JP2023089721A - 黒鉛含有耐火物およびその製造方法 - Google Patents

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久宏 松永
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Abstract

【課題】転炉の内張耐火物に使用しても、熱応力により発生する亀裂の進展が抑制されて高い耐用性が得られ、また、特に内部の温度勾配が非常に大きい転炉の羽口煉瓦に使用しても高い耐用性が得られる黒鉛含有耐火物であって、しかも製造時に亀裂などの欠陥を生じることなく高い製造歩留まりで製造できる黒鉛含有耐火物を提供する。【解決手段】耐火物本体Aの内部に炭素繊維束Bが配置された黒鉛含有耐火物であって、炭素繊維束Bが、少なくとも外表面の一部または全部にサイジング剤が付着していない、好ましくは外表面の一部または全部と束内の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなる。炭素繊維束Bの外表面の一部または全部にサイジング剤が付着していないことにより、製造時に亀裂などの欠陥を生じることが抑えられるとともに、炭素繊維束Bと耐火物本体Aとの密着性が高まり、高い破壊エネルギーが得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、耐火物本体の内部に炭素繊維束を配置した黒鉛含有耐火物に関するものである。
製鉄所において製銑工程や製鋼工程で使用される設備(精錬容器、搬送容器など)は、高温下で長期間の使用に耐えられるように耐火物が内張り施工されている。一般に、精錬工程で使用される転炉の内張りにはマグネシア・カーボン質耐火物が使用され、溶銑予備処理工程で使用されるトピードや高炉鍋の内張りにはアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物などが使用される。
これらの精錬容器や搬送容器で内張りに使用される耐火物は、装入物による機械的衝撃、溶鋼や溶融スラグの撹拌による摩耗、溶融スラグによるスラグ浸食、操業中の急激な温度変化などが生じる非常に過酷な条件下で使用される。このため、安定した操業を行うためにも、そのような過酷な条件に耐えられる耐用性の高い耐火物を使用する必要がある。
特に、転炉の羽口部を構成する羽口煉瓦は、内部に常温のガス(酸素や冷却用炭化水素ガス等)が流れており、炉内に近い部位では内面が常温のガスにより冷却され、外面は炉内の溶鋼からの伝熱による高温に曝されるため、羽口煉瓦内の熱勾配は極めて大きく、しかも転炉の1チャージ分の吹錬が終わる度に、溶鋼を排出することによる温度低下が生じ、大きな熱変動が繰り返される。転炉に設置される羽口煉瓦は、使用頻度が2500~4000チャージ程度にも達し、この1チャージ毎に上記のような大きな熱勾配を生じる状況と大きな熱変動が繰り返されるという極めて過酷な条件で使用されるため、このような条件での使用に耐え得る高い耐用性が必要である。また、羽口煉瓦以外の転炉内張り耐火物(転炉内壁を構成する煉瓦)も、上述したような大きな熱変動が繰り返される過酷な条件で使用されるため、羽口煉瓦ほどではないが、高い耐用性が求められる。
耐火物の耐用性を高める技術として、特許文献1には、長さ100mm以上の炭素繊維を接着剤で束ね、粘着性を付与した束の状態で耐火物の内部に配置することにより、破壊エネルギーが大幅に上昇したことが記載されている。
再公表2018-155118号公報
しかし、本発明者らが検討した結果、特許文献1のように耐火物の内部に炭素繊維束を装入する技術において、市販の炭素繊維束をそのまま利用した場合、製造時に亀裂などの欠陥が生じやすく、高い製造歩留まりが得られないことが判った。特許文献1には、そのような問題の解決手段については何も示されていない。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、転炉の内張り耐火物のように長期間にわたって昇温と降温が繰り返される条件で使用される場合でも、熱応力により発生する亀裂の進展が抑制されて高い耐用性が得られ、また、特に転炉の羽口煉瓦のように内部の温度勾配が非常に大きい条件で使用される場合でも高い耐用性が得られる黒鉛含有耐火物であって、しかも製造時に亀裂などの欠陥を生じることなく高い製造歩留まりで製造することができる黒鉛含有耐火物およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、市販の炭素繊維束には、炭素繊維を束として纏めるために束内外にサイジング剤が付着しているが、このサイジング剤が付着した炭素繊維束を、そのまま耐火物の内部に配置することが製造時に亀裂などの欠陥が生じる原因であること、したがって、外表面や束内に付着したサイジング剤の少なくとも一部を事前に除去した炭素繊維束を用いることにより、製造時の欠陥の発生を抑えることができることを見出した。さらに、好ましくは炭素繊維束を構成する炭素繊維の繊維径や本数を最適化することにより、上述したような極めて厳しい使用環境でも高い耐用性が得られることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]耐火物本体(A)の内部に炭素繊維束(B)が配置された黒鉛含有耐火物であって、
炭素繊維束(B)は、少なくとも外表面の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[2]上記[1]の黒鉛含有耐火物において、炭素繊維束(B)は、外表面の一部または全部と束内の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[3]上記[1]または[2]の黒鉛含有耐火物において、炭素繊維束(B)は、耐火物本体(A)に対して接着剤成分(c)を介して接着されていることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[4]上記[3]の黒鉛含有耐火物において、炭素繊維束(B)は、サイジング剤が付着していない束内に接着剤成分(c)を含むことを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[5]上記[3]または[4]の黒鉛含有耐火物において、接着剤成分(c)は、有機樹脂、無機ゾル由来の無機微粒子、タールまたは/およびピッチ由来の有機物、有機糊由来の有機物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[6]上記[1]~[5]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、炭素繊維束(B)は、長さが100mm以上で繊維径が1~45μmの炭素繊維を束に纏めたものであって、1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本であることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[7]上記[1]~[6]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、耐火物本体(A)の内部に、複数本の炭素繊維束(B)が間隔をあけて並列状に配置されていることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[8]上記[1]~[7]のいずれかの黒鉛含有耐火物において、耐火物本体(A)は、黒鉛原料を1~80質量%含有することを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[9]上記[1]~[8]のいずれかの黒鉛含有耐火物を備えることを特徴とする転炉。
