JP2023128034A - 伸縮フィルム - Google Patents

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Kazuyoshi Sasahara
恵一 森
Keiichi Mori
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Abstract

【課題】製造コストを抑制することができるとともに、優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルムを提供することを目的とする。【解決手段】伸縮フィルムは、熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂と無機充填剤とを含有し、王研式透気度試験機により測定した透気度が500s/100cc以上10000s/100cc以下であり、少なくとも1方向における永久歪みが30%以下であり、伸縮フィルムの機械軸方向に沿って延びる、表面が破壊されている帯状の第1の領域の平均伸長倍率が1.8倍以上3.0倍以下であり、第1の領域に隣接し、第1の領域よりも伸長しにくい、機械軸方向に沿って延びる帯状の第2の領域の平均伸長倍率が1.0倍以上1.8倍以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、伸縮フィルムに関する。
伸縮フィルムは、衛生用品、スポーツ用品、医療用品等の広い分野において、取扱い性、着用感(フィット感)等を改善するために使用されている。例えば、下着等の衣服、紙おむつのウエストバンド、サイドパネル、レッグギャザー、失禁用品、生理用ナプキン、包帯、外科的ドレープ、締め付け用バンド、帽子、水泳パンツ、スポーツ用サポーター、医療品サポーター、及び絆創膏等に用いられている。
この伸縮フィルムとしては、例えば、プロピレン系エラストマーを含むポリマー成分と充填剤を含み、未延伸フィルムの延伸処理を行うことにより製造された伸縮フィルムが提案されている。そして、このような構成により、優れた伸縮性および優れた通気性を有する伸縮フィルムを提供することができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-204625号公報
しかし、上記特許文献1に記載の伸縮フィルムにおいては、通気性を確保するために、実使用温度よりも高温(例えば、60℃)で延伸処理を行っているため、エラストマーの戻りが抑制されて開孔状態が維持され、伸縮性に乏しくなるという問題があった。
また、上記特許文献1における延伸処理は、伸縮フィルムの機械軸(長手)方向(以下、「MD」とも言う。)に延伸を行うため、押出成形により得られた原反フィルムを使用した場合、フィルムが多少なりともMDに配向しており、十分な通気性が発現するまで延伸することができない。そのため、機械軸方向に直交する方向(以下、「TD」とも言う。)に横延伸を行う必要があるが、一般的に用いられるテンター法やインフレーション成形による横延伸では、装置が大型化してしまい、特に、使い捨ておむつなどのディスポーザブル製品において、製造コストが増大するという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、製造コストを抑制することができるとともに、優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の伸縮フィルムは、熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂と無機充填剤とを含有する伸縮フィルムであって、王研式透気度試験機により測定した透気度が500s/100cc以上10000s/100cc以下であり、少なくとも1方向における下記永久歪みが30%以下であり、伸縮フィルムの機械軸方向に沿って延びる、表面が破壊されている帯状の第1の領域と、第1の領域に隣接し、第1の領域よりも伸長しにくい、機械軸方向に沿って延びる帯状の第2の領域とを交互に有し、第1の領域の下記平均伸長倍率が1.8倍以上3.0倍以下であり、第2の領域の下記平均伸長倍率が1.0倍以上1.8倍以下であることを特徴とする。
(伸縮フィルムの永久歪み)
伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を試験機のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定し、試験片の長手方向に速度254mm/分の条件で、下記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させて、下記式(2)から永久歪み[%]を算出する。
伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (1)
永久歪み[%]=(L2-L0)/L0×100 (2)
ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、L2は、収縮させる際に試験片の荷重(N/25mm)が0になる時のつかみ具間距離(mm)である。
(平均伸長倍率)
伸縮フィルムから第1の領域および第2の領域の機械軸方向に50mm、機械軸方向に直交する方向に100mmの短冊状試験片を切り取る。試験片を試験装置のつかみ具につかみ具間距離が30mmとなるように固定する。試験片を第1の領域および第2の領域の機械軸方向に直交する方向に速度100mm/分で下記式(3)で算出される伸びが100%となるように伸長する。伸長倍率(倍)を下記式(4)から算出する。第1の領域および第2の領域ともに無作為に選択した5箇所の伸長倍率を算出し、平均値を求める。
伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (3)
伸長倍率[倍]=R1/R0 (4)
ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、R0は、伸長する前の第1の領域または第2の領域の機械軸方向に直交する方向の長さ(μm)であり、R1は、伸長した後の第1の領域または第2の領域の機械軸方向に直交する方向の長さ(μm)である(ただし、R0およびR1は、同じ領域の同じ箇所で測定する)。
また、本発明の他の伸縮フィルムは、熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂と無機充填剤とを含有するエラストマー層と、エラストマー層の少なくとも一方の面に積層された表面層とを備える伸縮フィルムであって、王研式透気度試験機により測定した透気度が500s/100cc以上10000s/100cc以下であり、少なくとも1方向における下記永久歪みが30%以下であり、伸縮フィルムの機械軸方向に沿って延びる、表面が破壊されている帯状の第1の領域と、第1の領域に隣接し、第1の領域よりも伸長しにくい、機械軸方向に沿って延びる帯状の第2の領域とを交互に有し、第1の領域の下記平均伸長倍率が1.8倍以上3.0倍以下であり、第2の領域の下記平均伸長倍率が1.0倍以上1.8倍以下であることを特徴とする。
(伸縮フィルムの永久歪み)
伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を試験機のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定し、試験片の長手方向に速度254mm/分の条件で、下記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させて、下記式(2)から永久歪み[%]を算出する。
伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (1)
永久歪み[%]=(L2-L0)/L0×100 (2)
ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、L2は、収縮させる際に試験片の荷重(N/25mm)が0になる時のつかみ具間距離(mm)である。
(平均伸長倍率)
