JP2023113168A - 食品用電子レンジ対応包装袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電子レンジにかけて内部の食品を加熱した場合の袋体の破裂を防止する。【解決手段】 少なくとも耐熱性がある基材層P2とシーラント層P1を有する2層以上の積層フィルムを袋体の背貼り部中央を合掌箇所1とした筒状に折曲することにより、合掌箇所における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部と、筒の両開口端4、4における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部を設け、内部に食品を収容した後にヒ-トシ-ル部を封止する食品用電子レンジ対応包装袋において、ヒ-トシ-ル部の特定領域において、包装袋の内側から外側に向かって横断するようにヒートシール時の熱により発泡する熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキ層5をシーラント層の基材層側に設ける。【選択図】 図1
Description
本願発明は、プラスチックフィルムからなる包装袋に関し、より詳細には電子レンジで加熱可能な食品を包装袋内に収容した状態で流通に供する際に使用される食品用電子レンジ対応包装袋に関する。
電子レンジに対応するプラスチックフィルムからなる包装袋に食品を収容した後に密封し、密封した状態で流通に供される包装詰め食品が公知である。この場合、食品を購入した消費者は包装袋を開封しないで密封した状態でそのまま電子レンジにかけて内部の食品を加熱する。そのため、加熱により食品から蒸散される水蒸気や、包装袋内の空気の熱膨張により包装袋の内圧が高まって膨らみ、遂には破裂して、レンジ内に食品等が散乱する事故の危険があった。
この事故を防止するためには、予め包装袋に前記加熱で発生する圧力を逃がすための弁体を装着する発明(特許文献1)や、包装体のヒートシールによる接合部の一部のヒートシール強度を弱くすることにより加熱により蒸散される水蒸気による内圧の上昇により剥離しやすくして、ここから蒸通により圧力を逃がす発明が提案されていた(特許文献2)。
特許第3006528号公報
特開2000-025848号公報
しかしながら、前者の公知発明は弁体を装着する手間、工程、材料費により、包装袋の製造コストが嵩む問題があった。
一方、後者の公知発明においては、ヒートシール強度の設定が難しく、電子レンジのマグネトロンの出力が大きかったり、食品の含水量が多いなどの理由により急激に内圧が上昇した場合には、弱ヒートシール部分による逃圧が機能する前に他の部分も同時に剥離して包装体が破壊するおそれがあった。
また、急激に剥離して蒸通した場合に破裂音が発生するおそれがあった。
4
食品用電子レンジ対応包装袋はイージーピールフィルムや特殊形状のシールバーを使用しなければ製袋出来ないという課題があり、イージーピールフィルムを使用するとイージーピールフィルムの品質のバラつきによるシール強度のコントロール性に難があり、イージーピールを使用した面のシール強度が弱くなり破袋しやすいといった欠点があった。
食品用電子レンジ対応包装袋はイージーピールフィルムや特殊形状のシールバーを使用しなければ製袋出来ないという課題があり、イージーピールフィルムを使用するとイージーピールフィルムの品質のバラつきによるシール強度のコントロール性に難があり、イージーピールを使用した面のシール強度が弱くなり破袋しやすいといった欠点があった。
一方、特殊形状のシールバーを使用する場合、袋のサイズ毎に一点一様のシールバーを作らなければならないので、シールを袋の内側に張り出したものにしなければならず、どうしても外圧がかかった際にシール後退が起きやすいといった問題があった。
本願発明は前記の問題を解消した食品用電子レンジ対応包装袋を提供することを目的として創作されたものである。
すなわち、本願発明の食品用電子レンジ対応包装袋は、少なくとも耐熱性がある基材層とシーラント層を有する2層以上の積層フィルムを袋体の背貼り部中央を合掌箇所とした筒状に折曲することにより、合掌箇所における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部と、筒の両開口端における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部を設け、内部に食品を収容した後にヒ-トシ-ル部を封止する食品用電子レンジ対応包装袋において、
ヒ-トシ-ル部の特定領域において、包装袋の内側から外側に向かって横断するようにヒートシール時の熱により発泡する熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキ層を
