JP2023130188A - クリーム - Google Patents

クリーム Download PDF

Info

Publication number
JP2023130188A
JP2023130188A JP2022034717A JP2022034717A JP2023130188A JP 2023130188 A JP2023130188 A JP 2023130188A JP 2022034717 A JP2022034717 A JP 2022034717A JP 2022034717 A JP2022034717 A JP 2022034717A JP 2023130188 A JP2023130188 A JP 2023130188A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
water
cream
whipped cream
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022034717A
Other languages
English (en)
Inventor
綾 四井
Aya Yotsui
隆太 小中
Ryuta Konaka
陽一郎 清水
Yoichiro Shimizu
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Adeka Corp
Original Assignee
Adeka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Adeka Corp filed Critical Adeka Corp
Priority to JP2022034717A priority Critical patent/JP2023130188A/ja
Publication of JP2023130188A publication Critical patent/JP2023130188A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)
  • Grain Derivatives (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)

Abstract

【課題】良好な口溶けを有していながら、濃厚な風味を有するクリームを提供する。【解決手段】(A)水中油型乳化物であるホイップクリームと(B)油中水型乳化物であるホイップドクリームを含有するクリームであって、(A)成分と(B)成分の合計含量が75質量%以上であり、(A)成分と(B)成分が、同一の乳原料を少なくとも1つ含有する、クリーム。【選択図】なし

Description

本発明は、クリームに関する。詳細には、本発明は、濃厚な風味を有していながら、口溶け良好なクリームに関する。
生クリームや植物性ホイップクリーム等の水中油型乳化物をホイップして得られるホイップドクリームは、連続相が水相(すなわち分散相が油相)であるため、口中分散性が良好であり、風味発現性が良好である。このため、水中油型乳化物のホイップドクリームは、口溶け良好なすっきりとした風味のクリームとなりやすい。その反面、風味が持続的に発現しにくく、濃厚な風味を有するクリームにはなりにくかった。
水中油型乳化物のクリームとして、上記のホイップドクリームの他、カスタードクリームやフラワーペースト等の澱粉や小麦粉を主成分とするクリームを挙げることもできるが、糊感が感じられ良好な口溶けとなりにくく食感が重くなるという特徴を有するものであった。
他方、バターやショートニング、マーガリン、ファットスプレッド等の油中水型乳化物をホイップして得られるホイップドクリームは、連続相が油相(すなわち分散相が水相)であるため、油脂由来の濃厚な風味が感じられやすく、水相に含まれる風味成分が解乳化に伴い徐放されることにより持続的な風味発現性が良好である。このため、油中水型乳化物のホイップドクリームは油脂由来の濃厚さや持続的に風味が発現するクリームとなりやすい。その反面、相対的に口中分散性が不良であるため口溶けが良好なものとなりにくく、喫食直後の風味発現性が乏しいことから、良好な口溶けや良好な風味発現性を有するクリームにはなりにくかった。
水中油型乳化物をホイップして得られるホイップドクリームや、油中水型乳化物をホイップして得られるホイップドクリームの、上記のような課題を補うべく、水中油型乳化物と油中水型乳化物を混合してクリームを製造する技術が検討されてきた。例えば、特許文献1では、特定のランダムエステル交換油脂とアルギン酸類、カルシウム及び水を含有する水中油型乳化物であるクリーム用添加剤を含有するバタークリームの製造方法が開示されている。
特開2013-099289号公報
パン等のベーカリー食品を製造する際に、水中油型乳化物をホイップして得られるホイップドクリームや、油中水型乳化物をホイップして得られるホイップドクリームなどのクリーム類がしばしば用いられる。
用いられるベーカリー食品の種類にもよるが、ベーカリー食品に用いられるクリームの一般的な要求特性としては、良好な口溶けや、濃厚な風味が挙げられる。
しかし、上記のとおり、水中油型乳化物をホイップして得られるホイップドクリームのみ、或いは油中水型乳化物をホイップして得られるホイップドクリームのみでは、製造されるベーカリー食品の種類に応じて異なる乳化形態のクリームを使い分ける必要があり、単一のクリームでこれらの要求特性を満たすことは困難であった。
また、水中油型乳化物と油中水型乳化物を混合してクリームを製造する技術が開示されているが、斯かる技術では、確かに口溶けが改良されたバタークリームを得ることができるものの、(1)ペースト状の水中油型乳化物と油中水型乳化物を共にホイップするために、含気されにくい場合があり、所望の物性や口溶けが得られにくい場合があること、(2)一般的にクリームの基本的な風味が乳風味であるところ、乳風味を強め、濃厚な風味を有するクリームを得る目的から乳原料を多く含有させると、特に特許文献1のように、アルギン酸類を含有するために、経時的にクリームが増粘する場合があり濃厚な風味のクリームが得られにくいこと、等の課題があった。
したがって、本発明の課題は、良好な口溶けを有していながら、濃厚な風味を有するクリームを提供することにある。
本発明者らによる検討の結果、共通する呈味原料を含有する水中油型乳化物のホイップクリームと油中水型乳化物のホイップドクリームを用いて製造されたクリームによれば、上記課題を解決し得ることを見出した。
本発明は、上記知見に基づくものであり、具体的には下記構成を有する。
[1] (A)水中油型乳化物であるホイップクリームと
(B)油中水型乳化物であるホイップドクリーム
を含有するクリームであって、
(A)成分と(B)成分の合計含量が75質量%以上であり、
(A)成分と(B)成分が、同一の乳原料を少なくとも1つ含有する、クリーム。
[2] 同一の乳原料が、濃縮乳、ホエイ、チーズ、バターオイル、乳清ミネラル、及び乳固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上であるクリーム若しくはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分からなる群から選択される、[1]記載のクリーム。
[3] (A)成分の25℃における固体脂含量SFC-25と35℃における固体脂含量SFC-35の比SFC-25/SFC-35と、(B)成分の比SFC-25/SFC-35との差分の絶対値が1.5以上である、[1]又は[2]記載のクリーム。
[4] (A)成分1質量部に対する、(B)成分の質量が、0.6~10質量部である、[1]~[3]の何れかに記載のクリーム。
[5] (I)比重0.6~0.9の油中水型乳化物であるホイップドクリームを得る一次ホイップ工程、及び
(II)該油中水型乳化物であるホイップドクリームに水中油型乳化物であるホイップクリームを加え、比重0.6~0.9となるまでホイップする二次ホイップ工程
を含む、[1]~[4]の何れかに記載のクリームの製造方法。
本発明によれば、良好な口溶けを有していながら、濃厚な風味を有するクリームを提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