伸縮フィルムから第1の領域および第2の領域の機械軸方向に50mm、機械軸方向に直交する方向に100mmの短冊状試験片を切り取る。試験片を試験装置のつかみ具につかみ具間距離が30mmとなるように固定する。試験片を第1の領域および第2の領域の機械軸方向に直交する方向に速度100mm/分で下記式(3)で算出される伸びが100%となるように伸長する。伸長倍率(倍)を下記式(4)から算出する。第1の領域および第2の領域ともに無作為に選択した5箇所の伸長倍率を算出し、平均値を求める。
伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (3)
伸長倍率[倍]=R1/R0 (4)
ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、R0は、伸長する前の第1の領域または第2の領域の機械軸方向に直交する方向の長さ(μm)であり、R1は、伸長した後の第1の領域または第2の領域の機械軸方向に直交する方向の長さ(μm)である(ただし、R0およびR1は、同じ領域の同じ箇所で測定する)。
本発明によれば、製造コストを抑制することができるとともに、優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルムを提供することが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る伸縮フィルムを説明するための平面図である。 一対の賦形ロールの一例を示す拡大図である。 本発明の第2の実施形態に係る伸縮フィルムを説明するための断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る伸縮フィルムを説明するための平面図である。
以下、本発明の伸縮フィルムについて具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して適用することができる。
(第1の実施形態)
本実施形態の伸縮フィルムは、熱可塑性エラストマーと低密度ポリエチレンと無機充填剤とを含有するフィルム状の成形体である。また、本実施形態の伸縮フィルムは、伸縮フィルムの機械軸(長手)方向(すなわち、MD)に沿って延びる帯状の第1の領域と、第1の領域に隣接し、第1の領域よりも伸長しにくい、MDに沿って延びる帯状の第2の領域とを交互に有し、複数の貫通孔が形成されたフィルムである。
<熱可塑性エラストマー>
「熱可塑性エラストマー」とは、使用温度においては加硫ゴムと類似の特性を有し、加工温度では特性が消滅し、容易に加工ができ、使用温度に戻すと再び元の性質を発現する重合体または重合体ブレンドを意味する。
熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。
例えば、本発明で使用するオレフィン系エラストマーは、炭素数3以上のオレフィンを主成分とした共重合体又は単独重合体、並びにエチレンを主成分とした炭素数3以上のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。
より具体的には、例えば、(1)立体規則性が低いプロピレン単独重合体や1-ブテン単独重合体等のα-オレフィン単独重合体、(2)プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、1-ブテン-エチレン共重合体、1-ブテン-プロピレン共重合体、4-メチルペンテン-1-プロピレン共重合体、4-メチルペンテン-1-1-ブテン共重合体、4-メチルペンテン-1-プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、及びエチレン-オクテン共重合体等のα-オレフィン共重合体、(3)エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン-プロピレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-イソプレン共重合体等のエチレン-α-オレフィン-ジエン三元共重合体等が挙げられる。また、結晶性ポリオレフィンのマトリクスに上述のエラストマーが分散したエラストマーを使用してもよい。なお、オレフィン系エラストマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、熱可塑性エラストマーは、一般的に力学的性質などの基本物性を支配するハードセグメントと、ゴム的な性質である伸縮性を支配するソフトセグメントによって構成される。オレフィン系エラストマーのハードセグメントがポリプロピレンからなるものをプロピレン系エラストマーといい、ハードセグメントがポリエチレンからなるものをエチレン系エラストマーという。オレフィン系エラストマーのソフトセグメントとしては、EPDM、EPM、EBM、IIR、水添スチレンブタジエンゴム(HSBR)、NBR、アクリルゴム(ACM)が挙げられる。また、スチレン系エラストマーのハードセグメントとしては、ポリスチレンが挙げられ、スチレン系エラストマーのソフトセグメントとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレンまたはこれらの水添物が挙げられる。
また、プロピレン系エラストマーの場合、全単位に対するプロピレン単位含有率は、70質量%~95質量%が好ましく、80質量%~90質量%がより好ましい。ハードセグメントであるプロピレン単位含有率が70質量%以上であれば、強度が向上するため、優れた成形性が得られ、95質量%以下であれば、ソフトセグメントの弾性により、優れた伸縮性が得られる。
また、優れた伸縮性を得るとの観点から、伸縮フィルム全体に対する熱可塑性エラストマーの含有量は、伸縮フィルム100質量%のうち、20質量%以上50質量%以下が好ましく、35質量%以上45質量%以下がより好ましい。熱可塑性エラストマーの含有量が上記範囲内であれば、エラストマーが含有するソフトセグメントの弾性により、優れた伸縮性が得られる。
<ポリエチレン系樹脂>
ポリエチレン系樹脂としては、上述の熱可塑性エラストマーと相溶性を有するものが好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び超低密度ポリエチレン(ULDPE)等を使用することができる。なお、ポリエチレン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、孔の固定化に寄与することにより通気度を向上させるとの観点から、伸縮フィルム全体に対するポリエチレン系樹脂の含有量は、伸縮フィルム100質量%のうち、10質量%以下が好ましい。これは、10質量%よりも大きい場合は、通常のポリエチレン自体には伸縮性がないため、フィルムの伸縮性が著しく悪化してしまう場合があるためである。
なお、透気度を向上させるとの観点から、ポリエチレン系樹脂として低密度ポリエチレンを使用するとともに、伸縮フィルム全体に対する低密度ポリエチレンの含有量が10質量%以下であることが好ましい。
<無機充填剤>
無機充填剤は、多孔化による貫通孔の形成を行うための成分であり、この無機充填剤を含有する状態で延伸処理を行うことにより、本実施形態の伸縮性フィルムは、優れた通気性を発現し得る。
この無機充填剤としては、炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、クレー、マイカ、硫酸バリウム、及び水酸化マグネシウム等が挙げられる。なお、無機充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、伸縮フィルム全体に対する無機充填剤の含有量は、伸縮フィルム100質量%のうち、50質量%以上70質量%以下が好ましく、50質量%以上60質量%以下がより好ましい。無機充填剤の含有量が上記範囲内であれば、延伸処理を行うことにより、多孔化が促進される。
また、無機充填剤の平均粒子径は、0.8~15μmが好ましい。無機充填剤の平均粒子径が0.8μm以上であれば、無機充填剤の二次凝集等を抑制して、樹脂への分散性が良好となり、15μm以下であれば、押出し時のドローダウンによる穴空き等が無く、成型性に優れる。
なお、ここでいう「平均粒子径」は、粒度分布計により測定した粒度分布における50%の粒度の粒子径のことをいう。
<他の成分>
伸縮フィルムには、伸縮フィルムの伸縮性を損なわない範囲において、上述の熱可塑性エラストマー以外の他の成分が含有されていてもよい。
