JP2023132262A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オン抵抗が増加することを抑制できる半導体装置を提供する。【解決手段】隣合うトレンチ15は、ゲート電極17に所定の電圧が印加された際、それぞれのトレンチ15と接するベース層13に形成されるチャネル領域が繋がる間隔で形成され、トレンチ15は、半導体基板10の面方向に対する法線方向に対して側面が傾斜したテーパ状とされ、長手方向と交差する方向であって、半導体基板10の面方向に沿った方向の長さを幅とすると、ベース層13は、隣合うトレンチ15の間に位置する部分において、幅が広い部分の不純物濃度が、幅が狭い部分の不純物濃度より低くなる部分を含んで構成されるようにする。【選択図】図1
Description
本発明は、トレンチゲート構造を有し、ワイドバンドギャップ半導体材料を用いて構成された半導体装置に関するものである。
従来より、トレンチゲート構造を有し、ワイドバンドギャップ半導体材料を用いて構成された半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この半導体装置は、ワイドバンドギャップ半導体材料としての炭化珪素(以下では、SiCともいう)を用いて構成され、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorの略)が形成されている。より詳しくは、この半導体装置では、n+型の基板上にn-型のドリフト層が形成され、ドリフト層上にp型のベース層が形成されている。ベース層の表層部には、n+型のソース領域が形成されている。そして、ソース領域およびベース層を貫通するように複数のトレンチが形成されており、各トレンチには、ゲート絶縁膜およびゲート電極が順に形成されている。これにより、トレンチゲート構造が形成されている。
また、この半導体装置では、ベース層およびソース領域と電気的に接続されるように第1電極が形成され、n+型の基板と接続されるように第2電極が形成されている。
このような半導体装置は、ゲート電極に所定の閾値電圧以上の電圧が印加されることにより、ベース層のうちのトレンチと接する部分にn型の反転層(すなわち、チャネル領域)が形成される。そして、半導体装置は、ソース領域から反転層を介して電子がドリフト層に供給されることにより、第1電極と第2電極との間に電流が流れてオン状態となる。また、この半導体装置は、ゲート電極に所定の閾値電圧以上の電圧が印加されないようにすることにより、ベース層に形成されていた反転層が消滅してオフ状態となる。
そして、このようなワイドバンドギャップ半導体材料を用いて構成された半導体装置では、界面準位の影響等によって電子移動度が低下し、オン抵抗が増加する可能性があることが報告されている。このため、上記の半導体装置では、オン状態である際、隣合うトレンチの間に位置するベース層の全体に反転層が形成されるように、隣合うトレンチの間隔が調整されている。言い換えると、上記の半導体装置は、オン状態である際、隣合うトレンチの間に位置するベース層において、一方のトレンチと接する部分に形成される反転層と、他方のトレンチと接する部分に形成される反転層とが繋がるように、隣合うトレンチの間隔が調整されている。
しかしながら、上記の半導体装置に含まれるトレンチは、実際にトレンチを形成すると、製造上の誤差等によって側面を半導体基板の面方向に対する法線方向と完全に平行とすることが困難であり、側面が当該法線方向に対して傾いたテーパ状となる。そして、ベース層は、隣合うトレンチの間に位置する部分において、深さ方向(すなわち、半導体基板の厚さ方向)に沿って幅が変化する。このため、ベース層の不純物濃度が深さ方向に沿って一定とされていると、幅が広い部分では、幅が狭い部分に対して反転層が繋がり難くなり、電子移動度が低下し易くなる。したがって、上記の半導体装置では、オン抵抗が増加する可能性がある。
本発明は上記点に鑑み、オン抵抗が増加することを抑制できる半導体装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1では、トレンチゲート構造を有する半導体装置であって、ワイドバンドギャップ半導体材料で構成され、第1導電型のベース層(13)と、ベース層の表層部に配置された第2導電型の第1不純物領域(14)と、第1不純物領域と離れて配置された第1導電型または第2導電型の第2不純物領域(11、21)と、を有し、ベース層の表層部側の面を一面(10a)とし、一面と反対側の面を他面(10b)とする半導体基板(10)と、半導体基板の面方向における一方向を長手方向として半導体基板の一面側から複数のトレンチ(15)が形成され、トレンチ(15)の壁面上に配置されたゲート絶縁膜(16)と、ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極(17)と、を有する複数のトレンチゲート構造と、第1不純物領域およびベース層と電気的に接続される第1電極(19)と、第2不純物領域と電気的に接続される第2電極(20)と、を備えている。そして、ゲート電極に所定の電圧が印加されてベース層のうちのトレンチと接する部分にチャネル領域が形成されることで第1電極と第2電極との間に電流が流れ、隣合うトレンチは、ゲート電極に所定の電圧が印加された際、それぞれのトレンチと接するベース層に形成されるチャネル領域が繋がる間隔で形成され、トレンチは、半導体基板の面方向に対する法線方向に対して側面が傾斜したテーパ状とされ、長手方向と交差する方向であって、半導体基板の面方向に沿った方向の長さを幅とすると、ベース層は、隣合うトレンチの間に位置する部分において、幅が広い部分の不純物濃度が、幅が狭い部分の不純物濃度より低くなる部分を含んで構成されている。
