JP2023130033A - 黒鉛含有耐火物の製造方法 - Google Patents

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圭佑 吉田
Keisuke Yoshida
亮磨 藤吉
Ryoma Fujiyoshi
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Abstract

【課題】転炉や溶銑予備処理容器などの内張り耐火物のように長期間にわたって昇温と降温が繰り返される条件で使用される場合でも高い耐用性が得られる黒鉛含有耐火物を製造する。【解決手段】黒鉛を含有する耐火物原料Aの内部に炭素繊維織物Bが埋設された黒鉛含有耐火物の製造法であって、炭素繊維織物Bに対して接着剤cを付着させる調製工程と、この調製工程を経た炭素繊維織物Bを、耐火物原料Aの内部に埋設し、この炭素繊維織物Bが埋設された耐火物原料Aを成形して耐火物成形体xを得る成形工程を有し、この成形工程で得られる耐火物成形体xは、炭素繊維織物Bを構成する同じ方向の隣り合う炭素繊維束bの間隔が耐火物原料Aを構成する骨材の最大粒径よりも大きく、且つ、炭素繊維織物Bの面方向での耐火物成形体断面において、耐火物成形体断面積に対する炭素繊維織物Bの占める面積割合が20%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維束を編み込んだ炭素繊維織物を耐火物本体の内部に配置した黒鉛含有耐火物の製造方法に関するものである。
製鉄所において製銑工程や製鋼工程で使用される設備(精錬容器、搬送容器などの製鉄容器)は、高温下で長期間の使用に耐えられるように耐火物が内張り施工されている。一般に、精錬工程で使用される転炉の内張りにはマグネシア・カーボン質耐火物が使用され、溶銑予備処理工程で使用されるトピードや高炉鍋の内張りにはアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物が使用される。
これらの精錬容器や搬送容器で内張りに使用される耐火物は、装入物による機械的衝撃、溶鋼や溶融スラグの撹拌による摩耗、溶融スラグによるスラグ浸食、操業中の急激な温度変化などが生じる非常に過酷な条件下で使用される。このため、安定した操業を行うためにも、そのような過酷な条件に耐えられる耐用性の高い耐火物を使用する必要がある。
特に、転炉の羽口部を構成する羽口煉瓦は、内部に常温のガス(酸素や冷却用炭化水素ガスなど)が流れており、炉内に近い部位では内面が常温のガスにより冷却され、外面は炉内の溶鋼からの伝熱による高温に曝されるため、羽口煉瓦内の熱勾配は極めて大きく、しかも転炉の1チャージ分の吹錬が終わる度に、溶鋼を排出することによる温度低下が生じ、大きな熱変動が繰り返される。転炉に設置される羽口煉瓦は、使用頻度が2500~4000チャージ程度にも達し、この1チャージ毎に上記のような大きな熱勾配を生じる状況と大きな熱変動が繰り返されるという極めて過酷な条件で使用されるため、このような条件での使用に耐え得る高い耐用性が必要である。
また、羽口煉瓦以外の転炉内張り耐火物(転炉内壁を構成する煉瓦)も、上述したような大きな熱変動が繰り返される非常に過酷な条件で使用されるため、羽口煉瓦ほどではないが、高い耐用性が求められる。
また、同様に、トピードや高炉鍋などの溶銑予備処理容器、取鍋容器などの内張り耐火物も、大きな熱変動が繰り返される非常に過酷な条件で使用されるため、高い耐用性が求められる。
耐火物の耐用性を高める技術として、特許文献1には、高強度繊維束に合成樹脂やピッチなどを浸透(含浸)させたものに、熱処理などの硬化処理を施すことにより得られた棒状または網状の固化体を、耐火物の内部に配置することが記載されており、高強度繊維束の固化体が形状を崩すことなく耐火物の内部に配置されているので、耐火物の機械的強度と耐スポール性を高められるとしている。
また、特許文献2には、耐火物の表面の一部または全体に、耐火物よりも引張強度が高い繊維からなる一方向の束あるいは織物を耐熱性の接着剤で接着させることが記載されており、この技術により、従来よりも耐火物を高強度のまま長時間保持できるとともに、耐火物の引張強度を改善でき、亀裂発生や破壊を抑制でき、耐火物の寿命や信頼性を向上できるとしている。具体的には、鉄鋼の連続鋳造工程に使用されるロングノズル、浸漬ノズル、スライディングノズルといった内部を溶鋼が流通するノズルに対し、その外面を拘束する方向に繊維の束あるいは織物をフェノール樹脂により接着し、その表面に酸化防止下地層や酸化防止層を配置することが記載されている。これらのノズルでは、内部を溶鋼が流通するときに外面側へ熱膨張するのを前記繊維の束や織物で拘束し、ノズルを構成する耐火物に圧縮応力を生じさせ、亀裂の発生や破壊を抑制しているものと考えられる。
特開2005-320196号公報 特開2007-106618号公報
しかしながら、本発明者らが検討した結果、炭素繊維を特許文献1、2に示すような形態で耐火物に配置しても、上述したような過酷な条件に曝される製鉄容器(転炉や溶銑予備処理容器など)に用いる耐火物としては十分な耐用性が得られないことが判った。
また、特許文献1に記載の技術は、高強度繊維束を樹脂やピッチなどで固化させた棒状または網状の固化体を耐火物内に配置するものであるため、耐火物原料を圧縮成型や流し込みにより成型または施工する際に、固化体が抵抗となって耐火物原料の均一な圧縮や流入が妨げられる結果、耐火物の強度や破壊エネルギーが低下し、耐火物の耐用性が低下するという問題がある。
また、特許文献2に記載のノズルが使用される連続鋳造工程では、転炉で吹錬された複数チャージ分の溶鋼を連続的に鋳造するため、使用されるノズルの温度変化のサイクルは転炉や溶銑予備処理容器などの内張り耐火物に較べれば長く、またノズルの外面は下方に位置する下流側の容器に貯留される溶鋼からの輻射を受けるため、ノズル内を流れる溶鋼との温度差はそれほど大きなものではない。これに対して、転炉や溶銑予備処理容器などの内張り耐火物(特に転炉の羽口部を構成する羽口煉瓦)は、上述したように非常に過酷な条件で使用されるものであり、本発明者らが検討したところによれば、特許文献2に記載の技術では、そのような耐火物の耐用性を十分に高めることができないことが判った。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、転炉や溶銑予備処理容器などの内張り耐火物のように長期間にわたって昇温と降温が繰り返される条件で使用される場合でも高い耐用性が得られ、また、特に転炉の羽口煉瓦のように内部の温度勾配が非常に大きい条件で使用される場合でも高い耐用性が得られる黒鉛含有耐火物を安定して製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、耐火物原料の内部に、接着剤を付着させた特定の炭素繊維織物を所定の形態で埋設すること、好ましくは炭素繊維織物を構成する炭素繊維の繊維径や本数、さらには耐火物断面における炭素繊維の存在密度を最適化することにより、従来技術に較べて耐火物の破壊エネルギーが大幅に向上し、上述したような極めて厳しい使用環境でも高い耐用性が得られることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]黒鉛を含有する耐火物原料(A)の内部に、炭素繊維束(b)を2方向以上に編み込んだ炭素繊維織物(B)が埋設された黒鉛含有耐火物の製造方法であって、
炭素繊維織物(B)に対して接着剤(c)を付着させる調製工程(i)と、
該調製工程(i)で接着剤(c)を付着させた炭素繊維織物(B)を、耐火物原料(A)の内部に埋設し、該炭素繊維織物(B)が埋設された耐火物原料(A)を成形して耐火物成形体(x)を得る成形工程(ii)を有し、
該成形工程(ii)で得られる耐火物成形体(x)は、炭素繊維織物(B)を構成する同じ方向の隣り合う炭素繊維束(b)の間隔が耐火物原料(A)を構成する骨材の最大粒径よりも大きく、且つ、炭素繊維織物(B)の面方向での耐火物成形体断面において、耐火物成形体断面積に対する炭素繊維織物(B)の占める面積割合が20%以上であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、調製工程(i)では、接着剤(c)を、炭素繊維織物(B)の外表面に付着させるとともに、炭素繊維織物(B)を構成する炭素繊維束(b)の束のなかに浸透させ、