なお、本発明において「ホイップクリーム」とは、ホイッパーやビーター等で撹拌したり、エアレーションしたりすることにより含気させ、比重を低下させて、ホイップドクリームとした後に、喫食され、或いはベーカリー食品等の製造に用いられる水中油型乳化物又は油中水型乳化物を指すものである。ここで、水中油型乳化物とは、連続相が水相であり分散相が油相である乳化物を指し、油中水型乳化物とは、連続相が油相であり分散相が水相である乳化物を指す。
[クリーム]
本発明のクリームは、
(A)水中油型乳化物であるホイップクリームと
(B)油中水型乳化物であるホイップドクリーム
を含有するクリームであって、
(A)成分と(B)成分の合計含量が75質量%以上であり、
(A)成分と(B)成分が、同一の乳原料を少なくとも1つ含有することを特徴とする。
以下、本発明のクリームを製造するにあたって、(A)成分として使用される、水中油型乳化物であるホイップクリームと、(B)成分として使用される、油中水型乳化物であるホイップドクリーム及び該ホイップドクリームのホイップ前のホイップクリームとについて、説明する。
<(A)水中油型乳化物であるホイップクリーム>
本発明のクリームは、(A)成分として、水中油型乳化物であるホイップクリーム(以下、単に「水中油型ホイップクリーム」ともいう。)を含有する。
-水-
本発明で使用する水中油型ホイップクリームは、水を含有する。
含有される水については特に限定されず、例えば、水道水、軟水系・硬水系のミネラルウォーター、イオン交換水、蒸留水等が挙げられ、そのいずれも使用可能であり、またこれらを混合して使用してもよい。
水中油型ホイップクリーム中の水の含量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、その上限は好ましくは80質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。したがって一実施形態において、水中油型ホイップクリーム中の水の含量は、好ましくは25~80質量%、より好ましくは25~65質量%、さらに好ましくは25~50質量%である。尚、ここでいう水には、後述する「乳原料」及び「その他の成分」に含まれる水分も含めるものとする。
-油脂-
本発明で使用する水中油型ホイップクリームは、油脂を含有する。
水中油型ホイップクリーム中の油脂の含量は、本発明のクリームに対して求める口溶けの程度や濃厚な風味等によっても異なり、特に限定されないが、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、その上限は好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。したがって一実施形態において、水中油型ホイップクリーム中の油脂の含量は、好ましくは10~40質量%、より好ましくは15~35質量%、さらに好ましくは20~30質量%である。
また、良好な口溶けや風味発現性を有すると共に濃厚な風味を有するクリームを得る観点から、水中油型ホイップクリームに含有される油脂の25℃における固体脂含量(SFC:Solid Fat Contents)は、好ましくは55%以上、より好ましくは58%以上又は60%以上、さらに好ましくは63%以上又は64%以上であり、その上限は好ましくは80%以下、78%以下、76%以下又は75%以下である。したがって一実施形態において、水中油型ホイップクリームに含有される油脂の25℃における固体脂含量SFC-25は、好ましくは55~80%、より好ましくは58~80%、さらに好ましくは63~80%である。同様の観点から、水中油型ホイップクリームに含有される油脂の35℃における固体脂含量SFC-35は、好ましくは1%以上、1.5%以上又は2%以上であり、その上限は好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下である。したがって一実施形態において、水中油型ホイップクリームに含有される油脂の35℃における固体脂含量SFC-35は、好ましくは1~15%、より好ましくは1~12%、さらに好ましくは1~10%である。
上記の油脂分含量を満たすと共に、含有される油脂のSFC-25やSFC-35が上記範囲内にあることで、水中油型ホイップクリームを用いて製造された本発明のクリームが良好な口溶けや風味発現性を有すると共に濃厚な風味を有するものとなりやすくなる。
本発明において、SFCは常法により測定することが可能であるが、本発明においては、AOCS official methodのcd16b-93に記載のパルスNMR(ダイレクト法)にて、測定対象となる試料(水中油型ホイップクリームや後述する油中水型ホイップクリーム、及び本発明のクリーム)のSFCを測定した後、測定値を油相量に換算した値を使用する。
すなわち、水相を含まない試料を測定した場合は、測定値がそのままSFCとなり、水相を含む試料を測定した場合は、測定値を油相量に換算した値がSFCとなる。本発明において示す25℃における固体脂含量SFC-25は、25℃に設定された恒温槽にて30分間静置した試料について上記パルスNMR(ダイレクト法)により測定した値(油相換算)に基づく。また、本発明において示す35℃における固体脂含量SFC-35は、35℃に設定された恒温槽にて30分間静置した試料について上記パルスNMR(ダイレクト法)により測定した値(油相換算)に基づく。
水中油型ホイップクリームに含有される油脂としては、食用の油脂であれば特に限定されず、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂等の各種植物油脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油、バター、バターオイル等の各種動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1つ又は2つ以上の処理を施した加工油脂等が挙げられる。本発明においては、上記の油脂を1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水中油型ホイップクリームに含有される油脂中のラウリン系油脂の含量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、その上限は特に限定されず100質量%であってよい。ラウリン系油脂をこの範囲で含有する油脂を用いることにより、良好な口溶けと風味発現性を有するクリームが得られやすくなる。
本発明において「ラウリン系油脂」とは、油脂を構成する脂肪酸残基組成のうち、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含量が30質量%以上である油脂をいい、具体的には、例えば、ヤシ油、パーム核油、又はこれらを原料として水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂等が挙げられる。
水中油型ホイップクリームは上記ラウリン系油脂の1種又は2種以上を好ましく含有しうるが、いっそう良好な口溶けと風味発現性を有するクリームを得る観点から、パーム核オレイン、及びパーム核油とパーム極度硬化油の混合油脂のランダムエステル交換油脂を含有することが好ましい。
また、水中油型ホイップクリームに含有される油脂は、パーム核オレインを好ましくは60~90質量%、より好ましくは65~85質量%、さらに好ましくは70~80質量%含有する。
さらに、水中油型ホイップクリームに含有される油脂は、パーム核油とパーム極度硬化油の混合油脂のランダムエステル交換油脂を好ましくは10~40質量%、より好ましくは15~35質量%、さらに好ましくは20~30質量%含有する。
なお、該混合油脂中におけるパーム核油とパーム極度硬化油の質量比は、前者対後者で、好ましくは45:55~80:20である。後述する、油中水型ホイップクリームにおける該エステル交換油脂においても同様である。
水中油型ホイップクリームは、好ましい口溶けと風味発現性をもたらす観点から、極度硬化油を実質的に含有しないことが好ましい。但し上記エステル交換油脂の原料として用いられる極度硬化油は除く。本発明において、水中油型ホイップクリームについていう「極度硬化油を実質的に含有しない」とは、油相中の極度硬化油の含量が3質量%以下であることをいい、該極度硬化油の含量はより好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下又は0.5質量%以下である。
-その他成分-
