JP2023137112A - 電池用部材の製造方法、電池用部材の製造装置 - Google Patents

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啓吾 鷹氏
Keigo Takauji
美玖 大木本
Miku Okimoto
学 有田
Manabu Arita
大輔 野勢
Daisuke Nose
希 寺井
Nozomi Terai
彩 甲斐
Aya Kai
直樹 杉原
Naoki Sugihara
拓哉 山崎
Takuya Yamazaki
奈緒人 阿部
Naoto Abe
博道 栗山
Hiromichi Kuriyama
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Abstract

【課題】高品質な機能膜を形成すること。【解決手段】本電池用部材の製造方法は、第1の基材を変速しながら搬送する搬送工程と、搬送される前記第1の基材上に液体吐出法により液体組成物を吐出することで機能膜を形成する機能膜形成工程と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、電池用部材の製造方法及び電池用部材の製造装置に関する。
近年、電池等の蓄電素子及び燃料電池等の発電素子は、高出力化、高容量化、及び高寿命化の要請が急速に高まっている。その実現に向けては、素子の安定した特性および安全性の向上に向けて高品質な電池用部材が必要不可欠となる。例えば電池内部に存在する活物質や絶縁層などの機能層は、電池反応のムラを生じさせないために均一の厚みを持った膜であることが重要である。また、各種の機能層が形成された電極エッジ部は電池内部でセパレータの突き刺し等が発生しないように、突き刺し原因となるバリ等を生じさせないことが重要である。
また、そのように高品質な電池用部材の実現に加えて、高い生産性を有することも重要な事項である。高い生産性の実現に向けては、例えば特許文献1の様に電池製造に向けたロール塗工装置に搬送基材の裁断又は折りたたみ又は対向電極の設置工程を組み込むことで電池生産工程の効率化および品質向上が可能である。
しかしながら、ロール搬送中に裁断工程を実施した場合は、搬送される部材と裁断刃の接触によって電極端部にヨレやシワやバリが発生しやすくなってしまう。一方、裁断時にロール搬送速度を低下させることで電極端部の品質は向上するが、裁断時の変速に伴い機能膜の塗布時に厚みムラが発生してしまうといった課題があり、品質の点で改善の余地があった。
本電池用部材の製造方法は、第1の基材を変速しながら搬送する搬送工程と、搬送される前記第1の基材上に液体吐出法により液体組成物を吐出することで機能膜を形成する機能膜形成工程と、を備える。
開示の技術によれば、高品質な機能膜を形成することができる。
本実施形態に係る電池用部材の製造装置を例示する図(その1)である。 本実施形態に係る電池用部材の製造装置を例示する図(その2)である。 本実施形態に係る電池用部材の製造装置を例示する図(その3)である。 本実施形態に係る電池用部材の製造装置を例示する図(その4)である。 本実施形態に係る電池用部材の製造装置を例示する図(その5)である。 本実施形態に係る電池用部材の製造装置を例示する図(その6)である。 本実施形態に係る電池用部材の製造装置を例示する図(その7)である。 制御部の主要なハードウェアブロック図の一例である。 制御部の主要な機能ブロック図の一例である。 搬送部の搬送速度の変化を例示する図である。 絶縁層が形成された第1の基材を例示する平面図及び断面図である。 絶縁層が形成された第1の基材を例示する平面図である。 絶縁層が形成された第1の基材上に第2の基材が設置された様子を例示する平面図(その1)である。 絶縁層が形成された第1の基材上に第2の基材が設置された様子を例示する平面図(その2)である。 電池用部材を例示する断面図である。 実施例及び比較例についてまとめた図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
本実施形態を適用できる電池に関しては特に制限はなく、一般に蓄電素子である二次電池、キャパシター、中でもリチウムイオン二次電池に好適に適用することができる。また、本実施形態に係る電池用部材は、例えば機能膜が絶縁層である場合、負極と正極とが絶縁層を挟んで積層され、負極と正極が絶縁層により互いに絶縁された構造を含む。電池用部材、電池用部材に注入された電解液、電池用部材及び電解液を封止する外装等により電池が形成される。
<電極>
電極は、下記で示す負極と正極との総称である。また、負極用電極基体と正極用電極基体とを総称して電極基体、負極合材層と正極合材層とを総称して電極合材層と称する。また、液体組成物付与の対象物である第1の基材が負極に用いられる部材であった場合は第2の基材は第1の基材とは異なる極性を有する電極、すなわち正極を指し、第1の基材が正極に用いられる部材であった場合は第2の基材は負極を指す。
<機能層>
機能層は、その電池の蓄電又は充電動作において、機能を発現させるために必要な部材の一部を指し、当該機能としては例えば、正極または負極において容量を発現する機能やイオン伝導に寄与する機能、正極または負極または正極負極間の絶縁保持に寄与する機能である。上記機能を有する層であれば特に材料の限定はされず、導電層および絶縁層いずれでも良い。
――導電層――
導電層は、正極または負極を形成するための電極基体層又は電極合材層がそれに該当する。
―電極基体―
電極基体は種々の金属箔又は絶縁基材を使用することができる。金属箔としては、銅箔、アルミ箔、ステンレス箔、又はニッケル箔等が挙げられる。絶縁基材としては、ガラス、ガラスエポキシ、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロース紙、又はゴム等が挙げられる。なお、基材自身が導電性を有し、電極基材として使用する場合は電極基材層の形成は不要となる。
―電極基体層形成用液体組成物―
電極基体層を構成する材料としては金、銀、銅、銀コート銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト等を使用できる。これらの金属酸化物粒子、金属粒子の中から1種を選択または任意の割合で複数種を混合して用いることができる。これらの中でも導電率の観点から焼結により銀および/または銅の焼結体となる酸化銀、酸化銅、銀、銅、銀コート銅が好ましい。粒子の形状は特に制限はなく、球状、扁平(板)状、もしくは不定形のもの等を使用できる。
用いる金属粒子、金属酸化物粒子の粒径としては、目的とする印刷精度にもよるが、粒子径があまりに小さいとインクの配合設計が難しくなる上に、凝集防止のための保護コロイドの使用量を多く用いる必要がある。また粒径があまりに大きい場合にはファインパターンの印刷が出来ないし、粒子同士の接触が上手くいかず、焼結しにくいという問題がある。そのため、一般に5nm~10μm、より好ましくは10nm~5μmの間から選択される。なお、ここでの粒径は、レーザ回折・散乱法、動的光散乱法によって測定することが出来る個数基準の平均粒径D50(メジアン径)の粒子径を意味する。
金属酸化物粒子を使用する場合に併用する還元剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、シクロヘキサノール、テルペニオールのようなアルコール化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、蟻酸、酢酸、蓚酸、コハク酸のようなカルボン酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、ベンズアルデヒド、オクチルアルデヒドのようなカルボニル化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニルのようなエステル化合物、ヘキサン、オクタン、トルエン、ナフタリン、デカリンのような炭化水素化合物を使用することが出来る。この中で、還元剤の効率を考えると、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、蟻酸、酢酸、蓚酸のようなカルボン酸が好適である。
また、金属酸化物粒子と還元剤、および/または金属粒子を含む導体パターン形成用組成物をインキとして印刷するためには、バインダー樹脂を加えても良く、還元剤もかねたバインダー樹脂を使用することもできる。還元剤も兼用できる高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクトンのようなポリ-N-ビニル化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリTHFのようなポリアルキレングリコール化合物、ポリウレタン、セルロース化合物およびその誘導体、エポキシ化合物、ポリエステル化合物、塩素化ポリオレフィン、ポリアクリル化合物のような熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が使用できる。この中でもバインダー効果を考えるとポリビニルピロリドンが、還元効果を考えるとポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリウレタン化合物が好ましい。なお、ポリエチレングリール、ポリプロピレングリコールは多価アルコールの分類に入り、特に還元剤として好適な特性を有する。
電極基体層形成用組成物は、内部発熱方式による加熱により金属酸化物が還元された粒子または金属粒子が焼結することで電極基体層が形成される。内部発熱方式では、電極基体層層形成用組成物中の金属粒子および/または金属酸化物粒子が発熱し、基材は発熱しないので、プラスチック製の耐熱性が悪い基材を使用した場合にも、基材の変形等を防止できる。このため、電極基体層形成用組成物に十分に導電性を発現させるまで加熱することができる。内部発熱方式としては生産性向上の観点からパルス光照射またはマイクロ波照射による加熱方法を取ることができるが、より好ましくはパルス光の照射である。
―電極合材層―
負極合材層及び正極合材層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活物質(負極活物質又は正極活物質)を少なくとも含み、必要に応じてバインダー(結着剤)、増粘剤、導電剤、分散剤、非水電解液、固体電解質、ゲル電解質、又は重合プロセスを経てゲル電解質となるモノマーの1つ以上等を含んでもよい。負極合剤層は負極活物質を含み、正極合剤層は正極活物質を含む。
―電極合材層形成用液体組成物―
電極合材層形成用液体組成物は、少なくとも正極活物質及び負極活物質のいずれか一つを含む。インクジェット印刷によって塗布される電極合材層形成用液体組成物は、さらに必要に応じて、分散媒、分散剤、導電助剤、バインダー、非水電解液、固体電解質、ゲル電解質、又は重合プロセスを経てゲル電解質となるモノマーの1つ以上を含んでよい。
(正極活物質)
正極活物質は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。正極活物質としては、アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵及び放出可能であれば、特に制限はないが、アルカリ金属含有遷移金属化合物を用いることができる。
アルカリ金属含有遷移金属化合物としては、例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄及びバナジウムからなる群より選択される一種以上の元素とリチウムとを含む複合酸化物等のリチウム含有遷移金属化合物が挙げられる。