これによれば、ベース層は、幅が広い部分では幅が狭い部分よりも不純物濃度が低くされている。このため、ベース層は、半導体装置に電流が流れるオン状態である際、幅が広い部分においても、隣合うトレンチと接する部分に形成される反転層同士が繋がり易くなる。したがって、幅が広い部分でも電子密度が低くなることを抑制でき、電子移動度が低くなることを抑制できるため、チャネル抵抗を十分に低下でき、オン抵抗が増加することを抑制できる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の半導体装置は、例えば、自動車等の車両に搭載され、車両用の各種電子装置を駆動するための半導体装置として適用されると好適である。また、本実施形態では、トレンチゲート構造の反転型のMOSFETが形成されている半導体装置について説明する。
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の半導体装置は、例えば、自動車等の車両に搭載され、車両用の各種電子装置を駆動するための半導体装置として適用されると好適である。また、本実施形態では、トレンチゲート構造の反転型のMOSFETが形成されている半導体装置について説明する。
本実施形態の半導体装置は、図1に示されるように、半導体基板10を用いて構成されている。半導体基板10は、ワイドバンドギャップ半導体材料で構成され、本実施形態では、SiCによって構成されている。以下、本実施形態では、半導体基板10がSiCで構成されるSiC半導体装置を例に挙げて説明する。但し、半導体基板10は、ワイドバンドキャップ半導体材料で構成されていればよく、例えば、窒化ガリウムやダイヤモンド等によって構成されていてもよい。
本実施形態の半導体基板10は、SiCで構成されるn+型の基板11上に、n-型のドリフト層12およびp型のベース層13が配置されて構成されている。そして、ベース層13の表層部には、n+型のソース領域14が形成されている。
なお、特に図示しないが、本実施形態の半導体装置は、図1とは異なる断面において、ベース層13の表層部であって半導体基板10の一面10aから露出するように、ベース層13よりも高不純物濃度とされたコンタクト領域が形成されている。詳しくは、本実施形態では、ソース領域14およびコンタクト領域は、後述するトレンチ15の長手方向に沿って交互に形成されている。
基板11は、例えば、n型不純物濃度が1.0×1019/cm3とされ、表面が(0001)Si面とされている。なお、本実施形態では、基板11がMOSFETにおけるドレイン領域を構成する。ベース層13は、チャネル領域が形成される部分であり、不純物濃度の分布については後述する。ソース領域14は、ドリフト層12よりも高不純物濃度とされている。そして、本実施形態では、基板11が第2不純物領域に相当し、ソース領域14が第1不純物領域に相当している。
半導体基板10には、一面10a側からベース層13およびソース領域14を貫通してドリフト層12に達するように、半導体基板10の面方向における一方向を長手方向として延設された複数のトレンチ15が形成されている。本実施形態では、各トレンチ15は、図1中の紙面奥行き方向を長手方向としてストライプ状となるように形成されている。そして、ベース層13およびソース領域14は、上記のようにトレンチ15が形成されるため、トレンチ15の側面に接するように形成される。なお、コンタクト領域は、上記のように、図1とは別断面に形成され、トレンチ15の長手方向に沿ってソース領域14と交互に形成されている。
トレンチ15の内壁面には、ゲート絶縁膜16が形成されている。ゲート絶縁膜16の表面には、ドープドPoly-Siにて構成されたゲート電極17が形成されている。これにより、半導体基板10にトレンチゲート構造が構成される。
ここで、本実施形態のトレンチ15は、RIE(Reactive Ion Etchingの略)等の異方性エッチングによって形成され、具体的には後述するが、側面が傾斜したテーパ状とされている。また、本実施形態のトレンチは、具体的には後述するが、半導体装置がオン状態である際、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13の全体にチャネル領域(すなわち、バルクチャネル領域)が形成されるように、間隔が調整されている。本実施形態では、隣合うトレンチ15は、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13のうちの最も長い部分の幅が0.1μm以下となるように形成されている。
