JP2023144716A - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも長寿命化を図ることが可能な連続鋳造用鋳型を提供する。【解決手段】鋳型本体12の内側表面の一部あるいは全面に皮膜13が形成された連続鋳造用鋳型10であり、皮膜13は質量%で、Cr:12%以上18%以下、Mo:4%以下、B:2.5%以上4%以下、Si:3.5%以上5%以下、C:0.4%以上0.9%以下、Co:1%以下、Cu:2%以上20%以下を含み、残部がNi及び不可避的不純物からななり、耐食性を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、鋳片を製造するために使用する連続鋳造用鋳型に関する。
鋳片は、上下方向に貫通する鋳型空間部が内側に形成された鋳型壁(鋳型本体)を有する連続鋳造用鋳型(以下、単に鋳型ともいう)を使用し、この鋳型空間部へ供給された溶鋼を鋳型壁で冷却しながら凝固させて鋳造している。この鋳造した鋳片は更に、鋳造方向下流へと搬送され切断されてスラブとなり、このスラブを圧延機によって圧延している。
上記した連続鋳造を行うに際しては、鋳型壁の内側表面(鋳型空間部側の表面)が、形成される凝固シェルとの接触により摩耗するため、図4に示すように、鋳型壁90の内側表面に耐摩耗性を備えた溶射皮膜91が形成されている。この溶射皮膜91は、例えば、特許文献1に記載のJIS H8303に規定されているニッケル基自溶合金の4種、具体的には、Cr、Mo、B、Si、C、Co、Fe、Cuを含み、残部がNi及び不可避的不純物からなるSFNi4で形成されている。
特開2009-160632号公報
しかしながら、鋳型壁90の内側表面に耐摩耗性を備えた溶射皮膜91を形成しても、鋳型壁90の下部では、溶射皮膜91の摩耗や腐食による損傷が発生して補修等を行う必要があり、連続鋳造を中止する必要があるため、生産性の低下を招いていた。このため、溶射皮膜の耐摩耗性と耐食性を更に向上させることにより、鋳型を長寿命化することが望まれていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来よりも長寿命化を図ることが可能な連続鋳造用鋳型を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋳型本体の内側表面に形成される皮膜に対する連続鋳造時の影響について鋭意検討した結果、摩耗損傷は、鋳片との摩擦により生じ、腐食損傷は、連続鋳造時に使用するモールドパウダーに含まれるS(硫黄)成分やF(フッ素)成分、また、鋳型下方で鋳片に噴付けられるスプレー水に起因して生じることを見出した。
そこで、従来皮膜に含まれていたFe(鉄)成分をなくし、Cu(銅)成分を従来の皮膜と同等以上にすることで、皮膜の耐摩耗性を維持しつつ、耐食性を従来よりも向上できることに想到した。
本発明は、上記した知見をもとになされたものであり、その要旨は以下の通りである。
前記目的に沿う本発明に係る連続鋳造用鋳型は、鋳型本体の内側表面の一部あるいは全面に皮膜が形成された連続鋳造用鋳型であって、
前記皮膜は質量%で、Cr:12%以上18%以下、Mo:4%以下、B:2.5%以上4%以下、Si:3.5%以上5%以下、C:0.4%以上0.9%以下、Co:1%以下、Cu:2%以上20%以下を含み、残部がNi及び不可避的不純物からなり、耐食性を備える。
本発明の皮膜は、上記したように、従来の皮膜と異なってFeを含まず、Cuの含有量が同等以上のものである。ここで、皮膜がFeを含まないとは、積極的に添加しないことを意味するものであり、不純物やコンタミ(汚染)の影響で不可避的に(即ち、不可避的不純物として)0.1%以下(例えば、0.08%)程度含まれてもよい。
本発明に係る連続鋳造用鋳型において、前記皮膜には、炭化物、酸化物、硼化物、窒化物、及び、珪化物のいずれか1又は2以上からなるセラミックス粉末が、質量%で5%以上60%以下混合されていることが好ましい。
本発明に係る連続鋳造用鋳型において、前記皮膜は溶射により形成されていることが好ましい。
なお、前記皮膜は950℃以上1050℃以下で熱処理してもよい。
