JP2023111703A - 組成物、繊維及び不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理した繊維や、上記繊維を含む不織布に対して、皮膚常在菌は維持しながら、高い有害菌抑制効果を有し、かつ、液体に繰り返し曝されても、上記性能を維持できる機能を付与することができる組成物を提供する。【解決手段】25℃の水100gに対する溶解度が0.025gより大きく0.05g以下であり、かつ、水で0.05重量%に希釈し1時間経過した後の25℃の温度条件で測定した表面張力が35mN/m以下である界面活性剤(A)と、レブリン酸及びその塩、タングステン酸及びその塩、ベンゾイルアセトン、ポリリン酸及びその塩並びにアセチルアセトンからなる群から選ばれる少なくとも1種である物質(X)とを、含む組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、繊維及び不織布に関する。
医療用不織布及び衛生材料用等の不織布は、一般的に、血液、細胞間質液、尿等の体液を吸収し、内部に拡散して水分を分散することが必要とされる。
近年、これらは、接触する皮膚や創傷部の安全性の観点より抗菌機能の性能の向上が求められており、抗菌剤が主に使用されている。
一方で、抗菌剤の菌細胞表面の変性作用によって、皮膚に保全的に働く常在菌の死滅による黄色ブドウ球菌や緑膿菌の発生が問題となっている。
ところで、特許文献1に記載の技術のように、皮膚常在菌は維持しながら、特定の有害菌に選択的に作用する機能を示す病原性因子産生抑制剤に関する技術が知られている。
特許第5716173号公報
しかしながら、検討の結果、特許文献1に記載の病原性因子産生抑制剤を、医療用不織布や衛生材料用の不織布で体液を吸収した場合、液体(体液等)への溶解によって表面から内部へ移行したり、繰り返し吸収によってブリードアウトしたりすることで、その特性を維持することが困難であり、改善する手段が必要であることが分かった。
そこで本発明の課題は、処理した繊維や、上記繊維を含む不織布に対して、皮膚常在菌は維持しながら、高い有害菌抑制効果を有し、かつ、液体に繰り返し曝されても、上記性能を維持できる機能を付与することができる組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、25℃の水100gに対する溶解度が0.025gより大きく0.05g以下であり、かつ、水で0.05重量%に希釈し1時間経過した後の25℃の温度条件で測定した表面張力が35mN/m以下である界面活性剤(A)と、レブリン酸及びその塩、タングステン酸及びその塩、ベンゾイルアセトン、ポリリン酸及びその塩並びにアセチルアセトンからなる群から選ばれる少なくとも1種である物質(X)とを、含む組成物;疎水性繊維に、上記組成物が付着してなる繊維であって、上記組成物の不揮発性成分の割合が、上記疎水性繊維100重量部に対して、0.02~2重量部である繊維;上記繊維を含む不織布である。
本発明の組成物は、処理した繊維や、上記繊維を含む不織布に対して、皮膚常在菌は維持しながら、高い有害菌抑制効果を有し、かつ、液体に繰り返し曝されても、上記性能を維持できるという効果を付与することができる。
<組成物>
本発明の組成物は、25℃の水100gに対する溶解度が0.025gより大きく0.05g以下であり、かつ、水で0.05重量%に希釈し1時間経過した後の25℃の温度条件で測定した表面張力が35mN/m以下である界面活性剤(A)と、レブリン酸及びその塩、タングステン酸及びその塩、ベンゾイルアセトン、ポリリン酸及びその塩並びにアセチルアセトンからなる群から選ばれる少なくとも1種である物質(X)とを、含む。
本発明の組成物は、処理した繊維や、上記繊維を含む不織布に対して、皮膚常在菌は維持しながら、高い有害菌抑制効果を有し、かつ、液体に繰り返し曝されても、上記性能を維持できるという効果を付与することができる。
なお、上記「高い有害菌抑制効果」とは、有害菌を死滅させること、有害菌を不活化して増殖を抑制すること、有害菌の毒性物質(病原性因子)の産出を抑制すること、の少なくとも何れかを意味するものである。
本明細書において、「有害菌」とは、病原性が高く増殖することにより様々な感染症等を引き起こす細菌、カビ類等を意味し、具体的には、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、化膿レンサ球菌(S. pyogenes)、緑膿菌(P. aeruginosa)等が挙げられる。
また、「皮膚常在菌」とは、上記有害菌の増殖を阻害し、皮膚を健康に保つ作用を有する常在菌を意味し、具体的には、表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)等が挙げられる。
本発明の組成物は、有害菌のクオラムセンシング機構(すなわち、オートインデューサーを産生する機構)を選択的に阻害することができるので、皮膚常在菌は維持しながら、高い有害菌抑制効果を有する。
[界面活性剤(A)]
本発明の組成物は、界面活性剤(A)を含む。
界面活性剤(A)は、25℃の水100gに対する溶解度が、0.025gより大きく0.05g以下であり、かつ、水で0.05重量%に希釈し1時間経過した後の25℃の温度条件で測定した表面張力が35mN/m以下である。
界面活性剤(A)がこのような特性を有することにより、本発明の組成物で処理した繊維や、上記繊維を含む不織布が液体に繰り返し曝されても、皮膚常在菌を維持しつつ、高い有害菌抑制効果を保持することができる(以下、単に保持効果ともいう)。
界面活性剤(A)は、25℃の水100gに対する溶解度が、0.025gより大きく0.05g以下である。
界面活性剤(A)の上記溶解度は、上記保持効果を好適に付与する観点から、好ましくは0.026g以上、より好ましくは0.03g以上であり、好ましくは0.045g以下、より好ましくは0.04g以下である。
界面活性剤(A)の上記溶解度が0.025g以下の場合、又は、0.05gを超える場合には、上記保持効果を十分に発揮できない。
本発明において、温度25℃、湿度40%RHの条件下、100gのイオン交換水をスターラーで撹拌しながら界面活性剤(A)を0.005gずつ投入し、界面活性剤(A)が溶けなくなった[浮遊、沈殿、析出、及び白濁(透過率が95以下となる)の少なくとも一つが確認された]時点での界面活性剤(A)の溶解量を、「25℃の水100gに対する溶解度」とする。
上記溶解度について一例を挙げて説明する。
例えば、界面活性剤(A)を0.035g投入したときが「溶けなくなった時点」の場合、「溶けなくなった時点での界面活性剤の溶解量」は0.030gであり、この界面活性剤の溶解量(0.030g)が「25℃の水100gに対する溶解度」となる。
