本発明に係る止水ユニットの要旨は、扉枠の左右の吊元側でヒンジを介して開閉自在とした外開きの観音開き戸の内側に後付けして外側からの進水を止水自在とする止水ユニットであって、一方の扉の吊元側と戸先側の垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置する後止水付勢部と、他方の扉の吊元側の垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置する前止水付勢部と、扉枠の垂直枠に設置する垂直枠止水受部と水平枠に設置する水平枠止水受部と、他方の扉の戸先側の垂直辺側縁に設置する扉止水受部と、からなり、後止水付勢部と前止水付勢部は、各扉に接続するための平坦面を一側面の長手方向に形成した扉接続基部を有し、扉接続基部の他側面には先端先鋭の凸部を長手方向に連続して形成した止水凸部を有し、他方の扉の下側の水平辺側縁に設置する前止水付勢部は、戸先を越えて伸延する延長付勢部を有すると共に、延長付勢部は、閉蓋時に一方の扉の戸先側の角部に位置する後止水付勢部と近接し、垂直枠止水受部は、垂直枠に接続する垂直枠接続基部と、止水凸部と当接して弾性変形するシール材を収容した垂直枠シール部とを有し、水平枠止水受部は、水平枠に接続する水平枠接続基部と、止水凸部と当接して弾性変形するシール材を収容した水平枠シール部とを有し、扉止水受部は、他方の扉に接続する戸先接続基部と、止水凸部と当接して弾性変形するシール材を収容した戸先シール部とを有し、水平枠止水受部は、閉蓋時に戸先シール部の端部側と嵌合する切欠き嵌合部を形成したことを特徴とする。すなわち、建物内外の出入口や通路に形成された既存の扉に後付けで設置可能で水害の際に扉からの浸水を容易に防止できると共に、構造がシンプルで安価に製造できる止水ユニットの提供を図ろうとするものである。
以下、本発明に係る止水ユニット1の一実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本説明中において左右同一又は左右対称の構造や部品については、原則として同一の符号を付し、左右何れか一方のみを説明して、他方については説明を適宜省略する。
また、本説明中における左右とは、図1に示した観音開き戸Aの内側Uを基準として紙面の右側を右とし、左側を左として説明する。すなわち、一方の扉a1が左側に位置し、他方の扉a2は右側に位置することになる。
また、観音開き戸Aは、垂直枠Fvに枢止連結したヒンジT側を吊元とし、両扉a1,a2が近接する召し合わせ側を戸先として説明する。
また、本説明に係る観音開き戸Aは、図1や図9等に示すように、床面Gの上部に扉枠Fを立設したものとして説明しているが、床面Gの高さを扉枠Fの下側の水平枠Fhの内側面Fhnの高さとすることや、水平枠止水受部23の上端の高さにする等、既存の観音開き戸Aの施工状況に応じて止水ユニット1を設置すればよい。
また、進水方向は観音開き戸Aの外側W(図5)となり、止水ユニット1が設置される内側(図1)への浸水を防止するユニットとして説明する。
また、以下の説明においては、観音開き戸Aに形成されたドアノブXについて言及しないが、本実施形態では一方の扉a1の前後面に回動自在の握り玉を有するドアノブXが配設された観音開き戸Aを対象として説明を割愛している。
なお、図中では他方の扉a2にはドアノブが配設されていないが、両扉a1,a2のドアノブXの有無や種類等については対象とする既存の観音開き戸Aによるため特に言及しない。
また、既存の観音開き戸Aに併設されたドアノブXが止水対応されていないものであれば対策済の市販のドアノブに交換することや、他の部材によりドアノブ全体を水密に被覆することや、止水テープによる貼着、パテ等により事前対策をしておくことが望ましい。