リチウム含有遷移金属化合物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、又はマンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属酸化物が挙げられる。
アルカリ金属含有遷移金属化合物としては、結晶構造中にXO4四面体(X=P,S,As,Mo,W,又はSi等)を有するポリアニオン系化合物も用いることができる。これらの中でも、サイクル特性の点で、リン酸鉄リチウム又はリン酸バナジウムリチウム等のリチウム含有遷移金属リン酸化合物が好ましい。特に、リン酸バナジウムリチウムは、リチウム拡散係数も高く、出力特性に優れている。
なお、ポリアニオン系化合物は、電子伝導性の点で、炭素材料等の導電助剤により表面が被覆されて複合化されていることが好ましい。
ナトリウム含有遷移金属化合物としては、例えば、NaMO型の酸化物、亜クロム酸ナトリウム(NaCrO)、鉄酸ナトリウム(NaFeO)、ニッケル酸ナトリウム(NaNiO)、コバルト酸ナトリウム(NaCoO)、マンガン酸ナトリウム(NaMnO)、又はバナジウム酸ナトリウム(NaVO)等が挙げられる。Mの一部はMとNa以外の金属元素、例えば、Cr、Ni、Fe、Co、Mn、V、Ti、及びAlよりなる群から選択される少なくとも一種で置換されていてもよい。又、ナトリウム含有金属酸化物として、NaPOF、NaVPOF、NaCoPO、NaNiPO、NaMnPO、NaMn1.5Ni0.5、又はNa(PO等を用いることもできる。
(負極活物質)
負極活物質は、Liイオン又はNaイオン等のアルカリ金属イオンと合金化する金属を、吸蔵及び脱離できる材料を用いることができる。このような材料としては、遷移金属とLiとの複合酸化物、金属酸化物、合金系材料、又は遷移金属硫化物等の無機化合物、炭素材料、有機化合物、Li金属、及びNa金属等が挙げられる。
複合酸化物としては、LiMnO2、LiMn24、チタン酸リチウム(Li4Ti512、Li2Ti37)、マンガンチタン酸リチウム(LiMg1/2Ti3/24)、コバルトチタン酸リチウム(LiCo1/2Ti3/24)、亜鉛チタン酸リチウム(LiZn1/2Ti3/24)、鉄チタン酸リチウム(LiFeTiO4)、クロムチタン酸リチウム(LiCrTiO4)、ストロンチウムチタン酸リチウム(Li2SrTi614)、又はバリウムチタン酸リチウム(Li2BaTi614)等が挙げられる。
ナトリウム複合酸化物としては、チタン酸ナトリウムが挙げられ、例えばNaTi又はNaTi12等が挙げられる。チタン酸ナトリウムのTi又はNaの一部を他元素で置換してもよい。そのような元素として、例えば、Ni、Co、Mn、Fe、Al、及びCrよりなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
金属酸化物としては、TiO2、NbTiO、WO3、MoO2、MnO2、V25、SiO2、SiO、又はSnO2等が挙げられる。
合金系材料として、Al、Si、Sn、Ge、Pb、As、又はSb等が挙げられる。遷移金属硫化物としては、FeS、又はTiS等が挙げられる。炭素材料として、黒鉛、難黒鉛化炭素、又は易黒鉛化炭素等が挙げられる。無機化合物には、上記の複合酸化物の遷移金属を異種元素で置換した化合物を用いてもよい。
これらの負極活物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
分散媒としては、活物質分散させることが可能であれば、特に制限はないが、水、エチレングリコール、又はプロピレングリコール等の水性分散媒、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、酢酸ブチル、メシチレン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、2-n-ブトキシメタノール、2-ジメチルエタノール、N,N-ジメチルアセトアミド、アニソール、ジエトキシエタン、ノルマルヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、又はp-メンタン等有機分散媒が挙げられる。なお、分散媒は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
導電助剤は、予め活物質と複合化してもよいし、分散液を調製するときに添加してもよい。導電助剤としては、例えば、ファーネス法、アセチレン法、又はガス化法等により形成された導電性カーボンブラックの他、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェン、又は黒鉛粒子等の炭素材料を用いることができる。
炭素材料以外の導電助剤としては、例えば、アルミニウム等の金属粒子、又は金属繊維を用いることができる。
活物質に対する導電助剤の質量比は、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。活物質に対する導電助剤の質量比が10%以下であると、分散液の安定性が向上する。
分散剤としては、分散媒中の活物質、高分子粒子、又は導電助剤の分散性を向上させることが可能であれば、特に制限はないが、例えば、ポリカルボン酸系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合系、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸部分アルキルエステル系、ポリエーテル系、ポリアルキレンポリアミン系等の高分子型、アルキルスルホン酸系、四級アンモニウム系、高級アルコールアルキレンオキサイド系、多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系等の界面活性剤型、又はポリリン酸塩系等の無機型等が挙げられる。
バインダーは、正極材料同士若しくは負極材料同士の結着、又は、正極材料若しくは負極材料と電気伝導層との結着が、分散剤又は電解質材料で十分でない場合に加えることで、結着力を確保することができる。バインダーは、結着力を付与できれば特に制限はないが、インクジェットの吐出性の観点から粘度の上昇しない化合物がよい。バインダーは、モノマー化合物をインクジェット印刷後に高分子化させるか、又は高分子粒子を用いる方法がある。また、液体組成物の粘度を上昇させない材料としては、分散媒に分散することが可能な高分子化合物等を用いることができる。
また分散媒に溶解することが可能な高分子化合物を用いる場合は、高分子化合物が分散媒に溶解している液体組成物が、液体吐出ヘッドから吐出することが可能な粘度であればよい。
モノマー化合物を用いる例としては、重合可能部位を持つ化合物と重合開始材又は触媒を含み、重合可能部位を持つ化合物とが溶解している分散液を塗布した後に、加熱する方法、又は、非電離放射線、電離放射線、若しくは赤外線を照射する方法が挙げられる。
重合可能部位を持つ化合物において、重合部位は分子内に一つでもよく、多官能でもよい。なお、多官能の重合性化合物とは、重合性基を2個以上有する化合物を意味する。多官能の重合性化合物は、加熱、又は、非電離放射線、電離放射線、若しくは赤外線の照射によって重合することが可能であれば、特に制限はない。多官能の重合性化合物としては、例えば、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル、又はエン-チオール反応を活用した樹脂等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、又はビニルエステル樹脂が好ましい。
高分子粒子を構成する材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、アクリル樹脂、ポリアミド化合物、ポリイミド化合物、ポリアミドイミド、エチレン-プロピレン-ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン-ブタジエン共重合体、ニトリルブタジエンゴム(HNBR)、イソプレンゴム、ポリイソブテン、ポリエチレングリコール(PEO)、ポリメチルメタクリル酸(PMMA)、ポリエチレンビニルアセテート(PEVA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテフタレート、又はポリブチレンテフタレート等が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアミド化合物、ポリイミド化合物、ポリアミドイミド、エチレン-プロピレン-ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム、ポリイソブテン、ポリエチレングリコール(PEO)、ポリメチルメタクリル酸(PMMA)、ポリエチレンビニルアセテート(PEVA)等が挙げられる。
活物質に対するバインダーの質量比は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。活物質に対するバインダーの質量比が10%以下であると、吐出性を損なうことなく、電極形成時の結着力が向上する。
<絶縁層>
絶縁層は、正極と負極を物理的に隔離し、かつ正極と負極との間のイオン伝導性を確保する部材であり、集電体上または電極合材層上またはその双方上に設けられる。絶縁層としては、特に限定されないが体積固有抵抗率が1×1012(Ω・cm)以上を示す層であることが好ましく、体積固有抵抗率が1×1012(Ω・cm)以上であると、正負極の電気的な短絡が生じなくなる。絶縁層の膜厚は、正極と負極間の絶縁性が保持される限りは特に限定はされないが、1μm以上50μm以下であることが好ましく、5μm以上20μm以下であることが特に好ましい。上記よりも膜厚が薄い場合は正極と負極間の良好な絶縁性を維持することが難しい。また、上記よりも膜厚が厚い場合は良好なイオン導電性を確保することが難しい。
また、絶縁層は空孔を有する多孔質絶縁層であり、空孔の大きさはイオン導電性を有する限り特に限定はされないが、電解液の浸透性の観点から0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。また、絶縁層の空隙率としては、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
また、後の説明で用いる図11に示すように、絶縁層において、電極の周辺に厚膜領域を形成しても良い。なお、図11において、9は第1の基材の一例である負極の集電体、10は第1の基材の一例である負極の活物質、11aは機能膜の一例である絶縁層の薄膜領域、11bは機能膜の一例である絶縁層の厚膜領域を示している。ここで、電極の周辺とは、第1の電極における電極合材層が設けられた面においての外周であることが好ましく、第1の電極とは異なる極性を有する第2の電極を積層させ電極積層体を形成したときに、第1の電極の電極合材層上の面において、第2の電極が対向しない領域内であることがより好ましい。厚膜領域を形成することによって、第1の電極と第2の電極を積層した際に端部の電極の歪みを防ぎ、積層時のズレを抑制することができる。厚膜領域は、融点やガラス転移温度(Tg)を有する材料により形成されることで、積層後に、積層上下に位置する第1の電極の厚膜領域を加熱接着することができる。
<絶縁層用基材>
絶縁層用基材は種々の電極、金属箔又は絶縁基材を使用することができる。電極としては電極集電体上に電極合材層が形成された負極又は正極が挙げられる。金属箔としては、銅箔、アルミ箔、ステンレス箔、又はニッケル箔等が挙げられる。絶縁基材としては、ガラス、ガラスエポキシ、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロース紙、又はゴム等が挙げられる。絶縁層用基材が、電極集電体または電極活物質であり、これらに絶縁層が設けられた場合、短絡などの発生を抑制することができ、絶縁層用基材が、絶縁基材であり、この上に絶縁層が設けられた場合、表面に耐擦過性や熱接着性等の機能付与をすることができる。