界面活性剤(A)は、水で0.05重量%に希釈し1時間経過した後の25℃の温度条件で測定した表面張力(以下「水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力」ともいう)が、35mN/m以下である。
界面活性剤(A)の上記表面張力は、上記保持効果を好適に付与する観点から、好ましくは33mN/m以下、より好ましくは30mN/m以下である。
界面活性剤(A)の前記表面張力の下限値は特に限定されないが、好ましくは25mN/m以上、より好ましくは26mN/m以上である。
本発明において、水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力は、水(例えば、イオン交換水)で0.05重量%に希釈し1時間経過した後に、温度25℃、湿度40%RHの条件下、自動表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用いてプレート法(Wilhelmy法)により測定できる。
水で0.05重量%に希釈し1時間経過した後の希釈溶液を目視により観察したときに、白濁状態であっても、浮遊物、沈殿物、及び析出物のうちのいずれもが認められなければ、表面張力を測定することができる。
界面活性剤(A)としては、25℃の水100gに対する溶解度が0.025gより大きく0.05g以下であり、かつ、水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力が35mN/m以下である界面活性剤であれば、特に限定されない。
界面活性剤(A)としては、例えば、多価アルコール脂肪酸エステル[例えば、ソルビタンモノラウレート(上記溶解度:0.03g、上記表面張力:33.1mN/m)等]、炭素数が10~20のアルキル基を有するスルホコハク酸エステル塩[例えばジトリデシルスルホサクシネートナトリウム(上記溶解度:0.03g、上記表面張力:29.5mN/m)等]、及び脂肪酸アルカノールアミド[例えばヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(上記溶解度:0.05g、上記表面張力:27.3mN/m)等]などが挙げられる。界面活性剤(A)は一種単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。
界面活性剤(A)の含有量は、上記保持効果を好適に付与する観点から、本発明の組成物中の不揮発性成分の重量に基づいて、5重量%~85重量%であることが好ましく、10重量%~70重量%であることがより好ましく、15重量%~60重量%であることが更に好ましい。
なお、本発明における「不揮発性成分」とは、試料をガラス製シャーレ中で、蓋をせずに130℃45分間循風乾燥機で加熱乾燥した後の残渣である。
[物質(X)]
本発明の組成物は、物質(X)を含む。
物質(X)は、レブリン酸及びその塩、タングステン酸及びその塩、ベンゾイルアセトン、ポリリン酸及びその塩並びにアセチルアセトンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
物質(X)を含むことにより、本発明の組成物で処理した繊維や、上記繊維を含む不織布に対して、皮膚常在菌は維持しながら、高い有害菌抑制効果を付与することができる。
物質(X)としては、有害菌抑制効果を好適に付与する観点から、ポリリン酸(リン酸単位の繰り返し数は2~5であることが好ましい。)及びその塩が好ましく、三リン酸五ナトリウムがより好ましい。
物質(X)の含有量は、本発明の組成物で処理した繊維や、上記繊維を含む不織布に対して、高い有害菌抑制効果を好適に付与する観点から、本発明の組成物中の不揮発性成分の重量に基づいて、下限が3重量%であることが好ましく、下限が6重量%であることがより好ましく、下限が9重量%であることが更に好ましい。
また、物質(X)の含有量は、本発明の組成物で処理した繊維や、上記繊維を含む不織布に対して、皮膚常在菌を好適に維持する観点から、本発明の組成物中の不揮発性成分の重量に基づいて、上限が50重量%であることが好ましく、上限が40重量%であることがより好ましく、上限が35重量%であることが更に好ましい。
物質(X)の含有量は、界面活性剤(A)の重量に対して、下限が10重量%であることが好ましく、下限が15重量%であることがより好ましく、下限が30重量%であることが更に好ましい。
また、物質(X)の含有量は、上限が350重量%であることが好ましく、上限が330重量%であることがより好ましい。
物質(X)を上記範囲で含有することにより、本発明の組成物で処理した繊維や、上記繊維を含む不織布に対して、皮膚常在菌は維持しながら、高い有害菌抑制効果を有し、かつ、液体に繰り返し曝されても、上記性能を維持できるという効果を好適に付与することができる。
[界面活性剤(B)]
本発明の組成物は、25℃の水100gに対する溶解度が0.05g超であること、及び、水で0.05重量%に希釈し1時間経過した後に25℃の温度条件で測定した表面張力が35mN/m超であることのうち、少なくとも一方を満たす界面活性剤(B)を、さらに含むことが好ましい。
界面活性剤(B)は、25℃の水100gに対する溶解度が0.05g超であること、及び、水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力が35mN/m超であることのうち、いずれか一方又は両方を満たす。
本発明の組成物が上記界面活性剤(B)をさらに含むことにより、上記保持効果を好適に付与することができる。
界面活性剤(B)は、25℃の水100gに対する溶解度が0.05g超であること、及び、水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力が35mN/m超であることのうち、いずれか一方又は両方を満たすものであれば特に限定されない。
界面活性剤(B)としては、非イオン性界面活性剤(B1)、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤(B2)、リン酸エステル塩型アニオン性界面活性剤(B3)及びエーテルカルボン酸型アニオン性界面活性剤(B4)から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤であって、25℃の水100gに対する溶解度が0.05g超であること、及び、水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力が35mN/m超であることのうち、いずれか一方又は両方を満たすものを用いることができる。
