JP2023149344A - 黒鉛含有耐火物 - Google Patents

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Abstract

【課題】転炉の内張耐火物のように長期間に亘って昇温と降温が繰り返される条件で使用される場合でも、熱応力により発生する亀裂の進展が抑制されて高い耐用性が得られ、また、特に転炉の羽口煉瓦のように内部の温度勾配が非常に大きい条件で使用される場合でも、高い耐用性が得られる黒鉛含有耐火物を提供する。【解決手段】耐火物本体Aの内部に炭素繊維束Bが配置された黒鉛含有耐火物であって、炭素繊維束Bは、その束内に接着剤成分cを含むとともに、耐火物本体Aに対して接着剤成分cを介して接着または密着し、接着剤成分cは、残炭率が6~80質量%の有機物または/および無機微粒子からなる。好ましくは、耐火物稼働面と平行な耐火物断面における、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の存在密度が10~2000本/mm2であり、同じく炭素繊維の占有面積率が0.1~40%である。【選択図】図1

Description

本発明は、耐火物本体の内部に炭素繊維束を配置した黒鉛含有耐火物に関するものである。
製鉄所において製銑工程や製鋼工程で使用される設備(精錬容器、搬送容器など)は、高温下で長期間の使用に耐えられるように耐火物が内張り施工されている。一般に、精錬工程で使用される転炉の内張りにはマグネシア・カーボン質耐火物が使用され、溶銑予備処理工程で使用されるトピードや高炉鍋の内張りにはアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物などが使用される。
これらの精錬容器や搬送容器で内張りに使用される耐火物は、装入物による機械的衝撃、溶鋼や溶融スラグの撹拌による摩耗、溶融スラグによるスラグ浸食、操業中の急激な温度変化などが生じる非常に過酷な条件下で使用される。このため、安定した操業を行うためにも、そのような過酷な条件に耐えられる耐用性の高い耐火物を使用する必要がある。
特に、転炉の羽口部を構成する羽口煉瓦は、内部に常温のガス(酸素や冷却用炭化水素ガス等)が流れており、炉内に近い部位では内面が常温のガスにより冷却され、外面は炉内の溶鋼からの伝熱による高温に曝されるため、羽口煉瓦内の熱勾配は極めて大きく、しかも転炉の1チャージ分の吹錬が終わる度に、溶鋼を排出することによる温度低下が生じ、大きな熱変動が繰り返される。転炉に設置される羽口煉瓦は、使用頻度が2500~4000チャージ程度にも達し、この1チャージ毎に上記のような大きな熱勾配を生じる状況と大きな熱変動が繰り返されるという極めて過酷な条件で使用されるため、このような条件での使用に耐え得る高い耐用性が必要である。また、羽口煉瓦以外の転炉内張り耐火物(転炉内壁を構成する煉瓦)も、上述したような大きな熱変動が繰り返される過酷な条件で使用されるため、羽口煉瓦ほどではないが、高い耐用性が求められる。
耐火物の耐用性を高める技術として、特許文献1には、長さ100mm以上の炭素繊維を接着剤で束ね、粘着性を付与した束の状態で耐火物の内部に配置することにより、破壊エネルギーが大幅に上昇したことが記載されている。
再公表2018-155118号公報
しかし、本発明者らが検討した結果、特許文献1のように耐火物の内部に炭素繊維束を装入する技術では、使用する接着剤の特性によっては、耐火物内に炭素繊維束を装入(配置)することによる効果が十分に得られないことが判った。特許文献1には、そのような炭素繊維束の装入効果を最大限に発現させるための接着剤の条件については開示がない。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、転炉の内張り耐火物のように長期間にわたって昇温と降温が繰り返される条件で使用される場合でも、熱応力により発生する亀裂の進展が抑制されて高い耐用性が得られ、また、特に転炉の羽口煉瓦のように内部の温度勾配が非常に大きい条件で使用される場合でも高い耐用性が得られる黒鉛含有耐火物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、耐火物の内部に炭素繊維束を配置する黒鉛含有耐火物において、炭素繊維を束ねて一体化し且つ炭素繊維束を耐火物原料に接着または密着させる接着剤成分として所定の残炭率を有する有機物または/および無機微粒子を用いること、好ましくは炭素繊維束を構成する炭素繊維の繊維径や本数、さらには耐火物断面における炭素繊維の存在密度、占有面積率などを最適化することにより、上述したような極めて厳しい使用環境でも高い耐用性が得られることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]耐火物本体(A)の内部に炭素繊維束(B)が配置された黒鉛含有耐火物であって、
炭素繊維束(B)は、その束内に接着剤成分(c)を含むとともに、耐火物本体(A)に対して接着剤成分(c)を介して接着または密着し、
接着剤成分(c)は、残炭率が6~80質量%の有機物または/および無機微粒子からなることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[2]上記[1]の黒鉛含有耐火物において、接着剤成分(c)は、有機樹脂、タールまたは/およびピッチ由来の有機物、有機糊由来の有機物、無機ゾル由来の無機微粒子の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[3]上記[1]または[2]の黒鉛含有耐火物において、炭素繊維束(B)の幅が1~15mmであることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、炭素繊維束(B)は、長さが100mm以上で繊維径が1~45μmの炭素繊維を束に纏めたものであって、1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本であることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[5]上記[1]~[4]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、耐火物本体(A)の内部に複数本の炭素繊維束(B)が並列状に配置され、隣り合う炭素繊維束(B)どうしの間隔が3mm超であることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[6]上記[1]~[5]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、黒鉛含有耐火物の稼働面と平行な耐火物断面における、炭素繊維束(B)を構成する炭素繊維の存在密度が10~2000本/mmであることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[7]上記[1]~[6]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、黒鉛含有耐火物の稼働面と平行な耐火物断面における、炭素繊維束(B)を構成する炭素繊維の占有面積率が0.1~40%であることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[8]上記[1]~[7]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、耐火物本体(A)は、黒鉛原料を1~80質量%含有することを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