<絶縁層形成液体組成物>
絶縁層形成液体組成物は絶縁層を形成する為ため塗布される液体であり、有機及び/又は無機化合物、及び溶媒又は分散液等を含む。上記有機及び/又は無機化合物及び溶媒又は分散液は、最終的に形成される有機層及び/又は無機層が絶縁性を有している限り、必要に応じて適宜選択可能である。
例えば、絶縁性を有する無機材料としては、金属酸化物、金属窒化物、その他の金属微粒子が挙げられる。金属酸化物としては、Al(アルミナ)、TiO、BaTiO、ZrOなどが好ましい。金属窒化物としは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などが好ましい。その他の金属微粒子としては、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶微粒子、或いはベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイトなどの鉱物資源由来物質、又はそれらの人造物などが好ましい。また、絶縁性を有する無機材料として、ガラスセラミック粉末が挙げられる。ガラスセラミック粉末は、ZnO-MgO-Al-SiO系の結晶化ガラスを用いた結晶化ガラスセラミック、BaO-Al-SiO系セラミック粉末やAl-CaO-SiO-MgO-B系セラミック粉末等を用いた非ガラス系セラミックが好ましい。
これらの中でも、絶縁性、耐熱性の点で、酸化アルミニウム、シリカが好ましく、α-アルミナがより好ましい。α-アルミナは、「ジャンク」化学種、即ち、リチウムイオン二次電池内で容量フェードを引き起こし得る化学種に対するスカベンジャとして機能することができる。
更に、固体電解質として酸化物や又は硫化物などのセラミックスの固体電解質が利用できる。酸化物としては、LISICON型酸化物であるγ-LiPO、LiBO、0.75LiGeO-0.25LiZnGeO固溶体、LiSiO-ZnSiO固溶体、LiGeO-LiVO固溶体、NASICON型酸化物であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO若しくはLi1.6Al0.6Ge0.8Ti0.6(PO、ペロブスカイト型構造である(Li、La)TiO、ガーネット型酸化物であるLaLiNb12、LiLaTaO12、又はLiLaZr12が挙げられる。
硫化物としては、LiGeS-LiPS固溶体、LiSiS-LiPS固溶体、LiPS-LiS固溶体、LiS-P固溶体、LiS-SiS、Li10GeP12、Argyrodite型LiPSX(X=Cl、Br、I)、又はL11結晶が挙げられる。
(ナトリウムイオン二次電池向けセラミックス固体電解質)
酸化物としては、NASICON型のNa1+xZrSixP3-x12(0≦x≦1)、又はβアルミナ型のNaO-11Al2が挙げられる。硫化物としては、NaS-P、NaPS、NaSbS、NaS-SiS、又はNaS-GeS等が挙げられる。セレン化物としては、NaPSe等が挙げられる。これらはポリマーとの複合電解質として使用しても良い。
これらの無機材料の粒径は、10μm以下、より好ましくは3μm以下であることが好ましい。上記粒子径とすることで、緻密な多孔質構造を形成するとすることができ、多孔質内部において局所的にムラのない良好なイオン透過性を有する多孔質構造を得ることができる。以上の無機材料を液体に分散させ、無機層作製用液体組成物とする。液体は、分散させる無機材料に適した液体を選定する。
前記無機材料を液体に分散させる際に、結着材料を添加する。結着材料は、無機材料が絶縁層として保持させるため、無機材料の微粒子間を固着する機能を有する。結着材料として、アクリル系樹脂、スチレンブタジエン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂などを用いることができる。
前記無機層作製用インクを調合するときに、ホモジナイザーを用いて分散させてもよい。ホモジナイザーは、高速回転せん断攪拌方式、高圧噴射分散方式、超音波分散方式、媒体攪拌ミル方式などを用いることができる。
前記無機層作製用インクを調合するときに、必要に応じて分散材、界面活性剤などの添加剤を用いてもよい。分散材、界面活性剤として、メガファック(DIC株式会社)、マリアリム(日油株式会社)、エスリーム(日油株式会社)、ソルスパース(Lubrizol)、ポリフロー(共栄社化学株式会社)などを用いることができる。その他の添加剤として、粘度を調整するための増粘材であるプロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースなどを用いることができる。
更に、絶縁性を有する有機及び/又は無機材料としては、樹脂を使用することができる。樹脂を形成するために、樹脂及び該樹脂の前駆体の少なくとも何れか一方(樹脂及び/又は該樹脂の前駆体)を液体に溶解又は分散してなる樹脂層作製用液体組成物を用いる。液体は、溶解又は分散させる樹脂に適した液体を選定する。具体的には、水、炭化水素系液体、アルコール系液体、ケトン系液体、エステル系液体、エーテル系液体を用いることができる。
かかる樹脂及び該樹脂の前駆体としては、分子内に電離放射線や赤外線(熱)によって架橋性の構造を保有する樹脂類やオリゴマー類を液体に溶解せしめたものが好ましい。かかる樹脂及び該樹脂の前駆体としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂のうち低分子量のオリゴマー前駆体や、その一部に例えば脂肪族不飽和結合を有する炭化水素基で修飾したものが好ましく、例えばアクリル系共重合体の一部の側鎖にアリル基、アリルオキシ基、アクリロイル基、ブテニル基、シンナミル基、シンナモイル基、クロトメイル基、シクロヘキサジェニル基、インプロペニル基、メタクリロイル基、ペンテニル基、プロペニル基、スチリル基、ビニル基、ブタジェニル基などの不飽和結合を有するものなどが好ましい。
更にポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリルニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、及びセルロース等についても分子量1万以下の比較的低分子量の分散前駆体やセルロースナノファイバーを用い、それらを電離放射線や赤外線によって加熱することにより定着後の不溶性・架橋性を高めることができる。
更にこれらの前駆体は、架橋性を高めるために最大30重量部程度のアジド化合物を含有させても構わない。例えば、3.3′-ジクロロ-4.4′-ジアジドジフェニルメタン、4.4′-ジアジドジフェニルエーテル、4.4′-ジアジドジフェニルジスルフィド、4.4′-ジアジドジフェニルスルフィド、4.4′-ジアジドジフェニルスルホン、4-アジドカルコン、4-アジド-4′-ヒドロキシカルコン、4-アジド-4′-メトキシカルコン、4-アジド-4′-モルホリノカルコン、4-ジメチルアミノ-4′-アジドカルコン、2.6-ビス(4′-アジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、2.6-ビス(4′-アジドベンザル)-シクロヘキサノン、シンナミリデン-4-アジドアセトフェノン、4-アジドシンナミリデンアセトフェノン、4-アジド-4′-ジメチルアミノシンナミリデンアセトフェノン、シンナミリデン-4-アジドシンナミリデンアセトン、2.6-ビス(4′-アジドシンナミリデン)-4-メチルシクロヘキサノン、2.6-ビス(4′-アジドシンナミリデン)-シクロヘキサノン、1.4′-アジドベンジリデンインデン、1.4′-アジドベンジリデンインデン、1.4′-アジドベンジリデン-3-α-ヒドロキシ-4″-アジドベンジルインデン、9.4′-アジドベンジリデンフルオレン、9.4′-アジドシンナミリデンフルオレン、4.4′-ジアジドスチルベン-2.2′-ジスルホニル-N-(p-メトキシフェニル)アミド、4.4′-ジアジドスチルベン-2.2′-ジスルホニル-N-(p-ヒドロキシエチルフェニル)アミド、4.4′-ジアジドスチルベン-2.2′-ジスルホニル-N-(p-ヒドロキシフェニル)アミド、4.4′-ジアジドスチルベン-2.2′-ジスルホニルアミド、4.4′-ジアジドベンゾフェノン、4.4′-ジアジドスチルベン、4.4′-ジアジドカルコン、4.4′-ジアジドベンザルアセトン、6-アジド-2-(4'-アジドスチリル)ベンゾイミダゾール、3-アジドベンジリデンアニリン-N-オキシp~(4-アジドベンジリデンアミド)安息香酸、1.4-ビス(3′-アジ1ζスチリル)ベンゼン、3.3′-ジアジドジフェニルスルホン、4.4′-ジアジドジフェニルメタンなどが挙げられる。
なかでも特に2.6-ビス-(4′アジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン等を好適に用いることができる。これらの材料が溶解される溶媒は特に規定されるものではないが、上記化合物が溶解できて沸点や表面張力が後の塗布や乾燥工程に対して好適なものを単独又は混合して調整し用いることができる。樹脂で形成された樹脂層が内部に空隙を有する場合、実質的に電解質などのイオンの通過が可能となり、セパレータとしての機能や、熱的な暴走防止機能を付与することができるため好ましいものとなる。
電解液の浸透性や保液性の観点で、イオン透過性のみならず微細な開口を有するものが望ましく、樹脂中に、発泡剤のような材料を含んで塗布後に加熱したり、電解質などの溶解性塩を含み、塗布後、電解液に浸すことによって左記塩が溶解することにより開口や細孔が形成されることによってイオン透過性が発現されうる場合などが、より望ましいものとなる。或いは、ブロック状の分子骨格により、塗布後、特定の相分離やミクロ相分離を形成し、微細開口を形成することによって、同様にイオン透過性が発現されたり、或いはインク組成中に揮発性の溶剤を含むことによって、印刷にひき続いた重合などで固―液相分離を引き起こし、その後、溶剤を除去(乾燥)することによって微細な網目状開口を得ることができる。特に重合によって固-液相分離(以下「重合誘起相分離」とも称する)を引き起こす液体組成物は、短時間でイオン透過性の高い多孔質樹脂構造体が得られるために好ましい。
絶縁層の形状としては、液体や気体の良好な浸透性を確保する観点から、樹脂の硬化物又は無機固体物の三次元分岐網目構造を骨格として有し、絶縁層の複数の孔が連続して連結している構造であることが好ましい。すなわち、絶縁層は多数の孔を有しており、一つの孔がその周囲の他の孔と連結した連通性を有して三次元的に広がっていることが好ましい。孔同士が連通することで、液体や気体の浸み込みを生じやすくすることができる。
空孔が連通していることを確認する方法としては、例えば、多孔質構造体の断面を走査電子顕微鏡(SEM)等により画像観察し、空孔同士の繋がりが連続していることを確認する方法が挙げられる。また、空孔が連通していることで得られる物性の一つとして透気度が挙げられる。多孔質構造体の透気度は、例えば、JIS P8117に準拠して測定され、1000秒/100mL以下である場合が好ましく、500秒/100mL以下である場合がより好ましく、300秒/100mL以下である場合が更に好ましい。このとき、透気度は、例えば、ガーレー式デンソメーター(東洋精機製作所製)等を用いて測定される。従って、一例として、透気度が1000秒/100mL以下であることをもって空孔が連通していると判断してもよい。