本発明で使用する水中油型ホイップクリームは、必要に応じてその他成分を含有してもよい。
その他成分としては、例えば、乳化剤、安定剤、蛋白質、糖類及び甘味料、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、食塩、酸味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等を挙げることができ、これらを任意に選択し配合してよい。その他の成分の配合量は、本発明のクリームの口溶けや濃厚な風味を損ねない範囲で任意に設定してよい。
良好な口溶けを有していながら、濃厚な風味のクリームを得る観点や、作業性の良好なクリームを得る観点から、水中油型ホイップクリームは上記その他成分のうち、糖類である水飴及び還元水飴のいずれか1種以上を含有することが好ましい。水中油型ホイップクリーム中の水飴及び還元水飴の合計含量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上であり、その上限は好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下である。したがって一実施形態において、水中油型ホイップクリーム中の水飴及び還元水飴の合計含量は、好ましくは25~55質量%、より好ましくは30~50質量%、さらに好ましくは35~45質量%である。
なお、水中油型ホイップクリームが含有する乳原料については、後述する。
<水中油型ホイップクリームの性状について>
本発明で使用する水中油型ホイップクリームは、液状であってもよく、またペースト状であってもよく、可塑性の有無を特に問わない。クリームの製造をより容易に行うことができ、且ついっそう好ましい食感を有するクリームを得ることができることから、水中油型ホイップクリームは、流動状であることが好ましく、液状であることが好ましい。
<水中油型ホイップクリームの製造方法について>
次に、本発明で使用する水中油型ホイップクリームの製造方法について、好ましい態様に基づき説明する。
先ず、先述の油脂を含有し、必要に応じて油溶性のその他の成分を含有させた油相と、水を含有し、必要に応じて、後述する乳原料や水溶性のその他の成分を含有させた水相とをそれぞれ個別に調製する。次いで、該油相と該水相とを混合乳化し、水中油型に乳化することにより、水中油型ホイップクリームが得られる。
これを、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、圧力0~100MPaの範囲で均質化してもよい。また、必要によりインジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、或いはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌又は加熱殺菌処理を施してもよく、或いは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
本発明のクリームは、上記のような配合・製造方法により得られた水中油型ホイップクリームを、後述する油中水型乳化物であるホイップドクリームと混合することにより得られる。
<(B)油中水型乳化物であるホイップドクリーム>
本発明のクリームは、(B)成分として、油中水型ホイップドクリーム(以下、単に「油中水型ホイップドクリーム」ともいう。)を含有する。
まず、油中水型ホイップドクリームを得るために用いられる、油中水型乳化物であるホイップクリーム(以下、単に「油中水型ホイップクリーム」ともいう。)について述べる。
-水-
本発明で使用する油中水型ホイップクリームは、水を含有する。
含有される水については特に限定されず、例えば、水道水、軟水系・硬水系のミネラルウォーター、イオン交換水、蒸留水等のいずれも使用可能であり、またこれらを混合して使用してもよい。
油中水型ホイップクリーム中の水の含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、その上限は好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。したがって一実施形態において、油中水型ホイップクリーム中の水の含量は、好ましくは10~35質量%、より好ましくは13~30質量%、さらに好ましくは15~25質量%である。尚、ここでいう水には、後述する「乳原料」及び「その他の成分」に含まれる水分も含めるものとする。
-油脂-
本発明で使用する油中水型ホイップクリームは、油脂を含有する。
油中水型ホイップクリーム中の油脂の含量は、本発明のクリームに対して求める口溶けや濃厚な風味の程度等によっても異なり、特に限定されないが、好ましくは35質量%以上、より好ましくは38質量%以上又は40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上であり、その上限は好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。したがって一実施形態において、油中水型ホイップクリーム中の油脂の含量は、好ましくは35~65質量%、より好ましくは38~60質量%、さらに好ましくは45~55質量%である。
また、良好な口溶けや風味発現性を有すると共に濃厚な風味を有するクリームを得る観点から、油中水型ホイップクリームに含有される油脂の25℃における固体脂含量SFC-25は、好ましくは10%以上、12%以上又は14%以上であり、その上限は好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下である。したがって一実施形態において、油中水型ホイップクリームに含有される油脂の25℃における固体脂含量SFC-25は、好ましくは10~35%、より好ましくは10~30%、さらに好ましくは10~25%である。同様の観点から、油中水型ホイップクリームに含有される油脂の35℃における固体脂含量SFC-35は、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下であり、その下限は特に限定されず0%であってよい。したがって一実施形態において、油中水型ホイップクリームに含有される油脂の35℃における固体脂含量SFC-35は、好ましくは0~15%、より好ましくは0~10%、さらに好ましくは0~5%である。
上記の油脂分含量を満たすと共に、含有される油脂のSFC-25やSFC-35が上記範囲内にあることで、油中水型ホイップドクリームを用いて製造された本発明のクリームが良好な口溶けや風味発現性を有すると共に濃厚な風味を有するものとなりやすくなる。
なお、油中水型ホイップドクリームの各温度におけるSFCは、ホイップ前の油中水型ホイップクリームの各温度における油相のSFCをそのまま転用することができる。
油中水型ホイップクリームに含有される油脂としては、食用の油脂であれば特に限定されず、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂等の各種植物油脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油、バター、バターオイル等の各種動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1つ又は2つ以上の処理を施した加工油脂等が挙げられる。本発明においては、上記の油脂を1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
油中水型ホイップクリームに含有される油脂中のラウリン系油脂の含量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、その上限は好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、48質量%以下又は46質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下である。したがって一実施形態において、油中水型ホイップクリームに含有される油脂中のラウリン系油脂の含量は、好ましくは20~55質量%、より好ましくは25~50質量%、さらに好ましくは30~45質量%である。ラウリン系油脂をこの範囲で含有することにより、良好な口溶けと風味発現性を有するクリームが得られやすくなる。なお、上記ラウリン系油脂の定義は、水中油型ホイップクリームについて説明したとおりである。