成形工程(ii)で得られる耐火物成形体(x)は、埋設された炭素繊維織物(B)が、炭素繊維束(b)の束のなかに接着剤(c)を含むとともに、耐火物原料(A)に対して接着剤(c)を介して接着または密着していることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[3]上記[1]または[2]の製造方法において、さらに、成形工程(ii)で得られた耐火物成形体(x)を乾燥する乾燥工程(iii)を有することを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの製造方法において、接着剤(c)は、有機樹脂溶液、無機ゾル、タール、ピッチ、有機糊の中から選ばれる1種以上からなることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[5]上記[1]~[4]のいずれかの製造方法において、成形工程(ii)で得られる耐火物成形体(x)は、炭素繊維織物(B)が耐火物稼動面と直交する方向に沿って埋設されていることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[6]上記[1]~[5]のいずれかの製造方法において、炭素繊維織物(B)の厚さが0.1mm以上3mm以下であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[7]上記[1]~[6]のいずれかの製造方法において、成形工程(ii)で得られる耐火物成形体(x)は、炭素繊維織物(B)が間隔をおいて2層以上埋設されていることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[8]上記[7]の製造方法において、2層以上の炭素繊維織物(B)が間隔をおいて並列状に埋設され、隣り合う炭素繊維織物(B)の間隔が10mm以上であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[9]上記[1]~[8]のいずれかの製造方法において、炭素繊維織物(B)を構成する同じ方向の炭素繊維束(b)は、隣り合う炭素繊維束(b)の間隔が3mm超であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[10]上記[1]~[9]のいずれかの製造方法において、炭素繊維織物(B)を構成する炭素繊維束(b)の幅が1mm超15mm以下であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[11]上記[1]~[10]のいずれかの製造方法において、接着剤(c)は、残炭率が6質量%以上80質量%以下の有機物を含むものであることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[12]上記[1]~[11]のいずれかの製造方法において、耐火物原料(A)は、黒鉛原料の含有量が1質量%以上80質量%以下であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[13]上記[1]~[12]のいずれかの製造方法において、耐火物原料(A)は、マグネシア原料の含有量が20質量%以上99質量%以下であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[14]上記[1]~[13]のいずれかの製造方法において、耐火物原料(A)は、アルミナ原料の含有量が10質量%以上95質量%以下であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[15]上記[1]~[12]、[14]のいずれかの製造方法において、耐火物原料(A)は、シリカ原料の含有量が1質量%以上50質量%以下であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[16]上記[14]または[15]の製造方法において、耐火物原料(A)は、炭化ケイ素原料の含有量が1質量%以上であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[17]上記[1]~[16]のいずれかの製造方法において、耐火物原料(A)は、使用済み耐火物を粉砕した耐火物屑を、耐火物原料として10質量%以上90質量%以下含有することを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
本発明によれば、高い破壊エネルギーを有するため、転炉や溶銑予備処理容器の内張り耐火物のように長期間にわたって昇温と降温が繰り返される条件下で使用しても高い耐用性が得られ、また、特に転炉の羽口煉瓦のように内部の温度勾配が非常に大きい条件で使用される場合でも高い耐用性が得られる黒鉛含有耐火物を安定して製造することができる。
本発明法による黒鉛含有耐火物の製造工程の一例を示すフロー図 本発明法により製造される黒鉛含有耐火物の一例を模式的に示すものであり、図2(ア)は側面図、図2(イ)は図2(ア)中のII-II線に沿う断面図(耐火物稼働面に平行な断面図) 図2(ア)中のIII-III線に沿う断面図(炭素繊維織物Bの面方向での耐火物断面図) 実施例における黒鉛含有耐火物の曲げ強度の測定方法を示すもので、図4(ア)は3点曲げ強度試験の実施状況を模式的に示す説明図、図4(イ)は図4(ア)の試験片の端面を模式的に示す説明図 実施例において、3点曲げ強度試験で得られた荷重-変位曲線から求められる破壊エネルギーの一例を示す図面 実施例における黒鉛含有耐火物の耐溶損性の評価試験方法を示すもので、図6(A)は試験の実施状況を試験炉および筒状サンプルを縦断面した状態で模式的に示す説明図、図6(B)は図6(A)に示される筒状サンプルの平面図、図6(C)は図6(A),(B)に示す筒状サンプルを構成する試験片の1つを示す斜視図
本発明の製造方法は、黒鉛を含有する耐火物原料Aの内部に、炭素繊維束bを2方向以上に編み込んだ炭素繊維織物Bが埋設された黒鉛含有耐火物の製造方法であって、炭素繊維織物Bに対して接着剤cを付着させる調製工程(i)と、この調製工程(i)で接着剤cを付着させた炭素繊維織物Bを、耐火物原料Aの内部に埋設し、この炭素繊維織物Bが埋設された耐火物原料Aを成形して耐火物成形体xを得る成形工程(ii)を有し、この成形工程(ii)で得られる耐火物成形体xは、炭素繊維織物Bを構成する同じ方向の隣り合う炭素繊維束bの間隔が耐火物原料Aを構成する骨材の最大粒径よりも大きく、且つ、炭素繊維織物Bの面方向での耐火物成形体断面において、耐火物成形体断面積に対する炭素繊維織物Bの占める面積割合が20%以上であることを特徴とする。
このような本発明法により製造される黒鉛含有耐火物は、耐火物原料Aの内部に配置(埋設)された炭素繊維織物Bが、耐火物原料Aに対して接着剤cを介して接着または密着されることで炭素繊維織物Bが耐火物と一体化することに加えて、耐火物原料の内部に特定の炭素繊維織物を所定の形態で埋設することにより、亀裂の発生を抑制できる高い破壊エネルギーが得られる。また、調製工程(i)において、炭素繊維織物Bの外表面に接着剤cを付着させるだけでなく、炭素繊維織物Bを構成する炭素繊維束bの束のなかに接着剤cを浸透(含浸)させることにより、炭素繊維束bが接着剤cにより束として一体化されるので、より高い破壊エネルギーが得られる。
図1は、本発明法による黒鉛含有耐火物の製造工程の一例を示すものである。また、図2および図3は、本発明法により製造される黒鉛含有耐火物の一例を模式的に示すものであり、図2(ア)は側面図、図2(イ)は図2(ア)中のII-II線に沿う断面図(耐火物稼働面に平行な断面図)、図3は図2(ア)中のIII-III線に沿う断面図(炭素繊維織物Bの面方向での耐火物断面図)である。図において、s1が耐火物の稼動面(溶鋼やスラグに接触する面)、s2が反稼動面である。この黒鉛含有耐火物では、耐火物本体(耐火物原料Aで構成される部分。以下同様)の内部に3層の炭素繊維織物Bが所定の間隔で並列状に配置(埋設)されている。
調製工程(i)では、炭素繊維織物Bに対して接着剤cを付着させる。この際、炭素繊維織物Bと耐火物原料Aを接着または密着させて一体化させるために、接着剤cを炭素繊維織物Bの外表面を覆うように付着させるが、さらに好ましくは、炭素繊維織物Bを構成する炭素繊維束bを束として一体化させるために、接着剤cを炭素繊維束bの束のなか(炭素繊維どうしの間隙)に浸透(含浸)させる。
接着剤cとしては、有機樹脂などの有機物または/およびアルミナ、シリカなどの無機微粒子を含むもの(すなわち有機物または/および無機微粒子を有効成分とする接着剤)が好ましい。
図3に示すように、接着剤cは、耐火物原料A(耐火物本体)の内部において炭素繊維織物B(炭素繊維束b)の外表面を覆って炭素繊維織物Bを耐火物原料A(耐火物本体)に接着または密着させ、さらに好ましくは炭素繊維束bの束のなか(炭素繊維どうしの間隙)に存在(浸透)して炭素繊維束bを束として一体化させるものであり、このため、調製工程(i)で使用する接着剤cは液体状であることが望ましい。これらの条件から、調製工程(i)において炭素繊維織物Bに付着させる接着剤cとしては、有機樹脂溶液、タール、ピッチ、有機糊、無機ゾルの中から選ばれる1種以上(すなわち、これらのいずれか若しくはこれらの混合物)が適している。
接着剤c(粘着性付与剤)の具体例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂(これらの有機樹脂の1種以上からなる樹脂溶液)、ピッチ、タール、でんぷん糊、アルミナゾル、シリカゾル、ジルコニアゾル、クロミアゾル、チタニアゾル、マグネシアゾル、カルシアゾル、イットリアゾルなどが挙げられ、これらの中から選ばれる1種以上を用いることができる。
また、これらの接着剤cの粘性を調整するために溶媒で薄めることもできるが、500℃以上の高温下では酸素が無くてもガス化する溶媒(例えば、水)の使用は接着剤成分の重量に対して等量以下に抑えることが望ましい。
また、接着剤cが有機樹脂などの有機物を有効成分とする場合には、その有機物は残炭率が6質量%以上80質量%以下のものが好ましい。ここで、接着剤cの残炭率とは、JIS K6910(フェノール樹脂試験方法)に記載の固定炭素測定法に基づいて測定されるものである。