本発明の実施形態に係る止水ユニット1は、図1〜図5、図7、図9(a)に示すように、扉枠Fの左右の吊元側S(SL,SR)でヒンジTを介して開閉自在とした外開きの観音開き戸Aの内側Uに後付けして外側Wからの進水を止水自在とする止水ユニット1であって、一方の扉a1の吊元側SLと戸先側DLの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置する後止水付勢部2(2L,2R,2S)と、他方の扉a2の吊元側SRの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置する前止水付勢部4(4R,4S)と、扉枠Fの垂直枠Fvに設置する垂直枠止水受部11(11L,11R)と水平枠Fhに設置する水平枠止水受部23と、他方の扉a2の戸先側DRの垂直辺側縁に設置する扉止水受部37と、からなり、後止水付勢部2と前止水付勢部4は、各扉a1,a2に接続するための平坦面を一側面の長手方向に形成した扉接続基部6を有し、扉接続基部6の他側面には先端先鋭の凸部8を長手方向に連続して形成した止水凸部7を有し、他方の扉a2の下側の水平辺側縁に設置する前止水付勢部4Sは、戸先を越えて伸延する延長付勢部5を有すると共に、延長付勢部5は、閉蓋時に一方の扉a1の戸先側DLの角部に位置する後止水付勢部2Rと近接し、垂直枠止水受部11は、垂直枠Fvに接続する垂直枠接続基部12と、止水凸部7と当接して弾性変形する垂直枠シール材17を収容した垂直枠シール部14とを有し、水平枠止水受部23は、水平枠Fhに接続する水平枠接続基部24と、止水凸部7と当接して弾性変形する水平枠シール材30を収容した水平枠シール部26とを有し、扉止水受部37は、他方の扉a2に接続する戸先接続基部38と、止水凸部7と当接して弾性変形する戸先シール材42を収容した戸先シール部40とを有し、水平枠止水受部23は、閉蓋時に戸先シール部40の端部側と嵌合する切欠き嵌合部31を形成している。
ここで、図1は、閉蓋された外開きの観音開き戸Aの内側Uに止水ユニット1を設置した様子を内側から視認したものであり、左右の垂直枠Fvに設置した垂直枠止水受部11(11L,11R)と下側の水平枠Fhに設置した水平枠止水受部23と他方の扉a2の戸先側DRの垂直辺側縁に設置した扉止水受部37が前面に露出して確認できる。
また、図2は、垂直枠止水受部11と水平枠止水受部23と扉止水受部37の裏側に被覆されるように両扉a1,a2に設置した後止水付勢部2(2L,2R,2S)と前止水付勢部4(4R,4S)を示しており、前面に露出した垂直枠止水受部11と水平枠止水受部23と扉止水受部37を除去するとこのように図示される。
また、図3は、閉蓋された図1の状態から両扉a1,a2を少しだけ開蓋した状態を示しており、図4は、図3において水平枠止水受部23と扉止水受部37を除去した状態を示しており、扉止水受部37に被覆されて図1や図3では視認できなかった他方の扉a2の下側の水平辺側縁に設置した前止水付勢部4Sにおいて戸先を越えて伸延する延長付勢部5を確認することができる。
また、図5は、閉蓋された外開きの観音開き戸Aを外側Wから視認したものであり、本実施形態では両扉a1,a2を外側Wから内側Uに付勢して係止固定する回転式の係止部材50を両扉a1,a2の下側の水平辺側縁の一部と、対向する下側の水平枠Fhに跨いで形成している。
このように構成することで、既存の観音開き戸Aに後付けで止水ユニット1をなす後止水付勢部2と前止水付勢部4と扉止水受部37を両扉a1,a2に設置し、垂直枠止水受部11と水平枠止水受部23を扉枠Fに設置するだけで水害の際に観音開き戸Aからの浸水を容易に防止することができる。
しかも、上述の通り構成部材が少なくシンプルな構造なので当該ユニット1を安価に提供することができる。
なお、本実施形態に係る止水ユニット1の説明においては、図1等で示すように、止水ユニット1を観音開き戸Aの下半部に設置したものを主として説明しているが、下半部と同様の構成を上半部に対称に設置して観音開き戸Aの全体を止水自在とする構成であってもよい。
次に、本実施形態に係る止水ユニット1について具体的に詳述する。
図6は、閉蓋された外開きの観音開き戸Aの内側Uに止水ユニット1を設置した様子を内側Uから視認した図1の正面図であり、垂直枠止水受部11と水平枠止水受部23と扉止水受部37で被覆された後止水付勢部2と前止水付勢部4を破線で示したものであり、三列に平行に示した破線のうち中央に位置する破線は凸部8を示している。