界面活性剤(B)として用いうる非イオン性界面活性剤(B1)としては、多価アルコール又は油脂のアルキレンオキサイド付加物(B1-1)、多価アルコール又は油脂のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(B1-2)、及び多価アルコールの脂肪酸エステル(B1-3)、ポリオキシアルキレングリコールジエステル(B1-4)、脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物(B1-5)、1価の高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1-6)等のうち、25℃の水100gに対する溶解度が0.05g超であること、及び、表面張力が35mN/m超であることのうち、いずれか一方又は両方を満たすものが挙げられる。
上記保持効果を好適に付与する観点から、上記(B1-1)~(B1-2)で共通する油脂としては、ヒマシ油及び硬化ヒマシ油が好ましく、上記(B1-1)~(B1-3)で共通する多価アルコールとしては、炭素数3~20の3~6価のアルコール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)が好ましい。
多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、上記の多価アルコールにアルキレンオキサイドが付加したものであり、油脂のアルキレンオキサイド付加物は上記の油脂にアルキレンオキサイドが付加したものである。
アルキレンオキサイドとしては、炭素数が2~4個のアルキレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)がブロック重合又はランダム重合したものが挙げられる。
上記(B1-1)の具体例としては、ヒマシ油EO25モル付加物(25℃の水100gに対する溶解度:10g以上)、ヒマシ油EO10モル付加物(水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:41.0mN/m)、トリメチロールプロパンPO68モルEO10モル付加物(水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:36.2mN/m)及びグリセリンPO90モルEO20モル付加物(水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:35.7mN/m)等が挙げられる。
多価アルコール又は油脂のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(B1-2)は、上記(B1-1)と脂肪酸とのエステル化反応物である。エステルはモノエステルであっても、ジエステルなどであってもよい。
原料の脂肪酸としては、炭素数8~24の脂肪族カルボン酸[脂肪族飽和カルボン酸(カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸等)、脂肪族不飽和カルボン酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、及び菜種油脂肪酸等)]が挙げられる。
上記(B1-2)の具体例としては、ヒマシ油EO25モル付加物のジオレイン酸エステル(水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:51.3mN/m)、硬化ヒマシ油EO20モルのトリオレイン酸エステル(水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:57.4mN/m)、及び硬化ヒマシ油のEO25モル付加物とマレイン酸とステアリン酸とのポリエステル(数平均分子量:6000)(水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:43.1mN/m)等が挙げられる。
多価アルコールの脂肪酸エステル(B1-3)は、上記の多価アルコールと脂肪酸のエステル化反応物である。原料の脂肪酸としては、上記(B1-2)の説明で例示した脂肪酸が挙げられる。エステルは部分エステルであってもフルエステルであってもよい。
上記(B1-3)の具体例としては、グリセリンの菜種油脂肪酸部分エステル(水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:37.3mN/m)及びソルビタンモノオレート(水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:39.3mN/m)等が挙げられる。(B1-3)としては市販品を使用してもよい。このような市販品としては、ソルビタンモノオレート[三洋化成工業(株)、「イオネット S-80」、水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:39.3mN/m]等が挙げられる。
ポリオキシアルキレングリコールジエステル(B1-4)は、ポリオキシアルキレングリコールと脂肪酸とのジエステルである。アルキレンオキサイドとしては、炭素数が2~4個のアルキレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)がブロック重合又はランダム重合したものが挙げられる。これらのうち好ましいのはEOである。原料の脂肪酸としては、上記(B1-2)の説明で例示した脂肪酸が挙げられる。
上記(B1-4)の具体例としては、ポリオキシエチレングリコール(数平均分子量;400)ジオレート(水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:55.1mN/m)等が挙げられる。
脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物(B1-5)としては炭素数8~30の脂肪族モノカルボン酸のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、上記(B1-4)の説明で例示したアルキレンオキサイドが挙げられる。
上記(B1-5)の具体例としては、ポリオキシエチレングリコール(数平均分子量;400)モノオレート(水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:39.2mN/m)が挙げられる。
1価の高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1-6)は炭素数8~30の脂肪族1価のアルコールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、上記(B1-4)の説明で例示したアルキレンオキサイドが挙げられる。
上記(B1-6)の具体例としては、ラウリルアルコールのEO20モル付加物(25℃の水100gに対する溶解度:10g以上)が挙げられる。
界面活性剤(B)として用いる非イオン性界面活性剤(B1)のHLBは、上記保持効果を好適に付与する観点から、好ましくは2~12であり、より好ましくは2~11であり、更に好ましくは2~10である。