半導体基板10の一面10aには、層間絶縁膜18が形成されている。そして、層間絶縁膜18には、ソース領域14および図示しないコンタクト領域を露出させるコンタクトホール18aが形成されている。
層間絶縁膜18上には、コンタクトホール18aを通じてソース領域14およびベース層13と電気的に接続される第1電極19が形成されている。なお、第1電極19は、図1とは別断面において、ベース層13の表層部に形成されたコンタクト領域と電気的に接続されることによってベース層13と電気的に接続されている。
本実施形態では、第1電極19は、例えば、Ni/Al等の複数の金属にて構成されている。そして、複数の金属のうちのn型SiC(すなわち、ソース領域14)を構成する部分と接触する部分は、n型SiCとオーミック接触可能な金属で構成されている。また、複数の金属のうちの少なくともp型SiC(すなわち、コンタクト領域)と接触する部分は、p型SiCとオーミック接触可能な金属で構成されている。
基板11の他面10b側には、基板11と電気的に接続される第2電極20が形成されている。本実施形態では、このような構造により、nチャネルタイプの反転型であるトレンチゲート構造のMOSFETが構成されている。
次に、本実施形態のトレンチ15の形状およびベース層13の不純物濃度について、具体的に説明する。以下では、基板11、ドリフト層12、ベース層13の積層方向を深さ方向ともいう。なお、深さ方向は、半導体基板10の厚さ方向ともいえる。また、以下では、半導体基板10の面方向と平行な方向であって、トレンチ15の長手方向と交差する方向の長さを幅とする。例えば、図1中等では、紙面左右方向の長さが幅となる。
トレンチ15は、半導体基板10に対してRIE等のドライエッチング等を行うことによって形成され、図1および図2に示されるように、側面が半導体基板10の一面10aに対する法線方向に対して傾いたテーパ状とされている。具体的には、本実施形態のトレンチ15は、一面10a側から他面10b側に向かって開口幅が狭くなる順テーパ状とされている。このため、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13は、一面10a側から他面10b側に向かって幅が広くなる逆テーパ状となる。
そして、ベース層13は、隣合うトレンチ15の間に位置する部分において、幅が広い部分では、幅が狭い部分よりも不純物濃度が低くされている。つまり、本実施形態では、ベース層13は、他面10b側に位置する部分の不純物濃度が、一面10a側に位置する部分の不純物濃度よりも低くされている。この場合、ベース層13は、一面10a側から他面10b側に向かって連続的に不純物濃度が低くなるように調整されていてもよいし、段階的に不純物濃度が低くなるように調整されていてもよい。本実施形態では、ベース層13は、一面10a側から他面10b側に向かって連続的に不純物濃度が低くなるように調整されている。
なお、このようなベース層13は、ベース層13をイオン注入によって形成する場合には、イオン注入を行う際の不純物濃度を調整することで構成される。ベース層13をエピタキシャル成長によって形成する場合には、エピタキシャル成長を行う際に添加する不純物の濃度を調整することで構成される。
また、本実施形態のトレンチ15は、上記のように順テーパ状とされており、図3に示されるように、側面と半導体基板10の面方向に沿った仮想面Sとの成す角度をθ1とすると、成す角度θ1が次のように調整されている。すなわち、上記のような半導体装置では、半導体基板10の一面10a側にソース領域14およびコンタクト領域が形成される。この場合、ソース領域14やコンタクト領域を形成する際のバラツキを考慮し、ソース領域14およびコンタクト領域は、厚さが0.3μm以上とされる。また、ベース層13は、チャネル領域が形成される部分であり、閾値変動が発生し難くなる厚さとなるように、厚さが0.2μm以上とされる。つまり、本実施形態では、半導体基板10の一面10aからベース層13のうちの他面10b側の部分までの長さL1が0.5μm以上とされる。なお、ベース層13のうちの他面10b側の部分とは、言い換えると、ベース層13とドリフト層12との界面のことである。
また、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13の最も長い部分の幅dは、ベース層13の全体にチャネル領域が形成されるように、上記のように0.1μm以下とされる。そして、成す角度θ1は、隣合うトレンチ15の間に半導体基板10の一面10a(すなわち、ソース領域14およびコンタクト領域)が残存するように、84.3°以上であって、90°未満となるように調整されている。
以上が本実施形態における半導体装置の構成である。なお、本実施形態では、n+型、n-型が第1導電型に相当しており、p-型、p型、p+型が第2導電型に相当している。また、本実施形態では、上記のように構成されることにより、半導体基板10は、基板11、ドリフト層12、ベース層13、ソース領域14等を含んで構成される。
