JP2023114141A - 水添テルペン多価フェノール共重合樹脂 - Google Patents

水添テルペン多価フェノール共重合樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスなどの高極性の被着体に対する粘着力に優れ、かつ透明性が高く耐候性が良好なテルペン系樹脂、およびそれを用いた粘接着剤組成物を提供する。【解決手段】テルペン系化合物と多価フェノール系化合物を共重合させて得られるテルペン多価フェノール共重合樹脂を、水素添加してなる水添テルペン多価フェノール共重合樹脂、ならびにこの水添テルペン多価フェノール共重合樹脂をベースポリマーに配合してなる粘接着剤組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、水添テルペン多価フェノール共重合樹脂、および該共重合樹脂を含有する粘接着剤組成物に関する。
テルペンフェノール樹脂は、松の木や柑橘類の果皮等から採取される精油であるテルペンと、フェノールとを共重合して得られる液状または樹脂状の化合物であり、原料モノマー組成や重合度の違いによって、極性や軟化点、ガラス転移温度等が異なる種々の製品が市販されている。
これらの樹脂は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の高分子材料に配合することにより、高分子材料の粘弾性や極性を調整できる。この特性を利用し、粘着剤、接着剤、タイヤ等のゴム製品、ポリマー改質、分散性向上剤等、様々な分野で利用されている。
例えば、粘着剤分野においては、ポリオレフィン等の低極性の被着体に対する粘着力を向上させる目的で、アクリル系重合体を主剤とするアクリル系粘着剤に、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂を配合することが知られている(例えば特許文献1,2)。しかしながら、テルペンフェノール樹脂の配合は、アクリル系粘着剤の特徴である耐候性、透明性の低下を招くため、エレクトロニクス分野における各種シートやフィルムの貼り合わせ等の光学特性を要求される用途への使用は、敬遠される場合があった。
上記に鑑み、本出願人は、アクリル系粘着剤用の粘着付与樹脂として、テルペンフェノール樹脂に水素添加処理を施した水添テルペンフェノール樹脂を使用することを提案している(特許文献3)。当該文献によれば、水添テルペンフェノール樹脂を使用することで、アクリル系粘着剤の耐候性や透明性を低下させることなく、低極性の被着体に対する粘着力を向上させることができる。一方、ガラス等の高極性の被着体に対しては、近年のディスプレイの軽量化、薄肉化の流れに伴い、粘着層の厚みも薄くなることで充分な粘着力を発現することが困難となっている。
特開2015-42729号公報 特開2021-70744号公報 特開2007-224258号公報
本発明の目的は、粘接着剤の粘接着特性、特にガラス等の高極性の被着体に対する粘着力に優れ、かつ耐候性や透明性に優れた新規なテルペン系樹脂、それを用いた粘接着剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、テルペン系化合物と多価フェノール系化合物を共重合させて得られるテルペン多価フェノール共重合樹脂を水素添加した水添テルペン多価フェノール共重合樹脂が、高極性の被着体に対する粘着力を顕著に向上させ、かつ耐候性、透明性に優れた粘接着剤とするための粘着付与樹脂として有用であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の請求項1~11から構成される。
<請求項1>
テルペン系化合物と多価フェノール系化合物を共重合させて得られるテルペン多価フェノール共重合樹脂を、水素添加してなる水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
<請求項2>
テルペン系化合物が、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン、Δ3-カレン、アロオシメン、オシメン及びミルセンの群から選択された少なくとも1種である請求項1に記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
<請求項3>
多価フェノール系化合物が、一般式(1)である請求項1または2に記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
(R1は水素原子または炭素1~10のアルキル基またはアルケニル基、R2は炭素数1~15のアルキル基またはアルケニル基、nは1~3の整数、mは0~2の整数、ただし、nとmの合計は3以下。nが2以上の場合、2以上のR1は互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の場合、2以上のR2は互いに同一でも異なっていてもよい。)
<請求項4>
多価フェノール系化合物が、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール及びグアイアコールから選択された少なくとも1種である請求項1~3いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
<請求項5>
テルペン系化合物の共重合比が、20~99モル%である請求項1~4いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
<請求項6>