[10]上記[1]~[8]のいずれかの黒鉛含有耐火物を備えることを特徴とする溶銑予備処理容器。
[11]上記[1]~[8]のいずれかの黒鉛含有耐火物を備えることを特徴とする取鍋容器。
[12]耐火物本体(A)の内部に炭素繊維束(B)が配置された黒鉛含有耐火物の製造方法であって、
サイジング剤が付着している市販品の炭素繊維束(b)に対して、付着しているサイジング剤のうち、少なくとも炭素繊維束外表面に付着しているサイジング剤の一部または全部を除去する処理を施す事前処理工程(i)と、
該事前処理工程(i)を経た炭素繊維束(b)に対して接着剤を付着させる調製工程(ii)と、
該調製工程(ii)で接着剤を付着させた炭素繊維束(b)を耐火物原料(a)の内部に埋設し、該炭素繊維束(b)が埋設された耐火物原料(a)を成形して耐火物成形体を得る成形工程(iii)と、
該成形工程(iii)で得られた耐火物成形体を乾燥する乾燥工程(iv)を有することを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[13]上記[12]の製造方法において、成形工程(iii)では、炭素繊維束(b)が接着剤を介して耐火物原料(a)に接着されることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[14]上記[12]または[13]の製造方法において、事前処理工程(i)では、炭素繊維束外表面に付着しているサイジング剤の一部または全部と炭素繊維束の束内に付着しているサイジング剤の一部または全部を除去する処理を施すことを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[15]上記[14]の製造方法において、調製工程(ii)では、サイジング剤が付着していない炭素繊維束(b)の束内に接着剤を含ませることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[16]上記[12]~[15]のいずれかの製造方法において、接着剤は、有機樹脂、無機ゾル、タール、ピッチ、有機糊の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[17]上記[12]~[16]のいずれかの製造方法において、炭素繊維束(b)は、長さが100mm以上で繊維径が1~45μmの炭素繊維を束に纏めたものであって、1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本であることを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
[18]上記[12]~[17]のいずれかの製造方法において、成形工程(iii)では、耐火物原料(a)の内部に、複数本の炭素繊維束(b)を間隔をあけて並列状に配置することを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
本発明の黒鉛含有耐火物は、高い破壊エネルギーを有するため、転炉の内張り耐火物のように長期間にわたって昇温と降温が繰り返される条件下で使用しても、熱応力により発生する亀裂の進展が抑制されるため高い耐用性が得られ、特に転炉の羽口煉瓦のように内部の温度勾配が非常に大きい条件で使用される場合でも高い耐用性が得られる。しかも、製造時に亀裂などの欠陥を生じることなく高い製造歩留まりで製造することができるため、製造コストを低く抑えることができる。
また、本発明の製造方法によれば、そのような黒鉛含有耐火物を安定して製造することができる。
本発明の黒鉛含有耐火物を羽口煉瓦に適用した場合の一実施形態において、羽口煉瓦を構成する煉瓦構成部材の1つを模式的に示すものであり、図1(ア)は斜視図、図1(イ)は図1(ア)中の一点鎖線に沿う断面図(耐火物稼働面に平行な断面図) 本発明の黒鉛含有耐火物の製造工程の一例を示すフロー図 実施例における黒鉛含有耐火物の耐溶損性の評価試験方法を示すもので、図3(A)は試験の実施状況を試験炉および筒状サンプルを縦断面した状態で模式的に示す説明図、図3(B)は図3(A)に示される筒状サンプルの平面図、図3(C)は図3(A),(B)に示す筒状サンプルを構成する試験片の1つを示す斜視図 実施例における黒鉛含有耐火物の曲げ強度の測定方法を示すもので、図4(ア)は3点曲げ強度試験の実施状況を模式的に示す説明図、図4(イ)は図4(ア)の試験片の端面を模式的に示す説明図 実施例において、3点曲げ強度試験で得られた荷重-変位曲線から求められる破壊エネルギーの一例を示す図面
本発明の黒鉛含有耐火物は、耐火物本体Aの内部に炭素繊維束Bが配置された黒鉛含有耐火物であって、炭素繊維束Bは、少なくとも外表面の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなること、好ましくは外表面の一部または全部と束内の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなることを特徴とする。
一般に、炭素繊維の素線の繊維径はμmオーダーである。通常、炭素繊維は、繊維素線の損傷を防止し且つ取り扱いを容易にするため、サイジング剤と呼ばれる樹脂を繊維素線に塗布して集束し、固化させた状態(すなわち、繊維素線の束をサイジング剤で固めた状態)で市販されている。ところが、炭素繊維束が市販される段階ではサイジング剤は固化しているため、炭素繊維束の曲げ方向の弾性率(曲げ抵抗力)が大きい。
耐火物本体(耐火物原料)の内部に炭素繊維束が配置(埋設)された黒鉛含有耐火物を製造するにあたっては、例えば、耐火物原料と炭素繊維束を型に充填してプレス成形を行う。耐火物原料の粒度構成は様々であるが、製鉄に用いる耐火物では、耐食性の向上を目的として、骨材と呼ばれる3~30mmの粗大粒が配合されるのが一般的である。本発明者らは、耐火物原料と炭素繊維束を型に充填してプレス成形を行う際に、炭素繊維束が粗大粒と近接する部分においては、粗大粒とそれ以外の微細粒との収縮度の違いによって炭素繊維束が曲げられることに着目し、製造時の欠陥発生との関連性について検討を行った。その結果、上述したように炭素繊維束の曲げ方向の弾性率が大きいことにより、耐火物原料と炭素繊維束を型に充填してプレス成形を行った際に内部応力を生じさせ、これが亀裂などの欠陥の原因になることが判明した。また、成形時に炭素繊維束が曲げられた場合に、固化したサイジング剤と炭素繊維束の素線表面との間の接着が剥離し、その結果、炭素繊維と耐火物原料との間の接着による破壊エネルギーの向上効果が減少することも判った。また、耐火物原料をプレス成形ではなく、流し込み成型を行なう場合でも、流動せず且つ曲げ抵抗力が大きい炭素繊維束は空隙や不均一などの原因になると考えられる。
以上のことから、炭素繊維束に付着しているサイジング剤の少なくとも一部を事前に除去してから、炭素繊維束を耐火物原料の内部に配置して成形することにより、製造時の欠陥を低減できることが判った。これは、炭素繊維束の曲げ方向の弾性率(曲げ抵抗力)が低減することで、例えば、スプリングバックと呼ばれる、プレス成形を行った際に生じた内部応力によって製品に亀裂が生じる現象が軽減するためである。また、サイジング剤を除去することにより、炭素繊維と耐火物との接着性(密着性)が高まり、サイジング剤によって破壊エネルギーの向上効果が阻害されること抑制できることも判った。
後述するように炭素繊維束のサイジング剤を除去するには、炭素繊維束をサイジング剤の溶解液(有機溶剤など)に浸漬するなどの方法が採られるが、炭素繊維束の外表面(少なくとも外表面の一部)のサイジング剤が溶解消失して炭素繊維の素線が一部露出する状態になれば、サイジング剤を除去することによる効果は得られるが、さらに炭素繊維束の束内(束内の少なくとも一部)までサイジング剤が溶解消失して炭素繊維の素線がばらばらに解砕された状態になれば、炭素繊維束の曲げ方向の弾性率も極めて小さくなり、しかも炭素繊維と耐火物原料との接着(密着)がより強固となり望ましい。