他の成分としては、アマイド系アンチブロッキング剤(ステアリン酸アマイド等)、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、防曇剤、金属石鹸、ワックス、防カビ剤、抗菌剤、造核剤、難燃剤、滑剤等が挙げられる。なお、他の成分は、マスターバッチ化して伸縮フィルム用の材料に添加してもよい。
<第1の領域および第2の領域>
図1は、本実施形態の伸縮フィルムを示す平面図である。図1に示すように、本実施形態の伸縮フィルム1には、後述するギア延伸によってギア延伸前のフィルムをストライプ状に延伸した際に表面が延伸破壊された部分である第1の領域2と、後述するギア延伸によってギア延伸前のフィルムをストライプ状に延伸した際に表面が延伸破壊されなかった部分である第2の領域3とを備えている。
第1の領域2は、表面が延伸破壊されており、第2の領域3は、表面が延伸破壊されていないため、第1の領域2よりも第2の領域3が伸長しにくくなっており、第2の領域3よりも第1の領域2が伸長しやすくなっている。
なお、「第1の領域よりも第2の領域が伸長しにくい(または、第2の領域よりも第1の領域が伸長しやすい)」とは、伸縮フィルムを第1の領域および第2の領域の機械軸方向に直交する方向(すなわち、TD)に伸長した際に、第1の領域の伸び(%)よりも第2の領域の伸び(%)が小さい(または、第2の領域の伸び(%)よりも第1の領域の伸び(%)が大きい)ことを意味する。
また、第1の領域2の幅および第2の領域3の幅、長さは、特に限定されず、伸縮フィルム1の使用目的等に応じて適宜決定すればよい。例えば、、第1の領域2の幅Wを1.5~2.5mm、第2の領域3の幅Wを0.2~0.4mmに設定することができる。
<貫通孔>
図1に示すように、本実施形態の伸縮フィルム1には、複数の貫通孔4が形成されている。この貫通孔4は、後述のごとく、多孔化前の原反フィルムに対して延伸処理を行うことにより形成される。
そして、本実施形態の伸縮フィルム1においては、原反フィルムが上述の無機充填剤5を含有している状態で延伸処理を行うことにより多孔化される構成となっている。
なお、図1においては、貫通孔4は第1の領域2に形成されているが、第2の領域3に形成されていてもよい。貫通孔4が第1の領域2および第2の領域3のいずれに形成されていても、伸縮フィルム1を伸長した際に貫通孔4を起点とした破断が発生しにくい。
また、第1の領域2は、表面が破壊されているため、低応力で伸長する。したがって、貫通孔4の周辺にかかる応力も小さくなり、伸長時の破断が起こりにくい。一方、第2の領域3は、表面が破壊されていないため、剛性が高く、伸長時の変形が起こりにくいため、破断が起こりにくい。
なお、後述する本発明の製造方法により伸縮フィルム1を製造した場合は、貫通孔4の殆どが第1の領域2に形成される。
貫通孔4の直径は、1μm~100μmが好ましい。直径が1μm以上であれば、エラストマーのような伸縮性のある材料においても孔が塞がることなく優れた通気性を得ることができ、100μm以下であれば、防水性を有することができる。なお、貫通孔4の直径は、無作為に選択した50箇所の貫通孔4の開口直径の平均値である。
<伸縮フィルムの製造方法>
次に、本実施形態の伸縮フィルムの製造方法の一例について、詳細に説明する。
本実施形態の伸縮フィルムを製造する際には、まず、上述の熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂と無機充填剤とを含有する原料を、押出機を用いてフィルム状に成形することにより、多孔化前の原反フィルムを製造する。
より具体的には、まず、熱可塑性系エラストマー、ポリエチレン系樹脂、無機充填剤、及び必要に応じて、上述の他の成分を所定の配合比率で混合し、ストランドダイを備えた同方二軸押出機等にてストランド状に押し出ししてカットし、ペレットを得る。
次に、このペレットを、Tダイを備えた単軸押出機にて溶融押し出しによりフィルム状に成形し、当該フィルムを巻取りロールで巻き取ることにより、多孔化前の原反フィルムを得る。
そして、原反フィルムに対して、一軸延伸処理(TDにギア延伸)を行うことにより、原反フィルムをストライプ状に延伸して多孔化し、図1に示す、第1の領域2と第2の領域3を交互に有するとともに、複数の貫通孔4が形成された伸縮フィルム1が製造される。
なお、通気性を向上させるとの観点から、MD、TDの両方向に延伸処理を行う二軸延伸処理を行ってもよい。例えば、上述の原反フィルムに対して、MDにロール延伸を行った後、MD延伸後のフィルムに対して、TDにギア延伸を行う構成とすることができる。
ギア延伸は、周方向または軸方向に延びる複数の凸条を有する第1の賦形ロールと、第1の賦形ロールの凸条と同じ方向に延びる複数の凸条を有する第2の賦形ロールとを、一方の賦形ロールの凸条と他方の賦形ロールの凸条間の溝とが噛み合ように対向配置したものを使用して行われる。
図2は、一対の賦形ロールの一例を示す拡大図である。円筒状のロール本体22の周面に周方向に延びる複数の凸条24を有する第1の賦形ロール20と、円筒状のロール本体32の周面に周方向に延びる複数の凸条34を有する第2の賦形ロール30とが、第1の賦形ロール20の凸条24と第2の賦形ロール30の凸条34間の溝36とが噛み合ように、かつ第1の賦形ロール20の凸条24間の溝26と第2の賦形ロール30の凸条34とが噛み合ように所定のクリアランスを設けて対向配置されている。
そして、第1の賦形ロール20と第2の賦形ロール30とを回転させながら、第1の賦形ロール20と第2の賦形ロール30との間に、上述のギア延伸前のフィルム(すなわち、一軸延伸処理の場合は原反フィルム、二軸延伸処理の場合はMD延伸処理後のフィルム)を通すことにより、第1の賦形ロール20の凸条24と第2の賦形ロール30の凸条34との間で延伸された第1の領域2および延伸されなかった第2の領域3を形成する。
また、図2の一対の賦形ロールにより、これらの間を通るギア延伸前のフィルムが第1の賦形ロール20の凸条24によって下方に押され、かつ第2の賦形ロール30の凸条34によって上方に押される。そのため、ギア延伸前のフィルムは、隣り合う第1の賦形ロール20の凸条24と第2の賦形ロール30の凸条34とによって部分的に上下斜め方向に延伸され、第1の領域2が形成される。この際、延伸部分で無機充填剤5と樹脂の界面にクラックを生じさせることができ、十分な通気性が発現する。
一方、ギア延伸前のフィルムにおいて、第1の賦形ロール20の凸条24の頂部または第2の賦形ロール30の凸条34の頂部に接する部分は、延伸されないため、第2の領域3となる。
図2の一対の賦形ロールによってギア延伸前のフィルムが部分的に延伸される方向はTDとなるため、図2の一対の賦形ロールによるギア延伸は、TDギア延伸とも呼ばれる。TDギア延伸によれば、図1に示すように、MDに延びる帯状の第1の領域2と、MDに延びる帯状の第2の領域3とがTDに交互に形成される。
ギア延伸は、通常、室温で行われるが、ギア延伸に限らず、室温で延伸することにより成型時に残ってしまう残留歪みを除去することができるため、永久歪みを低減させる効果がある。また、上述のMD、TDの両方向に延伸処理を行う二軸延伸処理を行う場合、MD延伸処理における延伸温度は、20℃以上70℃未満である。
ギア延伸においては、賦形ロールの凸条の頂部の幅W、凸条の高さH、隣り合う凸条の頂部間の間隔P、第1の賦形ロール20の凸条24と第2の賦形ロール30の凸条34との噛み合い深さD等を調整することによって、延伸倍率を調整できる。
また、原反フィルムに対して、一軸延伸処理(TDにギア延伸)を行う場合の延伸倍率は、4~9倍である。これは、延伸倍率が4倍以上であれば、延伸処理による多孔化が促進されて、伸縮フィルム1の透湿度がさらに向上するが、9倍よりも大きい場合は、フィルムを伸長した場合に破断する場合があるためである。なお、ここでいう「延伸倍率」とは、延伸方向における、延伸前のフィルムの長さに対する延伸後のフィルムの長さの倍数のことをいう。
また、MD、TDの両方向に延伸処理を行う二軸延伸処理を行う場合は、TDへのギア延伸時のフィルムの破断防止との観点から、MDの延伸倍率に対応させてTDのギア延伸の延伸倍率を調整することができる。
例えば、MDの延伸倍率が2倍の場合は、TDのギア延伸の延伸倍率を3~7倍に調整でき、MDの延伸倍率が3~4倍の場合は、TDのギア延伸の延伸倍率を2~6倍に調整できる。
