JP2023131321A - 位相分布設計方法、位相分布設計装置、位相分布設計プログラム及び記録媒体 - Google Patents

位相分布設計方法、位相分布設計装置、位相分布設計プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の光像の位相を互いに同期させることが可能な位相分布設計方法を提供する。【解決手段】第2ステップでは、振幅分布211を目標振幅分布214に置き換えた後の実空間の関数213を、フーリエ変換B6により、振幅分布221及び位相分布222を含む波数空間の関数223に変換する。第3ステップでは、関数223の位相分布222を、二以上の位相変調領域のうちの一つの位相変調領域における関数223の位相分布222に揃え、関数223の振幅分布221を目標振幅分布204に置き換え、関数223を、逆フーリエ変換B2により、振幅分布231及び位相分布232を含む実空間の関数233に変換する。以降、第2ステップの関数213を関数233に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップを繰り返す。最後の第3ステップにより逆フーリエ変換された関数233の位相分布232を、各位相変調領域の位相分布とする。【選択図】図13

Description

本開示は、位相分布設計方法、位相分布設計装置、位相分布設計プログラム及び記録媒体に関する。
特許文献1には、異屈折率領域が二次元状に分布する位相変調層を備える半導体発光素子が記載されている。位相変調層に活性層から光が供給され、位相変調層の厚さ方向に垂直な面内を光が共振することにより、位相変調層の厚さ方向に対して傾斜する方向に任意の光像が出力される。特許文献1には、正方格子の格子点まわりの異屈折率領域の重心の回転角度の分布、すなわち位相変調層の位相分布を、所望の光像に基づく反復フーリエ法(GS法)を用いて設計する方法が記載されている。
特開2018-206921号公報
Pengfei Qiao et al., "Recent advances in high -contrastmetastructures, metasurfaces, and photonic crystals", Advances in Opticsand Photonics, Volume 10, Issue 1, pp. 180-245 (2018)
二次元状に配列された複数の発光点から出力される光の位相スペクトルおよび強度スペクトルを制御することにより任意の光像を出力するデバイスが研究されている。従来、このようなデバイスとしては、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調するものが知られている。例えば、S-iPM(Static-integrablePhase Modulating)レーザと呼ばれる半導体発光素子は、基板上に設けられた位相変調層を含む構造を備える。位相変調層は、基本層と、それぞれが基本層の屈折率とは異なる屈折率を有する複数の異屈折率領域と、を含む。この位相変調層の厚さ方向に直交した面上において仮想的な正方格子が設定された場合、各重心位置それぞれが、出力されるべき光像に基づいて設計された位相分布に応じて正方格子の対応する格子点の位置からずれるよう、異屈折率領域それぞれが配置される。この半導体発光素子は、基板の主面の法線方向に対して傾斜した方向に、任意形状の光像を形成する光を出力する。
従来、このようなデバイスとしては、特許文献1に記載された半導体発光素子のように、複数の点における位相値の分布(位相分布)が、単一の光像に基づいて設計される。一方、複数の光像を一つの領域に重ね合わせて干渉させ、ホログラムを形成する技術がある。このような技術においては、得られるホログラムに所定の干渉効果を生じさせるために、複数の光像の位相が互いに同期していることが望まれる。しかしながら、複数の光像それぞれを生成する位相分布を個別に設計する場合、複数の光像の位相を互いに同期させることは困難である。
本開示は、複数の光像の位相を互いに同期させることが可能な位相分布設計方法、位相分布設計装置、位相分布設計プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
本開示による第1の位相分布設計方法は、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計する方法である。第1の位相分布設計方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を含む。第1ステップでは、位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、位相変調領域毎に、第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する。第2ステップでは、各位相変調領域における第2関数の実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する。第3ステップでは、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を、二以上の位相変調領域のうちの一つの位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布に揃えるとともに、各位相変調領域における第3関数の波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する。第1の位相分布設計方法では、上記の第1ステップないし第3ステップ以降、第2ステップの第2関数を第4関数に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップを繰り返す。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数の実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする。
本開示による第1の位相分布設計装置は、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計する装置である。第1の位相分布設計装置は、第1処理部と、第2処理部と、第3処理部と、を含む。第1処理部は、位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、位相変調領域毎に、第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する。第2処理部は、各位相変調領域における第2関数の実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する。第3処理部は、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を、二以上の位相変調領域のうちの一つの位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布に揃えるとともに、各位相変調領域における第3関数の波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する。第1の位相分布設計装置では、第2処理部において第2関数を第4関数に置き換えながら第2処理部及び第3処理部が動作を繰り返したのち、第3処理部により最後に変換された第4関数の実空間の位相分布が各位相変調領域の位相分布とされる。
本開示による第1の位相分布設計プログラムは、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計するプログラムである。第1の位相分布設計プログラムは、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、をコンピュータに実行させる。第1ステップでは、位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、位相変調領域毎に、第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する。第2ステップでは、各位相変調領域における第2関数の実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する。第3ステップは、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を、二以上の位相変調領域のうちの一つの位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布に揃えるとともに、各位相変調領域における第3関数の波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する。第1の位相分布設計プログラムでは、上記の第1ステップないし第3ステップ以降、第2ステップの第2関数を第4関数に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップを繰り返しコンピュータに実行させる。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数の実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする。
従来、単一の位相変調領域の位相分布を設計する際には、上記の第1ステップ及び第2ステップ(または、第1処理部及び第2処理部の動作)ののち、第3関数の波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換える。そして、置き換え後の第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する。それ以降、第2ステップ(第2処理部)の第2関数を第4関数に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップ(または、第2処理部及び第3処理部の動作)を繰り返し行う。これと同様の設計方法を複数の位相変調領域の位相分布に対して個別に(独立して)適用すると、複数の位相変調領域からそれぞれ出力される複数の光像の位相は互いに同期しない。
そこで、上記の第1の位相分布設計方法、第1の位相分布設計装置、及び第1の位相分布設計プログラムでは、第3ステップ(第3処理部)において、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を、二以上の位相変調領域のうちの一つの位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布に揃える。これにより、複数の位相変調領域からそれぞれ出力される複数の光像の位相を互いに同期させることができる。従って、複数の光像を一つの領域に重ね合わせて形成するホログラムに所定の干渉効果を生じさせることができる。
第1の位相分布設計方法、第1の位相分布設計装置、及び第1の位相分布設計プログラムでは、第3ステップまたは第3処理部の動作を繰り返す際に前記一つの位相変調領域を固定してもよい。本発明者のシミュレーションによれば、特にこのような場合に複数の光像の位相を精度良く同期させることができる。
本開示による第2の位相分布設計方法は、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計する方法である。第2の位相分布設計方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を含む。第1ステップでは、位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、位相変調領域毎に、第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する。第2ステップでは、各位相変調領域における第2関数の実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する。第3ステップでは、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を二以上の位相変調領域間で同一である所定の分布に置き換えるか、又は、各位相変調領域における第3関数の波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する。この方法では、上記の第1ステップないし第3ステップ以降、第2ステップの第2関数を第4関数に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップを繰り返し行い、その際、第3ステップにおいて波数空間の位相分布の置き換えと波数空間の振幅分布の置き換えとを交互に行う。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数の実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする。
本開示による第2の位相分布設計装置は、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計する装置である。第2の位相分布設計装置は、第1処理部と、第2処理部と、第3処理部と、を備える。第1処理部は、位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、位相変調領域毎に、第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する。第2処理部は、各位相変調領域における第2関数の実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する。第3処理部は、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を二以上の位相変調領域間で同一である所定の分布に置き換えるか、又は、各位相変調領域における第3関数の波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する。第2の位相分布設計装置では、第2処理部において第2関数を第4関数に置き換えながら第2処理部及び第3処理部が動作を繰り返す。その際、第3処理部は、波数空間の位相分布の置き換えと波数空間の振幅分布の置き換えとを交互に行う。第3処理部により最後に変換された第4関数の実空間の位相分布が、各位相変調領域の位相分布とされる。
