JP2023123900A - ポリアミド酸組成物、ポリイミド、ポリイミド膜、積層体、電子デバイス、ポリイミド膜および積層体の製造方法 - Google Patents

ポリアミド酸組成物、ポリイミド、ポリイミド膜、積層体、電子デバイス、ポリイミド膜および積層体の製造方法 Download PDF

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博文 中山
Hirobumi Nakayama
友貴 白井
Yuki Shirai
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Abstract

【課題】着色が低減され、透明性に優れ、高い耐熱性を有し、高温プロセス中においてフッ化水素の発生を抑制できるポリイミド及びその前駆体としてのポリアミド酸組成物を提供することを目的とする。【解決手段】ポリアミド酸、可塑剤および溶媒とを含有するポリアミド酸組成物であって、前記ポリアミド酸は、酸二無水物とジアミン化合物の付加物であり、全酸二無水物を100mol%以上とした場合、酸二無水物として、1モル%以上のスピロ[11H‐ジフロ[3,4-b:3’,4’‐i]キサンテン-11,9’‐[9H]フルオレン]1,3,7,9テトロンを含有し、全ジアミン化合物を100mol%とした場合、ジアミン化合物として、50mol%以上の2,2-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを含有することを特徴とするポリアミド酸組成物から得られるポリイミド。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド酸組成物、ポリイミド、ポリイミド膜、積層体、電子デバイス、ポリイミド膜および積層体の製造方法に関する。本発明は、更に、ポリイミドを用いた電子デバイス材料、薄膜トランジスタ(TFT)基板、フレキシブルディスプレイ基板、カラーフィルター、印刷物、光学材料、画像表示装置(より具体的には、液晶表示装置、有機EL、電子ペーパー等)、3Dディスプレイ、太陽電池、タッチパネル、透明導電膜基板、及び現在ガラスが使用されている部材の代替材料に関する。
液晶ディスプレイ、有機EL、電子ペーパー等のディスプレイや、太陽電池、タッチパネル等のエレクトロニクスデバイスの急速な進歩に伴い、デバイスの薄型化や軽量化、フレキシブル化が進んでいる。これらのデバイスではガラス基板に代えてポリイミドが基板材料として用いられている。
これらのデバイスでは、基板上に様々な電子素子、例えば、薄膜トランジスタや透明電極等が形成されており、これらの電子素子の形成には高温プロセスが必要である。ポリイミドは、高温プロセスに適応できるだけの十分な耐熱性を有しており、熱膨張係数(CTE)もガラス基板や電子素子と近いため、内部応力が生じにくく、フレキシブルディスプレイ等の基板材料に好適である。
一般的に芳香族ポリイミドは分子内共役や電荷移動(CT)錯体の形成により黄褐色に着色しているが、トップエミッション型の有機EL等では、基板の反対側から光を取り出すため、基板に透明性は求められず、従前の芳香族ポリイミドが用いられてきた。しかし、透明ディスプレイやボトムエミッション型の有機EL、液晶ディスプレイのように表示素子から発せられる光が基板を通って出射されるような場合や、スマートフォン等を全面ディスプレイ(ノッチレス)にするためにセンサーやカメラモジュールを基板の背面に配置する場合には、基板にも高い光学特性(より具体的には、透明性等)が求められるようになってきた。
このような背景から、既存の芳香族ポリイミドと同等の耐熱性を有しつつ、着色が低減され、透明性に優れる材料が求められている。
ポリイミドの着色を低減させるために、脂肪族系モノマーを用いてCT錯体の形成を抑える技術(特許文献1及び2)、及びフッ素原子や硫黄原子を有するモノマーを用いて透明性を高める技術(特許文献3)が知られている。
特許文献1及び2に記載のポリイミドは、透明性が高く、CTEも低いが、脂肪族構造を有するため熱分解温度が低く、電子素子を形成する際の高温プロセスに適用することは難しい。
特開2016-29177号公報 特開2012-41530号公報 特開2014-70139号公報 WO2019―195148
特許文献3、4に記載のポリイミドは、フッ素原子を含むため透明性に優れるが、本発明者らの検討により高温プロセス(具体的には350℃以上の熱処理等)でフッ化水素が発生することが判明した。フッ化水素が発生すると、ポリイミドとバリア膜等との間で密着性不良が生じたり、ポリイミド膜上に設けられた電子素子の腐食が生じたりする場合がある。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、着色が低減され、透明性に優れ、高い耐熱性を有し、高温プロセス中においてフッ化水素の発生を抑制できるポリイミド及びその前駆体としてのポリアミド酸組成物を提供することを目的とする。更に、当該ポリイミド及びポリアミド酸組成物を用いて製造された、耐熱性及び透明性が要求される製品又は部材を提供することも目的とする。特に、本発明のポリイミド膜が、ガラス、金属、金属酸化物、単結晶シリコン等の無機物表面に形成された製品又は部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のポリアミド酸及び可塑剤を含有する組成物から得られるポリイミドが、着色が低減され、透明性に優れ、高い耐熱性を有し、高温プロセス中においてフッ化水素の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
本発明に係るポリアミド酸組成物は、ポリアミド酸、可塑剤および溶媒とを含有し、前記ポリアミド酸は、酸二無水物とジアミン化合物の付加物であり、全酸二無水物を100mol%以上とした場合、酸二無水物として、1モル%以上のスピロ[11H‐ジフロ[3,4-b:3’,4’‐i]キサンテン-11,9’‐[9H]フルオレン]1,3,7,9テトロンを含有し、全ジアミン化合物を100mol%とした場合、ジアミン化合物として、50mol%以上の2,2-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを含有することを特徴とする。
本発明に係るポリアミド酸組成物では、酸二無水物として、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸2,3:6,7-二無水物から選ばれる1種以上の酸二無水物を含有することがTg(ガラス転移温度)の向上、機械強度の向上ならびに内部応力の低減の観点で好ましい。
本発明に係るポリアミド酸組成物では、全酸二無水物を100mol%以上とした場合、酸二無水物として、スピロ[11H‐ジフロ[3,4-b:3’,4’‐i]キサンテン-11,9’‐[9H]フルオレン]1,3,7,9テトロンを1モル%以上50モル%以下含むことが、透明性の観点から好ましい。
本発明に係るポリアミド酸組成物において、前記可塑剤の添加量が分子運動性の付与と可塑剤自身の分解による影響を避ける観点から、前記ポリアミド酸100重量部に対して、20重量部以下であることが好ましい。
本発明に係るポリアミド酸組成物では、前記可塑剤は、入手性や可塑化効果の観点からリン含有化合物、ポリアルキレングリコール及び脂肪族二塩基酸エステルからなる群より選ばれる一種以上であることが好ましい。
本発明に係るポリアミド酸組成物では、前記溶媒が非プロトン性溶媒であることが好ましい。
本発明に係るポリイミドは、本発明に係るポリアミド酸組成物に含まれるポリアミド酸のイミド化物である。
本発明に係るポリイミドを、ヘリウムガス気流下、雰囲気温度60℃から10℃/分の昇温速度で雰囲気温度470℃まで加熱し、前記ポリイミドから発生したガスを四重極型質量分析計で分析して得られたm/z=20のマススペクトルにおいて、470℃におけるピーク強度を可塑剤を含有しないポリアミド酸から得られたポリイミドの470℃におけるピーク強度で除した値が、0.8以下であることが好ましい。
本発明に係るポリイミド膜は、本発明に係るポリイミドを含む。
膜厚が10μmにおける本発明に係るポリイミド膜の400nmにおける透過率が30%以上であることが好ましい。
膜厚が10μmにおける本発明に係るポリイミド膜のヘイズが1.0%以下であることが好ましい。
本発明に係る積層体は、支持体と、本発明に係るポリイミド膜とを有する。
本発明に係る積層体の製造方法は、本発明に係るポリアミド酸組成物を支持体上に塗布することにより、ポリアミド酸及び可塑剤を含む塗布膜を形成し、前記塗布膜を加熱して前記ポリアミド酸をイミド化する。
本発明に係るのポリイミド膜の製造方法は、本発明に係るポリアミド酸組成物を支持体上に塗布することにより、前記ポリアミド酸及び前記可塑剤を含む塗布膜を形成し、前記塗布膜を加熱し、形成した塗布膜を剥離する、ポリイミド膜の製造方法である。
本発明に係る電子デバイスは、本発明に係るポリイミド膜と、前記ポリイミド膜上に配置された電子素子とを有する。