[9]上記[1]~[8]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、耐火物本体(A)は、マグネシア原料を20~99質量%含有することを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[10]上記[1]~[8]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、耐火物本体(A)は、アルミナ原料を10~95質量%含有することを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[11]上記[1]~[8]、[10]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、耐火物本体(A)は、シリカ原料を1~50質量%含有することを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[12]上記[10]または[11]の黒鉛含有耐火物において、耐火物本体(A)は、炭化ケイ素原料を1質量%以上含有することを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[13]上記[1]~[12]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、耐火物本体(A)は、使用済み耐火物を粉砕した耐火物屑を10~90質量%含有することを特徴とする黒鉛含有耐火物。
本発明の黒鉛含有耐火物は、高い破壊エネルギーを有するため、転炉の内張り耐火物のように長期間にわたって昇温と降温が繰り返される条件下で使用しても、熱応力により発生する亀裂の進展が抑制されるため高い耐用性が得られ、特に転炉の羽口煉瓦のように内部の温度勾配が非常に大きい条件で使用される場合でも高い耐用性が得られる。
本発明の黒鉛含有耐火物を羽口煉瓦に適用した場合の一実施形態において、羽口煉瓦を構成する煉瓦構成部材の1つを模式的に示すものであり、図1(ア)は斜視図、図1(イ)は図1(ア)中の一点鎖線に沿う断面図(耐火物稼働面に平行な断面図) 本発明の黒鉛含有耐火物の製造工程の一例を示すフロー図 実施例における黒鉛含有耐火物の耐溶損性の評価試験方法を示すもので、図3(A)は試験の実施状況を試験炉および筒状サンプルを縦断面した状態で模式的に示す説明図、図3(B)は図3(A)に示される筒状サンプルの平面図、図3(C)は図3(A),(B)に示す筒状サンプルを構成する試験片の1つを示す斜視図 実施例における黒鉛含有耐火物の曲げ強度の測定方法を示すもので、図4(ア)は3点曲げ強度試験の実施状況を模式的に示す説明図、図4(イ)は図4(ア)の試験片の端面を模式的に示す説明図 実施例において、3点曲げ強度試験で得られた荷重-変位曲線から求められる破壊エネルギーの一例を示す図面
本発明の黒鉛含有耐火物は、耐火物本体Aの内部に炭素繊維束Bが配置された黒鉛含有耐火物であって、炭素繊維束Bは、その束内に接着剤成分cを含むとともに、耐火物本体Aに対して接着剤成分cを介して接着または密着し、接着剤成分cは、残炭率が6~80質量%の有機物または/および無機微粒子からなることを特徴とする。この黒鉛含有耐火物は、通常は、高温焼成(還元焼成)することなく製造される不焼成耐火物である。ここで、接着剤成分cの残炭率とは、JIS K6910(フェノール樹脂試験方法)に記載の固定炭素測定法に基づいて測定されるものである。
このような本発明の黒鉛含有耐火物は、耐火物本体Aの内部に配置された炭素繊維束Bが、束内に接着成分cを含むことにより束として一体化されるとともに、耐火物本体Aに対して接着剤成分cを介して接着または密着することで炭素繊維束Bが耐火物と一体化することに加えて、接着剤成分cが特定の残炭率を有する有機物または/および無機微粒子からなることにより、亀裂の発生を抑制できる高い破壊エネルギーが得られる。
以下、炭素繊維束Bの構成と埋設条件について説明する。
図1は、本発明の黒鉛含有耐火物の一実施形態(羽口煉瓦を構成する煉瓦構成部材)を模式的に示すもので、図1(ア)は斜視図、図1(イ)は図1(ア)中の一点鎖線に沿う断面図(耐火物稼働面に平行な断面図)であり、xが耐火物の稼動面(yが反稼動面)である。この実施形態の黒鉛含有耐火物では、耐火物本体Aの内部に複数本の炭素繊維束Bが所定の間隔で並列状に配置(埋設)されている。
炭素繊維束Bは、外表面に接着剤を付着させ、且つ束内にも接着剤を浸透させた状態で耐火物原料に配置され、黒鉛含有耐火物が得られるので、炭素繊維束Bは、その束内に接着剤成分cを含む(すなわち、接着剤成分cが炭素繊維束Bを構成する炭素繊維どうしの間隙に存在することにより、炭素繊維が束の状態に一体化される)とともに、耐火物本体Aとの間に接着剤成分cが介在し、耐火物本体Aに対して接着剤成分cを介して接着または密着される。
接着剤成分cは、所定の残炭率を有する有機樹脂などの有機物または/およびアルミナ、シリカなどの無機微粒子からなる。
耐火物は、その使用時(実機稼働時)に、内部まで500℃以上(JIS K6910では900℃で測定する)の高温になる。このとき、黒鉛含有耐火物のように内部には酸素がほとんどない環境であっても、接着剤成分が有機物である場合、炭素繊維束に付着した接着剤の一部は分解や蒸発によってガス化して耐火物の外に散逸してしまう。残炭率は、接着剤のうち、ガス化散逸せずに残存する重量の比率の指標となると思われ、接着剤の種類や品質によって異なる。本発明者らは、接着剤の残炭率が、炭素繊維束を用いた黒鉛含有耐火物が実使用環境である高温に晒された時の破壊エネルギーに影響するとの着想を得て調査した結果、残炭率が6~80質量%である接着剤(有機物)を使用すると、高い破壊エネルギーが得られることを見出した。これは、そのような特定の残炭率の接着剤(有機物)を使用すると、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bの密着性が高まるため、成形時に耐火物煉瓦が緻密化し易くなることに加え、高温に曝されると耐火物内部から抜け出るガス量を抑制できるため、亀裂の発生を抑制でき、破壊エネルギーが上昇するためであると考えられる。
また、本発明者らは、接着剤成分がアルミナやシリカなどの無機微粒子である場合にも、高い破壊エネルギーが得られることを見出した。これは、無機微粒子(特に無機ゾル由来の無機微粒子)を使用した場合にも、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bの密着性が高まるため、成形時に耐火物煉瓦が緻密化し易くなることに加え、使用時に高温に曝されると無機微粒子が焼結することで亀裂の発生を抑制でき、破壊エネルギーが上昇するためであると考えられる。
接着剤成分cが有機物の場合、その残炭率が6質量%未満では、高温下において耐火物内部から抜けるガス量が多くなり、気孔などの欠陥が多く生成されるため、破壊エネルギーが上昇しない。一方、残炭率が80質量%超では、高温下において耐火物内部から抜けるガス量が殆ど無くなり、耐火物が緻密化し過ぎて脆くなるため、破壊エネルギーが上昇しない。また、以上のような観点から、有機物の残炭率は20~80質量%が好ましく、40~80質量%がより好ましい。