本開示による第2の位相分布設計プログラムは、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計するプログラムである。第2の位相分布設計プログラムは、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、をコンピュータに実行させる。第1ステップでは、位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、位相変調領域毎に、第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する。第2ステップでは、各位相変調領域における第2関数の実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する。第3ステップでは、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を二以上の位相変調領域間で同一である所定の分布に置き換えるか、又は、各位相変調領域における第3関数の波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する。第1の位相分布設計プログラムでは、上記の第1ステップないし第3ステップ以降、第2ステップの第2関数を第4関数に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップを繰り返しコンピュータに実行させる。その際、第3ステップにおいて波数空間の位相分布の置き換えと波数空間の振幅分布の置き換えとを交互に行う。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数の実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする。
上記の第2の位相分布設計方法、第2の位相分布設計装置、及び第2の位相分布設計プログラムでは、第2ステップ及び第3ステップを繰り返す際(または第2処理部及び第3処理部が動作を繰り返す際)、第3ステップ(または第3処理部の動作)の2回のうち1回は、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を、二以上の位相変調領域間で同一である所定の分布に置き換える。これにより、複数の位相変調領域からそれぞれ出力される複数の光像の位相を互いに同期させることができる。従って、複数の光像を一つの領域に重ね合わせて形成するホログラムに所定の干渉効果を生じさせることができる。
第2の位相分布設計方法、第2の位相分布設計装置、及び第2の位相分布設計プログラムでは、所定の分布における複数の点の位相値が互いに等しくてもよい。本発明者のシミュレーションによれば、特にこのような場合に複数の光像の位相を精度良く同期させることができる。この場合、所定の分布における複数の点の位相値がゼロであってもよい。
第2の位相分布設計方法、第2の位相分布設計装置、及び第2の位相分布設計プログラムでは、第3ステップの繰り返し毎に所定の分布が不変であってもよい。本発明者のシミュレーションによれば、特にこのような場合に複数の光像の位相を精度良く同期させることができる。
第1及び第2の位相分布設計方法、第1及び第2の位相分布設計装置、並びに第1及び第2の位相分布設計プログラムでは、波数空間の振幅分布の初期値を、波数空間の目標振幅分布に設定してもよい。この場合、少ない繰り返し回数で、光像を所定の目標強度分布に精度良く近づけることができる。
第1及び第2の位相分布設計方法、第1及び第2の位相分布設計装置、並びに第1及び第2の位相分布設計プログラムでは、波数空間の位相分布の初期値をランダムな分布に設定してもよい。
本開示による別の位相分布設計方法は、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計する方法である。この位相分布設計方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を含む。第1ステップでは、位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、位相変調領域毎に、第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する。第2ステップでは、各位相変調領域における第2関数の実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する。第3ステップでは、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を二以上の位相変調領域間で同一である分布に置き換える第1処理、及び、各位相変調領域における第3関数の波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換える第2処理の一方又は双方を行い、位相変調領域毎に、置き換え後の第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する。この方法では、上記の第1ステップないし第3ステップ以降、第2ステップの第2関数を第4関数に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップを繰り返し行う。その際、各第3ステップにおいて第1処理及び第2処理のうち一方の処理のみ行う場合には、第3ステップの繰り返し毎に第1処理と第2処理とを交互に行う。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数の実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする。
本開示による別の位相分布設計装置は、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計する装置である。この位相分布設計装置は、第1処理部と、第2処理部と、第3処理部と、を備える。第1処理部では、位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、位相変調領域毎に、第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する。第2処理部では、各位相変調領域における第2関数の実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する。第3処理部では、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を二以上の位相変調領域間で同一である分布に置き換える第1処理、及び、各位相変調領域における第3関数の波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換える第2処理の一方又は双方を行い、位相変調領域毎に、置き換え後の第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する。この装置では、第2処理部の第2関数を第4関数に置き換えながら第2処理部及び第3処理部が動作を繰り返す。その際、第3処理部は、第1処理及び第2処理のうち一方の処理のみ行う場合には、第3処理部の動作の繰り返し毎に第1処理と第2処理とを交互に行う。そして、第3処理部により最後に変換された第4関数の実空間の位相分布が、各位相変調領域の位相分布とされる。
本開示による別の位相分布設計プログラムは、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計するプログラムである。この位相分布設計プログラムは、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、をコンピュータに実行させる。第1ステップでは、位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、位相変調領域毎に、第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する。第2ステップでは、各位相変調領域における第2関数の実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、位相変調領域毎に、置き換え後の第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する。第3ステップでは、各位相変調領域における第3関数の波数空間の位相分布を二以上の位相変調領域間で同一である分布に置き換える第1処理、及び、各位相変調領域における第3関数の波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換える第2処理の一方又は双方を行い、位相変調領域毎に、置き換え後の第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する。このプログラムでは、上記の第1ステップないし第3ステップ以降、第2ステップの第2関数を第4関数に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップを繰り返し行う。その際、各第3ステップにおいて第1処理及び第2処理のうち一方の処理のみ行う場合には、第3ステップの繰り返し毎に第1処理と第2処理とを交互に行う。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数の実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする。
本開示による記録媒体は、上記いずれかの位相分布設計プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本開示によれば、複数の光像の位相を互いに同期させることが可能な位相分布設計方法、位相分布設計装置、位相分布設計プログラム及び記録媒体を提供できる。
図1は、本実施形態の位相分布設計方法が適用される半導体発光素子の積層構造を示す断面図である。 図2は、位相変調層の平面図(厚さ方向から見た図)である。 図3は、位相変調領域の一部を拡大して示す平面図である。 図4は、一つの単位構成領域を拡大して示す図である。 図5は、球面座標からXYZ直交座標系における座標への座標変換を説明するための図である。 図6は、接続領域の一部を拡大して示す平面図である。 図7は、第1電極及び第2電極の平面形状、並びに第1電極及び第2電極に電流を供給するための構成を模式的に示す図である。 図8は、位相変調領域における電磁界分布を示す図である。図8の(a)部は、M点での対称性Aの共振モードにおける電磁界分布を示す。図8の(b)部は、M点での対称性Bの共振モードにおける電磁界分布を示す。 図9は、比較例に係る電磁界分布を示す図である。図9の(a)部は、M点での対称性Aの共振モードにおける電磁界分布を示す。図9の(b)部は、M点での対称性Bの共振モードにおける電磁界分布を示す。 図10は、複数の位相変調領域から出力される複数の光像の例を概念的に示す図である。 図11は、複数の位相変調領域から出力される複数の光像の別の例を概念的に示す図である。 図12は、複数の位相変調領域から出力される複数の光像の更に別の例を概念的に示す図である。 図13は、第1の設計方法を概念的に示す図である。 図14は、X方向に2列、Y方向に2行の計4個の位相変調領域を有する位相変調層を示す図である。 図15は、第1行に含まれる2個の位相変調領域が位相分布パターンBを有し、第2行に含まれる2個の位相変調領域が位相分布パターンAを有する位相変調層を示す図である。 図16は、位相分布パターンA,Bの設計方法を概念的に示す図である。 図17は、X方向にm列、Y方向にn行の計m×n個の位相変調領域を有する位相変調層を示す図である。 図18は、m×n個の位相分布パターンの設計方法を概念的に示す図である。 図19の(a)部は、第1の設計方法を行うことができる位相分布設計装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図19の(b)部は、第1の設計方法を行うことができる位相分布設計装置の機能ブロック図である。 図20は、第2の設計方法を概念的に示す図である。 図21は、位相分布パターンA,Bの設計方法を概念的に示す図である。 図22は、m×n個の位相分布パターンの設計方法を概念的に示す図である。 図23は、第2の設計方法を行うことができる位相分布設計装置の構成を示すブロック図である。 図24は、比較例として、第3の設計方法を概念的に示す図である。 図25の(a)部は、位相分布パターンAを設計する際に設定した、照射領域(遠方界)における所望の光像を示す。図25の(b)部は、(a)部に示された光像を波数空間に変換したもの、すなわち波数空間における目標振幅分布を示す。図25の(c)部は、(b)部に示された目標振幅分布に基づいて算出された、位相分布パターンAを示す図である。 図26の(a)部は、位相分布パターンBを設計する際に設定した、照射領域(遠方界)における所望の光像を示す。図26の(b)部は、(a)部に示された光像を波数空間に変換したもの、すなわち波数空間における目標振幅分布を示す。図26の(c)部は、(b)部に示された目標振幅分布に基づいて算出された、位相分布パターンBを示す図である。 図27の(a)部は、一方の対角線上に位置する2個の位相変調領域それぞれに位相分布パターンAを与え、他方の対角線上に位置する2個の位相変調領域それぞれに位相分布パターンBを与えた様子を示す図である。図27の(b)部は、各電極部分の電流を個別に制御することによって実現される、一方の対角線上に位置する2個の位相変調領域の光強度と、他方の対角線上に位置する2個の位相変調領域の光強度との違いを概念的に示す図である。 図28は、位相分布パターンAを有する2個の位相変調領域から出射される光像と、位相分布パターンBを有する2個の位相変調領域から出射される光像とを互いに干渉させたときに想定される、最終的な光像を示す図である。 図29の(a)部は、第1の設計方法によって得られた最終的な光像を示す。図29の(b)部は、第2の設計方法によって得られた最終的な光像を示す。図29の(c)部は、比較例としての第3の設計方法によって得られた最終的な光像を示す。 図30の(a)部は、位相分布パターンAを設計する際に設定した、照射領域(遠方界)における所望の光像を示す。図30の(b)部は、(a)部に示された光像を波数空間に変換したもの、すなわち波数空間における目標振幅分布を示す。図30の(c)部は、(b)部に示された目標振幅分布に基づいて算出された、位相分布パターンAを示す図である。 図31の(a)部は、位相分布パターンBを設計する際に設定した、照射領域(遠方界)における所望の光像を示す。図31の(b)部は、(a)部に示された光像を波数空間に変換したもの、すなわち波数空間における目標振幅分布を示す。図31の(c)部は、(b)部に示された目標振幅分布に基づいて算出された、位相分布パターンBを示す図である。 図32の(a)部は、一方の対角線上に位置する2個の位相変調領域それぞれに位相分布パターンAを与え、他方の対角線上に位置する2個の位相変調領域それぞれに位相分布パターンBを与えた様子を示す図である。図32の(b)部は、各電極部分の電流を個別に制御することによって実現される、一方の対角線上に位置する2個の位相変調領域の光強度と、他方の対角線上に位置する2個の位相変調領域の光強度との違いを概念的に示す図である。 図33は、位相分布パターンAを有する位相変調領域から出射される光像と、位相分布パターンBを有する位相変調領域から出射される光像とを互いに干渉させたときに想定される、最終的な光像を示す図である。 図34は、シミュレーションによって得られた最終的な光像を示す図である。 図35は、シミュレーションによって得られた最終的な光像を示す図である。
