JP2023146309A - 両面銅張積層板および両面銅張積層板の製造方法 - Google Patents

両面銅張積層板および両面銅張積層板の製造方法 Download PDF

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隆宏 秋永
Takahiro Akinaga
敬介 大熊
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Abstract

【課題】本発明の課題は、樹脂層の誘電正接を伝送損失の低減が可能な、高周波回路基板に好適に使用することができる両面金属張積層板を提供することである。【解決手段】酸二無水物とジアミン化合物との縮合反応物である非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔が直接積層されてなる両面銅張積層板であり、前記非熱可塑ポリイミドフィルムは、380℃2分加熱後も形状を保持する非熱可塑ポリイミドフィルムであり、前記非熱可塑ポリイミドフィルムの360℃における貯蔵弾性率が0.01GPa以上0.50GPa以下である両面銅張積層板とその製造方法により、上記課題を解決することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、高周波回路基板に好適に使用することができる両面に金属箔が設けられたフレキシブル金属張積層板とその製造方法に関する。
近年、電子機器における情報処理能力の向上を目的として、回路を伝達する電気信号の高周波化が進められている。この電気信号の高周波化に伴い、回路基板に対しては、電気信頼性を保つとともに、回路における電気信号の伝達速度の低下の抑制及び電気信号の損失の抑制が望まれており、高周波(1GHz以上)領域において誘電率及び誘電正接の低い材料が求められている。
一方で、回路基板の製造に使用されるフレキシブル金属張積層板は、基材樹脂フィルムの片面または両面に金属箔を設けることで得られる。フレキシブル金属張積層板の作製方法としては、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延または塗布した後イミド化するキャスト法、スパッタまたはメッキ等によりポリイミドフィルム上に直接金属層を設けるメタライジング法、並びに熱可塑性ポリイミド等の接着層を介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせる熱ラミネート法等が挙げられる。この中で、熱ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で、他の方法より優れている。
例えば、高周波回路基板として利用できるフレキシブル金属張積層板として、フッ素樹脂を含有するポリイミド樹脂の両面に銅箔を配した銅張積層板等が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1は、主に、フレキシブル金属張積層板用絶縁樹脂層の低誘電率化を目的としており、具体的に、90モル%のピロメリット酸二無水物、10モル%の4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、100モル%の2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉を含有させた絶縁層が開示されている。
特許文献2には、寸法変化の発生を抑制したフレキシブル金属張積層板として、貯蔵弾性率の値を特定の範囲に制御したポリイミドフィルムが開示されている。
日本国公表特許公報「特表2014-526399号(2014年10月6日公表)」 日本国特許公報「特許第5613300号(2014年10月22日発行)」
前述の特許文献2のように、フレキシブル金属張積層板用の非熱可塑ポリイミドの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムという形をしており、非熱可塑ポリイミドの特性を十分に発揮できていない。
本発明の課題は、樹脂層の誘電正接を伝送損失の低減が可能な、高周波回路基板に好適に使用することができる両面金属張積層板を提供することである。
上記状況に鑑み、本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、熱可塑性ポリイミドの接着層を用いずに直接非熱可塑性ポリイミドと金属箔を積層した両面金属張積層板によって上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成をなす。
1).酸二無水物とジアミン化合物との縮合反応物である非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔が直接積層されてなる両面銅張積層板であり、
前記非熱可塑ポリイミドフィルムは、380℃2分加熱後も形状を保持する非熱可塑ポリイミドフィルムであり、前記非熱可塑ポリイミドフィルムの360℃における貯蔵弾性率が0.01GPa以上0.50GPa以下であり、
前記銅箔が、圧延銅箔または電解銅箔である両面銅張積層板。
2).前記非熱可塑ポリイミドフィルムの10GHzの誘電正接が0.0040以下以下である1)に記載の両面銅張積層板。
