本発明に係る止水構造の要旨は、扉枠の左右の吊元側でヒンジを介して開閉自在とした外開きの観音開き戸の内側に形成して第一扉と第二扉の召合せの角部における外側からの進水を止水自在とする止水構造であって、第一扉の戸先の角部には、平面視略等脚台形状でブロック状の召合せ凸部を外方が先端縮小となるよう第一扉の水平辺側縁に倣って突設すると共に、召合せ凸部は、戸先を越えて第二扉の側に伸延するよう配設し、扉枠の水平枠の戸当りには、召合せ凸部と略嵌合する平面視略等脚台形状の凹状をなす戸当り凹部を形成すると共に弾性変形するシール材からなる戸当りシール部を内側面に形成したことを特徴とする。すなわち、建物内外の出入口や通路に形成される観音開きの止水扉の召合せの角部からの浸水を容易且つ確実に防止する止水構造の提供を図ろうとするものである。
以下、本発明に係る止水構造1の一実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本説明中において左右同一又は左右対称の構造や部品については、原則として同一の符号を付し、左右何れか一方のみを説明して、他方については説明を適宜省略する。
また、本説明中における左右とは、図1に示した観音開き戸Aの内側Uを基準として紙面の右側を右とし、左側を左として説明する。すなわち、第一扉a1が右側に位置し、第二扉a2は左側に位置することになる。
また、本説明に係る止水構造1は、便宜上、既存の観音開き戸Aに後付けする止水ユニット100において召合せの角部Kからの浸水を容易且つ確実に防止する後付けの構造として説明しているが、後付けであるか否かは本発明に係る止水構造1とは無関係である。
また、観音開き戸Aは、垂直枠Fvに枢止連結したヒンジT側を吊元とし、両扉a1,a2が近接する召合せ側を戸先として説明する。
また、本説明に係る観音開き戸Aは、図1や図8(a)等に示すように、床面Gの上部に扉枠Fを立設したものとして説明しているが、床面Gの高さを扉枠Fの下側の水平枠Fhの高さとすることや、下側の水平枠Fhに重設した戸当たりFhbの上面の高さにする等、既存の観音開き戸Aの施工状況に応じて止水ユニット100を設置すればよい。
また、進水方向は観音開き戸Aの外側W(図4)となり、止水ユニット100が設置される内側(図1)への浸水を防止するユニットとして説明する。
また、以下の説明においては、観音開き戸Aに形成されたドアノブXについて言及しないが、本実施形態では第二扉a2の前後面に回動自在の握り玉を有するドアノブXが配設された観音開き戸Aを対象として説明を割愛している。
なお、図中では第一扉a1にはドアノブが配設されていないが、両扉a1,a2のドアノブXの有無や種類等については対象とする既存の観音開き戸Aによるため特に言及しない。
また、既存の観音開き戸Aに併設されたドアノブXが止水対応されていないものであれば対策済の市販のドアノブに交換することや、他の部材によりドアノブ全体を水密に被覆することや、止水テープによる貼着、パテ等により事前対策をしておくことが望ましい。
本発明の実施形態に係る止水構造1は、図1、図12等に示すように、扉枠Fの左右の吊元側SL,SRでヒンジTを介して開閉自在とした外開きの観音開き戸Aの内側Uに形成して第一扉a1と第二扉a2の召合せの角部Kにおける外側Wからの進水を止水自在とする止水構造1であって、第一扉a1の戸先の角部には、平面視略等脚台形状でブロック状の召合せ凸部65を外方が先端縮小となるよう第一扉a1の水平辺側縁に倣って突設すると共に、召合せ凸部65は、戸先を越えて第二扉a2の側に伸延するよう配設し、扉枠Fの水平枠Fhの戸当りFhbには、召合せ凸部65と略嵌合する平面視略等脚台形状の凹状をなす戸当り凹部81を形成すると共に弾性変形するシール材からなる戸当りシール部85を内側面に形成している。
また、戸当り凹部81の左右端の角部86,86に相当する箇所の戸当りシール部85は、外側に向けて湾曲して形成すると共に、水平枠Fhの戸当りFhbの左右端に至るまで連続して伸延するよう形成している。