後止水付勢部2(2L,2R,2S)は、図4に示すように、一方の扉a1の吊元側SLと戸先側DLの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置して外観視U字状に形成しており、図6で示した吊元側SLと戸先側DLの垂直辺側縁に設置した後止水付勢部2L,2RのA−A線断面図とB−B線断面図を図7に示し、図6で示した下側の水平辺側縁に設置した後止水付勢部2SのD−D線断面図を図9(a)に示している。
また、前止水付勢部4(4R,4S)は、図4に示すように、他方の扉a2の吊元側SRの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置して外観視逆L字状に形成しており、図6で示した吊元側SRの垂直辺側縁に設置した前止水付勢部4RのC−C線断面図を図7に示し、図6で示した下側の水平辺側縁に設置した前止水付勢部4Sの断面図は上述の後止水付勢部2SのD−D線断面図を示す図9(a)と略同一のため割愛している。
また、一方の扉a1の吊元側SLの垂直辺側縁に設置する後止水付勢部2Lは、他方の扉a2の吊元側SRの垂直辺側縁に設置する前止水付勢部4Rと同様の構成で対称に形成しており、また、一方の扉a1の下側の水平辺側縁に設置する後止水付勢部2Sは、他方の扉a2の下側の水平辺側縁に設置する前止水付勢部4Sに延長付勢部5を形成している点以外は同様の構成であるため前止水付勢部4R,4Sについては適宜説明を省略する。
図7、図9(a)に示すように、後止水付勢部2L,2R,2Sと前止水付勢部4R,4Sは、各々の扉a1,a2に接続するための平坦面を一側面の長手方向に形成した扉接続基部6を有し、扉接続基部6の他側面には頂角を外方に配置した先端先鋭の凸部8を長手方向に連続して形成した三角形状の止水凸部7を形成している。
また、後止水付勢部2L,2R,2Sと前止水付勢部4R,4Sは金属材料からなり、本実施形態ではステンレス材を用いて扉接続基部6と止水凸部7を一体に形成し、止水凸部7の左右側から露出した扉接続基部6には長手方向に沿って所定間隔に第一ビス孔6aを複数穿設し、両扉a1,a2に第一ビス6bにより固定される。
なお、本実施形態に係る後止水付勢部2と前止水付勢部4は、密でブロック状の三角形状の止水凸部7と板状の扉接続基部6を一体に形成したものとして説明しているが、例えば、帯状の板材を屈曲して形成してもよい。この場合、止水凸部7の裏面側、すなわち扉側に位置する扉接続基部6の止水凸部7の直後方には扉接続基部6が形成されず1辺が開放された略三角形状の空間が長手方向に伸延する形となる。
また、後止水付勢部2L,2R,2Sと前止水付勢部4R,4Sの止水凸部7は、扉枠Fの垂直枠Fvに設置する後述する垂直枠止水受部11L,11Rと水平枠Fhに設置する水平枠止水受部23と他方の扉a2の戸先側DRの垂直辺側縁に設置する扉止水受部37の各々に配設した垂直枠シール材17、水平枠シール材30、戸先シール材42と水密に当接して観音開き戸Aの外側Wからの進水を防止する。
なお、図8に示すように、扉a1を閉蓋する際は、後止水付勢部2Lの止水凸部7が垂直枠止水受部11Lの垂直枠シール材17を弾性変形させながら密着当接するため吊元側SLの後止水付勢部2Lには吊元側SLから戸先側DLに向けて大きな曲げモーメントMが生じるため、扉a1と後止水付勢部2Lとの接続強度を向上させる必要がある。
すなわち、吊元側SLの後止水付勢部2Lには、凸部8を基点として吊元側SLから戸先側DLに向けて後止水付勢部2Lを引き剥がすような力が作用する。
従って、吊元側SLの垂直辺側縁に設置する後止水付勢部2Lの扉接続基部6は、設置する扉の大きさや状況に応じて図12(a)〜(d)に示すように、凸部8に対して吊元側SLよりも戸先側DLの幅員t2を幅広に形成することで一方の扉a1と後止水付勢部2Lとの接続強度を向上させることができる。
この場合、後止水付勢部2Lへの負荷が特に大きい場合は、図12(a)に示すように、戸先側DLの幅員t2を吊元側SLの幅員t1の3倍以上、望ましくは5倍以上に形成しつつ吊元側SLと戸先側DLからビス止めにて一方の扉a1と接続する。
