノシロキサン、及び、前記触媒の合計含有量は、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%である。
また、前記剥離剤層には、前述の樹脂成分以外に、その他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、例えば、老化防止剤、光安定剤、難燃剤、導電剤、帯電防止剤、可塑剤等が挙げられる。
剥離剤層の厚さは、適宜、選択することが可能であり、特に制限はないが、例えば、好ましくは0.02~5μm、より好ましくは0.03~2μm、更に好ましくは0.05~1.5μmである。
剥離シートは、一般に、特定の用途に用いられる他の機能性シートや各種部品の製造、運搬、保管時等に、これらシートや部品の表面を保護する目的等で用いられる。実際にこれらの部品等の保護の役目を果たした後は、表面から剥離され、廃棄されることも多い。そのため、前記剥離シートを用いることで、剥離シートから基材を容易に分離することができるため、資源保護、環境保護の観点からも、貢献度の高い用途である。
<剥離シートの製造方法>
前記剥離シートの製造方法としては、前記剥離シートを製造することができる限り、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。
例えば、前記中間層の形成方法としては、基材の一方の面に、前記中間層形成用組成物又はその溶液を塗布し、その後、前記中間層形成用組成物又はその溶液を加熱し乾燥するとともに前記中間層形成用組成物中の成分(A)を熱硬化させて塗布層を形成する工程;及び、前記塗布層へのエネルギー線照射により前記中間層形成用組成物中の成分(B)をエネルギー線硬化させて中間層を形成する工程;を、この順で有する形成方法等により中間層を形成するができる。
また、前記剥離剤層の形成方法も、当該剥離剤層の種類により、適宜、選択することが可能であり、前記剥離シートを製造することができる限り、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。
例えば、前述した方法等で基材上に形成された中間層上に、前記剥離剤組成物又はその溶液を塗布し、その後、前記剥離剤組成物又はその溶液を加熱し乾燥することで塗布層を形成する工程;及び、前記塗布層をエネルギー線照射によりエネルギー線硬化させて剥離剤層を形成する工程;をこの順で有する形成方法等により剥離剤層を形成して作製することができる。
中間層形成用組成物、剥離剤組成物、又はこれらの溶液を塗布する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
また、中間層又は剥離剤層を乾燥する場合の乾燥方法や乾燥温度も特に制限はなく、中間層又は剥離剤層を形成する材料の特性等によって、適宜、選択することができる。同様に、エネルギー線照射により中間層又は剥離剤層を形成する場合も、中間層又は剥離剤層を形成する材料の特性等によって、エネルギー線の種類、照度、光量といった照射条件は、適宜、選択することができる。
前述のとおり、前記剥離シートは、前記中間層と水とを接触させることによって、前記剥離シートから前記基材を分離することができる。したがって、本発明の一態様として、前記基材と、該基材の少なくとも一方の表面側に、前記中間層と、前記剥離剤層とをこの順で有する剥離シートにおいて、前記中間層と水とを接触させることによって、前記剥離シートから前記基材を分離することを特徴とする、基材の分離方法が挙げられる。
前記中間層と水とを接触させる方法は、特に制限はないが、前記剥離シートを水中に浸漬することによって行うことが好ましい。
例えば、剥離シートが巻回されたロール形態であれば、ロール形態のまま、水槽内に浸漬してもよい。この場合、剥離シートのロールを水槽内に静置してもよく、水槽を攪拌してもよい。
または、繰出ロールから剥離シートを繰り出して、巻取ロールで巻き取るまでの間で連続して加工(Roll to Rollによる加工)を行う過程の途中で、繰出ロールから繰り出した剥離シートを水槽内に通過させる、又は、当該シートにブラシ等で水を擦り付ける等の処理を行ってもよい。
または、剥離シートを裁断処理した後、裁断した剥離シートを、水槽に浸漬してもよい。この場合、裁断した剥離シートを水槽中に静置してもよく、水槽を攪拌してもよい。または、裁断した剥離シートにブラシ等で水を擦り付ける等の処理を行ってもよい。
前記中間層と接触させる水は、室温でもよいが、加温した温水が好ましい。例えば、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。また、100℃未満が好ましく、98℃以下がより好ましい。
前述のとおり、前記剥離シートを用いることで、前記中間層と水とを接触させることによって、剥離シートから基材を容易に分離することができる。そのため、前記剥離シートは、例えば、剥離シートから基材を分離するために、酸性又はアルカリ性の溶液や有機溶媒等を使用する必要がなく、環境負荷の低減という観点からも好適である。
一方で、前記剥離シートは、その通常使用時においては、基材の密着性が良好である。
したがって、前記剥離シートは、剥離シート本来の目的で使用される時には基材が分離することにより生じる不具合を回避できるとともに、剥離シートとしての使用後は、基材を容易に分離することができ、分離された基材から回収した樹脂をそのまま再使用する場合、又は、樹脂を構成する原材料であるモノマー等まで分解してリサイクルする場合にも好適等に用いることができる。