次に、上記半導体装置における作動および効果について説明する。上記半導体装置は、第2電極20が第1電極19よりも高電位とされつつ、ゲート電極17に所定の閾値電圧以上の電圧が印加されることにより、ベース層13のうちのトレンチ15と接する部分にn型の反転層(すなわち、チャネル領域)が形成される。そして、ソース領域14から反転層を介して電子がドリフト層12に供給されることにより、第1電極19と第2電極20との間に電流が流れてオン状態となる。つまり、本実施形態の半導体装置では、ゲート電極17に所定の閾値電圧以上の電圧が印加されると、半導体基板10の厚さ方向に沿って電流が流れる。
この際、本実施形態では、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13の最も長い部分の幅dが0.1μm以下とされている。このため、ゲート電極17に所定の閾値電圧以上の電圧が印加された際、ベース層13のうちの各トレンチ15と接する部分に形成される反転層同士が繋がり易くなる。つまり、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13は、全体にチャネル領域(すなわち、バルクチャネル領域)が形成され易くなる。したがって、半導体装置のオン抵抗の低減を図ることができる。
ここで、図4に示されるように、ベース層13の不純物濃度が深さ方向に沿って一定とされている半導体装置を比較対象の半導体装置とする。言い換えると、ベース層13において、幅が狭い部分の不純物濃度と幅が広い部分の不純物濃度とが等しくされている半導体装置を比較対象の半導体装置とする。この場合、比較対象の半導体装置では、幅が広い部分では幅が狭い部分よりも隣合うトレンチ15と接する部分に形成される反転層同士が繋がり難くなるため、図5Aおよび図5Bに示されるように、幅が広い部分では、幅が狭い部分よりも電子密度が小さくなる。このため、比較対象の半導体装置では、図4に示されるように、幅が広い部分の電子移動度が低くなる。したがって、比較対象の半導体装置では、矢印Bのように幅が広い部分で電流が減少させられ、十分にチャネル抵抗を低減できない可能性がある。
これに対し、本実施形態のベース層13は、図2に示されるように、幅が広い部分では、幅が狭い部分よりも不純物濃度が低くされている。このため、ベース層13は、幅が広い部分においても、隣合うトレンチ15と接する部分に形成される反転層同士が繋がり易くなる。したがって、図6Aおよび図6Bに示されるように、幅が広い部分でも電子密度が低くなることを抑制でき、図2に示されるように、幅が広い部分でも電子移動度が低くなることを抑制できる。これにより、矢印Aのように幅が広い部分で電流が減少させられることを抑制できる。つまり、本実施形態の半導体装置によれば、チャネル抵抗を十分に低下でき、オン抵抗が増加することを抑制できる。
なお、図5Aおよび図6Aは、ベース層13とソース領域14およびコンタクト領域との界面における電子密度を示すである。図5Bおよび図6Bは、ベース層13とドリフト層12との界面における電子密度を示す図である。
以上説明した本実施形態によれば、ベース層13は、幅が広い部分では、幅が狭い部分よりも不純物濃度が低くされている。このため、ベース層13は、オン状態である際、幅が広い部分においても、隣合うトレンチ15と接する部分に形成される反転層同士が繋がり易くなる。したがって、幅が広い部分でも電子密度が低くなることを抑制でき、電子移動度が低くなることを抑制できるため、チャネル抵抗を十分に低下でき、オン抵抗が増加することを抑制できる。
(1)本実施形態では、トレンチ15は、成す角度θ1が84.3°以上であって90°未満とされている。このため、隣合うトレンチ15の間において、半導体基板10の一面10aが消滅してしまうことを抑制できる。したがって、第1電極19と半導体基板10の一面10a(すなわち、ソース領域14およびコンタクト領域)との接続不良が発生することを抑制できる。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、トレンチ15の形状およびベース層13の不純物濃度分布を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、トレンチ15の形状およびベース層13の不純物濃度分布を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の半導体装置では、図7に示されるように、トレンチ15は、一面10a側から他面10b側に向かって開口幅が広くなる逆テーパ状とされている。このため、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13は、一面10a側から他面10b側に向かって幅が狭くなる順テーパ状となる。そして、ベース層13は、一面10a側に位置する部分の不純物濃度が他面10b側に位置する部分の不純物濃度よりも低くされている。なお、ベース層13は、他面10b側から一面10a側に向かって連続的に不純物濃度が低くなるように調整されていてもよいし、段階的に不純物濃度が低くなるように調整されていてもよい。本実施形態では、ベース層13は、他面10b側から一面10a側に向かって連続的に不純物濃度が低くなるように調整されている。