3).前記非熱可塑ポリイミドフィルムが、前記酸二無水物として、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、4,4’-オキジシフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、およびエステル基含有テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上の酸二無水物を含み、
前記ジアミン化合物としてパラフェニレンジアミンと、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン残基、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン残基、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニルから選ばれる1種以上のジアミン化合物を含むことを特徴とする1)または2に記載の両面銅張積層板。
4).全ジアミン化合物を100モル%とした場合、パラフェニレンジアミンを75モル%以上95モル%以下含むことを特徴とする3)に記載の両面銅張積層板。
5).酸二無水物とジアミン化合物との縮合反応物である非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔が直接積層されてなる両面銅張積層板の製造方法であって、
前記非熱可塑ポリイミドフィルムは、380℃2分加熱後も形状を保持する非熱可塑ポリイミドフィルムであり、
熱圧着温度における貯蔵弾性率が0.01Gpa以上0.20Gpa以下である非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔を合わせ、熱圧着することを特徴とする両面銅張積層板の製造方法。
6).前記非熱可塑ポリイミドフィルムの10GHzの誘電正接が0.0040以下以下である5)に記載の両面銅張積層板の製造方法。
7).前記非熱可塑ポリイミドフィルムが、前記酸二無水物として、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、4,4’-オキジシフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、およびエステル基含有テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上の酸二無水物を含み、
前記ジアミン化合物としてパラフェニレンジアミンと、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン残基、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン残基、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニルから選ばれる1種以上のジアミン化合物を含むことを特徴とする5)または6)に記載の両面銅張積層板の製造方法。
8).全ジアミン化合物を100モル%とした場合、パラフェニレンジアミンを75モル%以上95モル%以下含むことを特徴とする7)に記載の両面銅張積層板の製造方法。
本発明に係る銅張積層板によれば、従来使用されている銅張積層板よりも低伝送損失である材料を提供できるという効果を奏する。このため、本発明は、例えば、1GHz以上という高周波回路用基板等を開発する場合に有用である。
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。また、本明細書において、「wt%」は「重量%」を意味する。
本明細書中で使用される用語について説明する。「構造単位」とは、重合体を構成する繰り返し単位のことをいう。「ポリイミド」は、下記一般式(1)で表される構造単位(以下、「構造単位(1)」と記載することがある)を含む重合体である。
一般式(1)中、X1は、テトラカルボン酸二無水物残基(テトラカルボン酸二無水物由来の4価の有機基)を表し、X2は、ジアミン残基(ジアミン由来の2価の有機基)を表す。ポリイミドは、酸二無水物とジアミン化合物の縮合反応物の形で表現することができる。
ポリイミドを構成する全構造単位に対する構造単位(1)の含有率は、例えば50モル%以上100モル%以下であり、好ましくは60モル%以上100モル%以下であり、より好ましくは70モル%以上100モル%以下であり、更に好ましくは80モル%以上100モル%以下であり、更により好ましくは90モル%以上100モル%以下であり、100モル%であってもよい。
「線膨張係数」は、何ら規定していなければ、温度50℃から250℃における昇温時線膨張係数である。線膨張係数の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
「比誘電率」は、周波数10GHz、温度23℃、相対湿度50%における比誘電率である。「誘電正接」は、周波数10GHz、温度23℃、相対湿度50%における誘電正接である。比誘電率及び誘電正接の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
(非熱可塑性ポリイミドフィルム)
本発明における非熱可塑性ポリイミドフィルムとは、フィルムの状態で金属製の固定枠に固定して380℃、2分間加熱を行った際に、シワが入ったり伸びたりせず、形状を保持しているポリイミドをいう。
本発明は、酸二無水物とジアミン化合物との縮合反応物である非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔が直接積層されてなる両面銅張積層板であり、
