JP6206547B2 - 二軸延伸微多孔性フィルム - Google Patents
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Description
本発明は、微多孔性フィルムに関する。詳しくは、粉落ちもなく衛生性に優れ、滅菌処理等に必要とされる高度な水蒸気透過性を有する連通孔を外観のムラ等無く均一に有し、かつ注射針やカテーテルなどの鋭利な物を包装するのに十分な突刺し強度を有する医療用ブリスター包装等の包装体における蓋材等に有用な、微多孔性フィルムに関する。
従来より、ディスポーサブル注射器や注射針等の医療器具は、ブリスター包装等の包装体に収納した後、高圧蒸気や酸化エチレンガス・放射線照射により滅菌処理される。医療包装材料は、前記滅菌処理を行うため、特に汎用性の高い酸化エチレンガス滅菌において、十分な通気性が必要とされる。具体的には、滅菌処理に必要なガスや、径0.0004μmの水蒸気を透過させる多孔性フィルムが、医療包装材料として有効である。また、医療器具は人体に直接触れるものが多く、その包装材料は人体に影響を及ぼすことのないよう非常に衛生的に使用することができるものでなければならない。さらに、注射針やカテーテルなどといった鋭利な物を包装するにあたり、途中で破けてしまわないような突刺し強度が必要である。
従来から、水は透過せず、空気や水蒸気等の気体を透過する、いわゆる通気性を有する多孔性フィルムは、紙おむつのバックシート、吸湿剤や脱酸素剤の包装などに用いられている。その製造方法としては、特許文献1に記載のように樹脂と充填剤とからなる組成物や、場合によってはさらに、これにワックス状の炭化水素重合体を加えてなる組成物をフィルム化し、延伸せしめることによりフィルム内部にミクロボイドを発生させて通気性を発現させるものがある。しかし、これらの様な多孔性フィルムは、低応力で容易に伸び、物理的に充填剤と樹脂の間にミクロボイドを発生させるためにミクロボイドのサイズとしては大きいものから小さいものまで種々発生し、通気度の均一性を妨げるという問題があった。
また、上記のような従来の多孔性フィルムは、充填剤として炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの無機フィラーを用いる場合においては(例えば、特許文献1)、フィラーの形状が不均一で、樹脂との相溶性が悪いなどの理由から均一な物性が期待できなかったり、表面が平滑にならずに凹凸が発生するためフィルムとの接触により粉落ちが発生するなどという問題点があった。また、これらフィラーは、耐薬品性が悪く、例えば酢酸等の酸に溶出することがあるため、使用できる用途には制限があった。
一方、多孔性フィルムの製造方法として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンをマトリックスとする研究開発が盛んである。例えば、特許文献2には、有極性熱可塑性樹脂と無極性熱可塑性樹脂とからなるシートをロール圧延し、次いで、延伸する熱可塑性樹脂多孔体の製造方法が記載されている。この2種類の樹脂の界面が、シートを延伸することで引き離され、気孔を生じることを利用し、多孔性フィルムとするのである。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂等が用いられている。
ポリオレフィンをマトリックスとする多孔性フィルムを、このように延伸法により製造する方法は、多孔性フィルムの製造方法として有用であり、この製造方法は更に、特許文献3、特許文献4、特許文献5等にも記載されている。例えば、特許文献3には、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂Aと、樹脂Aに対して相溶性が乏しく、且つ溶融点が少なくとも20℃高い熱可塑性樹脂Bとを用いる延伸法による多孔性フィルムの製造方法が記載さ
れている。
れている。
しかしながら、マトリックス樹脂と分散樹脂を混練し、製膜し、延伸するこれらの方法では、空孔はフィルムの厚み方向ではなく、延伸方向に延伸して形成するため、フィルムに空孔が連通して、通気性に優れたフィルムを得ることは、一般に困難である。また更に、これらの従来例では、マトリックス樹脂と分散樹脂とは相溶性に乏しいため、分散樹脂が良好に分散することが困難であり、また、このような状態から延伸すると、延伸後も孔形状が整わず、フィルムに貫通孔が形成し難く、得られるフィルムの通気性は限られていたため、滅菌処理に必要なガスや、径0.0004μmの水蒸気を透過させる多孔性フィルムの製造方法としては、不十分であった。
さらに、例えこのような方法によってフィルムにある程度の通気性を付与できたとしても、延伸時にムラが発生することにより、厚みや透気度にばらつきが生じ、延伸方向に均一に連通孔を形成させることは困難であった。
本発明の課題は、上記の従来の多孔性フィルムの欠陥を解消し、粉落ちもなく衛生性に優れ、滅菌処理に必要とされる高度な通気性を外観のムラなく均一に有し、かつ注射針やカテーテルなどの鋭利な物を包装するのに十分な突刺し強度を有する微多孔性フィルムを得ることにある。
本発明のもう1つの課題は、医療用ブリスター包装用に好適に用いることができる前記微多孔性フィルムを用いた包装体用蓋材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂をマトリックス成分とし、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂をドメイン成分とする海島構造を有する熱可塑性樹脂を二軸方向に延伸することにより、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー25〜75質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物にて形成され、前記ポリプロピレン樹脂を主成分として含む海部と、前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部とからなる海島構造を有する微多孔性フィルムであって、
前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0〜0.1g/10分であることを特徴とする二軸延伸微多孔性フィルム。
(2)前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーのスチレン含有量が1〜40質量%である(1)に記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