油中水型ホイップクリームはラウリン系油脂を1種又は2種以上を好ましく含有しうるが、良好な起泡性を有すると共に、いっそう良好な口溶けと風味発現性を有するクリームを得る観点から、パーム核油とパーム極度硬化油の混合油脂のランダムエステル交換油脂を含有することが好ましい。
油中水型ホイップクリームに含有される油脂は、パーム核油とパーム極度硬化油の混合油脂のランダムエステル交換油脂を好ましくは20~55質量%、より好ましくは25~50質量%、さらに好ましくは30~45質量%含有する。
また、いっそう良好な口溶けと風味発現性を有するクリームを得る観点から、油中水型ホイップクリームに含有される油脂中のSFC-25が3%以下の油脂の含量は、好ましくは45~75質量%、より好ましくは50~72質量%、さらに好ましくは55~68質量%である。
油中水型ホイップクリームに好ましく用いられる、SFC-25が3%以下の油脂としては、例えば、パームスーパーオレインや、大豆油、菜種油等の液状油を挙げることができる。
油中水型ホイップクリームは、好ましい風味発現性をもたらす観点から、極度硬化油を実質的に含有しないことが好ましい。但し上記エステル交換油脂の原料として用いられる極度硬化油は除く。本発明において、油中水型ホイップクリームについていう「極度硬化油を実質的に含有しない」とは、油相中の極度硬化油の含量が3質量%以下であることをいい、該極度硬化油の含量はより好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下又は0.5質量%以下である。
-その他成分-
本発明で使用する油中水型ホイップクリームは、必要に応じてその他成分を含有してもよい。
その他成分としては、例えば、乳化剤、安定剤、蛋白質、糖類及び甘味料、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、食塩、酸味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等を挙げることができ、これらを任意に選択し配合してよい。その他の成分の配合量は、本発明のクリームの口溶けや濃厚な風味を損ねない範囲で任意に設定してよい。
濃厚な風味を有していながら、すっきりとした後味のクリームを得る観点から、油中水型ホイップクリームはフルクトースを含有することが好ましく、上記のその他成分のうちから、フルクトース又はフルクトースを含む糖類を含有することが好ましい。これらは、油中水型ホイップクリーム中のフルクトースの含量が好ましくは2~15質量%、より好ましくは2.8~13質量%、さらに好ましくは3.5~11質量%となるように含有されることが好適である。
なお、油中水型ホイップクリームが含有する乳原料については、後述する。
得られるクリームの口溶けをより高める観点から、油中水型ホイップクリーム、及び該油中水型ホイップクリームを用いて得られる油中水型ホイップドクリームにおける乳化剤の含量は、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
<油中水型ホイップクリームの性状について>
本発明で使用する油中水型ホイップクリームは、可塑性の有無を特に問わないが、クリームの製造が容易になるため、可塑性を有することが好ましい。
また、油中水型ホイップクリームは、例えば、マーガリン、ファットスプレッド等、油中水型乳化物であればいずれの形態をとってもよい。
<油中水型ホイップクリームの製造方法について>
次に、本発明で使用する油中水型ホイップクリームの製造方法について、好ましい態様に基づき説明する。
先ず、先述の油脂を含有し、必要に応じてその他の成分を含有させた油相と、水を含有し、必要に応じて、後述する乳原料や水溶性のその他の成分を含有させた水相とをそれぞれ個別に調製する。次いで、該油相と該水相とを混合乳化し、油中水型に乳化することにより、油中水型ホイップクリームが得られる。
これを、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、圧力0~100MPaの範囲で均質化してもよい。また、必要によりインジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、或いはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌又は加熱殺菌処理を施してもよく、或いは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
本発明において、冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、-1℃/分以上又は-2℃/分以上、より好ましくは-5℃/分以上である。冷却に用いる機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。冷却による到達温度は特に限定されないが、好ましくは0~40℃、より好ましくは2~35℃、さらに好ましくは3~30℃まで冷却される。
なお、油中水型ホイップクリームの製造工程において、窒素や空気等のガスを吹き込むエアレーションの工程を任意に導入してよい。油中水型ホイップクリームの製造工程において、エアレーションの工程を経たものは、油中水型ホイップドクリームとして取り扱う。
<油中水型ホイップドクリームの製造方法について>
次に、本発明で使用する油中水型ホイップドクリームの製造方法について、好ましい態様に基づき説明する。
油中水型ホイップドクリームは、上記の油中水型ホイップクリームを単独で含気させるか、あるいは油中水型ホイップクリームに上記のその他の成分や後述する乳原料を添加した後に含気させる等の手法により、製造してよい。
含気させる手法としては、例えば、油中水型ホイップクリームの製造過程でエアレーションすることにより含気させる手法や、油中水型ホイップクリームを電動式もしくは手動式のミキサー・ホイッパー等を用いて撹拌することで含気させる手法が挙げられる。
含気させる度合いについては、特に限定されないが、含気後の油中水型ホイップドクリームの比重が好ましくは0.4~0.95、より好ましくは0.5~0.9、さらに好ましくは0.55~0.9、さらにより好ましくは0.6~0.9となるように含気させることが好適である。
<水中油型ホイップクリーム及び油中水型ホイップドクリームに含有される乳原料について>
次に、本発明で使用する水中油型ホイップクリーム及び油中水型ホイップドクリームに含有される乳原料について述べる。
本発明のクリームに用いられる水中油型ホイップクリームと油中水型ホイップドクリームは、同一の乳原料を少なくとも1つ含有する。以下、水中油型ホイップクリーム及び油中水型ホイップドクリームのいずれにも含有される乳原料を「本発明の乳原料」ともいう。
本発明の乳原料としては、特に限定されず、例えば、フレッシュクリーム、ヨーグルト、バター(スイートバターや発酵バター等)、チーズ(エダム、ゴーダ、チェダー、パルメザン、エメンタール、モッツァレラ、ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、カッテージ、マスカルポーネ、リコッタ、イェトスト等)、ホエイ(濃縮ホエイ、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイ、蛋白質濃縮ホエイパウダー、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)、ホエイプロテインアイソレート(WPI)等)、濃縮乳(脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳等)、粉乳(全粉乳、トータルミルクプロテイン、脱脂粉乳、クリームパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳等)、蛋白質抽出物(カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム等)、バターオイル、乳清ミネラル、及び乳固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上であるクリーム若しくはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分(以下、単に「リン脂質高含有水相成分」ともいう。)等が挙げられる。