本発明において、HLBとは、親水性と親油性のバランスを示す指標であって、例えば「界面活性剤入門」(2007年三洋化成工業株式会社発行、藤本武彦著)の212頁に記載されている小田法によって、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB=10×無機性/有機性
HLBを導き出すための有機性の値及び無機性の値については前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
非イオン性界面活性剤(B1)を二種以上用いる場合、それぞれのHLBが2~12であることが好ましい。
また、上記の非イオン性界面活性剤(B1)の内、上記保持効果を更に向上させる観点から好ましいのは、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1-1-1、B1-1の下位概念)であってHLBが2~10である界面活性剤、及び、多価アルコールの脂肪酸エステル(B1-3)であってHLBが2~10である界面活性剤である。
スルホン酸塩型アニオン界面活性剤(B2)としては、上記保持効果を好適に付与する観点から、炭素数6~9のアルキル基を有するジアルキルスルホサクシネート塩が好ましく、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム(25℃の水100gに対する溶解度:10g以上)がより好ましい。アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよい。
リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤(B3)としては、上記保持効果を好適に付与する観点から、炭素数が8~16の脂肪族アルコールのリン酸エステルカリウム塩、炭素数が8~16の脂肪族アルコールEO付加物(EO付加モル数は好ましくは3~5)のリン酸エステルカリウム塩が好ましく、ラウリルアルコールEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩(25℃の水100gに対する溶解度:10g以上)等がより好ましい。
エーテルカルボン酸型アニオン性界面活性剤(B4)としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸等が好ましい。(B4)としては市販品を用いてもよい。市販品としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸[三洋化成工業(株)製、「ビューライトLCA-25NH」、水で0.05重量%に希釈したときの25℃での表面張力:35.2mN/m)等が挙げられる。
界面活性剤(B)は、HLB2~12の非イオン性界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、リン酸エステル塩型アニオン性界面活性剤及びエーテルカルボン酸型アニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤(B)は単独でも二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)を含む場合、界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)の合計重量に対する(A)の割合は、保持効果を更に向上させる観点から、5重量%以上であることが好ましく、7重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることが更に好ましい。
また、本発明の組成物が界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)を含む場合、界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)の合計重量に対する界面活性剤(A)の割合は、保持効果を更に向上させる観点から、90重量%以下であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、70重量%以下であることが更に好ましい。
[その他成分]
本発明の組成物は、溶剤を含有していてもよい。
上記溶剤としては、水や有機溶剤等が挙げられ、水、エタノールであることが好ましい。
上記溶剤の含有量としては、本発明の組成物中の不揮発性成分を均一に混合することができ、本発明の組成物を塗布しやすい濃度とすることができれば特に限定されず、例えば、本発明の組成物の全重量に対して、5~99重量%であることが好ましい。
また、本発明の組成物は、必要に応じて界面活性剤(A)、界面活性剤(B)及び上記界面活性剤以外の添加剤を含有してもよい。
上記添加剤としては、ワックス等の潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防腐剤及び香料等が挙げられる。
本発明の組成物中の上記添加剤の含有量は、本発明の組成物中の不揮発性成分の重量に基づいて、5重量%以下であることが好ましく、0.1~1重量%であることがより好ましい。
[組成物の製造方法及び用途]
本発明の組成物は、繊維(好ましくは疎水性繊維)に対して付着される用途に使用されることが好ましい。
本発明の組成物が付着した繊維は、不織布製品に用いられることが好ましく、紙おむつ及び生理用ナプキン等の吸収性物品のトップシートに用いられることがより好ましい。
本発明の組成物は1回の付着工程で、対象となる繊維に付着させてもよいし、複数回の付着工程で対象となる繊維に付着させてもよい。
1回の付着工程で付着させる場合、本発明の組成物は、界面活性剤(A)、物質(X)、及び、必要に応じて添加される他の成分[界面活性剤(B)、溶剤、及び添加剤等]を配合し、常温又は必要に応じて加熱(例えば30~70℃)して均一に混合することにより製造することができる。各成分の配合順序、配合方法は特に限定されない(例えば、界面活性剤(A)、物質(X)、界面活性剤(B)及び溶剤を混合し組成物を製造し、その後更に溶剤で希釈して製造しても良い。)。
本発明の組成物を複数回の付着工程で対象となる繊維に付着させる場合、1回の付着工程で付着させる場合と同様の方法により製造した本発明の組成物を複数回に分けて付着させてもよい。
また、本発明の組成物の成分の一部を含む剤を、複数種類準備(例えば、界面活性剤(A)を含む剤と、物質(X)を含む剤とを準備)し、複数回に分けて付着させてもよい。
本発明の組成物の成分の一部を含む剤は、当該剤に含まれる成分を配合し、常温又は必要に応じて加熱(例えば30~70℃)して均一に混合することにより製造することができる。各成分の配合順序、配合方法は特に限定されない。