接着剤成分cは、炭素繊維の束の中(炭素繊維どうしの間隙)に存在(浸透)して炭素繊維束Bを束として一体化させ、且つ炭素繊維束Bの外表面を覆って炭素繊維束Bを耐火物本体Aに接着または密着させるものであるため、使用する接着剤は液体状であることが望ましい。また、接着剤成分cは高温下でも分解や蒸発をせずに残存する必要があるが、黒鉛含有耐火物に用いる場合は酸素による燃焼はほとんど起こらないので、酸素存在下での燃焼性に富む樹脂を用いることは可能である。これらの条件から、接着剤成分cは、有機樹脂(有機樹脂溶液由来の有機樹脂)、タールまたは/およびピッチ由来の有機物、有機糊由来の有機物、無機ゾル由来の無機微粒子の中から選ばれる1種以上(すなわち、これらのいずれか若しくはこれらの混合物)が適している。
したがって、製造時に炭素繊維束に付着させる接着剤(粘着性付与剤)としては、例えば、有機樹脂(溶液)、ピッチ、タール、有機糊、無機ゾルなどが挙げられる。具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂(これらの有機樹脂の1種以上からなる樹脂溶液)、ピッチ、タール、でんぷん糊、アルミナゾル、シリカゾル、ジルコニアゾル、クロミアゾル、チタニアゾル、マグネシアゾル、カルシアゾル、イットリアゾルなどが挙げられ、これらの中から選ばれる1種以上を用いることができる。
また、製造時にこれらの接着剤の粘性を調整するために溶媒で薄めることもできるが、500℃以上の高温下では酸素が無くてもガス化する溶媒(たとえば、水)の使用は接着剤成分の重量に対して等量以下に抑えることが望ましい。
また、2種以上の接着剤を使用することにより、1種類の接着剤を使用する場合よりも高い曲げ強度と破壊エネルギーが得られる。この理由は、耐火物原料と炭素繊維の密着性がより高まるからである。したがって、より高い曲げ強度と破壊エネルギーを得るためには、接着剤成分cが2種以上の接着剤で構成される(2種以上の接着剤に由来する接着剤成分で構成される)ことが好ましい。
耐火物本体Aの内部における炭素繊維束Bの配置形態は任意であり、特別な制限はないが、操業時、亀裂発生原因である引張応力は耐火物の長手方向に発生することから、一方向に沿って直線状に配置(埋設)することが好ましく、特に、耐火物の稼動面xと直交する方向に沿って配置(埋設)されることが好ましい。また、複数本の炭素繊維束Bを配置する場合には所定の間隔をあけて並列状に配置(埋設)することが好ましい。
なお、耐火物本体Aの内部に埋設される炭素繊維束Bは、その端部が耐火物本体Aの表面に露出していてもよいし、露出していなくてもよい。また、後者の場合、耐火物の稼動面x側においては、炭素繊維織物Bの端部と稼動面x間の距離はなるべく小さいことが好ましいが、反稼動面y側においては、炭素繊維束Bの端部と反稼動面y間の距離はある程度大きくてもよい。これは、使用終了時にも残存することが想定される耐火物の反稼働面y側の部分には、炭素繊維束Bが埋設されている必要がないからである。
炭素繊維束Bは、幅w(1束あたりの幅)が1~15mmであることが好ましい。ここで、炭素繊維束Bの幅とは、炭素繊維束の幅方向断面における長辺又は長径の長さ(但し、幅方向断面が4角形又は円形の場合は1辺の長さ又は直径)を指す。炭素繊維束Bの幅wが1mm以上であることにより、同じ本数の炭素繊維を用いる場合の炭素繊維束Bの数を少なくでき、炭素繊維束Bを耐火物本体Aの内部に偏りなく配置することが容易になる。一方、炭素繊維束Bの幅wが15mm以下であることにより、耐火物本体Aに用いる原料のうちの粗粒材(一般に粒径5~20mmのものが用いられる)と炭素繊維束Bが干渉したり、炭素繊維束B自体の溶損が耐火物の溶損の引き金となることを軽減できる。
炭素繊維束Bは、長さLが100mm以上で繊維径が1~45μmの炭素繊維を束に纏めたものであって、1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本であることが好ましい。
炭素繊維の長さL(炭素繊維束Bの長さ)が100mm未満の場合には、耐火物本体Aとの間の拘束力が小さくなるため、炭素繊維束Bが亀裂の進展を抑制する効果が小さくなる。また、炭素繊維の繊維径が1μm未満の場合や、1束あたりの炭素繊維の本数が1000本未満の場合には、炭素繊維束Bが細過ぎるため局部的な亀裂の進展を抑制する効果が低下し、破壊エネルギーの上昇が小さくなる。一方、炭素繊維の繊維径が45μm超の場合や、1束あたりの炭素繊維の本数が300000本超の場合には、炭素繊維束Bが太過ぎるため耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bとの馴染みが悪く、成形時にスプリングバックと呼ばれる炭素繊維束の弾性による欠陥が起こりやすい。
炭素繊維束Bは、耐火物本体Aの内部において複数本が並列状に配置され、隣り合う炭素繊維束Bどうしの間隔d(炭素繊維束Bの相互間距離)が3mm超であることが好ましい。隣り合う炭素繊維束Bどうしの間隔dが3mm超となるように配置することにより、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bの絡みを良くすることができ、また、成形時にラミネーションと呼ばれる炭素繊維束に起因する剥離を起こし難くできる。なお、この間隔dの上限は特にないが、下記する炭素繊維の存在密度との関係などからして、一般には100mm程度が上限となる。
黒鉛含有耐火物の稼働面xと平行な耐火物断面における、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の存在密度は10~2000本/mmであることが好ましく、これにより、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bとの接触面積が確保されて密着性が高まり、破壊エネルギーを高めることができるとともに、炭素繊維束Bの弾性変形による欠陥の発生も抑えられる。炭素繊維の存在密度が10本/mm未満の場合には、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bとの接触面積が狭過ぎるため、耐火物原料と炭素繊維束Bの密着性が高まらず、破壊エネルギーの上昇が小さい。一方、炭素繊維の存在密度が20000本/mm超の場合には、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bとの接触面積が広過ぎるため、成形時にスプリングバックと呼ばれる炭素繊維束の弾性による欠陥が起こりやすい。
黒鉛含有耐火物の稼働面xと平行な耐火物断面における、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の占有面積率は0.1~40%であることが好ましく、これにより、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bとの接触面積が確保されて密着性が高まり、破壊エネルギーを高めることができるとともに、炭素繊維束Bの弾性による欠陥の発生も抑えられる。炭素繊維の占有面積率が0.1%未満の場合には、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bとの接触面積が狭過ぎるため、耐火物原料と炭素繊維束Bの密着性が高まらず、破壊エネルギーの上昇が小さい。一方、炭素繊維の占有面積率が40%超の場合には、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bとの接触面積が広過ぎるため、成形時にスプリングバックと呼ばれる炭素繊維束Bの弾性による欠陥が起こりやすい。
次に、耐火物本体Aの組成について説明する。
耐火物本体Aは、黒鉛原料を1~80質量%含有することが好ましい。黒鉛原料の含有量を1質量%以上とすることにより、黒鉛含有耐火物の耐割れ性を確保できるとともに、耐火物内部の炭素繊維の酸化消失を抑制することができる。一方、黒鉛原料の含有量を80質量%以下とすることにより、耐火物表面の黒鉛原料の酸化消失を抑制することができる。黒鉛(カーボン原料)としては、一般に鱗状黒鉛などが用いられる。
