JP2020119887A - 電極及びその製造方法、電極素子、電気化学素子 - Google Patents

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博道 栗山
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Abstract

【課題】活物質を含む電極合材層上に多孔質絶縁層が設けられた電極において、新たな層を追加することなく、多孔質絶縁層の絶縁信頼性を向上した、電極の提供。【解決手段】活物質を含む電極合材層12上に多孔質絶縁層13が設けられた電極10であって、前記電極合材層の表面粗さRzが前記多孔質絶縁層の平均膜厚より小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、電極及びその製造方法、電極素子、電気化学素子に関する。
電気化学素子には一次電池、二次電池、キャパシタ、コンデンサ等があり、近年は各種ウェアラブル機器や医療用パッチに搭載する薄型の電気化学素子に対するニーズが高まっている。
電気化学素子は、何れも絶縁体の両側に電極が配置された構造を有している。一次電池、二次電池、キャパシタの場合は、イオン透過性を有する絶縁体の両側に正極と負極が設けられている。コンデンサの場合は、誘電体(絶縁体)を介して2枚の電気伝導体が設けられている。
一次電池、二次電池、及びキャパシタの電極間の絶縁体には、ポリオレフィン延伸フィルムや不織布が使用されている。近年、特にエネルギー密度の高いリチウムイオン電池では、より安全性を向上させるためにセパレータとしてセラミックス粒子とバインダからなる耐熱性が高く高温でも収縮しない層を負極等の電極上に塗布して形成することが提案されている。例えば、セラミックセパレータ層を設ける電極表面に活物質とは異なる材料で表面平滑層を設け、信頼性を向上させている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、セラミックセパレータ層を設ける電極表面に活物質とは異なる材料で表面平滑層を設けることは、新たな層を追加することになるため、表面平滑層の塗料を作製する工程、及び、それを塗工する工程が必要になる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、活物質を含む電極合材層上に多孔質絶縁層が設けられた電極において、新たな層を追加することなく、多孔質絶縁層の絶縁信頼性を向上することを目的とする。
本電極は、活物質を含む電極合材層上に多孔質絶縁層が設けられた電極であって、前記電極合材層の表面粗さRzが前記多孔質絶縁層の平均膜厚より小さいことを要件とする。
開示の技術によれば、活物質を含む電極合材層上に多孔質絶縁層が設けられた電極において、新たな層を追加することなく、多孔質絶縁層の絶縁信頼性を向上できる。
本実施形態に係る電気化学素子に用いる負極を例示する断面図である。 本実施形態に係る電気化学素子に用いる正極を例示する断面図である。 本実施形態に係る電気化学素子に用いる電極素子を例示する断面図である。 本実施形態に係る電気化学素子を例示する断面図である。 本実施形態に係る負極の製造方法を例示する図である。 本実施形態に係る液体組成物の循環装置を例示する図である。 本実施形態に係る負極の他の製造方法を例示する図である。 樹脂多孔質絶縁層を模式的に示す図である。 実施例及び比較例について説明する図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
図1は、本実施形態に係る電気化学素子に用いる負極を例示する断面図である。図1を参照すると、負極10は、負極用電極基体11と、負極用電極基体11上に形成された負極合材層12と、負極合材層12上に形成された多孔質絶縁層13とを有する構造である。負極10の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、平板状等が挙げられる。
なお、図1では、負極用電極基体11と負極合材層12の積層方向(厚さ方向)をZ方向、Z方向と直交する平面内で互いに直交する方向をX方向及びY方向としている。
負極10において、短絡防止の観点から、多孔質絶縁層13は負極合材層12からはみ出る程度に大きく形成することが好ましい。この場合、Z方向から視て、多孔質絶縁層13の面積は負極合材層12の面積より大きい。例えば、多孔質絶縁層13は、負極合材層12の上面及び側面を被覆するように形成できる。
図2は、本実施形態に係る電気化学素子に用いる正極を例示する断面図である。図2を参照すると、正極20は、正極用電極基体21と、正極用電極基体21上に形成された正極合材層22とを有する構造である。正極20の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、平板状等が挙げられる。
図3は、本実施形態に係る電気化学素子に用いる電極素子を例示する断面図である。図3を参照すると、電極素子40は、負極10と正極20とが互いに絶縁された状態で積層された構造を含む。より詳しくは、電極素子40は、負極10と正極20とが負極用電極基体11及び正極用電極基体21を外側に向けて積層された構造であり、負極10と正極20とは多孔質絶縁層13により互いに絶縁されている。負極用電極基体11には負極引き出し線41が接続されている。正極用電極基体21には正極引き出し線42が接続されている。
なお、図3では、負極10の負極合材層12上に多孔質絶縁層13を設ける例を示したが、これには限定されず、負極10には多孔質絶縁層13を設けず、正極20の正極合材層22上に多孔質絶縁層を設けてもよい。或いは、負極10の負極合材層12上に多孔質絶縁層13を設け、更に、正極20の正極合材層22上に多孔質絶縁層を設けてもよい。
すなわち、電極素子40において、負極合材層及び正極合材層の少なくとも一方が多孔質絶縁層で被覆され、負極合材層と正極合材層とが多孔質絶縁層を介して対向するように、負極と正極とが積層されていればよい。もちろん、負極合材層及び正極合材層の両方が多孔質絶縁層で被覆されていれもよく、この場合、多孔質絶縁層の絶縁性に不良が生じるおそれをいっそう低減できる。