また、ギア延伸における延伸倍率の計算は、その延伸原理から、三平方の定理により容易に算出できる。例えば、隣り合う第1の賦形ロール20の凸条24の頂部と第2の賦形ロール30の凸条34の頂部との間隔(ギア延伸前のフィルムの延伸される部分の幅)が1mm、噛み合い深さが√3mmであった場合、フィルムの延伸された部分の幅は2mmとなり、延伸倍率は2倍となる。このフィルムにおいて、永久歪みが30%であった場合、延伸された部分の幅は、延伸前の1mmから1.3mmに変化する。
このように、本実施形態においては、原反フィルムに対して、図2に示す一対の賦形ロールを使用して、TDにギア延伸を行う構成としているため、上述の従来技術と異なり、装置の大型化を回避して、製造コストを抑制することが可能になる。
また、上述の方法により製造された本実施形態の伸縮フィルムは、王研式透気度試験機により測定した透気度が500s/100cc以上10000s/100cc以下となるため、優れた通気性を得ることが可能になる。なお、透気度は、7500s/100cc以下が好ましく、5000s/100cc以下がより好ましく、2000s/100cc以下がさらに好ましい。
また、本実施形態の伸縮フィルムは、MD、TDのうち、少なくとも1方向における永久歪みが30%以下となるため、優れた伸縮性を得ることが可能になる。
なお、ここでいう「永久歪み」とは、以下の方法により算出されるものをいう。
伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を精密万能試験機(島津製作所社製、オートグラフAG-5000A)のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定する。そして、試験片の長手方向に速度254mm/分の条件で、下記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させる。そして、下記式(2)から永久歪み[%]を算出する。
伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (1)
永久歪み[%]=(L2-L0)/L0×100 (2)
ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、L2は、収縮させる際に試験片の荷重(N/25mm)が0になる時のつかみ具間距離(mm)である。
なお、伸縮性を向上させるとの観点から、ギア延伸が行われるTDの永久歪みは15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
また、伸縮フィルムを弱い力で伸ばすとの観点から、TDにおける、上記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長させる際の試験力(100%伸長時試験力)が2N以下であることが好ましい。なお、この試験力は、1.2N以下がより好ましく、1N以下がさらに好ましく、0.5N以下が特に好ましい。
また、上述のギア延伸により製造された本実施形態の伸縮フィルム1においては、第1の領域2の平均伸長倍率が1.8倍以上3.0倍以下であり、第2の領域3の平均伸長倍率が1.0倍以上1.8倍以下であるため、優れた伸縮性を得ることが可能になる。
なお、ここでいう「平均伸長倍率」とは、以下の方法により算出されるものをいう。
伸縮フィルムから第1の領域および第2の領域の機械軸方向(すなわち、MD)に50mm、機械軸方向に直交する方向(すなわち、TD)に100mmの短冊状試験片を切り取る。試験片を試験装置のつかみ具につかみ具間距離が30mmとなるように固定する。試験片を第1の領域および第2の領域の機械軸方向に直交する方向に速度100mm/分で下記式(3)で算出される伸びが100%となるように伸長する。伸長倍率(倍)を下記式(4)から算出する。第1の領域および第2の領域ともに無作為に選択した5箇所の伸長倍率を算出し、平均値を求める。
伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (3)
伸長倍率[倍]=R1/R0 (4)
ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、R0は、伸長する前の第1の領域または第2の領域の機械軸方向に直交する方向の長さ(μm)であり、R1は、伸長した後の第1の領域または第2の領域の機械軸方向に直交する方向の長さ(μm)である(ただし、R0およびR1は、同じ領域の同じ箇所で測定する)。
第1の領域2の平均伸長倍率が1.8倍以上であれば、伸縮フィルム1を伸長した際に第1の領域2が優先的に伸長する。そのため、伸縮フィルム1全体の伸縮性が良好となる。また、第1の領域2の平均伸長倍率が3.0倍以下であれば、適切な伸縮性が得られる。
また、第2の領域3の平均伸長倍率が1.0倍以上1.8倍以下であれば、永久歪みが小さくなるため、伸縮フィルム全体の伸縮性が良好となる。
また、第2の領域3の平均伸長倍率が1.0倍以上1.8倍以下であり、かつ第1の領域2の平均伸長倍率が1.8倍以上であれば、伸縮フィルム1を伸長した際に表面が破壊されている第1の領域2が優先的に伸長する。そのため、貫通孔周辺にかかる応力も小さくなり、伸長時の破断が発生しにくい。また、表面が破壊されていない第2の領域3は、剛性が高く、伸縮フィルム1を伸長した際に変形する量が小さいため、破断が起こりにくい。
なお、伸長する前の第1の領域2の幅および第2の領域3の幅は、特に限定されず、伸縮フィルム1に要求される伸縮性、通気性、柔軟性等に応じて適宜決定すればよい。
また、延伸処理前の原反フィルムの厚みは、10~80μmが好ましく、20~60μmがより好ましい。原反フィルムの厚みが10μm以上であれば、巻取り時のシワや、スリット時のトリミングのカット性などのハンドリング性を確保できる。また、原反フィルムの厚みが80μm以下であれば、延伸処理後の伸縮フィルムは十分な通気性を得ることができる。
また、延伸処理後の伸縮フィルムの厚みは、加熱延伸処理を行った場合は原反フィルムの40~60%となり、室温で延伸処理した場合は原反フィルムの85~95%となる。また、ギア延伸の場合は未延伸部分が原反フィルムと同じ厚みであり、延伸された部分は原反フィルムの85~95%となる。
以上の方法により、本実施形態においては、製造コストを抑制することができるとともに、優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルムを得ることができる。
なお、伸縮フィルムは、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。伸縮フィルムが複層の場合、各層の組成や厚みは同じであってもよく、異なっていてもよい。伸縮フィルムが複層である場合の厚みとは、この複層の全体の厚みのことを意味する。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る伸縮フィルムを示す断面図である。図3に示すように、本実施形態の伸縮フィルム10は、上述の第1の実施形態において説明した熱可塑性エラストマーと低密度ポリエチレンと無機充填剤とを含有する伸縮フィルムからなるエラストマー層6と、エラストマー層6の表面に積層された表面層7,8とを備えている。
なお、エラストマー層6には、伸縮フィルム10の伸縮性を損なわない範囲において、上述の第1の実施形態において説明した他の成分が含有されていてもよい。
<表面層>
表面層7,8は、伸縮フィルム10におけるブロッキングの発生を抑制するための層である。図3に示すように、表面層7,8は、エラストマー層6の第1の面および第2の面のいずれか一方または両方に設けられるが、伸縮フィルム10のブロッキングの発生を十分に抑制するとの観点から、エラストマー層6の第1の面および第2の面の両方に設けられることが好ましい。なお、表面層7,8は、同じ種類の表面層であってもよく、異なる種類の表面層であってもよい。