ここで、乳(生乳、牛乳、山羊乳、めん羊乳、及びこれらの脱脂乳)及び乳糖は、本発明に用いられる乳原料として取り扱わない。本発明において、「乳糖」は乳又は乳原料から分離された単独の乳糖を指し、本発明の乳原料に含有される乳糖は対象としないこととする。
良好な風味発現性を有するクリームを得る観点から、水中油型ホイップクリームと油中水型ホイップドクリームは、本発明の乳原料として、濃縮乳、ホエイ、チーズ、バターオイル、乳清ミネラル、リン脂質高含有水相成分からなる群から選択される一つ以上を含有することが好ましく、濃縮乳、ホエイ、乳清ミネラル、リン脂質高含有水相成分からなる群から選択される一つ以上を含有することがより好ましく、濃縮乳、乳清ミネラル、リン脂質高含有水相成分のすべてを含有することがさらに好ましい。
良好な口溶けと濃厚な風味を有するクリームを得る観点から、濃縮乳としては無糖練乳、加糖練乳を用いることが好ましく、ホエイとしては濃縮ホエイや蛋白質濃縮ホエイ、蛋白質濃縮ホエイパウダー、WPCやWPIを用いることが好ましく、チーズとしてはフレッシュチーズに該当するもの(クリームチーズやマスカルポーネ、モッツァレラ等)を用いることが好ましく、乳清ミネラル及びリン脂質高含有水相成分としては以下に述べるものを用いることが好ましい。
-乳清ミネラル-
乳清ミネラルとは、乳清より乳清タンパクと乳糖を分離除去し、精製して得られたものである。
本発明で使用する乳清ミネラルは、得られるクリームに対する異味や雑味の付与を防ぐ観点から、蛋白質や乳糖等の不純物含量が低いことが好ましい。詳細には、固形分に占める灰分含量が好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である乳清ミネラルを使用することが好適である。該灰分含量は高いほど好ましい。
また、乳清ミネラルは、その固形分中のカルシウム含量が好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満の乳清ミネラルであることが好ましい。
本発明で使用する際の乳清ミネラルの形態は特に限定されず、液体の状態であっても、粉末状・顆粒状・錠剤等の固体の状態であっても使用可能であるが、粉末状又は液体の状態であることが、水中油型ホイップクリームや油中水型ホイップクリームを製造する際にその他原料と均一に混合されやすいため好ましい。
-リン脂質高含有水相成分-
本発明で使用するリン脂質高含有水相成分は、乳固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上である乳原料であり、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に副産物として生じるものである。
リン脂質高含有水相成分を含有させると、乳化安定性が向上することによる耐熱保形性の向上効果が得られるため好ましい。乳原料の乳固形分中のリン脂質の含量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、その上限は40質量%以下である。
<乳原料の含量について>
良好な風味発現性や濃厚な風味のクリームを得る観点から好適な本発明の乳原料の含量について以下説明する。
水中油型ホイップクリーム中の本発明の乳原料の含量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、その上限は好ましくは7質量%以下、より好ましくは6.5質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。したがって一実施形態において、水中油型ホイップクリーム中の本発明の乳原料の含量は、好ましくは2~7質量%、より好ましくは2.5~6.5質量%、さらに好ましくは3~6質量%である。
油中水型ホイップドクリーム中の本発明の乳原料の含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは5.5質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上であり、その上限は好ましくは15質量%以下、より好ましくは13質量%以下、さらに好ましくは11質量%以下である。したがって一実施形態において、油中水型ホイップドクリーム中の本発明の乳原料の含量は、好ましくは5~15質量%、より好ましくは5.5~13質量%、さらに好ましくは6.0~11質量%である。
水中油型ホイップクリーム及び油中水型ホイップドクリーム中の、本発明の乳原料の含量について、より濃厚な風味のクリームを得る観点から、水中油型ホイップクリーム中の本発明の乳原料の含量に比して油中水型ホイップドクリーム中の本発明の乳原料の含量を高めることが好ましい。水中油型ホイップクリーム中の本発明の乳原料の含量1質量部に対する、油中水型ホイップドクリーム中の本発明の乳原料の含量(以下、「乳原料比」という。)は、好ましくは1.1質量部以上、より好ましくは1.2質量部以上、さらに好ましくは1.3質量部以上、1.4質量部以上又は1.5質量部以上であることが好適であり、その上限は好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.9質量部以下又は1.8質量部以下、さらに好ましくは1.7質量部以下である。したがって一実施形態において、該乳原料比は、1.1~2質量部であることが好ましく、1.2~1.9質量部であることがより好ましく、1.3~1.7質量部であることがさらに好ましい。
水中油型ホイップクリーム中の乳原料の含有量に比して油中水型ホイップドクリーム中の乳原料の含有量を高めることにより、濃厚な風味のクリームが得られやすくなる理由については現段階で不明である。
これに対し、本発明者らは、乳原料が多く溶解・分散しているのは、乳化物における水相であるところ、水中油型乳化物の水相は外相(連続相)に、油中水型乳化物の水相は内相(分散相)に存在していることから、油中水型ホイップドクリームの水相に乳原料を多く含有させることで、水中油型ホイップクリーム由来の風味と比べて遅延して風味発現が得られ、結果としてミドル~ラストの風味強度が向上し、濃厚な風味が感じられやすいクリームが得られたものと推察している。
なお、水中油型ホイップクリームに上記乳原料を含有させる手法としては、例えば、(1)水中油型ホイップクリームを製造する際に配合する手法や、(2)水中油型ホイップクリームを製造した後に乳原料を添加する手法が挙げられるが、より均一に水相中に乳原料を分散させることができる点から(1)の手法をとることが好ましい。また、油中水型ホイップドクリームに上記乳原料を含有させる手法としては、例えば、(3)油中水型ホイップクリームを製造する際に配合する手法や、(4)油中水型ホイップクリームを製造した後に乳原料を混練する手法、(5)油中水型ホイップクリームをホイッパーやビーターで撹拌させる際に乳原料を添加して混合する手法が挙げられるが、より均一に水相に乳原料を分散させることができる点から(3)の手法をとることが好ましい。
先述のとおり、本発明のクリームは、(A)成分である水中油型ホイップクリームと、(B)成分である油中水型ホイップドクリームの合計含量が75質量%以上であることを特徴とする。
水中油型ホイップクリームと油中水型ホイップドクリームの合計含量が75質量%以上であることにより、本発明のクリームは、良好な口溶けを有していながら濃厚な風味を有することができる。
斯かる観点から、本発明のクリームにおいて、水中油型ホイップクリームと油中水型ホイップドクリームの合計含量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、その上限は特に限定されず100質量%であってよい。したがって一実施形態において、水中油型ホイップクリームと油中水型ホイップドクリームの合計含量は、好ましくは80~100質量%、より好ましくは85~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%である。
なお、水中油型ホイップクリームと油中水型ホイップドクリームの合計含量が100質量%でない場合、その残余の部分は、後述するその他成分で構成される。