なお、電極素子40において、負極10と正極20の積層数は任意に決定できる。すなわち、図3では、1つの負極10と1つの正極20の合計2層を図示しているが、これには限定されず、更に多くの負極10及び正極20を互いに絶縁された状態で積層できる。その際、負極10の個数と正極20の個数が同一であっても異なってもよい。
図4は、本実施形態に係る電気化学素子を例示する断面図である。図4を参照すると、電気化学素子1は、電極素子40に水系電解液又は非水系電解液を注入して電解質層51を形成し、外装52で封止した構造である。電気化学素子1において、負極引き出し線41及び正極引き出し線42は、外装52の外部に引き出されている。電気化学素子1は、必要に応じてその他の部材を有してもよい。電気化学素子1としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、一次電池、二次電池、キャパシタ、コンデンサ等が挙げられる。
一次電池、二次電池、キャパシタ、コンデンサは、何れも絶縁体(例えば、多孔質絶縁層13)の両側に電極が配置されている構造を有している。一次電池、二次電池、キャパシタの場合は、イオン透過性を有する絶縁体の両側に正極と負極が設けられる。コンデンサの場合は、誘電体(絶縁体)を介して2枚の電気伝導体が設けられる。
電気化学素子1の形状については、特に制限はなく、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択できる。例えば、ラミネートタイプ、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダタイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダタイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。
以下、電気化学素子1について詳説する。なお、負極と正極とを総称して電極、負極用電極基体と正極用電極基体とを総称して電極基体、負極合材層と正極合材層とを総称して電極合材層と称する場合がある。
<電極>
電極は、電子の受け渡しに直接関与する活物質と、必要に応じて導電助剤やバインダ等とにより電極合材層を電気伝導体である電極基体と一体化したものを指す。
<<電極基体>>
負極用電極基体11を構成する材料としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅、炭素等が挙げられる。負極用電極基体11の形状に特に制限はなく、シート状、板状、メッシュ状など目的に応じて適宜選択できる。
正極用電極基体21を構成する材料としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、アルミニウム、チタン、タンタル、炭素等が挙げられる。
なお、図1及び図2では電極基体の片面に電極合材層が形成されているが、電極基体の両面に電極合材層が形成されてもよい。又、電極基体の片面に電極合材層が形成され、裏面にポリマーフィルム等の絶縁層が形成され、電極合材層が形成される面の無地部には熱融着する絶縁性接着層が形成されてもよい。又、電気化学素子の電圧を検出する集積回路等と同一の基板上に、電極基体となる銅や炭素等の導電体層が形成されてもよい。
<<電極合材層>>
電極合材層は、活物質に、必要に応じて、バインダ、増粘剤、導電助剤、分散媒等を加えてスラリー状又はインク状とした液体組成物を、電極基体上に塗布した後、乾燥させることで形成できる。液体組成物を電極基体へ塗布する方法としては、ダイコート法、コンマコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等を使用できる。乾燥後は、電極密度の向上、電極基体と電極合材層又は電極合材層中の活物質同士の密着性の向上、電極合材層の表面平坦性の向上等の目的でロールプレス機等で加圧してもよい。
<電極の製造方法>
−負極、正極の作製−
図5は、本実施形態に係る負極の製造方法を例示する図であり、図1に示す負極10を作製する例である。本実施形態に係る負極10の製造方法は、本実施形態に係る液体組成物を、インクジェット法を用いて、負極用電極基体11上に吐出する工程を含む。
まず、分散媒と、負極材料と、バインダとを含み、必要に応じて、導電助剤、電極材料分散剤を加えた負極合材層12を形成するための液体組成物12Aを作製する。次に、液体組成物12Aをタンク307に貯蔵し、タンク307からチューブ308を経由して液体吐出機構306に供給可能な状態とする。液体吐出機構306、タンク307、及びチューブ308は使用する溶剤に耐性があるものを使用する。
液体吐出機構306、タンク307、及びチューブ308における液体組成物12Aが通る箇所の直径は、液体組成物12A中の各種電極材料の最大粒子径よりも大きい必要がある。液体吐出機構306、タンク307、及びチューブ308における液体組成物12Aが通る箇所の直径が液体組成物12Aの各種電極材料の最大粒子径より大きいと、液体吐出機構306やタンク307、チューブ308での液体組成物12A中の電極材料に由来する詰まりが抑制され、吐出安定性が向上する。
図6に示すように、液体組成物12Aが液体吐出装置内を循環する機構を使用してもよい。図6では、外部タンク311がバルブ312を介してタンク307と接続され、タンク307がバルブ313を介して液体吐出機構306と接続されている。更に、液体吐出機構306がバルブ314を介してポンプ315と接続され、ポンプ315がタンク307と接続されている。
図6において、ポンプ315とバルブ313及び314を用いて液体組成物12Aの流れを制御することで、タンク307に貯蔵した液体組成物12Aを液体吐出装置内で循環させることが可能である。図6のような構成とすることで、粒子の沈降を抑制することができる。又、外部タンク311を設け、バルブ312を制御することで、吐出可能な液体組成物12Aが減った際に、外部タンク311から液体吐出装置のタンク307に液体組成物12Aを供給することも可能である。