表面層7,8は、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを除く。)を含有しており、無機充填剤をさらに含有することが好ましい。また、表面層7,8は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでもよい。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、エラストマー層6中の熱可塑性エラストマーと相溶性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が好ましい。また、ホットメルトに優れるとの観点から、ポリエチレン系樹脂が好ましく、耐熱性に優れるとの観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
例えば、ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。また、例えば、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンを単独で重合したホモポリプロピレン(H-PP)、エチレンとプロピレンとを共重合したランダムポリプロピレン(R-PP)、及びホモポリプロピレンを重合した後、ホモポリプロピレンの存在下において、エチレンとプロピレンとを共重合したブロックポリプロピレン(B-PP)等が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、優れた伸縮性を得るとの観点から、表面層全体に対する熱可塑性樹脂の含有量は、表面層100質量%のうち、30質量%以上60質量%以下が好ましく、40質量%以上50質量%以下がより好ましい。
<無機充填剤>
無機充填剤は、表面層6,7の表面に滑り性を付与して、伸縮フィルム10におけるブロッキングの発生をさらに抑制するための成分である。また、多孔化による貫通孔4の形成を行うための成分であり、この無機充填剤を含有する状態で延伸処理を行うことにより、本実施形態の伸縮性フィルムは、優れた通気性を発現し得る。
この無機充填剤としては、炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、クレー、マイカ、硫酸バリウム、及び水酸化マグネシウム等が挙げられる。なお、無機充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、表面層全体に対する無機充填剤の含有量は、表面層100質量%のうち、40質量%以上70質量%以下が好ましく、50質量%以上60質量%以下がより好ましい。無機充填剤の含有量が上記範囲内であれば、延伸処理を行うことにより、多孔化が促進される。
無機充填剤の平均粒子径は、0.8~10μmが好ましい。無機充填剤の平均粒子径が0.8μm以上であれば、無機充填剤の二次凝集等を抑制して、樹脂への分散性が良好となり、10μm以下であれば、肌触りがよくなる。
<他の成分>
他の成分としては、アマイド系アンチブロッキング剤(ステアリン酸アマイド等)、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、防曇剤、金属石鹸、ワックス、防カビ剤、抗菌剤、造核剤、難燃剤、滑剤等が挙げられる。なお、他の成分は、マスターバッチ化して伸縮フィルム用の材料に添加してもよい。
<第1と第2の領域>
図4は、本実施形態の伸縮フィルムを示す平面図である。図4に示すように、本実施形態の伸縮フィルム10には、上述のギア延伸によってギア延伸前のフィルムをストライプ状に延伸した際に表面層7,8が延伸破壊された部分である第1の領域20と、上述のギア延伸によってギア延伸前のフィルムをストライプ状に延伸した際に表面層7,8が延伸破壊されなかった部分である第2の領域30とを備えている。
第1の領域20は、表面層7,8が残っているものの、表面層7,8が延伸破壊されているため、伸縮性に関してはエラストマー層単独に近くなっている。
また、第2の領域30は、表面層7,8が延伸破壊されていない、すなわち伸縮性のない表面層7,8がエラストマー層の表面に残っているため、伸縮性がやや不充分である。
また、第1の領域20の幅および第2の領域30の幅、長さは、特に限定されず、伸縮フィルム10の使用目的等に応じて適宜決定すればよい。例えば、第1の領域20の幅Wを1.5~2.5mm、第2の領域30の幅Wを0.2~0.4mmに設定することができる。
<貫通孔>
図4に示すように、本実施形態の伸縮フィルム10には、複数の貫通孔4が形成されている。この貫通孔4は、後述のごとく、多孔化前の原反フィルムに対して延伸処理を行うことにより形成される。そして、本実施形態の伸縮フィルム10においては、原反フィルムが上述の無機充填剤5を含有する状態で延伸処理を行うことにより多孔化される構成となっている。
なお、図4においては、貫通孔4は第1の領域20に形成されているが、第2の領域30に形成されていてもよい。貫通孔4が第1の領域20および第2の領域30のいずれに形成されていても、伸縮フィルム10を伸長した際に貫通孔4を起点とした破断が発生しにくい。
また、第1の領域20は、表面層7,8が破壊されているため、低応力で伸長する。したがって、貫通孔4の周辺にかかる応力も小さくなり、伸長時の破断が起こりにくい。一方、第2の領域30は、表面層7,8が破壊されていないため、剛性が高く、伸長時の変形が起こりにくいため、破断が起こりにくい。
なお、後述する本発明の製造方法により伸縮フィルム10を製造した場合は、貫通孔4の殆どが第1の領域20に形成される。
また、上述のごとく、表面層7,8に無機充填剤を含有させることにより、延伸処理を行う際に多孔化を促進することができる。また、貫通孔4の直径は、上述の第1の実施形態の場合と同様に、1μm~100μmが好ましい。
<伸縮フィルムの製造方法>
次に、本実施形態の伸縮フィルムの製造方法の一例について、詳細に説明する。
本実施形態の伸縮フィルムは、上述の第1の実施形態の場合と同様に、まず、熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂と無機充填剤、及び必要に応じて、上述の他の成分を所定の配合比率で混合し、ストランドダイを備えた同方二軸押出機等にてストランド状に押し出ししてカットし、エラストマー層形成用のペレットを得る。また、同様に、熱可塑性樹脂、及び必要に応じて、無機充填剤、及び他の成分を所定の配合比率で混合し、ストランドダイを備えた同方二軸押出機等にてストランド状に押し出ししてカットし、表面層形成用のペレットを得る。
次に、Tダイを備えた押出機を用い、エラストマー層形成用のペレット、及び表面層形成用のペレットを所定の温度で押出成形し、キャストフィルムプロセス法によって、エラストマー層と、エラストマー層の第1の面に設けられた第1の表面層と、エラストマー層の第2の面に設けられた第2の表面層とを有する多孔化前の原反フィルムを得る。
そして、原反フィルムに対して、図2に示す一対の賦形ロールを使用して、上述の第1の実施形態の場合と同様の延伸温度、及び延伸倍率による一軸延伸処理(TDにギア延伸)を行うことにより、原反フィルムをストライプ状に延伸して多孔化し、図4に示す、第1の領域20と第2の領域30を交互に有するとともに、複数の貫通孔4が形成された伸縮フィルム10が製造される。
なお、上述の第1の実施形態の場合と同様に、通気性を向上させるとの観点から、MD、TDの両方向に延伸処理を行う二軸延伸処理を行ってもよい。例えば、上述の原反フィルムに対して、MDにロール延伸を行った後、MD延伸後のフィルムに対して、TDにギア延伸を行う構成とすることができる。
そして、上述の方法により製造された本実施形態の伸縮フィルム10においても、上述の第1の実施形態の場合と同様に、王研式透気度試験機により測定した透気度が500s/100cc以上10000s/100cc以下になるとともに、少なくとも1方向における永久歪みが30%以下となるため、優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルムを得ることが可能になる。
また、上述のギア延伸により製造された本実施形態の伸縮フィルム10においても、上述の第1の実施形態の場合と同様に、第1の領域20の平均伸長倍率が1.8倍以上3.0倍以下であり、第2の領域30の平均伸長倍率が1.0倍以上1.8倍以下であるため、優れた伸縮性を得ることが可能になる。