なお、後止水付勢部2Lへの負荷の程度によっては、図12(b)に示すように、吊元側SLはビス止めせず戸先側DLのみのビス止めにて一方の扉a1と接続してもよい。
また、後止水付勢部2Lと一方の扉a1との接続においては、接続強度が保たれる限りビス止めは必須ではなく、例えば、図12(c)に示すように、戸先側DLの幅員t2を吊元側SLの幅員t1の5倍以上に形成しつつ扉接続基部6と一方の扉a1との間を両面テープ9や接着剤等を介して接続してもよく、このように形成することで施工を簡略化することができる。
更に、図12(d)に示すように、扉接続基部6を戸先側DLのみに形成して扉接続基部6と一方の扉a1との間を両面テープ9や接着剤等を介して接続してもよい。
このように、扉接続基部6の幅員や形成方向は閉蓋時の後止水付勢部2Lへの負荷に応じて種々の構成を適用でき、しかも、上述した図12(a)〜(d)の構成を適宜組み合わせたものとしてもよい。
なお、上述した構成は、他方の扉a2に対称に形成される吊元側SRの前止水付勢部4Rに対しても同様に適用されることは言うまでもない。
また、一方の扉a1の戸先側DLの垂直辺側縁に設置する後止水付勢部2Rは、他方の扉a2が閉蓋した状態で一方の扉a1を閉蓋しても、後止水付勢部2Rの止水凸部7は閉蓋直前まで他方の扉a2の戸先側DRに設置した扉止水受部37の戸先シール材42と密着当接しないため、凸部8を基点とする曲げモーメントMは小さく、上述のような扉接続基部6の幅員や形成方向については特段の考慮は不要だが、扉接続基部6と一方の扉a1との間を両面テープ9や接着剤等を介して接続することで施工を簡略化することができる。
また、一方の扉a1と他方の扉a2の下側の水平辺側縁に設置する後止水付勢部2Sと前止水付勢部4Sは、両扉a1,a2を閉蓋しても、止水凸部7は水平枠止水受部23の水平枠シール材30に対して略正面から密着当接していくため後止水付勢部2Sと前止水付勢部4Sの短手方向への負荷は限定的であり、長手方向に対しても負荷は小さく、閉蓋途中で長手方向に生じる凸部8を基点とする曲げモーメントMも閉蓋完了時にはほぼ解消されるため上述のような扉接続基部6の幅員や形成方向についての特段の考慮は不要であるが、扉接続基部6と両扉a1,a2との間を両面テープ9や接着剤等を介して接続することで施工を簡略化することができる。
また、図4や図11(扉全体を止水する場合の後止水付勢部2と前止水付勢部4を示す図)に示すように、他方の扉a2の下側(図11の場合は上側も)の水平辺側縁に設置する前止水付勢部4Sは、戸先を越えて伸延する延長付勢部5を有すると共に、延長付勢部5は、閉蓋時に一方の扉a1の戸先側DLの角部に位置する後止水付勢部2R,2Sと近接するように形成している。
すなわち、図10(a)に示すように、閉蓋時において一方の扉a1の下側の水平辺側縁に設置する後止水付勢部2Sの凸部8と他方の扉a2の延長付勢部5の凸部8とが水平方向に連続するように形成している。
なお、延長付勢部5の先端部の凸部8の裏面側にはシート状のシール材を貼着し、閉蓋時に後止水付勢部2R,2Sと密着当接するように形成して水密性を向上させてもよい。
次に、垂直枠止水受部11(11L,11R)と扉止水受部37と水平枠止水受部23について具体的に詳述する。
垂直枠止水受部11は、図1、図6に示すように、扉枠Fの左右の垂直枠Fvの戸当たりBの内側面Bnに沿って設置され、図6で示したA−A線断面図とC−C線断面図を図7に示している。
垂直枠止水受部11は、金属製で垂直枠Fvに沿った長尺に形成し、垂直枠Fvに接続する平板状の垂直枠接続基部12と、止水凸部7と当接して弾性変形する垂直枠シール材17を収容した断面視略コ字状の垂直枠シール部14からなる。
なお、本実施形態では平板状の垂直枠接続基部12の一部に垂直枠シール部14の下片15を重設して一体に形成している。
また、垂直枠止水受部11の下端部と、後述する水平枠止水受部23の両端部とが交わる両扉a1,a2の角部においては、例えば、図1に示すように、垂直枠接続基部12と水平枠接続基部24とが45°で当接するように垂直枠止水受部11と水平枠止水受部23の端部を斜めに形成すると共に、垂直枠シール材17と水平枠シール材30とが水密に当接すように構成している。