空孔の断面形状は、特に制限されず、略円形状、略楕円形状、略多角形状等の様々な形状が挙げられる。また、空孔の大きさも特に制限されない。ここで、空孔の大きさとは、断面形状において引ける最も長い直線の長さを指すものとする。空孔の大きさは、走査電子顕微鏡(SEM)等で撮影した断面写真から求めることができる。多孔質構造体の有する空孔の大きさは、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましい。空孔の大きさが0.1μm以上10μm以下であることで、多孔質構造体において液体や気体の浸み込みが十分に起き、物質分離や反応場といった機能を効率的に発現させることができる。
また、後述するように、多孔質構造体を蓄電素子の絶縁層として用いる場合、空孔の大きさが10μm以下であることで、蓄電素子の内部で発生するリチウムデンドライドによる正極と負極の間の短絡を防止することができ、安全性が向上する。多孔質構造体の空隙率としては、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
また、多孔質構造体の空隙率は、90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましい。空隙率が30%以上であることで、多孔質構造体において液体や気体の浸み込みが十分に起き、物質分離や反応場といった機能を効率的に発現させることができる。また、多孔質構造体を蓄電素子における絶縁層として用いた場合、電解液の浸透性やイオンの透過性が向上し、蓄電素子内部の反応が効率的に進行する。
また、空隙率が90%以下であることで、多孔質構造体の強度が向上する。なお、多孔質構造体の空隙率を測定する方法としては特に限定されないが、例えば、多孔質構造体に不飽和脂肪酸(市販のバター)を充填し、オスミウム染色を施した後で、FIBで内部の断面構造を切り出し、SEMを用いて空隙率を測定する方法が挙げられる。
樹脂により形成される絶縁層は、樹脂により形成された骨格部と、当該骨格部が形成されていない部分を孔部とする多孔質な樹脂構造体である。また樹脂構造体は、樹脂部分及び孔部分のそれぞれが連続することにより構成される共連続構造又はモノリス構造であることが好ましい。
樹脂部分が連続するとは、樹脂部分中に界面が存在しない構成のことを表す。すなわち、複数の樹脂粒子などが当該樹脂粒子とは異なる樹脂であるバインダー等により結着し連結するような構成とは区別される。このような構造は例えば、前述及び後述の重合誘起相分離法により形成することができる。
本実施形態に係る基材が有する絶縁層は、複数の樹脂構造体が重なった構成であってもよい。
前記樹脂は、ゲル電解質として樹脂と非水電解液、イオン液体、グライム、又は電解質塩とを含んでいても良い。
--重合性化合物--
重合性化合物は、重合することにより樹脂を形成し、重合誘起相分離を起こす液体組成物中において重合した場合に多孔質樹脂を形成する。重合性化合物により形成される樹脂は、活性エネルギー線の付与等(例えば、光の照射や熱を加えること等)で形成される網目状の構造体を有する樹脂であることが好ましく、例えば、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂、及びエン-チオール反応により形成される樹脂が好ましい。また、反応性の高いラジカル重合を利用して構造体を形成することが容易な点から、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物により形成される樹脂であるアクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂や、ビニル基を有する重合性化合物により形成される樹脂であるビニルエステル樹脂が生産性の観点からより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、重合性化合の組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、柔軟性付与のため、ウレタンアクリレート樹脂を主成分として他の樹脂を混合することが好ましい。なお、本開示ではアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する重合性化合物を、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物と称する。
重合性化合物は、少なくとも1つのラジカル重合性官能基を有することが好ましい。その例としては、1官能、2官能、3官能以上のラジカル重合性化合物、機能性モノマー、及びラジカル重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、2官能以上のラジカル重合性化合物が好ましい。
1官能のラジカル重合性化合物としては、例えば、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
2官能のラジカル重合性化合物としては、例えば、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
3官能以上のラジカル重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5-テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
重合誘起相分離を起こす液体組成物中における重合性化合物の含有量は、液体組成物全量に対して、5.0質量%以上70.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以上50.0質量%以下がより好ましく、20.0質量%以上40.0質量%以下が更に好ましい。重合性化合物の含有量が70.0質量%以下である場合、得られる多孔質樹脂の空孔の大きさが数nm以下と小さくなりすぎず、多孔質樹脂が適切な空隙率を有し、液体や気体の浸透が起きにくくなる傾向を抑制することができるので好ましい。また、重合性化合物の含有量が5.0質量%以上である場合、樹脂の三次元的な網目構造が十分に形成されて多孔質構造が十分に得られ、得られる多孔質構造の強度も向上する傾向が見られるため好ましい。
--ポロジェン--
重合誘起相分離を起こす為に用いられる溶媒(以降の記載において「ポロジェン」とも称する)は、重合性化合物と相溶する液体である。また、ポロジェンは、液体組成物中において重合性化合物が重合していく過程で生じる重合物(樹脂)と相溶しなくなる(相分離を生じる)液体である。液体組成物中に溶媒が含まれることで、重合性化合物は、液体組成物中において重合した場合に、言い換えると、液体組成物中において第一の活性エネルギー線及び第二の活性エネルギー線を順次照射された場合に、多孔質樹脂を形成する。また、光または熱によってラジカル又は酸を発生する化合物(後述する重合開始剤)を溶解可能であることが好ましい。溶媒は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。なお、ポロジェンは重合性を有さない。
ポロジェンの1種単独としての沸点または2種以上を併用した場合の沸点は、常圧において、50℃以上250℃以下であることが好ましく、70℃以上200℃以下であることがより好ましい。沸点が50℃以上であることにより、室温付近におけるポロジェンの気化が抑制されて液体組成物の取扱が容易になり、液体組成物中におけるポロジェンの含有量の制御が容易になる。また、沸点が250℃以下であることにより、重合後のポロジェンを乾燥させる工程における時間が短縮されて、多孔質樹脂の生産性が向上する。また、多孔質樹脂の内部に残存するポロジェンの量を抑制することができるので、多孔質樹脂を物質間の分離を行う物質分離層や反応場としての反応層などの機能層として利用する場合に品質が向上する。
また、ポロジェンの1種単独としての沸点または2種以上を併用した場合の沸点は、常圧において、120℃以上であることが好ましい。
ポロジェンとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエチレングリコール類、γブチロラクトン、炭酸プロピレン等のエステル類、NNジメチルアセトアミド等のアミド類等を挙げることができる。また、テトラデカン酸メチル、デカン酸メチル、ミリスチン酸メチル、テトラデカン等の比較的分子量の大きな液体も挙げることができる。また、アセトン、2-エチルヘキサノール、1-ブロモナフタレン等の液体も挙げることができる。
なお、上記の例示された液体であれば常にポロジェンに該当するわけではない。ポロジェンとは、上記の通り、重合性化合物と相溶する液体であって、且つ液体組成物中において重合性化合物が重合していく過程で生じる重合物(樹脂)と相溶しなくなる(相分離を生じる)液体である。言い換えると、ある液体がポロジェンに該当するか否かは、重合性化合物および重合物(重合性化合物が重合することにより形成される樹脂)との関係で決まる。
また、液体組成物は、重合性化合物との間で上記の特定の関係を有するポロジェンを少なくとも1種類含有していればよいため、液体組成物作製時の材料選択の幅が広がり、液体組成物の設計が容易になる。液体組成物作製時の材料選択の幅が広がることで、多孔質構造の形成以外の観点で液体組成物に求められる特性がある場合に、対応の幅が広がる。例えば、液体組成物をインクジェット方式で吐出する場合、多孔質形成以外の観点として、吐出安定性等を有する液体組成物であることが求められるが、材料選択の幅が広いため、液体組成物の設計が容易になる。
なお、液体組成物は、上記の通り、重合性化合物との間で上記の特定の関係を有するポロジェンを少なくとも1種類含有していればよいため、重合性化合物との間で上記の特定の関係を有さない液体(ポロジェンではない液体)を追加的に含有していてもよい。但し、重合性化合物との間で上記の特定の関係を有さない液体(ポロジェンではない液体)の含有量は、液体組成物全量に対して10.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることが更に好ましく、含まれないことが特に好ましい。
液体組成物中におけるポロジェンの含有量は、液体組成物全量に対して、30.0質量%以上95.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以上90.0質量%以下がより好ましく、60.0質量%以上80.0質量%以下が更に好ましい。ポロジェンの含有量が30.0質量%以上である場合、得られる多孔質体の空孔の大きさが数nm以下と小さくなりすぎず、多孔質体が適切な空隙率を有し、液体や気体の浸透が起きにくくなる傾向を抑制することができるので好ましい。また、ポロジェンの含有量が95.0質量%以下である場合、樹脂の三次元的な網目構造が十分に形成されて多孔質構造が十分に得られ、得られる多孔質構造の強度も向上する傾向が見られるため好ましい。
液体組成物中における重合性化合物の含有量とポロジェンの含有量の質量比(重合性化合物:ポロジェン)は、1.0:0.4~1.0:19.0が好ましく、1.0:1.0~1.0:9.0がより好ましく、1.0:1.5~1.0:4.0が更に好ましい。
---重合誘起相分離---
重合誘起相分離によって多孔質樹脂の形成が可能である。重合誘起相分離は、重合性化合物とポロジェンは相溶するが、重合性化合物が重合していく過程で生じる重合物(樹脂)とポロジェンは相溶しない(相分離を生じる)状態を表す。相分離により多孔質樹脂を得る方法は他にも存在するが、重合誘起相分離の方法を用いることで、網目構造を有する多孔質体を形成できるために、薬品や熱に対する耐性の高い多孔質体が期待できる。また、他の方法と比較して、プロセス時間が短く、表面修飾が容易といったメリットも挙げられる。
次に、重合誘起相分離を用いた多孔質樹脂の形成プロセスについて説明する。重合性化合物は、光照射等により重合反応を生じて樹脂を形成する。このプロセスの間、成長中の樹脂におけるポロジェンに対する溶解度が減少し、樹脂とポロジェンの間における相分離が生じる。最終的に、樹脂は、ポロジェン等が孔を満たしている多孔質構造を形成する。これを乾燥すると、ポロジェン等は除去され、多孔質樹脂が残る。そのため、適切な空隙率を有する多孔質樹脂を形成するため、ポロジェンと重合性化合物との相溶性、及びポロジェンと重合性化合物が重合することにより形成される樹脂との相溶性が検討される。