このため本発明の黒鉛含有耐火物は、炭素繊維束Bが、少なくとも外表面の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなり、好ましくは外表面の一部または全部と束内の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束で構成されるようにしたものである。
本発明の黒鉛含有耐火物は、例えば、耐火物原料に適量のバインダーを加えて混練し、型に充填してプレス成形して製造される。バインダーは本来、耐火物原料どうしを接着するために加えられるものであるが、耐火物原料の混練物を炭素繊維束とともに型に充填してプレス成形する場合には、耐火物原料と炭素繊維束の間を接着する作用もある。
これに対して、本発明の黒鉛含有耐火物を製造する場合は、炭素繊維束に接着剤成分を付与してから、接着剤成分が粘着性を有する状態で、耐火物原料の混練物とともに型に充填することにより、炭素繊維束と耐火物原料との接着をより強め、耐火物の破壊エネルギーをより高めることができる。この場合、本発明の黒鉛含有耐火物は、炭素繊維束Bが、少なくとも外表面の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなり、好ましくは外表面の一部または全部と束内の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなるため、接着剤成分が炭素繊維束の外表面や束内に直接付着でき、炭素繊維束と耐火物原料との接着をより強め、耐火物の破壊エネルギーをより高めることができる。
したがって、本発明の黒鉛含有耐火物は、炭素繊維束Bが、耐火物本体Aに対して接着剤成分cを介して接着されていることが好ましく、さらには、サイジング剤が付着していない束内に接着剤成分cを含むことが好ましい。
本発明の黒鉛含有耐火物において、炭素繊維束Bが、外表面の一部または全部と束内の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束(特に好ましくは、実質的に外表面および束内の全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束)からなる場合、耐火物本体Aの内部に配置された炭素繊維束Bが、束内に接着成分cを含むことにより束として一体化されるとともに、耐火物本体Aに対して接着剤成分cを介して接着されることで炭素繊維束Bが耐火物と一体化することになる。すなわち、接着剤成分cは、炭素繊維の束の中(炭素繊維どうしの間隙)に存在(浸透)して炭素繊維束Bを束として一体化させ、且つ炭素繊維束Bの外表面を覆って炭素繊維束Bを耐火物本体Aに接着するため、炭素繊維束Bが耐火物と一体化する。これにより、亀裂の発生を抑制できる特に高い破壊エネルギーが得られる。
接着剤成分cは、炭素繊維束Bを耐火物本体Aに接着し、さらには炭素繊維の束の中(炭素繊維どうしの間隙)に存在(浸透)して炭素繊維束Bを束として一体化させるものであるため、使用する接着剤は液体または微細な固体粒子であることが望ましい。また、接着剤成分cは高温下でも分解や蒸発をせずに残存する必要があるが、黒鉛含有耐火物に用いる場合は酸素による燃焼はほとんど起こらないので、酸素存在下での燃焼性に富む樹脂を用いることは可能である。これらの条件から、接着剤成分cは、有機樹脂、無機ゾル由来の無機微粒子、タールまたは/およびピッチ由来の有機物、有機糊由来の有機物の中から選ばれる1種以上(すなわち、これらのいずれか若しくはこれらの混合物)が適している。
したがって、製造時に炭素繊維束に付着させる接着剤(粘着性付与剤)としては、例えば、有機樹脂(溶液)、無機ゾル、ピッチ、タール、有機糊などが挙げられる。具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、アルミナゾル、シリカゾル、ジルコニアゾル、クロミアゾル、チタニアゾル、マグネシアゾル、カルシアゾル、イットリアゾル、ピッチ、タール、でんぷん糊などが挙げられ、これらの中から選ばれる1種以上を用いることができる。
以下、炭素繊維織物Bの構成と埋設条件について説明する。
図1は、本発明の黒鉛含有耐火物の一実施形態(羽口煉瓦を構成する煉瓦構成部材)を模式的に示すもので、図1(ア)は斜視図、図1(イ)は図1(ア)中の一点鎖線に沿う断面図(耐火物稼働面に平行な断面図)であり、xが耐火物の稼動面(yが反稼動面)である。この実施形態の黒鉛含有耐火物では、耐火物本体Aの内部に複数本の炭素繊維束Bが所定の間隔で並列状に配置(埋設)されている。
耐火物本体Aの内部における炭素繊維束Bの配置形態は任意であり、特別な制限はないが、操業時、亀裂発生原因である引張応力は耐火物の長手方向に発生することから、一方向に沿って直線状に配置(埋設)することが好ましく、特に、耐火物の稼動面xと直交する方向に沿って配置(埋設)されることが好ましい。また、複数本の炭素繊維束Bを配置する場合には所定の間隔をあけて並列状に配置(埋設)することが好ましい。
なお、耐火物本体Aの内部に埋設される炭素繊維束Bは、その端部が耐火物本体Aの表面に露出していてもよいし、露出していなくてもよい。また、後者の場合、耐火物の稼動面x側においては、炭素繊維織物Bの端部と稼動面x間の距離はなるべく小さいことが好ましいが、反稼動面y側においては、炭素繊維束Bの端部と反稼動面y間の距離はある程度大きくてもよい。これは、使用終了時にも残存することが想定される耐火物の反稼働面y側の部分には、炭素繊維束Bが埋設されている必要がないからである。
炭素繊維束Bは、長さLが100mm以上で繊維径が1~45μmの炭素繊維を束に纏めたものであって、1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本であることが好ましい。
炭素繊維の長さL(炭素繊維束Bの長さ)が100mm未満の場合には、耐火物本体Aとの間の拘束力が小さくなるため、炭素繊維束Bが亀裂の進展を抑制する効果が小さくなる。また、炭素繊維の繊維径が1μm未満の場合や、1束あたりの炭素繊維の本数が1000本未満の場合には、炭素繊維束Bが細過ぎるため局部的な亀裂の進展を抑制する効果が低下し、破壊エネルギーの上昇が小さくなる。一方、炭素繊維の繊維径が45μm超の場合や、1束あたりの炭素繊維の本数が300000本超の場合には、炭素繊維束Bが太過ぎるため耐火物原料(耐火物本体A)と炭素繊維束Bとの馴染みが悪く、成形時にスプリングバックと呼ばれる炭素繊維束の弾性による欠陥が起こりやすい。
次に、耐火物本体A(耐火物原料)の組成について説明する。
耐火物本体Aは、黒鉛原料を1~80質量%含有することが好ましい。黒鉛原料の含有量を1質量%以上とすることにより、耐火物内部の炭素繊維の酸化消失を抑制することができる。一方、黒鉛原料の含有量を80質量%以下とすることにより、耐火物表面の黒鉛原料の酸化消失を抑制することができる。黒鉛(カーボン原料)としては、一般に鱗状黒鉛などが用いられる。
一般に、精錬工程において使用される転炉の内張り(羽口部を含む)には、マグネシアおよびカーボンを主成分とする耐火物であるマグネシア・カーボン質耐火物(マグネシア原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)が使用される。耐火物本体Aがマグネシア・カーボン質耐火物の場合、耐火物本体Aは、マグネシア原料を20~99質量%含有することが好ましく、これにより熱スポーリングによる割れが抑制され、且つFeOを多く含む転炉スラグの浸食にも耐えられる耐食性を有する耐火物とすることができる。なお、マグネシア原料としては、マグネシア濃度が90質量%以上の高純度のマグネシア原料を用いることが好ましい。