また、召合せ凸部65は、第二扉a2と当接する側面を切欠して弾性変形するシール材を収容した召合せ止水受部71を形成している。
このように構成された止水構造1は、例えば、上述したように既存の観音開き戸Aに後付けする止水ユニット100の一部として、召合せの角部Kからの浸水を容易且つ確実に防止する後付けの止水構造として以下の通り説明することができる。
例示する止水ユニット100は、図1~図4に示すように、扉枠Fの左右の吊元側S(SL,SR)でヒンジTを介して開閉自在とした外開きの観音開き戸Aの内側Uに後付けして外側Wからの進水を止水自在とする止水ユニット100である。
そして、第二扉a2の吊元側SLと戸先側DLの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置する後止水付勢部2(2L,2R,2S)と、第一扉a1の吊元側SRの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁に設置する前止水付勢部4(4R,4S)と、下側の水平辺側縁の戸先近傍の召合せの角部Kに設置して戸先を越えて第二扉a2の側に伸延するよう配設した本実施形態に係る召合せ凸部65、水平枠Fhに重設した戸当りFhbに形成する本実施形態に係る戸当り凹部81と、扉枠Fの垂直枠Fvに設置する垂直枠止水受部11(11L,11R)と、第一扉a1の戸先側DRの垂直辺側縁に設置する扉止水受部37と、水平枠Fhに重設した戸当りFhbに設置する水平枠止水受部23と、で構成している。
後止水付勢部2と前止水付勢部4は、図6に示すように、各扉a1,a2に接続するための平坦面を一側面の長手方向に形成した扉接続基部6を有し、扉接続基部6の他側面には先端先鋭の凸部8を長手方向に連続して形成した止水凸部7を有し、召合せ凸部65は、図10(a)、(b)、図11(b)に示すように、第一扉a1に配設するために下底をなす面69に図示しないボルトやボルト孔等を形成し、後側面70には止水凸部7と当接して弾性変形する戸先シール材42の下側を収容自在とする縦溝72と、止水凸部7と当接して弾性変形する召合せシール材74を収容した召合せシール収容体76とからなる召合せ止水受部71を有し、戸当り凹部81は、図11(c)に示すように、召合せ凸部65が略嵌合し弾性変形するシール材からなる戸当りシール部85を有し、垂直枠止水受部11は、図6に示すように、垂直枠Fvに接続する垂直枠接続基部12と、止水凸部7と当接して弾性変形する垂直枠シール材17を収容した垂直枠シール部14とを有し、扉止水受部37は、第一扉a1に接続する戸先接続基部38と、止水凸部7と当接して弾性変形する戸先シール材42を収容した戸先シール部40とを有し、水平枠止水受部23は、図8(a)に示すように、戸当りFhbに接続する水平枠接続基部24と、止水凸部7と当接して弾性変形する水平枠シール材30を収容した水平枠シール部26とを有している。
ここで、図1は、閉蓋された外開きの観音開き戸Aの内側Uに止水ユニット100を設置した様子を内側から視認したものであり、左右の垂直枠Fvに設置した垂直枠止水受部11(11L,11R)と、下側の水平枠Fhに重設した戸当りFhbに形成した本実施形態に係る戸当り凹部81と、第一扉a1の水平辺側縁の戸先近傍である召合せの角部Kに配設した本実施形態に係る召合せ凸部65と、召合せ凸部65の上側に位置し第一扉a1の戸先側DRの垂直辺側縁に設置した扉止水受部37が前面に露出して確認できる。
また、図2は、閉蓋された図1の状態から両扉a1,a2を少しだけ開蓋した状態を示しており、図3は、図2において水平枠Fhの戸当りFhbと召合せ凸部65を除去した状態を示しており、召合せ凸部65に被覆されて図1や図2では視認できなかった扉止水受部37の下端側から露出する戸先シール材42を確認することができる。
また、図4は、閉蓋された外開きの観音開き戸Aを外側Wから視認したものであり、本実施形態では両扉a1,a2を外側Wから内側Uに付勢して係止固定する回転式の係止部材50を両扉a1,a2の下側の水平辺側縁の一部と、対向する下側の水平枠Fhに跨いで形成している。