ポロジェンと重合性化合物との相溶性については次のようにして判断する。
まず、液体組成物を石英セルに注入し、攪拌子を用いて300rpmで攪拌させながら、液体組成物の波長550nmにおける光(可視光)の透過率を測定する。本開示では、光の透過率が30%以上である場合を重合性化合物とポロジェンとが相溶の状態、30%未満である場合を重合性化合物とポロジェンとが非相溶の状態であると判断する。なお、光の透過率の測定に関する諸条件を以下に示す。
・石英セル:スクリューキャップ付き特殊ミクロセル(商品名:M25-UV-2)
・透過率測定装置:Ocean Optics社製USB4000
・撹拌速度:300rpm
・測定波長:550nm
・リファレンス:石英セル内が空気の状態で、波長550nmにおける光の透過率を測定して取得する(透過率:100%)。
ポロジェンと重合性化合物が重合することにより形成される樹脂との相溶性については次のようにして判断する。
まず、無アルカリガラス基板上に、スピンコートにより樹脂微粒子を基板上に均一分散させ、ギャップ剤とする。続いて、ギャップ剤を塗布した基板を、ギャップ剤を塗布していない無アルカリガラス基板と、ギャップ剤を塗布した面を挟むようにして互いに貼り合わせる。次に液体組成物を、貼り合わせた基板間に毛細管現象を利用して充填し、「UV照射前ヘイズ測定用素子」を作製する。続いて、UV照射前ヘイズ測定用素子にUV照射して液体組成物を硬化させる。最後に基板の周囲を封止剤で封止することで「ヘイズ測定用素子」を作製する。作製時の諸条件を以下に示す。
・無アルカリガラス基板:日本電気硝子製、40mm、t=0.7mm、OA-10G
・ギャップ剤:積水化学製、樹脂微粒子ミクロパールGS-L100、平均粒子径100μm
・スピンコート条件:分散液滴下量150μL、回転数1000rpm、回転時間30s
・充填した液体組成物量:160μL
・UV照射条件:光源としてUV-LEDを使用、光源波長365nm、照射強度30mW/cm、照射時間20s
・封止剤:TB3035B(Three Bond社製)。
次に、作製したUV照射前ヘイズ測定用素子とヘイズ測定用素子を用いてヘイズ値(曇り度)を測定する。UV照射前ヘイズ測定用素子における測定値をリファレンス(ヘイズ値0)とし、ヘイズ測定用素子における測定値(ヘイズ値)のUV照射前ヘイズ測定用素子における測定値に対する上昇率を算出する。ヘイズ測定用素子におけるヘイズ値は、重合性化合物が重合することにより形成される樹脂とポロジェンとの相溶性が低いほど高くなり、相溶性が高いほど低くなる。また、ヘイズ値が高いほど重合性化合物が重合することにより形成される樹脂が多孔質構造を形成しやすくなることを示す。本開示では、ヘイズ値の上昇率が1.0%以上である場合を樹脂とポロジェンとが非相溶の状態、1.0%未満である場合を樹脂とポロジェンとが相溶の状態であると判断する。なお、測定に用いた装置を以下に示す。
・ヘイズ測定装置:Haze meter NDH5000 日本電色工業製
--重合開始剤--
重合開始剤は、光や熱等のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物の重合を開始させることが可能な材料である。重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル発生剤を用いることができる。例えば、商品名イルガキュアーやダロキュアで知られるミヒラーケトンやベンゾフェノンのような光ラジカル重合開始剤、より具体的な化合物としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン誘導体、例えばα-ヒドロキシ-もしくは、α-アミノセトフェノン、4-アロイル-1,3-ジオキソラン、ベンジルケタール、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、pp'-ジクロロベンゾフェン、pp'-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾインパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、メチルベンゾイルフォーメート、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル、ベンゾインn-プロピル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(ダロキュア1173)、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンモノアシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド又はチタノセン、フルオレセン、アントラキノン、チオキサントン又はキサントン、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物又はジハロメチル化合物、活性エステル化合物、有機ホウ素化合物、等が好適に使用される。
更に、ビスアジド化合物のような光架橋型ラジカル発生剤を同時に含有させても構わない。また、熱のみで重合させる場合は通常のラジカル発生剤であるazobisisobutyronitrile(AIBN)等の熱重合開始剤を使用することができる。
重合開始剤の含有量は、十分な硬化速度を得るために、重合性化合物の総質量を100.0質量%とした場合に、0.05質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。
-液体組成物の物性-
液体組成物の粘度は、液体組成物を付与する際の作業性の観点から25℃において、1.0mPa・s以上150.0mPa・s以下が好ましく、1.0mPa・s以上30.0mPa・s以下がより好ましく、1.0mPa・s以上25.0mPa・s以下が特に好ましい。液体組成物の粘度が1.0mPa・s以上30.0mPa・s以下であることにより、液体組成物をインクジェット方式に適用する場合においても、良好な吐出性が得られる。ここで、粘度は、例えば、粘度計(装置名:RE-550L、東機産業株式会社製)などを使用して測定することができる。
<<電池用部材の製造方法>>
本実施形態に係る電池用部材の製造方法は、第1の基材を変速しながら搬送する搬送工程と、搬送される前記第1の基材上に液体吐出法により液体組成物を吐出することで機能膜を形成する機能膜形成工程と、を備える。
また、本実施形態に係る電池用部材の製造方法は、必要に応じて液体組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程、液体組成物に含まれる溶媒を除去する除去工程、第2の基材設置後に基材をセル化に向けて加工する基材加工工程などを有してもよい。
<機能膜形成工程>
機能膜形成工程は、第1の基材である被付与物に対して導電層又は絶縁層からなる機能膜を形成する工程である。機能膜形成工程は、第1の基材である導電層用基材又は絶縁層用基材である被付与物に対して液体組成物を付与し、液体組成物層を形成する液体付与工程を有する。また、機能膜形成工程は、必要に応じて液体組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程、液体組成物に含まれる溶媒を除去する除去工程などを有してもよい。
<液体付与工程>
液体付与工程は、第1の基材である被付与物に対して有機及び/又は無機化合物、及び、溶媒又は分散液等を含む液体組成物を付与する工程である。付与された液体組成物は、被付与物上に液体組成物の液膜である液体組成物層を形成することが好ましい。液体組成物を付与する方法としては、インクジェット印刷法などの液体吐出法が好ましい。これによって、第1の基材が変速的に搬送された際も、瞬時にインクジェットの吐出周期や吐出量等を変化させ、第1の基材上に膜厚のムラの少ない機能膜を形成することが可能となる。そのため、搬送工程の変速と同期して液体組成物を吐出させる信号を変化させることが好ましく、お互いの信号の同期を行っても良い。
<照射工程>
照射工程は、液体付与工程において付与された液体組成物に対して活性エネルギー線を照射する工程である。特に、重合誘起相分離を起こす液体組成物の場合は、照射工程は、最終的に製造される多孔質樹脂の空隙率を向上させ、これにより、例えば、多孔質樹脂における液体又は気体などの流体の取込性を向上させる。具体的には、液体組成物に対して活性エネルギー線を照射することにより、空隙率の高い多孔質樹脂を形作る上で基礎となる多孔質構造を有する多孔質前駆体を形成する。
なお、活性エネルギー線としては、重合性化合物の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線等が挙げられる。これらの中でも紫外線であることが好ましい。なお、特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。
以下は、液体組成物が重合誘起相分離を起こす場合に限定して、照射工程により、多孔質前駆体を形成する理由について説明する。
上記の通り、重合誘起相分離により多孔質樹脂を形成する場合、重合条件に基づいて多孔質樹脂の構造及び性質等が変化する。例えば、液体組成物に対して照射強度の強い活性エネルギー線を照射して重合性化合物の重合が促進される条件下で多孔質樹脂の形成を行った場合、相分離が十分に生じる前に重合が進行してしまい、空隙率の高い多孔質樹脂を製造することが困難になる傾向がある。
そのため、空隙率の高い多孔質樹脂を形作るために、照射される活性エネルギー線の照射強度は高すぎないように設定される。具体的には、活性エネルギー線の照射強度は、1W/cm以下が好ましく、300mW/cm以下がより好ましく、100mW/cm以下が更に好ましい。但し、活性エネルギー線の照射強度が低すぎると、相分離が過度に進行することで多孔質構造のばらつきや粗大化が生じやすくなり、更に、照射時間も長くなって生産性が低下することから、10mW/cm以上であることが好ましく、30mW/cm以上であることがより好ましい。
<除去工程>
除去工程は、液体組成物から溶媒又は分散液を除去する工程である。溶媒又は分散液を除去する方法としては特に限定されず、例えば、加熱することにより多孔質樹脂から溶媒又は分散液を除去する方法が挙げられる。このとき、減圧下で加熱することで溶媒又は分散液の除去がより促進され、形成される絶縁層における溶媒又は分散液の残存を抑制できるので好ましい。
<基材設置工程>
基材設置工程は、例えば図12に示すように機能膜を形成した第1の基材上に、例えば図13に示すように第2の基材を設置する工程である。なお、図12及び図13において、9は第1の基材の一例である負極の集電体、11aは機能膜の一例である絶縁層の薄膜領域、11bは機能膜の一例である絶縁層の厚膜領域、12は第2の基材の一例である正極の集電体、13は第2の基材の一例である正極の活物質を示している。第2の基材を設置する方法としては特に限定されないが、設置領域が適正な場所でない場合は、第1の基材と第2の基材間で短絡が生じてしまう。そこで、基材設置工程は、第1の基材上に絶縁層を形成した後に、第2の基材の設置位置を調整するアライメント工程を有することが好ましい。また、第2の基材を設置後にズレが生じないように、第2の基材の設置前に第1の基材上及び/又は第2の基材上に接着剤又は粘着剤を塗布しておいても良い。
<基材加工工程>
