JP2023116043A - 米粉パンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ふっくらして、ソフトでしっかりし、ボリューム感を有して老化もしにくい米粉パンを提供する。【解決手段】米粉、砂糖、油、イースト、増粘多糖類、水を含み、かつ、グルテンを含まないパン生地を焼成して製造する米粉パンの製造方法であって、米粉、砂糖、油、イースト、増粘多糖類、水を混合する一次ミキシング工程と、一次ミキシング工程の後に、サイリウムを追加して混合する二次ミキシング工程を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、米粉パンの製造方法に関する。
近年、小麦粉による食物アレルギー対策や、コメの消費を拡大させることを目的に、小麦粉から米粉に原料を代替した米粉パンが知られてきている。
小麦粉にはタンパク質の一種であるグルテンが含まれており、このグルテンがパンの弾性や柔軟性を決定し、パンの膨張を助ける働きをすることが知られている。
しかし、グルテンは食物アレルギーの原因になることが知られているため、昨今、食物アレルギー体質の人でも食べることのできるパンとして、グルテンを用いていないグルテンフリーの米粉パンが流通してきている。米粉を用いることにより、米の消費拡大につながり、また、小麦アレルギーを持っている人やセリアック病患者に対しても食品の選択肢を提供している。これ以外にも、グルテンフリー食品を好む人や、米粉加工品の普及、宗教上の食の禁忌への対応などから、グルテンフリーの米粉パンは市場性、マーケット性がある。
このようなグルテンフリーの米粉パンの製造に関する文献として、下記の文献がある。特許文献1には、グルテンを含まない米粉パンの製造方法が開示されており、用いる原材料として、グルテンを含まず、代わりにサイリウムと大豆粉を含有する米粉パン用ミックス粉や米粉パン用パン生地についても開示されている。また、特許文献2にも、グルテンを含まない米粉パンの製造方法が開示されている。
特許第6304673号公報 特開2021-177701号公報
上記先行技術文献に記載されている米粉パンは、小麦粉を用いて作られたパンとは異なり、グルテンを含有していないため、膨らみが悪く、ボリューム感に欠け、製パン性が悪くなることがある。そのため、加水量を多くすることがあるが、ソフトでしっとりした感覚が少なく、水っぽく、重い食感となることがある。また、上記文献に記載されているもの以外の、市販されている米粉パンに関しても同様に、水っぽく、重い食感となってしまうものがある。
また、上記特許文献1に記載されているミックス粉には、サイリウムが混合されており、サイリウムの吸水力が高いために、加水時にサイリウムで水分が吸収されてしまい、米粉に十分な水分が吸収されず、かかるミックス粉を用いて作られたパンは、ボリューム感に欠け、老化が進みやすいことがあった。
そこで、本発明は、グルテンを用いていないグルテンフリーの米粉パンにおいて、ふっくらして、ソフトでしっかりし、ボリューム感を有して老化もしにくい米粉パンを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一開示としては、米粉、砂糖、油、イースト、増粘多糖類、水を含み、かつ、グルテンを含まないパン生地を焼成して製造する米粉パンの製造方法であって、米粉、砂糖、油、イースト、増粘多糖類、水を混合する一次ミキシング工程と、前記一次ミキシング工程の後に、サイリウムを混合する二次ミキシング工程を備えるという技術的手段を講じた。
また、米粉は、気流製粉によって製粉された米粉と、胴搗き製粉によって製粉された米粉を混合して用いてもよい。
さらに、気流製粉によって製粉された米粉と、胴搗き製粉によって製粉された米粉の重量比が100:5~15の範囲としてもよい。
二次ミキシング工程において、サイリウムに加えて、ビタミンCを追加して混合するようにしてもよい。
これにより、ふっくらして、ソフトでしっかりし、ボリューム感を有して老化もしにくい米粉パンを提供することが可能となる。