耐火物は、その使用時(実機稼働時)に、内部まで500℃以上(JIS K6910では900℃で測定する)の高温になる。このとき、黒鉛含有耐火物のように内部には酸素がほとんどない環境であっても、接着剤cの有効成分が有機樹脂などの有機物である場合、炭素繊維織物Bに付着した接着剤cの一部は分解や蒸発によってガス化して耐火物の外に散逸してしまう。残炭率は、接着剤cのうち、ガス化散逸せずに残存する重量の比率の指標となると思われ、接着剤の種類や品質によって異なる。本発明において、接着剤cの残炭率が、炭素繊維織物Bを用いた黒鉛含有耐火物が実使用環境である高温に晒された時の破壊エネルギーに影響するとの着想を得て調査したところ、残炭率が6~80質量%である接着剤c(有機物)を使用すると、破壊エネルギーが高くなりやすいことが判った。これは、そのような特定の残炭率の接着剤c(有機物)を使用すると、耐火物原料A(耐火物本体)と炭素繊維織物Bの密着性が高まるため、成形時に耐火物煉瓦が緻密化し易くなることに加え、高温に曝されると耐火物内部から抜け出るガス量を抑制できるため、亀裂の発生を抑制でき、破壊エネルギーが上昇するためであると考えられる。
接着剤cの有効成分が有機樹脂などの有機物である場合、その残炭率が6質量%未満では、高温下において耐火物内部から抜けるガス量が多くなり、気孔などの欠陥が多く生成されるため、破壊エネルギーが上昇しにくい。一方、残炭率が80質量%超では、高温下において耐火物内部から抜けるガス量が殆ど無くなり、耐火物が緻密化し過ぎて脆くなるため、破壊エネルギーが上昇しにくい。また、以上のような観点から、有機物の残炭率は20~80質量%が好ましく、40~80質量%がより好ましい。
また、本発明において、接着剤cの有効成分がアルミナやシリカなどの無機微粒子である場合(すなわち、接着剤cがアルミナゾルやシリカゾルなどの無機ゾルである場合)にも、高い破壊エネルギーが得られることが判った。これは、無機微粒子(特に無機ゾル由来の無機微粒子)を使用した場合にも、耐火物原料A(耐火物本体)と炭素繊維織物Bの密着性が高まるため、成形時に耐火物煉瓦が緻密化し易くなることに加え、使用時に高温に曝されると無機ゾル由来の無機微粒子が焼結することで亀裂の発生を抑制でき、破壊エネルギーが上昇するためであると考えられる。
調製工程(i)において、接着剤cを炭素繊維織物B(炭素繊維束b)の外表面を覆うように付着させるとともに、接着剤cを炭素繊維束bの束のなか(炭素繊維どうしの間隙)に浸透(含浸)させる場合、例えば、接着剤cである樹脂(樹脂溶液)や無機ゾルなどに炭素繊維織物Bを浸漬したり、接着剤cである樹脂(樹脂溶液)や無機ゾルなどを炭素繊維織物Bに散布したりする。
また、他の方法としては、予め炭素繊維束bの束のなかに接着剤cを浸透(含浸)させた後、硬化または固化させた炭素繊維織物Bを用意し、調製工程(i)において、改めて炭素繊維織物Bの外表面を覆うように接着剤cを付着させるようにしてもよい。
成形工程(ii)では、調製工程(i)で接着剤cを付着させた炭素繊維織物B(好ましくは外表面に接着剤cを付着させるとともに、接着剤cを炭素繊維束bの束のなかに浸透(含浸)させた炭素繊維織物B)を、接着剤cが粘着性を有するうちに耐火物原料Aの内部に埋設し、この炭素繊維織物Bが埋設された耐火物原料Aを成形して耐火物成形体x(耐火物原料の成型品)を得るが、図1に示すように成形をプレス成形で行う場合には、通常、耐火物原料Aに適量のバインダーを加えて混練し、その混練物に対して、上記のように接着剤cを付着させた炭素繊維織物Bを埋設し、次いで、プレス成形を行う。バインダーとしては、例えば、フェノールレジン(主剤)+ヘキサミン(硬化剤)、カーボンボンド、セラミックボンドなどが用いられる。なお、耐火物原料Aは、黒鉛(カーボン原料)および骨材原料などが配合されたものであり、その具体的な組成については、後に詳述する。
ここで、炭素繊維織物Bに付着した接着剤cは、炭素繊維織物Bを混練物に埋設する際にある程度硬化または固化が進んだ状態であっても、上述したように炭素繊維織物Bと耐火物原料A(混練物)が接着または密着できるような粘着性を有する状態(いわゆる生乾きの状態)であればよい。
耐火物原料Aに埋設された炭素繊維織物Bは、接着剤cを介して耐火物原料Aに接着または密着する。また、炭素繊維織物Bが、その外表面に接着剤cを付着させ、且つ炭素繊維束bの束内にも接着剤cを浸透(含浸)させた状態で耐火物原料Aに埋設される場合には、炭素繊維織物Bは、その炭素繊維束bの束のなかに接着剤cを含む(すなわち、接着剤cが炭素繊維束bを構成する炭素繊維どうしの間隙に存在することにより、炭素繊維が束の状態に一体化される)とともに、耐火物原料Aとの間に接着剤cが介在し、耐火物原料Aに対して接着剤cを介して接着または密着される。
プレス成形は、型に耐火物原料Aの混練物と炭素繊維織物Bを充填して行うが、耐火物原料Aの混練物を、炭素繊維織物B(接着剤cを付着させた炭素繊維織物B。以下同様)とともに型に充填する方法としては、例えば、一定量の混練物を型に装入した後に炭素繊維織物Bを配置(装入)し、さらに一定量の混練物を型に装入する方法がある。したがって、この方法で図2のように複層の炭素繊維織物Bが耐火物原料Aの内部に埋設された黒鉛含有耐火物を製造するには、型に一定量の混練物を装入した後、その上に炭素繊維織物Bを配置する工程と、その上に一定量の混練物を装入する工程を繰り返し行う。
プレス成形は、金型内で一方向に圧縮する一般的な金型プレス成形を行うことができるが、液体を用いて全方向から均等に圧力を加えるCIP成形を行ってもよい。部位によって厚さが異なる形状など、一方向の圧縮では均等な圧力を加えることが難しい形状に対しては、CIP成形を用いることによって部位による圧縮度の偏りが軽減されるので望ましい。
また、成形工程(ii)は、プレス成形以外の成形法で行ってもよい。プレス成形以外の成形法としては、例えば、流し込みによる成形があり、その1つに、鍋やタンディッシュなどの稼働面である施工部位に内枠を設置し、この内枠に不定形耐火物(耐火物原料A)を流し込み、乾燥(乾燥工程)・固化させた後に内枠を除去する方法がある。また、施工部位に流し込むのではなく、耐火物形状の型枠内に不定形耐火物(耐火物原料A)を流し込み、乾燥(乾燥工程)・固化させた後に型枠から取り出した耐火物を、施工部位まで運搬して施工する方法もあり、この方法は施工部位への耐火物施工の手間はかかるものの、型枠内に不定形耐火物を流し込む際の炭素繊維織物Bの埋設や固化時の温度管理が容易であるので望ましい。これらの流し込みによる成形法では、上述した内枠や型枠内に炭素繊維織物Bを配置した上で、内枠や型枠内に不定形耐火物(耐火物原料A)を流し込み、乾燥(乾燥工程)・固化させる。
したがって、本発明により製造される黒鉛含有耐火物には、プレス成形を経て製造される、いわゆる耐火物れんがのほかに、上述したように、鍋やタンディッシュなどの稼働面である施工部位において流し込みにより成形され、そのまま乾燥・固化させる耐火物なども含まれる。
本発明において、成形工程(ii)で得られる耐火物成形体xは、炭素繊維織物Bを構成する同じ方向の炭素繊維束bであって、隣り合う炭素繊維束bの間隔が耐火物原料Aを構成する骨材の最大粒径よりも大きく、且つ、炭素繊維織物Bの面方向での耐火物成形体断面において、耐火物成形体断面積に対する炭素繊維織物Bの占める面積割合が20%以上であることを条件とする。すなわち、この条件を満たすように、耐火物原料Aと炭素繊維織物Bが選択され、且つ成形工程(ii)が実施される。この条件の詳細については後述する。
以下、成形工程(ii)において耐火物原料Aに埋設する炭素繊維織物Bの構成と、耐火物成形体xにおける炭素繊維織物Bの埋設条件について説明する。
図3に示すように、炭素繊維織物Bは、炭素繊維束bを2方向以上に編み込む(すなわち2方向以上に配向させて編み込む)ことにより構成されるシート状の部材(織物)である。炭素繊維束bの配向数は任意であるが、本実施形態の炭素繊維織物Bは、炭素繊維束bを直交する2方向に配向させて編み込むことで構成されている。なお、炭素繊維束bの配向方向が1方向の場合には炭素繊維織物を形成できないため、炭素繊維織物を埋設した黒鉛含有耐火物が得られない。
炭素繊維織物Bは、耐火物原料A(耐火物成形体x)の内部に埋設(配置)されるが、図3中の「炭素繊維束bの幅方向拡大断面図」に示すように、本実施形態では、その炭素繊維束b内に接着剤cを含むとともに、耐火物原料Aに対して接着剤cを介して接着または密着した状態で埋設(配置)されている。
耐火物原料A(耐火物成形体x)の内部における炭素繊維織物Bの配置形態は任意であり、特別な制限はないが、操業時、亀裂発生原因である引張応力は耐火物の長手方向に発生することから、一方向に沿って直線状に配置(埋設)することが好ましく、特に、耐火物稼動面s1と直交する方向に沿って配置(埋設)されることが好ましい。なお、炭素繊維織物Bは重ね合わせた2枚以上の織物で構成してもよい。
なお、耐火物原料A(耐火物成形体x)の内部に埋設される炭素繊維織物Bは、その端部が耐火物成形体xの表面に露出していてもよいし、露出していなくてもよい。また、後者の場合、耐火物の稼動面s1側においては、炭素繊維織物Bの端部と稼動面s1間の距離はなるべく小さいことが好ましいが、反稼動面s2側においては、炭素繊維織物Bの端部と反稼動面s2間の距離はある程度大きくてもよい。これは、使用終了時にも残存することが想定される耐火物の反稼働面s2側の部分には、炭素繊維織物Bが埋設されている必要がないからである。
炭素繊維織物Bを構成する同じ方向の炭素繊維束b(同じ方向に編み込まれた炭素繊維束b)は、隣り合う炭素繊維束bどうしの間隔L(図3のL,L)が耐火物原料Aを構成する骨材の最大粒径よりも大きくなるよう編み込まれている。このように炭素繊維束bの間隔L(L,L)を骨材原料の最大粒径より大きくすることで、炭素繊維織物Bと骨材原料の絡みを良くすることができ、成形時にラミネーションを起こすことなく破壊エネルギーを高く維持することができる。ここで、炭素繊維束bどうし間隔Lとは、図3にL,Lとして示すように炭素繊維束bの外面間の距離である。