エレメンドルフ引裂き強度(JISK7128準拠)測定においてMD、TDが30μの場合MD1.2(N)以下、TD2.7(N)以下、40μの場合MD1.5(N)以下、TD3.1(N)以下、50μの場合MD2.1(N)以下、TD3.7以下の引裂性を有し、ダート衝撃強度(JISK7124準拠)が3.5(J)以下であるフィルムを使用したシーラント層の基材層側に設けたことを特徴とする。
ヒ-トシ-ル部の特定領域において、包装袋の内側から外側に向かって横断するようにヒートシール時の熱により発泡する熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキ層を
エレメンドルフ引裂き強度(JISK7128準拠)測定においてMD、TDが30μの場合MD1.2(N)以下、TD2.7(N)以下、40μの場合MD1.5(N)以下、TD3.1(N)以下、50μの場合MD2.1(N)以下、TD3.7以下の引裂性を有し、ダート衝撃強度(JISK7124準拠)が3.5(J)以下であるフィルムを使用したシーラント層の基材層側に設けたことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は前記の食品用電子レンジ対応包装袋において、発泡インキ層は筒の両開口端における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部の特定領域において、包装袋の内側から外側に向かって横断するように設けられることを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は前記の食品用電子レンジ対応包装袋において、発泡インキ層は合掌箇所における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部の特定領域において、包装袋の内側から外側に向かって横断するように設けられることを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は前記の食品用電子レンジ対応包装袋において、マイクロカプセル含有発泡インキ層が100℃30~60秒、150℃1秒、160℃0. 5秒程度の温度で20~100μmに発泡することを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は前記の食品用電子レンジ対応包装袋において、マイクロカプセル含有発泡インキ層がグラビア印刷によって設けられることを特徴とする。
また、請求項6記載の発明は前記の食品用電子レンジ対応包装袋において、シーラント層として易裂き性のある脆いタイプのフィルムを使用することを特徴とする。
発泡インキ層に含有される熱膨張性マイクロカプセルは、ヒートシール時の熱により発泡するのでその箇所でのラミネートを阻害する。
よって、本願発明の食品用電子レンジ対応包装袋においては、電子レンジ加熱時に圧力がかかる部分となる合掌箇所における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部と、筒の両開口端における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部にヒ-トシ-ルの熱で発泡する発泡インキ層を部分的に設けることにより、部分的に積層フィルムの層間強度を弱くすることにより、そこから内圧を発生させる蒸気を逃がすので、ヒートシール部分が剥離するような内圧が発生する前に蒸気を所定箇所から逃がすことができ、不規則な破裂を防止することができる。
この場合、層間強度を弱くするための層は発泡インキ層として印刷により施されるので、特別な別部材や切り込み加工を要することなく、低コストで食品用電子レンジ対応包装袋を製造することができる。
以下、本願発明の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。図1は本願発明の食品用電子レンジ対応包装袋の袋体Pの開封前の状態を示す斜視図である。この袋体Pはプラスチックフィルムを袋体の背貼り部Sの中央を合掌箇所1とした筒状に折曲し、合掌箇所および筒の開口端4、4の内面同士を貼り合わせることにより構成される公知の袋体をベースとしている(図2、図3参照)。
袋体Pを構成するプラスチックフィルムは、少なくとも耐熱性がある基材層とシーラント層を有する2層以上の積層フィルムからなり、合掌箇所1における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部と、筒の両開口端における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部を設け、内部に食品Fを収容した後にヒ-トシ-ル部を封止する。
図4は袋体Pを構成するプラスチックフィルムの積層例を示すものであり、ここでは耐熱性がある基材層P2にシーラント層P1を積層した2層構造としている。