本発明に係る連続鋳造用鋳型において、前記皮膜はレーザクラッディングにより形成されていることが好ましい。
本発明に係る連続鋳造用鋳型は、皮膜が質量%で、Cr:12%以上18%以下、Mo:4%以下、B:2.5%以上4%以下、Si:3.5%以上5%以下、C:0.4%以上0.9%以下、Co:1%以下、Cu:2%以上20%以下を含み、残部がNi及び不可避的不純物からなるので、硫化鉄の生成を防止できると共に、Cuに起因した還元性を得ることができ、モールドパウダーに含まれるS成分やF成分に対する皮膜の耐食性を従来よりも向上できる。
これにより、耐摩耗性を備えた皮膜の腐食損傷を、従来よりも低減できるため、鋳型の長寿命化を図ることができる。
本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型の鋳型本体の内側表面の説明図である。 耐摩耗性評価試験の結果を示すグラフである。 耐食性評価試験の結果を示すグラフである。 従来例に係る連続鋳造用鋳型の鋳型本体の内側表面の正面図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型(以下、単に鋳型とも記載)10は、溶鋼が供給される上下方向に貫通する鋳型空間部11が内側に形成された鋳型本体(鋳型壁)12を有し、この鋳型本体12の内側表面(溶鋼との接触面側)に皮膜13が形成されたものである。
以下、詳しく説明する。
連続鋳造用鋳型10には、例えば、ブルーム、スラブ、ビレット等の鋳片を製造するものがあるが、連続鋳造に使用する鋳型であれば特に限定されるものではなく、ビームブランク(H型鋼用に使用)を製造する鋳型や、鍛造した銅ブロックに導水孔を穿孔したブロック鋳型でもよい。ここで、ブルームは、例えば、幅及び厚みが200mm~400mm程度の略矩形断面を有し、スラブは、例えば、幅が200mm~3500mm程度、厚みが50mm~500mm程度の略矩形断面を有し、ビレットは、例えば、幅及び厚みが100mm~200mm程度の略正方形断面を有している。
鋳型本体12は、銅又は銅合金で構成され、その内側(鋳型空間部11側)には、鋳造方向に鋳片シェルの凝固収縮量に追従して間隔が徐々に狭まる傾斜部、即ち、マルチテーパを形成することが好ましいが、メニスカス位置から鋳型出口まで、同じ割合で傾斜させた形状、即ち、シングルテーパとすることもできる。
なお、マルチテーパとする場合、鋳型本体の対向する内側表面の断面形状、即ち縦断面の表面形状を、その幅方向に渡って同一形状とし、メニスカス位置からの距離の増加に伴って、テーパ率の増加率が小さくなる形状とする。なお、傾斜部の表面形状は、例えば、特許第4659706号公報に記載の方法で決定できる。
鋳型本体12の内側表面には皮膜13が形成されている。
皮膜13は耐摩耗性及び耐食性(耐腐食性)を備えるものであり、この皮膜13には、高速フレーム溶射、プラズマ溶射、アーク溶射等により形成された溶射皮膜やレーザクラッディングにより形成された皮膜、電気めっきにより形成されためっき皮膜があるが、耐久性の観点から溶射皮膜であることが好ましい。なお、皮膜13の厚みは、例えば、0.2mm~2mm程度の範囲内である。
この皮膜13は、内側表面に粗面化処理がなされた鋳型本体12(基材)に、例えば、溶射粒子を火炎溶射機で溶射して形成される。また、皮膜13と鋳型本体12との間に粗面化処理がなされた下地層14を介してもよい。なお、下地層14は、めっき又はレーザクラッディングにより形成され、例えば、Ni、Co、Fe、又はこれらのいずれか1又は2以上を基材とする合金で構成される。
皮膜13は、JIS H8303(2010)に規定するコード番号2.14A(旧記号SFNi4)の自溶合金粉末を基にした、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、B(硼素)、Si(珪素)、C(炭素)、Co(コバルト)、Cu(銅)を含み、残部がNi(ニッケル)及び不可避的不純物からなる粉末(Ni自溶合金の粉末)を、鋳型本体12の内側表面に溶射して形成されるものであり、Fe(鉄)を含まないものである。即ち、皮膜13は、Cr、Mo、B、Si、C、Co、Cuを含み、残部がNi及び不可避的不純物からなり、Feを含まない。