液体組成物12Aが液体吐出機構306から吐出されていないとき、乾燥等を防ぐために液体吐出機構306のノズルをキャップする機構を設けてもよい。このような構成とすることで、ノズル乾燥による吐出性能の低下を抑制できる。
負極10を作製するには、図5に示すように、負極用電極基体11を加熱可能なステージ310上に設置し、液体組成物12Aを負極用電極基体11に吐出する。このときステージ310が動いてもよく、液体吐出機構306が動いてもよい。
液体組成物12Aは、液体吐出機構306からステージ310上に配置された負極用電極基体11上に吐出され、ステージ310に加熱されて乾燥し、負極合材層12となる。乾燥はステージ310上での加熱には限定されず、ステージ310とは別に設けられた乾燥機構を用いてもよい。
乾燥機構としては、液体組成物12Aに直接接触しない機構であれば、特に制限はなく、適宜選択できる。例えば、抵抗加熱ヒータ、赤外線ヒータ、ファンヒータ、送風機等が挙げられる。又、乾燥機構309は、複数設置されてもよい。乾燥温度は使用するバインダの融解する温度よりも低くする必要があり、消費電力の観点から70〜150℃の範囲が好ましい。又、紫外光を照射する装置を乾燥機構に設けてもよい。
又、図7に例示した装置を用いて、負極10を作製することもできる。図7は、本実施形態に係る負極の他の製造方法を例示する図であり、図1に示す負極10を作製する例である。図7に示すように、まず、ステンレススチールや銅等からなる細長状の負極用電極基体11を準備する。次に、負極用電極基体11を筒状の芯に巻き付け、負極合材層12を形成するべき側が上側になるように、送り出しローラ304と巻き取りローラ305にセットする。ここで、送り出しローラ304と巻き取りローラ305は、反時計回りに回転し、負極用電極基体11は、図7においては右から左の方向に搬送される。
次に、分散媒と、負極材料と、バインダとを含み、必要に応じて、導電助剤、電極材料分散剤を加えてスラリー状とした負極合材層12を形成するための液体組成物12Aを作製する。作製した液体組成物12Aをタンク307に貯蔵し、タンク307からチューブ308を経由して液体吐出機構306に供給可能な状態とする。なお、液体吐出機構306は、送り出しローラ304と巻き取りローラ305の間の負極用電極基体11の上部に設置されている。
液体吐出機構306から、搬送される負極用電極基体11上に液体組成物12Aを吐出する。液体組成物12Aは、負極用電極基体11の少なくとも一部を覆うように吐出される。なお、液体吐出機構306は、負極用電極基体11の搬送方向に対して、略平行な方向又は略垂直な方向に、複数設置されてもよい。
液体組成物12Aで部分的に覆われた負極用電極基体11は、送り出しローラ304と巻き取りローラ305によって、乾燥機構309に搬送される。その結果、負極用電極基体11上の液体組成物12Aが乾燥して負極合材層12となり、負極用電極基体11上に負極合材層12が結着した負極10が形成される。その後、負極10は、打ち抜き加工等により、所望の大きさに切断される。
乾燥機構309としては、液体組成物12Aに直接接触しない機構であれば、特に制限はなく、適宜選択できる。例えば、抵抗加熱ヒータ、赤外線ヒータ、ファンヒータ等が挙げられる。なお、乾燥機構309は、電極基体301の上下の何れか一方に設置されてもよい。又、乾燥機構309は、複数設置されてもよい。
インクジェット法は、下層の狙ったところに対象物を塗布ができる点で好適である。又、インクジェット法は、負極用電極基体11と負極合材層12の上下に接する面同士を結着できる点で好適である。又、インクジェット法は、負極合材層12の膜厚を均一にできる点で好適である。
なお、図3に示す負極15を作製するには、上記と同様の方法により、負極用電極基体11の反対面上にも負極合材層12を形成すれば良い。又、図2に示す正極20を作製するには、上記の負極用電極基体11の代わりに正極用電極基体21を用い、負極合材層12を形成するための液体組成物12Aの代わりに正極合材層22を形成するための液体組成物を用いればよい。又、図3に示す正極25を作製するには、上記と同様の方法により、正極用電極基体21の反対面上にも正極合材層22を形成すれば良い。
電極合材層は電極基体上に形成され、負極及び正極の少なくとも一方において、電極合材層上には多孔質絶縁層が形成される。電極合材層の表面粗さRzは、多孔質絶縁層の平均膜厚より小さい。
表面粗さRzとは、最大高さと呼ばれる高さ方向、すなわちZ方向のパラメーターであり、粗さ計で測定した粗さ曲線の一部を基準長さで抜き出したときの、最も高い部分(最大山高さ:Rp)と最も深い部分(最大谷深さ:Rv)との和の値である。
多孔質絶縁層の膜厚は、断面のSEM観察により計測することができる。平均膜厚は、任意の視野を等間隔に分割した点で絶縁層表面から垂直に合材層表面までの距離を計測した値の平均値から求められる。分割数は例えば10点以上とする。
電極合材層に含まれる活物質粒子のD50を小さくすることで、電極合材層の表面粗さRzを小さくできる。D50とは、粒子径を二つに分けたとき、大きい側と小さい側とが等量となる径のことであり、メディアン径とも呼ばれる。電極合材層を形成する活物質粒子のD50は、電極合材層を形成する活物質粒子をジェットミル等により解砕する際の解砕時間により調整できる。
水系電解液を使用する場合の一次電池の活物質としては、例えば、正極活物質として二酸化マンガン、酸化銀、オキシ水酸化ニッケル、酸化鉛等が挙げられ、負極活物質として亜鉛やマグネシウム等が挙げられる。又、非水系電解液を使用する場合の一次電池の活物質としては、例えば、正極活物質としてフッ化黒鉛、二酸化マンガン、硫化鉄、酸化銅等が挙げられ、負極活物質としてリチウム等が挙げられる。
二次電池の正極活物質は、アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵及び放出できる材料であれば特に限定されない。典型的には、アルカリ金属含有遷移金属化合物を正極活物質として使用できる。アルカリ金属含有遷移金属化合物としては、例えば、リチウム含有遷移金属化合物として、コバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄及びバナジウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素とリチウムとを含む複合酸化物が挙げられる。