基材層P2を構成するフィルムとしては例えばOPP、PET、ONYなどが、シーラント層P1を構成するフィルムとしては例えばCPP、LLなどが想定される。
なお、シーラント層として易裂き性のある脆いタイプのフィルムを使用してもよい。
図中符号5は本願発明の要旨となる発泡インキ層であり、ここでは筒の両開口端4、4における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部の特定領域において、包装袋の内側から外側に向かって横断するように設けられる(図4参照)。より具体的には発泡インキ層5は開口端4の中央付近にして、背貼り部と反対側のフィルムを構成するシーラント層P1の基材層P2側に設けられる。
発泡インキ層5はヒートシール時の熱により発泡する熱膨張性マイクロカプセルを含有したインキであり、例えば塩化ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂を基材としたマイクロカプセルに、イソブタン、ブタン、イソペンタン、n-ペンタンなどの脂肪族炭化水素を内包したものなどが想定され(具体的な商品としては東京インキ製、LG-MCバブル剤E)、ここでは100℃30~60秒、150℃1秒、160℃0. 5秒程度の温度で20~100μmに発泡するものを採用している。
発泡インキ層5は筒の両開口端4、4における対向するフィルム同士の天地箇所のヒ-トシ-ル部において包装袋の内側から外側に向かって横断するように設けられるが、その幅に関しては次の実験結果から天地シール幅の15. 4%~23. 0%の幅で設けることが望ましい。
実験は中華饅頭を収容した巾130mm×長さ170mmの袋について行なわれ、発泡インキ層は天地シール幅130mmの中央に発泡インキ層を設けた。下記は発泡インキ層の幅を20mmから40mmの範囲内で変えてみた結果である。
20mm→天地シール幅の15. 4% 結果は爆発
30mm→天地シール幅の23. 0% 袋は爆発せずに蒸通成功
40mm→天地シール幅の30. 7% 袋は爆発せずに蒸通成功
20mm→天地シール幅の15. 4% 結果は爆発
30mm→天地シール幅の23. 0% 袋は爆発せずに蒸通成功
40mm→天地シール幅の30. 7% 袋は爆発せずに蒸通成功
図7は袋体Pを構成するプラスチックフィルムの異なる積層例を示すものであり、ここでは耐熱性がある基材層P2、P3にシーラント層P1を積層した3層構造としている。ここでは発泡インキ層5は開口端4の中央付近にして、背貼り部と反対側のフィルムを構成するシーラント層P1の基材層P2側に設けられる。
基材層P2を構成するフィルムとしては例えばOPP、PET、ONYなどが、基材層P3を構成するフィルムとしては例えばOPP、PET、ONYなどが、シーラント層P1を構成するフィルムとしては例えばCPP、LLなどが想定される。
以上において発泡インキ層5はグラビア印刷によって施される。また、図示しないが層間には白抑えやデザインのための印刷が施される。
図5および図6は本願発明の作用、すなわち蒸通の過程を示す模式図である。包装袋Pに密封状態で収容された食品Fからは電子レンジで加熱されることにより水蒸気が蒸散し、その圧力と空気の熱膨張により包装袋は内圧が高まって膨らみ、そのままでは破裂してしまうが、3点交差部Xに配置した発泡インキ部でシーラントがエッジ切れして積層間から蒸気が抜けて破裂が防止される。
表1は袋体を構成するプラスチックフィルムの積層の実施構成とその場合のシール強度、ラミネート強度、蒸通結果を示す表である。
本願発明者は実験の結果、発泡インキ層5が設けられるシーラント層P1を構成するフィルムとしては、エレメンドルフ引裂き強度(JISK7128準拠)測定においてMD、TDが30μの場合MD1.2(N)以下、TD2.7(N)以下、40μの場合MD1.5(N)以下、TD3.1(N)以下、50μの場合MD2.1(N)以下、TD3.7以下の引裂性を有し、ダート衝撃強度(JISK7124準拠)が3.5(J)以下であるフィルムが蒸通を実現し、かつ破裂音を生じないという本願発明の効果を奏するのに適していることを知見した。
表2は市販の各社のフィルムの引裂性および衝撃強度を示す表である。
なお、本願発明者は実験の結果、次のことを知見した。
・発泡インキの配置を工夫し、地シールの途中で止める(内容物側に入れない)ことにより、頭シールからのみ蒸気を逃がすようにすることができる。
天シール10mm、地シール10mmとした場合、地シールのシール幅内、例えば5mm程度しか発泡インキを入れないように配置することにより蒸気が抜ける側をコントロールできる。
・シーラントフィルムとして一般LLでも蒸通はできるが、蒸通時の破裂音が気になる。
試験ではスカイフィルム製の易裂きLL(商品名:KF601C )を使用したところ蒸通時に破裂音が気にならないほどになった。
・シーラントフィルムとして汎用CPPを使用し試験を行ったが、背貼りシールから開封してしまうなどうまく行かなかった。