以下、皮膜13(粉末)を構成する各化学成分(材料組成)について説明する。なお、各化学成分の含有量を示す%は質量%である。
Crは、Cと結合して炭化物(Cr)を形成し、また、Bと結合して硼化物(CrB)を形成する。また、Moを含む組成では、上記した炭化物や硼化物の一部にMoが固溶した複炭化物や複硼化物となる。これらの複炭化物や複硼化物は硬質であることから、溶射皮膜の硬度、耐摩耗性を向上させる。更に、マトリックス中に固溶したCrは、モールドパウダーに含まれるS(硫黄)に対する溶射皮膜の耐食性を向上させる。
しかし、Cr含有量が12%未満の場合、複炭化物や複硼化物の形成及びマトリックス中への固溶量が不十分であり、高い耐摩耗性と耐食性が得られず、一方、18%を超える場合、靭性の低下が生じる。
従って、Cr含有量を12%以上18%以下としたが、14%以上18%以下とすることが好ましく、更には15%以上18%以下とすることが好ましい。
Bは、Siと同様、溶射用自溶合金材料の必須元素であり、再溶融処理時に自溶性を与えると共に、脱酸剤として働く。また、CrやMoと結合して複硼化物を形成し、溶射皮膜の硬度や耐摩耗性を向上させる。更に、マトリックス中ではNiBを形成し、マトリックス硬度を向上させる。
しかし、B含有量が2.5%未満の場合、複硼化物の形成量が少なくなり、十分な耐摩耗性が得られず、一方、4%超の場合、複硼化物の形成量が多くなり過ぎ、靭性の低下を招く。
従って、B含有量を2.5%以上4%以下としたが、2.5%以上3.5%以下とすることが好ましい。
Siは、Bと同様に溶射用自溶合金材料の必須元素であり、再溶融処理時に自溶性を与えると共に脱酸剤として働く。また、マトリックス中にNiSiを形成することにより溶射皮膜の硬さや耐摩耗性を向上させる。
しかし、Si含有量が3.5%未満の場合、上記した特性が十分に得られず、一方、5%超の場合、硬さが高くなり過ぎて脆くなる。
従って、Si含有量を3.5%以上5%以下としたが、3.5%以上4.5%以下とすることが好ましい。
Cは、主にCrと結合しCr系炭化物(Cr)を形成する。また、Moを含む組成では前述の炭化物の一部にMoが固溶した複炭化物となる。この複炭化物は硬質であることから、溶射皮膜の硬度や耐摩耗性を向上させる。
しかし、C含有量が0.4%未満の場合、炭化物の量が少ないために十分な耐摩耗性が得られず、一方、0.9%超の場合、過度の添加で複炭化物が多くなり過ぎて靭性を損なう。
従って、C含有量を0.4%以上0.9%以下としたが、0.6%以上0.9%以下とすることが好ましく、更には0.7%以上0.9%以下とすることが好ましい。
Moは、上記したCrと同様にCと結合して複炭化物を形成し、また、Bと結合して複硼化物を形成することにより耐摩耗性を向上させる必須元素である。
従って、上記したCr含有量やC含有量との関係から、Mo含有量を4%以下としたが、3.5%以下とすることが好ましく、更には3%以下とすることが好ましい。なお、Mo含有量の下限は特に限定されるものではなく、略0%(0%超)であってもよく、更には0%でもよい。
Coは、Ni基自溶合金では特には添加を必要とする成分ではないが、1%程度の含有は、本発明の効果を阻害することはないので1%以下とした。なお、Co含有量の下限は特に限定されるものではなく、略0%(0%超)であってもよく、更には0%でもよい。
Cuは、Niマトリックス中に固溶して溶射皮膜全体の強度を高め、複炭化物や複硼化物の形成を促し、組織を安定させる必須の元素である。また、皮膜に還元性を持たせて耐食性を向上させる。
しかし、Cu含有量が2%未満の場合、Cuの量が少ないために十分な耐食性が得られず、一方、20%超の場合、Cuの量が多くなり過ぎて、モールドパウダーに含まれるS成分と硫化物(CuS)を形成し易くなる。
従って、Cu含有量を2%以上20%以下としたが、4%超とすることが好ましく、更には4.5%以上とすることが好ましく、一方、15%以下とすることが好ましく、更には10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが最も好ましい。
残部がNi及び不可避的不純物である。