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が400~5,000である請求項1~5いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
<請求項7>
軟化点が70~180℃である請求項1~6いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
<請求項8>
水酸基価が10~300mgKOH/gである請求項1~7いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
<請求項9>
水添率が5~100%である請求項1~8いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
<請求項10>
テルペン系化合物と多価フェノール系化合物を共重合させて得られるテルペン多価フェノール共重合樹脂を水素添加する、請求項1~9いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂の製造方法。
<請求項11>
ベースポリマー100重量部に対し、請求項1~9いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂を1~300重量部の割合で配合してなる粘接着剤組成物。
本発明の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の高分子材料の改質効果に優れ、特に、粘接着剤に配合すると、ガラス等の高極性の被着体に対する優れた接着特性を発揮し、しかも透明性や耐熱安定性に優れた粘接着剤とすることができるので、エレクトロニクス分野を始め各種用途に使用可能である。
製造例1のテルペン多価フェノール共重合樹脂のGPCチャートである。 製造例1のテルペン多価フェノール共重合樹脂のプロトン核磁気共鳴(1H―NMR)スペクトルである。 製造例4の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂のGPCチャートである。 製造例4の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂のプロトン核磁気共鳴(1H―NMR)スペクトルである。
発明を実施するための最良の状態
以下、本発明を構成要件別に説明する。
<水添テルペン多価フェノール共重合樹脂>
本発明の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂は、テルペン系化合物と多価フェノール系化合物とを共重合させて得られるテルペン多価フェノール共重合樹脂を、水素添加して得られる樹脂状化合物である。
まず、テルペン多価フェノール共重合樹脂について説明する。
上記テルペン系化合物は、Cの分子式で表されるイソプレン単位が複数個結合した炭化水素およびその含酸素誘導体であり、イソプレン単位の数によって、モノテルペン(C、セスキテルペン(C、ジテルペン(C等に分類される。これらのうち、モノテルペンおよびセスキテルペンが好ましい。
また、テルペン系化合物は、分子中に炭素環を有する脂環式テルペンが好ましい。さらに、分子中に水酸基等のヘテロ原子を含有しないテルペン炭化水素が好ましい。
テルペン系化合物の具体例としては、α-ピネン、β-ピネン、3-カレン、カンフェン、トリシクレン、リモネン、ジペンテン、α-フェランドレン、β-フェランドレン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、オシメン、アロオシメン、ミルセン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-ターピネオール、β-ターピネオール、γ-ターピネオール、リナロール、ロンギフォレン、カリオフィレン、ファルネセン等が挙げられる。これらのうち、α-ピネン、β-ピネン、3-カレン、リモネン、ジペンテン、オシメン、アロオシメン、ミルセン、ロンギフォレン、カリオフィレンが好ましく、α-ピネン、β-ピネン、3-カレン、リモネン、ジペンテンがより好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
上記の多価フェノール系化合物は、芳香族炭化水素の2個以上の水素原子が水酸基またはアルコキシ基で置換された化合物であり、一般式(1)で表される。
(R1は水素原子または炭素1~10のアルキル基またはアルケニル基、R2は炭素数1~15のアルキル基またはアルケニル基、nは1~3の整数、mは0~2の整数、ただし、nとmの合計は3以下。nが2以上の場合、2以上のR1は互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の場合、2以上のR2は互いに同一でも異なっていてもよい。)
多価フェノール系化合物の具体例としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、グアイアコール、p-メトキシフェノール、m-メトキシフェノール、ピロガロール、フロログルシノール、オイゲノール、プロピルカテコールなどが挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