具体的な正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属酸化物、LiFePO等のオリビン型リチウム塩、二硫化チタン、二硫化モリブデン等のカルコゲン化合物、二酸化マンガン等が挙げられる。
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属とを含む金属酸化物又は該金属酸化物中の遷移金属の一部が異種元素によって置換された金属酸化物である。異種元素としては、例えばNa、Mg、Se、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、B等が挙げられ、中でもMn、Al、Co、Ni及びMgが好ましい。異種元素は、1種でもよく又は2種以上でもよい。これらの正極活物質は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ニッケル水素電池における上記活物質としては水酸化ニッケル等が挙げられる。
二次電池の負極活物質は、アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵及び放出できる材料であれば特に限定されない。典型的には、黒鉛型結晶構造を有するグラファイトを含む炭素材料を負極活物質として使用できる。そのような炭素材料としては、天然黒鉛、球状又は繊維状の人造黒鉛、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)等が挙げられる。炭素材料以外の材料としては、チタン酸リチウムが挙げられる。又、リチウムイオン電池のエネルギー密度を高める観点から、シリコン、錫、シリコン合金、錫合金、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化錫等の高容量材料も負極活物質として好適に使用できる。
ニッケル水素電池における負極活物質としては、例えば、水素吸蔵合金が挙げられ、具体的には、Zr−Ti−Mn−Fe−Ag−V−Al−WやTi15Zr2115Ni29CrCoFeMn等で代表されるAB2系或いはA2B系の水素吸蔵合金が例示される。水系電解液を使用する場合、正極活物質としてオキシ水酸化ニッケル、二酸化鉛、負極活物質としてはカドミウム、水素吸蔵合金、鉛等が挙げられる。
電気二重層キャパシタの場合、正極活物質、負極活物質共に活性炭等の炭素材料を使用できる。
<<多孔質絶縁層>>
多孔質絶縁層13は、樹脂多孔質絶縁層、樹脂粒子積層体、絶縁性無機粒子積層体の何れか1種類以上から構成できる。
ここで、樹脂粒子積層体は、樹脂粒子を積層することにより形成された多孔質絶縁層である。又、絶縁性無機粒子積層体は、セラミックス粒子等の絶縁性無機粒子を積層することにより形成された多孔質絶縁層である。なお、絶縁性無機粒子積層体と樹脂粒子積層体とを総称して粒子積層体多孔質絶縁層と称する場合がある。
−樹脂多孔質絶縁層−
図8は、樹脂多孔質絶縁層を模式的に示す図であり、図8(a)は樹脂多孔質絶縁層をXY平面に垂直な方向(Z方向)から視た平面模式図、図8(b)は樹脂多孔質絶縁層をXZ平面で切った断面模式図である。
樹脂多孔質絶縁層は、樹脂を主成分として、架橋構造を有することができる。ここで、樹脂を主成分とするとは、樹脂多孔質絶縁層を構成する全物質の50質量%以上を樹脂が占めることを意味する。
樹脂多孔質絶縁層、すなわち架橋構造を有する樹脂絶縁層の構造としては、特に限定されないが、二次電池に限っては電解質の浸透性や良好なイオン導電性の確保の観点から、樹脂の硬化物の三次元分岐網目構造を骨格として共連続構造を有することが好ましい。
すなわち、樹脂多孔質絶縁層は多数の空孔13xを有しており、一の空孔13xが一の空孔13xの周囲の他の空孔13xと連結した連通性を有して三次元的に広がっていることが好ましい。空孔同士が連通することで、電解質が浸み込みやすく、イオンの移動を妨げにくくすることができる。
樹脂多孔質絶縁層の有する空孔の断面形状は、略円形状、略楕円形状、略多角形状等の様々な形状及び様々な大きさであって構わない。ここで、空孔の大きさとは、断面形状における最も長い部分の長さを指すものとする。空孔の大きさは、走査電子顕微鏡(SEM)で撮影した断面写真から求めることができる。
空孔の大きさに関しては、特に限定はされないが、二次電池に限っては、空孔の大きさは電解液浸透性の観点から0.1μm〜10μm程度であることが好ましい。
重合性化合物は多孔質構造体を形成するための樹脂の前駆体に該当し、光の照射や熱によって架橋性の構造体形成が可能である樹脂であれば何でもよいが、例えば、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル、エン-チオール反応を活用した樹脂が挙げられる。これらの中でも特に、反応性の高さからラジカル重合を利用して容易に構造体を形成可能なアクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ビニルエステル樹脂が生産性の観点から好ましい。
上記樹脂は、光又は熱によって硬化できる機能として、重合性モノマーと、光又は熱によってラジカル又は酸を発生する化合物を混合した混合物を調液することで得ることができる。又、重合誘起相分離により樹脂多孔質絶縁層を形成するためには、上記混合物に、予めポロジェンを混合させた液体組成物を作製すればよい。
重合性化合物は少なくとも1つのラジカル重合性官能基を有する。その例としては、1官能、2官能、又は3官能以上のラジカル重合性化合物、機能性モノマー、ラジカル重合性オリゴマー等が挙げられる。これらの中でも、2官能以上のラジカル重合性化合物が特に好ましい。
1官能のラジカル重合性化合物としては、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
2官能のラジカル重合性化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