なお、垂直枠止水受部11と、水平枠止水受部23とが交わる当該部分は、垂直枠シール材17と水平枠シール材30とが水密に当接する以上、金属部分を溶接等で一体に形成することや、45°以外の角度で当接させる等、種々の変形・変更が可能である。
垂直枠接続基部12には長手方向に沿って所定間隔に第二ビス孔13を複数穿設し、垂直枠Fvの戸当たりBの内側面Bnに垂直枠シール部14の外側面を当接させた状態で戸当たりBの前面Bfに垂直枠接続基部12の内側を当接させて第二ビス13aにより垂直枠Fvに固定される。
垂直枠シール部14に収容する垂直枠シール材17は、断面視矩形状の一辺のみ内側に傾斜させた傾斜面18を有する断面視台形状に形成し、閉蓋時に後止水付勢部2Lや前止水付勢部4Rの止水凸部7と傾斜面18とが対峙するように垂直枠シール部14に収容される。
なお、断面視略コ字状の垂直枠シール部14は、垂直枠シール材17の形状に倣って対向する二片16a,16bの長さを垂直枠シール材17の上底と下底の長さと略同長さに形成しており、また、当該片16a,16bが両扉a1,a2や後止水付勢部2L、前止水付勢部4Rと接触しないように形成している。
また、垂直枠Fvの戸当たりBの内側面Bnから突出する垂直枠シール部14の幅員は、両扉a1,a2の吊元側SL,SRの垂直辺側縁に設置する後止水付勢部2Lと前止水付勢部4Rが正面視で被覆される程度に形成している。
また、本実施形態に係る垂直枠止水受部11は、扉枠Fとの接続をより向上させるために図7に示すように、垂直枠シール部14の下部に垂直枠ビス挿通部19を形成している。
垂直枠ビス挿通部19は、垂直枠シール部14の下片15を嵩上げするように形成し、対向する二片16a,16bにより第三ビス20aが貫通する程度の断面視矩形状の空間をなしている。
垂直枠ビス挿通部19の二片16a,16bには、垂直枠Fvの戸当たりBの内側面Bnに向けてビス止めするための第三ビス孔20,20を長手方向に沿って所定間隔に複数穿設している。
なお、垂直枠ビス挿通部19を形成せず、図9(b)に示す後述する水平枠止水受部23のように垂直枠Fvの戸当たりBの内側面Bnと当接させる垂直枠シール部14の外側面(片16b)だけに長手方向に沿って所定間隔に第三ビス孔20を複数穿設し、第三ビス20aにより戸当たりBと接続してもよい。
扉止水受部37は、図1、図6に示すように、他方の扉a2の戸先側DRの垂直辺側縁に沿って設置され、図6で示したB−B線断面図を図7に示している。
扉止水受部37は、金属製で他方の扉a2の戸先側DRの垂直辺側縁に沿った長尺に形成し、他方の扉a2に接続する平板状の戸先接続基部38と、一方の扉a1側に伸延し止水凸部7と当接して弾性変形する戸先シール材42を収容した断面視略コ字状の戸先シール部40からなる。
なお、本実施形態では、扉止水受部37は帯状の平板を屈曲することで戸先接続基部38と戸先シール部40を断面視略柄杓状に一体に形成している。
戸先接続基部38には長手方向に沿って所定間隔に第四ビス孔39を複数穿設し、他方の扉a2の戸先側DRの垂直辺側縁に当接させて第四ビス39aにより他方の扉a2に固定される。
戸先シール部40に収容する戸先シール材42は、断面視矩形状に形成し、閉蓋時に後止水付勢部2Rの止水凸部7と戸先シール材42とが対峙するように戸先シール部40に収容される。
なお、断面視略コ字状の戸先シール部40は、対向する二片41a,41bのうち外側の片41aの長さを戸先シール材42の長さよりも短く形成することで当該片41aが一方の扉a1や後止水付勢部2Rと接触しないように形成している。
また、一方の扉a1側に伸延する戸先シール部40の幅員は、一方の扉a1の戸先側DLの垂直辺側縁に設置する後止水付勢部2Rが正面視で被覆される程度に形成している。