一般に、精錬工程において使用される転炉の内張り(羽口部を含む)には、マグネシアおよびカーボンを主成分とする耐火物であるマグネシア・カーボン質耐火物(マグネシア原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)が使用される。耐火物本体Aがマグネシア・カーボン質耐火物の場合、耐火物本体Aは、マグネシア原料を20~99質量%含有することが好ましく、これにより熱スポーリングによる割れが抑制され、且つFeOを多く含む転炉スラグの浸食にも耐えられる耐食性を有する耐火物とすることができる。なお、マグネシア原料としては、マグネシア濃度が90質量%以上の高純度のマグネシア原料を用いることが好ましい。
また、一般に、溶銑予備処理工程において使用されるトピードや高炉鍋の内張りにはアルミナ、炭化珪素およびカーボンを主成分とする耐火物であるアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)や、アルミナ、炭化珪素、シリカおよびカーボンを主成分とする耐火物であるアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)などが使用される。耐火物本体Aがアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物やアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合、アルミナ原料を10~95質量%含有することが好ましく、これにより溶銑予備処理スラグに対する高い耐食性が得られ、且つ熱スポーリングによる亀裂の発生をさらに抑制することができる。なお、アルミナ原料としては、アルミナ濃度が70質量%以上の高純度のアルミナ原料を用いることが好ましい。
さらに、耐火物本体Aがアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物やアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合、炭化珪素原料を1質量%以上含有することが好ましい。炭化珪素原料を1質量%以上含有することにより、大気雰囲気下における黒鉛の酸化を抑制できるので、高耐割れ性を維持できる。なお、炭化珪素原料としては、炭化珪素濃度が80質量%以上の高純度の炭化珪素原料を用いることが好ましい。
また、耐火物本体Aがアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合、シリカ原料を1~50質量%含有することが好ましく、これにより高耐割れ性と高耐溶損性を両立できる。
転炉の内張りに使用するマグネシア・カーボン質耐火物は、装入物による機械的衝撃、溶鋼及び溶融スラグの撹拌による摩耗、溶融スラグによるスラグ浸食および転炉操業中の急激な温度変化など、非常に苛酷な条件下で使用される。このため、安定した操業を行うためにも苛酷な条件に耐える耐用性の高いマグネシア・カーボン質耐火物を使用することが好ましい。同様に、トピードや高炉鍋などの溶銑予備処理容器の内張りに使用するアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物やアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物も非常に苛酷な条件下で使用されることから、これらの条件に耐えられる耐火物を使用することが好ましい。本発明によれば、これら非常に苛酷な条件下で使用される黒鉛含有耐火物の破壊エネルギーが、従来の黒鉛含有耐火物と比較して大幅に向上するため、高い耐用性が得られる。
また、耐火物本体Aがシリカ、炭化珪素およびカーボンを主成分とする耐火物であるシリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物の場合、炭化珪素原料を1質量%以上、シリカ原料を1~50質量%含有することが好ましく、これにより高耐割れ性と高耐溶損性を両立できる。炭化珪素原料を1質量%以上含有することにより、大気雰囲気下における黒鉛の酸化を抑制できるので、高耐割れ性を維持できる。なお、炭化珪素原料としては、炭化珪素濃度が80質量%以上の高純度の炭化珪素原料を用いることが好ましい。
ここで、アルミナ原料としては、例えば、バン土頁岩、ホワイトアルミナ、ブラウンアルミナなどの1種以上が用いられる。また、炭化珪素原料としては、例えば、緑色炭化ケイ素、黒色炭化ケイ素などの1種以上が用いられる。また、シリカ原料としては、例えば、ろう石、ムライトなどの1種以上が用いられる。
黒鉛含有耐火物は、製鉄容器からの放熱量を抑制しながら、耐用性を高くすることを目的として、さらに金属粉末原料を含有(配合)することができる。金属粉末原料としては、例えば、金属Si、金属Al、金属Al-Si、AlSiC、BCなどが挙げられ、これらの1種以上を含有させることができる。金属粉末原料の含有量は特に規定しないが、通常、1~5質量%程度が好ましい。金属粉末原料の含有量(配合量)が1質量%未満では、金属粉末原料を配合することによる耐用性の向上効果が十分に得られず、一方、5質量%を超えると、強度が高くなりすぎるため、実機で使用した際に亀裂が発生し易くなって煉瓦が割れ易くなり、実機での使用回数が低下するおそれがある。
耐火物本体Aは、骨材原料として使用済み耐火物を粉砕した耐火物屑を10~90質量%程度含有することができる。特に、耐火物本体Aがアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(さらにシリカ原料を含有するアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合を含む。以下同様)の場合には、使用済みのアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(さらにシリカ原料を含有するアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合を含む。以下同様)を粉砕して得られた耐火物屑を骨材原料として好適に用いることができる。
このように耐火物屑を含有する場合、耐火物原料の残部は未使用の原料(バージン原料)である。
アルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物からなる耐火物本体Aにおいて、使用済みのアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物を粉砕して得られた耐火物屑の含有量を10~90質量%とした場合、バージン原料のみを使用した黒鉛含有耐火物と同程度の耐割れ性および耐溶損性が得られる。その理由は、耐火物屑原料はバージン原料と比較して純度が低いが、耐火物屑原料とバージン原料を併用することにより、耐火物屑原料中のAl成分が有する耐溶損性の大幅な低下を抑制できることが挙げられる。ただし、耐火物屑の含有量を90質量%超とした場合には、バージン原料の含有量が少な過ぎるため、耐火物屑原料中のAl成分が有する耐食性の大幅な低下を抑制できない。また、耐火物屑の含有量を10質量%未満とした場合、耐火物屑の再利用率が低過ぎるため、産業廃棄物としての耐火物屑処理費用が大幅に上がる。
次に、本発明の黒鉛含有耐火物の製造方法について説明する。
図2は、本発明の黒鉛含有耐火物の製造工程の一例を示している。この製造工程では、耐火物原料に適量のバインダーを加えて混練し、その混練物を、所定の接着剤を束の内部に浸透(含浸)させ且つ外表面にも付着させた炭素繊維束とともに型に充填してプレス成形を行い、耐火物成形品を得る。バインダーとしては、例えば、フェノールレジン(主剤)+ヘキサミン(硬化剤)、カーボンボンド、セラミックボンドなどが用いられる。