前記非熱可塑ポリイミドフィルムは、380℃2分加熱後も形状を保持する非熱可塑ポリイミドフィルムであり、前記非熱可塑ポリイミドフィルムの360℃における貯蔵弾性率が0.01GPa以上0.50GPa以下であり、
前記銅箔が、圧延銅箔または電解銅箔である両面銅張積層板である。
特に、非熱可塑性ポリイミドフィルムの両面に銅箔を直接積層した銅張積層板であって、該非熱可塑性ポリイミドフィルムが、360℃における貯蔵弾性率が0.01GPa以上0.50GPa以下とすることで接着層が不要となり、伝送損失が少なくかつ寸法安定性の高いフレキシブル金属張積層板を実現できるというものである。
ここで、非熱可塑性ポリイミドフィルムの貯蔵弾性率は、SIIナノテクノロジー社製 DM6100により空気雰囲気下において動的粘弾性を測定して貯蔵弾性率を求めた。
また、本発明の両面銅張積層板は、圧延銅箔または電解銅箔に非熱可塑ポリイミドフィルムを直接貼り合わせたものである。
また、本件の銅張積層板に用いる非熱可塑フィルムの10GHzの誘電正接が0.0040以下とすることで、低伝送損失である材料とすることができるため好ましい。ここで、非熱可塑フィルム誘電正接は、HEWLETTPACKARD社製のネットワークアナライザ8719Cと株式会社関東電子応用開発製の空洞共振器振動法誘電率測定装置CP511とを用いて測定した。
本発明に用いる非熱可塑ポリイミドフィルムの10GHzの誘電正接を、0.0040以下とすることで、低誘電損失の銅張積層板とすることができる。好ましい非熱可塑ポリイミドフィルムの10GHzの誘電正接は、0.0030以下であり、0.0025以下であることが更に好ましい。
本発明の非熱可塑性ポリイミドフィルムは、酸二無水物とジアミン化合物との縮合反応物である非熱可塑性ポリイミドを含む。非熱可塑ポリイミドフィルムは、酸二無水物として、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下BPDAと記載することがある)と、4,4’-オキジシフタル酸無水物(以下ODPAと記載することがある)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDAと記載することがある)、ピロメリット酸二無水物(以下PMDAと記載することがある)、およびエステル基含有テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上の酸二無水物を含むことが、誘電正接を下げる効果あるため好ましい。
エステル基含有テトラカルボン酸二無水物としては、構造内にエステル基を含有するものであれば特に限定することはない。例えば、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下、「TMHQ」と記載することがある)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p-ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下、「BP-TME」と記載することがある)、4-[4-(1,3-ジオキソイソベンゾフラン-5-イルカルボニロキシ)-2,3,5-トリメチルフェニル]-2,3,6-トリメチルフェニル 1,3-ジオキソイソベンゾフラン-5-カルボキシレート、4-{[4-(1,3-ジオキソイソベンゾフラン-5-イルカルボニロキシ)フェニル]シクロヘキシル}フェニル 1,3-ジオキソイソベンゾフラン-5-カルボキシレート、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらのエステル基含有テトラカルボン酸二無水の中でも、TMHQやBP-TMEが低誘電正接を示す傾向にあり特に好ましい。
また、ジアミン化合物としてパラフェニレンジアミンと、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン残基、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン残基、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニルから選ばれる1種以上のジアミン化合物を含むことが、誘電正接を下げる効果あるため好ましい。
また、全ジアミン化合物を100モル%とした場合、パラフェニレンジアミンを75モル%以上95モル%以下、好ましくは78モル%以上93モル%以下、より好ましくは80モル%以上90モル%含むことで、耐熱性、特に380℃での形状の保持性があがる傾向あるため好ましい。
BPDAの含有量としては、全酸二無水物を100モル%とした場合、10モル%以上80モル%以下であることが好ましく、15モル%以上75モル%以下であることがより好ましく、20モル%以上70モル%以下であることが更に好ましい。
テトラカルボン酸二無水物成分としてPMDAを使用する場合、耐熱性を高めつつ、誘電正接をより低減できるポリイミドを得るためには、ポリイミド前駆体及びポリイミドを構成する全テトラカルボン酸二無水物成分に対して、PMDAの含有率は、15モル%以下であることが好ましく、12モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましい。