また、原反フィルムにおけるエラストマー層6の厚みは、10~80μmが好ましく、20~60μmがより好ましい。エラストマー層6の厚みが10μm以上であれば、延伸処理後の伸縮フィルム10において、MDに十分な試験力を確保することができるとともに、シワの発生や寸法の変化を防止して、ハンドリング性を確保することができる。また、エラストマー層5の厚みが80μm以下であれば、延伸処理後の伸縮フィルム10において、十分な通気性を得ることができる。
また、原反フィルムにおける表面層7,8の厚みは、1~6μmが好ましく、2~4μmがより好ましい。表面層7,8の厚みが1μm以上であれば、延伸処理後の伸縮フィルム10におけるブロッキングの発生を十分に抑制することができるとともに、伸縮フィルム10の通気性を向上させることができる。また、表面層7,8の厚みが6μm以下であれば、伸縮フィルム10の伸縮性を十分に得ることができる。なお、表面層7,8は、同じ厚みであってもよく、異なる厚みであってもよい。
また、延伸処理後の伸縮フィルム10の厚みは、加熱延伸処理を行った場合は原反フィルムの40~60%となり、室温で延伸処理した場合は原反フィルムの85~95%となる。また、ギア延伸の場合は未延伸部分が原反フィルムと同じ厚みであり、延伸された部分は原反フィルムの85~95%となる。
また、特に、伸縮フィルム全体に対する表面層7,8の厚み比が小さい伸縮フィルム10においても、通気性を向上させるとの観点から、原反フィルム及び伸縮フィルム10の表面層7(または表面層8)とエラストマー層5との厚み比が、表面層:エラストマー層=1:10~1:30であることが好ましく、表面層:エラストマー層=1:15~1:20であることがより好ましい。
以上の方法により、本実施形態においては、上述の第1の実施形態の場合と同様に、製造コストを抑制することができるとともに、優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルムを得ることができる。
なお、伸縮フィルムは、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。伸縮フィルムが複層の場合、各層の組成や厚みは同じであってもよく、異なっていてもよい。伸縮フィルムが複層である場合の厚みとは、この複層の全体の厚みのことを意味する。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
伸縮フィルムの作製に使用した材料を以下に示す。
(1)無機充填剤:炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:PO-150B-10)
(2)HDPE:高密度ポリエチレン、密度:0.951g/cm、MFR:9.1g/10分(旭化成社製、商品名:Hizex2110JH)
(3)R-PP:ランダムポリプロピレン、密度:0.90g/cm、MFR:6.7g/10分(プライムポリマー社製、商品名:F227)
(4)プロピレン系エラストマー(Vistamaxx(登録商標)6102FL(ExxonMobil社製、プロピレン-エチレン共重合体、エチレン単位含有率:16質量%)
(5)LDPE:低密度ポリエチレン、密度:0.922g/cm、MFR:0.3g/10分(住友化学社製、商品名:スミカセン、F101-1)
(実施例1)
<伸縮フィルムの作製>
まず、表1に示す各材料を混合して、表1に示す組成(質量部)を有する実施例1の材料を用意した。次に、この材料を、200℃の条件下において、ストランドダイを備えた同方二軸押出機(JSW社製、商品名:TEX28V-42CW-4V)にてストランド状に押し出してカットし、ペレットを得た。
次に、このペレットを、Tダイを備えた単軸押出機(永田製作所社製)にて、溶融押し出し(押出温度:200℃)によりフィルム状に成形し、当該フィルムを巻取りロールで巻き取ることにより、多孔化前の原反フィルムを得た。
そして、この原反フィルムに対して、表1に示す延伸温度と延伸倍率の条件で、図2に示す一対の賦形ロールを用いて、TDにギア延伸を行うことにより、原反フィルムをストライプ状に延伸して多孔化し、複数の貫通孔が形成された伸縮フィルムを作製した。
<透気度の測定>
次に、作製した延伸フィルムの透気度を、王研式透気度計(s/100cc)(旭精工株式会社製、商品名:EG01-6-1MR)を用いて測定した。なお、本測定において通気性を示さないものに関しては99999(s/100cc)と表記された。以上の結果を表1に示す。
<永久歪みの測定>
作製した伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を精密万能試験機(島津製作所社製、オートグラフAG-5000A)のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定した。そして、試験片の長手方向に速度254mm/分の条件で、上記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させた。そして、上記式(2)から、MD、及びTDにおける永久歪み[%]を算出した。なお、試験は、室温(23℃±2℃)で行った。以上の結果を表1に示す。また、永久歪みの測定時に得られたMD、及びTDにおける100%伸長時試験力[N]の結果を表1に示す。
<平均伸長倍率の測定>
作製した伸縮フィルムから、第1の領域および第2の領域の機械軸方向に50mm、機械軸方向に直交する方向に100mmの短冊状試験片を切り取り、試験片を精密万能試験機(島津製作所社製、オートグラフAG-5000A)のつかみ具につかみ具間距離が30mmとなるように固定した。そして、試験片を第1の領域および第2の領域の機械軸方向に直交する方向に速度100mm/分の条件で、上記式(3)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した。そして、伸長倍率(倍)を上記式(4)から算出した。なお、第1の領域および第2の領域ともに無作為に選択した5箇所の伸長倍率を算出し、平均値を求めた。以上の結果を表1に示す。
<防水性評価>
作製した伸縮フィルムから、A4サイズの試験片を切り取るとともに、この試験片の端部を固定し、試験片の上方から試験片に50mlの水を滴下した。そして、その際に試験片の裏面における水滴等の水分の有無を目視にて確認し、下記の評価基準に従って評価した。
試験片の裏面において水滴等の水分が確認されなかった:〇
試験片の裏面において水滴等の水分が確認された:×
(実施例2)
延伸処理における延伸倍率の条件を表1に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、表1に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、平均伸長倍率の測定、及び防水性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例3)
まず、上述の実施例1と同様にして、多孔化前の原反フィルムを得た。次に、この原反フィルムに対して、表1に示す延伸温度と延伸倍率の条件で、MDにロール延伸を行った後、図2に示す一対の賦形ロールを用いて、TDにギア延伸を行うことにより、原反フィルムをストライプ状に延伸して多孔化し、複数の貫通孔が形成された伸縮フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、平均伸長倍率の測定、及び防水性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例4)
延伸処理における延伸倍率の条件を表1に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、表1に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、平均伸長倍率の測定、及び防水性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例5~7)
延伸処理における延伸倍率の条件を表1に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例3と同様にして、表1に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、平均伸長倍率の測定、及び防水性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例8)