耐火物原料の混練物を、炭素繊維束(接着剤を束の内部に浸透(含浸)させ且つ外表面にも付着させた炭素繊維束。以下同様)とともに型に充填する方法としては、例えば、一定量の混練物を型に装入した後に複数本の炭素繊維束を並列状に配置(装入)し、さらに一定量の混練物を型に装入する方法がある。したがって、この方法で図1のように複数本の炭素繊維束Bが耐火物本体Aの内部に埋設された黒鉛含有耐火物を製造するには、型に一定量の混練物を装入した後、その上に並列した複数本の炭素繊維束を配置する工程と、その上に一定量の混練物を装入する工程を繰り返し行う。
また、炭素繊維束に接着剤(粘着性付与剤)を浸透(含浸)・付着させるには、例えば、接着剤を構成する樹脂(樹脂溶液)や無機ゾルなどに炭素繊維束を浸漬したり、接着剤を構成する樹脂(樹脂溶液)や無機ゾルなどを炭素繊維束に散布することにより、接着剤を炭素繊維束に浸透・付着させ、この接着剤が浸透・付着したままの炭素繊維束を、上記のような要領で混練物とともに型に装入する。ここで、炭素繊維束に浸透・付着した接着剤は、炭素繊維束を混練物に配置する際にある程度硬化または固化が進んだ状態であっても、炭素繊維束と耐火物(混練物)が接着または密着できるような粘着性を有する状態(いわゆる生乾きの状態)であればよい。また、他の方法としては、予め束内に接着剤を含浸させた後、硬化または固化させた炭素繊維束を用意し、混練物に配置する際に、改めて炭素繊維束の外表面に接着剤を付着させるようにしてもよい。
プレス成形は、金型内で一方向に圧縮する一般的な金型プレス成形を行うことができるが、液体を用いて全方向から均等に圧力を加えるCIP成形を行ってもよい。部位によって厚さが異なる形状など、一方向の圧縮では均等な圧力を加えることが難しい形状に対しては、CIP成形を用いることによって部位による圧縮度の偏りが軽減されるので望ましい。
また、成形工程は、プレス成形以外の成形法で行ってもよい。プレス成形以外の成形法としては、例えば、流し込みによる成形があり、その1つに、鍋やタンディッシュなどの稼働面である施工部位に内枠を設置し、この内枠に不定形耐火物(耐火物原料)を流し込み、乾燥(乾燥工程)・固化させた後に内枠を除去する方法がある。また、施工部位に流し込むのではなく、耐火物形状の型枠内に不定形耐火物(耐火物原料)を流し込み、乾燥(乾燥工程)・固化させた後に型枠から取り出した耐火物を、施工部位まで運搬して施工する方法もあり、この方法は施工部位への耐火物施工の手間はかかるものの、型枠内に不定形耐火物を流し込む際の炭素繊維束の埋設や固化時の温度管理が容易であるので望ましい。これらの流し込みによる成形法では、上述した内枠や型枠内に炭素繊維束を配置した上で、内枠や型枠内に不定形耐火物(耐火物原料)を流し込み、乾燥(乾燥工程)・固化させる。
以上のようにして得られた耐火物成型品を乾燥させる。この乾燥は耐火物成型品の乾燥(キュアリング)を目的として、通常、200~230℃程度で行われる。
また、上述したような流し込みによる成形で得られる耐火物成形体については、施工部位に設置された内枠や他の場所に設置された型枠に保持された耐火物成形体を加熱バーナなどの加熱手段で加熱することにより、乾燥・固化させる。その後、内枠の除去や型枠からの取り出しが行われる。
以上により、耐火物本体Aの内部に炭素繊維束Bが配置(埋設)された黒鉛含有耐火物であって、炭素繊維束Bが、その束内に接着剤成分c(残炭率が6~80質量%の有機物または/および無機微粒子からなる接着剤成分)を含むとともに、耐火物本体Aに対して接着剤成分cを介して接着または密着した本発明の黒鉛含有耐火物が得られる。
本発明の黒鉛含有耐火物は、種々の設備や容器の耐火物として使用できるが、なかでも製鉄所内で使用される精錬容器や搬送容器の内張り耐火物として好適である。特に、非常に過酷な使用環境である転炉の内張り耐火物として好適であり、そのなかでも羽口部を構成する羽口煉瓦として特に好適である。
転炉に使用するマグネシア・カーボン質耐火物(マグネシア原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)について、マグネシア・カーボン質原料の配合を検討するため、表1に示すような原料配合でマグネシア原料を骨材とした耐火物成形品、すなわち、炭素繊維束を埋設しない黒鉛含有耐火物を製作した。耐火物原料を混練・成形するにあたり、バインダーとして、耐火物原料に対する外掛けでフェノールレジンを3質量%、ヘキサミンを0.3質量%配合した。製作した黒鉛含有耐火物について、耐溶損性と耐割れ性をそれぞれ以下の方法で評価した。その結果を表1に併せて示す。
耐溶損性については、図3(試験方法)に示すとおり、高周波誘導炉を用いた内張り分け法で溶損量を測定し、その溶損量に基づき評価した。内張り分け法による試験では、試験温度を1650℃、温度保持時間を4時間として表2に示す組成の合成スラグを1時間毎に投入し、冷却後に稼働面の溶損量を測定した。そして、その溶損量から表1中の配合例1-4の溶損量を100とした溶損指数を求めた。なお、図3(A)は試験の実施状況を試験炉および筒状サンプルを縦断面した状態で模式的に示す説明図、図3(B)は図3(A)に示される筒状サンプルの平面図、図3(C)は図3(A),(B)に示す筒状サンプルを構成する試験片の1つを示す斜視図である。
耐割れ性については、40×40×200mmの試料の長手方向の動弾性率EをJIS R1605に示された超音波パルス法に従って測定した後、1500℃×10分間の加熱、5分間の水冷、10分間の大気冷却を1サイクルとした工程を3回繰り返し、この3回の工程の終了後に再び上記方法で動弾性率Eを測定し、試験前後での動弾性率の変化率E/Eを指標として評価した。
表1の配合例1-2~配合例1-8に示す通り、黒鉛含有量を1~80質量%、マグネシア原料の含有量を20~99質量%とした場合、耐溶損性と耐割れ性は殆ど一定であったが、配合例1-1に示す通り、黒鉛含有量を1質量%未満とした場合には耐割れ性が大幅に低下している。また、配合例1-9に示す通り、マグネシア原料の含有量を20質量%未満とした場合には耐溶損性が大幅に低下している。これらのことから、黒鉛含有耐火物の耐割れ性を確保するためには黒鉛含有量は1質量%以上とする必要があり、また、マグネシア・カーボン質原料の配合において、耐溶損性と耐割れ性を両立させるためには、黒鉛含有量を1~80質量%、マグネシア原料の含有量を20~99質量%とするのが好ましいことが判る。
耐火物本体Aの内部に炭素繊維束Bを配置(埋設)した発明例および比較例の黒鉛含有耐火物を図2に示す手順で製造した。この製造された黒鉛含有耐火物は、図1に示すように耐火物本体Aの長手方向に沿って複数本の炭素繊維束Bが並列状に等間隔で埋設され、炭素繊維束Bは、その束内に接着剤成分cを含むとともに、耐火物本体Aに対して接着剤成分cを介して接着または密着したものである。耐火物原料を混練・成形するにあたり、バインダーとして、耐火物原料に対する外掛けでフェノールレジンを3質量%、ヘキサミンを0.3質量%配合した。製造された黒鉛含有耐火物について、曲げ強度、破壊エネルギー、耐溶損性、耐割れ性を、それぞれ以下の方法で評価した。
曲げ強度については、図4(試験方法)に示すとおり、耐火物本体Aの内部に、その長手方向に沿って複数本の炭素繊維束Bを並列状に等間隔で埋設した試験片(試験片サイズ:40mm×40mm×160mm)を用い、中心間距離を100mm、荷重印加速度を0.5mm/minとし、JIS R2213に記載された3点曲げ試験方法に準拠して測定した。なお、図4(ア)は3点曲げ強度試験の実施状況を模式的に示す説明図、図4(イ)は図4(ア)の試験片の端面を模式的に示す説明図である。