また、隣り合う炭素繊維束bどうしの間隔L(図3のL,L)は3mm超であることが好ましい。これにより、上述したような粗大粒子だけでなく微小粒子とも炭素繊維織物Bとの絡みを良くすることができ、また、成形時にラミネーションと呼ばれる炭素繊維束に起因する剥離を起こし難くできる。なお、この間隔L(図3のL,L)の上限は特にないが、下記する炭素繊維の存在密度との関係などからして、一般には50mm程度を上限することが好ましい。
また、炭素繊維織物Bは、その面方向での耐火物成形体断面において、耐火物成形体断面積に対する炭素繊維織物Bの占める面積割合が20%以上となるように、耐火物原料A(耐火物成形体x)の内部に埋設(配置)される。ここで、炭素繊維織物Bの占める面積とは、図3に示すw1×w2で求められる面積である。このように耐火物成形体断面積に対する炭素繊維織物Bの面積割合を20%以上とすることで、破壊エネルギーが高められ、亀裂伸展を適切に抑制することができる。また、このような観点から、耐火物成形体断面積に対する炭素繊維織物Bの面積割合は40%以上とすることがより好ましい。
炭素繊維織物Bは、厚さが小さすぎると破壊エネルギーが上昇しにくいため、亀裂進展抑制効果が相対的に低くなる。一方、厚さが大きすぎると、炭素繊維織物Bを構成する炭素繊維束bが成形時にスプリングバック(圧縮後の反発)を起こし易くなる。このため、炭素繊維織物Bの厚さは0.1mm以上3mm以下とすることが好ましい。
また、本実施形態のように、炭素繊維織物Bは、耐火物成形体xの厚さに応じて、厚さ方向で間隔をおいて2層以上埋設(配置)されることが好ましい。通常、この場合には、2層以上の炭素繊維織物Bが間隔をおいて並列状に埋設される。このように、耐火物成形体xの厚さに応じて、炭素繊維織物Bを複数層埋設することで、破壊エネルギーの上昇による亀裂伸展抑制効果をより適切に得ることができる。
また、2層以上の炭素繊維織物Bが間隔をおいて並列状に埋設される場合、隣り合う炭素繊維織物Bの間隔が小さすぎると成形時にスプリングバックを起こし易くなるため、隣り合う炭素繊維織物Bどうしの間隔は10mm以上とすることが好ましい。ここで、隣り合う炭素繊維織物Bどうしの間隔とは、炭素繊維織物Bの外面間の距離である。
また、炭素繊維織物Bを構成する炭素繊維束bは、幅wが1mm超15mm以下であることが好ましい。ここで、炭素繊維束bの幅wとは、図3に示すように、炭素繊維束bの幅方向断面における長辺又は長径の長さ(但し、幅方向断面が4角形又は円形の場合は1辺の長さ又は直径)を指す。炭素繊維束bの幅wが1mm超であることにより、同じ本数の炭素繊維を用いる場合の炭素繊維束bの編み込み数を少なくできるので、炭素繊維束bの編み込みに伴う炭素繊維織物Bの嵩張りを抑えることができ、且つ、炭素繊維織物特有の引張強度を活かすことができる。一方、炭素繊維束bの幅wが15mm以下であることにより、耐火物原料Aに用いる原料のうちの粗粒材と炭素繊維束bが干渉したり、炭素繊維束b自体の溶損が耐火物の溶損の引き金となったりすることを軽減できる。
本発明で使用する炭素繊維織物は、炭素繊維を束に纏めた炭素繊維束を編み込んだものであり、通常は、1mあたりの質量(ただし、その炭素繊維織物が重ね合わせた2枚以上の織物で構成される場合には、重ね合わせた複数枚の織物の合計質量)が40~1300g程度、炭素繊維の繊維径が1~45μm程度、炭素繊維束の1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本程度のものが用いられる。また、耐火物原料A内に配置される炭素繊維の本数(存在密度)が少なすぎると、耐火物原料と炭素繊維束との接触面積が小さくなって本発明の効果が相対的に低下し、一方、炭素繊維の本数(存在密度)が多くなりすぎると、成形時に炭素繊維束がスプリングバックを起こし易くなるので、耐火物原料A内に配置される炭素繊維の本数(存在密度)は適度な範囲とすることが好ましい。具体的には、通常、炭素繊維織物Bは、炭素繊維織物Bの面方向と直交する方向での耐火物成形体断面(通常、耐火物の稼働面s1と平行な耐火物成形体断面)における、炭素繊維織物Bを構成する炭素繊維の存在密度(埋設密度)が10~2000本/mm程度になるように、耐火物原料A(耐火物成形体x)の内部に埋設することが好ましい。
以上のように、本発明においては、耐火物原料A(耐火物成形体x)の内部に埋設(配置)される炭素繊維織物Bは、隣り合う炭素繊維束bの間隔が耐火物原料Aを構成する骨材の最大粒径よりも大きく、且つ、炭素繊維織物Bの面方向での耐火物成形体断面において、耐火物成形体断面積に対する炭素繊維織物Bの占める面積割合が20%以上であることが必要であるが、さらに、(i)炭素繊維織物Bの厚さが0.1mm以上3mm以下であること、(ii)炭素繊維織物Bを構成する炭素繊維束bの幅が1mm超15mm以下であること、などの条件を満たすことにより、耐火物原料Aと炭素繊維織物Bの密着性がさらに高まるため、成形時に耐火物(れんが)が緻密化し易く、破壊エネルギーが大幅に上昇することに加え、高温下に曝した際の耐火物内部から抜けるガス量を抑制できるため亀裂の発生を抑制できる。
成形工程(ii)で得られた耐火物成形体xは、そのまま製品としてもよいが、通常、乾燥工程(iii)で乾燥させる。
この乾燥工程(iii)は、耐火物成形体xの乾燥(キュアリング)を目的として、通常、200~230℃程度で行われる。
また、上述したような流し込みによる成形で得られる耐火物成形体xについては、施工部位に設置された内枠や他の場所に設置された型枠に保持された耐火物成形体xを加熱バーナなどの加熱手段で加熱することにより、乾燥・固化させる。その後、内枠の除去や型枠からの取り出しが行われる。
以上により、耐火物原料A(耐火物本体)の内部に炭素繊維織物Bが埋設され、この炭素繊維織物Bが接着剤cを介して耐火物原料A(耐火物本体)に接着または密着した(好ましくは、さらに炭素繊維織物Bの炭素繊維束b内に接着剤cが浸透することにより、炭素繊維束bの束内に接着剤cが存在し、炭素繊維束bが接着剤cにより束として一体化された)黒鉛含有耐火物が得られる。
本発明法で製造された黒鉛含有耐火物は、種々の設備や容器の耐火物として使用できるが、なかでも製鉄所内で使用される精錬容器や搬送容器、例えば、転炉、溶銑予備処理容器(高炉鍋、トピードなど)、取鍋などの内張り耐火物として好適である。特に、非常に過酷な使用環境である転炉の内張り耐火物として好適であり、そのなかでも羽口部を構成する羽口煉瓦として特に好適である。
次に、耐火物原料Aの組成について説明する。
耐火物原料Aは、黒鉛原料を1質量%以上80質量%以下含有することが好ましい。黒鉛原料の含有量を1質量%以上とすることにより、黒鉛含有耐火物の耐割れ性を確保できるとともに、耐火物内部の炭素繊維の酸化消失を抑制することができる。一方、黒鉛原料の含有量を80質量%以下とすることにより、耐火物表面の黒鉛原料の酸化消失を抑制することができる。黒鉛(カーボン原料)としては、一般に鱗状黒鉛などが用いられる。このように耐火物原料Aが黒鉛原料を1~80質量%含有する耐火物としては、例えば、マグネシアおよびカーボンを主成分とする耐火物であるマグネシア・カーボン質耐火物(マグネシア原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)、アルミナ、炭化珪素、シリカおよびカーボンを主成分とする耐火物であるアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)、アルミナ、炭化珪素およびカーボンを主成分とする耐火物であるアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)、シリカ、炭化珪素およびカーボンを主成分とする耐火物であるシリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物(シリカ原料、炭化珪素原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)、アルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物などにおいて骨材原料の一部に耐火物屑を用いた耐火物などが挙げられる。
一般に、精錬工程において使用される転炉の内張り(羽口部を含む)には、マグネシアおよびカーボンを主成分とする耐火物であるマグネシア・カーボン質耐火物(マグネシア原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)が使用される。耐火物原料Aがマグネシア・カーボン質耐火物原料の場合、耐火物原料Aは、マグネシア原料を20質量%以上99質量%以下含有することが好ましく、これにより熱スポーリングによる割れが抑制され、且つFeOを多く含む転炉スラグの浸食にも耐えられる耐食性を有する耐火物とすることができる。なお、マグネシア原料としては、マグネシア濃度が90質量%以上の高純度のマグネシア原料を用いることが好ましい。
また、一般に、溶銑予備処理工程において使用される溶銑予備処理容器(トピード、高炉鍋など)の内張りにはアルミナ、炭化珪素およびカーボンを主成分とする耐火物であるアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)や、アルミナ、炭化珪素、シリカおよびカーボンを主成分とする耐火物であるアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)などが使用される。