3官能以上のラジカル重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、光ラジカル発生剤を用いることができる。例えば、商品名イルガキュアーやダロキュアで知られるミヒラーケトンやベンゾフェノンのような光ラジカル重合開始剤、より具体的な化合物としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン誘導体、例えばα−ヒドロキシ−若しくは、α−アミノセトフェノン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンジルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp'−ジクロロベンゾフェン、pp'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、ゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインn−プロピル等のベンゾインアルキルエ−テルやエステル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンモノアシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド又はチタノセン、フルオレセン、アントラキノン、チオキサントン又はキサントン、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物又はジハロメチル化合物、活性エステル化合物、有機ホウ素化合物、等が好適に使用される。
更に、ビスアジド化合物のような光架橋型ラジカル発生剤を同時に含有させても構わない。又、熱のみで重合させる場合は通常の光ラジカル発生剤であるA(AIBN)等の通常の熱重合開始剤を使用できる。
一方、光照射により酸を発生する光酸発生剤と、酸の存在下で重合する少なくとも1種のモノマーとで混合物を調整しても同様の機能を達成できる。このような液体組成物に光を照射すると、光酸発生剤が酸を発生し、この酸は重合性化合物の架橋反応の触媒として機能する。
又、発生した酸は液体組成物内で拡散する。しかも、酸の拡散及び酸を触媒とした架橋反応は、加熱することにより加速可能であり、この架橋反応はラジカル重合とは異なって、酸素の存在によって阻害されることがない。得られる樹脂層は、ラジカル重合系の場合と比較して密着性にも優れる。
酸の存在下で架橋する重合性化合物は、エポキシ基、オキセタン基、オキソラン基等のような環状エーテル基を有する化合物、上述した置換基を側鎖に有するアクリル又はビニル化合物、カーボネート系化合物、低分子量のメラミン化合物、ビニルエーテル類やビニルカルバゾール類、スチレン誘導体、アルファ−メチルスチレン誘導体、ビニルアルコールとアクリル、メタクリル等のエステル化合物をはじめとするビニルアルコールエステル類等、カチオン重合可能なビニル結合を有するモノマー類を併せて使用することが挙げられる。
光照射により酸を発生する光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾニウム塩、キノンジアジド化合物、有機ハロゲン化物、芳香族スルフォネート化合物、バイスルフォン化合物、スルフォニル化合物、スルフォネート化合物、スルフォニウム化合物、スルファミド化合物、ヨードニウム化合物、スルフォニルジアゾメタン化合物、及びそれらの混合物等を使用できる。
中でも光酸発生剤としては、オニウム塩を使用することが望ましい。使用可能なオニウム塩としては、例えば、フルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、ヘキサフルオロヒ素酸アニオン、トリフルオロメタンスルホネートアニオン、パラトルエンスルホネートアニオン、及びパラニトロトルエンスルホネートアニオンを対イオンとするジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、及びスルホニウム塩を挙げることができる。又、光酸発生剤は、ハロゲン化トリアジン化合物でも使用できる。
光酸発生剤は、場合によって、増感色素を更に含んでいてもよい。増感色素としては、例えば、アクリジン化合物、ベンゾフラビン類、ペリレン、アントラセン、及びレーザ色素類等が挙げられる。
ポロジェンは、硬化後の多孔質絶縁層中に空孔を形成するために混合される。ポロジェンとしては、前記重合性モノマー及び光又は熱によってラジカル又は酸を発生する化合物を溶解可能であり、かつ、前記重合性モノマー及び光又は熱によってラジカル又は酸を発生する化合物が重合していく過程で、相分離を生じさせることが可能な液状物質ならば任意に選択可能である。
ポロジェンとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエチレングリコール類、γブチロラクトン、炭酸プロピレン等エステル類、NNジメチルアセトアミド等のアミド類等を挙げることができる。
又、テトラデカン酸メチル、デカン酸メチル、ミリスチン酸メチル、テトラデカン等の比較的分子量の大きな液状物質もポロジェンとして機能する傾向がある。中でも特に、エチレングリコール類は高沸点のものも多く存在する。相分離機構は形成される構造体が、ポロジェンの濃度に大きく依存する。そのため、上記液状物質を使用すれば、安定した多孔質絶縁層の形成が可能となる。又、ポロジェンは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
液体組成物の粘度は25℃において、1〜150mPa・sが好ましく、5〜20mPa・sがより好ましい。又、液体組成物中における重合性モノマーの固形分濃度は、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。上記粘度範囲であれば、吐出後に活物質の隙間に液体組成物の浸み込みが発生するため、電極合材層の内部に樹脂多孔質絶縁層を存在させることが可能となる。