破壊エネルギーについては、図5に示すとおり、3点曲げ強度試験で得られた荷重-変位曲線において第1ピーク値を示した位置を基準とし、基準位置から変位1mmの範囲の面積とした。
また、耐割れ性と耐溶損性については、上述した方法で評価したが、耐割れ性を評価する試験片としては、耐火物本体の内部に、その長手方向に沿って複数本の炭素繊維束を並列状に等間隔で埋設したものを用いた。また、耐溶損性を評価する試験片としては、スラグや溶鋼に接する面(耐火物の稼動面x)に垂直に複数本の炭素繊維束が並列状に等間隔で埋設されたものを用いた。
表3~表9に、発明例および比較例の黒鉛含有耐火物(耐火物本体Aの内部に炭素繊維織束Bが埋設された黒鉛含有耐火物)の構成と特性(曲げ強度、破壊エネルギー、耐溶損性、耐割れ性)を示す。
まず、表3の実施例は、炭素繊維束Bの束内に含まれ、且つ炭素繊維束Bを耐火物本体Aに接着または密着させる接着剤成分cが黒鉛含有耐火物の曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、炭素繊維の繊維径が7μm、長さが200mm、1束あたりの炭素繊維数が75000本、幅が8mmの炭素繊維束と、残炭率が異なるフェノール樹脂(溶液)や無機ゾル等の接着剤を用い、束の内外に接着剤を浸透・付着させて粘着性を付与した複数本の炭素繊維束をマグネシア・カーボン質耐火物(耐火物本体)の内部に10mm間隔で並列状に埋設した。その際、事前に接着剤(溶液)に炭素繊維束を浸漬し、この接着剤が束の内外に浸透・付着した炭素繊維束を耐火物本体に埋設した。なお、2種の接着剤を併用する場合には、それらを混合して使用した。また、比較例の1つでは、接着剤を付着させない複数本の炭素繊維束を、同様に耐火物本体に埋設した。
発明例1-1~発明例1-10が示す通り、本発明条件を満足させるような特定の接着剤を用いて粘着性を付与した炭素繊維束を埋設した場合、高い曲げ強度と破壊エネルギーが得られており、さらに、発明例1-11~発明例1-15が示す通り、2種類の接着剤を用いて粘着性を付与した炭素繊維束を埋設した場合、1種類の接着剤を用いた場合と比較してより高い曲げ強度と破壊エネルギーが得られている。
一方、比較例1-1が示す通り、残炭率が6質量%未満の接着剤(有機樹脂)を使用した場合、高温下において耐火物内部から抜けるガス量が多く、気孔などの欠陥が内部に多く生成されるため、高い曲げ強度と破壊エネルギー・耐割れ性は得られない。
また、比較例1-2が示す通り、残炭率が80質量%超の接着剤(有機樹脂)を使用した場合、高温下において耐火物内部から抜けるガス量が殆どなく、耐火物が緻密化し過ぎるため、高い曲げ強度と破壊エネルギー・耐割れ性は得られない。
さらに、比較例1-3が示す通り、接着剤を使用せず、炭素繊維束に粘着性を全く付与しなかった場合、耐火物原料と炭素繊維束の密着性が向上しないため、高い曲げ強度と破壊エネルギー・耐割れ性は得られない。
以上のことから、耐火物本体Aの内部に埋設される炭素繊維束B内に含まれ、且つ炭素繊維束Bを耐火物本体Aに接着または密着させる接着剤成分cを、残炭率が6~80質量%の有機物または/および無機微粒子とすることにより、高い曲げ強度と破壊エネルギー・耐割れ性を有する黒鉛含有耐火物が得られることが判る。
表4の実施例は、耐火物本体Aの内部に埋設される炭素繊維束Bについて、その幅w、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の長さL、繊維径、1束あたりの炭素繊維本数、耐火物稼働面と平行な耐火物断面における炭素繊維の存在密度(埋設密度)、同じく炭素繊維の占有面積率が黒鉛含有耐火物の曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径を0.5~50μm、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維数(本数)を900~350000本とすることにより、耐火物稼働面と平行な耐火物断面における炭素繊維の存在密度と占有面積率が異なるように、複数本の炭素繊維束Bをマグネシア・カーボン質耐火物(耐火物本体A)の内部に10mm間隔で並列状に埋設した。その際、事前に接着剤である残炭率:40質量%のフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維束を浸漬し、束の内外にフェノール樹脂(樹脂溶液)が浸透・付着した炭素繊維束を耐火物本体Aに埋設した。耐火物本体Aを構成する骨材(マグネシア)の最大粒径は8-5mmである。
発明例1-4および発明例2-1~発明例2-5が示す通り、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径が1~45μm、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維数(本数)が1000~300000本の場合に、耐火物稼働面と平行な耐火物断面における炭素繊維の存在密度が10~2000本/mm、同じく炭素繊維の占有面積率が0.1~40%なり、高い曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性が得られている。
一方、発明例2-0が示す通り、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径が1μm未満、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維数(本数)が1000本未満の場合には、耐火物稼働面と平行な耐火物断面における炭素繊維の存在密度(埋設密度)が10本/mm未満、同じく炭素繊維の占有面積率が0.1%未満となり、発明例2-1に較べて破壊エネルギーが低下した。
また、発明例2-6が示す通り、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径が45μm超、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維数(本数)が300000本超の場合、耐火物稼働面と平行な耐火物断面における炭素繊維の存在密度が2000本/mm超、同じく炭素繊維の占有面積率が40%超となり、発明例2-5に較べて曲げ強度と破壊エネルギーが低下した。この要因としては、炭素繊維束が太過ぎたために、炭素繊維束と耐火物原料との絡みが悪く、成形する際にスプリングバックが発生し易いことが挙げられる。
以上のことから、炭素繊維束Bを耐火物本体Aの内部に配置する条件として、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径を1~45μm、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維数(本数)を1000~300000本とし、耐火物稼働面と平行な耐火物断面における炭素繊維の存在密度を10~2000本/mm、同じく炭素繊維の占有面積率を0.1~40%とすることが好ましく、これにより耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bの接触面積が多くなって密着性も高まり、特に高い曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性が安定して得られることが判る。