本発明に係るポリアミド酸組成物を用いて製造されるポリイミドは、着色が低減され、透明性及び耐熱性に優れ、高温プロセス中においてフッ化水素の発生を抑制できる。そのため、本発明に係るポリアミド酸組成物を用いて製造されるポリイミドは、低着色性、透明性及び耐熱性が要求され、かつ高温プロセスを経て製造される電子デバイスの材料として好適である。
実施例4及び比較例5に係るポリイミドを470℃まで加熱した際に、四重極型質量分析計で分析して得られたm/z=20の検出強度を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、本明細書中で使用される用語について説明する。「構造単位」とは、重合体を構成する繰り返し単位のことをいう。本明細書では、ポリアミド酸だけでなく、ポリアミド酸エステル(ポリアミド酸アルキルエステル、ポリアミド酸アリールエステル等)も「ポリアミド酸」と記載する。
「m/z」は、質量分析の測定結果であるマススペクトルの横軸から読み取ることのできる測定値であり、「イオンの質量を統一原子質量単位(ダルトン)で割って得られた無次元量を更にイオンの電荷数の絶対値で割って得られる無次元量」である。
「可塑剤」とは、ポリアミド酸のイミド化時に液体で存在し、可塑化効果を有する材料をさし、使用した溶媒よりも高い沸点の化合物が好ましい。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、テトラカルボン酸二無水物を「酸二無水物」と記載することがある。
本発明に係るポリアミド酸組成物は、ポリアミド酸、可塑剤および溶媒とを含有し、前記ポリアミド酸は、酸二無水物とジアミン化合物の付加物であり、全酸二無水物を100mol%以上とした場合、酸二無水物として、1モル%以上のスピロ[11H‐ジフロ[3,4-b:3’,4’‐i]キサンテン-11,9’‐[9H]フルオレン]1,3,7,9テトロン(以下、SFADと略すこともある)を含有し、全ジアミン化合物を100mol%とした場合、ジアミン化合物として、50mol%以上の2,2-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMBと略すこともある)を含有することを特徴とする。
SFDAはかさ高いフルオレン構造を側鎖に有していることから分子同士の凝集を抑制し、分子間CTの形成を抑制するため高い透明性を与える。さらにエーテル結合によるキサンテン構造が形成されることにより、類似構造の9,9―ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物と比較して直線性が高く、低CTEを示す。
TFMBは剛直な構造を有しており、高Tg、低CTE、低内部応力および優れた機械強度を発現し、さらにトリフルオロメチル基を有しているため着色が低減され、高い透明性を与える。
本実施の形態に係るポリアミド酸は、透明性以外の特性のバランス(具体的にはCTEや内部応力、Tgなど)を良くするために、SFDA以外の酸二無水物を含むことができる。
具体的には、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAと略すこともある)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと略すこともある)、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸2,3:6,7-二無水物(以下、NTCDAと略すこともある)、1,4-フェニレンビス(トリメリテート酸二無水物)、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸1,2:5,6-二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、4,4’-オキシフタル酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2’-オキソジスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1’-シクロヘプタン-3,2’-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン]-5,5’-6,6’-テトラカルボン酸二無水物及びそれらの類似物由来の酸二無水物が挙げられ、これらを単独または2種類以上用いてもよい。
中でもPMDA、BPDAならびにNTCDAが耐熱性、Tgの向上、機械強度の向上ならびに内部応力の低減の観点で望ましい。
透明性、耐熱性、Tgの向上ならびに低内部応力の観点から、ポリアミド酸を構成する全酸二無水物を100mol%とした時にPMDA、BPDA、NTCDA、SFDAを組み合わせて60mol%以上含むことが好ましく、70mol%がより好ましく、80mol%以上がさらに好ましく、100mol%でも構わない。
特に、ポリアミド酸を構成する全酸二無水物を100mol%とした時に透明性の観点からSFDAが1mol%50mol%以下であることが好ましく、5mol%以上45mol%以下であることがより好ましく、内部応力を下げるという観点からは、5mol%以上45mol%以下であることが更に好ましく、10mol%以上40mol%以下であることが特に好ましい。
PMDAやBPDA、NTCDAは剛直なジアミンとの組み合わせにより、極めて低いCTEや高いTgを発現することから、ポリアミド酸を構成する全酸二無水物を100mol%とした時に、PMDAやBPDA、NTCDAを合わせた含有量は、30mol%以上含むことが好ましい。透明性と内部応力のバランスからは50mol%以上99mol%以下含むことが好ましく、60mol%以上95mol%以下であることがより好ましく、65mol%以上90mol%以下であることがさらに好ましい。上記範囲にすることで透明性、CTE、Tgのバランスが良い物性を得ることができる。
また、透明性やその他の性能を損なわない範囲で、TFMB以外のジアミン成分を含んでもよい。例えば、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-オキシジアニリン、3,4’-オキシジアニリン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノベンズアニリド、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テレフタルアミド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、m-トリジン、o-トリジン、4,4’-ビス(アミノフェノキシ)ビフェニル、2-(4-アミノフェニル)-6-アミノベンゾオキサゾール、3,5-ジアミノ安息香酸、4,4’-ジアミノ-3,3’ジヒドロキシビフェニル、4,4’-メチレンビス(シクロヘキサンアミン)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン及びそれらの類似物が挙げられ、これらを単独または2種類以上用いてもよい。中でも1,4-フェニレンジアミンや9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンなどが耐熱性、Tgの向上の観点で望ましく、機械特性向上のためには4,4’-オキシジアニリン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどが好ましく、密着性向上のためには1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン及びそれらの類似物が好ましい。
透明性、耐熱性、Tgの向上ならびに低内部応力の観点から、ポリアミド酸を構成する全ジアミンを100mol%とした時にTFMBが50mol%以上含むことが好ましく、70mol%がより好ましく、80mol%以上がさらに好ましく、100mol%でも構わない。
本発明のポリアミド酸は、公知の一般的な方法にて合成することができ、有機溶媒中でジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させることにより得ることができる。具体的には、例えば、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気中において、ジアミンを有機溶媒中に溶解、又はスラリー状に分散させて、ジアミン溶液とする。一方、テトラカルボン酸二無水物は、有機溶媒に溶解、又はスラリー状に分散させた状態とした後、あるいは固体の状態で、上記ジアミン溶液中に添加すればよい。
ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを用いてポリアミド酸を合成する場合、単数または複数のジアミン成分全量のモル数と、単数または複数のテトラカルボン酸二無水物成分全量のモル数とを調整することで、ポリアミド酸共重合体を任意に得ることができる。また、2種のポリアミド酸をブレンドすることによって複数のテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを含有するポリアミド酸を得ることもできる。上記ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応即ち、ポリアミド酸の合成反応の温度条件は、特に限定されないが、必要に応じて25℃~150℃の範囲としてもよく、反応時間は10分~30時間の範囲で任意に設定すればよい。