誘電正接をより低減できるポリイミドを得るためには、ポリイミド前駆体及びポリイミドを構成する全テトラジカルボン酸二無水物の総物質量を、ポリイミド前駆体及びポリイミドを構成する全ジアミンの総物質量で除した物質量比が、0.95以上1.05以下であることが好ましく、0.97以上1.03以下であることがより好ましく、0.99以上1.01以下であることが更に好ましい。
本発明のポリイミドには、ポリイミド前駆体及びポリイミドを構成する成分以外の成分(添加剤)が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、シリコーン、フィラー、増感剤等を用いることができる。ポリイミド中の添加剤の含有率は、ポリイミドの全量に対して、例えば30重量%以下であり、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、0重量%であってもよい。
<ポリイミド前駆体の製造方法>
ポリイミド前駆体の製造方法(合成方法)としては、あらゆる公知の方法及びそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリイミド前駆体を製造する際は、通常、有機溶媒中でジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させる。反応させる際のジアミン成分の物質量とテトラカルボン酸二無水物成分の物質量とは、実質的に同量であることが好ましい。ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを用いてポリイミド前駆体を合成する場合、各ジアミン成分の物質量と、各テトラカルボン酸二無水物成分の物質量とを調整することで、所望のポリイミド前駆体(ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重合体)を得ることができる。ポリイミド前駆体から形成されるポリイミド中の各残基のモル分率は、例えば、ポリイミド前駆体の合成に使用する各モノマー(ジアミン成分及びテトラカルボン酸二無水物成分)のモル分率と一致する。ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との反応、即ち、ポリイミド前駆体の合成反応の温度条件は、特に限定されないが、例えば10℃以上150℃以下の範囲である。ポリイミド前駆体の合成反応の反応時間は、例えば10分以上30時間以下の範囲である。本実施形態においてポリイミド前駆体の製造には、いかなるモノマーの添加方法を用いてもよい。
ポリイミドを得る際、ポリイミド前駆体と有機溶媒とを含むポリイミド前駆体溶液からポリイミドを得る方法を採用することが好ましい。ポリイミド前駆体溶液に使用可能な有機溶媒としては、例えば、テトラメチル尿素、N,N-ジメチルエチルウレアのようなウレア系溶媒;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド系溶媒;ジフェニルスルホン、テトラメチルスルホンのようなスルホン系溶媒;N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と記載することがある)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;γ―ブチロラクトン等のエステル系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化アルキル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒;シクロペンタノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、p-クレゾールメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。通常これらの溶媒を単独で用いるが、必要に応じて2種以上を適宜組合わせて用いてもよい。上記の重合方法でポリイミド前駆体を得た場合、反応溶液(反応後の溶液)自体を、ポリイミドを得るためのポリイミド前駆体溶液としてもよい。この場合、ポリイミド前駆体溶液中の有機溶媒は、上記重合方法において反応に使用した有機溶媒である。また、反応溶液から溶媒を除去して得られた固体のポリイミド前駆体を、有機溶媒に溶解してポリイミド前駆体溶液を調製してもよい。
ポリイミド前駆体溶液には、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、シリコーン、フィラー、増感剤等の添加剤が添加されていてもよい。ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の濃度は、特に限定されず、ポリイミド前駆体溶液全量に対して、例えば5重量%以上35重量%以下であり、好ましくは8重量%以上30重量%以下である。ポリイミド前駆体の濃度が5重量%以上35重量%以下である場合、適当な分子量と溶液粘度が得られる。
(非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造方法)
本発明のポリイミド前駆体及びポリイミド前駆体溶液は、そのまま、製品や部材を作製するための材料として用いてもよく、バインダー樹脂や添加剤等を配合して、樹脂組成物を調製してもよい。耐熱性及び機械特性に優れることから、ポリイミド前駆体を脱水閉環によりイミド化し、ポリイミドとして実用することが好ましい。