(3)前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部の粒径が0.01〜10μmである(1)または(2)のいずれかに記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
(4)突刺し強度が400gf以上である(1)から(3)のいずれかに記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
(5)厚みが50μm以上500μm以下、透気度が20秒/100cc以上200秒/100cc以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
すなわち、本発明は、
(1)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー25〜75質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物にて形成され、前記ポリプロピレン樹脂を主成分として含む海部と、前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部とからなる海島構造を有する微多孔性フィルムであって、
前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0〜0.1g/10分であることを特徴とする二軸延伸微多孔性フィルム。
(2)前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーのスチレン含有量が1〜40質量%である(1)に記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
(3)前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部の粒径が0.01〜10μmである(1)または(2)のいずれかに記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
(4)突刺し強度が400gf以上である(1)から(3)のいずれかに記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
(5)厚みが50μm以上500μm以下、透気度が20秒/100cc以上200秒/100cc以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
本発明によれば、滅菌処理に十分な通気性を有し、無機充填剤を含有しないので粉落ちしないため衛生性に優れる、高い突刺し強度を有する主に医療用ブリスター包装体等の蓋材等に好適な、微多孔性フィルムを提供することができる。
さらに本発明によれば、医療用ブリスター包装体等の蓋材等に好適な、前記微多孔性フィルムを用いた、包装体用蓋材を提供することができる。
さらに本発明によれば、医療用ブリスター包装体等の蓋材等に好適な、前記微多孔性フィルムを用いた、包装体用蓋材を提供することができる。
以下、本発明の微多孔性フィルム、包装体用蓋材(以下、それぞれ、「本発明のフィルム」、「本発明の蓋材」という。)について詳細に説明する。
<ポリプロピレン系樹脂>
本発明のフィルムに用いられるポリプロピレン系樹脂は、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、微多孔フィルムの透気度、機械的強度などを維持する観点から、ホモポリプロピレンがより好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、1種類を単独で又は2種類以上を混合して用いられる。ポリプロピレン系樹脂は、いかなる結晶性や融点を有するものであってもよく、得られる微多孔性フィルムの物性や用途に応じて、異なる性質を有する2種以上のポリプロピレン系樹脂を、任意の配合比率で配合したものであってもよい。
本発明のフィルムに用いられるポリプロピレン系樹脂は、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、微多孔フィルムの透気度、機械的強度などを維持する観点から、ホモポリプロピレンがより好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、1種類を単独で又は2種類以上を混合して用いられる。ポリプロピレン系樹脂は、いかなる結晶性や融点を有するものであってもよく、得られる微多孔性フィルムの物性や用途に応じて、異なる性質を有する2種以上のポリプロピレン系樹脂を、任意の配合比率で配合したものであってもよい。
前記ポリプロピレン系樹脂は、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.1〜50g/10分の範囲のものから選択できる。MFRが上記範囲であれば、ポリプロピレン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを混合した際、ポリオレフィン・ポリスチレンエラストマーの分散性が良好となることや、あるいは、フィルムに加工する際にフィルムが破断し難くなる等成型性の観点から好ましい。
前記ポリプロピレン系樹脂は、特開昭44−15422号公報、特開昭52−30545号公報、特開平6−313078号公報、特開2006−83294号公報に記載されているような公知の変性ポリプロピレン樹脂であってもよい。さらに、本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂は、上記ポリプロピレン樹脂と変性ポリプロピレン樹脂との任意の割合の混合物であってもよい。
<ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー>
本発明のフィルムに用いられるポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーは、オレフィン系及びスチレン系の重合体あるいは共重合体であって、常温付近でゴム状弾性を示すものであれば良く特に制限はない。具体的には、スチレン−水添イソプレンブロックコポリマー等のスチレン−オレフィンブロックコポリマーや、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー等のスチレン−オレフイン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー等が挙げられる。中でも、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロックコポリマーや、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーが好適に用いられる。