ポリアミド酸の重合に使用する有機溶媒は、使用するテトラカルボン酸二無水物、およびジアミン類を一部でも溶解することが必要で、生成されるポリアミド酸を溶解することが可能なものが好ましく、非プロトン性溶媒であることが更に好ましいい。上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒は、例えば、テトラメチルウレア、N,N-ジメチルエチルウレアのようなウレア系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン系溶媒、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、3-メトキシ-N,N―ジメチルプリパンアミド(MPA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒、γ―ブチロラクトン等のエステル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、フェノール、クレゾールなどのフェノール系溶媒、シクロペンタノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、p-クレゾールメチルエーテルなどのエーテル系溶媒が挙げられる。通常これらの溶媒を単独で用いるが、必要に応じて2種以上を適宜組合わせて用いて良い。ポリアミド酸の溶解性及び反応性を高めるために、上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒は、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びエーテル系溶媒より選択されることが好ましく、特にDMF、DMAC、NMP、MPAなどの非プロトン性のアミド系溶媒が好ましい。また反応時は、アルゴンや窒素などの不活性雰囲気であることが好ましい。
本発明に係るポリアミド酸の重量平均分子量は10,000以上1,000,000以下の範囲であることが好ましく、20,000~500,000の範囲であることがさらに好ましく、30,000~200,000の範囲であることがさらに好ましい。またポリアミド酸溶液をスリットコーターなどで基板上に塗工してフィルム化する場合などは、ポリアミド酸溶液の粘度と固形分濃度が最適な範囲にあることが生産性の観点から重要であり、上記範囲にすることで最適な粘度と固形分濃度のポリアミド酸溶液あるいはポリイミド溶液が得られる。重量平均分子量が10,000以上であれば、ポリアミド酸およびポリイミドを塗膜又はフィルムとすることが可能となる。一方、重量平均分子量が1,000,000以下であると、溶媒に対して十分な溶解性を示すため、後述するポリアミド酸溶液およびポリイミド溶液から表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られる。ここで用いている分子量とは、ゲルパーミレーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の値のことをいう。
また、分子量を制御する方法として、酸二無水物とジアミンのどちらかを過剰にしたり、フタル酸無水物やアニリンのような一官能性の酸無水物やアミンと反応させることで反応をクエンチさせて分子量を調整しても良い。酸二無水物とジアミンのどちらかを過剰にして重合する場合、酸二無水物の仕込みモル比をジアミンの仕込みモル比で除した数値が0.95から1.05の間であれば、十分な強度を有するポリイミド膜を得ることができる。
次に本発明における可塑剤の効果について述べる。透明なポリイミド膜を得ようとする場合、原理的にはHOMOとLUMOのバンドギャップの大きなポリイミドを設計すればよいため、電子供与性の低いTFMBは透明なポリイミド膜を得るために効果的である。一方でジアミンの求核性が低くなるため反応速度が遅く、イミド化速度も遅いことが予想される。筆者らが検討したところBPDAと1,4-フェニレンジアミンからなる一般的な有色ポリイミドとPMDAやBPDAとTFMBからなる透明ポリイミドのイミド化率を比較したところ、有色ポリイミドは300℃で90%以上、350℃で100%近くイミド化していたが、TFMBを用いた透明ポリイミドでは300℃で75%、350℃でも80%程度しかイミド化しておらず、イミド化速度に明確な差が見られた。
熱イミド化によりポリアミド酸からポリイミドに脱水閉環する際のドライビングフォースは、熱による分子運動と溶媒による可塑効果によるものが大きく、完全にイミド化させるためには、より高温で処理するかポリイミドのガラス転移温度以上で処理することが望ましい。しかし、PMDAなどの剛直な酸二無水物とTFMBの組み合わせではガラス転移温度が400℃を超え、モノマーの組み合わせにもよるがガラス転移温度がフィルム化時の熱処理温度よりも高いこともある。
上述のような条件ではイミド化が完全に進行していない可能性があり、さらに熱イミド化時の解重合後の再結合が十分に生じていない可能性もあり、ディスプレイの製造工程(例えばTFT素子の脱水素化など)において、イミド化の進行による水分の発生やポリアミド酸の分解、低分子量成分の生成によるアウトガスが発生し、バリア膜の剥がれやTFT素子へ影響を及ぼす可能性がある。
本発明に係る可塑剤は、熱イミド化時に十分な運動性を付与し、ポリアミド酸の解重合を抑制したり、残溶剤量を低減させることで、TFT工程などの高温プロセス時のアウトガス発生量を低減することができる。
本件発明の可塑剤とは、ポリアミド酸の重合に使用される溶剤に溶解し、イミド化時に液体で存在することが望ましい。またイミド化時に十分な運動性を付与させるためにも低温で揮発しないことが必要である。そのため本件発明の可塑剤の沸点は50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく150℃以上がさらに好ましく、沸点以下に分解温度を持たないことが望ましい。
可塑剤の添加量は、可塑剤とポリアミド酸の相溶性や狙いの物性によって異なるが、分子運動性の付与と可塑剤自身の分解による影響を避ける観点からポリアミド酸を100重量部とした場合、0.001重量部以上20重量部以下であることが好ましく、0.01重量部以上15重量部以下がより好ましく、0.1重量部以上10重量部以下であることがさらに好ましい。
本発明の可塑剤は、ポリアミド酸がポリイミドに脱水閉環する際の分子運動を向上させるだけでなく、ガラス転移温度の調整や難燃性、酸化防止などの機能を付与することもでき、公知の可塑剤を用いることができる。例えば前記可塑剤は、リン系類(リン含有化合物)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、クエン酸エステル類のような脂肪族三塩基酸エステル、アジピン酸エステルなどの脂肪族二塩基酸エステル、フタル酸エステル類、トリメリット酸エステル類、ポリエステル類、エポキシ系可塑剤などが挙げられ、低分子有機化合物や熱可塑性樹脂でも構わない。
これらの中でも、リン含有化合物、ポリアルキレングリコール及び脂肪族二塩基酸エステルからなる群より選ばれる一種以上であることが入手性や可塑化効果の観点からで好ましい。本発明に使用するリン系類は特に限定されないが、リン酸類、亜リン酸類、ホスホン酸類、ホスフィン酸類、ホスフィン類、ホスフィンオキシド類、ホスホラン類、ホスファゼン類等を使用することが好ましい。 これらのリン系類はエステル体やその縮合体であってもよく、環状構造を含んでいてもよく、アミン類などと塩を形成していても良い。また、これらのリン系類の中には亜リン酸類とホスホン酸類のように互変異性の関係にあるものも存在するが、どちらの状態で存在していても良い。
リン系類としては具体的にはトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレ二ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレ二ルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスフアフエナンスレン、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリイソブチルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジエチルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジメチルホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ビス(2-エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、4,4―ブチリデンビス(3―メチル-6-t―ブチルフェニル ジトリデシルホスファイト)、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