有害菌抑制効果を好適に付与する観点からは、界面活性剤(A)と、物質(X)とを含む組成物(エマルションであることが好ましい)を、付着工程で使用することが望ましい。
また、付着工程で使用する組成物がエマルションである場合、以下の方法で算出されるzの値が、有害菌抑制効果を好適に付与する観点から、70~100であることが好ましく、75~100であることがより好ましい。
zが上記の好ましい値より低い場合、組成物を配合する際の混合時間を長くし、必要に応じて加熱することで上記の好ましい範囲に調整することができる。
<評価方法>
組成物(不揮発性成分が2.0重量%となるように調整した水を含有する組成物等)を、繊維処理剤等の繊維処理剤が付着していない、疎水性繊維[ポリエステル(芯)-ポリエチレン(鞘)系複合繊維であって、単繊維繊度が2.2Dtex、繊維長が51mmのもの等]に、ディップ給油法により付着させ、その疎水性繊維に付着した組成物の不揮発成分の重量(x)を測定する。
また、上記の測定に用いた組成物と同じ重量の組成物に含まれる不揮発成分の重量(y)を測定し、以下の方法でzの値を計算する。
z=(x/y)×100
また、付着工程で使用する組成物が溶液である場合、溶液の濁度は、0~10度(カオリン)であることが好ましい。
上記の濁度は、日本電色工業株式会社製の濁度計(COH400)等を用いて、JIS K0101-1998における「9.4積分球濁度」の方法により測定することができる。
<繊維>
本発明の繊維は、疎水性繊維に、本発明の組成物が付着してなる繊維であって、上記組成物の不揮発性成分の割合が、上記疎水性繊維100重量部に対して、0.02~2重量部である。
本発明の繊維は、上述した本発明の組成物を上記割合で含むことにより、皮膚常在菌は維持しながら、高い有害菌抑制効果を有し、かつ、液体に繰り返し曝されても、上記性能を維持できる。
疎水性繊維に本発明の組成物を付着させる方法には特に制限はなく、紡糸、延伸などの任意の工程で、ディップ給油法、オイリングロール法、浸漬法、及び噴霧法などの方法を利用することができる。
本発明の繊維においては、界面活性剤(A)、物質(X)及び必要に応じて界面活性剤(B)が付着していればよく、付着する本発明の組成物自体は、均一であっても、不均一であっても良い。
本発明の繊維において、本発明の組成物の付着量は、上記組成物の不揮発性成分の割合が、疎水性繊維の重量(本発明の組成物付着前の重量)100重量部に対して、0.02~2重量部である。
本発明の組成物の付着量は、上記組成物の不揮発性成分の割合が、疎水性繊維の重量100重量部に対して、0.05~2重量部であることが好ましく、0.1~2重量部であることがより好ましい。
疎水性繊維に本発明の組成物を付着させる方法としては、本発明の組成物を1回の付着工程又は複数回の付着工程で付着させる方法(方法1)及び本発明の組成物の成分の一部を含む剤を、複数種類準備し、複数回に分けて付着させる方法(方法2)が挙げられる。
方法1により疎水性繊維に本発明の組成物を付着させる場合、本発明の組成物は、水系エマルションとして、疎水性繊維に付着させることができる。
本発明の組成物を水系エマルションとして疎水性繊維を処理した後は、加熱により揮発性成分を除去することが好ましい。
方法1で用いる水系エマルションは、本発明の組成物に20~40℃の水を投入して希釈する方法、及び、20~40℃の水の中に本発明の組成物を加えて乳化する方法等により作製することが好ましい。
上記水系エマルション中の本発明の組成物の含有量は、用途等に応じ選択が可能であるが、本発明の組成物中の不揮発性成分の重量割合が、水系エマルションの重量に基づき、好ましくは0.05~20重量%であり、より好ましくは0.1~10重量%である。
方法1において水系エマルションを、疎水性繊維に付着させる方法としては、ディップ給油法、オイリングロール法、浸漬法及び噴霧法等を用いることができる。上記の水系エマルションにより疎水性繊維を処理した後は、加熱により揮発性成分を除去することが好ましい。
方法2において、本発明の組成物の成分の一部を含む剤を複数種類用いる場合、本発明の組成物の成分の一部を含む剤を水系エマルションとして疎水性繊維に付着させることができる。
本発明の組成物の成分の一部を含む剤を水系エマルションとして用いる場合、方法1で説明した水系エマルションと同じ方法で製造することができる。
本発明の組成物の成分の一部を含む剤中の不揮発性成分の重量割合は、水系エマルションの重量に基づき、好ましくは0.05~20重量%であり、より好ましくは0.1~10重量%である。当該水系エマルションを疎水性繊維に付着させる方法はとしては、方法1において水系エマルションを疎水性繊維に付着させる方法と同じ方法が挙げられる。
2回目以降の付着工程は、前回の付着工程を行うことにより本発明の組成物又は本発明の組成物の成分の一部を含む剤を付着させた繊維(もしくは、本発明の組成物の一部又は本発明の組成物の成分の一部を含む剤を付着させた繊維を不織布化したもの)に、本発明の組成物又は本発明の組成物の成分の一部を含む剤を塗布する。上記不織布化したものを用いた場合、2回目以降の付着工程が完了したときに、後述する本発明の不織布を直接得ることができ、不織布の製造工程を簡素化することができる。
上記塗布方法は特に制限されるものではないが、必要に応じて加熱した第2剤を、バーコーター及び非接触式コーター等により塗布する方法、スプレー塗布する方法、並びに、ディッピング浸漬法により塗布する方法等が挙げられる。
本発明の繊維において、疎水性繊維とは、温度25℃、相対湿度65%で吸水率が1重量%以下である繊維を意味する。
上記疎水性繊維としては特に限定されず、疎水性の合成繊維を用いることができ、ポリオレフィン、ポリエステル、及びポリアミド等からなる繊維が挙げられる。
上記ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、及びエチレン・プロピレン・1-ブテン共重合体等が挙げられる。
上記ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、及びポリエーテルポリエステル等が挙げられる。
上記ポリアミドとしては、6,6-ナイロン、及び6-ナイロン等が挙げられる。
本発明の繊維の形態は、布状の形態のものが好ましく、織物、編物及び不織布等が挙げられる。また、混綿、混紡、混繊、交編及び交織などの方法で混合した繊維を布状として使用してもよい。これらの中では、特に不織布が好ましい。
[不織布]
本発明の不織布は本発明の繊維を含む。
本発明の不織布は、上述した本発明の組成物により処理された本発明の繊維を含むので、皮膚常在菌は維持しながら、高い有害菌抑制効果を有し、かつ、液体に繰り返し曝されても、上記性能を維持できる。