また、トレンチ15は、上記のように逆テーパ状とされており、図8に示されるように、仮想面Sとの成す角度θ2が次のように調整されている。すなわち、上記のような半導体装置では、ベース層13の厚さが0.2μm以上とされ、トレンチ15がベース層13を貫通するように形成される。このため、本実施形態では、ベース層13のうちの一面10a側に位置する部分と、トレンチ15の底部までの長さL2は、0.2μm以上とされる。また、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13のうちの最も広い部分の幅dは、上記のように0.1μm以下とされる。そして、成す角度θ2は、隣合うトレンチ15の間に位置する根本部分が完全な頂角とならないように、90°より大きく、104°未満とされている。言い換えると、成す角度θ2は、隣合うトレンチ15の底部が繋がらないように、90°より大きく、104°未満とされている。
なお、このようなトレンチ15は、ドライエッチングにてエッチング工程と保護膜形成工程とが繰り返し行われるようにし、保護膜形成工程にて他面10b側の側面に配置される保護膜が薄くなるようにすればよい。
以上説明した本実施形態によれば、ベース層13は、幅が広い部分では幅が狭い部分よりも不純物濃度が低くされているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、トレンチ15は、成す角度θ2が90°より大きく、104°未満とされている。このため、隣合うトレンチ15の間において、隣合うトレンチ15の底部で挟まれる根本部分が消失することを抑制できる。
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態および第2実施形態のトレンチ15の形状を組み合わせたものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態および第2実施形態のトレンチ15の形状を組み合わせたものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の半導体装置では、図9に示されるように、トレンチ15は、一面10a側の部分が逆テーパ状とされ、他面10b側の部分が順テーパ状とされている。つまり、本実施形態のトレンチ15は、逆テーパ状とされた部分と、順テーパ状とされた部分を含んで構成されている。
そして、ベース層13は、隣合うトレンチ15の間に位置する部分において、幅が広い分では幅が狭い部分よりも不純物濃度が低くされている。本実施形態では、ベース層13は、逆テーパ状とされたトレンチ15と順テーパ状とされたトレンチ15とが繋がる部分と同じ深さに位置する部分の不純物濃度が高くされ、この部分から一面10a側および他面10b側に向かって不純物濃度が低くされている。
以上説明した本実施形態によれば、ベース層13は、幅が広い部分では幅が狭い部分よりも不純物濃度が低くされているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態の半導体装置では、トレンチ15は、一面10a側の部分が順テーパ状とされ、他面10b側の部分が逆テーパ状とされていてもよい。この場合は、ベース層13は、逆テーパ状とされたトレンチ15と順テーパ状とされたトレンチ15とが繋がる部分と同じ深さに位置する部分の不純物濃度が低くされ、この部分から一面10a側および他面10b側に向かって不純物濃度が高くなるように構成される。
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対し、半導体基板10の面方向に電流が流れる横型の半導体装置としたものである。その他に関しては、第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対し、半導体基板10の面方向に電流が流れる横型の半導体装置としたものである。その他に関しては、第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の半導体基板10は、図10に示されるように、p+型の基板11上に、p型のベース層13が配置されて構成されている。ベース層13の表層部には、互いに離れるように、n+型のソース領域14とn+型のドレイン領域21とが形成されている。本実施形態では、以上のようにして半導体基板10が構成されている。そして、半導体基板10は、ベース層13、ソース領域14、ドレイン領域21等を含んで一面10aが構成され、他面10bが基板11で構成されている。なお、図10では省略しているが、実際には、半導体基板10の一面10a側に層間絶縁膜18、第1電極19および第2電極20が配置されている。また、第1電極19は、ソース領域14およびベース層13と接続され、第2電極20がドレイン領域21と接続されている。そして、本実施形態では、ドレイン領域21が第2不純物領域に相当している。
半導体基板10には、ベース層13、ソース領域14およびドレイン領域21を貫通して基板11に達するように、トレンチ15が形成されている。つまり、ソース領域14およびドレイン領域21は、トレンチ15と接するように形成されている。そして、トレンチ15には、上記第1実施形態と同様に、ゲート絶縁膜16およびゲート電極17が埋め込まれている。