また、扉止水受部37の戸先接続基部38の下端は、図3または図6に示すように、他方の扉a2の下側の水平辺側縁に設置する前止水付勢部4Sに干渉しない長さに形成すると共に、戸先シール部40の下端は、他方の扉a2の下側の前止水付勢部4Sの凸部8よりも上方に位置する長さに形成し、閉蓋時に戸先シール部40が後述する水平枠止水受部23と干渉しないように水平枠止水受部23には戸先シール部40の端部側と嵌合する切欠き嵌合部31を形成している。
水平枠止水受部23は、図3、図6に示すように、下側の水平枠Fhの上面に沿って設置され、図6で示したD−D線断面図を図9(a)、(b)に示している。
水平枠止水受部23は、金属製で水平枠Fhに沿った長尺に形成し、水平枠Fhに接続する平板状の水平枠接続基部24と、止水凸部7と当接して弾性変形する水平枠シール材30を収容した断面視略コ字状の水平枠シール部26からなる。
なお、本実施形態では平板状の水平枠接続基部24の一部に水平枠シール部26の下片29を重設して一体に形成している。
また、上述したように、水平枠止水受部23の両端部と、垂直枠止水受部11の下端部とが交わる両扉a1,a2の角部においては、例えば、図1に示すように、水平枠接続基部24と垂直枠接続基部12とが45°で当接するように水平枠止水受部23と垂直枠止水受部11の端部を斜めに形成すると共に、水平枠シール材30と垂直枠シール材17とが水密に当接すように構成している。
なお、水平枠止水受部23と、垂直枠止水受部11とが交わる当該部分は、水平枠シール材30と垂直枠シール材17とが水密に当接する以上、金属部分を溶接等で一体に形成することや、45°以外の角度で当接させる等、種々の変形・変更が可能である。
水平枠接続基部24には長手方向に沿って所定間隔に第五ビス孔25を複数穿設し、水平枠Fhの内側面Fhnに水平枠シール部26の外側面を当接させた状態で水平枠Fhの前面Fhfに水平枠接続基部24の内側を当接させて第五ビス25aにより水平枠Fhに固定される。
また、水平枠シール部26に収容する水平枠シール材30は、断面視矩形状に形成し、閉蓋時に後止水付勢部2S(下端の一部について吊元側SLと戸先側DLの後止水付勢部2L,2Rを含む)と前止水付勢部4S(下端の一部について吊元側SRの前止水付勢部4Rを含む)の止水凸部7と水平枠シール材30とが対峙するように水平枠シール部26に収容される。
なお、断面視略コ字状の水平枠シール部26は、対向する二片27a,27bのうち外側の片27aの長さを水平枠シール材30の長さよりも短くすることで当該片27aが両扉a1,a2や後止水付勢部2、前止水付勢部4と接触しないように形成している。
また、下側の水平枠Fhの上面から突出する水平枠シール部26の高さは、両扉a1,a2の下側の水平辺側縁に設置する後止水付勢部2Sと前止水付勢部4Sが正面視で被覆される程度に形成している。
また、本実施形態に係る水平枠止水受部23は、扉枠Fとの接続をより向上させるために図9(a)に示すように、水平枠シール部26の下部に水平枠ビス挿通部33を形成している。
水平枠ビス挿通部33は、水平枠シール部26の下片29を嵩上げするように形成し、対向する二片27a,27bにより第六ビス34aが貫通する程度の断面視矩形状の空間をなしている。
水平枠ビス挿通部33の二片27a,27bには、水平枠Fhの内側面Fhnに向けてビス止めするための第六ビス孔34,34を長手方向に沿って所定間隔に複数穿設している。
なお、水平枠ビス挿通部33を形成せず、図9(b)に示すように、水平枠Fhの内側面Fhnと当接させる水平枠シール部26の外側面(片27b)だけに長手方向に沿って所定間隔に第六ビス孔34を複数穿設し、第六ビス34aにより水平枠Fhと接続してもよい。
また、閉蓋時に両扉a1,a2の戸先側DL,DRが近接する召し合わせ部分の下端縁は、図3または図6に示すように、扉止水受部37の戸先シール部40の下端縁が水平枠止水受部23と干渉しないように水平枠止水受部23の略中央部に戸先シール部40の端部側と嵌合する切欠き嵌合部31を形成して干渉を回避している。
ここで、図10(a)は、閉蓋時における水平枠止水受部23の水平枠シール部26に収容される水平枠シール材30と扉止水受部37の戸先シール部40に収容される戸先シール材42の位置関係を模式的に示した説明図であり、水平枠シール部26に収容される水平枠シール材30には矩形凹状の切欠き嵌合部31が形成され、この切欠き嵌合部31に扉止水受部37の戸先シール部40に収容される戸先シール材42が水密に嵌合する。