なお、カテコールやグアイアコール、ピロガロール等は、再生可能な天然資源から採取または誘導されることが知られている。近年、石油資源の枯渇や二酸化炭素排出量の増加による地球温暖化が危惧されていることから、こうした植物由来の多価フェノール系化合物を使用することが好ましい。本発明のテルペン多価フェノール共重合樹脂においては、共重合成分であるテルペン系化合物も、通常、植物由来の精油成分であるため、植物由来の多価フェノール系化合物と併用することで、バイオマス度が高く環境負荷の低い材料を提供することができる。
例えば、ピロガロールは、五倍子(ヌルデの虫こぶ)、没食子(中近東のブナ・カシワの虫こぶ)、マンサク科の植物ハマメリス(Witch-hazel)、茶の葉、オークの樹皮などの多様な植物に含有される没食子酸から、脱炭酸することによって製造できる。また、カテコールは、植物由来の糖を原料とした微生物発酵法により製造できることが知られている。
テルペン多価フェノール共重合樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、テルペン系化合物と多価フェノール系化合物以外の共重合成分として、1価フェノール系化合物およびビニル系化合物の群から選ばれた少なくとも1種のその他の単量体を、全体の共重合比として、50モル%以下程度、共重合していてもよい。
1価フェノール系化合物は、芳香族炭化水素の1個の水素原子が水酸基またはアルコキシ基で置換された化合物であり、具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、チモール、カルバクロール等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
ビニル系化合物としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン、ヘキセン、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、クマロン、インデン、ビニルトルエン、イソプロペニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、2-フェニル-2-ブテン、ビニルナフタレン等が挙げられる。好ましくは、スチレン、α-メチルスチレン等であり1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
テルペン多価フェノール共重合樹脂の合成方法は、特に限定されるものではなく、フェノールを多価フェノール系化合物に替える以外は公知のテルペンフェノール樹脂の合成方法をもとに実施できる。例えば、有機溶媒中に、フリーデルクラフト触媒の存在下、テルペン系化合物と多価フェノール系化合物および必要に応じてその他の単量体とを個別に、または混合して滴下し、所定の温度および時間反応させ、その後必要に応じて、水洗や蒸留等の方法で触媒、未反応の単量体、溶媒等を除去することで製造できる。
テルペン多価フェノール共重合樹脂の合成に使用されるテルペン系化合物と多価フェノール系化合物の比率は特に限定されないが、テルペン系化合物と多価フェノール系化合物の総量に対するテルペン系化合物の比率は20~99モル%が好ましく、40~95モル%がより好ましく、50~90モル%がさらに好ましい。20モル%未満では、樹脂収率が低くなりすぎる場合があり、99モル%を超えると、樹脂中の多価フェノール構造が少なすぎ、所望の特性が発現されない場合があるため好ましくない。
前記触媒の種類としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、りん酸、ふっ化水素酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化銅、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテル錯体、三フッ化ホウ素フェノール錯体、固体リン酸、活性白土、ゼオライト、陽イオン交換樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
触媒の使用量は、反応がバッチ方式の場合、原料であるモノマーに対し、0.01~20重量%、好ましくは1~10重量%である。触媒量が0.01重量%未満では、反応収率が著しく低くなり、一方、20重量%を超えても触媒効果が上がらないので好ましくない。
また、反応溶媒は特に使用しなくてもよいが、重合反応に伴う発熱を抑制し、穏やかに反応を進行させる等の目的で溶媒を用いてもよい。溶媒は、重合を阻害するものでなければ特に制限されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、パラメンタン等の飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類などが挙げられる。
溶媒の使用量は、原料であるテルペン系化合物と多価フェノール系化合物の総量に対し、好ましくは500重量%以下、より好ましくは300重量%以下である。溶媒の量が500重量%を超えると、バッチ効率が低下して製造コストが増大するため好ましくない。
反応温度は、使用する触媒の活性や溶媒の沸点等を考慮して適宜選択するが、通常、-20~150℃、好ましくは、0~100℃である。-20℃未満では反応が著しく遅くなり、一方、150℃を超えると反応が安定せず好ましくない。特に、触媒として塩化アルミニウムや三フッ化ホウ素を使用する場合の反応温度は、好ましくは0℃~80℃であり、より好ましくは10℃~60℃である。