なお、図10では、1本のトレンチ15のみを図示しているが、実際には、複数本のトレンチ15がストライプ状となるように形成されて半導体装置が構成されている。
また、本実施形態のトレンチ15は、上記第2実施形態と同様に、一面10a側から他面10b側に向かって開口幅が広くなる逆テーパ状とされている。このため、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13は、一面10a側から他面10b側に向かって幅が狭くなる順テーパ状となる。そして、ベース層13は、上記第2実施形態と同様に、隣合うトレンチ15の間に位置する部分において、幅が広い部分では、幅が狭い部分よりも不純物濃度が低くされている。
以上が本実施形態における半導体装置の構成である。そして、本実施形態の半導体装置では、ゲート電極17に所定の閾値電圧以上の電圧が印加されると、半導体基板10の面方向に沿って電流が流れる。
以上説明した本実施形態によれば、ベース層13は、幅が広い部分では幅が狭い部分よりも不純物濃度が低くされているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、このようなベース層13の構成は、半導体基板10の面方向に沿って電流が流れる半導体装置に適用することもできる。
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第4実施形態に対し、トレンチ15の長手方向に沿った幅を変化させたものである。その他に関しては、第4実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第4実施形態に対し、トレンチ15の長手方向に沿った幅を変化させたものである。その他に関しては、第4実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の半導体装置では、図11に示されるように、トレンチ15は、長手方向に沿って幅が変化している。本実施形態では、トレンチ15は、ソース領域14側からドレイン領域21側に向かって開口幅が広くなるように形成されている。なお、このようなトレンチ15は、製造上の誤差等によって形成され得る。そして、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13は、ドレイン領域21側からベース層13側に向かって不純物濃度が低くされている。
以上説明した本実施形態によれば、ベース層13は、幅が広い部分では幅が狭い部分よりも不純物濃度が低くされているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
例えば、上記各実施形態では、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたnチャネルタイプのトレンチゲート構造のMOSFETが形成された半導体装置を説明した。しかしながら、これは一例を示したに過ぎず、例えば、nチャネルタイプに対して各構成要素の導電型を反転させたpチャネルタイプのトレンチゲート構造のMOSFETが形成されて半導体装置が構成されていてもよい。さらに、半導体装置は、MOSFET以外に、同様の構造のIGBTが形成された構成とされていてもよい。IGBTの場合、例えば、上記第1実施形態では、n+型の基板11をp+型の基板11に変更する以外は、上記第1実施形態で説明したMOSFETと同様である。さらに、上記各実施形態の半導体装置は、ダイオード素子等の別の半導体素子が一体的に形成されていてもよい。
また、上記各実施形態において、ドリフト層12とベース層13との間に、ドリフト層12よりも高不純物濃度とされたn+型のキャリア拡散層を形成し、さらにオン抵抗の低減を図ることができるようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態において、隣合うトレンチ15の間に位置するベース層13は、一部のベース層13の不純物濃度が上記のように調整され、残りのベース層13は、深さ方向に沿って不純物濃度が一定とされていてもよい。つまり、上記各実施形態の半導体装置は、隣合うトレンチ15の間に位置する全てのベース層13の不純物濃度が調整されるのでのではなく、一部のベース層13の不純物濃度が上記各実施形態のように調整されていてもよい。
そして、上記各実施形態を適宜組み合わせることもできる。例えば、上記第1実施形態を上記第4、第5実施形態に組み合わせ、トレンチ15は、一面10a側から他面10b側に向かって開口幅が狭くなる順テーパ状とされていてもよい。上記第3実施形態を上記第、第5実施形態に組み合わせ、トレンチ15は、順テーパ状とされた部分と逆テーパ状とされた部分とを含んで構成されていてもよい。
10 半導体基板
10a 一面
10b 他面
11 基板(第2不純物領域)
13 ベース層
14 ソース領域(第1不純物領域)
15 トレンチ
16 ゲート絶縁膜
17 ゲート電極
19 第1電極
20 第2電極
10a 一面
10b 他面
11 基板(第2不純物領域)