また、図10(b)の上図は、一方の扉a1の戸先側DLと下側の水平辺側縁に設置される後止水付勢部2R,2Sに対して他方の扉a2に設置される扉止水受部37の戸先シール部40に収容される戸先シール材42との位置関係を示す図で、図10(b)の下図は、他方の扉a2の下側の水平辺側縁に設置される前止水付勢部4Sに対して水平枠止水受部23の水平枠シール部26に収容される水平枠シール材30との位置関係を示す図である。
また、図6に示すように、一方の扉a1の戸先側DLの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁に設置する後止水付勢部2R,2Sと、他方の扉a2の下側の水平辺側縁に設置する前止水付勢部4Sの延長付勢部5が交わる箇所44は、切欠き嵌合部31よりも下側となるように種々の部材を配設している。
なお、実際には、図10(a)に示した水平枠シール部26に収容される水平枠シール材30に形成した切欠き嵌合部31には、扉止水受部37の戸先シール材42を収容する金属製の戸先シール部40を介して嵌合するため、水密性を向上するために切欠き嵌合部31の幅員は戸先シール部40の幅員よりも若干だけ狭く形成している。
そのため、他方の扉a2を閉蓋する際に切欠き嵌合部31に少しでも戸先シール部40を嵌合し易くするために、例えば、図10(b)に示す切欠き嵌合部31の開口縁32にテーパを形成することや、切欠き嵌合部31に嵌合する戸先シール部40の外周面にシート状のシール材を貼着して水密性を更に向上させてもよい。
また、本実施形態に係る切欠き嵌合部31は、水平枠シール材30と同様に金属製の水平枠シール部26も矩形凹状に切欠して形成しているが、嵌合する戸先シール部40と水平枠シール部26とが接触して干渉しないように水平枠シール部26に収容される水平枠シール材30の切欠開口よりも水平枠シール部26の切欠開口を広く形成している。
なお、切欠き嵌合部31の水密性が弱い場合には、閉蓋後に切欠き嵌合部31の周縁を止水テープ等で貼着してもよく、また、水平枠シール部26の切欠き嵌合部31は、水平枠シール部26の垂直面や上面の水平面の一部を切欠する等、本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。
また、図5、図9(a)に示すように、本実施形態では両扉a1,a2を外側Wから内側Uに付勢して係止固定する回転式の係止部材50を両扉a1,a2の下側の水平辺側縁の一部と、対向する下側の水平枠Fhに跨いで形成している。
係止部材50は、水平方向を軸心方向として垂直方向に回動する回動係止部51と、回動係止部51と係合する係合受部57とで構成し、回動係止部51は、板状の回動基部52と、回動基部52に突設した回動軸53と、回動軸53周りに回動自在に形成した略三日月状でその一方の端部に傾斜部55を形成した鍵部54と、鍵部54に連接した把持部56とからなり、回動基部52を両扉a1,a2の下側の水平辺側縁の召し合わせ側近傍に把持部56が上方となるように接続固定している。
また、係合受部57は、板状の固定基部58と、固定基部58に突設した側面視逆L字状の係合付勢部59とからなり、固定基部58を回動係止部51と対向する下側の水平枠Fhの外周面に係合付勢部59の開放片60の端部が上方となるように接続固定することで開放片60と水平枠Fhの外周面との間に鍵部54が挿入される空間61を形成している。
係合付勢部59による空間61には、把持部56により回動させた鍵部54に形成した傾斜部55が挿入され、傾斜部55が係合付勢部59の開放片60の内側に当接しながら付勢することで両扉a1,a2を内側U、すなわち止水ユニット1の設置側に付勢させることができる。
なお、本実施形態では両扉a1,a2に係止部材50を配設しているが、一方の扉a1に配設することで他方の扉a2も同時に内側Uに付勢するため必ずしも両扉a1,a2に配設することはなく、また、係止部材50を配設する必要が無ければそれでもよい。