また、一般に、溶銑予備処理工程において使用されるトピードや高炉鍋の内張りにはアルミナ、炭化珪素およびカーボンを主成分とする耐火物であるアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)や、アルミナ、炭化珪素、シリカおよびカーボンを主成分とする耐火物であるアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物(アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)などが使用される。耐火物本体Aがアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物やアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合、アルミナ原料を10~95質量%含有することが好ましく、これにより溶銑予備処理スラグに対する高い耐食性が得られ、且つ熱スポーリングによる亀裂の発生をさらに抑制することができる。なお、アルミナ原料としては、アルミナ濃度が70質量%以上の高純度のアルミナ原料を用いることが好ましい。
さらに、耐火物本体Aがアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物やアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合、炭化珪素原料を1質量%以上含有することが好ましい。炭化珪素原料を1質量%以上含有することにより、大気雰囲気下における黒鉛の酸化を抑制できるので、高耐割れ性を維持できる。なお、炭化珪素原料としては、炭化珪素濃度が80質量%以上の高純度の炭化珪素原料を用いることが好ましい。
また、耐火物本体Aがアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合、シリカ原料を1~50質量%含有することが好ましく、これにより高耐割れ性と高耐溶損性を両立できる。
転炉の内張りに使用するマグネシア・カーボン質耐火物は、装入物による機械的衝撃、溶鋼及び溶融スラグの撹拌による摩耗、溶融スラグによるスラグ浸食および転炉操業中の急激な温度変化など、非常に苛酷な条件下で使用される。このため、安定した操業を行うためにも苛酷な条件に耐える耐用性の高いマグネシア・カーボン質耐火物を使用することが好ましい。同様に、トピードや高炉鍋などの溶銑予備処理容器の内張りに使用するアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物やアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物も非常に苛酷な条件下で使用されることから、これらの条件に耐えられる耐火物を使用することが好ましい。本発明によれば、これら非常に苛酷な条件下で使用される黒鉛含有耐火物の破壊エネルギーが、従来の黒鉛含有耐火物と比較して大幅に向上するため、高い耐用性が得られる。
また、耐火物本体Aがシリカ、炭化珪素およびカーボンを主成分とする耐火物であるシリカ・炭化珪素・カーボン質耐火物の場合、炭化珪素原料を1質量%以上、シリカ原料を1~50質量%含有することが好ましく、これにより高耐割れ性と高耐溶損性を両立できる。炭化珪素原料を1質量%以上含有することにより、大気雰囲気下における黒鉛の酸化を抑制できるので、高耐割れ性を維持できる。なお、炭化珪素原料としては、炭化珪素濃度が80質量%以上の高純度の炭化珪素原料を用いることが好ましい。
ここで、アルミナ原料としては、例えば、バン土頁岩、ホワイトアルミナ、ブラウンアルミナなどの1種以上が用いられる。また、炭化珪素原料としては、例えば、緑色炭化ケイ素、黒色炭化ケイ素などの1種以上が用いられる。また、シリカ原料としては、例えば、ろう石、ムライトなどの1種以上が用いられる。
黒鉛含有耐火物は、製鉄容器からの放熱量を抑制しながら、耐用性を高くすることを目的として、さらに金属粉末原料を含有(配合)することができる。金属粉末原料としては、例えば、金属Si、金属Al、金属Al-Si、AlSiC、BCなどが挙げられ、これらの1種以上を含有させることができる。金属粉末原料の含有量は特に規定しないが、通常、1~5質量%程度が好ましい。金属粉末原料の含有量(配合量)が1質量%未満では、金属粉末原料を配合することによる耐用性の向上効果が十分に得られず、一方、5質量%を超えると、強度が高くなりすぎるため、実機で使用した際に亀裂が発生し易くなって煉瓦が割れ易くなり、実機での使用回数が低下するおそれがある。
耐火物本体Aは、骨材原料として使用済み耐火物を粉砕した耐火物屑を10~90質量%程度含有することができる。特に、耐火物本体Aがアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(さらにシリカ原料を含有するアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合を含む。以下同様)の場合には、使用済みのアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物(さらにシリカ原料を含有するアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物の場合を含む。以下同様)を粉砕して得られた耐火物屑を骨材原料として好適に用いることができる。
このように耐火物屑を含有する場合、耐火物原料の残部は未使用の原料(バージン原料)である。
アルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物からなる耐火物本体Aにおいて、使用済みのアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物を粉砕して得られた耐火物屑の含有量を10~90質量%とした場合、バージン原料のみを使用した黒鉛含有耐火物と同程度の耐割れ性および耐溶損性が得られる。その理由は、耐火物屑原料はバージン原料と比較して純度が低いが、耐火物屑原料とバージン原料を併用することにより、耐火物屑原料中のAl成分が有する耐溶損性の大幅な低下を抑制できることが挙げられる。ただし、耐火物屑の含有量を90質量%超とした場合には、バージン原料の含有量が少な過ぎるため、耐火物屑原料中のAl成分が有する耐食性の大幅な低下を抑制できない。また、耐火物屑の含有量を10質量%未満とした場合、耐火物屑の再利用率が低過ぎるため、産業廃棄物としての耐火物屑処理費用が大幅に上がる。
本発明の黒鉛含有耐火物は、転炉、溶銑予備処理容器、取鍋容器などの各種製鉄容器に適用することができる。
転炉は、上述したように熱変動が繰り返される過酷な条件で使用されるため、本発明の効果が大きく、このため本発明の黒鉛含有耐火物は転炉用として好適である。なかでも転炉の羽口煉瓦は、特に熱変動が大きく熱膨張による割れが起こりやすいので、本発明の効果がとりわけ大きく、特に好適であると言える。
また、溶銑予備処理容器が収容する溶銑は炭素を2質量%以上含んでおり、本発明の黒鉛含有耐火物を溶銑予備処理容器に適用した場合、耐火物を構成する黒鉛や炭素繊維の溶損が少ないので、溶銑予備処理容器用としても好適である。
さらに、取鍋容器は、比較的短時間で溶融鉄を受けて払い出すことの繰り返しにより熱変動が繰り返される過酷な条件で使用されるため、本発明の効果が大きく、このため本発明の黒鉛含有耐火物は取鍋容器用としても好適である。
次に、本発明の黒鉛含有耐火物の製造方法について説明する。