本開示の位相分布設計方法、位相分布設計装置、位相分布設計プログラム及び記録媒体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態の位相分布設計方法が適用される半導体発光素子1の積層構造を示す断面図である。図1では、半導体発光素子1の厚さ方向に延びる軸をZ軸とするXYZ直交座標系を定義している。半導体発光素子1は、XY面内方向において定在波を形成し、位相制御された平面波をその厚み方向と交差する方向に出力するレーザ光源である。半導体発光素子1は、S-iPMレーザであり、半導体基板10の主面10aに垂直な方向すなわちZ方向、又はZ方向に対して傾斜した方向、或いはその両方を含む方向に向けて、任意形状の光像を出力することができる。
半導体発光素子1は、半導体基板10を備える。半導体基板10は、主面10a及び裏面10bを有する。主面10a及び裏面10bの法線方向、及び半導体基板10の厚さ方向はZ方向に沿っている。半導体基板10は、例えばGaAs系半導体、InP系半導体、もしくは窒化物系半導体といった化合物半導体によって構成されている。
半導体発光素子1は、半導体積層20を更に備える。半導体積層20は、半導体基板10の主面10a上に設けられている。半導体積層20の積層方向はZ方向に沿っている。半導体積層20は、第1面20aと第2面20bとの間に、クラッド層11、活性層12、クラッド層13、コンタクト層14、及び位相変調層15を含む積層構造を有する。半導体積層20の第2面20bは、半導体基板10の主面10aと対向している。図示例では、クラッド層11が半導体基板10の主面10a上に設けられ、活性層12がクラッド層11上に設けられ、位相変調層15が活性層12上に設けられ、クラッド層13が位相変調層15上に設けられ、コンタクト層14がクラッド層13上に設けられている。すなわち、クラッド層11,13は活性層12及び位相変調層15を挟んでいる。なお、図示例では位相変調層15は活性層12とクラッド層13との間に設けられているが、位相変調層15はクラッド層11と活性層12との間に設けられてもよい。活性層12とクラッド層13との間、及び活性層12とクラッド層11との間の一方又は双方には、必要に応じて光ガイド層が設けられてもよい。光ガイド層は、キャリアを活性層12に効率的に閉じ込めるためのキャリア障壁層を含んでもよい。
クラッド層11、活性層12、クラッド層13、及びコンタクト層14は、例えばGaAs系半導体、InP系半導体、もしくは窒化物系半導体といった化合物半導体によって構成されている。活性層12は、例えば多重量子井戸構造を有する。クラッド層11のエネルギーバンドギャップ、及びクラッド層13のエネルギーバンドギャップは、活性層12のエネルギーバンドギャップよりも大きい。クラッド層11、活性層12、クラッド層13、及びコンタクト層14の厚さ方向は、Z軸方向と一致している。
位相変調層15は、活性層12と光学的に結合されている。位相変調層15の厚さ方向は、Z軸方向と一致している。図2は、位相変調層15の平面図(厚さ方向から見た図)である。図1及び図2に示されるように、位相変調層15は、複数の位相変調領域151と、接続領域152とを有する。半導体積層20の積層方向から見た接続領域152の平面形状は、例えば格子状である。複数の位相変調領域151それぞれは、格子状に形成された接続領域152の複数の開口部152aそれぞれに設けられている。
複数の位相変調領域151それぞれの平面形状は例えば正方形または長方形である。複数の位相変調領域151は、位相変調層15の厚さ方向と垂直な(言い換えると、XY平面と平行な)仮想平面Pに沿って二次元的に並んでおり、互いに光学的に結合されている。図示例では、複数の位相変調領域151はX方向及びY方向に沿って配列されている。なお、図示例では複数の位相変調領域151が二次元的に並んでいるが、複数の位相変調領域151は一次元的に並んでもよい。図示例では、複数の位相変調領域151は互いに間隔をあけて設けられている。接続領域152は、互いに隣り合う位相変調領域151の間に設けられた部分152bと、複数の位相変調領域151を一括して囲む枠状の部分152cとを含む。
図1に示されるように、複数の位相変調領域151それぞれは、基本領域15aと、複数の異屈折率領域15bとを含んで構成されている。同様に、接続領域152もまた、基本領域15aと、複数の異屈折率領域15bとを含んで構成されている。基本領域15aは第1屈折率媒質からなる。基本領域15aは、例えばGaAs系半導体、InP系半導体、もしくは窒化物系半導体といった化合物半導体によって構成されている。複数の異屈折率領域15bは、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなり、基本領域15a内に存在する。異屈折率領域15bは例えば空洞である。異屈折率領域15bは、基本領域15a上に設けられたキャップ領域15cによって覆われる。キャップ領域15cは、位相変調層15の一部を構成し、例えば基本領域15aと同じ材料からなる。
複数の異屈折率領域15bは、仮想平面Pに沿って二次元状に分布する。各位相変調領域151において、複数の異屈折率領域15bは、格子状の略周期構造を含んでいる。モードの等価屈折率をnとし、格子間隔をaとした場合、各位相変調領域151によって選択される波長λは、例えばM点発振の場合、λ=(√2)a×nとして表される。この波長λは、活性層12の発光波長範囲内に含まれる。各位相変調領域151は、活性層12の発光波長のうち波長λ近傍のバンド端波長を選択して、外部に出力することができる。活性層12から各位相変調領域151内に入射した光は、各位相変調領域151内において異屈折率領域15bの配置に応じた所定のモードを形成し、レーザ光Lとして、半導体基板10の裏面10bから半導体発光素子1の外部に出力される。
図3は、位相変調領域151の一部を拡大して示す平面図である。図3には一つの位相変調領域151のみを示すが、他の位相変調領域151の構成もこれと同様である。前述したように、位相変調領域151は、基本領域15aと、複数の異屈折率領域15bとを含んでいる。図3では、位相変調領域151に対し、仮想平面Pに沿った仮想的な正方格子を設定している。正方格子の一辺は、X軸と平行であり、他辺はY軸と平行である。正方格子の格子点Oを中心とする正方形状の単位構成領域Rは、X軸に沿った複数列及びY軸に沿った複数行にわたって二次元状に配列されている。各単位構成領域RのXY座標を、それぞれの単位構成領域Rの重心位置により規定する。これらの重心位置は、仮想的な正方格子の格子点Oと一致する。異屈折率領域15bは、各単位構成領域R内に例えば1つ設けられる。異屈折率領域15bの平面形状は、例えば円形状である。格子点Oは、異屈折率領域15bの外部に位置してもよく、異屈折率領域15bの内部に含まれていてもよい。
図4は、一つの単位構成領域Rを拡大して示す図である。同図に示すように、異屈折率領域15bのそれぞれは、重心Gを有する。異屈折率領域15bの重心Gは、格子点O毎に設定される直線D上に配置される。直線Dは、各単位構成領域Rに対応する格子点Oを通り、正方格子の各辺に対して傾斜する直線である。つまり、直線Dは、X軸及びY軸の双方に対して傾斜する直線である。正方格子の一辺、言い換えるとX軸に対する直線Dの傾斜角は、βである。
傾斜角βは、位相変調領域151内の全ての直線Dにおいて同一である。また、傾斜角βは、複数の位相変調領域151において同一である。傾斜角βは、0°<β<90°を満たし、一例ではβ=45°である。或いは、傾斜角βは、180°<β<270°を満たし、一例ではβ=225°である。傾斜角βが0°<β<90°または180°<β<270°を満たす場合、直線Dは、X軸及びY軸によって規定される座標平面の第1象限から第3象限にわたって延びる。傾斜角βは、90°<β<180°を満たし、一例ではβ=135°である。或いは、傾斜角βは、270°<β<360°を満たし、一例ではβ=315°である。傾斜角βが90°<β<180°または270°<β<360°を満たす場合、直線Dは、X軸及びY軸によって規定される座標平面の第2象限から第4象限にわたって延びる。このように、傾斜角βは、0°、90°、180°及び270°を除く角度となっている。
ここで、格子点Oと重心Gとの距離をr(x,y)とする。xは、X軸におけるx番目の格子点の位置であり、yは、Y軸におけるy番目の格子点の位置である。距離r(x,y)が正の値である場合、重心Gは、第1象限または第2象限に位置する。距離r(x,y)が負の値である場合、重心Gは、第3象限または第4象限に位置する。距離r(x,y)が0である場合、格子点Oと重心Gとが互いに一致する。傾斜角度は、45°、135°、225°、275°が好適である。これらの傾斜角度の場合、M点の定在波を形成する4つの波数ベクトル、例えば面内波数ベクトル(±π/a、±π/a)のうちの2つのみが位相変調され、その他の2つが位相変調されない。したがって、安定した定在波を形成することができる。
距離r(x,y)は、各位相変調領域151から出力されるべき光像に応じた位相分布φ(x,y)に従って異屈折率領域15b毎に個別に設定される。すなわち、或る座標(x,y)における位相φ(x,y)がφ0である場合には、距離r(x,y)を0と設定する。位相φ(x,y)がπ+φ0である場合には、距離r(x,y)を最大値R0に設定する。位相φ(x,y)が-π+φ0である場合には、距離r(x,y)を最小値-R0に設定する。そして、その中間の位相φ(x,y)に対しては、r(x,y)={φ(x,y)-φ0}×R0/πとなるように距離r(x,y)を設定する。仮想的な正方格子の格子間隔をaとすると、r(x,y)の最大値R0は、例えば下記式(1)の範囲内となる。

初期位相φ0は、任意に設定することができる。位相分布φ(x,y)及び距離r(x,y)の分布は、x,yの値で決まる位置毎に特定の値を有するが、必ずしも特定の関数で表わされるとは限らない。
複数の位相変調領域151それぞれの異屈折率領域15bの距離r(x,y)の分布を決定することにより、複数の位相変調領域151それぞれから所望の光像を出力させることができる。各位相変調領域151は、以下の条件を満たすよう構成される。
第1の前提条件として、正方形状を有するM×N個の単位構成領域Rにより構成される仮想的な正方格子をXY平面上に設定する。M,Nは1以上の整数である。
図5に示すように、動径の長さrと、Z軸からの傾き角θtiltと、XY平面上で特定されるX軸からの回転角θrotと、により規定される球面座標(r,θrottilt)を定義する。第2の前提条件として、XYZ直交座標系における座標(ξ,η,ζ)は、球面座標(r,θrottilt)に対して、以下の式(2)~式(4)で示された関係を満たしているものとする。図5は、球面座標(r,θrottilt)からXYZ直交座標系における座標(ξ,η,ζ)への座標変換を説明するための図である。座標(ξ,η,ζ)により、実空間であるXYZ直交座標系において設定される所定平面上の設計上の光像が表現される。


各位相変調領域151から出射される光を、角度θtilt及びθrotで規定される方向に向かう輝点の集合とする。このとき、角度θtiltおよびθrotは、座標値kx及びkyに換算されるものとする。座標値kxは、以下の式(5)で規定される規格化波数であって、X軸に対応したK軸上の座標値である。座標値kyは、以下の式(6)で規定される規格化波数であって、Y軸に対応すると共にK軸に直交するK軸上の座標値である。規格化波数は、仮想的な正方格子の格子間隔に相当する波数2π/aを1.0として規格化された波数を意味する。このとき、K軸およびK軸により規定される波数空間において、光像に相当するビームパターンを含む特定の波数範囲は、それぞれが正方形状であるM×N個の画像領域FRで構成される。M,Nは1以上の整数である。整数Mは、整数Mと一致する必要はない。整数Nは、整数Nと一致する必要はない。式(5)および式(6)は、例えば非特許文献1に開示されている。


a:仮想的な正方格子の格子定数
λ:半導体発光素子1の発振波長
波数空間において、画像領域FR(kx,ky)は、K軸方向の座標成分kxとK軸方向の座標成分kyとで特定される。座標成分kxは0以上M-1以下の整数である。座標成分kyは0以上N-1以下の整数である。XY平面上の単位構成領域R(x,y)は、X軸方向の座標成分xとY軸方向の座標成分yとで特定される。座標成分xは0以上M-1以下の整数である。座標成分yは0以上N-1以下の整数である。第3の前提条件として、画像領域FR(kx,ky)それぞれを単位構成領域R(x,y)に二次元逆離散フーリエ変換することで得られる複素振幅CA(x,y)は、jを虚数単位として、以下の式(7)で与えられる。複素振幅CA(x,y)は、振幅項をA(x,y)とすると共に位相項をφ(x,y)とするとき、以下の式(8)により規定される。第4の前提条件として、単位構成領域R(x,y)は、s軸およびt軸で規定される。s軸およびt軸は、X軸およびY軸にそれぞれ平行であって、単位構成領域R(x,y)の中心となる格子点O(x,y)において互いに直交する。なお、式(7)及び式(8)に示されたCA(x,y)は、図16及び図21におけるAiφ1及びAiφ2、並びに図18及び図22におけるA1,1φ1,1~Am,nφm,nに対応している。