基材加工工程は、機能膜形成工程より下流において、機能膜が形成された第1の基材を加工する工程である。基材加工工程は、裁断工程、折り畳み工程、及び貼り合わせ工程の少なくとも1つを含んでもよい。基材加工工程では、例えば、第2の基材を設置後に第1の基材を裁断し、機能膜が形成された第1の基材上に第2の基材が設置された基材積層体を作製することができる。基材加工工程では、第1の基材の面積が前第2の基材の面積よりも大きくなるように裁断することが好ましい。これにより、裁断した第1の基材の端部が第2の基材の端部と短絡することを防止できる。
絶縁層が融点またはガラス転移点を有する材料を含む場合、基材加工工程では、例えば、絶縁層が形成された第1の基材上に第2の基材が設置された基材積層体を複数個作製し、一の基材積層体と他の基材積層体は、加熱により少なくとも一部が接着される。例えば、機能膜形成工程で、絶縁層が凹部と凸部を含む凹凸パターンを有する形状に形成される場合、すなわち基材積層体が図11に示すような絶縁層の厚膜領域11bを有する場合は、上下に位置する基材積層体の厚膜領域同士が加熱接着されてもよい。
基材加工工程では、例えば、第2の基材が設置された第1の基材を積層または巻回し、積層体又は巻回体を作製することができる。第2の基材が設置された第1の基材を巻回または積層する場合、第1の基材を適切なタイミングで裁断してもよい。
積層する方法としては、第2の基材を設置した第1の基材を複数のシートに裁断して複数の基材積層体を作製し、複数の基材積層体を積層する方法が挙げられる。また、図14に示すように、第2の基材が間隔を設けて設置された第1の基材を折り返すよう様につづら折り構造として積層する方法が挙げられる。なお、図14において、9は第1の基材の一例である負極の集電体、11bは機能膜の一例である絶縁層の厚膜領域、12は第2の基材の一例である正極の集電体、13は第2の基材の一例である正極の活物質を示している。
巻回は、例えば、図3示す電池用部材の製造装置(後述)を用いて行うことができる。すなわち、搬送中の第1の基材6上に、第2の基材搬送装置4bによりロール状の第2の電極を供給して第1の基材6上に第2の電極を連続的に積層し、基材設置部400の後段に位置する基材加工部500により巻回することができる。
なお、つづら折り構造として積層した積層数や巻回構造として巻回した巻回数が目的の回数に達した際は、裁断することによって目的の積層体又は巻回体を得ることができる。
<搬送工程>
搬送工程は、第1の基材に対して各種工程を実施するために、第1の基材を搬送する工程である。搬送工程では、第1の基材を変速的に搬送可能である。それによって、電池用部材を製造する一連の工程中に第1の基材上へ第2の基材を設置する設置工程や第1の基材の裁断およびつづら折り等の基材加工工程を備えた場合においても、設置又は処理の精度を高めることができる。そのため、搬送工程の搬送速度は、基材加工工程の加工タイミングに基づいて変速することが好ましい。つまり、第2の基材の設置や第1の基材の裁断およびつづら折り等の基材加工工程の動作に応じて変速させることが好ましい。第1の基材の搬送方法に関しては、特に限定は無く、ロール搬送方式の他、ベルトコンベア方式による搬送等が挙げられる。ここでいうロール搬送とは、搬送開始点と搬送終了点との間でテンションを張りながら送る方式であり、必要に応じてガイドロールなどの支持部材を用いて搬送対象部材を支えてもよい。ロール搬送は、ロールツーロール方式による搬送を含むが、これには限定されない。ロール搬送は、例えば、搬送開始点では搬送対象部材がロール状に巻かれており、搬送終了点では搬送対象部材をロール状に巻き取らない場合も含む。
変速動作としては、例えば第1の基材に対して、裁断や折り曲げ工程といった第1の基材の搬送を妨げる処理を必要とする工程を行うときは、所定の速度から減速し所定の速度よりも遅い速度で第1の基材を搬送することが好ましい。このような変速動作を行うことにより、裁断や折り曲げ工程時においても基材端部へのダメージを抑制することができる。また、減速後、裁断や折り曲げ工程といった第1の基材の搬送を妨げる処理を必要とする工程を行った後は、元の搬送速度となるよう加速することが好ましい。このような動作をすることにより、生産性を向上することができる。
<<電池用部材の製造装置>>
本実施形態に係る電池用部材の製造装置は、第1の基材を搬送する搬送部と、搬送される第1の基材上に液体吐出法により液体組成物を吐出することで機能膜を形成する機能膜形成部と、搬送部を制御する制御部と、を備え、制御部は、第1の基材を変速しながら搬送するように搬送部の搬送速度を制御する。また、本実施形態に係る電池用部材の製造方法は、必要に応じて液体組成物に活性エネルギー線を照射する照射部や、液体組成物に含まれる溶媒を除去する除去部、第2の基材設置後に基材をセル化に向けて加工する基材加工部などを有してもよい。
電池用部材の製造装置の詳細について図1~10を参照しつつ説明する。図1は、電池用部材の製造装置の一例を示す模式図である。
電池用部材の製造装置の一例である電池用部材の製造装置1は、上記の液体組成物を用いて電池用部材を製造する装置である。電池用部材の製造装置1は、第1の基材上に、液体組成物を付与して機能膜を形成する液体付与部100からなる機能膜形成部600を有する。電池用部材の製造装置1は、基材加工部500などを有してもよい。
更に、電池用部材の製造装置の一例を示す模式図、図2~7に示すように、電池用部材の製造装置1に示す工程に加えて、液体組成物内の重合開始剤を活性化させて重合性化合物の重合により絶縁層を得る工程を実行する照射部200、液体組成物を加熱して溶媒を除去する工程を実行する除去部300などの処理部群を有してもよい。
<機能膜形成部>
機能膜形成部600は、液体付与部100を少なくとも有し、必要に応じて照射部200および除去部300を含んでも良い。
<液体付与部>
液体付与部100は、第1の基材上に液体組成物を付与する付与工程を実現するインクジェット装置1aと、液体組成物を収容している収容容器1bと、収容容器1bに貯留された液体組成物をインクジェット装置1aに供給する供給チューブ1cを備える。
収容容器1bは液体組成物7を収容しており、液体付与部100は、インクジェット装置1aから液体組成物7を吐出して、第1の基材上に液体組成物7を付与して液体組成物層を薄膜状に形成する。なお、収容容器1bは、電池用部材の製造装置1と一体化した構成であってもよいが、電池用部材の製造装置1から取り外し可能な構成であってもよい。また、電池用部材の製造装置1と一体化した収容容器や電池用部材の製造装置1から取り外し可能な収容容器に添加するために用いられる容器であってもよい。
収容容器1bや供給チューブ1cは、液体組成物7を安定して貯蔵および供給できるものであれば任意に選択可能である。収容容器1bや供給チューブ1cを構成する材料は、紫外光および可視光の比較的短波長領域において遮光性を有することが好ましい。これにより、液体組成物7が重合性化合物を有していた場合に外光により重合開始されることが防止される。
液体付与部100において液体付与工程がおこなわれるときは、高生産性の観点から、第1の基材の搬送速度は比較的速いことが好ましい。
<処理部群>
処理部群は、搬送部により搬送される第1の基材に対して処理を行う処理部からなる群であり、一例として、照射部、除去部、基材設置部、基材加工部を有する。
<照射部>
照射部200は、例えば図4に示すように、液体組成物に対して熱、光などの活性エネルギー線を照射することにより重合性化合物を重合させる光照射装置2aと、重合不活性気体を循環させる重合不活性気体循環装置2bとを有する。光照射装置2aは、液体付与部100により形成された液体組成物に重合性化合物が含まれる場合、重合不活性気体存在下において光を照射し絶縁層を形成させる。
光照射装置2aは、液体組成物層に含まれる光重合開始剤の吸収波長に応じて適宜選択され、液体組成物層中の化合物の重合を開始および進行させられるものならば特に限定はなく、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管、LED等の紫外線光源が挙げられる。ただし、短波長の光ほど一般に深部に到達しやすい傾向を持つため、形成する多孔質膜の厚みに応じて光源を選択することが好ましい。
重合不活性気体循環装置2bは、大気中に含まれる重合活性な酸素濃度を低下させ、液体組成物層の表面近傍の重合性化合物の重合反応を阻害されることなく進行させる役割を担う。そのため、用いられる重合不活性気体は上記機能を満たすものならば特に制限はなく、例えば窒素や二酸化炭素やアルゴンなどが挙げられる。
また、重合不活性気体の流量としては阻害低減効果が効果的に得られる事を考慮して、O濃度が20%未満(大気よりも酸素濃度が低い環境)であることが好ましく、0%以上15%以下であることがより好ましく、0%以上5%以下であることが更に好ましい。また、重合不活性気体循環装置2bは安定した重合進行条件を実現させるために、温度を調節できる温調手段が設けられていることが好ましい。
照射部200において照射工程がおこなわれるときは、十分な重合反応を進行させることが可能となる理由から、第1の基材の搬送速度は比較的遅いことが好ましい。
<除去部>
除去部300は、例えば図2に示すように、加熱装置3aを有し、形成した機能膜に残存する溶媒を、加熱装置3aにより加熱して乾燥させて除去する。除去部300は、溶媒除去工程を減圧下で実施しても良い。
なお、除去部300は、機能膜に残存する光重合開始剤を、加熱装置3aにより加熱して乾燥させて除去してもよい。
加熱装置3aは、上記機能を満たすものならば特に制限はなく、例えばIRヒーターや温風ヒーターなどが挙げられる。
また、加熱温度や加熱時間に関しては、機能膜に含まれる溶媒の沸点や形成膜厚に応じて適宜選択可能である。
除去部300において除去工程がおこなわれるときは、十分な量の溶媒除去が可能となる理由から、第1の基材の搬送速度は比較的遅いことが好ましい。
<基材設置部>
基材設置部400は、第1の基材上に機能膜を形成した後に、機能膜上に第2の基材を設置する。基材設置部400は、例えば図3に示すように、第2の基材容器4aを有し、第2の基材搬送装置4bにより第2の基材を第1の基材上に形成された機能膜上へと設置する。第2の基材容器4aは巻回状の基材であってもシート状の基材であっても良い。又、第2の基材搬送装置4bは基材を搬送可能であれば特に制限はないが、例えば吸着機構によって搬送を実施する装置等が挙げられる。基材設置部400は、必要があれば、カメラ等を搭載して第2の基材の設置位置を調整するアライメント機構を有してもよい。
基材設置部400において基材配置工程がおこなわれるときは、配置の位置精度および配置時の摩擦による第1の基材へのダメージを低減させることが可能となる理由から、第1の基材の搬送速度は比較的遅いことが好ましい。
<基材加工部>
基材加工部500は、機能膜形成部600より下流において、機能膜が形成された第1の基材を加工する。基材加工部500は、裁断、折り畳み、及び貼り合わせの少なくとも1つを実施してもよい。基材加工部500は、例えば、第2の基材を設置後に第1の基材を裁断し、基材積層体を作製することができる。基材加工部500は、第2の基材が設置された第1の基材は、巻回または積層することができる。絶縁層が融点またはガラス転移点を有する材料を含む場合、基材加工部500では、例えば、一の基材積層体と他の基材積層体は、加熱により少なくとも一部が接着される。
基材加工部500は、例えば図1~7に示すように、基材加工装置5を有し、基材の裁断や第1の基材のつづら折り、積層や巻回、積層や巻回後の第1の基材間の熱接着等を目的の電池形態に応じて実施する。基材加工部500において基材の加工が行われるときは、加工後の基材にシワ等のダメージを低減させることが可能となる理由から、第1の基材の搬送速度は比較的遅いことが好ましい。
<搬送部>