耐火物原料Aがアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物原料やアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物原料の場合、アルミナ原料を10質量%以上95質量%以下含有することが好ましく、これにより溶銑予備処理スラグに対する高い耐食性が得られ、且つ熱スポーリングによる亀裂の発生をさらに抑制することができる。なお、アルミナ原料としては、アルミナ濃度が70質量%以上の高純度のアルミナ原料を用いることが好ましい。
さらに、耐火物原料Aがアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物原料やアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物原料の場合、炭化珪素原料を1質量%以上含有することが好ましい。炭化珪素原料を1質量%以上含有することにより、大気雰囲気下における黒鉛の酸化を抑制できるので、高耐割れ性を維持できる。なお、炭化珪素原料としては、炭化珪素濃度が80質量%以上の高純度の炭化珪素原料を用いることが好ましい。
また、耐火物原料Aがアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物原料の場合、シリカ原料を1質量%以上50質量%以下含有することが好ましく、これにより高耐割れ性と高耐溶損性を両立できる。
転炉の内張りに使用するマグネシア・カーボン質耐火物は、装入物による機械的衝撃、溶鋼および溶融スラグの撹拌による摩耗、溶融スラグによるスラグ浸食および転炉操業中の急激な温度変化など、非常に過酷な条件下で使用される。このため、安定した操業を行うためにも過酷な条件に耐える耐用性の高いマグネシア・カーボン質耐火物を使用することが好ましい。同様に、トピードや高炉鍋などの溶銑予備処理容器の内張りに使用するアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物やアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物も非常に過酷な条件下で使用されることから、これらの条件に耐えられる耐火物を使用することが好ましい。本発明によれば、これら非常に過酷な条件下で使用される黒鉛含有耐火物の破壊エネルギーが、従来の黒鉛含有耐火物と比較して大幅に向上するため、高い耐用性が得られる。
また、耐火物原料Aがシリカ、炭化珪素およびカーボンを主成分とする耐火物原料であるシリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物原料の場合、炭化珪素原料を1質量%以上、シリカ原料を1質量%以上50質量%以下含有することが好ましく、これにより高耐割れ性と高耐溶損性を両立できる。炭化珪素原料を1質量%以上含有することにより、大気雰囲気下における黒鉛の酸化を抑制できるので、高耐割れ性を維持できる。なお、炭化珪素原料としては、炭化珪素濃度が80質量%以上の高純度の炭化珪素原料を用いることが好ましい。
ここで、アルミナ原料としては、例えば、バン土頁岩、ホワイトアルミナ、ブラウンアルミナなどの1種以上が用いられる。また、炭化珪素原料としては、例えば、緑色炭化ケイ素、黒色炭化ケイ素などの1種以上が用いられる。また、シリカ原料としては、例えば、ろう石、ムライトなどの1種以上が用いられる。
黒鉛含有耐火物は、製鉄容器からの放熱量を抑制しながら、耐用性を高くすることを目的として、さらに金属粉末原料を含有(配合)することができる。金属粉末原料としては、例えば、金属Si、金属Al、金属Al-Si、AlSiC、BCなどが挙げられ、これらの1種以上を含有させることができる。金属粉末原料の含有量は特に規定しないが、通常、1~5質量%程度が好ましい。金属粉末原料の含有量(配合量)が1質量%未満では、金属粉末原料を配合することによる耐用性の向上効果が十分に得られず、一方、5質量%を超えると、強度が高くなりすぎるため、実機で使用した際に亀裂が発生し易くなって煉瓦が割れ易くなり、実機での使用回数が低下するおそれがある。
耐火物原料Aは、骨材原料として使用済み耐火物を粉砕した耐火物屑を10質量%以上90質量%以下程度含有することができる。特に、耐火物原料Aがアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物原料(さらにシリカ原料を含有するアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物原料の場合を含む。以下同様)の場合には、使用済みのアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(さらにシリカ原料を含有するアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合を含む。以下同様)を粉砕して得られた耐火物屑を骨材原料として好適に用いることができる。
このように耐火物屑を含有する場合、耐火物原料Aの残部は未使用の原料(バージン原料)である。
アルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物からなる耐火物原料Aにおいて、使用済みのアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物を粉砕して得られた耐火物屑の含有量を10質量%以上90質量%以下とした場合、バージン原料のみを使用した黒鉛含有耐火物と同程度の耐割れ性および耐溶損性が得られる。その理由は、耐火物屑原料はバージン原料と比較して純度が低いが、耐火物屑原料とバージン原料を併用することにより、耐火物屑原料中のAl成分が有する耐溶損性の大幅な低下を抑制できることが挙げられる。ただし、耐火物屑の含有量を90質量%超とした場合には、バージン原料の含有量が少な過ぎるため、耐火物屑原料中のAl成分が有する耐食性の大幅な低下を抑制できない。また、耐火物屑の含有量を10質量%未満とした場合、耐火物屑の再利用率が低過ぎるため、産業廃棄物としての耐火物屑処理費用が大幅に上がる。
転炉に使用するマグネシア・カーボン質耐火物(マグネシア原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)について、マグネシア・カーボン質原料の配合を検討するため、表1に示すような原料配合でマグネシア原料を骨材とした耐火物成形品、すなわち、炭素繊維織物を埋設しない黒鉛含有耐火物を製作した。耐火物原料を混練・成形するにあたり、バインダーとして、耐火物原料に対する外掛けでフェノールレジンを3質量%、ヘキサミンを0.3質量%配合した。製作した黒鉛含有耐火物について、耐溶損性と耐割れ性をそれぞれ以下の方法で評価した。その結果を表1に併せて示す。
耐溶損性については、図6(試験方法)に示すとおり、高周波誘導炉を用いた内張り分け法で溶損量を測定し、その溶損量に基づき評価した。内張り分け法による試験では、試験温度を1650℃、温度保持時間を4時間として表2に示す組成の合成スラグを1時間毎に投入し、冷却後に稼働面の溶損量を測定した。そして、その溶損量から表1中の配合例1-4の溶損量を100とした溶損指数を求めた。なお、図6(A)は試験の実施状況を試験炉および筒状サンプルを縦断面した状態で模式的に示す説明図、図6(B)は図6(A)に示される筒状サンプルの平面図、図6(C)は図6(A),(B)に示す筒状サンプルを構成する試験片の1つを示す斜視図である。
耐割れ性については、150mm×150mm×300mmの試料の長手方向の動弾性率EをJIS R1605に示された超音波パルス法に従って測定した後、1500℃×10分間の加熱、5分間の水冷、10分間の大気冷却を1サイクルとした工程を3回繰り返し、この3回の工程の終了後に再び上記方法で動弾性率Eを測定し、試験前後での動弾性率の変化率E/Eを指標として評価した。
表1の配合例1-2~配合例1-8に示す通り、黒鉛含有量を1質量%以上80質量%以下、マグネシア原料の含有量を20質量%以上99質量%以下とした場合、耐溶損性と耐割れ性は殆ど一定であったが、配合例1-1に示す通り、黒鉛含有量を1質量%未満とした場合には耐割れ性が大幅に低下している。また、配合例1-9に示す通り、マグネシア原料の含有量を20質量%未満とした場合には耐溶損性が大幅に低下している。これらのことから、黒鉛含有耐火物の耐割れ性を確保するためには黒鉛含有量は1質量%以上とすることが好ましく、また、マグネシア・カーボン質原料の配合において、耐溶損性と耐割れ性を両立させるためには、黒鉛含有量を1質量%以上80質量%以下、マグネシア原料の含有量を20質量%以上99質量%以下とするのが好ましいことが判る。
耐火物本体の内部に炭素繊維織物Bを埋設(配置)した発明例および比較例の黒鉛含有耐火物を図1に示す手順で製造した。その際、事前に接着剤cであるフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維織物Bを浸漬し、炭素繊維束bの内外にフェノール樹脂(樹液溶液)が浸透・付着した炭素繊維織物Bを耐火物原料Aに埋設した。この製造された黒鉛含有耐火物は、図2に示すように耐火物本体(耐火物成形体x)の長手方向に沿って炭素繊維織物Bが埋設(炭素繊維織物Bが複数層の場合には並列状に等間隔で埋設)され、炭素繊維織物Bは、これを構成する炭素繊維束bの束のなかに接着剤cを含むとともに、耐火物原料Aに対して接着剤cを介して接着または密着したものである。耐火物原料Aを混練・成形するにあたり、バインダーとして、耐火物原料Aに対する外掛けでフェノールレジンを3質量%、ヘキサミンを0.3質量%配合した。製造された黒鉛含有耐火物について、曲げ強度、破壊エネルギー、耐溶損性、耐割れ性を、それぞれ以下の方法で評価した。