上述した第1~第4の前提条件の下、各位相変調領域151は、以下の条件を満たすよう構成される。すなわち、格子点O(x,y)から対応する異屈折率領域15bの重心Gまでの距離r(x,y)が、下記の関係を満たすように、対応する異屈折率領域15bが単位構成領域R(x,y)内に配置される。
r(x,y)=C×(φ(x,y)-φ0
C:比例定数で例えばR0/π
φ0:任意の定数であって例えば0
所望の光像を得たい場合、当該光像を逆フーリエ変換して、その複素振幅の位相φ(x,y)に応じた距離r(x,y)の分布を複数の異屈折率領域15bに与えるとよい。位相φ(x,y)と距離r(x,y)とは、互いに比例してもよい。
図6は、接続領域152の一部を拡大して示す平面図である。図6には接続領域152の一部のみを示すが、接続領域152の他の部分の構成もこれと同様である。前述したように、接続領域152もまた、基本領域15aと、複数の異屈折率領域15bとを含んでいる。接続領域152においても、図3と同様の仮想的な正方格子を設定する。正方格子の一辺は、X軸と平行であり、他辺はY軸と平行である。正方格子の格子定数aは、位相変調領域151と正方格子の格子定数aと等しい。接続領域152では、複数の異屈折率領域15bの重心Gが、正方格子の格子点に位置する。言い換えると、複数の異屈折率領域15bの重心Gの位置が、正方格子の格子点の位置と一致する。従って、接続領域152においては、複数の異屈折率領域15bがX軸及びY軸に沿って周期的に配列されている。
再び図1を参照する。半導体発光素子1は、電極16(第1電極)と、電極17(第2電極)とを更に備える。電極16は半導体積層20の第1面20aと対向して設けられ、図示例では、電極16は第1面20a上すなわちコンタクト層14上に設けられている。電極16は、コンタクト層14とオーミック接触を成す。電極17は半導体積層20の第2面20bと対向して設けられ、図示例では、電極17は半導体基板10の裏面10b上に設けられている。電極17は、半導体基板10とオーミック接触を成す。
図7は、電極16,17の平面形状、及び電極16,17に電流を供給するための構成を模式的に示す図である。図7に示されるように、電極17は、複数の開口17aを有している。各開口17aは、各位相変調領域151と一対一で対応している。半導体積層20の厚さ方向から見て、開口17aは対応する位相変調領域151と重なる。各開口17aの平面形状は例えば正方形または長方形である。電極16は、複数の電極部分161を含む。複数の電極部分161は、互いに間隙をあけて配列され、互いに電気的に分離している。なお、電極部分が互いに電気的に分離しているとは、半導体積層20を介する経路を除いて、他に電気的に接続される経路が存在しないことを意味する。各電極部分161は、各位相変調領域151と一対一で対応している。半導体積層20の厚さ方向から見て、電極部分161は対応する位相変調領域151と重なる。各電極部分161の平面形状は例えば正方形または長方形である。
複数の電極部分161それぞれは、複数の配線33それぞれを介して、個別に駆動回路31と電気的に接続されている。また、電極17は、配線34を介して、駆動回路31と電気的に接続されている。駆動回路31は、配線35を介して、電源回路32と電気的に接続されている。駆動回路31は、電源回路32から電力の供給を受け、複数の電極部分161と電極17との間に駆動電流を供給する。駆動回路31は、電極部分161毎に駆動電流の大きさを自在に変化させることができる。各電極部分161への駆動電流の大きさは、電極部分161毎に独立して設定される。
再び図1を参照する。コンタクト層14の各電極部分161と重なる部分を除く他の部分は、電流範囲を限定するために、エッチングにより除去されている。従って、コンタクト層14は、複数の電極部分161にそれぞれ対応する複数の部分に分割されている。コンタクト層14の複数の部分の隙間は、保護膜18によって埋められている。これにより、電極16から露出する半導体積層20の表面が保護される。保護膜18は、例えば、シリコン窒化物(例えばSiN)またはシリコン酸化物(例えばSiO2)といった無機絶縁体からなる。なお、コンタクト層14の各電極部分161と重なる部分を除く他の部分は、除去されていなくてもよい。その場合、保護膜18は、複数の電極部分161の隙間のコンタクト層14上に設けられる。
半導体基板10の裏面10bのうち、電極17が設けられた領域を除く他の領域は、開口17a内を含め、反射防止膜19によって覆われている。開口17aを除く他の領域にある反射防止膜19は、除去されてもよい。反射防止膜19は、例えば、シリコン窒化物(例えばSiN)またはシリコン酸化物(例えばSiO2)などの誘電体の単層膜または多層膜からなる。誘電体多層膜としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、二酸化シリコン(SiO2)、一酸化シリコン(SiO)、酸化ニオブ(Nb25)、五酸化タンタル(Ta25)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化インジウム(In23)、及び酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる誘電体層群から選択される2種類以上の誘電体層を積層した膜を用いることができる。誘電体多層膜は、例えば、波長λの光に対するそれぞれの光学膜厚がλ/4である複数の膜を積層することにより形成される。
なお、本実施形態では第1面20aと対向する電極16が複数の電極部分161を含んでいるが、この構成に代えて、またはこの構成と共に、第2面20bと対向する電極17が、複数の電極部分を含んでもよい。この場合、複数の電極部分161と同様に、電極17の複数の電極部分もまた、互いに間隙をあけて配列され、互いに電気的に分離している。電極17の各電極部分は、各位相変調領域151と一対一で対応する。半導体積層20の厚さ方向から見て、電極17の各電極部分は対応する位相変調領域151と重なる。電極17の各電極部分の平面形状は、例えば開口17aを含む矩形枠状である。電極17の複数の電極部分それぞれは、複数の配線それぞれを介して、個別に駆動回路31と電気的に接続される。駆動回路31は、電極17の電極部分毎に、駆動電流の大きさを自在に変化させる。
半導体発光素子1では、電極部分161と電極17との間に駆動電流が供給されると、当該電極部分161の直下に位置する活性層12の部分内において電子と正孔の再結合が生じ、活性層12の当該部分から光が出力される。このとき、発光に寄与する電子及び正孔、並びに活性層12から出力された光は、クラッド層11とクラッド層13との間に効率的に閉じ込められる。
活性層12の当該部分から出力された光は、当該部分と対向する位相変調領域151の内部に入射し、当該位相変調領域151において仮想平面Pに沿って共振し、複数の異屈折率領域15bの配置に応じた所定のモードを形成する。当該位相変調領域151から出力されたレーザ光Lの一部は、裏面10bから開口17aを通って半導体発光素子1の外部へ直接的に出力される。当該位相変調領域151から出力されたレーザ光Lの残りは、電極16において反射したのち、裏面10bから開口17aを通って半導体発光素子1の外部へ出力される。このとき、レーザ光Lに含まれる信号光は、半導体積層20の第1面20a及び第2面20bの双方と交差する方向へ出射する。言い換えると、レーザ光Lに含まれる信号光は、裏面10bに垂直な方向と、裏面10bに垂直な方向に対して傾斜した方向とを含む任意方向へ出射する。半導体発光素子1からの出射光を構成するのは、信号光である。信号光は、主としてレーザ光の1次回折光又は-1次回折光、或いはその両方である。以下、1次回折光を1次光と称し、-1次回折光を-1次光と称する。
複数の位相変調領域151それぞれから出力されるレーザ光Lは、半導体積層20の第1面20a及び第2面20bの双方と交差する方向に位置する共通の照射領域(遠方界)に、複数の異屈折率領域15bの配置に応じた光像となって照射される。複数の位相変調領域151のうち少なくとも2個の位相変調領域151に含まれる複数の異屈折率領域15bは、位相変調領域151毎に異なる配置を有する。従って、複数の位相変調領域151それぞれから出力される光像が互いに干渉して、最終的な光像が形成される。
複数の位相変調領域151それぞれから出力される光像を互いに干渉させることによって最終的な光像を得るために、これらの光像は、互いに位相同期している。これらの光像が互いに位相同期するために、本実施形態では、互い隣り合う位相変調領域151の間に接続領域152が設けられている。互い隣り合う位相変調領域151の共振モードが接続領域152を介して共有されるので、各位相変調領域151において共振するレーザ光Lの位相は互いに同期することができる。なお、接続領域152を無くして、互い隣り合う位相変調領域151同士を隣接させてもよい。そのような場合であっても、各位相変調領域151において共振するレーザ光Lの位相は互いに同期することができる。なお、複数の光像を互いに位相同期させる為には、各位相変調領域151の位相分布φ(x,y)を設計する際にもそのことを考慮する必要があるが、位相同期を考慮した位相分布φ(x,y)の設計については後述する。
また、複数の位相変調領域151それぞれから出力される光像を互いに干渉させることによって所望の光像を得るために、これらの光像の偏光方向が揃っていることが望ましい。本実施形態では、異屈折率領域15bの重心Gが、格子点O毎に設定される直線D上に配置される。そして、直線Dの傾斜角βは、位相変調領域151内の全ての格子点Oにおいて互いに同一であり、また、複数の位相変調領域151において互いに同一である。
ここで、図8は、位相変調領域151における電磁界分布を示す図である。図8の(a)部は、M点での対称性Aの共振モードにおける電磁界分布を示す。図8の(b)部は、M点での対称性Bの共振モードにおける電磁界分布を示す。図8において、矢印は電界の大きさ及び向きを表し、色の濃淡は磁界の大きさを表す。本実施形態のように異屈折率領域15bの重心Gが直線D上に配置される場合(図には中央の異屈折率領域15bの配置の変化を模式的に示す)、いずれの電磁界分布においても、異屈折率領域15bの重心Gと格子点Oとの距離によらず(言い換えると、各異屈折率領域15bによって実現される位相値によらず)、偏光方向が揃うことが期待される。
一方、図9は、比較例として、異屈折率領域15bの重心Gが格子点Oから一定の距離に配置され、格子点Oから重心Gを結ぶベクトルの格子点O周りの回転角が位相分布φ(x,y)に応じて異屈折率領域15b毎に設定されている場合における電磁界分布を示す図である。図9の(a)部は、M点での対称性Aの共振モードにおける電磁界分布を示す。図9の(b)部は、M点での対称性Bの共振モードにおける電磁界分布を示す。図9においても、矢印は電界の大きさ及び向きを表し、色の濃淡は磁界の大きさを表す。この比較例では、いずれの電磁界分布においても、異屈折率領域15bの格子点O周りの回転角に応じて偏光方向が変化する。従って、偏光方向が揃うことは、ほぼ期待できない。これらのことから、本実施形態のように異屈折率領域15bの重心Gが直線D上に配置され、位相に応じて重心Gと格子点Oとの距離が変化する形態が望ましい。
前述したように、本実施形態の半導体発光素子1は、複数の位相変調領域151からそれぞれ出力された複数の光像を共通の照射領域に照射し、複数の光像を重ね合わせて干渉させることにより最終的な一つの光像(ホログラム)を形成する。図10は、複数の位相変調領域151から出力される複数の光像の例を概念的に示す図である。図10には、X方向に8列、Y方向に8行の計64個の光像LAが、その光強度が小さいほど濃く、その光強度が大きいほど淡く示されている。これらは、X方向に8列、Y方向に8行の計64個の位相変調領域151からそれぞれ出力された光像である。この例では、複数の位相変調領域151それぞれから出力される光像LAの光強度分布が、互いに直交する二方向(X方向及びY方向)における周期が位相変調領域151毎に異なる正弦波状の分布を含む。このような光像LAは、例えば離散コサイン変換(Discrete Cosine Transform:DCT)の基底画像として利用されることができる。すなわち、最終的な光像の光強度分布を離散コサイン変換し、得られた複数の基底画像を複数の位相変調領域151からそれぞれ出力させることによって、該最終的な光像を実現することができる。また、複数の位相変調領域151にそれぞれ対応する複数の電極部分161の駆動電流の大きさを変化させることにより、最終的な光像に対する各基底画像の寄与度を個別に調節して、時間的に変化する動的な光像を呈示することもできる。
図11は、複数の位相変調領域151から出力される複数の光像の別の例を概念的に示す図である。この例は、離散ウェーブレット変換(Discrete Wavelet Transform:DWT)の基底画像として利用される複数の光像LAを示す。この例のように、最終的な光像の光強度分布を離散ウェーブレット変換し、得られた複数の基底画像を複数の位相変調領域151からそれぞれ出力させることでも、該最終的な光像を実現することができる。また、複数の位相変調領域151にそれぞれ対応する複数の電極部分161の駆動電流の大きさを変化させることにより、最終的な光像に対する各基底画像の寄与度を個別に調節して、時間的に変化する動的な光像を呈示することもできる。
なお、離散コサイン変換及び離散ウェーブレット変換に限られず、例えば、遠方界に表示したい複数の光像の集まりから、機械学習(主性分分析又は辞書学習など)によってそれらの基底画像を学習してもよい。また、図10に示す例では、互いに直交する二方向(X方向及びY方向)における周期が位相変調領域151毎に異なっているが、一方向(X方向又はY方向)における周期が位相変調領域151毎に異なってもよい。