このように構成することで、既存の観音開き戸Aに後付けで止水ユニット100をなす後止水付勢部2と前止水付勢部4と扉止水受部37と召合せ凸部65を両扉a1,a2に設置し、垂直枠止水受部11と水平枠止水受部23を扉枠F側に設置すると共に扉枠F(水平枠Fhの戸当りFhb)に戸当り凹部81を形成することで水害の際に観音開き戸Aからの浸水を防止することができる。
しかも、上述の通り構成部材が少なくシンプルな構造なので当該ユニット100を安価に提供することもできる。
なお、止水ユニット100の説明においては、図1等で示すように、止水ユニット100を観音開き戸Aの下半部に設置したものを主として説明しているが、下半部と同様の構成を上半部に対称に設置して観音開き戸Aの全体を止水自在とする構成であってもよい。
次に、本実施形態に係る止水構造1を備えた止水ユニット100について具体的に詳述する。
図5は、閉蓋された外開きの観音開き戸Aの内側Uに止水ユニット100を設置した様子を内側Uから視認した図1の部分透視正面図であり、垂直枠止水受部11と水平枠止水受部23と扉止水受部37実線で示し、後止水付勢部2と前止水付勢部4は召合せ凸部65で被覆された部分も含めて破線で示したものであり、三列に平行に示した破線のうち中央に位置する破線は凸部8を示している。
後止水付勢部2(2L,2R,2S)は、図3に示すように、第二扉a2の吊元側SLと戸先側DLの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置して外観視U字状に形成しており、図5で示した吊元側SLと戸先側DLの垂直辺側縁に設置した後止水付勢部2L,2RのA-A線断面図とB-B線断面図を図6に示し、図5で示した下側の水平辺側縁に設置した後止水付勢部2SのD-D線断面図を図8(a)に示している。
また、前止水付勢部4(4R,4S)は、図3に示すように、第一扉a1の吊元側SRの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置して外観視逆L字状に形成しており、図5で示した吊元側SRの垂直辺側縁に設置した前止水付勢部4RのC-C線断面図を図6に示し、図5で示した下側の水平辺側縁に設置した前止水付勢部4SのG-G線断面図を図9(b)に示している。
また、第二扉a2の吊元側SLの垂直辺側縁に設置する後止水付勢部2Lは、第一扉a1の吊元側SRの垂直辺側縁に設置する前止水付勢部4Rと同様の構成で対称に形成しており、また、第二扉a2の下側の水平辺側縁に設置する後止水付勢部2Sは、第一扉a1の下側の水平辺側縁に設置する前止水付勢部4Sが召合せの角部Kまでは到達しないように形成している点以外は同様の構成であるため、以下、前止水付勢部4R,4Sについては適宜説明を省略する。
図6、図8(a)、図9(b)に示すように、後止水付勢部2L,2R,2Sと前止水付勢部4R,4Sは、各々の扉a1,a2に接続するための平坦面を一側面の長手方向に形成した扉接続基部6を有し、扉接続基部6の他側面には頂角を外方に配置した先端先鋭の凸部8を長手方向に連続して形成した三角形状の止水凸部7を形成している。
また、後止水付勢部2L,2R,2Sと前止水付勢部4R,4Sは金属材料からなり、本実施形態ではステンレス材を用いて扉接続基部6と止水凸部7を一体に形成し、止水凸部7の左右側から露出した扉接続基部6には長手方向に沿って所定間隔に第一ビス孔6aを複数穿設し、両扉a1,a2に第一ビス6bにより固定される。
なお、本実施形態に係る後止水付勢部2と前止水付勢部4は、密でブロック状の三角形状の止水凸部7と板状の扉接続基部6を一体に形成したものとして説明しているが、例えば、帯状の板材を屈曲して形成してもよい。この場合、止水凸部7の裏面側、すなわち扉側に位置する扉接続基部6の止水凸部7の直後方には扉接続基部6が形成されず1辺が開放された略三角形状の空間が長手方向に伸延する形となる。
また、後止水付勢部2と前止水付勢部4は、弾性変形するシール材を当該箇所に貼着する等して代替することもできる。