本発明のフィルムに用いられるポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーは、オレフィン系及びスチレン系の重合体あるいは共重合体であって、常温付近でゴム状弾性を示すものであれば良く特に制限はない。具体的には、スチレン−水添イソプレンブロックコポリマー等のスチレン−オレフィンブロックコポリマーや、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー等のスチレン−オレフイン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー等が挙げられる。中でも、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロックコポリマーや、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーが好適に用いられる。
本発明のフィルムに用いられるポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーは、230℃、2.16kg荷重の下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.5〜1.0g/10分、好ましくは0.1〜0.5g/10分、更に好ましくは0〜0.1g/10分である。上記範囲における粘度に設定することで、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーがポリプロピレン系樹脂中に球状に均一分散することができ、延伸による多孔化が容易になる。
本発明のフィルムに用いられるポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーのスチレン含有量は好ましくは1質量%〜40質量%、より好ましくは1質量%〜35質量%、更に好ましくは5質量%〜35質量%、特に好ましくは10質量%〜35質量%である。ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーのスチレン含有量が上記範囲であれば、得られる成形体が柔軟になり過ぎず、後に詳細に説明する延伸時の多孔性が良好となるため好ましい。
本発明のフィルムにおけるポリプロピレン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの含有量は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー30〜70質量部であることが好ましく、さらに好ましくはポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー40〜65質量部である。ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの含有割合が上記範囲であれば、得られるフィルムの延伸性、透気性、突刺し強度をバランスよく得ることができるため好ましい。
本発明のフィルムに用いられるポリプロピレン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの混合物は、延伸前のシート状態において、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする海部と、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分とする島部からなる海島構造を有していることが好ましい。さらには、該島部の粒径が0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましい。延伸前のシート状態が上記海島構造を有していると、本発明のフィルムが、高い突刺し強度を維持しつつ、透気性がより良好となるため好ましい。
本発明のフィルムには、上記成分のほか、公知の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、滑り剤、ブロッキング防止剤、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、充填剤などをフィルム特性を低下させない程度に含有させてもよい。
本発明のフィルムは、フィルム厚みが、好ましくは50〜500μm、より好ましくは50〜200μmであることが実用上好ましい。フィルム厚みが50μm以上であれば、製膜工程及び二次加工工程で、張力によってフィルムが伸びたり、縦じわが発生したり、破断したりすることがなく好ましい。
本発明のフィルムは、透気度が、好ましくは50秒/100cc〜1000秒/100cc、より好ましくは40秒/100cc〜500秒/100cc、更に好ましくは20秒/100cc〜200秒/100ccである。透気度が上記範囲であれば、滅菌処理等に必要とされる高度な水蒸気透過性を有するフィルムを得ることができるため好ましい。
本発明のフィルムは、突刺し強度が、好ましくは400gf以上、より好ましくは500gf以上、さらに好ましくは600gf以上である。突刺し強度が上記範囲であれば、注射針やカテーテルなどの鋭利な物を包装するのに十分な強度を得ることができるため好ましい。
<本発明のフィルムの製造方法>
本発明のフィルムの製造方法は、以下の(A)、(B)の各工程を含む方法により製造することができる、この方法によれば、透過性の良好で海島構造を有する微多孔性フィルムを製造することができる。
(A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー25〜75質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物を0℃以上60℃未満の温度で延伸する冷延伸工程。
(B)前記冷延伸工程の後に、70℃以上170℃未満の温度で前記熱可塑性樹脂組成物を延伸する熱延伸工程。
本発明のフィルムの製造方法は、以下の(A)、(B)の各工程を含む方法により製造することができる、この方法によれば、透過性の良好で海島構造を有する微多孔性フィルムを製造することができる。