このようにして得られるテルペン多価フェノール共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常、400~5,000、好ましくは500~4,000、さらに好ましくは600~3,000である。Mwが400未満では樹脂自体のハンドリングが悪くなる、さらには配合物にした後のブリードアウトが懸念される。一方、Mwが5,000を超えると、ゴムや熱可塑性エラストマーへの溶解が著しく困難になる場合があるため好ましくない。
なお、本明細書における平均分子量は、標準ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
テルペン多価フェノール共重合樹脂の軟化点は、特に限定されないが、好ましくは70~180℃であり、より好ましくは80~160℃、さらに好ましくは100~140℃である。軟化点が70℃未満では、配合物にした後のブリードアウトが懸念される。一方、軟化点が180℃を超えると、ゴムや熱可塑性エラストマーへの溶解が著しく困難になる場合があるため好ましくない。
なお、本明細書における軟化点とは、JIS K2207環球法により測定される軟化点である。
テルペン多価フェノール共重合樹脂の水酸基価は、通常、10~300mgKOH/gの範囲であり、好ましくは20~250mgKOH/gである。水酸基価が10mgKOH/g未満であると、ゴムや熱可塑性エラストマーの充分な改質効果が得られなくなる場合がある。一方、水酸基価が300mgKOH/gを超えると、相溶性が悪化する。
なお、本明細書における水酸基価とは、JIS K0070の7.1中和滴定法に従って測定される水酸基価である。
次に、前記方法により得られるテルペン多価フェノール共重合樹脂の水素添加(水添)について説明する。
水素添加の方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で実施することができる。
例えば、水添触媒の存在下、通常、1~25MPa、好ましくは3~20MPaの水素加圧下で、0.5~24時間、好ましくは1~10時間、テルペン多価フェノール共重合樹脂を加熱することにより行なう。
水添触媒としては、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、白金、ニッケルなどの金属触媒、またはそれらを活性炭素、活性アルミナ、珪藻土などの坦体上に担持した担持触媒等が挙げられる。このとき、粉末状の触媒を懸濁攪拌しながら反応を行うバッチ方式にすることも、成形した触媒を充填した反応塔を用いた連続方式にすることも可能であり、反応形式に特に制限はない。
水添触媒の使用量は、反応がバッチ方式の場合、原料(テルペン多価フェノール共重合樹脂)に対し、0.1~30重量%、好ましくは1~20重量%である。触媒量が0.1重量%未満では、反応速度が著しく遅く、一方、30重量%を超えても触媒効果が上がらないので好ましくない。
水添の際、反応溶媒は用いなくてもよいが、通常、アルコール類、エーテル類、エステル類、飽和炭化水素類が好適に使用される。反応溶媒の使用量は、原料に対し、通常、10~500重量%、好ましくは50~300重量%程度である。
水添の際の反応温度は、特に限定されないが、通常、0~300℃、好ましくは、50~250℃である。反応温度が0℃未満であると、反応速度が著しく遅くなり、一方、300℃を超えると水素添加物の分解が多くなり、目的とする樹脂の収率が低下するおそれがある。
上記の水素添加反応では、テルペン多価フェノール共重合樹脂中の二重結合に水素が付加し、炭素-炭素単結合が形成される。該二重結合には、多価フェノール等に由来する芳香環の二重結合も含まれる。二重結合の水素添加率は、5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上である。また、芳香環の水素添加率は、0.5%以上、好ましくは1%以上である。二重結合の水素添加率が高くなるほど、透明性が高く、酸化安定性に優れた樹脂となり、光学材料等の透明性が求められる用途で好ましく利用できるようになる。一方、二重結合の水素添加率が5%未満では、樹脂の色相に劣り、または酸化安定性が十分発現されない。
ここで、二重結合の水素添加率(水添率)は、H-NMR(プロトンNMR)による二重結合由来ピークの各積分値から、下記式により、算出される値である。
水添率(%)={(A-B)/A}×100
A:水素添加前の二重結合のピークの積分値
B:水素添加後の二重結合のピークの積分値
水添テルペン多価フェノール共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常、400~5,000、好ましくは500~4,000、さらに好ましくは600~3,000である。Mwが400未満では樹脂自体のハンドリングが悪くなる、さらには配合物にした後のブリードアウトが懸念される。一方、Mwが5,000を超えると、ゴムや熱可塑性エラストマーへの溶解が著しく困難になる場合があるため好ましくない。
水添テルペン多価フェノール共重合樹脂の軟化点は、特に限定されないが、好ましくは70~180℃であり、より好ましくは80~160℃、さらに好ましくは100~140℃である。軟化点が70℃未満では、樹脂自体のハンドリングが悪くなる、さらには配合物にした後のブリードアウトが懸念される。一方、軟化点が180℃を超えると、ゴムや熱可塑性エラストマーへの溶解が著しく困難になる場合があるため好ましくない。
水添テルペン多価フェノール共重合樹脂の水酸基価は、混合するエラストマーの種類に応じて適当な範囲は異なるが、通常、10~300mgKOH/gの範囲であり、好ましくは20~250mgKOH/g、より好ましくは40~210mgKOH/gである。水酸基価が10mgKOH/g未満であると、金属やガラス等の高極性の被着体に対して、充分な粘接着特性を発揮できない場合があるため好ましくない。一方、水酸基価が300mgKOH/gを超えると、ゴム等の低極性エラストマーへの溶解が著しく困難になる場合がある。