本発明におけるポリイミドフィルムを得る方法も特に制限されず、種々の公知の方法を適用できる。例えば、以下の工程
i)有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて非熱可塑性ポリアミド酸溶液を得る工程、
ii)上記非熱可塑性ポリアミド酸溶液を含む製膜ドープをダイスから支持体上に流延して、樹脂層(液膜ともいうことがある)を形成する工程、
iii)樹脂層を支持体上で加熱して自己支持性を持ったゲルフィルムとした後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
iv)更に加熱して、残ったアミド酸をイミド化し、かつ乾燥させ非熱可塑性ポリイミドフィルムを得る工程、を含むことが好ましい。
ii)以降の工程においては、熱イミド化法と化学イミド化法に大別される。熱イミド化法は、脱水閉環剤等を使用せず、ポリアミド酸溶液を製膜ドープとして支持体に流延、加熱だけでイミド化を進める方法である。一方の化学イミド化法は、ポリアミド酸溶液に、イミド化促進剤として脱水閉環剤及び触媒の少なくともいずれかを添加したものを製膜ドープとして使用し、イミド化を促進する方法である。どちらの方法を用いても構わないが、化学イミド化法の方が生産性に優れる。
脱水閉環剤としては、無水酢酸に代表される酸無水物が好適に用いられ得る。触媒としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等の三級アミンが好適に用いられ得る。
製膜ドープを流延する支持体としては、ガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラム等が好適に用いられ得る。最終的に得られるフィルムの厚み、生産速度に応じて加熱条件を設定し、部分的にイミド化または乾燥の少なくとも一方を行った後、支持体から剥離してポリアミド酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
上記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して加熱処理し、ゲルフィルムから、水、残留溶媒、イミド化促進剤、脱水閉環剤等を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、ポリイミドを含有するフィルムが得られる。加熱条件については、最終的に得られるフィルムの厚み、生産速度に応じて適宜設定すれば良い。
(両面銅張積層板)
本発明の両面銅張積層板の製造方法は、酸二無水物とジアミン化合物との縮合反応物である非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔が直接積層されてなる両面銅張積層板の製造方法であって、前記非熱可塑ポリイミドフィルムは、380℃2分加熱後も形状を保持する非熱可塑ポリイミドフィルムであり、熱圧着温度における貯蔵弾性率が0.01GPa以上0.20GPa以下である非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔を合わせ、熱圧着することを特徴とする。
380℃2分加熱後も形状を保持する非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔を貼り合わせることより、フレキシブル両面銅張積層板を製造することが可能である。本発明では熱圧着方式、とくに一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を好適に用いることができる。
熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することも好ましい。
熱圧着温度は、銅張積層板の寸法変化率や密着強度に影響を及ぼすため、非熱可塑性ポリイミドの物性に応じて調整することが好ましい。一方で、金属張積層板としての寸法安定性や半田耐熱性を確保するために熱圧着温度は300~400℃が好ましく、350~400℃がさらに好ましい。
上記熱圧着温度は、非熱可塑ポリイミドフィルムの貯蔵弾性率を測定し、非熱可塑ポリイミドフィルムの貯蔵弾性率が0.01GPa以上0.20GPa以下となる温度を熱圧着温度とする。熱圧着温度とする非熱可塑ポリイミドフィルムの貯蔵弾性率の範囲は、0.01GPa以上0.20GPa以下が好ましく、0.04GPa以上0.18GPa以下がより好ましい。熱圧着温度において貯蔵弾性率が0.01GPa以上0.20GPaであれば熱圧着時に十分にフィルムが軟化し、金属箔との密着力を高めるとともに熱圧着時の熱応力を緩和させることができる。
本発明の両面銅張積層板は、熱可塑性ポリイミド層を介さずに銅箔と接しているため、高温での接着強度の低下を防げたり、低誘電正接を示す傾向にある。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、合成例における非熱可塑性ポリイミドの動的粘弾性、線膨張係数、誘電正接の測定方法、並びに実施例及び比較例における、ピール強度および反りの測定方法は次の通りである。
(動的粘弾性)
貯蔵弾性率は、SIIナノテクノロジー社製 DM6100により空気雰囲気下において動的粘弾性を測定し、測定温度との相関をプロットして変曲点温度及び380℃における貯蔵弾性率を読み取った。
サンプル測定範囲;幅9mm、つかみ具間距離;20mm
測定温度範囲;0℃~440℃
昇温速度;3℃/min
歪み振幅;10μm