また、前記剥離シートを用いて基材を分離する場合、前記洗浄水をろ過するだけでも洗浄水と分離された基材とを容易に分けることが可能である等、樹脂の回収やリサイクルを行うプロセス全体の簡略化にも繋がる。
また、前述のとおり、基材の分離に寄与する剥離シート中の中間層は、基材を分離する際に用いる洗浄水の汚染を低減することもできる。そのため、洗浄水の汚染も抑制できることから、分離した基材から回収される樹脂等がその洗浄水によって再汚染されてしまうことも生じにくい。また、洗浄水の汚染が抑制されることで、洗浄水の再利用や廃棄処理の簡略化にも繋がる。
したがって、本発明の一態様としては、例えば、少なくとも、前記剥離シートを用いた基材の分離方法を用いて、基材と、該基材の少なくとも一方の表面側に、前記中間層と、前記剥離剤層とをこの順で有する剥離シートから、前記中間層と水とを接触させて、前記中間層を前記基材の表面又は基材側の層の表面から剥離させることによって、前記剥離シートから前記基材を分離する工程;及び、基材から樹脂を回収する工程;とを含む、樹脂のリサイクル方法が挙げられる。前記基材から樹脂を回収する工程は、特に制限はなく、各樹脂の種類及び樹脂の原料に応じて、適宜、公知の回収方法を用いることができる。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
[基材、中間層、剥離剤層の厚さ]
各実施例及び各比較例で用いた剥離シートにおける基材の厚さは、株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」、標準規格:JIS K6783:1994、JIS Z1702:1994、JIS Z1709:1995に準拠)を用いて測定した。
各実施例並びに各比較例の中間層の厚さは、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、製品名「M-2000」)を用いて測定した。
各実施例及び各比較例の剥離剤層の厚さは、反射式膜厚計(フィルメトリクス株式会社製、製品名「F20」)を用いて測定した。
[剥離シートの製造]
以下に示す方法によって剥離シートを製造した。
[実施例1]
基材として二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[厚み:31μm]を用意した。
次に、加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物「A1」(コルコート株式会社製、製品名「コルコート(登録商標)N-103X」)と、多官能アクリレートであるジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物「B1」(東亞合成株式会社製、製品名「アロニックス(登録商標)M-400」)を固形分比(質量比)80:20で混合し、光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製、商品名「Omnirad(登録商標)907」(2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン、固形分100質量%))を多官能アクリレート100質量部に対し10質量部を添加した中間層形成用組成物を用意した後、イソプロピルアルコールを混合して固形分1.0質量%の中間層形成用組成物の塗工液を調製した。
次に、得られた中間層形成用組成物の塗工液を、バーコーターで基材の片面に均一に塗布し、130℃で1分間乾燥させて塗布層を得た。次いで、前記塗布層に、紫外線を照射(積算光量:250mJ/cm)して中間層(厚み:0.04μm)を得た。
次に、多官能アクリレートであるジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物「B1」(固形分100質量%)94質量部と、アクリル変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、製品名「X-22-164A」、固形分100質量%)1質量部と、光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製、商品名「Omnirad(登録商標)907」(2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン、固形分100質量%))5質量部を、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンとの混合溶剤(混合比(質量比)は、イソプロピルアルコール:メチルエチルケトン=3:1)で希釈して、固形分20質量%の剥離剤組成物の塗工液を得た。
得られた剥離剤組成物の塗工液をバーコーターで、前記基材上に形成された中間層の上に塗布し、80℃で1分間乾燥させて塗布層を得た。次いで、前記塗布層に、紫外線を照射(積算光量:250mJ/cm)して剥離剤層(厚み:1μm)を形成して、基材/中間層/剥離剤層がこの順で積層された構成である剥離シートを得た。
[実施例2]
実施例1において、中間層形成用組成物の加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物「A1」(コルコート株式会社製、製品名「コルコート(登録商標)N-103X」)と、多官能アクリレートであるジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物「B1」(東亞合成株式会社製、製品名「アロニックス(登録商標)M-400」)を固形分比(質量比)90:10で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、剥離シートを作製した。