本発明の繊維を用いた不織布は、吸収性物品のトップシート、特に紙おむつ等の衛生材料のトップシートとして好適に用いられる。本発明の不織布及び繊維は、セカンドシート、吸水体、工業用又は医療用のワイパー、吸収パッド及び透水シート等に利用することもできる。
本発明の不織布は、本発明の組成物で処理した短繊維を、乾式又は湿式法で繊維積層体とした後、加熱ロールで圧着したり、空気加熱で融着したり、高圧水流で繊維を交絡させる方法により製造することができる。また、スパンボンド法、メルトブローン法、及びフラッシュ紡糸法等によって得られた疎水性繊維から構成される不織布に、本発明の組成物を付着させることによっても不織布を得ることができる。
本発明の不織布は、紙おむつ、生理用ナプキン(衛生ナプキン等)等の部材(吸収性物品)として利用することができる。。
本発明の不織布は、紙おむつ等の衛生材料のトップシートとして用いられることが好ましい。また、セカンドシート、吸水体及び吸収パッド等に利用することもできる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%を示す。
[製造例1:界面活性剤(A-2)の製造]
温度計及び攪拌機を備えたSUS製のオートクレーブに、フマル酸とトリデカノールとのジエステル化物766.4重量部、イオン交換水80.8重量部及び二亜硫酸ナトリウム150.1重量部を順に仕込み、減圧にて窒素置換後、昇温し、オートクレーブの温度を100℃に保持して撹拌した。さらに、温度を125℃へ昇温し、スルホン化反応を継続した。次に、70℃まで冷却し、エタノール93.0重量部を反応物に添加した。その後、40℃まで冷却し、5重量%の炭酸ナトリウム水溶液5.5重量部を投入し、1時間撹拌した。さらに、5重量%の過酸化水素水2.6重量部を投入し、1時間撹拌した後、(A-2)ジトリデシルスルホサクシネートナトリウムを得た。
[製造例2:界面活性剤(A-3)の製造]
温度計、還流冷却器、攪拌機、及び蒸留装置を備えた反応容器に、ジエタノールアミン106.2重量部と、水酸化ナトリウム0.4重量部とを仕込み、容器内を窒素置換後、これを20~30mmHgに減圧した。その後反応系の温度を120~130℃に昇温し、この温度を1時間保持した。水の留出が完全に止まったことを確認し、反応系を60℃まで冷却し、これにヤシ油脂肪酸メチル214.2重量部を添加し、この反応系を20~30mmHg、65~70℃の条件下、生成するメタノールを留去しながら、1時間熟成した。熟成後、286.2重量部の(A-3)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを得た。
[製造例3:界面活性剤(A’-1)の製造]
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、ヤシ油アルコール330重量部と無水リン酸101重量部を仕込み、60℃で反応させた後、水酸化カリウム94重量部を投入し、(A’-1)ヤシ油アルコールのリン酸エステルカリウム塩を得た。
[製造例4:界面活性剤(B-1)の製造]
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、製造例4で製造したヒマシ油EO25モル付加物778重量部及びオレイン酸220重量部を仕込み、触媒としてパラトルエンスルホン酸4重量部を加え、窒素置換する。150℃まで昇温し反応させることで(B-1)ヒマシ油EO25モル付加物のジオレイン酸エステルを得た。
[製造例5:界面活性剤(B-2)の製造]
攪拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ロート、減圧及び窒素導入ラインの付いた1Lオートクレーブ中に、ヒマシ油459重量部、水酸化カリウム0.1重量部を加え攪拌を開始し、窒素封入し90℃に昇温した後、0.005MPaまで減圧し、1時間攪拌した。次いで130±10℃に昇温し、4~6.5kPaに保ちながらエチレンオキサイド550重量部を逐次滴下した。その後、キョーワード600(協和化学製)20重量部を仕込み、95℃で1時間吸着処理した後、ろ過処理してアルカリ金属の除去を行った。60℃に冷却した後、取り出して(B-2)ヒマシ油EO25モル付加物を得た。
[製造例6:界面活性剤(B-3)の製造]
攪拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ロート、減圧及び窒素導入ラインの付いたオートクレーブ中に、トリメチロールプロパン(I)13.4重量部、水酸化カリウム0.8重量部を加え攪拌を開始し、窒素封入し90℃に昇温した後、0.005MPaまで減圧し、1時間攪拌した。次いで130±10℃に昇温し、4~6.5kPaに保ちながらプロピレンオキサイド406重量部を逐次滴下した。滴下を終了するまでに1時間、圧力が下がりきるまでに2時間を要した。次いで、エチレンオキサイド88重量部を逐次滴下した。滴下を終了するまでに0.5時間、圧力が下がりきるまでに0.5時間を要した。その後、キョーワード600(協和化学製)10重量部を仕込み、95℃で1時間吸着処理した後、ろ過処理してアルカリ金属の除去を行った。60℃に冷却した後、取り出して、500重量部の(B-3)の界面活性剤(トリメチロールプロパンPO68モルEO10モル付加物)を得た。
[製造例7:界面活性剤(B-4)の製造]
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、菜種油100重量部及びグリセリン10重量部を仕込み、触媒として炭酸カリウム1重量部を加え、窒素置換する。200℃まで昇温し、1時間反応させることで(B-4)の界面活性剤(グリセリンと菜種油脂肪酸の部分エステル化合物)を得た。
[製造例8:界面活性剤(B-5)の製造]
温度計及び攪拌機を備えたSUS製オートクレーブに、フマル酸と2-エチルヘキサノールとのジエステル化物542.6重量部、プロピレングリコール44.3重量部、イオン交換水80.8重量部及び二亜硫酸ナトリウム150.1重量部を順に仕込み、撹拌を開始し、減圧にて窒素置換後、昇温し、温度を100℃に保持し撹拌した。さらに、125℃へ昇温し、スルホン化反応を継続した。次いで、95℃まで冷却し、プロピレングリコール93.0重量部を反応物に添加した。そして、40℃まで冷却し、5重量%の炭酸ナトリウム水溶液4.1重量部を投入し、1時間撹拌した。さらに、5重量%の過酸化水素水2.6重量部を投入し、1時間撹拌した後、(B-5)の界面活性剤(ジオクチルスルホサクシネートナトリウム)を得た。
[製造例9:界面活性剤(B-6)の製造]
製造例3において、ヤシ油アルコール330重量部に代えて、ラウリルアルコールEO3モル付加物を563重量部用いたこと以外は製造例3と同様にして、(B-6)の界面活性剤(ラウリルアルコールEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩)を得た。