図2は、本発明の黒鉛含有耐火物の製造工程の一例を示している。この製造工程では、サイジング剤が付着している市販品の炭素繊維束bからサイジング剤を除去する処理を施す事前処理工程(i)と、この事前処理工程(i)を経た炭素繊維束bに対して接着剤を付着させる調製工程(ii)と、この調製工程(ii)で接着剤を付着させた炭素繊維束bを耐火物原料aの内部に埋設し、この炭素繊維束bが埋設された耐火物原料aを成形して耐火物成形体を得る成形工程(iii)と、この成形工程(iii)で得られた耐火物成形体を乾燥させる乾燥工程(iv)などを有する。
サイジング剤には、エポキシ樹脂などの樹脂が用いられることが多く、事前処理工程(i)で炭素繊維束bのサイジング剤を除去するには、非酸化雰囲気中での焼成除去、溶解液に浸漬し若しくは溶解液で洗浄することによる溶解除去、などが考えられる。後者の場合、溶解液としては酸やアルカリ、有機溶剤などを用いることができるが、有機溶剤による溶解は大規模な設備を必要とせず、除去率と除去速度にも優れるので望ましい。また、有機溶剤としては、アセトンが価格、除去率、除去速度の観点から好適である。
有機溶剤などの溶解液に浸漬するなどして炭素繊維束bのサイジング剤を除去する場合、炭素繊維束bの外表面のサイジング剤が溶解消失して炭素繊維の素線が一部露出する状態になれば、少なくとも外表面の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束Bが耐火物本体Aの内部に配置されることになるので、本発明の効果が得られるが、炭素繊維束bの内部までサイジング剤が溶解消失して炭素繊維の素線がばらばらに解砕された状態になれば、外表面の一部または全部と束内の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束Bが耐火物本体Aの内部に配置されることになるので、炭素繊維Bと耐火物本体Aとの接着がより強固となり望ましい。したがって、事前処理工程(i)では、サイジング剤が付着している市販品の炭素繊維束bに対して、付着しているサイジング剤のうち、少なくとも炭素繊維束外表面に付着しているサイジング剤の一部または全部を除去する処理を施し、好ましくは、炭素繊維束外表面に付着しているサイジング剤の一部または全部と炭素繊維束の束内に付着しているサイジング剤の一部または全部を除去する処理を施す。
調製工程(ii)では、炭素繊維束に対して接着剤を付着させる。この際、炭素繊維束bと耐火物原料aを接着して一体化させるために、接着剤を炭素繊維束の外表面を覆うように付着させるが、さらに好ましくは、炭素繊維束bを束として一体化させるために、接着剤を炭素繊維の束の中(炭素繊維どうしの間隙)に浸透(含浸)させる。
調製工程(ii)において、接着剤を炭素繊維束の外表面を覆うように付着させるとともに、接着剤を炭素繊維の束の中(炭素繊維どうしの間隙)に浸透(含浸)させる場合、例えば、接着剤である樹脂(樹脂溶液)やゾルなどに炭素繊維束bを浸漬したり、接着剤である樹脂(樹脂溶液)やゾルなどを炭素繊維束bに散布する。
接着剤(溶液)の溶媒としては、水溶媒、有機物溶媒(有機溶媒)、有機物-水の混合溶媒のいずれを用いてもよいが、曲げ強度と破壊エネルギーの向上効果と製造歩留まりを高めるという観点からは、特に有機物-水の混合溶媒が好ましい。溶媒として水溶媒を用いた場合、耐火物成形体を乾燥する際に、有機物-水の混合溶媒を用いた場合と比較して、耐火物成形体内部から抜ける揮発量が多く、気孔などの欠陥も多く形成されるため、亀裂が発生し易い。また、接着剤溶液の溶媒として有機溶媒を用いた場合、有機物-水の混合溶媒を用いた場合と比較して、炭素繊維束と接着剤の絡みが悪く、粘着性が炭素繊維束に均一に付与されないおそれがある。これらの結果、水溶媒や有機物溶媒を用いた場合には、有機物-水の混合溶媒を用いた場合に較べて、曲げ強度と破壊エネルギーの向上効果と製造歩留まりが若干低くなる。
有機物溶媒や有機物-水の混合溶媒に用いる有機物としては、例えば、エチレングリコールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。
成形工程(iii)では、調製工程(ii)で接着剤を付着させた炭素繊維織束b(好ましくは接着剤を束の内部に浸透(含浸)させ且つ外表面にも付着させた炭素繊維束b)を、接着剤が粘着性を有するうちに耐火物原料aの内部に埋設し、この炭素繊維織束bが埋設された耐火物原料aを成形して耐火物成形体(耐火物原料の成型品)を得るが、図2に示すように成形をプレス成形で行う場合には、通常、耐火物原料に適量のバインダーを加えて混練し、その混練物に対して炭素繊維束bを埋設し、次いで、プレス成形を行う。バインダーとしては、例えば、フェノールレジン(主剤)+ヘキサミン(硬化剤)、カーボンボンド、セラミックボンドなどが用いられる。
ここで、炭素繊維束bに付着した接着剤は、炭素繊維束bを混練物に埋設する際にある程度硬化が進んだ状態であっても、上述したように炭素繊維束bと耐火物原料a(混練物)を接着できるような粘着性を有する状態(いわゆる生乾きの状態)であればよい。
耐火物原料aの混練物を、炭素繊維束bとともに型に充填する方法としては、例えば、一定量の混練物を型に装入した後に複数本の炭素繊維束bを並列状に配置(装入)し、さらに一定量の混練物を型に装入する方法がある。したがって、この方法で図1のように複数本の炭素繊維束Bが耐火物本体Aの内部に埋設された黒鉛含有耐火物を製造するには、型に一定量の混練物を装入した後、その上に並列した複数本の炭素繊維束を配置する工程と、その上に一定量の混練物を装入する工程を繰り返し行う。
プレス成形は、金型内で一方向に圧縮する一般的な金型プレス成形を行うことができるが、液体を用いて全方向から均等に圧力を加えるCIP成形を行ってもよい。部位によって厚さが異なる形状など、一方向の圧縮では均等な圧力を加えることが難しい形状に対しては、CIP成形を用いることによって部位による圧縮度の偏りが軽減されるので望ましい。
また、成形工程(iii)は、プレス成形以外の成形法で行ってもよい。プレス成形以外の成形法としては、例えば、流し込みによる成形があり、その1つに、鍋やタンディッシュなどの稼働面である施工部位に内枠を設置し、この内枠に不定形耐火物(耐火物原料)を流し込み、乾燥(乾燥工程)・固化させた後に内枠を除去する方法がある。また、施工部位に流し込むのではなく、耐火物形状の型枠内に不定形耐火物(耐火物原料)を流し込み、乾燥(乾燥工程)・固化させた後に型枠から取り出した耐火物を、施工部位まで運搬して施工する方法もあり、この方法は施工部位への耐火物施工の手間はかかるものの、型枠内に不定形耐火物を流し込む際の炭素繊維束の埋設や固化時の温度管理が容易であるので望ましい。これらの流し込みによる成形法では、上述した内枠や型枠内に炭素繊維束を配置した上で、内枠や型枠内に不定形耐火物(耐火物原料)を流し込み、乾燥(乾燥工程)・固化させる。
以上のようにして得られた耐火物成形体(成型品)を乾燥工程(iv)において乾燥させる。この乾燥は耐火物成形体の乾燥(キュアリング)を目的として、通常、200~230℃程度で行われる。また、乾燥(キュアリング)後、さらに還元焼成(コーキング処理)を施して製品煉瓦(焼成煉瓦)としてもよい。
また、上述したような流し込みによる成形で得られる耐火物成形体については、施工部位に設置された内枠や他の場所に設置された型枠に保持された耐火物成形体を加熱バーナなどの加熱手段で加熱することにより、乾燥・固化させる。その後、内枠の除去や型枠からの取り出しが行われる。
以上により、耐火物本体Aの内部に炭素繊維束Bが配置された黒鉛含有耐火物であって、炭素繊維束Bは、少なくとも外表面の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなり、好ましくは外表面の一部または全部と束内の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなり、且つ耐火物本体Aに対して接着剤成分cを介して接着された本発明の黒鉛含有耐火物が得られる。上述したように、本発明の黒鉛含有耐火物は製造時に亀裂などの欠陥を生じにくいため、高い製造歩留まりで製造することができる。