召合せ凸部65は、図10(a)、(b)、図11(b)に示すように、上底66の両端の内角67が略120°で、長さの異なる2つの台形の脚68a,68bと、凹凸を有し部分的な下底69を有する後側面70とで平面視略等脚台形状でブロック状に形成している。
なお、上底66の両端と脚68a,68bとで形成する角部を面取りして湾曲状に構成しても良い。
また、図5に示す召合せ凸部65の周縁について、図5のE-E線断面図を図8(b)に、F-F線断面図を図9(a)に示している。
また、召合せ凸部65は、図11(b)、図13(b)等に示すように、外方が先端縮小となるよう第一扉a1の水平辺側縁に倣って突設すると共に、戸先を越えて第二扉a2の側に伸延するよう図示しないボルト等により下底をなす面69を第一扉a1に当接して配設される。
後側面70は、図10(a)、(b)と図11(b)に示すように、図3で示した戸先シール材42の下側が収容自在となるように略中央において鉛直方向に切欠した矩形状の縦溝72と、縦溝72の第二扉a2側を縦溝72よりも若干だけ浅く全体を鉛直方向に切欠してシール設置面73とした召合せ止水受部71を形成している。
図3示した縦溝72に収容される戸先シール材42の下側は、図12に示すように、閉蓋時に第二扉a2の戸先側DLの角部に位置する後止水付勢部2Rと当接するように形成している。
また、シール設置面73に配設される召合せシール材74は、そのままシール設置面73に貼着してもよく、または、図10(a)、(b)、図8(b)に示すように、シール設置面73に沿って形成しシール設置面73に接続する平板状の召合せ接続基部75を外側面とした断面視略コ字状で金属製の召合せシール収容体76を用いても良い。
この場合、召合せ接続基部75には長手方向に沿って所定間隔に第七ビス孔78を複数穿設し、シール設置面73に召合せ接続基部75を当接させた状態で第七ビス79により召合せ凸部65に固定される。
また、召合せシール材74は、断面視矩形状に形成し、閉蓋時に第二扉a2の戸先側の角部に位置する後止水付勢部2Sの止水凸部7と召合せシール材74とが対峙するように貼着、又は召合せシール収容体76に収容される。
なお、断面視略コ字状の召合せシール収容体76は、対向する二片77a,77bのうち上側の片77aの長さを召合せシール材74の厚みよりも狭くすることで当該片77aが第二扉a2や後止水付勢部2と接触しないように形成している。
このように形成した召合せ凸部65は、外方が先端縮小となるよう第一扉a1の水平辺側縁に倣って突設すると共に、戸先を越えて第二扉a2の側に伸延するよう図示しないボルト等により第一扉a1に配設される。
なお、本実施形態では止水構造1を後付けの止水ユニット100の一部として説明している関係から後側面70の形状を上述の通りとしているが、後側面70の形状は本実施形態に限定されるものではない。
また、図10(b)に示すように、召合せシール材74の外端部を召合せ凸部65の脚68bと面一になるよう傾斜して形成しているが、当該部分の形状は止水状況に応じて適宜変更することができる。
なお、召合せ凸部65は、図15(a)に示すように、弾性変形するシール材からなる召合せ嵌合シール部80を外側面に形成し、召合せ凸部65と略嵌合する戸当り凹部81との水密性を向上させることもできる。
この場合、図15(b)に示すように、召合せ嵌合シール部80を第一扉a1の前止水付勢部4Sに代わって連続して伸延するよう形成しても良い。
次に、召合せ凸部65と略嵌合する平面視略等脚台形状で凹状をなす戸当り凹部81は、図11(c)、図14に示すように、扉枠Fの水平枠Fhの戸当りFhbに形成し、弾性変形するシール材からなる戸当りシール部85を内側面に形成している。
戸当り凹部81は、水平枠Fhの戸当りFhbの略中央において召合せ凸部65が略嵌合する程度の平面視略等脚台形状に切欠し、具体的には、上底82の両端の内角83が略120°で、同長さの2つの台形の脚84,84と、開放された下底からなる空間を形成している。