図12は、複数の位相変調領域151から出力される複数の光像の更に別の例を概念的に示す図である。図12には、X方向に2列、Y方向に2行の計4個の光像LAが示されている。これらは、X方向に2列、Y方向に2行の計4個の位相変調領域151からそれぞれ出力された光像である。この例では、各位相変調領域151それぞれから出力される光像LAの光強度分布が、Y方向に沿って周期的に変化する正弦波状の分布を含む。そして、一方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151それぞれから出力される光像LAの正弦波状の光強度分布のY方向における位相が、他方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151それぞれから出力される光像LAの正弦波状の光強度分布のY方向における位相と異なる。この例では、一方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151に対応する2個の電極部分161の駆動電流の大きさと、他方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151に対応する2個の電極部分161の駆動電流の大きさとの比率を変化させることにより、最終的な光像に呈示される正弦波状の光強度分布の位相を自在に変化させることができる。図12に示す例のように、少なくとも2つの位相変調領域151それぞれから出力される光像LAの正弦波状の光強度分布の一方向(Y方向)における位相が、互いに異なってもよい。なお、各位相変調領域151それぞれから出力される光像LAの光強度分布が、二方向(X方向及びY方向)に沿って周期的に変化する正弦波状の分布を含んでもよい。その場合、少なくとも2つの位相変調領域151それぞれから出力される光像LAの正弦波状の光強度分布の二方向(X方向及びY方向)における位相が、互いに異なってもよい。
続いて、複数の位相変調領域151それぞれから出力される光像を互いに位相同期させることを考慮した、本実施形態の位相分布設計方法について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、複数の異屈折率領域15bを、「複数の点」と称することがある。つまり、以下に説明する方法は、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域151の位相分布φ(x,y)を設計する方法である。また、以下に説明において、「実空間」とは位相変調領域151の空間を指し、「波数空間」とは照射領域における光像(ビームパターンともいう)の空間を指す。
[第1の設計方法]
図13は、第1の設計方法を概念的に示す図である。まず、第1ステップとして、初期条件を設定する(図中の矢印B1)。位相変調領域151毎に、波数空間の振幅分布の初期値201と、波数空間の位相分布の初期値202とを含む複素振幅分布関数である第1関数203を設定する。波数空間の振幅分布の初期値201をF(kx,ky)とし、波数空間の位相分布の初期値202をθ0(kx,ky)とする場合、第1関数203はF(kx,ky)・eiθ0(kx,ky)として表される。このとき、波数空間の振幅分布の初期値201は、波数空間において予め定められた目標振幅分布204に設定されてもよい。なお、波数空間における目標振幅分布204をF(kx,ky)とすると、その光強度分布(すなわち所望の光像)はF (kx,ky)として与えられる。また、波数空間の位相分布の初期値202は、ランダムな位相分布205に設定されてもよい。
更に、第1ステップでは、位相変調領域151毎に、第1関数203を、例えば逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform;IFFT)などの逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布211及び実空間の位相分布212を含む複素振幅分布関数である第2関数213に変換する(図中の矢印B2)。実空間の振幅分布211をA(x,y)とし、実空間の位相分布212をφ(x,y)とする場合、第2関数213はA(x,y)・eiφ(kx,ky)として表される。
次に、第2ステップとして、各位相変調領域151における第2関数213の振幅分布211を、実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布214に置き換える(図中の矢印B3,B4)。例えば、所定の目標強度分布をA (x,y)とすると、目標振幅分布はA(x,y)として与えられる。一例では、所定の目標強度分布A (x,y)はx,yによらず一定であり、目標振幅分布A(x,y)もまたx,yによらず一定である。また、このとき、各位相変調領域151における第2関数213の位相分布212はそのまま維持する(図中の矢印B5)。そして、位相変調領域151毎に、置き換え後の第2関数213を、例えば高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;FFT)などのフーリエ変換により、波数空間の振幅分布221及び波数空間の位相分布222を含む複素振幅分布関数である第3関数223に変換する(図中の矢印B6)。波数空間の振幅分布221をF(kx,ky)とし、波数空間の位相分布222をθ(kx,ky)とする場合、第3関数223はF(kx,ky)・eiθ(kx,ky)として表される。
次に、第3ステップとして、各位相変調領域151における第3関数223の位相分布222を、複数の位相変調領域151のうちの一つの位相変調領域151における第3関数223の位相分布222に揃える(図中の矢印B7)。このとき、位相分布222を揃える基準となる一つの位相変調領域151は任意に決定される。また、この第3ステップでは、各位相変調領域151における第3関数223の振幅分布221を目標振幅分布204に置き換える(図中の矢印B8,B9)。そして、位相変調領域151毎に、置き換え後の第3関数223を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布231及び実空間の位相分布232を含む複素振幅分布関数である第4関数233に変換する(図中の矢印B2)。実空間の振幅分布231をA(x,y)とし、実空間の位相分布232をφ(x,y)とする場合、第4関数233はA(x,y)・eiφ(kx,ky)として表される。
以降、第2ステップの第2関数213を第4関数233に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップを繰り返す。なお、第3ステップを繰り返す毎に、位相分布222を揃える基準となる一つの位相変調領域151の位置を変えずに固定してもよい。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数233の位相分布232を、各位相変調領域151の位相分布φ(x,y)とする(図中の矢印B10)。
一例として、図14に示されるように、X方向に2列、Y方向に2行の計4個の位相変調領域151を有する位相変調層15を考える。そのうち対角線上に位置する2個の位相変調領域151が位相分布パターンAを有し、逆の対角線上に位置する2個の位相変調領域151が位相分布パターンBを有するものとする。或いは、図15に示されるように、第1行に含まれる2個の位相変調領域151が位相分布パターンBを有し、第2行に含まれる2個の位相変調領域151が位相分布パターンAを有してもよい。図16は、位相分布パターンA,Bの設計方法を概念的に示す図である。
まず、第1ステップとして、初期値を設定する(図中の矢印B11)。すなわち、位相分布パターンAについて、波数空間の振幅分布F(kx,ky)の初期値と、波数空間の位相分布θ1(kx,ky)の初期値とを含む複素振幅分布関数である第1関数F(kx,ky)・eiθ1(kx,ky)を設定する(以下、Fiθ1と略記する)。また、位相分布パターンBについて、波数空間の振幅分布F(kx,ky)の初期値と、波数空間の位相分布θ2(kx,ky)の初期値とを含む複素振幅分布関数である第1関数F(kx,ky)・eiθ2(kx,ky)を設定する(以下、Fiθ2と略記する)。そして、位相分布パターンAの第1関数F・eiθ1を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布A(x,y)及び実空間の位相分布φ1(x,y)を含む複素振幅分布関数である第2関数A(x,y)・eiφ1(x,y)に変換する(図中の矢印B12。以下、A・eiφ1と略記する)。同様に、位相分布パターンBの第1関数F(x,y)・eiθ2(x,y)を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布A(x,y)及び実空間の位相分布φ2(x,y)を含む複素振幅分布関数である第2関数A(x,y)・eiφ2(x,y)に変換する(図中の矢印B13。以下、A・eiφ2と略記する)。
次に、第2ステップとして、第2関数A・eiφ1の振幅分布Aを、実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布A に置き換える。同様に、第2関数A・eiφ2の振幅分布Aを、実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布A に置き換える(図中の矢印B14)。このとき、位相分布φ1及び位相分布φ2はそのまま維持される。そして、置き換え後の第2関数A ・eiφ1を、例えばFFTなどのフーリエ変換により、波数空間の振幅分布F及び波数空間の位相分布θ1を含む複素振幅分布関数である第3関数F・eiθ1に変換する(図中の矢印B15)。同様に、置き換え後の第2関数A ・eiφ2を、例えばFFTなどのフーリエ変換により、波数空間の振幅分布F及び波数空間の位相分布θ2を含む複素振幅分布関数である第3関数F・eiθ2に変換する(図中の矢印B16)。
次に、第3ステップとして、第3関数F・eiθ2の位相分布θ2を、第3関数F・eiθ1の位相分布θ1に揃える。また、第3関数F・eiθ1の振幅分布F、及び第3関数F・eiθ2の振幅分布Fを、目標振幅分布F 及びF にそれぞれ置き換える(図中の矢印B17)。そして、第3関数F ・eiθ1を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布A及び実空間の位相分布φ1を含む複素振幅分布関数である第4関数A・eiφ1に変換する(図中の矢印B18)。同様に、第3関数F ・eiθ1を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布A及び実空間の位相分布φ2を含む複素振幅分布関数である第4関数A・eiφ2に変換する(図中の矢印B19)。
以降、第2ステップの第2関数A・eiφ1及び第2関数A・eiφ2を第4関数A・eiφ1及び第4関数A・eiφ2にそれぞれ置き換えながら(図中の矢印B20)、第2ステップ及び第3ステップを繰り返す。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数A・eiφ1の位相分布φ1を、位相分布パターンAの位相分布φ(x,y)とする。また、最後の第3ステップにより変換された第4関数A・eiφ2の位相分布φ2を、位相分布パターンBの位相分布φ(x,y)とする。
また、別の例として、図17に示された、X方向にm列、Y方向にn行の計m×n個の位相変調領域151を有する位相変調層15を考える。m×n個の位相変調領域151は互いに異なる位相分布パターンを有する。図18は、m×n個の位相分布パターンの設計方法を概念的に示す図である。
まず、第1ステップとして、初期値を設定する(図中の矢印B41)。すなわち、m×n個の位相変調領域151に対して、波数空間の振幅分布F1,1(kx,ky)~Fm,n(kx,ky)の初期値と、波数空間の位相分布θ1,1(kx,ky)~θm,n(kx,ky)の初期値とをそれぞれ含む複素振幅分布関数である第1関数F1,1(kx,ky)・eiθ1,1(kx,ky)~Fm,n(kx,ky)・eiθm,n(kx,ky)を設定する(以下、F1,1iθ1,1~Fm,niθm,nと略記する)。そして、位相変調領域151毎に、第1関数F1,1iθ1,1~Fm,niθm,nを、IFFTなどの逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布A1,1(x,y)~Am,n(x,y)及び実空間の位相分布φ1,1(x,y)~φm,n(x,y)をそれぞれ含む複素振幅分布関数である第2関数A1,1(x,y)・eiφ1,1(x,y)~Am,n(x,y)・eiφm,n(x,y)に変換する(図中の矢印群B42。以下、A1,1iφ1,1~Am,niφm,nと略記する)。
次に、第2ステップとして、位相変調領域151毎に、第2関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nの振幅分布A1,1~Am,nを、実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布A 1,1~A m,nに置き換える(図中の矢印B43)。このとき、位相分布φ1,1~φm,nはそのまま維持される。そして、置き換え後の第2関数A 1,1iφ1,1~A m,niφm,nを、例えばFFTなどのフーリエ変換により、位相変調領域151毎に、波数空間の振幅分布F1,1~Fm,n及び波数空間の位相分布θ1,1~θm,nをそれぞれ含む複素振幅分布関数である第3関数F1,1iθ1,1~Fm,niθm,nに変換する(図中の矢印群B44)。
次に、第3ステップとして、第3関数F1,1iθ1,1~Fm,niθm,nの全ての位相分布θ1,1~θm,nを、第3関数F1,1iθ1,1の位相分布θ1,1に揃える。また、第3関数F1,1iθ1,1~Fm,niθm,nの振幅分布F1,1~Fm,nを、目標振幅分布F 1,1~F m,nにそれぞれ置き換える(図中の矢印B45)。そして、第3関数F 1,1iθ1,1~F m,niθ1,1を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布A1,1~Am,n及び実空間の位相分布φ1,1~φm,nをそれぞれ含む複素振幅分布関数である第4関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nに変換する(図中の矢印群B46)。
以降、第2ステップの第2関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nを第4関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nにそれぞれ置き換えながら(図中の矢印B47)、第2ステップ及び第3ステップを繰り返す。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nの位相分布φ1,1~φm,nそれぞれを、各位相変調領域151の位相分布φ(x,y)とする。