本発明の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂には、公知のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤など各種の添加剤を添加することができる。
<粘接着剤組成物>
前記水添テルペン多価フェノール共重合樹脂は、天然ゴムや熱可塑性エラストマー等のベースポリマーに配合して、粘接着剤組成物として利用することができる。
ベースポリマーとして利用可能な熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体などのスチレン系ブロック共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系共重合体、などが挙げられる。これらのうち、相溶性の観点から、特に(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
(メタ)アクリル系重合体は、少なくともアルキル(メタ)アクリレートを含む重合性モノマーを重合して得られる重合体である。アルキル(メタ)アクリレートの種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(アミル)(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(ドデシル)(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書中において「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」もしくは「メタクリレート」を意味する。上記アルキル(メタ)アクリレートは単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、アルキル(メタ)アクリレート以外の重合性モノマーとして、共重合可能な極性基含有ビニルモノマーが更に含有されていてもよい。
この極性基含有ビニルモノマーは、後述する様に、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤及びアジリジン系架橋剤等、特定の官能基を有する架橋剤と効果的に架橋構造を形成して凝集力と耐反発性の両立を図ったり、更には、必要に応じて、共重合体のTgや粘接着性等を調整したりするために用いられる。
極性基含有ビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸;前記ビニル基を有するカルボン酸の無水物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
上記、極性基含有ビニルモノマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上併用されても良い。
さらに、本発明において、上記ベースポリマーには、多官能(メタ)アクリレートを微量配合することによって、アクリル系共重合体の重合と同時に架橋を行わせることもできる。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1、4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いられても、2種類以上併用されても良い。
多官能(メタ)アクリレートの配合量は、通常、アクリル系共重合体100重量部に対して0~5重量部である。
前記(メタ)アクリル系重合体は、少なくとも一種のアルキル(メタ)アクリレートとその他の重合性モノマーを(共)重合することによって製造することができる。重合反応の様式は、特に限定されないが、ラジカル重合あるいはアニオン重合が好ましい。また、重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の従来公知の方法により製造することができ、溶液重合法や塊状重合法で製造することが好ましい。
また、2種類以上の重合性モノマーを共重合する場合、モノマーのシーケンスは特に限定されず、ランダム、交互、ブロックのいずれでもよい。
ラジカル重合の場合、必要に応じて過酸化ベンゾイルや過酸化ラウロイル等の過酸化物系重合開始剤、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾ系重合開始剤等のほか、光重合開始剤として、アセトフェノン系重合開始剤、ベンゾインエーテル系重合開始剤、ベンジルケタール系重合開始剤、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤、ベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤等を使用することができる。
一方、アニオン重合の重合開始剤としてはリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、t-ブチルリチウムなどのアルキルリチウム化合物、リチウム-ナフタレン錯体、ナトリウム-ナフタレン錯体、カリウム-ナフタレン錯体などのアルカリ金属-ナフタレン錯体のほか、グリニャール試薬、ケチルアニオンラジカル錯体、エノラートアニオン、t-ブトキシカリウムなどのアルコキシドアニオン、リチウムアルミニウムハイドライド等を使用することができる。