このように、戸当り凹部81は戸当りFhbの垂直な内側面の一部が水平方向の開口をなす開放された台形空間の下底となるように形成しており、その左右側の戸当りFhbの内側面は後止水付勢部2Sと前止水付勢部4Sの凸部8が後述する水平枠止水受部23(戸当りシール部85が戸当りFhbの左右端に至るまで連続して伸延するよう戸当りFhbに形成する場合の戸当りシール部と同義)の水平枠シール材30と当接して止水する。
本実施形態では、後付けの部品を既存の扉に設置する止水ユニット100を例示しているため、戸当り凹部81を形成する際は戸当りFhbを切欠することや別途の戸当りFhbに交換する等の対応となり、図8(a)や図9(b)に示すように、後述する水平枠止水受部23の構成をそのまま用いつつ、戸当りシール部85は戸当り凹部81の内側面のみに形成することもできる。
また、特に問題が無ければ図11(c)等に示すように、戸当りシール部85を水平枠止水受部23の代替として直に戸当りFhbに貼着等して戸当りシール部85が戸当りFhbの左右端に至るまで連続して伸延するよう形成しても良い。
また、後述する水平枠止水受部23が有する断面視略コ字状の水平枠シール部26をそのまま利用して内部に戸当りシール部85を収容しつつ戸当りFhbの左右端に至るまで連続して伸延するよう形成しても良い。
また、図11(c)に示すように、戸当り凹部81の開口の左右角部86,86に相当する箇所に形成する戸当りシール部85は、外側に向けて湾曲Vして形成しており、上述の戸当りシール部85の形成方法の違いによらずこのように湾曲Vさせることが望ましい。
なお、この戸当り凹部81の開口をなす戸当りFhbの左右角部86(平面視略等脚台形状を形成する下底と脚84でなす角部)自体を湾曲面として形成することもできる。
このように、後止水付勢部2L,2R,2Sと前止水付勢部4R,4Sの止水凸部7と召合せ凸部65は、扉枠Fの垂直枠Fvに設置する後述する垂直枠止水受部11L,11Rと、水平枠Fhの戸当りFhbに設置する水平枠止水受部23と、第一扉a1の戸先側DRの垂直辺側縁に設置する扉止水受部37と、第二扉a2の戸先が当接する後側面を切欠した召合せ凸部65の召合せ止水受部71と、水平枠Fhの戸当りFhbに形成した戸当り凹部81の各々が備える垂直枠シール材17、水平枠シール材30、戸先シール材42、召合せシール材74、戸当りシール部85と水密に当接して観音開き戸Aの外側Wからの進水を防止する。
次に、垂直枠止水受部11(11L,11R)と扉止水受部37と水平枠止水受部23について具体的に詳述する。
垂直枠止水受部11は、図1、図6、図7に示すように、扉枠Fの左右の垂直枠Fvの戸当たりBの内側面Bnに沿って設置され、図5のA-A線断面図とC-C線断面図を図6に示している。
垂直枠止水受部11は、金属製で垂直枠Fvに沿った長尺に形成し、垂直枠Fvに接続する平板状の垂直枠接続基部12と、止水凸部7と当接して弾性変形する垂直枠シール材17を収容した断面視略コ字状の垂直枠シール部14からなる。
なお、本実施形態では平板状の垂直枠接続基部12の一部に垂直枠シール部14の下片15を重設して一体に形成している。
垂直枠接続基部12には長手方向に沿って所定間隔に第二ビス孔13を複数穿設し、垂直枠Fvの戸当たりBの内側面Bnに垂直枠シール部14の外側面を当接させた状態で戸当たりBの前面Bfに垂直枠接続基部12の内側を当接させて第二ビス13aにより垂直枠Fvに固定される。
垂直枠シール部14に収容する垂直枠シール材17は、断面視矩形状の一辺のみ内側に傾斜させた傾斜面18を有する断面視台形状に形成し、閉蓋時に後止水付勢部2Lや前止水付勢部4Rの止水凸部7と傾斜面18とが対峙するように垂直枠シール部14に収容される。
なお、断面視略コ字状の垂直枠シール部14は、垂直枠シール材17の形状に倣って対向する二片16a,16bの長さを垂直枠シール材17の上底と下底の長さと略同長さに形成しており、また、当該片16a,16bが両扉a1,a2や後止水付勢部2L、前止水付勢部4Rと接触しないように形成している。