本発明の実施形態の米粉パンの製造工程の一例を示すフロー図である。 従来の米粉パンの製造工程の一例を示すフロー図である。 製粉方法と米粉の吸水性との関係を示した図である。 気流(湿式)製粉による米粉と、胴搗き製粉による米粉の割合を変更した場合の焼き上げたパンのふくらみ具合を示す図である。 米粉パンの製造方法の過程を示す図である。 製剤添加の違いによる米粉パンの焼き上がりの違いを示す図である。 製剤添加の違いによる米粉パンの焼き上がりの違いを示す図である。 製剤添加の違いによる米粉パンの焼き上がりの違いを示す図である。 製剤添加の違いによる米粉パンの焼き上がりの違いを示す図である。 製剤添加の違いによる米粉パンの焼き上がりの違いを示す図である。
(本発明の実施形態における米粉パンの製造方法の例)
以下に、本発明の一実施形態にかかる米粉パンの製造方法の一例を説明する。ここで用いられる米粉としては、一般的に使用されている米粉を用いることができる。ここで、「米粉」とは、生米の粉を指す。ただ、これらはあくまで一例であって、米粉パンの製造方法は以下の方法に限定されるものではなく、趣旨を逸脱しないものであれば、適宜手順等を変更してもよい。すなわち、所望のパンの種類、形状等により、製造方法を適宜変更することができる。
図2は、従来の米粉パンの製造工程の一例を示している。例えば、一次ミキシング工程S11、一次発酵工程S12、二次ミキシング工程S13、成形工程(型入れ)S14、二次発酵工程S15及び焼成工程S16の順で行うことができる。製造工程の大半においては、通常の小麦粉を用いたパンの製造方法と同様の方法により行うことができる。二次ミキシング工程S13については、省略される場合もあるが、副材料等を混合する場合には、二次ミキシング工程S13を行って、かかる工程において混合が行われることもある。また、分割工程を追加して行うこともできる。
一次ミキシング工程S11においては、必要な原材料を計量した後に全てを混合している。ミキシング条件は、製造するパンの種類、材料、製造量、材料の温度、製造環境の温度や湿度等に応じて適宜設定している。
次に、一次発酵工程S12を行う。例えば、30℃~50℃程度で30分~90分程度(具体的には、38℃において、30分間)保温することにより、一次発酵を行うことができる。一次発酵条件は、所望のパンの種類、パン生地の状態、環境条件により適宜変更することができる。
必要に応じて二次ミキシング工程S13を行う。このとき、ドライフルーツ(干しブドウなど)、チョコチップ等の副材料をパン生地に混合することができる。
次に、成形工程S14を行う。成形工程S14では、パン生地を所望する形状に成形する。本件においては、生地の粘度が低く、食パン形状に焼き上げるため、焼成用の型に入れて焼成を行う。
次に、二次発酵工程S15を行う。二次発酵工程S15では、一次発酵工程S12と同様に、温度、湿度及び時間を指定して保温することにより、二次発酵を行うことができる。例えば、25~45℃程度で30分~90分程度(具体的には、38℃(油脂ロールインを除く製品)において、60分間)保温することにより、二次発酵を行うことができる。
次に焼成工程S16を行う。焼成条件(温度、時間等)は、製造する米粉パンに合わせて、例えば、焼いたときの減少率等を指標にして適宜設定することができる。例えば、180℃~250℃程度で30分~40分程度焼成することにより、焼成工程を行うことができる。以上により本実施形態の米粉パンが製造される。
上記の一次ミキシング工程、一次発酵工程、二次ミキシング工程、成形工程(型入れ)、二次発酵工程及び焼成工程は、全自動のホームベーカリーなどの機器や、それぞれの工程を行うための機器(ミキサー、混練機、成形機、ホイロ等の保温器、オーブンなどの焼成機)を用いて行ってもよい。
図1は、本実施形態の米粉パンの製造工程の一例を示している。本実施形態の米粉パンの製造工程は、概ね従来の米粉パンの製造工程と同様であるが、例えば、一次ミキシング工程S1、サイリウム混合工程S2、二次ミキシング工程S3を行い、その後、製造するパンの種類に応じて、成形工程(型入れ、又は型なし成形)S4を行い、その後発酵(焼成前発酵)工程S5及び焼成工程S6の順で行うことができる。
各工程においては、従来の製造工程と同様の条件で行う。従来の製造工程との違いは、一次ミキシング工程の後に、一次発酵を行わず、代わりにサイリウム混合工程を行っている点である。