重合開始剤の使用量は特に制限はないが、通常、使用する重合性モノマーの総量100重量部に対して0~5重量部である。
重合反応の溶媒は特に使用しなくてもよいが、反応液の粘度上昇を抑えたり、反応中の温度制御を容易にしたりする目的で溶媒を使用してもよく、例えば、ラジカル重合においては、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などがある。一方、アニオン重合においては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素のほか、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、アニソールなどのエーテル類や、トリエチルアミン、ピリジンなどの第三級アミン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶媒等を使用することができる。これらの溶媒は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を混合使用してもよい。
上記方法で得られた(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定される標準ポリスチレン換算で、30万~300万であるものを使用することが好ましく、50万~250万であるものを使用することがより好ましい。
本発明の粘接着剤組成物は、前記ベースポリマー100重量部に対し、本発明の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂を1~300重量部、好ましくは5~100重量部、より好ましくは10~60重量部の割合で配合したものである。水添テルペン多価フェノール共重合樹脂が1重量部未満では、水添テルペン多価フェノール共重合樹脂を配合した効果が分かりづらくなる。一方、300重量部を超えると、粘接着剤の粘度が高くなりすぎ、ボールタック、接着力、保持力の粘着特性のバランスが悪くなる。
本発明の粘接着剤組成物は、必要に応じて架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、ポリカルボジイミド化合物、アジリジン化合物、多価金属塩、金属キレート等が挙げられる。これら架橋剤の少なくとも1種を使用することによって、ポリマー鎖やその他の配合剤との結合により凝集力の向上が図れ、高温時の保持力、定荷重を上昇させることが可能となる。
架橋剤の含有量は、その種類によっても変わるが、(メタ)アクリル系重合体100重量部に対して、通常、0.005~10重量部の範囲であり、好ましくは1.0~5重量部である。架橋剤が0.005重量部未満の場合は耐熱性の不足や、被着体への接着力の低下を引き起こす場合がある。一方、10重量部を越える場合は、架橋が過剰となり易く、柔軟性が低下し、被着体への密着性が低下し、剥離力が不十分になり易い。また、余剰の架橋剤が粘接着物性を低下させることもある。
本発明の粘接着剤組成物は、架橋剤を用いた場合、架橋構造を形成するために加熱工程を経るのが好ましい。加熱工程は、被着体に貼付前であっても良く、貼付後であっても良い。基材上に粘着剤層が積層されたテープとして用いる場合は、基材上に粘接着剤組成物を塗布後に加熱するのが、生産効率上好ましい。加熱温度は使用する架橋剤の種類によって適宜設定するものであるが、通常、40℃から130℃の範囲であり、好ましくは50℃~100℃である。加熱時間は30分から7日、好ましくは1時間から5日である。
本発明の粘接着剤組成物には、さらに必要に応じて、可塑剤、軟化剤、顔料、充填剤、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、界面活性剤、剥離調整剤、静電防止剤等の添加剤を含有していてもよく、その形態は、溶液型、水分散型、UV硬化型、ホットメルト型等のいずれであってもよい。
本発明の粘接着剤組成物は、粘着シートまたは粘着テープに塗布して使用する事も出来る。その場合、支持体としては、特に制限されないが、例えば、プラスチックフィルム、紙、不織布のほか、金属箔やプラスチック製あるいはゴム製の発泡体などのシートあるいはテープ状のもの等が適用できる。
本発明の粘接着剤組成物を上記支持体へ加工する方法としては、特に限定されない。例えば、アクリル系ポリマーを主剤とする溶剤型アクリル系粘着剤組成物の製造方法としては、有機溶剤、例えばトルエンや酢酸エチルと、アクリル系ポリマーと本発明の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂および架橋剤の混合物を攪拌溶解させ、固形分含有量10~70重量%の粘着液として調製する。このように調製した粘接着剤組成物を、例えばロールコーターやバーコーターなどで支持体に塗布し、加熱して溶剤を揮散させることにより粘着テープまたは粘着シートが得られる。粘着剤層の厚みは特に制限されないが、通常0.01~1.0mm程度である。
本発明の粘接着剤組成物に適用される被着体としては、特に限定されず、例えば、木材、金属、プラスチック、ゴム、コンクリート、ガラス、タイル、セラミックス、複合材料などが挙げられる。なかでも、コンクリート、ガラス、タイル、セラミックスなどの高極性の被着体に対しては良好な粘接着特性を発揮しうるため好ましい。その詳細な原理は明らかではないが、水添テルペン多価フェノール共重合樹脂の構造中に近接して存在する複数の水酸基が、被着体上の水酸基と強固な水素結合を形成するためと考えられる。