Niは、Ni基自溶合金の粉末のマトリックスを形成する元素である。
上記したように、Ni基自溶合金にはFeが含まれていない。
Feは、モールドパウダーに含まれるS成分と硫化物(硫化鉄)を形成し硫化腐食を生じさせることから、Ni基自溶合金には含有されていない(Feは0%である)。しかし、不純物やコンタミの影響で不可避的に含まれる場合もあるため、上記した不可避的不純物として、例えば、0.1%以下程度含まれてもよい。
なお、皮膜には、セラミックス粉末が質量%で5%以上60%以下混合されてもよい。
皮膜に混合するセラミックス粉末は、炭化物、酸化物、硼化物、窒化物、及び、珪化物のいずれか1又は2以上からなり、炭化物として、例えばWC、CrC、NbC、TiC、ZrC、MoC等を、酸化物として、例えばAl、ZrO、TiO等を、硼化物として、例えば超高圧法によって合成されたBN(立方晶窒化ほう素)等を、窒化物として、例えばSi、AlN、TiN等のように窒素を非金属構成元素として含む化合物を、更には珪化物を使用することが好ましい。
ここで、皮膜におけるセラミックス粉末の含有割合を5%以上60%以下としたのは、少量ではセラミックス粉末によって皮膜が耐摩耗性を発揮するために充分な量でなく、一方、多量になると皮膜の硬度が高くなり過ぎ、靭性の低下を招く可能性があるためである。従って、皮膜に欠陥が発生することなく、皮膜が耐摩耗性を発揮し、しかも必要な硬度を得るには、10%以上55%以下、更には15%以上50%以下とすることが好ましい。
上記した皮膜は、950℃以上1050℃以下で熱処理(フュージング)が行われてもよい。熱処理により、溶射皮膜と基材(鋳型本体)との境界面近傍で拡散が発生し、溶射皮膜の密着力を向上できる。
例えば、溶射皮膜にセラミックスが含まれる場合は、溶射皮膜内の金属マトリックスとセラミックス粉末が、また、溶射皮膜にサーメットが含まれる場合は、金属マトリックスとサーメットが、それぞれ互いに拡散して、溶射皮膜の強度を向上できる。しかし、それと同時に、金属マトリックス中の元素が炭化物や硼化物等を形成する量が増加し、靭性や耐食性の低下を招くため、熱処理を行わない状態で鋳型を使用することも可能である。
この熱処理は、品質安定化の観点から、加熱炉を用いて炉内で無酸素雰囲気中、又は、例えば窒素ガスを充満させた不活性雰囲気中で、例えば10~30分程度行うことが好ましい。しかし、溶射皮膜と基材との境界面から基材側に0.2mm程度の位置が950℃以上1050℃以下の温度になるように熱処理できるのであれば、例えばバーナーやレーザ等を用いて熱処理することも可能である。
なお、皮膜が、前記したレーザクラッディングにより形成された場合は、溶射に比べて下地に対する強固な密着性を確保できるため、上記した熱処理を行わない状態で鋳型を使用することが可能である。
皮膜13は、図1では鋳型本体の内側表面の全面に形成されているが、前記した鋳型本体の下部に発生する摩耗や腐食による損傷を従来よりも抑制できればよいため、鋳型本体の内側表面の少なくとも下部、例えば、下部のみ(一部の一例)に形成されてもよい。この場合、下部を除く部分には、前記した、例えば、JIS H8303(2010)に規定するコード番号2.14Aの自溶合金粉末(Feは含まれてもよい)で構成される皮膜を形成することができる。
ここで、下部とは、鋳型本体の全長を100%として、下端位置から上方向へ20%までの範囲である。例えば、鋳型本体の全長が900mm程度の場合、下端位置から150mm程度までの範囲である。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、試験片として、以下に示す表1に記載の従来例と実施例を使用し、耐摩耗性と耐食性を評価する試験を行った結果について説明する。
なお、従来例と実施例の試験片は共に、表1に示すように、Cr、Mo、B、Si、C、及び、Cuを含んでいるが、従来例には更にFeが含まれ、実施例にはFeが含まれていない。また、実施例に含まれるCuの量が、従来例に含まれるCuの量よりも多くなっている。
Figure 2023144716000002
まず、耐摩耗性の評価について、図2を参照しながら説明する。