縮合体としては例えばトリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ-2,6-キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX-200)、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェート 、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフエ-ト(商品名FP-600、FP-700) 等を挙げることができる。これらのリン系類は一種もしくは二種以上を使用することができる。
ホスファゼン類としてはフェノキシシクロホスファゼン(商品名:FP-110、伏見製薬所製) 、環状シアノフェノキシホスファゼン(商品名:FP-300、伏見製薬所)などが挙げられる。
ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールの分子量が高い場合、ポリアミド酸およびポリイミドとの相溶性が低いため、熱イミド化時に相分離が誘起されフィルムが白化する恐れがあるため、数平均重合度は200以上10000以下が好ましく、300以上6000以下がより好ましく、400以上4000以下がさらに好ましい。
脂肪族二塩基酸エステルは具体的にジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル]アジペート、ビス(2-エチルヘキシル)アゼレート、ジブチルセバケート、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート、ジエチルサクシネートなどが挙げられる。
また可塑化効果を発揮するのであれば低分子有機化合物や熱可塑性の樹脂であっても構わない。本発明における低分子有機化合物は概ね分子量が1000以下程度であり、例えば、フタルイミド、N-フェニルフタルイミド、N-グリシジルフタルイミド、N-ヒドロキシフタルイミド、シクロヘキシルチオフタルイミドなどのフタルイミド類やN,N-p-フェニレンビスマレイミド、2,2-(エチレンジオキシ)ビス(エチルマレイミド)などのマレイミド類が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、非対称構造を有するポリイミドやポリアミドなどが挙げられる。
上述したように、本実施形態に係るポリアミド酸組成物は、可塑剤を含むためイミド化の際に十分な分子運動が付与され、イミド化が完全に進行するだけでなく、ポリアミド酸の解重合も抑制され、高温プロセス中でのアウトガス成分を低減し、さらに樹脂への分子運動性が付与されることにより溶剤も抜けやすくなり、フィルム中の残存溶剤量が減少し、フィルム自体の着色低減やアウトガス軽減も期待できる。このため、本実施形態に係るポリアミド酸組成物によれば、例えば、フレキシブルディスプレイの製造工程において、ポリイミド膜の上に形成されるバリア膜や支持基板であるガラスの腐食が抑制されるため、フレキシブルディスプレイの信頼性(障害の発生のしにくさ)を向上させることができる。なお、可塑剤は、ポリイミド膜中に残存していてもよいし、イミド化の過程において分解し、ポリイミド膜中から除去されてもよい。
本発明のポリイミドは、公知の方法にて得ることができ、その製造方法は、特に制限されない。モノマーの入手性および重合の簡便さから、本発明のポリイミドはその前駆体であるポリアミド酸から得ることが好ましい。ポリアミド酸を用いて、ポリイミドを得るために、上記ポリアミド酸をイミド化する方法について説明する。イミド化は、ポリアミド酸を脱水閉環することによって行われる。この脱水閉環は、共沸溶媒を用いた共沸法、熱的手法または化学的手法によって行うことができる。また、ポリアミド酸からポリイミドへのイミド化は、1~100%の任意の割合をとることができる。つまり、一部がイミド化されたポリアミド酸を合成してもよい。特に加熱昇温によりイミド化する場合は、ポリアミド酸からポリイミドへの閉環反応とポリアミド酸の加水分解が同時に進行しており、ポリイミドにした時の分子量がポリアミド酸の分子量よりも低くなったり、加水分解により生成した末端のジアミン類の酸化等により着色する可能性もあるため、あらかじめ一部がイミド化されたポリアミド酸溶液であることが透明性や機械特性の観点から好ましい。
本明細書ではポリアミド酸と有機溶媒とを含む溶液をポリアミド酸溶液とする。ここで、ポリアミド酸溶液に含まれる当該有機溶媒としては、上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒と同様の有機溶媒を用いることができ、中でも、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及びエーテル系溶媒より選択される有機溶媒をより好適に用いることができ、DMF、DMAC、NMPなどの非プロトン性のアミド系溶媒を特に好適に用いることができる。上述した方法でポリアミド酸を得た場合、合成した反応溶液自体をポリアミド酸溶液と表現することもある。
脱水閉環は、ポリアミド酸を加熱して行えばよい。ポリアミド酸を加熱する方法は特に制限されないが、例えば、ガラス板、金属板、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の支持体に、ポリアミド酸溶液を流延または塗布した後、80℃~500℃の範囲内で熱処理を行えばよい。或いは、フッ素系樹脂によるコーティング等の離型処理を施した容器に直接ポリアミド酸溶液を入れ、当該ポリアミド酸溶液を減圧下で加熱乾燥することによって、ポリアミド酸の脱水閉環を行うこともできる。このような手法によるポリアミド酸の脱水閉環により、ポリイミドを得ることができる。なお、上記各処理の加熱時間は、脱水閉環を行うポリアミド酸溶液の処理量や加熱温度により異なるが、一般的には、処理温度が最高温度に達してから1分~5時間の範囲で行うことが好ましい。また、加熱時間の短縮や特性発現のために、イミド化剤および/または脱水触媒をポリアミド酸溶液に添加し、このイミド化剤および/または脱水触媒を添加したポリアミド酸溶液を上記のような方法で加熱してイミド化してもよい。
上記イミド化剤としては、特に限定されないが、3級アミンを用いることができる。3級アミンとしては複素環式の3級アミンがさらに好ましい。複素環式の3級アミンの好ましい具体例としてはピリジン、ピコリン、イソキノリン、1,2-ジメチルイミダゾールなどを挙げることができる。上記脱水触媒としては具体的には無水酢酸、プロピオン酸無水物、n-酪酸無水物、安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物等を好ましい具体例として挙げることができる。
イミド化剤および脱水触媒の添加量としては、ポリアミド酸のアミド基に対して、イミド化剤は0.5~5.0倍モル当量、さらには0.7~2.5倍モル当量、特には0.8~2.0倍モル当量が好ましい。また、ポリアミド酸のアミド基に対して、脱水触媒は0.5~10.0倍モル当量、さらには0.7~5.0倍モル当量、特には0.8~3.0倍モル当量が好ましい。ポリアミド酸溶液にイミド化剤および/または脱水触媒を加える際、有機溶媒に溶かさず直接加えても良いし、有機溶媒に溶かしたものを加えても良い。有機溶媒に溶かさず直接加える方法ではイミド化剤および/または脱水触媒が拡散する前に反応が急激に進行し、ゲルが生成することがある。イミド化剤および/または脱水触媒を有機溶媒に溶かして得られた溶液を、ポリアミド酸溶液に混合することがより好ましい。
上述したように、本実施の形態に係るポリアミド酸から製造されたポリイミド膜は無色透明で黄色度が低く、TFT作製工程に耐えうるTgや耐熱性を有していることから、フレキシブルディスプレイの透明基板における使用に適している。
フレキシブルディスプレイを製造する場合、ガラスなどの無機膜を支持体としてその上にフレキシブル基板を形成し、その上にTFTなどの電子素子を形成する(フレキシブルデバイス)。TFTを形成する工程は一般的に150℃~650℃の広い温度領域で実施されるが、実際に所望する性能を達成するためには300℃以上で酸化物半導体やa-Siを形成し、場合によってはさらにレーザー等でa―Si等を結晶化させLTPS(Low Temperature Polysilicone)を形成する。
この際、ポリイミド膜の熱分解温度が低い場合、素子形成中にアウトガスが発生し、昇華物としてオーブン内に付着し、炉内汚染の原因となったり、ポリイミド膜上に形成した無機膜や素子が剥離する可能性があるためポリイミド膜の1%重量減少温度は500℃以上であることが好ましく、高ければ高いほどよい。