また、係止部材50は本実施形態に限定されず、例えば、所謂フランス落し等の部材を用いる等、種々の変形・変更が可能である。
以上、説明したように本実施形態に係る止水ユニット1は構成しており、止水ユニット1を観音開き戸Aの下半部のみに設置するか全体に設置するかは状況に応じて適宜選択すればよい。
このような止水ユニット1は、扉枠Fの左右の吊元側S(SL,SR)でヒンジTを介して開閉自在とした外開きの観音開き戸Aの内側Uに後付けして外側Wからの進水を止水自在とする止水ユニット1であって、一方の扉a1の吊元側SLと戸先側DLの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置する後止水付勢部2(2L,2R,2S)と、他方の扉a2の吊元側SRの垂直辺側縁と下側の水平辺側縁とに設置する前止水付勢部4(4R,4S)と、扉枠Fの垂直枠Fvに設置する垂直枠止水受部11(11L,11R)と水平枠Fhに設置する水平枠止水受部23と、他方の扉a2の戸先側DRの垂直辺側縁に設置する扉止水受部37と、からなり、後止水付勢部2と前止水付勢部4は、各扉a1,a2に接続するための平坦面を一側面の長手方向に形成した扉接続基部6を有し、扉接続基部6の他側面には先端先鋭の凸部8を長手方向に連続して形成した止水凸部7を有し、他方の扉a2の下側の水平辺側縁に設置する前止水付勢部4Sは、戸先を越えて伸延する延長付勢部5を有すると共に、延長付勢部5は、閉蓋時に一方の扉a1の戸先側DLの角部に位置する後止水付勢部2Rと近接し、垂直枠止水受部11は、垂直枠Fvに接続する垂直枠接続基部12と、止水凸部7と当接して弾性変形する垂直枠シール材17を収容した垂直枠シール部14とを有し、水平枠止水受部23は、水平枠Fhに接続する水平枠接続基部24と、止水凸部7と当接して弾性変形する水平枠シール材30を収容した水平枠シール部26とを有し、扉止水受部37は、他方の扉a2に接続する戸先接続基部38と、止水凸部7と当接して弾性変形する戸先シール材42を収容した戸先シール部40とを有し、水平枠止水受部23は、閉蓋時に戸先シール部40の端部側と嵌合する切欠き嵌合部31を形成したことより、建物内外の出入口や通路に形成された既存の扉Aに後付けで設置可能であり、水害の際に扉Aからの浸水を容易に防止できると共に、構造がシンプルで安価に製造することができる。
また、延長付勢部5により両扉a1,a2の召し合わせ部分の水密性を向上させることができる。
また、垂直枠止水受部11は、垂直枠シール部14の下部に垂直枠ビス挿通部19を形成したことより、垂直枠Fvへのビス止めを容易に行なうことができ、垂直枠シール材17に負荷を与えることもなく垂直枠止水受部11を垂直枠Fvに強固に接続することができる。
また、水平枠止水受部23は、水平枠シール部26の下部に水平枠ビス挿通部33を形成したことより、水平枠Fhへのビス止めを容易に行なうことができ、水平枠シール材30に負荷を与えることもなく水平枠止水受部23を水平枠Fhに強固に接続することができる。
更に、垂直枠シール部14に収容する垂直枠シール材17は、内側に傾斜した断面視台形状に形成したことより、閉蓋時に閉蓋途中で止水凸部7と垂直枠シール材17が当接するまでの時間を長くすることができ、止水凸部7が垂直枠シール材17を弾性変形させながら密着当接することによって生じる曲げモーメントを緩和して止水凸部7や垂直枠シール材17への負荷を軽減することができる。
しかも、一方の扉a1と他方の扉a2の吊元側SL,SRの垂直辺側縁に設置する後止水付勢部2Lと前止水付勢部4Rの扉接続基部6は、凸部8に対して吊元側SL,SRよりも戸先側DL,DRに幅広に形成したことより、閉蓋時に止水凸部7が垂直枠シール材17を弾性変形させながら密着当接することによって吊元側SL,SRから戸先側DL,DRに向けて生じる大きな曲げモーメントに対して扉a1,a2との接続強度を向上させることができる。
以上、本発明の本実施形態に係る止水ユニット1の好ましい実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形・変更が可能である。