また、垂直枠Fvの戸当たりBの内側面Bnから突出する垂直枠シール部14の幅員は、両扉a1,a2の吊元側SL,SRの垂直辺側縁に設置する後止水付勢部2Lと前止水付勢部4Rが正面視で被覆される程度に形成している。
また、本実施形態に係る垂直枠止水受部11は、扉枠Fとの接続をより向上させるため、垂直枠シール部14の下部に垂直枠ビス挿通部19を形成している。
垂直枠ビス挿通部19は、垂直枠シール部14の下片15を嵩上げするように形成し、対向する二片16a,16bにより第三ビス20aが貫通する程度の断面視矩形状の空間をなしている。
垂直枠ビス挿通部19の二片16a,16bには、垂直枠Fvの戸当たりBの内側面Bnに向けてビス止めするための第三ビス孔20,20を長手方向に沿って所定間隔に複数穿設している。
扉止水受部37は、図1に示すように、第一扉a1の戸先側DRの垂直辺側縁に沿って設置され、図5のB-B線断面図を図6に示している。
扉止水受部37は、金属製で第一扉a1の戸先側DRの垂直辺側縁に沿った長尺に形成し、第一扉a1に接続する平板状の戸先接続基部38と、第二扉a2側に伸延し止水凸部7と当接して弾性変形する戸先シール材42を収容した断面視略コ字状の戸先シール部40からなる。
なお、本実施形態では、扉止水受部37は帯状の平板を屈曲することで戸先接続基部38と戸先シール部40を断面視略柄杓状に一体に形成している。
戸先接続基部38には長手方向に沿って所定間隔に第四ビス孔39を複数穿設し、第二扉a2の戸先側DRの垂直辺側縁に当接させて第四ビス39aにより第二扉a2に固定される。
戸先シール部40に収容する戸先シール材42は、断面視矩形状に形成し、閉蓋時に後止水付勢部2Rの止水凸部7と戸先シール材42とが対峙するように戸先シール部40に収容される。
なお、断面視略コ字状の戸先シール部40は、対向する二片41a,41bのうち外側の片41aの長さを戸先シール材42の長さよりも短く形成することで当該片41aが第二扉a2や後止水付勢部2Rと接触しないように形成している。
また、第二扉a2側に伸延する戸先シール部40の幅員は、第二扉a2の戸先側DLの垂直辺側縁に設置する後止水付勢部2Rが正面視で被覆される程度に形成している。
また、扉止水受部37の戸先接続基部38の下端と戸先シール材42を除いた戸先シール部40の下端は、図2に示すように、第一扉a1の召合せの角部Kを被覆するように配設される召合せ凸部65に干渉しない長さに形成すると共に、図3に示すように、下方に露出した戸先シール材42は、図10(a)、(b)に示すように、召合せ凸部65の後側面70を切欠して形成した召合せ止水受部71の縦溝72内に収容される。
水平枠止水受部23は、図5に示すように、下側の水平枠Fhの戸当りFhbの内側面Fhnに沿って設置され、図5のD-D線断面図とG-G線断面図を図8(a)、図9(b)に示している。
水平枠止水受部23は金属製で、同じく戸当りFhbの中央部近傍に形成した戸当り凹部81の左右側に戸当りFhbに沿って2箇所形成し、止水凸部7と当接して弾性変形する水平枠シール材30を収容し、戸当りFhbに接続する平板状の水平枠接続基部24を外側面とした断面視略コ字状の水平枠シール部26からなる。
水平枠接続基部24には長手方向に沿って所定間隔に第五ビス孔25を複数穿設し、戸当りFhbの内側面Fhnに水平枠接続基部24を当接させた状態で第五ビス25aにより戸当りFhbに固定される。
また、水平枠シール部26に収容する水平枠シール材30は、断面視矩形状に形成し、閉蓋時に後止水付勢部2S(下端の一部について吊元側SLの後止水付勢部2Lを含む)と前止水付勢部4S(下端の一部について吊元側SRの前止水付勢部4Rを含む)の止水凸部7と水平枠シール材30とが対峙するように水平枠シール部26に収容される。
なお、断面視略コ字状の水平枠シール部26は、対向する二片27a,27bのうち上側の片27aの長さを水平枠シール材30の厚みよりも短くすることで当該片27aが両扉a1,a2や後止水付勢部2、前止水付勢部4と接触しないように形成している。