[製造例10:界面活性剤(B-7)の製造]
攪拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ロート、減圧及び窒素導入ラインの付いたオートクレーブ中に、トリメチロールプロパン9.2重量部、水酸化カリウム0.8重量部を加え攪拌を開始し、窒素封入し90℃に昇温した後、0.005MPaまで減圧し、1時間攪拌した。次いで130±10℃に昇温し、4~6.5kPaに保ちながらプロピレンオキサイド522重量部を逐次滴下した。滴下を終了するまでに1時間、圧力が下がりきるまでに2時間を要した。次いで、エチレンオキサイド88重量部を逐次滴下した。滴下を終了するまでに0.5時間、圧力が下がりきるまでに0.5時間を要した。その後、キョーワード600(協和化学製)10重量部を仕込み、95℃で1時間吸着処理した後、ろ過処理してアルカリ金属の除去を行った。60℃に冷却した後、取り出して、500重量部の(B-7)の界面活性剤(グリセリンPO90モルEO20モル付加物)を得た。
[製造例11:界面活性剤(B-9)の製造]
攪拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ロート、減圧及び窒素導入ラインの付いた1Lオートクレーブ中に、ヒマシ油459重量部、水酸化カリウム0.1重量部を加え攪拌を開始し、窒素封入し90℃に昇温した後、0.005MPaまで減圧し、1時間攪拌した。次いで130±10℃に昇温し、4~6.5kPaに保ちながらエチレンオキサイド220重量部を逐次滴下した。その後、キョーワード600(協和化学製)20重量部を仕込み、95℃で1時間吸着処理した後、ろ過処理してアルカリ金属の除去を行った。60℃に冷却した後、取り出して(B-9)ヒマシ油EO10モル付加物を得た。
<各成分の説明>
実施例及び比較例で用いる各成分に対応する原料は、以下の通りである。
[界面活性剤(A)]
(A-1):ソルビタンモノラウレート[品名:イオネット S-20、三洋化成工業(株)製]
(A-2):製造例1で製造したジトリデシルスルホサクシネートナトリウム
(A-3):製造例2で製造したヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド
[界面活性剤(A’)]
(A’-1):製造例3で製造したヤシ油アルコールのリン酸エステルカリウム塩
(A’-2):オクチルアルコールEO2モル付加物のリン酸エステルカリウム塩[品名:サファノールBW、三洋化成工業(株)製]
(A’-3):ポリオキシエチレン変性ジメチルシリコン[品名:KF-6015、信越化学工業(株)製]
(A’-4):トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(品名:O.D.O、日清オイリオグループ(株)製)
(B-1):製造例4で製造したヒマシ油EO25モル付加物のジオレイン酸エステル(HLB:8.7)
(B-2):製造例5で製造したヒマシ油EO25モル付加物(HLB:11.6)
(B-3):製造例6で製造したトリメチロールプロパンPO68モルEO10モル付加物 (HLB:6.2)
(B-4):製造例7で製造したグリセリンと菜種油脂肪酸の部分エステル化合物(HLB:2.9)
(B-5):製造例8で製造したジオクチルスルホサクシネートナトリウム
(B-6):製造例9で製造したラウリルアルコールEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩
(B-7):製造例10で製造したグリセリンPO90モルEO20モル付加物(HLB:6.7)
(B-8):ソルビタンモノオレート[品名:イオネット S-80、三洋化成工業(株)製](HLB:8.7)
(B-9):製造例11で製造したヒマシ油EO10モル付加物(HLB:8.2)
(B-10):ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸[品名:ビューライトLCA-25NH、三洋化成工業(株)製](HLB:9.9)
[物質(X)]
(X-1):三リン酸五ナトリウム(富士フイルム和光純薬(株)製)
(X-2):アセチルアセトン(ナカライテスク(株)製)
(X-3):ベンゾイルアセトン(MERCK社製)
(X-4):レブリン酸(東京化成工業(株)製)
(X-5):タングステン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬(株)製)
[物質(X’)]
(X’-1):塩化ベンザルコニウム
<物性値の測定方法>
実施例及び比較例において用いる各成分の物性値は以下の方法により測定した。結果を表1に示す。測定できなかったものについては表1において、「測定不可」と記載した。
なお、表1において、(A)は界面活性剤(A)を示し、(A’)は界面活性剤(A)に代えて用いた界面活性剤を示し、(B)は界面活性剤(B)を示す。
[溶解度]
温度25℃、湿度40%RHの条件下、100gのイオン交換水をスターラーで撹拌しながら測定対象物を0.005gずつ投入し、溶けなくなった[浮遊や沈殿、析出、及び白濁(透過率が95以下となる)の少なくとも一つが確認された]時点での溶解量を溶解度とした。測定対象物を0.005g投入した時点で溶けなくなったと判断されたものについては、溶解度を「0.005未満」とした。測定対象物の投入量は最大10gとし、10g投入した特に溶解したと判断されたものについては、溶解度を「10以上」とした。
[表面張力]
測定対象物を水で0.05重量%に希釈し1時間経過した後に、温度25℃、湿度40%RHの条件下、自動表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用いてプレート法(Wilhelmy法)により表面張力を測定した。測定対象物を水で希釈し1時間経過した後のサンプル溶液において、目視により浮遊物、沈殿物及び析出物のうちの少なくとも一つが認められた場合は、サンプル溶液は不均一であると判断し、表面張力は測定不可と判断した。
Figure 2023111703000001
[実施例1]
(1)組成物の製造
界面活性剤(A-2)30重量部、界面活性剤(B-1)25重量部、界面活性剤(B-3)20重量部、界面活性剤(B-4)15重量部、界面活性剤(B-5)10重量部、物質(X-1)9重量部、及び、水13重量部を25℃で30分間撹拌することにより、組成物を製造した。
(2)不織布の製造
得られた組成物について、それぞれ25℃の水で不揮発性成分が2.0重量%となるように希釈することにより、組成物希釈液を得た。繊維本体300gに対し、組成物希釈液300gをディップ給油法で付着させた。繊維に付着した組成物の不揮発性成分の付着量[繊維本体の重量に対する重量割合(重量%)]は、1.5重量%であった[上記組成物希釈液が含む不揮発性成分の重量(y)と、上記繊維に付着した組成物の不揮発成分の重量(x)を用いて計算するz=(x/y)×100の値は、75であった]。なお、繊維本体として、繊維処理剤等の繊維処理剤が付着していない、ポリエステル(芯)-ポリエチレン(鞘)系複合繊維であって、単繊維繊度が2.2Dtex、繊維長が51mmのものを用いた。