(A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー25〜75質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物を0℃以上60℃未満の温度で延伸する冷延伸工程。
(B)前記冷延伸工程の後に、70℃以上170℃未満の温度で前記熱可塑性樹脂組成物を延伸する熱延伸工程。
本発明のフィルムは、まず、原料を混合し、実質的に未延伸のシートを、押出方法にて製造する。
原料の混合方法は、一軸または二軸押出機、バンバリーミキサー、ミル、ニーダーブレンダーなど、各種公知の方法を採用することができ、これらの方法を用いて、あらかじめ各成分を溶融混合し、ペレット状に加工したものを押出成形に用いてもよいし、溶融混合し直接押出成形を行ってもよい。
押出方法としては、Tダイ押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形、スカイフ法等の各種成形方法を採用し得るが、中でも、本発明のフィルムに要求される物性や用途の観点からは、Tダイ押出成形が好ましい。
原料の混合方法は、一軸または二軸押出機、バンバリーミキサー、ミル、ニーダーブレンダーなど、各種公知の方法を採用することができ、これらの方法を用いて、あらかじめ各成分を溶融混合し、ペレット状に加工したものを押出成形に用いてもよいし、溶融混合し直接押出成形を行ってもよい。
押出方法としては、Tダイ押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形、スカイフ法等の各種成形方法を採用し得るが、中でも、本発明のフィルムに要求される物性や用途の観点からは、Tダイ押出成形が好ましい。
次いで、押出方法により作成された実質的に未延伸フィルムを延伸し、本発明のフィルムを得る。延伸方法としては、ロール、テンター、チューブラー、オートグラフ等の各種方法を採用し得るが、本発明のフィルムの延伸方法としては、ロールによる縦延伸工程と、テンターによる横延伸工程を組み合わせた、逐次二軸延伸を採用することが好適である。
さらに、本発明のフィルムの製造方法は、縦延伸工程において、(A)冷延伸工程、(B)熱延伸工程の2段階の延伸工程を行う。縦延伸工程を2段階で行うことにより、得られる多孔性フィルムは、高度な透気性を備えたものとなる。またフィルム外観にも優れたものとなる。以下に本実施の形態の微多孔性フィルムの製造方法について一例を挙げて説明するが、本実施の形態がこの例に限定されるものではない。
さらに、本発明のフィルムの製造方法は、縦延伸工程において、(A)冷延伸工程、(B)熱延伸工程の2段階の延伸工程を行う。縦延伸工程を2段階で行うことにより、得られる多孔性フィルムは、高度な透気性を備えたものとなる。またフィルム外観にも優れたものとなる。以下に本実施の形態の微多孔性フィルムの製造方法について一例を挙げて説明するが、本実施の形態がこの例に限定されるものではない。
<シート成形工程>
ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂のそれぞれ特定範囲の混合物からなる樹脂組成物を押出機に供給し、190℃〜240℃、好ましくは200℃〜210℃の温度で溶融混練することで、ポリプロピレン系樹脂中にポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを分散させ、T型ダイよりシート状に押出し、該シートを90〜130℃、好ましくは100℃〜120℃のロールにキャストして冷却固化する。
ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂のそれぞれ特定範囲の混合物からなる樹脂組成物を押出機に供給し、190℃〜240℃、好ましくは200℃〜210℃の温度で溶融混練することで、ポリプロピレン系樹脂中にポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを分散させ、T型ダイよりシート状に押出し、該シートを90〜130℃、好ましくは100℃〜120℃のロールにキャストして冷却固化する。
<(A)冷延伸工程>
次いで、上記成形工程で得られたシートを0℃以上60℃未満、好ましくは10℃以上40℃未満の温度で、機械方向に1.1倍以上3.0倍未満、好ましくは、1.2倍以上2.0倍未満の範囲で一軸延伸する。0℃以下で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、60℃以上で延伸した場合は、得られる延伸フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。また、本実施の形態で得られる微多孔性フィルムの透過性が向上することから、上記延伸工程((A)工程)を実施する前に、シート成形工程で得られたシートを一定の温度範囲で一定時間熱処理しても良い。
次いで、上記成形工程で得られたシートを0℃以上60℃未満、好ましくは10℃以上40℃未満の温度で、機械方向に1.1倍以上3.0倍未満、好ましくは、1.2倍以上2.0倍未満の範囲で一軸延伸する。0℃以下で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、60℃以上で延伸した場合は、得られる延伸フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。また、本実施の形態で得られる微多孔性フィルムの透過性が向上することから、上記延伸工程((A)工程)を実施する前に、シート成形工程で得られたシートを一定の温度範囲で一定時間熱処理しても良い。
<(B)熱延伸工程>
次いで、該延伸シートを70℃以上170℃未満、好ましくは90℃以上120℃未満の温度で機械方向に1.5倍以上5.0倍未満、好ましくは、1.5倍以上3.0倍の範囲で一軸延伸する。70℃以下で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、170℃以上で延伸した場合は、得られる延伸フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。また、本実施の形態の微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、上記したような条件で2段階以上延伸することが好ましい。延伸工程を1段階とすると、得られる延伸フィルムが、要求された物性を満たさない場合がある。