また、下側の戸当りFhbの高さは、両扉a1,a2の下側の水平辺側縁に設置する後止水付勢部2Sと前止水付勢部4Sと召合せ凸部65が正面視で被覆される程度に形成しており、水平枠シール部26の高さ(幅員)も戸当りFhbの高さに略等しい高さに形成している。
なお、水平枠止水受部23は、上述したように断面視略コ字状の水平枠シール部26をそのまま利用して内部に水平枠シール材30の代替として戸当りシール部85を収容しつつ戸当りFhbの左右端に至るまで連続して伸延するよう形成しても良く、また、戸当りシール部85を戸当りFhbの左右端に至るまで連続して伸延するよう戸当りFhbに直に貼着等して代替しても良い。
以上、説明した構成が本実施形態に係る止水構造1を備えた止水ユニット100であるが、既存の観音開き戸Aに後付けする止水ユニット100の一部として召合せの角部Kからの浸水を容易且つ確実に防止する構成について更に具体的に詳述する。
図12は、下側に設置した召合せの角部Kの閉蓋時の状態を模式的に示した斜視図であり、扉止水受部37の詳細な構成は割愛して戸先シール材42のみを示しており、水平枠止水受部23は戸当りシール部85を戸当りFhbの左右端に至るまで連続して伸延するよう戸当りFhbに直に貼着して水平枠止水受部23を戸当りシール部85で代替したもので、この状態を主要な構成毎に平面的に示したものが図14である。
また、図13(a)に示した戸先側DLの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに後止水付勢部2(2R,2S)設置した第二扉a2の召合せの角部K近傍は、図14の上側の図に相当し、図13(b)の上側の図は扉止水受部37(戸先シール材42のみ)と前止水付勢部4S、及び召合せシール材74を備えた召合せ凸部65を設置した第一扉a1の召合せの角部K近傍を示しており、図14の中央の図に相当し、図13(b)の下側の図は戸当りFhbの内側面の全体に戸当りシール部85を貼着した戸当り凹部81を含む戸当りFhbを示しており、図14の下側の図に相当する。
なお、これらを分解したものを図11(a)~(c)に示している。
こらの構成から分かるように、第二扉a2の後止水付勢部2Rの凸部8は、第一扉a1の召合せ凸部65内に収容された扉止水受部37の戸先シール材42の下端側、及びそれ以外の部分と当接し、第二扉a2の水平辺側縁の後止水付勢部2Sの凸部8は、戸先側DLにおいて第一扉a1の召合せ凸部65の召合せシール材74と当接し、それ以外の部分は戸当り凹部81の左側の戸当りFhbの戸当りシール部85と当接し、第一扉a1の前止水付勢部4Sの凸部8は、戸当り凹部81の右側の戸当りFhbの戸当りシール部85と当接し、召合せ凸部65は、戸当り凹部81と略嵌合して戸当りシール部85と当接する。
このような各部の関係により、本実施形態に係る止水構造1では召合せの角部Kからの浸水を防止することが可能となる。
なお、召合せ凸部65と隣接する前止水付勢部4Sの端部は図14の中央の図に示すように召合せ凸部65側に傾斜して密着させているが、当該部分の構成は適宜変更することができる。
また、本実施形態では召合せ凸部65の後側面70を除く外周面にはシール材を設けていないが、図15(a)に示すように当該部分にシール材を貼着することや、このシール材を図15(b)に示すように前止水付勢部4Sに至るまで連続して伸延して形成する等、本発明の要旨の範囲内において種々の変形変更が可能である。
また、主要な構成ではないが、図4、図8(b)等に示すように、本実施形態では両扉a1,a2を外側Wから内側Uに付勢して係止固定する回転式の係止部材50を両扉a1,a2の下側の水平辺側縁の一部と、対向する下側の水平枠Fhに跨いで形成している。
係止部材50は、水平方向を軸心方向として垂直方向に回動する回動係止部51と、回動係止部51と係合する係合受部57とで構成し、回動係止部51は、板状の回動基部52と、回動基部52に突設した回動軸53と、回動軸53周りに回動自在に形成した略三日月状でその一方の端部に傾斜部55を形成した鍵部54と、鍵部54に連設した把持部56とからなり、回動基部52を両扉a1,a2の下側の水平辺側縁の召合せ側近傍に把持部56が上方となるように接続固定している。