この耐摩耗性の評価は、雰囲気温度を300℃とし、試験片の上で円柱状の鋼材(S45C)を、鋼材の軸心を中心として時計回りに回転させる摩耗試験で行った(特許第5096899号公報参照)。
図2に示すように、実施例の試験片の摩耗量と断面硬度は、従来例の試験片と同程度の結果が得られた。
従って、実施例の試験片は、従来例の試験片と同程度の耐摩耗性を備えていることが分かった。
次に、耐食性の評価について、図3を参照しながら説明する。
この耐食性の評価は、連続鋳造時に使用するモールドパウダーに含まれるS成分とF成分や鋳型下方で鋳片に噴付けられるスプレー水に対する影響を調査するため、硫化水素ガス腐食試験とフッ酸浸漬腐食試験で行った。この硫化水素ガス腐食試験は、試験片を硫化水素ガス雰囲気中に500℃で放置し、試験片の硫化反応層の厚みを測定する試験であり、フッ酸浸漬腐食試験は、試験片をフッ酸に浸漬して80℃で放置し、試験前後の重量変化を測定する試験である。
図3に示すように、実施例の試験片の硫化水素ガスによる硫化反応層の平均厚みは、比較例の試験片の33%程度まで低減できた。また、実施例の試験片のフッ酸浸漬による重量変化比は、比較例の試験片の70%程度まで低減できた。
従って、実施例の試験片は、従来例の試験片よりも高い耐食性を有していることが分かった。
実施例の試験片が、従来例の試験片と同程度の耐摩耗性を有し、かつ、従来例の試験片よりも高い耐食性を有していることは、皮膜を構成する所定の化学成分を所定量含むことによって前記した作用効果を発揮したことによるため、Cr:12%以上18%以下、Mo:4%以下、B:2.5%以上4%以下、Si:3.5%以上5%以下、C:0.4%以上0.9%以下、Co:1%以下、Cu:2%以上20%以下を含み、残部がNi及び不可避的不純物からなり、Feを含まない構成では、上記した実施例と同様の傾向が得られると考えられる。
従って、本発明の連続鋳造鋳型により、皮膜の耐摩耗性を維持しつつ、耐食性を従来よりも向上できるため、従来よりも鋳型の長寿命化を図ることができる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の連続鋳造用鋳型を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態に示した連続鋳造用鋳型は、従来使用されている垂直曲げ型の連続鋳造機や湾曲型の連続鋳造機に使用できる。
10:連続鋳造用鋳型、11:鋳型空間部、12:鋳型本体、13:皮膜、14:下地層

Claims (5)

  1. 鋳型本体の内側表面の一部あるいは全面に皮膜が形成された連続鋳造用鋳型であって、
    前記皮膜は質量%で、Cr:12%以上18%以下、Mo:4%以下、B:2.5%以上4%以下、Si:3.5%以上5%以下、C:0.4%以上0.9%以下、Co:1%以下、Cu:2%以上20%以下を含み、残部がNi及び不可避的不純物からなり、耐食性を備えることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  2. 請求項1記載の連続鋳造用鋳型において、前記皮膜には、炭化物、酸化物、硼化物、窒化物、及び、珪化物のいずれか1又は2以上からなるセラミックス粉末が、質量%で5%以上60%以下混合されていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  3. 請求項1又は2記載の連続鋳造用鋳型において、前記皮膜は溶射により形成されていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の連続鋳造用鋳型において、前記皮膜は950℃以上1050℃以下で熱処理されていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  5. 請求項1又は2記載の連続鋳造用鋳型において、前記皮膜はレーザクラッディングにより形成されていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
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