上記の位相分布設計方法を実行するための位相分布設計装置の構成について説明する。図19の(a)部は、上述した第1の設計方法を行うことができる位相分布設計装置300のハードウェア構成を示すブロック図である。位相分布設計装置300は、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域151の位相分布を設計する装置である。位相分布設計装置300は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット端末といったスマートデバイス、あるいはクラウドサーバといった、プロセッサを有するコンピュータである。図19の(a)部に示すように、位相分布設計装置300は、物理的には、プロセッサ(CPU)301、ROM302及びRAM303等の主記憶装置、キーボード、マウス及びタッチスクリーン等の入力デバイス304、ディスプレイ(タッチスクリーン含む)等の出力デバイス305、他の装置との間でデータの送受信を行うためのネットワークカード等の通信モジュール306、ハードディスク等の補助記憶装置307、記録媒体308に記録されたデータを読み出す装置などを含む、通常のコンピュータとして構成され得る。
図19の(b)部は、上述した第1の設計方法を行うことができる位相分布設計装置300の機能ブロック図である。位相分布設計装置300は、第1処理部310と、第2処理部320と、第3処理部330と、を備える。すなわち、位相分布設計装置300に設けられたコンピュータのプロセッサは、第1処理部310の機能と、第2処理部320の機能と、第3処理部330の機能とを実現する。それぞれの機能は、同じプロセッサにより実現されてもよいし、異なるプロセッサにより実現されてもよい。
第1処理部310は、第1の設計方法の第1ステップを行う。すなわち、第1処理部310は、位相変調領域151毎に、波数空間の振幅分布の初期値201と、波数空間の位相分布の初期値202とを含む第1関数203を設定する。その後、第1処理部310は、位相変調領域151毎に、第1関数203を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布211及び実空間の位相分布212を含む第2関数213に変換する。
第2処理部320は、第1の設計方法の第2ステップを行う。すなわち、第2処理部320は、各位相変調領域151における第2関数213の振幅分布211を、実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布214に置き換える。このとき、第2処理部320は、各位相変調領域151における第2関数213の位相分布212をそのまま維持する。その後、第2処理部320は、位相変調領域151毎に、置き換え後の第2関数213を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布221及び波数空間の位相分布222を含む複素振幅分布関数である第3関数223に変換する。
第3処理部330は、第1の設計方法の第3ステップを行う。すなわち、第3処理部330は、各位相変調領域151における第3関数223の位相分布222を、複数の位相変調領域151のうちの一つの位相変調領域151における第3関数223の位相分布222に揃える。加えて、第3処理部330は、各位相変調領域151における第3関数223の振幅分布221を目標振幅分布204に置き換える。その後、第3処理部330は、位相変調領域151毎に、置き換え後の第3関数223を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布231及び実空間の位相分布232を含む複素振幅分布関数である第4関数233に変換する。
以降、第2処理部320の第2関数213を第4関数233に置き換えながら第2処理部320及び第3処理部330の動作を繰り返す。そして、最後の第3処理部330の動作により変換された第4関数233の位相分布232を、各位相変調領域151の位相分布φ(x,y)とする。
コンピュータのプロセッサ301は、位相分布設計プログラムによって、上記の各機能を実現することができる。故に、位相分布設計プログラムは、コンピュータのプロセッサ301を、位相分布設計装置300における第1処理部310、第2処理部320、及び第3処理部330として動作させる。位相分布設計プログラムは、コンピュータの内部の主記憶装置(ROM302)または補助記憶装置307に記憶される。或いは、位相分布設計プログラムは、通信回線を経由して取得された後に主記憶装置または補助記憶装置307に記憶されてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体308に記録されていたものが読み出されて主記憶装置または補助記憶装置307に記憶されてもよい。記録媒体308としては、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROM、半導体メモリ、クラウドサーバ等が例示される。
[第2の設計方法]
図20は、第2の設計方法を概念的に示す図である。なお、第1ステップ及び第2ステップは上述した第1の設計方法と同様なので説明を省略する。
初回の第3ステップでは、各位相変調領域151における第3関数223の位相分布222を、複数の位相変調領域151において同一である所定の位相分布に置き換える(図中の矢印B21)。所定の位相分布における複数の点(kx,ky)の位相値は、互いに等しくてもよい。この場合、所定の位相分布における複数の点(kx,ky)の位相値はゼロ(0rad)であってもよい。このとき、振幅分布221はそのまま維持される(図中の矢印B22)。そして、第3関数223を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、第4関数233に変換する(図中の矢印B2)。
第2関数213を第4関数233に置き換えて第2ステップを再び行い、その後の(第2回目の)第3ステップでは、第3関数223の振幅分布221を、目標振幅分布204に置き換える(図中の矢印B23,B24)。このとき、位相分布222はそのまま維持される(図中の矢印B25)。そして、置き換え後の第3関数223を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、第4関数233に変換する(図中の矢印B2)。
以降、第2ステップの第2関数213を第4関数233に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップを繰り返し行う。その際、第3ステップにおいて、位相分布222の所定の位相分布への置き換えと、振幅分布221の目標振幅分布204への置き換えとを交互に行う。第3ステップの繰り返し毎に、所定の位相分布を変えずに固定してもよい。最後の第3ステップにより変換された第4関数233の位相分布232を、各位相変調領域151の位相分布φ(x,y)とする(図中の矢印B10)。
一例として、図14または図15に示された、X方向に2列、Y方向に2行の計4個の位相変調領域151を有する位相変調層15を考える。そのうち2個の位相変調領域151が位相分布パターンAを有し、他の2個の位相変調領域151が位相分布パターンBを有する。図21は、位相分布パターンA,Bの設計方法を概念的に示す図である。なお、第1ステップ及び第2ステップは上述した第1の設計方法と同様なので説明を省略する。
初回の第3ステップでは、第3関数F・eiθ1の位相分布θ1、及び第3関数F・eiθ2の位相分布θ2を、位相分布パターンA及び位相分布パターンBにおいて共通の所定の位相分布θ’に置き換える(図中の矢印B31)。このとき、振幅分布F及び振幅分布Fはそのまま維持される。そして、第3関数F・eiθ’及び第3関数F・eiθ’を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、第4関数A・eiφ1及び第4関数A・eiφ2にそれぞれ変換する(図中の矢印B32,B33)。
第2関数A・eiφ1及び第2関数A・eiφ2を第4関数A・eiφ1及び第4関数A・eiφ2にそれぞれ置き換えて第2ステップを再び行い(図中の矢印B34~B36)、その後の(第2回目の)第3ステップでは、第3関数F・eiθ1の振幅分布F、及び第3関数F・eiθ2の振幅分布Fを、目標振幅分布F 及びF にそれぞれ置き換える(図中の矢印B37)。そして、第3関数F ・eiθ1及び第3関数F ・eiθ2を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、第4関数A・eiφ1及び第4関数A・eiφ2にそれぞれ変換する(図中の矢印B38,B39)。
以降、第2ステップの第2関数A・eiφ1及び第2関数A・eiφ2を第4関数A・eiφ1及び第4関数A・eiφ2にそれぞれ置き換えながら(図中の矢印B20)、第2ステップ及び第3ステップを繰り返す。その際、第3ステップにおいて、位相分布θ1,θ2の置き換え(図中の矢印B31)と、振幅分布F,Fの置き換え(図中の矢印B37)とを交互に行う。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数A・eiφ1の位相分布φ1を、位相分布パターンAの位相分布φ(x,y)とする。また、最後の第3ステップにより変換された第4関数A・eiφ2の位相分布φ2を、位相分布パターンBの位相分布φ(x,y)とする。
また、別の例として、図17に示された、X方向にm列、Y方向にn行の計m×n個の位相変調領域151を有する位相変調層15を考える。m×n個の位相変調領域151は互いに異なる位相分布パターンを有する。図22は、m×n個の位相分布パターンの設計方法を概念的に示す図である。なお、第1ステップ及び第2ステップは上述した第1の設計方法と同様なので説明を省略する。
初回の第3ステップでは、第3関数F1,1iθ1,1~Fm,niθm,nの全ての位相分布θ1,1~θm,nを、共通且つ所定の位相分布θ’に置き換える(図中の矢印B51)。このとき、振幅分布F1,1~Fm,nはそのまま維持される。そして、第3関数F1,1iθ’~Fm,niθ’を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、第4関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nにそれぞれ変換する(図中の矢印群B52)。
第2関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nを第4関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nにそれぞれ置き換えて第2ステップを再び行い(図中の矢印B53及び矢印群B54)、その後の(第2回目の)第3ステップでは、第3関数F1,1iθ1,1~Fm,niθm,nの振幅分布F1,1~Fm,nを、目標振幅分布F 1,1~F m,nにそれぞれ置き換える(図中の矢印B55)。そして、第3関数F 1,1iθ1,1~F m,niθm,nを、IFFTなどの逆フーリエ変換により、第4関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nにそれぞれ変換する(図中の矢印群B56)。
以降、第2ステップの第2関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nを第4関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nにそれぞれ置き換えながら(図中の矢印B47)、第2ステップ及び第3ステップを繰り返す。その際、第3ステップにおいて、位相分布θ1,1~θm,nの置き換え(図中の矢印B51)と、振幅分布F1,1~Fm,nの置き換え(図中の矢印B55)とを交互に行う。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数A1,1iφ1,1~Am,niφm,nの位相分布θ1,1~θm,nそれぞれを、各位相変調領域151の位相分布φ(x,y)とする。
上記の位相分布設計方法を実行するための位相分布設計装置の構成について説明する。図23は、上述した第2の設計方法を行うことができる位相分布設計装置400の機能ブロック図である。位相分布設計装置400は、二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域151の位相分布を設計する装置である。位相分布設計装置400は、前述した位相分布設計装置300と同様のハードウェア構成を有する。位相分布設計装置400は、第1処理部410と、第2処理部420と、第3処理部430と、を備える。すなわち、位相分布設計装置400に設けられたコンピュータのプロセッサは、第1処理部410の機能と、第2処理部420の機能と、第3処理部430の機能とを実現する。それぞれの機能は、同じプロセッサにより実現されてもよいし、異なるプロセッサにより実現されてもよい。
第1処理部410の機能は、前述した位相分布設計装置300の第1処理部310と同様である。第2処理部420の機能は、前述した位相分布設計装置300の第2処理部320と同様である。
第3処理部430は、第2の設計方法の第3ステップを行う。すなわち、第3処理部430は、各位相変調領域151における第3関数223の位相分布222を、複数の位相変調領域151において同一である所定の位相分布に置き換えるか、又は、第3関数223の振幅分布221を、目標振幅分布204に置き換える。その後、第3処理部430は、第3関数223を、逆フーリエ変換により、第4関数233に変換する。
以降、第2ステップの第2関数213を第4関数233に置き換えながら第2ステップ及び第3ステップを繰り返し行う。その際、第3ステップにおいて、位相分布222の所定の位相分布への置き換えと、振幅分布221の目標振幅分布204への置き換えとを交互に行う。最後の第3ステップにより変換された第4関数233の位相分布232を、各位相変調領域151の位相分布φ(x,y)とする。