さらに詳細に説明すると、TFT作成前にバリア膜としてポリイミド膜上にSiOxやSiNxなどを形成する。ポリイミドの耐熱性が低い場合やイミド化が完全に進行していない場合、解重合により低分子量成分等が多く生成している場合、残存溶剤が多い場合には無機膜積層後の高温プロセス、例えばLTPSの脱水素工程などでポリイミドの分解ガス等の揮発成分に由来してポリイミドとバリア膜の界面に剥離が生じる。
特に、TFMBなどのフッ素を含むモノマーを用いた場合、高温プロセスにおいてフッ化水素が発生し、バリア膜やTFTなどを腐食し、ディスプレイの信頼性を悪化させたり、ポリイミド膜自身が黄変するため、透明性を求められる用途には不十分であることが分かった。
ポリアミド酸のイミド化物(本実施形態に係るポリイミド)を高温プロセスで使用する際のフッ化水素ガスの発生量の指標として、マススペクトルから得られる検出強度が挙げられる。詳しくは、まず、ヘリウムガス気流下、雰囲気温度60℃から10℃/分の昇温速度で上記ポリイミドを加熱して雰囲気温度470℃に到達した際に上記ポリイミドから発生したガスを、四重極型質量分析計で分析する。そして、得られたマススペクトル(詳しくは、雰囲気温度470℃に到達した際に上記ポリイミドから発生したガスの成分を分析した結果を示すマススペクトル)から、フッ化水素に起因すると推定されるm/z=20のピークの検出強度(以下、「20ピーク強度」と記載することがある)を読み取る。フッ化水素の発生量が多くなるほど、20ピーク強度が大きくなる傾向がある。なお、四重極型質量分析計で分析する際のヘリウムガスの流量は、上記ポリイミドから発生したガスをリアルタイムで上記四重極型質量分析計により分析できるように設定すればよく、例えば50mL/分以上150mL/分以下の範囲であり、好ましくは80mL/分以上120mL/分以下の範囲であるが、本件実施例では、100mL/分で測定した。
本発明者らが検討した結果、可塑剤存在下でイミド化することで、フィルム中の残存溶媒量が減少し、発生するアウトガス自体も大きく低減されることが分かった。特に、TFMBをモノマーとして使用する場合、可塑剤存在下でイミド化することで、得られたポリイミドを高温プロセスで使用する際のフッ化水素ガスの発生量が抑えられることが分かった。(図1)
本発明者らが検討した結果、実施例の項に示す、参考例1、2のように、ガラス基板上に製膜したフッ素を含むポリイミド膜とその上に形成されたバリア膜とからなる積層体を熱処理した際の、バリア膜とポリイミド膜との密着性やポリイミド膜の着色と20ピーク強度とが、非常に高い相関を示すことが分かった。
ガラスとポリイミド膜の積層体上に、プラズマCVD法にてSiOxを1μm成膜した積層体を470℃で加熱したところ、可塑剤を含有するポリアミド酸から得られたポリイミド膜を用いた積層体は、剥離等もなく、ポリイミド膜自身の着色も抑制されていた(参考例1)。一方で、可塑剤を含有しないポリアミド酸から得られたポリイミド膜を用いた積層体は、加熱後にSiOxが腐食され、全面で剥離が生じただけでなく、ポリイミド膜自身も着色していた(参考例2)。
470℃における20ピーク強度(I470)の値が小さいほど、フッ化水素の発生量が少なく、同じ樹脂組成のポリアミド酸であっても可塑剤を含有することで、20ピーク強度が小さくなり、フッ化水素の発生量を抑制できる。具体的には同じ樹脂組成のポリアミド酸であって、可塑剤を含有するポリアミド酸から得られたポリイミドの470℃における20ピーク強度を、可塑剤を含有しないポリアミド酸から得られたポリイミドの470℃における20ピーク強度を除した値を20ピーク強度の減少比とし、その値が0.8以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.4以下であることがさらに好ましい。上記範囲であれば、可塑剤によるフッ化水素発生抑制効果が十分であると判断できる。そのためポリイミド膜とバリア膜との密着不良を抑制し、電子素子の腐食を抑制することができ、TFTなどの電子素子の基板として好適である。
また、本発明者らが検討した結果、ポリイミド膜と無機膜やガラスとを積層した積層体とすることで、ポリイミド膜からなる単層構造の場合より、フッ化水素が発生し始める温度が低くなり、発生量も多くなることが分かった。これは、積層体とすることにより、熱により発生したラジカルを含む成分が揮発できなくなり、ポリイミドの自動酸化のサイクルを促進させたためであると推測される。
デバイス作製のプロセスにもよるが1%重量減少温度が500℃以上であることに加え400℃~500℃で等温保持した際のアウトガスが少ないことが求められる。具体的にはポリイミド膜上にSiOxなどの無機膜を形成後、400℃で1時間保持した際にポリイミド膜と無機膜の間に剥離がないことが望ましい。TFTは処理温度が高いほど性能が良くなるため、430℃で剥離がないことがより望ましく、470℃で剥離がないことがさらに望ましい。
またTgがプロセス温度よりも著しく低い場合は、素子形成中に位置ずれ等が生じる可能性があるためフレキシブル基板として用いられるポリイミド膜のTgは300℃以上が好ましく、350℃以上がより好ましく、400℃以上がより好ましい。さらに支持体として用いたガラス基板や電子素子とポリイミド膜に生じる内部応力が高ければ、高温のTFT工程で膨張した後、常温冷却時に収縮する際、ガラス基板の反りや破損、フレキシブル基板のガラス基板からの剥離などの問題が生じる。一般的に、ガラス基板の熱膨張係数は樹脂に比較して小さいため、フレキシブル基板との間に内部応力が発生する。そのため、ポリイミド膜とガラス基板との間に生じる内部応力が50MPa以下であることが好ましく、40MPa以下がより好ましく、30MPa以下が最も好ましい。
本発明のポリイミドは、TFT基板やタッチパネル基板等のディスプレイ基板材料として好適に用いることができる。上記用途に用いる際、支持体とポリイミドとの積層体を製造し、その上に電子素子を形成し、最後にポリイミド層を剥離する製造方法が用いられるケースが多い。また、支持体としては、無アルカリガラスが好適に用いられる。以下、ポリイミドと支持体との積層体の製造方法および積層体を経由するポリイミドの製造方法について具体的に述べる。これらはポリイミドの製造方法の一例であり、以下に限定されるものではない。
先ず、支持体に含有ポリアミド酸溶液を流延し、この支持体とポリアミド酸の積層体を40~200℃の温度で3~120分加熱することが好ましい。また、例えば50℃にて30分、続いて100℃にて30分のように2段階の温度で乾燥してもよい。次に、イミド化を進めるため、この支持体とポリアミド酸の積層体を温度200~470℃で3分~300分加熱することで、支持体とポリイミドとの積層体を得ることができる。このとき低温から徐々に高温にし、最高温度まで昇温することが好ましい。昇温速度は2℃/分~10℃/分であることが好ましく、4℃/分~10℃/分であることがより好ましい。また、最高温度は250~470℃の温度範囲であることが好ましい。最高温度が250℃以上であれば、十分にイミド化が進行し、最高温度が450℃以下であれば、ポリイミドの熱劣化や着色を抑制できる。また、最高温度に到達するまでに任意の温度で任意の時間保持してもよい。加熱雰囲気は空気下、減圧下、又は窒素等の不活性ガス中で行うことができるが、より高い透明性を発現させるためには、減圧下、又は窒素等の不活性ガス中で行うことが好ましい。また、加熱装置としては、熱風オーブン、赤外オーブン、真空オーブン、イナートオーブン、ホットプレート等の公知の装置を用いることができる。また、加熱時間の短縮や特性発現のために、イミド化剤や脱水触媒をポリアミド酸溶液に添加し、この溶液を上記のような方法で加熱してイミド化してもよい。つまり、一部または全てがイミド化したポリアミド酸も同様の方法で支持体との積層体を得ることができる。
得られた支持体とポリイミドとの積層体からポリイミド層を剥離する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、手で引き剥がしても良いし、駆動ロール、ロボット等の機械装置を用いて引き剥がしても良い。更には、基板とポリイミド層の間に剥離層を設ける方法や多数の溝を有する基板上に酸化シリコン膜を形成し、エッチング液を浸潤させることによって剥離する方法を用いることもできる。また、レーザー光の照射よって分離させる方法をとることもできる。
この時、ポリイミドと支持基板(たとえばガラス)の界面に浮きがあると、プロセス中に積層体が剥がれたり、剥離時の歩留まり低下を引き起こす恐れがある。これらの支持基板とポリイミド界面の浮きについてはイミド化時に発生する脱離成分や残存溶媒が影響しており、特にBPDA/PDAなどの高度に配向したポリイミドは、分子鎖が密にパッキングしており、これらのガス抜け性が悪く浮きが発生しやすい。筆者らが検討した結果、分子鎖中あるいは末端にかさ高い構造や柔らかい構造を導入することで浮きを防止することができるが、中でもSFDAは直線性の高い構造であるが、側鎖にかさ高い構造を有しているため良好なガス抜け性と高いガラス転移温度を両立することができる。