転炉に使用するマグネシア・カーボン質耐火物(マグネシア原料を骨材とした黒鉛含有耐火物)について、マグネシア・カーボン質原料の配合を検討するため、表1に示すような原料配合でマグネシア原料を骨材とした耐火物成形品、すなわち、炭素繊維束を埋設しない黒鉛含有耐火物を製作した。耐火物原料を混練・成形するにあたり、バインダーとして、耐火物原料に対する外掛けでフェノールレジンを3質量%、ヘキサミンを0.3質量%配合した。製作した黒鉛含有耐火物について、耐溶損性と耐割れ性をそれぞれ以下の方法で評価した。その結果を表1に併せて示す。
耐溶損性については、図3(試験方法)に示すとおり、高周波誘導炉を用いた内張り分け法で溶損量を測定し、その溶損量に基づき評価した。内張り分け法による試験では、試験温度を1650℃、温度保持時間を4時間として表2に示す組成の合成スラグを1時間毎に投入し、冷却後に稼働面の溶損量を測定した。そして、その溶損量から表1中の配合例1-4の溶損量を100とした溶損指数を求めた。なお、図3(A)は試験の実施状況を試験炉および筒状サンプルを縦断面した状態で模式的に示す説明図、図3(B)は図3(A)に示される筒状サンプルの平面図、図3(C)は図3(A),(B)に示す筒状サンプルを構成する試験片の1つを示す斜視図である。
耐割れ性については、40×40×200mmの試料の長手方向の動弾性率EをJIS R1605に示された超音波パルス法に従って測定した後、1500℃×10分間の加熱、5分間の水冷、10分間の大気冷却を1サイクルとした工程を3回繰り返し、この3回の工程の終了後に再び上記方法で動弾性率Eを測定し、試験前後での動弾性率の変化率E/Eを指標として評価した。
表1の配合例1-2~配合例1-8に示す通り、黒鉛含有量を1~80質量%、マグネシア原料の含有量を20~99質量%とした場合、耐溶損性と耐割れ性は殆ど一定であったが、配合例1-1に示す通り、黒鉛含有量を1質量%未満とした場合には耐割れ性が大幅に低下している。また、配合例1-9に示す通り、マグネシア原料の含有量を20質量%未満とした場合には耐溶損性が大幅に低下している。これらのことから、黒鉛含有耐火物の耐割れ性を確保するためには黒鉛含有量は1質量%以上とする必要があり、また、マグネシア・カーボン質原料の配合において、耐溶損性と耐割れ性を両立させるためには、黒鉛含有量を1~80質量%、マグネシア原料の含有量を20~99質量%とするのが好ましいことが判る。
図1に示すように耐火物本体Aの内部に長手方向に沿って複数本の炭素繊維束Bを並列状に等間隔で配置(埋設)し、サイズが長手方向1000mm、短手方向300mm、高さ90mmの黒鉛含有耐火物(煉瓦)を製造した。この黒鉛含有耐火物について、曲げ強度、破壊エネルギーを、それぞれ以下の方法で評価した。
曲げ強度については、40×40×160mmサイズに切出した試験片を用い、図4(試験方法)に示すとおり、中心間距離を100mm、荷重印加速度を0.5mm/minとし、JIS R2213に記載された3点曲げ試験方法に準拠して測定した。なお、図4(ア)は3点曲げ強度試験の実施状況を模式的に示す説明図、図4(イ)は図4(ア)の試験片の端面を模式的に示す説明図である。
破壊エネルギーについては、図5に示すとおり、3点曲げ強度試験で得られた荷重-変位曲線において第1ピーク値を示した位置を基準とし、基準位置から変位1mmの範囲の面積とした。
表3~表7に、発明例および比較例の黒鉛含有耐火物(耐火物本体Aの内部に炭素繊維織束Bが埋設された黒鉛含有耐火物)の構成と特性(曲げ強度、破壊エネルギー)を示す。また、表6および表7には、黒鉛含有耐火物の製造歩留まりも併せて示す。
表3の実施例は、耐火物本体Aの内部に埋設される炭素繊維束Bについて、その炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の長さLが黒鉛含有耐火物の曲げ強度および破壊エネルギーに及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、図2の製造フローにしたがい、黒鉛含有耐火物(煉瓦)を製造した。耐火物原料を混練・成形するにあたり、バインダーとして、耐火物原料に対する外掛けでフェノールレジンを3質量%、ヘキサミンを0.3質量%配合した。
繊維径7μmの炭素繊維を60000本束ねた炭素繊維束を90mm、100mm、200mm、400mm、600mm、800mm、1000mmの7水準の長さに切り出し、これらの炭素繊維束をアセトンに浸漬させてサイジング剤を除去した後、炭素繊維束と耐火物原料の接着性(密着性)ならびに炭素繊維束を構成する炭素繊維間の接着性(密着性)を向上させるため、炭素繊維束を有機物(エチレングリコール)と水の混合物を溶媒としたフェノール樹脂(接着剤)溶液に浸漬して粘着性を付与し、この粘着性を付与した状態の炭素繊維束とマグネシア・カーボン質原料を以下の方法でプレス成形用の金型に充鎮した。
金型容積に対して10質量%(金型容積を満タンに充填させられる原料の量を100質量%としたときの原料の量。以下同様)のマグネシア・カーボン質原料を金型の底部に敷き詰めた後、粘着性を付与した複数本の炭素繊維束を短手方向に5mm間隔で並べながら長手方向に配置した。次いで、金型容積に対して15質量%のマグネシア・カーボン質原料を金型に装入し、さらに粘着性を付与した炭素繊維束を再び同様に配置した後、金型容積に対して15質量%のマグネシア・カーボン質原料を装入した。上記の通り、マグネシア・カーボン質原料を装入した後、粘着性を付与した炭素繊維束を短手方向に5mm間隔で並べながら長手方向に配置する作業を繰り返し、マグネシア・カーボン質原料と炭素繊維束を金型に充鎮した。充鎮完了後、プレス成形を行って耐火物成形体とし、これを乾燥して製品(炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんが)とした。
発明例1-1~発明例1-6が示す通り、繊維長が100mm以上の炭素繊維束を埋設した炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度と破壊エネルギーは著しく高かった。一方、発明例1-0が示す通り、繊維長が100mm未満の炭素繊維束を埋設した炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度と破壊エネルギーは、上記発明例に較べて低かった。要因として、繊維長が短かったため、高い亀裂進展抑制効果を発揮できなかったことが挙げられる。これらのことから、高い亀裂進展抑制効果を発揮し、曲げ強度と破壊エネルギーを十分に高くするためには、炭素繊維長を100mm以上にすることが好ましいことが分かった。
表4の実施例は、耐火物本体Aの内部に埋設される炭素繊維束Bについて、その炭素繊維束Bを構成する炭素繊維の繊維径が黒鉛含有耐火物の曲げ強度および破壊エネルギーに及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、繊維径を1μm、7μm、23μm、45μm、50μmの5水準とし、繊維長600mmの炭素繊維を60000本束ねて炭素繊維束とし、表3の実施例と同様の方法で炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがを製造した。