搬送部は第1の基材に対して各種工程を実施するために、第1の基材を搬送する。搬送部は、例えば、第1の基材の搬送方法がロール搬送方式やベルトコンベア方式であれば、例えば、図1等に示すロール部8が搬送部となる。電池用部材の製造装置が複数のロール部8を備える場合、一部又は全部のロール部8は、制御部800の制御により回転し、第1の基材6を所定の速度で搬送する搬送部として機能することができる。また、ロール部8の一部は、支持部材であるガイドロールとして機能してもよい。
<制御部>
図8は、制御部の主要なハードウェアブロック図の一例である。図8に示すように、制御部800は、例えば、CPU801と、ROM802と、RAM803と、NVRAM804と、ASIC805と、I/O806と、操作パネル807とを有している。
CPU801は、電池用部材の製造装置の全体の制御を司る。ROM802は、CPU801が実行するプログラム及びその他の固定データを格納する。RAM803は、電池用部材に関するデータ等を一時格納する。NVRAM804は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリである。ASIC805は、画像処理及びその他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。I/O806は、機能膜形成部600や基材設置部400等と信号を入出力するためのインターフェイスである。操作パネル807は、制御部800に必要な情報の入力及び表示を行う。
図9は、制御部の主要な機能ブロック図の一例である。図9に示すように、制御部800は、機能ブロックとして、機能膜形成制御部851と、基材設置制御部852と、基材加工制御部853と、搬送制御部854とを有している。
機能膜形成制御部851は、機能膜形成部600を制御する。例えば、機能膜形成制御部851は、液体付与部100に対して、液体組成物を付与するタイミングや量を制御するための指令を出す。例えば、インクジェット印刷で機能膜を形成する場合は、機能膜形成制御部851は、所定の波形データ及び吐出周波数等の吐出条件、並びに所定のタイミングと滴数で液体組成物を付与するように液体付与部100に指示を出す。
また、例えば、機能膜形成制御部851は、照射部200に対して、液体組成物に活性エネルギー線を照射する際のタイミングや照射量等を制御するための指令を出す。また、例えば、機能膜形成制御部851は、除去部300に対して、機能層に残存する溶媒を加熱して乾燥させて除去する際のタイミングや加熱量等を制御するための指令を出す。
基材設置制御部852は、例えば、基材設置部400に対して、基材を吸着するタイミングや、吸着した基材を搬送する速度等を制御するための指令を出す。基材設置部400がアライメント機構を有する場合は、基材設置制御部852は、カメラ等の画像センサーからの位置情報に基づいて、第2の基材の設置位置を調整するようにアライメント機構を制御する。
基材加工制御部853は、例えばレーザを用いて第1の基材の裁断を行う場合には、基材加工部500に対して、レーザの出射光量を制御したり、カメラ等の画像センサーからの位置情報に基づいてレーザを走査したりする指令を出す。また、例えば、基材加工制御部853は、基材加工部500に対して、第1の基材のつづら折り、積層、巻回等の開始タイミングや終了タイミング等を制御する指令を出す。また、例えば、基材加工制御部853は、基材加工部500に対して、積層や巻回後の第1の基材間の熱接着等を行う際の加熱温度や加熱時間を制御する指令を出す。
搬送制御部854は、搬送部の搬送速度を制御する。搬送制御部854は、例えば、1又は複数のロール部8の回転数を可変することにより、搬送部の搬送速度を制御することができる。搬送制御部854は、基材加工部500の加工タイミングに基づいて、搬送部の搬送速度を変速することが好ましい。例えば、搬送制御部854が制御する搬送部の変速動作としては、例えば第1の基材に対して、裁断やつづら折り工程といった第1の基材の搬送を妨げる処理を必要とする工程を行うときは、減速中及び/又は減速し、所定の搬送速度よりも遅い速度で第1の基材を搬送するよう制御することが好ましい。このような変速動作を行うことにより裁断やつづら折り工程時においても基材端部へのダメージを抑制することができる。
また、搬送制御部854は、減速後、裁断やつづら折り工程といった第1の基材の搬送を妨げる処理を必要とする工程を行ったのちは、元の搬送速度となるようを加速することが好ましい。このような動作をすることにより、生産性を向上することができる。
搬送制御部854は、搬送速度が高速になっている場合に液体付与部から第1の基材に対して液体を高速で付与するよう制御し、搬送速度が低速になっている場合に液体付与部から第1の基材に対して液体を低速で付与するよう制御する。また、加減速中においては、搬送速度の変化に応じた吐出条件で液体を付与するよう制御する。
このような制御を行うことにより、一定の厚みを持った高品質の機能膜を有する基材を生産性良く製造することができる。また、搬送制御部854は、例えば、図10(a)に示すように、搬送部が高速で搬送される期間と、低速で搬送される期間と、低速から高速又は高速から低速に遷移する遷移期間とを設けることができる。搬送部の搬送速度は、3段階以上に制御されてもよい。また、高速又は低速の一定速度で搬送される期間があってもよい。また、図10(b)に示すように、搬送部の搬送速度を、曲線を有する、例えばサインカーブのような定速領域を持たない形状となるように制御してもよい。なお、低速には、速度がゼロである場合も含むものとする。
また、制御部800は、処理部群が有する1つ以上の処理部を制御してもよい。このとき、制御部800は搬送部の搬送速度制御と複数の処理部の制御とを連動して行うことが好ましい。例えば、搬送速度を低速にした時、比較的遅い搬送速度が求められる第1の基材の裁断およびつづら折り等の基材加工部500に基材加工を実行させる。このような制御を行うことにより高品質の基材を生産性良く製造することが可能となる。また、制御部800は、液体付与部100の付与条件と、搬送部の搬送速度と、複数の処理部と、を連動させて制御することが好ましい。例えば、制御部800は、搬送部の変速と同期して液体組成物を吐出させる信号を変化させることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて電池等について更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例]
まず、各実施例及び各比較例で用いる負極及び正極を作製した。
<負極の作製>
負極合材層形成用として、グラファイト97.0質量%、増粘剤(カルボキシメチルセルロース)1.0質量%、高分子(スチレンブタジエンゴム)2.0質量%、溶媒として水100.0質量%を加えて、負極塗料を作製した。この負極塗料を銅箔基体の両面に塗布後乾燥させて、負極合材層の目付量が片面9.0mg/cmとなる負極を得た。次に、ロールプレス機を用いて電極の堆積密度が1.6g/cmになるようプレスし、使用する負極を得た。このとき、負極の総膜厚は112.0μmであった。
<正極の作製>
正極活物質としてニッケル酸リチウム(NCA)92.0質量%、導電材としてアセチレンブラック3.0質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5.0質量%を用意し、これらをN-メチルピロリドン(NMP)中に分散させて正極塗料を作製した。この正極塗料をアルミニウム箔基体の両面に塗布後乾燥させて、正極合材層の目付量が片面15.0mg/cmとなる正極を得た。次に、ロールプレス機で電極の体積密度が2.8g/cmとなるようにプレスし、使用する正極を得た。このとき、正極の総膜厚は132.0μmであった。最後に、金型打ち抜き機(打ち抜き面積:47.0mm×27.0mm)を用いて正極を打ち抜いた。
[実施例1]
-絶縁層形成液体組成物の調整-
以下に示す割合で材料を混合し絶縁層形成液体組成物を調製した。重合性化合物(樹脂A)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製)を29.0質量%、溶媒(ポロジェン)としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル(関東化学工業株式会社製)を70.0質量%、重合開始剤としてIrgacure184(BASF社製)を1.0質量%の割合で混合し、絶縁層形成液体組成物を得た。
<絶縁層の形成及び第1の基材の裁断>
図4に示した製造装置を用いて絶縁層の形成及び第1の基材の裁断を実施した。負極は集電体幅60mm、合材層幅50mmのロール形状で用意され、下記の様に裁断機構にあわせて2つの速度間を連続的に変化させながら搬送を実施した。
非裁断タイミング:50mm/sec
裁断タイミング:0mm/sec。
上記搬送と同時に、絶縁層形成液体組成物をインクジェット印刷装置に充填し、可変的に搬送される負極に対し、付着する液体組成物の量が一定となる様に吐出量を制御して、絶縁層を膜厚20.0umになるよう負極合材層両面に形成した。その後、直ちに、N雰囲気下において、塗布領域に対してUV照射(光源:UV-LED(Phoseon社製、商品名:FJ800)、波長:365nm、照射強度:30mW/cm、照射時間:20s)し、硬化させた。次に、温風乾燥炉を用い、硬化物を120℃で1分間加熱することで溶媒を除去した。最後に、除去工程後に設けられた基材加工工程によって縦60.0mm×横30.0mmのサイズになる様に負極の裁断を実施し、絶縁層が形成された負極を得た。
[評価1:膜厚均一性の評価]
得られた負極の膜厚均一性を以下の手順で評価した。負極合材層が形成された領域のうち、幅方向に対して中心10.0mm領域を合材層中心部、その両端領域を合材層端部として、合材層中心部および合材層端部のうち、任意で選択した3か所に関してマイクロメーターで膜厚を測定し、各平均値の大きさで機能膜の膜厚均一性の判定を行った。なお、実施例2等のように、絶縁層が薄膜領域および厚膜領域を有する場合には、薄膜領域において任意で選択した3か所に関してマイクロメーターで膜厚を測定し、各平均値の大きさで機能膜の膜厚均一性の判定を行った。図16にその結果を示す。なお、図16の印刷画像の欄のベタ画像は、絶縁層を薄膜領域のみから形成し、厚膜領域を形成していないことを指す。また、パターン画像は、絶縁層に薄膜領域および厚膜領域を形成したことを指す。
a:合材層中心部の膜厚平均値に対する合材層端部の膜厚平均値が10%より小さい
b:合材層中心部の膜厚平均値に対する合材層端部の膜厚平均値が10%以上。
[評価2:電極裁断の端部評価]
電極裁断の端部評価として、縦60.0mm×横30.0mmのサイズになる様に裁断した負極の形状を測定した。横30.0mmとなる様に裁断した負極だが、裁断時に裁断刃と搬送方向に流れる負極とが接触することにより電極端部にしわやよれが生じた場合は、横幅が30.0mmより短くなることが考えられる。そこで、裁断した負極の正確な横幅を測定することで電極裁断の端部評価を以下の基準で評価した。図16にその結果を示す。
a:裁断された横幅の測定値と規定値の差異が±5%より小さい
b:裁断された横幅の測定値と規定値の差異が±5%以上。
[比較例1]
実施例1において、負極の搬送方法を50.0mm/secの一定速度の搬送に変更した以外は、実施例1と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
[比較例2]
実施例1において、絶縁層の形成方法をダイコート塗工方式に変更した以外は、実施例1と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
[実施例2]
実施例1において、絶縁層の形成領域を下記に変更した以外は、実施例1と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