本発明の粘接着剤組成物は、ガラス等の高極性の被着体に対する高い固定性を有している。また、耐熱安定性、透明性に優れているので、光学・エレクトロニクス分野をはじめ、建築分野、歯科を含む医療分野など各種用途に使用可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、実施例により限定されるものではない。
なお、(水添)テルペン多価フェノール共重合樹脂の軟化点、および水酸基価は、本明細書の各測定項目に記載の方法で測定した。また、水添率、分子量、および色相の測定は、以下の方法によった。
(水添率)
核磁気共鳴装置AVANCEIII 600MHz(BRUKER製)にて、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)スペクトルを測定した。重水素溶媒として、1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2を使用した。水添前と水添後の各樹脂の二重結合由来ピークの積分値より、上述の計算式により水添率を算出した。
(分子量)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算の分子量を測定した。検出器は示差屈折計WATERS2414(WATERS製)、ポンプにWATERS515高速液体クロマトグラフィー(WATERS製)、カラムにTSK-gel G2000H8×2およびG3000HXL×1(TOSOH製)を用いた。測定条件は、溶離液にテトラヒドロフランを用い、流速1.0mL/分とし、試料濃度5mg/mLの試料溶液を250μL注入して測定した。
(色相)
試料10gをトルエン10gに溶解し、分光色彩・ヘーズメーターCOH7700(日本電色工業製)を用い、ガードナースケールで測定した。
製造例1(テルペン多価フェノール共重合樹脂の製造)
撹拌装置、還流冷却機、温度計、滴下用ポンプおよび窒素ガス吹き込み口を備えたフラスコに、トルエン300g、カテコール55g(0.5mol)および三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体20gを仕込み攪拌を開始した。この中に、α-ピネン272g(2.0mol)を、反応温度25~30℃で6時間かけて滴下した。滴下後1時間反応させ、その後水洗し、245℃、3mmHgの減圧蒸留にて蒸留を行い、軟化点126℃の赤褐色のテルペン多価フェノール共重合樹脂225gを得た。Mn(数平均分子量)、Mw(重量平均分子量)、Mz(Z平均分子量)は、それぞれ、610,745,870であった。また、水酸基価は120mgKOH/g、色相(ガードナースケール)は14であった。得られたテルペン多価フェノール共重合樹脂のGPCチャート、1H-NMRチャートをそれぞれ図1~図2に示す。
製造例2(水添テルペン多価フェノール共重合樹脂の製造)
製造例1で得られたテルペン多価フェノール共重合樹脂100g、2-プロパノール100g、および粉末状の5%パラジウム担持アルミナ触媒5gをオートクレーブに仕込み、次いで、これを密閉し、雰囲気を水素ガスで置換した後、水素ガス1MPaの圧力をかけながら導入した。そして攪拌しながら加熱し180℃となったところで、水素の圧力を5MPaとし、吸収された水素を補うことで圧力を5MPaに保ちながら1時間反応させた。反応後、触媒をろ過し、2-プロパノールを減圧蒸留にて除去して、軟化点130℃の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂100gを得た。Mn、Mw、Mzの値は、それぞれ、620、750、870であった。また、水酸基価は119mgKOH/g、色相(ガードナースケール)は2、水添率は30%であった。
製造例3~20
使用したテルペン系化合物、多価フェノール系化合物の種類とそれらの混合比率、および水添時間を表1のように変更した以外は製造例1,2と同様の方法で、共重合反応および必要に応じて水添反応を行ない、表1の各項目に記載の性状を有する樹脂を得た。
なお、製造例4で得られた水添テルペン多価フェノール共重合樹脂のGPCチャート、1H-NMRチャートを、それぞれ図3~図4に示す。

実施例1~15,比較例1~9
(粘接着剤組成物の評価)
アクリル系ブロック共重合体(クラリティLA2140(株式会社クラレ製))100重量部に対して、上記で製造した(水添)テルペン多価フェノール共重合樹脂、または市販の粘着付与樹脂30重量部と、可塑剤として液状アクリルポリマー(アルフォンUP-1061(東亞合成株式会社製))20重量部を混合しアクリル系粘接着剤組成物を調製した。この粘接着剤組成物を38μm厚のPETフィルム上に30μm厚の粘着剤層となるように塗工後、乾燥して粘着シートを作製した。
なお、市販の粘着付与樹脂としては、下記の樹脂を使用した。
比較例6:テルペンフェノール樹脂A(YSポリスターT115、ヤスハラケミカル株式会社製)
比較例7:テルペンフェノール樹脂B(YSポリスターK125、ヤスハラケミカル株式会社製)
比較例8:水添テルペンフェノール樹脂(YSポリスターNH、ヤスハラケミカル株式会社製)
比較例9:ロジンエステル樹脂(スーパーエステルA100、荒川化学工業株式会社製)
得られた粘着シートについて、以下に記載した方法によりループタック(対SUS、ガラス、PE)、接着力(対SUS、ガラス、PE)、保持力(対SUS、PE)および耐候性を評価した。これらの結果は表2に示される通りであった。
(ループタック)