又、重合性モノマー濃度が上記よりも高い場合、液体組成物粘度が増大し、活物質内部に多孔質絶縁層を形成することが難しくなる。又、空孔の大きさが数十nm以下と小さくなり電解質の浸透が起きにくくなる傾向が見られる。又、重合性モノマー濃度が上記よりも低い場合は、樹脂の三次元的な網目構造が十分に形成されず、得られる多孔質絶縁層の強度が著しく低下する傾向が見られる。
樹脂多孔質絶縁層の分布に関しては、密着力の向上が見込める程度の浸み込みが存在すれば良く、電極合材層内部の深部まで存在している必要はない。活物質の表面凹凸に十分に追従し、かつ、活物質間の空隙にわずかに浸透している状態であればアンカー効果が得られるケースは存在する。そのため、浸み込みの最適程度は活物質の材料や形状に大きく依存するが、電極合材層の表面から深さ方向(Z方向)に0.5%以上内部に存在している状態が好ましく、1.0%以上内部に存在している状態がより好ましい。上記内部への存在分布は、電気化学素子の仕様目標によって適宜調整できる。
又、樹脂多孔質絶縁層の形成方法に関しては、上記液体組成物が塗布形成できるものであれば、特に制限はなく、例えば、ダイコート法、コンマコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷法を用いることができる。
−粒子積層体多孔質絶縁層−
適切な大きさの絶縁性無機粒子や樹脂粒子を積層することにより、粒子積層体多孔質絶縁層を形成してもよい。前述のように、粒子積層体多孔質絶縁層は、絶縁性無機粒子積層体と樹脂粒子積層体の総称である。
絶縁性無機粒子積層体において、絶縁性無機粒子を構成する材料としては、特に制限はなく、適宜選択できるが、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化物及び金属窒化物以外の金属化合物、ガラスセラミック等が挙げられる。なお、絶縁性無機粒子は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属酸化物としては、例えば、Al(アルミナ)、TiO、BaTiO、ZrO等が挙げられる。金属窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。金属酸化物、金属窒化物以外の金属化合物としては、例えば、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト等の鉱物資源に由来する物質又はそれらの人造物等が挙げられる。
ガラスセラミックとしては、例えば、ZnO−MgO−Al−SiO系の結晶化ガラスを用いた結晶化ガラスセラミック、BaO−Al−SiO系セラミックやAl−CaO−SiO−MgO−B系セラミック等を用いた非ガラス系セラミック等が挙げられる。
樹脂粒子積層体において、樹脂粒子を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィン、共重合ポリオレフィン、ポリオレフィン誘導体(例えば、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂)、ポリオレフィンワックス、石油ワックス、カルナバワックス等が挙げられる。
共重合ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のエチレン−ビニルモノマー共重合体が挙げられる。なお、樹脂粒子は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
又、樹脂粒子は、表面改質されていても良い。これにより、多孔質絶縁層の形成に用いられる液体組成物中における樹脂粒子の分散性を向上させることができる。樹脂粒子の表面改質方法としては、例えば、エチレン性の不飽和基、エポキシ基等の反応性基を利用して、アルコキシ基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基等の極性基を表面に導入する方法が挙げられる。
絶縁性無機粒子、若しくは樹脂粒子の平均粒径は、特に制限はなく、電極合材層の空隙のサイズに応じて適宜選択できるが、10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
粒子積層体多孔質絶縁層は絶縁性無機粒子、若しくは樹脂粒子は、分散媒と必要に応じてバインダや分散剤等を加えて絶縁層形成用液体組成物を作製し、ダイコート法、コンマコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等で電極合材層上に塗布して形成する。
分散媒としては、絶縁性無機粒子若しくは樹脂絵融資を分散させることが可能であれば、特に制限はなく、適宜選択できるが、水、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、1−メチル−2−ピロリドン、β-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、等を用いることができる。
<多孔質絶縁層の製造方法>
電極上に多孔質絶縁層を形成するには、例えば、電極の作製と同様に図5〜7の製造装置を用いて、樹脂多孔質絶縁層若しくは粒子積層体を形成するための液体組成物を電極上に塗布する。
<電解液>
電解質層51に含有する電解液成分としては、電解質塩を溶媒に溶解した溶液、又はイオン液体等の液体電解質が用いられる。電解質塩の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等が挙げられる。
電解質塩を溶解させる溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類やそれらの混合溶媒等を用いることができる。
又、これらのカチオン成分とアニオン成分有する各種イオン液体も用いることができる。 イオン液体には特に制限はなく、一般的に研究・報告されている物質を適宜用いることができる。有機のイオン液体には、室温を含む幅広い温度領域で液体状態を示すものがあり、カチオン成分とアニオン成分からなる。
カチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体等の芳香族系の塩;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム等の脂肪族4級アンモニウム系化合物等が挙げられる。
アニオン成分としては、大気中の安定性の面でフッ素を含んだ化合物が好ましく、例えば、BF−、CFSO−、PF−、(CFSON−、B(CN)−等が挙げられる。
電解質塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、非水溶媒中に、0.7mol/L以上4mol/L以下が好ましく、1.0mol/L以上3mol/L以下がより好ましく、電気化学素子の容量と出力の両立の点から、1.0mol/L以上2.5mol/L以下がより好ましい。
又、電解液の代わりに、固体電解質を用いてもよい。固体電解質として利用可能な固体電解質粒子として、例えば、硫化物系非晶質固体電解質粒子や酸化物系非晶質固体電解質粒子、結晶質酸化物等が挙げられる。
このように、本実施の形態に係る電気化学素子に用いる負極及び正極の少なくとも一方において、電極合材層上には多孔質絶縁層が設けられている。そして、電極合材層の表面粗さRzは、多孔質絶縁層の平均膜厚より小さい。これにより、新たな層を追加することなく、多孔質絶縁層の絶縁信頼性を向上できる。その結果、電気化学素子において正極と負極が部分的に短絡するおそれが低くなり、容量維持率を向上できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて電気化学素子等について更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
〔1〕負極の作製
負極活物質としては石原産業製チタン酸リチウムを用いた。D50=7μmの二次粒子の状態のものと、これをジェットミルで解砕して得たD50=0.6μmの粒子の活物質をそれぞれ用いた2種類の液体組成物A,Bを用い、2種類の負極A,Bを作製した。何れも導電助剤としてデンカ製アセチレンブラックを活物質100重量部に対して4重量部の割合で添加した。
D50=7μmの活物質を用いた液体組成物Aは更にバインダとしてJSR製フッ素アクリルバインダTRD202Aを活物質100重量部に対して3重量部、増粘剤としてダイセル製カルボキシメチルセルロース2200を活物質100重量部に対して1重量部、分散媒として水を活物質100重量部に対して100重量部加えて作製し、ドクターブレードを用いたテーブルコーターで厚さ20μmのアルミニウム箔に塗布、120℃で5分乾燥して負極Aを作製した。
D50=0.6μmの活物質を用いた液体組成物Bは更にバインダとしてJSR製フッ素アクリルバインダTRD202Aを活物質100重量部に対して4重量部、分散媒として水とプロピレングリコールを7:3の重量比で混合した液を活物質100重量部に対して280重量部加えて作製し、リコー製インクジェット装置EV2500で厚さ20μmのアルミニウム箔上に吐出し、120℃で5分乾燥して負極Bを作製した。
〔2〕正極の作製
[正極活物質の製造]
五酸化バナジウム、水酸化リチウム、リン酸、スクロース、水を混合して沈殿を生成させた後、粉砕して、リン酸バナジウム粒子の前駆体スラリーを得た。スプレードライヤーで噴霧乾燥したリン酸バナジウム前駆体を、窒素雰囲気下、900℃で焼成し、D50=8μm、炭素含有量3質量%のリン酸バナジウム粒子を得た。これは、一次粒子が凝集している二次粒子の状態であり、二次粒子をジェットミルで解砕して、D50=0.7μmである炭素含有量3質量%のリン酸バナジウム粒子も得た。
[正極の作製]
正極合材層を形成するための液体組成物としては、D50=8μm、D50=0.7μmの2種類の炭素含有量3質量%のリン酸バナジウム粒子をそれぞれ用いた2種類の液体組成物A,Bを用い、2種類の正極A,Bを作製した。何れも導電助剤としてデンカ製アセチレンブラックを活物質100重量部に対して1重量部の割合で添加した。
D50=8μmの活物質を用いた液体組成物Aは更にバインダとしてJSR製フッ素アクリルバインダTRD202Aを活物質100重量部に対して3重量部、増粘剤としてダイセル製カルボキシメチルセルロース2200を活物質100重量部に対して1重量部、分散媒として水を活物質100重量部に対して100重量部加えて作製し、ドクターブレードを用いたテーブルコーターで厚さ20μmのアルミニウム箔に塗布、120℃で5分乾燥して正極Aを作製した。
D50=0.7μmの活物質を用いた液体組成物Bは更にバインダとしてJSR製フッ素アクリルバインダTRD202Aを活物質100重量部に対して4重量部、分散媒として水とプロピレングリコールを7:3の重量比で混合した液を活物質100重量部に対して280重量部加えて作製し、リコー製インクジェット装置EV2500で厚さ20μmのアルミニウム箔上に吐出し、120℃で5分乾燥して正極Bを作製した。
〔3〕表面粗さ計測
電極の表面粗さは共焦点レーザ顕微鏡で計測し、電極表面の凹凸差の最大値Rzを求めた。
〔4〕多孔質絶縁層の作製
正極の合材層、若しくは負極の合材層、又は正極と負極の両方の合材層の表面に、樹脂多孔質絶縁層又は粒子積層体多孔質絶縁層を形成した。
[樹脂多孔質絶縁層]
以下に示した割合で材料を混合し樹脂多孔質絶縁層の液体組成物を調製した。
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
(ダイセル・オルニクス株式会社):29質量部
・テトラデカン(関東化学工業株式会社製):70質量部
・Irgacure184(BASF製)(光ラジカル発生剤の一例):1質量部
調製した液体組成物をリコー製インクジェット装置EV2500を用い、電極合材層上に所定の厚みとなるよう吐出した。図1に示したように、樹脂多孔質絶縁層は電極合材層全体を覆うように電極合材層より大きくなるように吐出する。その後、窒素雰囲気下で紫外線照射により液体組成物を硬化させ、その後に、120℃で1分間加熱することでポロジェンである溶媒の除去を行い、多孔質絶縁層Aを備えた電極を作製した。多孔質絶縁層の平均膜厚は断面のSEM写真から求めた。
[粒子積層体多孔質絶縁層]