本発明の用途においては、ポリイミドは全波長領域で透過率が高いことが要求されるが、特に青色(470nm)の透過率が高いことが求められ、実用的には400nmの透過率が重要である。ポリイミドの透過率は紫外可視分光法により各波長における透過率を求めることができ、具体的には400nmにおける透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがさらに好ましく、それ以上であっても良い。また、ポリイミドは短波長側の光を吸収しやすい傾向があり、膜自体が黄色に着色することが多く、JIS K 7373記載の式から、黄色度を表す指標としてイエローインデックス(YI)を求めることができる。YIは20以下であることが好ましく、15以下であることがさらに好ましく、10以下であることがより好ましい。このように透明性を付与することで、ポリイミド膜はガラス代替用途などの透明基板として使用でき、基板の背面にセンサーやカメラモジュールを設置しても、センサーやカメラモジュールの解像度や色再現性への影響を抑えることができる。
ポリイミドの透明性は、JIS K7361およびJIS K7163に従った全光線透過率(TT)およびヘイズで評価することができる。本発明の用途でポリイミド膜を用いる場合、ポリイミドの全光線透過率は、75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。また、ヘイズは、1.5%以下であることが好ましいく、1.2%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
フレキシブルディスプレイの光取り出し方式には、TFT素子側から光を取り出すトップエミッション方式とTFT素子の裏面側から光を取り出すボトムエミッション方式の2種類がある。トップエミッション方式では、TFT素子に光が遮られないため開口率を上げやすく、高精細な画質を得られるという特徴があり、ボトムエミッション方式は位置合わせが容易で製造しやすいといった特徴がある。TFT素子が透明であればボトムエミッション方式においても、開口率を向上することが可能となるため、大型ディスプレイには製造が容易なボトムエミッション方式が採用される傾向がある。本発明のように透過率や透明性、耐熱性の優れた材料は上記どちらの用途でも使用することができる。
また、ガラス等の支持体上にポリアミド酸溶液を塗布し、加熱してイミド化し、電子素子等を形成して基板形成した後、剥がすという、バッチタイプのデバイス作製プロセスにおいては、支持体とポリイミドとの間の密着性が良いことがより好ましい。ここでいう密着性とは、密着強度という意味である。支持体上のポリイミド膜に電子素子等を形成して基板形成した後に、支持体から、電子素子等が形成されたポリイミド基板を剥がすという作製プロセスにおいて、支持体との密着性に優れるということは、電子素子等をより正確に形成または実装することができる。支持体上に電子素子等を積層させる製造プロセスの観点ではピール強度は高ければ高いほど良い。具体的には0.05N/cm以上が好ましく、0.1N/cm以上がさらに好ましい。
上述したような製造プロセスにおいて、支持体とポリイミドとの積層体からポリイミド層を剥離する際、レーザー照射によって支持体から剥離される場合が多い。この剥離の加工性の観点から、ポリイミドにレーザーの波長の光を吸収させる必要がある。レーザー剥離にはエキシマーレーザーが用いられることが多く、そのレーザーの波長の光を吸収する必要があることから、Cut off波長は312nm以上が好ましく、330nm以上がより好ましい。また、Cut Off波長が390nm以下であると、十分な透明性を発現できることから、Cut Off波長は320nm以上390nm以下であることが好ましく、330nm以上380nm以下であることがより好ましい。なお、本明細書中におけるCut off波長とは、紫外-可視分光光度計によって測定される、透過率が0.1%以下になる波長のことを意味する。
本発明に係るポリアミド酸およびポリイミドは、そのまま製品や部材を作製するためのコーティングや成形プロセスに供してもよいが、フィルム状に成形された成形物にさらにコーティング等の処理を行うための積層物として用いることも出来る。コーティングあるいは成形プロセスに供するために、該ポリアミド酸およびポリイミドを必要に応じて有機溶媒に溶解又は分散させ、さらに、光又は熱硬化性成分、本発明に係るポリアミド酸およびポリイミド以外の非重合性バインダー樹脂、その他の成分を配合して、ポリアミド酸およびポリイミド樹脂組成物を調製してもよい。
本発明に係るポリアミド酸およびポリイミドに加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、酸化防止剤、レベリング剤、シリコーン、微粒子、増感剤等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
本発明のポリアミド酸には、上述した機能性付与のための添加剤として、イミダゾール類を添加することができる。本明細書中でのイミダゾール類とは、1,3-ジアゾール環構造を含有する化合物を示す。本発明のポリアミド酸に添加するイミダゾール類は、特に限定されないが、例えば、1H-イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル2-フェニルイミダゾールなどが挙げられる。1,2-ジメチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル2-フェニルイミダゾールが好ましく、1,2-ジメチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾールがより好ましい。
イミダゾール類の含有量は、ポリアミド酸のアミド基1モルに対して0.005モル以上0.1モル以下が好ましく、0.01モル以上0.08モル以下が好ましく、0.015モル以上0.050モル以下がより好ましい。0.005モル以上含有させることでポリイミドの膜強度の向上や透明性の向上に対して効果を発揮し、0.1モル以下とすることで、ポリアミド酸の保存安定性を維持し、Tgや耐熱性も向上させることができる。透明性の向上について説明すると、NMPのような重合溶媒はポリアミド酸のカルボン酸と水素結合による錯体を形成することが知られており、イミド化速度が遅い場合、NMP等がフィルム中に残存し、酸化や分解することで着色の原因となる可能性がある。イミダゾール類を添加すると、ポリアミド酸のカルボン酸に配位し、イミド化を促進させるため、NMP等がフィルム中に残存しにくくなると同時に熱イミド化過程のポリアミド酸の分解も抑制されるため透明性が向上すると考えられる。本明細書中での、「ポリアミド酸のアミド基」とは、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物の重付加反応によって生成したアミド基を示す。
ポリアミド酸へのイミダゾール類の添加方法は特に制限されない。ポリアミド酸の分子量制御の観点から、ポリアミド酸に混合する方法が好ましい。このとき、イミダゾール類をそのままポリアミド酸に添加してもよいし、あらかじめイミダゾール類を溶媒に溶解しておき、この溶液を添加してもよく、その方法は特に制限されない。
本発明のポリアミド酸には、着色を抑制する効果付与のため、酸化防止剤を添加することができる。透本発明における酸化防止剤はポリアミド酸の重合に使用される溶剤に溶解し、イミド化時に液体で存在することが望ましい。フィルムの着色を抑制する点から、イミド化時に残存していることが望ましいため、酸化防止剤の沸点は50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく150℃以上がさらに好ましく、沸点以下に分解温度を持たないことが望ましい。