まず、一次ミキシング工程S1において、サイリウム以外の原材料として、米粉、アルギン酸、HPMC、砂糖(上白糖)、食塩、サラダ油、ドライイースト、水を投入して混合を行う。本実施形態においては、最初のミキシング工程においては、サイリウムを添加せずに混合を行っているため、投入した水分がサイリウムに吸収されることなく、米粉に十分水分を吸収させることが可能となる。
また、従来の製造工程と同様に、一次ミキシング工程の後に一次発酵を行うことも可能であるが、本実施形態において一次発酵工程を行うと、特に機械成形を行った場合に、仕上がりの表面が荒れることがある。
サイリウム混合工程S2においては、サイリウムを加えてミキシングを行う。サイリウムに加えて、シトラスファイバーやビタミンCなど他の製剤を添加することも可能である。これらの他の製剤については後述する。
(本実施形態における米粉パンの製造に用いられる原材料)
本実施形態における米粉パンの製造に用いられる原材料としては、米粉、砂糖、塩、油、ドライイースト、水、HPMC、アルギン酸エステルを用いている。
米粉は、本発明の実施形態の米粉パンの主原料となる穀物粉であり、稲から取れる生米を粉砕して得られる粉末を指す。米粉の原料となる米は特に限定されるものではない。実際の製造の際には、原料となる米を、製粉機によって平均粒度30~100μmとなるように製粉した上で用いている。製粉方法についてはいくつかの種類があり、これらの製粉方法の違いについては後述する。
本実施形態における砂糖としては、白砂糖、黒砂糖、ショ糖などの任意の砂糖を用いることができる。また砂糖の代わりに他の糖類である、ブドウ糖、果糖、蜂蜜、麦芽糖、黒糖、グラニュー糖等を用いることも可能である。
本実施形態における塩としては、塩化ナトリウムを主成分とする塩を用いることができる。主成分としては塩化ナトリウムとするが、それに加えて、例えば塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の他の塩類を含んでいてもよい。
本実施形態における油としては、主としてサラダ油やなたね油が用いられる。
本実施形態におけるイーストとしては、一般的にパンの製造において発酵に使用できる任意のイースト(酵母)を用いることが可能である。本実施形態においてはドライイーストを用いているが、生イーストを用いることも可能である。
また、本発明のパンにおける、グルテンを用いていないグルテンフリーとは、小麦粉由来の小麦グルテンを用いていないことだけでなく、他の穀物由来のグルテン性タンパク質を含まないことを意味する。その基準値としては、米国食品医薬品局(FDA)が規定している基準として、以下の(1)、(2)のいずれかを満たすものとされている。
(1)以下のいずれも含有していないもの。
ア.グルテン含有穀物である原料(スペルト小麦など)
イ.グルテン含有穀物に由来しグルテン除去処理が施されていない原料(小麦粉など)
ウ.グルテン含有穀物に由来しグルテン除去処理が施されている原料で(小麦でんぷんなど)、食品中のグルテンを1キログラム当たり20ミリグラム以上とする原料
(2)本質的にグルテンを含有しないもの。
これらの定義からわかるように、グルテンフリーとは、まったくグルテンを含まないもののみを指しているものではない。
米粉パンを製造するにあたっては、通常増粘多糖類が用いられる。増粘多糖類としては、食品分野において使用されているものとして、例えばペクチン、キサンタン(ガム)、カラギナン、グアーガム、アラビアガム、ジェラン(ガム)、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ペクチン、セルロース、グルコマンナン、ゼラチン、寒天、大豆多糖類、コーンスターチ、片栗粉といったものが用いられるが、本実施形態においては、膨らみや食感を小麦粉パンに近づけ、また、アレルギー物質を含む原材料を用いないという観点から、アルギン酸エステル、HPMCを用いている。
本実施形態におけるHPMCは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、メチルセルロースのセルロースの骨格にメトキシ基をつけ、そのメトキシ基の一部をさらにヒドロキシプロピル基に置換したものであり、一般的に増粘多糖類の一つとして用いられる物質である。