[実施例3]
実施例1において、中間層形成用組成物の加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物「A1」(コルコート株式会社製、製品名「コルコート(登録商標)N-103X」)と、多官能アクリレートであるジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物「B1」(東亞合成株式会社製、製品名「アロニックス(登録商標)M-400」)を固形分比(質量比)50:50で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、剥離シートを作製した。
[実施例4]
実施例1において、中間層形成用組成物の多官能アクリレート「B1」を、多官能アクリレートであるペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物「B2」(東亞合成株式会社製、製品名「アロニックス(登録商標)M-305」)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、剥離シートを作製した。
[比較例1]
実施例1において、中間層を設けないこと以外は、実施例1と同様にして、基材/剥離剤層がこの順で積層された構成である剥離シートを作製した。
[比較例2]
実施例1において、中間層形成用組成物の成分として、多官能アクリレートであるジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物「B1」及び光重合開始剤を混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、剥離シートを作製した。
[比較例3]
基材として二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[厚み:31μm]を用意した。
次に、非晶性ポリエステル樹脂「P」(東洋紡株式会社製、製品名「バイロン(登録商標)GK-640」)を、メチルエチルケトン(MEK)で希釈して、固形分1質量%の希釈液を調製した。
次に、得られた希釈液を、乾燥後の厚みが0.04μmとなるように基材の片面に均一に塗布し、130℃で1分間加熱することにより中間層を形成した。
その他は実施例1と同様にして、剥離剤層を形成し、基材/中間層/剥離剤層がこの順で積層された構成である剥離シートを作製した。
[基材の分離性]
実施例と比較例に記載の方法で得られた剥離シートを50mm×50mmのサイズに裁断し試験片を得た。次いで、容量500mLのガラス製ビーカーに300mLの90℃の温水を充填し、一片の試験片の全体が温水中に浸るようにして90℃で保温しながら2時間静置した。その後、温水中から取り出した試験片を、室温の蒸留水に浸漬して洗浄し、分離性評価用の試料とした。
当該試料について、剥離剤層が設けられていた側の基材表面に対し、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、製品名「M-2000」)及び反射式膜厚計(フィルメトリクス株式会社製、製品名「F20」)を用いて薄膜層の厚さを測定した。続いて、当該表面に対してX線光電子分光分析法(XPS)で測定される剥離剤層及び中間層の化学組成に由来する特定元素であるケイ素(Si)の検出量に基づき、基材の分離性を評価した。測定される薄膜層の厚さがいずれも測定精度以下(10nm以下)となり、かつ、下記の式により各元素比率を算出し、剥離剤層及び中間層の化学組成に由来する特定元素が0.05Atom%未満である場合、基材表面に薄膜層は存在しないことになる。この結果の場合は、薄膜層に相当する剥離剤層及び中間層が基材表面上にない、すなわち、剥離シートから基材が分離できていると判断した。結果を下記表1に示す。
なお、表1中、0.05Atom%未満となる場合を「A」、0.05Atom%以上となる場合を「F」と表記した。
下記の各計算式中、Nは窒素元素量、Siはケイ素元素量、Cは炭素元素量、Oは酸素元素量を表す。
・ケイ素(Si)元素比率(Atom%)=[Si/(C+O+N+Si)]×100
[基材の密着性]
実施例と比較例に記載の方法で得られた剥離シートを、温度23℃、相対湿度50%R.H.条件下にて、20mm幅のアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製、商品名「31Bテープ」)をハンドローラーを用いて剥離剤層側に貼り合わせて30分放置し、試験片を得た。
次に、引張り試験機を用いて前記試験片の剥離シート側をSUS板に固定し、31Bテープ側を180°の方向に引張試験機(株式会社島津製作所製、製品名「AG-IS500N」)を用いて180°の剥離角度、300mm/分の剥離速度で引き剥がした。当該処理により、31Bテープを引き剥がした後の剥離シートの、前記31Bテープが貼合されていた表面に対して、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、製品名「M-2000」)及び反射式膜厚計(フィルメトリクス株式会社製、製品名「F20」)を用いて薄膜層の厚さを測定した。続いて、当該表面に対して前記基材の分離性評価と同様に、X線光電子分光分析法(XPS)を行った。XPSで測定される化学組成に由来する特定元素であるケイ素(Si)の検出量に基づき、基材の密着性を評価した。前記31Bテープの剥離処理によって、剥離シートの剥離剤層及び中間層が剥離され、基材表面が露出した場合、測定される薄膜層の厚さがいずれも測定精度以下(10nm以下)となり、かつ、測定面における前記ケイ素(Si)元素比率(Atom%)が最低検出値である0.05Atom%未満となる(ケイ素元素が検出されない)。