発明例1-4、発明例2-1~発明例2-3が示す通り、繊維径が1~45μmの炭素繊維を60000本束ねた炭素繊維束を埋設した炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがは曲げ強度と破壊エネルギーが高かった。一方、発明例2-4が示す通り、繊維径が50μmの炭素繊維を60000本束ねた炭素繊維束を埋設した炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度と破壊エネルギーは、上記発明例に較べて低かった。要因として、炭素繊維束が太過ぎたため、炭素繊維束とマグネシア・カーボン質原料の絡みが悪く、成形する際にスプリングバックが発生し易いことが挙げられる。これらのことから、高い亀裂進展抑制効果を発揮し、曲げ強度と破壊エネルギーを十分に高くするためには、炭素繊維の径を1~45μmとすることが好ましいことが分かった。
表5の実施例は、耐火物本体Aの内部に埋設される炭素繊維束Bについて、その炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維本数が黒鉛含有耐火物の曲げ強度および破壊エネルギーに及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維本数を900本、1000本、30000本、60000本、120000本、240000本、300000本、350000本の8水準とし、繊維長600mm、繊維径7μmの炭素繊維を束ねて炭素繊維束とし、表3の実施例と同様の方法で炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがを製造した。
発明例1-4、発明例3-1~発明例3-5が示す通り、炭素繊維を1000本~300000本束ねた炭素繊維束を埋設した炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの破壊エネルギーは高かった。一方、発明例3-0が示す通り、炭素繊維を900本束ねた炭素繊維束を埋設した炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度と破壊エネルギーは、上記発明例に較べて低かった。要因として、炭素繊維束の1束あたりの炭素繊維本数が少なかったため、高い亀裂進展抑制効果を発揮できなかったことが挙げられる。また、発明例3-6が示す通り、炭素繊維を350000本束ねた炭素繊維束を埋設した炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがの曲げ強度と破壊エネルギーも、上記発明例に較べて低かった。要因として、炭素繊維束が太過ぎたため、炭素繊維束とマグネシア・カーボン質原料の絡みが悪く、成形する際にスプリングバックが発生し易いことが挙げられる。これらのことから、高い亀裂進展抑制効果を発揮し、曲げ強度と破壊エネルギーを十分に高くするためには、炭素繊維束Bの1束あたりの炭素繊維本数を1000本~300000本にすることが好ましいことが分かった。
表6の実施例は、耐火物本体Aの内部に埋設される炭素繊維束Bについて、サイジング剤の除去の効果が、黒鉛含有耐火物の曲げ強度および破壊エネルギーと製造歩留まりに及ぼす影響を調べたものである。
発明例1-4の炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがに対して、サイジング剤を除去していない炭素繊維束を用いた点を除き同じ製造条件の比較例4-1の炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがを製造し、破壊エネルギーを測定した。また、発明例1-4と比較例4-1の炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがをそれぞれ10個ずつ製造し、製造歩留まりを比較した。
発明例1-4の炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがは、破壊エネルギーが高く、製造歩留まりは100%であった。一方、サイジング剤を除去していない炭素繊維束を用いた比較例4-1の炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがは、破壊エネルギーは低く、製造歩留まりは40%と大幅に低下した。破壊エネルギーが低い要因として、炭素繊維束のサイジング剤を除去していないため、接着剤がサイジング剤を介して炭素繊維束の表面に付着するだけであるため、炭素繊維束と耐火物との接着性(密着性)が低く且つ炭素繊維束を形成する炭素繊維間の接着性(密着性)も低いことに加え、成形時に炭素繊維束が曲げられた際に、サイジング剤と炭素繊維束の素線表面との間の接着が剥離することにより、炭素繊維と耐火物原料が適切に接着して一体化することによる破壊エネルギーの向上効果が減少するためである。また、製造歩留まりが低い要因として、サイジング剤を除去していない炭素繊維束は曲げ方向の弾性率が大きいため、耐火物原料と炭素繊維束を型に充填してプレス成形した際に内部応力を生じさせ、これが亀裂などの欠陥の原因になったためである。これらのことから、事前にサイジング剤を除去した炭素繊維束を耐火物本体の内部に配置すれば、破壊エネルギーを高められ、且つ製造歩留まりを高く維持できることが分かった。
表7の実施例は、炭素繊維束を浸漬して粘着性を付与するための接着剤の溶媒の種類が曲げ強度および破壊エネルギーと製造歩留まりに及ぼす影響を調べたものである。
この実施例では、接着剤としてフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルミナゾル、シリカゾルを用いるとともに、それぞれについて溶媒を有機物(エチレングリコール)-水の混合溶媒、水溶媒、有機物溶媒(メタノール)とした溶液に、事前にアセトン浸漬によりサイジング剤を除去した炭素繊維束を浸漬して粘着性を付与した。繊維長600mm、繊維径7μmの炭素繊維を60000本束ねて炭素繊維束とし、表3の実施例と同様の方法で炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがを製造した。
発明例1-4、発明例5-3、発明例5-6、発明例5-9に示す通り、接着剤溶液の溶媒として有機物-水の混合溶媒を用いた場合、曲げ強度と破壊エネルギーは高く、製造歩留まりは100%であった。一方、発明例5-1、発明例5-2、発明例5-4、発明例5-5、発明例5-7、発明例5-8、発明例5-10、発明例5-11に示す通り、接着剤溶液の溶媒として水溶媒または有機物溶媒を用いた場合、曲げ強度と破壊エネルギーは若干低くなり、製造歩留まりも僅かに低下した。要因として、接着剤溶液の溶媒として水溶媒を用いた場合、れんがを乾燥する際に、接着剤溶液の溶媒として有機物-水の混合溶媒を用いた場合と比較して、れんが内部から抜ける揮発量が多く、気孔などの欠陥も多く形成されるため、亀裂が発生し易いことが挙げられる。また、接着剤溶液の溶媒として有機物溶媒を用いた場合、有機物-水の混合溶媒を用いた場合と比較して、炭素繊維束と接着剤の絡みが悪く、粘着性が炭素繊維束に均一に付与されないことが挙げられる。これらのことから、炭素繊維束に接着剤で粘着性を付与する場合、接着剤溶液の溶媒として有機物-水の混合溶媒を用いると、特に破壊エネルギーが高められ、且つ製造歩留まりを高く維持できることが分かった。
次に、耐火物れんがを製鉄容器に適用し、損耗速度を調べた結果を示す。表8の実施例は、発明例1-4、発明例5-3、発明例5-6、発明例5-9の炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがを転炉の羽口に施工して損耗速度を評価したものである。損耗速度は、初期厚みD(mm)と残厚D(mm)の差=D-D(mm)を損耗量とし、この損耗量(mm)を使用回数(ch)で割った値(mm/ch)である。表8によれば、本発明のれんが(黒鉛含有耐火物)の損耗速度は、従来れんが(炭素繊維を埋設していない黒鉛含有耐火物)と比較して50%以上低減できた。