本実施形態におけるアルギン酸エステルは、多糖類であるアルギン酸に酸化プロピレンを加えて、構造中のカルボキシル基にプロピレングリコールをエステル結合した誘導体であり、一般的に増粘多糖類の一つとして用いられる物質である。
また、本発明の実施形態におけるパン生地は、主たるパン生地を構成する主原料の他に、卵、肉類、ハム、ソーセージ、ベーコン、アーモンド、にんじん、ごま、とうもろこし、レーズン、リンゴなどの副材料を含んでいてもよい。ただ、アレルギー物質を含む特定原材料等の28品目を避けるという観点からは、副材料においてもそれらの品目は避けて、上記の材料の中ではにんじんや、とうもろこし程度としておくことが好ましい。さらに、グルテンを含まない限り、乳化剤、保存料、香料、着色料等の食品添加物を含んでもよい。
また、パンの製造工程において、一次ミキシング及び二次ミキシングにおいてはミキサー(関東混合機工業株式会社製:SS-71)、発酵工程(主として二次発酵、本件においては、基本的に一次発酵を行なわずに製造を行っているが、一次発酵を行う場合には一次発酵についても)においては、ドウコンディショナ(戸倉商事株式会社製:PEEE1-SK)、焼成工程においては、オーブン(戸倉商事株式会社製:TOU-221SUU)を用いた。
また、成形工程においてパン生地を入れる型としては、2斤型の容器(容積3675cm)を用いた。
(米粉の製粉方法について)
図3は、製粉方法と米粉の吸水性との関係を示した図であり、米粉の製粉方法の違いと、損傷でん粉の比率(%)、加水した生地の硬さ(g)の関係をまとめている。これらの説明における、比率等は、米粉を100としたときの比率を示している。製粉方法としては、気流(湿式)、ロール、気流(乾式)、胴搗きがあり、この順で損傷でん粉の比率が高まり、加水した生地の硬さも高まっている。加水した生地の硬さの測定には、一般的に硬さを測定する機器として用いられているレオメーターを用いている。
気流(湿式)製粉の米粉と比べて、胴搗き製粉の米粉は吸水性が高い。そのため、米粉に加水すると、気流(湿式)製粉の米粉は吸水性が低いため液体状となるのに対し、胴搗き製粉の米粉は吸水性が高いため塊状となる。この胴搗き製粉の米粉のみを用いると、生地の凝固性が高いため、製造されたパンにボリュームが出ないことがある。そのため、実際に用いる際には、異なる製粉方法で製粉された米粉を適宜混合して用いる。
これらの製粉方法の中では、気流(湿式)製粉と胴搗き製粉による米粉の粒度が細かいものとなる。これに対して、気流(乾式)製粉のものについては、いくぶん粒度が荒く、アルファ化が生じて米粉が硬くなる場合がある。
本発明の実施例においては、基本的に気流(湿式)製粉による米粉と胴搗き製粉による米粉を混合して用いている。本実施例においては、米粉に対してサイリウムを添加して用いているが、サイリウムは吸水性が非常に高く粘弾性もあるため、添加量を多くしすぎると焼成したパン生地の引きが強く、ちぎれ難(にく)い傾向になる。そのため、サイリウムの代わりに、気流(湿式)製粉による米粉に比べて吸水性の高い胴搗き製粉による米粉を混合することによって、米粉の硬さを調整している。具体的には、全体の米粉100のうち、胴搗き製粉による米粉を0~20の割合で混合する。このとき、サイリウムは0.5~2.0程度の混合量とする。
以下に、気流(湿式)製粉による米粉と、胴搗き製粉による米粉の混合比を変更した実験結果を示す。
まずは、生地の基本配合として以下のとおりとする。
(1)気流(湿式)製粉による米粉
(2)上白糖 6.0
(3)塩 1.5
(4)サラダ油 6.0
(5)ドライイースト 1.5
(6)水 84
(7)サイリウム 1.5
(8)胴搗き製粉による米粉
(1)の気流(湿式)製粉による米粉と、(8)の胴搗き製粉による米粉の割合は、80~100と20~0の間で変更する。また、必要に応じてアルギン酸やHPMCも加えられている。(2)~(7)の添加量は、(1)の気流(湿式)製粉による米粉と、(8)の胴搗き製粉による米粉を合わせた米粉全体を100としたときの割合を示している。
まず(1)~(6)及び(8)を投入し、ミキサーの回転数(又はミキサーの撹拌子回転数)の設定をLL(Low Low:低速)として2分、その後、ミキサー回転数の設定をLH(Low High:中低速)として3分の撹拌を行う。その後、(7)のサイリウムを加えてミキサーの回転数の設定をLL(Low Low:低速)として2分撹拌を行う。ホイロは38℃で50分間とし、オーブンについては、上段210℃、下段190℃として12分間行う(ただし、生地分割重量50gの場合)。