次いで、該延伸シートを70℃以上170℃未満、好ましくは90℃以上120℃未満の温度で機械方向に1.5倍以上5.0倍未満、好ましくは、1.5倍以上3.0倍の範囲で一軸延伸する。70℃以下で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、170℃以上で延伸した場合は、得られる延伸フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。また、本実施の形態の微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、上記したような条件で2段階以上延伸することが好ましい。延伸工程を1段階とすると、得られる延伸フィルムが、要求された物性を満たさない場合がある。
驚くべきことに、上記したような条件で2段階以上延伸することで、本実施の形態で得られる微多孔性フィルムに良好な透過性を付与できることが分かった。特開平8−34872号公報で示されるような1段階で熱延伸された熱可塑性樹脂組成物フィルムにおいては、フィルム中に空孔は形成されるものの、膜厚方向への透過性は得ることができない。これに対し、上記したような条件で2段階以上延伸すると、空孔の生成と、良好な連通孔の形成(空孔が3次元的に連結して、膜厚方向に貫通孔となること)がなされることが分かった。さらに、例えば寸法安定性を向上させることを目的として、得られた微多孔性フィルムを120〜170℃の温度で熱固定しても良い。
<横延伸工程>
次いで、(A)冷延伸工程と(B)熱延伸工程によって一軸延伸された該延伸シートの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、幅方向に延伸温度90℃以上170℃未満、好ましくは120℃以上150℃未満の範囲で、延伸倍率2倍以上5倍未満、好ましくは2倍以上4倍未満の範囲で延伸を行い、本実施の形態の微多孔性フィルムを得る。なお、上述の各延伸工程に加えて、更に延伸工程を追加することもできる。
次いで、(A)冷延伸工程と(B)熱延伸工程によって一軸延伸された該延伸シートの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、幅方向に延伸温度90℃以上170℃未満、好ましくは120℃以上150℃未満の範囲で、延伸倍率2倍以上5倍未満、好ましくは2倍以上4倍未満の範囲で延伸を行い、本実施の形態の微多孔性フィルムを得る。なお、上述の各延伸工程に加えて、更に延伸工程を追加することもできる。
<本発明の蓋材>
本発明のフィルムは、粉落ちもなく衛生性に優れ、高い突き刺し強度を有し、滅菌処理に必要とされる高度な通気性をムラなく均一かつ十分に有するので、医療用ブリスター包装体用蓋材として好適である。
本発明のフィルムは、粉落ちもなく衛生性に優れ、高い突き刺し強度を有し、滅菌処理に必要とされる高度な通気性をムラなく均一かつ十分に有するので、医療用ブリスター包装体用蓋材として好適である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
<評価方法>
(1)ガーレー透気度
JIS P8117に準拠し、王研式透気度試験機EGO1型(旭精工製)にて測定した。
(1)ガーレー透気度
JIS P8117に準拠し、王研式透気度試験機EGO1型(旭精工製)にて測定した。
(2)突刺し強度
島津製万能型試験機AGS−Xを用い、針の直径1.0mm、押し込み速度300mm/minの条件で測定し、膜が破れる時の最大荷重を突刺し強度(針貫通強度)とした。
島津製万能型試験機AGS−Xを用い、針の直径1.0mm、押し込み速度300mm/minの条件で測定し、膜が破れる時の最大荷重を突刺し強度(針貫通強度)とした。
(3)粉落ち試験
10cm角に切ったサンプルの表裏面を、5cm角の黒色発泡クロロプレンゴム(イノアックコーポレーション社製、製品番号C−4205)で10往復こすり、目視評価を行った。
・評価基準
○:粉落ちが生じていなかった。 ×:粉落ちが生じた。
10cm角に切ったサンプルの表裏面を、5cm角の黒色発泡クロロプレンゴム(イノアックコーポレーション社製、製品番号C−4205)で10往復こすり、目視評価を行った。
・評価基準
○:粉落ちが生じていなかった。 ×:粉落ちが生じた。
<原材料>
各実施例、比較例に用いた原材料は、以下の通りである。各エラストマーの()内の表示は略号である。
(ポリプロピレン系樹脂)
PP :日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックPP FY6HA」
MFR=2.4g/10分、融点=158℃
(ポリオレフィン系樹脂)
PO1:プライムポリマー社製 商品名「ハイゼックス 3300F」
MFR=1.1g/10分、融点=132℃
PO2:日本ポリエチ社製 商品名「ノバテック SF240」
MFR=2.0g/10分、融点=126℃
(ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー)
EL1:クラレ社製 商品名「セプトン1001」
スチレン−水添イソプレンブロックコポリマー(SEP)
EL2:クラレ社製 商品名「セプトン2006」
スチレン−水添イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)
EL3:クラレ社製 商品名「セプトン8004」
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)
EL4:クラレ社製 商品名「セプトン8006」
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)
EL5:旭化成ケミカルズ社製 商品名「タフテックL605」
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)
EL6:旭化成ケミカルズ社製 商品名「タフテックL606」
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)
(オレフィン系エラストマー)
EL7:三井化学社製 商品名「タフマーP0480」
エチレン−プロプレンコポリマー(EPM)
EL8:ダウ・ケミカルジャパン社製 商品名「エンゲージ8480」
エチレン−オクテンコポリマー(EOM)
(充填剤)
充填剤1:硫酸バリウム、平均粒径=1.1μm
各実施例、比較例に用いた原材料は、以下の通りである。各エラストマーの()内の表示は略号である。
(ポリプロピレン系樹脂)