本発明のポリアミド酸に添加する酸化防止剤は特に限定されないが、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート(商標名:Irganox245)、1,3.5-トリス(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジンー2,4,6(1H,3H,5H)トリオン(商標名:AO-20)、4,4,4-(1-メチルプロパニル-3-イリデン)トリス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)(商標名:AO-30)、6,6-ジtert-ブチル-4,4-ブチリデンジ-m-クレゾール(商標名:AO-40)、オクタデシル-3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商標名:AO-50)、ペンタエリトリトールテトラアキス(3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(商標名:AO-60)、3,9-ビス(2-(3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニロキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)アンデカン(商標名:GA-80)、1,3,5-トリス(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン(商標名:AO-330)、アクリル酸1-ヒドロキシ(2,2-エチリデンビス(4,6-ビス(1,1-ジメチルプロピル)ベンゼン))-1-イル(商標名:スミライザーGS)、アクリル酸2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル(商標名:スミライザーGM)、2-tert-ブチル-6-メチル-4-(3-((2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ(d、f)(1,3,2)ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ)プロピル)フェノール(商標名:スミライザーGP)などのフェノール系酸化防止剤が挙げられ、中でもポリアミド酸やアミド系溶剤は分解物として窒化酸化物が発生する可能性があり、それらのガスに対する耐性やフェノール系化合物自身の着色抑制の観点から、GA-80、スミライザーGS、スミライザーGP、スミライザーGMなどが好ましい。
フェノール系化合物は主としてペルオキシラジカルを補足し、ヒドロペルオキシドに変換し高分子の自動酸化を抑制する一次酸化防止剤として機能するため、ポリマーの酸化による着色を抑制する効果がある。さらにヒドロペルオキシドを安定なアルコール化合物に変換する二次酸化防止剤の機能を持つ亜リン酸エステルなどと組み合わせることでさらなる相乗効果を得ることができる。例えばフェノール系化合物に対して亜リン酸エステルを当量から10当量程度にすることでラジカルの発生を効率よく抑制し、高分子の着色を抑えることができる。
フェノール系化合物は可塑化効果および酸化防止効果を十分に得るためにはポリアミド酸を100重量部とした際に、0.001重量部以上10重量部以下であることが好ましく、0.01重量部以上5重量部以下であることがさらに好ましく、0.02重量部以上1重量部以下であることがより好ましい。
また、本発明にかかるポリアミド酸は、支持体との適切な密着性を発現させるために、シランカップリング剤を含有させることができる。シランカップリング剤の種類は、公知のものを特に制限なく使用できるが、ポリアミド酸との反応性の観点からアミノ基を含有する化合物が特に好ましい。例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノフェニルトリメトキシシラン及び3-アミノフェニルトリメトキシシランなどが挙げられるが、原料の安定性の観点から3-アミノプロピルトリエトキシシランを用いることが好ましい。
これらのシランカップリング剤のポリアミド酸100重量部に対する配合割合は、0.01~0.50重量部であることが好ましく、0.01~0.10重量部であることがより好ましく、0.01~0.05重量部であることがさらに好ましい。シランカップリング剤の配合割合を0.01重量部以上とすることで、支持体に対する剥離抑制効果は十分に発揮され、0.50重量部以下とすることで、ポリアミド酸の分子量が十分に保たれるため、脆化などの問題が生じない。
本発明に係るポリイミド膜は、その表面に金属酸化物や透明電極等の各種無機薄膜を形成していても良い。これら無機薄膜の製膜方法は特に限定されるものではなく、例えばCVD法、スパッタリング法や真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法等が挙げられる。
本発明に係るポリイミドは、耐熱性、低熱膨張性、透明性に加えて、ガラス基板との内部応力が小さいため、これらの特性が有効とされる分野および製品、例えば、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ、光学フィルム、液晶表示装置、有機EL及び電子ペーパー等の画像表示装置、3-Dディスプレイ、タッチパネル、透明導電膜基板あるいは太陽電池に使用されることが好ましく、さらには現在ガラスが使用されている部分の代替材料とすることがさらに好ましい。
また、本発明に係るポリアミド酸、ポリイミドおよびポリアミド酸溶液は、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布し、加熱してイミド化し、電子素子等を形成して基板形成した後、剥がすという、バッチタイプのデバイス作製プロセスに好適に用いることができる。したがって、本発明には、支持体上にポリアミド酸溶液を塗布し、加熱してイミド化し、支持体上に形成されたポリイミド膜に電子素子等を形成する基板形成工程を含む電子デバイスの製造方法も含まれる。また、かかる電子デバイスの製造方法は、さらに、基板形成工程の後に、支持体から、電子素子等が形成されたポリイミド基板を剥がす工程を含んでいてもよい。
以下、実施例を示し具体的に説明するが、これらは説明のために記述されるものであり、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
(評価方法)
本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評価法のよって得られたものである。
(1)イエローインデックス(YI)及び400nm透過率
日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計(V-650)を用いて、ポリイミド膜の200-800nmにおける光透過率を測定し、JIS K 7373記載の式から、黄色度を表す指標としてイエローインデックス(YI)を算出した。
(2)ポリイミド膜の全光線透過率(TT)
積分球式ヘイズメーターHM-150N(村上色彩技術研究所社製)により、JIS K7361記載の方法により測定した。
(3)ポリイミド膜のヘイズ
積分球式ヘイズメーターHM-150N(村上色彩技術研究所社製)により、JIS K7136記載の方法により測定した。
(4)内部応力の測定
あらかじめ反り量を計測していたコーニング社製の無アルカリガラス(厚み0.7mm、100mm×100mm)上に実施例ならびに比較例で調製したポリアミド酸溶液をスピンコーターで塗布し、空気中で120℃で30分、窒素雰囲気下で430℃で30分焼成し、膜厚10μmのガラス基板とポリイミドの積層体を得た。このガラス基板とポリイミドの積層体の反り量をテンコール社製薄膜応力測定装置FLX-2320-Sを用いて測定し、窒素雰囲気下、25℃におけるガラス基板とポリイミド膜の間に生じた内部応力を評価した。なお、ポリイミド膜の吸水を避けるために、ガラス基板とポリイミドの積層体は焼成直後あるいは120℃で10分乾燥させてから測定を行った。
(5)ポリイミド膜から発生したガスの分析
熱重量測定装置(NETZSCH社製「STA449 F5」)と四重極型質量分析計(日本電子社製「JMS-Q1500GC」)とを結合させた分析装置を用いて、加熱時にポリイミド膜から発生したガスを分析した。以下、分析手順について説明する。
まず、標準物質としてパーフルオロトリブチルアミンを用いて、m/z=69のピークの検出強度が800,000となるように、上記四重極型質量分析計の電圧を調整した。次いで、上記熱重量測定装置を用いて、流量100mL/分のヘリウムガス気流下において雰囲気温度60℃から10℃/分の昇温速度で、後述する実施例及び比較例で得られた各ポリイミド膜(詳しくは、質量が140mgとなるように各積層体からサンプリングしたポリイミド膜)を加熱して雰囲気温度470℃に到達した際にポリイミド膜から発生したガスを、上記四重極型質量分析計で分析した。なお、上記分析装置を用いてヘリウムガス気流下でポリイミド膜を加熱することで、ヘリウムガスがキャリアガスとなって、ポリイミド膜から発生したガスをリアルタイムで上記四重極型質量分析計により分析できるようになっている。そして、雰囲気温度470℃に到達した際にポリイミド膜から発生したガスについて上記四重極型質量分析計で分析して得られたマススペクトルから、m/z=20のピークの検出強度(20ピーク強度)を読み取った。また、60℃におけるピーク強度が2000±100となるようにベースラインを調整した。
用いた試薬の略称は以下の通りである。
NMP:1-メチル-2-ピロリドン
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
SFDA:スピロ[11H‐ジフロ[3,4-b:3’,4’‐i]キサンテン-11,9’‐[9H]フルオレン]1,3,7,9テトロン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
6FDA:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
TFMB:2,2-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
TMP:トリメチルホスフェート