―実施例2の絶縁層の形成領域―
負極に対し、液体組成物の吐出量を制御して、絶縁層(薄膜領域)および絶縁層(厚膜領域)を図11に示すパターン画像形状となるように負極合材層両面に形成した。絶縁層(薄膜領域)の面積は47.0mm×27.0mmで膜厚は20.0μmとした、また、絶縁層(厚膜領域)の膜厚は26.0μmとした。
[比較例3]
実施例2において、負極の搬送方法を50.0mm/secの一定速度の搬送に変更した以外は、実施例2と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
[比較例4]
実施例2において、絶縁層の形成方法をダイコート塗工方式に変更した以外は、実施例2と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
[実施例3]
実施例1において、絶縁層形成液体組成物の形成を下記に示す手順に変更した以外は、実施例1と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
―実施例3における絶縁層形成液体組成物の形成-
重合性化合物(樹脂B)としてEBECRYL8402(ダイセル・オルネクス株式会社製)を39.0質量%、ポロジェンとしてジイソブチルケトン(関東化学工業株式会社製)を60.0質量%、重合開始剤としてIrgacure819(BASF社製)を1.0質量%の割合で混合し、絶縁層形成液体組成物を得た。
[比較例5]
実施例3において、負極の搬送方法を50.0mm/secの一定速度の搬送に変更した以外は、実施例3と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
[比較例6]
実施例3において、絶縁層の形成方法をダイコート塗工方式に変更した以外は、実施例3と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
[実施例4]
実施例3において、絶縁層の形成領域を下記に変更した以外は、実施例3と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
―実施例4の絶縁層の形成領域―
負極に対し、液体組成物の吐出量を制御して、絶縁層(薄膜領域)および絶縁層(厚膜領域)を図11に示すパターン画像形状となるように負極合材層両面に形成した。絶縁層(薄膜領域)の面積は47.0mm×27.0mmで膜厚は20.0μmとした、また、絶縁層(厚膜領域)の膜厚は26.0μmとした。
[比較例7]
実施例4において、負極の搬送方法を50.0mm/secの一定速度の搬送に変更した以外は、実施例4と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
[比較例8]
実施例4において、絶縁層の形成方法をダイコート塗工方式に変更した以外は、実施例4と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
[実施例5]
実施例1において、絶縁層形成液体組成物の形成を下記に示す手順に変更した以外は、実施例1と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。表1にその結果を示す。
―実施例5における絶縁層形成液体組成物の形成-
無機固体物としてα-アルミナ(一次粒子径(D50)が0.5μmで、比表面積が7.8g/m)を40.0質量%、ジメチルスルホキシドとエチレングリコールの混合溶液(DMSO-EG)を58.0質量%、分散剤としてマリアリムHKM-150A(日油社製)を2.0質量%の比率で混ぜ合わせたプレ分散液を調製した。このプレ分散液を、ジルコニアビーズ(Φ2mm)と一緒に容器に入れ、冷凍ナノ粉砕機NP-100(シンキー社製)にて1500rpmで3分間の分散処理を行い、分散液を得た。得られた分散液から25μmのメッシュフィルターを用いてジルコニアビーズを取り除き、絶縁層形成液体組成物を作製した。
[比較例9]
実施例5において、負極の搬送方法を50.0mm/secの一定速度の搬送に変更した以外は、実施例5と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
[比較例10]
実施例5において、絶縁層の形成方法をダイコート塗工方式に変更した以外は、実施例5と同様にして絶縁層付き第1の基材を得た。その後、実施例1と同様に評価1及び2を実施した。図16にその結果を示す。
―電池の作製―
本実施例および比較例で得られた負極に対して正極を対向させて積層を実施した。外装としてラミネート外装材を用いて封止し、図15に示す電解液中注液前の蓄電素子を作製した。得られた素子を120℃12hで真空乾燥を行い電解液を注液した。その際、実施例3及び4並びに比較例5、6、7、及び8は電極端部において積層上下に位置する第1の電極の厚膜領域と加熱接着されていることを確認した。なお、電解液としては、炭酸エチレン(EC)及び炭酸ジメチル(DMC)の混合物(質量比が「EC:DMC=1:1」の混合物)に対し、電解質であるLiPF6が濃度1.5mol/Lとなるように添加されている溶液を用いた。
図16より、搬送速度を電極裁断工程に同期させ変速的に変化させることで、電極端部の品質が良好になり、かつ印刷方式としてインクジェット方式を採用することによって、形成される機能膜の膜厚のムラを抑制でき、膜厚均一性も良好になることが示された。また、これは材料によらず、有機材料であっても無機材料であっても効果が得られることを示している。
さらに、ガラス転移温度(Tg)の低い樹脂B等を絶縁層の材料として使用した場合は、第2の電極を設置して積層した後の加温によって、電極端部において積層上下に位置する第1の電極の厚膜領域が加熱接着されることが確認され、積層後に電極ズレの生じにくい積層体が得られることも示された。
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
1a インクジェット装置
1b 収容容器
1c 供給チューブ
2a 光照射装置
2b 重合不活性気体循環装置
3a 加熱装置
4a 第2の基材容器
4b 第2の基材搬送装置
5 基材加工装置
6 第1の基材
7 液体組成物
8 ロール部
9 負極の集電体
10 負極の活物質
11a 絶縁層の薄膜領域
11b 絶縁層の厚膜領域
12 正極の集電体
13 正極の活物質
100 液体付与部
200 照射部
300 除去部
400 基材設置部
500 基材加工部
600 機能膜形成部
800 制御部
801 CPU
802 ROM
803 RAM
804 NVRAM
805 ASIC
806 I/O
807 操作パネル
851 機能膜形成制御部
852 基材設置制御部
853 基材加工制御部
854 搬送制御部
特開2012-33282号公報

Claims (24)

  1. 第1の基材を変速しながら搬送する搬送工程と、
    搬送される前記第1の基材上に液体吐出法により液体組成物を吐出することで機能膜を形成する機能膜形成工程と、を備える、電池用部材の製造方法。
  2. 前記機能膜形成工程より下流に、前記機能膜が形成された前記第1の基材を加工する基材加工工程を有し、
    前記搬送工程の搬送速度は、前記基材加工工程の加工タイミングに基づいて変速する、請求項1に記載の電池用部材の製造方法。
  3. 前記搬送工程の変速と同期して前記液体組成物を吐出させる信号を変化させる、請求項2に記載の電池用部材の製造方法。
  4. 前記基材加工工程は、裁断工程、折り畳み工程、貼り合わせ工程の少なくとも1つを含む、請求項2又は3に記載の電池用部材の製造方法。
  5. 前記第1の基材上に形成した前記機能膜が絶縁層である、請求項2乃至4の何れか一項に記載の電池用部材の製造方法。
  6. 前記第1の基材上に前記絶縁層を形成した後に、前記絶縁層上に第2の基材を設置する、請求項5に記載の電池用部材の製造方法。
  7. 前記基材加工工程は、前記第2の基材を設置後に前記第1の基材を裁断し、基材積層体を作製する工程を含む、請求項6に記載の電池用部材の製造方法。
  8. 前記第2の基材が設置された前記第1の基材は、巻回または積層される、請求項7に記載の電池用部材の製造方法。
  9. 裁断後の前記第1の基材の面積は、前記第1の基材上に設置された前記第2の基材の面積よりも大きい、請求項7又は8に記載の電池用部材の製造方法。
  10. 前記絶縁層は、融点またはガラス転移点を有する材料を含み、
    前記基材加工工程では、前記絶縁層が形成された前記第1の基材上に第2の基材が設置された基材積層体を複数個作製し、一の前記基材積層体と他の前記基材積層体は、加熱により少なくとも一部が接着される、請求項6乃至9の何れか一項に記載の電池用部材の製造方法。
  11. 前記機能膜形成工程では、前記絶縁層は、凹部と凸部を含む凹凸パターンを有する形状に形成される、請求項6乃至10の何れか一項に記載の電池用部材の製造方法。
  12. 前記第1の基材上に絶縁層を形成した後に、前記第2の基材を設置の設置位置を調整するアライメント工程を有する、請求項6乃至11の何れか一項に記載の電池用部材の製造方法。
  13. 第1の基材を搬送する搬送部と、
    搬送される前記第1の基材上に液体吐出法により液体組成物を吐出することで機能膜を形成する機能膜形成部と、
    前記搬送部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記第1の基材を変速しながら搬送するように前記搬送部の搬送速度を制御する、電池用部材の製造装置。
  14. 前記機能膜形成部より下流に、前記機能膜が形成された前記第1の基材を加工する基材加工部を有し、
    前記制御部は、前記基材加工部の加工タイミングに基づいて、前記搬送部の搬送速度を変速する、請求項13に記載の電池用部材の製造装置。
  15. 前記制御部は、前記搬送部の変速と同期して前記液体組成物を吐出させる信号を変化させる、請求項14に記載の電池用部材の製造装置。
  16. 前記基材加工部は、裁断、折り畳み、貼り合わせの少なくとも1つを実施する、請求項14又は15に記載の電池用部材の製造装置。
  17. 前記第1の基材上に形成した前記機能膜が絶縁層である、請求項14乃至16の何れか一項に記載の電池用部材の製造装置。
  18. 前記第1の基材上に前記絶縁層を形成した後に、前記絶縁層上に第2の基材を設置する基材設置部を有する、請求項17に記載の電池用部材の製造装置。
  19. 前記基材加工部は、前記第2の基材を設置後に前記第1の基材を裁断し、基材積層体を作製する、請求項18に記載の電池用部材の製造装置。
  20. 前記基材加工部は、前記第2の基材が設置された前記第1の基材は、巻回または積層する、請求項19に記載の電池用部材の製造装置。
  21. 裁断後の前記第1の基材の面積は、前記第1の基材上に設置された前記第2の基材の面積よりも大きい、請求項19又は20に記載の電池用部材の製造装置。
  22. 前記絶縁層は、融点またはガラス転移点を有する材料を含み、
    前記基材加工部では、前記絶縁層が形成された前記第1の基材上に第2の基材が設置された基材積層体を複数個作製し、一の前記基材積層体と他の前記基材積層体は、加熱により少なくとも一部が接着される、請求項18乃至21の何れか一項に記載の電池用部材の製造装置。
  23. 前記機能膜形成部では、前記絶縁層は、凹部と凸部を含む凹凸パターンを有する形状に形成される、請求項18乃至22の何れか一項に記載の電池用部材の製造装置。
  24. 前記第1の基材上に絶縁層を形成した後に、前記第2の基材の設置位置を調整するアライメント機構を有する、請求項18乃至23の何れか一項に記載の電池用部材の製造装置。
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