PP :日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックPP FY6HA」
MFR=2.4g/10分、融点=158℃
(ポリオレフィン系樹脂)
PO1:プライムポリマー社製 商品名「ハイゼックス 3300F」
MFR=1.1g/10分、融点=132℃
PO2:日本ポリエチ社製 商品名「ノバテック SF240」
MFR=2.0g/10分、融点=126℃
(ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー)
EL1:クラレ社製 商品名「セプトン1001」
スチレン−水添イソプレンブロックコポリマー(SEP)
EL2:クラレ社製 商品名「セプトン2006」
スチレン−水添イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)
EL3:クラレ社製 商品名「セプトン8004」
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)
EL4:クラレ社製 商品名「セプトン8006」
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)
EL5:旭化成ケミカルズ社製 商品名「タフテックL605」
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)
EL6:旭化成ケミカルズ社製 商品名「タフテックL606」
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)
(オレフィン系エラストマー)
EL7:三井化学社製 商品名「タフマーP0480」
エチレン−プロプレンコポリマー(EPM)
EL8:ダウ・ケミカルジャパン社製 商品名「エンゲージ8480」
エチレン−オクテンコポリマー(EOM)
(充填剤)
充填剤1:硫酸バリウム、平均粒径=1.1μm
また、各エラストマーの物性を表1に示す。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂として、PPを100質量部、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーとしてEL1を43質量部の割合で配合し、設定温度190℃〜210℃に設定した同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、口径=25mmφ、L/D=40)に投入して溶融混練し、ダイ温度210℃、ダイ幅300mm、リップギャップ1mmとなるTダイから押出し、キャスト温度110℃の設定でキャスティングし、幅=280mm、平均厚み=300μmのシートを得た。
次に、得られた原反シートを、ロール延伸機にて、縦方向に、延伸温度20℃、延伸倍率1.5倍で延伸した後、さらに延伸温度120℃、延伸倍率2倍で延伸し、次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、横方向に延伸温度145℃、延伸倍率3倍で延伸を行い、厚み平均100μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂として、PPを100質量部、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーとしてEL1を43質量部の割合で配合し、設定温度190℃〜210℃に設定した同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、口径=25mmφ、L/D=40)に投入して溶融混練し、ダイ温度210℃、ダイ幅300mm、リップギャップ1mmとなるTダイから押出し、キャスト温度110℃の設定でキャスティングし、幅=280mm、平均厚み=300μmのシートを得た。
次に、得られた原反シートを、ロール延伸機にて、縦方向に、延伸温度20℃、延伸倍率1.5倍で延伸した後、さらに延伸温度120℃、延伸倍率2倍で延伸し、次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、横方向に延伸温度145℃、延伸倍率3倍で延伸を行い、厚み平均100μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1において、ポリプロピレン系樹脂「PP」の添加量を100質量部にし、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーEL1の添加量を67質量部にしたこと以外は、実施例1と同様の方法により、厚み平均108μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、ポリプロピレン系樹脂「PP」の添加量を100質量部にし、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーEL1の添加量を67質量部にしたこと以外は、実施例1と同様の方法により、厚み平均108μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL2に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、厚み平均100μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL2に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、厚み平均100μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例3の原反シートの、ロール延伸機での縦延伸工程において、20℃での延伸倍率を2倍としたこと以外は、実施例3と同様に成形し、厚み平均90μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