図4は、(1)の気流(湿式)製粉による米粉と、(8)の胴搗き製粉による米粉の割合を変更したもののそれぞれの配合割合、及び、それらの割合による生地で焼き上げたパンのふくらみ具合を示す、パンの直径の値を示している。それぞれ、(2)~(7)の副原料の比率は変更しておらず、それぞれの配合によって、個別に混合を行う。
胴搗き製粉による米粉は、気流(湿式)製粉による米粉と細かさは同程度で吸水性が高い。そのため、胴搗き製粉による米粉を混合しても成形時の問題はなく、胴搗き製粉による米粉を添加することで、サイリウムの添加量を調整して米粉の硬さを調整することが可能となる。そして、図4に示されているように、これらの中では、胴搗き製粉による米粉の割合を10%としたものが最もふくらみが大きいことがわかる。また、図4には示されていないが、胴搗き製粉による米粉の割合が低くなると、焼成した生地の張りが強くなり、胴搗き製粉による米粉の割合が高くなると、咀嚼時にねちゃつくことがあったり、団子状に固まるような傾向がみられることがある。
上述のほか、気流(湿式)製粉による米粉と胴搗き製粉による米粉を一緒に投入混合し、その後サイリウムを添加することもある。さらには、気流(湿式)製粉の米粉と副材料をまず混合し、次に、サイリウムと同じタイミングで胴搗き製粉による米粉を加えることもある。
そして、最適な配合量としては、サイリウムの添加量を1.5%程度に抑え、胴搗き製粉による米粉の添加量を5~10%程度使用することである。例えば、卵やバターや糖類が多く入る配合の場合、サイリウムの吸水性・凝固性が弱まるため、手成形しにくくなる問題がある。その際は、胴搗き製粉による米粉を多く入れ、生地の硬さを調節したりすることもある。胴搗き製粉による米粉を、生地の状態を見ながら、最後の調整粉として使用するのである。
図5に米粉パンの製造方法の過程を示す。図5において、S22~S23は型入れを行って食パンを製造する過程であり、S24~S26は型入れを行わずに菓子パンを製造する過程を示している。
まず、S21に示すように、一次ミキシングにおいて、基本配合として米粉、イースト、砂糖、油、塩、水を混合してミキシングを行う。その後、食パンを製造する過程においては、S22に示すように型を用いて流し込み、その後焼成してS23に示すような角食形式のパンが製造される。このように、食パンを製造する過程においては、型入れを行って製造を行っているため、従来の、流動性が高い混合物を用いた場合においても、後述するようにサイリウムを混合して、流動性が低い混合物を用いた場合においても、いずれの場合においても製造することが可能となる。
一方、本実施形態において、S21に示される一次ミキシング工程後に、S24に示されるサイリウムを添加する。サイリウムは1gで30gの水分を吸収するという高い吸水性を示すため、サイリウムを添加することによって混合物材料の粘度が高くなる。これにより、上記の従来の製造方法と比べて保形性があるため、必ずしも型に流し込む必要はなく、S25に示すように、型を用いずに手成形や機械成形で例えば丸い形などに成形することが可能となる。その後焼成するとS26に示すように、丸い形が維持されたパンを製造することが可能となり、内部に餡等を包むことも可能となる。
図6A~図6Eに、本実施形態のサイリウムを混合した米粉を用いて、型入れして食パンを製造した際の、製剤添加の違いによる米粉パンの焼き上がりの違いを示す。まず、米粉の基本配合としては、米粉、アルギン酸、HPMCに、砂糖(上白糖)、塩(食塩)、油(サラダ油)、イースト(ドライイースト)、水を混合して用いる。それらを混合した後に、サイリウムやその他の製剤を添加してさらにミキシングを行う。
成形については、図6Dに示すように、サイリウム等の添加により粘度が高くなっているため、手成形や機械成形が可能となっており、手成形によって2つの玉に分割してパンケースに入れている。
図6Bは基本配合にサイリウムを2%添加して焼成したパンを示す。図6Bに示されているように、上部のケービングがなく、ある程度のボリュームが出ていることが示されている。