コンピュータのプロセッサは、位相分布設計プログラムによって、上記の各機能を実現することができる。故に、位相分布設計プログラムは、コンピュータのプロセッサを、位相分布設計装置400における第1処理部410、第2処理部420、及び第3処理部430として動作させる。位相分布設計プログラムは、コンピュータの内部の主記憶装置または補助記憶装置に記憶される。或いは、位相分布設計プログラムは、通信回線を経由して取得された後に主記憶装置または補助記憶装置に記憶されてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていたものが読み出されて主記憶装置または補助記憶装置に記憶されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROM、半導体メモリ、クラウドサーバ等が例示される。
以上に説明した、本実施形態の位相分布設計方法、位相分布設計装置、位相分布設計プログラム及び記録媒体によって得られる効果について説明する。図24は、比較例として、第3の設計方法を概念的に示す図である。第3の設計方法の第1ステップ及び第2ステップは、上述した第1の設計方法の第1ステップ及び第2ステップと同様である(図中の矢印B11~B16)。そして、第3ステップでは、第3関数F・eiθ1の振幅分布F、及び第3関数F・eiθ2の振幅分布Fを、目標振幅分布F 及びF にそれぞれ置き換える(図中の矢印B37)。そして、第3関数F ・eiθ1及び第3関数F ・eiθ2を、IFFTなどの逆フーリエ変換により、第4関数A・eiφ1及び第4関数A・eiφ2にそれぞれ変換する(図中の矢印B38,B39)。
以降、第2ステップの第2関数A・eiφ1及び第2関数A・eiφ2を第4関数A・eiφ1及び第4関数A・eiφ2にそれぞれ置き換えながら(図中の矢印B20)、第2ステップ及び第3ステップを繰り返す。そして、最後の第3ステップにより変換された第4関数A・eiφ1の位相分布φ1を、位相分布パターンAの位相分布φ(x,y)とする。また、最後の第3ステップにより変換された第4関数A・eiφ2の位相分布φ2を、位相分布パターンBの位相分布φ(x,y)とする。
この第3の設計方法を複数の位相変調領域151の位相分布に対して個別に(独立して)適用すると、複数の位相変調領域151からそれぞれ出力される複数の光像の位相は互いに同期しない。そこで、第1の設計方法、位相分布設計装置300及びそのプログラムでは、第3ステップ及び第3処理部330において、各位相変調領域151における第3関数223の波数空間の位相分布222を、二以上の位相変調領域151のうちの一つの位相変調領域151における第3関数223の波数空間の位相分布222に揃える(図13の矢印B7)。例えば、図16に示される例では、矢印B17にて示されるように、第3関数F(kx,ky)・eiθ2(kx,ky)の位相分布θ2(kx,ky)を、第3関数F(kx,ky)・eiθ1(kx,ky)の位相分布θ1(kx,ky)に揃える。また、図18に示される例では、矢印B45にて示されるように、第3関数F1,1iθ1,1~Fm,niθm,nの全ての位相分布θ1,1~θm,nを、第3関数F1,1iθ1,1の位相分布θ1,1に揃える。これにより、複数の位相変調領域151からそれぞれ出力される複数の光像の位相を互いに同期させることができる。従って、複数の光像を一つの領域に重ね合わせて形成するホログラムに所定の干渉効果を生じさせることができる。
また、第2の設計方法、位相分布設計装置400及びそのプログラムでは、第3ステップまたは第3処理部430の動作を繰り返す際、2回のうち1回は、各位相変調領域151における第3関数223の波数空間の位相分布222を、二以上の位相変調領域151間で同一である所定の位相分布に置き換える。例えば、図21に示される例では、矢印B31にて示されるように、第3関数F(kx,ky)・eiθ1(kx,ky)の位相分布θ1(kx,ky)、及び第3関数F(kx,ky)・eiθ2(kx,ky)の位相分布θ2(kx,ky)を、位相分布パターンA及び位相分布パターンBにおいて共通の所定の位相分布θ’(kx,ky)に置き換える。また、図22に示される例では、矢印B45にて示されるように、第3関数F1,1iθ1,1~Fm,niθm,nの全ての位相分布θ1,1~θm,nを、共通且つ所定の位相分布θ’に置き換える。これにより、複数の位相変調領域151からそれぞれ出力される複数の光像の位相を互いに同期させることができる。従って、複数の光像を一つの領域に重ね合わせて形成するホログラムに所定の干渉効果を生じさせることができる。
第1及び第2の設計方法、位相分布設計装置300及び400並びにそれらのプログラムでは、前述したように、波数空間の振幅分布の初期値201が、目標振幅分布204に設定されてもよい。この場合、少ない繰り返し回数で、光像を所定の目標強度分布に精度良く近づけることができる。
第1及び第2の設計方法、位相分布設計装置300及び400並びにそれらのプログラムでは、前述したように、波数空間の位相分布の初期値202が、ランダムな位相分布205に設定されてもよい。
第1の設計方法、位相分布設計装置300及びそのプログラムでは、前述したように、第3ステップまたは第3処理部330の動作を繰り返す毎に、位相分布222を揃える基準となる一つの位相変調領域151の位置を変えずに固定してもよい。本発明者のシミュレーションによれば、特にこのような場合に複数の光像の位相を精度良く同期させることができる。
第2の設計方法、位相分布設計装置400及びそのプログラムでは、前述したように、第3関数223の位相分布222を所定の位相分布に置き換える際の該所定の位相分布における複数の点(kx,ky)の位相値は、互いに等しくてもよい。本発明者のシミュレーションによれば、特にこのような場合に複数の光像の位相を精度良く同期させることができる。この場合、所定の位相分布における複数の点(kx,ky)の位相値はゼロ(0rad)であってもよい。
第2の設計方法、位相分布設計装置400及びそのプログラムでは、前述したように、第3ステップまたは第3処理部430の動作の繰り返し毎に、所定の位相分布を変えずに固定してもよい。本発明者のシミュレーションによれば、特にこのような場合に複数の光像の位相を精度良く同期させることができる。
[第1実施例]
本発明者は、図14に示された4つの位相変調領域151を有する位相変調層15に対して上記実施形態の位相分布設計方法を採用し、位相分布設計シミュレーションを行った。図25の(a)部は、位相分布パターンAを設計する際に設定した、照射領域(遠方界)における所望の光像を示す。図25の(a)部において、色が淡いほど光強度が大きく、色が濃いほど光強度が小さい。図25の(a)部に示されるように、位相分布パターンAについては、一方向に沿って周期的に光強度が変化する正弦波状の光強度分布を有する光像を目標とした。図25の(b)部は、(a)部に示された光像を波数空間に変換したもの、すなわち波数空間における目標振幅分布を示す。図25の(c)部は、(b)部に示された目標振幅分布に基づいて算出された、位相分布パターンAを示す図である。図25の(c)部において、色が淡いほど2π(rad)に近く、色が濃いほど0(rad)に近い。
図26の(a)部は、位相分布パターンBを設計する際に設定した、照射領域(遠方界)における所望の光像を示す。図26の(a)部においても、色が淡いほど光強度が大きく、色が濃いほど光強度が小さい。図26の(a)部に示されるように、位相分布パターンBについては、図25の(a)部における光強度の変化方向と直交する方向に沿って周期的に光強度が変化する正弦波状の光強度分布を有する光像を目標とした。但し、正弦波の周期は図25の(a)部と同じとした。図26の(b)部は、(a)部に示された光像を波数空間に変換したもの、すなわち波数空間における目標振幅分布を示す。図26の(c)部は、(b)部に示された目標振幅分布に基づいて算出された、位相分布パターンBを示す図である。図26の(c)部においても、色が淡いほど2π(rad)に近く、色が濃いほど0(rad)に近い。
図27の(a)部は、一方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151それぞれに位相分布パターンAを与え、他方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151それぞれに位相分布パターンBを与えた様子を示す図である。図27の(b)部は、各電極部分161の電流を個別に制御することによって実現される、一方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151の光強度と、他方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151の光強度との違いを概念的に示す図である。図27の(b)部において、色が淡いほど光強度が大きく、色が濃いほど光強度が小さい。
図28は、位相分布パターンAを有する2個の位相変調領域151から出射される光像(図25の(a)部を参照)と、位相分布パターンBを有する2個の位相変調領域151から出射される光像(図26の(a)部を参照)とを互いに干渉させたときに想定される、最終的な光像を示す図である。これらの光像を干渉させると、光強度のピーク同士は互いに強め合い、光強度のボトム同士は互いに弱め合って、市松模様のような光強度分布が得られることが期待される。
図29は、本シミュレーションによって得られた最終的な光像を示す図である。図29の(a)部は、上記実施形態の第1の設計方法によって得られた光像を示す。図29の(b)部は、上記実施形態の第2の設計方法によって得られた光像を示す。図29の(c)部は、比較例としての第3の設計方法によって得られた光像を示す。これらの図を比較すると、第2の設計方法によれば、第3の設計方法と比較して、市松模様が明瞭になっていることがわかる。また、第1の設計方法によれば、第2の設計方法と比較して、市松模様が更に明瞭になっていることがわかる。このシミュレーションでは、市松模様が明瞭であるほど、位相同期が好適に行われて光像同士が精度良く干渉していることを示す。従って、第1の設計方法又は第2の設計方法により、第3の設計方法と比較して、複数の位相変調領域151からそれぞれ出力される複数の光像の位相を互いに同期させることができ、複数の光像を一つの領域に重ね合わせて形成するホログラムに所定の干渉効果を生じさせ得ることが明らかとなった。また、この効果は、第1の設計方法の方が第2の設計方法よりも顕著であることが明らかとなった。
[第2実施例]
続いて、本発明者は、図14に示された4つの位相変調領域151を有する位相変調層15に対して上記実施形態の第1の設計方法を採用し、別の位相分布設計シミュレーションを行った。図30の(a)部は、位相分布パターンAを設計する際に設定した、照射領域(遠方界)における所望の光像を示す。図30の(a)部において、色が淡いほど光強度が大きく、色が濃いほど光強度が小さい。図30の(a)部に示されるように、位相分布パターンAについては、一方向に沿って周期的に光強度が変化する正弦波状の光強度分布を有する光像を目標とした。図30の(b)部は、(a)部に示された光像を波数空間に変換したもの、すなわち波数空間における目標振幅分布を示す。図30の(c)部は、(b)部に示された目標振幅分布に基づいて算出された、位相分布パターンAを示す図である。図30の(c)部において、色が淡いほど2π(rad)に近く、色が濃いほど0(rad)に近い。
図31の(a)部は、位相分布パターンBを設計する際に設定した、照射領域(遠方界)における所望の光像を示す。図31の(a)部においても、色が淡いほど光強度が大きく、色が濃いほど光強度が小さい。図31の(a)部に示されるように、位相分布パターンBについても、位相分布パターンAと同様に、一方向に沿って周期的に光強度が変化する正弦波状の光強度分布を有する光像を目標とした。但し、正弦波の周期を、位相分布パターンAを設計する際の所望の光像と同じとし、正弦波の位相を、位相分布パターンAを設計する際の所望の光像に対してシフトさせた。図31の(b)部は、(a)部に示された光像を波数空間に変換したもの、すなわち波数空間における目標振幅分布を示す。図31の(c)部は、(b)部に示された目標振幅分布に基づいて算出された、位相分布パターンBを示す図である。図31の(c)部においても、色が淡いほど2π(rad)に近く、色が濃いほど0(rad)に近い。
図32の(a)部は、一方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151それぞれに位相分布パターンAを与え、他方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151それぞれに位相分布パターンBを与えた様子を示す図である。図32の(b)部は、各電極部分161の電流を個別に制御することによって実現される、一方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151の光強度と、他方の対角線上に位置する2個の位相変調領域151の光強度との違いを概念的に示す図である。図32の(b)部において、色が淡いほど光強度が大きく、色が濃いほど光強度が小さい。
図33は、位相分布パターンAを有する2個の位相変調領域151から出射される光像(図30の(a)部を参照)と、位相分布パターンBを有する2個の位相変調領域151から出射される光像(図31の(a)部を参照)とを互いに干渉させたときに想定される、最終的な光像を示す図である。これらの光像を干渉させると、位相分布パターンAを有する2個の位相変調領域151から出射される光像の光強度と、位相分布パターンBを有する2個の位相変調領域151から出射される光像の光強度との比に応じた位相を有する正弦波状の光強度分布が得られることが期待される。
図34及び図35は、本シミュレーションによって得られた最終的な光像を示す図である。図34は、位相分布パターンAを有する位相変調領域151から出射される光像(図30の(a)部を参照)と、位相分布パターンBを有する位相変調領域151から出射される光像(図31の(a)部を参照)との位相差が45°である場合を示す。図35は、これらの光像の位相差が135°である場合を示す。位相分布パターンAを有する位相変調領域151から出射される光像の光強度をPA、位相分布パターンBを有する位相変調領域151から出射される光像の光強度をPBとしたとき、光強度比は(PA/PB)として表される。光強度比の変化に応じた位相の変化の理解を容易にするため、図34及び図35には、光強度比(PA/PB)を0/1.00、0.25/0.75、0.50/0.50、0.75/0.25、及び1.00/0としたときの最終的な光像が、光強度の変化方向と交差する方向に並んで示されている。