曲げ強度については、図4(試験方法)に示すとおり、耐火物本体の内部に、その長手方向に沿って炭素繊維織物を埋設(炭素繊維織物が複数層の場合には並列状に等間隔で埋設)した試験片(試験片サイズ:150mm×150mm×300mm)を用い、中心間距離を100mm、荷重印加速度を0.5mm/minとし、JIS R2213に記載された3点曲げ試験方法に準拠して測定した。なお、図4(ア)は3点曲げ強度試験の実施状況を模式的に示す説明図、図4(イ)は図4(ア)の試験片の端面を模式的に示す説明図である。
破壊エネルギーについては、図5に示すとおり、3点曲げ強度試験で得られた荷重-変位曲線において第1ピーク値を示した位置を基準とし、基準位置から変位1mmの範囲の面積とした。
また、耐割れ性と耐溶損性については、上述した方法で評価したが、耐割れ性を評価する試験片としては、耐火物本体の内部に、その長手方向に沿って炭素繊維織物を埋設(炭素繊維織物が複数層の場合には並列状に等間隔で埋設)したものを用いた。また、耐溶損性を評価する試験片としては、スラグや溶鋼に接する面(耐火物の稼動面s1)に垂直に炭素繊維織物が埋設(炭素繊維織物が複数層の場合には並列状に等間隔で埋設)されたものを用いた。
なお、耐火物れんがの特性の総合評価については、破壊エネルギーが15kJ/m以上、耐割れ性が0.50E/E以上の場合を“優”(評価:◎)、破壊エネルギーが10kJ/m以上15kJ/m未満、耐割れ性が0.40E/E以上0.50E/E未満の場合を“良”(評価:〇)、破壊エネルギーが10kJ/m未満、耐割れ性が0.40E/E未満の場合、または炭素繊維織物の形成不可の場合を“劣”(評価×)とした。
表3~表9に、発明例および比較例の炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんが(耐火物本体の内部に炭素繊維織物が埋設された黒鉛含有耐火物)の構成と特性(曲げ強度、破壊エネルギー、耐溶損性、耐割れ性)を示す。なお、以下の説明および表3~表17中に記載した「耐火物断面」、「耐火物断面積」とは、それぞれ、耐火物成形体xにおける「耐火物成形体断面」、「耐火物成形体断面積」を意味する。
これらの実施例では、耐火物本体を表1の配合例1-4の組成とし、耐火物本体Aを構成する骨材(マグネシア原料)の最大粒径を3mmとした。
まず、表3の実施例は、耐火物本体の内部に埋設される炭素繊維織物について、炭素繊維織物を構成する炭素繊維束の配向方向数(炭素繊維束を編み込む方向の数)と、耐火物断面積に対する炭素繊維織物の占有面積率(炭素繊維織物の面方向での耐火物断面において、耐火物断面積に対する炭素繊維織物の占める面積割合)が炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性に及ぼす影響を調べたものである。
発明例1-1~発明例1-5が示す通り、耐火物断面積に対する炭素繊維織物の占有面積率が20%以上の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“優”または“良”であった。
一方、比較例1-1が示す通り、耐火物断面積に対する炭素繊維織物の占有面積率が20%未満の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“劣”であった。
また、比較例1-2が示す通り、炭素繊維束を1方向のみに配向させた場合、炭素繊維織物を形成できないため、炭素繊維織物を埋設したれんがを製造できなかった。
これらのことから、炭素繊維束を2方向以上に編み込んだ炭素繊維織物を耐火物本体に埋設し、且つ、耐火物断面積に対する炭素繊維織物の占有面積率を20%以上とすれば、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの破壊エネルギーと耐割れ性が高まることが分かった。また、耐火物断面積に対する炭素繊維織物の占有面積率を40%以上とすれば、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの破壊エネルギーと耐割れ性がより高まることが分かった。
表4の実施例は、耐火物本体の内部に埋設される炭素繊維織物の厚さが炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性に及ぼす影響を調べたものである。
発明例1-3および発明例2-2~2-4が示す通り、炭素繊維織物の厚さが0.1mm以上3mm以下の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“優”であった。
一方、発明例2-1および発明例2-5が示す通り、炭素繊維織物の厚さが0.1mm未満または3mm超の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性は、発明例1-3および発明例2-2~2-4に比べて若干低下した。
以上のことから、炭素繊維織物の厚さを0.1mm以上3mm以下とすれば、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの破壊エネルギーと耐割れ性を特に高く維持できることが分かった。
表5の実施例は、耐火物本体の内部に埋設される炭素繊維織物について、炭素繊維束の幅wが炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性に及ぼす影響を調べたものである。
発明例1-3、発明例3-2~発明例3-5が示す通り、炭素繊維束の幅wが1mm超15mm以下の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“優”であった。
一方、発明例3-1が示す通り、炭素繊維束の幅wが1mmの場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性は若干低下した。また、発明例3-6が示す通り、炭素繊維束の幅wが15mm超の場合も、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性は若干低下した。
表6の実施例は、耐火物本体の内部に埋設される炭素繊維織物の層数(埋設層数)が炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性に及ぼす影響を調べたものである。
発明例1-3および発明例5-2~発明例5-4が示す通り、炭素繊維織物の埋設層数を2層以上とした場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“優”であった。
一方、発明例5-1が示す通り、炭素繊維織物の埋設層数が1層の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“良”であった。
以上のことから、炭素繊維織物の埋設層数を1層とすると炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがは優れた特性を示し、2層以上とするとさらに優れた特性を示すことが分かった。
表7の実施例は、耐火物本体の内部に2層以上埋設される炭素繊維織物の埋設間隔(隣り合う炭素繊維織物の間隔)が炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性に及ぼす影響を調べたものである。
発明例1-3および発明例6-2~発明例6-5が示す通り、炭素繊維織物の埋設間隔を10mm以上とした場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“優”であった。一方、発明例6-1が示す通り、炭素繊維織物の埋設間隔が10mm未満の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“良”であった。
以上のことから、炭素繊維織物の埋設間隔を10mm以上とすると炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがは特に優れた特性を示すことが分かった。
表8の実施例は、耐火物本体の内部に埋設される炭素繊維織物について、同じ方向に編み込まれた炭素繊維束であって、隣り合う炭素繊維束どうしの間隔Lが炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性に及ぼす影響を調べたものである。
発明例1-3および発明例7-1が示す通り、隣り合う炭素繊維束どうしの間隔Lが耐火物原料を構成する骨材の最大粒径(3mm)よりも大きい場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“優”であった。一方、比較例7-1が示す通り、隣り合う炭素繊維束どうしの間隔Lが耐火物原料を構成する骨材の最大粒径(3mm)以下の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“劣”であった。なお、発明例1-3および発明例7-1は、「隣り合う炭素繊維束どうしの間隔Lが3mm超である」という本発明の好ましい条件も満足している。