表5の実施例は、耐火物本体Aの内部に埋設される炭素繊維束Bどうしの間隔d(炭素繊維束Bの相互間距離)が黒鉛含有耐火物の曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径を7μm、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維数(本数)を75000本とし、複数本の炭素繊維束Bを相互の間隔を3mm、5mm、10mm、20mm、30mmにしてマグネシア・カーボン質耐火物(耐火物本体)の内部に並列状に埋設した。その際、事前に接着剤である残炭率:40質量%のフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維束を浸漬し、束の内外にフェノール樹脂(樹脂溶液)が浸透・付着した炭素繊維束を耐火物本体に埋設した。耐火物本体Aを構成する骨材(マグネシア)の最大粒径は8-5mmである。
発明例1-4および発明例3-2~発明例3-4が示す通り、隣り合う炭素繊維束Bどうしの間隔d(炭素繊維束の相互間距離)を3mm超とした場合、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bの絡みが良く、高い破壊エネルギーが得られている。
一方、発明例3-1が示す通り、隣り合う炭素繊維束Bどうしの間隔dを3mm以下とした場合、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bの絡みが悪く、破壊エネルギー・耐割れ性が低下する。
以上のことから、並列状に配置される複数の炭素繊維束Bについて、隣り合う炭素繊維束Bどうしの間隔(炭素繊維束Bの相互間距離)を3mm超にすれば、耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bの絡みが良く破壊エネルギーを高く維持できることが判る。
溶銑予備処理容器の内張りに使用するアルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした黒鉛含有耐火物についても同様の検討を行った。
表6の実施例は、溶銑予備処理容器の内張りに使用するアルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)について、その組成が黒鉛含有耐火物の曲げ強度、破壊エネルギー・耐割れ性、および耐溶損性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径を7μm、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維数(本数)を75000本とし、複数本の炭素繊維束Bをアルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物(耐火物本体A)の内部に10mm間隔で並列状に埋設した。その際、事前に接着剤である残炭率:40質量%であるフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維束を浸漬し、束の内外にフェノール樹脂(樹脂溶液)が浸透・付着した炭素繊維束を耐火物本体に埋設した。耐火物本体Aを構成する骨材(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料)の最大粒径は8-5mmである。
発明例4-2~発明例4-8が示す通り、アルミナ原料の含有量を10~95質量%、シリカ原料の含有量を1~50質量%、炭化珪素原料の含有量を1質量%以上、黒鉛含有量を1~80質量%とした場合、高い曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が得られている。
これに対して、発明例4-1が示す通り、アルミナ原料の含有量が10質量%未満、シリカ原料の含有量が1質量%未満、炭化珪素原料の含有量が1質量%未満、黒鉛含有量が80質量%超の場合には、破壊エネルギー・耐割れ性、耐溶損性がともに低下している。
また、発明例4-9が示す通り、アルミナ原料の含有量が95質量%超、シリカ原料の含有量が1質量%未満、炭化珪素原料の含有量が1質量%未満、黒鉛含有量が1質量%未満の場合、熱スポーリングによる亀裂の発生を抑制できず、破壊エネルギー・耐割れ性が低下している。
以上のことから、アルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物において、アルミナ原料の含有量を10~95質量%、シリカ原料の含有量を1~50質量%、炭化珪素原料の含有量を1質量%以上、黒鉛含有量を1~80質量%とすれば、高耐溶損性と高い破壊エネルギー・耐割れ性を両立できることが判る。
表7の実施例は、溶銑予備処理容器の内張りに使用するアルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)であって、骨材原料の一部として、使用済みのアルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物を粉砕して得られた耐火物屑を用いた黒鉛含有耐火物について、その耐火物屑含有量が黒鉛含有耐火物の曲げ強度、破壊エネルギー・耐割れ性、および耐溶損性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、アルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物中での耐火物屑の配合量を変え、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径を7μm、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維数(本数)を75000本とし、複数本の炭素繊維束Bをアルミナ・シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物(耐火物本体A)の内部に10mm間隔で並列状に埋設した。その際、事前に接着剤である残炭率:40質量%のフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維束を浸漬し、束の内外にフェノール樹脂(樹脂溶液)が浸透・付着した炭素繊維束を耐火物本体に埋設した。耐火物本体Aを構成する骨材(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料)の最大粒径は8-5mmである。
発明例5-1~発明例5-3に示す通り、耐火物屑の含有量を10~90質量%とした場合、表6に示したバージン原料のみを使用した黒鉛含有耐火物と同程度の破壊エネルギー・耐割れ性および耐溶損性が得られている。
一方、発明例5-4に示す通り、耐火物屑の含有量が90質量%超の場合、破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が低下した。
以上のことから、使用済みのアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物屑を粉砕して得られた耐火物屑を骨材原料とした黒鉛含有耐火物に関して、耐火物屑の含有量を10~90質量%とすれば、破壊エネルギーを高く維持でき、さらに、バージン原料のみを使用した黒鉛含有耐火物と同程度の耐割れ性および耐溶損性を有することが判る。