実施例3の原反シートの、ロール延伸機での縦延伸工程において、20℃での延伸倍率を2倍としたこと以外は、実施例3と同様に成形し、厚み平均90μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL3に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、厚み平均118μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL3に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、厚み平均118μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL4に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、厚み平均90μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL4に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、厚み平均90μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例6の原反シートの、ロール延伸機での縦延伸工程において、20℃での延伸倍率を2倍としたこと以外は、実施例3と同様に成形し、厚み平均80μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
実施例6の原反シートの、ロール延伸機での縦延伸工程において、20℃での延伸倍率を2倍としたこと以外は、実施例3と同様に成形し、厚み平均80μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL5に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、微多孔性フィルムを製造しようとしたが、縦延伸時に良好な均一白化が見られずシートにシワが生じ、さらに横延伸過程でシートが破断し、微多孔性フィルムが得られなかった。結果を表3に示す。
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL5に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、微多孔性フィルムを製造しようとしたが、縦延伸時に良好な均一白化が見られずシートにシワが生じ、さらに横延伸過程でシートが破断し、微多孔性フィルムが得られなかった。結果を表3に示す。
(比較例2)
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL6に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、微多孔性フィルムを製造しようとしたが、縦延伸時に良好な均一白化が見られずシートにシワが生じ、良好な透気特性が得られなかったため、以降の評価は行っていない。結果を表3に示す。
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL6に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、微多孔性フィルムを製造しようとしたが、縦延伸時に良好な均一白化が見られずシートにシワが生じ、良好な透気特性が得られなかったため、以降の評価は行っていない。結果を表3に示す。
(比較例3)
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL7に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、微多孔性フィルムを製造しようとしたが、縦延伸時に良好な均一白化が見られずシートにシワが生じ、良好な透気特性が得られなかったため、以降の評価は行っていない。結果を表3に示す。
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL7に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、微多孔性フィルムを製造しようとしたが、縦延伸時に良好な均一白化が見られずシートにシワが生じ、良好な透気特性が得られなかったため、以降の評価は行っていない。結果を表3に示す。
(比較例4)
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL8に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、微多孔性フィルムを製造しようとしたが、縦延伸時に良好な均一白化が見られずシートにシワが生じ、良好な透気特性が得られなかったため、以降の評価は行っていない。結果を表3に示す。
実施例1において、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL8に変更したこと以外は、実施例1と同様に成形し、微多孔性フィルムを製造しようとしたが、縦延伸時に良好な均一白化が見られずシートにシワが生じ、良好な透気特性が得られなかったため、以降の評価は行っていない。結果を表3に示す。
(比較例5)
実施例5と同様の方法で原反シートを作製し、この原反シートをシートの縦方向に20℃で3倍延伸したが、延伸中にシートが破断したため、以降の評価は行っていない。結果を表3に示す。
実施例5と同様の方法で原反シートを作製し、この原反シートをシートの縦方向に20℃で3倍延伸したが、延伸中にシートが破断したため、以降の評価は行っていない。結果を表3に示す。
(比較例6)
実施例5と同様の方法で原反シートを作製し、この原反シートをシートの縦方向に120℃で3倍、次いで145℃で横方向に3倍の延伸倍率で逐次延伸を行ったが、フィルムに良好な均一白化が見られず、良好な透気性能が得られなかったため、以降の評価は行っていない。結果を表3に示す。
実施例5と同様の方法で原反シートを作製し、この原反シートをシートの縦方向に120℃で3倍、次いで145℃で横方向に3倍の延伸倍率で逐次延伸を行ったが、フィルムに良好な均一白化が見られず、良好な透気性能が得られなかったため、以降の評価は行っていない。結果を表3に示す。
(比較例7)
ポリオレフィン系樹脂としてPO100質量部に対し、PO2を233質量部、充填剤1を500質量部の割合で配合し、これに加えて、硬化ひまし油(KFトレーディング社製、商品名「H−COP」)を20質量部、酸化防止剤(BASF社製、商品名「イルガフォス168」)を1.3質量部、熱安定剤(BASF社製、商品名「イルガノックス1010」)0.7質量部を添加し、同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、口径=40mmφ、L/D=32)に投入し、設定温度240℃で溶融混練してストランドダイより押出した後、ストランドを水中で冷却固化し、カッターによりストランドをカットし、ペレット状に加工した樹脂組成物を作製した。