剥離剤層が剥離されなかった場合を「A」、剥離剤層が剥離され基材がむき出しになった場合を「F」とした。
結果を下記表1に示す。
前記表1中、中間層形成用組成物中の樹脂成分割合(中間層樹脂成分割合)の欄に示す略号が表す材料の詳細は次の通りである。
<加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物(A)>
・「A1」:加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物、製品名「コルコート(登録商標)N-103X」(コルコート株式会社製)
<アクリレート化合物(B)>
・「B1」:多官能アクリレートである、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、製品名「アロニックス(登録商標)M-400」(東亞合成株式会社製)
・「B2」:多官能アクリレートである、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、製品名「アロニックス(登録商標)M-305」(東亞合成株式会社製)
<その他の化合物>
・「P」:非晶性ポリエステル樹脂、製品名「バイロン(登録商標)GK-640」(東洋紡株式会社製)
なお、表1中、「中間層樹脂成分割合」とは、成分(A)及び成分(B)の合計含有量100質量%基準の各成分の含有量(質量%)を表す。
表1に示すとおり、実施例1~4の剥離シートを用いた基材の分離性評価結果から、基材と、該基材上に成分(A)及び成分(B)を含む中間層形成用組成物から形成された中間層と、剥離剤層とをこの順で有する積層体である剥離シートにおいて、前記中間層と水とを接触させて、前記中間層を前記基材表面から剥離させることによって、前記剥離シートから前記基材を分離することが可能であることが確認された。
また、実施例1~4の剥離シートは、前述した方法による基材の分離性が良好である一方で、通常使用時においては、基材の密着性が良好であることも確認された。
一方、比較例1の剥離シートを用いた場合、前記中間層を有していないため、基材の分離性評価の実施後も、基材の剥離剤層側にSi元素が検出されており、剥離剤層が基材上から除去されておらず、基材を分離できていないことが確認された。
また、前記中間層を形成する成分として、成分(B)を含んでいない比較例2の剥離シートを用いた場合、中間層と水とを接触させることで、基材層が分離されている。しかし、通常使用時における基材の密着性が劣ることが確認された。
また、前記中間層を形成する成分として、成分(A)及び成分(B)の両方を含んでいない比較例3の剥離シートを用いた場合、比較例1と同様に基材を分離できていないことが確認され、更に、通常使用時における基材の密着性も劣ることが確認された。

Claims (9)

  1. 基材と、該基材の少なくとも一方の表面側に、中間層と、剥離剤層とをこの順で有する積層体であって、前記中間層が、加水分解による重縮合性を示すシラン系化合物(A)及びアクリレート化合物(B)を含む中間層形成用組成物から形成された層である、剥離シート。
  2. 成分(B)が、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の剥離シート。
  3. 成分(A)が、下記一般式(a)で表される4官能シラン系化合物及びそのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種を主成分として含む、請求項1又は2に記載の剥離シート。
    Si(OR)(X)4-p (a)
    〔一般式(a)中、Rはアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。R及びXが複数存在する場合、複数のR及びXは、互いに同一でも、異なっていてもよい。pは0~4の整数を表す。〕
  4. 前記4官能シラン系化合物が、下記一般式(a1)で表されるテトラアルコキシシランである、請求項3に記載の剥離シート。
    Si(OR) (a1)
    〔一般式(a1)中、Rはアルキル基を表す。Rが複数存在する場合、複数のRは、互いに同一でも、異なっていてもよい。〕
  5. 前記中間層形成用組成物の固形分100質量%中、成分(A)及び成分(B)の合計含有量が、80質量%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の剥離シート。
  6. 前記中間層形成用組成物における成分(B)の含有量が、成分(A)及び成分(B)の合計含有量100質量%中、50質量%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の剥離シート。
  7. 前記基材が、樹脂フィルムである、請求項1~6のいずれか1項に記載の剥離シート。
  8. 前記基材と前記中間層とが、直接積層している、請求項1~7のいずれか1項に記載の剥離シート。
  9. 前記中間層と水とを接触させることによって、前記剥離シートから前記基材が分離されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の剥離シート。
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