表8の実施例は、アルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)について、その組成が黒鉛含有耐火物の曲げ強度、破壊エネルギー・耐割れ性、および耐溶損性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径を7μm、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維数(本数)を75000本とし、複数本の炭素繊維束Bをアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(耐火物本体A)の内部に10mm間隔で並列状に埋設した。その際、事前に接着剤である残炭率:40質量%のフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維束を浸漬し、束の内外にフェノール樹脂(樹脂溶液)が浸透・付着した炭素繊維束を耐火物本体に埋設した。耐火物本体Aを構成する骨材(アルミナ原料、炭化珪素原料)の最大粒径は8-5mmである。
発明例6-2~発明例6-4が示す通り、アルミナ原料の含有量を10~95質量%、黒鉛含有量を1~80質量%とした場合、高い曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が得られている。
一方、発明例6-1が示す通り、アルミナ原料の含有量が10質量%未満、黒鉛含有量が80質量%超の場合、破壊エネルギー・耐割れ性、耐溶損性が低下している。また、発明例6-5が示す通り、アルミナ原料の含有量が95質量%超、黒鉛含有量が1質量%未満の場合、破壊エネルギー・耐割れ性が低下している。
以上のことから、アルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物において、アルミナ原料の含有量を10~95質量%、黒鉛含有量を1~80質量%とすれば、高い破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が得られることが判る。
表9の実施例は、シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物(シリカ原料、炭化珪素原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)について、その組成が黒鉛含有耐火物の曲げ強度、破壊エネルギー・耐割れ性、および耐溶損性に及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径を7μm、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維数(本数)を75000本とし、複数本の炭素繊維束Bをシリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物(耐火物本体A)の内部に10mm間隔で並列状に埋設した。その際、事前に接着剤である残炭率:40質量%のフェノール樹脂(樹脂溶液)に炭素繊維束を浸漬し、束の内外にフェノール樹脂(樹脂溶液)が浸透・付着した炭素繊維束を耐火物本体に埋設した。耐火物本体Aを構成する骨材(シリカ原料、炭化珪素原料、)の最大粒径は8-5mmである。
発明例7-2~発明例7-4が示す通り、シリカ原料の含有量を1~50質量%、黒鉛含有量を1~80質量%とした場合、高い曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が得られている。
一方、発明例7-1が示す通り、シリカ原料の含有量を1質量%未満、黒鉛含有量を80質量%超とした場合、破壊エネルギー・耐割れ性が低下している。また、比較例7-5が示す通り、シリカ原料の含有量を50質量%超とした場合、熱スポーリングによる亀裂の発生を抑制できず、破壊エネルギー・耐割れ性が低下している。
以上のことから、シリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物において、シリカ原料の含有量を1~50質量%、黒鉛含有量を1~80質量%とすれば、高い曲げ強度および破壊エネルギー・耐割れ性と耐溶損性が得られることが判る。
Figure 2023149344000002
Figure 2023149344000003
Figure 2023149344000004
Figure 2023149344000005
Figure 2023149344000006
Figure 2023149344000007
Figure 2023149344000008
Figure 2023149344000009
Figure 2023149344000010
Figure 2023149344000011
A 耐火物本体
B 炭素繊維束
c 接着剤成分
x 稼動面
y 反稼動面

Claims (13)

  1. 耐火物本体(A)の内部に炭素繊維束(B)が配置された黒鉛含有耐火物であって、
    炭素繊維束(B)は、その束内に接着剤成分(c)を含むとともに、耐火物本体(A)に対して接着剤成分(c)を介して接着または密着し、
    接着剤成分(c)は、残炭率が6~80質量%の有機物または/および無機微粒子からなることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
  2. 接着剤成分(c)は、有機樹脂、タールまたは/およびピッチ由来の有機物、有機糊由来の有機物、無機ゾル由来の無機微粒子の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛含有耐火物。
  3. 炭素繊維束(B)の幅が1~15mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の黒鉛含有耐火物。
  4. 炭素繊維束(B)は、長さが100mm以上で繊維径が1~45μmの炭素繊維を束に纏めたものであって、1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  5. 耐火物本体(A)の内部に複数本の炭素繊維束(B)が並列状に配置され、隣り合う炭素繊維束(B)どうしの間隔が3mm超であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  6. 黒鉛含有耐火物の稼働面と平行な耐火物断面における、炭素繊維束(B)を構成する炭素繊維の存在密度が10~2000本/mmであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  7. 黒鉛含有耐火物の稼働面と平行な耐火物断面における、炭素繊維束(B)を構成する炭素繊維の占有面積率が0.1~40%であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  8. 耐火物本体(A)は、黒鉛原料を1~80質量%含有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  9. 耐火物本体(A)は、マグネシア原料を20~99質量%含有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  10. 耐火物本体(A)は、アルミナ原料を10~95質量%含有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  11. 耐火物本体(A)は、シリカ原料を1~50質量%含有することを特徴とする請求項1~8、10のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  12. 耐火物本体(A)は、炭化ケイ素原料を1質量%以上含有することを特徴とする請求項10または11に記載の黒鉛含有耐火物。
  13. 耐火物本体(A)は、使用済み耐火物を粉砕した耐火物屑を10~90質量%含有することを特徴とする請求項1~12いずれかに記載の黒鉛含有耐火物。

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