測定周波数;1Hz,5Hz,10Hz
最小張力/圧縮力;100mN
張力/圧縮ゲイン;1.5
力振幅初期値;100mN
(線膨張係数)
線膨張係数の測定は、SIIナノテクノロジー社製TMA/SS6100を用いて窒素雰囲気下において-10℃から400℃まで一旦昇温させた後、-10℃まで冷却し、さらに再度400℃まで昇温させて、2回目の昇温時の100℃から200℃における線熱膨張率から平均値として計算した。
サンプル形状;幅3mm、長さ10mm
荷重;3g(29.4mN)
昇温速度;10℃/min
(誘電率及び誘電正接の測定)
誘電率及び誘電正接は、HEWLETTPACKARD社製のネットワークアナライザ8719Cと株式会社関東電子応用開発製の空洞共振器振動法誘電率測定装置CP511とを用いて測定した。サンプルを2mm×100mmに切り出し、23℃/55%RH環境下で24時間調湿後に測定を行った。測定は10GHzで行った。
(銅箔の引き剥がし強度)
JIS―C 6471に従い90°方向で引き剥がし強度を測定した。
<ポリイミドフィルムの作製>
以下、実施例及び比較例のポリイミドフィルムの作製方法について説明する。なお、以下において、化合物及び試薬類を下記の略称で記載している。また、ポリイミドフィルムの作製に使用するポリアミド酸溶液の調製は、いずれも温度20℃の窒素雰囲気下で行った。
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
p-PDA:パラフェニレンジアミン
TPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
s-BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
s-ODPA:4,4’-オキシジフタル酸無水物
AA:無水酢酸
IQ:イソキノリン
LT:3,5-ルチジン
(合成例1)
容量500mLのガラス製フラスコに、164.1gのDMFと、2.5gのTPE-Rと、6.7gのPDAとを入れた後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコに、12.5gのBPDAと、7.4gのODPAと、0.5gのPMDAとを入れた。次いで、フラスコ内容物を30分間攪拌した。次いで、フラスコ内容物を攪拌しながら、予め調製しておいたPMDA溶液(溶媒:DMF、PMDAの溶解量:0.5g、PMDAの濃度:7.8重量%)を、フラスコ内容物の粘度が急激に上昇しないような添加速度で所定時間フラスコに添加し続けた。そして、フラスコ内容物の温度23℃での粘度が1500ポイズに達した時点でPMDA溶液の添加を止めて、更にフラスコ内容物を1時間攪拌して、ポリアミド酸溶液P1を得た。得られたポリアミド酸溶液P1は、固形分濃度が15重量%であった。また、得られたポリアミド酸溶液P1は、温度23℃での粘度が1500~2000ポイズであった。
次いで、55gのポリアミド酸溶液P1(上記調製方法で得られたポリアミド酸溶液P1)に、AAとIQとDMFとの混合物からなるイミド化促進剤(重量比:AA/IQ/DMF=42/21/37)を27.5g添加して、ドープ液を調製した。次いで、温度0℃以下の雰囲気下、ドープ液を攪拌しながら脱泡した後、コンマコーターを用いてドープ液をアルミ箔上に塗布し、塗布膜を形成した。次いで、塗布膜を、加熱温度110℃で180秒間加熱することにより、自己支持性のゲルフィルムを得た。得られたゲルフィルムを、アルミ箔から引き剥がして、金属製の固定枠に固定し、温度300℃に予熱された熱風循環オーブンに入れて、加熱温度300℃で56秒間加熱した。次いで、加熱後のフィルムを、温度380℃に予熱されたIRオーブンに入れて、加熱温度380℃で49秒間加熱することにより、ゲルフィルム中のポリアミド酸をイミド化した後、金属製の固定枠から切り離して、合成例1のポリイミドフィルム(厚み:25μm)を得た。
なお、上記と同じ手順で得られたポリイミドフィルムを金属製の固定枠に固定し、IRオーブンを用いて加熱温度380℃で2分間加熱したところ、ポリイミドフィルムの形状(フィルム形状)が保持されていた。よって、合成例1のポリイミドフィルムは、非熱可塑性ポリイミドフィルムであった。以下で説明する合成例2のポリイミドフィルムについても、以下と同じ手順で得られたポリイミドフィルムを、それぞれ金属製の固定枠に固定し、IRオーブンを用いて加熱温度380℃で1分間加熱したところ、フィルム形状が保持されていた。よって、合成例2のポリイミドフィルムも非熱可塑性ポリイミドフィルムであった。
(合成例2)
容量2000mLのガラス製フラスコに、315.2gのDMFと、1.6gのTPE-Rと、9.3gのPDAとを入れた後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコに、15.9gのBPDAと、8.1gのODPAと、1.5gのPMDAとを入れた。次いで、フラスコ内容物を30分間攪拌して反応させた。次いで、フラスコ内容物を攪拌しながら予め調製しておいたPDA溶液(溶媒:DMF、PDAの溶解量:3.3g、PMDAの濃度:20.0重量%)を、フラスコに添加した。続けて、 4.9gのTPE-Rと、14.6gのODPAをフラスコに添加して反応させた。次いで、フラスコ内容物を攪拌しながら、予め調製しておいたPMDA溶液(溶媒:DMF、PMDAの溶解量:3.3g、PMDAの濃度:7.2重量%)を、フラスコ内容物の粘度が急激に上昇しないような添加速度で所定時間フラスコに添加し続けた。そして、フラスコ内容物の温度23℃での粘度が1500ポイズに達した時点でPMDA溶液の添加を止めて、更にフラスコ内容物を1時間攪拌して、ポリアミド酸溶液P2を得た。得られたポリアミド酸溶液P2は、固形分濃度が15重量%であった。また、得られたポリアミド酸溶液P2は、温度23℃での粘度が1500~2000ポイズであった。