伸縮フィルムの組成(質量部)を表1に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、表1に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、平均伸長倍率の測定、及び防水性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例9)
<伸縮フィルムの作製>
まず、表1に示す各材料を混合して、表1に示す組成(質量部)を有する実施例9のエラストマー層形成用の材料と表面層形成用の材料を用意した。次に、これらの各材料を、200℃の条件下において、ストランドダイを備えた同方二軸押出機(JSW社製、商品名:TEX28V-42CW-4V)にてストランド状に押し出してカットし、エラストマー層形成用ペレットと表面層形成用ペレットとを得た。
次に、Tダイを備えた押出機(住友重機械モダン社製)を用い、エラストマー層形成用ペレットおよび表面層形成用ペレットを200℃で押出成形し、キャストフィルムプロセス法によって、エラストマー層と、エラストマー層の第1の面に設けられた第1の表面層と、エラストマー層の第2の面に設けられた第2の表面層とを有するフィルムを成形し、当該フィルムを巻取りロールで巻き取ることにより、多孔化前の原反フィルムを得た。
そして、この原反フィルムに対して、表1に示す延伸温度と延伸倍率の条件で、図2に示す一対の賦形ロールを用いて、TDにギア延伸を行うことにより、原反フィルムをストライプ状に延伸して多孔化し、複数の貫通孔が形成された伸縮フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、平均伸長倍率の測定、及び防水性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例10)
表面層の組成(質量部)を表1に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例9と同様にして、表1に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、平均伸長倍率の測定、及び防水性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(比較例1)
延伸処理における延伸倍率の条件を表2に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、表2に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、比較例1の伸縮フィルムを作製しようとしたが、比較例1においては、TDのギア延伸における延伸倍率が非常に高いため、延伸時にフィルムが破断してしまい、伸縮フィルムを作製することができなかった。
従って、比較例1においては、透気度、永久歪み、平均伸長倍率の測定、及び防水性評価を行うことができなかった。
(比較例2~5)
延伸処理における延伸倍率の条件を表2に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例3と同様にして、表2に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製しようとしたが、比較例2~5においては、MDの延伸倍率に対するTDのギア延伸における延伸倍率が高いため、延伸時にフィルムが破断してしまい、伸縮フィルムを作製することができなかった。
従って、比較例2~5においては、透気度、永久歪み、平均伸長倍率の測定、及び防水性評価を行うことができなかった。
(比較例6)
延伸処理を行わなかったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、表2に示す厚みを有する原反フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、及び防水性評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(比較例7~8)
伸縮フィルムの組成(質量部)を表2に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、表2に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、及び防水性評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(比較例9)
まず、上述の実施例1と同様にして、多孔化前の原反フィルムを得た。次に、この原反フィルムに対して、表2に示す延伸温度と延伸倍率の条件で、MDにロール延伸を行うことにより、原反フィルムを延伸して多孔化し、複数の貫通孔が形成された伸縮フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、及び防水性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(比較例10)
延伸処理における延伸倍率の条件を表2に示す条件に変更したこと以外は、上述の比較例9と同様にして、表2に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製した。
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、永久歪み、及び防水性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
Figure 2023128034000002
Figure 2023128034000003
表1に示すように、実施例1~10の伸縮フィルムにおいては、王研式透気度試験機により測定した透気度が500s/100cc以上10000s/100cc以下であり、MD、TDの少なくとも1方向における永久歪みが30%以下であり、第1の領域の平均伸長倍率が1.8倍以上3.0倍以下であり、第2の領域の平均伸長倍率が1.0倍以上1.8倍以下であるため、優れた伸縮性と通気性を両立することができることが分かる。
一方、表2に示すように、比較例6においては、延伸処理を行っていないため、多孔化による貫通孔が形成されず、通気性を全く示さない(透気度が99999s/100mlと表示されている)ことが分かる。
また、比較例7においては、無機充填剤が配合されていないため、多孔化による貫通孔が形成されず、通気性を全く示さない(透気度が99999s/100mlと表示されている)ことが分かる。
また、比較例8においては、LDPEが配合されていないため、樹脂と無機充填剤との間の乖離が起きにくく、通気性を全く示さない(透気度が99999s/100mlと表示されている)ことが分かる。
また、比較例9においては、MDにおける延伸処理(室温)のみを行い、TDにおけるギア延伸を行っていないため、通気性に乏しい(透気度が10000s/100mlよりも大きい)ことが分かる。
また、比較例10においては、MDにおける延伸処理(室温)のみを行い、TDにおけるギア延伸を行っていないため、通気性に乏しい(透気度が10000s/100mlよりも大きい)とともに、伸縮性に乏しい(TDの永久歪みが15%よりも大きい)ことが分かる。
以上説明したように、本発明は、例えば、下着等の衣服、紙おむつのウエストバンド、サイドパネル、レッグギャザー、失禁用品、生理用ナプキン、包帯、外科的ドレープ、締め付け用バンド、帽子、水泳パンツ、スポーツ用サポーター、医療品サポーター、絆創膏等に利用される伸縮フィルム及びその製造方法に適している。
1 伸縮フィルム
2 第1の領域
3 第2の領域
4 貫通孔
5 無機充填剤
6 エラストマー層
7,8 表面層
10 伸縮フィルム
20 第1の領域
30 第2の領域

Claims (10)

  1. 熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂と無機充填剤とを含有する伸縮フィルムであって、
    王研式透気度試験機により測定した透気度が500s/100cc以上10000s/100cc以下であり、
    少なくとも1方向における下記永久歪みが30%以下であり、