図6Aは、サイリウムの配合を減らして、代わりにシトラスファイバーを添加し、サイリウム1%、シトラスファイバー1%とした例である。シトラスファイバーも1gで30gの水分を吸収可能であり、サイリウムと同程度の吸水性を示す。また、サイリウムと比較して粘弾性が弱く伸縮しにくいという特徴を有し、また、匂いが少なくサイリウムが有する匂いをマスクする機能を有する。具体的には、DSP五協フード&ケミカルのヘルバセルAQプラスCF-D/100を用いている。図6Bの例と比較して、いくぶん上部にケービングが見られるものの、サイリウムの匂いをマスクする機能を有しているため、その匂いを気にする人には有用である。
図6Cは、サイリウム2%に加えて、ビタミンCを微量(20ppm)加えた例である。図6Bの例と同様に上部のケービングは認められず、図6Bの例と比較して、さらにふくらみがあってボリュームがあり、上面の盛り上がりもみられる。また、ビタミンCを加えることによって、焼成の際の窯内ののびが発生し、表面がなめらかになるという効果もある。ビタミンCの添加量としては、少なすぎると効果が薄くなるが、あまり多く添加してもある程度の効果は得られるものの、添加量に応じた効果を得ることは難しくなる。本実施形態では20ppmとしているが、5~50ppm程度の範囲であれば同様の効果を奏することができる。ビタミンCの添加によって、仕上がりのパンにつやを出すことも可能である。
図6Eは、基本配合の材料からアルギン酸とHPMCを除いた上でサイリウムを2%添加した例である。図6Bの例と比較して生地の粘性が少なめで、いくぶんボリューム感に欠けるものとなっている。
このように、サイリウムを最初から添加するのではなく、後添加することによって、生地の流動性が減少し、型に入れて成形する場合の付着が減少し、保形成が向上するために、品質を維持した状態で手分割、手形成、機械分割、機械成形等を行うことが可能となる。
サイリウムの添加量としては、米粉の量に対して1~3%程度が好ましいが、1%未満であっても水分を吸収する機能はあるためある程度の効果は得られる。また、添加量を3%以上とした場合であっても、いくぶん生地のボリュームが抑えられる傾向はあるものの、サイリウムによる水分の吸収によって付着防止や保形成向上といった効果が得られる。
このように、サイリウムの添加によって機械で分割成形が可能となったことにより、新たな設備を導入することなく既存のパン製造企業でも米粉パンの生産が可能となる。また、本実施形態においては基本配合において塩(食塩)を混合しているが、米粉パンにおいては、塩なしで製造できるため、腎臓病等を患う方の食事用として活用することもできる。
また、サイリウムを加えた米粉パンはアレルギー28品目を使用せずに成形されているため、特定症状にアレルギーを発症する方や特定食品を制限されている方においしい米粉パンをアレンジし提供することができる。
また、本実施例においては、基本配合の米粉にサイリウムを添加してパンを焼成しているが、パンを焼く以外にも、和菓子、洋菓子、中華、総菜、麺等幅広い食品へも使用可能である。

Claims (4)

  1. 米粉、砂糖、油、イースト、増粘多糖類、水を含み、かつ、グルテンを含まないパン生地を焼成して製造する米粉パンの製造方法であって、
    米粉、砂糖、油、イースト、増粘多糖類、水を混合する一次ミキシング工程と、
    前記一次ミキシング工程の後に、サイリウムを混合する二次ミキシング工程を
    備えることと特徴とする米粉パンの製造方法。
  2. 前記米粉は、気流製粉によって製粉された米粉と、胴搗き製粉によって製粉された米粉を混合して用いることを特徴とする請求項1に記載の米粉パンの製造方法。
  3. 前記気流製粉によって製粉された米粉と、前記胴搗き製粉によって製粉された米粉の重量比が100:5~15の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の米粉パンの製造方法。
  4. 前記二次ミキシング工程において、前記サイリウムに加えて、ビタミンCを追加して混合することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の米粉パンの製造方法。
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