以上のことから、炭素繊維織物の隣り合う炭素繊維束どうしの間隔Lを耐火物原料を構成する骨材の最大粒径よりも大きくすると炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがは特に優れた特性を示すことが分かった。
表9の実施例は、炭素繊維織物を構成する炭素繊維束の束内に含まれ、且つ炭素繊維織物を耐火物本体に接着または密着させる接着剤成分(フェノール樹脂)の残炭率が炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性に及ぼす影響を調べたものである。
発明例1-3、発明例8-2および発明例8-3が示す通り、接着剤成分の残炭率が6%以上80%以下の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“優”であった。一方、発明例8-1が示す通り、接着剤成分の残炭率が6%未満の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“良”であった。また、発明例8-4が示す通り、接着剤成分の残炭率が80%超の場合、炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの特性の評価は“良”であった。
以上のことから、炭素繊維織物の炭素繊維束内に含ませ、且つ炭素繊維織物を耐火物本体に対して接着または密着させる接着剤成分として有機物を用いる場合、残炭率が6%以上80%以下の接着剤成分を用いると炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがは特に優れた特性を示すことが分かった。
溶銑予備処理容器などの内張りに使用するアルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした炭素繊維含有黒鉛含有耐火物(耐火物れんが)についても同様の検討を行った。
表10の実施例は、溶銑予備処理容器の内張りに使用する炭素繊維含有アルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質れんが(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)について、その組成が黒鉛含有耐火物の曲げ強度、破壊エネルギー・耐割れ性、および耐溶損性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、同じ方向に配向した隣り合う炭素繊維束の間隔を10mmとした炭素繊維織物をアルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物(耐火物本体)の内部に30mm間隔で並列状に埋設した。その際、事前に接着剤である残炭率:40質量%のフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維織物を浸漬し、炭素繊維束の内外にフェノール樹脂(樹脂溶液)が浸透・付着した炭素繊維織物を耐火物本体に埋設した。この実施例では、耐火物本体を構成する骨材(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料)の最大粒径を3mmとした。
発明例9-2~発明例9-8が示す通り、アルミナ原料の含有量を10質量%以上95質量%以下、シリカ原料の含有量を1質量%以上50質量%以下、炭化珪素原料の含有量を1質量%以上、黒鉛含有量を1質量%以上80質量%以下とした場合、破壊エネルギーも高く、高耐割れ性と高耐溶損性を両立できた。
一方、発明例9-1が示す通り、アルミナ原料の含有量が10質量%未満、シリカ原料の含有量が1質量%未満、炭化珪素原料の含有量が1質量%未満、黒鉛含有量が80質量%超の場合には、破壊エネルギー・耐割れ性、耐溶損性がともに低下している。
また、発明例9-9が示す通り、アルミナ原料の含有量が95質量%超、シリカ原料の含有量が1質量%未満、炭化珪素原料の含有量が1質量%未満、黒鉛含有量が1質量%未満の場合、熱スポーリングによる亀裂の発生を抑制できず、破壊エネルギー・耐割れ性が低下している。
以上のことから、炭素繊維含有アルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物において、アルミナ原料の含有量を10質量%以上95質量%以下、シリカ原料の含有量を1質量%以上50質量%以下、炭化珪素原料の含有量を1質量%以上、黒鉛含有量を1質量%以上80質量%以下とすれば、高耐溶損性と高い破壊エネルギー・耐割れ性を両立できることが分かった。
表11の実施例は、溶銑予備処理容器の内張りに使用する炭素繊維含有アルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質れんが(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)であって、骨材原料の一部として、使用済みのアルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物を粉砕して得られた耐火物屑を用いた黒鉛含有耐火物について、その耐火物屑含有量が黒鉛含有耐火物の曲げ強度、破壊エネルギー・耐割れ性、および耐溶損性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、同じ方向に配向した隣り合う炭素繊維束の間隔を10mmとした炭素繊維織物をアルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物(耐火物本体)の内部に30mm間隔で並列状に埋設した。その際、事前に接着剤である残炭率:40質量%のフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維織物を浸漬し、炭素繊維束の内外にフェノール樹脂(樹脂溶液)が浸透・付着した炭素繊維織物を耐火物本体に埋設した。この実施例では、耐火物本体を構成する骨材(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料)の最大粒径を3mmとした。
発明例10-1~発明例10-3に示す通り、耐火物屑の含有量を10質量%以上90質量%以下とした場合、表10に示したバージン原料のみを使用した黒鉛含有耐火物と同程度の破壊エネルギー・耐割れ性および耐溶損性が得られている。
一方、発明例10-4に示す通り、耐火物屑の含有量が90質量%超の場合、破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が低下した。
以上のことから、使用済みのアルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物屑を粉砕して得られた耐火物屑を骨材原料とした炭素繊維含有黒鉛含有耐火物に関して、耐火物屑の含有量を10質量%以上90質量%以下とすれば、破壊エネルギーを高く維持でき、さらに、バージン原料のみを使用した黒鉛含有耐火物と同程度の耐割れ性および耐溶損性を有することが分かった。
表12の実施例は、炭素繊維含有アルミナ・炭化珪素・カーボン質れんが(アルミナ原料、炭化珪素原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)について、その組成が黒鉛含有耐火物の曲げ強度、破壊エネルギー・耐割れ性、および耐溶損性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、同じ方向に配向した隣り合う炭素繊維束の間隔を10mmとした炭素繊維織物をアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(耐火物本体)の内部に30mm間隔で並列状に埋設した。その際、事前に接着剤である残炭率:40質量%のフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維織物を浸漬し、炭素繊維束の内外にフェノール樹脂(樹脂溶液)が浸透・付着した炭素繊維織物を耐火物本体に埋設した。この実施例では、耐火物本体を構成する骨材(アルミナ原料、炭化珪素原料)の最大粒径を3mmとした。
発明例11-2~発明例11-4が示す通り、アルミナ原料の含有量を10質量%以上95質量%以下、黒鉛含有量を1質量%以上80質量%以下とした場合、高い曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が得られている。
一方、発明例11-1が示す通り、アルミナ原料の含有量が10質量%未満、黒鉛含有量が80質量%超の場合、破壊エネルギー・耐割れ性、耐溶損性が低下している。また、発明例11-5が示す通り、アルミナ原料の含有量が95質量%超、黒鉛含有量が1質量%未満の場合、破壊エネルギー・耐割れ性が低下している。
以上のことから、炭素繊維含有アルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物において、アルミナ原料の含有量を10質量%以上95質量%以下、黒鉛含有量を1質量%以上80質量%以下とすれば、高い破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が得られることが分かった。