PX-200:1,3-フェニレンビス(2,6-ジメチルフェニレンホスフェート)
TPPi:トリフェニルホスファイト
DEPi:ジエチルホスファイト
(実施例1)
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた300mLのガラス製セパラブルフラスコに重合用の有機溶媒としてNMP40.0gを仕込み撹拌した。そこに、TFMB 5.065gを入れ、溶解させた。この溶液に、SFDA0.747g、BPDA4.188gを加え、室温で24時間攪拌し、さらに0.1gのTMPを加えて30分攪拌し、均一で透明なポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液をスピンコーターで塗布し、空気中で120℃で30分、窒素雰囲気下で430℃で30分焼成し、ガラス基板から剥離することで、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の特性を表1に示す。(但し、表1の酸二無水物[mol%]は、酸二無水物全体を100molとしたときに各酸二無水物のmol%を、およびジアミン[mol%]は、ジアミン全体を100molとしたときに各ジアミンのmol%を意味する。)
尚、表中の実施例1のm/z=20減少比は、(実施例1のm/z=20のピーク強度)÷(比較施例3のm/z=20のピーク強度)である。
(実施例2から8)
使用したモノマーならびに添加剤を表1に記載したものに変更したこと以外は実施例1と同様の方法でポリイミド膜を得た。
(比較例1)
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた300mLのガラス製セパラブルフラスコに重合用の有機溶媒としてNMP40.0gを仕込み撹拌した。そこに、TFMB 5.212gを入れ、溶解させた。この溶液に、BPDA4.788gを加え、室温で24時間攪拌し、均一で透明なポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液をスピンコーターで塗布し、空気中で120℃で30分、窒素雰囲気下で430℃で30分焼成し、ガラス基板から剥離することで、膜厚10μmのポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の特性を表2に示す。
(比較例2から9)
使用したモノマーおよび添加剤ならびに添加量を表1記載のものに変更した以外は比較例1と同様の方法でポリイミド膜を得た。得られたポリイミド膜の特性を表1に示す。
上記に示すように、2,2-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンとスピロ[11H‐ジフロ[3,4-b:3’,4’‐i]キサンテン-11,9’‐[9H]フルオレン]1,3,7,9テトロンの重付加物を必須成分とするポリアミド酸と可塑剤とを含有するポリアミド酸組成物から得られるポリイミドは
(1)加熱した際のm/z=20のアウトガス発生量が抑制されている。
(2)400nmにおける透過率が30%以上
(3)ヘイズが1.0%以下となる。
実施例1~8は可塑剤を含有するポリアミド酸組成物から得られたポリイミドであり、可塑剤を含有しない比較例3~9と比較して、フッ化水素の発生量が低減している。比較例2は可塑剤を含むことで比較例1よりもフッ化水素の発生量は少なくなっているが、SFDAを含まないため、ヘイズが高く、透明性を必要とされる用途には適用できない。
以上の結果から、2,2-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン由来のジアミンとスピロ[11H‐ジフロ[3,4-b:3’,4’‐i]キサンテン-11,9’‐[9H]フルオレン]1,3,7,9テトロン由来の酸二無水物の重付加物と可塑剤とを含有するポリアミド酸組成物から得られるポリイミドは、フッ化水素の発生量が抑制され、400nmの透過率が高く、さらにヘイズの発生が抑制されていることを確認した。なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。
(参考例1,2)
コーニング社製の無アルカリガラス(厚み0.7mm、100mm×100mm)上に実施例ならびに比較例で調製したポリアミド酸溶液をスピンコーターで塗布し、空気中で120℃で30分、窒素雰囲気下で430℃で30分焼成し、膜厚10μmのガラス基板とポリイミドの積層体を得た。この積層体の上にプラズマCVD法にてSiOxを1μm積層し、その積層体を窒素雰囲気下で470℃で10分焼成後、SiOxとポリイミド膜の間に剥離がないかを目視で確認し、さらに紫外可視近赤外分光光度計を用いて、YIを算出したところ、可塑剤を含む参考例1は、加熱処理後に剥離も見られず、透明性(具体的にはYI)もほとんど変化がなかったが、可塑剤を含まない参考例2はSiOxが剥離し、さらにポリイミド膜自身も黄変し、YIが60を超えていた。

Claims (15)

  1. ポリアミド酸、可塑剤および溶媒とを含有するポリアミド酸組成物であって、前記ポリアミド酸は、酸二無水物とジアミン化合物の付加物であり、全酸二無水物を100mol%以上とした場合、酸二無水物として、1モル%以上のスピロ[11H‐ジフロ[3,4-b:3’,4’‐i]キサンテン-11,9’‐[9H]フルオレン]1,3,7,9テトロンを含有し、全ジアミン化合物を100mol%とした場合、ジアミン化合物として、50mol%以上の2,2-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを含有することを特徴とするポリアミド酸組成物。
  2. 酸二無水物として、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物。2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸2,3:6,7-二無水物から選ばれる1種以上の酸二無水物を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリアミド酸組成物。
  3. 全酸二無水物を100mol%以上とした場合、酸二無水物として、スピロ[11H‐ジフロ[3,4-b:3’,4’‐i]キサンテン-11,9’‐[9H]フルオレン]1,3,7,9テトロンを1モル%以上50モル%以下含むことを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド酸組成物。
  4. 前記可塑剤の添加量が、前記ポリアミド酸100重量部に対して、20重量部以下である、請求項1~3のいずれかに記載のポリアミド酸組成物。
  5. 前記可塑剤は、リン含有化合物、ポリアルキレングリコール及び脂肪族二塩基酸エステルからなる群より選ばれる一種以上である、請求項1~4のいずれかに記載のポリアミド酸組成物。
  6. 前記溶媒が非プロトン性溶媒であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリアミド酸組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリアミド酸組成物に含まれる前記ポリアミド酸のイミド化物であるポリイミド。
  8. 前記ポリイミドをヘリウムガス気流下、雰囲気温度60℃から10℃/分の昇温速度で雰囲気温度470℃まで加熱し、前記ポリイミドから発生したガスを四重極型質量分析計で分析して得られたm/z=20のマススペクトルにおいて、470℃におけるピーク強度を可塑剤を含有しないポリアミド酸から得られたポリイミドの470℃におけるピーク強度で除した値が、0.8以下であることを特徴とする、請求項7に記載のポリイミド。
  9. 請求項7または8のいずれか一項に記載のポリイミドを含むポリイミド膜。
  10. 膜厚が10μmであるときの400nmにおける透過率が30%以上であることを特徴とする請求項9に記載のポリイミド膜。
  11. 膜厚が10μmであるときのヘイズが1.0%以下であることを特徴とする請求項9または10に記載のポリイミド膜。
  12. 支持体と、請求項9~11のいずれかに記載のポリイミド膜とを有する積層体。
  13. 支持体とポリイミド膜とを有する積層体の製造方法であって、請求項6に記載のポリアミド酸組成物を支持体上に塗布することにより、前記ポリアミド酸及び前記可塑剤を含む塗布膜を形成し、前記塗布膜を加熱して前記ポリアミド酸をイミド化する、積層体の製造方法。
  14. ポリイミド膜の製造方法であって、請求項6に記載のポリアミド酸組成物を支持体上に塗布することにより、前記ポリアミド酸及び前記可塑剤を含む塗布膜を形成し、前記塗布膜を加熱し、形成した塗布膜を剥離する、ポリイミド膜の製造方法。
  15. 請求項9~11のいずれかに記載のポリイミド膜と、前記ポリイミド膜上に配置された電子素子とを有する電子デバイス。
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