また、係合受部57は、板状の固定基部58と、固定基部58に突設した側面視逆L字状の係合付勢部59とからなり、固定基部58を回動係止部51と対向する下側の水平枠Fhの外周面に係合付勢部59の開放片60の端部が上方となるように接続固定することで開放片60と水平枠Fhの外周面との間に鍵部54が挿入される空間61を形成している。
係合付勢部59による空間61には、把持部56により回動させた鍵部54に形成した傾斜部55が挿入され、傾斜部55が係合付勢部59の開放片60の内側に当接しながら付勢することで両扉a1,a2を内側U、すなわち止水ユニット100の設置側に付勢させることができる。
なお、本実施形態では両扉a1,a2に係止部材50を配設しているが、一方の扉a1に配設することで第二扉a2も同時に内側Uに付勢するため必ずしも両扉a1,a2に配設することはなく、また、係止部材50を配設する必要が無ければそれでもよい。
また、係止部材50は本実施形態に限定されず、例えば、所謂フランス落し等の部材を用いる等、種々の変形・変更が可能である。
以上、説明したように本実施形態に係る止水構造1を備えた止水ユニット100は構成しており、止水ユニット100を観音開き戸Aの下半部のみに設置するか全体に設置するかは状況に応じて適宜選択すればよい。
このような止水ユニット100が備える本実施形態に係る止水構造1は、第一扉a1の戸先の角部に平面視略等脚台形状でブロック状の召合せ凸部65を外方が先端縮小となるよう第一扉a1の水平辺側縁に倣って突設すると共に、召合せ凸部65は、戸先を越えて第二扉a2の側に伸延するよう配設し、扉枠Fの水平枠Fhの戸当りFhbには、召合せ凸部65と略嵌合する平面視略等脚台形状の凹状をなす戸当り凹部81を形成すると共に弾性変形するシール材からなる戸当りシール部85を内側面に形成したことより、閉蓋時の召合せ凸部65と戸当り凹部81の戸当りシール部85との接触面積が広いため、閉蓋時の第一扉a1と第二扉a2への押圧力にバラツキが生じても戸当りシール部85の変形具合に大きく影響することはないため高い止水性能を達成することができる。
また、閉蓋操作時に召合せ凸部65と戸当り凹部81の戸当りシール部85とが不用意に接触することなく当接して略嵌合し、戸当りシール部85への意図せぬ応力集中が生じないため戸当りシール部85の均一な変形により高い止水性能を達成することができる。
また、戸当り凹部81の左右端の角部86,86に相当する箇所の戸当りシール部85は、外側に向けて湾曲Vして形成したことより、閉蓋操作時に召合せ凸部65と戸当り凹部81の戸当りシール部85との不用意な接触を更に回避することができるため高い止水性能を達成することができる。
また、戸当りシール部85は、水平枠Fhの戸当りFhbの左右端に至るまで連続して伸延するよう形成したことより、水平枠Fh全体に対する止水性能の向上が図られるだけでなく、戸当り凹部81の左右端の角部86,86に相当する箇所の戸当りシール部85を意図せずとも外側に向けて湾曲Vして形成することができる。
更に、召合せ凸部65は、弾性変形するシール材からなる召合せ嵌合シール部80を外側面に形成したことより、閉蓋時に召合せ嵌合シール部80と戸当りシール部85とが当接することになり、閉蓋時の第一扉a1と第二扉a2への押圧力のバラツキによる両シール部80,85の変形具合への影響が更に抑制され、しかも、応力集中の問題も生じ難いため高い止水性能を達成することができる。
しかも、召合せ凸部65は、第二扉a2と当接する後側面70を切欠して弾性変形するシール材を収容した召合せ止水受部71を形成したことより、召合せの角部Kにおける第一扉a1と第二扉a2の間隙の止水を召合せ凸部65によって同時に達成することが可能となる。
以上、本発明の本実施形態に係る止水構造1の好ましい実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形・変更が可能である。