表13の実施例は、炭素繊維含有シリカ・炭化珪素・カーボン質れんが(シリカ原料、炭化珪素原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)について、その組成が黒鉛含有耐火物の曲げ強度、破壊エネルギー・耐割れ性、および耐溶損性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、同じ方向に配向した隣り合う炭素繊維束の間隔を10mmとした炭素繊維織物をシリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物(耐火物本体)の内部に30mm間隔で並列状に埋設した。その際、事前に接着剤である残炭率:40質量%のフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維織物を浸漬し、炭素繊維束の内外にフェノール樹脂(樹脂溶液)が浸透・付着した炭素繊維織物を耐火物本体に埋設した。この実施例では、耐火物本体を構成する骨材(シリカ原料、炭化珪素原料)の最大粒径を3mmとした。
発明例12-2~発明例12-4が示す通り、シリカ原料の含有量を1質量%以上50質量%以下とした場合、高い曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が得られている。
一方、発明例12-1が示す通り、シリカ原料の含有量を1質量%未満とした場合、破壊エネルギー・耐割れ性が低下している。
また、発明例12-5が示す通り、シリカ原料の含有量を50質量%超とした場合、熱スポーリングによる亀裂の発生を抑制できず、破壊エネルギー・耐割れ性が低下している。
以上のことから、炭素繊維含有シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物において、シリカ原料の含有量を1質量%以上50質量%以下とすれば、高い曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が得られることが分かった。
表14に、発明例1-3の本発明れんが(マグネシア原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)と炭素繊維織物を埋設していない従来れんがを転炉の羽口に施工し、損耗速度を評価した結果を示す。従来れんがは、炭素繊維織物を埋設していない点を除き、発明例1-3の本発明れんがと同じ組成および製法のれんがである。表14に示す通り、本発明れんがの損耗速度は従来れんがと比較して50%以上低減した。
表15に、発明例1-3の本発明れんが(マグネシア原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)と炭素繊維織物を埋設していない従来れんがを取鍋のスラグラインの側壁部に施工し、損耗速度を評価した結果を示す。従来れんがは、炭素繊維織物を埋設していない点を除き、発明例1-3の本発明れんがと同じ組成および製法のれんがである。表15に示す通り、本発明れんがの損耗速度は従来れんがと比較して50%以上低減した。
表16に、発明例9-5の本発明れんが(アルミナ原料、炭化ケイ素原料、シリカ原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)と炭素繊維織物を埋設していない従来れんがを溶銑予備処理容器である高炉鍋の側壁に施工し、損耗速度を評価した結果を示す。従来れんがは、炭素繊維織物を埋設していない点を除き、発明例9-5の本発明れんがと同じ組成および製法のれんがである。表16に示す通り、本発明れんがの損耗速度は従来れんがと比較して約20%~30%低減した。
表14~表16に示される通り、本発明れんがを転炉や取鍋、溶銑予備処理容器に適用した場合、実機損耗速度を大幅に低減できることが分かった。
Figure 2023130033000002
Figure 2023130033000003
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Figure 2023130033000016
Figure 2023130033000017
A 耐火物原料(耐火物本体)
B 炭素繊維織物
x 耐火物成形体
c 接着剤
b 炭素繊維束
s1 耐火物稼動面
s2 反稼動面

Claims (17)

  1. 黒鉛を含有する耐火物原料(A)の内部に、炭素繊維束(b)を2方向以上に編み込んだ炭素繊維織物(B)が埋設された黒鉛含有耐火物の製造方法であって、
    炭素繊維織物(B)に対して接着剤(c)を付着させる調製工程(i)と、
    該調製工程(i)で接着剤(c)を付着させた炭素繊維織物(B)を、耐火物原料(A)の内部に埋設し、該炭素繊維織物(B)が埋設された耐火物原料(A)を成形して耐火物成形体(x)を得る成形工程(ii)を有し、
    該成形工程(ii)で得られる耐火物成形体(x)は、炭素繊維織物(B)を構成する同じ方向の隣り合う炭素繊維束(b)の間隔が耐火物原料(A)を構成する骨材の最大粒径よりも大きく、且つ、炭素繊維織物(B)の面方向での耐火物成形体断面において、耐火物成形体断面積に対する炭素繊維織物(B)の占める面積割合が20%以上であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
  2. 調製工程(i)では、接着剤(c)を、炭素繊維織物(B)の外表面に付着させるとともに、炭素繊維織物(B)を構成する炭素繊維束(b)の束のなかに浸透させ、
    成形工程(ii)で得られる耐火物成形体(x)は、埋設された炭素繊維織物(B)が、炭素繊維束(b)の束のなかに接着剤(c)を含むとともに、耐火物原料(A)に対して接着剤(c)を介して接着または密着していることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  3. さらに、成形工程(ii)で得られた耐火物成形体(x)を乾燥する乾燥工程(iii)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  4. 接着剤(c)は、有機樹脂溶液、無機ゾル、タール、ピッチ、有機糊の中から選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  5. 成形工程(ii)で得られる耐火物成形体(x)は、炭素繊維織物(B)が耐火物稼動面と直交する方向に沿って埋設されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  6. 炭素繊維織物(B)の厚さが0.1mm以上3mm以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  7. 成形工程(ii)で得られる耐火物成形体(x)は、炭素繊維織物(B)が間隔をおいて2層以上埋設されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  8. 2層以上の炭素繊維織物(B)が間隔をおいて並列状に埋設され、隣り合う炭素繊維織物(B)の間隔が10mm以上であることを特徴とする請求項7に記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  9. 炭素繊維織物(B)を構成する同じ方向の炭素繊維束(b)は、隣り合う炭素繊維束(b)の間隔が3mm超であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  10. 炭素繊維織物(B)を構成する炭素繊維束(b)の幅が1mm超15mm以下であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  11. 接着剤(c)は、残炭率が6質量%以上80質量%以下の有機物を含むものであることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  12. 耐火物原料(A)は、黒鉛原料の含有量が1質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  13. 耐火物原料(A)は、マグネシア原料の含有量が20質量%以上99質量%以下であることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  14. 耐火物原料(A)は、アルミナ原料の含有量が10質量%以上95質量%以下であることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  15. 耐火物原料(A)は、シリカ原料の含有量が1質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1~12、14のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  16. 耐火物原料(A)は、炭化ケイ素原料の含有量が1質量%以上であることを特徴とする請求項14または15に記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  17. 耐火物原料(A)は、使用済み耐火物を粉砕した耐火物屑を、耐火物原料として10質量%以上90質量%以下含有することを特徴とする請求項1~16のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
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