次いで、55gのポリアミド酸溶液P2に、AAとIQとDMFとの混合物からなるイミド化促進剤(重量比:AA/IQ/DMF=18/22/60)を27.5g添加して、ドープ液を調製した。次いで、温度0℃以下の雰囲気下、ドープ液を攪拌しながら脱泡した後、コンマコーターを用いてドープ液をアルミ箔上に塗布し、塗布膜を形成した。次いで、塗布膜を、加熱温度110℃で180秒間加熱することにより、自己支持性のゲルフィルムを得た。得られたゲルフィルムを、アルミ箔から引き剥がして、金属製の固定枠に固定し、温度300℃に予熱された熱風循環オーブンに入れて、加熱温度300℃で56秒間加熱した。次いで、加熱後のフィルムを、温度380℃に予熱されたIRオーブンに入れて、加熱温度380℃で49秒間加熱することにより、ゲルフィルム中のポリアミド酸をイミド化した後、金属製の固定枠から切り離して、合成例2のポリイミドフィルム(厚み:25μm)を得た。
(合成例3)
容量2000mLのガラス製フラスコに、646.1gのDMFと、87.2gのBAPPを入れた後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコに9.4gのBPDAと、38.0gのPMDAとを入れた。次いで、フラスコ内容物を30分間攪拌して反応させた。次いで、フラスコ内容物を攪拌しながら予め調製しておいたPMDA溶液(溶媒:DMF、PMDAの溶解量:1.39g、PMDAの濃度:7.2重量%)を、フラスコ内容物の粘度が急激に上昇しないような添加速度で所定時間フラスコに添加し続けた。そして、フラスコ内容物の温度23℃での粘度が800ポイズに達した時点でPMDA溶液の添加を止めて、更にフラスコ内容物を1時間攪拌して、ポリアミド酸溶液P3を得た。得られたポリアミド酸溶液P3は、固形分濃度が17重量%であった。また、得られたポリアミド酸溶液P3は、温度23℃での粘度が800~900ポイズであった。
次いで、55gの合成例3のポリアミド酸溶液P3に、AAとIQとDMFとの混合物からなるイミド化促進剤(重量比:AA/IQ/DMF=29/9/62)を27.5g添加して、ドープ液を調製した。次いで、温度0℃以下の雰囲気下、ドープ液を攪拌しながら脱泡した後、コンマコーターを用いてドープ液をアルミ箔上に塗布し、塗布膜を形成した。次いで、塗布膜を、加熱温度110℃で180秒間加熱することにより、自己支持性のゲルフィルムを得た。得られたゲルフィルムを、アルミ箔から引き剥がして、金属製の固定枠に固定し、温度250℃に予熱された熱風循環オーブンに入れて、加熱温度250℃で60秒間加熱した。次いで、加熱後のフィルムを、温度300℃に予熱された熱風循環オーブンに入れて、加熱温度300℃で200秒間加熱することにより、ゲルフィルム中のポリアミド酸をイミド化した後、金属製の固定枠から切り離して、合成例3のポリイミドフィルム(厚み:25μm)を得た。
なお、上記と同じ手順で得られたポリイミドフィルムを金属製の固定枠に固定し、IRオーブンを用いて加熱温度380℃で2分間加熱したところ、フィルム形状が保持されず、垂れ下がって大きく湾曲した。よって、合成例3のポリイミドフィルムは、熱可塑性ポリイミドフィルムであった。
(合成例4)
合成例1と同じ手順で得られた厚み17μmのポリイミドフィルムの片面に、P3に3重量%のLTを加えたドープ液をコンマ―コーターで塗布し、塗布膜を形成した。次いで金属製の固定枠にフィルムを固定し、温度120℃に予熱された熱風循環オーブンに入れて、加熱温度120℃で120秒間加熱した。次いで、加熱後のフィルムを、温度350℃に予熱された熱風循環オーブンに入れて、加熱温度350℃で15秒間加熱することにより塗布膜をイミド化した後、金属製の固定枠から切り離した。得られたフィルムの反対面にも同様の操作を行い合成例4のポリイミドフィルムを得た(厚み:25μm)。合成例4のポリイミドフィルムは非熱可塑性ポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミド膜を形成したものである。
表1に合成例1~4のフィルムの誘電特性、CTEおよび360℃と400℃での貯蔵弾性率の測定結果をまとめた。
合成例1は0.0040以下の低い誘電損失を示す非熱可塑性ポリイミドフィルムであるが、合成例3の熱可塑性ポリイミドを両面に設けると合成例4で示されるように誘電損失は0.0040を超えて悪化する。
(実施例1)
合成例1で得られた非熱可塑性ポリイミドフィルムの両面に12μm電解銅箔(3EC-M3S-HTE、三井金属製)を配し、さらに銅箔の両側に保護フィルム(アピカル125NPI;カネカ製、厚み125μm)を用いて、熱圧着温度360℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面銅張積層板を得た。
(実施例2)
熱圧着温度を400℃に変えた以外は実施例1と同様にして、実施例2の両面銅張積層板を得た。
(実施例3、4)
熱可塑性ポリイミドフィルムを合成例2のものに変え、熱圧着温度を360℃と400℃に変えた以外は実施例1と同様にして実施例3,4の両面銅張積層板を得た。