粘着シートの試験片の粘着剤面を外側にして輪を作り、被着体に対して25mm×25mmを密着させ、すぐに引き離したときの値を引っ張り試験機で測定した。引張り速度は300mm/分、測定温度は23℃とした。
(粘着力)
幅25mm、長さ約200mmに切断したシートをSUS板、ガラス板もしくはポリエチレン(PE)板に23℃雰囲気下で2kgのローラーを2往復させて貼り合わせ、貼り合わせ30分後に23℃雰囲気下で180°ピール接着力を測定した。測定には引っ張り試験機を使用し、引っ張り速度は300mm/分で行った。
(剪断接着破壊温度試験(SAFT))
幅25mm、長さ約200mmに切断したシートを、23℃雰囲気下でSUS板もしくはPE板に25mm長さ、2kgのローラーを2往復させて貼り合わせた。貼り合わせ30分後に40℃雰囲気下に30分静置し、その後1Kgの荷重をかけた。荷重をかけると同時に5分間に2℃の割合で昇温させ、試験片が被着体から落下した時の温度を読み取った。
(耐候性)
スガ試験機(株)製テーブルサンXT750を用い、50℃環境下で48,000lxの光を試験片に100時間照射した後の粘着剤の状態を観察した。粘着剤が黄変し、表面がひび割れているものを×、何も変化がないものを〇とした。

表2から明らかなように、アクリル系粘着剤に本発明の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂を配合すると、未水添のテルペン多価フェノール共重合樹脂等と比較して耐候性が良好で、かつ粘接着特性、とりわけガラスに対するタックや粘着力を向上できる。
本発明の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の改質効果に優れており、粘着剤、接着剤、ポリマー改質剤、シーリング剤、ゴム用添加剤、塗料改質剤等として有用である。
その他にも、高分子材料、ポリマー材料、相溶化剤、結晶核剤、表面改質剤、フィラー分散改良剤、繊維分散改良剤、可塑剤、滑剤、硬化剤、結合材、油脂、トラフィックペイント、インキ、印刷インキ、トナー、糊剤、サイズ剤、紙力増強剤、道路舗装用組成物、土木建築材料、高分子材料用原料、改質剤など様々な用途に幅広く利用でき、産業上において非常に有用な効果を持つ。

Claims (11)

  1. テルペン系化合物と多価フェノール系化合物を共重合させて得られるテルペン多価フェノール共重合樹脂を、水素添加してなる水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
  2. テルペン系化合物が、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン、Δ3-カレン、アロオシメン、オシメン及びミルセンの群から選択された少なくとも1種である請求項1に記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
  3. 多価フェノール系化合物が、一般式(1)である請求項1または2に記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
    (R1は水素原子または炭素1~10のアルキル基またはアルケニル基、R2は炭素数1~15のアルキル基またはアルケニル基、nは1~3の整数、mは0~2の整数、ただし、nとmの合計は3以下。nが2以上の場合、2以上のR1は互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の場合、2以上のR2は互いに同一でも異なっていてもよい。)
  4. 多価フェノール系化合物が、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール及びグアイアコールから選択された少なくとも1種である請求項1~3いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
  5. テルペン系化合物の共重合比が、20~99モル%である請求項1~4いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
  6. GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が400~5,000である請求項1~5いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
  7. 軟化点が70~180℃である請求項1~6いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
  8. 水酸基価が10~300mgKOH/gである請求項1~7いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
  9. 水添率が5~100%である請求項1~8いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂。
  10. テルペン系化合物と多価フェノール系化合物を共重合させて得られるテルペン多価フェノール共重合樹脂を水素添加する、請求項1~9いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂の製造方法。
  11. ベースポリマー100重量部に対し、請求項1~9いずれかに記載の水添テルペン多価フェノール共重合樹脂を1~300重量部の割合で配合してなる粘接着剤組成物。

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