アルミナ粒子AA−05(住友化学社製)20質量部、フッ素アクリルバインダTRD202A(JSR製)0.3質量部、マリアリムHKM−50A(日油社製)0.2質量部、イソプロピルグリコール30質量部、水49.5質量部を混合し粒子積層体多孔質絶縁層の液体組成物を調製した。
調製した液体組成物をリコー製インクジェット装置EV2500を用い、電極合材層上に所定の厚みとなるよう液滴径を調整し、2400×2400dpiの画素数で均一な液膜になるよう液体組成物を吐出した。図1に示したように、粒子積層体多孔質絶縁層は電極合材層全体を覆うように電極合材層より大きくなるように吐出する。その後は120℃で5分加熱乾燥し、多孔質絶縁層Bを備えた電極を作製した。
又、アルミナ粒子を高架橋ポリメタクル酸メチル樹脂微粒子(PMMA)に変えた液体組成物を作製し、インクジェットで吐出、乾燥して多孔質絶縁層Cを備えた電極を作製した。多孔質絶縁層の平均膜厚は断面のSEM写真から求めた。
〔5〕電気化学素子の作製
図3に示したように負極及び正極のそれぞれの電極基体に引き出し線を溶接により接合して電極素子を作製した。そして、電極素子に、非水系電解液として1.5M LiPF EC:DMC=1:1を注入し、外装としてラミネート外装材を用いて封止し、非水電解液電気化学素子を作製した。
〔6〕評価
非水電解液電気化学素子について、1C(1時間で放電しきれる電流値)で充放電サイクルを10サイクル実施したときの放電容量に対して、10サイクル後に充電状態で5日間放置した後、放電したときの容量維持率を比較した。多孔質絶縁層の絶縁性に不良があると、正極と負極が部分的に短絡して容量維持率が低くなる。
[実施例1]
実施例1では、多孔質絶縁層が設けられていない正極Aと、多孔質絶縁層Aが設けられた負極Bを用いて、電気化学素子を作製した。
[実施例2]
実施例2では、多孔質絶縁層が設けられていない正極Aと、多孔質絶縁層Aが設けられた負極Aを用いて、電気化学素子を作製した。
[比較例1]
比較例1では、多孔質絶縁層が設けられていない正極Aと、多孔質絶縁層Aが設けられた負極Aを用いて、電気化学素子を作製した。但し、実施例2よりも多孔質絶縁層Aの平均膜厚を薄くした。
[実施例3]
実施例3では、多孔質絶縁層が設けられていない正極Aと、多孔質絶縁層Bが設けられた負極Bを用いて、電気化学素子を作製した。
[実施例4]
実施例4では、多孔質絶縁層が設けられていない正極Aと、多孔質絶縁層Cが設けられた負極Bを用いて、電気化学素子を作製した。
[実施例5]
実施例5では、多孔質絶縁層Aが設けられた正極Bと、多孔質絶縁層Aが設けられた負極Bを用いて、電気化学素子を作製した。
[結果のまとめ]
実施例1〜5、及び比較例1の構成と評価結果を図9に示す。図9より、実施例1〜5のように電極合材層の表面粗さRzが多孔質絶縁層の平均膜厚より小さい場合は、容量維持率が高くなっている。電極合材層の表面粗さRzが多孔質絶縁層の平均膜厚より小さいと、多孔質絶縁層の絶縁性が良好であるため、負極と正極とが短絡することなく、容量維持率が高くなったものと考えられる。
これに対して、比較例1のように電極合材層の表面粗さRzが多孔質絶縁層の平均膜厚より大きい場合は、容量維持率が低くなっている。電極合材層の表面粗さRzが多孔質絶縁層の平均膜厚より大きいと、多孔質絶縁層の絶縁性に不良が生じ、正極と負極が部分的に短絡して容量維持率が低くなったものと考えられる。
なお、電極合材層を形成する活物質粒子のD50が5μm以下であると電極合材層の表面粗さRzを小さくできる点で好適であり、電極合材層を形成する活物質粒子のD50が1μm以下であると電極合材層の表面粗さRzを更に小さくできる点で好適である。電極合材層の表面粗さRzを小さくするほど、多孔質絶縁層の膜厚の設計自由度を向上できる。活物質粒子のD50を小さくして多孔質絶縁層の平均膜厚を小さくすることも可能になる。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
1 電気化学素子
10 負極
11 負極用電極基体
12 負極合材層
13 多孔質絶縁層
13x 空孔
20 正極
21 正極用電極基体
22 正極合材層
40 電極素子
41 負極引き出し線
42 正極引き出し線
51 電解質層
52 外装
特許第6288079号

Claims (8)

  1. 活物質を含む電極合材層上に多孔質絶縁層が設けられた電極であって、
    前記電極合材層の表面粗さRzが前記多孔質絶縁層の平均膜厚より小さいことを特徴とする電極。
  2. 前記多孔質絶縁層は、樹脂多孔質絶縁層、樹脂粒子積層体、絶縁性無機粒子積層体の何れか1種類以上から構成されることを特徴とする請求項1に記載の電極。
  3. 前記電極合材層を形成する活物質粒子のD50が5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電極。
  4. 前記多孔質絶縁層の積層方向から視て、前記多孔質絶縁層の面積は前記電極合材層の面積より大きいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電極。
  5. 少なくとも正極又は負極の何れか一方が請求項1乃至4の何れか一項に記載の電極であることを特徴とする電極素子。
  6. 正極及び負極の両方が請求項1乃至4の何れか一項に記載の電極であることを特徴とする電極素子。
  7. 請求項5又は6に記載の電極素子と、
    前記電極素子に注入された電解液と、
    前記電極素子及び前記電解液を封止する外装と、を有する電気化学素子。
  8. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の電極の製造方法であって、
    活物質と分散媒とを含む第1の液体組成物を液体吐出装置から吐出、乾燥することにより前記電極合材層を形成し、
    前記電極合材層上に、無機物と分散媒とを含む第2の液体組成物を液体吐出装置から吐出、乾燥することにより前記多孔質絶縁層を形成することを特徴とする電極の製造方法。
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