    前記伸縮フィルムの機械軸方向に沿って延びる、表面が破壊されている帯状の第1の領域と、前記第1の領域に隣接し、前記第1の領域よりも伸長しにくい、前記機械軸方向に沿って延びる帯状の第2の領域とを交互に有し、
    前記第1の領域の下記平均伸長倍率が1.8倍以上3.0倍以下であり、
    前記第2の領域の下記平均伸長倍率が1.0倍以上1.8倍以下である
    ことを特徴とする伸縮フィルム。
    (伸縮フィルムの永久歪み)
    伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を試験機のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定し、試験片の長手方向に速度254mm/分の条件で、下記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させて、下記式(2)から永久歪み[%]を算出する。
    伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (1)
    永久歪み[%]=(L2-L0)/L0×100 (2)
    ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、L2は、収縮させる際に試験片の荷重(N/25mm)が0になる時のつかみ具間距離(mm)である。
    (平均伸長倍率)
    伸縮フィルムから第1の領域および第2の領域の機械軸方向に50mm、機械軸方向に直交する方向に100mmの短冊状試験片を切り取る。試験片を試験装置のつかみ具につかみ具間距離が30mmとなるように固定する。試験片を第1の領域および第2の領域の機械軸方向に直交する方向に速度100mm/分で下記式(3)で算出される伸びが100%となるように伸長する。伸長倍率(倍)を下記式(4)から算出する。第1の領域および第2の領域ともに無作為に選択した5箇所の伸長倍率を算出し、平均値を求める。
    伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (3)
    伸長倍率[倍]=R1/R0 (4)
    ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、R0は、伸長する前の第1の領域または第2の領域の機械軸方向に直交する方向の長さ(μm)であり、R1は、伸長した後の第1の領域または第2の領域の機械軸方向に直交する方向の長さ(μm)である(ただし、R0およびR1は、同じ領域の同じ箇所で測定する)。
  2. 前記伸縮フィルム全体に対する前記熱可塑性エラストマーの含有量が20質量%以上50質量%以下であり、前記伸縮フィルム全体に対する前記無機充填剤の含有量が50質量%以上70質量%以下であり、前記伸縮フィルム全体に対するポリエチレン系樹脂が10質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮フィルム。
  3. 透気度が7500s/100cc以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伸縮フィルム。
  4. 機械軸方向に直交する方向における前記永久歪みが10%以下であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の伸縮フィルム。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の伸縮フィルムの製造方法であって、
    前記熱可塑性系エラストマーと前記ポリエチレン系樹脂と前記無機充填剤とを含有する原反フィルムを準備する工程と、
    前記原反フィルムに対して、機械軸方向に直交する方向にギア延伸を行う工程と
    を少なくとも備えることを特徴とする伸縮フィルムの製造方法。
  6. 熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂と無機充填剤とを含有するエラストマー層と、該エラストマー層の少なくとも一方の面に積層された表面層とを備える伸縮フィルムであって、
    王研式透気度試験機により測定した透気度が500s/100cc以上10000s/100cc以下であり、
    少なくとも1方向における下記永久歪みが30%以下であり、
    前記伸縮フィルムの機械軸方向に沿って延びる、表面が破壊されている帯状の第1の領域と、前記第1の領域に隣接し、前記第1の領域よりも伸長しにくい、前記機械軸方向に沿って延びる帯状の第2の領域とを交互に有し、
    前記第1の領域の下記平均伸長倍率が1.8倍以上3.0倍以下であり、
    前記第2の領域の下記平均伸長倍率が1.0倍以上1.8倍以下である
    ことを特徴とする伸縮フィルム。
    (伸縮フィルムの永久歪み)
    伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を試験機のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定し、試験片の長手方向に速度254mm/分の条件で、下記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させて、下記式(2)から永久歪み[%]を算出する。
    伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (1)
    永久歪み[%]=(L2-L0)/L0×100 (2)
    ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、L2は、収縮させる際に試験片の荷重(N/25mm)が0になる時のつかみ具間距離(mm)である。
    (平均伸長倍率)
    伸縮フィルムから第1の領域および第2の領域の機械軸方向に50mm、機械軸方向に直交する方向に100mmの短冊状試験片を切り取る。試験片を試験装置のつかみ具につかみ具間距離が30mmとなるように固定する。試験片を第1の領域および第2の領域の機械軸方向に直交する方向に速度100mm/分で下記式(3)で算出される伸びが100%となるように伸長する。伸長倍率(倍)を下記式(4)から算出する。第1の領域および第2の領域ともに無作為に選択した5箇所の伸長倍率を算出し、平均値を求める。
    伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (3)
    伸長倍率[倍]=R1/R0 (4)
    ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、R0は、伸長する前の第1の領域または第2の領域の機械軸方向に直交する方向の長さ(μm)であり、R1は、伸長した後の第1の領域または第2の領域の機械軸方向に直交する方向の長さ(μm)である(ただし、R0およびR1は、同じ領域の同じ箇所で測定する)。
  7. 前記エラストマー層全体に対する前記熱可塑性エラストマーの含有量が20質量%以上50質量%以下であり、前記エラストマー層全体に対する前記無機充填剤の含有量が50質量%以上70質量%以下であり、前記エラストマー層全体に対するポリエチレン系樹脂が10質量%以下であることを特徴とする請求項6に記載の伸縮フィルム。
  8. 透気度が7500s/100cc以下であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の伸縮フィルム。
  9. 機械軸方向に直交する方向における前記永久歪みが10%以下であることを特徴とする請求項6~請求項8のいずれか1項に記載の伸縮フィルム。
  10. 請求項6~請求項9のいずれか1項に記載の伸縮フィルムの製造方法であって、
    前記熱可塑性系エラストマーと前記ポリエチレン系樹脂と前記無機充填剤とを含有するエラストマー層と、該エラストマー層の少なくとも一方の面に設けられた表面層とを有する原反フィルムを準備する工程と、
    前記原反フィルムに対して、機械軸方向に直交する方向にギア延伸を行う工程と
    を少なくとも備えることを特徴とする伸縮フィルムの製造方法。
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