13 ベース層
14 ソース領域(第1不純物領域)
15 トレンチ
16 ゲート絶縁膜
17 ゲート電極
19 第1電極
20 第2電極
Claims (6)
- トレンチゲート構造を有する半導体装置であって、
ワイドバンドギャップ半導体材料で構成され、第1導電型のベース層(13)と、前記ベース層の表層部に配置された第2導電型の第1不純物領域(14)と、前記第1不純物領域と離れて配置された第1導電型または第2導電型の第2不純物領域(11、21)と、を有し、前記ベース層の表層部側の面を一面(10a)とし、前記一面と反対側の面を他面(10b)とする半導体基板(10)と、
前記半導体基板の面方向における一方向を長手方向として前記半導体基板の一面側から複数のトレンチ(15)が形成され、前記トレンチ(15)の壁面上に配置されたゲート絶縁膜(16)と、前記ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極(17)と、を有する複数のトレンチゲート構造と、
前記第1不純物領域および前記ベース層と電気的に接続される第1電極(19)と、
前記第2不純物領域と電気的に接続される第2電極(20)と、を備え、
前記ゲート電極に所定の電圧が印加されて前記ベース層のうちの前記トレンチと接する部分にチャネル領域が形成されることで前記第1電極と前記第2電極との間に電流が流れ、
隣合う前記トレンチは、前記ゲート電極に所定の電圧が印加された際、それぞれの前記トレンチと接する前記ベース層に形成されるチャネル領域が繋がる間隔で形成され、
前記トレンチは、前記半導体基板の面方向に対する法線方向に対して側面が傾斜したテーパ状とされ、
前記長手方向と交差する方向であって、前記半導体基板の面方向に沿った方向の長さを幅とすると、前記ベース層は、隣合うトレンチの間に位置する部分において、幅が広い部分の不純物濃度が、幅が狭い部分の不純物濃度より低くなる部分を含んで構成されている半導体装置。 - 前記トレンチは、前記一面側から前記他面側に向かって開口幅が狭くなる順テーパ状とされた部分を有し、
前記順テーパ状とされた部分は、前記半導体基板の面方向に沿った仮想面(S)と側面との成す角度(θ1)が84.2°以上であって90°未満とされている請求項1に記載の半導体装置。 - 前記トレンチは、前記一面側から前記他面側に向かって開口幅が広くなる逆テーパ状とされた部分を有し、
前記逆テーパ状とされた部分は、前記半導体基板の面方向に沿った仮想面(S)と前記側面との成す角度(θ2)が90°より大きく104°未満とされている請求項1または2に記載の半導体装置。 - 前記トレンチは、前記長手方向に沿って、開口幅が異なる部分を有し、
前記ベース層は、前記長手方向において、幅が広い部分の不純物濃度が、幅が狭い部分の不純物濃度より低くなる部分を含んで構成されている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。 - 前記第1電極は、前記半導体基板の一面側に配置され、
前記第2電極は、前記半導体基板の他面側に配置されており、
前記半導体基板の厚さ方向に沿って前記電流が流れる請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置。 - 前記第1電極および前記第2電極は、前記半導体基板の一面側に配置され、
前記半導体基板の面方向に沿って前記電流が流れる請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022037484A JP2023132262A (ja) | 2022-03-10 | 2022-03-10 | 半導体装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022037484A JP2023132262A (ja) | 2022-03-10 | 2022-03-10 | 半導体装置 |
Publications (1)
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JP2023132262A true JP2023132262A (ja) | 2023-09-22 |
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ID=88065880
Family Applications (1)
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JP2022037484A Pending JP2023132262A (ja) | 2022-03-10 | 2022-03-10 | 半導体装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2023132262A (ja) |
-
2022
- 2022-03-10 JP JP2022037484A patent/JP2023132262A/ja active Pending
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