(比較例1)
熱可塑性ポリイミドフィルムを合成例4の非熱可塑性ポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミドを設けたものに変えた以外は実施例1と同様にして比較例1の両面銅張積層板を得た。
(比較例2)
熱可塑性ポリイミドフィルムをアピカル25NPI;カネカ製、厚み25μmに変えた以外は実施例2と同様にしたが、非熱可塑性ポリイミドフィルムと銅箔は接着しなかった。アピカル25NPIのDMSを測定すると360℃と400℃での貯蔵弾性率はそれぞれ2.50GPa、1.76GPaであった。
表2に実施例1~4、比較例1、2の両面銅張積層板の銅箔の引き剥がし強度と銅箔をエッチングで除去した後の誘電特性の測定結果をまとめた。
実施例1~4、比較例1は熱ラミネート後も誘電特性を保っており、実施例1~4は両面銅張積層板としても低い誘電正接を示した。銅箔の引き剥がし強度は熱圧着温度での貯蔵弾性率が低いほど向上する傾向であった。合成例1のフィルムに360℃で熱圧着した実施例1は引き剥がし強度が低いが、400℃で熱圧着した実施例2では銅張積層板として十分な引き剥がし強度を示した。

Claims (8)

  1. 酸二無水物とジアミン化合物との縮合反応物である非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔が直接積層されてなる両面銅張積層板であり、
    前記非熱可塑ポリイミドフィルムは、380℃2分加熱後も形状を保持する非熱可塑ポリイミドフィルムであり、前記非熱可塑ポリイミドフィルムの360℃における貯蔵弾性率が0.01GPa以上0.50GPa以下であり、
    前記銅箔が、圧延銅箔または電解銅箔である両面銅張積層板。
  2. 前記非熱可塑ポリイミドフィルムの10GHzの誘電正接が0.0040以下である請求項1に記載の両面銅張積層板。
  3. 前記非熱可塑ポリイミドフィルムが、前記酸二無水物として、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、4,4’-オキジシフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、およびエステル基含有テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上の酸二無水物を含み、
    前記ジアミン化合物としてパラフェニレンジアミンと、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン残基、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン残基、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニルから選ばれる1種以上のジアミン化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の両面銅張積層板。
  4. 全ジアミン化合物を100モル%とした場合、パラフェニレンジアミンを75モル%以上95モル%以下含むことを特徴とする請求項3に記載の両面銅張積層板。
  5. 酸二無水物とジアミン化合物との縮合反応物である非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔が直接積層されてなる両面銅張積層板の製造方法であって、
    前記非熱可塑ポリイミドフィルムは、380℃2分加熱後も形状を保持する非熱可塑ポリイミドフィルムであり、
    熱圧着温度における貯蔵弾性率が0.01Gpa以上0.20Gpa以下である非熱可塑ポリイミドフィルムの両面に銅箔を合わせ、熱圧着することを特徴とする両面銅張積層板の製造方法。
  6. 前記非熱可塑ポリイミドフィルムの10GHzの誘電正接が0.0040以下以下である請求項5に記載の両面銅張積層板の製造方法。
  7. 前記非熱可塑ポリイミドフィルムが、前記酸二無水物として、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、4,4’-オキジシフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、およびエステル基含有テトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上の酸二無水物を含み、
    前記ジアミン化合物としてパラフェニレンジアミンと、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン残基、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン残基、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニルから選ばれる1種以上のジアミン化合物を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の両面銅張積層板の製造方法。
  8. 全ジアミン化合物を100モル%とした場合、パラフェニレンジアミンを75モル%以上95モル%以下含むことを特徴とする請求項7に記載の両面銅張積層板の製造方法。
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