原因としてシーラントが18μと薄く、汎用グレードであったため、シール強度、耐熱性が共に足らず内圧の上昇により破裂ラミネート層間で破れる前に破袋してしまったものと考えられる。
・OPP//LL構成はOPPが脆いのとラミネート強度が出難いため、発泡インキ部から蒸気は逃げるが蒸通時に横に裂けてしまい上手く蒸気が抜けているとは言い難い結果となった。
・発泡インキの配置を工夫し、地シールの途中で止める(内容物側に入れない)ことにより、頭シールからのみ蒸気を逃がすようにすることができる。
天シール10mm、地シール10mmとした場合、地シールのシール幅内、例えば5mm程度しか発泡インキを入れないように配置することにより蒸気が抜ける側をコントロールできる。
・シーラントフィルムとして一般LLでも蒸通はできるが、蒸通時の破裂音が気になる。
試験ではスカイフィルム製の易裂きLL(商品名:KF601C )を使用したところ蒸通時に破裂音が気にならないほどになった。
・シーラントフィルムとして汎用CPPを使用し試験を行ったが、背貼りシールから開封してしまうなどうまく行かなかった。
原因としてシーラントが18μと薄く、汎用グレードであったため、シール強度、耐熱性が共に足らず内圧の上昇により破裂ラミネート層間で破れる前に破袋してしまったものと考えられる。
・OPP//LL構成はOPPが脆いのとラミネート強度が出難いため、発泡インキ部から蒸気は逃げるが蒸通時に横に裂けてしまい上手く蒸気が抜けているとは言い難い結果となった。
図8は本願発明の食品用電子レンジ対応包装袋の異なる実施例を示す図である。この実施例においては発泡インキ層5は合掌箇所1における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部の特定領域において、包装袋の内側から外側に向かって横断するように設けられる。より具体的には発泡インキ層5は合掌箇所1の中央付近にして、シーラント層P1の基材層P2側に設けられる(図9参照)。
図9は袋体Pを構成するプラスチックフィルムの2層の積層例、図10は2層の積層例を示す図である。
P 袋体
S 背貼り部
P1 シーラント層
P2 基材層
P3 基材層
1 合掌箇所
4 開口端
5 発泡インキ層
F 食品
S 背貼り部
P1 シーラント層
P2 基材層
P3 基材層
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4 開口端
5 発泡インキ層
F 食品
Claims (6)
- 少なくとも耐熱性がある基材層とシーラント層を有する2層以上の積層フィルムを袋体の背貼り部中央を合掌箇所とした筒状に折曲することにより、合掌箇所における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部と、筒の両開口端における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部を設け、内部に食品を収容した後にヒ-トシ-ル部を封止する食品用電子レンジ対応包装袋において、
ヒ-トシ-ル部の特定領域において、包装袋の内側から外側に向かって横断するようにヒートシール時の熱により発泡する熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキ層を
エレメンドルフ引裂き強度(JISK7128準拠)測定においてMD、TDが30μの場合MD1.2(N)以下、TD2.7(N)以下、40μの場合MD1.5(N)以下、TD3.1(N)以下、50μの場合MD2.1(N)以下、TD3.7以下の引裂性を有し、ダート衝撃強度(JISK7124準拠)が3.0(J)以下であるフィルムを使用したシーラント層の
基材層側に設けたことを特徴とする食品用電子レンジ対応包装袋。 - 発泡インキ層は筒の両開口端における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部の特定領域において、包装袋の内側から外側に向かって横断するように設けられる請求項1記載の食品用電子レンジ対応包装袋。
- 発泡インキ層は合掌箇所における対向するフィルム同士のヒ-トシ-ル部の特定領域において、包装袋の内側から外側に向かって横断するように設けられる請求項1記載の食品用電子レンジ対応包装袋。
- マイクロカプセル含有発泡インキ層が100℃30~60秒、150℃1秒、160℃0. 5秒程度の温度で20~100μmに発泡する請求項1又は2又は3に記載の食品用電子レンジ対応包装袋。
- マイクロカプセル含有発泡インキ層がグラビア印刷によって設けられる請求項1又は2又は3又は4に記載の食品用電子レンジ対応包装袋。
- シーラント層として易裂き性のある脆いタイプのフィルムを使用する請求項1又は2又は3又は4又は5に記載の食品用電子レンジ対応包装袋。
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