これらの図に示されるように、上記実施形態の位相分布設計方法によれば、互いに異なる位相分布パターンを有する複数の位相変調領域151から出射される光像の光強度比を動的に変化させることによって、位相を動的に変化させることが可能な正弦波状の光強度分布を実現できる。
本開示による位相分布設計方法、位相分布設計装置、位相分布設計プログラム及び記録媒体は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態の第1の設計方法では、第3ステップを繰り返す毎に、位相分布222を揃える基準となる一つの位相変調領域151の位置を変えずに固定しているが、第3ステップを繰り返す毎に、該一つの位相変調領域151の位置を変化させてもよい。また、上述した実施形態の第2の設計方法では、第3ステップにおいて第3関数223の位相分布222を所定の位相分布に置き換える際に、所定の位相分布における複数の点の位相値を互いに等しくしているが、少なくとも二つの点の位相値が互いに異なってもよい。また、複数の点の位相値が互いに等しい場合、その位相値はゼロに限られない。
1…半導体発光素子、10…半導体基板、10a…主面、10b…裏面、11…クラッド層、12…活性層、13…クラッド層、14…コンタクト層、15…位相変調層、15a…基本領域、15b…異屈折率領域、15c…キャップ領域、16…電極(第1電極)、17…電極(第2電極)、17a…開口、18…保護膜、19…反射防止膜、20…半導体積層、20a…第1面、20b…第2面、31…駆動回路、32…電源回路、33~35…配線、151…位相変調領域、152…接続領域、152a…開口部、152b,152c…部分、161…電極部分、201…波数空間の振幅分布の初期値、202…波数空間の位相分布の初期値、203…第1関数、204…目標振幅分布、205…ランダム位相分布、211…実空間の振幅分布、212…実空間の位相分布、213…第2関数、214…目標振幅分布、221…波数空間の振幅分布、222…波数空間の位相分布、223…第3関数、231…実空間の振幅分布、232…実空間の位相分布、233…第4関数、300,400…位相分布設計装置、310,410…第1処理部、320,420…第2処理部、330,430…第3処理部、D…直線、G…重心、L…レーザ光、LA…光像、O…格子点、P…仮想平面、R…単位構成領域。

Claims (13)

  1. 二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計する方法であって、
    前記位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、前記位相変調領域毎に、前記第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する第1ステップと、
    各位相変調領域における前記第2関数の前記実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、置き換え後の前記第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する第2ステップと、
    各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の位相分布を、前記二以上の位相変調領域のうちの一つの前記位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の位相分布に揃えるとともに、各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、前記第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する第3ステップと、
    を含み、以降、前記第2ステップの前記第2関数を前記第4関数に置き換えながら前記第2ステップ及び前記第3ステップを繰り返したのち、最後の前記第3ステップにより変換された前記第4関数の前記実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする、位相分布設計方法。
  2. 前記第3ステップを繰り返す際に前記一つの位相変調領域を固定する、請求項1に記載の位相分布設計方法。
  3. 二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計する方法であって、
    前記位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、前記位相変調領域毎に、前記第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する第1ステップと、
    各位相変調領域における前記第2関数の前記実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、置き換え後の前記第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する第2ステップと、
    各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の位相分布を前記二以上の位相変調領域間で同一である所定の分布に置き換えるか、又は、各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、置き換え後の前記第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する第3ステップと、
    を含み、
    以降、前記第2ステップの前記第2関数を前記第4関数に置き換えながら前記第2ステップ及び前記第3ステップを繰り返し行い、その際、前記第3ステップにおいて前記波数空間の位相分布の置き換えと前記波数空間の振幅分布の置き換えとを交互に行い、
    最後の前記第3ステップにより変換された前記第4関数の前記実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする、位相分布設計方法。
  4. 前記所定の分布における前記複数の点の位相値が互いに等しい、請求項3に記載の位相分布設計方法。
  5. 前記位相値がゼロである、請求項4に記載の位相分布設計方法。
  6. 前記第3ステップの繰り返し毎に前記所定の分布が不変である、請求項3~5のいずれか一項に記載の位相分布設計方法。
  7. 前記波数空間の振幅分布の初期値を、波数空間の前記目標振幅分布に設定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の位相分布設計方法。
  8. 前記波数空間の位相分布の初期値をランダムな分布に設定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の位相分布設計方法。
  9. 二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計する装置であって、
    前記位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、前記位相変調領域毎に、前記第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する第1処理部と、
    各位相変調領域における前記第2関数の前記実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、置き換え後の前記第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する第2処理部と、
    各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の位相分布を、前記二以上の位相変調領域のうちの一つの前記位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の位相分布に揃えるとともに、各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、前記第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する第3処理部と、
    を備え、
    前記第2処理部において前記第2関数を前記第4関数に置き換えながら前記第2処理部及び前記第3処理部が動作を繰り返したのち、前記第3処理部により最後に変換された前記第4関数の前記実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする、位相分布設計装置。
  10. 二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計する装置であって、
    前記位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、前記位相変調領域毎に、前記第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する第1処理部と、
    各位相変調領域における前記第2関数の前記実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、置き換え後の前記第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する第2処理部と、
    各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の位相分布を前記二以上の位相変調領域間で同一である所定の分布に置き換えるか、又は、各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、置き換え後の前記第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する第3処理部と、
    を備え、
    前記第2処理部において前記第2関数を前記第4関数に置き換えながら前記第2処理部及び前記第3処理部が動作を繰り返し、その際、前記第3処理部は、前記波数空間の位相分布の置き換えと前記波数空間の振幅分布の置き換えとを交互に行い、
    前記第3処理部により最後に変換された前記第4関数の前記実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする、位相分布設計装置。
  11. 二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計するプログラムであって、
    前記位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、前記位相変調領域毎に、前記第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する第1ステップと、
    各位相変調領域における前記第2関数の前記実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、置き換え後の前記第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する第2ステップと、
    各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の位相分布を、前記二以上の位相変調領域のうちの一つの前記位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の位相分布に揃えるとともに、各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、前記第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する第3ステップと、
    をコンピュータに実行させ、以降、前記第2ステップの前記第2関数を前記第4関数に置き換えながら前記第2ステップ及び前記第3ステップを繰り返しコンピュータに実行させたのち、最後の前記第3ステップにより変換された前記第4関数の前記実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする、位相分布設計プログラム。
  12. 二次元状に分布する複数の点において光の位相を個別に変調する二以上の位相変調領域の位相分布を設計するプログラムであって、
    前記位相変調領域毎に、波数空間の振幅分布の初期値と、波数空間の位相分布の初期値とを含む第1関数を設定し、前記位相変調領域毎に、前記第1関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第2関数に変換する第1ステップと、
    各位相変調領域における前記第2関数の前記実空間の振幅分布を実空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、置き換え後の前記第2関数を、フーリエ変換により、波数空間の振幅分布及び波数空間の位相分布を含む第3関数に変換する第2ステップと、
    各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の位相分布を前記二以上の位相変調領域間で同一である所定の分布に置き換えるか、又は、各位相変調領域における前記第3関数の前記波数空間の振幅分布を波数空間の所定の目標強度分布に基づく目標振幅分布に置き換え、前記位相変調領域毎に、置き換え後の前記第3関数を、逆フーリエ変換により、実空間の振幅分布及び実空間の位相分布を含む第4関数に変換する第3ステップと、
    をコンピュータに実行させ、以降、前記第2ステップの前記第2関数を前記第4関数に置き換えながら前記第2ステップ及び前記第3ステップを繰り返しコンピュータに実行させ、その際、前記第3ステップにおいて前記波数空間の位相分布の置き換えと前記波数空間の振幅分布の置き換えとを交互に行い、
    最後の前記第3ステップにより変換された前記第4関数の前記実空間の位相分布を各位相変調領域の位相分布とする、位相分布設計プログラム。
  13. 請求項11または12に記載の位相分布設計プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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