良好な口溶けと濃厚な風味のバランスをとる観点や、絞ったクリームの保形性を高める観点から、水中油型ホイップクリーム1質量部に対する、油中水型ホイップドクリームの質量は、好ましくは0.6質量部以上、より好ましくは1.2質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上、1.6質量部以上又は1.8質量部以上であり、その上限は好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下又は5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。したがって一実施形態において、水中油型ホイップクリーム1質量部に対する、油中水型ホイップドクリームの質量は、好ましくは0.6~10質量部、より好ましくは1.2~7質量部、さらに好ましくは1.5~3質量部である。
<水中油型ホイップクリームのSFC-25/SFC-35と、油中水型ホイップドクリームのSFC-25/SFC-35の差分について>
本発明で使用する水中油型ホイップクリームのSFC-25/SFC-35と、本発明で使用する油中水型ホイップドクリームのSFC-25/SFC-35との差分(以下、単に「SFC-25/SFC-35の差分」ともいう。)の絶対値が1.5以上であることが好ましい。
本発明において、SFC-25/SFC-35とは、35℃における固体脂含量SFC-35に対する、25℃における固体脂含量SFC-25の比を指す。
SFC-25/SFC-35の差分の絶対値が1.5以上であることで、本発明のクリームは、良好な口溶けと、油性感に由来する濃厚な風味とを両立しやすくなる。
この口溶けと濃厚な風味とを両立する観点から、SFC-25/SFC-35の差分の絶対値はより好ましくは2以上、さらに好ましくは3.2以上であり、その上限は好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。したがって一実施形態において、SFC-25/SFC-35の差分の絶対値は、2~5がより好ましく、3.2~4がさらに好ましい。
なお、SFC-25/SFC-35の値は、油中水型ホイップドクリームよりも水中油型ホイップクリームの方が大であることが、良好な口溶けと濃厚な風味とが両立されたクリームを得る観点から好ましい。
<クリームのSFC>
ベーカリー食品にトッピングしたりサンドしたりした際に適度な保形性を有するクリームを得る観点から、本発明のクリームの25℃における固体脂含量SFC-25は、好ましくは20%以上、より好ましくは23%以上、さらに好ましくは26%以上又は28%以上であり、その上限は好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下又は38%以下、さらに好ましくは35%以下である。したがって一実施形態において、本発明のクリームの25℃における固体脂含量SFC-25は、好ましくは20~45%、より好ましくは23~40%、さらに好ましくは26~35%である。
本発明のクリームの25℃における固体脂含量SFC-25は、好ましい要件を満たす水中油型ホイップクリームと油中水型ホイップドクリームを上記好適な量にて用いることで容易に満たすことができる。
[クリームの製造方法]
本発明のクリームは、水中油型ホイップクリームと油中水型ホイップドクリームを混合し、撹拌することにより製造される。本発明は斯かるクリームの製造方法も提供する。
まず、水中油型ホイップクリーム及び油中水型ホイップクリームを15~25℃に調温する。
調温温度は、仕込み量や、水中油型ホイップクリーム及び油中水型ホイップドクリームの製造に用いられる油脂の種類によっても異なるが、好ましくは15~23℃、より好ましくは16~22℃、さらに好ましくは16~20℃である。
調温は任意の手法で実施してよく、例えば室温下で放置したり、恒温槽内で調温する等の手法が挙げられる。
調温の後、油中水型ホイップクリームをホイップして得られた油中水型ホイップドクリームと、水中油型ホイップクリームとを混合して、本発明のクリームを製造してよい。
一実施形態において、本発明のクリームの製造方法は、
(I)油中水型ホイップドクリーム(油中水型乳化物であるホイップドクリーム)を得る一次ホイップ工程、及び
(II)該油中水型ホイップドクリームに水中油型ホイップクリーム(水中油型乳化物であるホイップクリーム)を加え、ホイップする二次ホイップ工程
を含む。
-工程(I)-
工程(I)は一次ホイップ工程である。該一次ホイップ工程において、油中水型ホイップドクリームを得る。
工程(I)において、ホイップタイムは、仕込み量や用いるミキサー等によって異なるが、得られる油中水型ホイップドクリームの比重が好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下、0.85以下又は0.8以下となるまでホイップすることが好ましく、その際の該比重の下限は好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.55以上、さらにより好ましくは0.6以上であることが好適である。したがって一実施形態において、工程(I)は、好ましくは比重0.4~0.95の、より好ましくは比重0.5~0.9の、さらに好ましくは比重0.55~0.9の、さらにより好ましくは比重0.6~0.9の油中水型ホイップドクリームを得る一次ホイップ工程である。
-工程(II)-
工程(II)は二次ホイップ工程である。該二次ホイップ工程において、一次ホイップ工程で得られた油中水型ホイップドクリームに水中油型ホイップクリームを加え、ホイップする。
工程(II)では、油中水型ホイップドクリームに対して、調温された水中油型ホイップクリームを撹拌しながら少しずつ加え、全量を加えた後、更に撹拌によりホイップする。
水中油型ホイップクリームを全量加えた後のホイップタイムもまた、仕込み量や用いるミキサー等によっても異なるが、得られるクリームの比重が好ましくは0.9以下、より好ましくは0.85以下、さらに好ましくは0.8以下となるまでホイップすることが好ましく、その際の該比重の下限は好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上であることが好適である。したがって一実施形態において、工程(II)は、好ましくは比重0.6~0.9となるまで、より好ましくは比重0.6~0.85となるまで、さらに好ましくは比重0.6~0.80となるまでホイップする二次ホイップ工程である。
なお、工程(I)において油中水型ホイップドクリームを得る際、又は工程(II)において油中水型ホイップドクリームに水中油型ホイップクリームを加えてホイップする際に、必要に応じて、その他成分を含有することができる。
その他成分としては、例えば、乳化剤、安定剤、蛋白質、糖類及び甘味料、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、食塩、酸味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等を挙げることができ、これらを任意に選択し配合してよい。その他の成分の配合量は、本発明のクリームの口溶けや濃厚な風味を損ねない範囲で任意に設定してよい。
なお、油中水型ホイップクリームを製造する際にエアレーションにより含気させて製造された油中水型ホイップドクリームを用いてクリームを製造する場合には、上記の一次ホイップ工程を省略することができ、調温した後、ミキサーにとって軽く撹拌した後、水中油型ホイップクリームを添加する他は、上記製造方法と同様に本発明のクリームを製造することができる。
<クリームの用途>
本発明のクリームの用途としては、例えば、練り込み用、フィリング用(サンド、トッピング、スプレッド、コーティング等を含む)、調理用等が挙げられるが、中でも、フィリング用として好適に使用でき、特に、ベーカリー食品やフライ食品のフィリングクリームに好適に使用できる。
本発明のクリームを適用することができるベーカリー食品・フライ食品は、特に限定されず、例えば、食パン、菓子パン、バターロール、バラエティブレッド、フランスパン、デニッシュ等のパン類、パイやペストリー、パウンドケーキ、スポンジケーキ、フルーツケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ等のバターケーキ、アイスボックスクッキー、ワイヤーカットクッキー、サブレ、ラングドシャクッキー、ビスケット等のクッキー、ワッフル、スコーン等の菓子類、イーストドーナツ、ケーキドーナツ等の揚げ菓子類を挙げることができる。