得られた樹脂組成物を240℃の溶融状態で押出し、シートを作製した。
次に、得られた原反シートを、ロール延伸機にて、縦方向に延伸温度20℃、延伸倍率1.5倍で延伸した後、さらに延伸温度110℃、延伸倍率2倍で延伸し、次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、横方向に延伸温度100℃、延伸倍率3倍で延伸を行い、厚み平均150μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表3に示す。
ポリオレフィン系樹脂としてPO100質量部に対し、PO2を233質量部、充填剤1を500質量部の割合で配合し、これに加えて、硬化ひまし油(KFトレーディング社製、商品名「H−COP」)を20質量部、酸化防止剤(BASF社製、商品名「イルガフォス168」)を1.3質量部、熱安定剤(BASF社製、商品名「イルガノックス1010」)0.7質量部を添加し、同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、口径=40mmφ、L/D=32)に投入し、設定温度240℃で溶融混練してストランドダイより押出した後、ストランドを水中で冷却固化し、カッターによりストランドをカットし、ペレット状に加工した樹脂組成物を作製した。
得られた樹脂組成物を240℃の溶融状態で押出し、シートを作製した。
次に、得られた原反シートを、ロール延伸機にて、縦方向に延伸温度20℃、延伸倍率1.5倍で延伸した後、さらに延伸温度110℃、延伸倍率2倍で延伸し、次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、横方向に延伸温度100℃、延伸倍率3倍で延伸を行い、厚み平均150μmの微多孔性フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表3に示す。
表2に示すとおり、実施例の本発明のフィルムは、高い透気特性を有するとともに、高い突刺し強度を有している。また、粉落ちのデメリットも無く衛生面にも優れた微多孔性フィルムを得ることができた。
一方、表3に示すとおり、比較例1から4のように、MFR値が大きい、すなわち粘度が低いポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを用いた場合や、ポリオレフィン系エラストマーを用いた場合には、原反シートを延伸した際、均一白化が見られず良好な透気特性が得られない結果となった。本発明のフィルム製造においては、原反シートの海部であるポリプロピレン系樹脂中に島部としてのエラストマーが均一分散していることが必要であり、こられの系ではそれが見られなった事が原因と思われる。以下に、実施例1と比較例4の原反シート断面の透過型電子顕微鏡(TEM)の画像を示す(図1、図2)。図1(実施例1)の分散状態では、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーがポリプロピレン系樹脂中に球状に均一分散していることが見受けられるが、図2(比較例4)の状態では、オレフィン系エラストマーが引き伸ばされて広がってしまっていることが分かる。本発明のフィルムは、原反シートの延伸工程の際に、海部であるポリプロピレン系樹脂と島部であるポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの界面に応力集中させてボイドを形成させ、多孔化させることにより製造できると考えられる。そのため、本発明においては、原反シートの構造が非常に重要であることが分かる。
また、比較例5において、20℃での低温延伸工程の延伸倍率を3倍まで上げようとした所、シートが破断してしまう結果となり、比較例6において、120℃での高温延伸工程のみで微多孔フィルムを作製しようとした所、良好な透気特性が発現せず、有用な微多孔フィルムが得られない結果となった。このように本発明は、低温での冷延伸工程と高温での熱延伸工程を含む延伸工程を行うことにより、良好な透気特性を付与できるものである。
また、比較例7のように、無機充填剤を添加してフィルムを作成した場合、粉落ち試験での粉落ちが目立ち、衛生面での問題を解消させることができなかった。
本発明の微多孔性フィルムは、粉落ちもなく衛生性に優れ、高い突刺し強度を有し、かつ滅菌処理に必要とされる高度な通気性を十分に有しており、医療用ブリスター包装体用蓋材等に好適に用いることができる。
Claims (5)
- ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー25〜75質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物にて形成され、前記ポリプロピレン樹脂を主成分として含む海部と、前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部とからなる海島構造を有する微多孔性フィルムであって、
前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0〜0.1g/10分であることを特徴とする二軸延伸微多孔性フィルム。 - 前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーのスチレン含有量が1〜40質量%である請求項1に記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
- 前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部の粒径が0.01〜10μmである請求項1または2のいずれかに記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
- 突刺し強度が400gf以上である請求項1から3のいずれかに記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
- 厚みが50μm以上500μm以下、透気度が20秒/100cc以上200秒/100cc以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二軸延伸微多孔性フィルム。
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