また、表9の実施例は、発明例1-4、発明例5-3、発明例5-6、発明例5-9の炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがを取鍋のスラグラインの側壁部に施工して、同様に損耗速度を評価したものである。損耗速度は、上記と同様である。表9によれば、本発明のれんが(黒鉛含有耐火物)の損耗速度は、従来れんが(炭素繊維を埋設していない黒鉛含有耐火物)と比較して50%以上低減できた。これらのことから、本発明の炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがを転炉の羽口や取鍋の側壁部に適用することにより、実機損耗速度を大幅に低減できることが分かった。
表10の実施例は、溶銑予備処理容器の内張りに使用するアルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材としたアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物(黒鉛含有耐火物)を高炉鍋の側壁に施工に施工して損耗速度を評価したものである。すなわち、アルミナ原料、炭化珪素原料、シリカ原料を骨材とした以外は、発明例1-4、発明例5-3、発明例5-6、発明例5-9の炭素繊維含有マグネシア・カーボン質れんがと同じ製造条件でアルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質耐火物を製造し、これを高炉鍋の側壁に施工し損耗速度を評価した。
表10によれば、本発明のれんが(黒鉛含有耐火物)の損耗速度は、従来れんが(炭素繊維を埋設していない黒鉛含有耐火物)と比較して20~30%程度低減できた。これらのことから、本発明の炭素繊維含有アルミナ・炭化珪素・シリカ・カーボン質れんがを溶銑予備処理容器の内張りに適用することにより、実機損耗速度を大幅に低減できることが分かった。
Figure 2023089721000002
Figure 2023089721000003
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Figure 2023089721000009
Figure 2023089721000010
Figure 2023089721000011
Figure 2023089721000012
A 耐火物本体
B 炭素繊維束
c 接着剤成分
x 稼動面
y 反稼動面

Claims (18)

  1. 耐火物本体(A)の内部に炭素繊維束(B)が配置された黒鉛含有耐火物であって、
    炭素繊維束(B)は、少なくとも外表面の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
  2. 炭素繊維束(B)は、外表面の一部または全部と束内の一部または全部にサイジング剤が付着していない炭素繊維束からなることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛含有耐火物。
  3. 炭素繊維束(B)は、耐火物本体(A)に対して接着剤成分(c)を介して接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の黒鉛含有耐火物。
  4. 炭素繊維束(B)は、サイジング剤が付着していない束内に接着剤成分(c)を含むことを特徴とする請求項3に記載の黒鉛含有耐火物。
  5. 接着剤成分(c)は、有機樹脂、無機ゾル由来の無機微粒子、タールまたは/およびピッチ由来の有機物、有機糊由来の有機物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項3または4に記載の黒鉛含有耐火物。
  6. 炭素繊維束(B)は、長さが100mm以上で繊維径が1~45μmの炭素繊維を束に纏めたものであって、1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  7. 耐火物本体(A)の内部に、複数本の炭素繊維束(B)が間隔をあけて並列状に配置されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  8. 耐火物本体(A)は、黒鉛原料を1~80質量%含有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物を備えることを特徴とする転炉。
  10. 請求項1~8のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物を備えることを特徴とする溶銑予備処理容器。
  11. 請求項1~8のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物を備えることを特徴とする取鍋容器。
  12. 耐火物本体(A)の内部に炭素繊維束(B)が配置された黒鉛含有耐火物の製造方法であって、
    サイジング剤が付着している市販品の炭素繊維束(b)に対して、付着しているサイジング剤のうち、少なくとも炭素繊維束外表面に付着しているサイジング剤の一部または全部を除去する処理を施す事前処理工程(i)と、
    該事前処理工程(i)を経た炭素繊維束(b)に対して接着剤を付着させる調製工程(ii)と、
    該調製工程(ii)で接着剤を付着させた炭素繊維束(b)を耐火物原料(a)の内部に埋設し、該炭素繊維束(b)が埋設された耐火物原料(a)を成形して耐火物成形体を得る成形工程(iii)と、
    該成形工程(iii)で得られた耐火物成形体を乾燥する乾燥工程(iv)を有することを特徴とする黒鉛含有耐火物の製造方法。
  13. 成形工程(iii)では、炭素繊維束(b)が接着剤を介して耐火物原料(a)に接着されることを特徴とする請求項12に記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  14. 事前処理工程(i)では、炭素繊維束外表面に付着しているサイジング剤の一部または全部と炭素繊維束の束内に付着しているサイジング剤の一部または全部を除去する処理を施すことを特徴とする請求項12または13に記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  15. 調製工程(ii)では、サイジング剤が付着していない炭素繊維束(b)の束内に接着剤を含ませることを特徴とする請求項14に記載の黒鉛含有耐火物。
  16. 接着剤は、有機樹脂、無機ゾル、タール、ピッチ、有機糊の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項12~15のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  17. 炭素繊維束(b)は、長さが100mm以上で繊維径が1~45μmの炭素繊維を束に纏めたものであって、1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本であることを特徴とする請求項12~16のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。
  18. 成形工程(iii)では、耐火物原料(a)の内部に、複数本の炭素繊維束(b)を間隔をあけて並列状に配置することを特徴とする請求項12~17のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物の製造方法。

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