本発明のクリームの上記用途における使用量は、各用途により異なり、特に制限されるものではないが、例えばベーカリー食品100質量部に対して、本発明のクリームを5~200質量部使用してよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例により何ら制限されるものではない。
<本発明で使用する水中油型ホイップクリーム、油中水型ホイップドクリーム、及び本発明のクリームにおける油相組成の測定>
-トリグリセリド組成の測定-
各クリームの油相のトリグリセリド組成は、「日本油化学会制定基準油脂分析試験法2.4.6.2-2013」に準拠して、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法により測定した。
各種測定条件は以下のとおりである。
(検出器):示差屈折検出器
(カラム):ドコシルカラム(DCS)
(移動相):アセトン:アセトニトリル=65:35(体積比)
(流速):1ml/min
(カラム温度):40℃
(背圧):3.8MPa
-脂肪酸組成の測定-
各クリームの油相の脂肪酸組成は、AOCS法「Ce-1h05」に準拠して、キャピラリーガスクロマトグラフ法により測定した。
各種測定条件は以下のとおりである。
(注入方式)スプリット方式
(検出器)FID検出器
(キャリアガス)ヘリウム 1ml/min
(カラム)SUPELCO社製「SP-2560」(0.25mm、0.20μm、100m)
(カラム温度)180℃
(分析時間)60分
(注入口温度)250℃
(検出器温度)250℃
(スプリット比)100:1
<本発明で使用する水中油型ホイップクリーム、油中水型ホイップドクリーム、及び本発明のクリームのSFCの測定>
各クリームのSFCは、AOCS official methodのcd16b-93に記載されるパルスNMR(ダイレクト法)にて測定した。25℃及び35℃におけるSFCは、25℃又は35℃に設定された恒温槽にて30分間静置した試料について測定した。
以下、本発明で使用する水中油型ホイップクリーム及び油中水型ホイップクリーム(ひいては油中水型ホイップドクリーム)の製造の際に用いた油脂について述べる。
<製造例1>(ランダムエステル交換油脂(1)の製造)
パーム核油50質量部と、パーム油に対し、沃素価が1以下となるまで水素添加を施した極度硬化油(以下、単に「パーム極度硬化油」ともいう。)50質量部を溶融した状態で混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を、四口フラスコに入れ、液温110℃で真空下30分間加熱した。この後、対油0.2質量%の割合でランダムエステル交換触媒のナトリウムメトキシドを加えて、液温を85℃に調整して更に真空下で1時間加熱してランダムエステル交換反応を行った後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和した。次に、白土を加え漂白(白土量は対油3質量%、処理温度85℃)を行い、白土を濾別した後、脱臭(250℃、60分間、吹込み水蒸気量対油5質量%)を行って、ランダムエステル交換油脂(1)を得た。
<製造例2>(ランダムエステル交換油脂(2)の製造)
パーム核油75質量部と、パーム油に対し、沃素価が1以下となるまで水素添加を施した、パーム極度硬化油25質量部を溶融した状態で混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を、製造例1と同様にして、ナトリウムメトキシドを触媒とするランダムエステル交換反応、及び漂白・脱臭の精製処理を行い、ランダムエステル交換油脂(2)を得た。
製造例1及び2に関し、ランダムエステル交換油脂(1)の構成脂肪酸残基中の炭素数12の飽和脂肪酸残基の含量は32.3質量%であり、ランダムエステル交換油脂(2)の構成脂肪酸残基中の炭素数12の飽和脂肪酸残基の含量は45質量%であった。
その他、菜種油、沃素価65のパームスーパーオレイン、及びパーム核オレインを使用した。
<油中水型ホイップクリームの製造>
まず、表1に記載の配合に基づいて、配合油(1)~(3)を調製した。
次に、この配合油(1)~(3)を用いて、表2に記載の配合で、以下に示す製造方法により、油中水型ホイップクリーム(1)~(3)を調製した。
-油中水型ホイップクリームの製造方法-
表2に記載の油相成分を、配合油に溶解して調製された油相と、表2に記載の水相成分を、水と液糖又は還元水飴の混合物に溶解して調製された水相とを、それぞれ55~60℃となるように加熱した後に混合した。この混合物を87℃にて60秒間殺菌し、次いでコンビネーターにて、-20℃/分の条件で、5℃まで急冷しながら可塑化して、油中水型ホイップクリーム(1)~(3)を調製した。
<水中油型ホイップクリームの製造>
まず、表1に記載の配合に基づいて、配合油(4)を調製した。
次に、この配合油(4)を用いて、表2に記載の配合で、以下に示す製造方法により、水中油型ホイップクリーム(1)を調製した。
-水中油型ホイップクリームの製造方法-
表2に記載の油相成分を、配合油に溶解して調製された油相と、表2に記載の水相成分を、水と液糖又は還元水飴の混合物に溶解して調製された水相とを、それぞれ65℃となるように加熱した後に混合して、乳化物を調製した。この乳化物を3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行ない、水中油型ホイップクリーム(1)を得た。
Figure 2023130188000001
Figure 2023130188000002
[検討1]
検討1では、油中水型ホイップドクリームと水中油型ホイップクリームの混合比について検討を行った。
<クリームの製造>
表3および表4に記載の配合に基づいて、油中水型ホイップクリーム(1)と水中油型ホイップクリーム(1)、又は油中水型ホイップクリーム(2)と水中油型ホイップクリーム(1)とを用いて、以下の方法により混合し、クリームA1~A6、及びクリームB1~B6を製造した。
なお、表3中「Cont.OW」と記載された水中油型ホイップドクリーム(1)や、表3中「Cont.WO1」と記載された油中水型ホイップドクリーム(1)、表4中「Cont.WO2」と記載された油中水型ホイップドクリーム(2)は、それぞれ水中油型ホイップクリーム(1)のみ、又は油中水型ホイップクリーム(1)若しくは(2)のいずれか一つのみを比重0.65となるまでミキサー(HOBART ミキサーN50)でホイップして得られた比較例のクリームである。また、クリームA1~A6、及びクリームB1~B6は実施例のクリームである。
-クリームの製造方法-
まず、20℃に調温された油中水型ホイップクリーム(1)、若しくは油中水型ホイップクリーム(2)をボウルにとり、ミキサーで撹拌し、比重0.65となるまでホイップして、油中水型ホイップドクリームを得た。
次に、得られた油中水型ホイップドクリーム(1)、又は油中水型ホイップドクリーム(2)に対し、20℃に調温された水中油型ホイップクリーム(1)を少しずつ撹拌しながら加えた後、比重が0.65となるまで更に撹拌し、クリームA1~A6、及びクリームB1~B6を得た。
得られたクリームを、後述する官能評価用と、保形性評価用にカップにとり、評価に供した。なお、保形性評価用のサンプリングについては、得られたクリームを三角袋に詰めて、ツノが立つようにカップに絞ったものを評価に供した。
<クリームの官能評価>
製造したクリームA1~A6、及びクリームB1~B6について、10人の専門パネラーにより下記評価基準に従って、口溶け、風味発現性、濃厚感について、官能評価を実施した。そして、その合計点を求め、合計点が45~50点の場合に+++、39~44点の場合に++、34~38点の場合に+、30~33点の場合に±、14~29点の場合に-、0~13点の場合に--とした。なお、評価に先立ち、パネラー間で各点数に対応する官能の程度をすり合わせた。この評価結果を表3、表4に示す。
口溶けの評価基準:
5点:なめらかな食感であり、口溶けが良い。
3点:口溶けが良い。
1点:べたつきが感じられ、口溶けがやや不良である。
0点:糊様の食感であり、口溶けが不良である。
風味発現性の評価基準:
5点:風味の発現が良好である。
3点:風味の発現がやや良好である。
1点:風味の発現がやや悪い。
0点:風味の発現が悪い。
濃厚感の評価基準:
5点:非常に濃厚であり、コクがある。
3点:やや濃厚であり、ややコクがある。
1点:濃厚感がやや感じられず、コクがない。
0点:濃厚感が感じられず、コクがない。
<クリームの保形性評価>
15℃設定の恒温槽で、24時間保管した後のクリームの様子を目視で確認し、以下の評価基準で評価を行った。
評価基準:
+++:油水分離が見られない他、絞ったクリームの形状が崩れることなく、きわめて保形性が良好である。
++:油水分離が見られない他、絞ったクリームの形状が崩れることなく、保形性が良好である。
+:縁の部分に僅かに油水分離が確認される、若しくは絞ったクリームの形状がややダレているが、許容範囲である。
-:縁の部分に油水分離が確認される、若しくは絞ったクリームの形状がダレており、保形性に乏しい。
--:全体的に油水分離が確認される、若しくは絞ったクリームの形状を留めずに崩れ、保形性に乏しい。
Figure 2023130188000003
Figure 2023130188000004
[検討2]
検討2では、油中水型ホイップドクリームと水中油型ホイップクリームとにおいて、同一の乳原料を用いることによる効果について検討を行った。検討したクリームC4については、油中水型ホイップクリーム(1)又は油中水型ホイップクリーム(2)の代わりに、水中油型ホイップクリーム(1)と同一の乳原料を用いずに製造した油中水型ホイップクリーム(3)を用いた他は、クリームA4やクリームB4と同様にクリームC4を製造し、検討1と同様に評価を行った。その結果を表5に示す。
なお、表5中「Cont.OW」と記載された水中油型ホイップドクリーム(1)や、表5中「Cont.WO3」と記載された油中水型ホイップドクリーム(3)は、それぞれ水中油型ホイップクリーム(1)のみ、又は油中水型ホイップクリーム(3)のみを比重0.65となるまでミキサーでホイップして得られた比較例のクリームである。また、クリームC4は比較例のクリームである。
Figure 2023130188000005
[検討3]
検討3では、クリーム中の油中水型ホイップドクリームと水中油型ホイップクリームとにおいて、同一の乳原料を用いることによる効果について検討を行った。検討したクリームD1~D3については、表6に記載の配合に基づいて、油中水型ホイップクリーム(1)と水中油型ホイップクリーム(1)とに加えて、いちごジャム(寿食品工業株式会社製「マイスイートストロベリー」)を用いて以下の方法により混合し、クリームD1~D3を製造した。また、得られたクリームD1~D3について、検討1と同様に評価を行った。その結果を表6に示す。
なお、クリームD1は比較例のクリームであり、クリームD2及びD3は実施例のクリームである。
-クリームの製造方法-
まず、油中水型ホイップクリーム(1)をボウルにとり、ミキサー(HOBART ミキサーN50)で撹拌し、比重0.65となるまでホイップして、油中水型ホイップドクリームを得た。
次に、得られた油中水型ホイップドクリーム(1)に対し、水中油型ホイップクリーム(1)を少しずつ撹拌しながら加えた後、比重が0.65となるまで撹拌した。
この後、いちごジャムを加えて更に撹拌して、クリームD1~D3を得た。
Figure 2023130188000006

Claims (5)

  1. (A)水中油型乳化物であるホイップクリームと
    (B)油中水型乳化物であるホイップドクリーム
    を含有するクリームであって、
    (A)成分と(B)成分の合計含量が75質量%以上であり、
    (A)成分と(B)成分が、同一の乳原料を少なくとも1つ含有する、クリーム。
  2. 同一の乳原料が、濃縮乳、ホエイ、チーズ、バターオイル、乳清ミネラル、及び乳固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上であるクリーム若しくはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分からなる群から選択される、請求項1記載のクリーム。
  3. (A)成分の25℃における固体脂含量SFC-25と35℃における固体脂含量SFC-35の比SFC-25/SFC-35と、(B)成分の比SFC-25/SFC-35との差分の絶対値が1.5以上である、請求項1又は2記載のクリーム。
  4. (A)成分1質量部に対する、(B)成分の質量が、0.6~10質量部である、請求項1~3の何れか1項記載のクリーム。
  5. (I)比重0.6~0.9の油中水型乳化物であるホイップドクリームを得る一次ホイップ工程、及び
    (II)該油中水型乳化物であるホイップドクリームに水中油型乳化物であるホイップクリームを加え、比重0.6~0.9となるまでホイップする二次ホイップ工程
    を含む、請求項1~4の何れか1項記載のクリームの製造方法。
JP2022034717A 2022-03-07 2022-03-07 クリーム Pending JP2023130188A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022034717A JP2023130188A (ja) 2022-03-07 2022-03-07 クリーム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022034717A JP2023130188A (ja) 2022-03-07 2022-03-07 クリーム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023130188A true JP2023130188A (ja) 2023-09-20

Family

ID=88024770

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022034717A Pending JP2023130188A (ja) 2022-03-07 2022-03-07 クリーム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023130188A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4502839B2 (ja) 起泡性水中油型乳化組成物
US5882704A (en) Process for the production of cream cheese-like products
JP6423557B2 (ja) 油脂および油脂含有食品
ES2380757T3 (es) Procedimiento para reducir el contenido en ácidos grasos saturados de la grasa de leche, productos obtenidos y sus aplicaciones
JP7237528B2 (ja) 乳化油脂組成物
JP2007151459A (ja) 乳酸発酵物を含む食品
JP7242204B2 (ja) 可塑性乳化油脂組成物
WO2016084788A1 (ja) 塩味増強油脂の製造方法
JP3103481B2 (ja) 油脂乳化組成物及びその製造方法
JP5754106B2 (ja) フレッシュチーズ様食品
JP2023130188A (ja) クリーム
JP7179505B2 (ja) 可塑性油脂組成物
JP2010263914A (ja) 乳酸発酵物を含む食品
JP7109720B2 (ja) O/w/o型食品、食品及びo/w/o型食品の製造方法
JP6845074B2 (ja) ベーカリー用油脂組成物
JP2004016165A (ja) 流動状二重乳化油脂組成物
JP7313588B1 (ja) 可塑性油脂組成物とそれを用いた食品
JP2019187275A (ja) 焼菓子生地及び焼菓子
CZ289192A3 (en) Process for preparing an article from emulsified fat
Mortensen Production of yellow fats and spreads
JP7109195B2 (ja) 油脂組成物
JP2023069045A (ja) 食用クリーム
JP2016077168A (ja) 起泡性水中油型乳化物
JP2024085005A (ja) 油菓子練込用水中油型乳化油脂組成物
JP4374801B2 (ja) 油中水型乳化油脂組成物