組成物を付着させた繊維を、80℃の温風乾燥機の中に1時間入れた後、室温で4時間以上放置して乾燥させて、組成物が付着した繊維を得た。
得られた繊維をローラーカードに通し、目付け25g/mのカードウェブを作製した。得られたカードウェブを140℃で10秒の熱風処理を行い、エアスルー不織布(厚みは3mmであった)を得た。
得られた不織布について、後述するハロー試験及び繰り返し透水ハロー試験により評価した。結果を表6に示す。
[実施例2~33、比較例1~6]
使用する界面活性剤の種類及び量、並びに、物質(X)の種類及び量を表2~5に記載のものに代えたこと以外は実施例1と同じ操作を行い、組成物を製造した。
当該組成物を使用して不織布を製造した。
得られた不織布について、後述するハロー試験及び繰り返し透水ハロー試験により評価した。結果を表6~9に示す。また、上記zの値についても、実施例1と同様にして算出し、表6~9に示す。
なお、表2~5において、(A)は界面活性剤(A)を示し、(A’)は界面活性剤(A)に代えて用いた界面活性剤を示し、(X)は物質(X)を示し、(X’) は物質(X)に代えて用いた成分を示し、(B)は界面活性剤(B)を示す。
Figure 2023111703000002
Figure 2023111703000003
Figure 2023111703000004
Figure 2023111703000005
<ハロー試験>
[菌濃度の調整]
菌株は有害菌として、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、化膿レンサ球菌(S. pyogenes)を使用し、皮膚常在菌として、表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)を使用した。
用いた培地は、黄色ブドウ球菌(S. aureus)及び表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)にはLB寒天培地を、化膿レンサ球菌(S. pyogenes)にはTriptic Soy Broth寒天培地を用いた。
培養した各菌株を1.0×10 CFU/mlとなるように菌液を調製後、各培地に菌液100μLを植菌しコンラージ棒で均一に塗布した。
[ハロー試験]
実施例及び比較例で製造した各不織布を20mm×20mmの正方形にカットしたものを培地の中心に設置し37℃、24時間培養した。
なお、ハローの判定は試験片末端からハローの末端までの長さを測定し、0mmより大きいのであれば増殖抑制がある(-評価)と判定し、0mmのものは増殖抑制効果が無い(+評価)と判定した。
<くり返し透水ハロー試験>
[透水性の実施]
実施例及び比較例で製造した各不織布を20mm×20mmの正方形にカットした。
カットした切片を吸引濾紙(東洋濾紙製、No.5)の上に重ね、吸引しながら、不織布表面から10mmの高さに設定したビューレットより滅菌水[イオン交換水をオートクレーブで滅菌(121℃、20分)したもの]1mLを加えた。
その後、不織布表面の乾きを目視確認後、80℃の温風乾燥機の中に1時間入れて乾燥させた。
上記の試験片を繰り返し透水2回目のハロー試験サンプルとして用いた。繰り返し透水3回目、4回目のハロー試験サンプルは上記操作を繰り返して作成した。
なお、ハローの判定は試験片末端からハローの末端までの長さを測定し、0mmより大きいのであれば増殖抑制がある(-評価)と判定し、0mmのものは増殖抑制効果が無い(+評価)と判定した。
Figure 2023111703000006
Figure 2023111703000007
Figure 2023111703000008
Figure 2023111703000009
表6~9に示すように、界面活性剤(A)及び物質(X)を含む実施例1~4、7~33の組成物を付着させた不織布では、皮膚常在菌は維持しながら、高い有害菌抑制効果を有し、かつ、液体に繰り返し曝されても、上記性能を維持できることが確認された。
表6において実施例5、6では、ハロー試験及び繰り返し透水ハロー試験を実施していないが、特許第5716173号の記載から、「レブリン酸」又は「タングステン酸ナトリウム」を含む組成物により処理された不織布が、皮膚常在菌は維持しつつ、有害菌の毒性物質(病原性因子)の産出を抑制することができると予測される。また、実施例5、6では、「レブリン酸」又は「タングステン酸ナトリウム」に加えて、界面活性剤(A)を含むことにより、実施例1~4、7~33の結果と同様に、液体に繰り返し曝されても、有害菌の毒性物質(病原性因子)の産出を抑制する効果を維持できると予測される。

Claims (6)

  1. 25℃の水100gに対する溶解度が0.025gより大きく0.05g以下であり、かつ、水で0.05重量%に希釈し1時間経過した後の25℃の温度条件で測定した表面張力が35mN/m以下である界面活性剤(A)と、
    レブリン酸及びその塩、タングステン酸及びその塩、ベンゾイルアセトン、ポリリン酸及びその塩並びにアセチルアセトンからなる群から選ばれる少なくとも1種である物質(X)とを、
    含む組成物。
  2. 25℃の水100gに対する溶解度が0.05g超であること、及び、水で0.05重量%に希釈し1時間経過した後の25℃の温度条件で測定した表面張力が35mN/m超であることのうち、少なくとも一方を満たす界面活性剤(B)を、さらに含む請求項1に記載の組成物。
  3. 界面活性剤(B)が、HLB2~12の非イオン性界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、リン酸エステル塩型アニオン性界面活性剤及びエーテルカルボン酸型アニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含む請求項2に記載の組成物。
  4. 界面活性剤(A)及び界面活性剤(B)の合計重量に対する、界面活性剤(A)の割合が10~70重量%である請求項2又は3に記載の組成物。
  5. 疎水性繊維に、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物が付着してなる繊維であって、
    前記組成物の不揮発性成分の割合が、前記疎水性繊維100重量部に対して、0.02~2重量部である繊維。
  6. 請求項5に記載の繊維を含む不織布。
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